JP2004223561A - レーザ加工方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被加工物の不均一性や画像計測の所要時間に拘らず、常に最適な加工を実現する。
【解決手段】加工中の一部の穴の画像を撮影し、画像計測結果により得た一部の穴の形状に基づいて、全穴の加工状態の制御、加工終了判定、加工装置の状態チェックを行なう。
【選択図】 図6
【解決手段】加工中の一部の穴の画像を撮影し、画像計測結果により得た一部の穴の形状に基づいて、全穴の加工状態の制御、加工終了判定、加工装置の状態チェックを行なう。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルスレーザによりプリント基板に穴を開けるためのレーザ加工方法及び装置に係り、特に、絶縁層と導体層を積層した積層基板への穴加工を確実に行なうことが可能なレーザ加工方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザを用いてプリント基板に穴を開ける穴あけ加工機が知られている。図1に示す如く、この穴あけ加工機において、パルスレーザ発振器20より出射された加工用レーザ光22は、例えば折り返しミラーを含む光学系24、レーザ光を走査するための、例えばガルバノミラーである走査ミラー28、該走査ミラー28によって走査された光を平行光線化して被加工物12に照射するための、例えばfθレンズである集光レンズ32を経て、ステージ(図示省略)上の被加工物12へと導かれる。
【0003】
このような加工機における従来の制御方法として、図2(流れ図)及び図3(タイムチャート)に示す如く、ある決まったパルス数NP(バースト加工の場合)又は周回数(サイクル加工の場合)を、例えば実験的に求めて予め設定値として保存し、全ての穴加工について、これを一律に適用する方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このパルス数又は周回数を固定する方法では、図4(A)(B)に示すような、例えば銅層14、18である導体層と、例えば樹脂層16である絶縁層を積層した積層基板の、基板ロットや場所の絶縁層の樹脂密度等の偏りにより、過加工や加工不足が発生することがある。図4(A)に示した樹脂層加工時の穴加工深度と加工穴の様子を図5に示す。図5において、17は、樹脂層16に形成された加工穴、19は、銅層18に形成された加工穴である。
【0005】
このような問題点を解決するべく、特許文献1に、加工部からのレーザ光の反射光強度やその変化を観測することにより、被加工物の加工状態を検出する方法が提案されているが、これらはあくまで代用特性であり、外乱の影響を受け易く、精度の信頼性も低いという問題点を有していた。
【0006】
又、特許文献2には、画像計測を行なうことが記載されているが、穴あけ中ではなく、穴あけ終了後に穴位置と数をチェックするだけであり、個々の穴形状はチェックしていなかった。
【0007】
なお、全部の加工穴について、画像計測を行うことも考えられるが、画像計測に時間がかかるため、加工に追付けないことがあるという問題もあった。
【0008】
【特許文献1】
特許第3011183号公報
【特許文献2】
特開平11−317576号公報
【0009】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、被加工物の不均一性や画像計測の所要時間に関わらず、最適な加工を実現できるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザ光によりプリント基板に穴を開けるためのレーザ加工方法において、加工中の一部の穴の画像を撮影し、画像計測結果により得た一部の穴の形状に基づいて、全穴の加工状態の制御、加工終了判定、加工装置の状態チェックの少なくともいずれか一つを行なうようにして、前記課題を解決したものである。
【0011】
又、穴の加工と画像計測を同時進行するようにしたものである。
【0012】
又、前記画像から、一部の穴の底の形状や上端開口の形状を計測するようにしたものである。
【0013】
又、前記加工状態の制御が、バースト加工での過少ショット数による1次加工後の追加ショットによる再加工状態を制御するものとしたものである。
【0014】
又、前記加工状態の制御を、レーザ発振パラメータを切り換えることにより行なうようにしたものである。
【0015】
本発明は、又、レーザ光によりプリント基板に穴を開けるためのレーザ加工装置において、加工中の一部の穴の画像を撮影する撮像手段と、撮影した画像から、一部の穴の形状を計測する画像計測手段と、該一部の穴の画像計測結果を記憶する記憶手段と、画像計測結果により、全穴の加工状態の制御、加工終了判定、加工装置の状態チェックの少なくともいずれか一つを行なう制御手段とを備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0016】
又、前記一部の穴を照明する光源を設けたものである。
【0017】
又、前記撮像手段が、一部の穴の底や上端開口の画像を撮影するようにしたものである。
【0018】
又、前記一部の穴の底の画像を撮影する第1の撮像手段と、同じ穴の上端開口の画像を撮像する第2の撮像手段とを独立して設けたものである。
【0019】
又、前記第1の撮像手段を、一部の穴の底を直上から直視できるよう、加工用レーザ光の光路上で分岐したところに配設し、前記第2の撮像手段を、前記一部の穴の斜め上方に配設したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
本発明の第1実施形態は、パルスレーザ発振器20、折り返しミラーを含む光学系24、ガルバノミラーでなる走査ミラー28、fθレンズでなる集光レンズ32を備えた、図1に示したと同様のレーザ穴あけ加工機において、図6に示す如く、ステージ10上に配置された被加工物12の加工部を照明するための投光装置40と、加工用レーザ光22のみを透過するための干渉フィルタ42と、前記投光装置40によって照らされ、加工用レーザ光22と同じ光路を逆行し、干渉フィルタ42で反射された光を撮影するための、結像光学系を含む2次元撮像装置44と、該撮像装置44で撮影された画像に基づいて、加工が終了したと判断された場合には加工完了信号、加工が終了していないと判断された場合には撮像タイミング信号を穴あけ制御装置50に送る加工終了判定装置46と、該加工終了判定装置46から入力された信号に応じて、パルスレーザ発振器20、走査ミラー28、ステージ10を制御する穴あけ制御装置50と、穴加工中に、必要に応じて加工状況等を記憶する記憶媒体52とを備えたものである。
【0022】
前記投光装置40は、加工穴の撮影をより良好に行なうため、加工穴を照らすように設けられているが、撮像装置44、被加工物12、加工する環境等によっては、必ずしも必要ではない。
【0023】
前記干渉フィルタ42は、ある特定の波長の光のみを透過させるフィルタであり、この場合、加工用レーザ光22の波長に近い光(例えば355nm前後等)のみを透過し、撮像装置44で撮影する予定の波長の光を反射するハーフミラーが理想的である。
【0024】
前記走査ミラー28は、被加工物12の加工面において走査方向が直交するようにされた一対のガルバノミラーとされ、これらの角度を位置決めすることにより、穴加工位置が決定される。
【0025】
前記集光レンズ32は、前記走査ミラー28により反射されたレーザ光を被加工物12の加工面に対しほぼ垂直に入射させるための光学系であり、例えば、等角速度で入射するレーザ光が被加工物12上で等速度になるよう設計されたfθレンズ等が用いられる。
【0026】
前記2次元撮像装置44は、図6に示したように、加工用レーザ光22を伝搬する光学系の途中で、例えば干渉フィルタ42により光路を分岐して設置される。なお、加工穴の斜め上方に設置する方法も考えられるが、この場合は、図7に示すようにオクルージョン領域が生じ、穴底の一部が撮像できない状況が想定される。このような場合には、複数台のカメラを用い、図8に3台のカメラA、B、Cを用いる例を示すように、それぞれ異なる方向から加工穴13を撮像し、撮影された画像を、図9に示すように加工穴直上からの画像に投影変換した後に合成することで、互いのオクルージョンを補い合うことにより問題を解決できる。
【0027】
前記撮像装置44として、数k〜数十kHzでの撮像が可能な高速2次元撮像装置を用いることにより、1サイクル当りの穴加工状態の判定回数を増やすことが可能となり、より信頼性の高い確実な加工を行なうことができる。
【0028】
前記加工終了判定装置46は、撮像装置44により得られた穴加工部の画像に対し画像処理を行い、加工が終了したかどうかを判定し、加工終了及び加工不足の信号を出力する。
【0029】
加工終了の判定は、図10に示す如く、銅層(導体層)18上の樹脂層(絶縁層)16の加工時には、下層の銅層18の露出径D1が規定の数値を超えたかどうかにより行なうことができる。あるいは、図11に示す如く、樹脂層16の上に設けられた銅層14の加工時には、下層の樹脂層16の露出径D2が規定の数値を超えたかどうかにより判定することができる。例えば、図10に示した絶縁層(16)加工時は、下層の導体層(18)の露出径D1が40〜60μmの範囲内となった場合、図11に示した導体層(14)加工時は、下層の絶縁層(16)の露出径D2あるいは最下層の導体層(18)の露出径D1がそれぞれ60〜70μmの範囲内となった場合に、加工終了と判定することができる。
【0030】
前記穴あけ制御装置50は、被加工物12の位置決めを行なうステージ10、及び、穴あけの位置決めを行なう走査ミラー28を、前記加工終了判定装置46からの信号に基づき制御する。又、パルスレーザ発振器20に信号を送りレーザ発振のタイミングを制御する。
【0031】
本発明における穴あけ加工の進行の様子と、加工の具体的な流れの例を、サイクル加工及びバースト加工の場合について示す。
【0032】
(1)サイクル加工の例
本発明を、図12に例示するようなN個の穴のサイクル加工に適用する場合の例を示す。図13に示すように、各サイクルで例えば穴1に加工用レーザ光を出射した直後に穴画像の撮像を行なうものとし、その後最後の穴Nまで加工を行なう間に画像処理及び加工状況の判定を同時進行する。ここで、穴Nまで加工用レーザ光の出射が完了した時点で画像処理及び加工状況の判定が完了していない場合は、加工を停止して判定完了を待つ。加工完了の判定がされた場合、そのサイクルが完了した時点で加工終了とする。なお、画像処理により加工状況の判定を行なう穴は各サイクル中に1つとは限らず、複数存在しても良い。複数の穴をモニタする場合は、例えば多数決によって加工状況を制御することができる。
【0033】
以下、図14を参照して、具体的な加工の手順について説明する。
【0034】
まず、ステップ100で、穴あけ制御装置50は加工完了フラグをリセットする。
【0035】
次いで、ステップ102で、走査ミラー28の位置決めを行う。具体的には、穴あけ制御装置50より走査ミラー28へ位置決め目標位置及び駆動開始命令が送信され、走査ミラー28の駆動が開始される。
【0036】
走査ミラー28の位置決めが完了したときは、ステップ104で、穴あけ制御装置50よりパルスレーザ発振器20へ加工用レーザ光22の出射信号を送信する。これによりパルスレーザ発振器20から加工用レーザ光22が発振される。
【0037】
次いで、ステップ106で、穴あけ制御装置50は現在の穴がモニタする穴であるか判定する。現在の穴がモニタする穴であると判定された場合は、ステップ108で、図15に示すような画像計測ルーチンを呼出して、画像計測処理を開始する。この時、必要に応じて投光装置40を点灯する。
【0038】
図15のステップ200の画像計測に際しては、穴あけ制御装置50から加工終了判定装置46に撮像タイミング信号を送信する。すると、撮像装置44により被加工部が撮像される。そして、加工終了判定装置46は、被加工部の像を画像処理することにより、穴加工の状態を判定する。加工終了判定により穴加工完了を判定された場合、ステップ202で、穴あけ制御装置50に加工完了フラグをセットして、画像計測ルーチンの処理を終了する。
【0039】
画像計測終了後、又は、図14のステップ106の判定結果が否である時、穴あけ制御装置50は、ステップ110で、現在の穴が走査ミラー28の走査範囲における最後の穴であるか判定する。現在の穴が最後の穴であると判定された場合、穴あけ制御装置50は、画像計測ルーチンが処理終了しているか判定し、画像計測ルーチンが終了していない場合、処理終了を待つ。
【0040】
一方、ステップ110で、現在の穴が走査ミラー28の走査範囲における最後の穴でないと判定された場合は、ステップ102へ戻る。
【0041】
ステップ110の判定結果が正である場合、穴あけ制御装置50は、ステップ112で、加工完了フラグの状態を判定し、加工完了フラグがセットされていると判定された場合は、加工を終了する。
【0042】
一方、加工完了フラグがセットされていないと判定された場合は、ステップ102に戻る。
【0043】
(2)バースト加工の例
本発明をバースト加工に適用する場合の例を示す。図16に示すように、例えば穴1に対し加工用レーザ光を過少の規定ショット数出射した直後に加工穴の撮像を行なうものとし、その後最後の穴Nまで規定ショット数ずつ加工用レーザ光を出射を行う間に画像処理及び加工状況の判定、加工不足であれば追加すべきショット数の決定を同時進行する。ここで、穴Nまで加工用レーザ光の出射が完了した時点で画像処理及び加工状況の判定、追加ショット数の決定などが完了していない場合は、加工を停止して完了するまで待つ。加工不足の判定がなされた場合は設定を変更し再加工を行なう。加工完了の判定がなされた場合は、穴Nまで加工完了した時点で加工終了とする。
【0044】
以下、図17を参照して、具体的な加工の手順について説明する。
【0045】
加工を開始すると、ステップ102で走査ミラー28の位置決めを行う。具体的には、穴あけ制御装置50より走査ミラー28へ位置決め目標位置及び駆動開始信号が送信され、走査ミラー28の駆動が開始される。
【0046】
走査ミラー28の位置決めが完了すると、ステップ104で、穴あけ制御装置50よりパルスレーザ発振器20へ加工レーザ光出射信号を送信する。これによりパルスレーザ発振器20から加工用レーザ光22が出射される。
【0047】
次いでステップ106で、穴あけ制御装置50は、現在の穴がモニタする穴であるか判定する。現在の穴がモニタする穴であると判定された場合は、ステップ108で、図18に示す画像計測ルーチンを呼び出して、その処理を開始する。
【0048】
具体的には、ステップ200で、穴あけ制御装置50より加工終了判定装置46へ撮像タイミング信号を送信する。加工終了判定装置46は、この撮像タイミング信号に従い、撮像装置44により加工穴の像を撮像し、これにより加工穴の像を画像処理することにより、穴加工の状態を判定する。
【0049】
加工終了判定装置46は、ステップ204で、ここで得た穴加工の状態を記憶媒体52に保存する。
【0050】
次いで、穴あけ制御装置50は、ステップ206で、穴加工の状態より必要な追加ショット数を決定して、画像計測ルーチンの処理を終了する。
【0051】
画像計測終了後、又は、図17のステップ106の判定結果が否である場合、穴あけ制御装置50は、ステップ109で、現在の穴に対する規定の加工レーザショット数に達したかどうかを判定する。
【0052】
規定ショット数に達したと判断された場合は、穴あけ制御装置50は、ステップ110で、現在の穴が走査ミラー走査範囲内における最後の穴であるか判定する。一方。ステップ109で規定ショット数に達していないと判断された場合は、ステップ104へ戻る。
【0053】
ステップ110で、現在の穴が走査ミラー走査範囲内における最後の穴であると判定された場合は、画像計測ルーチンが終了しているか判定し、画像計測ルーチンが終了していない場合、処理終了を待つ。
【0054】
一方、ステップ110で、現在の穴が走査ミラー走査範囲内における最後の穴でないと判定された場合は、ステップ102へ戻る。
【0055】
ステップ110の判定結果が正である場合、穴あけ制御装置50は、ステップ114で、記憶媒体52に記録された穴加工の状態より、加工完了及び加工不足を判定し、穴加工完了と判定された場合は、加工を終了する。
【0056】
一方、ステップ114で、穴加工不足と判定された場合はステップ102に戻る。
【0057】
ここで、図11に示した如く、表面層が銅層14であった場合、その銅層14を貫通した後、更にその下の樹脂層16を加工することになるが、銅層と樹脂層では加工におけるレーザ発振パラメータが異なるため、表層銅面14を貫通した時点で、レーザ発振パラメータ(例えばバースト加工のショット数)を切り換える。
【0058】
例えば加工用レーザ光22のビーム径を70μm、レーザ波長を355nmとすると、図10に示したような、例えば厚さ70μmの樹脂層加工時には、発振周波数を2kHz、エネルギーフルエンスを1(J/cm2)、パルスレーザショット数を60〜70ショット(バースト加工)又は1ショット(サイクル加工)とすることができる。一方、図11に示したような、例えば厚さ5μmの銅層18の加工時には、発振周波数を2kHz、エネルギーフルエンスを10(J/cm2)、パルスレーザショット数を10〜20ショット(バースト加工)又は1ショット(サイクル加工)とすることができる。
【0059】
なお、画像処理による加工終了判定においては、主に加工穴13の穴底径が判定パラメータとなる。そこで、例えば画像処理により穴底の径LCを計測し、目標値と比較することができる。又、カメラが複数台設置される場合等、加工穴の開口径と穴底径が共に計測可能である場合には、開口径LAと穴底径LCの比や、これらの真円度を計算することも可能であり、より高い品質の穴加工が可能となる。
【0060】
なお、真円度は、加工穴の開口径や穴底径から計算する場合のみならず、穴画像から直接計測することも可能である。即ち、画像中のある領域の真円度をe、領域内部の画素数(面積)をS、領域の輪郭画素数(周囲長)をLとして、
e=4πS/L2
が1.0に近い程、真円に近いと判定できる。
【0061】
以下に、穴画像中より穴底の径を測定する画像処理の具体的な例をいくつか示す。
【0062】
(1)カラー画像の場合
図19に示すように、取得された画像中には、基板面、樹脂面、銅面の領域がそれぞれ特徴的な色彩情報をもって存在している。最終的には銅面領域の直径LCを計測することが目的である。まず、探索領域を絞り込むため、樹脂面領域の色彩特徴を持つ領域を抽出する。その後、抽出された領域内部で銅面領域の色彩特徴を持つ領域を抽出し、直径LCを算出する。こうすることで、効率的な探索が可能となり、処理時間短縮が可能である。
【0063】
(2)グレースケール画像の場合
処理時間の短縮を考えるならば、カラー画像よりもグレースケール画像を扱う方が、情報量として断然有利である。そこで、色彩情報を用いず、輝度分布の情報のみで穴底直径LCを計測する方法を説明する。
【0064】
i.動的輪郭モデル(Snakes)を用いる方法
図20に示すように、ループ状に両端が接続された動的輪郭モデルを用い、銅面領域の輪郭上においてエネルギが最小化されるよう、内部及び外部エネルギを定義し、探索を行なう。探索終了時の制御点を最小2乗中央値(LMedS)推定等を用いて楕円形等にロバストを推定し、その結果を出力する。
【0065】
なお、最終的に楕円形等を推定せず、制御点を全て有効と見ると、銅面領域の大まかな形状を得ることができ、穴あけ精度の評価等が可能となる。
【0066】
ii.列毎の輝度値の総和を解析する方法
図21に示すように、縦軸・横軸それぞれについて、列、行での輝度の総和を求め、その分布を例えば微分等により解析することにより、銅面領域を検出する。この手法は、ソフトウェアの設計が容易である。
【0067】
iii.動的2値化及び領域分割による方法
まず画像の2値化を行なう。単純に決めた閾値の2値化は論外であるが、今回の入力画像のように濃淡領域が偏った画像であると、判別分析法等によって最適な閾値を算出し用いても、必ずしも良好な結果は得られない。そこで、1画素毎に閾値を変化させる動的2値化を行なう。こうすることで、銅面領域のエッジを2値化により失うことがなく、良好な2値化が行なわれる。こうして得られた2値画像を領域分割し、円形の高い領域を選択して出力する。この手法は、入力画像の条件変化にロバストである。
【0068】
なお、前記実施形態においては、撮像装置44が1台とされていたが、図22に示す第2実施形態の如く、被加工物の斜め上方に撮像装置54をもう1台設けて、加工穴の穴底と開口径の両者を計測可能とすることも可能である。
【0069】
この際には、開口径により、プロファイルのズレ等から加工装置の状態をチェックすることができる。
【0070】
なお、撮像装置44の焦点位置の変更やレンズの切換えを可能として、1台のカメラで穴底と開口径の両方の画像を得たり、又は、加工終了判定が必要でない場合には、撮像装置44を省略して撮像装置54のみを設けることもできる。
【0071】
本実施形態においては、加工状況を判定しつつ追加ショットを行なっているので、被加工物の不均一性に拘らず、常に確実な加工を実現できる。
【0072】
本実施形態においては、又、被加工物に応じて、樹脂層と銅層の切換え時点で、レーザ発振パラメータを自動で変更するようにしているため、常に最適な加工を実現できる。なお、被加工物が樹脂層又は導体層のいずれか一方のみである場合には、レーザ発振パラメータを固定することも可能である。
【0073】
本発明の適用対象は、樹脂層と銅層を積層した基板に限定されず、他の絶縁層と導体層を積層した基板にも、同様に適用できる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、全ての加工穴の中からいくつかの穴を任意に選択し、その穴を観察することで全体の加工状況を推定するため、画像処理による加工状況判定の回数を減らすことができ、加工時間を短縮することができる。又、加工中に加工穴を直接観察することにより、後の検査工程を省略することも可能であり、スループットを向上することができる。
【0075】
特に、画像処理による加工状況判定と穴加工とを並列に同時進行した場合は、加工時間を短縮することができる。
【0076】
又、サイクル加工に適用することにより、加工穴の温度上昇を防ぐことができ、更に高品質の穴加工を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のレーザ穴あけ装置の基本的な構成を示す斜視図
【図2】同じく処理手順を示す流れ図
【図3】同じくレーザの照射状態を示すタイムチャート
【図4】加工対象であるプリント基板の例の構成を示す断面図
【図5】従来のレーザ穴あけ装置における加工状態を示す平面図
【図6】本発明に係るレーザ穴あけ装置の第1実施形態の構成を示す斜視図
【図7】撮像装置を加工穴の斜め上方に設置した場合に生じるオクルージョン領域を示す斜視図
【図8】複数台のカメラを用いてオクルージョンを解消している状態を示す平面図
【図9】同じく複数台のカメラにより撮像された加工穴画像の合成方法を示す図
【図10】樹脂層加工時の加工状況を示す断面図
【図11】銅層−樹脂層加工時の加工状況を示す断面図
【図12】加工穴の配置の例を示す平面図
【図13】第1実施形態におけるサイクル加工の進み方を示すタイムチャート
【図14】同じく全体の処理手順を示す流れ図
【図15】同じく画像計測ルーチンを示す流れ図
【図16】同じくバースト加工の進み方を示すタイムチャート
【図17】同じく全体の処理手順を示す流れ図
【図18】同じく画像計測ルーチンを示す流れ図
【図19】同じく穴あけ加工部の例を示す平面図及び断面図
【図20】同じく動的輪郭モデルを用いた銅面領域検出の様子を示す平面図
【図21】同じく縦方向及び横方向での輝度値の総和の例を示す図
【図22】本発明の第2実施形態の構成を示す斜視図
【符号の説明】
10…ステージ
12…被加工物
13…加工穴
14、18…銅層(導体層)
16…樹脂層(絶縁層)
20…パルスレーザ発振器
22…加工用レーザ光
24…光学系
28…走査ミラー
32…集光レンズ
40…投光装置
42…干渉フィルタ
44、54…撮像装置
46…加工終了判定装置
50…穴あけ制御装置
52…記憶媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルスレーザによりプリント基板に穴を開けるためのレーザ加工方法及び装置に係り、特に、絶縁層と導体層を積層した積層基板への穴加工を確実に行なうことが可能なレーザ加工方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザを用いてプリント基板に穴を開ける穴あけ加工機が知られている。図1に示す如く、この穴あけ加工機において、パルスレーザ発振器20より出射された加工用レーザ光22は、例えば折り返しミラーを含む光学系24、レーザ光を走査するための、例えばガルバノミラーである走査ミラー28、該走査ミラー28によって走査された光を平行光線化して被加工物12に照射するための、例えばfθレンズである集光レンズ32を経て、ステージ(図示省略)上の被加工物12へと導かれる。
【0003】
このような加工機における従来の制御方法として、図2(流れ図)及び図3(タイムチャート)に示す如く、ある決まったパルス数NP(バースト加工の場合)又は周回数(サイクル加工の場合)を、例えば実験的に求めて予め設定値として保存し、全ての穴加工について、これを一律に適用する方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このパルス数又は周回数を固定する方法では、図4(A)(B)に示すような、例えば銅層14、18である導体層と、例えば樹脂層16である絶縁層を積層した積層基板の、基板ロットや場所の絶縁層の樹脂密度等の偏りにより、過加工や加工不足が発生することがある。図4(A)に示した樹脂層加工時の穴加工深度と加工穴の様子を図5に示す。図5において、17は、樹脂層16に形成された加工穴、19は、銅層18に形成された加工穴である。
【0005】
このような問題点を解決するべく、特許文献1に、加工部からのレーザ光の反射光強度やその変化を観測することにより、被加工物の加工状態を検出する方法が提案されているが、これらはあくまで代用特性であり、外乱の影響を受け易く、精度の信頼性も低いという問題点を有していた。
【0006】
又、特許文献2には、画像計測を行なうことが記載されているが、穴あけ中ではなく、穴あけ終了後に穴位置と数をチェックするだけであり、個々の穴形状はチェックしていなかった。
【0007】
なお、全部の加工穴について、画像計測を行うことも考えられるが、画像計測に時間がかかるため、加工に追付けないことがあるという問題もあった。
【0008】
【特許文献1】
特許第3011183号公報
【特許文献2】
特開平11−317576号公報
【0009】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、被加工物の不均一性や画像計測の所要時間に関わらず、最適な加工を実現できるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザ光によりプリント基板に穴を開けるためのレーザ加工方法において、加工中の一部の穴の画像を撮影し、画像計測結果により得た一部の穴の形状に基づいて、全穴の加工状態の制御、加工終了判定、加工装置の状態チェックの少なくともいずれか一つを行なうようにして、前記課題を解決したものである。
【0011】
又、穴の加工と画像計測を同時進行するようにしたものである。
【0012】
又、前記画像から、一部の穴の底の形状や上端開口の形状を計測するようにしたものである。
【0013】
又、前記加工状態の制御が、バースト加工での過少ショット数による1次加工後の追加ショットによる再加工状態を制御するものとしたものである。
【0014】
又、前記加工状態の制御を、レーザ発振パラメータを切り換えることにより行なうようにしたものである。
【0015】
本発明は、又、レーザ光によりプリント基板に穴を開けるためのレーザ加工装置において、加工中の一部の穴の画像を撮影する撮像手段と、撮影した画像から、一部の穴の形状を計測する画像計測手段と、該一部の穴の画像計測結果を記憶する記憶手段と、画像計測結果により、全穴の加工状態の制御、加工終了判定、加工装置の状態チェックの少なくともいずれか一つを行なう制御手段とを備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0016】
又、前記一部の穴を照明する光源を設けたものである。
【0017】
又、前記撮像手段が、一部の穴の底や上端開口の画像を撮影するようにしたものである。
【0018】
又、前記一部の穴の底の画像を撮影する第1の撮像手段と、同じ穴の上端開口の画像を撮像する第2の撮像手段とを独立して設けたものである。
【0019】
又、前記第1の撮像手段を、一部の穴の底を直上から直視できるよう、加工用レーザ光の光路上で分岐したところに配設し、前記第2の撮像手段を、前記一部の穴の斜め上方に配設したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
本発明の第1実施形態は、パルスレーザ発振器20、折り返しミラーを含む光学系24、ガルバノミラーでなる走査ミラー28、fθレンズでなる集光レンズ32を備えた、図1に示したと同様のレーザ穴あけ加工機において、図6に示す如く、ステージ10上に配置された被加工物12の加工部を照明するための投光装置40と、加工用レーザ光22のみを透過するための干渉フィルタ42と、前記投光装置40によって照らされ、加工用レーザ光22と同じ光路を逆行し、干渉フィルタ42で反射された光を撮影するための、結像光学系を含む2次元撮像装置44と、該撮像装置44で撮影された画像に基づいて、加工が終了したと判断された場合には加工完了信号、加工が終了していないと判断された場合には撮像タイミング信号を穴あけ制御装置50に送る加工終了判定装置46と、該加工終了判定装置46から入力された信号に応じて、パルスレーザ発振器20、走査ミラー28、ステージ10を制御する穴あけ制御装置50と、穴加工中に、必要に応じて加工状況等を記憶する記憶媒体52とを備えたものである。
【0022】
前記投光装置40は、加工穴の撮影をより良好に行なうため、加工穴を照らすように設けられているが、撮像装置44、被加工物12、加工する環境等によっては、必ずしも必要ではない。
【0023】
前記干渉フィルタ42は、ある特定の波長の光のみを透過させるフィルタであり、この場合、加工用レーザ光22の波長に近い光(例えば355nm前後等)のみを透過し、撮像装置44で撮影する予定の波長の光を反射するハーフミラーが理想的である。
【0024】
前記走査ミラー28は、被加工物12の加工面において走査方向が直交するようにされた一対のガルバノミラーとされ、これらの角度を位置決めすることにより、穴加工位置が決定される。
【0025】
前記集光レンズ32は、前記走査ミラー28により反射されたレーザ光を被加工物12の加工面に対しほぼ垂直に入射させるための光学系であり、例えば、等角速度で入射するレーザ光が被加工物12上で等速度になるよう設計されたfθレンズ等が用いられる。
【0026】
前記2次元撮像装置44は、図6に示したように、加工用レーザ光22を伝搬する光学系の途中で、例えば干渉フィルタ42により光路を分岐して設置される。なお、加工穴の斜め上方に設置する方法も考えられるが、この場合は、図7に示すようにオクルージョン領域が生じ、穴底の一部が撮像できない状況が想定される。このような場合には、複数台のカメラを用い、図8に3台のカメラA、B、Cを用いる例を示すように、それぞれ異なる方向から加工穴13を撮像し、撮影された画像を、図9に示すように加工穴直上からの画像に投影変換した後に合成することで、互いのオクルージョンを補い合うことにより問題を解決できる。
【0027】
前記撮像装置44として、数k〜数十kHzでの撮像が可能な高速2次元撮像装置を用いることにより、1サイクル当りの穴加工状態の判定回数を増やすことが可能となり、より信頼性の高い確実な加工を行なうことができる。
【0028】
前記加工終了判定装置46は、撮像装置44により得られた穴加工部の画像に対し画像処理を行い、加工が終了したかどうかを判定し、加工終了及び加工不足の信号を出力する。
【0029】
加工終了の判定は、図10に示す如く、銅層(導体層)18上の樹脂層(絶縁層)16の加工時には、下層の銅層18の露出径D1が規定の数値を超えたかどうかにより行なうことができる。あるいは、図11に示す如く、樹脂層16の上に設けられた銅層14の加工時には、下層の樹脂層16の露出径D2が規定の数値を超えたかどうかにより判定することができる。例えば、図10に示した絶縁層(16)加工時は、下層の導体層(18)の露出径D1が40〜60μmの範囲内となった場合、図11に示した導体層(14)加工時は、下層の絶縁層(16)の露出径D2あるいは最下層の導体層(18)の露出径D1がそれぞれ60〜70μmの範囲内となった場合に、加工終了と判定することができる。
【0030】
前記穴あけ制御装置50は、被加工物12の位置決めを行なうステージ10、及び、穴あけの位置決めを行なう走査ミラー28を、前記加工終了判定装置46からの信号に基づき制御する。又、パルスレーザ発振器20に信号を送りレーザ発振のタイミングを制御する。
【0031】
本発明における穴あけ加工の進行の様子と、加工の具体的な流れの例を、サイクル加工及びバースト加工の場合について示す。
【0032】
(1)サイクル加工の例
本発明を、図12に例示するようなN個の穴のサイクル加工に適用する場合の例を示す。図13に示すように、各サイクルで例えば穴1に加工用レーザ光を出射した直後に穴画像の撮像を行なうものとし、その後最後の穴Nまで加工を行なう間に画像処理及び加工状況の判定を同時進行する。ここで、穴Nまで加工用レーザ光の出射が完了した時点で画像処理及び加工状況の判定が完了していない場合は、加工を停止して判定完了を待つ。加工完了の判定がされた場合、そのサイクルが完了した時点で加工終了とする。なお、画像処理により加工状況の判定を行なう穴は各サイクル中に1つとは限らず、複数存在しても良い。複数の穴をモニタする場合は、例えば多数決によって加工状況を制御することができる。
【0033】
以下、図14を参照して、具体的な加工の手順について説明する。
【0034】
まず、ステップ100で、穴あけ制御装置50は加工完了フラグをリセットする。
【0035】
次いで、ステップ102で、走査ミラー28の位置決めを行う。具体的には、穴あけ制御装置50より走査ミラー28へ位置決め目標位置及び駆動開始命令が送信され、走査ミラー28の駆動が開始される。
【0036】
走査ミラー28の位置決めが完了したときは、ステップ104で、穴あけ制御装置50よりパルスレーザ発振器20へ加工用レーザ光22の出射信号を送信する。これによりパルスレーザ発振器20から加工用レーザ光22が発振される。
【0037】
次いで、ステップ106で、穴あけ制御装置50は現在の穴がモニタする穴であるか判定する。現在の穴がモニタする穴であると判定された場合は、ステップ108で、図15に示すような画像計測ルーチンを呼出して、画像計測処理を開始する。この時、必要に応じて投光装置40を点灯する。
【0038】
図15のステップ200の画像計測に際しては、穴あけ制御装置50から加工終了判定装置46に撮像タイミング信号を送信する。すると、撮像装置44により被加工部が撮像される。そして、加工終了判定装置46は、被加工部の像を画像処理することにより、穴加工の状態を判定する。加工終了判定により穴加工完了を判定された場合、ステップ202で、穴あけ制御装置50に加工完了フラグをセットして、画像計測ルーチンの処理を終了する。
【0039】
画像計測終了後、又は、図14のステップ106の判定結果が否である時、穴あけ制御装置50は、ステップ110で、現在の穴が走査ミラー28の走査範囲における最後の穴であるか判定する。現在の穴が最後の穴であると判定された場合、穴あけ制御装置50は、画像計測ルーチンが処理終了しているか判定し、画像計測ルーチンが終了していない場合、処理終了を待つ。
【0040】
一方、ステップ110で、現在の穴が走査ミラー28の走査範囲における最後の穴でないと判定された場合は、ステップ102へ戻る。
【0041】
ステップ110の判定結果が正である場合、穴あけ制御装置50は、ステップ112で、加工完了フラグの状態を判定し、加工完了フラグがセットされていると判定された場合は、加工を終了する。
【0042】
一方、加工完了フラグがセットされていないと判定された場合は、ステップ102に戻る。
【0043】
(2)バースト加工の例
本発明をバースト加工に適用する場合の例を示す。図16に示すように、例えば穴1に対し加工用レーザ光を過少の規定ショット数出射した直後に加工穴の撮像を行なうものとし、その後最後の穴Nまで規定ショット数ずつ加工用レーザ光を出射を行う間に画像処理及び加工状況の判定、加工不足であれば追加すべきショット数の決定を同時進行する。ここで、穴Nまで加工用レーザ光の出射が完了した時点で画像処理及び加工状況の判定、追加ショット数の決定などが完了していない場合は、加工を停止して完了するまで待つ。加工不足の判定がなされた場合は設定を変更し再加工を行なう。加工完了の判定がなされた場合は、穴Nまで加工完了した時点で加工終了とする。
【0044】
以下、図17を参照して、具体的な加工の手順について説明する。
【0045】
加工を開始すると、ステップ102で走査ミラー28の位置決めを行う。具体的には、穴あけ制御装置50より走査ミラー28へ位置決め目標位置及び駆動開始信号が送信され、走査ミラー28の駆動が開始される。
【0046】
走査ミラー28の位置決めが完了すると、ステップ104で、穴あけ制御装置50よりパルスレーザ発振器20へ加工レーザ光出射信号を送信する。これによりパルスレーザ発振器20から加工用レーザ光22が出射される。
【0047】
次いでステップ106で、穴あけ制御装置50は、現在の穴がモニタする穴であるか判定する。現在の穴がモニタする穴であると判定された場合は、ステップ108で、図18に示す画像計測ルーチンを呼び出して、その処理を開始する。
【0048】
具体的には、ステップ200で、穴あけ制御装置50より加工終了判定装置46へ撮像タイミング信号を送信する。加工終了判定装置46は、この撮像タイミング信号に従い、撮像装置44により加工穴の像を撮像し、これにより加工穴の像を画像処理することにより、穴加工の状態を判定する。
【0049】
加工終了判定装置46は、ステップ204で、ここで得た穴加工の状態を記憶媒体52に保存する。
【0050】
次いで、穴あけ制御装置50は、ステップ206で、穴加工の状態より必要な追加ショット数を決定して、画像計測ルーチンの処理を終了する。
【0051】
画像計測終了後、又は、図17のステップ106の判定結果が否である場合、穴あけ制御装置50は、ステップ109で、現在の穴に対する規定の加工レーザショット数に達したかどうかを判定する。
【0052】
規定ショット数に達したと判断された場合は、穴あけ制御装置50は、ステップ110で、現在の穴が走査ミラー走査範囲内における最後の穴であるか判定する。一方。ステップ109で規定ショット数に達していないと判断された場合は、ステップ104へ戻る。
【0053】
ステップ110で、現在の穴が走査ミラー走査範囲内における最後の穴であると判定された場合は、画像計測ルーチンが終了しているか判定し、画像計測ルーチンが終了していない場合、処理終了を待つ。
【0054】
一方、ステップ110で、現在の穴が走査ミラー走査範囲内における最後の穴でないと判定された場合は、ステップ102へ戻る。
【0055】
ステップ110の判定結果が正である場合、穴あけ制御装置50は、ステップ114で、記憶媒体52に記録された穴加工の状態より、加工完了及び加工不足を判定し、穴加工完了と判定された場合は、加工を終了する。
【0056】
一方、ステップ114で、穴加工不足と判定された場合はステップ102に戻る。
【0057】
ここで、図11に示した如く、表面層が銅層14であった場合、その銅層14を貫通した後、更にその下の樹脂層16を加工することになるが、銅層と樹脂層では加工におけるレーザ発振パラメータが異なるため、表層銅面14を貫通した時点で、レーザ発振パラメータ(例えばバースト加工のショット数)を切り換える。
【0058】
例えば加工用レーザ光22のビーム径を70μm、レーザ波長を355nmとすると、図10に示したような、例えば厚さ70μmの樹脂層加工時には、発振周波数を2kHz、エネルギーフルエンスを1(J/cm2)、パルスレーザショット数を60〜70ショット(バースト加工)又は1ショット(サイクル加工)とすることができる。一方、図11に示したような、例えば厚さ5μmの銅層18の加工時には、発振周波数を2kHz、エネルギーフルエンスを10(J/cm2)、パルスレーザショット数を10〜20ショット(バースト加工)又は1ショット(サイクル加工)とすることができる。
【0059】
なお、画像処理による加工終了判定においては、主に加工穴13の穴底径が判定パラメータとなる。そこで、例えば画像処理により穴底の径LCを計測し、目標値と比較することができる。又、カメラが複数台設置される場合等、加工穴の開口径と穴底径が共に計測可能である場合には、開口径LAと穴底径LCの比や、これらの真円度を計算することも可能であり、より高い品質の穴加工が可能となる。
【0060】
なお、真円度は、加工穴の開口径や穴底径から計算する場合のみならず、穴画像から直接計測することも可能である。即ち、画像中のある領域の真円度をe、領域内部の画素数(面積)をS、領域の輪郭画素数(周囲長)をLとして、
e=4πS/L2
が1.0に近い程、真円に近いと判定できる。
【0061】
以下に、穴画像中より穴底の径を測定する画像処理の具体的な例をいくつか示す。
【0062】
(1)カラー画像の場合
図19に示すように、取得された画像中には、基板面、樹脂面、銅面の領域がそれぞれ特徴的な色彩情報をもって存在している。最終的には銅面領域の直径LCを計測することが目的である。まず、探索領域を絞り込むため、樹脂面領域の色彩特徴を持つ領域を抽出する。その後、抽出された領域内部で銅面領域の色彩特徴を持つ領域を抽出し、直径LCを算出する。こうすることで、効率的な探索が可能となり、処理時間短縮が可能である。
【0063】
(2)グレースケール画像の場合
処理時間の短縮を考えるならば、カラー画像よりもグレースケール画像を扱う方が、情報量として断然有利である。そこで、色彩情報を用いず、輝度分布の情報のみで穴底直径LCを計測する方法を説明する。
【0064】
i.動的輪郭モデル(Snakes)を用いる方法
図20に示すように、ループ状に両端が接続された動的輪郭モデルを用い、銅面領域の輪郭上においてエネルギが最小化されるよう、内部及び外部エネルギを定義し、探索を行なう。探索終了時の制御点を最小2乗中央値(LMedS)推定等を用いて楕円形等にロバストを推定し、その結果を出力する。
【0065】
なお、最終的に楕円形等を推定せず、制御点を全て有効と見ると、銅面領域の大まかな形状を得ることができ、穴あけ精度の評価等が可能となる。
【0066】
ii.列毎の輝度値の総和を解析する方法
図21に示すように、縦軸・横軸それぞれについて、列、行での輝度の総和を求め、その分布を例えば微分等により解析することにより、銅面領域を検出する。この手法は、ソフトウェアの設計が容易である。
【0067】
iii.動的2値化及び領域分割による方法
まず画像の2値化を行なう。単純に決めた閾値の2値化は論外であるが、今回の入力画像のように濃淡領域が偏った画像であると、判別分析法等によって最適な閾値を算出し用いても、必ずしも良好な結果は得られない。そこで、1画素毎に閾値を変化させる動的2値化を行なう。こうすることで、銅面領域のエッジを2値化により失うことがなく、良好な2値化が行なわれる。こうして得られた2値画像を領域分割し、円形の高い領域を選択して出力する。この手法は、入力画像の条件変化にロバストである。
【0068】
なお、前記実施形態においては、撮像装置44が1台とされていたが、図22に示す第2実施形態の如く、被加工物の斜め上方に撮像装置54をもう1台設けて、加工穴の穴底と開口径の両者を計測可能とすることも可能である。
【0069】
この際には、開口径により、プロファイルのズレ等から加工装置の状態をチェックすることができる。
【0070】
なお、撮像装置44の焦点位置の変更やレンズの切換えを可能として、1台のカメラで穴底と開口径の両方の画像を得たり、又は、加工終了判定が必要でない場合には、撮像装置44を省略して撮像装置54のみを設けることもできる。
【0071】
本実施形態においては、加工状況を判定しつつ追加ショットを行なっているので、被加工物の不均一性に拘らず、常に確実な加工を実現できる。
【0072】
本実施形態においては、又、被加工物に応じて、樹脂層と銅層の切換え時点で、レーザ発振パラメータを自動で変更するようにしているため、常に最適な加工を実現できる。なお、被加工物が樹脂層又は導体層のいずれか一方のみである場合には、レーザ発振パラメータを固定することも可能である。
【0073】
本発明の適用対象は、樹脂層と銅層を積層した基板に限定されず、他の絶縁層と導体層を積層した基板にも、同様に適用できる。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、全ての加工穴の中からいくつかの穴を任意に選択し、その穴を観察することで全体の加工状況を推定するため、画像処理による加工状況判定の回数を減らすことができ、加工時間を短縮することができる。又、加工中に加工穴を直接観察することにより、後の検査工程を省略することも可能であり、スループットを向上することができる。
【0075】
特に、画像処理による加工状況判定と穴加工とを並列に同時進行した場合は、加工時間を短縮することができる。
【0076】
又、サイクル加工に適用することにより、加工穴の温度上昇を防ぐことができ、更に高品質の穴加工を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のレーザ穴あけ装置の基本的な構成を示す斜視図
【図2】同じく処理手順を示す流れ図
【図3】同じくレーザの照射状態を示すタイムチャート
【図4】加工対象であるプリント基板の例の構成を示す断面図
【図5】従来のレーザ穴あけ装置における加工状態を示す平面図
【図6】本発明に係るレーザ穴あけ装置の第1実施形態の構成を示す斜視図
【図7】撮像装置を加工穴の斜め上方に設置した場合に生じるオクルージョン領域を示す斜視図
【図8】複数台のカメラを用いてオクルージョンを解消している状態を示す平面図
【図9】同じく複数台のカメラにより撮像された加工穴画像の合成方法を示す図
【図10】樹脂層加工時の加工状況を示す断面図
【図11】銅層−樹脂層加工時の加工状況を示す断面図
【図12】加工穴の配置の例を示す平面図
【図13】第1実施形態におけるサイクル加工の進み方を示すタイムチャート
【図14】同じく全体の処理手順を示す流れ図
【図15】同じく画像計測ルーチンを示す流れ図
【図16】同じくバースト加工の進み方を示すタイムチャート
【図17】同じく全体の処理手順を示す流れ図
【図18】同じく画像計測ルーチンを示す流れ図
【図19】同じく穴あけ加工部の例を示す平面図及び断面図
【図20】同じく動的輪郭モデルを用いた銅面領域検出の様子を示す平面図
【図21】同じく縦方向及び横方向での輝度値の総和の例を示す図
【図22】本発明の第2実施形態の構成を示す斜視図
【符号の説明】
10…ステージ
12…被加工物
13…加工穴
14、18…銅層(導体層)
16…樹脂層(絶縁層)
20…パルスレーザ発振器
22…加工用レーザ光
24…光学系
28…走査ミラー
32…集光レンズ
40…投光装置
42…干渉フィルタ
44、54…撮像装置
46…加工終了判定装置
50…穴あけ制御装置
52…記憶媒体
Claims (10)
- レーザ光によりプリント基板に穴を開けるためのレーザ加工方法において、
加工中の一部の穴の画像を撮影し、
画像計測結果により得た一部の穴の形状に基づいて、全穴の加工状態の制御、加工終了判定、加工装置の状態チェックの少なくともいずれか一つを行なうことを特徴とするレーザ加工方法。 - 穴の加工と画像計測を同時進行することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工方法。
- 前記画像から、一部の穴の底の形状や上端開口の形状を計測することを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ加工方法。
- 前記加工状態の制御が、バースト加工での過少ショット数による1次加工後の追加ショットによる再加工状態を制御するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザ加工方法。
- 前記加工状態の制御を、レーザ発振パラメータを切り換えることにより行なうことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のレーザ加工方法。
- レーザ光によりプリント基板に穴を開けるためのレーザ加工装置において、
加工中の一部の穴の画像を撮影する撮像手段と、
撮影した画像から、一部の穴の形状を計測する画像計測手段と、
該一部の穴の画像計測結果を記憶する記憶手段と、
画像計測結果により、全穴の加工状態の制御、加工終了判定、加工装置の状態チェックの少なくともいずれか一つを行なう制御手段と、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記一部の穴を照明する光源が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のレーザ加工装置。
- 前記撮像手段が、一部の穴の底や上端開口の画像を撮影するようにされていることを特徴とする請求項6又は7に記載のレーザ加工装置。
- 前記一部の穴の底の画像を撮影する第1の撮像手段と、同じ穴の上端開口の画像を撮像する第2の撮像手段とが独立して設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載のレーザ加工装置。
- 前記第1の撮像手段が、一部の穴の底を直上から直視できるよう、加工用レーザ光の光路上で分岐したところに配設され、
前記第2の撮像手段が、同じ穴の斜め上方に配設されていることを特徴とする請求項9に記載のレーザ加工装置。
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2003
- 2003-01-22 JP JP2003013717A patent/JP2004223561A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050408 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061205 |