JP2004202539A - 金属鋳造品の穴加工法 - Google Patents

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佑二 阿部
Katsuo Kurosawa
勝男 黒沢
Kazuo Arai
和夫 新井
Shokan Suzuki
詳観 鈴木
Hideto Jinbo
英人 神保
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Abstract

【課題】穴をもつ金属鋳造品を簡単かつ低コストで製造できる金属鋳造品の穴加工法の提供。
【解決手段】金属の液相線温度より低く固相線温度より高い温度範囲において該金属の固相と液相とが混合した金属スラリー3を作製し、これを成形型1のキャビティ2に充満させた後、鋳造圧力を必要圧まで上昇させ、この圧力上昇完了と同時または圧力上昇完了から金属スラリーが凝固するまでの間に、成形型に設けられたピン通路から穴形成用のピン4をキャビティ内のスラリーに押し込み、次いで該スラリーの凝固前に該ピンを抜き出し、その後型開して鋳造物を離型し、所望位置に穴を設けた金属鋳造品を得ることを特徴とする金属鋳造品の穴加工法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属鋳造品の穴加工法に関し、特に液体や気体及びその混合物の流路や回路を形成するブロックやバルブスタンド、バルブ部品、シリンダー部品、圧力ポンプ部品、コンプレッサー部品などの穴のあるアルミニウム合金製部品の製造に好適な成形加工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車、船舶、航空機、軌道車両等の移動体において、使用機械部品の軽量化は消費エネルギーの削減のため重要な課題である。また、使用素材がリサイクル可能なことも重要である。この他、固定式の機械部品でもリサイクル可能なことが必要であり、架台の小型化や作業付加の軽減のためにも機械部品の軽量化は重要な課題である。
耐食性があり、比重が小さく、比強度が大きく、軽量化とリサイクル性を兼ね備える材料としてアルミニウム合金がある。さらに、アルミニウム合金鋳造品は価格も安く、ニアネットシェイプで形状自由度が大きく、加工コストが安いことから機械部品として広く使用されている。
機械部品の中で液体や気体及びその混合物(超臨界流体も含む)の流路や回路を形成するブロックやバルブスタンド、バルブ部品、シリンダー部品、圧力ポンプ部品、コンプレッサー部品、あるいはこれらの部品の結合した部品、さらに機能を複合した部品等にもアルミニウム合金鋳造品は使用されている。
【0003】
アルミニウム合金鋳物は、大別して砂型鋳物と金型鋳物があり、ここでは金型鋳造法による金型鋳物を対象とする。金型鋳造法には、重力金型鋳造法や低圧力鋳造法およびダイカスト法、高圧鋳造法(溶湯鍛造法、スクイズ法)などがある。金型鋳造法を用い、穴のある鋳物を得るには、成形型のキャビティ内に円柱状のピンを置いておき、キャビティ内に溶湯を流し、固めて離型する鋳抜き法が適用されている。ピンは型に固定した固定ピンやピンを型開閉に合わせて傾斜ダイや油圧シリンダー、あるいはラックとピニオンによりピンを動かす方式の引き抜き中子(ピン)がある。これらの固定ピンや引き抜き中子ピンは、いずれも溶湯が流入する時点ではピンが型内の所定位置にあり、溶湯の凝固後にピンを抜く鋳抜き方式である。ピンを抜くタイミングは、型開の前に抜く方式と型開に合わせて抜く方式、型開後に抜く方式等がある。
【0004】
また、アルミニウム合金の鋳造法として、従来のアルミニウム合金の溶湯を成形型に注入する鋳造法に代えて、アルミニウム合金の液相線より低く、固相線より高い温度範囲において、固相と液相とが混合し、柔らかなバター又はアイスクリーム程度の固さの金属スラリーとし、これを成形する方法が提案されている。
アルミニウム合金からなる金属スラリーを作る方法としては、ビレット鋳造時に電磁撹拌により粒状の固相をつくり、これを凝固し、その後必要に応じてこのビレットを切断し、液相線より低く、固相線より高い温度範囲に加熱して半溶融状態の柔らかなバター又はアイスクリーム程度の固さの金属スラリーとする方法がある。この方法はチクソ法、半溶融法あるいはSSF(Semi Solid Forming)と呼ばれている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、一度鋳造したアルミ塊を鍛造や圧延してひずみを与えて、液相線より低く、固相線より高い温度範囲に加熱して金属スラリーを得る方法がある。この方法はSIMA法と呼ばれている(例えば、非特許文献2,3参照。)。
この他、溶湯を冷却板に触れさせて結晶核を作り、その後温度制御により金属スラリーを作る方法、溶湯を温度コントロールされたケースの中で電磁撹拌して金属スラリーを作る方法、溶融を温度コントロールされたカップに落とし込み、カップ壁と接触により結晶核を発生させその後温度制御により金属スラリーを作る方法等が提案されている(例えば、特許文献1〜10参照。)。
得られた金属スラリーは、横鋳込みや縦鋳込みのダイカストマシン及び高圧鋳造機、鍛造等の方法により加工され、ニアネット素形材とされる。このような金属スラリーを用いて成形した素形材は、溶湯から鋳造したダイカスト品や高圧鋳造品に比べて、鋳巣や酸化膜、ガスも少なく、機械的性質の引張り強度が大きく、伸びも大きくかつ安定し、疲労強度も高く、寸法精度が良く、金型寿命も長い等の特徴がある。すなわち前記素形材は一般の鋳造材よりも鍛造材に近い特性を有している。
【0005】
【非特許文献1】
アルマックスのSSF法(Semi-Solid Forging at Alumax):Light Metal Age,Oct,(1994),p.32
【非特許文献2】
H.E.Pitts and H.V.Atokinson:ibid.,p.97
【非特許文献3】
鎌土、関原、大西、小島:軽金属、46(1996)2,p.77
【特許文献1】
特開平10−272548号公報
【特許文献2】
特開平11−239858号公報
【特許文献3】
特開2000−355206号公報
【特許文献4】
特開2001−113351号公報
【特許文献5】
特開2002−66707号公報
【特許文献6】
特許第3246273号公報
【特許文献7】
特許第3246296号公報
【特許文献8】
特許第3246319号公報
【特許文献9】
特許第3211754号公報
【特許文献10】
特許第3246363号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
金型鋳物の鋳抜き穴のサイズが穴径φ8mm以上の場合、ピンの中に冷却水用の穴加工が可能であるため、穴の長さに関わりなく鋳抜き法で加工できるが、穴径φ8mm未満ではピン内に冷却水用の穴を加工するのが実質上不可能となり、冷却水の流通ができないことから、穴径の約4倍長さ以上の深い穴は鋳抜くことができなくなる。すなわち、油圧回路等に使われる穴径φ4mmやφ3mm等では穴深さの限界はφ4mmで穴径の3倍、φ3mmで穴径の2.5倍程度であり、それ以上の深さの穴は金型鋳物の鋳抜き方式ではピンの寿命が短くなり使用できない(社団法人日本ダイカスト協会:ダイカストの標準(設計編),7,(1997)参照)。このため、小径で深い穴を形成するためには、ドリルやリーマー、ミーリング等の切削用具を用いた切削加工を施している。
しかしながら、切削加工の場合もφ5mm以下で深さ50mmを超える、小径で深い穴の切削はドリル寿命が短く、切削は困難であり、生産コストの上昇につながる問題があった。また鋳造品の大きさを切削加工の経済性を考慮した大きさに制限し、切削加工後に組み付けして、一体物とする場合も多く、この場合には生産コストの上昇及び重量増をまねく問題がある。
また、この重量軽減策の一例として、自動車のブレーキ・キャリパーにおいてアルミニウム合金板よりロール成形や電磁溶接、切断、曲げ加工等により中空細管を作り、所定の流体回路の一部とし、重力金型鋳造時に所定の位置に鋳込む方法も提案され実行されている。この場合にはアルミニウム合金板の溶解を防ぐため表面に酸化皮膜をつけたり、ロール成形と電磁溶接による中空細管を作る費用が掛かり、重量軽減策にはなるものの、経済的に優れているとは言えない(日経BP社:日経メカニカル,56,2001,5,no560参照)。
このように、従来はアルミニウム合金金型鋳物中にφ8mm以下の小径で深い穴を加工し、流体回路を形成するために切削加工が用いられており、その結果生産コストが増加する問題がある。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、穴をもつ金属鋳造品を簡単かつ低コストで製造できる金属鋳造品の穴加工法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、金属の液相線温度より低く固相線温度より高い温度範囲において該金属の固相と液相とが混合した金属スラリーを作製し、これを成形型のキャビティに充満させた後、鋳造圧力を必要圧まで上昇させ、この圧力上昇完了と同時または圧力上昇完了から金属スラリーが凝固するまでの間に、成形型に設けられたピン通路から穴形成用のピンをキャビティ内のスラリーに押し込み、次いで該スラリーの凝固前に該ピンを抜き出し、その後型開して鋳造物を離型し、所望位置に穴を設けた金属鋳造品を得ることを特徴とする金属鋳造品の穴加工法を提供する。
本発明の方法において、前記金属はアルミニウム合金であることが好ましい。
また、前記ピンは直径8mm以下であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の方法の実施形態を説明する。
図1〜5は本発明に係る金属鋳造品の穴加工法の一実施形態を工程順に説明する図であり、これらの図中、符号1は成形型、2はキャビティ、3は金属スラリー、4は穴形成用のピンである。
【0010】
この金属スラリーとしては、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金などの種々の金属材料を用いることができ、その中でも耐食性があり、比重が小さく、比強度が大きく、軽量化とリサイクル性を兼ね備えるアルミニウム合金が好ましい。またアルミニウム合金鋳造品は価格が安く、ニアネットシェイプで形状自由度が大きく、加工コストが安いことから、軽量化を図るべき機械部品として特に好適である。本発明において、アルミニウム合金としてはJIS規格または米国アルミニウム協会(AA)規格において規定された各種のアルミニウム合金、例えば純アルミニウム系、Al-Cu系、Al-Mn系、Al-Si系、Al-Mg系、Al-Mg-Si系、Al-Zn-Mg系などのアルミニウム合金の中から適宜選択して使用することができる。
【0011】
成形型1は、一般にアルミニウム合金等の金属の鋳造に用いられる金型を使用することができる。ただし、成形型1には、製造する金属鋳造品10の所定位置に穴を形成するためのピン4を挿入するためのピン通路が穿設されている。
図1〜3に示す成形型1は、型閉、型開が可能な成形型本体に、製造する金属鋳造品10形成用のキャビティ2と、該キャビティ2内に金属スラリー3を圧入させるゲート6と、該キャビティ2内の空気を排出するエアベント7と、キャビティ2から溢れ出た金属スラリー3を貯留するオーバーフロー部8と、前記ピン通路とが形成されている。
【0012】
このゲート6は、図示しない金属スラリー供給部に接続され、キャビティ2内に製造した金属スラリー3を供給して充満させるとともに、キャビティ2内に所望の圧力(鋳造圧力)を付与できるように構成されている。液相線温度よりも低く固相線温度よりも高い温度の固相と液相の混ざった金属スラリーを作る方法は、半溶融法、半凝固法、SIMA法又はその他の方法でも良く、金型内に射出または押出可能であり、液相線温度と固相線温度との間の温度で固相と液相とが混ざった状態のスラリーであればよく、その製造方法は問わない。
【0013】
前記ピン4は、その後端側をピン保持具5を介して図示しない往復動機構の駆動端に接続されており、この往復動機構を駆動することによって、ピン通路内を進退可能になっている。この往復動機構としては、油圧シリンダー、機械的なラックアンドピニオンなどの従来周知の各種機構を選択して用いることができる。
ピン4の挿入方向は、成形型1と成形型1を取り付ける成形装置の配置等の制限で決まり、多方向から差し込んでもよい。ピン4の本数は何本でもよく、太いピンや多数本のピンを挿入する場合には、図1〜3に示すようにキャビティ2にエアベント7付きのオーバーフロー8(湯溜まり)を設けておくことが望ましい。
【0014】
このピン4の材質は、工具鋼、耐熱ステンレス鋼、超硬材、ジルコニア等のセラミック、表面処理ピンなどを用いることができ、一般にはSKD61等の熱間工具鋼製やSKD61に表面窒化処理を施したものなどが用いられる。
ピン4の形状は、直棒状、根元が太いピン等を使用できる。
ピン4の先端形状は、半球や円錐、平坦等いずれでもよい。
ピン4の寸法は特に限定されないが、本発明は外形φ8mm以下、さらに好ましくは外径φ5.0mm以下φ2mm以上、アルミニウム合金鋳物に押し込む深さが外径の4倍以上の穴を形成する場合に特に有効である。
【0015】
以下、本発明の方法を、前記成形型1を用い、金属としてアルミニウム合金を用いた場合を例として説明する。
アルミニウム合金は成分により所定の液相線温度と固相線温度があるが、本発明の方法はアルミニウム合金を液相線温度よりも低く、固相線温度よりも高い温度の固相と液相の混ざった金属スラリー3を作り、この金属スラリー3を成形型1のゲート6からキャビティ2内に射出し、キャビティ2内に金属スラリー3を充満させ、射出圧力(鋳造圧力)を製品の必要に応じて上昇させる(図1参照)。この時、ピン通路にはピン4の先端部があるので、ピン通路から金属スラリー3が漏れ出すことはない。キャビティ2内の空気はエアベント7を通って型外に排出される。
【0016】
射出圧力(鋳造圧力)の上昇完了と同時、或いは上昇完了後0.3秒以内に、ピン4を前進させ、キャビティ2内の金属スラリー3にピン4を圧入する(図2参照)。ピン4の挿入によりキャビティ2から溢れ出る金属スラリー3は、オーバーフロー部8に溜まる。ピン4の金属スラリー3内への挿入量は、金属鋳造品10に形成する穴11の深さに応じて設定でき、種々の深さの穴11や貫通孔を形成可能である。
【0017】
ピン4を差し込むタイミングは、金属スラリー3がキャビティ2内を大きく流動しない状態であることが必要であり、半凝固状態で完全凝固前が望ましいが、部分的に凝固していてもかまわない。具体的には、ピン4を差し込むタイミングは、キャビティ2内に金属スラリー3が充満後、射出圧力(鋳造圧力)が上昇可能となるが、これを必要圧まで上昇させ、上昇完了と同時ないし上昇完了後0.3秒以内とする。上昇完了後0.3秒よりも後にピン4を差し込むと、挿入抵抗が大きくなり、また挿入部分に応力が残って変形等を生じる可能性がある。
【0018】
次いで、キャビティ2内の金属スラリー3を凝固させ、その凝固後にピン4を後退させ、キャビティ2からピン4を抜き出す(図3参照)。
次いで、成形型1を型開し、図4に示すように金属鋳造品10を離型する。
さらに、取り出した金属鋳造品10のエアベント側及びゲート側の不用部12,13を切り離し、図5に示すように、穴11をもつ金属鋳造品10を得る。
【0019】
従来の溶湯鋳造にあっては、アルミニウム合金鋳物を鋳造するとき、溶湯温度はアルミニウム合金の液相線温度よりも80℃〜120℃高い、770℃〜680℃の温度で鋳造する。アルミニウム合金の凝固温度は515℃〜590℃であり、溶湯から凝固するまで約160℃〜180℃の温度差と凝固潜熱を金型が吸収することになる。
従来の鋳抜き鋳造で用いるピンとしては、SKD61等の熱間工具鋼やSKD61に表面窒化処理を施したものが主であるが、SKD61の焼きなまし温度は一般に585℃であり、これを超える温度のアルミニウム合金溶湯と接触する場合、温度と接触時間により強度低下を招き、繰り返しの使用で破損し易くなる。
この他、溶損も発生する。このため太いピンでは、内部に冷却水を循環する構造で使用されるが、内部冷却が不可能な外径φ8mm未満の細長ピンは使用できない。
この他、ピンの材質として超硬材やセラミックおよびSKD61材に超硬材やセラミックスを表面コートしたものもあるが、延性の乏しい細長ピンでは鋳込み溶湯による曲げ力が働くと折れる問題や表面コートが剥がれる問題がある。
このように高温のアルミニウム合金溶湯を鋳型キャビティ内に充満した後、ピンを押し込む方法を採った場合、溶湯が凝固するまでの温度範囲が広いことから押し込み時点の溶湯の状態を正確に捉えることが困難である。ピンを溶湯に押し込んだ場合は高温のためピンの溶損や強度劣化による破損を招き、継続的な加工は困難である。また、溶湯の凝固後に押し込んだ場合には凝固組織がデンドライト状組織となることから流動抵抗が大きく、挿入困難となり、ピンに過大な加重が掛かり押し込み深さがばらついたり、ピンを破損してしまう問題がある。
【0020】
一方、本発明の方法では、液相温度よりも低く、固相線温度よりも高い温度の固相と液相の混ざった金属スラリーを作り、この金属スラリーを成形型のキャビティに射出し、キャビティ内にスラリーが充満後、射出圧力(鋳造圧力)を必要圧まで上昇させ、上昇完了と同時ないし上昇完了後0.3秒以内にピンを押し込む。ピンを押し込んだ時点のスラリーの温度は570〜590℃であり、熱間工具鋼SKD61の焼きなまし温度585℃に近いので、ピンがSKD61からなる場合、ピンの強度低下も少なく破損しにくい。さらにピンが超硬材やセラミックスおよび熱間工具鋼の表面に超硬材やセラミックスをコーティングしたものでも強度低下が少なく破損しにくい。従って本発明の方法では、冷却手段をもたない直径φ8mm未満の細長ピンを使用して、細く深い穴を鋳造品に簡単に形成することができる。
【0021】
本発明の方法では、ピンの押込みタイミングを金型キャビティ内にスラリーを射出してキャビティ内にスラリーが充満後、射出圧力(鋳造圧力)を必要圧まで上昇させ、上昇完了と同時ないし上昇完了後0.3秒以内とすることで、材料の大きな移動が終了した後にピンを押し込むこととなり、ピンに曲げあるいは剪断の応力の発生が少なくなり、挿入抵抗に起因する軸方向の力が加わるのみとなる。これによりピンの長寿命化が可能となる。また、ピン材質として強度が高く、延性が低い超硬材やセラミックスも使用可能である。この他、熱間工具鋼の表面に超硬材やセラミック、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)をコーティングしたものも使用可能である。
【0022】
本発明の方法は、液相温度よりも低く、固相線温度よりも高い温度の固相と液相の混ざった金属スラリーを作り、このスラリーを成形型のキャビティに射出してキャビティ内にスラリーが充満後、射出圧力(鋳造圧力)を必要圧まで上昇させ、上昇完了と同時ないし上昇完了後0.3秒以内にピンを押し込むことによって、ピンを押し込んだ時点のスラリーの温度は570〜590℃の固相と液相の混合した状態、すなわち半凝固の状態であり、バター程度又はアイスクリーム程度の固さで容易に変形可能であり、ピンを挿入することにより穴加工することができる。また、スラリー射出温度と凝固温度の温度差が少なく、ピンを押し込む時点のスラリーの状態のばらつきが少ないことから、ひけや巣の発生が少なくなり、加工を安定して行うことができる。0.3秒を超えると凝固部が発生する可能性がある。
【0023】
【実施例】
JIS規格AC4CH(AA規格A356)合金をNRC法(ニューレオキャスト法:宇部興産社製機械装置)にて半凝固スラリーとし、温度584℃で、高圧鋳造(スクイズキャスト)機にて金型キャビティ内に射出速度0.3m/秒でスラリーを充填し、鋳造圧力が90MPaまで上昇させ、直ちに直径φ4mmのピンを鋳造品の側面より、深さ52mmにまで押し込み、5秒間保持し、その後、ピンを引き抜き、さらに5秒間保持した後に型を開けて鋳造品を取り出す方法とした。ここで、使用した直径φ4mmのピンの材料はSKD61とし、表面処理は特に実施していないピンを用いた。ピンの先端は半球形状とし、内部冷却は実施せず、水溶性離型剤等の外部冷却だけを通常通り実施した。サイクルタイム43秒間での連続した作業で、直径φ4mm、穴深さ52mmの穴加工が可能であった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却手段をもたない直径φ8mm未満のピンを使用して、細く深い穴を鋳造品に簡単に形成することができる。
本発明では、鋳造によって細く深い穴を鋳造品に簡単に形成できるので、従来の切削加工を用いる穴形成の場合と比べ、生産コストを大幅に削減できる。
また、材料の大きな移動が終了した後にピンを押し込むことで、ピンに加わる曲げあるいは剪断方向の力が減少し、ピンの長寿命化が可能となる。
また本発明では、金属スラリー射出温度と凝固温度の温度差が少なく、ピンを押し込む時点の金属スラリーの状態のばらつきが少ないことから、ひけや巣の発生が少なくなり、加工を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に従う金属鋳造品の製造において、成形型のキャビティ内に金属スラリーを充満させた状態を示す断面図である。
【図2】キャビティ内の金属スラリーに穴形成用のピンを挿入した状態を示す断面図である。
【図3】金属スラリー凝固後にピンを抜き出す状態を示す断面図である。
【図4】成形型から取り出した金属鋳造品を示す断面図である。
【図5】金属鋳造品を示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【符号の説明】
1…成形型、2…キャビティ、3…金属スラリー、4…ピン、5…ピン保持具、6…ゲート、7…エアベント、8…オーバーフロー部、10…金属鋳造品、11…穴。

Claims (3)

  1. 金属の液相線温度より低く固相線温度より高い温度範囲において該金属の固相と液相とが混合した金属スラリーを作製し、これを成形型のキャビティに充満させた後、鋳造圧力を必要圧まで上昇させ、この圧力上昇完了と同時または圧力上昇完了から金属スラリーが凝固するまでの間に、成形型に設けられたピン通路から穴形成用のピンをキャビティ内のスラリーに押し込み、次いで該スラリーの凝固前に該ピンを抜き出し、その後型開して鋳造物を離型し、所望位置に穴を設けた金属鋳造品を得ることを特徴とする金属鋳造品の穴加工法。
  2. 前記金属がアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1記載の金属鋳造品の穴加工法。
  3. 前記ピンが直径8mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の金属鋳造品の穴加工法。
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