JP2004222570A - 糖化タンパク質測定用プロテアーゼ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/Lである及び/又は、500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼを用いる。糖化タンパク質を測定する場合に、ブランクを小さくしてより正確に糖化タンパク質が測定できるようになる。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖化タンパク質を酵素を用いて測定する場合に使用される、有用なプロテアーゼに関する。より詳細には、糖化ヘモグロビン、糖化アルブミンのごとき糖化タンパク質の定量に有効なプロテアーゼ、それを用いた試薬及び測定方法に関するものである。本発明は臨床検査の分野において有用である。
【0002】
【従来の技術】
近年、糖尿病患者は爆発的に増加しており、糖化ヘモグロビン(以下、ヘモグロビンA1C又はHbA1Cという)、グリコアルブミン、フルクトサミン、1.5アンヒドログルシトールなどの血糖コントロールマーカー測定の需要が増加している。なかでもタンパク質中の糖化タンパク質割合で示されるHbA1C、グリコアルブミンは、個人差が少なく、タンパク質濃度の影響を受けないことから、多用されている。HbA1C、グリコアルブミンはこれまで高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)や免疫法で測定されてきたが、最近、大量検体を迅速に処理することが可能であり、かつ正確な酵素法が開発されてきた(特許文献1、2等)。また、本発明者らも正確に糖化タンパク質を測定する目的で、プロテアーゼのグロブリン成分への作用を選択的に阻害する方法(特許文献3)、糖化タンパク質割合の測定方法(特許文献4)を開発してきた。
【0003】
酵素を用いた測定方法は、安価で正確に測定できる方法であるが、限られた時間内に反応を終了させるには大量のプロテアーゼを作用させる。しかしながら市販のプロテアーゼは大量に作用させた場合に、プロテアーゼに含まれる物質が原因と考えられるブランクがつくことから問題が多かった。そこで本発明者らはカタラーゼを用いたブランク上昇の回避方法を開発してきた。しかしながらこの方法はあくまで対処療法であり、ブランクの原因解明はなされておらず、プロテアーゼを高濃度に使用した場合にはやはりブランクが生じる問題は回避できなかった。
【0004】
【特許文献】
【特許文献1】
特開平6−46846号公報
【特許文献2】
特開平5−192193号公報
【特許文献3】
特開2001−54398号公報
【特許文献4】
特開2001−20449号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記したようにプロテアーゼを大量に使用するとプロテアーゼのブランクが問題となる。本発明の課題は糖化タンパク質を測定するにあたり、糖化タンパク質をプロテアーゼを用いて測定する場合に、高濃度に使用してもブランクのつかないプロテアーゼ、それを用いた測定方法及び測定試薬を提供することにある。さらに具体的には臨床生化学検査における有用なプロテアーゼ、それを用いた糖化タンパク質の測定方法及び測定試薬を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明者は、プロテアーゼ中に存在するブランク上昇物質の特定を試み、その除去方法を検討した。
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、プロテアーゼ中のブランクを上昇させる物質はプロテアーゼに含まれる色及び糖化アミノ酸を初めとするケトアミンであることをつきとめた。そこで本発明者は透析や塩析、クロマトグラフィー、ケトアミンオキシダーゼ処理等により効果的にケトアミンを除去できること、また色については活性炭処理により効果的に除去できることを見出し本発明の完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
1)10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/Lである及び/又は、500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼ。
2)プロテアーゼに不純物として存在するケトアミン及び/又は着色物質の含量を減少せしめた、10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/L及び/又は500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼ。
3)ケトアミン含量の減少を、プロテアーゼ溶液を硫安で沈澱させ、沈殿物を透析して行う上記2)に記載のプロテアーゼ。
4)着色物質含量の減少を、プロテアーゼ溶液を活性炭処理し、通過液を透析して行う上記2)に記載のプロテアーゼ。
5)バチルス属由来上記1)〜4)のいずれかのプロテアーゼ。
6)10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/Lである及び/又は、500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼを用いることを特徴とする糖化タンパク質の測定方法。
7)プロテアーゼがバチルス属由来のものである上記6)の方法。
8)糖化タンパク質が糖化ヘモグロビン若しくは糖化アルブミンである上記6)または7)の方法。
9)10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/Lである及び/又は、500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼを含むことを特徴とする糖化タンパク質測定用試薬。
10)プロテアーゼがバチルス属由来のものである上記9)の試薬。
11)糖化タンパク質が糖化ヘモグロビン若しくは糖化アルブミンである上記9)又は10)の試薬。
に関する。
さらに詳しくは、臨床生化学検査における糖化蛋白質の測定に有用なプロテアーゼ、それを用いる測定方法及び測定試薬に関する。
【0009】
以下本発明の構成及び好ましい形態について更に詳しく説明する。
本発明におけるケトアミンとはメイラード反応により生じるアマドリ化合物のことを指し、糖とアミノ基を有する化合物の反応生成物であれば良く、例えば糖化アミノ酸、糖化エタノールアミン等が挙げられる。
【0010】
本発明に使用しうるプロテアーゼとしては、臨床検査に使用できるものであればいかなる種類プロテアーゼを用いても良い。特に糖化タンパク質を測定する場合には、被検液に含まれる糖化蛋白質に有効に作用し、かつ当該蛋白質由来の糖化アミノ酸及び/若しくは糖化ペプチドを有効に生成するものであればいかなるものを用いても良いが、例えばトリプシン(Trypsin)、キモトリプシン(Chymotrypsin)等の動物由来のプロテアーゼ、パパイン(Papain)、ブロメライン(Bromelain)等の植物由来のプロテアーゼ、微生物由来のプロテアーゼ等が挙げられる。
【0011】
微生物由来のプロテアーゼの例としては、ズブチリシン(Subtilisin)等に代表されるバチルス(Bacillus)属由来プロテアーゼ、プロテアーゼタイプ−XIII(シグマ社製)等に代表されるアスペルギルス(Aspergillus)由来プロテアーゼ、PD酵素(キッコーマン社製)等に代表されるペニシリウム(Penicillium)由来プロテアーゼ、プロナーゼ(Pronase)等に代表されるストレプトマイセス(Streptomyces)由来プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼLys−c(シグマ社製)等に代表されるリソバクター(Lysobacter)由来プロテアーゼ、プロテイナーゼA(ProteinaseA;シグマ社製) 等に代表される酵母(Yeast)由来プロテアーゼ、プロテイナーゼK(Proteinase K;シグマ社製)等に代表されるトリチラチウム(Tritirachium)由来プロテアーゼ、アミノペプチダーゼT(AminopeptidaseT;ベーリンガー・マンハイム社製)等に代表されるサーマス(Thermus)由来プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼAsp−N(EndoproteinaseAsp−N;和光純薬社製)等に代表されるシュードモナス(Pseudomonus)由来、リジルエンドペプチダーゼ(Lysylendopeputidase和光純薬社製)等に代表されるアクロモバクター(Achromobacter)由来プロテアーゼが挙げられる。これらの具体的な例は1例に過ぎず、なんら限定されるものではない。
【0012】
本発明に用いることの出来るプロテアーゼの活性測定法はカゼインフォリン法を用いた。活性の定義は、1分間−37℃において1μgのチロシンに相当する発色を1Uとした。
【0013】
本発明に使用しうるプロテアーゼのケトアミンの含有量としては、含有量が少ないものが好ましく、例えば10000U/mlのプロテアーゼ水溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/Lであれば良く、0.0〜1.0μmol/Lが好ましい。プロテアーゼからのケトアミンの除去は各種クロマトグラム、塩析、透析等で除去することが可能であるが、特に硫安沈殿、透析が効果的である。
【0014】
また本発明に使用しうるプロテアーゼの色は、極力無いものが好ましいが、例えば10000U/mlのプロテアーゼ水溶液の500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであれば良く、0〜10mAbsが好ましい。プロテアーゼからの色の除去は各種クロマトグラム、塩析、透析、活性炭処理等で除去することが可能であるが、特に活性炭処理が効果的である。
尚、ケトアミン含有量、色調共に低いものが最も好ましい。
【0015】
本発明の測定対象である糖化タンパク質としては、例えば糖化アルブミンまたは糖化ヘモグロビンが挙げられるが、測定対象となる糖化蛋白質は何らこれらに限定されるものではなく、何れの糖化タンパク質を測定しても良い。
【0016】
本発明を用いて糖化タンパク質を測定する場合のプロテアーゼの濃度としては0.1U〜1MU/mlの濃度で使用すれば良く、好ましくは1U〜500KU/ml、最も好ましくは5U〜100KU/mlであるがこれ以外の量を用いても良い。
【0017】
本発明のプロテアーゼを用いて糖化タンパク質を測定するには、糖化タンパク質をプロテアーゼを用いて断片化し糖化アミノ酸を生成させ、糖化アミノ酸に作用する酵素をもちいて、糖化アミノ酸を測定すればよい。糖化アミノ酸に作用する酵素としてはデヒドロゲナーゼ、キナーゼ、オキシダーゼが知られているが、オキシダーゼが最も良く知られており使用しやすい。
【0018】
本発明に使用しうるケトアミンオキシダーゼとしては糖化アミノ酸及び/または糖化ペプチドに良好に作用し、過酸化水素を生成するケトアミンオキシダーゼであればいかなる酵素を用いても良いが、糖化アルブミンを測定対象とする場合には、εアミノ基が糖化されたε糖化アミノ酸若しくはペプチドに作用する酵素が好ましく、糖化ヘモグロビンを測定対象とする場合には、αアミノ基が糖化されたα糖化アミノ酸若しくはペプチドに作用する酵素が好ましい。
【0019】
εアミノ基が糖化された糖化アミノ酸に作用する酵素の例としては、ギベレラ(Gibberella)属、アスペルギルス(Aspergillus )属、カンジダ(Candida)属、ペニシリウム(Penicillium )属、フサリウム(Fusarium)属、アクレモニウム(Acremonium)属又はデバリオマイゼス(Debaryomyces)属由来のケトアミンオキシダーゼ等が挙げられる。
【0020】
αアミノ基が糖化された糖化アミノ酸若しくはペプチドに作用する酵素の例としては、上記アミノ基が糖化された糖化アミノ酸に作用する酵素及びコリネバクテリウム(Corynebacterium)由来の酵素が挙げられる。
また、αアミノ基が糖化された糖化アミノ酸若しくはペプチドに特異的に作用し、実質的にεアミノ基が糖化された糖化アミノ酸には作用しない酵素としてはコリネバクテリウム(Corynebacterium)由来の酵素が知られている。一方εアミノ基が糖化された糖化アミノ酸若しくはペプチドに特異的に作用し、実質的にαアミノ基が糖化された糖化アミノ酸には作用しない酵素としては遺伝子操作フルクトサミンオキシダーゼ(FODVII;旭化成社製;PCT/JP02/0072)が知られている。
【0021】
さらに、αアミノ基及びεアミノ基が糖化された糖化アミノ酸若しくはペプチドに作用し、プロテアーゼと共存させた状態でも充分な活性を有する酵素の例としては、遺伝子組み替え型フルクトサミンオキシダーゼ(FODII;旭化成社製)が挙げられる。
【0022】
糖化アミノ酸に作用する酵素の活性は特開2001−20449号公報(糖化タンパク質割合測定方法)記載の方法にて測定し、37℃−1 分間に1μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義した。
【0023】
本発明を用いて糖化タンパク質を測定する場合のケトアミンに作用する酵素の濃度としては0.01U〜1KU/mlの濃度で使用すれば良く、好ましくは0.1U〜500U/ml、最も好ましくは0.5U〜200U/mlであるがこれ以外の量を用いても良い。
【0024】
かくして本発明のプロテアーゼを用いて被検液中の糖化タンパク質を測定する場合には、一定量の被検液0.1〜1000μl程度に、プロテアーゼ含有試薬1μl〜10ml程度を、例えば37℃にて1〜500分程度反応させ、次いでケトアミンに作用する酵素を含有する試薬1μl〜10ml程度を、例えば37℃にて1〜500分程度反応反応させ、レートアッセイを行う場合には、反応開始後一定時間後の2点間の数分ないし数十分間、例えば3分後と4分後の1分間、または3分後と8分後の5分間における変化した補酵素、溶存酸素、過酸化水素若しくはその他生成物の量を直接または間接的に前記の方法で測定すれば良く、エンドポイントアッセイの場合には反応開始後一定時間後の変化した補酵素、溶存酸素、過酸化水素若しくはその他生成物の量を同様に測定すれば良い。この場合既知濃度の糖化蛋白質を用いて測定した場合の吸光度等の変化と比較すれば被検液中の糖化蛋白質の量を求めることができる。
【0025】
また、本発明に使用しうる糖化タンパク質測定試薬としては、本発明のプロテアーゼを含有するものとして調整すれば良く、例えば液状品及び液状品の凍結物あるいは凍結乾燥品として提供できる。さらに例えば界面活性剤、塩類、緩衝剤、pH調製剤や防腐剤などを適宜選択して添加しても良い。
また本発明を、電極等を用いた、例えば過酸化水素の定量に応用することも可能である。
【0026】
妨害物質の消去系を組み込む場合、例えば遊離のケトアミンを消去した後に糖化タンパク質を測定する場合は、第一試薬にケトアミンオキシダーゼ含有試薬を用い、第二試薬にプロテアーゼ及びカップラーを処方すれば良い。アスコルビン酸、過酸化水素の消去系を組み込む場合には、第一試薬のケトアミンオキシダーゼ含有試薬に例えばアスコルビン酸オキシダーゼ、パーオキシダーゼ等を処方すれば良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
ついで、本発明の実施例を詳しく述べるが、本発明は何らこれにより限定されるものではない。
実施例1
1)プロテアーゼの色の除去
市販のバチルス属由来のプロテアーゼ(アルカラーゼ 2.4L;NOVO社製; 2.4AU/g;アンソン/ヘモグロビン法)1Lを、活性炭カラム(2L)に通し、UV280をモニターしタンパク質分画を取得した。タンパク質分画を10mM Tris緩衝液pH7.5に対して冷蔵にて透析、透析液は3回交換し、凍結乾燥し、脱色プロテアーゼを得た。
【0028】
2)プロテアーゼ中のケトアミンの除去
市販のバチルス属由来のプロテアーゼ(アルカラーゼ 2.4L;NOVO社製; 2.4AU/g;アンソン/ヘモグロビン法)1Lを、40%飽和硫安で処理し、沈殿を蒸留水に溶解する。溶解した溶液を10mM Tris緩衝液 pH7.5に透析、濃縮する。再度同じ操作を繰り返し、凍結乾燥しケトアミン除去プロテアーゼを取得した。
【0029】
3)市販のバチルス属由来プロテアーゼ(アルカラーゼ 2.4L;NOVO社製; 2.4AU/g;アンソン/ヘモグロビン法)1Lを、活性炭カラムに通し、タンパク分画を取得、10mM Tris緩衝液 pH7.5に対して冷蔵にて透析(透析液は3回交換)した。これに2)と同じ操作を行い、脱色、脱ケトアミンプロテアーゼを得た。
それぞれのプロテアーゼの性能評価結果を表1に示す。色調は550nmの吸光度の測定で、ケトアミン含有量及び試薬ブランクの測定は以下の試薬及び操作にて行った。
【0030】
【表1】
プロテアーゼの色及びケトアミンの除去(プロテアーゼ10KU/ml溶液中の濃度)
【0031】
<ケトアミン測定試薬>
50mM Tris 緩衝液 pH7.5 (和光純薬社製)
0.02% 4アミノアンチピリン (和光純薬社製)
0.02% TOOS (和光純薬社製)
5U/ml ケトアミンオキシダーゼ (旭化成社製)
5U/ml パーオキシダーゼ (シグマ社製)
【0032】
<ケトアミン測定法>
上記ケトアミン測定試薬1mlを37℃にインキュベートし、試料20μlを加え反応を37℃5分間行った。反応終了後1%SDS 1mlを添加し反応を停止し555nmを測光(A0)した。一方、試料の代わりに蒸留水を用いてブランクの吸光度を測定し、ブランク引きの試料の感度(A−ブランクA)を求めた。別途ケトアミン標準品(糖化Zリジン;ハシバらの方法により合成、精製した。HashibaH, J.Agric. Food Chem.24:70,1976)で検量線を作成し、ケトアミン濃度を算出した。
【0033】
<プロテアーゼの色の測定>
プロテアーゼ凍結乾燥品の活性を測定し、10KU/mlになるように溶解し550nmの吸光度を測定した。
【0034】
<糖化タンパク質測定試薬>
【0035】
<糖化タンパク質測定法>
上記プロテアーゼ含有試薬180μlおよび血清、血漿、全血等の血液試料9μlをセルに分注し37℃−5分間インキュベーションし555nmを測光(A0)した。続いてケトアミンオキシダーゼ含有試料180μlを添加し37℃−5分間インキュベーションし555nmを測光し(A1)、試料の吸光度変化(ΔA=A1−A0)を求めた。一方、試料の代わりに蒸留水を用いて試料ブランク(ブランクΔA=A1ブランク−A0ブランク)を測定し、ブランク引きの試料の感度(ΔA−ブランクΔA)を求めた。
【0036】
プロテアーゼの精製の結果を表1し示す。表1の様に色を除く場合、活性炭処理が有効であり、ケトアミンを除く場合は硫安処理が有効であった。
【0037】
実施例2
<プロテアーゼ中の色及びケトアミン濃度の試薬ブランクに及ぼす影響>
実施例1の精製プロテアーゼを適宜混合してプロテアーゼ中の色及びケトアミン濃度の試薬ブランクに及ぼす影響を調べた。色の検討を行う場合は2)硫安処理のものと3)の活性炭処理+硫安処理のものを活性値で一定比率で混合し、その混合プロテアーゼを用いて試薬ブランクを測定した。また、ケトアミン濃度の検討を行う場合は1)活性炭処理のものと3)の活性炭処理+硫安処理のものを活性値で一定比率で混合し、その混合プロテアーゼを用いて試薬ブランクを測定した。試薬の調整方法、操作法は実施例1に同じ。また、それぞれの混合プロテアーゼの色及びケトアミン含有量は、実施例1と同じ方法で測定した。結果を図1、図2に示す。
【0038】
図1から分かるようにプロテアーゼ中の色は試薬ブランクに影響を与える。一方本糖化タンパク質測定試薬に於ける健常者血清の吸光度は約50mAbsであるから、再現性よく測定するには、ブランクをその半分の25mAbs以下に押さえると良いことが我々の検討では分かっている。よって再現性良く測定を行うための10000U/ml中のプロテアーゼ溶液中の色は500nm〜700nmの吸収が0〜20mAbsであれば良い。ちなみにプロテアーゼの500nm〜700nmの吸収は、特別青色がついていない限り、一般的に小さくほぼ一定である。
【0039】
また、図2から分かるようにプロテアーゼ中のケトアミンは試薬ブランクに驚くほど影響を与える。色と同じように試薬ブランクを25mAbs以下に設定すると、10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン濃度は2μmol/L以下であればよいことになる。ちなみにこの評価は10000U/mlと非常に高濃度にプロテアーゼを溶解した場合の結果であり、1U/mlの濃度ならば2pmol/L以下となり通常とても測れる濃度ではない。このように考えられないほど低濃度のケトアミンが実際の糖化タンパク質の測定に試薬ブランクとして影響を与えることが判明した。これは新しい知見である。
【0040】
実施例3
<本発明のプロテアーゼを用いた糖化アルブミンの測定>
実施例1の3)のプロテアーゼを用いて、実施例1の糖化タンパク質測定試薬を作成し、試料中の糖化アルブミンを測定した。測定感度から糖化アルブミン濃度への換算は市販の糖化アルブミンキャリブレーター(旭化成社製)を用いて行った。また別途アルブミン試薬(アルブミンII−HAテストワコー;和光純薬社製)にてアルブミンを測定し、測定値は糖化アルブミン割合として算出した。
【0041】
<HPLC法>
グリコアルブミン計(GAA−2000;アークレイ社製)使用
<試料> 健常者血清5検体、患者血清5検体
<反応手順>
糖化タンパク測定試薬の操作法は実施例1に同じ。アルブミンの測定はアルブミン測定キット(アルブミンII−HAテストワコー; 和光純薬社製)の用法用量に従って測定した。その結果を図3に示す。
図3から分かるように、本発明のプロテアーゼを用いて正確に糖化アルブミンを測定できることが明らかであった。
【0042】
実施例4
<本発明のプロテアーゼを用いた糖化ヘモグロビンの測定>
本実施例1と同じ方法でストレプトマイセス属由来プロテアーゼ(プロテアーゼタイプXIV;シグマ社製)を精製し使用した。
【0043】
【0044】
<試料> 市販ヘモグロビン(シグマ社製)50mg/ml
HbA1C値はHbA1c測定装置(アークレイ社製)にて測定した。
<反応手順>
上記R1試薬0.9mlおよび試料90μlを混合し、37℃−2時間反応させた。分子量1万カットの膜で濾過し、ろ液をプロテアーゼ反応溶液とした。プロテアーゼ反応溶液189μlをセルに分注し555nmを測光した(A0)。続いてR2試薬180μlを添加し37℃−5分間インキュベーションし555nmを測光した(A1)。ブランクの測定は、試料に蒸留水を用いてブランクの吸光度変化(ブランクΔA=A1ブランク−A0ブランク)を測定した。また試料に検体及び糖化ヘモグロビン値既知の試料を用いて感度(感度ΔA=(A1−A0)−ブランクΔA)を求め、糖化ヘモグロビン濃度を算出した。さらに糖化ヘモグロビン濃度をヘモグロビン濃度で除し、糖化ヘモグロビン値を算出した。その結果を図4に示す。
図4から分かるように、HPLC法と酵素法の値が一致し、正確にグリコヘモグロビンを測定していることが明白であった。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2に基づくプロテアーゼ中のケトアミン含有量と試薬ブランクとの関係を示す。
【図2】実施例2のに基づくプロテアーゼ中の色と試薬ブランクとの関係を示す。
【図3】実施例3の酵素法とHPLC法による血清の糖化アルブミン測定値の相関を示す。
【図4】実施例4の酵素法とHPLC法による糖化ヘモグロビンの測定の相関を示す。
Claims (11)
- 10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/Lである及び/又は、500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼ。
- プロテアーゼに不純物として存在するケトアミン及び/又は着色物質の含量を減少せしめた、10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/L及び/又は500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼ。
- ケトアミン含量の減少を、プロテアーゼ溶液を硫安で沈澱させ、沈殿物を透析して行う請求項2に記載のプロテアーゼ。
- 着色物質含量の減少を、プロテアーゼ溶液を活性炭処理し、通過液を透析して行う請求項2に記載のプロテアーゼ。
- プロテアーゼがバチルス属由来のものである請求項1〜4のいずれかに記載のプロテアーゼ。
- 10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/Lである及び/又は、500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼを用いることを特徴とする糖化タンパク質の測定方法。
- プロテアーゼがバチルス属由来のものである請求項6に記載の方法。
- 糖化タンパク質が糖化ヘモグロビン若しくは糖化アルブミンである請求項6または7に記載の方法。
- 10000U/mlのプロテアーゼ溶液中のケトアミン含有量が0.0〜2.0μmol/Lである及び/又は、500〜700nmの吸光度が0〜20mAbsであるプロテアーゼを含むことを特徴とする糖化タンパク質測定用試薬。
- プロテアーゼがバチルス属由来のものである請求項6に記載の試薬。
- 糖化タンパク質が糖化ヘモグロビン若しくは糖化アルブミンである請求項7または8に記載の試薬。
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