JP2004231012A - 作業車のジャッキ作動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる作業車のジャッキ作動制御装置をを提供する。
【解決手段】コントローラ31は、自動張出スイッチ33が操作されたときに、傾斜角検出器34に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲内である場合には、ジャッキ作動制御バルブ40により前側ジャッキ11,12および後側ジャッキ13,14の両方を同時に作動させ、傾斜角検出器34に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角以上になるまでジャッキ作動制御バルブ40により前側ジャッキ11,12および後側ジャッキ13,14のうち前側ジャッキ11,12のみを作動させる制御を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】コントローラ31は、自動張出スイッチ33が操作されたときに、傾斜角検出器34に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲内である場合には、ジャッキ作動制御バルブ40により前側ジャッキ11,12および後側ジャッキ13,14の両方を同時に作動させ、傾斜角検出器34に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角以上になるまでジャッキ作動制御バルブ40により前側ジャッキ11,12および後側ジャッキ13,14のうち前側ジャッキ11,12のみを作動させる制御を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前輪および後輪を有して走行可能な車体と、これら前後輪に隣接して車両を持ち上げ支持する複数のジャッキとを備え、後輪が駐車ブレーキにより制動されるようになった作業車に関し、さらに詳しくは、上記複数のジャッキの作動を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような作業車として、例えば、高所作業車がある。高所作業車等の作業車においては、車体の前後左右にジャッキを設け、作業時にはジャッキを伸長させて車体を持ち上げ支持するように構成することが一般的に知られている。このような作業車はトラック車両を用いて構成されることが多く、前輪もしくは後輪のいずれか(通常は後輪)が駐車ブレーキにより制動されるようになっている。
このため、ジャッキを伸長させて車体を持ち上げ支持するときには、駐車ブレーキにより後輪等を制動して停車させた状態でジャッキを伸長させる。
【0003】
ところで、このようにジャッキを伸長させる場合に、駐車ブレーキにより制動されている後輪側を先にジャッキにより持ち上げ支持させると、制動されていない前輪により車体前部が支持される状態になる。このため、坂道などの傾斜地において後輪側のジャッキを先に伸長させると非制動状態の前輪のみが接地して回転され、坂道に沿って車両が勝手に移動するおそれがあるという問題がある。
【0004】
そこで、各ジャッキの下端部がそれぞれ地面に当接したか否かを検出する複数のジャッキ接地検出手段を備え、前輪側のジャッキ接地検出手段により前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)する状態が検出されないときには、後輪側のジャッキの伸長作動を規制するように構成されたジャッキ作動制御装置が考案されている。これにより、坂道などの傾斜地において後輪側のジャッキを先に伸長させることが回避されるため、非制動状態の前輪のみが接地して坂道に沿って車両が勝手に移動することを防止することができる。
【0005】
【特許文献1】実公平5−41092号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなジャッキ作動制御装置では、前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後に後輪側のジャッキの伸長作動が可能になるため、前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪が地面から離れずに前輪側のジャッキのみで車体前部が充分に支持されていない状態で後輪側のジャッキを伸長させると、後輪が地面から離れる一方で非制動状態の前輪および前輪側のジャッキが接地した状態となり、各ジャッキを引きずるように前輪が回転して、坂道に沿って車両が勝手に移動するおそれがあった。
【0007】
そのため、上述のようなジャッキ作動制御装置においては、前輪側のジャッキを全伸長させたのち後輪側のジャッキを伸長させるようにしていたが、地面の傾斜の如何に拘わらず一旦前輪側のジャッキを全伸長させるため、車体を水平状態にさせるのに時間が掛かり作業効率を低下させていた。さらに、地面の傾斜の如何に拘わらず一旦前輪側のジャッキを全伸長させるため、車両の前後で大きな傾きが生じて安全性が低下するおそれもあった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる作業車のジャッキ作動制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明においては、前輪および後輪を有して走行可能な車体と、駐車時に後輪を制動する駐車ブレーキと、駐車ブレーキにより制動される後輪に隣接して設けられた油圧作動型の後側ジャッキ(例えば、本実施形態における左後ジャッキ13および右後ジャッキ14)と、前輪に隣接して設けられた油圧作動型の前側ジャッキ(例えば、本実施形態における左前ジャッキ11および右前ジャッキ12)とを備えた作業車のジャッキ制御装置であって、車体の前後方向の傾斜角を検出する傾斜角検出手段(例えば、本実施形態における傾斜角検出器34)と、前側ジャッキおよび後側ジャッキの自動張出を行わせるため外部操作される自動張出スイッチと、前側ジャッキおよび後側ジャッキへの作動油の供給制御を行うジャッキ作動制御バルブと、ジャッキ作動制御バルブの作動を制御するコントローラとを備えて構成される。
【0010】
そして、コントローラは、自動張出スイッチが操作されたときに、傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度(例えば、本実施形態におけるみなし水平傾斜角θ1)の範囲内である場合には、ジャッキ作動制御バルブにより前側ジャッキおよび後側ジャッキの両方を同時に作動させ、傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角(例えば、本実施形態における前方下げジャッキ作動傾斜角θ3)以上になるまでジャッキ作動制御バルブにより前側ジャッキおよび後側ジャッキのうち後側ジャッキのみを作動させるように構成される。
【0011】
このような構成のジャッキ作動制御装置によれば、コントローラが、自動張出スイッチが操作されたときに、傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角以上になるまでジャッキ作動制御バルブにより前側ジャッキおよび後側ジャッキのうち前側ジャッキのみを作動させる制御を行うため、坂道などの傾斜地において後輪側のジャッキを先に伸長させることが回避されるのに加え、前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪が地面から離れずに前輪側のジャッキのみで車体が充分に支持されていない状態で後輪側のジャッキを伸長させることが回避されて、一旦前輪側のジャッキを全伸長させる必要がないことから、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本発明に係るジャッキ作動制御装置を備えた高所作業車の一例を図2に示す。この高所作業車1は、前後輪3a,3bを有して走行可能であり、前部に運転キャビン2aを有したトラック車両をベースに構成される。このトラック車両には、走行中に運転者が足踏み操作するフートブレーキ(図示せず)と、駐車時に操作する駐車ブレーキ(図示せず)とが設けられており、フートブレーキは前輪3aおよび後輪3bをともに制動するが、駐車ブレーキは後輪3bのみを制動する。
【0013】
また、このトラック車両の車体2の上には、図示しない旋回モータ(油圧モータ)により駆動されて水平旋回可能に構成された旋回台4が配設されている。この旋回台4に基端部が枢結されてブーム5が取り付けられており、このブーム5は起伏シリンダ6により起伏動されるようになっている。ブーム5は、基端ブーム5a、中間ブーム5bおよび先端ブーム5cを入れ子式に組み合わせて、内蔵の伸縮シリンダ7により伸縮動可能に構成されている。
【0014】
先端ブーム5cは先端にブームヘッド5dを有し、このブームヘッド5dに枢結されて支持部材8が上下に揺動可能に取り付けられている。この支持部材8は垂直ポスト部(図示せず)を有し、ブームヘッド5dと支持部材8との間に配設されたレベリングシリンダ(図示せず)により支持部材8の揺動制御が行われ、ブーム5の起伏の如何に拘わらず垂直ポスト部が常に垂直に延びて位置するように支持部材8が揺動制御される。このように常時垂直に保持される垂直ポスト部に水平旋回自在に(首振り自在に)作業台9が取り付けられおり、作業台9はブーム5の起伏に拘わらず常に水平に保持される。なお、支持部材8の上端部に吊り上げ装置10が設けられている。
【0015】
また、車体2の前後左右には、それぞれ前輪3aおよび後輪3bに隣接して格納状態から下方に伸縮自在な左前ジャッキ11、右前ジャッキ12(図2では図示せず、図1を参照)、左後ジャッキ13および右後ジャッキ14が設けられており、高所作業時には図示のように各ジャッキが下方に伸長作動して車体2を持ち上げ支持できるようになっている。
【0016】
また、車体2の後部にはジャッキ操作装置15が設けられており、これにより前後左右のジャッキ11,12,13,14の作動操作を行うようになっている。そして、このような構成の高所作業車1において、前後左右のジャッキ11,12,13,14の作動を行わせるためのジャッキ作動制御装置が設けられている。
【0017】
以下に、本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置の構成について図1を参照して説明する。この制御装置は、コントローラ31からの制御信号により、ジャッキ作動制御バルブ40の作動と、正常終了表示ランプ32の点灯とを行うように構成されている。コントローラ31には、自動張出スイッチ33の作動信号および傾斜角検出器34の検出信号が入力される。
【0018】
自動張出スイッチ33は車体2の後方に設けられたジャッキ操作装置15に取り付けられており、手動により操作(すなわち外部操作)されると、コントローラ31に前後左右のジャッキ11,12,13,14の自動張出を行わせるための作動信号を出力する。傾斜角検出器34は、車体2の中央部付近に内蔵されており、車体2の水平状態からの前後方向の傾斜角θ(例えば、車体2の前方側が上がっている状態、すなわち前輪3aが後輪3bよりも高い状態を正とする)を検出し、その傾斜角がコントローラ31に出力される。
【0019】
ジャッキ作動制御バルブ40は、図1に示すように、左前ジャッキ11への作動油の供給制御を行う左前ジャッキ作動制御バルブ41と、右前ジャッキ12への作動油の供給制御を行う右前ジャッキ作動制御バルブ42と、左後ジャッキ13への作動油の供給制御を行う左後ジャッキ作動制御バルブ43と、右後ジャッキ14への作動油の供給制御を行う右後ジャッキ作動制御バルブ44とから構成される。
【0020】
各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44は、図1に示すように、エンジン(図示せず)により駆動される油圧ポンプ35から前後左右のジャッキ11,12,13,14へ供給される作動油の油路をそれぞれ開放または閉塞する。なお、図1に示す各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44は簡単のため、前後左右のジャッキ11,12,13,14へ供給される作動油の油路をそれぞれ閉塞して前後左右のジャッキ11,12,13,14の伸長作動をそれぞれ停止させる第1切換位置P1と、前後左右のジャッキ11,12,13,14へ供給される作動油の油路をそれぞれ開放して前後左右のジャッキ11,12,13,14をそれぞれ伸長作動させる第2切換位置P2との二つのみを示して以下に説明する(実際には、前後左右のジャッキ11,12,13,14をそれぞれ収縮作動させる切換位置等も存在する)。
【0021】
左前ジャッキ作動制御バルブ41が、図1に示すようにバネ41aに押されて第1切換位置P1に位置するときには、油圧ポンプ35から左前ジャッキ11へ供給される作動油の油路を閉塞し、ソレノイド41bが励磁されてバネ41aの付勢力に抗して第2切換位置P2に移動されると、油圧ポンプ35から左前ジャッキ11へ供給される作動油の油路を開放する。すなわち、ソレノイド41bの通電制御(励磁制御)により、左前ジャッキ11の伸張作動、伸張作動停止の切換が行われる。
【0022】
同様に、右前ジャッキ作動制御バルブ42が、図1に示すようにバネ42aに押されて第1切換位置P1に位置するときには、油圧ポンプ35から右前ジャッキ12へ供給される作動油の油路を閉塞し、ソレノイド42bが励磁されてバネ42aの付勢力に抗して第2切換位置P2に移動されると、油圧ポンプ35から右前ジャッキ12へ供給される作動油の油路を開放する。すなわち、ソレノイド42bの通電制御(励磁制御)により、右前ジャッキ12の伸張作動、伸張作動停止の切換が行われる。
【0023】
また同様に、左後ジャッキ作動制御バルブ43が、図1に示すようにバネ43aに押されて第1切換位置P1に位置するときには、油圧ポンプ35から左後ジャッキ13へ供給される作動油の油路を閉塞し、ソレノイド43bが励磁されてバネ43aの付勢力に抗して第2切換位置P2に移動されると、油圧ポンプ35から左後ジャッキ13へ供給される作動油の油路を開放する。すなわち、ソレノイド43bの通電制御(励磁制御)により、左後ジャッキ13の伸張作動、伸張作動停止の切換が行われる。
【0024】
さらに同様に、右後ジャッキ作動制御バルブ44が、図1に示すようにバネ44aに押されて第1切換位置P1に位置するときには、油圧ポンプ35から右後ジャッキ14へ供給される作動油の油路を閉塞し、ソレノイド44bが励磁されてバネ44aの付勢力に抗して第2切換位置P2に移動されると、油圧ポンプ35から右後ジャッキ14へ供給される作動油の油路を開放する。すなわち、ソレノイド44bの通電制御(励磁制御)により、右後ジャッキ14の伸張作動、伸張作動停止の切換が行われる。
【0025】
なお、各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44が第2切換位置P2に位置して、前後左右のジャッキ11,12,13,14が伸長作動しているときに、前後左右のジャッキ11,12,13,14に過大な負荷がかかるなどして作動油の油路内の圧力が所定のリリーフ圧より上昇すると、油圧ポンプ35からの作動油はリリーフ弁36からタンクTに戻される。
【0026】
油路内の圧力がリリーフ圧より低い状態では、図1に示すように、リリーフ弁36がバネ36aにより押されて上動した位置にあり、油圧ポンプ35からタンクTに戻される作動油の油路を閉塞する。そして、油路内の圧力がリリーフ圧より上昇すると、リリーフ弁36が油路内の圧力上昇によりバネ36aの付勢力に抗して下動した位置に移動し、油圧ポンプ35からタンクTに戻される作動油の油路を開放する。これにより、油路内の異常な圧力上昇を抑えることができ、油路の破損を防止することができる。
【0027】
このような構成のジャッキ作動制御装置の制御内容について図1を参照して説明する。自動張出スイッチ33からの作動信号がコントローラ31に入力されると、コントローラ31は、傾斜角検出器34から車体2の傾斜角θを検出し、この傾斜角θと所定みなし水平傾斜角θ1(正の値とする)とを比較する。ここで、みなし水平傾斜角θ1とは、予め設定された車体2が水平状態であるとみなすことができる車体2の前後方向の限界傾斜角(例えば、3°)を指し、本発明における水平と見なしうる角度である。なお、みなし水平傾斜角θ1は任意の角度に設定することができる。
【0028】
傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲内、すなわち、−θ1≦θ≦θ1(例えば、−3°≦θ≦3°)である場合には、コントローラ31は、前後左右全てのジャッキ11,12,13,14が同時に伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を作動させる(全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第2切換位置P2に位置させる)制御を行う。すなわち、各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44により制動側ジャッキ(左後ジャッキ13および右後ジャッキ14)および非制動側ジャッキ(左前ジャッキ11および右前ジャッキ12)の両方を同時に伸長作動させる制御を行う。
【0029】
そして、コントローラ31は各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動開始から(全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第2切換位置P2に位置させてから)の経過時間t1を計測し、この経過時間t1が所定制限時間Tを経過したときに全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第1切換位置P1に位置させて、全てのジャッキ11,12,13,14の伸長作動を停止させる。これにより、各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が終了する。なお、制限時間Tはジャッキ11,12,13,14が格納状態から全伸長するのに要する時間T0内で設定される。
【0030】
このとき、経過時間t1が所定制限時間Tを経過した時点で、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲内、すなわち、−θ1≦θ≦θ1である場合には、コントローラ31は正常終了信号を出力し、ジャッキ操作装置15に設けられた正常終了表示ランプ32に点灯表示させる。一方、傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲外、すなわち、θ<−θ1もしくはθ>θ1である場合には、コントローラ31は図示しない警報手段(例えば、警報ランプや警報ブザー)に警報作動を行わせる制御を行う。これにより、各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が終了した時点において、作業者は車体2が水平状態であるか否かを確認することができ、車体2が傾いたまま作業を始めてしまうことを回避することができる。
【0031】
次に、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲外、すなわち、θ<−θ1もしくはθ>θ1である場合について説明する。
まず、図3(a)に示すように車体2の前方側が下がっている状態で、車体2の傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1から所定許容前方下げ傾斜角θ2までの範囲である場合について説明する。ここで、許容前方下げ傾斜角θ2は、車体2が前方下がりの場所(例えば、下り坂)において、予め設定された各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が可能な限界傾斜角(例えば、−7°)であり、θ2<−θ1である。
【0032】
すなわち、θ2≦θ<−θ1(例えば、−7°≦θ<−3°)の場合には、コントローラ31は、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θが所定前方下げジャッキ作動傾斜角θ3(図3(b)に示すように、例えば、0°)以上(すなわち、θ≧θ3)になるまで、左前ジャッキ11および右前ジャッキ12のみが伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を作動させる(左前および右前ジャッキ作動制御バルブ41,42を第2切換位置P2に位置させ、左後および右後ジャッキ作動制御バルブ43,44を第1切換位置P1に位置させる)制御を行う。
【0033】
なお、前方下げジャッキ作動傾斜角θ3は、車体2が前方下がりの場所(例えば、下り坂)において、左前ジャッキ11および右前ジャッキ12のみで車体前部が支持されて前輪3aが地面から充分に離れた状態にできる予め設定された傾斜角(例えば、0°)であり、多くはθ3≧−θ1に設定される。
【0034】
そして、傾斜角θが前方下げジャッキ作動傾斜角θ3以上(すなわち、θ≧θ3)になると、前後左右全てのジャッキ11,12,13,14が同時に伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を作動させる(全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第2切換位置P2に位置させる)制御を行う。
【0035】
このようにすれば、坂道などの傾斜地において駐車ブレーキに制動された後輪3b側のジャッキを先に伸長させることが回避されるのに加え、前輪3a側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪3aが地面から離れずに前輪3a側のジャッキのみで車体2が充分に支持されていない状態で後輪3b側のジャッキを伸長させることが回避されて、一旦前輪3a側のジャッキを全伸長させる必要がないことから、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる。
【0036】
続いて、コントローラ31は前後左右全てのジャッキ11,12,13,14の伸長作動開始から(全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第2切換位置P2に位置させてから)の経過時間t2を計測し、この経過時間t2が所定ジャッキ作動時間TWを経過したときに左後ジャッキ13および右後ジャッキ14のみが伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を作動させる(左前および右前ジャッキ作動制御バルブ41,42を第1切換位置P1に位置させ、左後および右後ジャッキ作動制御バルブ43,44を第2切換位置P2に位置させる)制御を行う。ここで、ジャッキ作動時間TWは、前後左右全てのジャッキ11,12,13,14の伸長作動開始(経過時間t2の計測開始)から左前ジャッキ11および右前ジャッキ12が全伸長するまでに要する時間程度に設定される。
【0037】
そして、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲内、すなわち、−θ1≦θ≦θ1になると、全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第1切換位置P1に位置させて、全てのジャッキ11,12,13,14の伸長作動を停止させる。これにより、図3(c)に示すように、各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が終了する。
【0038】
なお、経過時間t2が所定判定時間TAを経過した時点で、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲内、すなわち、−θ1≦θ≦θ1である場合には、コントローラ31は正常終了信号を出力し、ジャッキ操作装置15に設けられた正常終了表示ランプ32に点灯表示させる。一方、傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲外、すなわち、θ<−θ1もしくはθ>θ1である場合には、コントローラ31は図示しない警報手段(例えば、警報ランプや警報ブザー)に警報作動を行わせる制御を行う。これにより、各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が終了した時点において、作業者は車体2が水平状態であるか否かを確認することができ、車体2が傾いたまま作業を始めてしまうことを回避することができる。なお、判定時間TAはジャッキ作動時間TWよりも長い時間に設定される。
【0039】
さて、一方、傾斜角θが許容前方下げ傾斜角θ2を超える場合、すなわち、θ<θ2(例えば、θ<−7°)の場合には、手動(自動ではなく)による各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動のみ許可する制御や、各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動を規制する制御が考えられるが、本実施形態においては説明を省略する。
【0040】
車体2の前方が上がっている状態で、傾斜角検出器34により検出された車体2の傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1を超える場合、すなわち、θ>θ1(例えば、θ>3°)の場合には、各ジャッキ11,12,13,14による車体2の持ち上げ支持が規制されるのが一般的である。トラック車両をベースに構成される高所作業車1においては、左前および右前ジャッキ11,12が前輪3aの後方に隣接して設けられるとともに、左後および右後ジャッキ13,14が後輪3bの後方に隣接して設けられることが殆どであるため、車体2の(水平)持ち上げ支持が可能な傾斜角は、車体2の前方下がりの状態よりも前方上がりの状態の方が小さくなるためである。
【0041】
θ>θ1(例えば、θ>3°)の場合においても、θ<θ2(例えば、θ<−7°)の場合と同様に、手動(自動ではなく)による各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動のみ許可する制御や、各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動を規制する制御が考えられるが、本実施形態においては説明を省略する。
【0042】
以上のようにして、コントローラ31が、自動張出スイッチ33が操作されたときに、傾斜角検出器34に検出された傾斜角θが水平とみなしうる角度(みなし水平傾斜角θ1)の範囲外である場合(本実施形態において、θ2≦θ<−θ1の場合)には、傾斜角θが所定ジャッキ作動傾斜角θ3以上になるまでジャッキ作動制御バルブ40により前側ジャッキ(左前ジャッキ11および右前ジャッキ12)および後側ジャッキ(左後ジャッキ13および右後ジャッキ14)のうち前側ジャッキのみを作動させる制御を行うため、坂道などの傾斜地において後輪3b側のジャッキを先に伸長させることが回避されるのに加え、前輪3a側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪3aが地面から離れずに前輪3a側のジャッキのみで車体が充分に支持されていない状態で後輪3b側のジャッキを伸長させることが回避されて、一旦前輪3a側のジャッキを全伸長させる必要がないことから、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる。
【0043】
なお、本実施形態において高所作業車1を例に説明したが、本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置を備えた作業車はこれに限られるものではなく、例えば、クレーン車や穴掘り建柱車等でもよい。
【0044】
また、本実施形態において、例えば、左後および右後ジャッキを後輪の前方に隣接して設けるか、あるいは各ジャッキの最大伸張量を大きくするようにすれば、車体が前方下がりの状態に加え、車体が前方上がりの状態でも傾斜地において各ジャッキの自動張出による車体の持ち上げ支持が可能となる。
【0045】
例えば、自動張出スイッチが操作されたときに、傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1を超え且つ所定許容前方上げ傾斜角θ4(例えば、5°)以下の場合、すなわち、θ1<θ≦θ4(例えば、3°<θ≦5°)の場合には、コントローラが、傾斜角θが所定前方上げジャッキ作動傾斜角θ5(例えば、7°)以上になるまで、左前ジャッキおよび右前ジャッキのみが伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブを作動させ、傾斜角が前方上げジャッキ作動傾斜角θ5以上になると、前後左右全てのジャッキが伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブを作動させる制御を行うようにすればよい。
【0046】
なお、許容前方上げ傾斜角θ4は、車体2が前方上がりの場所(例えば、上り坂)において、予め設定された各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が可能な限界傾斜角(例えば、5°)であり、θ1<θ4である。また、前方上げジャッキ作動傾斜角θ5は、車体2が前方上がりの場所(例えば、上り坂)において、左前ジャッキ11および右前ジャッキ12のみで車体前部が支持されて前輪3aが地面から充分に離れた状態にできる予め設定された傾斜角(例えば、7°)であり、多くはθ5≧θ4に設定される。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による作業車のジャッキ作動制御装置によれば、コントローラが、自動張出スイッチが操作されたときに、傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角以上になるまでジャッキ作動制御バルブにより前側ジャッキおよび後側ジャッキのうち前側ジャッキのみを作動させる制御を行うため、坂道などの傾斜地において後輪側のジャッキを先に伸長させることが回避されるのに加え、前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪が地面から離れずに前輪側のジャッキのみで車体が充分に支持されていない状態で後輪側のジャッキを伸長させることが回避されて、一旦前輪側のジャッキを全伸長させる必要がないことから、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置を含む高所作業車の制御装置構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置を備えた高所作業車の斜視図である。
【図3】本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置を備えた高所作業車が、傾斜地において車体が前方下げの状態からジャッキにより水平支持される様子を示す側面図である。
【符号の説明】
1 高所作業車
2 車体
3a 前輪
3b 後輪
11 左前ジャッキ(前側ジャッキ)
12 右前ジャッキ(前側ジャッキ)
13 左後ジャッキ(後側ジャッキ)
14 右後ジャッキ(後側ジャッキ)
31 コントローラ
33 自動張出スイッチ
34 傾斜角検出器(傾斜角検出手段)
40 ジャッキ作動制御バルブ
41 左前ジャッキ作動制御バルブ
42 右前ジャッキ作動制御バルブ
43 左後ジャッキ作動制御バルブ
44 右後ジャッキ作動制御バルブ
θ 傾斜角
θ1 みなし水平傾斜角(水平とみなしうる角度)
θ3 前方下げジャッキ作動傾斜角
θ5 前方上げジャッキ作動傾斜角
【発明の属する技術分野】
本発明は、前輪および後輪を有して走行可能な車体と、これら前後輪に隣接して車両を持ち上げ支持する複数のジャッキとを備え、後輪が駐車ブレーキにより制動されるようになった作業車に関し、さらに詳しくは、上記複数のジャッキの作動を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような作業車として、例えば、高所作業車がある。高所作業車等の作業車においては、車体の前後左右にジャッキを設け、作業時にはジャッキを伸長させて車体を持ち上げ支持するように構成することが一般的に知られている。このような作業車はトラック車両を用いて構成されることが多く、前輪もしくは後輪のいずれか(通常は後輪)が駐車ブレーキにより制動されるようになっている。
このため、ジャッキを伸長させて車体を持ち上げ支持するときには、駐車ブレーキにより後輪等を制動して停車させた状態でジャッキを伸長させる。
【0003】
ところで、このようにジャッキを伸長させる場合に、駐車ブレーキにより制動されている後輪側を先にジャッキにより持ち上げ支持させると、制動されていない前輪により車体前部が支持される状態になる。このため、坂道などの傾斜地において後輪側のジャッキを先に伸長させると非制動状態の前輪のみが接地して回転され、坂道に沿って車両が勝手に移動するおそれがあるという問題がある。
【0004】
そこで、各ジャッキの下端部がそれぞれ地面に当接したか否かを検出する複数のジャッキ接地検出手段を備え、前輪側のジャッキ接地検出手段により前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)する状態が検出されないときには、後輪側のジャッキの伸長作動を規制するように構成されたジャッキ作動制御装置が考案されている。これにより、坂道などの傾斜地において後輪側のジャッキを先に伸長させることが回避されるため、非制動状態の前輪のみが接地して坂道に沿って車両が勝手に移動することを防止することができる。
【0005】
【特許文献1】実公平5−41092号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようなジャッキ作動制御装置では、前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後に後輪側のジャッキの伸長作動が可能になるため、前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪が地面から離れずに前輪側のジャッキのみで車体前部が充分に支持されていない状態で後輪側のジャッキを伸長させると、後輪が地面から離れる一方で非制動状態の前輪および前輪側のジャッキが接地した状態となり、各ジャッキを引きずるように前輪が回転して、坂道に沿って車両が勝手に移動するおそれがあった。
【0007】
そのため、上述のようなジャッキ作動制御装置においては、前輪側のジャッキを全伸長させたのち後輪側のジャッキを伸長させるようにしていたが、地面の傾斜の如何に拘わらず一旦前輪側のジャッキを全伸長させるため、車体を水平状態にさせるのに時間が掛かり作業効率を低下させていた。さらに、地面の傾斜の如何に拘わらず一旦前輪側のジャッキを全伸長させるため、車両の前後で大きな傾きが生じて安全性が低下するおそれもあった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる作業車のジャッキ作動制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明においては、前輪および後輪を有して走行可能な車体と、駐車時に後輪を制動する駐車ブレーキと、駐車ブレーキにより制動される後輪に隣接して設けられた油圧作動型の後側ジャッキ(例えば、本実施形態における左後ジャッキ13および右後ジャッキ14)と、前輪に隣接して設けられた油圧作動型の前側ジャッキ(例えば、本実施形態における左前ジャッキ11および右前ジャッキ12)とを備えた作業車のジャッキ制御装置であって、車体の前後方向の傾斜角を検出する傾斜角検出手段(例えば、本実施形態における傾斜角検出器34)と、前側ジャッキおよび後側ジャッキの自動張出を行わせるため外部操作される自動張出スイッチと、前側ジャッキおよび後側ジャッキへの作動油の供給制御を行うジャッキ作動制御バルブと、ジャッキ作動制御バルブの作動を制御するコントローラとを備えて構成される。
【0010】
そして、コントローラは、自動張出スイッチが操作されたときに、傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度(例えば、本実施形態におけるみなし水平傾斜角θ1)の範囲内である場合には、ジャッキ作動制御バルブにより前側ジャッキおよび後側ジャッキの両方を同時に作動させ、傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角(例えば、本実施形態における前方下げジャッキ作動傾斜角θ3)以上になるまでジャッキ作動制御バルブにより前側ジャッキおよび後側ジャッキのうち後側ジャッキのみを作動させるように構成される。
【0011】
このような構成のジャッキ作動制御装置によれば、コントローラが、自動張出スイッチが操作されたときに、傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角以上になるまでジャッキ作動制御バルブにより前側ジャッキおよび後側ジャッキのうち前側ジャッキのみを作動させる制御を行うため、坂道などの傾斜地において後輪側のジャッキを先に伸長させることが回避されるのに加え、前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪が地面から離れずに前輪側のジャッキのみで車体が充分に支持されていない状態で後輪側のジャッキを伸長させることが回避されて、一旦前輪側のジャッキを全伸長させる必要がないことから、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。まず、本発明に係るジャッキ作動制御装置を備えた高所作業車の一例を図2に示す。この高所作業車1は、前後輪3a,3bを有して走行可能であり、前部に運転キャビン2aを有したトラック車両をベースに構成される。このトラック車両には、走行中に運転者が足踏み操作するフートブレーキ(図示せず)と、駐車時に操作する駐車ブレーキ(図示せず)とが設けられており、フートブレーキは前輪3aおよび後輪3bをともに制動するが、駐車ブレーキは後輪3bのみを制動する。
【0013】
また、このトラック車両の車体2の上には、図示しない旋回モータ(油圧モータ)により駆動されて水平旋回可能に構成された旋回台4が配設されている。この旋回台4に基端部が枢結されてブーム5が取り付けられており、このブーム5は起伏シリンダ6により起伏動されるようになっている。ブーム5は、基端ブーム5a、中間ブーム5bおよび先端ブーム5cを入れ子式に組み合わせて、内蔵の伸縮シリンダ7により伸縮動可能に構成されている。
【0014】
先端ブーム5cは先端にブームヘッド5dを有し、このブームヘッド5dに枢結されて支持部材8が上下に揺動可能に取り付けられている。この支持部材8は垂直ポスト部(図示せず)を有し、ブームヘッド5dと支持部材8との間に配設されたレベリングシリンダ(図示せず)により支持部材8の揺動制御が行われ、ブーム5の起伏の如何に拘わらず垂直ポスト部が常に垂直に延びて位置するように支持部材8が揺動制御される。このように常時垂直に保持される垂直ポスト部に水平旋回自在に(首振り自在に)作業台9が取り付けられおり、作業台9はブーム5の起伏に拘わらず常に水平に保持される。なお、支持部材8の上端部に吊り上げ装置10が設けられている。
【0015】
また、車体2の前後左右には、それぞれ前輪3aおよび後輪3bに隣接して格納状態から下方に伸縮自在な左前ジャッキ11、右前ジャッキ12(図2では図示せず、図1を参照)、左後ジャッキ13および右後ジャッキ14が設けられており、高所作業時には図示のように各ジャッキが下方に伸長作動して車体2を持ち上げ支持できるようになっている。
【0016】
また、車体2の後部にはジャッキ操作装置15が設けられており、これにより前後左右のジャッキ11,12,13,14の作動操作を行うようになっている。そして、このような構成の高所作業車1において、前後左右のジャッキ11,12,13,14の作動を行わせるためのジャッキ作動制御装置が設けられている。
【0017】
以下に、本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置の構成について図1を参照して説明する。この制御装置は、コントローラ31からの制御信号により、ジャッキ作動制御バルブ40の作動と、正常終了表示ランプ32の点灯とを行うように構成されている。コントローラ31には、自動張出スイッチ33の作動信号および傾斜角検出器34の検出信号が入力される。
【0018】
自動張出スイッチ33は車体2の後方に設けられたジャッキ操作装置15に取り付けられており、手動により操作(すなわち外部操作)されると、コントローラ31に前後左右のジャッキ11,12,13,14の自動張出を行わせるための作動信号を出力する。傾斜角検出器34は、車体2の中央部付近に内蔵されており、車体2の水平状態からの前後方向の傾斜角θ(例えば、車体2の前方側が上がっている状態、すなわち前輪3aが後輪3bよりも高い状態を正とする)を検出し、その傾斜角がコントローラ31に出力される。
【0019】
ジャッキ作動制御バルブ40は、図1に示すように、左前ジャッキ11への作動油の供給制御を行う左前ジャッキ作動制御バルブ41と、右前ジャッキ12への作動油の供給制御を行う右前ジャッキ作動制御バルブ42と、左後ジャッキ13への作動油の供給制御を行う左後ジャッキ作動制御バルブ43と、右後ジャッキ14への作動油の供給制御を行う右後ジャッキ作動制御バルブ44とから構成される。
【0020】
各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44は、図1に示すように、エンジン(図示せず)により駆動される油圧ポンプ35から前後左右のジャッキ11,12,13,14へ供給される作動油の油路をそれぞれ開放または閉塞する。なお、図1に示す各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44は簡単のため、前後左右のジャッキ11,12,13,14へ供給される作動油の油路をそれぞれ閉塞して前後左右のジャッキ11,12,13,14の伸長作動をそれぞれ停止させる第1切換位置P1と、前後左右のジャッキ11,12,13,14へ供給される作動油の油路をそれぞれ開放して前後左右のジャッキ11,12,13,14をそれぞれ伸長作動させる第2切換位置P2との二つのみを示して以下に説明する(実際には、前後左右のジャッキ11,12,13,14をそれぞれ収縮作動させる切換位置等も存在する)。
【0021】
左前ジャッキ作動制御バルブ41が、図1に示すようにバネ41aに押されて第1切換位置P1に位置するときには、油圧ポンプ35から左前ジャッキ11へ供給される作動油の油路を閉塞し、ソレノイド41bが励磁されてバネ41aの付勢力に抗して第2切換位置P2に移動されると、油圧ポンプ35から左前ジャッキ11へ供給される作動油の油路を開放する。すなわち、ソレノイド41bの通電制御(励磁制御)により、左前ジャッキ11の伸張作動、伸張作動停止の切換が行われる。
【0022】
同様に、右前ジャッキ作動制御バルブ42が、図1に示すようにバネ42aに押されて第1切換位置P1に位置するときには、油圧ポンプ35から右前ジャッキ12へ供給される作動油の油路を閉塞し、ソレノイド42bが励磁されてバネ42aの付勢力に抗して第2切換位置P2に移動されると、油圧ポンプ35から右前ジャッキ12へ供給される作動油の油路を開放する。すなわち、ソレノイド42bの通電制御(励磁制御)により、右前ジャッキ12の伸張作動、伸張作動停止の切換が行われる。
【0023】
また同様に、左後ジャッキ作動制御バルブ43が、図1に示すようにバネ43aに押されて第1切換位置P1に位置するときには、油圧ポンプ35から左後ジャッキ13へ供給される作動油の油路を閉塞し、ソレノイド43bが励磁されてバネ43aの付勢力に抗して第2切換位置P2に移動されると、油圧ポンプ35から左後ジャッキ13へ供給される作動油の油路を開放する。すなわち、ソレノイド43bの通電制御(励磁制御)により、左後ジャッキ13の伸張作動、伸張作動停止の切換が行われる。
【0024】
さらに同様に、右後ジャッキ作動制御バルブ44が、図1に示すようにバネ44aに押されて第1切換位置P1に位置するときには、油圧ポンプ35から右後ジャッキ14へ供給される作動油の油路を閉塞し、ソレノイド44bが励磁されてバネ44aの付勢力に抗して第2切換位置P2に移動されると、油圧ポンプ35から右後ジャッキ14へ供給される作動油の油路を開放する。すなわち、ソレノイド44bの通電制御(励磁制御)により、右後ジャッキ14の伸張作動、伸張作動停止の切換が行われる。
【0025】
なお、各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44が第2切換位置P2に位置して、前後左右のジャッキ11,12,13,14が伸長作動しているときに、前後左右のジャッキ11,12,13,14に過大な負荷がかかるなどして作動油の油路内の圧力が所定のリリーフ圧より上昇すると、油圧ポンプ35からの作動油はリリーフ弁36からタンクTに戻される。
【0026】
油路内の圧力がリリーフ圧より低い状態では、図1に示すように、リリーフ弁36がバネ36aにより押されて上動した位置にあり、油圧ポンプ35からタンクTに戻される作動油の油路を閉塞する。そして、油路内の圧力がリリーフ圧より上昇すると、リリーフ弁36が油路内の圧力上昇によりバネ36aの付勢力に抗して下動した位置に移動し、油圧ポンプ35からタンクTに戻される作動油の油路を開放する。これにより、油路内の異常な圧力上昇を抑えることができ、油路の破損を防止することができる。
【0027】
このような構成のジャッキ作動制御装置の制御内容について図1を参照して説明する。自動張出スイッチ33からの作動信号がコントローラ31に入力されると、コントローラ31は、傾斜角検出器34から車体2の傾斜角θを検出し、この傾斜角θと所定みなし水平傾斜角θ1(正の値とする)とを比較する。ここで、みなし水平傾斜角θ1とは、予め設定された車体2が水平状態であるとみなすことができる車体2の前後方向の限界傾斜角(例えば、3°)を指し、本発明における水平と見なしうる角度である。なお、みなし水平傾斜角θ1は任意の角度に設定することができる。
【0028】
傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲内、すなわち、−θ1≦θ≦θ1(例えば、−3°≦θ≦3°)である場合には、コントローラ31は、前後左右全てのジャッキ11,12,13,14が同時に伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を作動させる(全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第2切換位置P2に位置させる)制御を行う。すなわち、各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44により制動側ジャッキ(左後ジャッキ13および右後ジャッキ14)および非制動側ジャッキ(左前ジャッキ11および右前ジャッキ12)の両方を同時に伸長作動させる制御を行う。
【0029】
そして、コントローラ31は各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動開始から(全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第2切換位置P2に位置させてから)の経過時間t1を計測し、この経過時間t1が所定制限時間Tを経過したときに全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第1切換位置P1に位置させて、全てのジャッキ11,12,13,14の伸長作動を停止させる。これにより、各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が終了する。なお、制限時間Tはジャッキ11,12,13,14が格納状態から全伸長するのに要する時間T0内で設定される。
【0030】
このとき、経過時間t1が所定制限時間Tを経過した時点で、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲内、すなわち、−θ1≦θ≦θ1である場合には、コントローラ31は正常終了信号を出力し、ジャッキ操作装置15に設けられた正常終了表示ランプ32に点灯表示させる。一方、傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲外、すなわち、θ<−θ1もしくはθ>θ1である場合には、コントローラ31は図示しない警報手段(例えば、警報ランプや警報ブザー)に警報作動を行わせる制御を行う。これにより、各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が終了した時点において、作業者は車体2が水平状態であるか否かを確認することができ、車体2が傾いたまま作業を始めてしまうことを回避することができる。
【0031】
次に、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲外、すなわち、θ<−θ1もしくはθ>θ1である場合について説明する。
まず、図3(a)に示すように車体2の前方側が下がっている状態で、車体2の傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1から所定許容前方下げ傾斜角θ2までの範囲である場合について説明する。ここで、許容前方下げ傾斜角θ2は、車体2が前方下がりの場所(例えば、下り坂)において、予め設定された各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が可能な限界傾斜角(例えば、−7°)であり、θ2<−θ1である。
【0032】
すなわち、θ2≦θ<−θ1(例えば、−7°≦θ<−3°)の場合には、コントローラ31は、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θが所定前方下げジャッキ作動傾斜角θ3(図3(b)に示すように、例えば、0°)以上(すなわち、θ≧θ3)になるまで、左前ジャッキ11および右前ジャッキ12のみが伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を作動させる(左前および右前ジャッキ作動制御バルブ41,42を第2切換位置P2に位置させ、左後および右後ジャッキ作動制御バルブ43,44を第1切換位置P1に位置させる)制御を行う。
【0033】
なお、前方下げジャッキ作動傾斜角θ3は、車体2が前方下がりの場所(例えば、下り坂)において、左前ジャッキ11および右前ジャッキ12のみで車体前部が支持されて前輪3aが地面から充分に離れた状態にできる予め設定された傾斜角(例えば、0°)であり、多くはθ3≧−θ1に設定される。
【0034】
そして、傾斜角θが前方下げジャッキ作動傾斜角θ3以上(すなわち、θ≧θ3)になると、前後左右全てのジャッキ11,12,13,14が同時に伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を作動させる(全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第2切換位置P2に位置させる)制御を行う。
【0035】
このようにすれば、坂道などの傾斜地において駐車ブレーキに制動された後輪3b側のジャッキを先に伸長させることが回避されるのに加え、前輪3a側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪3aが地面から離れずに前輪3a側のジャッキのみで車体2が充分に支持されていない状態で後輪3b側のジャッキを伸長させることが回避されて、一旦前輪3a側のジャッキを全伸長させる必要がないことから、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる。
【0036】
続いて、コントローラ31は前後左右全てのジャッキ11,12,13,14の伸長作動開始から(全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第2切換位置P2に位置させてから)の経過時間t2を計測し、この経過時間t2が所定ジャッキ作動時間TWを経過したときに左後ジャッキ13および右後ジャッキ14のみが伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を作動させる(左前および右前ジャッキ作動制御バルブ41,42を第1切換位置P1に位置させ、左後および右後ジャッキ作動制御バルブ43,44を第2切換位置P2に位置させる)制御を行う。ここで、ジャッキ作動時間TWは、前後左右全てのジャッキ11,12,13,14の伸長作動開始(経過時間t2の計測開始)から左前ジャッキ11および右前ジャッキ12が全伸長するまでに要する時間程度に設定される。
【0037】
そして、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲内、すなわち、−θ1≦θ≦θ1になると、全てのジャッキ作動制御バルブ41,42,43,44を第1切換位置P1に位置させて、全てのジャッキ11,12,13,14の伸長作動を停止させる。これにより、図3(c)に示すように、各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が終了する。
【0038】
なお、経過時間t2が所定判定時間TAを経過した時点で、傾斜角検出器34により検出された傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲内、すなわち、−θ1≦θ≦θ1である場合には、コントローラ31は正常終了信号を出力し、ジャッキ操作装置15に設けられた正常終了表示ランプ32に点灯表示させる。一方、傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1の範囲外、すなわち、θ<−θ1もしくはθ>θ1である場合には、コントローラ31は図示しない警報手段(例えば、警報ランプや警報ブザー)に警報作動を行わせる制御を行う。これにより、各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が終了した時点において、作業者は車体2が水平状態であるか否かを確認することができ、車体2が傾いたまま作業を始めてしまうことを回避することができる。なお、判定時間TAはジャッキ作動時間TWよりも長い時間に設定される。
【0039】
さて、一方、傾斜角θが許容前方下げ傾斜角θ2を超える場合、すなわち、θ<θ2(例えば、θ<−7°)の場合には、手動(自動ではなく)による各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動のみ許可する制御や、各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動を規制する制御が考えられるが、本実施形態においては説明を省略する。
【0040】
車体2の前方が上がっている状態で、傾斜角検出器34により検出された車体2の傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1を超える場合、すなわち、θ>θ1(例えば、θ>3°)の場合には、各ジャッキ11,12,13,14による車体2の持ち上げ支持が規制されるのが一般的である。トラック車両をベースに構成される高所作業車1においては、左前および右前ジャッキ11,12が前輪3aの後方に隣接して設けられるとともに、左後および右後ジャッキ13,14が後輪3bの後方に隣接して設けられることが殆どであるため、車体2の(水平)持ち上げ支持が可能な傾斜角は、車体2の前方下がりの状態よりも前方上がりの状態の方が小さくなるためである。
【0041】
θ>θ1(例えば、θ>3°)の場合においても、θ<θ2(例えば、θ<−7°)の場合と同様に、手動(自動ではなく)による各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動のみ許可する制御や、各ジャッキ11,12,13,14の伸長作動を規制する制御が考えられるが、本実施形態においては説明を省略する。
【0042】
以上のようにして、コントローラ31が、自動張出スイッチ33が操作されたときに、傾斜角検出器34に検出された傾斜角θが水平とみなしうる角度(みなし水平傾斜角θ1)の範囲外である場合(本実施形態において、θ2≦θ<−θ1の場合)には、傾斜角θが所定ジャッキ作動傾斜角θ3以上になるまでジャッキ作動制御バルブ40により前側ジャッキ(左前ジャッキ11および右前ジャッキ12)および後側ジャッキ(左後ジャッキ13および右後ジャッキ14)のうち前側ジャッキのみを作動させる制御を行うため、坂道などの傾斜地において後輪3b側のジャッキを先に伸長させることが回避されるのに加え、前輪3a側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪3aが地面から離れずに前輪3a側のジャッキのみで車体が充分に支持されていない状態で後輪3b側のジャッキを伸長させることが回避されて、一旦前輪3a側のジャッキを全伸長させる必要がないことから、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる。
【0043】
なお、本実施形態において高所作業車1を例に説明したが、本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置を備えた作業車はこれに限られるものではなく、例えば、クレーン車や穴掘り建柱車等でもよい。
【0044】
また、本実施形態において、例えば、左後および右後ジャッキを後輪の前方に隣接して設けるか、あるいは各ジャッキの最大伸張量を大きくするようにすれば、車体が前方下がりの状態に加え、車体が前方上がりの状態でも傾斜地において各ジャッキの自動張出による車体の持ち上げ支持が可能となる。
【0045】
例えば、自動張出スイッチが操作されたときに、傾斜角θがみなし水平傾斜角θ1を超え且つ所定許容前方上げ傾斜角θ4(例えば、5°)以下の場合、すなわち、θ1<θ≦θ4(例えば、3°<θ≦5°)の場合には、コントローラが、傾斜角θが所定前方上げジャッキ作動傾斜角θ5(例えば、7°)以上になるまで、左前ジャッキおよび右前ジャッキのみが伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブを作動させ、傾斜角が前方上げジャッキ作動傾斜角θ5以上になると、前後左右全てのジャッキが伸長作動するように各ジャッキ作動制御バルブを作動させる制御を行うようにすればよい。
【0046】
なお、許容前方上げ傾斜角θ4は、車体2が前方上がりの場所(例えば、上り坂)において、予め設定された各ジャッキ11,12,13,14の自動張出による車体2の持ち上げ支持が可能な限界傾斜角(例えば、5°)であり、θ1<θ4である。また、前方上げジャッキ作動傾斜角θ5は、車体2が前方上がりの場所(例えば、上り坂)において、左前ジャッキ11および右前ジャッキ12のみで車体前部が支持されて前輪3aが地面から充分に離れた状態にできる予め設定された傾斜角(例えば、7°)であり、多くはθ5≧θ4に設定される。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による作業車のジャッキ作動制御装置によれば、コントローラが、自動張出スイッチが操作されたときに、傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角以上になるまでジャッキ作動制御バルブにより前側ジャッキおよび後側ジャッキのうち前側ジャッキのみを作動させる制御を行うため、坂道などの傾斜地において後輪側のジャッキを先に伸長させることが回避されるのに加え、前輪側のジャッキの下端部が地面に当接(接地)した直後、すなわち、前輪が地面から離れずに前輪側のジャッキのみで車体が充分に支持されていない状態で後輪側のジャッキを伸長させることが回避されて、一旦前輪側のジャッキを全伸長させる必要がないことから、ジャッキ作業の作業効率を向上させるとともに、より安全なジャッキ作動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置を含む高所作業車の制御装置構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置を備えた高所作業車の斜視図である。
【図3】本発明に係る作業車のジャッキ作動制御装置を備えた高所作業車が、傾斜地において車体が前方下げの状態からジャッキにより水平支持される様子を示す側面図である。
【符号の説明】
1 高所作業車
2 車体
3a 前輪
3b 後輪
11 左前ジャッキ(前側ジャッキ)
12 右前ジャッキ(前側ジャッキ)
13 左後ジャッキ(後側ジャッキ)
14 右後ジャッキ(後側ジャッキ)
31 コントローラ
33 自動張出スイッチ
34 傾斜角検出器(傾斜角検出手段)
40 ジャッキ作動制御バルブ
41 左前ジャッキ作動制御バルブ
42 右前ジャッキ作動制御バルブ
43 左後ジャッキ作動制御バルブ
44 右後ジャッキ作動制御バルブ
θ 傾斜角
θ1 みなし水平傾斜角(水平とみなしうる角度)
θ3 前方下げジャッキ作動傾斜角
θ5 前方上げジャッキ作動傾斜角
Claims (1)
- 前輪および後輪を有して走行可能な車体と、
駐車時に前記後輪を制動する駐車ブレーキと、
前記駐車ブレーキにより制動される前記後輪に隣接して設けられた油圧作動型の後側ジャッキと、
前記前輪に隣接して設けられた油圧作動型の前側ジャッキとを備えた作業車のジャッキ作動制御装置であって、
前記車体の前後方向の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、
前記前側ジャッキおよび前記後側ジャッキの自動張出を行わせるため外部操作される自動張出スイッチと、
前記前側ジャッキおよび前記後側ジャッキへの作動油の供給制御を行うジャッキ作動制御バルブと、
前記ジャッキ作動制御バルブの作動を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記自動張出スイッチが操作されたときに、前記傾斜角検出手段に検出された傾斜角が水平とみなしうる角度の範囲内である場合には、前記ジャッキ作動制御バルブにより前記前側ジャッキおよび前記後側ジャッキの両方を同時に作動させ、前記傾斜角検出手段に検出された傾斜角が前記水平とみなしうる角度の範囲外である場合には、前記傾斜角が所定ジャッキ作動傾斜角以上になるまで前記ジャッキ作動制御バルブにより前記前側ジャッキおよび前記後側ジャッキのうち前記前側ジャッキのみを作動させるように構成されることを特徴とする作業車のジャッキ作動制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003020902A JP2004231012A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 作業車のジャッキ作動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003020902A JP2004231012A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 作業車のジャッキ作動制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004231012A true JP2004231012A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32950409
Family Applications (1)
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JP2003020902A Pending JP2004231012A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 作業車のジャッキ作動制御装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004231012A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113650587A (zh) * | 2021-08-02 | 2021-11-16 | 中联重科股份有限公司 | 用于泵车的控制方法、控制装置及处理器 |
-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003020902A patent/JP2004231012A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113650587A (zh) * | 2021-08-02 | 2021-11-16 | 中联重科股份有限公司 | 用于泵车的控制方法、控制装置及处理器 |
CN113650587B (zh) * | 2021-08-02 | 2023-05-23 | 中联重科股份有限公司 | 用于泵车的控制方法、控制装置及处理器 |
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