JP2004223849A - 印刷装置、及び印刷装置における素子へのアクセス方法。 - Google Patents
印刷装置、及び印刷装置における素子へのアクセス方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】コストの増大を招くことなく、カートリッジ側の非接触ICに書き込まれた情報へアクセスすることができるとともに、用紙側の非接触ICに書き込まれた情報へのアクセスを行うことができる、印刷装置を提供する。
【解決手段】インクカートリッジに設けられ情報の書き込みが可能な第1の素子へのアクセスを行うアクセス手段を有する印刷装置であって、このアクセス手段は、印刷対象の被印刷体に設けられ情報の書き込みが可能な第2の素子へのアクセスを兼用する。
【選択図】図8
【解決手段】インクカートリッジに設けられ情報の書き込みが可能な第1の素子へのアクセスを行うアクセス手段を有する印刷装置であって、このアクセス手段は、印刷対象の被印刷体に設けられ情報の書き込みが可能な第2の素子へのアクセスを兼用する。
【選択図】図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置に関する。詳しくは、非接触ICを有する印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、印刷装置の一形態として、複数のインクカートリッジが着脱可能に設けられたいわゆるインクジェット式プリンタがある。各インクカートリッジには、各色ごとにインクが収容され、印刷装置はこのインクの供給を受けて用紙に印刷を行っている。
【0003】
このような印刷装置においては、各カートリッジに収容されたインクがなくなると新たなカートリッジを装着する必要があるが、印刷途中でインクがなくなった場合には、印刷処理を中断しなければならない。これを回避するため、印刷装置は、インクの残量等を管理し、印刷で使用したインクの使用量に応じてその残量等をカートリッジに設けられた不揮発性メモリに書き込んでいる。印刷装置は、このメモリから残量等の情報を予め読み出すことで、印刷前など事前に新たなカートリッジの装着をユーザーに要求するなどにより、印刷途中で中断なく継続して印刷処理を行うことができる。
【0004】
しかし、カートリッジの着脱を何度も重ねることで印刷装置とカートリッジの接触部分が接触不良を起こすため、印刷装置は、カートリッジのメモリにインク残量を書き込むことができなくなってしまう。
【0005】
そこで、カートリッジに非接触ICを設けて、カートリッジのIC内のメモリに印刷装置がインク残量等の情報を書き込む技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
一方、印刷装置は、印刷対象である用紙の情報を事前に取得することができれば、用紙にあった最高画質の印刷を行うことができる。例えば、印刷装置が、用紙情報を読み取り、読み取った用紙情報をもとに最適なLUT(Look UpTable)を選択することで最高画質の印刷をすることが可能とある。
【0007】
これを実現するにあたり、例えば、印刷装置の印刷ヘッド近傍に光センサ等を設けて用紙による反射率の違いから用紙の種類を判別し、判別した用紙にあった最適な印刷を行うことが可能となる。
【0008】
また、印刷対象の用紙に無線チップが内蔵され、印刷装置がこのチップ書き込まれた用紙に関する情報を読み出すことで、用紙にあった最適な印刷を実現することが可能である。この場合に無線チップに個人情報等を記憶しておくことで、著作権の保護も可能となる。
【0009】
【特許文献1】公開特許公報 特開平2002−234192号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、反射率の違いから用紙種類を判別するためには印刷装置に新たに光センサを設ける必要がある。さらに、用紙に無線チップを内蔵している場合、印刷装置は、内部に当該チップの情報を読み取るための受信部を新たに設けなければならない。
【0011】
かかる場合、印刷装置全体でコストの増大を招く結果となってしまう。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、コストの増大を招くことなく、カートリッジ側の非接触ICに書き込まれた情報へアクセスすることができるとともに、用紙側の非接触ICに書き込まれた情報へのアクセスを行うことができる、印刷装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、インクカートリッジに設けられ情報の読み込み及び/又は書き込みが可能な第1の素子へのアクセスを行うアクセス手段を有する印刷装置であって、前記アクセス手段は、印刷対象の被印刷体に設けられ情報の書き込みが可能な第2の素子へのアクセスを兼用することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記印刷装置において前記アクセス手段が行う第1の素子へのアクセスと第2の素子へのアクセスは非接触で行うことを特徴とする。これにより、各素子とアクセス手段との接触部分が接触不良を起こすことなく、各素子へのアクセスを行うことができる。
【0015】
さらに本発明は、上記印刷装置において、さらに、前記インクカートリッジが着脱可能なカートリッジ装着手段を有し、前記カートリッジ装着手段に前記アクセス手段を設けていることを特徴としている。これにより、カートリッジの移動に伴い上記各素子へのアクセスが容易に行われる。
【0016】
さらに本発明は、上記印刷装置において、前記アクセス手段が、前記第2の素子とのアクセスを行うことができないとき、前記第1の素子へのアクセスを行って前記第1の素子へのアクセスを行うことができたときは前記被印刷体のエラーであると判断することを特徴としている。これにより、前記アクセス手段が読み取りエラーを発生した場合に被印刷体のエラーであることが容易に特定することができる。
【0017】
さらに本発明は、前記アクセス手段は、前記第1の素子へのアクセスを行って前記第1の素子へのアクセスを行うことができたときは、前記アクセス手段のエラーであると判断することを特徴としている。これにより、前記アクセス手段が読み取りエラーを発生した場合にアクセス手段のエラーであることが容易に特定することができる。
【0018】
さらに、上記目的を達成するために本発明は、印刷装置における素子へのアクセス方法であって、インクカートリッジに設けられた書き込み可能な第1の素子へアクセス手段によって前記第1の素子に書き込まれた情報を読み取る第1のステップと、前記アクセス手段はさらに印刷対象である被印刷体に設けられた書き込み可能な第2の素子へアクセスを兼用し、前記アクセス手段によって前記第2の素子に書き込まれた情報を読み取る第2のステップとを有することを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明が適用される印刷装置1のキャリッジ20周辺の内部構成を示す。
【0021】
図1に示すように、印刷装置1の内部は、キャリッジ20と、キャリッジモータ21と、紙送りモータ22と、プーリ23と、駆動ベルト24と、摺動軸25と、プラテン26と、キャッピング部27と、キャップ28と、ポンプユニット29とから構成されている。
【0022】
キャリッジ20は、複数のインクカートリッジ301〜306が装着されており、後述する記録ヘッド41からインクが吐出され、印字を行うように構成されている。図1に示す例では、6つのカートリッジ301〜306が装着されている例である。それぞれ、黒(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)のインクが収容されている。
【0023】
キャリッジモータ21は、キャリッジ20を所定の印刷位置に移動させるためのモータである。キャリッジモータ21は、プーリ23、及び駆動ベルト24を介してキャリッジ20に接続され、モータ21の回転により、キャリッジ20を所定の印刷位置に移動させるようになされている。なお、印刷装置1内部には、摺動軸25をさらに有しており、キャリッジ20を所定の印刷位置に移動させる際にプラテン26の軸方向と平行に案内されるようになされている。
【0024】
紙送りモータ22は、プラテン26を回転させるためのモータで、プラテン26が回転することで、印刷対象の用紙82が給紙され所定の印刷位置に移動される。
【0025】
プラテン26は、摺動軸25と平行に印刷装置1内に架設され、紙送りモータ22の駆動により回転して用紙82を移動させる。
【0026】
かかる印刷装置1は、以下のように動作する。
【0027】
すなわち、用紙が所定位置に給紙されると、後述するCPU10からの制御信号により、紙送りモータ22が駆動し、その駆動がプラテン26に伝達されて、プラテン26が回転することにより、用紙を所定の位置まで給紙する。
【0028】
そして、CPU10からの制御信号によりキャリッジモータ21が駆動され、その駆動により、プーリ23、駆動ベルト24を介してキャリッジ20が印刷位置まで実際に移動するようになされている。
【0029】
その後、CPU10からの所定の制御信号により、インクカートリッジ301〜306に収容されたインクが記録ヘッド41(図3参照)の各ノズル列から吐出され、実際に印字が行われる。
【0030】
図2は、本発明が適用される印刷装置1のキャリッジ20の構成を示す図である。
【0031】
キャリッジ20は略L字形をしており、その底部には複数のインク導入管501〜506が設けられている。各導入管501〜506は、カートリッジ301〜306 を上方から装着すると、各カートリッジ301〜306に設けられた接続孔32に挿入される。各カートリッジ301〜306は、収容されたインクが接続孔32から、導入管501〜506 を介してキャリッジ20の下部に設けられた記録ヘッド41の各ノズルに移動するようになされている。
【0032】
さらに、キャリッジ20の底面には、送受信部80を有している。送受信部80は、キャリッジ20の導入管50よりも鉛直方向に位置するカートリッジ位置決め板43側に位置する。カートリッジ30をキャリッジ20に装着させた場合に、カートリッジ30のIC31とほぼ対向する位置に位置することになる。
【0033】
実際にカートリッジ30をキャリッジ20に装着させた場合には、カートリッジ30の底面とキャリッジ20の上面とに若干の隙間が生じ、そのため、カートリッジ30のIC31と送受信部80とが非接触に情報のアクセスを行うようになされている。非接触でアクセスできるため、接触部分に接触不良を起こすことなく情報の送受信を行うことができる。
【0034】
図3は、キャリッジ20を下方から見た模式図である。
【0035】
キャリッジ20の下部は、送受信部80と、複数のノズル列を有する記録ヘッド41とから構成されている。
【0036】
記録ヘッド41には、本実施例では6つのノズル列42を有し、各列ごとにそれぞれ、黒(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)のインクが吐出されるように位置している。この各インクは、それぞれ各カートリッジ301〜306 から、導入管501〜506を介して、導かれたものである。
【0037】
なお、図3に示すノズル列42は線で表現されているが、実際には各列ごとに複数のノズルから構成されている。そして、各ノズル42にはヘッド41の上部(図2のキャリッジ20では底部)に図示しないピエゾ素子を備え、後述するCPU10からの制御信号により、各ピエゾ素子に電圧が印加されることで、各ノズル42からインクが吐出され、印字が行われる。
【0038】
また、送受信部80は、キャリッジ20の裏面から見ると、記録ヘッド41の上流側(用紙が挿入される方向の先端側)に位置している。これは、図2に示すようにインクカートリッジ301〜306 の接続孔32の先端付近に位置する非接触IC31へのアクセスを行うことができると同時に、印刷用紙82の挿入方向で上部に位置している用紙82の非接触IC81へのアクセスを印刷実行前に行うためである。
【0039】
このように上流側にあれば、給紙された印刷用紙が実際に印字される前に用紙の情報を印刷装置1が予め読み取ることができ、用紙の種類などに対応した最適な印刷を行うことが可能となる。なお、送受信部80の具体的構成等は後述する。また、送受信部80は、非接触でアクセスできるため用紙IC81、送受信部80ともに接触不良を起こすことなく情報の送受信を行うことができる。
【0040】
このように送受信部80は、キャリッジ20を上方及び下方の双方からアクセスできる位置に位置している。図2に示す例では、送受信部80は、導入管503〜505の先端に位置しているが、すべての導入管501〜506の先端側に位置してもよいし、一つの導入管の先端側に位置してもよい。
【0041】
図4(a)はインクカートリッジ30の斜視図、図4(b)はインクカートリッジ30を下方から見た図である。
【0042】
図4(a)及び図4(b)に示すように、インクカートリッジ30の底面には、インクが排出される接続孔32と、非接触IC31とを有している。図4(a)の矢印方向(A)が、カートリッジ30をキャリッジ20に装着させる方向である。
【0043】
接続孔32は、カートリッジ30をキャリッジ20に装着させた場合に、キャリッジ20の導入管50と接続されるよう位置している。この装着により、カートリッジ30に収容されたインクが接続孔32から導入管50に排出されるようになされている。
【0044】
非接触IC31は、接続孔32の近傍に位置するが、図4(a)及び図4(b)に示す例では、キャリッジ20に装着させた場合にキャリッジ20に備えられた送受信部80の略対向する位置にある。これにより、カートリッジ30をキャリッジ20に装着させた段階で、カートリッジ30のIC31へのアクセスが可能となる。
【0045】
ここで、カートリッジ30のIC31に記憶される情報としては、カートリッジ30に収容されているインクの使用量及び残量を示す情報や、カートリッジ30にどの色が収容されているかを識別するための色情報、カートリッジ30の製造情報や有効期限に関する情報がある。さらに、カートリッジ30の書込みタイミングを示す情報が記憶される。タイミングを示す情報として、所定の値、例えば1%を閾値として設定し、インクの吐出量の積算値がこの閾値に達したとき、インクの使用量や残量をIC31に記憶させるようにする。直接この閾値をIC31に記憶させてもよい。なお、非接触IC31の構成は後述する。
【0046】
図5は、印刷対象の用紙82に非接触IC81が設けられている場合の用紙の構成を示す図である。
【0047】
用紙82は、印刷される面のほぼ先端部にIC81が設けられている。すなわち、印刷装置1に挿入される方向(B)の先端側に位置している。これは、用紙82が印刷装置1に挿入されるときに、キャリッジ20の送受信部80でIC81に記憶されている情報を印刷前に読み取るためである。
【0048】
IC81に記憶される情報として、例えば、用紙の種類、用紙の厚さ、用紙の幅、用紙の製造年月日、用紙の色補正表、などの情報が記憶される。用紙の種類とは、用紙の素材、紙やプラスチック、OHPの種類を示す情報で、さらに用紙が紙である場合は、その光沢に関する情報である。用紙の幅とは、用紙がA4サイズ、B5サイズなどに関する情報である。用紙の色補正表に関する情報とは、いわゆるLUT(Look Up Table)に関する情報で、印刷データに含まれる色と実際に印刷時に使用する色と対応を示す色変換テーブルのことである。カラー画像の印刷を行う際に高品質に表現するためには重要な情報である。かかる情報を印刷装置1で読み取ることができれば用紙にあった最適な印刷を行うことができる。
【0049】
さらに、IC81には、印刷装置1側の情報をIC81に記憶させることも可能である。例えば、印刷装置を特定するための情報、デジタルカメラを特定するための情報、印刷を行った日付、印刷対象の画像データを特定するための情報などが考えられる。印刷装置を特定するための情報とは、例えば、印刷時の色変換情報など一部の印刷情報は印刷装置の種類ごとに異なるため、前回と同じ印刷結果を得られない場合があり前回と同じ印刷装置を特定するための情報である。デジタルカメラを特定するための情報とは、色補正など画像処理に関する情報はデジタルカメラごとに異なるため、前回と同じ画像処理、ひいては同じ印刷結果を再現できないため、前回と同じデジタルカメラを特定するための情報である。印刷日付に関する情報は、日付を特定できれば、時間経過に対する印刷の劣化具合を知りたい場合などに利用される。画像データを特定するための情報とは、印刷対象の画像のファイル名や、パス名などで、後日印刷画像をコンピュータ内で検索したい場合に記憶に頼ることなく容易に特定することができる。
【0050】
図6は、カートリッジ30及び用紙82に設けられている非接触IC31、81の構成を示す平面透視図である。本発明の実施例では、カートリッジ30及び用紙82のIC31、81は同一構成で説明することにする。また、カートリッジ30は、インクの色ごとに複数のカートリッジ301〜306 があるが、本実施例ではIC31の構成は全て同一構成として説明する。
【0051】
IC31、81は、非接触ICチップ311、811と、共振用コンデンサ312、812と、アンテナ313、813とから構成される。なお、IC31、81は、プラスチックフィルム上に実装され、透明なカバーシートにより被覆されている。
【0052】
このIC31、81は、全体としてごく小型かつ薄型で、片面に粘着性を持たせてシールとして対象物に粘着させることもできる。メモリタグなどと呼ばれ多少市販されているものである。
【0053】
非接触ICチップ311、811には、後述するように所定のメモリ等を有し、上述したインク残量等の情報や用紙に関する情報が記憶される。
【0054】
アンテナ313、813は、共振用コンデンサ812及び非接触ICチップ811と接続されている。このアンテナ313、813は、平面状のコイルであって、印刷装置1の送受信部80から発生する高周波磁界を吸収して、電流を発生させ、共振用コンデンサ812とともにIC31、81内で一定の電流を作る。この電流は、チップ311、811内の各回路を駆動するための電流源として利用される。
【0055】
図7は、印刷装置1の送受信部80と、インクカートリッジ81及び用紙31のIC81、31の内部構成を示す図である。
【0056】
送受信部80は、2つのアンテナ801、802と、送受信回路803とから構成されている。
【0057】
2つのアンテナ801、802は、それぞれ用紙82の非接触IC81及びインクカートリッジ30の非接触IC31と、上述した情報の送受信を行うためのものである。具体的には、2つのアンテナ801、802は、それぞれIC81のアンテナ813及びIC31のアンテナ313と互いに通信して、メモリ817、317に保存された情報の読み書きを行うことができる。
【0058】
送受信回路803は、後述する印刷装置1のCPU1に接続されるとともに、各アンテナ801、802に接続される。CPU10からの制御信号により、上述した情報を各アンテナ801、802に出力するとともに、CPU10からの制御信号により、高周波信号を発生して各アンテナ801、802に出力する。この高周波信号により各アンテナ801、802を介して高周波磁界が誘起される。この高周波磁界は、アンテナ813、313が吸収することで、上述したように各IC81,31の各回路を駆動する電流源となる。
【0059】
用紙82の非接触ICチップ811は、整流器814、信号解析部RF(Radio Frequency)815、制御部816、メモリ817とから構成される。
【0060】
カートリッジ30の非接触ICチップ311も、用紙の非接触ICチップ811と同様に、整流器314、信号解析部RF315、制御部316、メモリ317とから構成される。
【0061】
整流器814、314は、アンテナ813、313及び制御部816、316と接続されてアンテナ813、313で吸収した高周波磁界による電流を整流して直流電流源として出力される。
【0062】
メモリ317、817は、制御部816、316と接続されている。メモリ317、817は具体的には、NAND型フラッシュROMなど電気的に読み書き可能な不揮発性メモリである。かかるメモリ317、817に書き込まれたインク残量や用紙種類に関する情報等を記憶しておくこと、及び記憶した情報を外部から読み取ることが可能なものである。なお、メモリ317、817への情報の書込みや読出しは制御部816、316によって制御される。
【0063】
また、メモリ317には、各IC31のシリアル番号など、ICごとに固有の情報、すなわちID情報が記憶されている。このID情報は、工場製造時においてメモリ317に書き込まれる。このID情報を読み取ることで、各カートリッジ301〜306を識別することが可能となる。
【0064】
図8は、印刷装置1の内部構成を示す図である。
【0065】
印刷装置1は、CPU10、ROM11、RAM12、インターフェース14、紙送り機構18、キャリッジ機構19、送受信部80とから構成される。
【0066】
ROM11は、CPU10と接続され、印刷を実行するためなどの各種のプログラムや各種データが記憶される。
【0067】
RAM12は、CPU10と接続され、ROM11に格納されたプログラムの実行データなどを一時的に格納するためのものである。また外部から入力された各種データも格納することも可能である。
【0068】
インターフェース14は、CPU10と接続されるとともに、外部装置としてコンピュータ15に接続される。インターフェース14には、コンピュータ15からの印刷指示を示す指示命令や印刷データなどが入力され、CPU14に出力する。また、印刷の実行状況等、印刷装置1内の各種データもインターフェースを介してコンピュータ15に出力される。
【0069】
なお、コンピュータ15には、表示部16とキーボード17とを備え、表示部16には印刷対象の画像、文字等が表示され、キーボード17による所定の操作によりコンピュータ15から印刷指示を出力し、また印刷データなどのデータを出力できるようになされている。
【0070】
紙送り機構18は、CPU10と接続される。紙送り機構18は、図1に示す例では、紙送りモータ22とプラテン26とから構成されており、CPU10からの制御信号が入力されて、印刷対象の用紙を所定の位置まで移動させる。
【0071】
キャリッジ機構19は、CPU10と接続されている。キャリッジ機構19は、図1に示す例では、キャリッジモータ21、プーリ23、駆動ベルト24、キャリッジ20とから構成される。キャリッジ機構19はCPU10からの制御信号を入力して、キャリッジモータ21が駆動され、キャリッジ20が用紙の所定の位置まで移動されるようになされている。
【0072】
また、カートリッジ30の非接触IC31及び用紙82の非接触IC81にアクセスする送受信部80は、CPU10と接続されている。
【0073】
CPU10の制御により行われる送受信部80の一連の動作を、図9を用いて説明する。
【0074】
まず、印刷装置1の図示しない電源スイッチをオンにして印刷装置1に電源が投入される(ステップS10)。
【0075】
次いで、メカの初期動作が行われる(ステップS11)。この初期動作により、紙送り機構18、キャリッジ機構19に駆動電流が入力され、印刷動作を行うことができる状態になる。
【0076】
次いで、CPU10は、送受信部80に対してインク検出処理を行うよう制御信号を出力する(ステップS12)。インクカートリッジ30の非接触IC31にアクセスして情報を読み取るためである。インク検出処理は、各カートリッジ301〜306のID情報の読み取りと、ID情報以外の読み取りとの2つの処理がある。ID情報の読み取りを行うのは、各カートリッジ301〜306ごと、ひいてはインクごとにそのインク残量等の情報を管理するためである。
【0077】
上述したように、カートリッジ30の底面に位置したIC31は、印刷装置1の送受信部80が、キャリッジ20の底面に位置しているため、カートリッジ30をキャリッジ20に装着させた場合に、IC31と送受信部80とがほぼ対向する位置に位置することになる。この場合に、送受信部80が、キャリッジ20の裏面側に位置していても、例えば、アンテナ802が、キャリッジ20の底面であって、送受信部80とは反対側、すなわち、キャリッジ20の底面であって、カートリッジ20と直接対向する面に位置させることが考えられる。これにより、確実にカートリッジ30のIC31に送受信部80はアクセスすることができる。
【0078】
インク検出のための制御信号がCPU10から入力された送受信部80は、まず、各カートリッジ301〜306ごとにメモリ317に記憶されたID情報の読み取りのための処理を行う。読み取りは、まず送受信部80のアンテナ802から高周波磁界が誘起され、カートリッジ30をキャリッジ20に装着したときに各カートリッジ301〜306のIC31に駆動電流が流れ通信可能な状態になり、アンテナ802、アンテナ313を介してメモリ317にアクセスすることで行われる。
【0079】
具体的には、CPU10からの制御信号により送受信部80の送受信回路803は、非接触IC31に対してID情報読み取りコマンドを送信する。アンテナ802を介してこのコマンドを受けたカートリッジ30のIC31は、アンテナ313、RF部315を介して制御部316(図7)に入力され、制御部316の制御により、メモリ317の所定領域内にアクセスしてID情報を読み出す。読み出されたID情報は、制御部316からRF部315、アンテナ313を介して送受信部802のアンテナ802に送信され、送受信回路803を経由してCPU10に出力される。読み出されたID情報は、CPU10からRAM12の所定領域内に格納される。
【0080】
次にこのID情報をもとに、各カートリッジ301〜306に対してメモリ317に記憶されたID情報以外の情報、例えば上述したインク残量等の情報、の読出しを行う。
【0081】
具体的には、CPU10からの制御信号を受けた送受信部80の送受信回路803は、非接触IC31に対してデータ読み取りコマンドを送信する。このコマンドには、読み取ったID情報も付加させる。確実に各カートリッジ301〜306を識別して各カートリッジ301〜306のIC31にアクセスするためである。アンテナ802を介してこのコマンドを受けたカートリッジ30のIC31は、アンテナ313、RF部315を介して制御部316(図7)にこのコマンドが入力され、制御部316の制御によりメモリ317の所定領域内にアクセスしてID情報以外の情報を読み出す。読み出されたID情報以外の情報は、制御部316からアンテナ313を介して送受信部80のアンテナ802に送信され、送受信回路803を経由してCPU10に出力される。読み出されたID情報以外の情報は、CPU10からRAM12の所定領域内に格納される。
【0082】
以上の処理によって、各インクカートリッジ301〜306がキャリッジ20に装着された時点でインク残量、インク使用量、インク色情報、有効期限情報等が印刷装置1の本体に読み取られることになる。
【0083】
次いで、処理は印刷処理(ステップS13)に移行する。印刷処理(ステップS13)の具体的な動作フローを図10に示す。
【0084】
まず、印刷処理がスタートする(ステップS130)と、CPU10は、印刷データを受信したか否かを判別する。これは、コンピュータ15から出力される印刷データがインターフェース14を介して入力されたか否かで判別する。
【0085】
CPU10は、印刷データが入力されるまで、その後の処理を行わない(ステップS131で“No”のとき)。
【0086】
CPU10は、印刷データが入力されたと判断すると(ステップS131で“Yes”のとき)、給紙動作を行う(ステップS132)。給紙動作は、CPU10が紙送り機構18に対して給紙のための制御信号を出力し、この制御信号を受けた紙送り機構18が印刷用紙を所定の印字位置まで移動させる、ことで行われる。具体的には、図1に示す紙送りモータ22が、CPU10からの制御信号により、モータの駆動を開始し、その駆動がプラテン26に伝達され、プラテン26が回転することで、用紙を印字位置の先頭まで移動させる。
【0087】
次いで、CPU10は、用紙データ検出処理を行う(ステップS133)。用紙データ検出処理(ステップS133)の具体的な動作フローを図11に示す。ここでは、用紙82の非接触IC81のメモリ817に記憶された用紙情報の読み取り処理が行われる。印刷前に事前に用紙情報を取得し、この用紙情報をもとに最適な印刷を行うためである。上述したように、IC81は用紙82の挿入方向の先端付近に位置しているため、用紙の給紙動作(ステップS132)を行って印字位置に用紙が位置した際に、送受信部80が容易にアクセスすることが可能となる。
【0088】
次いで、CPU10は、用紙82のIC82と通信を行う(ステップS1331)。ここでは、まず、用紙82の頭出し位置でキャリッジ20を一往復させる。用紙82のIC81が必ずしも用紙82を給紙させた位置にあるとは限らないためである。CPU10の制御信号によりキャリッジ20は、用紙82を給紙させた頭出し位置で印字を行うことなく、送受信部80によってIC81の受信レベルを確認する(ステップS1332)。これにより、送受信部80は確実にIC81の位置にアクセスすることができる。例えば、この受信した受信レベルとIC81の位置までの距離についてのテーブルをROM11に格納させておき、キャリッジ20の一回の走査によって検出した受信レベルからCPU10は、キャリッジ20が移動すべき位置を確認することが可能である。
【0089】
受信を確認できれば処理は用紙データ読出し処理に移行する(ステップS1333)。ここでは、まずCPU10が検出した受信レベルから、IC81の位置までキャリッジ20を移動させるよう、キャリッジ機構19、必要なら紙送り機構18に対して所定距離移動させるための制御信号を出力する。これを受けた紙送り機構18と、キャリッジ機構19は、紙送りモータ22やキャリッジモータ21の駆動によりIC81の位置までキャリッジ20を移動させる。
【0090】
そして実際に用紙データ読出し処理(ステップS1333)が行われる。
【0091】
用紙IC81に記憶された用紙情報の読出しは、以下のようにして行われる。
【0092】
CPU10は、送受信部80に対して用紙IC81の読み取りのための制御信号を出力する。これを受けた送受信回路803は、用紙IC81の読み取りコマンドを、アンテナ801を介して用紙82側のIC81に送信する。なお、この時点で、アンテナ801から高周波磁界が用紙82のアンテナ813を介して吸収され、電源電流がIC81内で流れているものとする。
【0093】
アンテナ813から入力されたこのコマンドは、RF部815を介して制御部816(図7)に出力される。制御部816は、このコマンドをもとにメモリ817の所定のメモリ領域にアクセスし、上述した用紙情報を読み出す。ここで用紙情報は、上述したように用紙の種類、用紙の厚さ、用紙の幅、用紙の製造年月日、用紙の色補正表、などの情報である。読み出された用紙情報は、制御部816からRF部815(図7参照)、アンテナ813を介して、送受信部80のアンテナ801に送信され、送受信回路803を介してCPU10に出力される。CPU10は、この用紙情報をRAM12に格納させる。
【0094】
CPU10は、用紙情報を読み出した時点で、用紙データ検出処理が終了する。
【0095】
なお、キャリッジ20の印刷前の走査によって、用紙IC81からの情報の受信を行うことができない場合も当然考えられる。用紙82自体にIC81が入っていない場合や、用紙が印刷装置1に逆に挿入された場合などが考えられる。あるいは、送受信部80の何らかの原因があって、用紙IC81を受信できない場合が考えられる。
【0096】
そこで、用紙IC81の受信を行うことができない場合(ステップS1332で“No”のとき)は、CPU10は、カートリッジ30のIC31と通信を行う(ステップS1334)。エラーの原因を探るためである。
【0097】
このエラーは、IC31への通信を行うことで、送受信部80から送信した信号に対して応答があるか否かにより判断することが可能である。例えば上述したID情報読み取りのためのコマンドを送信して、IC31からのID情報を送受信部80が読み取れるか否かで実現するができる。
【0098】
まず、CPU10は、カートリッジIC31と通信を行うための制御信号を送受信部80に出力する(ステップS1334)。この制御信号を受けた送受信回路803は、上述したコマンドを、アンテナ802を介してカートリッジIC31に送信する。もちろん、IC31内には電源電流がすでに流れ通信可能な状態となっている。このコマンドを受けたカートリッジIC31は、アンテナ313、RF部315を介して制御部316に所定のコマンドが出力される。制御部316は、メモリから所定の情報をメモリ領域から読み出す。あるいは、所定のコマンドから通信可能な状態を示す情報をメモリ317にアクセスすることなくアンテナ313に出力することも可能である。メモリ317から読み出した情報は制御部316からアンテナ313に出力される。そして、アンテナ802を介して送受信回路803、CPU10に出力される。
【0099】
ここで、CPU10はこの出力を受信したか否かを検出する(ステップS1335)。この出力を受信した場合(ステップS1335で“Yes”の場合)、送受信部80は用紙IC81と通信できないにも拘わらずカートリッジIC31とは通信可能であるので、用紙IC81に何らかの原因がある。したがって、用紙IC81エラーとCPU10は判断する(ステップS1336)。この場合は、上述したように、用紙82に用紙IC81がない場合、あるいは、用紙82が逆向きに挿入された場合である。
【0100】
CPU10が、カートリッジIC31からの出力を検出できない場合(ステップS1335で“No”の場合)、送受信部80は用紙IC81と通信することもできず、かつ、カートリッジIC31とも通信することができないため、CPU10は、送受信部80自体のエラーであると判断することができる(ステップS1337)。
【0101】
なお、用紙エラーであると判断した場合は、そのまま印刷を続行することも可能である。ただし、用紙情報を取得することができないため、用紙にあった最適な印刷を行うことはできないことになる。また、用紙エラーが発生した場合は、印刷装置1の図示しない警告ランプを点灯させて、用紙IC81を検出できないことを使用者に知らせることもできる。さらに、CPU10は、インターフェース14を介してコンピュータ15に用紙エラーを示す制御信号を出力し、コンピュータ15の表示部16に用紙エラーであることを表示させ、そのまま印刷処理を続行させるか、あるいは、用紙が逆向きに挿入されているかなどの注意を促す表示を行わせ、使用者に用紙エラーであることを知らせることも可能である。さらに、RAM12やROM11に前回印刷した用紙情報を格納させておき、その情報をもとに印刷処理を続行させることもできるし、デフォルトの用紙情報がRAM12やROM11に格納されており、それを読み出して用紙情報として印刷を行うことも可能である。もちろん、印刷処理を中断させることも可能である。
【0102】
また、受信部エラーが発生した場合もそのまま印刷を続行させることも可能である。用紙情報は読み出せないのは上述したとおりであるが、用紙情報を読みだせない場合も上述した処理を行わせることができる。また、カートリッジIC31のインク残量等の情報は、以前のインク検出処理S12によってすでに読み出せているので、その後の印刷処理を実行させてインク残量等の情報を印刷装置1内部のRAM12やROM11でそのまま保持させておくこともできる。送受信部80のエラーは、用紙エラーの場合と同様に印刷装置1の図示しない警告ランプを点灯させることでユーザーに知らせたり、CPU10からインターフェース14を介してコンピュータ15にエラーであることを示す制御信号を出力して表示部16で表示させるようにしてもよい。その際に印刷処理を続行させるか否かの表示をコンピュータ15は行わせ、使用者に注意を促すようにしてもよい。さらに、CPU10は、印刷続行させる場合も用紙エラーの場合と同様に前回印刷した用紙情報をもとに印刷処理を行わせたり、デフォルトの用紙情報をもとに処理を行わせることも可能である。もちろん、送受信部80のエラーによりその後の印刷処理を中止させるようにしてもよい。
【0103】
図10に戻り、用紙データ検出処理(ステップS133)が終了すると、次いで、画像処理が行われる(ステップS134)。ここで行われる画像処理は、用紙にあった画像処理を行う処理である。これは、印刷装置1が用紙IC81から読み出した用紙情報をもとに処理を行う。
【0104】
上述したように用紙情報は、例えば、印刷用紙の素材(紙、プラスティック、皮、OHPシートなど)及び紙である場合はその光沢に関する情報や、用紙の厚さを示す情報、用紙の幅を示す情報、用紙についてのLUTに関する情報などである。
【0105】
用紙IC81から素材に関する情報を読み取ることで、印刷装置1は、例えば印刷データに対して色補正を行って、OHPシートの場合は紙に比べてマゼンダ(M)やライトマゼンダ(LM)の割合を多くするなど、の処理を行うことで、用紙に最適なカラー画像の印刷を行うことができる。
【0106】
また、用紙の厚さを示す情報を印刷装置1が読み取ることで、厚みのある印刷用紙を印刷するときに用紙を印刷装置1内にセットしたとき、印刷装置1内の図示しない搬送従動ローラと搬送駆動ローラの離間(レリース状態)間隔をOHPシートの場合は紙に比べて狭くする等の制御を行うことができる。この制御は、次の動作である印刷動作実行処理で行うことも可能である。
【0107】
また、用紙の幅を示す情報を印刷装置1が読み取ることで、A4サイズ、B5サイズといった用紙幅を印刷装置1内で設定しなくても自動的にその幅にあった印刷処理を行うことが可能となる。この処理も次の印刷動作実行処理で行うことも可能である。
【0108】
また、用紙のLUTを印刷装置1が読み取ることで、印刷データに対して色補正を行って、印刷用紙ごとにカラー画像の色彩を決定でき、用紙ごとに高品質のカラー画像の印刷を行うことができる。
【0109】
用紙にあった画像処理(ステップS134)が終了すると、処理は印刷動作実行処理(ステップS135)に移行する。
【0110】
ここでは、CPU10が、紙送り機構18に制御信号を出力することで、用紙が印刷位置に移動し、キャリッジ機構19に制御信号を出力することで、キャリッジ20を所定位置に移動させ、記録ヘッド41からその画像や文字に応じたインク滴を吐出させ、印刷処理が実際に行われる。
【0111】
このときCPU10は、各カートリッジ301〜306のインク滴の量及び吐出させた回数をRAM12に格納させる。これにより、キャリッジ20に装着させたインクカートリッジ301〜306ごとに印刷用紙に向けて吐出させるインクの吐出量が積算される。この積算値にインク検出処理(ステップS12)でカートリッジIC31から読み取ってRAM12に記憶された値(初期使用量)を加算してインク使用量が計算される。このインク使用量はCPU10によってRAM12に格納させる。このインク使用量は後述するインク書込み処理において再びRAM12から読み出してカートリッジIC31のメモリ317に書き込むことになる。
【0112】
用紙に対する印刷動作(ステップS135)が終了すると、次いで処理は排紙動作に移行する(ステップS136)。
【0113】
排紙動作(ステップS136)は、CPU10が紙送り機構18に制御信号を出力することで、紙送りモータ22が駆動されて印刷装置1内に挿入された用紙が排出される。
【0114】
さらに、印刷処理が行われる場合(ステップS137で“No”の場合)は、処理は再びステップS131に戻り上述した印刷処理が繰り返される。
【0115】
印刷処理が終了すると(ステップS137で“Yes”の場合)、次いで、CPU10はインク交換を行うべきか否か判断される(ステップS14:図9参照)。
【0116】
CPU10は、印刷処理(ステップS13)が終了すると各カートリッジ301〜306ごとにインクの使用量がカートリッジ30に収容されたインクの量に達したか否か(又は近くなったか否か)が判断される(ステップS14)。CPU10は上述した演算により計算したインクの使用量をRAM12から読出し、収容されたインク量と比較して行う。収容されたインク量は、カートリッジIC31のメモリ317に記憶させ上述したインク検出処理(ステップS12)で読み出してもよいし、予めRAM12に各カートリッジ301〜306ごとに所定量として記憶させてもよい。また、ここでのインク交換は、印刷装置1の図示しないインク交換スイッチの操作、又はコンピュータ15側からのインク交換指令により、行わせることも可能である。
【0117】
CPU10は、インク使用量が収容されたインク量に達したと判断した場合(ステップS14で“Yes”の場合)、インク書込み処理を行う(ステップS15)。
【0118】
これは、印刷装置1の送受信部80が、インクカートリッジ30のIC31にアクセスすることにより、インク使用量や残量をIC31のメモリ317に書き込むことにより行われる。ここでは全てのカートリッジ301〜306に対して書込みが行われる。その後、交換対象のカートリッジ30でなく、インク残量が十分にあるカートリッジ30を誤って交換しても、交換対象のカートリッジ30の残量を正確に把握するためである。
【0119】
具体的には、CPU10は、RAM12に記憶されたインク使用量を再び読出し、送受信部80にインク使用量に関する制御信号を出力する。この際にインク検出処理(ステップS12)で読み取った各カートリッジ301〜306のID情報を付加させて制御信号を出力することもできる。これにより、各カートリッジ301〜306ごとに確実にインク使用量をIC31に書き込むことができる。
【0120】
この信号を入力した送受信部80は、アンテナ802、カートリッジ30のアンテナ313を介して各カートリッジ301〜306ごとにメモリ317に書き込む。
【0121】
また、インク使用量ではなく、インク残量をメモリ317に書き込むようにしてもよい。例えば、上述した印刷処理動作(ステップS135)でCPU10は、演算したインク使用量からカートリッジ30に収容されたインク量を差し引いてインク残量を計算することができる。
【0122】
次いで、CPU10は、インク交換のためにキャリッジ20をインク交換位置に移動させる(ステップS16)。CPU10は、キャリッジ機構19に対して制御信号を出力し、これに応じてキャリッジモータ21が駆動され、キャリッジ20がインク交換位置まで移動する。
【0123】
次いで、インクカートリッジ30の交換を行う(ステップS17)。交換すべきインクカートリッジ30をキャリッジ20から取り外し、新たなカートリッジ30をキャリッジ20に装着させる。実際に新たなカートリッジ30が装着されるまで、処理待ちの状態(ステップS17でNoのとき)で、装着されると(ステップS17でYesのとき)、処理は次のステップに移行する。
【0124】
新たにインクカートリッジ30がキャリッジ20に装着されると、キャリッジ20をインク交換位置から印刷処理をおこなうための待機位置(ホームポジション)に移動させる(ステップS18)。CPU10からキャリッジ機構19に制御信号を出力し、この信号に応じてキャリッジモータ21が駆動され、キャリッジ20がインク交換位置から待機位置まで所定距離移動される。
【0125】
次いで、処理はインク検出処理(ステップS19)に移行する。
【0126】
インク検出処理は、上述したステップS12と同様に送受信部80がカートリッジ30のIC31へアクセスすることでメモリ317に記憶されたインク残量等の情報を読み出す。すなわち、送受信回路803は、非接触IC31に対してデータ読み取りコマンドを送信する。アンテナ802を介してこのコマンドを受けたカートリッジ30のIC31は、アンテナ313、RF部315を介して制御部316(図7)にこのコマンドが入力され、制御部316の制御によりメモリ317の所定領域内にアクセスしてインク残量等の情報を読み出す。読み出された情報は、制御部316からアンテナ313を介して送受信部80のアンテナ802に送信され、送受信回路803を経由してCPU10に出力される。読み出された情報は、CPU10からRAM12の所定領域内に格納される。
【0127】
そして、処理は再び印刷処理(ステップS13)に移行して、上述した処理が繰り返される。
【0128】
次に、CPU10は、電源OFF指令が入力されたか否か判断する(ステップS20)。図示しない印刷装置1に設けられた電源スイッチに対して所定の操作が行われると、CPU10にスイッチの操作に応じた制御信号が入力されて、これが入力されたか否かで判断する。ここで、電源OFF指令が入力されないとCPU10が判断した場合(ステップS20で“No”の場合)、再び処理は印刷処理(ステップS13)に移行して上述した処理が繰り返されることになる。
【0129】
電源OFF指令が入力されたとCPU10が判断した場合(ステップS20で“Yes”の場合)、CPU10はインク書込み処理(ステップS21)を行う。これは、印刷装置1の送受信部80が、インクカートリッジ30のIC31にアクセスすることで行う。
【0130】
具体的には、CPU10は、RAM12に記憶されたインク使用量を再び読出し、送受信部80にインク使用量に関する制御信号を出力する。この際にインク検出処理(ステップS12)で読み取った各カートリッジ301〜306のID情報を付加させて制御信号を出力することもできる。これにより、各カートリッジ301〜306ごとに確実にインク使用量をIC31に書き込むことができる。
【0131】
この信号を入力した送受信部80は、アンテナ802、カートリッジ30のアンテナ313を介して各カートリッジ301〜306ごとにメモリ317に書き込む。このインク使用量がメモリ317に書き込まれるので、再び電源を投入したときにインク検出処理(S13)によって各カートリッジ301〜306のインクの残量をCPU10が把握でき、その後の処理(ステップS14)でインク交換を行うことができる。
【0132】
また、インク使用量ではなく、インク残量をメモリ317に書き込むようにしてもよい。例えば、上述した印刷処理動作(ステップS135)でCPU10は、演算したインク使用量からカートリッジ30に収容されたインク量を差し引いてインク残量を計算することができる。
【0133】
CPU10は、インク書込み処理(ステップS21)が終了すると、メカ終了動作(ステップS22)に移行し、上述した一連の処理が終了することになる(ステップS23)。
【0134】
以上、説明したように本発明の実施の形態において、キャリッジ20に内蔵された送受信部80が、インクカートリッジ30に設けられた非接触IC31にアクセスできるとともに、用紙82に設けられた非接触IC81へのアクセスも兼ねているので、コストの増大を招くことなく印刷装置1の提供を行うことができる。
【0135】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、この実施の形態により本発明を限定するものではない。
【0136】
例えば、用紙82に設けられたIC81は図5に示すように用紙82の表面に位置しているが、例えば、サンドイッチ状にIC81を挟み込むように設けてもよい。さらに、用紙82内に内蔵されるように構成されていてもよい。
【0137】
また、用紙82についても、IC81を送受信部80が確実にアクセスするよう用紙の先端側に切り欠きを設けて、用紙が逆方向に挿入されるのを防ぐようにしてもよい。
【0138】
また、用紙82のIC81への書き込み処理についでは、例えば各用紙82の印刷処理が終了した時点で行うことが可能である。さらに、IC81が先端側に位置していることから、用紙データ検出処理(ステップS133)のときにCPU10が用紙IC81の情報読み取りが終了した時点で、書き込みを行うこともできる。この場合のIC81のメモリ817に書き込まれる情報としては上述した、印刷装置を特定するための情報、デジタルカメラを特定するための情報、印刷を行った日付、印刷対象の画像データを特定するための情報などである。これらは予めROM11やRAM12に記憶させ、CPU10が読み出し、制御信号として送受信部80に出力して、アンテナ801、813を介してメモリ817に書き込まれる。
【0139】
また、上述した例では、インク使用量や残量等に関する情報のメモリ317に対する書き込みは、インク書込み処理(ステップS15、ステップS21)において行われているが、記録ヘッド41のいわゆるブラッシング動作ごとに行うことも考えられる。このブラッシング動作は、記録ヘッド41が有するインク吐出ノズルの目詰まり等を防止することを目的に、キャリッジ20が非印刷領域に位置したあと記録ヘッド41のノズルから所定量のインクを吐出させる動作である。通常、キャリッジ20が所定回数往復した後で行われる。この動作時に、CPU10は、上述したインク使用量、インク残量を演算して、カートリッジIC31のメモリ317にこの情報を記憶させることが可能である。また、CPU10は、この演算の際に最もインク使用量の多い又はインク残量の少ないカートリッジ301〜306を選択してそのカートリッジ301〜306のメモリ317にその情報を書き込むようにして書き込み処理に伴う時間の抑制を図ることができる。
【0140】
また、インク使用量、残量の演算も、上述した実施の形態では、印刷動作実行処理(S135)で行われているがより具体的に例えば、キャリッジ20が印刷のために1回往復(1パス)したごとに演算することもできる。そして演算した値をRAM12に書き込み、インク書き込み処理(ステップS15、ステップS21)の際にメモリ317に書き込むようにしてもよい。
【0141】
さらに、上述した実施の形態は、インク使用量やインク残量をメモリ317に書き込むようにしたが、各カートリッジ301〜306に収容可能なインク容量に応じた閾値を示す閾値情報により処理を行うこともできる。例えば、閾値情報としてインク容量の1%として、メモリ317からこの閾値情報をCPU10が読み込み、カートリッジ30のインク吐出量の積算値がこの閾値に達した際にインク使用量や残量を示す情報をメモリ317に書き込むようにしてもよい。また、メモリ317にかインク使用量や残量の書き込みタイミングを決定するための情報を書き込んでおき、これをもとに処理することも可能である。例えば、インクの容量情報を書き込みタイミングとして用いると、容量情報をCPU10が読み込んだ際に予め設定した(ROM11などに書き込んだ)閾値に達したときにインク使用量や残量を書き込むようにすることが可能である。さらに、メモリ317に書き込まれた色データや製造情報、有効期限に関する情報をCPU10が読み込み、現在日時と比較処理を行うことで、カートリッジ30の有効期限が近づくとユーザーに警告を行うようにすることも考えられる。
【0142】
なお、上述した実施の形態では、カートリッジIC31の読み込み処理が、印刷処理(ステップS13)の前に行うようにしたが、これは用紙の給紙から印刷動作終了までの時間を考慮したもので、印刷処理(ステップS13)でIC31の読み込み処理を行わせるとその分だけ、給紙から印刷動作終了までの時間がロスするため、これを抑えるためである。
【0143】
また、上述した実施の形態では、送受信部80のアンテナはカートリッジIC31と用紙IC81の双方とアクセスするため2つのアンテナ(801、802)を有していたが、1つのアンテナで兼用してもよい。
【0144】
また、上述した実施の形態では、送受信部80がキャリッジ20底面の用紙と対向する位置に位置していたが、送受信部80がキャリッジ20内部に内蔵され、アンテナのみキャリッジ底面の表側、裏側に位置するようにしてもよい。
【0145】
さらに、送受信部80が、キャリッジ20の底面に位置するのみならず、キャリッジ側面43に位置してもよい。この場合、送受信部80は、用紙に近い位置に位置していることが望ましい。用紙IC81に確実にアクセスするためである。この場合は、カートリッジIC31はカートリッジの挿入孔32の位置する面ではなく、送受信部80と対向する側面に設けることが望ましい。同様に送受信部80にIC31が確実にアクセスするためである。
【0146】
本発明の実施の形態によれば、印刷装置でカートリッジ側の非接触ICに書き込まれた情報にアクセスする送受信部が、用紙側の非接触ICに書き込まれた情報へのアクセスを兼用しているので、コストを増大させることなく、双方の非接触ICへのアクセスを行うことのできる印刷装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷装置のキャリッジ周辺の外観を示す概略図である。
【図2】印刷装置のキャリッジの外観を示す概略図である。
【図3】キャリッジを下面から示す概略図である。
【図4】(a)は非接触ICが埋め込まれたインクカートリッジの斜視図、(b)は非接触ICが埋め込まれたインクカートリッジを下面から示す図である。
【図5】非接触ICが埋め込まれた用紙の斜視図である。
【図6】非接触ICの構成を示す図である。
【図7】非接触IC及び送受信部の内部構成を示す図である。
【図8】印刷装置の内部構成を示す図である。
【図9】電源投入から印刷処理が終了するまでの印刷装置における一連の処理を示すフローチャートである。
【図10】印刷処理における具体的な動作を示すフローチャートである。
【図11】用紙検出処理における具体的な動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 印刷装置、10 CPU、20 キャリッジ、30 インクカートリッジ、31 非接触IC、313 アンテナ、317 メモリ、80 送受信部、801 アンテナ、802 アンテナ、81 非接触IC、813 アンテナ、817 メモリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷装置に関する。詳しくは、非接触ICを有する印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、印刷装置の一形態として、複数のインクカートリッジが着脱可能に設けられたいわゆるインクジェット式プリンタがある。各インクカートリッジには、各色ごとにインクが収容され、印刷装置はこのインクの供給を受けて用紙に印刷を行っている。
【0003】
このような印刷装置においては、各カートリッジに収容されたインクがなくなると新たなカートリッジを装着する必要があるが、印刷途中でインクがなくなった場合には、印刷処理を中断しなければならない。これを回避するため、印刷装置は、インクの残量等を管理し、印刷で使用したインクの使用量に応じてその残量等をカートリッジに設けられた不揮発性メモリに書き込んでいる。印刷装置は、このメモリから残量等の情報を予め読み出すことで、印刷前など事前に新たなカートリッジの装着をユーザーに要求するなどにより、印刷途中で中断なく継続して印刷処理を行うことができる。
【0004】
しかし、カートリッジの着脱を何度も重ねることで印刷装置とカートリッジの接触部分が接触不良を起こすため、印刷装置は、カートリッジのメモリにインク残量を書き込むことができなくなってしまう。
【0005】
そこで、カートリッジに非接触ICを設けて、カートリッジのIC内のメモリに印刷装置がインク残量等の情報を書き込む技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
一方、印刷装置は、印刷対象である用紙の情報を事前に取得することができれば、用紙にあった最高画質の印刷を行うことができる。例えば、印刷装置が、用紙情報を読み取り、読み取った用紙情報をもとに最適なLUT(Look UpTable)を選択することで最高画質の印刷をすることが可能とある。
【0007】
これを実現するにあたり、例えば、印刷装置の印刷ヘッド近傍に光センサ等を設けて用紙による反射率の違いから用紙の種類を判別し、判別した用紙にあった最適な印刷を行うことが可能となる。
【0008】
また、印刷対象の用紙に無線チップが内蔵され、印刷装置がこのチップ書き込まれた用紙に関する情報を読み出すことで、用紙にあった最適な印刷を実現することが可能である。この場合に無線チップに個人情報等を記憶しておくことで、著作権の保護も可能となる。
【0009】
【特許文献1】公開特許公報 特開平2002−234192号
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、反射率の違いから用紙種類を判別するためには印刷装置に新たに光センサを設ける必要がある。さらに、用紙に無線チップを内蔵している場合、印刷装置は、内部に当該チップの情報を読み取るための受信部を新たに設けなければならない。
【0011】
かかる場合、印刷装置全体でコストの増大を招く結果となってしまう。
【0012】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、コストの増大を招くことなく、カートリッジ側の非接触ICに書き込まれた情報へアクセスすることができるとともに、用紙側の非接触ICに書き込まれた情報へのアクセスを行うことができる、印刷装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、インクカートリッジに設けられ情報の読み込み及び/又は書き込みが可能な第1の素子へのアクセスを行うアクセス手段を有する印刷装置であって、前記アクセス手段は、印刷対象の被印刷体に設けられ情報の書き込みが可能な第2の素子へのアクセスを兼用することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記印刷装置において前記アクセス手段が行う第1の素子へのアクセスと第2の素子へのアクセスは非接触で行うことを特徴とする。これにより、各素子とアクセス手段との接触部分が接触不良を起こすことなく、各素子へのアクセスを行うことができる。
【0015】
さらに本発明は、上記印刷装置において、さらに、前記インクカートリッジが着脱可能なカートリッジ装着手段を有し、前記カートリッジ装着手段に前記アクセス手段を設けていることを特徴としている。これにより、カートリッジの移動に伴い上記各素子へのアクセスが容易に行われる。
【0016】
さらに本発明は、上記印刷装置において、前記アクセス手段が、前記第2の素子とのアクセスを行うことができないとき、前記第1の素子へのアクセスを行って前記第1の素子へのアクセスを行うことができたときは前記被印刷体のエラーであると判断することを特徴としている。これにより、前記アクセス手段が読み取りエラーを発生した場合に被印刷体のエラーであることが容易に特定することができる。
【0017】
さらに本発明は、前記アクセス手段は、前記第1の素子へのアクセスを行って前記第1の素子へのアクセスを行うことができたときは、前記アクセス手段のエラーであると判断することを特徴としている。これにより、前記アクセス手段が読み取りエラーを発生した場合にアクセス手段のエラーであることが容易に特定することができる。
【0018】
さらに、上記目的を達成するために本発明は、印刷装置における素子へのアクセス方法であって、インクカートリッジに設けられた書き込み可能な第1の素子へアクセス手段によって前記第1の素子に書き込まれた情報を読み取る第1のステップと、前記アクセス手段はさらに印刷対象である被印刷体に設けられた書き込み可能な第2の素子へアクセスを兼用し、前記アクセス手段によって前記第2の素子に書き込まれた情報を読み取る第2のステップとを有することを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明が適用される印刷装置1のキャリッジ20周辺の内部構成を示す。
【0021】
図1に示すように、印刷装置1の内部は、キャリッジ20と、キャリッジモータ21と、紙送りモータ22と、プーリ23と、駆動ベルト24と、摺動軸25と、プラテン26と、キャッピング部27と、キャップ28と、ポンプユニット29とから構成されている。
【0022】
キャリッジ20は、複数のインクカートリッジ301〜306が装着されており、後述する記録ヘッド41からインクが吐出され、印字を行うように構成されている。図1に示す例では、6つのカートリッジ301〜306が装着されている例である。それぞれ、黒(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)のインクが収容されている。
【0023】
キャリッジモータ21は、キャリッジ20を所定の印刷位置に移動させるためのモータである。キャリッジモータ21は、プーリ23、及び駆動ベルト24を介してキャリッジ20に接続され、モータ21の回転により、キャリッジ20を所定の印刷位置に移動させるようになされている。なお、印刷装置1内部には、摺動軸25をさらに有しており、キャリッジ20を所定の印刷位置に移動させる際にプラテン26の軸方向と平行に案内されるようになされている。
【0024】
紙送りモータ22は、プラテン26を回転させるためのモータで、プラテン26が回転することで、印刷対象の用紙82が給紙され所定の印刷位置に移動される。
【0025】
プラテン26は、摺動軸25と平行に印刷装置1内に架設され、紙送りモータ22の駆動により回転して用紙82を移動させる。
【0026】
かかる印刷装置1は、以下のように動作する。
【0027】
すなわち、用紙が所定位置に給紙されると、後述するCPU10からの制御信号により、紙送りモータ22が駆動し、その駆動がプラテン26に伝達されて、プラテン26が回転することにより、用紙を所定の位置まで給紙する。
【0028】
そして、CPU10からの制御信号によりキャリッジモータ21が駆動され、その駆動により、プーリ23、駆動ベルト24を介してキャリッジ20が印刷位置まで実際に移動するようになされている。
【0029】
その後、CPU10からの所定の制御信号により、インクカートリッジ301〜306に収容されたインクが記録ヘッド41(図3参照)の各ノズル列から吐出され、実際に印字が行われる。
【0030】
図2は、本発明が適用される印刷装置1のキャリッジ20の構成を示す図である。
【0031】
キャリッジ20は略L字形をしており、その底部には複数のインク導入管501〜506が設けられている。各導入管501〜506は、カートリッジ301〜306 を上方から装着すると、各カートリッジ301〜306に設けられた接続孔32に挿入される。各カートリッジ301〜306は、収容されたインクが接続孔32から、導入管501〜506 を介してキャリッジ20の下部に設けられた記録ヘッド41の各ノズルに移動するようになされている。
【0032】
さらに、キャリッジ20の底面には、送受信部80を有している。送受信部80は、キャリッジ20の導入管50よりも鉛直方向に位置するカートリッジ位置決め板43側に位置する。カートリッジ30をキャリッジ20に装着させた場合に、カートリッジ30のIC31とほぼ対向する位置に位置することになる。
【0033】
実際にカートリッジ30をキャリッジ20に装着させた場合には、カートリッジ30の底面とキャリッジ20の上面とに若干の隙間が生じ、そのため、カートリッジ30のIC31と送受信部80とが非接触に情報のアクセスを行うようになされている。非接触でアクセスできるため、接触部分に接触不良を起こすことなく情報の送受信を行うことができる。
【0034】
図3は、キャリッジ20を下方から見た模式図である。
【0035】
キャリッジ20の下部は、送受信部80と、複数のノズル列を有する記録ヘッド41とから構成されている。
【0036】
記録ヘッド41には、本実施例では6つのノズル列42を有し、各列ごとにそれぞれ、黒(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンダ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロー(Y)のインクが吐出されるように位置している。この各インクは、それぞれ各カートリッジ301〜306 から、導入管501〜506を介して、導かれたものである。
【0037】
なお、図3に示すノズル列42は線で表現されているが、実際には各列ごとに複数のノズルから構成されている。そして、各ノズル42にはヘッド41の上部(図2のキャリッジ20では底部)に図示しないピエゾ素子を備え、後述するCPU10からの制御信号により、各ピエゾ素子に電圧が印加されることで、各ノズル42からインクが吐出され、印字が行われる。
【0038】
また、送受信部80は、キャリッジ20の裏面から見ると、記録ヘッド41の上流側(用紙が挿入される方向の先端側)に位置している。これは、図2に示すようにインクカートリッジ301〜306 の接続孔32の先端付近に位置する非接触IC31へのアクセスを行うことができると同時に、印刷用紙82の挿入方向で上部に位置している用紙82の非接触IC81へのアクセスを印刷実行前に行うためである。
【0039】
このように上流側にあれば、給紙された印刷用紙が実際に印字される前に用紙の情報を印刷装置1が予め読み取ることができ、用紙の種類などに対応した最適な印刷を行うことが可能となる。なお、送受信部80の具体的構成等は後述する。また、送受信部80は、非接触でアクセスできるため用紙IC81、送受信部80ともに接触不良を起こすことなく情報の送受信を行うことができる。
【0040】
このように送受信部80は、キャリッジ20を上方及び下方の双方からアクセスできる位置に位置している。図2に示す例では、送受信部80は、導入管503〜505の先端に位置しているが、すべての導入管501〜506の先端側に位置してもよいし、一つの導入管の先端側に位置してもよい。
【0041】
図4(a)はインクカートリッジ30の斜視図、図4(b)はインクカートリッジ30を下方から見た図である。
【0042】
図4(a)及び図4(b)に示すように、インクカートリッジ30の底面には、インクが排出される接続孔32と、非接触IC31とを有している。図4(a)の矢印方向(A)が、カートリッジ30をキャリッジ20に装着させる方向である。
【0043】
接続孔32は、カートリッジ30をキャリッジ20に装着させた場合に、キャリッジ20の導入管50と接続されるよう位置している。この装着により、カートリッジ30に収容されたインクが接続孔32から導入管50に排出されるようになされている。
【0044】
非接触IC31は、接続孔32の近傍に位置するが、図4(a)及び図4(b)に示す例では、キャリッジ20に装着させた場合にキャリッジ20に備えられた送受信部80の略対向する位置にある。これにより、カートリッジ30をキャリッジ20に装着させた段階で、カートリッジ30のIC31へのアクセスが可能となる。
【0045】
ここで、カートリッジ30のIC31に記憶される情報としては、カートリッジ30に収容されているインクの使用量及び残量を示す情報や、カートリッジ30にどの色が収容されているかを識別するための色情報、カートリッジ30の製造情報や有効期限に関する情報がある。さらに、カートリッジ30の書込みタイミングを示す情報が記憶される。タイミングを示す情報として、所定の値、例えば1%を閾値として設定し、インクの吐出量の積算値がこの閾値に達したとき、インクの使用量や残量をIC31に記憶させるようにする。直接この閾値をIC31に記憶させてもよい。なお、非接触IC31の構成は後述する。
【0046】
図5は、印刷対象の用紙82に非接触IC81が設けられている場合の用紙の構成を示す図である。
【0047】
用紙82は、印刷される面のほぼ先端部にIC81が設けられている。すなわち、印刷装置1に挿入される方向(B)の先端側に位置している。これは、用紙82が印刷装置1に挿入されるときに、キャリッジ20の送受信部80でIC81に記憶されている情報を印刷前に読み取るためである。
【0048】
IC81に記憶される情報として、例えば、用紙の種類、用紙の厚さ、用紙の幅、用紙の製造年月日、用紙の色補正表、などの情報が記憶される。用紙の種類とは、用紙の素材、紙やプラスチック、OHPの種類を示す情報で、さらに用紙が紙である場合は、その光沢に関する情報である。用紙の幅とは、用紙がA4サイズ、B5サイズなどに関する情報である。用紙の色補正表に関する情報とは、いわゆるLUT(Look Up Table)に関する情報で、印刷データに含まれる色と実際に印刷時に使用する色と対応を示す色変換テーブルのことである。カラー画像の印刷を行う際に高品質に表現するためには重要な情報である。かかる情報を印刷装置1で読み取ることができれば用紙にあった最適な印刷を行うことができる。
【0049】
さらに、IC81には、印刷装置1側の情報をIC81に記憶させることも可能である。例えば、印刷装置を特定するための情報、デジタルカメラを特定するための情報、印刷を行った日付、印刷対象の画像データを特定するための情報などが考えられる。印刷装置を特定するための情報とは、例えば、印刷時の色変換情報など一部の印刷情報は印刷装置の種類ごとに異なるため、前回と同じ印刷結果を得られない場合があり前回と同じ印刷装置を特定するための情報である。デジタルカメラを特定するための情報とは、色補正など画像処理に関する情報はデジタルカメラごとに異なるため、前回と同じ画像処理、ひいては同じ印刷結果を再現できないため、前回と同じデジタルカメラを特定するための情報である。印刷日付に関する情報は、日付を特定できれば、時間経過に対する印刷の劣化具合を知りたい場合などに利用される。画像データを特定するための情報とは、印刷対象の画像のファイル名や、パス名などで、後日印刷画像をコンピュータ内で検索したい場合に記憶に頼ることなく容易に特定することができる。
【0050】
図6は、カートリッジ30及び用紙82に設けられている非接触IC31、81の構成を示す平面透視図である。本発明の実施例では、カートリッジ30及び用紙82のIC31、81は同一構成で説明することにする。また、カートリッジ30は、インクの色ごとに複数のカートリッジ301〜306 があるが、本実施例ではIC31の構成は全て同一構成として説明する。
【0051】
IC31、81は、非接触ICチップ311、811と、共振用コンデンサ312、812と、アンテナ313、813とから構成される。なお、IC31、81は、プラスチックフィルム上に実装され、透明なカバーシートにより被覆されている。
【0052】
このIC31、81は、全体としてごく小型かつ薄型で、片面に粘着性を持たせてシールとして対象物に粘着させることもできる。メモリタグなどと呼ばれ多少市販されているものである。
【0053】
非接触ICチップ311、811には、後述するように所定のメモリ等を有し、上述したインク残量等の情報や用紙に関する情報が記憶される。
【0054】
アンテナ313、813は、共振用コンデンサ812及び非接触ICチップ811と接続されている。このアンテナ313、813は、平面状のコイルであって、印刷装置1の送受信部80から発生する高周波磁界を吸収して、電流を発生させ、共振用コンデンサ812とともにIC31、81内で一定の電流を作る。この電流は、チップ311、811内の各回路を駆動するための電流源として利用される。
【0055】
図7は、印刷装置1の送受信部80と、インクカートリッジ81及び用紙31のIC81、31の内部構成を示す図である。
【0056】
送受信部80は、2つのアンテナ801、802と、送受信回路803とから構成されている。
【0057】
2つのアンテナ801、802は、それぞれ用紙82の非接触IC81及びインクカートリッジ30の非接触IC31と、上述した情報の送受信を行うためのものである。具体的には、2つのアンテナ801、802は、それぞれIC81のアンテナ813及びIC31のアンテナ313と互いに通信して、メモリ817、317に保存された情報の読み書きを行うことができる。
【0058】
送受信回路803は、後述する印刷装置1のCPU1に接続されるとともに、各アンテナ801、802に接続される。CPU10からの制御信号により、上述した情報を各アンテナ801、802に出力するとともに、CPU10からの制御信号により、高周波信号を発生して各アンテナ801、802に出力する。この高周波信号により各アンテナ801、802を介して高周波磁界が誘起される。この高周波磁界は、アンテナ813、313が吸収することで、上述したように各IC81,31の各回路を駆動する電流源となる。
【0059】
用紙82の非接触ICチップ811は、整流器814、信号解析部RF(Radio Frequency)815、制御部816、メモリ817とから構成される。
【0060】
カートリッジ30の非接触ICチップ311も、用紙の非接触ICチップ811と同様に、整流器314、信号解析部RF315、制御部316、メモリ317とから構成される。
【0061】
整流器814、314は、アンテナ813、313及び制御部816、316と接続されてアンテナ813、313で吸収した高周波磁界による電流を整流して直流電流源として出力される。
【0062】
メモリ317、817は、制御部816、316と接続されている。メモリ317、817は具体的には、NAND型フラッシュROMなど電気的に読み書き可能な不揮発性メモリである。かかるメモリ317、817に書き込まれたインク残量や用紙種類に関する情報等を記憶しておくこと、及び記憶した情報を外部から読み取ることが可能なものである。なお、メモリ317、817への情報の書込みや読出しは制御部816、316によって制御される。
【0063】
また、メモリ317には、各IC31のシリアル番号など、ICごとに固有の情報、すなわちID情報が記憶されている。このID情報は、工場製造時においてメモリ317に書き込まれる。このID情報を読み取ることで、各カートリッジ301〜306を識別することが可能となる。
【0064】
図8は、印刷装置1の内部構成を示す図である。
【0065】
印刷装置1は、CPU10、ROM11、RAM12、インターフェース14、紙送り機構18、キャリッジ機構19、送受信部80とから構成される。
【0066】
ROM11は、CPU10と接続され、印刷を実行するためなどの各種のプログラムや各種データが記憶される。
【0067】
RAM12は、CPU10と接続され、ROM11に格納されたプログラムの実行データなどを一時的に格納するためのものである。また外部から入力された各種データも格納することも可能である。
【0068】
インターフェース14は、CPU10と接続されるとともに、外部装置としてコンピュータ15に接続される。インターフェース14には、コンピュータ15からの印刷指示を示す指示命令や印刷データなどが入力され、CPU14に出力する。また、印刷の実行状況等、印刷装置1内の各種データもインターフェースを介してコンピュータ15に出力される。
【0069】
なお、コンピュータ15には、表示部16とキーボード17とを備え、表示部16には印刷対象の画像、文字等が表示され、キーボード17による所定の操作によりコンピュータ15から印刷指示を出力し、また印刷データなどのデータを出力できるようになされている。
【0070】
紙送り機構18は、CPU10と接続される。紙送り機構18は、図1に示す例では、紙送りモータ22とプラテン26とから構成されており、CPU10からの制御信号が入力されて、印刷対象の用紙を所定の位置まで移動させる。
【0071】
キャリッジ機構19は、CPU10と接続されている。キャリッジ機構19は、図1に示す例では、キャリッジモータ21、プーリ23、駆動ベルト24、キャリッジ20とから構成される。キャリッジ機構19はCPU10からの制御信号を入力して、キャリッジモータ21が駆動され、キャリッジ20が用紙の所定の位置まで移動されるようになされている。
【0072】
また、カートリッジ30の非接触IC31及び用紙82の非接触IC81にアクセスする送受信部80は、CPU10と接続されている。
【0073】
CPU10の制御により行われる送受信部80の一連の動作を、図9を用いて説明する。
【0074】
まず、印刷装置1の図示しない電源スイッチをオンにして印刷装置1に電源が投入される(ステップS10)。
【0075】
次いで、メカの初期動作が行われる(ステップS11)。この初期動作により、紙送り機構18、キャリッジ機構19に駆動電流が入力され、印刷動作を行うことができる状態になる。
【0076】
次いで、CPU10は、送受信部80に対してインク検出処理を行うよう制御信号を出力する(ステップS12)。インクカートリッジ30の非接触IC31にアクセスして情報を読み取るためである。インク検出処理は、各カートリッジ301〜306のID情報の読み取りと、ID情報以外の読み取りとの2つの処理がある。ID情報の読み取りを行うのは、各カートリッジ301〜306ごと、ひいてはインクごとにそのインク残量等の情報を管理するためである。
【0077】
上述したように、カートリッジ30の底面に位置したIC31は、印刷装置1の送受信部80が、キャリッジ20の底面に位置しているため、カートリッジ30をキャリッジ20に装着させた場合に、IC31と送受信部80とがほぼ対向する位置に位置することになる。この場合に、送受信部80が、キャリッジ20の裏面側に位置していても、例えば、アンテナ802が、キャリッジ20の底面であって、送受信部80とは反対側、すなわち、キャリッジ20の底面であって、カートリッジ20と直接対向する面に位置させることが考えられる。これにより、確実にカートリッジ30のIC31に送受信部80はアクセスすることができる。
【0078】
インク検出のための制御信号がCPU10から入力された送受信部80は、まず、各カートリッジ301〜306ごとにメモリ317に記憶されたID情報の読み取りのための処理を行う。読み取りは、まず送受信部80のアンテナ802から高周波磁界が誘起され、カートリッジ30をキャリッジ20に装着したときに各カートリッジ301〜306のIC31に駆動電流が流れ通信可能な状態になり、アンテナ802、アンテナ313を介してメモリ317にアクセスすることで行われる。
【0079】
具体的には、CPU10からの制御信号により送受信部80の送受信回路803は、非接触IC31に対してID情報読み取りコマンドを送信する。アンテナ802を介してこのコマンドを受けたカートリッジ30のIC31は、アンテナ313、RF部315を介して制御部316(図7)に入力され、制御部316の制御により、メモリ317の所定領域内にアクセスしてID情報を読み出す。読み出されたID情報は、制御部316からRF部315、アンテナ313を介して送受信部802のアンテナ802に送信され、送受信回路803を経由してCPU10に出力される。読み出されたID情報は、CPU10からRAM12の所定領域内に格納される。
【0080】
次にこのID情報をもとに、各カートリッジ301〜306に対してメモリ317に記憶されたID情報以外の情報、例えば上述したインク残量等の情報、の読出しを行う。
【0081】
具体的には、CPU10からの制御信号を受けた送受信部80の送受信回路803は、非接触IC31に対してデータ読み取りコマンドを送信する。このコマンドには、読み取ったID情報も付加させる。確実に各カートリッジ301〜306を識別して各カートリッジ301〜306のIC31にアクセスするためである。アンテナ802を介してこのコマンドを受けたカートリッジ30のIC31は、アンテナ313、RF部315を介して制御部316(図7)にこのコマンドが入力され、制御部316の制御によりメモリ317の所定領域内にアクセスしてID情報以外の情報を読み出す。読み出されたID情報以外の情報は、制御部316からアンテナ313を介して送受信部80のアンテナ802に送信され、送受信回路803を経由してCPU10に出力される。読み出されたID情報以外の情報は、CPU10からRAM12の所定領域内に格納される。
【0082】
以上の処理によって、各インクカートリッジ301〜306がキャリッジ20に装着された時点でインク残量、インク使用量、インク色情報、有効期限情報等が印刷装置1の本体に読み取られることになる。
【0083】
次いで、処理は印刷処理(ステップS13)に移行する。印刷処理(ステップS13)の具体的な動作フローを図10に示す。
【0084】
まず、印刷処理がスタートする(ステップS130)と、CPU10は、印刷データを受信したか否かを判別する。これは、コンピュータ15から出力される印刷データがインターフェース14を介して入力されたか否かで判別する。
【0085】
CPU10は、印刷データが入力されるまで、その後の処理を行わない(ステップS131で“No”のとき)。
【0086】
CPU10は、印刷データが入力されたと判断すると(ステップS131で“Yes”のとき)、給紙動作を行う(ステップS132)。給紙動作は、CPU10が紙送り機構18に対して給紙のための制御信号を出力し、この制御信号を受けた紙送り機構18が印刷用紙を所定の印字位置まで移動させる、ことで行われる。具体的には、図1に示す紙送りモータ22が、CPU10からの制御信号により、モータの駆動を開始し、その駆動がプラテン26に伝達され、プラテン26が回転することで、用紙を印字位置の先頭まで移動させる。
【0087】
次いで、CPU10は、用紙データ検出処理を行う(ステップS133)。用紙データ検出処理(ステップS133)の具体的な動作フローを図11に示す。ここでは、用紙82の非接触IC81のメモリ817に記憶された用紙情報の読み取り処理が行われる。印刷前に事前に用紙情報を取得し、この用紙情報をもとに最適な印刷を行うためである。上述したように、IC81は用紙82の挿入方向の先端付近に位置しているため、用紙の給紙動作(ステップS132)を行って印字位置に用紙が位置した際に、送受信部80が容易にアクセスすることが可能となる。
【0088】
次いで、CPU10は、用紙82のIC82と通信を行う(ステップS1331)。ここでは、まず、用紙82の頭出し位置でキャリッジ20を一往復させる。用紙82のIC81が必ずしも用紙82を給紙させた位置にあるとは限らないためである。CPU10の制御信号によりキャリッジ20は、用紙82を給紙させた頭出し位置で印字を行うことなく、送受信部80によってIC81の受信レベルを確認する(ステップS1332)。これにより、送受信部80は確実にIC81の位置にアクセスすることができる。例えば、この受信した受信レベルとIC81の位置までの距離についてのテーブルをROM11に格納させておき、キャリッジ20の一回の走査によって検出した受信レベルからCPU10は、キャリッジ20が移動すべき位置を確認することが可能である。
【0089】
受信を確認できれば処理は用紙データ読出し処理に移行する(ステップS1333)。ここでは、まずCPU10が検出した受信レベルから、IC81の位置までキャリッジ20を移動させるよう、キャリッジ機構19、必要なら紙送り機構18に対して所定距離移動させるための制御信号を出力する。これを受けた紙送り機構18と、キャリッジ機構19は、紙送りモータ22やキャリッジモータ21の駆動によりIC81の位置までキャリッジ20を移動させる。
【0090】
そして実際に用紙データ読出し処理(ステップS1333)が行われる。
【0091】
用紙IC81に記憶された用紙情報の読出しは、以下のようにして行われる。
【0092】
CPU10は、送受信部80に対して用紙IC81の読み取りのための制御信号を出力する。これを受けた送受信回路803は、用紙IC81の読み取りコマンドを、アンテナ801を介して用紙82側のIC81に送信する。なお、この時点で、アンテナ801から高周波磁界が用紙82のアンテナ813を介して吸収され、電源電流がIC81内で流れているものとする。
【0093】
アンテナ813から入力されたこのコマンドは、RF部815を介して制御部816(図7)に出力される。制御部816は、このコマンドをもとにメモリ817の所定のメモリ領域にアクセスし、上述した用紙情報を読み出す。ここで用紙情報は、上述したように用紙の種類、用紙の厚さ、用紙の幅、用紙の製造年月日、用紙の色補正表、などの情報である。読み出された用紙情報は、制御部816からRF部815(図7参照)、アンテナ813を介して、送受信部80のアンテナ801に送信され、送受信回路803を介してCPU10に出力される。CPU10は、この用紙情報をRAM12に格納させる。
【0094】
CPU10は、用紙情報を読み出した時点で、用紙データ検出処理が終了する。
【0095】
なお、キャリッジ20の印刷前の走査によって、用紙IC81からの情報の受信を行うことができない場合も当然考えられる。用紙82自体にIC81が入っていない場合や、用紙が印刷装置1に逆に挿入された場合などが考えられる。あるいは、送受信部80の何らかの原因があって、用紙IC81を受信できない場合が考えられる。
【0096】
そこで、用紙IC81の受信を行うことができない場合(ステップS1332で“No”のとき)は、CPU10は、カートリッジ30のIC31と通信を行う(ステップS1334)。エラーの原因を探るためである。
【0097】
このエラーは、IC31への通信を行うことで、送受信部80から送信した信号に対して応答があるか否かにより判断することが可能である。例えば上述したID情報読み取りのためのコマンドを送信して、IC31からのID情報を送受信部80が読み取れるか否かで実現するができる。
【0098】
まず、CPU10は、カートリッジIC31と通信を行うための制御信号を送受信部80に出力する(ステップS1334)。この制御信号を受けた送受信回路803は、上述したコマンドを、アンテナ802を介してカートリッジIC31に送信する。もちろん、IC31内には電源電流がすでに流れ通信可能な状態となっている。このコマンドを受けたカートリッジIC31は、アンテナ313、RF部315を介して制御部316に所定のコマンドが出力される。制御部316は、メモリから所定の情報をメモリ領域から読み出す。あるいは、所定のコマンドから通信可能な状態を示す情報をメモリ317にアクセスすることなくアンテナ313に出力することも可能である。メモリ317から読み出した情報は制御部316からアンテナ313に出力される。そして、アンテナ802を介して送受信回路803、CPU10に出力される。
【0099】
ここで、CPU10はこの出力を受信したか否かを検出する(ステップS1335)。この出力を受信した場合(ステップS1335で“Yes”の場合)、送受信部80は用紙IC81と通信できないにも拘わらずカートリッジIC31とは通信可能であるので、用紙IC81に何らかの原因がある。したがって、用紙IC81エラーとCPU10は判断する(ステップS1336)。この場合は、上述したように、用紙82に用紙IC81がない場合、あるいは、用紙82が逆向きに挿入された場合である。
【0100】
CPU10が、カートリッジIC31からの出力を検出できない場合(ステップS1335で“No”の場合)、送受信部80は用紙IC81と通信することもできず、かつ、カートリッジIC31とも通信することができないため、CPU10は、送受信部80自体のエラーであると判断することができる(ステップS1337)。
【0101】
なお、用紙エラーであると判断した場合は、そのまま印刷を続行することも可能である。ただし、用紙情報を取得することができないため、用紙にあった最適な印刷を行うことはできないことになる。また、用紙エラーが発生した場合は、印刷装置1の図示しない警告ランプを点灯させて、用紙IC81を検出できないことを使用者に知らせることもできる。さらに、CPU10は、インターフェース14を介してコンピュータ15に用紙エラーを示す制御信号を出力し、コンピュータ15の表示部16に用紙エラーであることを表示させ、そのまま印刷処理を続行させるか、あるいは、用紙が逆向きに挿入されているかなどの注意を促す表示を行わせ、使用者に用紙エラーであることを知らせることも可能である。さらに、RAM12やROM11に前回印刷した用紙情報を格納させておき、その情報をもとに印刷処理を続行させることもできるし、デフォルトの用紙情報がRAM12やROM11に格納されており、それを読み出して用紙情報として印刷を行うことも可能である。もちろん、印刷処理を中断させることも可能である。
【0102】
また、受信部エラーが発生した場合もそのまま印刷を続行させることも可能である。用紙情報は読み出せないのは上述したとおりであるが、用紙情報を読みだせない場合も上述した処理を行わせることができる。また、カートリッジIC31のインク残量等の情報は、以前のインク検出処理S12によってすでに読み出せているので、その後の印刷処理を実行させてインク残量等の情報を印刷装置1内部のRAM12やROM11でそのまま保持させておくこともできる。送受信部80のエラーは、用紙エラーの場合と同様に印刷装置1の図示しない警告ランプを点灯させることでユーザーに知らせたり、CPU10からインターフェース14を介してコンピュータ15にエラーであることを示す制御信号を出力して表示部16で表示させるようにしてもよい。その際に印刷処理を続行させるか否かの表示をコンピュータ15は行わせ、使用者に注意を促すようにしてもよい。さらに、CPU10は、印刷続行させる場合も用紙エラーの場合と同様に前回印刷した用紙情報をもとに印刷処理を行わせたり、デフォルトの用紙情報をもとに処理を行わせることも可能である。もちろん、送受信部80のエラーによりその後の印刷処理を中止させるようにしてもよい。
【0103】
図10に戻り、用紙データ検出処理(ステップS133)が終了すると、次いで、画像処理が行われる(ステップS134)。ここで行われる画像処理は、用紙にあった画像処理を行う処理である。これは、印刷装置1が用紙IC81から読み出した用紙情報をもとに処理を行う。
【0104】
上述したように用紙情報は、例えば、印刷用紙の素材(紙、プラスティック、皮、OHPシートなど)及び紙である場合はその光沢に関する情報や、用紙の厚さを示す情報、用紙の幅を示す情報、用紙についてのLUTに関する情報などである。
【0105】
用紙IC81から素材に関する情報を読み取ることで、印刷装置1は、例えば印刷データに対して色補正を行って、OHPシートの場合は紙に比べてマゼンダ(M)やライトマゼンダ(LM)の割合を多くするなど、の処理を行うことで、用紙に最適なカラー画像の印刷を行うことができる。
【0106】
また、用紙の厚さを示す情報を印刷装置1が読み取ることで、厚みのある印刷用紙を印刷するときに用紙を印刷装置1内にセットしたとき、印刷装置1内の図示しない搬送従動ローラと搬送駆動ローラの離間(レリース状態)間隔をOHPシートの場合は紙に比べて狭くする等の制御を行うことができる。この制御は、次の動作である印刷動作実行処理で行うことも可能である。
【0107】
また、用紙の幅を示す情報を印刷装置1が読み取ることで、A4サイズ、B5サイズといった用紙幅を印刷装置1内で設定しなくても自動的にその幅にあった印刷処理を行うことが可能となる。この処理も次の印刷動作実行処理で行うことも可能である。
【0108】
また、用紙のLUTを印刷装置1が読み取ることで、印刷データに対して色補正を行って、印刷用紙ごとにカラー画像の色彩を決定でき、用紙ごとに高品質のカラー画像の印刷を行うことができる。
【0109】
用紙にあった画像処理(ステップS134)が終了すると、処理は印刷動作実行処理(ステップS135)に移行する。
【0110】
ここでは、CPU10が、紙送り機構18に制御信号を出力することで、用紙が印刷位置に移動し、キャリッジ機構19に制御信号を出力することで、キャリッジ20を所定位置に移動させ、記録ヘッド41からその画像や文字に応じたインク滴を吐出させ、印刷処理が実際に行われる。
【0111】
このときCPU10は、各カートリッジ301〜306のインク滴の量及び吐出させた回数をRAM12に格納させる。これにより、キャリッジ20に装着させたインクカートリッジ301〜306ごとに印刷用紙に向けて吐出させるインクの吐出量が積算される。この積算値にインク検出処理(ステップS12)でカートリッジIC31から読み取ってRAM12に記憶された値(初期使用量)を加算してインク使用量が計算される。このインク使用量はCPU10によってRAM12に格納させる。このインク使用量は後述するインク書込み処理において再びRAM12から読み出してカートリッジIC31のメモリ317に書き込むことになる。
【0112】
用紙に対する印刷動作(ステップS135)が終了すると、次いで処理は排紙動作に移行する(ステップS136)。
【0113】
排紙動作(ステップS136)は、CPU10が紙送り機構18に制御信号を出力することで、紙送りモータ22が駆動されて印刷装置1内に挿入された用紙が排出される。
【0114】
さらに、印刷処理が行われる場合(ステップS137で“No”の場合)は、処理は再びステップS131に戻り上述した印刷処理が繰り返される。
【0115】
印刷処理が終了すると(ステップS137で“Yes”の場合)、次いで、CPU10はインク交換を行うべきか否か判断される(ステップS14:図9参照)。
【0116】
CPU10は、印刷処理(ステップS13)が終了すると各カートリッジ301〜306ごとにインクの使用量がカートリッジ30に収容されたインクの量に達したか否か(又は近くなったか否か)が判断される(ステップS14)。CPU10は上述した演算により計算したインクの使用量をRAM12から読出し、収容されたインク量と比較して行う。収容されたインク量は、カートリッジIC31のメモリ317に記憶させ上述したインク検出処理(ステップS12)で読み出してもよいし、予めRAM12に各カートリッジ301〜306ごとに所定量として記憶させてもよい。また、ここでのインク交換は、印刷装置1の図示しないインク交換スイッチの操作、又はコンピュータ15側からのインク交換指令により、行わせることも可能である。
【0117】
CPU10は、インク使用量が収容されたインク量に達したと判断した場合(ステップS14で“Yes”の場合)、インク書込み処理を行う(ステップS15)。
【0118】
これは、印刷装置1の送受信部80が、インクカートリッジ30のIC31にアクセスすることにより、インク使用量や残量をIC31のメモリ317に書き込むことにより行われる。ここでは全てのカートリッジ301〜306に対して書込みが行われる。その後、交換対象のカートリッジ30でなく、インク残量が十分にあるカートリッジ30を誤って交換しても、交換対象のカートリッジ30の残量を正確に把握するためである。
【0119】
具体的には、CPU10は、RAM12に記憶されたインク使用量を再び読出し、送受信部80にインク使用量に関する制御信号を出力する。この際にインク検出処理(ステップS12)で読み取った各カートリッジ301〜306のID情報を付加させて制御信号を出力することもできる。これにより、各カートリッジ301〜306ごとに確実にインク使用量をIC31に書き込むことができる。
【0120】
この信号を入力した送受信部80は、アンテナ802、カートリッジ30のアンテナ313を介して各カートリッジ301〜306ごとにメモリ317に書き込む。
【0121】
また、インク使用量ではなく、インク残量をメモリ317に書き込むようにしてもよい。例えば、上述した印刷処理動作(ステップS135)でCPU10は、演算したインク使用量からカートリッジ30に収容されたインク量を差し引いてインク残量を計算することができる。
【0122】
次いで、CPU10は、インク交換のためにキャリッジ20をインク交換位置に移動させる(ステップS16)。CPU10は、キャリッジ機構19に対して制御信号を出力し、これに応じてキャリッジモータ21が駆動され、キャリッジ20がインク交換位置まで移動する。
【0123】
次いで、インクカートリッジ30の交換を行う(ステップS17)。交換すべきインクカートリッジ30をキャリッジ20から取り外し、新たなカートリッジ30をキャリッジ20に装着させる。実際に新たなカートリッジ30が装着されるまで、処理待ちの状態(ステップS17でNoのとき)で、装着されると(ステップS17でYesのとき)、処理は次のステップに移行する。
【0124】
新たにインクカートリッジ30がキャリッジ20に装着されると、キャリッジ20をインク交換位置から印刷処理をおこなうための待機位置(ホームポジション)に移動させる(ステップS18)。CPU10からキャリッジ機構19に制御信号を出力し、この信号に応じてキャリッジモータ21が駆動され、キャリッジ20がインク交換位置から待機位置まで所定距離移動される。
【0125】
次いで、処理はインク検出処理(ステップS19)に移行する。
【0126】
インク検出処理は、上述したステップS12と同様に送受信部80がカートリッジ30のIC31へアクセスすることでメモリ317に記憶されたインク残量等の情報を読み出す。すなわち、送受信回路803は、非接触IC31に対してデータ読み取りコマンドを送信する。アンテナ802を介してこのコマンドを受けたカートリッジ30のIC31は、アンテナ313、RF部315を介して制御部316(図7)にこのコマンドが入力され、制御部316の制御によりメモリ317の所定領域内にアクセスしてインク残量等の情報を読み出す。読み出された情報は、制御部316からアンテナ313を介して送受信部80のアンテナ802に送信され、送受信回路803を経由してCPU10に出力される。読み出された情報は、CPU10からRAM12の所定領域内に格納される。
【0127】
そして、処理は再び印刷処理(ステップS13)に移行して、上述した処理が繰り返される。
【0128】
次に、CPU10は、電源OFF指令が入力されたか否か判断する(ステップS20)。図示しない印刷装置1に設けられた電源スイッチに対して所定の操作が行われると、CPU10にスイッチの操作に応じた制御信号が入力されて、これが入力されたか否かで判断する。ここで、電源OFF指令が入力されないとCPU10が判断した場合(ステップS20で“No”の場合)、再び処理は印刷処理(ステップS13)に移行して上述した処理が繰り返されることになる。
【0129】
電源OFF指令が入力されたとCPU10が判断した場合(ステップS20で“Yes”の場合)、CPU10はインク書込み処理(ステップS21)を行う。これは、印刷装置1の送受信部80が、インクカートリッジ30のIC31にアクセスすることで行う。
【0130】
具体的には、CPU10は、RAM12に記憶されたインク使用量を再び読出し、送受信部80にインク使用量に関する制御信号を出力する。この際にインク検出処理(ステップS12)で読み取った各カートリッジ301〜306のID情報を付加させて制御信号を出力することもできる。これにより、各カートリッジ301〜306ごとに確実にインク使用量をIC31に書き込むことができる。
【0131】
この信号を入力した送受信部80は、アンテナ802、カートリッジ30のアンテナ313を介して各カートリッジ301〜306ごとにメモリ317に書き込む。このインク使用量がメモリ317に書き込まれるので、再び電源を投入したときにインク検出処理(S13)によって各カートリッジ301〜306のインクの残量をCPU10が把握でき、その後の処理(ステップS14)でインク交換を行うことができる。
【0132】
また、インク使用量ではなく、インク残量をメモリ317に書き込むようにしてもよい。例えば、上述した印刷処理動作(ステップS135)でCPU10は、演算したインク使用量からカートリッジ30に収容されたインク量を差し引いてインク残量を計算することができる。
【0133】
CPU10は、インク書込み処理(ステップS21)が終了すると、メカ終了動作(ステップS22)に移行し、上述した一連の処理が終了することになる(ステップS23)。
【0134】
以上、説明したように本発明の実施の形態において、キャリッジ20に内蔵された送受信部80が、インクカートリッジ30に設けられた非接触IC31にアクセスできるとともに、用紙82に設けられた非接触IC81へのアクセスも兼ねているので、コストの増大を招くことなく印刷装置1の提供を行うことができる。
【0135】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、この実施の形態により本発明を限定するものではない。
【0136】
例えば、用紙82に設けられたIC81は図5に示すように用紙82の表面に位置しているが、例えば、サンドイッチ状にIC81を挟み込むように設けてもよい。さらに、用紙82内に内蔵されるように構成されていてもよい。
【0137】
また、用紙82についても、IC81を送受信部80が確実にアクセスするよう用紙の先端側に切り欠きを設けて、用紙が逆方向に挿入されるのを防ぐようにしてもよい。
【0138】
また、用紙82のIC81への書き込み処理についでは、例えば各用紙82の印刷処理が終了した時点で行うことが可能である。さらに、IC81が先端側に位置していることから、用紙データ検出処理(ステップS133)のときにCPU10が用紙IC81の情報読み取りが終了した時点で、書き込みを行うこともできる。この場合のIC81のメモリ817に書き込まれる情報としては上述した、印刷装置を特定するための情報、デジタルカメラを特定するための情報、印刷を行った日付、印刷対象の画像データを特定するための情報などである。これらは予めROM11やRAM12に記憶させ、CPU10が読み出し、制御信号として送受信部80に出力して、アンテナ801、813を介してメモリ817に書き込まれる。
【0139】
また、上述した例では、インク使用量や残量等に関する情報のメモリ317に対する書き込みは、インク書込み処理(ステップS15、ステップS21)において行われているが、記録ヘッド41のいわゆるブラッシング動作ごとに行うことも考えられる。このブラッシング動作は、記録ヘッド41が有するインク吐出ノズルの目詰まり等を防止することを目的に、キャリッジ20が非印刷領域に位置したあと記録ヘッド41のノズルから所定量のインクを吐出させる動作である。通常、キャリッジ20が所定回数往復した後で行われる。この動作時に、CPU10は、上述したインク使用量、インク残量を演算して、カートリッジIC31のメモリ317にこの情報を記憶させることが可能である。また、CPU10は、この演算の際に最もインク使用量の多い又はインク残量の少ないカートリッジ301〜306を選択してそのカートリッジ301〜306のメモリ317にその情報を書き込むようにして書き込み処理に伴う時間の抑制を図ることができる。
【0140】
また、インク使用量、残量の演算も、上述した実施の形態では、印刷動作実行処理(S135)で行われているがより具体的に例えば、キャリッジ20が印刷のために1回往復(1パス)したごとに演算することもできる。そして演算した値をRAM12に書き込み、インク書き込み処理(ステップS15、ステップS21)の際にメモリ317に書き込むようにしてもよい。
【0141】
さらに、上述した実施の形態は、インク使用量やインク残量をメモリ317に書き込むようにしたが、各カートリッジ301〜306に収容可能なインク容量に応じた閾値を示す閾値情報により処理を行うこともできる。例えば、閾値情報としてインク容量の1%として、メモリ317からこの閾値情報をCPU10が読み込み、カートリッジ30のインク吐出量の積算値がこの閾値に達した際にインク使用量や残量を示す情報をメモリ317に書き込むようにしてもよい。また、メモリ317にかインク使用量や残量の書き込みタイミングを決定するための情報を書き込んでおき、これをもとに処理することも可能である。例えば、インクの容量情報を書き込みタイミングとして用いると、容量情報をCPU10が読み込んだ際に予め設定した(ROM11などに書き込んだ)閾値に達したときにインク使用量や残量を書き込むようにすることが可能である。さらに、メモリ317に書き込まれた色データや製造情報、有効期限に関する情報をCPU10が読み込み、現在日時と比較処理を行うことで、カートリッジ30の有効期限が近づくとユーザーに警告を行うようにすることも考えられる。
【0142】
なお、上述した実施の形態では、カートリッジIC31の読み込み処理が、印刷処理(ステップS13)の前に行うようにしたが、これは用紙の給紙から印刷動作終了までの時間を考慮したもので、印刷処理(ステップS13)でIC31の読み込み処理を行わせるとその分だけ、給紙から印刷動作終了までの時間がロスするため、これを抑えるためである。
【0143】
また、上述した実施の形態では、送受信部80のアンテナはカートリッジIC31と用紙IC81の双方とアクセスするため2つのアンテナ(801、802)を有していたが、1つのアンテナで兼用してもよい。
【0144】
また、上述した実施の形態では、送受信部80がキャリッジ20底面の用紙と対向する位置に位置していたが、送受信部80がキャリッジ20内部に内蔵され、アンテナのみキャリッジ底面の表側、裏側に位置するようにしてもよい。
【0145】
さらに、送受信部80が、キャリッジ20の底面に位置するのみならず、キャリッジ側面43に位置してもよい。この場合、送受信部80は、用紙に近い位置に位置していることが望ましい。用紙IC81に確実にアクセスするためである。この場合は、カートリッジIC31はカートリッジの挿入孔32の位置する面ではなく、送受信部80と対向する側面に設けることが望ましい。同様に送受信部80にIC31が確実にアクセスするためである。
【0146】
本発明の実施の形態によれば、印刷装置でカートリッジ側の非接触ICに書き込まれた情報にアクセスする送受信部が、用紙側の非接触ICに書き込まれた情報へのアクセスを兼用しているので、コストを増大させることなく、双方の非接触ICへのアクセスを行うことのできる印刷装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷装置のキャリッジ周辺の外観を示す概略図である。
【図2】印刷装置のキャリッジの外観を示す概略図である。
【図3】キャリッジを下面から示す概略図である。
【図4】(a)は非接触ICが埋め込まれたインクカートリッジの斜視図、(b)は非接触ICが埋め込まれたインクカートリッジを下面から示す図である。
【図5】非接触ICが埋め込まれた用紙の斜視図である。
【図6】非接触ICの構成を示す図である。
【図7】非接触IC及び送受信部の内部構成を示す図である。
【図8】印刷装置の内部構成を示す図である。
【図9】電源投入から印刷処理が終了するまでの印刷装置における一連の処理を示すフローチャートである。
【図10】印刷処理における具体的な動作を示すフローチャートである。
【図11】用紙検出処理における具体的な動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 印刷装置、10 CPU、20 キャリッジ、30 インクカートリッジ、31 非接触IC、313 アンテナ、317 メモリ、80 送受信部、801 アンテナ、802 アンテナ、81 非接触IC、813 アンテナ、817 メモリ
Claims (16)
- インクカートリッジに設けられ情報が記憶された第1の素子へのアクセスを行うアクセス手段を有する印刷装置であって、
前記アクセス手段は、印刷対象の被印刷体に設けられ情報が記憶された第2の素子へのアクセスを兼用する、
ことを特徴とする印刷装置。 - 前記アクセス手段が行う第1の素子へのアクセスと第2の素子へのアクセスは非接触で行う、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。 - 前記印刷装置には、さらに、
前記インクカートリッジが着脱可能なカートリッジ装着手段を有し、
前記カートリッジ装着手段に前記アクセス手段を設けている、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。 - 前記第1の素子には、前記インクカートリッジに収容されたインクの使用量又は残量を示す情報が記憶される、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。 - 前記アクセス手段は前記第1の素子に記憶されたインク使用量又は残量を読み出して、前記印刷装置は印刷処理が実行され、印刷処理が終了したとき、前記アクセス手段は前記印刷処理で使用したインクの使用量又印刷処理での使用によるインク残量を前記第1の素子に再び記憶させる、
ことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。 - 前記第2の素子には、前記被印刷体に関する被印刷体情報が記憶されており、印刷処理の際に読み込まれた前記被印刷体情報に基づいて印刷を行う、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。 - 前記アクセス手段は、前記第2の素子とのアクセスを行うことができないとき、前記第1の素子へのアクセスを行って前記第1の素子へのアクセスを行うことができたときは前記被印刷体のエラーであると判断する、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。 - 前記アクセス手段は、前記第1の素子へのアクセスを行って前記第1の素子へのアクセスを行うことができたときは、前記アクセス手段のエラーであると判断する、
ことを特徴とする請求項7記載の印刷装置。 - インクカートリッジに設けられ情報が記憶された第1の素子へアクセス手段によって前記情報を読み取る第1のステップと、
前記アクセス手段はさらに印刷対象である被印刷体に設けられ情報が記憶された第2の素子へのアクセスを兼用し、前記アクセス手段によって前記第2の素子に記憶された情報を読み取る第2のステップと、
を有することを特徴とする印刷装置における素子へのアクセス方法。 - 前記アクセス手段がアクセスする前記第1の素子及び前記第2の素子へのアクセスは、非接触により行われる、
ことを特徴とする請求項9記載の印刷装置における素子へのアクセス方法。 - 前記印刷装置には、前記インクカートリッジが着脱可能なカートリッジ装着手段を有し、前記カートリッジ装着手段に前記アクセス手段を設けている、
ことを特徴とする請求項9記載の印刷装置における素子へのアクセス方法。 - 前記第1の素子には、前記インクカートリッジに収容されたインクの使用量又は残量を示す情報が記憶される、
ことを特徴とする請求項9記載の印刷装置における素子へのアクセス方法。 - 前記第1のステップでは前記第1の素子に記憶されたインク使用量又は残量を読み出し、さらに、
前記第2のステップで読み込んだ前記情報に基づいて印刷処理を行う第3のステップと、
前記印刷処理が終了したあと前記印刷処理で使用したインクの使用量又印刷処理での使用によるインク残量を前記第1の素子に再び記憶させる第4のステップと、
有することを特徴とする請求項12記載の印刷装置における素子へのアクセス方法。 - 前記第2のステップでは前記第2の素子に記憶された前記被印刷体に関する被印刷体情報を読み込み、さらに、
前記第2のステップで読み込まれた前記被印刷体情報に基づいて印刷を行う第3のステップを、
有することを特徴とする請求項9記載の印刷装置における素子へのアクセス方法。 - さらに、前記第2のステップで前記第2の素子とのアクセスを前記アクセス手段が行うことができないとき、前記第1の素子へのアクセスを行って前記第1の素子へのアクセスを行うことができたときは前記被印刷体のエラーであると判断する第3のステップを、
有することを特徴とする請求項9記載の印刷装置における素子へのアクセス方法。 - 前記第3のステップは、前記第1の素子へのアクセスを行って前記第1の素子へのアクセスを行うことができたときは、前記アクセス手段のエラーであると判断する、
ことを特徴とする請求項15記載の印刷装置における素子へのアクセス方法。
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