JP2002343149A - 透明導電層の形成方法 - Google Patents

透明導電層の形成方法

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JP2002343149A JP2001142860A JP2001142860A JP2002343149A JP 2002343149 A JP2002343149 A JP 2002343149A JP 2001142860 A JP2001142860 A JP 2001142860A JP 2001142860 A JP2001142860 A JP 2001142860A JP 2002343149 A JP2002343149 A JP 2002343149A
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forming
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Masaya Yukinobu
雅也 行延
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貴金属微粒子を含む透明導電層形成用塗液を
用いた塗布法を用いて、膜欠陥を発生させることなく、
貴金属微粒子の発達した網目状構造が形成し、高透過率
で低抵抗の特性を有する透明導電層を安定して形成す
る。 【解決手段】 透明基板上に有機系溶媒を塗布し、その
有機系溶媒が乾燥する前に、平均粒径1〜100nmの
貴金属微粒子を含む透明導電層形成用塗液を塗布し、乾
燥して透明導電層を形成する。有機系溶媒の表面張力
を、透明導電層形成用塗液の表面張力と同等か又はそれ
以上となるように調整することにより、塗液が広がって
いく最先端部分での急速な凝集を防止でき、膜欠陥のな
い透明導電層が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管や液晶
ディスプレイ等の表示装置の前面板に適用される透明導
電性基材を得るため、透明基板上に透明導電層を形成す
る方法、特に簡便な塗布法によりながら欠陥のない透明
導電層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、コンピュータディスプレイ等とし
て用いられている陰極線管(ブラウン管とも称する:C
RT)には、表示画面が見やすく、視覚疲労を感じさせ
ないことの外に、CRT表面の帯電による埃の付着や電
撃ショックがないこと等が要求されている。
【0003】また、これ等に加えて最近では、CRTか
ら発生する低周波電磁波の人体に対する悪影響が懸念さ
れ、このような電磁波が外部に漏洩しないことが望まれ
ている。壁掛けテレビ等にも用いられているプラズマデ
ィスプレイパネル(PDP)、蛍光表示管(VFD)、
液晶ディスプレイ(LCD)等の他の表示装置において
も、CRTと同様に帯電や漏洩電磁波の問題が指摘され
ている。
【0004】このような漏洩電磁波に対しては、例え
ば、ディスプレイの前面板の表面に透明導電層を形成す
ることが有効である。この透明導電層による漏洩電磁波
の防止方法は、近年において帯電防止のために取られて
きた対策と原理的には同一である。しかし、漏洩電磁波
防止用の透明導電層は、帯電防止用に形成されていた導
電層よりも、遥かに高い導電性が必要である。
【0005】即ち、帯電防止用の導電層の表面抵抗は1
8〜1010 Ω/□程度であるのに対して、漏洩電磁波
防止(電界シールド)用としての導電層の表面抵抗は、
CRTにおいて少なくとも106 Ω/□以下、好ましく
は5×103 Ω/□以下、更に好ましくは103 Ω/□
以下であり、またPDPにおいては例えば10Ω/□以
下の低抵抗が要求されている。
【0006】上記漏洩電磁波防止(電界シールド)用の
透明導電層の形成方法として、これまでに幾つかの提案
がなされている。例えば、CRTにおいては、 イン
ジウム錫酸化物(ITO)等の導電性酸化物微粒子や金
属微粒子を溶媒中に分散した透明導電層形成用塗液を、
CRTの前面ガラス板に塗布・乾燥した後、200℃程
度の温度で焼成して透明導電層を形成する方法、 塩
化錫の高温化学気相成長法(CVD)により、前面ガラ
ス板に透明導電性酸化錫層(ネサ膜)を形成する方法、
インジウム錫酸化物、酸窒化チタン等のスパッタリ
ング法により、前面ガラス板に透明導電層を形成する方
法等が提案されている。
【0007】また、PDPにおける透明導電層として
は、 銀等の金属のスパッタリング法により透明導電
層を形成する方法、 PDPにおける前面板の装置本
体側に金属又は金属コーティング繊維からなる導電性メ
ッシュを設ける方法等が提案されている。しかし、上記
の方法は、導電性メッシュを用いるため、表面抵抗は
低いものの、透過率が低く且つモアレが発生するうえ、
その形成工程が煩雑でコスト高になるという問題を有し
ている。
【0008】これに対して上記の透明導電層形成用塗
液を塗布する方法は、〜に示されたCVD法やスパ
ッタリング法等に比べて遥かに簡便であって、製造コス
トも低いため、CRTに限らずPDPにおいても極めて
有利な方法である。しかしながら、の塗布方法におい
ては、透明導電層形成用塗液としてインジウム錫酸化物
(ITO)等の導電性酸化物微粒子を使用する場合、得
られる透明導電層の表面抵抗が104〜106Ω/□と高
く、漏洩電磁波防止(電界シールド)用としては充分で
なかった。
【0009】一方、金属微粒子を用いた透明導電層形成
用塗液では、ITOを用いた塗液に比べて透過率が若干
低くなるものの、10〜103Ω/□という低抵抗の透
明導電層が得られるため、今後、有望な方法であると思
われる。この場合の金属微粒子としては、特開平8−7
7832号公報や特開平9−55175号公報等に示さ
れるように、銀、金、白金、ロジウム、ルテニウム、パ
ラジウム等の貴金属に限られている。貴金属以外の金属
微粒子、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等では、大気
雰囲気下で粒子表面に酸化物被膜が必ず形成されるた
め、透明導電層として良好な導電性が得られなくなる。
【0010】また、CRT等の表示装置においては、表
示画面を見やすくするために、前面板の表面に防眩処理
を施して画面の反射を抑えることも行われている。この
防眩処理は、一般的には微細な凹凸を設けて表面の拡散
反射を増加させる方法によって行われている。しかし、
この方法を用いた場合には解像度が低下して画質が落ち
るため、あまり好ましい方法とはいえない。
【0011】画質を落とさないためには、反射光が入射
光に対して破壊的干渉を生ずるように、透明導電層の屈
折率と膜厚とを制御する干渉法によって防眩処理を行う
ことが好ましい。このような干渉法によって低反射効果
を得るため、一般的には高屈折率膜と低屈折率膜の光学
膜厚をそれぞれλ/4とλ/4、あるいはλ/2とλ/
4に設定した2層膜構造が採用されており、前述のイン
ジウム錫酸化物(ITO)微粒子からなる透明導電層も
この種の高屈折率膜として用いられている。
【0012】尚、金属においては、光学定数(n−i
k、ここで、n:屈折率、i2=−1、k:消衰係数)
のうち、nの値は小さいがkの値が大きいため、金属微
粒子からなる透明導電層を用いた場合でも、ITOの高
屈折率膜と同様に、2層膜構造を採用することで光の干
渉による反射防止効果が得られる。
【0013】更に、この種の透明導電層を透明基板上に
形成した透明導電性基材には、上述した良好な導電性、
低反射率等の諸特性に加えて、近年では表示画面が更に
見やすくなるように、その透過率を100%より低い所
定範囲(40〜75%)に調整して、画像のコントラス
トを向上させることも要請されている。この要請に対し
ては、上記透明導電層形成用塗液に着色顔料微粒子等を
配合することが一般に行われている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】貴金属微粒子からなる
透明導電層においては、貴金属微粒子が可視光線に対し
て透明でないことから、上述した透明導電層における高
透過率と低抵抗とを両立させるために、できるだけ少量
の貴金属微粒子が透明導電層内において効率よく導電パ
スを形成していることが望ましい。
【0015】溶媒に貴金属微粒子を分散させた一般的な
透明導電層形成用塗液においては、貴金属微粒子は酸化
物微粒子等に比べて凝集しやすく、塗布・乾燥の成膜過
程において必然的にある程度の微粒子同士の凝集が生じ
る。そのため、透明導電層形成用塗液を用いて得られる
透明導電層は、貴金属微粒子の導電層に微小な空孔が導
入された構造、即ち網目状(ネットワーク)構造を有して
いる(「工業材料」、Vol.44、No.9、199
6、p68〜71、特開平9−115438号公報、特
開平10−1777号公報、特開平10−142401
号公報、特開平10−182191号公報など参照)。
【0016】このような貴金属微粒子の網目状構造が形
成されると、低抵抗且つ高透過率の透明導電層が得られ
る。これは、金属微粒子からなる網目状部分が導電パス
として機能する一方、その網目状構造によって形成され
た穴の部分が光透過率を劣化させない機能を果たすため
と考えられている。
【0017】ところで、従来の透明導電層形成用塗液を
使用した場合、上述した網目状構造を有する透明導電層
を形成することはある程度可能であった。しかし、透明
導電層形成用塗液の塗布・乾燥の成膜過程において、貴
金属微粒子の凝集を制御することは実際上極めて困難で
あるため、得られる透明導電層に以下のような膜欠陥が
発生することが多かった。
【0018】例えば、貴金属微粒子を分散させる溶媒と
して、低沸点有機溶媒(沸点が100℃未満)であるエ
タノールと水の2成分系の溶媒、あるいは更に15重量
%以下の少量の高沸点有機溶剤(沸点が100℃以上)
を追加した系の溶媒を用いた従来の透明導電層形成用塗
液においては、その塗液の塗布・乾燥過程で低沸点有機
溶剤(エタノール)が水よりも先に揮発する。その結
果、乾燥する直前においても多量の水が塗布膜中に残存
するため、水の非常に高い表面張力に起因して、得られ
る透明導電層中に貴金属微粒子の発達した網目状構造が
形成され易いことが分かっている。
【0019】しかし、このような透明導電層形成用塗液
は、乾燥する直前まで塗布膜中に残存する多量の水の影
響により、基板洗浄時の拭き跡や基板の汚れ(例えば油
性の汚れ)等に対して非常に敏感であり、しかも水より
も低沸点の有機溶剤を多く含むことから塗液の乾燥が早
過ぎるため、例えばスピンコーティングで透明導電層形
成用塗液を成膜した場合には、放射筋(基板の中心から
外部に向かって形成される放射状の筋むら)やコーナー
むら(基板の四隅に形成される濃淡むら)が顕著になる
等の膜欠陥が発生していた。
【0020】この場合、透明導電層形成用塗液に多量の
高沸点有機溶剤(沸点が100℃以上)を添加すれば、
塗液の乾燥速度を遅くすることができることから、上述
した放射筋やコーナーむらのような膜欠陥の改善は可能
となる。しかしながら、15重量%を超える多量の高沸
点有機溶剤を添加した透明導電層形成用塗液では、上述
した貴金属微粒子の網目状構造が十分に得られず、更に
は貴金属微粒子の凝集が進み過ぎるため、微細な凝集物
が膜全面に発生するなど別の膜欠陥を生ずるという問題
があった。
【0021】尚、特開2000−124662公報に
は、より積極的に上記網目状構造を形成するために、予
め連鎖状に凝集させた金属微粒子を含む透明導電層形成
用塗液が提案されている。しかし、この透明導電層形成
用塗液においては、予め金属微粒子の凝集体が形成され
ているため、成膜前に行われる透明導電層形成用塗液の
濾過処理時にフィルターが目詰まりを起こし易いうえ、
前述と同様に金属微粒子の凝集の進み過ぎによる膜欠陥
を生ずるという問題があった。
【0022】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
貴金属微粒子を含む透明導電層形成用塗液を用いた塗布
法による透明導電層の形成において、膜欠陥を発生させ
ることなく、貴金属微粒子の発達した網目状構造を形成
して、高透過率で且つ低抵抗の透明導電層を安定して形
成する方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、透明基板上に貴金属微粒子を含む透明導
電層形成用塗液を塗布・乾燥して透明導電層を形成する
方法であって、該透明基板上に表面張力が前記透明導電
層形成用塗液の表面張力と同等又はそれ以上の有機系溶
媒を塗布し、その有機系溶媒が乾燥する前に、平均粒径
1〜100nmの貴金属微粒子を含む透明導電層形成用
塗液を塗布することを特徴とする透明導電層の形成方法
を提供するものである。
【0024】上記本発明の透明導電層の形成方法におい
ては、前記透明導電層形成用塗液を塗布・乾燥した後、
その上に更にシリカゾルを主成分とする透明コート層形
成用塗液を塗布・乾燥し、焼成して透明コート層を形成
することができる。
【0025】また、上記本発明の透明導電層の形成方法
において、前記貴金属微粒子は、金、銀、白金、パラジ
ウム、ロジウム及びルテニウムから選ばれた少なくとも
1種の貴金属微粒子、これら貴金属の合金微粒子、若し
くは銀粒子の表面が銀以外の前記貴金属でコーティング
された貴金属コート銀微粒子のいずれかである。前記貴
金属コート銀微粒子は、金又は白金の単体若しくは金と
白金の複合体でコーティングされた銀微粒子であってよ
い。
【0026】更に、上記本発明の透明導電層の形成方法
においては、前記透明導電層形成用塗液が、有色顔料微
粒子及び/又は無機バインダーを含むことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明者の研究により、溶媒中に
貴金属微粒子を分散させた透明導電層形成用塗液をガラ
ス等の透明基板上にスピンコーティング法等で塗布した
とき、基板上に広がった塗液の最先端部分(基板と塗液
と空気の界面)において、貴金属微粒子の急速な凝集が
起き易いことが判明した。この急速な凝集が起きる原因
は明らかではないが、透明導電層形成用塗液の最先端部
分では、塗液の乾燥過程で大気中から吸収された水分
や、もともと塗液中に含まれる水分が、その高い表面張
力(約72dyn/cm=72×10−3N/m)によ
って高濃度となり、著しい表面張力勾配が生じているこ
とに起因するものと考えられる。
【0028】そこで、本発明においては、透明導電層形
成用塗液の塗布に先立って、まず透明基板上に有機系溶
媒を塗布し、その有機系溶媒が乾燥する前に、透明導電
層形成用塗液を塗布する。透明導電層形成用塗液を塗布
する前に有機系溶媒を塗布することにより、その有機系
溶媒の液状薄膜が基板上に存在するため、基板上で透明
導電層形成用塗液が広がって行く最先端部分において基
板と塗液と空気の界面が形成されなくなり、貴金属微粒
子の急速な凝集を防いで、膜欠陥の発生が防止されるも
のと推測される。
【0029】また、上記有機系溶媒は、その表面張力が
透明導電層形成用塗液の表面張力と同等か又はそれ以上
となるように選定されていることが必要である。有機系
溶媒の表面張力が透明導電層形成用塗液の表面張力より
も低い場合には、その高い表面張力に起因して透明導電
層形成用塗液が有機系溶媒の薄膜上で玉状になろうとす
るため、塗液が基板上にスムースに且つ均一に広がるこ
とができなくなるからである。
【0030】このような有機系溶媒としては、上記した
表面張力の関係を満たす限り特に制限はなく、また貴金
属微粒子を分散させる溶媒と同一又は同種のものであっ
てもよい。例えば、メタノール(MA)、エタノール
(EA)、1−プロパノール(NPA)、イソプロパノ
ール(IPA)、ブタノール、ペンタノール、ベンジル
アルコール、ジアセトンアルコール(DAA)等のアル
コール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(ME
K)、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン
(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケト
ン系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル(M
CS)、エチレングリコールモノエチルエーテル(EC
S)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル
(IPC)、エチレングリコールモノブチルエーテル
(BCS)、プロピレングリコールメチルエーテル(P
GM)、プロピレングリコールエチルエーテル(PE)
等のグリコール誘導体、フォルムアミド、N−メチルフ
ォルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド(DMS
O)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を用い
ることができる。
【0031】本発明における貴金属微粒子は、その平均
粒径が1〜100nmであることを要する。平均粒径が
1nm未満の微粒子は製造が困難であるうえ、透明導電
層形成用塗液中で極めて凝集し易く実用的ではない。ま
た、平均粒径が100nmを超えると、形成された透明
導電層の可視光線透過率が低くなり過ぎ、仮に膜厚を薄
く設定して可視光線透過率を高くしたとしても、その場
合は表面抵抗が高くなり過ぎるためである。尚、平均粒
径とは、透過電子顕微鏡(TEM)で観察される微粒子
の平均粒径を示している。
【0032】また、上記貴金属微粒子としては、金、
銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムから選ば
れた少なくとも1種の貴金属の微粒子、これら貴金属の
合金微粒子、あるいは銀粒子の表面を銀以外の貴金属で
コーティングされた貴金属コート銀微粒子のいずれかを
好適に用いることができる。
【0033】これらの貴金属の比抵抗を比較した場合、
白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウムの比抵抗は、
それぞれ10.6、4.51、7.6、10.8μΩ・cm
であり、銀及び金の比抵抗1.62及び2.2μΩ・cm
に比べて高いため、表面抵抗の低い透明導電層を形成す
るには銀微粒子や金微粒子の使用が有利である。ただ
し、銀微粒子は硫化や食塩水による劣化が激しく、耐候
性の面から用途が制限される。他方、金、白金、ロジウ
ム、ルテニウム、パラジウムの微粒子は、耐候性の問題
はないが、コスト面で銀微粒子に劣っている。
【0034】これらの点を総合すると、銀微粒子の表面
に銀以外の貴金属をコーティングした貴金属コート銀微
粒子の使用が好ましい。特に、金単体又は白金単体か、
若しくは金と白金の複合体が表面にコーティングされた
貴金属コート銀微粒子が好ましい。この貴金属コート銀
微粒子では、内部の銀微粒子が金又は白金単体若しくは
金と白金の複合体により保護されるため、耐候性、耐薬
品性、耐紫外線性等が著しく改善される。
【0035】尚、上記貴金属コート銀微粒子において、
白金の比抵抗は上述したように銀や金に比べて若干高い
ため、低抵抗の透明導電層を得るためには、Ag−Pt
系やAg−Au−Pt系に比べ、Ag−Au系が好まし
い。しかし、金又は白金単体若しくは金と白金の複合体
は、銀微粒子表面のコーティング層として適用されてい
ることから、Ag−Pt系やAg−Au−Pt系の貴金
属コート銀微粒子を用いても、銀の良好な導電性が実用
レベル以下となる程度にまで著しく損なわれることはな
い。
【0036】また、上記貴金属コート銀微粒子におい
て、金又は白金単体、金と白金の複合体のコーティング
量は、銀100重量部に対して5〜1900重量部の範
囲に設定することが好ましく、100〜900重量部の
範囲に設定することが更に好ましい。金又は白金単体や
金と白金の複合体のコーティング量が5重量部未満の場
合には、紫外線等の影響による膜劣化が起こり易くな
り、コーティングによる保護効果が得られない。逆に1
900重量部を越えると、貴金属コート銀微粒子の生産
性が悪化すると共に、コスト的にも難があるからであ
る。
【0037】次に、貴金属コート銀微粒子を含む透明導
電層形成用塗液の製造方法について説明する。尚、貴金
属コート銀微粒子に代えて、金、銀、白金、パラジウ
ム、ロジウム、ルテニウムから選択された少なくとも1
種類以上の貴金属微粒子、若しくはこれら貴金属の合金
微粒子を適用した場合も、同様の方法によって透明導電
層形成用塗液を得ることが可能である。
【0038】貴金属コート銀微粒子を含む透明導電層形
成用塗液を製造するには、まず、既知の方法[例えば、
Carey−Lea法:Am. J. Sci.,37,47
(1889)、Am. J. Sci.,38(1889)
参照]により、銀微粒子のコロイド分散液を調製する。
即ち、硝酸銀水溶液に、硫酸鉄(II)水溶液とクエン酸
ナトリウム水溶液の混合液を加えて反応させ、沈降物を
濾過・洗浄した後、純水を加えることにより、簡単に銀
微粒子のコロイド分散液(Ag:0.1〜10重量%)
が得られる。尚、この銀微粒子のコロイド分散液の調製
方法は、平均粒径1〜100nmの銀微粒子が分散され
たものであれば任意であり、且つ上記方法に限定される
ものではない。
【0039】次に、得られた銀微粒子のコロイド分散液
に還元剤を加え、更にアルカリ金属の金酸塩溶液又は白
金酸塩溶液を加えるか、アルカリ金属の金酸塩溶液及び
白金酸塩溶液、若しくはアルカリ金属の金酸塩及び白金
酸塩の混合溶液を加えることにより、上記銀微粒子の表
面に金又は白金単体若しくは金と白金の複合体でコーテ
ィングされた貴金属コート銀微粒子のコロイド状分散液
を得ることができる。尚、この貴金属コート銀微粒子の
調製工程で、必要に応じて、銀微粒子のコロイド分散
液、アルカリ金属の金酸塩溶液、アルカリ金属の白金酸
塩溶液、アルカリ金属の金酸塩及び白金酸塩の混合溶液
の少なくともいずれかに、少量の分散剤を加えてもよ
い。
【0040】また、上記還元剤としては、ヒドラジン
(N24)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)等
の水素化ホウ素化合物、ホルムアルデヒド等を好適に用
いることができるが、銀微粒子のコロイド分散液に加え
られたときに銀微粒子の凝集を起こさず、金酸塩や白金
酸塩を金や白金に還元できれば任意であり、これらに限
定されるものではない。
【0041】このようにして得られた貴金属コート銀微
粒子のコロイド状分散液は、その後、透析、電気透析、
イオン交換、限外濾過等の脱塩処理方法により、分散液
内の電解質濃度を下げることが好ましい。電解質濃度を
下げないと、コロイドは電解質で一般に凝集してしまう
からであり、この現象はSchulze−Hardy則
として知られている。
【0042】次に、脱塩処理された貴金属コート銀微粒
子のコロイド状分散液を濃縮処理して貴金属コート銀微
粒子の分散濃縮液を得た後、この貴金属コート銀微粒子
の分散濃縮液に溶媒を添加して成分調整(微粒子濃度、
水分濃度、高沸点有機溶剤濃度等)を行うことにより、
透明導電層形成用塗液が得られる。尚、上記コロイド状
分散液の濃縮処理は、減圧エバポレーター、限外濾過等
の常用の方法で行うことができ、この濃縮度合いによっ
て透明導電層形成用塗液中の水分濃度を制御することが
できる。また、溶媒は通常用いられているものでよく、
塗布方法や製膜条件により適宜に選定することができ
る。
【0043】上記溶媒の添加による成分調整の際に、溶
媒に有色顔料微粒子や無機バインダーを加えておくこと
により、有色顔料微粒子及び/又は無機バインダーを含
む透明導電層形成用塗液が得られる。尚、無機バインダ
ーについては、貴金属コート銀微粒子の分散濃縮液に含
ませた状態で追加混合してもよいし、無機バインダーを
そのまま追加混合してもよく、その混合の方法は任意で
ある。また、無機バインダーとしては、シリカゾル等を
使用することができる。
【0044】尚、透明導電層形成用塗液が有色顔料微粒
子を含むことにより、透明導電層が形成された透明導電
性基材の透過率を100%より低い範囲、例えば40〜
75%に調整し、良好な導電性、低反射率等の諸特性に
加え、その画像のコントラストを向上させて表示画面を
更に見やすくすることが可能となる。
【0045】有色顔料微粒子としては、カーボン、チタ
ンブラック、窒化チタン、複合酸化物顔料、コバルトバ
イオレット、モリブデンオレンジ、群青、紺青、キナク
リドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔
料、イソインドリノン系顔料、アゾ系顔料及びフタロシ
アニン系顔料から選ばれた1種以上の微粒子を用いるこ
とができるが、その中でも窒化チタン微粒子は着色力が
高く、透過色も青味が強いため、ディスプレイ用のコー
ティング膜に適用する場合に好ましい。
【0046】また、貴金属微粒子を含む透明導電層形成
用塗液は、通常、貴金属微粒子の水系コロイド分散液を
経由して得られるため、その溶媒は必然的に水分を含有
し、その水分濃度は1〜50重量%が好ましく、5〜2
5重量%が更に好ましい。塗液中の水分濃度が50重量
%を超えると、透明基板上に塗布した後、乾燥中に水の
高い表面張力により、はじきを生じ易くなる場合がある
からである。また、水分濃度を1重量%未満にするに
は、例えば、貴金属微粒子の濃度を30重量%程度の高
濃度まで高めた水系コロイド分散液を製造する必要があ
るが、分散液中の貴金属微粒子濃度をそこまで高めると
分散液が不安定となり、貴金属微粒子の凝集が生じるた
め実用的ではない。
【0047】次に、この様にして得られた透明導電層形
成用塗液を用いて、例えば、ガラス基板、プラスチック
基板等の透明基板上に透明導電層を形成する。即ち、最
初に有機系溶媒を透明基板上にスプレーコート、スピン
コート、ドクターブレードコート等の手法により塗布
し、その有機系溶媒が乾燥する前に、透明導電層形成用
塗液を同様の手法により塗布し、乾燥して透明導電層を
形成する。
【0048】透明導電層上に更に透明コート層を設ける
場合には、上記のごとく透明基板上に有機系溶媒と透明
導電層形成用塗液を塗布し、必要に応じて乾燥した後、
例えばシリカゾル等を主成分とする透明コート層形成用
塗液を上述と同様の手法によりオーバーコートする。次
に、例えば50〜450℃程度の温度で加熱処理を施
し、透明コート層形成用塗液を硬化させて透明コート層
とする。
【0049】本発明による透明導電層の形成方法を用い
た場合、透明基板上で透明導電層形成用塗液が広がって
行く最先端部分において、貴金属微粒子の急速な凝集を
防ぐことができるため、従来の透明導電層膜の形成方法
と比較して膜欠陥の発生がなく、且つ貴金属微粒子の網
目状構造が発達した良質の透明導電層を得ることができ
る。
【0050】更に、シリカゾル等を主成分とする透明コ
ート層形成用塗液をオーバーコートすれば、予め形成さ
れた上記貴金属微粒子層における網目状構造の穴の部分
に、オーバーコートしたシリカゾル液(シリカゾルは上
記加熱処理により酸化ケイ素を主成分とするバインダー
マトリックスとなる)が染み込むことで、更なる透過率
の向上並びに導電性の向上が同時に達成される。
【0051】また、貴金属微粒子層における網目状構造
の穴の部分を介して、透明基板と酸化ケイ素等のバイン
ダーマトリックスとの接触面積が増大するため、透明基
板と透明コート層との結合が強くなり、強度の向上も図
られる。更に、酸化ケイ素を主成分とするバインダーマ
トリックス中に貴金属微粒子が分散された透明導電層で
は、その光学定数(n−ik)において、屈折率nはさ
ほど大きくないが消衰係数kが大きいため、透明導電層
と透明コート層の2層膜構造により、その反射率を大幅
に低下させることができる。
【0052】上記シリカゾルとしては、オルトアルキル
シリケートに水や酸触媒を加えて加水分解し、脱水縮重
合を進ませた重合物か、あるいは既に4〜5量体まで重
合を進ませた市販のアルキルシリケート溶液を更に加水
分解と脱水縮重合を進行させた重合物等を利用すること
ができる。尚、脱水縮重合が進行し過ぎると、溶液粘度
が上昇して最終的には固化してしまうので、透明基板上
に塗布可能な上限粘度以下になるように脱水縮重合の度
合いを調整する。ただし、脱水縮重合の度合いは上記上
限粘度以下のレベルであればよいが、膜強度、耐候性等
を考慮すると、重量平均分子量で500〜3000程度
が好ましい。
【0053】そして、上記アルキルシリケートの加水分
解重合物は、透明2層膜の加熱焼成時に脱水縮重合反応
がほぼ完結して、硬いシリケート膜(酸化ケイ素を主成
分とする膜)になる。尚、上記シリカゾルに、弗化マグ
ネシウム微粒子、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコ
ニアゾル等を加え、透明コート層の屈折率を調節して透
明2層膜の反射率を変えることも可能である。
【0054】尚、溶媒に分散された貴金属微粒子に加
え、上述したように無機バインダー成分としてのシリカ
ゾル液を配合して透明導電層形成用塗液を構成してもよ
い。この場合においても、シリカゾル液が含まれた透明
導電層形成用塗液を塗布し、必要に応じて乾燥させた
後、透明コート層形成用塗液をオーバーコートすること
により同様の透明2層膜が得られる。貴金属コート銀微
粒子のコロイド状分散液の製造において脱塩処理を施し
たのと同様の理由から、透明導電層形成用塗液内に配合
する上記シリカゾル液についても、その脱塩を十分に行
っておくことが望ましい。
【0055】以上説明したように、本発明に係る透明導
電層の形成方法を用いて形成された透明導電層は、膜欠
陥の少ない良質な被膜であり、しかも、貴金属微粒子の
発達した網目状構造を有するため、高透過率、低抵抗、
低反射率、高強度の諸特性を有している。従って、この
透明導電層を具備する透明導電性基材は、例えば、ブラ
ウン管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PD
P)、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッション
ディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンスデ
ィスプレイ(ELD)、液晶ディスプレイ(LCD)等
の表示装置における前面板等に好適に用いることができ
る。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。また、以下の記述において「%」は、透過率、反
射率、ヘーズ値の%を除いて「重量%」を示し、また
「部」は全て「重量部」を示している。
【0057】実施例1 Carey−Lea法により銀微粒子のコロイド分散液
を調製した。具体的には、9%硝酸銀水溶液33gに、
23%硫酸鉄(II)水溶液39gと37.5%クエン酸
ナトリウム水溶液48gの混合液を加え、沈降物を濾過
・洗浄した後、純水を加えて銀微粒子のコロイド分散液
(Ag:0.15%)を調製した。
【0058】この銀微粒子のコロイド分散液60gにヒ
ドラジン1水和物(N24・H2O)の1%水溶液8.0
gを加えて撹拌しながら、金酸カリウム[KAu(OH)
4]水溶液(Au:0.075%)480gと1%高分子
分散剤水溶液0.2gの混合液を加えて、表面に金単体
がコーティングされた貴金属コート銀微粒子のコロイド
分散液を得た。この貴金属コート銀微粒子において、銀
100部に対する金のコーティング量は400部であっ
た。
【0059】この貴金属コート銀微粒子のコロイド分散
液をイオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名ダイヤイ
オンSK1B、SA20AP)で脱塩処理した後、限外
濾過を行った。得られた貴金属コート銀微粒子の濃縮液
に、溶媒としてエタノール(EA)、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル(PGM)、ジアセトンアルコ
ール(DAA)、及びホルムアミド(FA)を加え、貴
金属コート銀微粒子を含む透明導電層形成用塗液(A
g:0.08%、Au:0.32%、水:10.7%、E
A:53.8%、PGM:25%、DAA:10%、F
A:0.1%)を得た。この透明導電層形成用塗液を透
過電子顕微鏡で観察した結果、貴金属コート銀微粒子の
平均粒径は7.5nmであった。
【0060】次に、有機系溶媒であるプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル(PGM)を40℃に加熱され
たガラス基板(厚さ3mmのソーダライムガラス)上に
スピンコート(150rpm、15秒間)し、PGMが
乾燥する前に、上記透明導電層形成用塗液をスピンコー
ト(150rpm、70秒間)した。尚、上記透明導電
層形成用塗液の表面張力(25℃)は25.9×10
−3N/m、PGMの表面張力(25℃)は26.5×
10−3N/mであった。
【0061】上記の塗液が乾燥した後、更にシリカゾル
液をスピンコート(150rpm、60秒間)して、1
80℃で20分間加熱して硬化させた。このようにし
て、貴金属コート銀微粒子を含む透明導電層と、酸化ケ
イ素を主成分とするシリケート膜からなる透明コート層
とで構成された透明2層膜付きのガラス基板、即ち実施
例1の透明導電性基材を得た。
【0062】尚、上記ガラス基板は、酸化セリウム系研
磨剤等による研磨処理を行わず、純水による洗浄・乾燥
後、一旦45℃に加熱したものを、使用直前にエタノー
ルを含ませた無塵性クロスで表面の拭き取りを行い、基
板温度が40℃まで下がった時点で用いた。また、上記
シリカゾル液は、メチルシリケート51(コルコート社
の商品名)19.6部、エタノール57.8部、1%硝酸
水溶液7.9部、純水14.7部を用いて、SiO2 (酸
化ケイ素)固形分濃度が10%で、重量平均分子量が1
080のものを調製し、最終的にSiO2 固形分濃度が
0.9%となるようにイソプロピルアルコール(IP
A)とn−ブタノール(NBA)の混合物(IPA/N
BA=3/1)により希釈して得られたものである。
【0063】得られた実施例1の透明導電性基材につい
て、ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜特性(表
面抵抗、可視光線透過率、ヘーズ値、ボトム反射率/ボ
トム波長)、及び膜欠陥を下記表1に示す。尚、上記ボ
トム反射率とは、透明導電性基材の反射プロファイルに
おいて極小の反射率をいい、ボトム波長とは反射率が極
小における波長を意味している。可視光線透過率(透明
基板を含まない透明2層膜だけの透過率)は、以下の様
にして求められている。即ち、透明基板を含まない透明
2層膜だけの透過率(%)=[(透明基板ごと測定した
透過率)/(透明基板の透過率)]×100
【0064】また、透明2層膜の表面抵抗は、三菱化学
(株)製の表面抵抗計ロレスタAP(MCP−T400)
を用い測定した。ヘーズ値と可視光線透過率は、村上色
彩技術研究所製のヘーズメーター(HR−200)を用
いて測定した。反射率は、日立製作所(株)製の分光光度
計(U−4000)を用いて測定した。貴金属コート銀
微粒子の粒径は、日本電子(株)製の透過電子顕微鏡で評
価した。また、膜欠陥については、膜面の凝集物、放射
筋等を目視で検査した。
【0065】実施例2 上記実施例1において有機溶媒のPGMを40℃に加熱
されたガラス基板上にスピンコートする代わりに、有機
系混合溶媒(水:10.7%、EA:53.8%、PG
M:25.4%、DAA:10%、FA:0.1%)を、
40℃に加熱されたガラス基板(厚さ3mmのソーダラ
イムガラス)上にスピンコート(150rpm、30秒
間)した以外は、上記実施例1と同様に実施した。尚、
上記有機系混合溶媒の表面張力(25℃)は、上記透明
導電層形成用塗液と同じ25.9×10−3N/mであ
った。
【0066】得られた実施例2の透明導電性基材、即ち
貴金属コート銀微粒子を含む透明導電層と、酸化ケイ素
を主成分とするシリケート膜からなる透明コート層とで
構成された透明2層膜付きのガラス基板について、上記
実施例1と同様にして、ガラス基板上に形成された透明
2層膜の膜特性及び膜欠陥を評価し、下記表1に併せて
示した。
【0067】比較例1 上記実施例1において有機溶媒であるPGMのガラス基
板上へのスピンコートを行わず、上記透明導電層形成用
塗液を40℃に加熱されたガラス基板(厚さ3mmのソ
ーダライムガラス)上に直接スピンコート(150rp
m、70秒間)した以外、実施例1と同様に実施した。
【0068】比較例2 実施例1において有機溶媒であるPGMを40℃に加熱
されたガラス基板上にスピンコートする代わりに、エタ
ノールを40℃に加熱されたガラス基板(厚さ3mmの
ソーダライムガラス)上にスピンコート(150rp
m、5秒間)した以外、実施例1と同様に実施した。
尚、エタノールの表面張力(25℃)は、22.0×1
−3N/mであった。
【0069】これらの比較例1及び比較例2の透明導電
性基材、即ち貴金属コート銀微粒子を含む透明導電層
と、酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜からなる透
明コート層とで構成された透明2層膜付きのガラス基板
についても、上記実施例1と同様にして、ガラス基板上
に形成された透明2層膜の膜特性及び膜欠陥を評価し、
下記表1に併せて示した。
【0070】
【表1】
【0071】上記表1に示された結果から、以下のこと
が確認された。まず、比較例1の透明2層膜には一部に
微細な凝集物(黒色ブツ)が発生し、比較例2の透明2
層膜では凝集物は認められなかったが、太い放射筋が認
められた。これに対して実施例1及び実施例2の透明2
層膜では、膜欠陥が全く認められず、本発明方法は成膜
性に優れていることが確認された。
【0072】また、実施例1及び実施例2の透明2層膜
の光学特性及び表面抵抗は、従来の一般的な塗布方法で
ある比較例1の透明2層膜と比べて遜色なく、高い可視
光線透過率と優れた導電性を兼ね備えていることが分か
る。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、貴金属微粒子を含む透
明導電層形成用塗液を用いた簡便な塗布法によって、膜
欠陥を発生させることなく、貴金属微粒子の発達した網
目状構造が形成され、高透過率、低抵抗、低反射率、高
強度の諸特性を有する透明導電層を安定して形成するこ
とができる。
【0074】従って、本発明により得られる透明導電層
を具備する透明導電性基材は、ブラウン管(CRT)、
プラズマディスプレイパネル(PDP)、蛍光表示管
(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(F
ED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL
D)、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置におけ
る前面板等として好適である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AE03 AE06 CA22 CA48 DB13 DC24 EC10 EC53 4G059 AA01 AC12 DA01 DA02 DA03 DB04 EA05 EB07 FA05 FA28 FB06 GA01 GA04 GA15 GA17 5G323 BA01 BB02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に貴金属微粒子を含む透明導
    電層形成用塗液を塗布・乾燥して透明導電層を形成する
    方法であって、該透明基板上に表面張力が前記透明導電
    層形成用塗液の表面張力と同等又はそれ以上の有機系溶
    媒を塗布し、その有機系溶媒が乾燥する前に、平均粒径
    1〜100nmの貴金属微粒子を含む透明導電層形成用
    塗液を塗布することを特徴とする透明導電層の形成方
    法。
  2. 【請求項2】 前記透明導電層形成用塗液を塗布・乾燥
    した後、その上に更にシリカゾルを主成分とする透明コ
    ート層形成用塗液を塗布・乾燥し、焼成して透明コート
    層を形成することを特徴とする、請求項1に記載の透明
    導電層の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記貴金属微粒子が、金、銀、白金、パ
    ラジウム、ロジウム及びルテニウムから選ばれた少なく
    とも1種の貴金属微粒子、これら貴金属の合金微粒子、
    若しくは銀粒子の表面が銀以外の前記貴金属でコーティ
    ングされた貴金属コート銀微粒子のいずれかであること
    を特徴とする、請求項1又は2に記載の透明導電層の形
    成方法。
  4. 【請求項4】 前記貴金属コート銀微粒子が、金又は白
    金の単体若しくは金と白金の複合体でコーティングされ
    た銀微粒子であることを特徴とする、請求項3に記載の
    透明導電層の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記透明導電層形成用塗液が、有色顔料
    微粒子及び/又は無機バインダーを含むことを特徴とす
    る、請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電層の形成
    方法。
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