JP2004223451A - 有機化合物の分離精製方法及び分離精製装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機化合物を含有する良溶媒溶液と、有機化合物に対する貧溶媒とを、ラインミキサで攪拌して、有機化合物を晶析させて、攪拌と連続した工程にて、有機化合物を連続式遠心分離機で分離する有機化合物の分離精製方法および貧溶媒を貯蔵するタンク2と、有機化合物を含有する良溶媒溶液を貯蔵するタンク3とを備えており、タンク2,3から供給された良溶媒溶液と貧溶媒とをラインミキサ4によって攪拌し、その攪拌の直後に有機化合物を連続的に晶析させるように構成されている。また、連続式遠心分離機5によって、晶析した有機化合物を溶媒から連続的に分離させるように構成されている分離精製装置1。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、写真材料、印刷材料、医薬品、種々の添加剤等幅広く利用される有機化合物を製造する際に、有機化合物を含有する良溶媒溶液中から得ようとする有機化合物を晶析させて、次いでその有機化合物と溶液とを分離させて、有機化合物を得る有機化合物の分離精製方法及び分離精製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化合物の製造において、有機化合物を含有する良溶媒溶液からその有機化合物を分離精製する場合には、良溶媒溶液中に有機化合物を溶解せずかつその良溶媒溶液と相溶性があるかまたは混合し得る貧溶媒を加える方法や、または貧溶媒中にその良溶媒溶液を加える方法、場合によっては良溶媒溶液と貧溶媒とを同時に滴下して混合する方法等が用いられる。これらの方法は晶析と称され、高分子化合物の製造における再沈殿もこの晶析の一種である。
【0003】
従来、晶析によって有機化合物を得るための、種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
有機化合物を分離精製するために用いられている、有機化合物の分離精製装置の一例を図2に示す。
図2に示すように、従来の分離精製装置50は、貧溶媒を貯蔵するタンク51と、有機化合物を含有する良溶媒溶液を貯蔵するタンク52とを備えており、これらタンク51,52から、それぞれの液体がラインミキサ53に供給されるように構成されている。ラインミキサ53は、供給された良溶媒溶液と貧溶媒とを攪拌して、有機化合物を晶析させる。さらに、分離精製装置50は、ラインミキサ53の下流側に、回分式の遠心濾過機54が設けられており、晶析した有機化合物を溶媒から分離させるように構成されている。
【0004】
また、このような分離精製装置で用いられるラインミキサは、連続して複数の液体を撹拌混合する装置である。ラインミキサは化学装置便覧(改訂2版、化学工学協会編、丸善 779頁)に記載されているように、処理する目的物を輸送中に予備混合したり沈殿を防止する目的で用いられたり、設備合理化を目的として用いられている。ラインミキサを用いた例は、水分散型ポリマーの乳化分散法(特許文献2参照)、廃水の連続処理(特許文献3参照)、油の脱塩方法(特許文献4参照)等種々開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−52324号公報
【特許文献2】
特公昭54−31492号公報
【特許文献3】
特公昭58−32627号公報
【特許文献4】
特開平11−137906号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、工業的なスケールで再沈殿に代表される、瞬時に結晶を析出させる押し出し晶析を行う場合、通常は大量の貧溶媒を必要とし、そのため晶析槽は反応槽に比べて数倍の容量が必要となる。目的物(有機化合物)を大量に晶析する場合、生産性は晶析槽の容量に依存することが多く、生産効率が悪い。
【0007】
また、晶析槽を用いて良溶媒溶液と貧溶媒を滴下混合する方法では、再沈・晶析槽内の良溶媒溶液と貧溶媒の濃度比率が滴下初期と滴下後期で異なることや、混合に用いる撹拌翼(例えばファウドラー翼、アンカー翼、パドル翼等)によっては2液を攪拌混合する速度に限界があることから、貧溶媒の滴下初期と滴下後期では結晶の形状や純度に差異の生じることが多く、得られた目的物が均一の状態にならない事が多い。
【0008】
さらに、上記の分離精製装置のように、晶析工程後の固液分離は、遠心濾過機によって目的物と濾液を濾別する方法が多く用いられている。しかし、瞬時に結晶を析出させた晶析では、結晶が微細で、無定形になることが多く、濾過性が悪くなる場合が多い。そのため遠心濾過機での濾過に長時間を要することとなり、生産効率を悪化させる一因となっている。
【0009】
また、上述した従来の方法(特許文献1〜4等)は、いずれもラインミキサで撹拌後、次工程の処理を行うために処理槽へ送液したり、あるいは回分式遠心濾過機や加圧濾過機等で単離を行っており、工業的な生産性は処理槽の処理能力や濾過機の濾過速度に依存し、大幅な生産性の向上は困難である。
【0010】
本発明は、均質な結晶を析出することを容易にするとともに、連続的に晶析し、同時並行して連続的に分離を行うことにより、工業的な生産効率を大幅に高め、目的物を均質な結晶として得ることのできる有機化合物の分離精製方法及び分離精製装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討及び研究した結果、下記の方法(1),(2)及び装置(3),(4)を見出した。
(1) 有機化合物を含有する良溶媒溶液と、有機化合物に対する貧溶媒とを、ラインミキサで攪拌して、有機化合物を晶析させ、攪拌と連続した工程にて、晶析した有機化合物を連続式遠心分離機で分離することを特徴とする有機化合物の分離精製方法。
(2) 上記(1)に記載の有機化合物の分離精製方法において、有機化合物は、高分子化合物であることを特徴とする有機化合物の分離精製方法。
(3) 有機化合物を含有する良溶媒溶液中の有機化合物を分離精製するための装置であって、良溶媒溶液と、有機化合物に対する貧溶媒とを攪拌するラインミキサと、ラインミキサによって攪拌された溶液中に晶析した有機化合物を、溶液から連続的に分離させる連続式遠心分離機とを備えていることを特徴とする有機化合物の分離精製装置。
(4) 上記(3)に記載の有機化合物の分離精製装置において、連続式遠心分離機はデカンタであることを特徴とする有機化合物の分離精製装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る有機化合物の分離精製方法及び分離精製装置の実施の形態を、図1を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の有機化合物の分離精製方法を実施するために用いられる分離精製装置の概要図である。
本実施形態の有機化合物の分離精製方法は、図1に示す分離精製装置を用いて、有機化合物を含有する良溶媒溶液と、有機化合物に対する貧溶媒とを、ラインミキサで攪拌して、攪拌の直後に連続的に有機化合物を晶析させて、晶析した有機化合物を連続式遠心分離機で分離することを特徴としている。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の分離精製装置1は、貧溶媒を貯蔵するタンク2と、有機化合物を含有する良溶媒溶液を貯蔵するタンク3とを備えており、これらタンク2,3から、それぞれの液体がラインミキサ4に供給され、ラインミキサ4の攪拌によって有機化合物を晶析させるように構成されている。また、ラインミキサ4の直後の下流側には連続式遠心分離機5が設けられており、晶析した有機化合物を溶媒から連続的に分離させるように構成されている。
【0014】
ラインミキサ4には、良溶媒溶液と貧溶媒を一定速度で注入することが好ましい。注入速度は通常流量計等で測定し、連続式遠心分離機5の処理能力以内で注入速度を設定する。ラインミキサ4に良溶媒溶液と貧溶媒を送液する場合、送液ポンプを使用する方法や重力を利用した落差による方法等が用いられるが、脈動が無く流量が均一なポンプを使用することが好ましい。そのため、タンク2,3からラインミキサ4に至る各流路には、それぞれポンプ6が設けられており、ラインミキサ4に向けて供給される良溶媒溶液と貧溶媒の流量を調節可能となっている。また、ここで使用するポンプとしては、ダイヤフラムポンプ、タービンポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、スクリューポンプ等が挙げられる。貧溶媒は、タンク2に一部もしくは全量を貯蔵するか、もしくはストレージタンク(図示せず)からの直接のラインから通液するが、貧溶媒を注入する方法はこれに限定しない。
【0015】
ラインミキサ4は、一般に用いられているものを本実施形態でも用いることができる。例えば、使用可能なラインミキサとして、スタティックミキサー、I.S.G.ミキサー、低速型または高速型パイプラインミキサ、ホモミックラインフロー等が挙げられる。市販品としては、パイプラインホモミキサー(特殊機化工業、みずほ工業等)、OHRラインミキサ(西華産業)等が挙げられる。
ラインミキサの形状や、パイプ内の形状およびパイプ内翼に関しても特に限定しないが、好ましくは動力によってパイプ内の撹拌翼が回転するパイプラインミキサ、または動力を用いないスタティックミキサーであり、さらに好ましくは汎用性のあるパイプラインミキサである。
パイプラインミキサを使用する場合、撹拌翼の回転速度は用いるラインミキサの機種や取り扱う有機化合物によって各々異なるが、通常500rpmから3500rpmであり、好ましくは1000rpmから3000rpmである。
【0016】
本実施形態において用いる貧溶媒は、得ようとする有機化合物がまったく溶解しないかまたは溶解度が低く、かつ対する良溶媒溶液に可溶性または混合し得る溶媒であり、目的の有機化合物によって各々異なる。用いる貧溶媒の使用量も、対する良溶媒溶液によって異なるが、良溶媒溶液に対して通常は0.1〜20倍、好ましくは2〜10倍である。
【0017】
本実施形態の分離精製装置1は、ラインミキサ(連続撹拌装置)4と連続式遠心分離機5とを組み合わせ、連続して使用する事により、ラインミキサ4による攪拌から連続式遠心分離機5による分離精製までの作業を連続的に行うことで、従来に比べて生産性を向上させることができる。
本実施形態において用いられる連続式遠心分離機は、一般に用いられているものを使用することができ、特に種類を限定するものではない。連続式遠心分離機には、大別して遠心沈降型と遠心濾過型があり、遠心沈降型としてはデカンタや分離板型、遠心濾過型としてはデコーン型や連続押出型あるいは連続排出型等に分類される。これらの連続式遠心分離機は種々のものが市販されている。その例を挙げると、例えばデカンタではCR型デカンタ、液圧型デカンタ(共にタナベウィルテック(株)製)、横型スーパーデカンタ(巴工業(株)製)、KVZ−S型デカンタ(三菱化工機(株)製)等が挙げられ、分離板型では弁排出型遠心分離機(三菱化工機(株)製)等が挙げられる。さらに、デコーン型ではデコーン(タナベウィルテック(株)製)が挙げられ、連続押出型ではVP型連続遠心分離機(タナベウィルテック(株)製)、プッシャーセントリフュージ(三菱化工機(株)製)等が挙げられ、連続排出型ではVC型連続遠心分離機(タナベウィルテック(株)製)等が挙げられる。
【0018】
上記の連続式遠心分離機の中でも、デカンタは、難濾過性の有機化合物を扱う場合に特に有効であり、本実施形態の連続式遠心分離機として用いることが好ましい。先に述べたように、通常の工業的なスケールで晶析を行う場合には、結晶を固液分離するために回分式遠心濾過機を用いることが多いが、回分式遠心濾過機は、濾過性の悪い結晶を濾過するには作業時間を多く必要とするために生産性が大きく低下し、不適当である。これに対し、連続式遠心分離機、特にデカンタを用いた場合には、結晶の濾過性に作業性が依存しないため、濾過性の悪い結晶を扱う場合であっても連続的な固液分離が可能となり、回分式遠心濾過機に比べて大幅に生産性を向上させることができる。
連続式遠心分離器を使用する際、遠心効果(G)は、その機種及び分離する対象物によって各々異なるが、デカンタ等の遠心沈降型の場合には、通常500Gから6000G、好ましくは2000Gから5000Gの範囲で用いられる。また、遠心濾過型の場合には、通常10Gから1000G,好ましくは100Gから700Gの範囲で用いられる。
【0019】
デカンタは、例えば通常の晶析槽で攪拌翼により晶析した結晶に対しても使用が可能であるが、この方式で晶析した場合、ラインミキサで晶析した結晶に比べ良溶媒に対する貧溶媒の混合比率が変化してしまい、結晶の粒度分布のばらつきが大きくなる。このため、粒子径の小さい結晶がデカント時に濾液の方に逃げてしまうことが多い。一方、ラインミキサで晶析した結晶は粒度分布のばらつきが小さく、粒子径の小さい結晶が少ないため、デカント時のロスが少ない。この点においてもラインミキサとデカンタの組み合わせは非常に有効である。
【0020】
連続式遠心分離機によって分離された目的物は、そのまま乾燥処理や次工程のための溶液化を行っても良いが、デカンタを用いた場合、一般的に遠心濾過機よりもケークの脱液率が低くなりやすい。ケークの高脱液率を求める場合には、デカンタで処理したケークをさらに遠心濾過機等で処理することによりケークの脱液率を高めることができる。この場合であっても、母液の大部分をデカンタで連続的に留去できるため、遠心濾過機のみで濾過を行うよりも大幅に濾過時間を短縮することができる。
あるいは、上記の方法でデカントした結晶をリスラリー懸濁し、再度デカンタで分離してケークの純度を高めることも可能である。例えば、図1に示すように、本実施形態の分離精製装置1は、連続式遠心分離機5の下流側にラインミキサ7が設けられており、粉体輸送機(モーノポンプ)10を用いてタンク8からこのラインミキサ7に貧溶媒を供給し、連続式遠心分離機5によって得た有機化合物の結晶をリスラリー懸濁して、再び連続式遠心分離機9にてさらに純度の高い有機化合物を得るように構成されている。
【0021】
以上説明したように、本実施形態の有機化合物の分離精製方法及び分離精製装置は、有機化合物の反応溶液に貧溶媒を加えて結晶を析出させる晶析に極めて有効な方法及び装置であり、晶析し得るものであれば広く適用することが可能である。好ましくはさらに結晶を成長させる必要のないものに用いることであり、さらに好ましくは高分子の再沈澱に適用することである。特に、ビニル重合若しくは付加重合反応によって得られた高分子の再沈殿に適用することが好ましい。
以上説明した本実施形態の方法により、常に同じ条件で良溶媒溶液と貧溶媒が混合されるため、目的物を連続的になおかつ均質な結晶で得ることができる。また、分離精製処理のバッチスケールを、晶析槽のスケールではなく反応槽のスケールに合わせることができるため、バッチの生産性が向上する。
【0022】
【実施例】
次に、本発明に係る実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
2000Lの反応容器中で、プロピレングリコールモノメチルエーテルを溶媒に用い、アリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸をそれぞれ7/2/1のモル比率で重合した。30±2℃に保ったこの共重合体溶液1600Lと、熱交換器で20±2℃に温度調節した純水とを各々定量ポンプで2000rpmで回転しているパイプラインミキサ(特殊機化工業(株)製)に1/7の流量比率で送液し、連続して3000Gで回転しているデカンタ(タナベウィルテック(株)製)で固液分離した。得られたケークをモーノポンプで受器に送り、受器内のケーク量が一定量になった時点で遠心濾過機でケークをさらに脱液し、その後乾燥して目的とする共重合体343Kgを得た。その収率は90%であった。また、このときの1バッチあたりの処理時間(バッチサイクル)は18時間であった。
【0023】
(比較例1)
実施例1の1/2.5のスケールで実施例1と同様の反応を行い、得られた共重合体溶液640Lを、予め4480Lの純水を入れた6000Lのパドル翼付再沈殿槽に、80rpmで撹拌しながら30±3℃の温度範囲で3時間かけて滴下した。析出した結晶を遠心濾過機で濾過し、乾燥して目的とする共重合体137Kgを得た。その収率は90%であった。また、このときのバッチサイクルは22時間であった。
実施例1及び比較例1の結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1の結果より、本発明に係る実施例1の方法は、従来の方法である比較例1に比べて、結晶粒度分布がより均一であること、また1バッチ当たりの処理時間が従来法の1/3に短縮可能であることがわかる。その他、比較例1ではこの反応スケールの場合10,000Lの再沈殿槽が必要であったが、実施例1では、再沈殿をラインミキサで連続的に行うことにより再沈殿槽が不要となった。また、比較例1では各工程で全て人手が必要であったが、実施例1では原料の仕込み後から遠心分離までほとんど無人で生産が可能となった。
【0026】
(実施例2)
9000Lの反応容器中で、溶媒にジメチルスルホキシド(DMSO)を用い、ポリビニルアルコールと3モル質量%のフェニルイソシアナートを反応させた。DMSOの半分量のメタノールで希釈した反応液8000Lと、酢酸エチル/メタノールが3/1の体積比の貧溶媒とを、各々定量ポンプで1250rpmで回転しているパイプラインミキサに1/3の流量比率で送液し、さらに連続的に3000Gで回転しているデカンタで固液分離した。分離したケークは、モーノポンプで連続的にもう1台のパイプラインミキサに移送し、別ラインからメタノールを定量ポンプで流速50L/分の流速で同時に送液しパイプラインミキサ内で懸濁混合した。この懸濁混合液はもう1台のデカンタで連続的に固液分離して目的物のポリビニルアルコール706Kgを得た。その粗収率は92%であった。これらの作業は全て連続的に行われ、しかも、原料の仕込みと最後の結晶の取り出し以外は殆ど無人で生産し、反応を含めたバッチサイクルは12時間であった。
【0027】
(比較例2)
実施例2の1/6のスケールで実施例2と同様の反応を行い、同様にメタノール希釈した反応溶液1300Lを、予め2925Lの酢酸エチルと975Lのメタノールを入れた6000Lのファウドラー翼付再沈殿槽に、80rpmで撹拌しながら1.5時間かけて滴下した。再沈殿した目的物を遠心濾過機で濾過し、次いで得られたウェットケークと1555Lのメタノールを3000Lのファウドラー翼付再沈殿槽に入れ、70rpmで30分撹拌し、再度遠心濾過機で濾過した。目的のポリビニルアルコールを113Kg得た。その収率は92%であった。反応時間を含めたバッチサイクルは24時間であった。
実施例2および比較例2の結果を下記表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】
表2の結果より、従来の方法である比較例2に比べて、本発明に係る実施例2は、労働生産性が12倍以上向上したこと、1バッチ当たりの処理時間が従来法の1/12に短縮可能であることがわかる。
【0030】
(実施例3)
3000Lの反応容器で、酢酸エチルを溶媒に用いて、3,5−ビスオクタデシルアミノカルボニルベンゼンスルホニルクロライドを亜鉛で還元した。反応液を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、反応液と0〜5℃に温度調整したアセトニトリルとを各々定量ポンプで1500rpmで回転しているパイプラインミキサに1/3の流量比率で送液し、連続して700Gで回転しているVP型連続遠心分離機(タナベウィルテック(株)製)で固液分離した。これにより得られたケークを乾燥させ、目的とする3,5−ビスオクタデシルアミノカルボニルベンゼンスルフィン酸ナトリウムを226Kg得た。その収率は93.1%であった。
【0031】
(実施例4)
1500Lの反応容器で、4−N−エチル−N−クロロエチルアミノベンズアルデヒドと亜硫酸ソーダとを、ヨウ化ソーダを触媒に用いて反応させた。酢酸エチルで抽出した反応液と15〜20℃に調節したアセトニトリルとを、各々定量ポンプで1500rpmで回転しているパイプラインミキサに1/10の流量比率で送液し、連続して2000Gで回転しているデカンタで固液分離した。これにより得られたケークを乾燥させ、目的とするナトリウム 4−(N−エチル−N−スルフォナトエチルアミノ)ベンズアルデヒドを124Kg得た。その収率は92.0%であった。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の有機化合物の分離精製方法及び分離精製装置は、写真材料、印刷材料、医薬品、種々の添加剤等幅広く利用される有機化合物の製造において、晶析槽等を使用せずに連続的に目的物を均質に晶析し、さらに同時並行して連続的に分離を行うことで工業的な生産効率を大幅に高め、目的物を均質な結晶として得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機化合物の分離精製方法を実施するための分離精製装置の一例を示す概要図である。
【図2】従来の分離精製装置の一例を示す概要図である。
【符号の説明】
1 分離精製装置
2 タンク
3 タンク
4 ラインミキサ
5 連続式遠心分離機(デカンタ)
6 ポンプ
7 ラインミキサ
8 タンク
9 連続式遠心分離機(デカンタ)
10 粉体輸送機(モーノポンプ)
Claims (4)
- 有機化合物を含有する良溶媒溶液と、前記有機化合物に対する貧溶媒とを、ラインミキサで攪拌して、前記有機化合物を晶析させ、前記攪拌と連続した工程にて、前記晶析した有機化合物を連続式遠心分離機で分離することを特徴とする有機化合物の分離精製方法。
- 請求項1に記載の有機化合物の分離精製方法において、前記有機化合物は、高分子化合物であることを特徴とする有機化合物の分離精製方法。
- 有機化合物を含有する良溶媒溶液中の前記有機化合物を分離精製するための装置であって、前記良溶媒溶液と、前記有機化合物に対する貧溶媒とを攪拌するラインミキサと、前記ラインミキサによって攪拌された溶液中に晶析した有機化合物を、前記溶液から連続的に分離させる連続式遠心分離機とを備えていることを特徴とする有機化合物の分離精製装置。
- 請求項3に記載の有機化合物の分離精製装置において、前記連続式遠心分離機はデカンタであることを特徴とする有機化合物の分離精製装置。
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