JP2004226499A - スキャナ装置およびレーザ加工機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ミラー12を位置決めするX軸スキャナ1とミラー22を位置決めするY軸スキャナ2の動作を制御するサーボ制御回路3について、特定の周波数で各軸のフィードバック制御の正弦波応答を行い、ゲイン特性と位相特性を推定する。この処理演算は、加工に先立ってマイクロプロセッサ32で行い、両軸の推定結果を周波数ごとのデータとして記憶する。加工を行う段階では、前記ゲイン特性・位相特性の推定結果を用いて、各特性を打ち消すように目標軌道の正弦波の振幅と位相を修正する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸に固定されたミラーの角度を検出し、ミラーの角度が指令された目標値に追従するように回転軸を制御するスキャナ装置およびレーザ加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザマーキングやプリント基板に穴あけ加工を行うレーザ加工機では、加工位置の座標を座標変換してミラーの角度指令データとする。そして、スキャナ装置によりミラーの角度を変え、レーザ発振器から出力されるレーザビームを被加工物の加工位置に照射する。通常、レーザビームを2次元的に位置決めする必要があるので、直交する2本の座標軸(X軸とY軸)に対応させた2個1組のスキャナ装置を使用する。この場合、レーザビームをX軸方向に位置決めするスキャナ装置(以下、「X軸スキャナ」という。)とレーザビームをY軸方向に位置決めするスキャナ装置(以下、「Y軸スキャナ」という。)の制御は互いに独立して行うことができるが、レーザビームの発射時期と同期を取る必要がある。
【0003】
スキャナ装置には、ミラーの角度を検出するセンサと、角度のフィードバックを行うサーボ制御回路と、が設けられている。
【0004】
レーザ加工機によりプリント基板に穴を加工する場合、レーザビームの直径に略等しい直径の穴を加工する加工モードと、レーザビームの直径よりも大径の穴を加工する加工モードとがある。
【0005】
前者の場合、加工位置に対応した角度にミラーを静止させた後、レーザビームをパルス状に照射する。これによりレーザビーム径にほぼ等しい直径約50〜300μmの穴を加工することができる。この加工モードにおける加工ピッチは、通常、0.5〜1mm程度である。
【0006】
また、後者の場合、X軸スキャナとY軸スキャナへの角度指令として、位相が互いに90°ずれた二つの正弦波を目標軌道として入力すると共に、レーザビームをビーム・スポットが一部オーバーラップするような周期で照射することを繰り返す。レーザビームの軌跡(以下、「ビーム軌跡」という。)はミラーの運動の位相面軌跡、すなわち正弦波の振幅に比例した直径の円になるので、中心を固定した状態でビーム軌跡の直径を段階的に変え、上記の動作を繰り返すことにより円形の中ぐり加工を行うことができる。
【0007】
また、X軸スキャナとY軸スキャナへの角度指令を変えることにより、任意のビーム軌跡を描くことができる。(以下、ビーム軌跡を描かせる加工モードを「目標軌道追従加工」という。)
なお、米国特許第4864295号明細書には、ミラーの回転角度を検出する手段として回転軸に取り付けられた誘電体の平板を2枚1組の固定極板ではさみ、回転軸の角度を極板間の静電容量の変化として電気的に検出する可変容量型角度センサの技術が開示されている。
【0008】
また、特開平4−127981号公報には、ミラーに角度測定用のレーザビームを照射し、その反射光をリニアセンサで検出することによりミラーの回転角度を検出する技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第4864295号明細書
【0010】
【特許文献2】
特開平4−127981号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
炭酸ガスレーザのパルス発振周波数は約4kHz以上、UV−YAGレーザのパルス発振周波数は約20kHz以上である。一方、スキャナ装置の制御帯域周波数は約1kHzであり、レーザのパルス発振周波数より低い。したがって、ミラーをできるだけ高い周波数で精密に追従制御することができれば、目標軌道追従加工をさらに高速・高精度なものとすることができる。
【0012】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、高速・高精度な目標軌道追従加工を実現することができるスキャナ装置を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
ところで、目標軌道の離散時間的データを上位制御回路からX軸スキャナとY軸スキャナに送信することに代えてサーボ制御回路内部で目標軌道を生成するように構成すると、送信に要する時間の累積を大幅に削減できるので、目標軌道追従加工を高速化できると推定される。
【0014】
そこで、本発明者はこの考えに基づくスキャナ装置を製作して動作を確認した。なお、プロトタイプのスキャナ装置は、マイクロプロセッサの動作を除き本発明に係るスキャナ装置のブロック図である図1と同じであるので、以下、図1を参照しながらプロトタイプのスキャナ装置の説明をする。
【0015】
スキャナ装置Sは、X軸スキャナ1と、Y軸スキャナ2と、サーボ制御回路3と、制御回路5とから構成されている。
【0016】
X軸スキャナ1は、アクチュエータ11と、アクチュエータ11の回転軸13に固定されたミラー12とから構成されている。Y軸スキャナ2は、アクチュエータ21と、アクチュエータ21の回転軸23に固定されたミラー22とから構成されている。アクチュエータ11、21には、それぞれ回転軸13、23の角度を検出するための角度センサ14,24が内蔵されており、ミラー12、22の角度を知ることができる。アクチュエータ11、21は、サーボ制御回路3により制御される。
【0017】
制御回路5は計算装置6から加工位置などの情報を受け取り、ミラー12、22に対する角度指令や加工形状の特徴量などの情報をサーボ制御回路3に送信すると共に、レーザ発振器7の出力タイミングを制御する。
【0018】
サーボ制御回路3の構成をさらに詳細に説明する。
【0019】
マイクロプロセッサ32は、目標値を生成するために必要なプログラムやデータの格納領域を備えており、制御回路5から受信した指令データに基づき、DA変換器33、39に入力する目標値を生成する。
【0020】
DA変換器33、39は、マイクロプロセッサ32が生成したディジタル信号の目標値をアナログ信号に変換する。AD変換器38、44は、角度センサ14、24から出力されるアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0021】
ROM45には、正規化された1周期分のコサイン波とサイン波が離散時間的に記憶されている。RAM46は、AD変換器38、44を介して取り込まれた離散時間における角度検出信号を記憶する。データバス31は、サーボ制御回路3内部のディジタル信号を伝送する。
【0022】
ミラー12(X軸)のフィードバック制御回路は、加算器34と、サーボ補償器35と、パワーアンプ36と、角度検出回路37とから構成されている。角度検出回路37は、アクチュエータ11に内蔵された角度センサ14の出力信号によりミラー12の角度を検出する。加算器34はDA変換器33から入力された目標値と角度検出回路37から出力された検出信号との偏差を計算し、その結果をサーボ補償器35に出力する。サーボ補償器35は加算器34から出力された偏差信号を小さくするような制御入力信号を計算し、パワーアンプ36に出力する。パワーアンプ36はサーボ補償器35から入力された制御信号に基づき、アクチュエータ11に駆動電流を供給する。
【0023】
同様に、ミラー22(Y軸)のフィードバック制御回路は、加算器40と、サーボ補償器41と、パワーアンプ42と、角度検出回路43とから構成されている。角度検出回路43は、アクチュエータ21に内蔵された角度センサ24の出力信号によりミラー22の角度を検出する。加算器40はDA変換器39から入力された目標値と角度検出回路43から出力された検出信号との偏差を計算し、その結果をサーボ補償器41に出力する。サーボ補償器41は加算器40から出力された偏差信号を小さくするような制御入力信号を計算し、パワーアンプ42に出力する。パワーアンプ42はサーボ補償器41から入力された制御信号に基づき、アクチュエータ21に駆動電流を供給する。
【0024】
目標軌道が円である場合、制御回路5からマイクロプロセッサ32に対して穴の直径および中心座標のデータを特徴量として与える。すると、スキャナ装置Sは以下のように動作する。
【0025】
マイクロプロセッサ32は、一定サンプル周期毎に、ROM45に記憶されている振幅が正規化された正弦波データ(ミラー12用にはコサイン波、ミラー22用にはサイン波のデータ)を読み出し、特徴量として与えられた穴の直径に基づいて振幅を目標軌道の半径に合わせるための係数倍と、中心座標のデータに基づいて振動中心を目標軌道の中心座標に一致させるための一定値加算を行う。
【0026】
図4は、フィードバック制御回路における入力波形と出力波形の関係を示す図であり、(a)はミラー12の場合、(b)はミラー22の場合を示している。また、図5はこの場合の位相面軌跡である。なお、両図において、点線は入力波形、実線は応答波形を示している。
【0027】
図4に示されているように、応答波形(Yx、Yy)の振幅は、ミラー12、ミラー22のいずれも目標軌道(Rx、Ry)の振幅よりも小さい。応答波形の振幅はビーム軌跡の半径であるから、図5に示されているように、出力されたビーム軌跡は目標軌道よりも小径になる。しかも、図5に示されているように、ビーム軌跡がX軸に交わる二点の値はY軸に交わる二点の値よりも大きく、ビーム軌跡が楕円になっている。したがって、このままでは、加工精度を向上させることができない。
【0028】
そこで、本発明者は、ミラー12、ミラー22のフィードバック制御回路の周波数応答特性を調べた。
【0029】
図6は、ミラー12のフィードバック制御回路の周波数応答特性を示すボード線図、図7は、ミラー22のフィードバック制御回路の周波数応答特性を示すボード線図であり、いずれも上段はゲイン特性を、下段は位相特性を示している。
【0030】
角度のフィードバック制御において、目標値入力から制御量すなわち角度センサの検出信号までの伝達関数は、直流特性としてはゲインが1(0dB)、位相遅れが0°である。これに対し、得られた結果は、ミラー12、ミラー22とも高周波領域でゲインが低下している。なお、ミラー12、ミラー22の特性波形は定性的に似ているが、定量的には異なっている。このため、ミラー12のフィードバック制御回路とミラー22のフィードバック制御回路とでは、制御対象の共振周波数を含む高周波領域において周波数応答特性のずれが大きくなる。このような2つのフィードバック制御に、位相が90度ずれた制限波を目標値として入力しても、制御量を比較すると、高周波になるほど振幅が異なり、位相のずれも90度からずれてしまう。
【0031】
また、レーザ加工機におけるフィードバック制御回路の動特性は、制御対象の動特性や個体差に合わせて安定に動作するように調整されるので、慣性負荷の異なる制御対象に対して、フィードバック制御の動特性のずれをなくすことは困難である。
【0032】
以上の結果から、本発明者は、ビーム軌跡を目標軌道に合わせるためには、ゲイン特性の低下および位相遅れを解消する必要があることを見出した。
【0033】
なお、高周波領域においてゲイン特性と位相特性が低下する要因として、例えば、ミラー12とミラー22の慣性負荷が異なることが考えられる。すなわち、レーザビームがミラー12、ミラー22の順で反射されるとすると、ミラー22はミラー12によるレーザビームの可動範囲をカバーするために外形寸法をミラー12よりも大きくする必要があるため、ミラー22の慣性負荷はミラー12の慣性負荷よりも大きくなる。
【0034】
以上の結果に基づき、本発明の第1の手段は、フィードバック制御手段を備え、回転軸に固定されたミラーの角度を検出し、前記角度が目標値に一致するように前記角度を制御するスキャナ装置において、前記フィードバック制御手段の特定の周波数に関するゲイン特性および位相特性を打ち消すように目標軌道を修正する修正目標軌道生成手段を設け、前記フィードバック制御手段に対して、前記修正目標軌道生成手段の出力信号を目標値として入力することを特徴とする。
【0035】
また、本発明の第2の手段は、レーザ加工機として、上記の第1の手段であるスキャナ装置を2個備え、被加工物表面に2次元的なレーザビームの軌跡を描くことにより、2次元的にレーザ加工することを特徴とする。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0037】
図1は、本発明に係るスキャナ装置のブロック図である。なお、マイクロプロセッサ32の動作を除き、他の構成要素については課題を解決するための手段において説明をしたので、重複する説明を省略する。
【0038】
この実施形態に係るマイクロプロセッサ32は、以下に述べるステップ1とステップ2からなる二段階の処理を行う。
【0039】
(1)ステップ1:フィードバック制御のゲイン特性と位相特性の推定
ROM45に記憶した正弦波を逐次読み出し、ミラー12とミラー22のフィードバック制御回路に特定の(加工に採用しようとする)周波数で目標値を入力し、これに応答する角度検出信号をAD変換器38と44でサンプリングして、RAM46に記憶する。そして目標値と応答信号の振幅比と位相差を計算することにより、その周波数におけるフィードバック制御のゲイン特性と位相特性を推定する。
【0040】
以下、具体的に説明する。
【0041】
ミラー12のフィードバック制御回路には、目標値Rxとして式1で示すコサイン波を、また、ミラー22のフィードバック制御回路には、目標値Ryとして式2で示すサイン波を、それぞれ一定サンプリング周期Tsで入力する。なお、式1、式2におけるAは振幅、ωは動特性を計測する角周波数、nは離散的な時刻を表す整数である。
【0042】
ここで、振幅をBx、By、位相角をψx、ψyとすると、サンプリング後のX軸ミラーの角度検出信号(応答信号)Yxは式3により、また、Y軸ミラーの応答信号は式4により、それぞれ得られる。
【0043】
Rx(n・Ts)=A・cos(ω・n・Ts) …(式1)
Ry(n・Ts)=A・sin(ω・n・Ts) …(式2)
Yx(n・Ts)=Bx・cos(ω・n・Ts+ψx) …(式3)
Yy(n・Ts)=By・sin(ω・n・Ts+ψy) …(式4)
なお、動特性の推定には、正弦波応答開始後の過渡状態が十分に減衰している必要があるので、例えば、10周期分の目標値入力を入力して後半5周期での応答データを用いる。この場合、上記式1〜式4の離散時刻nは後半5周期の始まりを0とする。
【0044】
以下、ミラー12(X軸)の場合の推定手順を説明する。
【0045】
α0、α1をコサイン波成分とサイン波成分の係数とすると、式3はコサイン波とサイン波の重ね合わせとして式5で表すことができる。そして、さらに式6、7を用いると、式5は式8で表すことができる。
【0046】
Yx(n・Ts) =α0・A・cos(ω・n・Ts)
+α1・A・sin(ω・n・Ts)
=α0・Rx(n・Ts)+α1Ry(n・Ts)…(式5)
α0/√(α0 2+α1 2)=cosφx …(式6)
α1/√(α0 2+α1 2)=sinφx …(式7)
Yx(n・Ts)
={√(α0 2+α1 2)}[{α0/√(α0 2+α1 2)}・Rx(n・Ts)
+{α1/√(α0 2+α1 2)}・Ry(n・Ts)]
={√(α0 2+α1 2)}[A・cos(ω・n・Ts)・cosφx
+A・sin(ω・n・Ts)・sinφx]
={√(α0 2+α1 2)}・A・cos(ω・n・Ts−φx) …(式8)
なお、係数α0、α1は、式1と式2の目標値Rx、Ryと式5の応答信号Yxの時系列データに対して、最小二乗法を用いて推定する。そして得られた係数値から、この周波数に対するミラー12のフィードバック制御回路のゲイン特性を式9により計算し、位相特性を式10で計算する。そして、これらの推定値をマイクロプロセッサ32内部のメモリに記憶する。
【0047】
Bx/A=√(α0 2+α1 2) …(式9)
ψx=−φx=tan−1(α1/α0) …(式10)
同様の演算処理により、ミラー22のフィードバック制御回路のゲイン特性と位相特性を推定する。そして、これらの推定値をマイクロプロセッサ32内部のメモリに記憶する。
【0048】
目標軌道が1つの円である場合、以上でステップ1の処理を終了する。また、中ぐり加工で円形の穴を加工する場合には、さらに、以下の作業を行う。
【0049】
円形の中ぐり加工を行う場合、直径を変えて同心円状に描きながら一定周期のパルスでレーザを発射する必要があるが、被加工物を深さ方向に均一なレートで加工するためには、隣接するビームスポットのオーバーラップ面積を一定、すなわち、目標軌道の直径に関わらずビームの線速度を一定、すなわち目標軌道の半径に反比例して目標軌道正弦波の周波数を変える必要がある。そこで、中ぐり加工をする場合は、目標軌道の直径に応じた複数の周波数について、周波数毎に上記と同様に動特性を推定し、その結果を記憶する。
【0050】
(2)ステップ2:ゲイン特性と位相特性の修正
ステップ2では、実際に目標軌道追従加工を行うため、上記推定結果の逆動特性で修正した目標軌道を生成する。
【0051】
角周波数ωの場合のミラー角度の応答は、目標軌道に対して振幅が式9のように縮小あるいは増大し、位相遅れまたは位相進みが式10のようになる。従って目標値を出力する場合、ROM45から一定サンプル周期でコサイン波またはサイン波を逐次読み出すときに、目標軌道の振幅を円半径に対して式9の逆数で係数倍し、さらに位相を式10の符号反転で修正した目標値を、加算器34に目標値入力する。このようにすると、定常状態では修正前の目標軌道、すなわち指令された目標軌道、に誤差無く追従させることができる。
【0052】
図2は、目標軌道の周波数と振幅の条件を上記図4の場合と同じにして、ミラー12の目標軌道(コサイン波)とミラー22の目標軌道(サイン波)を、それぞれ推定したゲイン特性および位相特性の逆動特性で修正し、それを目標値入力した場合の時間応答波形を示す図であり、元の目標軌道は点線、修正目標軌道は破線、応答波形は実線で示されている。
【0053】
ミラー12,ミラー22はいずれも目標値入力を開始して約1/2周期で過渡状態が減衰し、修正前の目標軌道に重なる。
【0054】
図3は、図2の位相面軌跡である。修正目標軌道の効果により、レーザビームの中心の軌跡は修正前の目標軌道によく一致していることが分かる。
【0055】
なお、半径が変化する過渡応答の間は、レーザパルスの発射をとめる必要があるので、サーボ制御回路3は過渡応答中か否かを知らせる二値信号を制御回路5に送信する。
【0056】
なお、ステップ1は加工に先立って一度実施すればよいので、例えば、レーザ加工機の電源起動時に行い、後述する特性推定データをマイクロプロセッサ32の内部メモリなどに記憶する。
【0057】
また、ステップ2は目標軌道追従加工のたびに行う。
【0058】
ところで、フーリエ級数の原理を利用すれば、周期的な目標軌道は複数の正弦波の重ねあわせで実現できる。たとえば座標軸に平行な辺を持つ長方形の穴を加工する場合、ビーム軌跡を、長方形のひとつのコーナーからスタートし、一方の辺の方向に一定の速さで直線往復運動させ、軌跡の折り返し点で他方の辺の方向に一定距離だけステップ状に移動する矩形波状にするとする。この場合、前者のミラーの目標軌道は三角波、後者のミラーの目標軌道は階段状になる。三角波のフーリエ級数展開は基本周波数の正弦波とその奇数倍高調波の重ねあわせであり、実用上は有限個の高調波で三角波の目標軌道を実現できる。そこで、各周波数成分について、フィードバック制御のゲイン・位相特性をあらかじめ推定し、その逆特性で正弦波を修正することにより、一方の軸のミラーを所望の三角波に高精度で追従させることができる。また、他方の軸は一定の微小ステップ動作であるから、単なるステップ目標値でよい。そして、この加工では、加工形状の特徴量データとして、穴内の特定の一点の座標と二辺の長さを与えればよい。
【0059】
なお、ビーム軌跡が折り返す過渡応答の間は、レーザパルスの発射をとめる必要があるので、サーボ制御回路は過渡応答中か否かを知らせる二値信号を制御回路5に送信する。
【0060】
このように、各軸のミラーの動作を周期的な目標軌道にすると、所望の形状のビーム軌跡を高速・高精度で形成することができる。
【0061】
なお、上記ではフィードバック制御回路のゲイン特性と位相特性を演算により推定するようにしたが、各周波数でのゲイン・位相特性の推定結果に基づき、フィードバック制御回路の逆動特性に近似的に一致する伝達関数を、ディジタルフィルタとしてマイクロプロセッサ32で直接実現するようにしてもよい。このようにすると、任意の周波数成分を持つ目標軌道に対してミラーの動作を精密に追従制御することができる。
【0062】
また、例えばアクチュエータのトルク定数がミラーの角度に依存して変化する場合、フィードバック制御回路の動特性も角度依存性を持つ。そのような場合には、ミラーの角度を変えて複数箇所で動特性を推定し、中間の場所では推定値の補間や回帰曲線により目標軌道を高精度に修正するようにすれば、動特性の角度依存性の影響を補償することができる。
【0063】
また、上記ではスキャナ制御装置Sによりレーザ発振器7の出力タイミングを制御するようにしたが、図1において、計算装置6によりレーザ発振器を直接制御するように構成してもよい。この場合、特徴データを計算装置6からサーボ制御回路3に入力するようにすると、制御装置5を設ける必要がない。
【0064】
さらに、上記ではフィードバック制御手段のゲイン特性および位相特性を推定するようにしたが、予め周波数毎にゲイン特性および位相特性を推定しておき、その結果を記憶装置に記憶させておいてもよい。また、推定する毎にその結果を記憶装置に蓄積するように構成してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ミラー12とミラー22のフィードバック制御回路の動特性のずれを補償するように、両軸の目標軌道を修正するようにしたので、それぞれのミラーを周期的な目標軌道に精密かつ高速に追従制御させることができる。そして、このようなスキャナ装置をレーザ加工機に採用させることにより、高速加工による生産時間の短縮や、高精度加工による歩留まりの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスキャナ装置のブロック図である。
【図2】本発明における目標軌道と修正目標軌道および応答波形を示す図である。
【図3】本発明における位相面軌跡である。
【図4】試作したフィードバック制御回路における入力波形と出力波形の関係を示す図である。
【図5】試作機の位相面軌跡である。
【図6】本発明に係るX軸フィードバック制御の周波数応答特性を示すボード線図である。
【図7】本発明に係るY軸フィードバック制御の周波数応答特性を示すボード線図である。
【符号の説明】
1 X軸スキャナ
2 Y軸スキャナ
3 サーボ制御回路
12 ミラー(X軸)
22 ミラー(Y軸)
32 マイクロプロセッサ
Claims (6)
- フィードバック制御手段を備え、回転軸に固定されたミラーの角度を検出し、前記角度が目標値に一致するように前記角度を制御するスキャナ装置において、
前記フィードバック制御手段の特定の周波数に関するゲイン特性および位相特性を打ち消すように目標軌道を修正する修正目標軌道生成手段を設け、
前記フィードバック制御手段に対して、前記修正目標軌道生成手段の出力信号を目標値として入力することを特徴とするスキャナ装置。 - 前記フィードバック制御手段のゲイン特性および位相特性を推定する周波数特性推定手段を設け、この周波数特性推定手段により前記特定の周波数に関する前記ゲイン特性および位相特性を推定することを特徴とする請求項1に記載のスキャナ装置。
- 目標値が、ひとつまたは複数の周波数の正弦波の重ねあわせからなる周期的な目標軌道であり、前記周波数特性推定手段を用いて前記目標軌道を構成する周波数のゲイン特性と位相特性を推定し、該ゲイン特性と位相特性を打ち消すように、前記周期的目標軌道を修正することを特徴とする請求項1または2に記載のスキャナ装置。
- 前記修正目標軌道生成手段は、前記周波数特性推定手段によって推定したゲイン特性および位相特性の逆特性を有するフィルタ演算を行う逆特性フィルタ手段である、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスキャナ装置。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスキャナ装置を備え、被加工物表面に2次元的なレーザビームの軌跡を描くことにより、2次元的にレーザ加工することを特徴とするレーザ加工機。
- 前記目標軌道が一時的に急激に変化する過渡状態の間は、被加工物への前記レーザビームの照射を停止させる制御手段を備えていることを特徴とする請求項5に記載のレーザ加工機。
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