JP2004224778A - 口腔用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】アニオン界面活性剤由来の収斂感、渋味を低減することができる、使用感に優れた酸性の口腔用組成物を提供する。
【解決手段】無機酸及び/又は有機酸、フッ素イオン供給化合物及びアニオン界面活性剤を含有する口腔用組成物に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上を併用することで、収斂感、渋味が口中に残らず、使用感が優れた口腔用組成物である。
【選択図】 なし
【解決手段】無機酸及び/又は有機酸、フッ素イオン供給化合物及びアニオン界面活性剤を含有する口腔用組成物に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上を併用することで、収斂感、渋味が口中に残らず、使用感が優れた口腔用組成物である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯のエナメル質層に光散乱層が形成され、内因性による歯牙着色層を遮蔽し、歯を白く見せることが可能な口腔用組成物に特定の非イオン界面活性剤を配合することにより、更にアニオン界面活性剤由来の収斂感、渋味を低減できる口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯牙の着色は、歯石や歯垢、喫煙、又はコーヒー若しくはお茶等の習慣的飲食等により歯面に着色物が付着する外因性着色と、加齢等によって象牙質が着色してくるため透明度の高いエナメル質を通してその色が見える場合や、エナメル質形成期にテトラサイクリン等の薬剤の使用によりエナメル質自体が着色した場合等の内因性着色に依存する。そこで、歯を根本的に白くするためには、外因性着色のみならず内因性着色にも対応する必要がある。
【0003】
本発明者らの知見によれば、有機酸及び/又は無機酸と、フッ素イオン供給化合物とを含む口腔用組成物を歯に適用すると、歯のエナメル質層において光散乱層が形成され、エナメル質層下の内因性着色を遮断し、歯を白く見せることができ、高い美白効果が認められる。
【0004】
一方、従来の練り歯磨き、液状歯磨き等の口腔用組成物には、発泡を目的として種々のアニオン界面活性剤が使用されているが、これらアニオン界面活性剤は口腔内粘膜に結合しやすく、そのため口をすすいだ後に収斂感、渋味を生じることが知られている。この収斂感、渋味の強さはアニオン界面活性剤の口腔内粘膜への結合量と相関があり、アニオン界面活性剤の口腔内粘膜への結合量を下げることで、収斂感、渋味を低減することができる。
【0005】
このようなアニオン界面活性剤による収斂感、渋味を低減する方法が記載される文献として、特許文献1と特許文献2がある。特許文献1には、ラウリル硫酸ナトリウムにアルキルジエタノールアマイド及びカラギーナンを併用する方法が開示されている。特許文献2には、アルキル硫酸ナトリウムにN−長鎖アシルアミノ酸塩及びある特定の非イオン界面活性剤を併用する方法等が提案されている。
【0006】
しかしながら、アニオン界面活性剤の口腔内粘膜への結合量は、使用する口腔用組成物のpHによって異なり、特にpHが酸性の口腔用組成物を使用した場合は、pHが中性またはアルカリ性の口腔用組成物に比べて、アニオン界面活性剤の口腔粘膜への結合量が極めて高くなり、そのためすすいだ後の収斂感、渋味も強くなる。
【0007】
上記従来提案された方法は、口腔用組成物のpHによるアニオン界面活性剤の口腔内粘膜への結合量への影響が考慮されていないため、アニオン界面活性剤の口腔粘膜への結合量の高い、pHが中性あるいは酸性である口腔用組成物に対し、特許文献1あるいは特許文献2に記載の成分を配合しただけでは、pHが酸性である口腔用組成物を使用した場合に生じる収斂感、渋味を低減させるのに十分とはいえなかった。
【0008】
【特許文献1】
特公昭52−24573号公報
【特許文献2】
特公昭62−17563号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機酸及び/又は無機酸と、フッ素イオン供給化合物とを含み、歯のエナメル質層において光散乱層が形成され、エナメル質層下の内因性着色を遮断し、歯を白く見せることができ、歯の美白効果が高い口腔用組成物に、アニオン界面活性剤を配合する際に、アニオン界面活性剤由来の収斂感、渋味を低減することができる、使用感に優れた酸性の口腔用組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、無機酸及び/又は有機酸、フッ素イオン供給化合物及びアニオン界面活性剤を含有する口腔用組成物に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上を併用することで、pHが酸性であっても、収斂感、渋味が口中に残らず、使用感が優れた口腔用組成物を得ることができた。
【0011】
本発明は、
(A)無機酸及び/又は有機酸と、
(B)フッ素イオン供給化合物と、
(C)アニオン界面活性剤と、
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、炭素数が6〜14のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上とを含み、
前記口腔用組成物が歯に適用されるときに、歯のエナメル質層において光散乱層が形成される口腔用組成物である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する成分(A)としては、無機酸又は有機酸を単独又は組み合わせて用いることができる。無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、炭酸、リン酸等が挙げられ、また、有機酸としては例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の一塩基酸;シュウ酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、マレイン酸等の二塩基酸;乳酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、グリセリン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸等のケト酸;安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;エチレンジアミンテトラ酢酸等のポリカルボン酸類;その他イソクエン酸、マロン酸、グルタル酸、クルクロン酸、コウジ酸、フィチン酸、アコニット酸、グリセロリン酸等が挙げられる。
【0013】
これらの有機酸及び無機酸の中でも、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、リン酸から選ばれる1種又は2種以上を用いることが口腔用組成物の味・風味の改善、原料の入手しやすさ、コストの低減の点から好ましい。
本発明の口腔用組成物において、成分(A)は2種以上を併用してもよい。成分(A)は本発明の口腔用組成物中に0.1〜30重量%、特に0.5〜15重量%含有するのが好ましい。
【0014】
本発明で使用する成分(B)としては、口腔内で使用可能な物質であれば特に限定されず、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化リチウム、モノフルオロホスフェイト(例えばモノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、モノフルオロリン酸アンモニウム等)等の無機性フッ化物、アミンフッ化物等の有機性フッ化物が挙げられ、中でも安全性、溶解性及び風味等の点からフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ、フッ化リチウム、フッ化アンモニウムが好ましい。
【0015】
本発明で使用する成分(C)のアニオン界面活性剤としては、アシルグルタミン酸ナトリウム、アシルサルコシンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、アルキルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸スルホン化モノグリセリド塩、イセチオン酸の脂肪酸エステル塩、N−メチル長鎖アシルタウリン塩、ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩等が挙げられ、疎水基のアルキル基、アシル基は炭素数6〜18、特に10〜14のものが好ましく、また、ナトリウム塩が好ましい。
【0016】
さらに、成分(C)としては、発泡性が良く、また、安価に入手可能な点からアルキル硫酸エステル塩が特に好ましい。
成分(C)は本発明の口腔用組成物中に0.1〜5重量%、特に0.2〜2重量%含有するのが好ましい。
【0017】
本発明で使用する成分(D)の非イオン界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上が挙げられる。
【0018】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2〜30のポリグリセリンに炭素数8〜24の脂肪酸がエステル結合したものが挙げられ、特に、口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、平均重合度が4〜12のポリグリセリンと炭素数12〜18の脂肪酸のモノエステルが好ましい。モノエステルとしては、平均エステル化度が1.4以下、特に0.8〜1.3のものが好ましい。
【0019】
好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ヘキサグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノミリステート、ヘキサグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート等が挙げられる。
【0020】
また、ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンに炭素数8〜24の脂肪酸がエステル結合したものが挙げられ、特に口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、ソルビタンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルが好ましく、平均エステル化度が3.0以下、特に0.8〜2.0のものが好ましい。具体的には、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンジミリステート等が挙げられる。
【0021】
また、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルとしては、ポリオキシエチレンに炭素数6〜14の高級アルコールがエーテル結合したものが挙げられ、特に口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、平均重合度が5〜100のポリオキシエチレンと炭素数10〜14の高級アルコールとのエーテルが好ましい。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(20)ミリスチルアルコールエーテル、ポリオキシエチレン(40)ラウリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレン(25)デカアルコールエーテル等が挙げられる。
【0022】
また、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンに炭素数6〜14の脂肪酸がエステル結合したものが挙げられ、特に口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、平均重合度が5〜100のポリオキシエチレンと炭素数10〜14の脂肪酸とのエステルが好ましい。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(30)デカン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(50)ラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(40)ミリスチン酸エステル等が挙げられる。
【0023】
さらに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体としては、ポリオキシプロピレンに、ポリオキシエチレンが結合したものが挙げられ、特に口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、平均重合度が10〜50のポリオキシプロピレンに、平均重合度が20〜100のポリオキシエチレンが結合したものが好ましい。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(80)ポリオキシプロピレン(20)共重合体、ポリオキシエチレン(50)ポリオキシプロピレン(40)共重合体等が挙げられる。
【0024】
成分(D)としては、特に口中の収斂感や渋味の低減効果を向上させる観点及び安全性が高い観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
成分(D)は本発明の口腔用組成物中に0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、特に1〜5質量%含有するのが好ましい。
【0025】
該組成物のpH測定の濃度は、本発明品の使用の実態によって適宜選択される。例えば、歯磨剤である場合は、実使用濃度を30重量%水溶液と想定して、また洗口液である場合は、希釈せずに組成物自体のpHを測定する。本発明の口腔用組成物は、歯のエナメル質層内部に光散乱層をより確実に形成するために、pHが3〜5.5であることが好ましい。
【0026】
本発明の口腔用組成物には、前記成分の他、通常の口腔用組成物に用いられる成分、例えば水、発泡助剤、酵素、研磨剤、湿潤剤、甘味剤、保存料、殺菌剤、薬効成分、pH調整剤、粘結剤、顔料、色素、香料等を適宜配合することができる。
【0027】
この場合、研磨剤としては、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、合成樹脂系研磨剤等が好適に用いられる。
【0028】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸エステル類、カラギーナン、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、アラビアガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の合成粘結剤、アルミニウムシリカゲル、ラポナイト等の無機粘結剤が挙げられる。
【0029】
湿潤剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、トレハロース等が好適に用いられる。
更に、甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。
【0030】
香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、ペパーミント油、スペアミント油、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、メチルアセテート、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、シソ油、丁子油、ユーカリ油等が挙げられる。
【0031】
また、その他の各種有効成分としては、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェロール、アズレン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、クエン酸亜鉛、トウキ、オウバク、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロロカルバニリド等が挙げられる。
本発明の口腔用組成物は、例えば溶液状、ゲル状、ペースト状といった剤形に調製され、歯磨き剤、液状歯磨き、洗口液等とすることが出来る。
【0032】
【実施例】
<口腔用組成物の調製>
表1及び表2に示す組成に従って、実施例1〜7及び比較例1〜5の練り歯磨きを調製した。また、表3及び表4に示す組成に従って、実施例8〜14及び比較例6〜10の液状歯磨きを調製した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
(1)味の評価
被験者10名(男性5名、女性5名)が、日常使用している歯ブラシに練り歯磨き1gをとり、約2分間自由にブラッシングし、次いで水道水で口をすすぐ歯磨きを1日3回、3日間継続して行った。この間、ブラッシング後に口をすすいだ後に渋味及び収斂感を感じたか否か次の基準で評価した。
すすいだ後の渋味(又は収斂感)の基準
かなり強い渋味又は収斂感を感じた :×
やや渋味又は収斂感を感じた :△
渋み又は収斂感をほとんど感じなかった:○
渋味又は収斂感を全く感じなかった :◎
なお、各表に示す判定の結果は10名中最も評価が多かったものを示した。
【0038】
(2)光散乱層の有無
表1〜表4に示す組成物をイオン交換水で30質量%に希釈し、この希釈液の中に牛の歯牙(表面は鏡面研磨)を40時間浸漬した。
牛の歯牙を割って、その割断面をマイクロスコープ写真撮影し、エナメル質表層下に光散乱層(図1(a))が形成されているか否かを確認した。光散乱層が認められたもの(図1(a))を○、光散乱層が認められなかったもの(図1(b))を×とした。
【0039】
(3)美白効果の有無
表1〜表4に示す組成物をイオン交換水で30質量%に希釈し、この希釈液の中にあらかじめ写真撮影した牛の歯牙(表面は鏡面研磨)を40時間浸漬した。牛の歯牙を引き上げた後に当該歯牙の写真撮影を行い、以下の基準で評価した。
【0040】
処理前後の歯牙を撮影した写真を15名のパネルに見てもらい、白くなったと判断したものを○、変わらなかったと判断したものを×とした。また、処理によりつやが無くなったと感じたものは、たとえ白くなっていたとしても評価は×とした。全員が白くなったと評価したものは◎とし、半数以上が白くなったと評価したものを○、それ以外は×とした。評価の結果は、それぞれ、各表に示した。
【0041】
実施例1〜7の練り歯磨きでは、前記成分(D)の非イオン界面活性剤が配合されているため、渋み及び収斂感をほとんど感じなかった。特に、実施例1、5及び7の練り歯磨きでは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを単独もしくは他の非イオン界面活性剤と併用しており、渋み及び収斂感は全く感じなかった。これに対し、比較例1の練り歯磨きでは、本発明の(D)成分が配合されていないため、渋み及び収斂感ともに強く感じるという結果であった。
【0042】
また、比較例2〜4には、N−長鎖アシルアミノ酸及びある特定の非イオン界面活性剤、すなわち、特許文献2に記載の口腔用組成物の味改善用の成分を配合したが、その結果は、渋み及び収斂感ともに強く感じた。さらに、比較例1には、ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)にラウリルジエタノールアマイドとカラギーナン、すなわち、特許文献1に開示の口腔用組成物の味改善用の成分を配合したが、これも渋み及び収斂感ともに強く感じるという結果であった。
【0043】
また、実施例1〜7及び比較例1〜4の練り歯磨きでは、歯牙のエナメル質層内部に光散乱層の形成が認められ、美白効果も認められたのに対して、比較例5の練り歯磨きでは、有機酸の量が多いため、歯牙のエナメル質層内部に光散乱層の形成は認められず、美白効果もやや低かった。
【0044】
実施例8〜14の液状歯磨きでは、前記成分(D)の非イオン界面活性剤が配合されているため、渋み及び収斂感をほとんど感じなかった。特に、実施例8、12及び14の液状歯磨きでは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを単独もしくは他の非イオン界面活性剤と併用しており、渋み及び収斂感は全く感じなかった。これに対し、比較例6の液状歯磨きでは、本発明の非イオン界面活性剤が配合されていないため、渋み及び収斂感ともに強く感じるという結果であった。
【0045】
また、比較例7〜9には、N−長鎖アシルアミノ酸及びある特定の非イオン界面活性剤、すなわち、特許文献2に記載の口腔用組成物の味改善用の成分を配合したが、その結果は、渋み及び収斂感ともに強く感じた。さらに、比較例6には、ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)にラウリルジエタノールアマイドとカラギーナン、すなわち、特許文献1に開示の口腔用組成物の味改善用の成分を配合したが、これも渋み及び収斂感ともに強く感じるという結果であった。
【0046】
また、実施例8〜14及び比較例6〜9の液状歯磨きでは、歯牙のエナメル質層内部に光散乱層の形成が認められ、美白効果も認められたのに対して、比較例10の液状歯磨きでは、有機酸の量が多いため、歯牙のエナメル質層内部に光散乱層の形成は認められず、美白効果もやや低かった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の口腔用組成物は、無機酸及び/又は有機酸、フッ素イオン供給化合物及びアニオン界面活性剤を含有する口腔用組成物に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、炭素数が6〜14のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる1種以上を併用することで、口をすすいだ後でも収斂感、渋味が口中に残らず、使用感が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】牛の歯牙の割断面をマイクロスコープで観察した写真である。
(a)は本発明の口腔用組成物によって処理された牛の歯牙の割断面である。
(b)は処理されていない牛の歯牙の割断面である。
(c)は歯牙の構造を示した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯のエナメル質層に光散乱層が形成され、内因性による歯牙着色層を遮蔽し、歯を白く見せることが可能な口腔用組成物に特定の非イオン界面活性剤を配合することにより、更にアニオン界面活性剤由来の収斂感、渋味を低減できる口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯牙の着色は、歯石や歯垢、喫煙、又はコーヒー若しくはお茶等の習慣的飲食等により歯面に着色物が付着する外因性着色と、加齢等によって象牙質が着色してくるため透明度の高いエナメル質を通してその色が見える場合や、エナメル質形成期にテトラサイクリン等の薬剤の使用によりエナメル質自体が着色した場合等の内因性着色に依存する。そこで、歯を根本的に白くするためには、外因性着色のみならず内因性着色にも対応する必要がある。
【0003】
本発明者らの知見によれば、有機酸及び/又は無機酸と、フッ素イオン供給化合物とを含む口腔用組成物を歯に適用すると、歯のエナメル質層において光散乱層が形成され、エナメル質層下の内因性着色を遮断し、歯を白く見せることができ、高い美白効果が認められる。
【0004】
一方、従来の練り歯磨き、液状歯磨き等の口腔用組成物には、発泡を目的として種々のアニオン界面活性剤が使用されているが、これらアニオン界面活性剤は口腔内粘膜に結合しやすく、そのため口をすすいだ後に収斂感、渋味を生じることが知られている。この収斂感、渋味の強さはアニオン界面活性剤の口腔内粘膜への結合量と相関があり、アニオン界面活性剤の口腔内粘膜への結合量を下げることで、収斂感、渋味を低減することができる。
【0005】
このようなアニオン界面活性剤による収斂感、渋味を低減する方法が記載される文献として、特許文献1と特許文献2がある。特許文献1には、ラウリル硫酸ナトリウムにアルキルジエタノールアマイド及びカラギーナンを併用する方法が開示されている。特許文献2には、アルキル硫酸ナトリウムにN−長鎖アシルアミノ酸塩及びある特定の非イオン界面活性剤を併用する方法等が提案されている。
【0006】
しかしながら、アニオン界面活性剤の口腔内粘膜への結合量は、使用する口腔用組成物のpHによって異なり、特にpHが酸性の口腔用組成物を使用した場合は、pHが中性またはアルカリ性の口腔用組成物に比べて、アニオン界面活性剤の口腔粘膜への結合量が極めて高くなり、そのためすすいだ後の収斂感、渋味も強くなる。
【0007】
上記従来提案された方法は、口腔用組成物のpHによるアニオン界面活性剤の口腔内粘膜への結合量への影響が考慮されていないため、アニオン界面活性剤の口腔粘膜への結合量の高い、pHが中性あるいは酸性である口腔用組成物に対し、特許文献1あるいは特許文献2に記載の成分を配合しただけでは、pHが酸性である口腔用組成物を使用した場合に生じる収斂感、渋味を低減させるのに十分とはいえなかった。
【0008】
【特許文献1】
特公昭52−24573号公報
【特許文献2】
特公昭62−17563号
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機酸及び/又は無機酸と、フッ素イオン供給化合物とを含み、歯のエナメル質層において光散乱層が形成され、エナメル質層下の内因性着色を遮断し、歯を白く見せることができ、歯の美白効果が高い口腔用組成物に、アニオン界面活性剤を配合する際に、アニオン界面活性剤由来の収斂感、渋味を低減することができる、使用感に優れた酸性の口腔用組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、無機酸及び/又は有機酸、フッ素イオン供給化合物及びアニオン界面活性剤を含有する口腔用組成物に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上を併用することで、pHが酸性であっても、収斂感、渋味が口中に残らず、使用感が優れた口腔用組成物を得ることができた。
【0011】
本発明は、
(A)無機酸及び/又は有機酸と、
(B)フッ素イオン供給化合物と、
(C)アニオン界面活性剤と、
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、炭素数が6〜14のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上とを含み、
前記口腔用組成物が歯に適用されるときに、歯のエナメル質層において光散乱層が形成される口腔用組成物である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する成分(A)としては、無機酸又は有機酸を単独又は組み合わせて用いることができる。無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、炭酸、リン酸等が挙げられ、また、有機酸としては例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の一塩基酸;シュウ酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、マレイン酸等の二塩基酸;乳酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、グリセリン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸等のケト酸;安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;エチレンジアミンテトラ酢酸等のポリカルボン酸類;その他イソクエン酸、マロン酸、グルタル酸、クルクロン酸、コウジ酸、フィチン酸、アコニット酸、グリセロリン酸等が挙げられる。
【0013】
これらの有機酸及び無機酸の中でも、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、リン酸から選ばれる1種又は2種以上を用いることが口腔用組成物の味・風味の改善、原料の入手しやすさ、コストの低減の点から好ましい。
本発明の口腔用組成物において、成分(A)は2種以上を併用してもよい。成分(A)は本発明の口腔用組成物中に0.1〜30重量%、特に0.5〜15重量%含有するのが好ましい。
【0014】
本発明で使用する成分(B)としては、口腔内で使用可能な物質であれば特に限定されず、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化リチウム、モノフルオロホスフェイト(例えばモノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、モノフルオロリン酸アンモニウム等)等の無機性フッ化物、アミンフッ化物等の有機性フッ化物が挙げられ、中でも安全性、溶解性及び風味等の点からフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ、フッ化リチウム、フッ化アンモニウムが好ましい。
【0015】
本発明で使用する成分(C)のアニオン界面活性剤としては、アシルグルタミン酸ナトリウム、アシルサルコシンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、アルキルリン酸ナトリウム等のアルキルリン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸スルホン化モノグリセリド塩、イセチオン酸の脂肪酸エステル塩、N−メチル長鎖アシルタウリン塩、ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩等が挙げられ、疎水基のアルキル基、アシル基は炭素数6〜18、特に10〜14のものが好ましく、また、ナトリウム塩が好ましい。
【0016】
さらに、成分(C)としては、発泡性が良く、また、安価に入手可能な点からアルキル硫酸エステル塩が特に好ましい。
成分(C)は本発明の口腔用組成物中に0.1〜5重量%、特に0.2〜2重量%含有するのが好ましい。
【0017】
本発明で使用する成分(D)の非イオン界面活性剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上が挙げられる。
【0018】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が2〜30のポリグリセリンに炭素数8〜24の脂肪酸がエステル結合したものが挙げられ、特に、口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、平均重合度が4〜12のポリグリセリンと炭素数12〜18の脂肪酸のモノエステルが好ましい。モノエステルとしては、平均エステル化度が1.4以下、特に0.8〜1.3のものが好ましい。
【0019】
好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ヘキサグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノミリステート、ヘキサグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレート等が挙げられる。
【0020】
また、ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンに炭素数8〜24の脂肪酸がエステル結合したものが挙げられ、特に口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、ソルビタンと炭素数12〜18の脂肪酸とのエステルが好ましく、平均エステル化度が3.0以下、特に0.8〜2.0のものが好ましい。具体的には、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンジミリステート等が挙げられる。
【0021】
また、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテルとしては、ポリオキシエチレンに炭素数6〜14の高級アルコールがエーテル結合したものが挙げられ、特に口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、平均重合度が5〜100のポリオキシエチレンと炭素数10〜14の高級アルコールとのエーテルが好ましい。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(20)ミリスチルアルコールエーテル、ポリオキシエチレン(40)ラウリルアルコールエーテル、ポリオキシエチレン(25)デカアルコールエーテル等が挙げられる。
【0022】
また、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンに炭素数6〜14の脂肪酸がエステル結合したものが挙げられ、特に口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、平均重合度が5〜100のポリオキシエチレンと炭素数10〜14の脂肪酸とのエステルが好ましい。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(30)デカン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(50)ラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(40)ミリスチン酸エステル等が挙げられる。
【0023】
さらに、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体としては、ポリオキシプロピレンに、ポリオキシエチレンが結合したものが挙げられ、特に口中の収斂感や渋味の低減効果と泡立ち、風味の点で、平均重合度が10〜50のポリオキシプロピレンに、平均重合度が20〜100のポリオキシエチレンが結合したものが好ましい。具体的には、例えば、ポリオキシエチレン(80)ポリオキシプロピレン(20)共重合体、ポリオキシエチレン(50)ポリオキシプロピレン(40)共重合体等が挙げられる。
【0024】
成分(D)としては、特に口中の収斂感や渋味の低減効果を向上させる観点及び安全性が高い観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
成分(D)は本発明の口腔用組成物中に0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、特に1〜5質量%含有するのが好ましい。
【0025】
該組成物のpH測定の濃度は、本発明品の使用の実態によって適宜選択される。例えば、歯磨剤である場合は、実使用濃度を30重量%水溶液と想定して、また洗口液である場合は、希釈せずに組成物自体のpHを測定する。本発明の口腔用組成物は、歯のエナメル質層内部に光散乱層をより確実に形成するために、pHが3〜5.5であることが好ましい。
【0026】
本発明の口腔用組成物には、前記成分の他、通常の口腔用組成物に用いられる成分、例えば水、発泡助剤、酵素、研磨剤、湿潤剤、甘味剤、保存料、殺菌剤、薬効成分、pH調整剤、粘結剤、顔料、色素、香料等を適宜配合することができる。
【0027】
この場合、研磨剤としては、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ゼオライト、合成樹脂系研磨剤等が好適に用いられる。
【0028】
粘結剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸エステル類、カラギーナン、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、アラビアガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン等の合成粘結剤、アルミニウムシリカゲル、ラポナイト等の無機粘結剤が挙げられる。
【0029】
湿潤剤としては、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット、トレハロース等が好適に用いられる。
更に、甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。
【0030】
香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、ペパーミント油、スペアミント油、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、メチルアセテート、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、シソ油、丁子油、ユーカリ油等が挙げられる。
【0031】
また、その他の各種有効成分としては、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、酢酸dl−トコフェロール、アズレン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、クエン酸亜鉛、トウキ、オウバク、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、トリクロロカルバニリド等が挙げられる。
本発明の口腔用組成物は、例えば溶液状、ゲル状、ペースト状といった剤形に調製され、歯磨き剤、液状歯磨き、洗口液等とすることが出来る。
【0032】
【実施例】
<口腔用組成物の調製>
表1及び表2に示す組成に従って、実施例1〜7及び比較例1〜5の練り歯磨きを調製した。また、表3及び表4に示す組成に従って、実施例8〜14及び比較例6〜10の液状歯磨きを調製した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
(1)味の評価
被験者10名(男性5名、女性5名)が、日常使用している歯ブラシに練り歯磨き1gをとり、約2分間自由にブラッシングし、次いで水道水で口をすすぐ歯磨きを1日3回、3日間継続して行った。この間、ブラッシング後に口をすすいだ後に渋味及び収斂感を感じたか否か次の基準で評価した。
すすいだ後の渋味(又は収斂感)の基準
かなり強い渋味又は収斂感を感じた :×
やや渋味又は収斂感を感じた :△
渋み又は収斂感をほとんど感じなかった:○
渋味又は収斂感を全く感じなかった :◎
なお、各表に示す判定の結果は10名中最も評価が多かったものを示した。
【0038】
(2)光散乱層の有無
表1〜表4に示す組成物をイオン交換水で30質量%に希釈し、この希釈液の中に牛の歯牙(表面は鏡面研磨)を40時間浸漬した。
牛の歯牙を割って、その割断面をマイクロスコープ写真撮影し、エナメル質表層下に光散乱層(図1(a))が形成されているか否かを確認した。光散乱層が認められたもの(図1(a))を○、光散乱層が認められなかったもの(図1(b))を×とした。
【0039】
(3)美白効果の有無
表1〜表4に示す組成物をイオン交換水で30質量%に希釈し、この希釈液の中にあらかじめ写真撮影した牛の歯牙(表面は鏡面研磨)を40時間浸漬した。牛の歯牙を引き上げた後に当該歯牙の写真撮影を行い、以下の基準で評価した。
【0040】
処理前後の歯牙を撮影した写真を15名のパネルに見てもらい、白くなったと判断したものを○、変わらなかったと判断したものを×とした。また、処理によりつやが無くなったと感じたものは、たとえ白くなっていたとしても評価は×とした。全員が白くなったと評価したものは◎とし、半数以上が白くなったと評価したものを○、それ以外は×とした。評価の結果は、それぞれ、各表に示した。
【0041】
実施例1〜7の練り歯磨きでは、前記成分(D)の非イオン界面活性剤が配合されているため、渋み及び収斂感をほとんど感じなかった。特に、実施例1、5及び7の練り歯磨きでは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを単独もしくは他の非イオン界面活性剤と併用しており、渋み及び収斂感は全く感じなかった。これに対し、比較例1の練り歯磨きでは、本発明の(D)成分が配合されていないため、渋み及び収斂感ともに強く感じるという結果であった。
【0042】
また、比較例2〜4には、N−長鎖アシルアミノ酸及びある特定の非イオン界面活性剤、すなわち、特許文献2に記載の口腔用組成物の味改善用の成分を配合したが、その結果は、渋み及び収斂感ともに強く感じた。さらに、比較例1には、ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)にラウリルジエタノールアマイドとカラギーナン、すなわち、特許文献1に開示の口腔用組成物の味改善用の成分を配合したが、これも渋み及び収斂感ともに強く感じるという結果であった。
【0043】
また、実施例1〜7及び比較例1〜4の練り歯磨きでは、歯牙のエナメル質層内部に光散乱層の形成が認められ、美白効果も認められたのに対して、比較例5の練り歯磨きでは、有機酸の量が多いため、歯牙のエナメル質層内部に光散乱層の形成は認められず、美白効果もやや低かった。
【0044】
実施例8〜14の液状歯磨きでは、前記成分(D)の非イオン界面活性剤が配合されているため、渋み及び収斂感をほとんど感じなかった。特に、実施例8、12及び14の液状歯磨きでは、ポリグリセリン脂肪酸エステルを単独もしくは他の非イオン界面活性剤と併用しており、渋み及び収斂感は全く感じなかった。これに対し、比較例6の液状歯磨きでは、本発明の非イオン界面活性剤が配合されていないため、渋み及び収斂感ともに強く感じるという結果であった。
【0045】
また、比較例7〜9には、N−長鎖アシルアミノ酸及びある特定の非イオン界面活性剤、すなわち、特許文献2に記載の口腔用組成物の味改善用の成分を配合したが、その結果は、渋み及び収斂感ともに強く感じた。さらに、比較例6には、ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)にラウリルジエタノールアマイドとカラギーナン、すなわち、特許文献1に開示の口腔用組成物の味改善用の成分を配合したが、これも渋み及び収斂感ともに強く感じるという結果であった。
【0046】
また、実施例8〜14及び比較例6〜9の液状歯磨きでは、歯牙のエナメル質層内部に光散乱層の形成が認められ、美白効果も認められたのに対して、比較例10の液状歯磨きでは、有機酸の量が多いため、歯牙のエナメル質層内部に光散乱層の形成は認められず、美白効果もやや低かった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の口腔用組成物は、無機酸及び/又は有機酸、フッ素イオン供給化合物及びアニオン界面活性剤を含有する口腔用組成物に、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、炭素数が6〜14のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる1種以上を併用することで、口をすすいだ後でも収斂感、渋味が口中に残らず、使用感が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】牛の歯牙の割断面をマイクロスコープで観察した写真である。
(a)は本発明の口腔用組成物によって処理された牛の歯牙の割断面である。
(b)は処理されていない牛の歯牙の割断面である。
(c)は歯牙の構造を示した図である。
Claims (2)
- 次の成分(A)と、(B)と、(C)と、(D)とを含む口腔用組成物であって、
(A)無機酸及び/又は有機酸
(B)フッ素イオン供給化合物
(C)アニオン界面活性剤
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、炭素数が6〜14のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体から選ばれる一種以上
前記口腔用組成物が歯に適用されるときに、歯のエナメル質層において光散乱層が形成される口腔用組成物。 - 前記成分(C)がアルキル硫酸エステル塩である請求項1に記載の口腔用組成物。
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JP2006045217A (ja) * | 2004-07-08 | 2006-02-16 | Taisho Pharmaceut Co Ltd | 亜鉛含有経口投与組成物 |
JP2006169180A (ja) * | 2004-12-17 | 2006-06-29 | Taisho Pharmaceut Co Ltd | 銅含有経口投与組成物 |
JP2008037802A (ja) * | 2006-08-07 | 2008-02-21 | Kao Corp | 歯の美白方法 |
JP2015502403A (ja) * | 2011-12-20 | 2015-01-22 | コルゲート・パーモリブ・カンパニーColgate−Palmolive Company | オーラル・ケア組成物 |
JP2015523393A (ja) * | 2012-07-27 | 2015-08-13 | ビーエーエスエフ エスイー | 硫酸化ポロキサマーを含むパーソナルケア組成物ならびにその製造および使用方法 |
-
2003
- 2003-01-27 JP JP2003018078A patent/JP2004224778A/ja active Pending
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