JP2004237298A - 金属複合部品の製造方法 - Google Patents

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佑二 阿部
Katsuo Kurosawa
勝男 黒沢
Kazuo Arai
和夫 新井
Shokan Suzuki
詳観 鈴木
Hideto Jinbo
英人 神保
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Abstract

【課題】部品本体に押込み部品を埋め込んで構成された金属複合部品を低コストで製造し得る方法の提供。
【解決手段】(A)部品本体を成形するキャビティ3と、部品本体に埋め込まれる押込み部品12の一部をキャビティの所定位置に挿入可能に設けられた挿通孔6とを有する成形型1,2を用い、該成形型の挿通孔に押込み部品を挿入し、(B)次いでキャビティ内に、金属の液相線より低く固相線より高い温度範囲において該金属の固相と液相が混合した金属スラリーを充填し、(C)次いで該金属スラリーが凝固する前に、押込み部品の一部を挿通孔を通して金属スラリー内に圧入し、(D)次いで該金属スラリーが冷却固化後に成形型から部品本体に押込み部品が埋め込まれた金属複合部品を取り出す各工程を含む金属複合部品の製造方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム等の金属の半溶融・半凝固加工法によって作られる鋳造材に、鉄鋼製部材などの異種金属からなる部品を鋳造時に組み込んで製造される金属複合部品の製造方法に関する。本発明により得られる金属複合部品は、例えば自動車、船舶、航空機、軌道車両等の移動体の機械部品、エンジン、モータ、ポンプ等の構成部品、各種精密機械部品等に使用される。
【0002】
【従来の技術】
自動車、船舶、航空機、軌道車両等の移動体において、使用機械部品の軽量化は消費エネルギーの削減のため重要な課題である。また、使用素材がリサイクル可能なことも重要である。この他、固定式の機械部品でもリサイクル可能なことが必要であり、架台の小型化や作業の軽減のためにも機械部品の軽量化は重要な課題である。
耐食性があり、比重が小さく、比強度が大きく、軽量化とリサイクル性を兼ね備える材料としてアルミニウム合金がある。さらに、アルミニウム合金鋳造品は価格も安く、ニアネットシェイプで形状自由度が大きく、加工コストが安いことから機械部品として広く使用されている。
【0003】
アルミニウムの素形材として、ニアネットシェイプであるアルミニウムダイカストやスクイズキャストおよび重力鋳造等の成形方法で作られる鋳造品は各種用途に使用されている。以下、これらの方法で製造された製品をアルミ鋳造品と記す。これらのアルミ鋳造品は、筐体やカバーあるいは構造体、圧力部品、流体部品等として広く使用されている。
これらのアルミ鋳造品の中で、アルミ鋳造品本体に鉄鋼製軸形状部品を組み付ける場合がある。アルミ鋳造品に鉄鋼製固定軸を組み付ける場合、従来はアルミ鋳造品を精度を出すように切削穴明け加工し、この穴に鉄鋼製軸を圧入する方法、または鉄鋼製軸のキー溝とアルミ鋳造品のキー溝にキーを差し込で固定する方法、あるいはアルミ鋳造品に精度良く穴を切削加工し、この穴に鉄鋼製軸を挿入し、ネジで挟み付ける方法等が採用されている。
【0004】
また、アルミニウム合金の鋳造法として、従来のアルミニウム合金の溶湯を成形型に注入する鋳造法に代えて、アルミニウム合金の液相線より低く、固相線より高い温度範囲において、固相と液相とが混合し、柔らかなバター又はアイスクリーム程度の固さの金属スラリーとし、これを成形する方法が提案されている。
アルミニウム合金からなる金属スラリーを作る方法としては、ビレット鋳造時に電磁撹拌により粒状の固相をつくり、これを凝固し、その後必要に応じてこのビレットを切断し、液相線より低く、固相線より高い温度範囲に加熱して半溶融状態の柔らかなバター又はアイスクリーム程度の固さの金属スラリーとする方法がある。この方法はチクソ法、半溶融法あるいはSSF(Semi Solid Forming)と呼ばれている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、一度鋳造したアルミ塊を鍛造や圧延してひずみを与えて、液相線より低く、固相線より高い温度範囲に加熱して金属スラリーを得る方法がある。この方法はSIMA法と呼ばれている(例えば、非特許文献2,3参照。)。
この他、溶湯を冷却板に触れさせて結晶核を作り、その後温度制御により金属スラリーを作る方法、溶湯を温度コントロールされたケースの中で電磁撹拌して金属スラリーを作る方法、溶融を温度コントロールされたカップに落とし込み、カップ壁と接触により結晶核を発生させその後温度制御により金属スラリーを作る方法(例えば、特許文献5〜9参照)等が提案されている(例えば、特許文献1〜10参照。)。
【0005】
得られた金属スラリーは、横鋳込みや縦鋳込みのダイカストマシン及び高圧鋳造機、鍛造等の方法により加工され、ニアネット素形材とされる。このような金属スラリーを用いて成形した素形材は、溶湯から鋳造したダイカスト品や高圧鋳造品に比べて、鋳巣や酸化膜、ガスも少なく、機械的性質の引張り強度が大きく、伸びも大きくかつ安定し、疲労強度も高く、寸法精度が良く、金型寿命も長い等の特徴がある。すなわち前記素形材は一般の鋳造材よりも鍛造材に近い特性を有している。
【0006】
【非特許文献1】
(アルマックスのSSF法)Semi−Solid Forging at Alumax:Light Metal Age,Oct,(1994),p.32
【非特許文献2】
H.E.Pitts and H.V.Atokinson:ibid.,p.97
【非特許文献3】
鎌土、関原、大西、小島:軽金属、46(1996)2,p.77
【特許文献1】
特開平10−272548号公報
【特許文献2】
特開平11−239858号公報
【特許文献3】
特開2000−355206号公報
【特許文献4】
特開2001−113351号公報
【特許文献5】
特開2002−66707号公報
【特許文献6】
特許第3246273号公報
【特許文献7】
特許第3246296号公報
【特許文献8】
特許第3246319号公報
【特許文献9】
特許第3211754号公報
【特許文献10】
特許第3246363号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルミ鋳造品に鉄鋼製固定軸を組み付けた部品を製造する場合、アルミ鋳造品に精度良く穴切削加工を施すためには、かなりのコストと時間がかかる。また、鉄鋼製軸を穴に圧入するするにはプレス加工が必要であり、作業工程が複雑となり、製造コストも増加する。さらに、このプレス加工において、アルミ鋳造品は鋳造巣やポロシティが発生し易く、これらの内部欠陥があると、鉄鋼製軸の圧入により、穴縁にクラックが発生しやすい問題がある。
また、キーを圧入する方法でも圧入品のサイズは小さいが、クラックが発生する問題がある。このため圧入とネジ等で挟み付ける方式を併用しているケースが多い。これにより更に経済性が悪くなる。この他、切削油に濡れた切削屑が発生し、アルミニウムとしてリサイクル再生する場合も油煙やアルミニウムの燃焼も大気汚染上問題である。
【0008】
また、鉄鋼製の部品を型キャビティ内に設置しておき、アルミニウム合金の溶湯を型キャビティ内に注入または圧入してアルミ鋳造品を鋳造し、アルミ鋳造品に鉄鋼製部品を埋め込んだ複合材を一挙に製造しようとすると、鉄鋼製品とそれの接するアルミ鋳物面の間には必ず空隙が発生する。減圧中で鋳造すると空隙が狭くなることから、鉄鋼製品表面の酸化膜に付着した水分や空気が原因と推定されるが、空隙を完全に無くすることは工業的に困難である。この空隙によりアルミ鋳物品に鋳込んだ鉄鋼製部品は外力や温度変化により破断分離し易い問題がある。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、部品本体に押込み部品を埋め込んで構成された金属複合部品を低コストで製造し得る方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、
(A)部品本体を成形するキャビティと、部品本体に埋め込まれる押込み部品の一部をキャビティの所定位置に挿入可能に設けられた挿通孔とを有する成形型を用い、該挿通孔に押込み部品の少なくとも一部を挿入し、
(B)次いでキャビティ内に、金属の液相線より低く固相線より高い温度範囲において該金属の固相と液相が混合した金属スラリーを充填し、
(C)次いで該金属スラリーが凝固する前に、押込み部品の一部を金属スラリー内に圧入し、
(D)次いで該金属スラリーが冷却固化後に成形型から部品本体に押込み部品の一部が埋め込まれた金属複合部品を取り出す各工程を含むことを特徴とする金属複合部品の製造方法を提供する。
本発明の金属複合部品の製造方法において、前記金属スラリーがアルミニウム合金からなり、前記押込み部品が鉄鋼製であることが好ましい。
また前記(C)工程において、金属スラリーを充填後、5秒以内に押込み部品の一部を金属スラリー内に圧入することが好ましい。
さらに前記押込み部品の一部に凹部と凸部の一方または両方を設けてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の例)
図1は本発明の金属複合部品の製造方法を実施するのに好適な成形型の第1の例を示す断面図である。この成形型は、互いに接触する型閉め位置と所定間隔離間する型開き位置とをいずれか一方または両方が移動可能に設けられた第1成形型1と第2成形型2とを備えて構成されている。これら第1、第2成形型1,2には、製造するべき部品本体10の形状に合致するキャビティ3が形成されている。また第1、第2成形型1,2のいずれかの部位には、キャビティ3に連通する金属スラリー入口4が設けられ、さらに必要に応じて適所にキャビティ3内の空気を逃がすための孔が穿設されている。
【0012】
本例示においては、第2成形型2側に、押込み部品12をキャビティ3の所定位置に押し込むための挿通孔6が設けられ、第1成形型1側には押込み部品12の部品本体11から突出する部分を収納するための押込み部品用キャビティ7が設けられている。また前記挿通孔6には、該挿通孔6内に挿入された押込み部品12の基部13側を押圧してキャビティ3内に押し込むための押圧部材5が挿入される。この押圧部材5は、図示しない油圧シリンダー等の往復動機構の駆動部に接続されている。
【0013】
このキャビティ7内には、金属の液相線より低く固相線より高い温度範囲において該金属の固相と液相が混合した金属スラリーが充填される。この金属スラリーとしては、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金などの種々の金属材料を用いることができ、その中でも耐食性があり、比重が小さく、比強度が大きく、軽量化とリサイクル性を兼ね備えるアルミニウム合金が好ましい。またアルミニウム合金鋳造品は価格が安く、ニアネットシェイプで形状自由度が大きく、加工コストが安いことから、軽量化を図るべき機械部品として特に好適である。本発明において、アルミニウム合金としてはJIS規格または米国アルミニウム協会(AA)規格において規定された各種のアルミニウム合金、例えば純アルミニウム系、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Si系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系、Al−Cu−Si系、Al−Cu−Mg−Si系などのアルミニウム合金の中から適宜選択して使用することができる。
【0014】
また、本発明において用いられる押込み部品12は、前記キャビティ7内に充填される金属スラリーと異種の金属材料、例えば鉄鋼(炭素鋼)、ステンレス鋼、チタン合金、ニッケル基合金などの金属材料からなる部品、焼結超硬材料部品、アルミナやジルコニアなどのセラミックス製部品などの各種材料からなる部品を適用することができ、通常は鉄鋼製部品が用いられる。この押込み部品12の形状は、部品本体11内に埋め込まれる基部13と部品本体11から突出する部分とがあればよく、得られる金属複合部品10の使用用途に応じて適宜設定することができる。この押込み部品12の先端形状は半球や円錐、平坦いずれであってもよい。図1の例示では、円柱状の基部13からそれより小径の円柱状の軸が突出形成された鉄鋼製軸を用いている。
【0015】
この基部13の外表面には、該基部13をキャビティ3内に押し込んだ際、金属スラリーが導入される凹部または金属スラリーに包埋される凸部の一方または両方を設けてもよい。このような凹部または凸部を設けることで、該基部13と部品本体11との接合強度を高めることができ、部品本体11から押込み部品12が脱落するのを防止する効果が得られる。これらの凹部または凸部の形状や大きさ、個数は限定されず、基部13と部品本体11の寸法等に応じて適宜設定される。
また、固相と液相が混合した金属スラリーと押込み部品12の間には鋳込み圧力と相対すべりが発生するので、押込み部品12の表面の付着空気層を剥離し、更に密着性を高めたものと推定される。
【0016】
以下、本発明の一実施形態として、製造するべき部品本体11を半溶融成形法によって鋳造されるアルミニウム合金とし、押込み部品12として鉄鋼製の部品を用いて、図2に示すように部品本体11に押込み部品12の基部13が埋め込まれた構造の金属複合部品10を製造する場合を説明する。
【0017】
本発明の方法では、以下の(A)〜(D)の各工程を行って金属複合部品10を製造する:
(A)図1に示すように、部品本体11を成形するキャビティ3と、部品本体11に埋め込まれる押込み部品12の基部13をキャビティ3の所定位置に挿入可能に設けられた挿通孔6とを有する成形型1,2を用い、成形型2の挿通孔6に押込み部品12の基部13を挿入する工程;
(B)次いでキャビティ3内に、アルミニウム合金の液相線より低く固相線より高い温度範囲においてアルミニウム合金の固相と液相が混合した金属スラリーを充填する工程;
(C)次いで該金属スラリーが凝固する前に、押込み部品12の基部13を挿通孔6を通して金属スラリー内に圧入する工程;
(D)次いで該金属スラリーが冷却固化後に成形型1,2から部品本体11に押込み部品12が埋め込まれた金属複合部品10を取り出す工程。
【0018】
前記(A)工程において、押込み部品12を挿通孔6に配置するには、まず、第、第2成形型1,2を型閉め位置に移動させて図1に示す接触状態とし、次いで挿通孔6内に押込み部品12の先端側を挿入する。この押込み部品12の先端は、第1成形型1側の押込み部品用キャビティ7内に一部を挿入しておく。この時、押込み部品12の先端部より太い基部13は、挿通孔6内のキャビティ3との境界部に位置させておくことが望ましい。押込み部品12を図1に示すように設置することで、キャビティ3から挿通孔6への連通部が基部13により塞がれ、またキャビティ3から押込み部品用キャビティ7への連通部が押込み部品12により塞がれることで、キャビティ7に金属スラリーを充填した際に、該スラリーが挿通孔7及び押込み部品用キャビティ7内に流入するのを防止できる。押込み部品12の挿入は、油圧シリンダーや機械的なラックアンドピニオンなどの機構を用いて行うことができる。
【0019】
前記(B)工程において、キャビティ3内にアルミニウム合金の固相と液相とが混合された金属スラリーを充填する場合、金属スラリーの作製方法は、成形型1,2の金属スラリー入口4を通してキャビティ3内に射出または押出可能であればよく、例えば前記従来技術として挙げたチキソ法やSIMA法などの方法を用いて作製することができる。キャビティ3内に充填された金属スラリーは、キャビティ3内に一部を突き出して配置された押込み部品12を含むキャビティ3の全域に満たされる。
【0020】
前記工程(C)工程において、押込み部品12の基部13を挿通孔6を通して金属スラリー内に圧入するためには、前記(B)工程での金属スラリーにより鋳ぐるみ、射出圧力(鋳造圧力)上昇完了と同時、あるいは圧力上昇完了後5秒以内に圧入することが望ましい。基部13の圧入のタイミングが圧力上昇完了後5秒以内であれば、基部13が金属スラリー内を自由に移動でき、基部13の圧入によって周囲に余分な応力が残留することがない。また基部13の外表面に凹部や凸部が設けられていても、金属スラリーが流動してこれらの凹部に流入したり、凸部を包み込むことができる。基部13を圧入する際に、金属スラリーは部分的に凝固していてもよい。この基部13の金属スラリー内への押し込みは、押圧部材5を介して油圧シリンダーや機械的なラックアンドピニオンなどの機構を用いて行うことができる。
【0021】
前記工程(C)の終了後、成形型1,2を型締めしたまま、水や空気などの冷却材を流通させて成形型を冷やすことで、キャビティ3内の金属スラリーを完全に凝固させる。
金属スラリー凝固後、第1、第2成形型1,2を型開きし、成形型1,2内から製造された金属複合部品10を取り出す。
【0022】
図2は、本発明の方法により製造される金属複合部品の第1の例を示す図であり、この金属複合部品10は、アルミニウム合金からなる部品本体11の所定位置に鉄鋼製の押込み部品12の基部13が埋め込まれ、この基部13から突出した軸部分が基部13を介して部品本体11に強固に支持されている。
【0023】
金属スラリーを用いる半溶融鋳造法で作られる部品本体11は、金属スラリーの温度を該アルミニウム合金の凝固点近くに設定できるので、アルミニウム合金の溶湯から鋳造したダイカスト品や高圧鋳造品に比べて、鋳巣や酸化膜、ガスも少なく、機械的性質の引張り強度が大きく、伸びも大きくかつ安定し、疲労強度も高く、寸法精度が良く、金型寿命も長い等の特徴がある。すなわち一般の鋳造材よりも鍛造材に近い特性を有している。
また金属スラリーの温度を該アルミニウム合金の凝固点近くに設定できるので、アルミニウム合金の溶湯から鋳造したダイカスト品や高圧鋳造品に比べて熱収縮による影響を少なくすることができ、部品本体11と押込み部品12の基部13との境界部分にクラックを生じたり、押込み部品12に歪みが生じることがなく、アルミニウム合金製の部品本体11に鉄鋼製の押込み部品12を埋め込んで強固に保持することができる。
【0024】
本発明の方法によれば、金属スラリーを鋳造する際に押込み部品を金属スラリー内に押し込み、その後金属スラリーを凝固させる簡単な製造工程によって、部品本体に押込み部品が埋め込まれ、押込み部品が部品本体に強固に保持された金属複合部品を製造できるので、部品本体に別部材を挿入するための穴明け加工を施して組み合わせて構成した複合部品と比べ、同等の金属複合部品をより低コストで製造することができる。
【0025】
(第2の例)
図3は本発明の金属複合部品の製造方法を実施するのに好適な成形型の第2の例を示す断面図である。この成形型は、前述した成形型の第1の例と同じく、互いに接触する型閉め位置と所定間隔離間する型開き位置とをいずれか一方または両方が移動可能に設けられた第1成形型1と第2成形型2とを備えて構成されている。これら第1、第2成形型1,2には、製造するべき部品本体10の形状に合致するキャビティ3が形成されている。また第1、第2成形型1,2のいずれかの部位には、キャビティ3に連通する金属スラリー入口4が設けられ、さらに必要に応じて適所にキャビティ3内の空気を逃がすための孔が穿設されている。
【0026】
本例示においては、第1成形型1側に成形型外表面からキャビティ3に達する、挿通孔となる押込み部品用キャビティ7が設けられ、この押込み部品用キャビティ7内に丸棒状の押込み部品12が挿入されている。押込み部品用キャビティ7には、挿入された押込み部品12の一端を押圧して他端部をキャビティ3内に押し込むための押圧部材5が挿入される。この押圧部材5は、図示しない油圧シリンダー等の往復動機構の駆動部に接続されている。
【0027】
本例による成形型は、前述した第1の例と同様に、以下の(A)〜(D)の各工程を行って金属複合部品20を製造することができる:
(A)図3に示すように、部品本体11を成形するキャビティ3と、部品本体11に埋め込まれる丸棒状の押込み部品12の一部をキャビティ3の所定位置に挿入可能に設けられた押込み部品用キャビティ7とを有する成形型1,2を用い、成形型1の押込み部品用キャビティ7に押込み部品12を挿入する工程;
(B)次いでキャビティ3内に、アルミニウム合金の液相線より低く固相線より高い温度範囲においてアルミニウム合金の固相と液相が混合した金属スラリーを充填する工程;
(C)次いで該金属スラリーが凝固する前に、押込み部品12を押込み部品用キャビティ7を通してキャビティ3側に押し込んで、埋込部品12の一部をキャビティ3に充填された金属スラリー内に圧入する工程;
(D)次いで該金属スラリーが冷却固化後に成形型1,2から部品本体11に押込み部品12の一部が埋め込まれた金属複合部品20を取り出す工程。
前記(A)〜(D)の各工程は、前述した第1の例における工程(A)〜(D)と同様に行うことができる。
【0028】
図4は、本発明の方法により製造される金属複合部品の第2の例を示す図であり、この金属複合部品20は、アルミニウム合金からなる部品本体11の所定位置に丸棒状の押込み部品12の一部が埋め込まれ、部品本体11に強固に支持されている。
【0029】
本例の方法によれば、前述した第1の例と同様に、金属スラリーを鋳造する際に押込み部品12の一部を金属スラリー内に押し込み、その後金属スラリーを凝固させる簡単な製造工程によって、部品本体11に押込み部品12の一部が埋め込まれ、押込み部品12が部品本体11に強固に保持された金属複合部品20を製造できるので、部品本体11に別部材を挿入するための穴明け加工を施して組み合わせて構成した複合部品と比べ、同等の金属複合部品をより低コストで製造することができるなどの優れた効果が得られる。
【0030】
なお、本発明は前記各例示に限定されることなく種々の変更が可能である。
例えば成形型の構造は、図1及び図3に示すように左右に対をなす第1,第2成形型に限定されることなく、製造するべき金属複合部品の形状や大きさに合わせて適宜変更することができる。
また、押込み部品は1つでなく、部品本体に複数個埋め込む構成としてもよい。
さらに、金属複合部品の部品本体と押込み部品とを前記例示によるアルミニウム合金と鉄鋼との組み合わせ以外の材料としてもよく、例えばアルミニウム合金に代えてマグネシウム合金や銅合金を使用でき、鉄鋼に代えてチタン合金やセラミック製部品を用いることもできる。
【0031】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、金属スラリーを鋳造する際に押込み部品を金属スラリー内に押し込み、その後金属スラリーを凝固させる簡単な製造工程によって、部品本体に押込み部品が埋め込まれ、押込み部品が部品本体に強固に保持された金属複合部品を製造できるので、部品本体に別部材を挿入するための穴明け加工を施して組み合わせて構成した複合部品と比べ、同等の金属複合部品をより低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属複合部品の製造方法を実施するのに好適な成形型の第1の例を示す断面図である。
【図2】本発明方法により得られた金属複合部品の第1の例を示す断面図である。
【図3】本発明の金属複合部品の製造方法を実施するのに好適な成形型の第2の例を示す断面図である。
【図4】本発明方法により得られた金属複合部品の第2の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…第1成形型(成形型)、2…第2成形型(成形型)、3…キャビティ、4…金属スラリー入口、5…押圧部材、6…挿通孔、7…押込み部品用キャビティ、10…金属複合部品、11…部品本体、12…押込み部品、13…基部、20…金属複合部品。

Claims (4)

  1. (A)部品本体を成形するキャビティと、部品本体に埋め込まれる押込み部品の一部をキャビティの所定位置に挿入可能に設けられた挿通孔とを有する成形型を用い、該挿通孔に押込み部品の少なくとも一部を挿入し、
    (B)次いでキャビティ内に、金属の液相線より低く固相線より高い温度範囲において該金属の固相と液相が混合した金属スラリーを充填し、
    (C)次いで該金属スラリーが凝固する前に、押込み部品の一部を金属スラリー内に圧入し、
    (D)次いで該金属スラリーが冷却固化後に成形型から部品本体に押込み部品の一部が埋め込まれた金属複合部品を取り出す各工程を含むことを特徴とする金属複合部品の製造方法。
  2. 前記金属スラリーがアルミニウム合金からなり、前記押込み部品が鉄鋼製であることを特徴とする請求項1記載の金属複合部品の製造方法。
  3. 前記(C)工程において、金属スラリーを充填後、5秒以内に押込み部品の一部を金属スラリー内に圧入することを特徴とする請求項1又は2記載の金属複合部品の製造方法。
  4. 前記押込み部品の一部に凹部と凸部の一方または両方を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属複合部品の製造方法。
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JP2008301568A (ja) * 2007-05-29 2008-12-11 Mitsubishi Electric Corp かご形回転子、誘導電動機及びかご形回転子の製造方法
CN114833324A (zh) * 2021-02-01 2022-08-02 丰田自动车株式会社 与嵌入件接合的铸造件及锻造件的制造方法
CN115430822A (zh) * 2021-06-03 2022-12-06 丰田自动车株式会社 铸造装置
CN115430822B (zh) * 2021-06-03 2024-05-14 丰田自动车株式会社 铸造装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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