JP2004230672A - 画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録ヘッドの各ノズルからのインク吐出方向やインク吐出量にばらつきがあってもn値画像データを誤差拡散によるm値化によって濃度特性が線形の階調表現を実現し、階調特性の優れた高品位な画像形成を実現することができ、さらに簡単で安価な構成で高速な処理を実現する画像処理方法を提供することである。
【解決手段】n値画像データを誤差拡散処理を施して擬似中間調画像を形成するためのm値画像データ(2≦m<n)に変換する際、n値画像データの各画素の値をm値化し、そのm値化によって発生した誤差を出力し、擬似中間調画像の形成に用いるインクジェット記録ヘッドに備えられた複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性に従って、発生した誤差を補正し、その補正された誤差を次の画素の誤差拡散処理にフィードバックする。
【選択図】 図7
【解決手段】n値画像データを誤差拡散処理を施して擬似中間調画像を形成するためのm値画像データ(2≦m<n)に変換する際、n値画像データの各画素の値をm値化し、そのm値化によって発生した誤差を出力し、擬似中間調画像の形成に用いるインクジェット記録ヘッドに備えられた複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性に従って、発生した誤差を補正し、その補正された誤差を次の画素の誤差拡散処理にフィードバックする。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理方法に関し、特に、多値画像データを高精細かつ高階調に表示及び記録する為の画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スキャナやディジタルカメラ等の入力装置で読み取った多値画像データをプリンタやディスプレイ等の出力装置に出力する画像入出力システムがある。
【0003】
そのシステムでは、入力装置で読み取った多値(例えば、1画素8ビットならば256階調)の画像データを出力装置が出力可能なようにn値化処理が行われてきた。例えば、出力装置が1画素についてON/OFFのみの2つの表現しか出きない場合には、2値化処理が行なわれてきた。この2値化処理の中で画像の解像度と階調表現に共に優れたものとして誤差拡散処理がある。
【0004】
ここで、従来の技術である誤差拡散の原理を図1を参照して説明する。
【0005】
図1は誤差拡散処理の原理を説明するブロック図である。
【0006】
入力装置で読み取った多値(例えば、1画素8ビットの階調が0〜255)の入力データ(In)には加算器6において割算部5の出力である周辺画素から拡散された誤差(dIn) が加算され、その結果得られた値(In+dIn) が比較部2に入力される。比較部2では、閾値設定部1から読み出された閾値(例えば、127)と(In+dIn)の値とを比較して、(In+dIn)>127である場合は、比較部2の出力値(Out)を“255”とし、(In+dIn)≦127である場合は、その出力値(Out)を“0”として出力する。
【0007】
このようにして出力値(Out)は2値データとなり、その値が“0”であることは(OFF)を意味し、“255”であることは“ON”を意味する。
【0008】
また、減算部3は、比較部2への入力値(In+dIn)から比較部2からの出力値(Out)を減算して、差分(dOut=(In+dIn)−Out)を算出してこれを2値化誤差(dOut)とする。2値化誤差(dOut)には、周辺画素への分配係数7が乗算され、その結果が誤差蓄積バッファ4に加算蓄積される。誤差蓄積バッファ4上の次に処理を行う画素(*)の値が割算部5に入力され、そこで分配係数の総和(この例では、“32”)で割算され正規化されて正規化誤差(dIn)として出力される。
【0009】
このように、誤差拡散処理とは、例えば、1画素8ビットの入力多値(In)を“0”または“255”の2値の出力値(Out)に変換する際に発生する差分を周辺画素に分配しマクロ的には入力値の値を保存する処理である。
【0010】
さて、従来のインクジェットプリンタ装置は、多値の画像データを上述のように2値の画像データに変換後、ピエゾ素子による圧力やインクをヒータで加熱し沸騰する圧力を利用し、記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う。この様なインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタという)に用いるインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)の製造上、記録ヘッドのインク吐出ノズル(以下、ノズルという)毎でインク吐出方向やインク吐出量にバラツキが発生する。このため、このような記録ヘッドを用いて記録を行うと、ノズル単位、或いは、画像データのライン単位で濃度むらが発生する。
【0011】
例えば、256個のノズルを有する記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復走査して記録を行う場合、1回の走査で256ライン分の画像データを用いて記録するなら、256ライン毎に周期的な濃度むらが発生する。また、マルチパス記録で記録を行う場合、例えば、2パス記録では128ライン毎に周期的な濃度むらが発生する。
【0012】
このような濃度むらの発生は、プリンタの用途がモノクロの文字が主となる文書記録の場合は大きな問題とならないが、例えば、デザイン事務所でのデザイン画の印刷、印刷校正のためのプルーフ印刷などにそのプリンタを用いる場合は、周期的に発生する濃度むらが大きな問題となる。
【0013】
図2は誤差拡散処理により得られた2値データを用いて256個のノズルをもつ記録ヘッドからインクを吐出して画像を記録した場合に周期的に発生する濃度むらを示す図である。この記録は3回の記録走査を行った例を示しており、1回の記録走査の範囲を1サイクルと表現している。
【0014】
図2には、4種類の均一な入力値(63、127、190、255)を用いて4つの矩形パッチ(左からパッチ1、パッチ2、パッチ3、パッチ4)を記録した状態が示されている。
【0015】
図3は、図2に示した記録状態をライン単位で測定した濃度分布(濃度むら)を表わすグラフである。
【0016】
図3において、横軸は記録ヘッドの256個のノズル位置を示し、0〜255のアドレスで表現されており、図2における1サイクルに相当する。また、縦軸はその位置での平均濃度(1走査分の各画素の濃度を平均したもの)を示している。
【0017】
さて、図2で示すような記録状態、図3で示すような濃度分布になるのは、ライン単位で巨視的には図4で示すような濃度特性となっているからである。
【0018】
図4は誤差拡散処理により多値の画像データを2値化し、その2値化データを記録ヘッドを用いて画像を記録した時の記録濃度特性を示す図である。
【0019】
図4において、横軸は誤差拡散処理のために入力される多値画像データの入力値を示し、縦軸は各入力値に対応するライン単位での平均濃度値を示している。
【0020】
また、図4において、特性曲線8は図3に示した低濃度位置での平均濃度記録特性を示し、特性曲線9は図3に示した高濃度位置での平均濃度記録特性を示し、特性曲線10は、特性曲線8、9を補正して同じ濃度記録特性にする為の目標特性曲線である。
【0021】
この説明では、目標特性曲線を濃度変化に対して線形となるように示しているが、特性曲線8を目標特性曲線にしたり、また他の曲線を目標特性曲線にしても構わない。要するに目標特性を定め、異なる記録ヘッドを用いて記録した場合も定めた目標特性になるように補正すればよい。
【0022】
図5は従来の画像処理の概要を示すブロック図である。
【0023】
この画像処理では、文字データやグラフィックデータや自然画データなどの種々のデータが用いられ、これらのデータをラスタ展開して1つの画像データに変換された後、画像変換処理がなされ記録ヘッドに入力される2値データが出力される。ここで、入力画像データは、RGB色成分からなる各成分が8ビットのデータであるとする。
【0024】
RGB各色成分のデータはCSC11に入力される。CSC11の入出力データはともにRGB各色成分のデータであり、CSC11には3次元ルックアップテーブル(3D−LUT)が備えられ、その3D−LUTを用いて入力カラー画像データに変換処理を施す。
【0025】
3D−LUTは入力RGBデータ各成分の17個の代表値に対応した出力RGBデータ値を記憶しており、入力RGB値に対してその入力値近傍の8点の代表値から四面体補間によって補間演算を行い出力RGB値を得る。CSC11の役割は、写真画像、グラフィック画像を表現するRGBデータをプリンタ固有のデバイス依存のRGBデータに変換するときのRGB空間上でのカラーマッチングである。CSC11から出力されたデバイス依存のRGBデータはCSC12に入力されインクジェットプリンタが使用するインク各色成分のデータに変換される。
【0026】
CSC12は入力データがRGB3成分で各成分が8ビットからなる画像データであり、出力データがCcMmYK(シアン、淡シアン、マゼンタ、淡マゼンタ、イエロ、ブラック)6成分で各成分が8ビットからなる画像データである。CSC12にも3次元ルックアップテーブル(3D−LUT)が備えられ、その3D−LUTを用いて入力画像データをインク各色の成分で表現されるカラー画像データに展開処理する。
【0027】
その3D−LUTは、入力RGBデータ各成分の17個の代表値に対応した出力CcMmYK濃度データ値を記憶しており、入力RGB値に対してその入力値近傍の8点の代表値から四面体補間によって補間演算を行い出力CcMmYK濃度データ値を得る。CSC12の役割は、デバイス依存のRGBデータを記録に用いるインク色(CcMmYK)の濃度信号に変換するのインク色展開である。インク各色に対応する成分に変換された各8ビットデータは、ヘッド補正部13に入力される。
【0028】
図6はヘッド補正部13の機能詳細を説明したブロック図である。
【0029】
図6において、15は記録ヘッド、16〜20はノズルである。ノズル16は図3に示すノズル位置の“0”に相当する位置のノズルであり、ノズル20は図3に示すノズル位置の“255”に相当するノズルである。また、図6の右側に示す曲線は各ノズルの濃度特性曲線である。
【0030】
さて、ヘッド補正部13は図6に示すように各ノズルに対応した256個の1次元のルックアップテーブル(1D−LUT)からなり、各1D−LUTには図4で示した様に記録ヘッドの各ノズルのインク吐出方向やインク吐出量のバラツキによって生じる記録濃度特性を目標特性に補正する為の関係が予め設定されている。そして、これら1D−LUTに対応する各インク色成分の濃度データが入力されると、1D−LUTによって目標濃度特性になるように変換される。そして各インク色濃度データは、2値化処理部14に入力され図1で説明した誤差拡散処理によって2値化に変換され、その2値化データにより記録ヘッドからインクを吐出し記録がなされる。
【0031】
このように従来は、2値化処理前でルックアップテーブルを用いた変換処理を行い記録ヘッドの特性ばらつきを吸収する濃度補正を行っている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0032】
【特許文献1】
特開2001−105697号公報
【特許文献2】
特開2002−019101号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例では、非線形なルックアップ変換処理を必要としていた為、量子化誤差が発生し、例えば、1画像8ビットの多値画像データを入力データとする場合、階調が256あるにもかかわらず、実際にはその256階調を表現できないという問題が発生していた。
【0033】
また、その量子化誤差が大きい場合は、形成画像上に擬似輪郭が発生し滑らかな階調を実現できないという問題も発生していた。
【0034】
さらに、従来例に従って256階調表現可能な線形の濃度特性を保証する為には、入力データ及び中間処理データのビット数を増やして実現することが必要であるが、回路構成上、8ビットデータを扱う場合に比べ、その回路ではゲート数の増加し、メモリが増加するなど構成が複雑になり安価なハードウェアを実現することが困難になる。
【0035】
また、入力データをソフトウェアを用いて処理する場合においても、メモリの占有率の増加などにより処理速度の低下が発生する。特に、記録媒体(その結果、形成画像サイズが)がB0サイズとなる大判プリンタなどでは、その処理速度の低下は甚だしいものがある。
【0036】
本発明は上記従来例とのその問題点に鑑みてなされたものであり、記録ヘッドの各ノズルからのインク吐出方向やインク吐出量にばらつきがあってもn値画像データを誤差拡散によるm値化によって濃度特性が線形の階調表現を実現し、階調特性の優れた高品位な画像形成を実現することができ、さらに簡単で安価な構成で高速な処理を実現する画像処理方法を提供することを目的としている。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の画像処理方法は以下の構成からなる。
【0038】
即ち、n値画像データを誤差拡散処理を施して擬似中間調画像を形成するためのm値画像データ(2≦m<n)に変換する画像処理方法であって、前記n値画像データの各画素の値をm値化し、該m値化によって発生した誤差を生成する誤差発生工程と、前記擬似中間調画像の形成に用いるインクジェット記録ヘッドに備えられた複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性に従って、前記誤差発生工程において発生した誤差を補正する誤差補正工程と、前記誤差補正工程において補正された誤差を次の画素の誤差拡散処理にフィードバックするフィードバック工程とを有することを特徴とする画像処理方法を備える。
【0039】
また、本発明は、上記画像処理方法における各工程をコンピュータによって実行するために、コンピュータが実行可能なコードによって記述されたプログラムの形態であっても良い。
【0040】
さらに、そのプログラムは、コンピュータが読み取り可能であるように、コンピュータ可読の記憶媒体に格納するように備えられても良い。
【0041】
このようにして、プログラムや記憶媒体の形で本発明を実現することも可能である。
【0042】
またさらに、本発明は、上記画像処理方法を実行できる画像処理装置の形態であっても良い。
【0043】
即ち、n値画像データを誤差拡散処理を施して擬似中間調画像を形成するためのm値画像データ(2≦m<n)に変換する画像処理装置であって、
前記n値画像データの各画素の値をm値化し、該m値化によって発生した誤差を生成する誤差発生手段と、
前記擬似中間調画像の形成に用いるインクジェット記録ヘッドに備えられた複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性に従って、前記誤差発生手段によって発生した誤差を補正する誤差補正手段と、
前記誤差補正手段によって補正された誤差を次の画素の誤差拡散処理にフィードバックするフィードバック手段とを有することを特徴とするものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
さて以上のような解決手段の構成をさらに詳しく言えば、前記誤差補正工程には、インクジェット記録ヘッドの複数のインク吐出ノズル各々に対応した補正量を格納した複数のテーブルを備え、擬似中間調画像の形成に用いられるインクジェット記録ヘッドのインク吐出ノズルの位置を表す情報に従って、これら複数のテーブルから1つを選択し、その選択されたテーブルを参照して、誤差補正量を出力する構成を備えることが望ましい。
【0045】
さらに前記誤差補正工程には、選択されたテーブルから出力される補正値を誤差発生工程において発生した誤差から減算して補正された誤差を出力する減算工程を含むようにしたり、或いは、選択されたテーブルから出力される補正値を誤差発生工程において発生した誤差に積算して補正された誤差を出力する積算工程を含むようにすると良い。
【0046】
一方、複数のインク吐出ノズル各々の対応した補正量は、インクジェット記録ヘッドを用いて異なる濃度をもつ複数のパッチ画像を記録媒体に記録し、これら複数のパッチ画像を読み取って実際の記録濃度を求めることにより取得しても良い。
【0047】
これら前記複数のテーブルは3次元テーブルの形式をとり、その3次元テーブルには、誤差拡散処理において用いる誤差拡散マトリクスの中に含まれる有意な係数の数だけを備える構成とすることが望ましく、さらには、これら3次元テーブル各々は、(1)入力されるn値画像データの値と誤差発生工程において発生した誤差と擬似中間調画像の形成に用いられるインクジェット記録ヘッドのインク吐出ノズルの位置を表す情報とから補正値が定められる構造となるようにするか、或いは(2)n値画像データのとり得る値からサンプルされた代表値と誤差発生工程において発生し得る誤差からサンプルされた代表値と擬似中間調画像の形成に用いられるインクジェット記録ヘッドのインク吐出ノズルの位置を表す情報とから補正値が定められる構造となるようにすると良い。
【0048】
後者の場合、その定められた補正値に対して補間処理を行って入力される多値画像データの値と誤差発生工程において発生した誤差とに対する補正された誤差を出力することが望ましい。
【0049】
また、前記誤差補正工程では、複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性を複数のレベルに分類し、これら複数のレベル各々に対応した補正量を格納した複数のテーブルを備えるようにし、擬似中間調画像の形成に用いられるインクジェット記録ヘッドのインク吐出ノズルの位置を表す情報に基づいて、その位置のインク吐出ノズルが上記複数のレベルのいずれに相当するかを判断し、その判断結果に基づいて複数のテーブルから1つを選択し、該選択されたテーブルを参照して、誤差補正量を出力するようにしても良い。この場合には、複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性を示すレベルを格納するテーブルが備えることが望ましい。
【0050】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0051】
これ以降に説明では、まず多値画像データを入力して誤差拡散処理を行なって2値化データを出力する2値化処理装置のいくつかの実施形態について説明し、最後にこの2値化処理装置が応用される画像入出力システムについて説明する。この画像入出力システムでは出力装置としてインクジェットプリンタが用いられ、インクジェット記録ヘッドがカラーインクを吐出してカラー画像を記録する。
【0052】
なお、いくつかの実施形態で説明する2値化処理装置の構成において、既に従来例において説明したのと同じ構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。また、説明を簡単にするために全ての2値化処理装置では1画素8ビット(0〜255の階調)の多値画像データを入力し、これを2値化し、その出力値(Out)は“255”或いは“0”とする。従来例と同様に、この出力2値データの値が“0”であることは(OFF)を意味し、“255”であることは“ON”を意味する。また、2値化のための閾値は“127”とする
<第1実施形態>
図7は本発明の第1実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。この2値化処理部は、従来技術が抱える課題を解決しつつ、図5におけるヘッド補正部13と2値化部14の機能を実現している。
【0053】
スキャナなどの入力装置でカラー画像原稿を読み取って得られたRGB多値画像データ(各色成分は8ビット)は通常モニタに表示後、装置利用者がそのモニタを見ながらレイアウト修正、及び、RGB空間上での色修正がなされる。その後、記録用紙の種類、記録モードに合わせた各インク色成分への分解が行われ、CcMmYK(各色成分は8ビット)の多値濃度データに変換される。これらCcMmYKの多値濃度データは夫々、2値化処理部に転送され2値化処理が行われ、2値化データを用いて記録がなされる。
【0054】
図7に示す2値化処理部では、CcMmYK6成分の濃度データの内、1成分の濃度データを処理する。他の5成分の濃度データ夫々についても同様の処理がなされる。
【0055】
図7に示す2値化処理部では、加算器6が多値画像データ(In) と割算部5からの出力である周辺画素からの拡散誤差(dIn)を入力してこれを加算し、その加算した値(In+dIn)を比較部2に入力する。比較部2では、閾値設定部1から読み出された閾値(127)と(In+dIn)の値を比較して、(In+dIn)>127であれば、出力値(Out)を“255”とし、(In+dIn)≦127であれば“0”とする。
【0056】
なお、閾値設定部1は、常に一定の閾値を発生しなくてもよく、誤差拡散処理特有のミミズ、はき寄せ状などのモアレパターンの発生を防止する為に、閾値設定部1に乱数テーブルを設け、所定の範囲内での閾値を発生するようにしても良い。
【0057】
また、減算部3は比較部2への入力値(In+dIn)から比較部2からの出力値(Out)を減算して2値化誤差(dOut1=(In+dIn)−Out)を生成し、これを減算部18に入力する。
【0058】
ノズル位置情報発生部24では、256個のノズルを有した記録ヘッドにおいてどこのノズルを用いて記録するのかについてのノズル位置情報を発生する。従って、このノズル位置情報は、256の周期的でインクを吐出する記録ヘッドのノズル位置に対応している。また、このノズル位置情報は、物理的なノズル位置をそのまま発生するのではなく、例えば、マルチパス記録モードにおけるパス数に応じて周期的な値が出力される。例えば、1パス記録の場合は、処理する画像データラインと対応したタイミングで0から255の値が周期的に発生する。また、2パス記録の場合は、0から127の値が周期的に処理する画像データラインと対応して発生する。同様に、4パス記録の場合は、0から63の値が周期的に発生する。
【0059】
一方、テーブル変換部19には入力多値画像データ(In)の各値と差分補正値(f(In))とが関係づけられた各ノズルに対応した256個のテーブルが格納されており、テーブル変換部19はノズル位置情報発生部24からノズル位置情報がロードされると、256個のテーブルの内、そのノズルに対応したテーブルを選択して用いるように設定する。
【0060】
そして、テーブル変換部19に多値画像データ(In)が入力されると、その値と記録ヘッドのノズル位置に対応した差分補正値(f(In))を減算部5に出力する。減算部18は減算部3から出力された差分(dOut1)から差分補正値(f(In))を減算し、その結果得られた補正差分(dOut2=dOut1−f(In))を誤差蓄積バッファ4に出力する。
【0061】
図8は記録ヘッドのノズル位置に従ってテーブル変換部19で選択的に用いられるテーブルの差分補正値の変化の例を表現した図である。図8において、横軸は入力多値画像データ(In)の値、縦軸は差分補正値(f(In))である。なお、実際には256個のテーブル夫々に対応して差分補正値の変化曲線が存在するのであるが、ここでは、その内の代表的な例のみを図示している。例えば、現在処理されるノズル位置情報が“4”の場合は、テーブル処理部19はノズル位置情報が“4”に対応したテーブルから得られる補正情報によって入力画像データに対して補正を行う。
【0062】
さて、その補正差分(dOut2)は誤差が拡散される周辺画素夫々に対応した分配係数7が周辺画素それぞれに乗算され、その乗算結果が周辺画素に対応した誤差蓄積バッファ4に加算蓄積される。誤差蓄積バッファ4において次に処理を行う画素(*)の値が割算部5に出力され、分配係数の総和(この例では、32)で除算され正規化され、その結果が拡散誤差(dIn)として加算部6に出力される。
【0063】
次に、記録に用いるインク単位でパッチパターンを記録して、そのパターンを読みとり、その読み取った情報から記録ヘッドのノズル毎の補正値を生成してテーブルを生成しテーブル処理部19に記憶させる手順について説明する。
【0064】
ここでは、記録ヘッドを用いて各インク色単位でパッチパターンを記録し、そのパッチをインクジェットプリンタに設けられたセンサ、又は濃度測定装置、スキャナなどで読み取り、その読み取り結果から補正値を生成し、この補正値からテーブルを生成して、テーブル処理部19に記憶させる。
【0065】
図9は記録濃度補正情報生成処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ステップS1では、テーブル処理部19の全ての補正値を“0(補正なしを意味する)”に設定する。次に、ステップS2では、一度得られた2値化誤差を補正せずにパッチパターンの画像を記録する。
【0067】
図10は“Level0”に対応する補正パラメータによって選択されたテーブルを用いて補正されたパッチパターンの画像を示す図である。図10に示されているように、縦方向には各インク色単位のパッチが順にシアンインク、淡シアンインク、マゼンタインク、淡マゼンタインク、イエロインク、ブラックインクと並び、横方向には同じインクで異なる濃度のパッチが記録されている。
【0068】
横方向に第1列目のパッチは、インク吐出が安定する為に記録するパッチで濃度測定用には使用されない。ここでのパッチが示す濃度値は“255”である。続いて第2列目のパッチは、濃度値が“0”であり、インクが吐出されていない部分の濃度を測定するパッチ領域である。以下順に、左から右に各列のパッチの濃度値は、“36”、“72”、“108”、“144”、“180”、“216”、“255”である。
【0069】
また、各パッチ矩形の上端は、記録ヘッドのノズル位置が“0”のノズルを用いて記録しており、各パッチの縦方向サイズはノズル数の2倍分の長さ、即ち、512ノズル分の記録に相当する長さである。従って、矩形パッチ各々は、記録ヘッドの2サイクル分の記録がなされているのである。図10において“A”は1サイクルの記録幅に相当する。また、各インクのパッチ間には1サイクル分(256ノズル分)の空白領域が設けられている。
【0070】
これらのパッチを記録して所定時間が経過した後、ステップS3ではパッチ濃度を測定する。ここで所定時間後に濃度を測定するのは、記録用紙などの記録媒体上での濃度が記録直後では不安定であり、その濃度が記録後安定するまでの時間を待ち合わせるためである。
【0071】
この実施形態では合計8×6=48種類のパッチを、例えば、画像読取装置(スキャナ)を用いて読み取る。なお、このようなスキャナを用いずとも、プリンタに内蔵された吐出濃度補正の為のCCDセンサなどを用いて読み取りを行っても良い。
【0072】
測定濃度データに基づいてステップS4では濃度補正情報を生成する。ここでは、シアンインクを代表として説明するが他のインクも同様に処理することができる。
【0073】
図11は読み取った画像データの各画素を示す図である。
【0074】
図11に示す例は、画像読取装置が記録ドット解像度の2倍の解像度で画像を読み取った様子を示している。即ち、記録ドット解像度が600DPIであれば、画像の読取解像度は1200DPIである。従って、図11では実線が記録ドットを示し、点線が読み取られた画像の画素を示している。例えば、記録ドットにおけるN行M列の画素に相当する読み取られた画像の画素は、a11(N,M)、a12(N,M)、a21(N,M)、a22(N,M) の4画素で表わされ、それぞれの値はスキャナからの読み取り値を濃度換算したものである。
【0075】
さて、記録されたパッチに対して行単位での平均濃度を読み取られた画像データから算出する。行単位の平均濃度は、対象とする行の前後の行を含めたかたちで算出する。図11において、N行目の平均濃度は平均する対象となる列を256列とすると以下のように求められる。
【0076】
即ち、
【0077】
このようにして求めたD(N)を用いて濃度補正値を生成する。
【0078】
図12は濃度補正値の生成手順を説明するグラフである。
【0079】
図12において、曲線f1(x) は、8つのパッチから測定されたN行目の8つの濃度値D(N)を直線で線形補間したものである。なお、この曲線では濃度値“0”(即ち、インク吐出がない)に対応するパッチの濃度を0.0Dに正規化している。また、曲線f0(x) は目標濃度曲線を示している。図11によれば、入力値(X1)における補正値は次のように求める。即ち、(X1)時での目標濃度{f0(X1)}を実現できる補正前の入力値(X2)を求め、ここから(X1)での補正係数を(X1−X2)として求める。このような過程を“0”から“255”までの入力値に対して算出し、これを補正値と定義する。
【0080】
このような処理を各インクについて行い、ステップS5では各インク色の補正値からテーブルを生成して、これをテーブル処理部19に格納する。
【0081】
以上説明した実施形態(図7の構成)を従来例(図1の構成)と比較すると、この実施形態の2値化処理部は従来の構成に加えて、記録に用いる記録ヘッドのノズル位置によって選択されるテーブルから出力される差分補正値を用いて一度得られた2値化誤差を補正する減算部とを備えている。
【0082】
従って以上説明した実施形態に従えば、記録ヘッドのノズル毎のインクの吐出方向やインク吐出量のばらつきに応じた適切な補正を行ってより滑らかな階調表現を実現することができる。
【0083】
<第2実施形態>
ここでは第1実施形態で説明した構成の2値化処理部に含まれる差分補正を行なう減算部の代わりに積算部を用いる構成について説明する。
【0084】
図13は本発明の第3実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。この構成では、第1実施形態に従う2値化処理部の減算部18の代わりに積算部25が用いられている。
【0085】
以下の説明では、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0086】
積算部25には減算部3によって得られた差分(dOut1=(In+dIn)−Out)が入力される一方、テーブル処理部19からは第1実施形態と同様に入力多値画像データ(In)の値に対応した差分補正値(f(In))が入力される。そして、積算部25はこれらの入力値を積算して補正差分(dOut2=dOut1× f(In)))を出力する。この後、第1実施形態と同様の処理がなされる。
【0087】
図14は記録ヘッドのノズル位置情報に従って選択されるテーブル処理部19で用いられるテーブルの差分補正値の変化の例を表現した図である。図14において、横軸は入力多値画像データ(In)の値、縦軸は差分補正値(f(In))である。
【0088】
なお、この実施形態で用いる差分補正値は、第1の実施形態に従って得られた補正値(X1−X2)の代わりに補正値(X2/X1)として求め、これを積算部25で用いるようにする。
【0089】
従って以上説明した実施形態に従っても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
<第3実施形態>
ここでは第1〜第2実施形態で説明した構成の2値化処理部に含まれる差分補正を減算部や積算部やテーブル処理部を用いて実現する代わりに、3次元(3D)テーブルを用いて実現する構成について説明する。
【0091】
図15は本発明の第3実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【0092】
以下の説明では、第1〜第2実施形態との違いを中心に説明する。
【0093】
第1〜2実施形態と同様に減算部3で得られた2値化誤差(dOut)は、3Dテーブル33に出力される。この実施形態では、第1〜第2実施形態において分配係数7として言及した誤差拡散マトリックスと同様に、4×3のサイズの誤差拡散マトリックスを用いるが、以下に説明するように実質的に用いる拡散係数の数は6つである。また、第1〜第2実施形態では、差分(dOut) を誤差拡散マトリックスによって分配し、その結果得られた分配誤差を該当する蓄積誤差バッファ部4に加算蓄積した後、割算部5で正規化していたが、ここでは、その正規化処理までを3Dテーブル33で担当する。
【0094】
図16はこの実施形態に従う3Dテーブル33の構成を示す図である。図16において、30は誤差拡散マトリックスである。そして、この実施形態では、誤差拡散マトリックス15に収められている6つの分配係数a1〜a6の具体的な値は入力多値画像データの値と得られた差分(dOut)の値によって定められるようになっており、図16に示すように、入力多値画像データ値と差分(dOut)の値との関係が3Dテーブル形式として、6つの分配係数a1〜a6に対応して設けられている。
【0095】
なお、これら6つのテーブルの組が複数組、この実施形態では備えられており、予め作成され記憶されている、ノズル位置情報発生部24から入力される処理対象の記録ヘッドのノズル位置情報がロードされ、その情報に基づいて適切なテーブルの組が選択される。
【0096】
これらテーブル内の係数(gm(x,y,z))(m=1,6)によって、本発明の目的である記録ヘッドのノズル位置による記録濃度の変化を補正して記録濃度特性を線形にする為に、差分(dOut)値を入力多値画像データに応じて小さくしている。そのため、この実施形態では、入力多値画像データの値(x=In)と 差分値(y=dOut)とによって定められる6つの拡散誤差の総和Σgm(x,y,z)(m=1,6)が差分値(y) よりも大きくならない場合が多い。
【0097】
いずれにせよ、この実施形態では、入力多値画像データの値(x)と差分値(y)とノズル位置情報(z)が3Dテーブル33に入力されると、係数a1に対応する画素に対しては、g1(x,y,z) が、係数a2に対応する画素に対してはg2(x,y,z) 、順に、係数a3にはg3(x,y,z)、係数a4にはg4(x,y,z)、係数a5にはg5(x,y,z)、係数a6にはg6(x,y,z)が出力され、拡散誤差マトリックス15の分配係数a1〜a6の画素位置に対応する誤差蓄積バッファ4にその結果が加算蓄積される。
【0098】
最後に、誤差蓄積バッファ4から次に処理を行う画素(*)の値が拡散誤差(dIn) として加算部6に出力される。
【0099】
図17はこの実施形態に従う3Dテーブル33の別の構成を示す図である。図17において、30は誤差拡散マトリックスである。
【0100】
図17と図16とを比較すると分かるように、図17に示す3Dテーブルは入力多値画像データの値(x)と差分値(y)とノズル位置情報(z)があり得る全ての値に対して拡散誤差を定めたものではなく代表値に対して拡散誤差を定めたものである。そして、このテーブルを用いる場合、隣接する代表値から内部的に補間処理を行って各値に対する拡散誤差を出力する。この様な構成により、テーブルに必要なメモリ容量が少なくて良く、さらにテーブルをアクセスするためのアドレス数も少なくなりメモリの節約や処理の高速化につながる利点がある。
【0101】
さて、図17に示す例では、入力値(In) の代表値は、入力多値画像データがとり得る値0〜255において、等間隔(17)で16点の代表値から構成され、差分値(dOut) は、その値がとり得る−136〜391において、等間隔(17)で32点の代表値から構成されている。また、z方向はノズル位置情報である。なお、この例では、入力値、差分値共に実際にとり得る値を等間隔にサンプルした代表値で構成されているが、異なった間隔の値や等間隔でなく代表値をサンプルした構成によっても同じ効果が得られるのは言うまでもない。
【0102】
一例として、入力画像多値データの値(In)が“20”で、差分値(dOut)が“40”である場合について説明する。
【0103】
この場合、これらの入力値の近傍の代表値は、入力多値画像データの値(In)に対しては“17”と“34”であり、入力差分値(dOut)に対しては“34”と“51”である。従って、誤差拡散マトリックスの分配係数a1は、次のようにして、h1(17,34,z)、h1(34,34,z) 、h1(17,51,z) 、h1(34,51,z) の4点からの補間演算によって求める。
【0104】
まず、h1(20,34,z) とh1(20,51,z) を次の補間方法から求める。
【0105】
h1(20,34,z) =(14 × h1(17,34,z) + 3 × h1(34,34,z))/17……(1)
h1(20,51,z) =(14 × h1(17,51,z) + 3 × h1(34,51,z))/17……(2)
次に、式(1)と(2)によって得られたh1(20,34,z)とh1(20,51,z)からh1(20,40,z)を式(3)によって求める。
【0106】
h1(20,40,z) =(11 × h1(20,34,z) + 6 × h1(20,51,z))/17……(3)
このようにして、誤差拡散マトリックスの分配係数a1が得られる。
【0107】
同様にして、式(4)〜(6)を用いて、a2、a3、a4、a5、a6が得られる。
【0108】
即ち、hn(20,40,z)(m=2,3,4,5,6)に関して、
hm(20,34,z) =(14 × hm(17,34,z) + 3 × hm(34,34,z))/17……(4)
hm(20,51,z) =(14 × hm(17,51,z) + 3 × hm(34,51,z))/17……(5)
を計算し、次に、hm(20,34,z)とhm(20,51,z)から式(6)によってhm(20,40,z)を計算する。
【0109】
hm(20,40,z) =(11 × hm(20,34,z) + 6 × hm(20,51,z))/17……(6)
なお、以上説明した例では、3Dテーブルのサイズは削減されるが補間演算を必要とするので、その代わりに入力多値画像データ(In)のの量子化数を減らすことによって、3Dテーブルのメモリサイズを少なくしても良い。
【0110】
従って以上説明した実施形態に従えば、差分補正のための減算部や積算部が必要なく、差分補正は実質的にテーブル参照による変換処理だけとなるので、より簡単な構成で且つ高速に第1〜第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
<第4実施形態>
第1〜第3実施形態では記録ヘッドの全てのノズルに対する濃度補正情報をテーブルに記憶していたのに対し、この実施形態では、複数の濃度補正情報をノズル位置情報と対応させ、これら複数の濃度補正情報を切り替えて用いる例について説明する。なお、以下の説明では第1実施形態で説明した2値化処理部に対して適用する例を取り上げるが、ここで説明する方法では第2、第3実施形態にも同様に適用可能である。
【0112】
図18は本発明の第4実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【0113】
以下の説明では、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0114】
第1実施形態で既に説明ように、減算部3は比較部2への入力値(In+dIn)から比較部2からの出力値(Out)を減算して2値化誤差(dOut1=(In+dIn)−Out)を生成し、これを減算部18に入力する一方、ノズル位置情報発生部24では
256個のノズルを有した記録ヘッドにおいてどこのノズルを用いて記録するのかについてのノズル位置情報を発生する。なお、このノズル位置情報は、マルチパス記録モードにおけるパス数に応じて、例えば、1パス記録の場合は0〜255の値が、2パス記録の場合は0〜127の値が、4パス記録の場合は0〜63の値が周期的に発生する。そして、ノズル位置情報発生部24の出力は切替え部27に入力される。
【0115】
切替え部27には、複数の濃度補正情報を記憶しているテーブル処理部19で使用する濃度補正情報を選択する選択情報が予め記憶されており、ノズル位置情報に基づいてその選択情報をテーブル処理部19に出力して、処理に用いる補正情報を選択的に切り替える。
【0116】
図19はテーブル処理部19に格納された複数の濃度補正情報を表わす図である。図19において、横軸に入力データ(In)であり、縦軸に差分補正値(f(In)) である。
【0117】
図19に示されているように、Level1からLevel10で表されている10種類の濃度補正情報がテーブル処理部19には格納されている。従って、図19に示される1つ1つの差分補正値曲線が1つの濃度補正情報に対応している。
【0118】
図20は切替え部27に記憶されている、ノズル位置情報とテーブル処理部19で選択される濃度補正情報との対応関係を説明する表である。
【0119】
図20に示されているように、0〜255のノズル夫々にLevel1からLevel10の内の1つのLevelが対応付けられている。従って、ノズル位置情報によって図20に示した表が参照されると、そのノズル位置に対応した選択補正値レベルが取り出され、その値がテーブル処理部19に与えられる。例えば、現在処理されるノズル位置情報が“4”である場合は、図19に示す表が参照されて、選択補正値レベルとして、Level10が取り出され、その値がテーブル処理部19に与えられる。すると、テーブル処理部19では10種類の濃度補正情報の内、Level10で示された差分補正値曲線で表された濃度補正情報が選択される。
【0120】
従って、テーブル処理部19入力データ(In) が入力されると、その値に対応したLevel10での差分補正値(f(In)) が減算部18に出力され、減算部18からは補正差分(dOut2=dOut1−f(In)) が算出される。
【0121】
以降の処理は第1実施形態と同様である。
【0122】
次に、この実施形態に従う、記録に用いるインク単位でパッチパターンを記録して、そのパターンを読みとり、その読み取った情報から記録ヘッドのノズル毎の補正値を生成してテーブルを生成しテーブル処理部19に記憶させる手順について説明する。
【0123】
この実施形態では第1実施形態において図9に示すフローチャートを参照した記録濃度補正情報生成処理の内、ステップS4の処理は特有の処理なので、その点についてのみ説明する。ステップS4では、切替え部27、及びテーブル処理部19で使用する濃度補正情報を生成する。以下、シアンインクを代表として説明するが他のインクに対しても同様に濃度補正情報が生成される。
【0124】
まず、図12を参照して説明したように、N行目の濃度としてD(N)を求める。入力値“144”で記録された矩形パッチのD(N)の濃度値から濃度レベルをLevel1からLevel10に対応させて10段階に分割する。そして各ノズル位置情報と10段階の濃度レベル情報との対応関係を切替え部27に記憶させる。
【0125】
次に、10段階の濃度レベルの中で平均濃度を求め、以下の方法によりテーブル処理部19で用いる濃度補正データを生成する。
【0126】
図21は濃度補正情報の生成方法を説明した図である。
【0127】
図21において、曲線f1(x) は、8つのパッチから測定されたN行目の8つの濃度値D(N)を10段階に分割したものの内、濃度レベル1(Level1)の平均濃度を直線で線形補間したものである。なお、この曲線では濃度値“0”(即ち、インク吐出がない)に対応するパッチの濃度を0.0Dに正規化している。また、曲線f0(x) は目標濃度曲線を示している。同様に、曲線f2(x)は、濃度レベル2(Level2)を、一般に曲線fn(x) (但しnは、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10) は濃度レベルn(Leveln)を表わす。
【0128】
図21によれば、入力値(X1)における補正値は次のように求める。即ち、(X1)時での目標濃度{f0(X1)}を実現できる補正前の入力値(X2)を求め、ここから(X1)での補正係数を(X1−X2)として求める。このような過程を“0”から“255”までの入力値に対して算出し、これを補正値と定義する。
【0129】
従って以上説明した実施形態に従えば、ノズル位置情報と記録濃度のレベル情報との対応関係を格納したテーブルを備え、そのテーブルを参照してノズル位置に対応する選択補正値レベルを取り出し、その選択補正値レベルを用いて、テーブル処理部に格納された複数の濃度補正情報から適切なものを選択するので、全てのノズルに対応した濃度補正情報は不要となるので、テーブルを格納するために必要なメモリ容量が減少する。これにより、安価に2値化処理回路を実装することができるほか、占有メモリが削減するので、アクセス時間などの長くならず高速処理を実現することができる。
【0130】
<第5実施形態>
ここでは、第4実施形態で説明した2値化処理部のテーブル処理部のメモリサイズ削減を、入力値(In)の量子化数を減らすことによって実現する例について説明する。
【0131】
図22は、図7に示した2値化処理部の構成に量子化減少処理部26を加えた構成を示すブロック図である。
【0132】
この構成に従えば、量子化減少処理部26では、ビットシフト処理によって1画素8ビットの多値画像データを1画素6ビット(階調値0〜63)のデータに変換し、これをテーブル処理部19に出力する。
【0133】
この場合、8ビットデータのLSB側2ビットを落とすような処理をすれば、実質的には入力値(In)に対し等間隔(4)で代表値をサンプルする処理と同じになるが、例えば、量子化減少処理部26に入力8ビット出力6ビットのルックアップテーブルを用いれば、入力値(In)に対し、非線形、かつ任意の量子化減少処理を実施することができる。
【0134】
図23はルックアップテーブルによる変換処理の例を示す図である。
【0135】
従って以上説明した実施形態に従えば、入力値(In)の量子化数を減らすことによって、より簡単な構成で且つ高速に第4実施形態と同様の効果を得ることができる。また、大容量を必要とするテーブルのサイズを削減することにより、メモリ容量の削減も実現されるので装置コストの削減にも貢献する。
【0136】
なお、以上説明した実施形態では多値画像データの2値化による誤差拡散処理を例に説明したが本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、n値の多値画像データをm値の誤差拡散処理(3≦m<n)を行ないドット網点展開方法を用いて記録を行う場合にも本発明は同様に適用可能である。
【0137】
図24は、3値化処理方法を用いた3値化処理部の構成を示すブロック図である。図22と図24とを比較すると分かるように、図24に示す構成では、閾値設定部1の代わりに3値化のために2つの閾値を設定する閾値設定部1′を設け、比較部2の代わりに入力値(In+dIn)とその2つの閾値とを比較する比較部2′を設けるようにしている。
【0138】
<画像入出力システム>
ここでは上述したいくつかの実施形態に従うm値化処理装置が応用される画像入出力システムについて説明する。ここで、2≦m<nであり、nは入力多値画像データの各色成分の画像データを表すビット数である。
【0139】
図25は画像入出力システムの一般的な構成を示すブロック図である。
【0140】
カラースキャナ、デジタルカメラなどの入力装置1000で読み取った或いは生成された多値カラー画像データは、通常パーソナルコンピュータ1010を経て、CRT、PDP、或いはLCDなどのモニタ1020に出力されその画面にカラー画像が表示される。
【0141】
ユーザは、そのモニタ画面を見ながら、パーソナルコンピュータ1010に接続されたキーボード1030、スイッチ(SW)1040、ポインティングデバイス1050などを操作しながらレイアウト修正やRGB各色成分について色修正を行なう。
【0142】
このようにして、修正編集されたカラー画像データはパーソナルコンピュータ1010において、これから出力する出力装置(例えば、インクジェットプリンタ)1060で用いる記録媒体(例えば、記録用紙)の種類、記録モードに合わせて輝度濃度変換が実行され、RGBデータからCcMmYK成分からなる多値濃度データに変換される。
【0143】
このCcMmYK各色成分の多値濃度データは、前述したm値化処理部に入力されてm値化処理が行われ、CMYK各色成分m値化データが生成され、これらが出力装置1060(例えば、インクジェットプリンタ)に転送されてカラー画像が記録される。
【0144】
なお、図25ではm値化処理装置がパーソナルコンピュータ1010に組み込まれた例を示しているが、その代わりに出力装置1060の側に組み込まれていても良い。
【0145】
以上説明した実施形態では、誤差拡散処理が論理回路を用いて実行されるようなものとして説明したが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、近年におけるマイクロプロセッサ(MPU)の高性能化に伴って、誤差拡散処理をROMに格納されたプログラムをそのマイクロプロセッサが読みだして実行するようにして実現しても良い。
【0146】
この場合、そのマイクロプロセッサがパーソナルコンピュータ1010に内蔵されている構成でも良いし、デジタルカメラを直接接続してカラー画像を出力する出力装置(例えば、インクジェットプリンタ1060)の場合にはその出力装置にマイクロプロセッサが内蔵されるような構成でも良い。
【0147】
つまり本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0148】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0149】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、記録ヘッドの各インク吐出ノズルの吐出特性を考慮した濃度補正を行って視覚的に適した濃度特性を量子化誤差が少なく表現できるため、例えば、擬似輪郭のない優れた階調特性を実現できるという効果がある。
【0150】
さらに、安価で簡単な構成で高速な画像処理を行なうことができる。
【0151】
また本発明による構成では、画像処理全体での量子化数を増やさなくても優れた階調特性ができるため、本発明を実現する画像処理装置のメモリ容量を少なくしてその回路を実現でき、また本発明を実現する画像処理ソフトウェアを実行する際の占有メモリを少なくして、画像処理全体(カラー処理を含めた)の高速処理が可能になるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】誤差拡散処理の原理を説明するブロック図である。
【図2】誤差拡散処理により得られた2値データを用いて256個のノズルをもつ記録ヘッドからインクを吐出して画像を記録した場合に周期的に発生する濃度むらを示す図である。
【図3】図2に示した記録状態をライン単位で測定した濃度分布(濃度むら)を表わすグラフである。
【図4】誤差拡散処理により多値の画像データを2値化し、その2値化データを記録ヘッドを用いて画像を記録した時の記録濃度特性を示す図である。
【図5】従来の画像処理の概要を示すブロック図である。
【図6】ヘッド補正部13の機能詳細を説明したブロック図である。
【図7】本発明の第1実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】記録ヘッドのノズル位置に従ってテーブル変換部19で選択的に用いられるテーブルの差分補正値の変化の例を表現した図である。
【図9】記録濃度補正情報生成処理を示すフローチャートである。
【図10】“Level0”に対応する補正パラメータによって選択されたテーブルを用いて補正されたパッチパターンの画像を示す図である。
【図11】読み取った画像データの各画素を示す図である。
【図12】濃度補正値の生成手順を説明するグラフである。
【図13】本発明の第2実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図14】記録ヘッドのノズル位置情報に従って選択されるテーブル処理部19で用いられるテーブルの差分補正値の変化の例を表現した図である。
【図15】本発明の第3実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態に従う3Dテーブル33の構成を示す図である。
【図17】第3実施形態に従う3Dテーブル33の別の構成を示す図である。
【図18】本発明の第4実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図19】テーブル処理部19に格納された複数の濃度補正情報を表わす図である。
【図20】切替え部27に記憶されている、ノズル位置情報とテーブル処理部19で選択される濃度補正情報との対応関係を説明する表である。
【図21】濃度補正情報の生成方法を説明した図である。
【図22】本発明の第5実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図23】ルックアップテーブルによる変換処理の例を示す図である。
【図24】3値化処理方法を用いた3値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図25】画像入出力システムの一般的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 閾値設定部
2 比較部
3、18 減算部
4 誤差蓄積バッファ
5 割算部
6 加算部
7 分配係数
19 テーブル処理部
24 ノズル位置情報発生部
25 積算部
26 量子化減少処理部
27 切替え部
33 3Dテーブル
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理方法に関し、特に、多値画像データを高精細かつ高階調に表示及び記録する為の画像処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スキャナやディジタルカメラ等の入力装置で読み取った多値画像データをプリンタやディスプレイ等の出力装置に出力する画像入出力システムがある。
【0003】
そのシステムでは、入力装置で読み取った多値(例えば、1画素8ビットならば256階調)の画像データを出力装置が出力可能なようにn値化処理が行われてきた。例えば、出力装置が1画素についてON/OFFのみの2つの表現しか出きない場合には、2値化処理が行なわれてきた。この2値化処理の中で画像の解像度と階調表現に共に優れたものとして誤差拡散処理がある。
【0004】
ここで、従来の技術である誤差拡散の原理を図1を参照して説明する。
【0005】
図1は誤差拡散処理の原理を説明するブロック図である。
【0006】
入力装置で読み取った多値(例えば、1画素8ビットの階調が0〜255)の入力データ(In)には加算器6において割算部5の出力である周辺画素から拡散された誤差(dIn) が加算され、その結果得られた値(In+dIn) が比較部2に入力される。比較部2では、閾値設定部1から読み出された閾値(例えば、127)と(In+dIn)の値とを比較して、(In+dIn)>127である場合は、比較部2の出力値(Out)を“255”とし、(In+dIn)≦127である場合は、その出力値(Out)を“0”として出力する。
【0007】
このようにして出力値(Out)は2値データとなり、その値が“0”であることは(OFF)を意味し、“255”であることは“ON”を意味する。
【0008】
また、減算部3は、比較部2への入力値(In+dIn)から比較部2からの出力値(Out)を減算して、差分(dOut=(In+dIn)−Out)を算出してこれを2値化誤差(dOut)とする。2値化誤差(dOut)には、周辺画素への分配係数7が乗算され、その結果が誤差蓄積バッファ4に加算蓄積される。誤差蓄積バッファ4上の次に処理を行う画素(*)の値が割算部5に入力され、そこで分配係数の総和(この例では、“32”)で割算され正規化されて正規化誤差(dIn)として出力される。
【0009】
このように、誤差拡散処理とは、例えば、1画素8ビットの入力多値(In)を“0”または“255”の2値の出力値(Out)に変換する際に発生する差分を周辺画素に分配しマクロ的には入力値の値を保存する処理である。
【0010】
さて、従来のインクジェットプリンタ装置は、多値の画像データを上述のように2値の画像データに変換後、ピエゾ素子による圧力やインクをヒータで加熱し沸騰する圧力を利用し、記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う。この様なインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタという)に用いるインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)の製造上、記録ヘッドのインク吐出ノズル(以下、ノズルという)毎でインク吐出方向やインク吐出量にバラツキが発生する。このため、このような記録ヘッドを用いて記録を行うと、ノズル単位、或いは、画像データのライン単位で濃度むらが発生する。
【0011】
例えば、256個のノズルを有する記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復走査して記録を行う場合、1回の走査で256ライン分の画像データを用いて記録するなら、256ライン毎に周期的な濃度むらが発生する。また、マルチパス記録で記録を行う場合、例えば、2パス記録では128ライン毎に周期的な濃度むらが発生する。
【0012】
このような濃度むらの発生は、プリンタの用途がモノクロの文字が主となる文書記録の場合は大きな問題とならないが、例えば、デザイン事務所でのデザイン画の印刷、印刷校正のためのプルーフ印刷などにそのプリンタを用いる場合は、周期的に発生する濃度むらが大きな問題となる。
【0013】
図2は誤差拡散処理により得られた2値データを用いて256個のノズルをもつ記録ヘッドからインクを吐出して画像を記録した場合に周期的に発生する濃度むらを示す図である。この記録は3回の記録走査を行った例を示しており、1回の記録走査の範囲を1サイクルと表現している。
【0014】
図2には、4種類の均一な入力値(63、127、190、255)を用いて4つの矩形パッチ(左からパッチ1、パッチ2、パッチ3、パッチ4)を記録した状態が示されている。
【0015】
図3は、図2に示した記録状態をライン単位で測定した濃度分布(濃度むら)を表わすグラフである。
【0016】
図3において、横軸は記録ヘッドの256個のノズル位置を示し、0〜255のアドレスで表現されており、図2における1サイクルに相当する。また、縦軸はその位置での平均濃度(1走査分の各画素の濃度を平均したもの)を示している。
【0017】
さて、図2で示すような記録状態、図3で示すような濃度分布になるのは、ライン単位で巨視的には図4で示すような濃度特性となっているからである。
【0018】
図4は誤差拡散処理により多値の画像データを2値化し、その2値化データを記録ヘッドを用いて画像を記録した時の記録濃度特性を示す図である。
【0019】
図4において、横軸は誤差拡散処理のために入力される多値画像データの入力値を示し、縦軸は各入力値に対応するライン単位での平均濃度値を示している。
【0020】
また、図4において、特性曲線8は図3に示した低濃度位置での平均濃度記録特性を示し、特性曲線9は図3に示した高濃度位置での平均濃度記録特性を示し、特性曲線10は、特性曲線8、9を補正して同じ濃度記録特性にする為の目標特性曲線である。
【0021】
この説明では、目標特性曲線を濃度変化に対して線形となるように示しているが、特性曲線8を目標特性曲線にしたり、また他の曲線を目標特性曲線にしても構わない。要するに目標特性を定め、異なる記録ヘッドを用いて記録した場合も定めた目標特性になるように補正すればよい。
【0022】
図5は従来の画像処理の概要を示すブロック図である。
【0023】
この画像処理では、文字データやグラフィックデータや自然画データなどの種々のデータが用いられ、これらのデータをラスタ展開して1つの画像データに変換された後、画像変換処理がなされ記録ヘッドに入力される2値データが出力される。ここで、入力画像データは、RGB色成分からなる各成分が8ビットのデータであるとする。
【0024】
RGB各色成分のデータはCSC11に入力される。CSC11の入出力データはともにRGB各色成分のデータであり、CSC11には3次元ルックアップテーブル(3D−LUT)が備えられ、その3D−LUTを用いて入力カラー画像データに変換処理を施す。
【0025】
3D−LUTは入力RGBデータ各成分の17個の代表値に対応した出力RGBデータ値を記憶しており、入力RGB値に対してその入力値近傍の8点の代表値から四面体補間によって補間演算を行い出力RGB値を得る。CSC11の役割は、写真画像、グラフィック画像を表現するRGBデータをプリンタ固有のデバイス依存のRGBデータに変換するときのRGB空間上でのカラーマッチングである。CSC11から出力されたデバイス依存のRGBデータはCSC12に入力されインクジェットプリンタが使用するインク各色成分のデータに変換される。
【0026】
CSC12は入力データがRGB3成分で各成分が8ビットからなる画像データであり、出力データがCcMmYK(シアン、淡シアン、マゼンタ、淡マゼンタ、イエロ、ブラック)6成分で各成分が8ビットからなる画像データである。CSC12にも3次元ルックアップテーブル(3D−LUT)が備えられ、その3D−LUTを用いて入力画像データをインク各色の成分で表現されるカラー画像データに展開処理する。
【0027】
その3D−LUTは、入力RGBデータ各成分の17個の代表値に対応した出力CcMmYK濃度データ値を記憶しており、入力RGB値に対してその入力値近傍の8点の代表値から四面体補間によって補間演算を行い出力CcMmYK濃度データ値を得る。CSC12の役割は、デバイス依存のRGBデータを記録に用いるインク色(CcMmYK)の濃度信号に変換するのインク色展開である。インク各色に対応する成分に変換された各8ビットデータは、ヘッド補正部13に入力される。
【0028】
図6はヘッド補正部13の機能詳細を説明したブロック図である。
【0029】
図6において、15は記録ヘッド、16〜20はノズルである。ノズル16は図3に示すノズル位置の“0”に相当する位置のノズルであり、ノズル20は図3に示すノズル位置の“255”に相当するノズルである。また、図6の右側に示す曲線は各ノズルの濃度特性曲線である。
【0030】
さて、ヘッド補正部13は図6に示すように各ノズルに対応した256個の1次元のルックアップテーブル(1D−LUT)からなり、各1D−LUTには図4で示した様に記録ヘッドの各ノズルのインク吐出方向やインク吐出量のバラツキによって生じる記録濃度特性を目標特性に補正する為の関係が予め設定されている。そして、これら1D−LUTに対応する各インク色成分の濃度データが入力されると、1D−LUTによって目標濃度特性になるように変換される。そして各インク色濃度データは、2値化処理部14に入力され図1で説明した誤差拡散処理によって2値化に変換され、その2値化データにより記録ヘッドからインクを吐出し記録がなされる。
【0031】
このように従来は、2値化処理前でルックアップテーブルを用いた変換処理を行い記録ヘッドの特性ばらつきを吸収する濃度補正を行っている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0032】
【特許文献1】
特開2001−105697号公報
【特許文献2】
特開2002−019101号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例では、非線形なルックアップ変換処理を必要としていた為、量子化誤差が発生し、例えば、1画像8ビットの多値画像データを入力データとする場合、階調が256あるにもかかわらず、実際にはその256階調を表現できないという問題が発生していた。
【0033】
また、その量子化誤差が大きい場合は、形成画像上に擬似輪郭が発生し滑らかな階調を実現できないという問題も発生していた。
【0034】
さらに、従来例に従って256階調表現可能な線形の濃度特性を保証する為には、入力データ及び中間処理データのビット数を増やして実現することが必要であるが、回路構成上、8ビットデータを扱う場合に比べ、その回路ではゲート数の増加し、メモリが増加するなど構成が複雑になり安価なハードウェアを実現することが困難になる。
【0035】
また、入力データをソフトウェアを用いて処理する場合においても、メモリの占有率の増加などにより処理速度の低下が発生する。特に、記録媒体(その結果、形成画像サイズが)がB0サイズとなる大判プリンタなどでは、その処理速度の低下は甚だしいものがある。
【0036】
本発明は上記従来例とのその問題点に鑑みてなされたものであり、記録ヘッドの各ノズルからのインク吐出方向やインク吐出量にばらつきがあってもn値画像データを誤差拡散によるm値化によって濃度特性が線形の階調表現を実現し、階調特性の優れた高品位な画像形成を実現することができ、さらに簡単で安価な構成で高速な処理を実現する画像処理方法を提供することを目的としている。
【0037】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の画像処理方法は以下の構成からなる。
【0038】
即ち、n値画像データを誤差拡散処理を施して擬似中間調画像を形成するためのm値画像データ(2≦m<n)に変換する画像処理方法であって、前記n値画像データの各画素の値をm値化し、該m値化によって発生した誤差を生成する誤差発生工程と、前記擬似中間調画像の形成に用いるインクジェット記録ヘッドに備えられた複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性に従って、前記誤差発生工程において発生した誤差を補正する誤差補正工程と、前記誤差補正工程において補正された誤差を次の画素の誤差拡散処理にフィードバックするフィードバック工程とを有することを特徴とする画像処理方法を備える。
【0039】
また、本発明は、上記画像処理方法における各工程をコンピュータによって実行するために、コンピュータが実行可能なコードによって記述されたプログラムの形態であっても良い。
【0040】
さらに、そのプログラムは、コンピュータが読み取り可能であるように、コンピュータ可読の記憶媒体に格納するように備えられても良い。
【0041】
このようにして、プログラムや記憶媒体の形で本発明を実現することも可能である。
【0042】
またさらに、本発明は、上記画像処理方法を実行できる画像処理装置の形態であっても良い。
【0043】
即ち、n値画像データを誤差拡散処理を施して擬似中間調画像を形成するためのm値画像データ(2≦m<n)に変換する画像処理装置であって、
前記n値画像データの各画素の値をm値化し、該m値化によって発生した誤差を生成する誤差発生手段と、
前記擬似中間調画像の形成に用いるインクジェット記録ヘッドに備えられた複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性に従って、前記誤差発生手段によって発生した誤差を補正する誤差補正手段と、
前記誤差補正手段によって補正された誤差を次の画素の誤差拡散処理にフィードバックするフィードバック手段とを有することを特徴とするものである。
【0044】
【発明の実施の形態】
さて以上のような解決手段の構成をさらに詳しく言えば、前記誤差補正工程には、インクジェット記録ヘッドの複数のインク吐出ノズル各々に対応した補正量を格納した複数のテーブルを備え、擬似中間調画像の形成に用いられるインクジェット記録ヘッドのインク吐出ノズルの位置を表す情報に従って、これら複数のテーブルから1つを選択し、その選択されたテーブルを参照して、誤差補正量を出力する構成を備えることが望ましい。
【0045】
さらに前記誤差補正工程には、選択されたテーブルから出力される補正値を誤差発生工程において発生した誤差から減算して補正された誤差を出力する減算工程を含むようにしたり、或いは、選択されたテーブルから出力される補正値を誤差発生工程において発生した誤差に積算して補正された誤差を出力する積算工程を含むようにすると良い。
【0046】
一方、複数のインク吐出ノズル各々の対応した補正量は、インクジェット記録ヘッドを用いて異なる濃度をもつ複数のパッチ画像を記録媒体に記録し、これら複数のパッチ画像を読み取って実際の記録濃度を求めることにより取得しても良い。
【0047】
これら前記複数のテーブルは3次元テーブルの形式をとり、その3次元テーブルには、誤差拡散処理において用いる誤差拡散マトリクスの中に含まれる有意な係数の数だけを備える構成とすることが望ましく、さらには、これら3次元テーブル各々は、(1)入力されるn値画像データの値と誤差発生工程において発生した誤差と擬似中間調画像の形成に用いられるインクジェット記録ヘッドのインク吐出ノズルの位置を表す情報とから補正値が定められる構造となるようにするか、或いは(2)n値画像データのとり得る値からサンプルされた代表値と誤差発生工程において発生し得る誤差からサンプルされた代表値と擬似中間調画像の形成に用いられるインクジェット記録ヘッドのインク吐出ノズルの位置を表す情報とから補正値が定められる構造となるようにすると良い。
【0048】
後者の場合、その定められた補正値に対して補間処理を行って入力される多値画像データの値と誤差発生工程において発生した誤差とに対する補正された誤差を出力することが望ましい。
【0049】
また、前記誤差補正工程では、複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性を複数のレベルに分類し、これら複数のレベル各々に対応した補正量を格納した複数のテーブルを備えるようにし、擬似中間調画像の形成に用いられるインクジェット記録ヘッドのインク吐出ノズルの位置を表す情報に基づいて、その位置のインク吐出ノズルが上記複数のレベルのいずれに相当するかを判断し、その判断結果に基づいて複数のテーブルから1つを選択し、該選択されたテーブルを参照して、誤差補正量を出力するようにしても良い。この場合には、複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性を示すレベルを格納するテーブルが備えることが望ましい。
【0050】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0051】
これ以降に説明では、まず多値画像データを入力して誤差拡散処理を行なって2値化データを出力する2値化処理装置のいくつかの実施形態について説明し、最後にこの2値化処理装置が応用される画像入出力システムについて説明する。この画像入出力システムでは出力装置としてインクジェットプリンタが用いられ、インクジェット記録ヘッドがカラーインクを吐出してカラー画像を記録する。
【0052】
なお、いくつかの実施形態で説明する2値化処理装置の構成において、既に従来例において説明したのと同じ構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。また、説明を簡単にするために全ての2値化処理装置では1画素8ビット(0〜255の階調)の多値画像データを入力し、これを2値化し、その出力値(Out)は“255”或いは“0”とする。従来例と同様に、この出力2値データの値が“0”であることは(OFF)を意味し、“255”であることは“ON”を意味する。また、2値化のための閾値は“127”とする
<第1実施形態>
図7は本発明の第1実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。この2値化処理部は、従来技術が抱える課題を解決しつつ、図5におけるヘッド補正部13と2値化部14の機能を実現している。
【0053】
スキャナなどの入力装置でカラー画像原稿を読み取って得られたRGB多値画像データ(各色成分は8ビット)は通常モニタに表示後、装置利用者がそのモニタを見ながらレイアウト修正、及び、RGB空間上での色修正がなされる。その後、記録用紙の種類、記録モードに合わせた各インク色成分への分解が行われ、CcMmYK(各色成分は8ビット)の多値濃度データに変換される。これらCcMmYKの多値濃度データは夫々、2値化処理部に転送され2値化処理が行われ、2値化データを用いて記録がなされる。
【0054】
図7に示す2値化処理部では、CcMmYK6成分の濃度データの内、1成分の濃度データを処理する。他の5成分の濃度データ夫々についても同様の処理がなされる。
【0055】
図7に示す2値化処理部では、加算器6が多値画像データ(In) と割算部5からの出力である周辺画素からの拡散誤差(dIn)を入力してこれを加算し、その加算した値(In+dIn)を比較部2に入力する。比較部2では、閾値設定部1から読み出された閾値(127)と(In+dIn)の値を比較して、(In+dIn)>127であれば、出力値(Out)を“255”とし、(In+dIn)≦127であれば“0”とする。
【0056】
なお、閾値設定部1は、常に一定の閾値を発生しなくてもよく、誤差拡散処理特有のミミズ、はき寄せ状などのモアレパターンの発生を防止する為に、閾値設定部1に乱数テーブルを設け、所定の範囲内での閾値を発生するようにしても良い。
【0057】
また、減算部3は比較部2への入力値(In+dIn)から比較部2からの出力値(Out)を減算して2値化誤差(dOut1=(In+dIn)−Out)を生成し、これを減算部18に入力する。
【0058】
ノズル位置情報発生部24では、256個のノズルを有した記録ヘッドにおいてどこのノズルを用いて記録するのかについてのノズル位置情報を発生する。従って、このノズル位置情報は、256の周期的でインクを吐出する記録ヘッドのノズル位置に対応している。また、このノズル位置情報は、物理的なノズル位置をそのまま発生するのではなく、例えば、マルチパス記録モードにおけるパス数に応じて周期的な値が出力される。例えば、1パス記録の場合は、処理する画像データラインと対応したタイミングで0から255の値が周期的に発生する。また、2パス記録の場合は、0から127の値が周期的に処理する画像データラインと対応して発生する。同様に、4パス記録の場合は、0から63の値が周期的に発生する。
【0059】
一方、テーブル変換部19には入力多値画像データ(In)の各値と差分補正値(f(In))とが関係づけられた各ノズルに対応した256個のテーブルが格納されており、テーブル変換部19はノズル位置情報発生部24からノズル位置情報がロードされると、256個のテーブルの内、そのノズルに対応したテーブルを選択して用いるように設定する。
【0060】
そして、テーブル変換部19に多値画像データ(In)が入力されると、その値と記録ヘッドのノズル位置に対応した差分補正値(f(In))を減算部5に出力する。減算部18は減算部3から出力された差分(dOut1)から差分補正値(f(In))を減算し、その結果得られた補正差分(dOut2=dOut1−f(In))を誤差蓄積バッファ4に出力する。
【0061】
図8は記録ヘッドのノズル位置に従ってテーブル変換部19で選択的に用いられるテーブルの差分補正値の変化の例を表現した図である。図8において、横軸は入力多値画像データ(In)の値、縦軸は差分補正値(f(In))である。なお、実際には256個のテーブル夫々に対応して差分補正値の変化曲線が存在するのであるが、ここでは、その内の代表的な例のみを図示している。例えば、現在処理されるノズル位置情報が“4”の場合は、テーブル処理部19はノズル位置情報が“4”に対応したテーブルから得られる補正情報によって入力画像データに対して補正を行う。
【0062】
さて、その補正差分(dOut2)は誤差が拡散される周辺画素夫々に対応した分配係数7が周辺画素それぞれに乗算され、その乗算結果が周辺画素に対応した誤差蓄積バッファ4に加算蓄積される。誤差蓄積バッファ4において次に処理を行う画素(*)の値が割算部5に出力され、分配係数の総和(この例では、32)で除算され正規化され、その結果が拡散誤差(dIn)として加算部6に出力される。
【0063】
次に、記録に用いるインク単位でパッチパターンを記録して、そのパターンを読みとり、その読み取った情報から記録ヘッドのノズル毎の補正値を生成してテーブルを生成しテーブル処理部19に記憶させる手順について説明する。
【0064】
ここでは、記録ヘッドを用いて各インク色単位でパッチパターンを記録し、そのパッチをインクジェットプリンタに設けられたセンサ、又は濃度測定装置、スキャナなどで読み取り、その読み取り結果から補正値を生成し、この補正値からテーブルを生成して、テーブル処理部19に記憶させる。
【0065】
図9は記録濃度補正情報生成処理を示すフローチャートである。
【0066】
まず、ステップS1では、テーブル処理部19の全ての補正値を“0(補正なしを意味する)”に設定する。次に、ステップS2では、一度得られた2値化誤差を補正せずにパッチパターンの画像を記録する。
【0067】
図10は“Level0”に対応する補正パラメータによって選択されたテーブルを用いて補正されたパッチパターンの画像を示す図である。図10に示されているように、縦方向には各インク色単位のパッチが順にシアンインク、淡シアンインク、マゼンタインク、淡マゼンタインク、イエロインク、ブラックインクと並び、横方向には同じインクで異なる濃度のパッチが記録されている。
【0068】
横方向に第1列目のパッチは、インク吐出が安定する為に記録するパッチで濃度測定用には使用されない。ここでのパッチが示す濃度値は“255”である。続いて第2列目のパッチは、濃度値が“0”であり、インクが吐出されていない部分の濃度を測定するパッチ領域である。以下順に、左から右に各列のパッチの濃度値は、“36”、“72”、“108”、“144”、“180”、“216”、“255”である。
【0069】
また、各パッチ矩形の上端は、記録ヘッドのノズル位置が“0”のノズルを用いて記録しており、各パッチの縦方向サイズはノズル数の2倍分の長さ、即ち、512ノズル分の記録に相当する長さである。従って、矩形パッチ各々は、記録ヘッドの2サイクル分の記録がなされているのである。図10において“A”は1サイクルの記録幅に相当する。また、各インクのパッチ間には1サイクル分(256ノズル分)の空白領域が設けられている。
【0070】
これらのパッチを記録して所定時間が経過した後、ステップS3ではパッチ濃度を測定する。ここで所定時間後に濃度を測定するのは、記録用紙などの記録媒体上での濃度が記録直後では不安定であり、その濃度が記録後安定するまでの時間を待ち合わせるためである。
【0071】
この実施形態では合計8×6=48種類のパッチを、例えば、画像読取装置(スキャナ)を用いて読み取る。なお、このようなスキャナを用いずとも、プリンタに内蔵された吐出濃度補正の為のCCDセンサなどを用いて読み取りを行っても良い。
【0072】
測定濃度データに基づいてステップS4では濃度補正情報を生成する。ここでは、シアンインクを代表として説明するが他のインクも同様に処理することができる。
【0073】
図11は読み取った画像データの各画素を示す図である。
【0074】
図11に示す例は、画像読取装置が記録ドット解像度の2倍の解像度で画像を読み取った様子を示している。即ち、記録ドット解像度が600DPIであれば、画像の読取解像度は1200DPIである。従って、図11では実線が記録ドットを示し、点線が読み取られた画像の画素を示している。例えば、記録ドットにおけるN行M列の画素に相当する読み取られた画像の画素は、a11(N,M)、a12(N,M)、a21(N,M)、a22(N,M) の4画素で表わされ、それぞれの値はスキャナからの読み取り値を濃度換算したものである。
【0075】
さて、記録されたパッチに対して行単位での平均濃度を読み取られた画像データから算出する。行単位の平均濃度は、対象とする行の前後の行を含めたかたちで算出する。図11において、N行目の平均濃度は平均する対象となる列を256列とすると以下のように求められる。
【0076】
即ち、
【0077】
このようにして求めたD(N)を用いて濃度補正値を生成する。
【0078】
図12は濃度補正値の生成手順を説明するグラフである。
【0079】
図12において、曲線f1(x) は、8つのパッチから測定されたN行目の8つの濃度値D(N)を直線で線形補間したものである。なお、この曲線では濃度値“0”(即ち、インク吐出がない)に対応するパッチの濃度を0.0Dに正規化している。また、曲線f0(x) は目標濃度曲線を示している。図11によれば、入力値(X1)における補正値は次のように求める。即ち、(X1)時での目標濃度{f0(X1)}を実現できる補正前の入力値(X2)を求め、ここから(X1)での補正係数を(X1−X2)として求める。このような過程を“0”から“255”までの入力値に対して算出し、これを補正値と定義する。
【0080】
このような処理を各インクについて行い、ステップS5では各インク色の補正値からテーブルを生成して、これをテーブル処理部19に格納する。
【0081】
以上説明した実施形態(図7の構成)を従来例(図1の構成)と比較すると、この実施形態の2値化処理部は従来の構成に加えて、記録に用いる記録ヘッドのノズル位置によって選択されるテーブルから出力される差分補正値を用いて一度得られた2値化誤差を補正する減算部とを備えている。
【0082】
従って以上説明した実施形態に従えば、記録ヘッドのノズル毎のインクの吐出方向やインク吐出量のばらつきに応じた適切な補正を行ってより滑らかな階調表現を実現することができる。
【0083】
<第2実施形態>
ここでは第1実施形態で説明した構成の2値化処理部に含まれる差分補正を行なう減算部の代わりに積算部を用いる構成について説明する。
【0084】
図13は本発明の第3実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。この構成では、第1実施形態に従う2値化処理部の減算部18の代わりに積算部25が用いられている。
【0085】
以下の説明では、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0086】
積算部25には減算部3によって得られた差分(dOut1=(In+dIn)−Out)が入力される一方、テーブル処理部19からは第1実施形態と同様に入力多値画像データ(In)の値に対応した差分補正値(f(In))が入力される。そして、積算部25はこれらの入力値を積算して補正差分(dOut2=dOut1× f(In)))を出力する。この後、第1実施形態と同様の処理がなされる。
【0087】
図14は記録ヘッドのノズル位置情報に従って選択されるテーブル処理部19で用いられるテーブルの差分補正値の変化の例を表現した図である。図14において、横軸は入力多値画像データ(In)の値、縦軸は差分補正値(f(In))である。
【0088】
なお、この実施形態で用いる差分補正値は、第1の実施形態に従って得られた補正値(X1−X2)の代わりに補正値(X2/X1)として求め、これを積算部25で用いるようにする。
【0089】
従って以上説明した実施形態に従っても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
<第3実施形態>
ここでは第1〜第2実施形態で説明した構成の2値化処理部に含まれる差分補正を減算部や積算部やテーブル処理部を用いて実現する代わりに、3次元(3D)テーブルを用いて実現する構成について説明する。
【0091】
図15は本発明の第3実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【0092】
以下の説明では、第1〜第2実施形態との違いを中心に説明する。
【0093】
第1〜2実施形態と同様に減算部3で得られた2値化誤差(dOut)は、3Dテーブル33に出力される。この実施形態では、第1〜第2実施形態において分配係数7として言及した誤差拡散マトリックスと同様に、4×3のサイズの誤差拡散マトリックスを用いるが、以下に説明するように実質的に用いる拡散係数の数は6つである。また、第1〜第2実施形態では、差分(dOut) を誤差拡散マトリックスによって分配し、その結果得られた分配誤差を該当する蓄積誤差バッファ部4に加算蓄積した後、割算部5で正規化していたが、ここでは、その正規化処理までを3Dテーブル33で担当する。
【0094】
図16はこの実施形態に従う3Dテーブル33の構成を示す図である。図16において、30は誤差拡散マトリックスである。そして、この実施形態では、誤差拡散マトリックス15に収められている6つの分配係数a1〜a6の具体的な値は入力多値画像データの値と得られた差分(dOut)の値によって定められるようになっており、図16に示すように、入力多値画像データ値と差分(dOut)の値との関係が3Dテーブル形式として、6つの分配係数a1〜a6に対応して設けられている。
【0095】
なお、これら6つのテーブルの組が複数組、この実施形態では備えられており、予め作成され記憶されている、ノズル位置情報発生部24から入力される処理対象の記録ヘッドのノズル位置情報がロードされ、その情報に基づいて適切なテーブルの組が選択される。
【0096】
これらテーブル内の係数(gm(x,y,z))(m=1,6)によって、本発明の目的である記録ヘッドのノズル位置による記録濃度の変化を補正して記録濃度特性を線形にする為に、差分(dOut)値を入力多値画像データに応じて小さくしている。そのため、この実施形態では、入力多値画像データの値(x=In)と 差分値(y=dOut)とによって定められる6つの拡散誤差の総和Σgm(x,y,z)(m=1,6)が差分値(y) よりも大きくならない場合が多い。
【0097】
いずれにせよ、この実施形態では、入力多値画像データの値(x)と差分値(y)とノズル位置情報(z)が3Dテーブル33に入力されると、係数a1に対応する画素に対しては、g1(x,y,z) が、係数a2に対応する画素に対してはg2(x,y,z) 、順に、係数a3にはg3(x,y,z)、係数a4にはg4(x,y,z)、係数a5にはg5(x,y,z)、係数a6にはg6(x,y,z)が出力され、拡散誤差マトリックス15の分配係数a1〜a6の画素位置に対応する誤差蓄積バッファ4にその結果が加算蓄積される。
【0098】
最後に、誤差蓄積バッファ4から次に処理を行う画素(*)の値が拡散誤差(dIn) として加算部6に出力される。
【0099】
図17はこの実施形態に従う3Dテーブル33の別の構成を示す図である。図17において、30は誤差拡散マトリックスである。
【0100】
図17と図16とを比較すると分かるように、図17に示す3Dテーブルは入力多値画像データの値(x)と差分値(y)とノズル位置情報(z)があり得る全ての値に対して拡散誤差を定めたものではなく代表値に対して拡散誤差を定めたものである。そして、このテーブルを用いる場合、隣接する代表値から内部的に補間処理を行って各値に対する拡散誤差を出力する。この様な構成により、テーブルに必要なメモリ容量が少なくて良く、さらにテーブルをアクセスするためのアドレス数も少なくなりメモリの節約や処理の高速化につながる利点がある。
【0101】
さて、図17に示す例では、入力値(In) の代表値は、入力多値画像データがとり得る値0〜255において、等間隔(17)で16点の代表値から構成され、差分値(dOut) は、その値がとり得る−136〜391において、等間隔(17)で32点の代表値から構成されている。また、z方向はノズル位置情報である。なお、この例では、入力値、差分値共に実際にとり得る値を等間隔にサンプルした代表値で構成されているが、異なった間隔の値や等間隔でなく代表値をサンプルした構成によっても同じ効果が得られるのは言うまでもない。
【0102】
一例として、入力画像多値データの値(In)が“20”で、差分値(dOut)が“40”である場合について説明する。
【0103】
この場合、これらの入力値の近傍の代表値は、入力多値画像データの値(In)に対しては“17”と“34”であり、入力差分値(dOut)に対しては“34”と“51”である。従って、誤差拡散マトリックスの分配係数a1は、次のようにして、h1(17,34,z)、h1(34,34,z) 、h1(17,51,z) 、h1(34,51,z) の4点からの補間演算によって求める。
【0104】
まず、h1(20,34,z) とh1(20,51,z) を次の補間方法から求める。
【0105】
h1(20,34,z) =(14 × h1(17,34,z) + 3 × h1(34,34,z))/17……(1)
h1(20,51,z) =(14 × h1(17,51,z) + 3 × h1(34,51,z))/17……(2)
次に、式(1)と(2)によって得られたh1(20,34,z)とh1(20,51,z)からh1(20,40,z)を式(3)によって求める。
【0106】
h1(20,40,z) =(11 × h1(20,34,z) + 6 × h1(20,51,z))/17……(3)
このようにして、誤差拡散マトリックスの分配係数a1が得られる。
【0107】
同様にして、式(4)〜(6)を用いて、a2、a3、a4、a5、a6が得られる。
【0108】
即ち、hn(20,40,z)(m=2,3,4,5,6)に関して、
hm(20,34,z) =(14 × hm(17,34,z) + 3 × hm(34,34,z))/17……(4)
hm(20,51,z) =(14 × hm(17,51,z) + 3 × hm(34,51,z))/17……(5)
を計算し、次に、hm(20,34,z)とhm(20,51,z)から式(6)によってhm(20,40,z)を計算する。
【0109】
hm(20,40,z) =(11 × hm(20,34,z) + 6 × hm(20,51,z))/17……(6)
なお、以上説明した例では、3Dテーブルのサイズは削減されるが補間演算を必要とするので、その代わりに入力多値画像データ(In)のの量子化数を減らすことによって、3Dテーブルのメモリサイズを少なくしても良い。
【0110】
従って以上説明した実施形態に従えば、差分補正のための減算部や積算部が必要なく、差分補正は実質的にテーブル参照による変換処理だけとなるので、より簡単な構成で且つ高速に第1〜第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
<第4実施形態>
第1〜第3実施形態では記録ヘッドの全てのノズルに対する濃度補正情報をテーブルに記憶していたのに対し、この実施形態では、複数の濃度補正情報をノズル位置情報と対応させ、これら複数の濃度補正情報を切り替えて用いる例について説明する。なお、以下の説明では第1実施形態で説明した2値化処理部に対して適用する例を取り上げるが、ここで説明する方法では第2、第3実施形態にも同様に適用可能である。
【0112】
図18は本発明の第4実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【0113】
以下の説明では、第1実施形態との違いを中心に説明する。
【0114】
第1実施形態で既に説明ように、減算部3は比較部2への入力値(In+dIn)から比較部2からの出力値(Out)を減算して2値化誤差(dOut1=(In+dIn)−Out)を生成し、これを減算部18に入力する一方、ノズル位置情報発生部24では
256個のノズルを有した記録ヘッドにおいてどこのノズルを用いて記録するのかについてのノズル位置情報を発生する。なお、このノズル位置情報は、マルチパス記録モードにおけるパス数に応じて、例えば、1パス記録の場合は0〜255の値が、2パス記録の場合は0〜127の値が、4パス記録の場合は0〜63の値が周期的に発生する。そして、ノズル位置情報発生部24の出力は切替え部27に入力される。
【0115】
切替え部27には、複数の濃度補正情報を記憶しているテーブル処理部19で使用する濃度補正情報を選択する選択情報が予め記憶されており、ノズル位置情報に基づいてその選択情報をテーブル処理部19に出力して、処理に用いる補正情報を選択的に切り替える。
【0116】
図19はテーブル処理部19に格納された複数の濃度補正情報を表わす図である。図19において、横軸に入力データ(In)であり、縦軸に差分補正値(f(In)) である。
【0117】
図19に示されているように、Level1からLevel10で表されている10種類の濃度補正情報がテーブル処理部19には格納されている。従って、図19に示される1つ1つの差分補正値曲線が1つの濃度補正情報に対応している。
【0118】
図20は切替え部27に記憶されている、ノズル位置情報とテーブル処理部19で選択される濃度補正情報との対応関係を説明する表である。
【0119】
図20に示されているように、0〜255のノズル夫々にLevel1からLevel10の内の1つのLevelが対応付けられている。従って、ノズル位置情報によって図20に示した表が参照されると、そのノズル位置に対応した選択補正値レベルが取り出され、その値がテーブル処理部19に与えられる。例えば、現在処理されるノズル位置情報が“4”である場合は、図19に示す表が参照されて、選択補正値レベルとして、Level10が取り出され、その値がテーブル処理部19に与えられる。すると、テーブル処理部19では10種類の濃度補正情報の内、Level10で示された差分補正値曲線で表された濃度補正情報が選択される。
【0120】
従って、テーブル処理部19入力データ(In) が入力されると、その値に対応したLevel10での差分補正値(f(In)) が減算部18に出力され、減算部18からは補正差分(dOut2=dOut1−f(In)) が算出される。
【0121】
以降の処理は第1実施形態と同様である。
【0122】
次に、この実施形態に従う、記録に用いるインク単位でパッチパターンを記録して、そのパターンを読みとり、その読み取った情報から記録ヘッドのノズル毎の補正値を生成してテーブルを生成しテーブル処理部19に記憶させる手順について説明する。
【0123】
この実施形態では第1実施形態において図9に示すフローチャートを参照した記録濃度補正情報生成処理の内、ステップS4の処理は特有の処理なので、その点についてのみ説明する。ステップS4では、切替え部27、及びテーブル処理部19で使用する濃度補正情報を生成する。以下、シアンインクを代表として説明するが他のインクに対しても同様に濃度補正情報が生成される。
【0124】
まず、図12を参照して説明したように、N行目の濃度としてD(N)を求める。入力値“144”で記録された矩形パッチのD(N)の濃度値から濃度レベルをLevel1からLevel10に対応させて10段階に分割する。そして各ノズル位置情報と10段階の濃度レベル情報との対応関係を切替え部27に記憶させる。
【0125】
次に、10段階の濃度レベルの中で平均濃度を求め、以下の方法によりテーブル処理部19で用いる濃度補正データを生成する。
【0126】
図21は濃度補正情報の生成方法を説明した図である。
【0127】
図21において、曲線f1(x) は、8つのパッチから測定されたN行目の8つの濃度値D(N)を10段階に分割したものの内、濃度レベル1(Level1)の平均濃度を直線で線形補間したものである。なお、この曲線では濃度値“0”(即ち、インク吐出がない)に対応するパッチの濃度を0.0Dに正規化している。また、曲線f0(x) は目標濃度曲線を示している。同様に、曲線f2(x)は、濃度レベル2(Level2)を、一般に曲線fn(x) (但しnは、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10) は濃度レベルn(Leveln)を表わす。
【0128】
図21によれば、入力値(X1)における補正値は次のように求める。即ち、(X1)時での目標濃度{f0(X1)}を実現できる補正前の入力値(X2)を求め、ここから(X1)での補正係数を(X1−X2)として求める。このような過程を“0”から“255”までの入力値に対して算出し、これを補正値と定義する。
【0129】
従って以上説明した実施形態に従えば、ノズル位置情報と記録濃度のレベル情報との対応関係を格納したテーブルを備え、そのテーブルを参照してノズル位置に対応する選択補正値レベルを取り出し、その選択補正値レベルを用いて、テーブル処理部に格納された複数の濃度補正情報から適切なものを選択するので、全てのノズルに対応した濃度補正情報は不要となるので、テーブルを格納するために必要なメモリ容量が減少する。これにより、安価に2値化処理回路を実装することができるほか、占有メモリが削減するので、アクセス時間などの長くならず高速処理を実現することができる。
【0130】
<第5実施形態>
ここでは、第4実施形態で説明した2値化処理部のテーブル処理部のメモリサイズ削減を、入力値(In)の量子化数を減らすことによって実現する例について説明する。
【0131】
図22は、図7に示した2値化処理部の構成に量子化減少処理部26を加えた構成を示すブロック図である。
【0132】
この構成に従えば、量子化減少処理部26では、ビットシフト処理によって1画素8ビットの多値画像データを1画素6ビット(階調値0〜63)のデータに変換し、これをテーブル処理部19に出力する。
【0133】
この場合、8ビットデータのLSB側2ビットを落とすような処理をすれば、実質的には入力値(In)に対し等間隔(4)で代表値をサンプルする処理と同じになるが、例えば、量子化減少処理部26に入力8ビット出力6ビットのルックアップテーブルを用いれば、入力値(In)に対し、非線形、かつ任意の量子化減少処理を実施することができる。
【0134】
図23はルックアップテーブルによる変換処理の例を示す図である。
【0135】
従って以上説明した実施形態に従えば、入力値(In)の量子化数を減らすことによって、より簡単な構成で且つ高速に第4実施形態と同様の効果を得ることができる。また、大容量を必要とするテーブルのサイズを削減することにより、メモリ容量の削減も実現されるので装置コストの削減にも貢献する。
【0136】
なお、以上説明した実施形態では多値画像データの2値化による誤差拡散処理を例に説明したが本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、n値の多値画像データをm値の誤差拡散処理(3≦m<n)を行ないドット網点展開方法を用いて記録を行う場合にも本発明は同様に適用可能である。
【0137】
図24は、3値化処理方法を用いた3値化処理部の構成を示すブロック図である。図22と図24とを比較すると分かるように、図24に示す構成では、閾値設定部1の代わりに3値化のために2つの閾値を設定する閾値設定部1′を設け、比較部2の代わりに入力値(In+dIn)とその2つの閾値とを比較する比較部2′を設けるようにしている。
【0138】
<画像入出力システム>
ここでは上述したいくつかの実施形態に従うm値化処理装置が応用される画像入出力システムについて説明する。ここで、2≦m<nであり、nは入力多値画像データの各色成分の画像データを表すビット数である。
【0139】
図25は画像入出力システムの一般的な構成を示すブロック図である。
【0140】
カラースキャナ、デジタルカメラなどの入力装置1000で読み取った或いは生成された多値カラー画像データは、通常パーソナルコンピュータ1010を経て、CRT、PDP、或いはLCDなどのモニタ1020に出力されその画面にカラー画像が表示される。
【0141】
ユーザは、そのモニタ画面を見ながら、パーソナルコンピュータ1010に接続されたキーボード1030、スイッチ(SW)1040、ポインティングデバイス1050などを操作しながらレイアウト修正やRGB各色成分について色修正を行なう。
【0142】
このようにして、修正編集されたカラー画像データはパーソナルコンピュータ1010において、これから出力する出力装置(例えば、インクジェットプリンタ)1060で用いる記録媒体(例えば、記録用紙)の種類、記録モードに合わせて輝度濃度変換が実行され、RGBデータからCcMmYK成分からなる多値濃度データに変換される。
【0143】
このCcMmYK各色成分の多値濃度データは、前述したm値化処理部に入力されてm値化処理が行われ、CMYK各色成分m値化データが生成され、これらが出力装置1060(例えば、インクジェットプリンタ)に転送されてカラー画像が記録される。
【0144】
なお、図25ではm値化処理装置がパーソナルコンピュータ1010に組み込まれた例を示しているが、その代わりに出力装置1060の側に組み込まれていても良い。
【0145】
以上説明した実施形態では、誤差拡散処理が論理回路を用いて実行されるようなものとして説明したが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、近年におけるマイクロプロセッサ(MPU)の高性能化に伴って、誤差拡散処理をROMに格納されたプログラムをそのマイクロプロセッサが読みだして実行するようにして実現しても良い。
【0146】
この場合、そのマイクロプロセッサがパーソナルコンピュータ1010に内蔵されている構成でも良いし、デジタルカメラを直接接続してカラー画像を出力する出力装置(例えば、インクジェットプリンタ1060)の場合にはその出力装置にマイクロプロセッサが内蔵されるような構成でも良い。
【0147】
つまり本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0148】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0149】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、記録ヘッドの各インク吐出ノズルの吐出特性を考慮した濃度補正を行って視覚的に適した濃度特性を量子化誤差が少なく表現できるため、例えば、擬似輪郭のない優れた階調特性を実現できるという効果がある。
【0150】
さらに、安価で簡単な構成で高速な画像処理を行なうことができる。
【0151】
また本発明による構成では、画像処理全体での量子化数を増やさなくても優れた階調特性ができるため、本発明を実現する画像処理装置のメモリ容量を少なくしてその回路を実現でき、また本発明を実現する画像処理ソフトウェアを実行する際の占有メモリを少なくして、画像処理全体(カラー処理を含めた)の高速処理が可能になるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】誤差拡散処理の原理を説明するブロック図である。
【図2】誤差拡散処理により得られた2値データを用いて256個のノズルをもつ記録ヘッドからインクを吐出して画像を記録した場合に周期的に発生する濃度むらを示す図である。
【図3】図2に示した記録状態をライン単位で測定した濃度分布(濃度むら)を表わすグラフである。
【図4】誤差拡散処理により多値の画像データを2値化し、その2値化データを記録ヘッドを用いて画像を記録した時の記録濃度特性を示す図である。
【図5】従来の画像処理の概要を示すブロック図である。
【図6】ヘッド補正部13の機能詳細を説明したブロック図である。
【図7】本発明の第1実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】記録ヘッドのノズル位置に従ってテーブル変換部19で選択的に用いられるテーブルの差分補正値の変化の例を表現した図である。
【図9】記録濃度補正情報生成処理を示すフローチャートである。
【図10】“Level0”に対応する補正パラメータによって選択されたテーブルを用いて補正されたパッチパターンの画像を示す図である。
【図11】読み取った画像データの各画素を示す図である。
【図12】濃度補正値の生成手順を説明するグラフである。
【図13】本発明の第2実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図14】記録ヘッドのノズル位置情報に従って選択されるテーブル処理部19で用いられるテーブルの差分補正値の変化の例を表現した図である。
【図15】本発明の第3実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図16】第3実施形態に従う3Dテーブル33の構成を示す図である。
【図17】第3実施形態に従う3Dテーブル33の別の構成を示す図である。
【図18】本発明の第4実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図19】テーブル処理部19に格納された複数の濃度補正情報を表わす図である。
【図20】切替え部27に記憶されている、ノズル位置情報とテーブル処理部19で選択される濃度補正情報との対応関係を説明する表である。
【図21】濃度補正情報の生成方法を説明した図である。
【図22】本発明の第5実施形態に従う2値化処理方法を用いた2値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図23】ルックアップテーブルによる変換処理の例を示す図である。
【図24】3値化処理方法を用いた3値化処理部の構成を示すブロック図である。
【図25】画像入出力システムの一般的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 閾値設定部
2 比較部
3、18 減算部
4 誤差蓄積バッファ
5 割算部
6 加算部
7 分配係数
19 テーブル処理部
24 ノズル位置情報発生部
25 積算部
26 量子化減少処理部
27 切替え部
33 3Dテーブル
Claims (1)
- n値画像データを誤差拡散処理を施して擬似中間調画像を形成するためのm値画像データ(2≦m<n)に変換する画像処理方法であって、
前記n値画像データの各画素の値をm値化し、該m値化によって発生した誤差を生成する誤差発生工程と、
前記擬似中間調画像の形成に用いるインクジェット記録ヘッドに備えられた複数のインク吐出ノズル各々の吐出特性に従って、前記誤差発生工程において発生した誤差を補正する誤差補正工程と、
前記誤差補正工程において補正された誤差を次の画素の誤差拡散処理にフィードバックするフィードバック工程とを有することを特徴とする画像処理方法。
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