JP2004225279A - 骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた骨材の急速脱水方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】砕石や洗浄等によって水分を多量に帯びている骨材を、迅速に脱水可能とする新規な構造からなる骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた新規な骨材の急速脱水方法を提供する。
【解決手段】比較的胴長で通水周壁23とした円錐台形の筒状体であって、大径端側に排出開口部2、小径端側に軸着壁部22を形成すると共に、通水周壁23内面には回転羽根24が内向き均等配置に突設された回転分離槽2を、水平軸心上に配置させ、一方周方向Rに回転可能なラジアル駆動機構を設けると共に、軸心方向Sに往復動可能なスラスト駆動機構を設けた上、排出開口部21から導入されて軸着壁部22付近にスラリーを誘導するスラリー誘導管3を設けてなるものとした骨材用急速脱水装置1である。
【選択図】 図1
【解決手段】比較的胴長で通水周壁23とした円錐台形の筒状体であって、大径端側に排出開口部2、小径端側に軸着壁部22を形成すると共に、通水周壁23内面には回転羽根24が内向き均等配置に突設された回転分離槽2を、水平軸心上に配置させ、一方周方向Rに回転可能なラジアル駆動機構を設けると共に、軸心方向Sに往復動可能なスラスト駆動機構を設けた上、排出開口部21から導入されて軸着壁部22付近にスラリーを誘導するスラリー誘導管3を設けてなるものとした骨材用急速脱水装置1である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の目的】
この発明は、ダムコンクリート用、一般土木建築コンクリート用、および道路用等に分類される各種骨材の生産や取扱いに関連する技術であって、特に、砕石や洗浄等によって水分を多量に帯びている骨材を迅速に脱水可能とする新規な構造からなる骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた新規な骨材の急速脱水方法を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国における土木、建築に用いられる骨材は、主に原石山を供給源とした発破原石、河川砂利の砂利原石、高炉滓等が採用されており、生産目的によって一般土木建築コンクリート用、ダムコンクリート用および道路用等に大別することができ、発破原石の生産は、クラッシングプラントに原石を受け入れ、一次破砕系統によって粗篩をかけ、一次クラッシャで破砕処理し、これに続く二次破砕系統により、篩分けおよび破砕機の組合せによって所要の粗骨材を生産する、そして製砂系統によって粉砕分級して細骨材を生産して所定粒度、粒形の骨材を産出し、貯蔵および輸送系統によって貯蔵された各種骨材の引き出しが行われるという主に四系統の構成からなりたっている。
【0003】
このような骨材製造プラントは、一般に湿式が多く、骨材の洗浄に大量の水を必要とし、これに伴い大量の汚濁水が発生するので、給水設備および濁水処理のための浄化施設等を設置することが不可欠とされ、また、河川砂利を河底から汲み上げるサンドポンプ船によって陸揚げされた砂利原石もまた、多量の水を含んでおり、振動篩を用いて泥やゴミ等を取り除いた後にも大量の水が流出し続けるので、一時的に水諸共、砂利原石を池に貯め置き、砂利を粒度毎に分類、選別する際や、プラント外へ搬出する際には、バックホー等の建設機械を該池中に進めて砂利原石を汲み上げ、ダンプトラック等に積み込んで搬送することとなるが、このように建設機械のクローラ部分を水没させるようにして行う作業を、効率的且つ安全に進めるためには、運転に熟練した作業員と、比較的新しく故障の少ない建設機械の使用とが不可欠であり、こうした作業を長年に渡って継続するには多大な経費と労力とを必要としていた。
【0004】
このため、サンドポンプ船によって汲み上げられた砂利原石を、河岸に設置したベルトコンベアや各種フィーダ等に供給し、該ベルトコンベアや各種フィーダ上を移動するときの振動によって砂利原石の排水を促すことを試みたが、排水量が膨大な上に乾燥に長時間を要するため、作業効率が大幅に悪化してしまって実用化には適さないことが判明した。
【0005】
このように大量の水を含む骨材は、乾燥に長時間を要して取扱いが困難になってしまうという欠点があり、こうした問題を解決するものとして、例えば、特開2000−317228号公報に開示されているような「スクリーン、脱水機及び水砕スラグの脱水方法」発明があり、これによって大容量の処理能力と高い脱水性能を併せ持つバスケット型遠心脱水機を提供可能としているものであるが、さらに高い脱水能力を確保しようとすると、脱水用のバスケットを大型化せざるを得ないものとなり、また、特開平6−10311号公報の「アスファルト舗装廃材の再生方法」発明に開示された脱水機では、水平軸回りに高速回転および水平方向に往復振動する脱水筒が示されているが、この脱水機もまた、前述のものと同様に、さらに処理能力を高めようとすると、脱水筒の大型化が避けられないものであった。
【0006】
この発明は、以上のように大量且つ迅速に脱水処理するには、膨大な時間と労力とを注ぎ込むか、あるいは大型の脱水機を設置するしかなく、採石業からの撤退や、人権費の安い中国への進出等の傾向が出てきている等という砕石業界の実情に疑問を抱き、従来型の脱水機よりも小型でありながら、大量のスラリーをより迅速に脱水することができる脱水装置を提供することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた骨材の新規な急速脱水方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【0007】
【発明の構成】
図面に示す代表的な実施例からも明確に理解されるように、この発明の骨材用急速脱水装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側を排出開口部、小径端側を軸着壁部にすると共に、通水周壁内側には、回転分離槽軸心に添う方向で内向きとした複数枚の回転羽根が均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を周方向に回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を軸心方向に往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなるものとした構成を要旨とする骨材用急速脱水装置である。
【0008】
この基本的な構成からなる骨材用急速脱水装置を、換言すれば、比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側を排出開口部、小径端側を軸着壁部にすると共に、通水周壁内側には、回転分離槽軸心に添う方向で内向きとした複数枚の回転羽根が均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を周方向に回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を軸心方向に往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させ、スラリー誘導管を通じて回転脱水槽に放出、供給したスラリーを回転羽根によって回転して遠心力を付与することにより、通水周壁内面に沿って次第にスラリーを排出開口部側へ自然に移動していく過程で、水分または水分および泥分が通水周壁を通じて回転脱水槽外方に強制的に分離されるようにし、排出開口部から脱水完了の骨材を順次放出させるものとした構成からなる骨材用急速脱水装置ということができる。
【0009】
また、より具体的な構成のものとしては、比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側に排出開口部、小径端側には、軸心に略直交する平面状あるいは球面状に閉鎖する軸着壁部を形成し、通水周壁内面には、周方向の等間隔を隔てた複数箇所の夫々に周方向の一方側に傾斜させた回転羽根が、前記排出開口部付近から軸着壁部付近まで軸心に略平行状で内向き均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を、前記回転羽根の傾斜方向に一致する周方向に所定速度で回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を所定振幅、所定速度の往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなるものとした骨材用急速脱水装置であるということができる。
【0010】
そして、さらに具体的には、全長寸法が500ないし550mm望ましくは520mmに設定され、大径端側に直径500ないし550mm望ましくは520mmの排出開口部を形成し、これとは反対側となる小径端側には、軸心に略直交する平面状あるいは球面状に閉鎖する、直径が200ないし250mm望ましくは210mmの軸着壁部を形成し、中心に対して10゜ないし40゜望ましくは15゜ないし30゜の角度に傾斜させた比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、該通水周壁には、周方向の等間隔を隔てた複数箇所の夫々に周方向の一方側に向けて20゜ないし60゜望ましくは45゜の角度に傾斜し、幅70ないし30mm望ましくは50mm程度とした回転羽根が、前記排出開口部付近から軸着壁部付近まで軸心に略平行状で内向き均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を、前記回転羽根の傾斜方向に一致する周方向に700rpm以上望ましくは1,000rpm以上の速度で回転駆動可能なラジアル駆動機構が設けられると共に、同回転脱水槽をその軸心方向に沿って0.8ないし1.5mm望ましくは1.5mmの振幅、および2,000Hz以上望ましくは2,500Hz以上の速度で往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達して毎分0.5ないし1.9立方メートルのスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなる骨材用急速脱水装置であるということが可能である。
【0011】
回転分離槽は、略円錐台形に形成された通水周壁を、その形状の軸心を略水平状に支持可能とすると共に、ラジアル駆動機構による回転駆動を受けて回転可能であり、しかもスラスト駆動機構によって水平軸心方向に往復振動可能とする機能を果たすものであり、これら回転駆動や往復振動、およびスラリーの供給や脱水作動中に発生する遠心力等の各種荷重に十分耐えることができる構造としなければならず、通水周壁に沿って一定の肉厚寸法とした略円錐形状の外郭形状をなすものとすることができる外、通水周壁の外側に円筒状の保持枠構造をなして形成されたものとすること等が可能であり、回転駆動を支持するラジアル軸受けやスラスト軸受け、往復振動を支持するガイドレール機構等を介して支持されたものとすべきである。
【0012】
通水周壁は、スラリー誘導管から誘導、放出されたスラリーを、軸着壁部付近で受け止め、次々に供給されてくるスラリーに、回転羽根を回転させることによって遠心力を加え、周壁面の通水性または透水性によってスラリー中に含まれる水分を該通水周壁外側に排除させると共に、軸心方向への往復振動によって脱水された骨材を、次第に拡開状となる排出開口部側へ移動させ、放出するという機能を果たすものである。
【0013】
この通水周壁は、スラリーの脱水性能や骨材の排出性能を考慮すると、全長寸法と大径端側の直径とを略同一の寸法とするように設定するのが望ましく、内周壁面の傾斜角度は、中心に対して10゜ないし40゜とすることが可能であり、15゜ないし30゜の傾斜角度に設定することにより、さらに良好なスラリーの脱水性能および骨材の排出性能を確保できる。また、周壁面は、通水性または透水性を確保すると共に、骨材との接触によって容易に磨耗しない程度に十分な耐久強度を有するものとすべきであり、例えばステンレスやチタン製の金網、ステンレス製の綾畳織のメッシュ、多孔質セラミックス、ステンレス板に多数のパンチング加工を施したプレート、または同プレートの外周に不織布やスポンジ、多孔質ウレタン、多孔質合成ゴム等の通水素材を貼着し、骨材の荷重をプレート部分で保持し、通水素材が骨材の漏出を阻止すると共に、水分の通過を可能とした構造とすること等が可能である。
【0014】
排出開口部は、回転分離槽内へのスラリー誘導管の導入を可能とすると共に、脱水された骨材を次々に放出可能とする機能を果たすものであり、開口直径が通水周壁の全長寸法に略等しく設定されたものとするのが望ましく、軸着壁部は、排出開口部とは反対側となる小径端側に形成されてスラリー誘導管によって誘導、放出されたスラリーを通水周壁内側に留め、不用意なスラリーの漏出を防ぐ機能を果たすものであり、通水周壁の小径端側を閉鎖するものとしなければならず、軸心に略直交する平面状あるいは球面状に形成することができる外、中心部がスラリー誘導管側に向けて突出する凸面状、または円錐、多角錐状等の形状として、供給されたスラリーを速やかに通水周壁側に送り出すことを可能とする形状とすることも可能である。
【0015】
回転羽根は、通水周壁内に供給されたスラリーを掻き動かして筒形本体の回転力を効率的に伝え、迅速な脱水を実現する機能を果たすものであり、通水周壁に内向き状に立設され、回転方向に向けて傾斜された形状とするのが望ましく、スラリーを効率的に回転させるには、回転方向に向けて、20゜ないし60゜の角度に傾斜させたものとするのがよく、その角度範囲中でも45゜に傾斜させたものが最も高い脱水効果を得ることができ、通水周壁の周方向の等間隔を隔てた複数箇所に開口端付近から閉塞端付近まで軸心に略平行状に突設したものとするのが望ましいが、開口端付近から閉塞端付近までの間で、複数枚に分断されたり、周方向に突設位置をずらして配置すること等も可能であり、全長に当たって同一の幅寸法としたものとすることができる外、開口端側で幅広く、閉塞端側で幅が狭くなるよう寸法設定したものとすることも可能である。
【0016】
ラジアル駆動機構は、回転分離槽(通水周壁)を、その水平軸心回りの周方向に所定の回転速度で回転駆動可能とする機能を果たすものであり、モータやエンジン等の原動機の出力を直接的に、あるいは歯車、ベルト、チェーンその他の伝動機構を介して間接的に、回転分離槽の回転力として伝えるものとしなければならず、通水周壁に供給されたスラリーに十分な遠心力を与えることができる程度の回転速度を達成するものとすべきであり、例えば700rpm以上の回転を与えることにより、脱水機能を発揮するものとすることができ、1,000rpm以上の速度で回転駆動することにより、さらに迅速にスラリーを脱水することができるものとなる。
【0017】
スラスト駆動機構は、回転分離槽(通水周壁)を、その水平軸心に沿って所定振幅、および所定振動数で往復振動させる機能を果たすものであり、モータやエンジン等の原動機からの回転出力を、クランク機構や各種リンク機構、カム機構等を介して往復振動に変換するか、あるいは、電磁力利用の往復振動機構や、圧縮エアによってシリンダ内を往復動するピストン等の往復動力を直接的に利用すること等が可能であり、回転分離槽をその軸心方向に沿って0.8ないし1.5mmの振幅で往復動させることで、脱水された骨材を滞りなく排出させることが可能となり、望ましくは1.5mmの振幅に設定することにより、骨材のより迅速な排出を実現するものとなり、振動数を2,000Hz以上とすることにより、良好な骨材の排出を実現し、望ましくは2,500Hz以上の速度で往復振動させると、最も効率的な骨材の移動、送出が可能となる。
【0018】
【関連する発明】
上記した骨材用急速脱水装置に関連し、この発明には、この骨材用急速脱水装置を用いた骨材の急速脱水方法も包含しており、その構成は、基本的に次のとおりのものである。
即ち、上記までの骨材用急速脱水装置により、ラジアル駆動機構によって回転駆動されている回転脱水槽に、外部からスラリー誘導管を通じてスラリーを放出、供給し、回転羽根によって回転させて遠心力を与え、通水周壁を通じて水分または水分および泥分を、回転分離槽外側に強制的に分離させてしまうと共に、スラスト駆動機構によって往復駆動させている回転脱水槽通水周壁に沿ってスラリーを排出開口部側に向けて移動させ、その過程で、脱水完了の状態になって排出開口部に到達した骨材だけを、自然に放出するようにしてなる構成を要旨とする、前記したこの発明の骨材用急速脱水装置を使用してなる骨材の急速脱水方法である。
【0019】
そして、この発明の骨材用急速脱水装置を用いた骨材の急速脱水方法を、より具体的な構成によるものとしてに示すと、上記したこの発明の骨材用急速脱水装置を使って、700rpm以上望ましくは1,000rpm以上の速度で回転駆動する回転脱水槽内の軸着壁部付近に、スラリー誘導管を通じて毎分0.5ないし1.9立方メートル放出、供給されたスラリーを、回転羽根によって回転させて遠心力を与え、通水周壁を通じて水分だけを回転分離槽外側に強制的に分離させると共に、0.8ないし1.5mm望ましくは1.5mmの振幅、および2,000Hz以上望ましくは2,500Hz以上の速度で往復動するスラスト駆動機構によって通水周壁内面に沿って排出開口部側に向けて次第に移動させ、その過程で、脱水完了の状態となって排出開口部に到達した骨材だけを、自然に放出するようにした骨材の急速脱水方法であるということができる。
【0020】
スラリー誘導管によって回転分離槽中に供給されるスラリーは、山間部から掘削され、洗浄されて水分を大量に含む採石や、スクリーン(振動篩)やトロンメル(回転篩)等によって泥分除去と骨材寸法の画一化が施されたもの、あるいはサンドポンプ船によって河底から汲み上げられた砂利や、海底から汲み上げられ真水で塩分を洗い流した後の砂利等であるが、廃棄されたコンクリートやアスファルト等の土木廃材、建築廃材を、再利用のため粉砕する際に、水分を含んでしまったもの等であってもよい。
【0021】
スラリー誘導管を通じて回転分離槽中に誘導、放出されたスラリーは、通水周壁の回転駆動によって発生する遠心力によって水分、または水分および泥分が、通水周壁肉厚方向の外側に分離、排出されることとなるが、通水周壁の透水構造あるいは通水構造の違いによって貫通孔の目が粗い場合には水分と共に泥分も同通水周壁を通過して外部に放出されるものとなり、貫通孔の目が細かい場合には、泥分が通水周壁に塞き止められるようにして留まり、水分だけが通過して周壁面肉厚方向に外部放出されることとなる。こうした透水性や通水性の調整は、通水周壁の回転速度の変更や、壁面素材の選択、および複数枚の壁面素材を重ね合わせること等によって行うことができる。
【0022】
また、脱水された骨材は、通水周壁上の低い位置(外径寄り)に泥分や細かな骨材が堆積し、高い位置(中心寄り)に粗い骨材が分布するよう積層状となり、回転分離槽の往復振動の強さに応じて、振動が比較的弱ければ、上層に浮いている比較的粗い骨材だけが、順次排出開口部から放出されるものとなり、往復振動が比較的強ければ、上層の比較的粗い骨材と共に、通水周壁に付着状に堆積している比較的細かな骨材や泥分等も排出開口部から放出されることとなり、粗い骨材だけを放出するよう設定した場合には、所定時間運転する毎に、骨材用急速脱水装置を停止させて、通水周壁に付着する泥分や細かな骨材を、取り除いて脱水性能を一定に保つのが望ましいといえる。
【0023】
さらに、通水周壁の回転によって筒形本体の外側に放出される水分や泥分等は、ミスト状となって周辺に飛散するが、筒形本体の外周を包囲する飛沫防止壁を設ける等して飛び散る水分や泥分を回収し、適宜浄化または濾過処理する等して循環、再利用、あるいは排水可能とすることもできる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【0024】
【実施例】
図1の骨材用急速脱水装置要部の斜視図、図2の骨材用急速脱水装置要部の側面図、および図3の骨材用急速脱水装置要部の正面図に示される事例は、先端部分を切除した円錐形状に形成された、通水周壁に、回転羽根を内向き突設させ、その大径端側に排出開口部を、これとは反対側となる小径端側に軸着壁部を形成してなる回転分離槽を水平軸心上に同心状とするよう配置させ、同回転分離槽周方向の一方に回転駆動可能なラジアル駆動機構を設けると共に、同回転分離槽をその軸心方向に沿って往復振動可能とするスラスト駆動機構を設けた上、該通水周壁の内側には、本体外側から排出開口部中央付近を通じて導入され、これとは反対側となる軸着壁部付近にスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管を別体的に配置させてなる構造としたこの発明の基本的構成に包含される骨材用急速脱水装置における代表的な一実施例を示すものである。
【0025】
当該骨材用急速脱水装置1は、略円錐台形に形成され、全長が520mm、大径端排出開口部21の開口直径が520mm、これとは反対側の小径側に、円錐形中心CLに略直交する平板状に形成された軸着壁部22の直径が210mmに設定された回転分離槽2を有し、その内周側面は、円錐形状軸心CLに対して凡そ23゜の傾斜角度をもつよう設定し、ステンレス製の綾畳織のメッシュが張設されることによって通水周壁23が形成され、周方向の90゜間隔毎の位置には、夫々周方向の一方向に向けて45゜の角度に傾斜され、幅が50mm程度に設定された回転羽根24,24,……が、排出開口部21付近から軸着壁部22付近まで円錐形状の軸心CLに略平行状に配置され、内向き突設させたものとなっており、該回転分離槽2は円錐形状の中心CLを、水平方向に向けた状態で回転自在、且つ同円錐形の軸心CL方向に最大1.5mmの振幅で往復振動可能とするよう図示しない軸受け機構を介して支持されている。
【0026】
当該回転分離槽2は、図示しないラジアル駆動機構によって、図中矢印で示すように、駆動方向Rに向けて回転駆動可能なものとされ、前記回転羽根24,24,……の傾斜方向は、該駆動方向Rに一致するものとなっている。また、回転分離槽2は、図示しないスラスト駆動機構によって図中矢印Sで示す方向に往復振動可能としたものとなっており、スラリー誘導管3が、通水周壁23の円錐形状軸心CLに一致するよう水平直線状に導入され、そのスラリー放出端を、軸着壁部22に対峙するよう配置させ、回転自在に支持された通水周壁23とは別体的且つ固定的に支持させたものとなっている。さらに、スラリー誘導管3は、同スラリー放出端と軸着壁部22との対峙距離を、水平方向に進退移動させることによって調節し、スラリー供給速度に応じて最適な位置に仮固定できるように設けたものとすることが可能である。
【0027】
【作用】
以上のとおりの構成からなるこの発明の骨材用急速脱水装置は、以下に示すとおり、この発明の骨材の急速脱水方法に従って制御することにより、例えばサンドポンプ船によって河底から汲み上げられたスラリーを直接的且つ迅速に脱水して、そのままスクリーンやトロンメル等に供給することにより、速やかに一定範囲の粒径に選別された骨材として搬出することが可能となる。
【0028】
骨材用急速脱水装置1のラジアル駆動機構を駆動することにより、回転分離槽2を、図1中の矢印R方向に、凡そ1,000rpmの回転数で回転駆動させると同時に、スラスト機構を駆動して回転分離槽2を、同図中の矢印S方向に、1.5mmの振幅で、凡そ2,500Hzの振動数とするよう往復振動させながら、図示しないサンドポンプ船によって河底から汲み上げられたスラリー4を、そのままスラリー誘導管3に供給し、通水周壁23の軸着壁部22付近に向けて毎分0.5ないし1.9立方メートルの量を誘導、放出することにより、通水周壁23に一体となって回転する複数枚の回転羽根24,24,……が、供給されたスラリー4を掻き回すように回転させ、この回転運動によって遠心力を受けたスラリー4が、通水周壁23を通じて水分だけを回転分離槽2外側に強制的に分離させられることとなる。
【0029】
脱水過程で、回転分離槽2中に残された骨材は、該回転分離槽2の往復振動を受けて、通水周壁23に沿って排出開口部21側に向けて滑落状あるいは転落状となって次第に移動され、この移動中にも脱水が進行されて排出開口部21付近に達したときには、脱水が完了されたものとなって骨材だけが排出開口部21から外部に自動的に放出されることとなり、当該骨材用急速脱水装置1から放出された骨材は、そのまま直接的にスクリーンやトロンメル等に供給して一定範囲の粒径に分類、選別することが可能である。
【0030】
また、泥分を多量に含むスラリー4の場合には、スクリーン等を用いて泥分を洗浄した後の水分を大量に含むスラリー4をスラリー誘導管3に供給し、骨材用急速脱水装置1で脱水することも可能である外、クラッシングプラントから産出された水分を含むスラリーや、各種クラッシャによって砕石し、洗浄することによって多量の水分を含んだスラリー4等を、スラリー誘導管3に供給して脱水することも可能であり、さらに、泥分を大量に含むスラリー4をスラリー誘導管3に供給して、脱水後の泥分や粉状分が通水周壁23上の低層位置(外径寄り)に堆積し、粒径の細かい骨材が、通水周壁23上の中層位置に、粒径が比較的大きな骨材が、通水周壁23上の上層位置(回転中心CL寄り)に堆積されるという性質を利用して、骨材洗浄と同時に一定範囲の粒径毎に分類、選別してしまうようにすることも可能である。
【0031】
【効果】
以上のとおり、この発明の骨材用急速脱水装置によれば、何よりもまず、円錐台形に形成され通水周壁に回転羽根を内向き突設してなる回転分離槽を設けたことにより、従前までの骨材用の脱水装置に比較して格段に大量のスラリーを短時間の中に脱水処理することが可能となり、同等の処理能力を発揮するものであれば、従来型の脱水装置よりも大幅に小型化することができ、しかも、それに付随するラジアル駆動機構やスラスト駆動機構等の駆動源および駆動機構の負担も軽減して装置全体を軽量、コンパクトなものとすることができるという秀れた効果を発揮することができる。
【0032】
また、この発明の骨材の急速脱水方法によれば、スラリー誘導管を通じて回転駆動される通水周壁中の軸着壁部付近に放出、供給されたスラリーを、回転羽根によって回転させるようにしたことにより、スラリーに対して効率的に遠心力を加えられ、従前までのバスケット型のスクリーンや脱水筒を用いた脱水装置に比較して格段に効率的に脱水することができるため、比較的小型なものであっても迅速な脱水作業が可能となり、しかも小型化によって通水周壁の軸方向長さ寸法も比較的短く設定することが可能となり、スラリーを投入してから脱水処理を終えて骨材が排出されるまでの時間を、一段と短縮することがでえきるという秀れた特徴が得られるものである。
【0033】
特に、実施例に説明した骨材用急速脱水装置1は、上記した特徴に加え、全長が520mm、大径端排出開口部21の開口寸法が520mm、これとは反対側の小径側に、円錐形中心CLに略直交する平板状に形成された軸着壁部22の直径が210mmに設定された回転分離槽2を設けたことから、当該骨材用急速脱水装置1の外郭寸法を、従前までの装置に比較して大幅に小型化することができ、サンドポンプ船のように頻繁に採石場所を移動するような採石施設であっても、運搬、移設が容易であって設置作業も小人数で行うことができる上、メンテナンスや分解修理に際しても、骨材用急速脱水装置1だけを設置場所から取り外し、小型トラック等を用いて工場まで搬送することが簡便に行えるものとなり、維持管理のための作業負担を軽減することができると共に、ラジアル駆動機構やスラスト駆動機構等の各駆動源も、従前までのような大トルクを必要とせず、駆動源となるモータやエンジン等の消費電力や燃費を大幅に削減することができるという利点がある。
【0034】
また、通水周壁23に四枚が均等配置に突設され、回転分離槽2の回転方向に向けて45゜の角度に傾斜させて形成した回転羽根24,24,……は、その傾斜構造によってスラリー4を効率的に回転させることができる上、スラリー4との衝突に対する耐久強度を向上させ、回転羽根24,24,……自体の耐摩耗性を格段に向上させることができることから、骨材用急速脱水装置1自体を長寿命化させ、より経済的なものにすることができるという実用的な効果を発揮することとなる。
【0035】
叙述の如く、この発明の骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた骨材の急速脱水方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前までの骨材脱水装置の単価に比較して遥かに経済的なものとすることができる上、骨材の脱水作業および骨材用急速脱水装置自体のメンテナンス作業の効率も大幅に高めることができることから、費用の削減と採石作業時間の短縮とを確実に達成可能にするものであり、経費の削減が困難なために砕石事業から撤退してしまったり、人件費が安く天然資源の豊富な海外に進出しまう業者が後を絶たず、作業の効率化と迅速化が強くが求められる骨材製造業界において高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものなると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた骨材の急速脱水方法の技術的思想を具現化した代表的な一実施例を示すものである。
【図1】骨材用急速脱水装置の構造を概念的に示す斜視図である。
【図2】骨材用急速脱水装置の構造を概念的に示した側面図である。
【図3】骨材用急速脱水装置の構造を概念的に示す正面図である。
【符号の説明】
1 骨材用急速脱水装置
2 回転分離槽
21 同 排出開口部
22 同 軸着壁部
23 同 通水周壁
24 同 回転羽根
3 スラリー誘導管
4 スラリー
CL 通水周壁の回転中心
R ラジアル駆動機構による駆動方向
S スラスト駆動機構による駆動方向
【発明の目的】
この発明は、ダムコンクリート用、一般土木建築コンクリート用、および道路用等に分類される各種骨材の生産や取扱いに関連する技術であって、特に、砕石や洗浄等によって水分を多量に帯びている骨材を迅速に脱水可能とする新規な構造からなる骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた新規な骨材の急速脱水方法を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国における土木、建築に用いられる骨材は、主に原石山を供給源とした発破原石、河川砂利の砂利原石、高炉滓等が採用されており、生産目的によって一般土木建築コンクリート用、ダムコンクリート用および道路用等に大別することができ、発破原石の生産は、クラッシングプラントに原石を受け入れ、一次破砕系統によって粗篩をかけ、一次クラッシャで破砕処理し、これに続く二次破砕系統により、篩分けおよび破砕機の組合せによって所要の粗骨材を生産する、そして製砂系統によって粉砕分級して細骨材を生産して所定粒度、粒形の骨材を産出し、貯蔵および輸送系統によって貯蔵された各種骨材の引き出しが行われるという主に四系統の構成からなりたっている。
【0003】
このような骨材製造プラントは、一般に湿式が多く、骨材の洗浄に大量の水を必要とし、これに伴い大量の汚濁水が発生するので、給水設備および濁水処理のための浄化施設等を設置することが不可欠とされ、また、河川砂利を河底から汲み上げるサンドポンプ船によって陸揚げされた砂利原石もまた、多量の水を含んでおり、振動篩を用いて泥やゴミ等を取り除いた後にも大量の水が流出し続けるので、一時的に水諸共、砂利原石を池に貯め置き、砂利を粒度毎に分類、選別する際や、プラント外へ搬出する際には、バックホー等の建設機械を該池中に進めて砂利原石を汲み上げ、ダンプトラック等に積み込んで搬送することとなるが、このように建設機械のクローラ部分を水没させるようにして行う作業を、効率的且つ安全に進めるためには、運転に熟練した作業員と、比較的新しく故障の少ない建設機械の使用とが不可欠であり、こうした作業を長年に渡って継続するには多大な経費と労力とを必要としていた。
【0004】
このため、サンドポンプ船によって汲み上げられた砂利原石を、河岸に設置したベルトコンベアや各種フィーダ等に供給し、該ベルトコンベアや各種フィーダ上を移動するときの振動によって砂利原石の排水を促すことを試みたが、排水量が膨大な上に乾燥に長時間を要するため、作業効率が大幅に悪化してしまって実用化には適さないことが判明した。
【0005】
このように大量の水を含む骨材は、乾燥に長時間を要して取扱いが困難になってしまうという欠点があり、こうした問題を解決するものとして、例えば、特開2000−317228号公報に開示されているような「スクリーン、脱水機及び水砕スラグの脱水方法」発明があり、これによって大容量の処理能力と高い脱水性能を併せ持つバスケット型遠心脱水機を提供可能としているものであるが、さらに高い脱水能力を確保しようとすると、脱水用のバスケットを大型化せざるを得ないものとなり、また、特開平6−10311号公報の「アスファルト舗装廃材の再生方法」発明に開示された脱水機では、水平軸回りに高速回転および水平方向に往復振動する脱水筒が示されているが、この脱水機もまた、前述のものと同様に、さらに処理能力を高めようとすると、脱水筒の大型化が避けられないものであった。
【0006】
この発明は、以上のように大量且つ迅速に脱水処理するには、膨大な時間と労力とを注ぎ込むか、あるいは大型の脱水機を設置するしかなく、採石業からの撤退や、人権費の安い中国への進出等の傾向が出てきている等という砕石業界の実情に疑問を抱き、従来型の脱水機よりも小型でありながら、大量のスラリーをより迅速に脱水することができる脱水装置を提供することはできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた骨材の新規な急速脱水方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【0007】
【発明の構成】
図面に示す代表的な実施例からも明確に理解されるように、この発明の骨材用急速脱水装置は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側を排出開口部、小径端側を軸着壁部にすると共に、通水周壁内側には、回転分離槽軸心に添う方向で内向きとした複数枚の回転羽根が均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を周方向に回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を軸心方向に往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなるものとした構成を要旨とする骨材用急速脱水装置である。
【0008】
この基本的な構成からなる骨材用急速脱水装置を、換言すれば、比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側を排出開口部、小径端側を軸着壁部にすると共に、通水周壁内側には、回転分離槽軸心に添う方向で内向きとした複数枚の回転羽根が均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を周方向に回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を軸心方向に往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させ、スラリー誘導管を通じて回転脱水槽に放出、供給したスラリーを回転羽根によって回転して遠心力を付与することにより、通水周壁内面に沿って次第にスラリーを排出開口部側へ自然に移動していく過程で、水分または水分および泥分が通水周壁を通じて回転脱水槽外方に強制的に分離されるようにし、排出開口部から脱水完了の骨材を順次放出させるものとした構成からなる骨材用急速脱水装置ということができる。
【0009】
また、より具体的な構成のものとしては、比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側に排出開口部、小径端側には、軸心に略直交する平面状あるいは球面状に閉鎖する軸着壁部を形成し、通水周壁内面には、周方向の等間隔を隔てた複数箇所の夫々に周方向の一方側に傾斜させた回転羽根が、前記排出開口部付近から軸着壁部付近まで軸心に略平行状で内向き均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を、前記回転羽根の傾斜方向に一致する周方向に所定速度で回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を所定振幅、所定速度の往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなるものとした骨材用急速脱水装置であるということができる。
【0010】
そして、さらに具体的には、全長寸法が500ないし550mm望ましくは520mmに設定され、大径端側に直径500ないし550mm望ましくは520mmの排出開口部を形成し、これとは反対側となる小径端側には、軸心に略直交する平面状あるいは球面状に閉鎖する、直径が200ないし250mm望ましくは210mmの軸着壁部を形成し、中心に対して10゜ないし40゜望ましくは15゜ないし30゜の角度に傾斜させた比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、該通水周壁には、周方向の等間隔を隔てた複数箇所の夫々に周方向の一方側に向けて20゜ないし60゜望ましくは45゜の角度に傾斜し、幅70ないし30mm望ましくは50mm程度とした回転羽根が、前記排出開口部付近から軸着壁部付近まで軸心に略平行状で内向き均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を、前記回転羽根の傾斜方向に一致する周方向に700rpm以上望ましくは1,000rpm以上の速度で回転駆動可能なラジアル駆動機構が設けられると共に、同回転脱水槽をその軸心方向に沿って0.8ないし1.5mm望ましくは1.5mmの振幅、および2,000Hz以上望ましくは2,500Hz以上の速度で往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達して毎分0.5ないし1.9立方メートルのスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなる骨材用急速脱水装置であるということが可能である。
【0011】
回転分離槽は、略円錐台形に形成された通水周壁を、その形状の軸心を略水平状に支持可能とすると共に、ラジアル駆動機構による回転駆動を受けて回転可能であり、しかもスラスト駆動機構によって水平軸心方向に往復振動可能とする機能を果たすものであり、これら回転駆動や往復振動、およびスラリーの供給や脱水作動中に発生する遠心力等の各種荷重に十分耐えることができる構造としなければならず、通水周壁に沿って一定の肉厚寸法とした略円錐形状の外郭形状をなすものとすることができる外、通水周壁の外側に円筒状の保持枠構造をなして形成されたものとすること等が可能であり、回転駆動を支持するラジアル軸受けやスラスト軸受け、往復振動を支持するガイドレール機構等を介して支持されたものとすべきである。
【0012】
通水周壁は、スラリー誘導管から誘導、放出されたスラリーを、軸着壁部付近で受け止め、次々に供給されてくるスラリーに、回転羽根を回転させることによって遠心力を加え、周壁面の通水性または透水性によってスラリー中に含まれる水分を該通水周壁外側に排除させると共に、軸心方向への往復振動によって脱水された骨材を、次第に拡開状となる排出開口部側へ移動させ、放出するという機能を果たすものである。
【0013】
この通水周壁は、スラリーの脱水性能や骨材の排出性能を考慮すると、全長寸法と大径端側の直径とを略同一の寸法とするように設定するのが望ましく、内周壁面の傾斜角度は、中心に対して10゜ないし40゜とすることが可能であり、15゜ないし30゜の傾斜角度に設定することにより、さらに良好なスラリーの脱水性能および骨材の排出性能を確保できる。また、周壁面は、通水性または透水性を確保すると共に、骨材との接触によって容易に磨耗しない程度に十分な耐久強度を有するものとすべきであり、例えばステンレスやチタン製の金網、ステンレス製の綾畳織のメッシュ、多孔質セラミックス、ステンレス板に多数のパンチング加工を施したプレート、または同プレートの外周に不織布やスポンジ、多孔質ウレタン、多孔質合成ゴム等の通水素材を貼着し、骨材の荷重をプレート部分で保持し、通水素材が骨材の漏出を阻止すると共に、水分の通過を可能とした構造とすること等が可能である。
【0014】
排出開口部は、回転分離槽内へのスラリー誘導管の導入を可能とすると共に、脱水された骨材を次々に放出可能とする機能を果たすものであり、開口直径が通水周壁の全長寸法に略等しく設定されたものとするのが望ましく、軸着壁部は、排出開口部とは反対側となる小径端側に形成されてスラリー誘導管によって誘導、放出されたスラリーを通水周壁内側に留め、不用意なスラリーの漏出を防ぐ機能を果たすものであり、通水周壁の小径端側を閉鎖するものとしなければならず、軸心に略直交する平面状あるいは球面状に形成することができる外、中心部がスラリー誘導管側に向けて突出する凸面状、または円錐、多角錐状等の形状として、供給されたスラリーを速やかに通水周壁側に送り出すことを可能とする形状とすることも可能である。
【0015】
回転羽根は、通水周壁内に供給されたスラリーを掻き動かして筒形本体の回転力を効率的に伝え、迅速な脱水を実現する機能を果たすものであり、通水周壁に内向き状に立設され、回転方向に向けて傾斜された形状とするのが望ましく、スラリーを効率的に回転させるには、回転方向に向けて、20゜ないし60゜の角度に傾斜させたものとするのがよく、その角度範囲中でも45゜に傾斜させたものが最も高い脱水効果を得ることができ、通水周壁の周方向の等間隔を隔てた複数箇所に開口端付近から閉塞端付近まで軸心に略平行状に突設したものとするのが望ましいが、開口端付近から閉塞端付近までの間で、複数枚に分断されたり、周方向に突設位置をずらして配置すること等も可能であり、全長に当たって同一の幅寸法としたものとすることができる外、開口端側で幅広く、閉塞端側で幅が狭くなるよう寸法設定したものとすることも可能である。
【0016】
ラジアル駆動機構は、回転分離槽(通水周壁)を、その水平軸心回りの周方向に所定の回転速度で回転駆動可能とする機能を果たすものであり、モータやエンジン等の原動機の出力を直接的に、あるいは歯車、ベルト、チェーンその他の伝動機構を介して間接的に、回転分離槽の回転力として伝えるものとしなければならず、通水周壁に供給されたスラリーに十分な遠心力を与えることができる程度の回転速度を達成するものとすべきであり、例えば700rpm以上の回転を与えることにより、脱水機能を発揮するものとすることができ、1,000rpm以上の速度で回転駆動することにより、さらに迅速にスラリーを脱水することができるものとなる。
【0017】
スラスト駆動機構は、回転分離槽(通水周壁)を、その水平軸心に沿って所定振幅、および所定振動数で往復振動させる機能を果たすものであり、モータやエンジン等の原動機からの回転出力を、クランク機構や各種リンク機構、カム機構等を介して往復振動に変換するか、あるいは、電磁力利用の往復振動機構や、圧縮エアによってシリンダ内を往復動するピストン等の往復動力を直接的に利用すること等が可能であり、回転分離槽をその軸心方向に沿って0.8ないし1.5mmの振幅で往復動させることで、脱水された骨材を滞りなく排出させることが可能となり、望ましくは1.5mmの振幅に設定することにより、骨材のより迅速な排出を実現するものとなり、振動数を2,000Hz以上とすることにより、良好な骨材の排出を実現し、望ましくは2,500Hz以上の速度で往復振動させると、最も効率的な骨材の移動、送出が可能となる。
【0018】
【関連する発明】
上記した骨材用急速脱水装置に関連し、この発明には、この骨材用急速脱水装置を用いた骨材の急速脱水方法も包含しており、その構成は、基本的に次のとおりのものである。
即ち、上記までの骨材用急速脱水装置により、ラジアル駆動機構によって回転駆動されている回転脱水槽に、外部からスラリー誘導管を通じてスラリーを放出、供給し、回転羽根によって回転させて遠心力を与え、通水周壁を通じて水分または水分および泥分を、回転分離槽外側に強制的に分離させてしまうと共に、スラスト駆動機構によって往復駆動させている回転脱水槽通水周壁に沿ってスラリーを排出開口部側に向けて移動させ、その過程で、脱水完了の状態になって排出開口部に到達した骨材だけを、自然に放出するようにしてなる構成を要旨とする、前記したこの発明の骨材用急速脱水装置を使用してなる骨材の急速脱水方法である。
【0019】
そして、この発明の骨材用急速脱水装置を用いた骨材の急速脱水方法を、より具体的な構成によるものとしてに示すと、上記したこの発明の骨材用急速脱水装置を使って、700rpm以上望ましくは1,000rpm以上の速度で回転駆動する回転脱水槽内の軸着壁部付近に、スラリー誘導管を通じて毎分0.5ないし1.9立方メートル放出、供給されたスラリーを、回転羽根によって回転させて遠心力を与え、通水周壁を通じて水分だけを回転分離槽外側に強制的に分離させると共に、0.8ないし1.5mm望ましくは1.5mmの振幅、および2,000Hz以上望ましくは2,500Hz以上の速度で往復動するスラスト駆動機構によって通水周壁内面に沿って排出開口部側に向けて次第に移動させ、その過程で、脱水完了の状態となって排出開口部に到達した骨材だけを、自然に放出するようにした骨材の急速脱水方法であるということができる。
【0020】
スラリー誘導管によって回転分離槽中に供給されるスラリーは、山間部から掘削され、洗浄されて水分を大量に含む採石や、スクリーン(振動篩)やトロンメル(回転篩)等によって泥分除去と骨材寸法の画一化が施されたもの、あるいはサンドポンプ船によって河底から汲み上げられた砂利や、海底から汲み上げられ真水で塩分を洗い流した後の砂利等であるが、廃棄されたコンクリートやアスファルト等の土木廃材、建築廃材を、再利用のため粉砕する際に、水分を含んでしまったもの等であってもよい。
【0021】
スラリー誘導管を通じて回転分離槽中に誘導、放出されたスラリーは、通水周壁の回転駆動によって発生する遠心力によって水分、または水分および泥分が、通水周壁肉厚方向の外側に分離、排出されることとなるが、通水周壁の透水構造あるいは通水構造の違いによって貫通孔の目が粗い場合には水分と共に泥分も同通水周壁を通過して外部に放出されるものとなり、貫通孔の目が細かい場合には、泥分が通水周壁に塞き止められるようにして留まり、水分だけが通過して周壁面肉厚方向に外部放出されることとなる。こうした透水性や通水性の調整は、通水周壁の回転速度の変更や、壁面素材の選択、および複数枚の壁面素材を重ね合わせること等によって行うことができる。
【0022】
また、脱水された骨材は、通水周壁上の低い位置(外径寄り)に泥分や細かな骨材が堆積し、高い位置(中心寄り)に粗い骨材が分布するよう積層状となり、回転分離槽の往復振動の強さに応じて、振動が比較的弱ければ、上層に浮いている比較的粗い骨材だけが、順次排出開口部から放出されるものとなり、往復振動が比較的強ければ、上層の比較的粗い骨材と共に、通水周壁に付着状に堆積している比較的細かな骨材や泥分等も排出開口部から放出されることとなり、粗い骨材だけを放出するよう設定した場合には、所定時間運転する毎に、骨材用急速脱水装置を停止させて、通水周壁に付着する泥分や細かな骨材を、取り除いて脱水性能を一定に保つのが望ましいといえる。
【0023】
さらに、通水周壁の回転によって筒形本体の外側に放出される水分や泥分等は、ミスト状となって周辺に飛散するが、筒形本体の外周を包囲する飛沫防止壁を設ける等して飛び散る水分や泥分を回収し、適宜浄化または濾過処理する等して循環、再利用、あるいは排水可能とすることもできる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【0024】
【実施例】
図1の骨材用急速脱水装置要部の斜視図、図2の骨材用急速脱水装置要部の側面図、および図3の骨材用急速脱水装置要部の正面図に示される事例は、先端部分を切除した円錐形状に形成された、通水周壁に、回転羽根を内向き突設させ、その大径端側に排出開口部を、これとは反対側となる小径端側に軸着壁部を形成してなる回転分離槽を水平軸心上に同心状とするよう配置させ、同回転分離槽周方向の一方に回転駆動可能なラジアル駆動機構を設けると共に、同回転分離槽をその軸心方向に沿って往復振動可能とするスラスト駆動機構を設けた上、該通水周壁の内側には、本体外側から排出開口部中央付近を通じて導入され、これとは反対側となる軸着壁部付近にスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管を別体的に配置させてなる構造としたこの発明の基本的構成に包含される骨材用急速脱水装置における代表的な一実施例を示すものである。
【0025】
当該骨材用急速脱水装置1は、略円錐台形に形成され、全長が520mm、大径端排出開口部21の開口直径が520mm、これとは反対側の小径側に、円錐形中心CLに略直交する平板状に形成された軸着壁部22の直径が210mmに設定された回転分離槽2を有し、その内周側面は、円錐形状軸心CLに対して凡そ23゜の傾斜角度をもつよう設定し、ステンレス製の綾畳織のメッシュが張設されることによって通水周壁23が形成され、周方向の90゜間隔毎の位置には、夫々周方向の一方向に向けて45゜の角度に傾斜され、幅が50mm程度に設定された回転羽根24,24,……が、排出開口部21付近から軸着壁部22付近まで円錐形状の軸心CLに略平行状に配置され、内向き突設させたものとなっており、該回転分離槽2は円錐形状の中心CLを、水平方向に向けた状態で回転自在、且つ同円錐形の軸心CL方向に最大1.5mmの振幅で往復振動可能とするよう図示しない軸受け機構を介して支持されている。
【0026】
当該回転分離槽2は、図示しないラジアル駆動機構によって、図中矢印で示すように、駆動方向Rに向けて回転駆動可能なものとされ、前記回転羽根24,24,……の傾斜方向は、該駆動方向Rに一致するものとなっている。また、回転分離槽2は、図示しないスラスト駆動機構によって図中矢印Sで示す方向に往復振動可能としたものとなっており、スラリー誘導管3が、通水周壁23の円錐形状軸心CLに一致するよう水平直線状に導入され、そのスラリー放出端を、軸着壁部22に対峙するよう配置させ、回転自在に支持された通水周壁23とは別体的且つ固定的に支持させたものとなっている。さらに、スラリー誘導管3は、同スラリー放出端と軸着壁部22との対峙距離を、水平方向に進退移動させることによって調節し、スラリー供給速度に応じて最適な位置に仮固定できるように設けたものとすることが可能である。
【0027】
【作用】
以上のとおりの構成からなるこの発明の骨材用急速脱水装置は、以下に示すとおり、この発明の骨材の急速脱水方法に従って制御することにより、例えばサンドポンプ船によって河底から汲み上げられたスラリーを直接的且つ迅速に脱水して、そのままスクリーンやトロンメル等に供給することにより、速やかに一定範囲の粒径に選別された骨材として搬出することが可能となる。
【0028】
骨材用急速脱水装置1のラジアル駆動機構を駆動することにより、回転分離槽2を、図1中の矢印R方向に、凡そ1,000rpmの回転数で回転駆動させると同時に、スラスト機構を駆動して回転分離槽2を、同図中の矢印S方向に、1.5mmの振幅で、凡そ2,500Hzの振動数とするよう往復振動させながら、図示しないサンドポンプ船によって河底から汲み上げられたスラリー4を、そのままスラリー誘導管3に供給し、通水周壁23の軸着壁部22付近に向けて毎分0.5ないし1.9立方メートルの量を誘導、放出することにより、通水周壁23に一体となって回転する複数枚の回転羽根24,24,……が、供給されたスラリー4を掻き回すように回転させ、この回転運動によって遠心力を受けたスラリー4が、通水周壁23を通じて水分だけを回転分離槽2外側に強制的に分離させられることとなる。
【0029】
脱水過程で、回転分離槽2中に残された骨材は、該回転分離槽2の往復振動を受けて、通水周壁23に沿って排出開口部21側に向けて滑落状あるいは転落状となって次第に移動され、この移動中にも脱水が進行されて排出開口部21付近に達したときには、脱水が完了されたものとなって骨材だけが排出開口部21から外部に自動的に放出されることとなり、当該骨材用急速脱水装置1から放出された骨材は、そのまま直接的にスクリーンやトロンメル等に供給して一定範囲の粒径に分類、選別することが可能である。
【0030】
また、泥分を多量に含むスラリー4の場合には、スクリーン等を用いて泥分を洗浄した後の水分を大量に含むスラリー4をスラリー誘導管3に供給し、骨材用急速脱水装置1で脱水することも可能である外、クラッシングプラントから産出された水分を含むスラリーや、各種クラッシャによって砕石し、洗浄することによって多量の水分を含んだスラリー4等を、スラリー誘導管3に供給して脱水することも可能であり、さらに、泥分を大量に含むスラリー4をスラリー誘導管3に供給して、脱水後の泥分や粉状分が通水周壁23上の低層位置(外径寄り)に堆積し、粒径の細かい骨材が、通水周壁23上の中層位置に、粒径が比較的大きな骨材が、通水周壁23上の上層位置(回転中心CL寄り)に堆積されるという性質を利用して、骨材洗浄と同時に一定範囲の粒径毎に分類、選別してしまうようにすることも可能である。
【0031】
【効果】
以上のとおり、この発明の骨材用急速脱水装置によれば、何よりもまず、円錐台形に形成され通水周壁に回転羽根を内向き突設してなる回転分離槽を設けたことにより、従前までの骨材用の脱水装置に比較して格段に大量のスラリーを短時間の中に脱水処理することが可能となり、同等の処理能力を発揮するものであれば、従来型の脱水装置よりも大幅に小型化することができ、しかも、それに付随するラジアル駆動機構やスラスト駆動機構等の駆動源および駆動機構の負担も軽減して装置全体を軽量、コンパクトなものとすることができるという秀れた効果を発揮することができる。
【0032】
また、この発明の骨材の急速脱水方法によれば、スラリー誘導管を通じて回転駆動される通水周壁中の軸着壁部付近に放出、供給されたスラリーを、回転羽根によって回転させるようにしたことにより、スラリーに対して効率的に遠心力を加えられ、従前までのバスケット型のスクリーンや脱水筒を用いた脱水装置に比較して格段に効率的に脱水することができるため、比較的小型なものであっても迅速な脱水作業が可能となり、しかも小型化によって通水周壁の軸方向長さ寸法も比較的短く設定することが可能となり、スラリーを投入してから脱水処理を終えて骨材が排出されるまでの時間を、一段と短縮することがでえきるという秀れた特徴が得られるものである。
【0033】
特に、実施例に説明した骨材用急速脱水装置1は、上記した特徴に加え、全長が520mm、大径端排出開口部21の開口寸法が520mm、これとは反対側の小径側に、円錐形中心CLに略直交する平板状に形成された軸着壁部22の直径が210mmに設定された回転分離槽2を設けたことから、当該骨材用急速脱水装置1の外郭寸法を、従前までの装置に比較して大幅に小型化することができ、サンドポンプ船のように頻繁に採石場所を移動するような採石施設であっても、運搬、移設が容易であって設置作業も小人数で行うことができる上、メンテナンスや分解修理に際しても、骨材用急速脱水装置1だけを設置場所から取り外し、小型トラック等を用いて工場まで搬送することが簡便に行えるものとなり、維持管理のための作業負担を軽減することができると共に、ラジアル駆動機構やスラスト駆動機構等の各駆動源も、従前までのような大トルクを必要とせず、駆動源となるモータやエンジン等の消費電力や燃費を大幅に削減することができるという利点がある。
【0034】
また、通水周壁23に四枚が均等配置に突設され、回転分離槽2の回転方向に向けて45゜の角度に傾斜させて形成した回転羽根24,24,……は、その傾斜構造によってスラリー4を効率的に回転させることができる上、スラリー4との衝突に対する耐久強度を向上させ、回転羽根24,24,……自体の耐摩耗性を格段に向上させることができることから、骨材用急速脱水装置1自体を長寿命化させ、より経済的なものにすることができるという実用的な効果を発揮することとなる。
【0035】
叙述の如く、この発明の骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた骨材の急速脱水方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前までの骨材脱水装置の単価に比較して遥かに経済的なものとすることができる上、骨材の脱水作業および骨材用急速脱水装置自体のメンテナンス作業の効率も大幅に高めることができることから、費用の削減と採石作業時間の短縮とを確実に達成可能にするものであり、経費の削減が困難なために砕石事業から撤退してしまったり、人件費が安く天然資源の豊富な海外に進出しまう業者が後を絶たず、作業の効率化と迅速化が強くが求められる骨材製造業界において高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものなると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明の骨材用急速脱水装置、およびそれを用いた骨材の急速脱水方法の技術的思想を具現化した代表的な一実施例を示すものである。
【図1】骨材用急速脱水装置の構造を概念的に示す斜視図である。
【図2】骨材用急速脱水装置の構造を概念的に示した側面図である。
【図3】骨材用急速脱水装置の構造を概念的に示す正面図である。
【符号の説明】
1 骨材用急速脱水装置
2 回転分離槽
21 同 排出開口部
22 同 軸着壁部
23 同 通水周壁
24 同 回転羽根
3 スラリー誘導管
4 スラリー
CL 通水周壁の回転中心
R ラジアル駆動機構による駆動方向
S スラスト駆動機構による駆動方向
Claims (6)
- 比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側を排出開口部、小径端側を軸着壁部にすると共に、通水周壁内側には、回転分離槽軸心に添う方向で内向きとした複数枚の回転羽根が均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を周方向に回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を軸心方向に往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなるものとしたことを特徴とする骨材用急速脱水装置。
- 比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側を排出開口部、小径端側を軸着壁部にすると共に、通水周壁内側には、回転分離槽軸心に添う方向で内向きとした複数枚の回転羽根が均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を周方向に回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を軸心方向に往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させ、スラリー誘導管を通じて回転脱水槽に放出、供給したスラリーを回転羽根によって回転して遠心力を付与することにより、通水周壁内面に沿って次第にスラリーを排出開口部側へ自然に移動していく過程で、水分または水分および泥分が通水周壁を通じて回転脱水槽外方に強制的に分離されるようにし、排出開口部から脱水完了の骨材を順次放出させるものとしたことを特徴とする骨材用急速脱水装置。
- 比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、大径端側に排出開口部、小径端側には、軸心に略直交する平面状あるいは球面状に閉鎖する軸着壁部を形成し、通水周壁内面には、周方向の等間隔を隔てた複数箇所の夫々に周方向の一方側に傾斜させた回転羽根が、前記排出開口部付近から軸着壁部付近まで軸心に略平行状で内向き均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を、前記回転羽根の傾斜方向に一致する周方向に所定速度で回転駆動可能なラジアル駆動機構の回転軸が外設されると共に、併せて当該回転軸の回転に伴って同回転脱水槽を所定振幅、所定速度の往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達してスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなるものとしたことを特徴とする骨材用急速脱水装置。
- 全長寸法が500ないし550mm望ましくは520mmに設定され、大径端側に直径500ないし550mm望ましくは520mmの排出開口部を形成し、これとは反対側となる小径端側には、軸心に略直交する平面状あるいは球面状に閉鎖する、直径が200ないし250mm望ましくは210mmの軸着壁部を形成し、中心に対して10゜ないし40゜望ましくは15゜ないし30゜の角度に傾斜させた比較的胴長で通水周壁とした円錐台形の筒状体であって、該通水周壁には、周方向の等間隔を隔てた複数箇所の夫々に周方向の一方側に向けて20゜ないし60゜望ましくは45゜の角度に傾斜し、幅70ないし30mm望ましくは50mm程度とした回転羽根が、前記排出開口部付近から軸着壁部付近まで軸心に略平行状で内向き均等配置に突設されてなるものとして回転脱水槽を形成し、該回転分離槽を水平配置させた上、その軸着壁部には、同回転脱水槽を、前記回転羽根の傾斜方向に一致する周方向に700rpm以上望ましくは1,000rpm以上の速度で回転駆動可能なラジアル駆動機構が設けられると共に、同回転脱水槽をその軸心方向に沿って0.8ないし1.5mm望ましくは1.5mmの振幅、および2,000Hz以上望ましくは2,500Hz以上の速度で往復動可能とするスラスト駆動機構を組み込む一方、当該回転脱水槽の軸心位置には、排出開口部から導入され、軸着壁部内側近傍に達して毎分0.5ないし1.9立方メートルのスラリーを誘導、放出可能とするスラリー誘導管が配設させてなるものとしたことを特徴とする骨材用急速脱水装置。
- 請求項1ないし4何れか一項記載の骨材用急速脱水装置を使用し、ラジアル駆動機構によって回転駆動されている回転脱水槽に、外部からスラリー誘導管を通じてスラリーを放出、供給し、回転羽根によって回転させて遠心力を与え、通水周壁を通じて水分または水分および泥分を、回転分離槽外側に強制的に分離させてしまうと共に、スラスト駆動機構によって往復駆動させている回転脱水槽通水周壁に沿ってスラリーを排出開口部側に向けて移動させ、その過程で、脱水完了の状態になって排出開口部に到達した骨材だけを、自然に放出するようにしてなることを特徴とする、請求項1ないし4何れか一項記載の骨材用急速脱水装置を用いた骨材の急速脱水方法。
- 請求項1ないし4何れか一項記載の骨材用急速脱水装置を使用し、700rpm以上望ましくは1,000rpm以上の速度で回転駆動する回転脱水槽内の軸着壁部付近に、スラリー誘導管を通じて毎分0.5ないし1.9立方メートル放出、供給されたスラリーを、回転羽根によって回転させて遠心力を与え、通水周壁を通じて水分だけを回転分離槽外側に強制的に分離させると共に、0.8ないし1.5mm望ましくは1.5mmの振幅、および2,000Hz以上望ましくは2,500Hz以上の速度で往復動するスラスト駆動機構によって通水周壁内面に沿って排出開口部側に向けて次第に移動させ、その過程で、脱水完了の状態となって排出開口部に到達した骨材だけを、自然に放出するようにしてなることを特徴とする骨材の急速脱水方法。
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- 2003-01-20 JP JP2003011662A patent/JP2004225279A/ja active Pending
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