JP2004224015A - 電動式ワイヤーソー切断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動用電源として一般家庭の電源を利用でき、鉄筋コンクリート住宅及び鉄筋コンクリート構築物の改造作業に対応することが可能な電動式ワイヤーソー切断装置を提供する。
【解決手段】ワイヤーソー30と、駆動動力源と、案内機構とから構成される。駆動動力源は、電動モータ4と、スライドブロック及び支柱2と、取付け台と、自走装置9とを備えた電動コアドリル10と変換ユニットで成り、案内機構は、ワイヤーソー駆動プーリ15と複数個のガイドプーリ25とにより成る。ワイヤーソー駆動プーリ15は変換ユニットを介して電動モータ4により回転駆動されるとともに電動4と一体的に支柱2に移動可能に支持される一方、複数個のガイドプーリ25が支柱にシャフトを介して保持され、使用時に取付け台を被切断物の表面に固定する。
【選択図】 図2
【解決手段】ワイヤーソー30と、駆動動力源と、案内機構とから構成される。駆動動力源は、電動モータ4と、スライドブロック及び支柱2と、取付け台と、自走装置9とを備えた電動コアドリル10と変換ユニットで成り、案内機構は、ワイヤーソー駆動プーリ15と複数個のガイドプーリ25とにより成る。ワイヤーソー駆動プーリ15は変換ユニットを介して電動モータ4により回転駆動されるとともに電動4と一体的に支柱2に移動可能に支持される一方、複数個のガイドプーリ25が支柱にシャフトを介して保持され、使用時に取付け台を被切断物の表面に固定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用の100Vあるいは200Vの電源を動力源として利用することにより、鉄筋コンクリート構造物などの切断を簡単に行えるようにした電動式ワイヤーソー切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から鉄筋コンクリート等の構造物を切断して開口する工法としては、開口区域周囲の各角部にワイヤーソー通し孔を鉄筋コンクリート等の構造物の厚さ方向に電動式コアドリルで穿孔し、隣接する各ワイヤーソー通し孔に切削用ワイヤーソーを通すとともに、注水しながらワイヤーソーイングを行う装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平2−48410号公報(第1〜4頁、1図〜図4)。
【0004】
上記ワイヤーソー切断システムは、大型鉄筋コンクリ−ト構造物の切断を目的としたものであるため、機材の重量も重く(40kg〜600kg)、取り扱いに2名以上の人員を必要とする。このような大型の機材は、橋梁橋台の切断、地下構造物、基礎など、1回当たりの切断面積は10m2〜20m2の大きな面積まで一気に切断することができる。そして、ワイヤーソー駆動機として、内燃機関を搭載した大型機器や、切断部分と油圧発生装置とが分離した構造のものが採用されており、これらの機材に使用する起動電力は30kw、内燃機関の場合は40馬力程度が一般的である。
【0005】
また、ワイヤーソー案内プーリ支持部材を支柱に取り付けてなる油圧式ワイヤーソー切断装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献2】
特許第2976818号公報(第2〜4頁、第1〜3図)
【0007】
特許文献2に記載された装置においては、鉄筋コンクリート等の構造物を切断して開口するのに、電動式コアドリルでワイヤーソー通し孔を穿孔した後、隣接する各ワイヤーソー通し孔に切削用ワイヤーソーを通してワイヤーソーイングを行うために別体の装置を要する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、老朽化した多層住宅の建て替えや間取りの拡充計画に伴い、間仕切り壁の撤去や出入口、換気口、エレベータホールの増設など、鉄筋コンクリート構造物切断による住居改善工事が着目されている。
【0009】
このような住居改善工事を従来の大型のワイヤーソー切断システムで行おうとすると、搬入コスト、工事コスト、供給電力などの点で難点がある。
【0010】
そこで、本発明は、家庭用の100Vあるいは200Vの電源を動力源として利用することにより、鉄筋コンクリート構造物などの切断を簡単に行えるようにして切断工事コストを半分に軽減できるようにした、電動式ワイヤーソー切断装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電動コアドリルをワイヤーソー変換ユニットに接続するだけで、電動式ワイヤーソー切断装置として使用できるようにして課題解決の手段としている。したがって、本発明の電動式ワイヤーソー切断装置では、駆動用電源として一般家庭の電源を利用でき、鉄筋コンクリート住宅等の改良作業に対応することが可能となる。
【0012】
具体的には、ワイヤーソーと、該ワイヤーソーの駆動動力源と、上記ワイヤーソーの案内機構とを有するワイヤーソー切断装置において、前記ワイヤーソーの駆動動力源が、電動モータと、該電動モータのガイド部材としてのスライドブロック及び支柱と、該支柱の支持部材としての取付け台と、自走装置とを備えた電動コアドリルと該コアドリルに接続する変換ユニットで構成され、前記ワイヤーソーの案内機構が、ワイヤーソー駆動プーリと複数個のガイドプーリとにより構成され、該ワイヤーソー駆動プーリが前記変換ユニットを介して前記電動モータにより回転駆動されるとともに前記電動モータと一体的に前記支柱に移動可能に支持される一方、前記複数個のガイドプーリが前記支柱に支持部材を介して保持され、使用時に前記取付け台を被切断物の表面に固定する手段が設けて第一の課題解決の手段としている。
【0013】
また、前記の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記電動コアドリルの一端に前記変換ユニットを介することなく直接前記ワイヤーソー駆動プーリが取り付けて第二の課題解決の手段としている。
【0014】
更に、前記の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記電動コアドリルが前記支柱に対して直角に取り付けて第三の課題解決の手段としている。
【0015】
更にまた、前記の電動式ワイヤーソー切断装置において、同装置の前記支柱を垂直にセットした使用状態における前記自走装置の引き上げ力を補助する手段を設けて第四の課題解決の手段としている。
【0016】
また、前記電動式ワイヤーソー切断装置において、前記被切断物の切断予定位置の裏面に、裏側ガイドプ−リを架台を介して固定し、前記ワイヤーソーを、前記被切断物に予め開けられた一組の孔を貫通して前記被切断物の表面のワイヤーソー駆動プーリ、ガイドプーリ及び裏面のガイドプーリを無端状に捲回するように張設して第五の課題解決の手段としている。
【0017】
更にまた、前記の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記被切断物の上に前記支柱を立設し、該支柱の上方に前記駆動プーリを配設し、前記支柱の下方に設けたガイドプ−リと前記支柱の先端に設けたガイドプ−リと前記被切断物に取り付けたガイドプ−リ間を前記ワイヤーソーが無端状に捲回するように張設して第六の課題解決の手段としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は第1実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図2は同平面図、図3は同主要部を拡大して示す側面図、図4は第2実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図5は同正面図、図6は同主要部を拡大して示す側面図、図7は第3実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図8は第4実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図9は第5実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図10(a)は図1〜3に示した装置の使用状態を示す概略図、図10(b)は図10(a)の他の実施例を示す概略図、図11は本発明の装置で柱等の被切断物を水平切断する装置の使用状態を示す概略図、図12は本発明の装置で柱等の被切断物を水平切断する他の装置の使用状態を示す概略図、図13は電動コアドリルの斜視図である。
【0019】
始めに、図13により電動コアドリルについて説明する。
この電動コアドリル10は、電動モータ4と、電動モータ4のガイド部材としての支柱2と、支柱2の支持部材としての取付け台1と、電動モータ4と一体のギヤボックス7の出力軸に設けられたビット取り付けネジ11に接続されるビット04と、電動モータ4とギヤボックス7とを支柱2に移動可能に支持するスライドブロック3とを備えている。図13において、符号04aはビット取り付けネジ11に螺合結合する雌ネジを、符号28は支柱の一側面に形成されたラックを示している。スライドブロック3にはラック28に噛合するピニオン5が取り付けられていて、このピニオン5を送りハンドル3aの操作で回転することにより、スライドブロック3を支柱2に沿って移動できるように構成されている。符号03bはスライドブロック3を固定するためのクランプを示している。
符号26は取付け台1調整ボルトを示す。
電動コアドリル10を壁面に固定した後、電動モータ4を回転してビット04を回転し壁面に孔を明けることができる。なお支柱2と取付け台1との取り付け角度は調節可能となっている。その外、孔明け部に冷却兼潤滑のための水供給装置07が付設されている。
【0020】
図1〜3に示す電動式ワイヤーソー切断装置において、図13と同じ符号は同一部材を示している。この電動式ワイヤーソー切断装置では、図13に示した電動コアドリル10のビット04に換えてワイヤーソー駆動機構が取り付けらてれる。即ち、電動式ワイヤーソー切断装置は、鉄筋コンクリート構造物への取付け台1と、取付け台1に立設された支柱2と、支柱2に移動可能に支持されたスライドブロック3と、スライドブロック3にギヤボックス7を介して取り付けられた電動モータ4と、スライドブロック3にはラック28に噛合するピニオン5が取り付けられていて、ピニオン5を送りハンドル3aの操作で回転することにより、スライドブロック3を支柱2に沿って移動できるように構成されている。また、支柱2に、ワイヤーソー駆動機構のスライド体13が移動可能に取り付けられている。更にスライドブロック3には電動コアドリル10とギヤボックス7とが一体的に取り付けられおり、スライドブロック3を支柱2に沿って走行させるための自走装置9が取り付けられている。コアドリルに付随している自走装置9としては、モータ(図示せず)より電磁クラッチを介して回転駆動される形式のものが望ましい。
即ち、この形式は、鉄筋コンクリ−ト構造物の切断中、切断用ワイヤーソーに張力が過剰に掛かると、電磁クラッチが滑り始めてワイヤーソーの張力を緩和させる構造になっている。自走装置9のモータ(図示せず)の軸に、ラック28に噛合するピニオン5が取り付けられている。ピニオン5には、図11に示すように、送りハンドル3aも取り付けられている。
【0021】
ワイヤーソー駆動機構は、スライド体13と、スライド体13と一体のワイヤーソー変換ユニット13Aとを備え、変換ユニット13A内には、ビット取り付けネジ11(雄ネジ)はベベルギヤ17のシャフトに接続され、ベベルギヤ17は、ワイヤーソー駆動プーリのシャフトに設けたベベルギヤ17Aと噛合されている。図中の符号16,16A,16Bは軸受けを示している。プーリカバー18はワイヤーソー30が後方に飛来するのを防止するために設けられている。符号8は2段切り替えノブを示す。また、符号6はスイッチ、19はモータ4の自走装置9用コネクト、20はモータ4の自走装置9用プラグ、21はモータ4のプラグを示す。
【0022】
組み立て時、ワイヤーソー駆動機構のスライド体13を支柱2に差し込み、次いでスライドブロック3を支柱2に差し込むのであるが、この時、雌ネジ12とビット取り付けネジ11(雄ネジ)との高さが一致していることが必要条件となる。したがって、両者の間に高さの相違があるときには、スライド体13と変換ユニット13Aとの間にスペーサ材14を挿入して、雌ネジ12とビット取り付けネジ11(雄ネジ)との高さを一致させるようになっている。雌ネジ12とビット取り付けネジ11(雄ネジ)との高さを一致させた後、両ネジの外部に形成されているスパナ係合溝にスパナを係合して両ネジを締めつけることにより、モータ4側とワイヤーソー駆動機構側とが、ベベルギヤ17の雌ネジ12とビット取り付けネジ11(雄ネジ)とを介して一体結合されることになる。
【0023】
プーリカバー18はワイヤーソー30が後方に飛来するのを防止するために設けられている。符号8は2段切り替えノブを示す。また、符号6はスイッチ、19はモータ4の自走装置9用コネクト、20はモータ4の自走装置9用プラグ、21はモータ4のプラグを示す。
【0024】
支柱2の取付け台1よりのところに、プーリ架台シャフト23が突設されており、このシャフト23の先端部にプーリ用水平シャフト24が長さ調節可能に支持されている。更に、シャフト24の先端に複数のガイドプーリ25,25a,25b,25cが回転可能に取り付けられている。ガイドプーリ25等はワイヤーソーとワイヤーソー駆動プーリ15との駆動摩擦を強化するために設けられる。また、その数量に限定はなく、任意の数だけ設置することができる。
【0025】
この電動式ワイヤーソー切断装置には、支柱2と取付け台1との取り付け角度を調節する機構が設けられており、更に切断個所に冷却兼潤滑のための水供給装置(図示せず)が付設されている。図1において、符号50はコントロールボックスを示しており、モータ4の電源プラグ21及び自走装置9のモータ電源コネクタ19、プラグ20はこのコントロ−ルボックス50を介して家庭用の電源(100V,A.C)に接続され、遠隔操縦できるようになっているが、自走装置9に直接制御部を設けた形式のものも採用することができる。
【0026】
使用時、電動式ワイヤーソー切断装置は、最小限の出力をもって切断を可能にするためには、切削負荷を軽減させる必要がある。例えば、図10(a)に示すように、壁31の表面31aに取付け台1が固定される。壁31の裏面には、ワイヤーソー30の案内機構32が固定ボルト35により取り付けられる。この案内機構32は、スタッド33とスタッド33に支持された3個のガイドプーリ34とにより構成され、ワイヤーソー30は、壁31に予め電動コアドリル10により明けられた一組の孔33,33を貫通して前記のように張設される。
【0027】
なお、表面のワイヤーソー駆動プーリ15、ガイドプーリ25,25a,25b及び裏面の3個のガイドプーリ34を無端状に捲回するように張設される。ワイヤーソー30は、壁31に予め電動コアドリル10により明けられた一組の孔33,33を貫通して前記のように張設される。また、図10(a),(b)に示すように、ガイドプーリ案内機構の形状やプーリ設置数量等には制約はなく、適宜設置することが望ましい。また、切削の進行と共に生じるワイヤーソー30の弛みは、ガイドプーリ25eを側方に取り付け、ワイヤ−ソ−の長さの調整をすることにより解消させる。また、初期位置設定は送りハンドル3aを操作して行う。
【0028】
図10(a)に示す使用状態にセットした後、モータ4に通電してモータ4を回転する。モータ4の回転により、ワイヤーソー30がワイヤーソー駆動プーリ15、ガイドプーリ25,25a,25bおよび裏面の3個のガイドプーリ34を無端状に走行し、壁31の切断が行われる。切断は各孔33,33の内面側から矢印Y−Yの方向に進行する。切断の進行につれてワイヤーソー駆動プーリ15は、モータ4などとともに矢印Xの方向に自走装置9により移動する。ワイヤーソー駆動プーリ15のこの移動により、張力を調整しながら切削は進行する。また、切断の進行につれて左右のガイドプーリ34は互いに接近する方向(矢Z−Z方向)に移動する。最終工程では、ガイドプーリ案内機構32が取り外され、ガイドプーリ25,25a,25b,25c又は25a,25bとワイヤ−ソ−駆動プーリ15との間にワイヤーソー30が無端状に張設されることになる。また、ワイヤーソー30の張設や切削に順序はなく、切削負荷を軽減させるようにワイヤーソー30を適宜張り替えることが望ましい。
【0029】
図11に、柱等の被切断物を水平切断する例を示す。図11に示す使用状態に取付け台1、ワイヤーソー案内機構32をセットした後、モータの回転により、ワイヤーソー30がワイヤーソー駆動プーリ15と、ガイドプーリ25a,25b,25c,25dおよび裏面のガイドプーリ25eを無端状に走行し、柱状壁31の切断が行われる。切断は矢印Wから矢印Zの方向に進行し、ワイヤーソー30は曲線状態で切削が進行する。切断の進行につれてワイヤーソー駆動プーリ15は、モータなどとともに矢印Xの方向に自走装置9により移動する。ワイヤーソー駆動プーリ15のこの移動により、張力を調整しながら切削は進行する。また、切断の進行につれてガイドプーリ25a,25b,25c,25dおよび裏面のガイドプーリ25e→ガイドプーリ25a,25b,25cおよび裏面のガイドプーリ25e→ガイドプーリ25a,25bおよび裏面のガイドプーリ25eとワイヤーソー30を互いに接近する方向(矢印Z−Z方向)に架け替えてゆく。最終工程では、ガイドプーリ25a,25bおよび裏面のガイドプーリ25eかガイドプーリ25aおよび裏面のガイドプーリ25eと移り変わる。
この水平切断する例は、図10に示すもののように、切断対象物に穿孔してワイヤーソー30を巻き掛ける必要がない。
【0030】
図12に、柱等の被切断物を水平切断する他の例を示す。図12に示す使用状態に取付け台1、ワイヤーソー案内機構32,33をセットした後、モータの回転により、ワイヤーソー30はワイヤーソー駆動プーリ15と、ガイドプーリ25f,25gを介してガイドプーリ25d,25e,25a,25bとを柱状壁に無端状に巻回して張設し走行させ、ワイヤーソー駆動プーリ15を自重により支柱2に沿ってラック上を降下させることにより柱状壁31の切断が行われる。切断の進行につれてガイドプーリ25aから25b,25cと順次に架け替えてゆく点は図11に示すものと同様である。
この切断例は、自走装置引き揚げ力、補助手段等は不要となる。
【0031】
このように、この実施形態では、ワイヤーソーによる切断に先立って行う壁の孔明け作業用の通常の電動コアドリル10のモータ4や支柱2及び取り付け台1などをワイヤーソー切断装置にそのまま利用して、これにプーリ支持部材とワイヤーソー変換ユニット13Aとを組み合わせるだけで、つまり電動コアドリル10をワイヤーソー変換ユニット13Aに接続するだけで、電動式ワイヤーソー切断装置として使用できるので、駆動用電源として一般家庭の電源を利用でき、鉄筋コンクリート住宅の改造作業に対応できる。その結果、従来のワイヤ−ソ−駆動装置ならびに共用機材(油圧ユニット、発電機、運搬車輛、構成人員)などの削減が可能となり、切断コストを大幅に減少でき、更に機材の運搬やワイヤーソーによる切断作業を一人の作業員で行えるようになった。
【0032】
図4〜6に示す第2実施形態では、電動コアドリル10の一端に直接ワイヤーソー駆動プーリ15が取り付けられている実施例を示している。そして、電動コアドリル10が支柱2に対して直角に取り付けられている。電動コアドリル10がスライド体13の側方に取り付けられるとともに、電動コアドリル10のモータ4のビット取り付けネジ11に、ワイヤーソー駆動プーリ15の中心部に形成された雌ネジ部15cが直接ネジ込まれ、更にボルト15dで締めつけて固定されている。ビット取り付けネジ11には給水用の孔が設けられており、この孔にボルト15dの螺合ネジ孔が形成されている。
【0033】
図1〜3及び図4〜6に示す実施形態では、ラック28が、ワイヤーソー駆動プーリ15に対向する相対関係に構成されている。図7に示す第3実施形態では、ラック28が、ワイヤーソー駆動プーリ15に対して直交する相対関係に構成されている。図8に示す第4実施形態では、電動コアドリル10とワイヤーソー変換ユニット13Aとが支柱2に対して下向きに取り付けられている。
この構成により、支柱2と駆動プーリ15とを低位置とすることができる。この場合、ラック28をワイヤーソー駆動プーリ15に対して支柱2の反対側に取り付け直す必要がある。いずれにしろ、ワイヤーソー変換ユニット13Aを変形させて製作しなければならない。なお、これらの場合も、電動コアドリル10の一端に直接ワイヤーソー駆動プーリ15を取り付けてもよい。
【0034】
図9に示す第5実施形態では、支柱を垂直に設定して下から上に切り上げる垂直切断を行う構成となっている。この場合、電動式自走装置は、元々コアドリルユニット重量を引き上げるまでの出力となっているので、切断に要する張力負荷を与えると自走装置9による上昇は不可能となる。そのため、図9に示すように、コアドリルユニット本体40の重量や張力等を加算させた錘42を、支柱2の上部に設けられている支持部材45に取り付けられた複数のプーリ44を経由させてカウンターウエイトとして機能させる構成を追加することにより、自走装置9による上昇移動を可能にしている。なお、錘42によるカウンターウエイト構成に換え、引きバネを利用するようにしてもよい。図9において、符号43は錘42とスライド体13との間に張設されたワイヤ−を示している。
【0035】
前記の各実施形態では、支柱2に沿ってスライドブロック3を移動させる構成であるため、ラック28とピニオン5とを利用したものが一般的であるが、他の構成として、取付け台1に2本の支柱を設け、側方に延びる支柱末尾を固定してなる支持台に、チェーンやスクリュネジ等による移動機構を設けた支持台上に、電動式ワイヤーソー駆動装置を固定した場合においても、同等の切断装置として使用できる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば次のような効果が得られる。
(1)通常のコアドリル機材に、ワイヤーソー案内プーリ支持部材とワイヤ−ソ−駆動機構とを組み合わせて電動式ワイヤーソー切断装置を構成したので、従来のワイヤーソー駆動機構ならびに共用機材(油圧ユニット、発電機、運搬車輛、構成人員など)を削減でき、その結果、切断工事コストを大幅に減少できる。
(2)機材の運搬やワイヤーソーによる切断作業が容易に、また1人の人員で切断作業ができ、例えば1名の人員で1m2 /当たり120〜150分で切断が可能になる。
(3)通常のコアドリル機材をベ−スにしているので、家庭用の100V電源による切断が可能となり、鉄筋コンクリート住宅又は鉄筋コンクリート構築物のリフォームのような小規模工事に極めて適した電動式ワイヤーソー切断装置が得られる。
(4)電動式コアドリルによる穿孔とワイヤーソーイングを行うという二工程を1つの装置又は別途のコアドリルで鉄筋コンクリート構造物などを切断を簡単に行えるようにして切断工事コストを半分に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同主要部を拡大して示す側面図である。
【図4】第2実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図5】同正面図である。
【図6】同主要部を拡大して示す側面図である。
【図7】第3実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図8】第4実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図9】第5実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図10】(a)は図1〜3に示した装置の使用状態を示す概略図、(b)は(a)の他の実施例を示す概略図である。
【図11】本発明の装置で柱等の被切断物を水平切断する装置の使用状態を示す概略図である。
【図12】本発明の装置で柱等の被切断物を水平切断する他の装置の使用状態を示す概略図である。
【図13】電動コアドリルの斜視図である。
【符号の説明】
1 取付け台
2 支柱
3 コアドリルスライドブロック
3a 送りハンドル
4 電動モータ
5 ピニオン
6 スイッチ
7 ギア−ボックス
9 自走装置
10 電動コアドリル
11 ビット取付けネジ
12 ビット取付けネジ(凹側)
13 スライド部
15 ワイヤーソー駆動プーリ
17 ベベルギヤ
17A ベベルギヤ
23 プーリ架台シャフト
24 プーリ用水平シャフト
25 プーリ
26 取付け台調整ボルト
27 アンカ−用孔
28 ラック
30 ワイヤーソー
50 遠隔操縦用コントロ−ルボックス
【発明の属する技術分野】
本発明は、家庭用の100Vあるいは200Vの電源を動力源として利用することにより、鉄筋コンクリート構造物などの切断を簡単に行えるようにした電動式ワイヤーソー切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から鉄筋コンクリート等の構造物を切断して開口する工法としては、開口区域周囲の各角部にワイヤーソー通し孔を鉄筋コンクリート等の構造物の厚さ方向に電動式コアドリルで穿孔し、隣接する各ワイヤーソー通し孔に切削用ワイヤーソーを通すとともに、注水しながらワイヤーソーイングを行う装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平2−48410号公報(第1〜4頁、1図〜図4)。
【0004】
上記ワイヤーソー切断システムは、大型鉄筋コンクリ−ト構造物の切断を目的としたものであるため、機材の重量も重く(40kg〜600kg)、取り扱いに2名以上の人員を必要とする。このような大型の機材は、橋梁橋台の切断、地下構造物、基礎など、1回当たりの切断面積は10m2〜20m2の大きな面積まで一気に切断することができる。そして、ワイヤーソー駆動機として、内燃機関を搭載した大型機器や、切断部分と油圧発生装置とが分離した構造のものが採用されており、これらの機材に使用する起動電力は30kw、内燃機関の場合は40馬力程度が一般的である。
【0005】
また、ワイヤーソー案内プーリ支持部材を支柱に取り付けてなる油圧式ワイヤーソー切断装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献2】
特許第2976818号公報(第2〜4頁、第1〜3図)
【0007】
特許文献2に記載された装置においては、鉄筋コンクリート等の構造物を切断して開口するのに、電動式コアドリルでワイヤーソー通し孔を穿孔した後、隣接する各ワイヤーソー通し孔に切削用ワイヤーソーを通してワイヤーソーイングを行うために別体の装置を要する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、老朽化した多層住宅の建て替えや間取りの拡充計画に伴い、間仕切り壁の撤去や出入口、換気口、エレベータホールの増設など、鉄筋コンクリート構造物切断による住居改善工事が着目されている。
【0009】
このような住居改善工事を従来の大型のワイヤーソー切断システムで行おうとすると、搬入コスト、工事コスト、供給電力などの点で難点がある。
【0010】
そこで、本発明は、家庭用の100Vあるいは200Vの電源を動力源として利用することにより、鉄筋コンクリート構造物などの切断を簡単に行えるようにして切断工事コストを半分に軽減できるようにした、電動式ワイヤーソー切断装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電動コアドリルをワイヤーソー変換ユニットに接続するだけで、電動式ワイヤーソー切断装置として使用できるようにして課題解決の手段としている。したがって、本発明の電動式ワイヤーソー切断装置では、駆動用電源として一般家庭の電源を利用でき、鉄筋コンクリート住宅等の改良作業に対応することが可能となる。
【0012】
具体的には、ワイヤーソーと、該ワイヤーソーの駆動動力源と、上記ワイヤーソーの案内機構とを有するワイヤーソー切断装置において、前記ワイヤーソーの駆動動力源が、電動モータと、該電動モータのガイド部材としてのスライドブロック及び支柱と、該支柱の支持部材としての取付け台と、自走装置とを備えた電動コアドリルと該コアドリルに接続する変換ユニットで構成され、前記ワイヤーソーの案内機構が、ワイヤーソー駆動プーリと複数個のガイドプーリとにより構成され、該ワイヤーソー駆動プーリが前記変換ユニットを介して前記電動モータにより回転駆動されるとともに前記電動モータと一体的に前記支柱に移動可能に支持される一方、前記複数個のガイドプーリが前記支柱に支持部材を介して保持され、使用時に前記取付け台を被切断物の表面に固定する手段が設けて第一の課題解決の手段としている。
【0013】
また、前記の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記電動コアドリルの一端に前記変換ユニットを介することなく直接前記ワイヤーソー駆動プーリが取り付けて第二の課題解決の手段としている。
【0014】
更に、前記の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記電動コアドリルが前記支柱に対して直角に取り付けて第三の課題解決の手段としている。
【0015】
更にまた、前記の電動式ワイヤーソー切断装置において、同装置の前記支柱を垂直にセットした使用状態における前記自走装置の引き上げ力を補助する手段を設けて第四の課題解決の手段としている。
【0016】
また、前記電動式ワイヤーソー切断装置において、前記被切断物の切断予定位置の裏面に、裏側ガイドプ−リを架台を介して固定し、前記ワイヤーソーを、前記被切断物に予め開けられた一組の孔を貫通して前記被切断物の表面のワイヤーソー駆動プーリ、ガイドプーリ及び裏面のガイドプーリを無端状に捲回するように張設して第五の課題解決の手段としている。
【0017】
更にまた、前記の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記被切断物の上に前記支柱を立設し、該支柱の上方に前記駆動プーリを配設し、前記支柱の下方に設けたガイドプ−リと前記支柱の先端に設けたガイドプ−リと前記被切断物に取り付けたガイドプ−リ間を前記ワイヤーソーが無端状に捲回するように張設して第六の課題解決の手段としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は第1実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図2は同平面図、図3は同主要部を拡大して示す側面図、図4は第2実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図5は同正面図、図6は同主要部を拡大して示す側面図、図7は第3実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図8は第4実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図9は第5実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図、図10(a)は図1〜3に示した装置の使用状態を示す概略図、図10(b)は図10(a)の他の実施例を示す概略図、図11は本発明の装置で柱等の被切断物を水平切断する装置の使用状態を示す概略図、図12は本発明の装置で柱等の被切断物を水平切断する他の装置の使用状態を示す概略図、図13は電動コアドリルの斜視図である。
【0019】
始めに、図13により電動コアドリルについて説明する。
この電動コアドリル10は、電動モータ4と、電動モータ4のガイド部材としての支柱2と、支柱2の支持部材としての取付け台1と、電動モータ4と一体のギヤボックス7の出力軸に設けられたビット取り付けネジ11に接続されるビット04と、電動モータ4とギヤボックス7とを支柱2に移動可能に支持するスライドブロック3とを備えている。図13において、符号04aはビット取り付けネジ11に螺合結合する雌ネジを、符号28は支柱の一側面に形成されたラックを示している。スライドブロック3にはラック28に噛合するピニオン5が取り付けられていて、このピニオン5を送りハンドル3aの操作で回転することにより、スライドブロック3を支柱2に沿って移動できるように構成されている。符号03bはスライドブロック3を固定するためのクランプを示している。
符号26は取付け台1調整ボルトを示す。
電動コアドリル10を壁面に固定した後、電動モータ4を回転してビット04を回転し壁面に孔を明けることができる。なお支柱2と取付け台1との取り付け角度は調節可能となっている。その外、孔明け部に冷却兼潤滑のための水供給装置07が付設されている。
【0020】
図1〜3に示す電動式ワイヤーソー切断装置において、図13と同じ符号は同一部材を示している。この電動式ワイヤーソー切断装置では、図13に示した電動コアドリル10のビット04に換えてワイヤーソー駆動機構が取り付けらてれる。即ち、電動式ワイヤーソー切断装置は、鉄筋コンクリート構造物への取付け台1と、取付け台1に立設された支柱2と、支柱2に移動可能に支持されたスライドブロック3と、スライドブロック3にギヤボックス7を介して取り付けられた電動モータ4と、スライドブロック3にはラック28に噛合するピニオン5が取り付けられていて、ピニオン5を送りハンドル3aの操作で回転することにより、スライドブロック3を支柱2に沿って移動できるように構成されている。また、支柱2に、ワイヤーソー駆動機構のスライド体13が移動可能に取り付けられている。更にスライドブロック3には電動コアドリル10とギヤボックス7とが一体的に取り付けられおり、スライドブロック3を支柱2に沿って走行させるための自走装置9が取り付けられている。コアドリルに付随している自走装置9としては、モータ(図示せず)より電磁クラッチを介して回転駆動される形式のものが望ましい。
即ち、この形式は、鉄筋コンクリ−ト構造物の切断中、切断用ワイヤーソーに張力が過剰に掛かると、電磁クラッチが滑り始めてワイヤーソーの張力を緩和させる構造になっている。自走装置9のモータ(図示せず)の軸に、ラック28に噛合するピニオン5が取り付けられている。ピニオン5には、図11に示すように、送りハンドル3aも取り付けられている。
【0021】
ワイヤーソー駆動機構は、スライド体13と、スライド体13と一体のワイヤーソー変換ユニット13Aとを備え、変換ユニット13A内には、ビット取り付けネジ11(雄ネジ)はベベルギヤ17のシャフトに接続され、ベベルギヤ17は、ワイヤーソー駆動プーリのシャフトに設けたベベルギヤ17Aと噛合されている。図中の符号16,16A,16Bは軸受けを示している。プーリカバー18はワイヤーソー30が後方に飛来するのを防止するために設けられている。符号8は2段切り替えノブを示す。また、符号6はスイッチ、19はモータ4の自走装置9用コネクト、20はモータ4の自走装置9用プラグ、21はモータ4のプラグを示す。
【0022】
組み立て時、ワイヤーソー駆動機構のスライド体13を支柱2に差し込み、次いでスライドブロック3を支柱2に差し込むのであるが、この時、雌ネジ12とビット取り付けネジ11(雄ネジ)との高さが一致していることが必要条件となる。したがって、両者の間に高さの相違があるときには、スライド体13と変換ユニット13Aとの間にスペーサ材14を挿入して、雌ネジ12とビット取り付けネジ11(雄ネジ)との高さを一致させるようになっている。雌ネジ12とビット取り付けネジ11(雄ネジ)との高さを一致させた後、両ネジの外部に形成されているスパナ係合溝にスパナを係合して両ネジを締めつけることにより、モータ4側とワイヤーソー駆動機構側とが、ベベルギヤ17の雌ネジ12とビット取り付けネジ11(雄ネジ)とを介して一体結合されることになる。
【0023】
プーリカバー18はワイヤーソー30が後方に飛来するのを防止するために設けられている。符号8は2段切り替えノブを示す。また、符号6はスイッチ、19はモータ4の自走装置9用コネクト、20はモータ4の自走装置9用プラグ、21はモータ4のプラグを示す。
【0024】
支柱2の取付け台1よりのところに、プーリ架台シャフト23が突設されており、このシャフト23の先端部にプーリ用水平シャフト24が長さ調節可能に支持されている。更に、シャフト24の先端に複数のガイドプーリ25,25a,25b,25cが回転可能に取り付けられている。ガイドプーリ25等はワイヤーソーとワイヤーソー駆動プーリ15との駆動摩擦を強化するために設けられる。また、その数量に限定はなく、任意の数だけ設置することができる。
【0025】
この電動式ワイヤーソー切断装置には、支柱2と取付け台1との取り付け角度を調節する機構が設けられており、更に切断個所に冷却兼潤滑のための水供給装置(図示せず)が付設されている。図1において、符号50はコントロールボックスを示しており、モータ4の電源プラグ21及び自走装置9のモータ電源コネクタ19、プラグ20はこのコントロ−ルボックス50を介して家庭用の電源(100V,A.C)に接続され、遠隔操縦できるようになっているが、自走装置9に直接制御部を設けた形式のものも採用することができる。
【0026】
使用時、電動式ワイヤーソー切断装置は、最小限の出力をもって切断を可能にするためには、切削負荷を軽減させる必要がある。例えば、図10(a)に示すように、壁31の表面31aに取付け台1が固定される。壁31の裏面には、ワイヤーソー30の案内機構32が固定ボルト35により取り付けられる。この案内機構32は、スタッド33とスタッド33に支持された3個のガイドプーリ34とにより構成され、ワイヤーソー30は、壁31に予め電動コアドリル10により明けられた一組の孔33,33を貫通して前記のように張設される。
【0027】
なお、表面のワイヤーソー駆動プーリ15、ガイドプーリ25,25a,25b及び裏面の3個のガイドプーリ34を無端状に捲回するように張設される。ワイヤーソー30は、壁31に予め電動コアドリル10により明けられた一組の孔33,33を貫通して前記のように張設される。また、図10(a),(b)に示すように、ガイドプーリ案内機構の形状やプーリ設置数量等には制約はなく、適宜設置することが望ましい。また、切削の進行と共に生じるワイヤーソー30の弛みは、ガイドプーリ25eを側方に取り付け、ワイヤ−ソ−の長さの調整をすることにより解消させる。また、初期位置設定は送りハンドル3aを操作して行う。
【0028】
図10(a)に示す使用状態にセットした後、モータ4に通電してモータ4を回転する。モータ4の回転により、ワイヤーソー30がワイヤーソー駆動プーリ15、ガイドプーリ25,25a,25bおよび裏面の3個のガイドプーリ34を無端状に走行し、壁31の切断が行われる。切断は各孔33,33の内面側から矢印Y−Yの方向に進行する。切断の進行につれてワイヤーソー駆動プーリ15は、モータ4などとともに矢印Xの方向に自走装置9により移動する。ワイヤーソー駆動プーリ15のこの移動により、張力を調整しながら切削は進行する。また、切断の進行につれて左右のガイドプーリ34は互いに接近する方向(矢Z−Z方向)に移動する。最終工程では、ガイドプーリ案内機構32が取り外され、ガイドプーリ25,25a,25b,25c又は25a,25bとワイヤ−ソ−駆動プーリ15との間にワイヤーソー30が無端状に張設されることになる。また、ワイヤーソー30の張設や切削に順序はなく、切削負荷を軽減させるようにワイヤーソー30を適宜張り替えることが望ましい。
【0029】
図11に、柱等の被切断物を水平切断する例を示す。図11に示す使用状態に取付け台1、ワイヤーソー案内機構32をセットした後、モータの回転により、ワイヤーソー30がワイヤーソー駆動プーリ15と、ガイドプーリ25a,25b,25c,25dおよび裏面のガイドプーリ25eを無端状に走行し、柱状壁31の切断が行われる。切断は矢印Wから矢印Zの方向に進行し、ワイヤーソー30は曲線状態で切削が進行する。切断の進行につれてワイヤーソー駆動プーリ15は、モータなどとともに矢印Xの方向に自走装置9により移動する。ワイヤーソー駆動プーリ15のこの移動により、張力を調整しながら切削は進行する。また、切断の進行につれてガイドプーリ25a,25b,25c,25dおよび裏面のガイドプーリ25e→ガイドプーリ25a,25b,25cおよび裏面のガイドプーリ25e→ガイドプーリ25a,25bおよび裏面のガイドプーリ25eとワイヤーソー30を互いに接近する方向(矢印Z−Z方向)に架け替えてゆく。最終工程では、ガイドプーリ25a,25bおよび裏面のガイドプーリ25eかガイドプーリ25aおよび裏面のガイドプーリ25eと移り変わる。
この水平切断する例は、図10に示すもののように、切断対象物に穿孔してワイヤーソー30を巻き掛ける必要がない。
【0030】
図12に、柱等の被切断物を水平切断する他の例を示す。図12に示す使用状態に取付け台1、ワイヤーソー案内機構32,33をセットした後、モータの回転により、ワイヤーソー30はワイヤーソー駆動プーリ15と、ガイドプーリ25f,25gを介してガイドプーリ25d,25e,25a,25bとを柱状壁に無端状に巻回して張設し走行させ、ワイヤーソー駆動プーリ15を自重により支柱2に沿ってラック上を降下させることにより柱状壁31の切断が行われる。切断の進行につれてガイドプーリ25aから25b,25cと順次に架け替えてゆく点は図11に示すものと同様である。
この切断例は、自走装置引き揚げ力、補助手段等は不要となる。
【0031】
このように、この実施形態では、ワイヤーソーによる切断に先立って行う壁の孔明け作業用の通常の電動コアドリル10のモータ4や支柱2及び取り付け台1などをワイヤーソー切断装置にそのまま利用して、これにプーリ支持部材とワイヤーソー変換ユニット13Aとを組み合わせるだけで、つまり電動コアドリル10をワイヤーソー変換ユニット13Aに接続するだけで、電動式ワイヤーソー切断装置として使用できるので、駆動用電源として一般家庭の電源を利用でき、鉄筋コンクリート住宅の改造作業に対応できる。その結果、従来のワイヤ−ソ−駆動装置ならびに共用機材(油圧ユニット、発電機、運搬車輛、構成人員)などの削減が可能となり、切断コストを大幅に減少でき、更に機材の運搬やワイヤーソーによる切断作業を一人の作業員で行えるようになった。
【0032】
図4〜6に示す第2実施形態では、電動コアドリル10の一端に直接ワイヤーソー駆動プーリ15が取り付けられている実施例を示している。そして、電動コアドリル10が支柱2に対して直角に取り付けられている。電動コアドリル10がスライド体13の側方に取り付けられるとともに、電動コアドリル10のモータ4のビット取り付けネジ11に、ワイヤーソー駆動プーリ15の中心部に形成された雌ネジ部15cが直接ネジ込まれ、更にボルト15dで締めつけて固定されている。ビット取り付けネジ11には給水用の孔が設けられており、この孔にボルト15dの螺合ネジ孔が形成されている。
【0033】
図1〜3及び図4〜6に示す実施形態では、ラック28が、ワイヤーソー駆動プーリ15に対向する相対関係に構成されている。図7に示す第3実施形態では、ラック28が、ワイヤーソー駆動プーリ15に対して直交する相対関係に構成されている。図8に示す第4実施形態では、電動コアドリル10とワイヤーソー変換ユニット13Aとが支柱2に対して下向きに取り付けられている。
この構成により、支柱2と駆動プーリ15とを低位置とすることができる。この場合、ラック28をワイヤーソー駆動プーリ15に対して支柱2の反対側に取り付け直す必要がある。いずれにしろ、ワイヤーソー変換ユニット13Aを変形させて製作しなければならない。なお、これらの場合も、電動コアドリル10の一端に直接ワイヤーソー駆動プーリ15を取り付けてもよい。
【0034】
図9に示す第5実施形態では、支柱を垂直に設定して下から上に切り上げる垂直切断を行う構成となっている。この場合、電動式自走装置は、元々コアドリルユニット重量を引き上げるまでの出力となっているので、切断に要する張力負荷を与えると自走装置9による上昇は不可能となる。そのため、図9に示すように、コアドリルユニット本体40の重量や張力等を加算させた錘42を、支柱2の上部に設けられている支持部材45に取り付けられた複数のプーリ44を経由させてカウンターウエイトとして機能させる構成を追加することにより、自走装置9による上昇移動を可能にしている。なお、錘42によるカウンターウエイト構成に換え、引きバネを利用するようにしてもよい。図9において、符号43は錘42とスライド体13との間に張設されたワイヤ−を示している。
【0035】
前記の各実施形態では、支柱2に沿ってスライドブロック3を移動させる構成であるため、ラック28とピニオン5とを利用したものが一般的であるが、他の構成として、取付け台1に2本の支柱を設け、側方に延びる支柱末尾を固定してなる支持台に、チェーンやスクリュネジ等による移動機構を設けた支持台上に、電動式ワイヤーソー駆動装置を固定した場合においても、同等の切断装置として使用できる。
【0036】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば次のような効果が得られる。
(1)通常のコアドリル機材に、ワイヤーソー案内プーリ支持部材とワイヤ−ソ−駆動機構とを組み合わせて電動式ワイヤーソー切断装置を構成したので、従来のワイヤーソー駆動機構ならびに共用機材(油圧ユニット、発電機、運搬車輛、構成人員など)を削減でき、その結果、切断工事コストを大幅に減少できる。
(2)機材の運搬やワイヤーソーによる切断作業が容易に、また1人の人員で切断作業ができ、例えば1名の人員で1m2 /当たり120〜150分で切断が可能になる。
(3)通常のコアドリル機材をベ−スにしているので、家庭用の100V電源による切断が可能となり、鉄筋コンクリート住宅又は鉄筋コンクリート構築物のリフォームのような小規模工事に極めて適した電動式ワイヤーソー切断装置が得られる。
(4)電動式コアドリルによる穿孔とワイヤーソーイングを行うという二工程を1つの装置又は別途のコアドリルで鉄筋コンクリート構造物などを切断を簡単に行えるようにして切断工事コストを半分に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同主要部を拡大して示す側面図である。
【図4】第2実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図5】同正面図である。
【図6】同主要部を拡大して示す側面図である。
【図7】第3実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図8】第4実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図9】第5実施形態としての電動式ワイヤーソー切断装置の側面図である。
【図10】(a)は図1〜3に示した装置の使用状態を示す概略図、(b)は(a)の他の実施例を示す概略図である。
【図11】本発明の装置で柱等の被切断物を水平切断する装置の使用状態を示す概略図である。
【図12】本発明の装置で柱等の被切断物を水平切断する他の装置の使用状態を示す概略図である。
【図13】電動コアドリルの斜視図である。
【符号の説明】
1 取付け台
2 支柱
3 コアドリルスライドブロック
3a 送りハンドル
4 電動モータ
5 ピニオン
6 スイッチ
7 ギア−ボックス
9 自走装置
10 電動コアドリル
11 ビット取付けネジ
12 ビット取付けネジ(凹側)
13 スライド部
15 ワイヤーソー駆動プーリ
17 ベベルギヤ
17A ベベルギヤ
23 プーリ架台シャフト
24 プーリ用水平シャフト
25 プーリ
26 取付け台調整ボルト
27 アンカ−用孔
28 ラック
30 ワイヤーソー
50 遠隔操縦用コントロ−ルボックス
Claims (7)
- 電動コアドリルに、ワイヤーソー案内プーリ支持部材とワイヤーソー駆動機構とを組み合わせたことを特徴とする電動式ワイヤーソー切断装置。
- ワイヤーソーと、該ワイヤーソーの駆動動力源と、上記ワイヤーソーの案内機構とを有するワイヤーソー切断装置において、
前記ワイヤーソーの駆動動力源が、電動モータと、該電動モータのガイド部材としてのスライドブロック及び支柱と、該支柱の支持部材としての取付け台と、自走装置とを備えた電動コアドリルと該コアドリルに接続する変換ユニットで構成され、
前記ワイヤーソーの案内機構が、ワイヤーソー駆動プーリと複数個のガイドプーリとにより構成され、該ワイヤーソー駆動プーリが前記変換ユニットを介して前記電動モータにより回転駆動されるとともに前記電動モータと一体的に前記支柱に移動可能に支持される一方、前記複数個のガイドプーリが前記支柱に支持部材を介して保持され、
使用時に前記取付け台を被切断物の表面に固定する手段が設けられることを特徴とする電動式ワイヤーソー切断装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記電動コアドリルの一端に前記変換ユニットを介することなく直接前記ワイヤーソー駆動プーリが取り付けられていることを特徴とする電動式ワイヤーソー切断装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記電動コアドリルが前記支柱に対して直角に取り付けられていることを特徴とする電動式ワイヤーソー切断装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電動式ワイヤーソー切断装置において、該装置の前記支柱を垂直にセットした使用状態における前記自走装置の引き上げ力を補助する手段が設けられていることを特徴とする電動式ワイヤーソー切断装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記被切断物の切断予定位置の裏面に、裏側ガイドプ−リ架台を介して固定し、前記ワイヤーソーを、前記被切断物に予め明けられた一組の孔を貫通して前記被切断物の表面のワイヤーソー駆動プーリ、ガイドプーリ及び裏面のガイドプーリを無端状に捲回するように張設したことを特徴とする電動式ワイヤーソー装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電動式ワイヤーソー切断装置において、前記被切断物の上に前記支柱を立設し、該支柱の上方に前記駆動プーリを配設し、前記支柱の下方に設けたガイドプ−リと前記支柱の先端に設けたガイドプ−リと前記被切断物に取り付けたガイドプ−リ間を前記ワイヤーソーが無端状に捲回するように張設したことを特徴とする電動式ワイヤーソー装置。
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A072 | Dismissal of procedure |
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