JP2004231309A - 受け台 - Google Patents
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Abstract
【課題】巻装体を受け台に乗せた際に、巻装体の外表面に傷が付くことを防止し、かつ受け台に乗せた巻き芯を軸線方向に掻き出す動作の際に、巻き芯の外表面に傷が付くことを防止する。
【解決手段】受け台16上に帯状薄板材を巻装した巻装体20が載置されたときに、受け台16の受け面18A、18Bに設けた面圧低減部材24が弾性変形して接触面積を拡大することにより巻装体20から加わる面圧を低減して、帯状薄板材を巻装した巻装体20が傷付かないように支持する。これと共に、受け台16に載置された巻き芯22を軸線方向に掻き出す動作を行う際、巻き芯22の表面が摩擦低減部材26上を小さな摩擦抵抗で滑らかに摺動されるので巻き芯22の表面に傷を付けないようにする。
【選択図】 図3
【解決手段】受け台16上に帯状薄板材を巻装した巻装体20が載置されたときに、受け台16の受け面18A、18Bに設けた面圧低減部材24が弾性変形して接触面積を拡大することにより巻装体20から加わる面圧を低減して、帯状薄板材を巻装した巻装体20が傷付かないように支持する。これと共に、受け台16に載置された巻き芯22を軸線方向に掻き出す動作を行う際、巻き芯22の表面が摩擦低減部材26上を小さな摩擦抵抗で滑らかに摺動されるので巻き芯22の表面に傷を付けないようにする。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、受け台に関し、特に、巻き芯にプラスチックフィルム又は金属、アルミニュウムの帯状薄板材を巻装した巻装体又は巻き芯を傷付けることなく支持でき、巻き芯を掻き出す際に小さな力で掻き出せる受け台に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、オフセット印刷には、感光性平版印刷版(以下「PS版」という)が利用されている。
【0003】
このようなPS版の製造ラインでは、例えば、アルミニウム製等の長尺の帯状薄板材を、巻き芯に巻装した巻装体(いわゆるアルミ薄板コイル)を、PS版の製造ラインの供給部へ運搬して装着し、この巻装体からアルミニウム製帯状薄板材を引き出して、砂目立て処理、陽極酸化処理、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光液を塗布して感光層を形成した後、所望のサイズに裁断してPS版が製造されている。
【0004】
このPS版の製造ラインでは、前記巻装体を、台車に乗せてPS版の製造ラインの供給部へ運搬する。またアルミニウム製帯状薄板材が全て払い出された空の巻き芯は、同じ台車に乗せてPS版の製造ラインの供給部から搬出して空の巻き芯のストック場へ運搬し、そこで前記巻き芯をその中心軸方向に掻き出してストック場にストックする。
【0005】
従来の台車には、V字状に開いた受け面で構成した受け台を持つものが利用されている。
【0006】
この受け台は、アルミニウム製帯状薄板材の巻装体における大径円筒状外表面の2箇所を、V字状に開いた受け面で挟んで転がらないように支持するように構成されている。このため、V字状に開いた受け面には、その全面に渡ってゴム板を配置し、この受け面に圧接される巻装体外表面の2箇所に傷が付くことを防止している。
【0007】
またこの受け台は、空の巻き芯における小径円筒状外表面の2箇所をV字状に開いた受け面で挟んで転がらないように支持する。
【0008】
上述した従来の台車は、文献公知発明に係わるものではありません。
【0009】
また、先行技術文献情報について調査しましたが、発見できませんでした。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の受け台においては、受け面の全面にゴムが張られていたので、空の巻き芯を軸線方向に掻き出す操作の途中で巻き芯が受け面に引っ掛かって止まってしまったり、受け面に配置されたゴム板が剥がれ落ちたり、巻き芯の表面に傷が付いたりする等の問題を生じる虞があった。
【0011】
本発明は上記事実を考慮し、帯状薄板材を巻装した巻装体を受け台に乗せた際に、巻装体の受け面に圧接される外表面に傷が付くことが防止可能であり、かつ受け台に乗せた空の巻き芯を軸線方向に掻き出す動作の際に空の巻き芯の外表面に傷が付くことを防止できる受け台を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の受け台は、巻き芯に帯状薄板材を巻装した巻装体又は前記巻き芯を、円筒状側面において支持する受け面を有する受け台であって、前記受け面における前記巻装体が当接する部分に配置されてなるとともに、前記巻装体から加わる面圧を低減する第1の受け面と、前記受け面における前記巻き芯が当接する部分に配置されてなるとともに、前記巻き芯の表面との摩擦を低減する第2の受け面と、を有することを特徴とする受け台に関する。
【0013】
前述のように構成することにより、受け台上に巻装体が載置されたときに、前記巻装体との接触面積が拡大するように受け台の第1の受け面が変形することにより巻装体から加わる面圧を低減して、巻装体が傷付かないように支持する。これと共に、受け台上に載置された巻き芯を軸線方向に掻き出す動作を行う際、巻き芯の表面が小さな摩擦抵抗で滑らかに第2の受け面上を摺動するので巻き芯の表面に傷がつくのを防止できる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の受け台において、前記第1の受け面は、弾性材料で形成されていることを特徴とする受け台に関する。
【0015】
前記受け台においては、受け面における巻装体が当接する第1の受け面部分に前記弾性材料が配置されているから、第1の受け面に巻装体を載置すると、前記巻装体が当接する部分が弾性変形して面圧が低減される。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の受け台において、前記弾性材料は、エラストマーであることを特徴とする受け台に関する。
【0017】
前記受け台は、前記弾性材料としてエラストマーを用いた受け台の例である。前記エラストマーとしては、NR,BR,CR,IR,IIR,SBR,UR等の加硫型エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、軟質塩化ビニル樹脂などの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載の受け台において、前記弾性材料は、発泡樹脂であることを特徴とする受け台に関する。
【0019】
前記受け台は、前記弾性材料として発泡樹脂を用いた受け台の例である。前記発泡樹脂としては、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡スチロール、スポンジゴムなどが挙げられる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の受け台において、前記第1の受け面は、流体を内部に封じ込めた袋体で構成されていることを特徴とする受け台に関する。
【0021】
前記受け台においては、受け面における巻装体が当接する第1の受け台部分に前記袋体が配置されているから、前記第1の受け面に巻装体を載置すると前記袋体が弾性変形し、面圧が低減される。前記第1の受け台は、巻装体を載置したときの面圧低減効果に特に優れる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の受け台において、前記第2の受け面は、前記巻き芯を、転接して送るローラ送り機構で構成されていることを特徴とする受け台に関する。
【0023】
前記受け台においては、巻き芯を掻き出すときは、巻き芯にはローラ機構を構成するローラとの間に転がり摩擦抵抗しか作用しないから、特に小さな力で掻き出しを行うことができる。
【0024】
請求項7記載の発明は、巻き芯又は巻き芯に帯状薄板材を巻装した巻装体を、円筒側面において支持する受け面を有する受け台であって、前記受け面はV字状に形成されてなるとともに、前記V字状の底の部分が前記第2の受け面であって、前記第2の受け面よりもV字状の受け面に沿って上方に前記第1の受け面が配設されてなることを特徴とする受け台に関する。
【0025】
前記受け台においては、巻き芯はV字状の受け面の底部で保持し、巻装体は受け面の前記底部より上方で保持される。したがって、巻き芯は、前記第2の受け面で保持され、巻装体は前記第1の受け面で保持される。故に、前記巻き芯や巻装体が受け面で擦れて表面に傷が付くことが防止される。
【0026】
【発明の実施の形態】
1.実施形態1
以下、本発明の受け台の一例につき、図1乃至図3を用いて説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、実施形態1に係る受け台は、PS版の製造ラインで利用される台車10と一体的に構成されている。
【0028】
この台車10は、下面の四隅に4個の車輪12を装着した直方体状の基台14における上面に受け台16を一体に設置して構成されている。受け台16の上面には、上方に向けてV字状に開いた受け面18A、18Bが形成されている。
【0029】
図1及び図3に示すように、アルミニウム製帯状薄板材の巻装体20及び巻装体20からアルミニウム製帯状薄板材を巻き戻して残った巻き芯22は、受け面18A、18Bに載置される。
【0030】
前述のように受け面18A、18Bは、V字状に開いているから、巻装体20は、図1において実線で示すように、受け面18A、18Bの外側の部分で、外側から挟まれるように2箇所で支持される。従って巻装体20は、受け面18A、18Bを転動することなく安定に保持される。一方、巻き芯22は、同図において2点鎖線で示すように受け面18A、18Bの内側の部分で支持される。
【0031】
図1及び図3に示すように、受け面18A、18Bにおける巻き芯22が当接する範囲(受け面のV字つけね近傍に当たる底側の範囲)に摩擦低減部材26(第1の受け面)を設け、それより外側の巻装体20が当接する範囲(受け面のV字つけね近傍以外の範囲)に面圧低減部材24(第2の受け面)を設ける。
【0032】
面圧低減手段としての面圧低減部材24は弾性材料により形成されている。従って受け面18A、18Bに巻装体20を載置すると、面圧低減部材24は、巻装体20の自重で弾性変形する。これにより、巻装体20と受け面18A、18Bとの接触面積が増加して受け面18A、18Bに加わる面圧が低減する。
【0033】
前記弾性材料としては、例えば合成ゴム、天然ゴム、ウレタンフォーム等の発泡樹脂又は弾性に富んだプラスチック材を挙げることができる。
【0034】
受け面18A、18Bに載置した巻き芯22を軸線方向に摺動させる際、巻き芯22の表面に傷を付けないよう滑らかに摺接させるように、摩擦抵抗は、巻き芯22との摩擦の小さな低摩擦材料によって形成されている。
【0035】
前記低摩擦材料としては、例えば、無機充填材入りナイロン(R)であるいわゆるMCナイロン、PTFE(ポリ4弗化エチレン)、超高分子量ポリエチレン等の硬質で摩擦係数が小さく滑性に富んだプラスチック材料を挙げることができる。
【0036】
次に、上述のように構成された実施形態1に係る受け台を持つ台車10の作用及び動作について説明する。
【0037】
図1に実線で示すように、巻装体20の側面が面圧低減部材24(第2の受け面)に当接するようにV字状に開いた受け面18A、18Bの間に巻装体20を載置する。
【0038】
この台車10で巻装体20を運搬すると、巻装体20は、一対の面圧低減部材24(第2の受け面)によって挟まれるように支持されるともに、巻装体20の自重により面圧低減部材24が弾性変形して巻装体20との接触面積が増加して面圧が低減する。従って、巻装体20は、巻き芯22にアルミニウム製帯状薄板材材が何重にも巻回され、重量があるにもかかわらず、台車10によって表面に傷が付かないように支持して搬送することができる。
【0039】
一方、台車10で巻き芯22をストック場に運搬する場合には、図2に示すように、受け面18A、18Bにおける摩擦低減手段としての摩擦低減部材26で形成された部分に載置する。巻き芯22は、軽量なので面圧が低い故に、側面に傷が付くことはない。
【0040】
巻き芯22をストック場まで搬送したら、略T字状の掻き出し部材28における先端の係止板30に巻き芯22を引っ掛けて巻き芯22の軸線方向に掻き出部材28を引くことにより、巻き芯22を受け面18A、18Bから掻き出す。なお、この操作は、自動掻き出し装置で自動的に実行してもよい。
【0041】
巻き芯22は、巻装体20よりも外径が小さいため、掻き出し時には摩擦低減部材26上を摺動する。従って巻き芯22の側面と摩擦低減部材26とが相互に擦れ合う。
【0042】
巻き芯22と摩擦低減部材26との間の、摩擦係数は、前述のように小さくなるように設定されているから、巻き芯22は、摩擦低減部材26上を滑らかに移動できる。また、巻き芯22の自重は小さいため、摩擦低減部材26に加わる面圧が低くなると共に、摩擦低減部材26の弾性変形が小さくなる。これにより、巻き芯22と摩擦低減部材26との間の抵抗が低減して引っ掛かりを生じにくくなる。よって、空の巻き芯22は、摩擦低減部材26上で摺動しても、空の巻き芯22の外周表面に傷が付かないようにでき、かつ移動動作が途中で停止することを防止でき、摩擦低減部材26が剥がれ落ちることを防止でき、さらに、空の巻き芯22を掻き出し部材28で掻き出す操作力を小さくできる。
【0043】
なお、上述した本第1実施の形態では、受け台16にV字状に開いた受け面18A、18Bを形成し、巻装体20又は巻き芯22を受け面18A、18B上の2箇所で当接して支持するものについて説明したが、受け面18A、18Bを曲面状又は略W字状に構成し、その3箇所以上の部分で巻装体20又は巻き芯22に当接して支持するように構成しても良いことは勿論である。
2.実施形態2
次に、本発明の実施形態2について、図4を用いて説明する。
【0044】
実施形態2では、面圧低減手段として気体(空気)若しくは液体である流体又は小弾性部材の塊多数を袋体32の内部に封入したものを用い、摩擦低減手段としてローラ送り機構34(ベルトコンベヤ等の搬送機構でも良い)を用いている。
【0045】
図4に示すように、第2の受け面を構成する袋体32は、V字状に開いた受け面18A、18Bにおける巻装体20が当接する部分に、実施形態1における面圧低減部材24の代わりに設置されている。
【0046】
この第2の受け面を構成する袋体32は、面圧低減部材24の幅方向の長さに対応する長さを持つ略円柱状に膨らむ密閉可能なゴム等の弾性材料製単位袋の内部に、流体として、空気などの気体や水などの液体を充填して密封したものを多数並列に接続して、一体に形成したものである。
【0047】
受け面18Aと受け面18Bとの間には、ローラ送り機構34を収納する溝部18Cが設けられている。
【0048】
第1の受け面を構成するローラ送り機構34は、受け面18A、18Bにおける巻き芯22が当接する部分に、設置されている。
【0049】
ローラ送り機構34は、巻き芯22の掻き出し方向に沿って配設された長尺状の支持枠部材36と、支持枠部材36に対して直角に設けられた軸40によって支持枠部材36に軸着された一群のローラ38とから成る。支持枠部材36は、溝部18Cの内側において圧縮コイルばね41によって下方から支持されるフランジ部36Bと、フランジ部36Bから上方に突出した稜状のウェブ部36Aとから成っている。軸40は、ウェブ部36Aの両端に固定されている。
【0050】
なお、この圧縮コイルばね41の代わりに伸縮動作するシリンダ装置を利用し、ローラ送り機構34上に空の巻き芯22を載置するときに、シリンダ装置を操作してローラ送り機構34を袋体32より上方へ持ち上げるようにしても良い。
【0051】
第2の受け面を構成するローラ送り機構34には、支持枠部材36の長さ方向に軸線方向が一致するように、巻き芯22が載置される。このとき巻き芯22は、複数のローラ38の上に保持された状態となる。この状態で、巻き芯22を、軸線方向に掻き出し部材28で掻き出すと、各ローラ38は巻き芯22の外周表面上を転動するので、巻き芯22の外周表面に擦り傷を作ることなく、滑らかに、かつ小さな操作力で巻き芯22の掻き出しを実行できる。
【0052】
なお、この第2の受け面を構成する複数のローラ38は、その周囲に無端ベルトを巻き掛けてベルトコンベヤとして構成しても良い。
【0053】
実施形態2の受け台は、面圧低減手段として袋体32を用いているから袋体32上に巻装体20を載置すると、各袋体32が大きく弾性変形する。従って巻装体20から受け台16に加わる面圧がより一層低減されるから、巻装体20の外周表面に傷がつくことを、より効果的に防止できる。
【0054】
また、ローラ送り機構34は、圧縮コイルばね41によって支持されているから、圧縮コイルばね41の付勢力により、空の巻き芯22を乗せたローラ送り機構34が、袋体32より十分に上方に持ち上げられた状態になる。従って、巻き芯22を軸線方向に掻き出し部材28で掻き出す動作を容易にでき、この掻き出し動作の際に空の巻き芯22が袋体32に接触する虞がない。
【0055】
なお、実施形態2における以上説明した以外の構成、作用、及び効果は前述した第1実施の形態と同様である。
【0056】
以上、帯状薄板体がPS版の場合について述べたが、帯状薄板体が
写真感光材料、磁気記録材料、感熱記録材料である巻装体及びその巻き芯についても、本発明の受け台は好適に使用できる。
【0057】
【実施例】
次に、実施形態1に係る受け台の効果を確認するために行ったテストについて説明する。
【0058】
初めに、巻装体20表面の傷付きテストについて説明する。
【0059】
このテストは、図1乃至図3に示すように構成した受け台16における面圧低減部材24と摩擦低減部材26との材質の組み合わせを変更して、受け台16上に巻装体20を載置したときに、巻装体20のアルミニウム製帯状薄板材に対する傷付き状態を確認するテストである。
【0060】
テスト条件
エラストマー 材質:NBR(ニトリルゴム)
硬度:70度
板厚:10mm
樹脂材料 材質:MCナイロン{無機充填材入りナイロン(R)}
硬度:120度
板厚:10mm
アルミニウム製帯状薄板材の巻装体の重量:300〜5000kg
アルミニウム製帯状薄板材の巻装体の外径:直径400〜直径1600mm
アルミニウム製帯状薄板材の幅 :400〜1500mm
アルミニウム製帯状薄板材の板圧 :0.1〜0.5mm
受け時間 :1時間
上述の条件でテストを実行した後、傷跡が巻装体の表面から何枚目まで転写して発生しているかのデータ(傷付き発生枚数)を取って傷付き防止効果の評価を行ったところ、下記表1のような結果を得た。
【0061】
【表1】
この表1の結果より、面圧低減部材24の材料としてをエラストマーを用い、摩擦低減部材26の材料として樹脂を用いた、受け面18A、18Bの全面をエラストマーで形成したときと同等の傷付き防止効果を得られることが確認できた。
【0062】
次に、巻き芯22表面の傷付きテストについて説明する。
【0063】
このテストは、図1乃至図3に示すように構成した受け台16における面圧低減部材24と摩擦低減部材26との材質の組み合わせを変更して、受け台16上に載置した空の巻き芯22を、その軸線方向に掻き出して行った。
【0064】
テスト条件
エラストマー 材質:NBR(ニトリルゴム)
硬度:70度
板厚:10mm
樹脂材料 材質:MCナイロン{無機充填材入りナイロン(R)}
硬度:120度
板厚:10mm
巻き芯の重量 :20〜40kg
巻き芯の外径 :直径300〜直径400mm
巻き芯の長さ :800〜1500mm
巻き芯の材質 :紙製と、紙製の巻き芯の外周面にゴムシートを巻装したものとの、2タイプ
上述の条件で、アルミニウム製帯状薄板材を払い出し終わって空となった巻き芯22を、巻き芯22の軸線方向に掻き出すときに必要な力をばね秤で測定すると共に、掻き出し状態を確認し、さらに掻き出された巻き芯22の外周表面の傷付き状態の評価を行ったところ、下記表2のような結果を得た。
【0065】
【表2】
この表2の結果より、摩擦低減部材26を樹脂で形成した場合には、空の巻き芯22を8kg以下の力でスムーズに掻き出すことが可能であり、かつ巻き芯22の外周表面が傷付くことを防止する効果が得られることを確認できた。
【0066】
次に、前述した巻装体20表面の傷付きテストと、巻き芯22表面の傷付きテストの結果から考察されることについて説明する。
【0067】
面圧低減部材24と摩擦低減部材26とが持つ硬度と摩擦係数との特性に対する、巻装体20を支持するための適格性と、巻き芯22を支持するための適格性との関係について見ると、下記表3に示す関係がある。
【0068】
【表3】
この表3の結果より、巻装体20を支持する面圧低減部材24は、硬度が小さく、摩擦係数が小さいことが最良であり、硬度が小さく、摩擦係数が大きいときも通常の使用に耐えうると考えられる。
【0069】
また、巻き芯22を支持する摩擦低減部材26は、硬度が大きく、摩擦係数が小さいこと、又は、硬度が小さく、摩擦係数が大きいことが適性を有する条件となると考えられる。
【0070】
なお、前述した実施形態1、実施形態2及び実施例では、PS版の製造ラインで利用されるアルミニウム製帯状薄板材の巻装体20を運搬する台車10の受け台として説明したが、本発明の受け台は、写真感光材料、磁気記録材料、感圧記録材料、感熱記録材料等の帯状薄板材の巻装体を支受するものであっても良いことは勿論である。
【0071】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、巻装体を受け台に乗せた際に巻装体の側面に傷が付くことが防止でき、かつ受け台に乗せた巻き芯を軸線方向に掻き出す際に巻き芯の側面に傷が付くことを防止できる受け台が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る受け台を設けた台車に、巻装体又は巻き芯が載置された状態を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す台車に載置した巻き芯を掻き出す状態を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す受け台の受け面に、巻装体又は巻き芯が載置された部分を取り出して示す要部拡大断面図である。
【図4】実施形態2に係る受け台の要部を取り出し拡大して示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 台車
16 受け台
18A 受け面
18B 受け面
20 巻装体
22 巻き芯
24 面圧低減部材(第2の受け面)
26 摩擦低減部材(第1の受け面)
32 袋体
34 ローラ送り機構
【発明の属する技術分野】
本発明は、受け台に関し、特に、巻き芯にプラスチックフィルム又は金属、アルミニュウムの帯状薄板材を巻装した巻装体又は巻き芯を傷付けることなく支持でき、巻き芯を掻き出す際に小さな力で掻き出せる受け台に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、オフセット印刷には、感光性平版印刷版(以下「PS版」という)が利用されている。
【0003】
このようなPS版の製造ラインでは、例えば、アルミニウム製等の長尺の帯状薄板材を、巻き芯に巻装した巻装体(いわゆるアルミ薄板コイル)を、PS版の製造ラインの供給部へ運搬して装着し、この巻装体からアルミニウム製帯状薄板材を引き出して、砂目立て処理、陽極酸化処理、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光液を塗布して感光層を形成した後、所望のサイズに裁断してPS版が製造されている。
【0004】
このPS版の製造ラインでは、前記巻装体を、台車に乗せてPS版の製造ラインの供給部へ運搬する。またアルミニウム製帯状薄板材が全て払い出された空の巻き芯は、同じ台車に乗せてPS版の製造ラインの供給部から搬出して空の巻き芯のストック場へ運搬し、そこで前記巻き芯をその中心軸方向に掻き出してストック場にストックする。
【0005】
従来の台車には、V字状に開いた受け面で構成した受け台を持つものが利用されている。
【0006】
この受け台は、アルミニウム製帯状薄板材の巻装体における大径円筒状外表面の2箇所を、V字状に開いた受け面で挟んで転がらないように支持するように構成されている。このため、V字状に開いた受け面には、その全面に渡ってゴム板を配置し、この受け面に圧接される巻装体外表面の2箇所に傷が付くことを防止している。
【0007】
またこの受け台は、空の巻き芯における小径円筒状外表面の2箇所をV字状に開いた受け面で挟んで転がらないように支持する。
【0008】
上述した従来の台車は、文献公知発明に係わるものではありません。
【0009】
また、先行技術文献情報について調査しましたが、発見できませんでした。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の受け台においては、受け面の全面にゴムが張られていたので、空の巻き芯を軸線方向に掻き出す操作の途中で巻き芯が受け面に引っ掛かって止まってしまったり、受け面に配置されたゴム板が剥がれ落ちたり、巻き芯の表面に傷が付いたりする等の問題を生じる虞があった。
【0011】
本発明は上記事実を考慮し、帯状薄板材を巻装した巻装体を受け台に乗せた際に、巻装体の受け面に圧接される外表面に傷が付くことが防止可能であり、かつ受け台に乗せた空の巻き芯を軸線方向に掻き出す動作の際に空の巻き芯の外表面に傷が付くことを防止できる受け台を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の受け台は、巻き芯に帯状薄板材を巻装した巻装体又は前記巻き芯を、円筒状側面において支持する受け面を有する受け台であって、前記受け面における前記巻装体が当接する部分に配置されてなるとともに、前記巻装体から加わる面圧を低減する第1の受け面と、前記受け面における前記巻き芯が当接する部分に配置されてなるとともに、前記巻き芯の表面との摩擦を低減する第2の受け面と、を有することを特徴とする受け台に関する。
【0013】
前述のように構成することにより、受け台上に巻装体が載置されたときに、前記巻装体との接触面積が拡大するように受け台の第1の受け面が変形することにより巻装体から加わる面圧を低減して、巻装体が傷付かないように支持する。これと共に、受け台上に載置された巻き芯を軸線方向に掻き出す動作を行う際、巻き芯の表面が小さな摩擦抵抗で滑らかに第2の受け面上を摺動するので巻き芯の表面に傷がつくのを防止できる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の受け台において、前記第1の受け面は、弾性材料で形成されていることを特徴とする受け台に関する。
【0015】
前記受け台においては、受け面における巻装体が当接する第1の受け面部分に前記弾性材料が配置されているから、第1の受け面に巻装体を載置すると、前記巻装体が当接する部分が弾性変形して面圧が低減される。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の受け台において、前記弾性材料は、エラストマーであることを特徴とする受け台に関する。
【0017】
前記受け台は、前記弾性材料としてエラストマーを用いた受け台の例である。前記エラストマーとしては、NR,BR,CR,IR,IIR,SBR,UR等の加硫型エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、軟質塩化ビニル樹脂などの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項2に記載の受け台において、前記弾性材料は、発泡樹脂であることを特徴とする受け台に関する。
【0019】
前記受け台は、前記弾性材料として発泡樹脂を用いた受け台の例である。前記発泡樹脂としては、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡スチロール、スポンジゴムなどが挙げられる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の受け台において、前記第1の受け面は、流体を内部に封じ込めた袋体で構成されていることを特徴とする受け台に関する。
【0021】
前記受け台においては、受け面における巻装体が当接する第1の受け台部分に前記袋体が配置されているから、前記第1の受け面に巻装体を載置すると前記袋体が弾性変形し、面圧が低減される。前記第1の受け台は、巻装体を載置したときの面圧低減効果に特に優れる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の受け台において、前記第2の受け面は、前記巻き芯を、転接して送るローラ送り機構で構成されていることを特徴とする受け台に関する。
【0023】
前記受け台においては、巻き芯を掻き出すときは、巻き芯にはローラ機構を構成するローラとの間に転がり摩擦抵抗しか作用しないから、特に小さな力で掻き出しを行うことができる。
【0024】
請求項7記載の発明は、巻き芯又は巻き芯に帯状薄板材を巻装した巻装体を、円筒側面において支持する受け面を有する受け台であって、前記受け面はV字状に形成されてなるとともに、前記V字状の底の部分が前記第2の受け面であって、前記第2の受け面よりもV字状の受け面に沿って上方に前記第1の受け面が配設されてなることを特徴とする受け台に関する。
【0025】
前記受け台においては、巻き芯はV字状の受け面の底部で保持し、巻装体は受け面の前記底部より上方で保持される。したがって、巻き芯は、前記第2の受け面で保持され、巻装体は前記第1の受け面で保持される。故に、前記巻き芯や巻装体が受け面で擦れて表面に傷が付くことが防止される。
【0026】
【発明の実施の形態】
1.実施形態1
以下、本発明の受け台の一例につき、図1乃至図3を用いて説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、実施形態1に係る受け台は、PS版の製造ラインで利用される台車10と一体的に構成されている。
【0028】
この台車10は、下面の四隅に4個の車輪12を装着した直方体状の基台14における上面に受け台16を一体に設置して構成されている。受け台16の上面には、上方に向けてV字状に開いた受け面18A、18Bが形成されている。
【0029】
図1及び図3に示すように、アルミニウム製帯状薄板材の巻装体20及び巻装体20からアルミニウム製帯状薄板材を巻き戻して残った巻き芯22は、受け面18A、18Bに載置される。
【0030】
前述のように受け面18A、18Bは、V字状に開いているから、巻装体20は、図1において実線で示すように、受け面18A、18Bの外側の部分で、外側から挟まれるように2箇所で支持される。従って巻装体20は、受け面18A、18Bを転動することなく安定に保持される。一方、巻き芯22は、同図において2点鎖線で示すように受け面18A、18Bの内側の部分で支持される。
【0031】
図1及び図3に示すように、受け面18A、18Bにおける巻き芯22が当接する範囲(受け面のV字つけね近傍に当たる底側の範囲)に摩擦低減部材26(第1の受け面)を設け、それより外側の巻装体20が当接する範囲(受け面のV字つけね近傍以外の範囲)に面圧低減部材24(第2の受け面)を設ける。
【0032】
面圧低減手段としての面圧低減部材24は弾性材料により形成されている。従って受け面18A、18Bに巻装体20を載置すると、面圧低減部材24は、巻装体20の自重で弾性変形する。これにより、巻装体20と受け面18A、18Bとの接触面積が増加して受け面18A、18Bに加わる面圧が低減する。
【0033】
前記弾性材料としては、例えば合成ゴム、天然ゴム、ウレタンフォーム等の発泡樹脂又は弾性に富んだプラスチック材を挙げることができる。
【0034】
受け面18A、18Bに載置した巻き芯22を軸線方向に摺動させる際、巻き芯22の表面に傷を付けないよう滑らかに摺接させるように、摩擦抵抗は、巻き芯22との摩擦の小さな低摩擦材料によって形成されている。
【0035】
前記低摩擦材料としては、例えば、無機充填材入りナイロン(R)であるいわゆるMCナイロン、PTFE(ポリ4弗化エチレン)、超高分子量ポリエチレン等の硬質で摩擦係数が小さく滑性に富んだプラスチック材料を挙げることができる。
【0036】
次に、上述のように構成された実施形態1に係る受け台を持つ台車10の作用及び動作について説明する。
【0037】
図1に実線で示すように、巻装体20の側面が面圧低減部材24(第2の受け面)に当接するようにV字状に開いた受け面18A、18Bの間に巻装体20を載置する。
【0038】
この台車10で巻装体20を運搬すると、巻装体20は、一対の面圧低減部材24(第2の受け面)によって挟まれるように支持されるともに、巻装体20の自重により面圧低減部材24が弾性変形して巻装体20との接触面積が増加して面圧が低減する。従って、巻装体20は、巻き芯22にアルミニウム製帯状薄板材材が何重にも巻回され、重量があるにもかかわらず、台車10によって表面に傷が付かないように支持して搬送することができる。
【0039】
一方、台車10で巻き芯22をストック場に運搬する場合には、図2に示すように、受け面18A、18Bにおける摩擦低減手段としての摩擦低減部材26で形成された部分に載置する。巻き芯22は、軽量なので面圧が低い故に、側面に傷が付くことはない。
【0040】
巻き芯22をストック場まで搬送したら、略T字状の掻き出し部材28における先端の係止板30に巻き芯22を引っ掛けて巻き芯22の軸線方向に掻き出部材28を引くことにより、巻き芯22を受け面18A、18Bから掻き出す。なお、この操作は、自動掻き出し装置で自動的に実行してもよい。
【0041】
巻き芯22は、巻装体20よりも外径が小さいため、掻き出し時には摩擦低減部材26上を摺動する。従って巻き芯22の側面と摩擦低減部材26とが相互に擦れ合う。
【0042】
巻き芯22と摩擦低減部材26との間の、摩擦係数は、前述のように小さくなるように設定されているから、巻き芯22は、摩擦低減部材26上を滑らかに移動できる。また、巻き芯22の自重は小さいため、摩擦低減部材26に加わる面圧が低くなると共に、摩擦低減部材26の弾性変形が小さくなる。これにより、巻き芯22と摩擦低減部材26との間の抵抗が低減して引っ掛かりを生じにくくなる。よって、空の巻き芯22は、摩擦低減部材26上で摺動しても、空の巻き芯22の外周表面に傷が付かないようにでき、かつ移動動作が途中で停止することを防止でき、摩擦低減部材26が剥がれ落ちることを防止でき、さらに、空の巻き芯22を掻き出し部材28で掻き出す操作力を小さくできる。
【0043】
なお、上述した本第1実施の形態では、受け台16にV字状に開いた受け面18A、18Bを形成し、巻装体20又は巻き芯22を受け面18A、18B上の2箇所で当接して支持するものについて説明したが、受け面18A、18Bを曲面状又は略W字状に構成し、その3箇所以上の部分で巻装体20又は巻き芯22に当接して支持するように構成しても良いことは勿論である。
2.実施形態2
次に、本発明の実施形態2について、図4を用いて説明する。
【0044】
実施形態2では、面圧低減手段として気体(空気)若しくは液体である流体又は小弾性部材の塊多数を袋体32の内部に封入したものを用い、摩擦低減手段としてローラ送り機構34(ベルトコンベヤ等の搬送機構でも良い)を用いている。
【0045】
図4に示すように、第2の受け面を構成する袋体32は、V字状に開いた受け面18A、18Bにおける巻装体20が当接する部分に、実施形態1における面圧低減部材24の代わりに設置されている。
【0046】
この第2の受け面を構成する袋体32は、面圧低減部材24の幅方向の長さに対応する長さを持つ略円柱状に膨らむ密閉可能なゴム等の弾性材料製単位袋の内部に、流体として、空気などの気体や水などの液体を充填して密封したものを多数並列に接続して、一体に形成したものである。
【0047】
受け面18Aと受け面18Bとの間には、ローラ送り機構34を収納する溝部18Cが設けられている。
【0048】
第1の受け面を構成するローラ送り機構34は、受け面18A、18Bにおける巻き芯22が当接する部分に、設置されている。
【0049】
ローラ送り機構34は、巻き芯22の掻き出し方向に沿って配設された長尺状の支持枠部材36と、支持枠部材36に対して直角に設けられた軸40によって支持枠部材36に軸着された一群のローラ38とから成る。支持枠部材36は、溝部18Cの内側において圧縮コイルばね41によって下方から支持されるフランジ部36Bと、フランジ部36Bから上方に突出した稜状のウェブ部36Aとから成っている。軸40は、ウェブ部36Aの両端に固定されている。
【0050】
なお、この圧縮コイルばね41の代わりに伸縮動作するシリンダ装置を利用し、ローラ送り機構34上に空の巻き芯22を載置するときに、シリンダ装置を操作してローラ送り機構34を袋体32より上方へ持ち上げるようにしても良い。
【0051】
第2の受け面を構成するローラ送り機構34には、支持枠部材36の長さ方向に軸線方向が一致するように、巻き芯22が載置される。このとき巻き芯22は、複数のローラ38の上に保持された状態となる。この状態で、巻き芯22を、軸線方向に掻き出し部材28で掻き出すと、各ローラ38は巻き芯22の外周表面上を転動するので、巻き芯22の外周表面に擦り傷を作ることなく、滑らかに、かつ小さな操作力で巻き芯22の掻き出しを実行できる。
【0052】
なお、この第2の受け面を構成する複数のローラ38は、その周囲に無端ベルトを巻き掛けてベルトコンベヤとして構成しても良い。
【0053】
実施形態2の受け台は、面圧低減手段として袋体32を用いているから袋体32上に巻装体20を載置すると、各袋体32が大きく弾性変形する。従って巻装体20から受け台16に加わる面圧がより一層低減されるから、巻装体20の外周表面に傷がつくことを、より効果的に防止できる。
【0054】
また、ローラ送り機構34は、圧縮コイルばね41によって支持されているから、圧縮コイルばね41の付勢力により、空の巻き芯22を乗せたローラ送り機構34が、袋体32より十分に上方に持ち上げられた状態になる。従って、巻き芯22を軸線方向に掻き出し部材28で掻き出す動作を容易にでき、この掻き出し動作の際に空の巻き芯22が袋体32に接触する虞がない。
【0055】
なお、実施形態2における以上説明した以外の構成、作用、及び効果は前述した第1実施の形態と同様である。
【0056】
以上、帯状薄板体がPS版の場合について述べたが、帯状薄板体が
写真感光材料、磁気記録材料、感熱記録材料である巻装体及びその巻き芯についても、本発明の受け台は好適に使用できる。
【0057】
【実施例】
次に、実施形態1に係る受け台の効果を確認するために行ったテストについて説明する。
【0058】
初めに、巻装体20表面の傷付きテストについて説明する。
【0059】
このテストは、図1乃至図3に示すように構成した受け台16における面圧低減部材24と摩擦低減部材26との材質の組み合わせを変更して、受け台16上に巻装体20を載置したときに、巻装体20のアルミニウム製帯状薄板材に対する傷付き状態を確認するテストである。
【0060】
テスト条件
エラストマー 材質:NBR(ニトリルゴム)
硬度:70度
板厚:10mm
樹脂材料 材質:MCナイロン{無機充填材入りナイロン(R)}
硬度:120度
板厚:10mm
アルミニウム製帯状薄板材の巻装体の重量:300〜5000kg
アルミニウム製帯状薄板材の巻装体の外径:直径400〜直径1600mm
アルミニウム製帯状薄板材の幅 :400〜1500mm
アルミニウム製帯状薄板材の板圧 :0.1〜0.5mm
受け時間 :1時間
上述の条件でテストを実行した後、傷跡が巻装体の表面から何枚目まで転写して発生しているかのデータ(傷付き発生枚数)を取って傷付き防止効果の評価を行ったところ、下記表1のような結果を得た。
【0061】
【表1】
この表1の結果より、面圧低減部材24の材料としてをエラストマーを用い、摩擦低減部材26の材料として樹脂を用いた、受け面18A、18Bの全面をエラストマーで形成したときと同等の傷付き防止効果を得られることが確認できた。
【0062】
次に、巻き芯22表面の傷付きテストについて説明する。
【0063】
このテストは、図1乃至図3に示すように構成した受け台16における面圧低減部材24と摩擦低減部材26との材質の組み合わせを変更して、受け台16上に載置した空の巻き芯22を、その軸線方向に掻き出して行った。
【0064】
テスト条件
エラストマー 材質:NBR(ニトリルゴム)
硬度:70度
板厚:10mm
樹脂材料 材質:MCナイロン{無機充填材入りナイロン(R)}
硬度:120度
板厚:10mm
巻き芯の重量 :20〜40kg
巻き芯の外径 :直径300〜直径400mm
巻き芯の長さ :800〜1500mm
巻き芯の材質 :紙製と、紙製の巻き芯の外周面にゴムシートを巻装したものとの、2タイプ
上述の条件で、アルミニウム製帯状薄板材を払い出し終わって空となった巻き芯22を、巻き芯22の軸線方向に掻き出すときに必要な力をばね秤で測定すると共に、掻き出し状態を確認し、さらに掻き出された巻き芯22の外周表面の傷付き状態の評価を行ったところ、下記表2のような結果を得た。
【0065】
【表2】
この表2の結果より、摩擦低減部材26を樹脂で形成した場合には、空の巻き芯22を8kg以下の力でスムーズに掻き出すことが可能であり、かつ巻き芯22の外周表面が傷付くことを防止する効果が得られることを確認できた。
【0066】
次に、前述した巻装体20表面の傷付きテストと、巻き芯22表面の傷付きテストの結果から考察されることについて説明する。
【0067】
面圧低減部材24と摩擦低減部材26とが持つ硬度と摩擦係数との特性に対する、巻装体20を支持するための適格性と、巻き芯22を支持するための適格性との関係について見ると、下記表3に示す関係がある。
【0068】
【表3】
この表3の結果より、巻装体20を支持する面圧低減部材24は、硬度が小さく、摩擦係数が小さいことが最良であり、硬度が小さく、摩擦係数が大きいときも通常の使用に耐えうると考えられる。
【0069】
また、巻き芯22を支持する摩擦低減部材26は、硬度が大きく、摩擦係数が小さいこと、又は、硬度が小さく、摩擦係数が大きいことが適性を有する条件となると考えられる。
【0070】
なお、前述した実施形態1、実施形態2及び実施例では、PS版の製造ラインで利用されるアルミニウム製帯状薄板材の巻装体20を運搬する台車10の受け台として説明したが、本発明の受け台は、写真感光材料、磁気記録材料、感圧記録材料、感熱記録材料等の帯状薄板材の巻装体を支受するものであっても良いことは勿論である。
【0071】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明によれば、巻装体を受け台に乗せた際に巻装体の側面に傷が付くことが防止でき、かつ受け台に乗せた巻き芯を軸線方向に掻き出す際に巻き芯の側面に傷が付くことを防止できる受け台が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る受け台を設けた台車に、巻装体又は巻き芯が載置された状態を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す台車に載置した巻き芯を掻き出す状態を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す受け台の受け面に、巻装体又は巻き芯が載置された部分を取り出して示す要部拡大断面図である。
【図4】実施形態2に係る受け台の要部を取り出し拡大して示す概略斜視図である。
【符号の説明】
10 台車
16 受け台
18A 受け面
18B 受け面
20 巻装体
22 巻き芯
24 面圧低減部材(第2の受け面)
26 摩擦低減部材(第1の受け面)
32 袋体
34 ローラ送り機構
Claims (7)
- 巻き芯に帯状薄板材を巻装した巻装体又は前記巻き芯を、円筒状側面において支持する受け面を有する受け台であって、
前記受け面における前記巻装体が当接する部分に配置されてなるとともに、前記巻装体から加わる面圧を低減する第1の受け面と、
前記受け面における前記巻き芯が当接する部分に配置されてなるとともに、前記巻き芯の表面との摩擦を低減する第2の受け面と、
を有することを特徴とする受け台。 - 前記第1の受け面は、弾性材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の受け台。
- 前記弾性材料は、エラストマーであることを特徴とする請求項2に記載の受け台。
- 前記弾性材料は、発泡樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の受け台。
- 前記第1の受け面は、流体を内部に封じ込めた袋体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の受け台。
- 前記第2の受け面は、前記巻き芯を、転接して送るローラ送り機構で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の受け台。
- 巻き芯又は巻き芯に帯状薄板材を巻装した巻装体を、円筒側面において支持する受け面を有する受け台であって、
前記受け面はV字状に形成されてなるとともに、前記V字状の底の部分が前記第2の受け面であって、前記第2の受け面よりもV字状の受け面に沿って上方に前記第1の受け面が配設されてなることを特徴とする受け台。
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Cited By (2)
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JP2020001900A (ja) * | 2018-06-29 | 2020-01-09 | セイコーエプソン株式会社 | 記録装置 |
JP2021070588A (ja) * | 2019-10-31 | 2021-05-06 | 株式会社Ihi物流産業システム | 無人搬送車 |
-
2003
- 2003-01-28 JP JP2003018465A patent/JP2004231309A/ja active Pending
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