JP2004230445A - マグネシウムダイカスト用金型 - Google Patents

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Taketoshi Ishida
武敏 石田
Sadaharu Matsumura
定晴 松村
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Honda Motor Co Ltd
Ahresty Corp
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Abstract

【課題】接合面を有するミッションケースをダイカスト鋳造する場合に、鋳造時において接合面の平面度を確保することができると共に、鋳造後に接合面を機械加工による後加工をせずとも接合面の平面度を確保することが可能なミッションケースを鋳造することができるマグネシウムダイカスト用金型を提供すること。
【解決手段】接合面2を有するミッションケースMをマグネシウム合金で鋳造するためのダイカスト用金型であって、上記接合面2に相当する部分が金型の型合わせ面PLに位置するように形成すると共に、湯口3を接合面2のフランジ部2aに相当する部位に設け、且つ上記湯口部3aの厚さHを製品肉厚以下から2/3以上の範囲に形成した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トランスミッションケース(以下、ミッションケースと称する。)を、マグネシウム合金を用いてダイカスト鋳造するためのダイカスト用金型に関し、更に詳しくは、特に接合面を有するミッションケースをマグネシウム合金で鋳造するためのダイカスト用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ミッションケースをダイカスト鋳造する場合、アルミニウムまたはその合金(以下、単にアルミニウム合金と称する。)を用いて量産鋳造された例はあるが、希土類及びカルシウム成分を含まない一般のマグネシウム合金であるAZ91D、AZ81等では欧州において一部量産の実績はあるものの、希土類及びカルシウム成分を含む耐熱マグネシウム合金を用いて量産鋳造された例はない。それは、マグネシウム合金がアルミニウム合金より凝固速度が速くアルミニウム合金を用いた場合と同様な湯口方案では健全で高精度の製品をダイカスト鋳造できないからである。
すなわち、マグネシウム合金の凝固速度はアルミニウム合金より約2倍速い速度で凝固するため、金型キャビティへの充填時間を短縮させようと溶湯の湯口速度を上げるとガスの巻き込みや鋳造欠陥が生じやすくなり、また凝固時間を遅らせようと充填時における金型の温度を高くすると焼き付が生じやすくなる。
【0003】
一方、アルミニウム合金を用いてミッションケースをダイカスト鋳造する場合、特に、分割されたミッションケースを含む他の部材と接合される接合面を有するミッションケースをダイカスト鋳造する場合には、接合面における平面度を確保すると同時に溶湯の湯流れ性を確保するために、図2に例示したごとく、金型のキャビティ形状を上記接合面2に相当する部分が金型キャビティの型合わせ面(パーティング面)PLに位置するように設計すると共に、湯口3’を上記接合面2に相当する部位に設けていた。その為、ミッションケースMを鋳造して金型から取り出し製品部から湯口部3a’を切り離した後に、切り離した湯口部3a’の痕跡を機械加工により削除して当該接合面2を平面に仕上げる必要があった。
尚、図中の3b’はゲート部を示す。
【0004】
また、アルミニウム合金を用いてミッションケースをダイカスト鋳造する場合には、鋳造して金型から取り出す際の変形防止を期するために離型性能に優れた黒鉛系の離型剤を使用しているが、マグネシウム合金にあっては黒鉛系の離型剤と水分が存在する雰囲気下において電気的腐食が生じるため、黒鉛系の離型剤を使用することが出来ないといった制約がある。
尚、本願出願人が知っている上記の先行技術は、文献公知発明に係るものではないため、本願明細書には先行技術文献情報を開示しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、接合面を有するミッションケースをダイカスト鋳造する場合に、接合面に相当する部分を金型キャビティの型合わせ面(パーティング面)に位置させて接合面における平面度を確保することができると共に、鋳造後に接合面を機械加工による後加工をせずとも接合面の平面度を確保することが可能なミッションケースを鋳造することができるマグネシウムダイカスト用金型を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成する本発明のマグネシウムダイカスト用金型は、接合面を有するトランスミッションケースを希土類及びカルシウム成分を含むマグネシウム合金で鋳造するためのダイカスト用金型であって、上記接合面に相当する部分が金型の型合わせ面に位置するように形成すると共に、湯口を前記接合面のフランジ部に相当する部位に設け、且つ上記湯口部の厚さを製品肉厚以下から2/3以上の範囲に形成してなることを特徴としたものである。
この際、キャビティを、当該キャビティで鋳造されたミッションケースが型開き時において固定金型側へ移行しやすいように形成すると共に、キャビティで鋳造されたミッションケースの取り出し時における当該ミッションケースの各部位における収縮変形分を考慮して形成することが好ましい。
更に、金型に塗布する離型剤としては黒鉛系以外のもの、例えば、高温付着性が良く離型性能に優れた雲母系やシリコーンオイル等の離型剤を使用することが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な好適実施例を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示実施例のものに限定されるものではなく、いろいろなバリエーションが考えられる。
尚、全図面を通して同様の部材または部分には同じ符号を付してある。
【0008】
図1は、金型で鋳造されたミッションケースMを模式的に示したものであり、(a)は正面から見た状態を現し、(b)は断面した状態を現す。
また、図中の符号1はミッションケースMのケース部であり、符号2は分割された他のミッションケースを含む他の部材を接合させるための接合面、符号3は湯口、符号4はビスケット部をそれぞれ示す。
【0009】
ミッションケースMは、この種のダイカスト鋳造に通常使用される希土類及びカルシウム成分を含むマグネシウム合金を用いて金型によりダイカスト鋳造される。
このダイカスト用金型は、ミッションケースMの接合面2に相当する部分が金型の型合わせ面PLに位置するように形成されると共に、湯口3が上記接合面2のフランジ部2aに相当する部位に形成される。従って、図1において、型合わせ面PLに対して右側が例えば固定金型となり、左側が例えば可動金型となる。
【0010】
この時、マグネシウム合金は凝固速度が速いためその湯流れをできるだけ良くして阻害しないように、接合面2のフランジ部2aに対して湯口3を斜め方向に設けると共に、金型キャビティの手前で湯道が広がる湯口部3aの厚さHを、製品(ミッションケースM)の肉厚以下から製品肉厚の2/3以上(概ね、アルミニウムダイカストの場合の2倍以上)の範囲に形成し、且つ湯口3にはアルミニウムダイカスト鋳造の場合のようにゲート部(図2の符号3b’を参照)を設けないようにする。このことにより、溶湯の湯口速度を30〜60m/sにしても所要量の溶湯を短時間でしかもガスの巻き込みや鋳造欠陥をほとんど発生することなく金型キャビティに充填することが可能となる。
【0011】
また、金型キャビティを、当該キャビティで鋳造されたミッションケースMが型開き時において固定金型側へ移行しやすいように形成して固定金型側に製品押出し機構を具備させると共に、キャビティで鋳造されたミッションケースMの取り出し時における当該ミッションケースの各部位における収縮変形分を考慮して形成するようにする。すなわち、ミッションケースMのように製品形状が複雑な場合には特に、金型キャビティから取り出した後、製品の各部位によって熱容量の相違による温度差が発生して均一な熱収縮が起こらなくなるために冷却過程で収縮変形が生じる。そこで、ミッションケースの各部位における熱収縮量を数値解析により計算で求めておき、その収縮変形分を予めキャビティ形状に折り込んで形成するものである。
【0012】
更に、金型キャビティの内面に塗布する離型剤としては黒鉛系以外のもの、具体的には例えば、高温付着性が良く離型性能に優れた雲母系やシリコーンオイル、タルク等の潤滑成分に、金型との密着性を上げるために水ガラスを加えてなる離型剤を使用することが好ましい。
【0013】
【発明の効果】
本発明に係るマグネシウムダイカスト用金型は斯様に、接合面を有するミッションケースを希土類及びカルシウム成分を含むマグネシウム合金で鋳造するためのダイカスト用金型であって、上記接合面に相当する部分が金型の型合わせ面に位置するように形成すると共に、湯口を前記接合面のフランジ部に相当する部位に設けてなるので、接合面を有するミッションケースをダイカスト鋳造する場合に、鋳造時において接合面の平面度を確保することができると共に、鋳造後に接合面を機械加工による後加工をせずともそのままで接合面の平面度を確保することが可能となる。
【0014】
しかも、上記湯口部の厚さを製品肉厚以下から2/3以上の範囲に形成してなるので、所要量の溶湯を短時間で且つガスの巻き込みや鋳造欠陥をほとんど発生することなく金型キャビティに充填することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の一例に係る金型で鋳造されたミッションケースを模式的に示したものであり、(a)は模式正面図、(b)は模式断面図。
【図2】従来例に係る金型で鋳造されたミッションケースを模式的に示したものであり、(a)は模式正面図、(b)は模式断面図。
【符号の説明】
M:ミッションケース PL:型合わせ面
1:ケース部 2:接合面
2a:フランジ部 3:湯口
3a:湯口部 4:ビスケット部

Claims (3)

  1. 接合面を有するトランスミッションケースを希土類及びカルシウム成分を含むマグネシウム合金で鋳造するためのダイカスト用金型であって、上記接合面に相当する部分が金型の型合わせ面に位置するように形成すると共に、湯口を前記接合面のフランジ部に相当する部位に形成し、且つ上記湯口部の厚さを製品肉厚以下から2/3以上の範囲に形成してなることを特徴とするマグネシウムダイカスト用金型。
  2. キャビティが、当該キャビティで鋳造されたトランスミッションケースが型開き時において固定金型側へ移行するように形成されていることを特徴とする請求項1記載のマグネシウムダイカスト用金型。
  3. キャビティが、当該キャビティで鋳造されたトランスミッションケースの取り出し時における当該トランスミッションケースの各部位における収縮変形分を考慮して形成されていることを特徴とする請求項1記載のマグネシウムダイカスト用金型。
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