JP2004229541A - シガレットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】灰の性状が改善されたシガレットを安定的に製造する。
【解決手段】填料として炭酸カルシウム粒子を20〜40重量%の割合で含有するシガレット巻紙を用意し、この用意したシガレット巻紙のうち、炭酸カルシウム粒子による巻紙被覆率が30%以上のものを選別し、この選別されたシガレット巻紙を用いてタバコ充填材を巻装してシガレットを製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】填料として炭酸カルシウム粒子を20〜40重量%の割合で含有するシガレット巻紙を用意し、この用意したシガレット巻紙のうち、炭酸カルシウム粒子による巻紙被覆率が30%以上のものを選別し、この選別されたシガレット巻紙を用いてタバコ充填材を巻装してシガレットを製造する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シガレットの製造方法に係り、特に、燃焼時に生成する灰の固結性が改善されたシガレットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シガレット等の喫煙物品の喫煙に際し、燃焼部で発生する灰の落ちにくさ(凝固性)等の灰性状を改善するための方法が種々検討されてきている。例えば、特許文献1には、灰の性状を改善するために巻紙にリン酸塩を配合することが開示されている。しかしながら、このような灰性状改善剤を巻紙に添加すると、シガレットの喫味等に悪影響を与える可能性がある。
【0003】
また、灰性状改善剤を添加することなく、巻紙に普通に添加されている炭酸カルシウム填料を工夫することによって灰の性状を改善することも提案されている。例えば、特許文献2には、所定の粒径の炭酸カルシウム微粒子を巻紙に添加することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第2580568号明細書
【0005】
【特許文献2】
特開平11−36193号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記炭酸カルシウム微粒子を含めて炭酸カルシウム粒子を填料として含有するシガレット巻紙について検討した結果、本来灰性状の改善に有効であると考えられる炭酸カルシウム粒子を含有する巻紙であっても、これにより巻装されたシガレットにおいてその灰の性状、特に凝固性に劣るものがあることがわかった。
【0007】
従って、本発明は、灰の性状が改善されたシガレットを安定的に製造するための方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、炭酸カルシウム粒子によりシガレットの灰性状、特に凝固性を改善するための研究を鋭意行った。その結果、製造されたシガレット巻紙における炭酸カルシウムの分散状態がシガレット灰の性状、特に凝固性に影響を及ぼすことを見いだした。スラリー中の炭酸カルシウム粒子の分散性が良好なほど、シガレット灰の性状が改善される。しかしながら、分散性が良好であるといわれている炭酸カルシウム粒子スラリーを用いて製造された巻紙を用いた場合でも、得られるシガレットの灰の性状、特に凝固性に劣るものがあった。炭酸カルシウム粒子は、スラリー中において、種々の要因により凝集し得る。凝集した炭酸カルシウム粒子を用いて製造されたシガレット巻紙は、シガレット灰の性状を十分に改善し得ないことが見いだされた。
【0009】
例えば、タバコ巻紙に添加される炭酸カルシウム填料は、カルシウム溶液(通常、石灰乳)から沈殿させて得られる軽質炭酸カルシウムといわれるものであり、その製造反応途中または製造後においてカルシウム溶液に炭酸カルシウム粒子が存在している際に、滞留時間、カルシウム溶液の濃度や温度による炭酸カルシウムの過飽和度等の諸条件の不備により、炭酸カルシウム粒子の核成長反応が著しく促進された場合には、一次粒子間で橋架けにより粒子凝集が進むことがある。この炭酸カルシウム製品がそのまま巻紙抄造工程に使用されると、炭酸カルシウムは、タバコ巻紙表面上で凝集塊を形成する。また、タバコ巻紙抄造工程において、炭酸カルシウム填料はスラリーとして製造会社から納入され、これをストックするタンクに一時的に貯蔵され、所定量を抄造装置に供給しつつタバコ巻紙を製造している。このタンクに貯蔵されている炭酸カルシウム填料は、スラリー溶液中のカルシウムイオン濃度、温度による炭酸カルシウム過飽和度の変化等が炭酸カルシウム粒子の核成長を促す条件になった場合、一次粒子間で橋架けにより粒子凝集を生じる可能性が高い。これが、特にタバコ巻紙製造の休止によるタンク内滞留時間が長時間に渡ったときと重なると、タバコ巻紙表面上で顕著に凝集する原因となる。
【0010】
本発明者らは、シガレット巻紙における炭酸カルシウム粒子の分散性が、炭酸カルシウム粒子によるシガレット巻紙の被覆率に反映される得るとの知見を得、シガレット巻紙に配合される普通の量の炭酸カルシウム粒子(巻紙中、20〜40重量%)によるシガレット巻紙の被覆率と灰の性状(特に、灰の凝固性)の関係を見いだした。この関係に基づいて、巻紙を選別し、この選別された巻紙を用いてシガレットを巻装することにより、灰性状に優れたシガレットを安定して製造することができる。
【0011】
すなわち、本発明によれば、填料として炭酸カルシウム粒子を20〜40重量%の割合で含有するシガレット巻紙を用意し、この用意したシガレット巻紙のうち、炭酸カルシウム粒子による巻紙被覆率が30%以上のものを選別し、この選別されたシガレット巻紙を用いてタバコ充填材を巻装してシガレットを製造することを特徴とするシガレットの製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0013】
本発明によれば、まず、填料として炭酸カルシウム粒子を20〜40重量%の割合で含有するシガレット巻紙を用意する。シガレット巻紙中の炭酸カルシウム粒子の20〜40重量%は、通常、シガレット巻紙に配合される炭酸カルシウム粒子の量である。シガレット巻紙は、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等の助燃剤、その他の通常のシガレット巻紙に配合される添加剤を含有していてもよい。このようなシガレット巻紙は、巻紙製造業者から入手することができる。
【0014】
次に、用意したシガレット巻紙について、炭酸カルシウム粒子による表面被覆率を測定する。この被覆率は、巻紙の単位面積における炭酸カルシウム粒子の存在部分の面積の割合(百分率)である。この被覆率が30%以上であると、シガレット灰の凝固性を反映する灰ひび割れ面積率やひび割れ回数が有意に減少し、灰落ちしにくいものとなる。被覆率は、60%以上であることが好ましい。
【0015】
本発明における被覆率は、例えば、電子顕微鏡観察に基づいて算出することができる。シガレット巻紙から所定サイズの試料を切り出し、この巻紙試料を電子顕微鏡で観察し、画像解析を行うことができる。巻紙試料における炭酸カルシウム粒子の存在部分と炭酸カルシウムの不存在部分の画像を二値化し、上記の通り被覆率を算出する。ここで、電子顕微鏡観察には、走査型電子顕微鏡を用いることができるが、走査型電子顕微鏡(SEM)では、紙のような絶縁材料にあっては、チャージアップを防止するため、試料として1mm平方程度のものを使用し、導電性両面粘着テープで試料台に貼着し、さらに表面伝導性を与えるために、金粒子などをスパッタする必要がある。これに対し、SEMの一種である電子ビーム観察装置を用いると、巻紙試料に対する上記前処理は必要がなく、観察操作が大幅に簡略化される。そのような電子ビーム観察装置としては、例えば、(株)ニコン製の環境制御型電子ビーム観察装置ESEM−2700を使用することができる。このような観察装置を用いる場合、巻紙試料の大きさは、1cm四方程度である。また、画像解析には、WinROOF等の市販のソフトを用いることができる。
【0016】
上記電子顕微鏡観察に基づいて算出された被覆率が30%以上のシガレット巻紙を選別し、この選別したシガレット巻紙のみを後続のシガレット製造工程に送り、シガレットを製造する。シガレットは、常法により製造することができる。
【0017】
本発明者らの上記知見によれば、シガレット巻紙における炭酸カルシウム粒子の分散性が高いほど、シガレット灰の性状(特に、凝固性)が一層改善される。従って、使用する炭酸カルシウム粒子は、スラリー中における分散性が良好であるほど、シガレット灰の性状が一層改善されるということができる。しかしながら、上に述べたように、種々の要因から、スラリー中における分散性が良好であるといわれている炭酸カルシウム粒子を用いても、シガレット灰の性状にバラツキが見られている。これに対し、本発明によりシガレット巻紙を被覆率の観点から選別することにより、灰の性状、特に凝固性が改善されたシガレットが安定して得られるのである。炭酸カルシウム粒子の平均一次粒径は、0.5μm〜4.0μmであり得る。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0019】
実施例1
白石工業社からそれぞれ入手した炭酸カルシウムスラリーPCX850(公称平均一次粒径3.5μm)、Brilliant−15(公称平均一次粒径0.55μm)および白艶華PX(公称平均一次粒径1.8μm)を用いて、各炭酸カルシウムについて、20枚の巻紙を手抄きにより作製した。下記表1に試料巻紙の物性を示す。各巻紙について、1cm四方の試料を切り出し、(株)ニコン製の環境制御型電子ビーム観察装置ESEM−2700による観察下、ソフトWinROOFを用いた画像解析に基づく上記被覆率測定法により、炭酸カルシウムによる被覆率を算出した。結果(平均値)を表1に併記する。
【0020】
【表1】
【0021】
得られた巻紙に、常法により、助燃剤としてクエン酸ナトリウムを1重量%または2重量%の割合で塗工し、これを用いてシガレットを作製した。このシガレットは、円周24.8mmで、商用アメリカンブレンド刻みを230mg/cm3の充填密度で有し、アセテートフィルターを装着したものである。これらシガレットを標準喫煙条件(ISO)の下で燃焼させ(但し、送風せず)、生成した灰の性状を比較した。
【0022】
灰の評価は、ハイビジョンカメラに撮影された灰の画像に対して、全投影面積に占める欠損面積の割合(ひび割れ面積率)をコンピュータ上における画像解析操作により求めることによって行った。また、灰表面のひび発生回数も測定した。灰表面のひび発生回数は、シガレットを縦置きにして風があたらない雰囲気中で自然燃焼させ、シガレット先端から10mm〜40mmの燃焼区間(実質長30mm)における5mmの幅の長方形領域において30倍程度の倍率の拡大観察装置を用いて目視によりカウントした。その際、ひびの大小に関係なく1つのひびは1つとしてカウントした。ただし、単に広がっていったものではない2段にわたってひび割れたものや、元のひびを起点に新たなひびが進行したものは、連続していても2つとカウントした。結果(平均値)を下記表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
表2に示す結果からわかるように、炭酸カルシウム粒子による被覆率が30%以上の巻紙を用いて作製したシガレットは、灰のひび割れ面積率およびひび割れ回数において有意に減少する。
【0025】
実施例2
本実施例では、炭酸カルシウムに対し、スラリー中での分散性を低下させる操作(凝集操作)と向上させる操作を以下のように行った。
【0026】
<炭酸カルシウム粒子の凝集操作>
通常の炭酸カルシウム粒子の工業的製造過程において、炭酸カルシウム粒子合成反応容器内の溶液濃度が高い場合に生じ得る炭酸カルシウム粒子の凝集を模擬するために、炭酸カルシウムスラリー白艶華PXを遠心分離してペースト( g)を得、このペーストに十分量の石灰乳の上澄み(飽和水酸化カルシウム溶液)(100g以上)を添加し、分散させた後、濃厚状態とするため遠心分離により余分な上澄みを除去したペースト状試料に、よく撹拌しながら、二酸化炭素ガスを(1000mL/分)を5分間吹き込んだ。得られた炭酸カルシウムペースト固形分5%のスラリーとしてシガレット巻紙の作製に用いた。
【0027】
<炭酸カルシウム粒子の分散性向上操作>
炭酸カルシウムスラリー白艶華PX(固形分5%、700mL)に石灰乳の上澄み(100g)を添加し、よく撹拌しながら、二酸化炭素ガスを(1000mL/分)を5分間吹き込んだ。得られた炭酸カルシウムスラリーをシガレット巻紙の作製に用いた。
【0028】
こうして得られた炭酸カルシウムスラリーを用いて、下記表3に示す物性のシガレット巻紙を手抄きにより作製し、実施例1と同様に炭酸カルシウムによる被覆率を測定した。結果(平均値)を表3に併記する。
【0029】
【表3】
【0030】
各シガレット巻紙を用いて、実施例1と同様にシガレットを作製し、それぞれの灰性状(ひび割れ面積率およびひび割れ回数)を測定した。結果(平均値)を表4に示す。
【0031】
【表4】
【0032】
表4に示す結果からわかるように、スラリー中での分散性が良好と思われる炭酸カルシウム粒子を用いた場合でも、その製造条件の変動により、被覆率が11%にも低下する結果、灰性状に優れたシガレットを提供するシガレット巻紙が得られない。これに対して、被覆率が62%であるシガレット巻紙を用いると、シガレットの灰性状が大幅に向上することがわかる。
【0033】
なお、上記実施例において、シガレット巻紙は手抄きにより作製したが、実機により作製した場合にも、被覆率および灰性状の傾向は同じであることが確認された。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、灰の性状が改善されたシガレットを安定的に製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シガレットの製造方法に係り、特に、燃焼時に生成する灰の固結性が改善されたシガレットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シガレット等の喫煙物品の喫煙に際し、燃焼部で発生する灰の落ちにくさ(凝固性)等の灰性状を改善するための方法が種々検討されてきている。例えば、特許文献1には、灰の性状を改善するために巻紙にリン酸塩を配合することが開示されている。しかしながら、このような灰性状改善剤を巻紙に添加すると、シガレットの喫味等に悪影響を与える可能性がある。
【0003】
また、灰性状改善剤を添加することなく、巻紙に普通に添加されている炭酸カルシウム填料を工夫することによって灰の性状を改善することも提案されている。例えば、特許文献2には、所定の粒径の炭酸カルシウム微粒子を巻紙に添加することが開示されている。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第2580568号明細書
【0005】
【特許文献2】
特開平11−36193号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記炭酸カルシウム微粒子を含めて炭酸カルシウム粒子を填料として含有するシガレット巻紙について検討した結果、本来灰性状の改善に有効であると考えられる炭酸カルシウム粒子を含有する巻紙であっても、これにより巻装されたシガレットにおいてその灰の性状、特に凝固性に劣るものがあることがわかった。
【0007】
従って、本発明は、灰の性状が改善されたシガレットを安定的に製造するための方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、炭酸カルシウム粒子によりシガレットの灰性状、特に凝固性を改善するための研究を鋭意行った。その結果、製造されたシガレット巻紙における炭酸カルシウムの分散状態がシガレット灰の性状、特に凝固性に影響を及ぼすことを見いだした。スラリー中の炭酸カルシウム粒子の分散性が良好なほど、シガレット灰の性状が改善される。しかしながら、分散性が良好であるといわれている炭酸カルシウム粒子スラリーを用いて製造された巻紙を用いた場合でも、得られるシガレットの灰の性状、特に凝固性に劣るものがあった。炭酸カルシウム粒子は、スラリー中において、種々の要因により凝集し得る。凝集した炭酸カルシウム粒子を用いて製造されたシガレット巻紙は、シガレット灰の性状を十分に改善し得ないことが見いだされた。
【0009】
例えば、タバコ巻紙に添加される炭酸カルシウム填料は、カルシウム溶液(通常、石灰乳)から沈殿させて得られる軽質炭酸カルシウムといわれるものであり、その製造反応途中または製造後においてカルシウム溶液に炭酸カルシウム粒子が存在している際に、滞留時間、カルシウム溶液の濃度や温度による炭酸カルシウムの過飽和度等の諸条件の不備により、炭酸カルシウム粒子の核成長反応が著しく促進された場合には、一次粒子間で橋架けにより粒子凝集が進むことがある。この炭酸カルシウム製品がそのまま巻紙抄造工程に使用されると、炭酸カルシウムは、タバコ巻紙表面上で凝集塊を形成する。また、タバコ巻紙抄造工程において、炭酸カルシウム填料はスラリーとして製造会社から納入され、これをストックするタンクに一時的に貯蔵され、所定量を抄造装置に供給しつつタバコ巻紙を製造している。このタンクに貯蔵されている炭酸カルシウム填料は、スラリー溶液中のカルシウムイオン濃度、温度による炭酸カルシウム過飽和度の変化等が炭酸カルシウム粒子の核成長を促す条件になった場合、一次粒子間で橋架けにより粒子凝集を生じる可能性が高い。これが、特にタバコ巻紙製造の休止によるタンク内滞留時間が長時間に渡ったときと重なると、タバコ巻紙表面上で顕著に凝集する原因となる。
【0010】
本発明者らは、シガレット巻紙における炭酸カルシウム粒子の分散性が、炭酸カルシウム粒子によるシガレット巻紙の被覆率に反映される得るとの知見を得、シガレット巻紙に配合される普通の量の炭酸カルシウム粒子(巻紙中、20〜40重量%)によるシガレット巻紙の被覆率と灰の性状(特に、灰の凝固性)の関係を見いだした。この関係に基づいて、巻紙を選別し、この選別された巻紙を用いてシガレットを巻装することにより、灰性状に優れたシガレットを安定して製造することができる。
【0011】
すなわち、本発明によれば、填料として炭酸カルシウム粒子を20〜40重量%の割合で含有するシガレット巻紙を用意し、この用意したシガレット巻紙のうち、炭酸カルシウム粒子による巻紙被覆率が30%以上のものを選別し、この選別されたシガレット巻紙を用いてタバコ充填材を巻装してシガレットを製造することを特徴とするシガレットの製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0013】
本発明によれば、まず、填料として炭酸カルシウム粒子を20〜40重量%の割合で含有するシガレット巻紙を用意する。シガレット巻紙中の炭酸カルシウム粒子の20〜40重量%は、通常、シガレット巻紙に配合される炭酸カルシウム粒子の量である。シガレット巻紙は、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等の助燃剤、その他の通常のシガレット巻紙に配合される添加剤を含有していてもよい。このようなシガレット巻紙は、巻紙製造業者から入手することができる。
【0014】
次に、用意したシガレット巻紙について、炭酸カルシウム粒子による表面被覆率を測定する。この被覆率は、巻紙の単位面積における炭酸カルシウム粒子の存在部分の面積の割合(百分率)である。この被覆率が30%以上であると、シガレット灰の凝固性を反映する灰ひび割れ面積率やひび割れ回数が有意に減少し、灰落ちしにくいものとなる。被覆率は、60%以上であることが好ましい。
【0015】
本発明における被覆率は、例えば、電子顕微鏡観察に基づいて算出することができる。シガレット巻紙から所定サイズの試料を切り出し、この巻紙試料を電子顕微鏡で観察し、画像解析を行うことができる。巻紙試料における炭酸カルシウム粒子の存在部分と炭酸カルシウムの不存在部分の画像を二値化し、上記の通り被覆率を算出する。ここで、電子顕微鏡観察には、走査型電子顕微鏡を用いることができるが、走査型電子顕微鏡(SEM)では、紙のような絶縁材料にあっては、チャージアップを防止するため、試料として1mm平方程度のものを使用し、導電性両面粘着テープで試料台に貼着し、さらに表面伝導性を与えるために、金粒子などをスパッタする必要がある。これに対し、SEMの一種である電子ビーム観察装置を用いると、巻紙試料に対する上記前処理は必要がなく、観察操作が大幅に簡略化される。そのような電子ビーム観察装置としては、例えば、(株)ニコン製の環境制御型電子ビーム観察装置ESEM−2700を使用することができる。このような観察装置を用いる場合、巻紙試料の大きさは、1cm四方程度である。また、画像解析には、WinROOF等の市販のソフトを用いることができる。
【0016】
上記電子顕微鏡観察に基づいて算出された被覆率が30%以上のシガレット巻紙を選別し、この選別したシガレット巻紙のみを後続のシガレット製造工程に送り、シガレットを製造する。シガレットは、常法により製造することができる。
【0017】
本発明者らの上記知見によれば、シガレット巻紙における炭酸カルシウム粒子の分散性が高いほど、シガレット灰の性状(特に、凝固性)が一層改善される。従って、使用する炭酸カルシウム粒子は、スラリー中における分散性が良好であるほど、シガレット灰の性状が一層改善されるということができる。しかしながら、上に述べたように、種々の要因から、スラリー中における分散性が良好であるといわれている炭酸カルシウム粒子を用いても、シガレット灰の性状にバラツキが見られている。これに対し、本発明によりシガレット巻紙を被覆率の観点から選別することにより、灰の性状、特に凝固性が改善されたシガレットが安定して得られるのである。炭酸カルシウム粒子の平均一次粒径は、0.5μm〜4.0μmであり得る。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0019】
実施例1
白石工業社からそれぞれ入手した炭酸カルシウムスラリーPCX850(公称平均一次粒径3.5μm)、Brilliant−15(公称平均一次粒径0.55μm)および白艶華PX(公称平均一次粒径1.8μm)を用いて、各炭酸カルシウムについて、20枚の巻紙を手抄きにより作製した。下記表1に試料巻紙の物性を示す。各巻紙について、1cm四方の試料を切り出し、(株)ニコン製の環境制御型電子ビーム観察装置ESEM−2700による観察下、ソフトWinROOFを用いた画像解析に基づく上記被覆率測定法により、炭酸カルシウムによる被覆率を算出した。結果(平均値)を表1に併記する。
【0020】
【表1】
【0021】
得られた巻紙に、常法により、助燃剤としてクエン酸ナトリウムを1重量%または2重量%の割合で塗工し、これを用いてシガレットを作製した。このシガレットは、円周24.8mmで、商用アメリカンブレンド刻みを230mg/cm3の充填密度で有し、アセテートフィルターを装着したものである。これらシガレットを標準喫煙条件(ISO)の下で燃焼させ(但し、送風せず)、生成した灰の性状を比較した。
【0022】
灰の評価は、ハイビジョンカメラに撮影された灰の画像に対して、全投影面積に占める欠損面積の割合(ひび割れ面積率)をコンピュータ上における画像解析操作により求めることによって行った。また、灰表面のひび発生回数も測定した。灰表面のひび発生回数は、シガレットを縦置きにして風があたらない雰囲気中で自然燃焼させ、シガレット先端から10mm〜40mmの燃焼区間(実質長30mm)における5mmの幅の長方形領域において30倍程度の倍率の拡大観察装置を用いて目視によりカウントした。その際、ひびの大小に関係なく1つのひびは1つとしてカウントした。ただし、単に広がっていったものではない2段にわたってひび割れたものや、元のひびを起点に新たなひびが進行したものは、連続していても2つとカウントした。結果(平均値)を下記表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
表2に示す結果からわかるように、炭酸カルシウム粒子による被覆率が30%以上の巻紙を用いて作製したシガレットは、灰のひび割れ面積率およびひび割れ回数において有意に減少する。
【0025】
実施例2
本実施例では、炭酸カルシウムに対し、スラリー中での分散性を低下させる操作(凝集操作)と向上させる操作を以下のように行った。
【0026】
<炭酸カルシウム粒子の凝集操作>
通常の炭酸カルシウム粒子の工業的製造過程において、炭酸カルシウム粒子合成反応容器内の溶液濃度が高い場合に生じ得る炭酸カルシウム粒子の凝集を模擬するために、炭酸カルシウムスラリー白艶華PXを遠心分離してペースト( g)を得、このペーストに十分量の石灰乳の上澄み(飽和水酸化カルシウム溶液)(100g以上)を添加し、分散させた後、濃厚状態とするため遠心分離により余分な上澄みを除去したペースト状試料に、よく撹拌しながら、二酸化炭素ガスを(1000mL/分)を5分間吹き込んだ。得られた炭酸カルシウムペースト固形分5%のスラリーとしてシガレット巻紙の作製に用いた。
【0027】
<炭酸カルシウム粒子の分散性向上操作>
炭酸カルシウムスラリー白艶華PX(固形分5%、700mL)に石灰乳の上澄み(100g)を添加し、よく撹拌しながら、二酸化炭素ガスを(1000mL/分)を5分間吹き込んだ。得られた炭酸カルシウムスラリーをシガレット巻紙の作製に用いた。
【0028】
こうして得られた炭酸カルシウムスラリーを用いて、下記表3に示す物性のシガレット巻紙を手抄きにより作製し、実施例1と同様に炭酸カルシウムによる被覆率を測定した。結果(平均値)を表3に併記する。
【0029】
【表3】
【0030】
各シガレット巻紙を用いて、実施例1と同様にシガレットを作製し、それぞれの灰性状(ひび割れ面積率およびひび割れ回数)を測定した。結果(平均値)を表4に示す。
【0031】
【表4】
【0032】
表4に示す結果からわかるように、スラリー中での分散性が良好と思われる炭酸カルシウム粒子を用いた場合でも、その製造条件の変動により、被覆率が11%にも低下する結果、灰性状に優れたシガレットを提供するシガレット巻紙が得られない。これに対して、被覆率が62%であるシガレット巻紙を用いると、シガレットの灰性状が大幅に向上することがわかる。
【0033】
なお、上記実施例において、シガレット巻紙は手抄きにより作製したが、実機により作製した場合にも、被覆率および灰性状の傾向は同じであることが確認された。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、灰の性状が改善されたシガレットを安定的に製造することができる。
Claims (2)
- 填料として炭酸カルシウム粒子を20〜40重量%の割合で含有するシガレット巻紙を用意し、この用意したシガレット巻紙のうち、炭酸カルシウム粒子による巻紙被覆率が30%以上のものを選別し、この選別されたシガレット巻紙を用いてタバコ充填材を巻装してシガレットを製造することを特徴とするシガレットの製造方法。
- 前記巻紙被覆率が、60%以上であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2003020722A JP2004229541A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | シガレットの製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011512794A (ja) * | 2008-02-22 | 2011-04-28 | シュヴァイツア マードゥイット インターナショナルインコーポレイテッド | 喫煙物品の発火性特性を低減するための巻紙上の処理領域 |
JP2016105718A (ja) * | 2010-03-24 | 2016-06-16 | エッセントラ フィルター プロダクツ ディベロップメント カンパニー プライベート リミティド | タバコ煙フィルタ |
-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003020722A patent/JP2004229541A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011512794A (ja) * | 2008-02-22 | 2011-04-28 | シュヴァイツア マードゥイット インターナショナルインコーポレイテッド | 喫煙物品の発火性特性を低減するための巻紙上の処理領域 |
US8646464B2 (en) | 2008-02-22 | 2014-02-11 | Schweitzer-Mauduit International, Inc. | Treated areas on a wrapper for reducing the ignition proclivity characteristics of a smoking article |
JP2016105718A (ja) * | 2010-03-24 | 2016-06-16 | エッセントラ フィルター プロダクツ ディベロップメント カンパニー プライベート リミティド | タバコ煙フィルタ |
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