JP2004230467A - 基板付rig膜の切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は基板付RIG膜を切断するに際し、チッピングを100μm以下にするために有効な切断方法の提供を課題とする。
【解決手段】酸化鉛系フラックスに希土類−鉄ガーネット成分を溶かした融液にガドリニウムガリウムガーネット基板を付着させて該基板上に液相エピタキシャル法で製造された希土類鉄ガーネット膜を、基板付きのまま外周刃式のダイシングマシンにより切断する方法において、ダイシングブレードの材質を電鋳製とし、用いるダイヤモンド砥粒の粒径を5μm〜16μmとし、用いるダイヤモンド砥粒の密度を70%以上とする。
【選択図】 なし。
【解決手段】酸化鉛系フラックスに希土類−鉄ガーネット成分を溶かした融液にガドリニウムガリウムガーネット基板を付着させて該基板上に液相エピタキシャル法で製造された希土類鉄ガーネット膜を、基板付きのまま外周刃式のダイシングマシンにより切断する方法において、ダイシングブレードの材質を電鋳製とし、用いるダイヤモンド砥粒の粒径を5μm〜16μmとし、用いるダイヤモンド砥粒の密度を70%以上とする。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる光アイソレータ用ファラデー回転子の製造方法に関し、より具体的には光アイソレータ用ファラデー回転子に用いられる希土類鉄ガーネット膜の切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気光学素子のファラデー効果を利用した磁気光学デバイスが精力的に開発されている。その中でも特に、光通信において用いられる光源への戻り光を遮断するための光アイソレータや、発電所から消費者までの電力輸送経路である送電線や配電線に流れる電流の大きさを測定し異常を発見する光磁界センサや、変電所内の送電線等に流れる電流の大きさを測定し異常を発見する光磁界センサなどはすでに実用化段階に入り、より安価なものが求められてきている。
【0003】
磁気光学素子は希土類−鉄ガーネット膜(以下、単に「RIG膜」と示す。)を用いることが主流となっている。このRIG膜は通常液相エピタキシャル法(以下、単に「LPE法」と示す。)によって育成されている。LPE法によるRIG膜の育成は、フラックス成分である、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ホウ素と、ガーネット成分である希土類酸化物、酸化鉄場合によって非磁性元素の酸化物などを白金るつぼ中で融解し、融解温度を約950℃とし、融液中に例えばガドリニウム−ガリウム−ガーネット基板(以下、単に「GGG基板」と示す。)を付着させ、融液温度を約850℃とし、GGG基板上にRIG膜をエピタキシャル成長させて行う。こうして育成したRIG膜はこの後、各磁気光学デバイスに合わせて所望の膜厚で且つ、両面が鏡面になるように研磨加工する。研磨加工後反射防止膜が付与され、最後に各磁気光学デバイスに求められる所定の大きさのチップに切断されてファラデー回転子となる。この際、GGG基板は研磨で除去される。これはGGG基板とRIG膜との屈折率差によって生じるフレネル損失を避け、光アイソレータ用ファラデー回転子の透過率をできるだけ大きくするためである。
【0004】
大きなGGG基板上に製造されたRIG膜(以下、「基板付RIG膜」と示す。)をそのまま研磨加工してGGG基板を除去しようとすると、基板付RIG膜には反りがあるため、そのまま研磨すると周囲と中央部とで厚さが異なることになり、歩留まりが低下するという問題がある。この問題を解消すべく基板付きRIG膜を定型サイズに切断し、その後各定形サイズに切断された基板付RIG膜のGGG基板部を研磨加工して除去することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、光アイソレータに使用されるファラデー回転子は1mm以下から数mmである。よって、基板付きRIG膜をこの大きさに切断した後に研磨加工してGGG基板を除去することは作業性、効率化から適当でない。よって、基板付RIG膜を切断する前記定型サイズは10〜20mm程度とし、GGG基板を除去した後に反射防止膜を表面に設け、所望サイズに切断してファラデー回転子を得ることが適当である。
【0006】
基板付RIG膜を定型サイズにダイシングするには外周刃式のダイシングマシンあるいはワイヤソーを用いるが、切断作業にかかる時間が短いため外周刃式ダイシングマシンを使用することが一般的である。外周刃式ダイシングマシーンで基板付きRIG膜を切断する場合、何らかの手段でRIG膜をテーブルに固定する必要がある。固定方法としてはシリコンウエハやガラスなどの硬い保持基材の表面にワックスで固定して切断する方法(以下、単に「ワックスカット法」と示す)と、粘着テープに固定して切断する方法(以下、単に「テープカット法」と示す)とがある。
【0007】
テープカット法では、粘着テープで基板付きRIG膜をテーブルに張り付ける際に真空吸着するが、上記したように、基板付RIG膜には反りがあるため、この真空吸着により基板付RIG膜が割れることが多いという欠点がある。このため通常ワックスカット法が採用されている。
【0008】
外周刃式ダイシングマシンの切断に使用される外周刃(ダイシングブレード)は、レジン製のもの、メタル製のもの、電鋳製のもの等があり、切断する試料の性質によって使い分けられている。切断時のチッピングを小さくするには、硬くて、脆い材質を切断するにはレジン製のダイシングブレードが用いられ、柔らかいシリコン等の材質を切断するには電鋳製のダイシングブレードが向いていることが知られている。基板付RIG膜は硬く、脆いためレジンブレードでの切断が最適であると考えられるが、基板付RIG膜を切断する時、レジンブレードでは砥粒径、刃厚、回転数、送り速度等を最適化してもチッピングを100μm以下にすることが難しい。昨今ファラデー回転子の小型化にともない、チッピングによる光学有効面積の減少が問題になり、チッピングを100μm以下にすることが要求されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平02−006395号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は基板付RIG膜を切断するに際し、チッピングを100μm以下にするために有効な切断方法の提供を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、酸化鉛系フラックスに希土類−鉄ガーネット成分を溶かした融液にガドリニウムガリウムガーネット基板を付着させて該基板上に液相エピタキシャル法で製造された希土類鉄ガーネット膜を、基板付きのまま外周刃式のダイシングマシンにより切断する方法において、ダイシングブレードの材質を電鋳製とし、用いるダイヤモンド砥粒の粒径を5μm〜16μmとし、用いるダイヤモンド砥粒の密度を70%以上とすることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは基板付きRIG膜を切断するに適していないとされる電鋳ダイシングブレードでも、各種条件を選定することにより使用可能となるのではないかとの推定より、切断時に用いるダイヤモンド砥粒径とダイヤモンド砥粒密度とに着目してチッピング、チップ飛び、チップサイズ公差との関係を調べた。
【0013】
具体的には、下記条件に従い直径3インチの基板付きRIG膜各10枚をそれぞれ11mm角に切断してチッピング、チップ飛び、チップサイズ公差について調べた。11mm角の表裏面各8辺で最大のチッピングが100μm以下であるものを良品とし、チップサイズ公差は上記8辺の長さを測定して、11±0.02mmを良品とし、チップ飛びは11mm角の飛びで良否判定した。なお、ダイヤモンド砥粒密度とはダイシングブレードの断面における総面積とダイヤモンド砥粒の面積の比で現す。得られた、結果を表1、2に示した。
【0014】
試験1の条件
ダイヤモンド砥粒径:4〜6μm(#2000)、4〜8μm(#1700)5〜10μm(#1500)、8〜16(#1200)12〜25μm(#700)
ダイシングブレード外径:50mm
ダイヤモンドブレード厚み:100μm
ダイヤモンド砥粒密度:70%以上
【0015】
試験2の条件
ダイヤモンド砥粒径:5〜10μm(#1500)
ダイシングブレード外径:50mm
ダイヤモンドブレード厚み:100μm
ダイヤモンド砥粒密度:60%以下、70%以上
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
表1、2より用いるダイヤモンド砥粒径は5〜16μm、ダイヤモンド砥粒密度は密度70%以上が最適であることがわかった。
【0019】
【実施例】
次に実施例を用いて本発明をさらに説明する。
(実施例1)
白金坩堝中にフラックス成分としてPbO、Bi2O3、B2O3を、RIG成分としてGd2O3、Fe2O3、Al2O3、Ga2O3を組成調整して入れ、電気炉内で加熱して溶融し、融液を作製した。そして、この融液を電気炉内で950℃に加熱し、育成温度である810℃に降温後、融液表面に直径3インチのGGG基板を付着させ、該基板を100rpmで回転させて、基板の片面に厚さ550μmの組成(GdBi)3(FeAlGa)5O12のRIG膜を育成した。
【0020】
直径3インチのRIG膜を5枚育成後、基板付のまま外周刃式のダイシングマシン(ディスコ社製 型式DAD522)を用い、ダイシングブレードとして外径50mm、ブレード厚み100μm、ダイヤモンド砥粒として粒径5〜16μm、密度70%以上の電鋳ブレード(ディスコ社製 ZB108)を用いて、切断速度0.3mm/s、ブレード冷却水量1.8リットル/分で11mm角に切断した。切断した11mm角100枚のチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して11mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは11±0.05mmに入るものを良品とした。結果を表3に示した。表3よりわかるように収率100%で良品を得ることができた。
【0021】
(実施例2)
白金坩堝中にフラックス成分としてPbO、Bi2O3、B2O3を、RIG成分としてTb2O3、Yb2O3、Fe2O3を入れ、加熱溶融して融液を作製した。そして、この融液を電気炉内で950℃に加熱し、育成温度である830℃に降温後、融液表面に直径3インチのGGG基板を付着させ、該基板を100pmで回転させて、基板の片面に厚さ500μmの組成(YbTbBi)3Fe5O12のRIG膜を育成した。
【0022】
直径3インチのRIG膜を5枚育成後、基板付のまま外周刃式のダイシングマシン(ディスコ社製 型式522)を用い、ダイシングブレードとして外径50mm、ブレード厚み100μm、ダイヤモンド砥粒として粒径5〜16μm、密度70%以上の電鋳ブレード(ディスコ社製 ZB108)を用いて、切断速度0.3mm/s、ブレード冷却水量1.8リットル/分で11mm角に切断した。切断した11mm角100枚のチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して11mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは11±0.05mmに入るものを良品とした。結果を表3に示した。表3よりわかるように収率100%で良品を得ることができた。
【0023】
【表3】
【0024】
(実施例3)
直径3インチのRIG膜を5枚育成後、基板付のまま8mm角に切断した以外は実施例1と同様にして8mm角の基板付RIG膜を150枚得、これらのチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して8mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは8±0.05mmに入るものを良品とした。結果は収率100%で良品を得ることができた。
【0025】
(比較例1)
白金坩堝中にフラックス成分としてPbO、Bi2O3、B2O3を、RIG成分としてGd2O3、Al2O3、Fe2O3を入れ、加熱融解して融液を作製した。そして、この融液を電気炉内で950℃に加熱し、育成温度である860℃に降温後、融液表面に直径3インチのGGG基板を付着させ、この基板を30s周期で正逆100rpmで回転させて、基板の片面に厚さ550μmの組成(GdBi)3(FeAl)5O12のRIG膜を育成した。
【0026】
その後、電鋳製のダイシングブレードの代わりにレジン製のダイシングブレードを用いダイヤモンド砥粒を粒径5〜16μm、密度70%以上とした以外は実施例1と同様にして基板付RIG膜を切断し、切断した11mm角100枚のチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して11mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは11±0.05mmに入るものを良品とした。結果を表4に示した。
【0027】
(比較例2)
白金坩堝中にフラックス成分としてPbO、Bi2O3、B2O3を、RIG成分としてTb2O3、Yb2O3、Fe2O3を入れ、加熱溶融して融液を作製した。そして、この融液を電気炉内で950℃に加熱し、育成温度である830℃に降温後、融液表面に直径3インチのGGG基板を付着させ、該基板を100pmで回転させて、基板の片面に厚さ500μmの組成(YbTbBi)3Fe5O12のRIG膜を育成した。
【0028】
その後、電鋳製のダイシングブレードの代わりにレジン製のダイシングブレードを用いダイヤモンド砥粒を粒径5〜16μm、密度70%以上とした以外は実施例1と同様にして基板付RIG膜を切断し、切断した11mm角100枚のチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して11mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは11±0.05mmに入るものを良品とした。結果を表4に示した。
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】
以上のべたように、本発明によれば、
液相エピタキシャル法により製造された基板付ガーネット膜を、外周刃式のダイシングマシンを用いて切断するにさいして、ダイシングブレードを電鋳製とし、用いるダイヤモンド砥粒の径を5〜16μmの範囲のものとし、用いるダイヤモンド砥粒の密度を70%以上とする。この結果、チッピング、チップ飛びが抑制され、チップサイズ公差の小さいファラデー回転子を多数得ることが可能になった。
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられる光アイソレータ用ファラデー回転子の製造方法に関し、より具体的には光アイソレータ用ファラデー回転子に用いられる希土類鉄ガーネット膜の切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気光学素子のファラデー効果を利用した磁気光学デバイスが精力的に開発されている。その中でも特に、光通信において用いられる光源への戻り光を遮断するための光アイソレータや、発電所から消費者までの電力輸送経路である送電線や配電線に流れる電流の大きさを測定し異常を発見する光磁界センサや、変電所内の送電線等に流れる電流の大きさを測定し異常を発見する光磁界センサなどはすでに実用化段階に入り、より安価なものが求められてきている。
【0003】
磁気光学素子は希土類−鉄ガーネット膜(以下、単に「RIG膜」と示す。)を用いることが主流となっている。このRIG膜は通常液相エピタキシャル法(以下、単に「LPE法」と示す。)によって育成されている。LPE法によるRIG膜の育成は、フラックス成分である、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ホウ素と、ガーネット成分である希土類酸化物、酸化鉄場合によって非磁性元素の酸化物などを白金るつぼ中で融解し、融解温度を約950℃とし、融液中に例えばガドリニウム−ガリウム−ガーネット基板(以下、単に「GGG基板」と示す。)を付着させ、融液温度を約850℃とし、GGG基板上にRIG膜をエピタキシャル成長させて行う。こうして育成したRIG膜はこの後、各磁気光学デバイスに合わせて所望の膜厚で且つ、両面が鏡面になるように研磨加工する。研磨加工後反射防止膜が付与され、最後に各磁気光学デバイスに求められる所定の大きさのチップに切断されてファラデー回転子となる。この際、GGG基板は研磨で除去される。これはGGG基板とRIG膜との屈折率差によって生じるフレネル損失を避け、光アイソレータ用ファラデー回転子の透過率をできるだけ大きくするためである。
【0004】
大きなGGG基板上に製造されたRIG膜(以下、「基板付RIG膜」と示す。)をそのまま研磨加工してGGG基板を除去しようとすると、基板付RIG膜には反りがあるため、そのまま研磨すると周囲と中央部とで厚さが異なることになり、歩留まりが低下するという問題がある。この問題を解消すべく基板付きRIG膜を定型サイズに切断し、その後各定形サイズに切断された基板付RIG膜のGGG基板部を研磨加工して除去することが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
ところで、光アイソレータに使用されるファラデー回転子は1mm以下から数mmである。よって、基板付きRIG膜をこの大きさに切断した後に研磨加工してGGG基板を除去することは作業性、効率化から適当でない。よって、基板付RIG膜を切断する前記定型サイズは10〜20mm程度とし、GGG基板を除去した後に反射防止膜を表面に設け、所望サイズに切断してファラデー回転子を得ることが適当である。
【0006】
基板付RIG膜を定型サイズにダイシングするには外周刃式のダイシングマシンあるいはワイヤソーを用いるが、切断作業にかかる時間が短いため外周刃式ダイシングマシンを使用することが一般的である。外周刃式ダイシングマシーンで基板付きRIG膜を切断する場合、何らかの手段でRIG膜をテーブルに固定する必要がある。固定方法としてはシリコンウエハやガラスなどの硬い保持基材の表面にワックスで固定して切断する方法(以下、単に「ワックスカット法」と示す)と、粘着テープに固定して切断する方法(以下、単に「テープカット法」と示す)とがある。
【0007】
テープカット法では、粘着テープで基板付きRIG膜をテーブルに張り付ける際に真空吸着するが、上記したように、基板付RIG膜には反りがあるため、この真空吸着により基板付RIG膜が割れることが多いという欠点がある。このため通常ワックスカット法が採用されている。
【0008】
外周刃式ダイシングマシンの切断に使用される外周刃(ダイシングブレード)は、レジン製のもの、メタル製のもの、電鋳製のもの等があり、切断する試料の性質によって使い分けられている。切断時のチッピングを小さくするには、硬くて、脆い材質を切断するにはレジン製のダイシングブレードが用いられ、柔らかいシリコン等の材質を切断するには電鋳製のダイシングブレードが向いていることが知られている。基板付RIG膜は硬く、脆いためレジンブレードでの切断が最適であると考えられるが、基板付RIG膜を切断する時、レジンブレードでは砥粒径、刃厚、回転数、送り速度等を最適化してもチッピングを100μm以下にすることが難しい。昨今ファラデー回転子の小型化にともない、チッピングによる光学有効面積の減少が問題になり、チッピングを100μm以下にすることが要求されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平02−006395号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は基板付RIG膜を切断するに際し、チッピングを100μm以下にするために有効な切断方法の提供を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、酸化鉛系フラックスに希土類−鉄ガーネット成分を溶かした融液にガドリニウムガリウムガーネット基板を付着させて該基板上に液相エピタキシャル法で製造された希土類鉄ガーネット膜を、基板付きのまま外周刃式のダイシングマシンにより切断する方法において、ダイシングブレードの材質を電鋳製とし、用いるダイヤモンド砥粒の粒径を5μm〜16μmとし、用いるダイヤモンド砥粒の密度を70%以上とすることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは基板付きRIG膜を切断するに適していないとされる電鋳ダイシングブレードでも、各種条件を選定することにより使用可能となるのではないかとの推定より、切断時に用いるダイヤモンド砥粒径とダイヤモンド砥粒密度とに着目してチッピング、チップ飛び、チップサイズ公差との関係を調べた。
【0013】
具体的には、下記条件に従い直径3インチの基板付きRIG膜各10枚をそれぞれ11mm角に切断してチッピング、チップ飛び、チップサイズ公差について調べた。11mm角の表裏面各8辺で最大のチッピングが100μm以下であるものを良品とし、チップサイズ公差は上記8辺の長さを測定して、11±0.02mmを良品とし、チップ飛びは11mm角の飛びで良否判定した。なお、ダイヤモンド砥粒密度とはダイシングブレードの断面における総面積とダイヤモンド砥粒の面積の比で現す。得られた、結果を表1、2に示した。
【0014】
試験1の条件
ダイヤモンド砥粒径:4〜6μm(#2000)、4〜8μm(#1700)5〜10μm(#1500)、8〜16(#1200)12〜25μm(#700)
ダイシングブレード外径:50mm
ダイヤモンドブレード厚み:100μm
ダイヤモンド砥粒密度:70%以上
【0015】
試験2の条件
ダイヤモンド砥粒径:5〜10μm(#1500)
ダイシングブレード外径:50mm
ダイヤモンドブレード厚み:100μm
ダイヤモンド砥粒密度:60%以下、70%以上
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
表1、2より用いるダイヤモンド砥粒径は5〜16μm、ダイヤモンド砥粒密度は密度70%以上が最適であることがわかった。
【0019】
【実施例】
次に実施例を用いて本発明をさらに説明する。
(実施例1)
白金坩堝中にフラックス成分としてPbO、Bi2O3、B2O3を、RIG成分としてGd2O3、Fe2O3、Al2O3、Ga2O3を組成調整して入れ、電気炉内で加熱して溶融し、融液を作製した。そして、この融液を電気炉内で950℃に加熱し、育成温度である810℃に降温後、融液表面に直径3インチのGGG基板を付着させ、該基板を100rpmで回転させて、基板の片面に厚さ550μmの組成(GdBi)3(FeAlGa)5O12のRIG膜を育成した。
【0020】
直径3インチのRIG膜を5枚育成後、基板付のまま外周刃式のダイシングマシン(ディスコ社製 型式DAD522)を用い、ダイシングブレードとして外径50mm、ブレード厚み100μm、ダイヤモンド砥粒として粒径5〜16μm、密度70%以上の電鋳ブレード(ディスコ社製 ZB108)を用いて、切断速度0.3mm/s、ブレード冷却水量1.8リットル/分で11mm角に切断した。切断した11mm角100枚のチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して11mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは11±0.05mmに入るものを良品とした。結果を表3に示した。表3よりわかるように収率100%で良品を得ることができた。
【0021】
(実施例2)
白金坩堝中にフラックス成分としてPbO、Bi2O3、B2O3を、RIG成分としてTb2O3、Yb2O3、Fe2O3を入れ、加熱溶融して融液を作製した。そして、この融液を電気炉内で950℃に加熱し、育成温度である830℃に降温後、融液表面に直径3インチのGGG基板を付着させ、該基板を100pmで回転させて、基板の片面に厚さ500μmの組成(YbTbBi)3Fe5O12のRIG膜を育成した。
【0022】
直径3インチのRIG膜を5枚育成後、基板付のまま外周刃式のダイシングマシン(ディスコ社製 型式522)を用い、ダイシングブレードとして外径50mm、ブレード厚み100μm、ダイヤモンド砥粒として粒径5〜16μm、密度70%以上の電鋳ブレード(ディスコ社製 ZB108)を用いて、切断速度0.3mm/s、ブレード冷却水量1.8リットル/分で11mm角に切断した。切断した11mm角100枚のチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して11mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは11±0.05mmに入るものを良品とした。結果を表3に示した。表3よりわかるように収率100%で良品を得ることができた。
【0023】
【表3】
【0024】
(実施例3)
直径3インチのRIG膜を5枚育成後、基板付のまま8mm角に切断した以外は実施例1と同様にして8mm角の基板付RIG膜を150枚得、これらのチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して8mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは8±0.05mmに入るものを良品とした。結果は収率100%で良品を得ることができた。
【0025】
(比較例1)
白金坩堝中にフラックス成分としてPbO、Bi2O3、B2O3を、RIG成分としてGd2O3、Al2O3、Fe2O3を入れ、加熱融解して融液を作製した。そして、この融液を電気炉内で950℃に加熱し、育成温度である860℃に降温後、融液表面に直径3インチのGGG基板を付着させ、この基板を30s周期で正逆100rpmで回転させて、基板の片面に厚さ550μmの組成(GdBi)3(FeAl)5O12のRIG膜を育成した。
【0026】
その後、電鋳製のダイシングブレードの代わりにレジン製のダイシングブレードを用いダイヤモンド砥粒を粒径5〜16μm、密度70%以上とした以外は実施例1と同様にして基板付RIG膜を切断し、切断した11mm角100枚のチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して11mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは11±0.05mmに入るものを良品とした。結果を表4に示した。
【0027】
(比較例2)
白金坩堝中にフラックス成分としてPbO、Bi2O3、B2O3を、RIG成分としてTb2O3、Yb2O3、Fe2O3を入れ、加熱溶融して融液を作製した。そして、この融液を電気炉内で950℃に加熱し、育成温度である830℃に降温後、融液表面に直径3インチのGGG基板を付着させ、該基板を100pmで回転させて、基板の片面に厚さ500μmの組成(YbTbBi)3Fe5O12のRIG膜を育成した。
【0028】
その後、電鋳製のダイシングブレードの代わりにレジン製のダイシングブレードを用いダイヤモンド砥粒を粒径5〜16μm、密度70%以上とした以外は実施例1と同様にして基板付RIG膜を切断し、切断した11mm角100枚のチッピング、チップサイズ、チップ飛びを評価した。その後、基板を研磨除去し、RIG膜を光アイソレータとして使用する厚さ500μmになるまで両面を光学鏡面研磨し、表面、裏面に無反射コートを施して11mm角のファラデー回転子を作製してチッピング、チップサイズの良否判定を行った。チッピングは100μm以下を良品とし、チップサイズは11±0.05mmに入るものを良品とした。結果を表4に示した。
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】
以上のべたように、本発明によれば、
液相エピタキシャル法により製造された基板付ガーネット膜を、外周刃式のダイシングマシンを用いて切断するにさいして、ダイシングブレードを電鋳製とし、用いるダイヤモンド砥粒の径を5〜16μmの範囲のものとし、用いるダイヤモンド砥粒の密度を70%以上とする。この結果、チッピング、チップ飛びが抑制され、チップサイズ公差の小さいファラデー回転子を多数得ることが可能になった。
Claims (1)
- 酸化鉛系フラックスに希土類−鉄ガーネット成分を溶かした融液にガドリニウムガリウムガーネット基板を付着させて該基板上に液相エピタキシャル法で製造された希土類鉄ガーネット膜を、基板付きのまま外周刃式のダイシングマシンにより切断する方法において、ダイシングブレードの材質を電鋳製とし、用いるダイヤモンド砥粒の粒径を5μm〜16μmとし、用いるダイヤモンド砥粒の密度を70%以上とすることを特徴とする基板付RIG膜の切断方法。
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---|---|---|---|
JP2003018206A JP2004230467A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 基板付rig膜の切断方法 |
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- 2003-01-28 JP JP2003018206A patent/JP2004230467A/ja active Pending
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