JP2004230078A - 血液検査補助装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】採血の際に被検者に不快な痛みが与えられてしまうことを極力抑えつつ、この採血時の駆血及び採血後の止血等、複数の用途で利用でき、しかもその処理を迅速且つ好適に行えるようにする。
【解決手段】採血補助装置1は、身体の上腕部31をその内径部分10に挿入して用いる円筒状の腕部挿着体2を備えている。腕部挿着体2は、空気が充填される加圧袋体7を内蔵し、加圧袋体7の空気の充填/非充填に応じて内径部分10が拡縮される。さらに、採血補助装置1は、加圧袋体7内を充気又は排気することにより腕部挿着体2が装着された上腕部31の圧迫又はその解放を行う送気球3や充排気エアホース12等を備えた充排気機構5を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】採血補助装置1は、身体の上腕部31をその内径部分10に挿入して用いる円筒状の腕部挿着体2を備えている。腕部挿着体2は、空気が充填される加圧袋体7を内蔵し、加圧袋体7の空気の充填/非充填に応じて内径部分10が拡縮される。さらに、採血補助装置1は、加圧袋体7内を充気又は排気することにより腕部挿着体2が装着された上腕部31の圧迫又はその解放を行う送気球3や充排気エアホース12等を備えた充排気機構5を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば臨床検査を行う際等に利用される血液検査補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療施設において臨床検査等に必要な採血を行う際には、被採血者の例えば上腕部の静脈等に採血針を刺入し血液試料の採取が行われる。この場合、採血針を刺す静脈が見え易くなるように、腕の周りを締め付けるゴムチューブ等の駆血帯が一般に利用される。この駆血帯を腕に巻き付けると、毛細血管中に血液が充満し駆血帯より末梢側の静脈血管が膨張して見え易くなり、採血針の穿刺を容易に行える。この穿刺後に、駆血帯を腕部から取り外すことで、血流が再開され血管から血液が取り出される。
【0003】
採血後においては、穿刺部を消毒しこの部位にガーゼ等を介して例えば止血帯をあてがい、これを腕周りに固定することで止血が行われる。このような止血帯として例えば軟質材からなる帯状基材上の一部に加圧パッドを設け、このパッドで穿刺部を圧迫止血するようにした刺傷用止血帯が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、このような採血の際に一緒に行われる検査の一つに血圧測定等がある。血圧測定用の装置としては、被測定者の上腕部に巻き付けられた腕帯内に空気を送り込み、この腕帯で圧迫された上腕部の動脈の拍動を検出することで、血圧測定を行う血圧計が一般に知られている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−95668号公報(第5頁,図2)
【特許文献2】
特開平11−206726号公報(第2頁−第3頁,図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような採血の過程において、採血針の穿刺後、血液採取のために血流を再開させる場合、血管内に挿入されている採血針の先端が、血管内部で必ずと言っていい程、動いてしまう。これは、ゴムチューブ等の駆血帯が上腕部から取り外される際の人為的な作業が原因であると考えられる。ここで、採血針の先端が血管内部で動いてしまうと、その針先が血管の内面を刺激し不快な痛みを被採血者に与えてしまうことになる。また、採血針を上腕部から抜き去った後では、被採血者はさらなる痛感を覚えることになる。
【0007】
さらに、採血後に止血を行う場合においては、腕周りから駆血帯を取り外した後、別途、止血帯を腕部に装着する必要がある。無論、止血帯を利用しない場合では、止血するまでの間、穿刺部にガーゼ等をあてがい、この部位を手で押さえておく手間が必要になる。また、採血の際に一緒に検査されることの多い血圧測定等に関しては、採血及び止血等を支援する機能を備えることに加え、さらに一連の処理で血圧測定等も行える多機能な検査装置の開発への要請もある。
【0008】
そこで本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、採血の際に不快な痛みが与えられてしまうことを極力抑えつつ、この採血時の駆血や採血後の止血等、複数の用途で利用でき、しかもその検査や処理を好適に行える血液検査補助装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る血液検査補助装置は、身体の上腕部の血流を一時的に拘束することにより採血を支援する血液検査補助装置であって、空気が充填される空気充填部を備え、この空気充填部における空気の充填状態に応じて少なくともその内径部分が拡縮される円筒状の腕部挿着体と、前記空気充填部を充気又は排気することにより前記腕部挿着体の内径部分を拡縮させこの腕部挿着体が装着された上腕部の圧迫又はその解放を行う充排気機構とを具備することを特徴とするものである。
【0010】
すなわち、本発明の血液検査補助装置では、採血の際に、腕部挿着体の内径部分に上腕部を挿入しさらに空気充填部を充気して上腕部を圧迫することで、静脈血管の膨張が促されて静脈が見え易くなり、採血針の穿刺を容易に行うことができる。また、本発明の血液検査補助装置では、採血針の穿刺後、血液採取のために血流を再開させる場合において、既に上腕部に取り付けられている腕部挿着体内(の空気充填部)の空気を排気することで、腕部挿着体の上腕部への圧迫を容易に解放することができる。
【0011】
つまり、本発明では、直接的な手作業で駆血用の部材を取り外す必要等がなく、駆血用部材として機能する腕部挿着体内の空気の排気処理のみで、血流を再開できるので、採血時に血管内に挿入されている採血針の先端が、血管内部で動いて血管の内壁を刺傷させること等を阻止できる。これにより、採血時に不快な痛みを被採血者に与えてしまうことを極力防止することができる。
【0012】
さらに、本発明の血液検査補助装置では、血流再開のために上腕部への圧迫を解放させた腕部挿着体を、採血針を穿刺した穿刺部に移動させ、さらに、穿刺部にガーゼ等を介在させて空気充填部に再び空気を充填し上腕部を圧迫することができる。これにより、腕部挿着体を止血帯等としても機能させることができ、穿刺部の止血を行える。
【0013】
さらに、上述した充排気機構と上記腕部挿着体とを着脱自在に接続する着脱機構を設けて血液検査補助装置を構成することもできる。この装置によれば、上腕部に対する腕部挿着体の取り付け又は取り外し、並びに採血の際の上腕部における駆血部位から止血部位(穿刺部)への移動を容易に行うことができる。
【0014】
また、このような血液検査補助装置において、前記腕部挿着体からの前記充排気機構の取り外しに連動して、前記腕部挿着体内における前記空気充填部からの排気を阻止する逆止弁機構を上記着脱機構に設けてもよい。この装置の場合、空気充填部に空気の充填された腕部挿着体から、充排気機構を取り外した状態でも、腕部の圧迫状態、つまり穿刺部の止血状態を維持でき、被採血者が装置本体側から離れて歩行する等、被採血者が自由に移動できる。
【0015】
さらに、このような血液検査補助装置の腕部挿着体は、採血時の駆血、採血後の止血等の両機能を満足させるために、その軸方向の長さが20mm〜40mmの範囲内で形成されていることが好ましい。
【0016】
また、前記上腕部から採血を行うための駆血及び血流を再開させる駆血解放のタイミングを定める採血パターンが記憶された記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記採血パターンに基づいて、前記充排気機構を自動的に動作させる制御手段とを追加して血液検査補助装置を構成してもよい。
【0017】
すなわち、この構成の血液検査補助装置では、採血を行う上での最適なタイミングで、駆血及び血流再開(上腕部の圧迫/解放)が行われるので、採血処理の迅速化及び簡略化を図ることができる。
【0018】
また、腕部挿着体によって圧迫された上腕部の血圧を測定する血圧測定機構を上述してきた血液検査補助装置に付加してもよい。この場合、この血液検査補助装置を血圧計としても機能させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の血液検査補助装置を採血補助装置に適用した場合の実施形態を一部断面で示す斜視図である。
【0020】
同図に示すように、この採血補助装置1は、採血時の駆血及び採血後の止血等に利用される可搬型(被検者移動自在型)の装置であって、身体の上腕部を挿入して用いる腕部挿着体2と、送気球3等を備えた充排気機構5とから構成されている。
【0021】
腕部挿着体2は、円筒状(リング状)に形成されており、空気充填部として設けられた加圧袋体7を、その内周及び外周から基材布8、9で挟み込むかたちの積層構造で構成されている。この腕部挿着体2に内包された加圧袋体7は、空気の導入により膨らむ袋状の部材である。したがって、このような構造の腕部挿着体2は、加圧袋体7内における空気の充填状態、つまり空気が充填されているか否かによって、少なくともその内径部分10が拡縮(拡大又は縮小)される。
【0022】
基材布8、9は、例えば不織布、綿織物、綿編物、化学繊維織物、又は化学繊維編物等、比較的伸縮性の低い材料から形成されている。加圧袋体7は、耐久性及び伸縮性等が考慮され、ラテックス材等を母材として形成されている。ここで、基材布8、9は、加圧袋体7よりも伸縮性が低く硬い材料であることが好ましい。さらに言えば、腕部挿着体2の内径部分10を構成する基材布8は、その止血効果を考慮すると、外形部分を構成する基材布9よりも比較的硬い材料を選択することが望ましい。さらに、基材布9は、実際の止血部分としては用いられないので、比較的軟らかい材料を適用することが可能である。また、例えば被検者の体温が計れるよう、温度に応じてその色が可変する材料(サーモクロミズム材料)で腕部挿着体2の内径部分10を構成してもよい。
【0023】
また、充排気機構5は、エアバルブ11を有する上記送気球3と、送気球3に先端部が接続された充排気エアホース12と、充排気エアホース12の基端部を腕部挿着体2の加圧袋体7内に着脱自在に接続する雄型カプラ14及び雌型カプラ15とから主に構成されている。この充排気機構5は、加圧袋体7内を充気又は排気することにより腕部挿着体2の内径部分10を拡縮させこの腕部挿着体2が挿入された腕部の圧迫又はその解放を行うものである。
【0024】
ここで、充排気エアホース12と加圧袋体7内とを繋ぐ着脱機構は、雌型カプラ15に雄型カプラ14を嵌め込むだけで互いをワンタッチで接続することができる。また、この着脱機構において、腕部挿着体2側に取り付けられた雌型カプラ15には、逆止弁機構が内蔵されており、雄雌カプラどうしの嵌合時には、逆止弁が解放され(押し開かれ)、加圧袋体7内の充気又は排気が可能となる。すなわち、雄雌カプラどうしの嵌合状態で、且つエアバルブ11が締め込まれている状態では、送気球3を外部から押圧して収縮させると、加圧袋体7内が充気(加圧袋体7内に空気が充填)される。また、雄雌カプラどうしの嵌合状態で、エアバルブ11が緩められると、加圧袋体7内が排気される。
【0025】
一方、雄雌カプラどうしの嵌合が外れた状態では、雌型カプラ15内の逆止弁が閉じ、加圧袋体7内が閉塞される。したがって、このような着脱構造を備えた充排気機構5では、雌型カプラ15と雄型カプラ14との着脱に連動して雌型カプラ15内の逆止弁が開閉することになる。これにより、充排気機構5では、送気球3の繋がれた充排気エアホース12を、腕部挿着体2から取り外した状態でも、加圧袋体7内から空気の抜けを阻止できる。
【0026】
さらに、本実施形態の採血補助装置1が備える腕部挿着体2は、採血前の駆血時及び採血後の止血時において、確実に上腕部を圧迫できるように、その軸方向の長さが20mm〜40mmの範囲内で形成されていることが好ましい。また、腕部挿着体2の軸方向の長さは、さらに好適には25mm〜35mmの幅で形成されることが望ましい。
【0027】
次に、このように構成された採血補助装置1を利用して、実際に採血及び採血後の止血を行う方法を図1ないし図3に基づき説明する。ここで、図2は、腕部挿着体2によって上腕部31が圧迫された状態で、充排気機構5が腕部挿着体2から取り外された状態を示す図である。なお、図2の腕部挿着体2の上腕部31の締め付け位置は、例えば静脈血管を緊迫させる採血時(躯血時)の締め付け位置を示している。また、図3は、腕部挿着体2を腕部において移動させている状態を示す図である。
【0028】
まず、採血補助装置1の採血時の用途について説明する。充排気エアホース12が、腕部挿着体2に装着されていることを確認した後、送気球3のエアバルブ11を緩めて腕部挿着体2の加圧袋体7内の空気を排気し、腕部挿着体2を(被検者の)肘部よりもやや腕の付け根側に移動させる(図2の位置参照)。ここで、エアバルブ11を再び締め込むとともに、送気球3の収縮を繰り返して加圧袋体7内を充気し上腕部31を圧迫する。これにより、肘部内側の静脈血管の膨張が促されて静脈が見え易くなり、この状態で静脈血管に採血針を穿刺する。
【0029】
採血針の穿刺後、エアバルブ11を緩め、上腕部31に取り付けられている腕部挿着体2の加圧袋体7内の空気を排気し、血液採取のために血流を再開させる。この際、腕部挿着体2の上腕部31への圧迫が容易に解放される。すなわち、採血補助装置1では、直接的な手作業で駆血用の部材を取り外す必要等がなく、駆血用部材として機能する腕部挿着体2内のエアの排気処理のみで、血流を再開できる。したがって、血管内に挿入されている採血針の先端が、血管内部で動いてしまい血管の内壁を刺傷させること等を阻止できる。これにより、採血時に不快な痛みが被採血者に与えられてしまうことを極力防止することができる。
【0030】
さらに、採血後の穿刺傷の止血について説明する。まず、血流再開のために上腕部31への圧迫を解放させた腕部挿着体2を、採血針を穿刺した穿刺部に移動させる。次に、上腕部31の穿刺部にガーゼ等を介在させて加圧袋体7内に再びエアを充気(充填)し腕部31を腕部挿着体2で圧迫する。すなわち、採血補助装置1では、腕部挿着体2を躯血用部材としてのみならず止血用部材としても機能させることができ、採血針の穿刺部の止血を容易に行える。
【0031】
ここで、被採血者が、送気球3の繋がれた充排気エアホース12を腕部挿着体2から取り外して、自由に歩行すること等を要望する場合、本実施形態の採血補助装置1では、腕部挿着体2側の雌型カプラ15から、充排気エアホース12側の雄型カプラ14を取り外す動作に連動して、雌型カプラ15内の逆止弁が閉じることになる。これにより、加圧袋体7内が閉塞されるので、加圧袋体7内からの空気の抜けを阻止できる。なお、穿刺部の止血が実際に完了した後、送気球3の繋がれた充排気エアホース12を装着することなく、上腕部31から腕部挿着体2を取り外すことが(加圧袋体7内を排気)できるように、エアバルブ11のような排気操作バルブを雌型カプラ15や腕部挿着体2本体に設けてもよい。
【0032】
したがって、充排気機構5を腕部挿着体2から取り外した状態でも、上腕部31の圧迫状態、つまり穿刺部の止血状態を維持でき、被採血者が自由に移動すること等が可能となる。なお、被採血者の止血状態での移動等を考慮すると、軽量化が図れるように雄雌カプラを例えば樹脂製等とすることが望ましい。
【0033】
このように本実施形態の採血補助装置1は、採血の際の駆血及び採血後の止血等、複数の用途で利用でき、しかもそれらの処理を迅速且つ好適に行うことができる。すなわち、採血補助装置1は、上腕部を圧迫/解放する部材が、一般的な駆血帯及び止血帯のように腕回りに周回させてその端部どうしを係止することが必要な紐状又は帯状の部材でなく、上腕部を挿入するだけで採血、止血の段取り(セッティング)をほぼ完了できる円筒状の部材で構成されたものである。これにより、採血時の駆血、針穿刺後の血流の再開、及び採血後の止血を簡単に行うことができる。
【0034】
なお、このような採血補助装置1において、腕部装着体2による上腕部31の圧迫度合いを検者が容易に把握できるように、充排気エアホース12を一部分岐させ、この分岐部分に、表示機能を有する圧力検出装置を追加してもよい。
【0035】
(第2の実施形態)
この実施形態は、図4に示すように、採血時の駆血及び採血後の止血時等に加え、さらに血圧測定を行える血液検査補助装置30を本発明として実施したものである。すなわち、血液検査補助装置30は、第1の実施形態の採血補助装置1の構成に加え、腕部挿着体2にて圧迫された上腕部31の血圧を測定する血圧測定機構6を備えている。
【0036】
すなわち、血圧測定機構6は、加圧袋体7内の圧力を示すゲージ16と、聴診器17と、ダイアフラムユニット18と、血圧伝達用エアホース19と、聴音用ホース20と、血圧伝達用エアホース19を加圧袋体7内に接続する雄型カプラ21及び雌型カプラ22と、聴音用ホース20をダイアフラムユニット18に接続する雄型カプラ23及び雌型カプラ24とから構成されている。
【0037】
ゲージ16は、加圧袋体7内の圧力を検出することで、血圧測定の際に腕部挿着体2で圧迫された腕部の血圧をその指針25で示すものである。ダイアフラムユニット18は、腕部挿着体2の内径部分10に取り付けられており、被検者の肘内側の動脈の血管音(コロトコフ音)を拾うためのものである。聴診器17は、ダイアフラムユニット18によって拾われた被検者の血管音を検者が聴くために設けられている。
【0038】
血圧伝達用エアホース19は、その先端部がゲージ16に接続され、基端部が雄型カプラ21に接続されている。ここで、血圧伝達用エアホース19を着脱するための雄型カプラ21、及び腕部挿着体2側に設けられた雌型カプラ22は、上述した充排気ホース12の着脱用の雄型カプラ14及び雌型カプラ15と同一の構造で構成されている。すなわち、雄雌カプラどうしの嵌合が外れた状態では、雌型カプラ22内の逆止弁が閉じ、加圧袋体7内が閉塞される。つまり、雌型カプラ22と雄型カプラ21との着脱に連動して雌型カプラ22内の逆止弁が開閉することになる。
【0039】
また、ダイアフラムユニット18は、図5に断面図として示すように、聴診器17への入力部分となるダイアフラム本体26と、集音部27と、ダイアフラム本体26を溶着するための段部28と、腕部挿着体2の径方向に貫通する貫通穴(図示せず)に嵌め込まれる嵌合部29等とを有している。さらに、腕部挿着体2の内径部分10から外側に挿通されたダイアフラムユニット18の先端部は、上記雌型カプラ24として形成されており、聴音用ホース20の基端部に設けられた雄型カプラ23に着脱自在に接続される。
【0040】
次に、このように構成された血液検査補助装置1により、実際に血圧測定を行うための方法を主に図4に基づき説明する。まず、腕部挿着体2の加圧袋体7内の空気を完全に排気し、(被検者の)上腕部31の肘部内側の上腕動脈に、ダイアフラム本体26があてがわれる位置及び向きに腕部挿着体2を移動させる。この後、充排気機構5及び血圧測定機構6を個々の雄雌カプラを通じて腕部挿着体2に装着する。なお、充排気機構5及び血圧測定機構6が予め腕部挿着体2に装着された状態で、この腕部挿着体2を上腕部における上述した所定位置に移動させてもよい。
【0041】
続いて、聴診器17を(検者の)耳にあてるとともに、送気球3の収縮を繰り返して加圧袋体7内を充気し上腕部31を圧迫する。この後、ゲージ16の指針25が上がりはじめ、ある点を超えると聴診器17から血管音が聞こえ始める。さらに、加圧を続けると血管音がまた聴こえなくなるが、しばらく加圧を続けた後、加圧を停止させる。
【0042】
この後、エアバルブ11を少しずつ緩め減圧すると、再び血管音が聞こえ始める。一定のリズムの脈音(整脈音)が聞こえ始めた点でエアバルブを閉め、目盛(最高血圧)を読む。続いて、エアバルブ11を緩めて行くと、徐々に血管音が大きくなった後 、逆に血管音が徐々に小さくなって行く。この後、一定の脈音(整脈音)が消える寸前でエアバルブ11を閉めて目盛(最低血圧)を読む。
【0043】
このように本実施形態の血液検査補助装置30によれば、採血時の駆血及び採血後の止血等に加え、さらに血圧測定を行うことができ、しかもそれらの検査や処理を迅速且つ好適に行うことができる。また、この血液検査補助装置30では、上腕部に巻回させて装着する一般的なマンシェット等と異なり、面ファスナ等を設ける必要がないので、コストの削減を図ることもできる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本実施形態では、採血の際の用途を詳細に説明したが、勿論本発明の血液検査補助装置を輸血時や静脈注射時等にも適用することができる。また、本発明を、いわゆる電子血圧計等に適用してもよい。さらに、本発明の血液検査補助装置を手術の際等の身体の四肢の止血用等としても用いることができる。
【0045】
また、血液検査補助装置に対して、前記上腕部から採血を行うための駆血及び血流を再開させる駆血解放のタイミングを定める採血パターンが記憶された記憶装置と、前記記憶手段に記憶された前記採血パターンに基づいて、前記充排気機構を自動的に動作させる制御装置とを付加してもよい。この構成の血液検査補助装置では、採血を行う上での最適なタイミングで、駆血及び血流再開(上腕部の圧迫/解放)が自動的に行われるので、採血処理の迅速化及び簡略化を図ることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る血液検査補助装置によれば、採血の際に不快な痛みが被採血者に与えられてしまうことを極力抑えつつ、採血時の駆血や採血後の止血等、複数の用途で利用でき、しかもその検査や処理を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る採血補助装置を一部断面で示す斜視図である。
【図2】図1の採血補助装置が備える腕部挿着体が上腕部に装着された状態を示す図である。
【図3】図1の採血補助装置が備える腕部挿着体を腕部で移動させている状態を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る血液検査補助装置を一部断面で示す斜視図である。
【図5】図4の血液検査補助装置が備えるダイアフラムユニットを詳細に示す断面図である。
【符号の説明】
1…採血補助装置、2…腕部装着体、3…送気球、5…充排気機構、6…血圧測定機構、7…加圧袋体、8,9…基材布、10…内径部分、11…エアバルブ、12…充排気エアホース、14,21,23…雄型カプラ、15,22,24…雌型カプラ、16…ゲージ、17…聴診器、18…ダイアフラムユニット、19…血圧伝達用エアホース、20…聴音用ホース、30…血液検査補助装置、31…上腕部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば臨床検査を行う際等に利用される血液検査補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療施設において臨床検査等に必要な採血を行う際には、被採血者の例えば上腕部の静脈等に採血針を刺入し血液試料の採取が行われる。この場合、採血針を刺す静脈が見え易くなるように、腕の周りを締め付けるゴムチューブ等の駆血帯が一般に利用される。この駆血帯を腕に巻き付けると、毛細血管中に血液が充満し駆血帯より末梢側の静脈血管が膨張して見え易くなり、採血針の穿刺を容易に行える。この穿刺後に、駆血帯を腕部から取り外すことで、血流が再開され血管から血液が取り出される。
【0003】
採血後においては、穿刺部を消毒しこの部位にガーゼ等を介して例えば止血帯をあてがい、これを腕周りに固定することで止血が行われる。このような止血帯として例えば軟質材からなる帯状基材上の一部に加圧パッドを設け、このパッドで穿刺部を圧迫止血するようにした刺傷用止血帯が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、このような採血の際に一緒に行われる検査の一つに血圧測定等がある。血圧測定用の装置としては、被測定者の上腕部に巻き付けられた腕帯内に空気を送り込み、この腕帯で圧迫された上腕部の動脈の拍動を検出することで、血圧測定を行う血圧計が一般に知られている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−95668号公報(第5頁,図2)
【特許文献2】
特開平11−206726号公報(第2頁−第3頁,図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような採血の過程において、採血針の穿刺後、血液採取のために血流を再開させる場合、血管内に挿入されている採血針の先端が、血管内部で必ずと言っていい程、動いてしまう。これは、ゴムチューブ等の駆血帯が上腕部から取り外される際の人為的な作業が原因であると考えられる。ここで、採血針の先端が血管内部で動いてしまうと、その針先が血管の内面を刺激し不快な痛みを被採血者に与えてしまうことになる。また、採血針を上腕部から抜き去った後では、被採血者はさらなる痛感を覚えることになる。
【0007】
さらに、採血後に止血を行う場合においては、腕周りから駆血帯を取り外した後、別途、止血帯を腕部に装着する必要がある。無論、止血帯を利用しない場合では、止血するまでの間、穿刺部にガーゼ等をあてがい、この部位を手で押さえておく手間が必要になる。また、採血の際に一緒に検査されることの多い血圧測定等に関しては、採血及び止血等を支援する機能を備えることに加え、さらに一連の処理で血圧測定等も行える多機能な検査装置の開発への要請もある。
【0008】
そこで本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、採血の際に不快な痛みが与えられてしまうことを極力抑えつつ、この採血時の駆血や採血後の止血等、複数の用途で利用でき、しかもその検査や処理を好適に行える血液検査補助装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る血液検査補助装置は、身体の上腕部の血流を一時的に拘束することにより採血を支援する血液検査補助装置であって、空気が充填される空気充填部を備え、この空気充填部における空気の充填状態に応じて少なくともその内径部分が拡縮される円筒状の腕部挿着体と、前記空気充填部を充気又は排気することにより前記腕部挿着体の内径部分を拡縮させこの腕部挿着体が装着された上腕部の圧迫又はその解放を行う充排気機構とを具備することを特徴とするものである。
【0010】
すなわち、本発明の血液検査補助装置では、採血の際に、腕部挿着体の内径部分に上腕部を挿入しさらに空気充填部を充気して上腕部を圧迫することで、静脈血管の膨張が促されて静脈が見え易くなり、採血針の穿刺を容易に行うことができる。また、本発明の血液検査補助装置では、採血針の穿刺後、血液採取のために血流を再開させる場合において、既に上腕部に取り付けられている腕部挿着体内(の空気充填部)の空気を排気することで、腕部挿着体の上腕部への圧迫を容易に解放することができる。
【0011】
つまり、本発明では、直接的な手作業で駆血用の部材を取り外す必要等がなく、駆血用部材として機能する腕部挿着体内の空気の排気処理のみで、血流を再開できるので、採血時に血管内に挿入されている採血針の先端が、血管内部で動いて血管の内壁を刺傷させること等を阻止できる。これにより、採血時に不快な痛みを被採血者に与えてしまうことを極力防止することができる。
【0012】
さらに、本発明の血液検査補助装置では、血流再開のために上腕部への圧迫を解放させた腕部挿着体を、採血針を穿刺した穿刺部に移動させ、さらに、穿刺部にガーゼ等を介在させて空気充填部に再び空気を充填し上腕部を圧迫することができる。これにより、腕部挿着体を止血帯等としても機能させることができ、穿刺部の止血を行える。
【0013】
さらに、上述した充排気機構と上記腕部挿着体とを着脱自在に接続する着脱機構を設けて血液検査補助装置を構成することもできる。この装置によれば、上腕部に対する腕部挿着体の取り付け又は取り外し、並びに採血の際の上腕部における駆血部位から止血部位(穿刺部)への移動を容易に行うことができる。
【0014】
また、このような血液検査補助装置において、前記腕部挿着体からの前記充排気機構の取り外しに連動して、前記腕部挿着体内における前記空気充填部からの排気を阻止する逆止弁機構を上記着脱機構に設けてもよい。この装置の場合、空気充填部に空気の充填された腕部挿着体から、充排気機構を取り外した状態でも、腕部の圧迫状態、つまり穿刺部の止血状態を維持でき、被採血者が装置本体側から離れて歩行する等、被採血者が自由に移動できる。
【0015】
さらに、このような血液検査補助装置の腕部挿着体は、採血時の駆血、採血後の止血等の両機能を満足させるために、その軸方向の長さが20mm〜40mmの範囲内で形成されていることが好ましい。
【0016】
また、前記上腕部から採血を行うための駆血及び血流を再開させる駆血解放のタイミングを定める採血パターンが記憶された記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記採血パターンに基づいて、前記充排気機構を自動的に動作させる制御手段とを追加して血液検査補助装置を構成してもよい。
【0017】
すなわち、この構成の血液検査補助装置では、採血を行う上での最適なタイミングで、駆血及び血流再開(上腕部の圧迫/解放)が行われるので、採血処理の迅速化及び簡略化を図ることができる。
【0018】
また、腕部挿着体によって圧迫された上腕部の血圧を測定する血圧測定機構を上述してきた血液検査補助装置に付加してもよい。この場合、この血液検査補助装置を血圧計としても機能させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の血液検査補助装置を採血補助装置に適用した場合の実施形態を一部断面で示す斜視図である。
【0020】
同図に示すように、この採血補助装置1は、採血時の駆血及び採血後の止血等に利用される可搬型(被検者移動自在型)の装置であって、身体の上腕部を挿入して用いる腕部挿着体2と、送気球3等を備えた充排気機構5とから構成されている。
【0021】
腕部挿着体2は、円筒状(リング状)に形成されており、空気充填部として設けられた加圧袋体7を、その内周及び外周から基材布8、9で挟み込むかたちの積層構造で構成されている。この腕部挿着体2に内包された加圧袋体7は、空気の導入により膨らむ袋状の部材である。したがって、このような構造の腕部挿着体2は、加圧袋体7内における空気の充填状態、つまり空気が充填されているか否かによって、少なくともその内径部分10が拡縮(拡大又は縮小)される。
【0022】
基材布8、9は、例えば不織布、綿織物、綿編物、化学繊維織物、又は化学繊維編物等、比較的伸縮性の低い材料から形成されている。加圧袋体7は、耐久性及び伸縮性等が考慮され、ラテックス材等を母材として形成されている。ここで、基材布8、9は、加圧袋体7よりも伸縮性が低く硬い材料であることが好ましい。さらに言えば、腕部挿着体2の内径部分10を構成する基材布8は、その止血効果を考慮すると、外形部分を構成する基材布9よりも比較的硬い材料を選択することが望ましい。さらに、基材布9は、実際の止血部分としては用いられないので、比較的軟らかい材料を適用することが可能である。また、例えば被検者の体温が計れるよう、温度に応じてその色が可変する材料(サーモクロミズム材料)で腕部挿着体2の内径部分10を構成してもよい。
【0023】
また、充排気機構5は、エアバルブ11を有する上記送気球3と、送気球3に先端部が接続された充排気エアホース12と、充排気エアホース12の基端部を腕部挿着体2の加圧袋体7内に着脱自在に接続する雄型カプラ14及び雌型カプラ15とから主に構成されている。この充排気機構5は、加圧袋体7内を充気又は排気することにより腕部挿着体2の内径部分10を拡縮させこの腕部挿着体2が挿入された腕部の圧迫又はその解放を行うものである。
【0024】
ここで、充排気エアホース12と加圧袋体7内とを繋ぐ着脱機構は、雌型カプラ15に雄型カプラ14を嵌め込むだけで互いをワンタッチで接続することができる。また、この着脱機構において、腕部挿着体2側に取り付けられた雌型カプラ15には、逆止弁機構が内蔵されており、雄雌カプラどうしの嵌合時には、逆止弁が解放され(押し開かれ)、加圧袋体7内の充気又は排気が可能となる。すなわち、雄雌カプラどうしの嵌合状態で、且つエアバルブ11が締め込まれている状態では、送気球3を外部から押圧して収縮させると、加圧袋体7内が充気(加圧袋体7内に空気が充填)される。また、雄雌カプラどうしの嵌合状態で、エアバルブ11が緩められると、加圧袋体7内が排気される。
【0025】
一方、雄雌カプラどうしの嵌合が外れた状態では、雌型カプラ15内の逆止弁が閉じ、加圧袋体7内が閉塞される。したがって、このような着脱構造を備えた充排気機構5では、雌型カプラ15と雄型カプラ14との着脱に連動して雌型カプラ15内の逆止弁が開閉することになる。これにより、充排気機構5では、送気球3の繋がれた充排気エアホース12を、腕部挿着体2から取り外した状態でも、加圧袋体7内から空気の抜けを阻止できる。
【0026】
さらに、本実施形態の採血補助装置1が備える腕部挿着体2は、採血前の駆血時及び採血後の止血時において、確実に上腕部を圧迫できるように、その軸方向の長さが20mm〜40mmの範囲内で形成されていることが好ましい。また、腕部挿着体2の軸方向の長さは、さらに好適には25mm〜35mmの幅で形成されることが望ましい。
【0027】
次に、このように構成された採血補助装置1を利用して、実際に採血及び採血後の止血を行う方法を図1ないし図3に基づき説明する。ここで、図2は、腕部挿着体2によって上腕部31が圧迫された状態で、充排気機構5が腕部挿着体2から取り外された状態を示す図である。なお、図2の腕部挿着体2の上腕部31の締め付け位置は、例えば静脈血管を緊迫させる採血時(躯血時)の締め付け位置を示している。また、図3は、腕部挿着体2を腕部において移動させている状態を示す図である。
【0028】
まず、採血補助装置1の採血時の用途について説明する。充排気エアホース12が、腕部挿着体2に装着されていることを確認した後、送気球3のエアバルブ11を緩めて腕部挿着体2の加圧袋体7内の空気を排気し、腕部挿着体2を(被検者の)肘部よりもやや腕の付け根側に移動させる(図2の位置参照)。ここで、エアバルブ11を再び締め込むとともに、送気球3の収縮を繰り返して加圧袋体7内を充気し上腕部31を圧迫する。これにより、肘部内側の静脈血管の膨張が促されて静脈が見え易くなり、この状態で静脈血管に採血針を穿刺する。
【0029】
採血針の穿刺後、エアバルブ11を緩め、上腕部31に取り付けられている腕部挿着体2の加圧袋体7内の空気を排気し、血液採取のために血流を再開させる。この際、腕部挿着体2の上腕部31への圧迫が容易に解放される。すなわち、採血補助装置1では、直接的な手作業で駆血用の部材を取り外す必要等がなく、駆血用部材として機能する腕部挿着体2内のエアの排気処理のみで、血流を再開できる。したがって、血管内に挿入されている採血針の先端が、血管内部で動いてしまい血管の内壁を刺傷させること等を阻止できる。これにより、採血時に不快な痛みが被採血者に与えられてしまうことを極力防止することができる。
【0030】
さらに、採血後の穿刺傷の止血について説明する。まず、血流再開のために上腕部31への圧迫を解放させた腕部挿着体2を、採血針を穿刺した穿刺部に移動させる。次に、上腕部31の穿刺部にガーゼ等を介在させて加圧袋体7内に再びエアを充気(充填)し腕部31を腕部挿着体2で圧迫する。すなわち、採血補助装置1では、腕部挿着体2を躯血用部材としてのみならず止血用部材としても機能させることができ、採血針の穿刺部の止血を容易に行える。
【0031】
ここで、被採血者が、送気球3の繋がれた充排気エアホース12を腕部挿着体2から取り外して、自由に歩行すること等を要望する場合、本実施形態の採血補助装置1では、腕部挿着体2側の雌型カプラ15から、充排気エアホース12側の雄型カプラ14を取り外す動作に連動して、雌型カプラ15内の逆止弁が閉じることになる。これにより、加圧袋体7内が閉塞されるので、加圧袋体7内からの空気の抜けを阻止できる。なお、穿刺部の止血が実際に完了した後、送気球3の繋がれた充排気エアホース12を装着することなく、上腕部31から腕部挿着体2を取り外すことが(加圧袋体7内を排気)できるように、エアバルブ11のような排気操作バルブを雌型カプラ15や腕部挿着体2本体に設けてもよい。
【0032】
したがって、充排気機構5を腕部挿着体2から取り外した状態でも、上腕部31の圧迫状態、つまり穿刺部の止血状態を維持でき、被採血者が自由に移動すること等が可能となる。なお、被採血者の止血状態での移動等を考慮すると、軽量化が図れるように雄雌カプラを例えば樹脂製等とすることが望ましい。
【0033】
このように本実施形態の採血補助装置1は、採血の際の駆血及び採血後の止血等、複数の用途で利用でき、しかもそれらの処理を迅速且つ好適に行うことができる。すなわち、採血補助装置1は、上腕部を圧迫/解放する部材が、一般的な駆血帯及び止血帯のように腕回りに周回させてその端部どうしを係止することが必要な紐状又は帯状の部材でなく、上腕部を挿入するだけで採血、止血の段取り(セッティング)をほぼ完了できる円筒状の部材で構成されたものである。これにより、採血時の駆血、針穿刺後の血流の再開、及び採血後の止血を簡単に行うことができる。
【0034】
なお、このような採血補助装置1において、腕部装着体2による上腕部31の圧迫度合いを検者が容易に把握できるように、充排気エアホース12を一部分岐させ、この分岐部分に、表示機能を有する圧力検出装置を追加してもよい。
【0035】
(第2の実施形態)
この実施形態は、図4に示すように、採血時の駆血及び採血後の止血時等に加え、さらに血圧測定を行える血液検査補助装置30を本発明として実施したものである。すなわち、血液検査補助装置30は、第1の実施形態の採血補助装置1の構成に加え、腕部挿着体2にて圧迫された上腕部31の血圧を測定する血圧測定機構6を備えている。
【0036】
すなわち、血圧測定機構6は、加圧袋体7内の圧力を示すゲージ16と、聴診器17と、ダイアフラムユニット18と、血圧伝達用エアホース19と、聴音用ホース20と、血圧伝達用エアホース19を加圧袋体7内に接続する雄型カプラ21及び雌型カプラ22と、聴音用ホース20をダイアフラムユニット18に接続する雄型カプラ23及び雌型カプラ24とから構成されている。
【0037】
ゲージ16は、加圧袋体7内の圧力を検出することで、血圧測定の際に腕部挿着体2で圧迫された腕部の血圧をその指針25で示すものである。ダイアフラムユニット18は、腕部挿着体2の内径部分10に取り付けられており、被検者の肘内側の動脈の血管音(コロトコフ音)を拾うためのものである。聴診器17は、ダイアフラムユニット18によって拾われた被検者の血管音を検者が聴くために設けられている。
【0038】
血圧伝達用エアホース19は、その先端部がゲージ16に接続され、基端部が雄型カプラ21に接続されている。ここで、血圧伝達用エアホース19を着脱するための雄型カプラ21、及び腕部挿着体2側に設けられた雌型カプラ22は、上述した充排気ホース12の着脱用の雄型カプラ14及び雌型カプラ15と同一の構造で構成されている。すなわち、雄雌カプラどうしの嵌合が外れた状態では、雌型カプラ22内の逆止弁が閉じ、加圧袋体7内が閉塞される。つまり、雌型カプラ22と雄型カプラ21との着脱に連動して雌型カプラ22内の逆止弁が開閉することになる。
【0039】
また、ダイアフラムユニット18は、図5に断面図として示すように、聴診器17への入力部分となるダイアフラム本体26と、集音部27と、ダイアフラム本体26を溶着するための段部28と、腕部挿着体2の径方向に貫通する貫通穴(図示せず)に嵌め込まれる嵌合部29等とを有している。さらに、腕部挿着体2の内径部分10から外側に挿通されたダイアフラムユニット18の先端部は、上記雌型カプラ24として形成されており、聴音用ホース20の基端部に設けられた雄型カプラ23に着脱自在に接続される。
【0040】
次に、このように構成された血液検査補助装置1により、実際に血圧測定を行うための方法を主に図4に基づき説明する。まず、腕部挿着体2の加圧袋体7内の空気を完全に排気し、(被検者の)上腕部31の肘部内側の上腕動脈に、ダイアフラム本体26があてがわれる位置及び向きに腕部挿着体2を移動させる。この後、充排気機構5及び血圧測定機構6を個々の雄雌カプラを通じて腕部挿着体2に装着する。なお、充排気機構5及び血圧測定機構6が予め腕部挿着体2に装着された状態で、この腕部挿着体2を上腕部における上述した所定位置に移動させてもよい。
【0041】
続いて、聴診器17を(検者の)耳にあてるとともに、送気球3の収縮を繰り返して加圧袋体7内を充気し上腕部31を圧迫する。この後、ゲージ16の指針25が上がりはじめ、ある点を超えると聴診器17から血管音が聞こえ始める。さらに、加圧を続けると血管音がまた聴こえなくなるが、しばらく加圧を続けた後、加圧を停止させる。
【0042】
この後、エアバルブ11を少しずつ緩め減圧すると、再び血管音が聞こえ始める。一定のリズムの脈音(整脈音)が聞こえ始めた点でエアバルブを閉め、目盛(最高血圧)を読む。続いて、エアバルブ11を緩めて行くと、徐々に血管音が大きくなった後 、逆に血管音が徐々に小さくなって行く。この後、一定の脈音(整脈音)が消える寸前でエアバルブ11を閉めて目盛(最低血圧)を読む。
【0043】
このように本実施形態の血液検査補助装置30によれば、採血時の駆血及び採血後の止血等に加え、さらに血圧測定を行うことができ、しかもそれらの検査や処理を迅速且つ好適に行うことができる。また、この血液検査補助装置30では、上腕部に巻回させて装着する一般的なマンシェット等と異なり、面ファスナ等を設ける必要がないので、コストの削減を図ることもできる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本実施形態では、採血の際の用途を詳細に説明したが、勿論本発明の血液検査補助装置を輸血時や静脈注射時等にも適用することができる。また、本発明を、いわゆる電子血圧計等に適用してもよい。さらに、本発明の血液検査補助装置を手術の際等の身体の四肢の止血用等としても用いることができる。
【0045】
また、血液検査補助装置に対して、前記上腕部から採血を行うための駆血及び血流を再開させる駆血解放のタイミングを定める採血パターンが記憶された記憶装置と、前記記憶手段に記憶された前記採血パターンに基づいて、前記充排気機構を自動的に動作させる制御装置とを付加してもよい。この構成の血液検査補助装置では、採血を行う上での最適なタイミングで、駆血及び血流再開(上腕部の圧迫/解放)が自動的に行われるので、採血処理の迅速化及び簡略化を図ることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る血液検査補助装置によれば、採血の際に不快な痛みが被採血者に与えられてしまうことを極力抑えつつ、採血時の駆血や採血後の止血等、複数の用途で利用でき、しかもその検査や処理を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る採血補助装置を一部断面で示す斜視図である。
【図2】図1の採血補助装置が備える腕部挿着体が上腕部に装着された状態を示す図である。
【図3】図1の採血補助装置が備える腕部挿着体を腕部で移動させている状態を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る血液検査補助装置を一部断面で示す斜視図である。
【図5】図4の血液検査補助装置が備えるダイアフラムユニットを詳細に示す断面図である。
【符号の説明】
1…採血補助装置、2…腕部装着体、3…送気球、5…充排気機構、6…血圧測定機構、7…加圧袋体、8,9…基材布、10…内径部分、11…エアバルブ、12…充排気エアホース、14,21,23…雄型カプラ、15,22,24…雌型カプラ、16…ゲージ、17…聴診器、18…ダイアフラムユニット、19…血圧伝達用エアホース、20…聴音用ホース、30…血液検査補助装置、31…上腕部。
Claims (6)
- 身体の上腕部の血流を一時的に拘束することにより採血を支援する血液検査補助装置であって、
空気が充填される空気充填部を備え、この空気充填部における空気の充填状態に応じて少なくともその内径部分が拡縮される円筒状の腕部挿着体と、
前記空気充填部を充気又は排気することにより前記腕部挿着体の内径部分を拡縮させこの腕部挿着体が装着された上腕部の圧迫又はその解放を行う充排気機構と
を具備することを特徴とする血液検査補助装置。 - 前記充排気機構と前記腕部挿着体とを着脱自在に接続する着脱機構をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の血液検査補助装置。
- 前記着脱機構に設けられ、前記腕部挿着体からの前記充排気機構の取り外しに連動して前記腕部挿着体内における前記空気充填部からの排気を阻止する逆止弁機構をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の血液検査補助装置。
- 前記腕部挿装着体は、その軸方向の長さが20mm〜40mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載の血液検査補助装置。
- 前記上腕部から採血を行うための駆血及び血流を再開させる駆血解放のタイミングを定める採血パターンが記憶された記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記採血パターンに基づいて、前記充排気機構を自動的に動作させる制御手段と
をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載の血液検査補助装置。 - 前記腕部挿着体によって圧迫された上腕部の血圧を測定する血圧測定機構をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項に記載の血液検査補助装置。
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