JP4260542B2 - 高分子中のケトアミンの測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子中のケトアミン濃度を正確に測定する方法であって、診療の現場で、正確に高分子中ケトアミン濃度を測定する方法、その方法に使用する測定装置、及び測定のためのキットに関する。さらに、具体的には試料中の糖化タンパク質や糖化脂質を、診療現場で、正確、簡便、迅速に測定する方法、その方法に使用する測定装置、及び測定のためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病の診断、管理および予防を行う上で糖化タンパク質及び糖化脂質の濃度測定は非常に重要である。中でも糖化ヘモグロビン、糖化アルブミンは血糖コントロール状態を正確に反映することから臨床の現場でなくてはならない指標として多用されている。これらの糖化タンパク質、糖化脂質の定量法としては、通常電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィ法、アフィニティクロマトグラフィ法、免疫法及び酵素法が知られている。近年では大量検体を迅速、大量、正確、安価に測定できることから酵素法が多用され始めている。酵素法としては糖化たんぱく質に存在するケトアミンを測定する方法がもっとも多く用いられており、本発明者等もケトアミンオキシダーゼを用いた糖化アルブミンの測定方法を開発してきた(特許文献1、2、3)。
【0003】
これまで知られている高分子中のケトアミンを測定する方法は大型の生化学自動分析計を用いた方法が主流である。しかし生化学自動分析装置は高価であり、少量の検体しか分析する必要のない診療所や中小規模の病院では使用することは困難である。そこで安価、簡便に高分子中のケトアミンを測定する装置が望まれている。これまで糖化ヘモグロビン及び糖化アルブミンの診療現場で安価に測定できる酵素法を用いた装置は知られていない。
【0004】
さらに生体中、特に血液中にはアミノ基を有する化合物およびグルコースが常に存在し常にケトアミンが生成する可能性がある。通常これらのケトアミン生成量は血液中に存在する高分子に結合しているケトアミンに比べて極めて少なく、高分子中のケトアミンたとえば糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン、糖化脂質を測定する上で問題にはならない。しかし、サプリメントや輸液により大量のグルコースのような還元糖、アミノ基を有する化合物もしくはケトアミンそのものが供給された場合には無視できなくなる。そこで本発明者らは試料中のケトアミンを消去する方法を開発し、特に生化学自動分析装置を用いて大量検体大量処理を目的とした試薬に応用してきた(特許文献3)。
【0005】
これまでのケトアミンを消去する方法は、まず消去反応を行い、ついでケトアミンを測定する2段反応であり、現場で安価、簡便に測定できる装置に応用するには反応系が複雑になりすぎる欠点があった。試料中のケトアミンを消去する方法を組み込んだ診療現場で安価、簡便に測定する装置の例はない。
【0006】
特許文献 1)特開2001-54398号公報
特許文献 2)特開2001-204495号公報
特許文献 3)WO 02/061119号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、診療現場で正確、簡便、安価に試料中の高分子に含まれるケトアミンを測定する方法、その測定に使用する装置、及び測定のためのキットを提供することにある。また、低分子ケトアミンの影響を受けずに、試料の高分子中のケトアミンを、診療現場で、酵素を用いて正確、簡便、安価に測定する方法、その測定に使用する装置、及び測定のためのキットを提供することにある。さらに詳しくは、臨床生検査、特に糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン、糖化リン脂質の測定に有用な測定方法、測定装置、測定キットを大量、安価に提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、高分子中のケトアミンを測定する様々な方法を用いて、診療現場で測定できる方法を検討した。その結果本発明者らは、酵素法を用いて高分子中のケトアミン濃度を測定し、その値を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子濃度に変換し、別途高分子濃度を測定し、高分子中に含まれる少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の割合を求める方法が最も正確、簡便、安価に高分子中のケトアミンを測定できることを見出した。
【0009】
さらに本発明者らは、万が一血液中に低分子ケトアミンが混入していても正確に高分子中のケトアミンを測定できるように改良を検討した。まず本発明者らがこれまでに開発した大型生化学自動分析装置に向いた方法、つまり、消去反応を行い、ついでケトアミンを測定する方法を検討したが、やはり現場で安価、簡便に測定できる装置に応用するには反応系が複雑になりすぎ技術的に困難であった。そこで本発明者らは鋭意検討の結果、意外にも試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子中のケトアミン濃度を測定し、別途低分子ケトアミン濃度を測定し、その差をとること及びこの測定の工程をセットにした簡便な専用装置を作成することにより、極めてシンプルでかつ、安価、正確に、診療現場で高分子中のケトアミンを測定することができることを見出し本発明の完成に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
1)A)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程、B)A)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程、C)試料中の高分子濃度を測定する工程、D)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算する工程を含む高分子中のケトアミンの測定方法。
2) A)試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程、B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程、C)真の高分子中に存在するケトアミン濃度を計算する工程、D)C)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程、E)試料中の高分子濃度を測定する工程、F)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算する工程を含む高分子中のケトアミンの測定方法。
3) 高分子がアルブミンまたはヘモグロビンである1)または2)に記載の方法。
4) アルブミンまたはヘモグロビンの測定方法が比色法である3)に記載の方法。
5) 固相上に保持された試薬もしくは酵素を用いる、または微細な流路を用いて試薬もしくは酵素と試料の反応を行う1)〜4)のいずれかに記載の方法。
【0011】
6) 高分子中の低分子ケトアミン検出チップ及び高分子検出チップよりなる測定チップと測定チップの発色を測定する光学系からなる糖化高分子測定装置。
7)低分子ケトアミン検出チップ、高分子中の低分子のケトアミン検出チップ及び高分子検出チップよりなる測定チップと測定チップの発色を測定する光学系からなる糖化高分子測定装置。
8) 高分子がアルブミンまたはヘモグロビンである6)または7)に記載の装置。
9) アルブミンまたはヘモグロビンの測定を行う検出部が比色により検出を行う8)に記載の装置。
10) 試薬または酵素を含む固相、または試料と反応を行うための微細な流路を有する6)〜9)のいずれかに記載の装置。
【0012】
11) A) 試料中の低分子ケトアミンを測定する試薬、B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する試薬、C)試料中の高分子を測定する試薬、より成る高分子中のケトアミンを測定するキット。
12) 高分子がアルブミンまたはヘモグロビンである11)に記載のキット。
13) アルブミンまたはヘモグロビンの測定試薬発色色素を含む12)に記載のキット。
【0013】
本発明は、上記したように試料中の高分子中に含まれるケトアミンを診療現場で正確、簡便、かつ安価に測定する方法、この方法に使用する測定装置、測定のためのキットに関する。さらに詳細には試料中の低分子ケトアミンの影響を受けずに、高分子中のケトアミンを、診療現場で、酵素を用いて正確、簡便、かつ安価に測定する方法、測定装置、及び測定キットに関する。
【0014】
以下、この発明の構成及び好ましい形態について更に詳しく説明する。
(ケトアミン)
本発明に於ける『ケトアミン』とは、下記の一般式(1)
-(CO)-CHR-NH-(Rは、水素原子か水酸基を示す)で表されるケトアミン構造を有する化合物で、具体的には、アマドリ化合物またはアマドリ化合物の分解物である。
また『低分子ケトアミン』とはアミノ酸、ペプチド、エタノールアミン等のいわゆる蛋白質や脂質などの高分子にくらべて比較的低分子であるアミノ基を有する化合物のアマドリ化合物のことを言い、糖化アミノ酸、糖化ペプチド及び糖化エタノールアミン等が含まれる。
(高分子)
本発明に於ける高分子とは、例えば脂質やタンパク質等の分子量の大きな物質のことを指し、アミノ基が存在し、このアミノ基が糖化反応を受けたケトアミン構造を生じる物質であればいずれの物質でも良い。例えばタンパク質の具体例としてはアルブミン、ヘモグロビン等があり、脂質の具体例としては、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。
【0015】
一方、本発明における『高分子ケトアミン』とは蛋白質や脂質などの高分子中のアミノ基が糖化反応をうけ生じたアマドリ化合物のことを言い、たとえば糖化アルブミン、糖化ヘモグロビンおよび糖化脂質、たとえば糖化ホスファチジルエタノールアミンや糖化ホスファチジルセリン等が含まれる。
【0016】
(試料)
本発明の『試料』としては、測定対象となるケトアミンが結合した高分子が血球中に存在する場合、たとえば糖化ヘモグロビンを測定するときは、全血、血球もしくは溶血操作を行った全血、血球を使用することができ、また測定対象となる高分子が血清中に存在する場合、たとえば糖化アルブミンや糖化リン脂質を測定するときには、全血、血清、血漿を用いることができるが、診療現場で迅速に測定する目的から、全血を用いることが好ましい。
【0017】
また、血球中の高分子中のケトアミンを測定する場合に、試料として全血、血球を用いるときには、測定をする前に、もしくは同時に効率的に溶血されることが望ましい。溶血の方法としては公知の方法、たとえば生理的浸透圧と異なる水溶液と混合する方法や界面活性剤と混合するなどの方法を用いて行えばよい。
【0018】
一方、血清の高分子中のケトアミンを測定する場合に、試料として全血を用いる場合には、測定をする前に血球分離をしておくことが望ましい。血球分離の方法としては膜を用いて血球を分離する方法が一般的である。
【0019】
(試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程、試薬及び反応検出部)
本発明の試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程に用いることが出来る方法としてはまず、試料中の高分子を低分子に分解し、ついで試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程を行えば良い。
試料中の高分子を低分子に分解する方法としては測定対象とする高分子がリン脂質である場合にはホスフォリパーゼを用いて低分子のケトアミンを生成せしめればよく、高分子がタンパク質である場合にはプロテアーゼを用いて低分子のケトアミンを生成させればよい。
【0020】
高分子がリン脂質である場合に、本発明に用いることができるホスフォリパーゼは糖化リン脂質を加水分解できる酵素であればよい。また、酵素は目的とする活性が発現すれば精製物であっても非精製物であっても良い。リン脂質を加水分解する酵素としてホスフォリパーゼA、B、C、D が知られておりこれらの酵素は動植物、微生物に幅広く存在している。糖化リン脂質を測定するためにこれらのいずれかの酵素を使用できるが、試薬原料としてはホスフォリパーゼC あるいはホスフォリパーゼ D が好ましく、特にホスフォリパーゼ D が好ましい。
【0021】
本酵素はキャベツ、ピーナッツ、人参等の植物組織や放線菌等の微生物に存在していることが知られ、そのいずれの酵素を使用することができるが、酵素自身の安定性、酵素の安定供給の面から微生物由来の酵素が好ましい。中でも放線菌の1種であるストレプトマイセス・クロモフスクス由来のホスフォリパーゼDが反応性、安定性に優れており特に好ましい。本ホスフォリパーゼ D は糖化ホスファチジルエタノールアミン以外のホスファチジルコリン(レシチン)、リゾレシチン、ホスファチジルセリン等のリン脂質に幅広く作用する性質を有するが糖化リン脂質を分析する上では全く問題は生じない。なお酵素の活性は基質ホスファチジルコリンを37℃において1分間に1μmol分解する活性を1U(単位)とした。
【0022】
試料中の高分子であるリン脂質を低分子に分解するには、通常試料例えば0.01μl〜10mlに溶液、乾燥試薬、固相に保持された状態等の酵素を用いて分解すればよい。溶液状態の酵素を用いる場合には、0.1〜500U/mlの酵素を含む1.0μl〜10mlの試薬に試料を添加する形式にすれば良い。反応のpHは、使用するリパーゼの至適pHを考慮し、反応が効率よく進行するようにpHを選択すればよい。例えばリパーゼにホスフォリパーゼD (旭化成社製)を用いた場合には、本酵素はpH5〜8.5付近でリン脂質分解活性が強いことから反応のpHは5〜8.5を選択できる。
乾燥試薬若しくは固相に保持された状態の酵素を用いる場合にも液状と同様な効果を発揮できる量の酵素を試料に作用させるよう設計すればよい。
【0023】
高分子がタンパク質である場合に、本発明に用いることができるプロテアーゼはタンパク質、例えばアルブミンやヘモグロビンに作用して糖化アミノ酸若しくは糖化アミノ酸を含むペプチドを切り出すプロテアーゼであればいかなるプロテアーゼを用いても良い。また、酵素は目的とする活性が発現すれば精製物であっても非精製物であっても良い。糖化アミノ酸若しくは糖化アミノ酸を含むペプチドとは、好ましくは最終的に低分子ケトアミン構造を認識する酵素にて検出できる長さの糖化アミノ酸又は糖化ペプチドが好ましい。
本発明に使用し得るプロテアーゼの好ましい例としては、例えばトリプシン(Tripsin)、キモトリプシン(Chymotripsin)等の動物由来のプロテアーゼ、パパイン(Papain)、ブロメライン(Bromelain)等の植物由来のプロテアーゼ、微生物由来のプロテアーゼ等が挙げられる。
【0024】
微生物由来のプロテアーゼの例としては、ズブチリシン(Subtilisin)等に代表されるバチルス(Bacillus)属由来プロテアーゼ、プロテアーゼタイプ-XIII(シグマ社製)等に代表されるアスペルギルス(Aspergillus)由来プロテアーゼ、PD酵素(キッコーマン社製)等に代表されるペニシリウム(Penicillium)由来プロテアーゼ、プロナーゼ(Pronase)等に代表されるストレプトマイセス(Streptomyces)由来プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼLys-c(シグマ社製)等に代表されるリソバクター(Lysobacter)由来プロテアーゼ、プロテイナーゼA(ProteinaseA;シグマ社製) 等に代表される酵母(Yeast)由来プロテアーゼ、プロテイナーゼK(Proteinase K;シグマ社製)等に代表されるトリチラチウム(Tritirachium)由来プロテアーゼ、アミノペプチダーゼT(AminopeptidaseT;ベーリンガー・マンハイム社製)等に代表されるサーマス(Thermus)由来プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼAsp-N(EndoproteinaseAsp-N;和光純薬社製)等に代表されるシュードモナス(Pseudomonus)由来、リジルエンドペプチダーゼ(Lysylendopeputidase和光純薬社製)等に代表されるアクロモバクター(Achromobacter)由来プロテアーゼが挙げられる。これらの具体的な例は1例に過ぎず、なんら限定されるものではない。
【0025】
また測定対象が糖化アルブミンである場合にはバチルス属及びストレプトマイセス属の微生物由来プロテアーゼがヒトアルブミンに対する作用が大きい為より好ましく、また測定対象が糖化ヘモグロビンである場合にはバチルス属、アスペルギルス属、ストレプトマイセス属、トリチラチウム属由来のプロテアーゼがヒトヘモグロビンに対する作用が大きい為好ましい。
プロテアーゼの活性測定法はカゼインフォリン法を用いた。活性の定義は、37℃、1分間1μgのチロシンに相当する発色を1Uとした。
【0026】
さらに本発明のプロテアーゼを用いた、試料中の高分子を低分子に分解する工程に使用しうるプロテアーゼとしては、プロテアーゼを単独で使用することができることはもちろんであるが、加えてその反応の前後若しくは同時に他のエンドプロテアーゼ、または他のエキソプロテアーゼを作用させても良い。
【0027】
試料中の高分子を低分子に分解するには、通常試料例えば0.01μl〜10mlに溶液、乾燥試薬、固相に保持された状態等の酵素を用いて分解すればよい。溶液状態の酵素を用いる場合には、0.01〜500KU/mlの酵素を含む1.0μl〜10mlの試薬に試料を添加する形式にすれば良い。反応のpHは、使用するプロテアーゼの至適pHを考慮し、反応が効率よく進行するようにpHを選択すればよい。例えばプロテアーゼにプロテアーゼタイプXXVII(シグマ社製)を用いた場合には、プロテアーゼタイプXXVIIはpH7〜10付近で蛋白質分解活性が強いことから反応のpHは7 〜10を選択できる。
乾燥試薬若しくは固相に保持された状態の酵素を用いる場合にも液状と同様な効果を発揮できる量の酵素を試料に作用させるよう設計すればよい。
【0028】
また、本発明の試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程のうち、低分子ケトアミン濃度を測定する工程に用いることが出来る方法としては、低分子ケトアミンは測定できるが、高分子ケトアミンは直接測定することができない方法を用いれば良く、特に簡便にかつケトアミンに特異性高く検出を行える方法として酵素を用いる方法が好ましい。使用しうる酵素としては低分子ケトアミン構造を認識して作用するデヒドロゲナーゼ、キナーゼ、オキシダーゼ等があげられるが、もっとも安価に大量に入手できるオキシダーゼが好ましい。
【0029】
また、本発明に使用できるケトアミン構造を認識する酵素としては、糖化アミノ酸又は糖化アミノ酸を含むペプチド、及び糖化エタノールアミンのごとき低分子糖化アミンに良好に作用する酵素であれば如何なるものを用いても良いが、目的とする測定対象が糖化ヘモグロビン若しくは糖化ホスファチジルエタノールアミンである場合はαアミノ基が糖化されたアミノ酸に効率的に作用する酵素が好ましく、αアミノ基が糖化されたアミノ酸に特異的に作用しεアミノ基が糖化されたアミノ酸には実質的に作用しない酵素が最も好ましい。
【0030】
また一般にαアミノ基が糖化されたアミノ酸に特異的に作用しεアミノ基が糖化されたアミノ酸には実質的に作用しない酵素は安定性が悪いことから、安定性の高いεアミノ基及びαアミノ基が糖化された糖化アミノ酸の両方に良く作用する酵素を用いて測定しても良く、さらに安定性が高いεアミノ基が糖化されたアミノ酸に特異的に作用する酵素を用いてεアミノ基が糖化されたアミノ酸のみを消去し、安定性の高いεアミノ基及びαアミノ基が糖化された糖化アミノ酸両方に良く作用する酵素を用いてαアミノ基が糖化されたアミノ酸のみを測定しても良い。
【0031】
一方目的とする測定対象が糖化アルブミンである場合はεアミノ基が糖化されたアミノ酸に効率的に作用する酵素が好ましく、εアミノ基が糖化されたアミノ酸に特異的に作用しαアミノ基が糖化されたアミノ酸には実質的に作用しない酵素が最も好ましい。
【0032】
また安定性の高いεアミノ基及びαアミノ基が糖化された糖化アミノ酸両方に良く作用する酵素を用いて測定しても良く、さらにαアミノ基が糖化されたアミノ酸に特異的に作用する酵素を用いてαアミノ基が糖化されたアミノ酸のみを消去し、安定性の高いεアミノ基及びαアミノ基が糖化された糖化アミノ酸両方に良く作用する酵素を用いてαアミノ基が糖化されたアミノ酸のみを測定しても良い。
特異性の点から、最も好ましいケトアミン構造を認識する酵素の例としては、εアミノ基が糖化されたアミノ酸には作用しないαアミノ基糖化アミノ酸特異的な酵素、例えばフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(FAOD):コリネバクテリウム(Corynebacterium) 属由来(FERM P-8245)があげられる。一方εアミノ基及びαアミノ基が糖化された糖化アミノ酸の両方に良く作用する酵素であり安定性が高い酵素としてはギベレラ(Gibberella)属またはアスペルギルス(Aspergillus)属(例えばIFO-6365、-4242、-5710等)由来フルクトサミンオキシダーゼ、カンジダ(Candida )属由来フルクトシルアミンデグリカーゼ、ペニシリウム(Penicillium)属(例えばIFO-4651、-6581、-7905、-5748、-7994、-4897、-5337等)由来フルクトシルアミノ酸分解酵素、フサリウム(Fusarium)属(例えばIFO-4468、-4471、-6384、-7706、-9964、-9971、-31180、-9972等)由来、アクレモニウム(Acremonium)属由来又はデブリオマイゼス(Debaryomyces)属由来ケトアミンオキシダーゼ等のケトアミン構造を認識する酵素が挙げられ、さらに好ましい例としてはプロテアーゼと共存した状態でも十分な活性を有する、遺伝子組み替えケトアミンオキシダーゼ(旭化成社製)が挙げられる。
αアミノ基が糖化されたアミノ酸には作用しないが、εアミノ基糖化アミノ酸特異的な酵素としては、遺伝子改変で作成された遺伝子改変ケトアミンオキシダーゼ(旭化成社製)が挙げられる。
【0033】
糖化アミノ酸に作用する酵素の活性は糖化Zリジン若しくは糖化バリン(ハシバらの方法に従って合成、精製した。(HashibaH,J.Agric.Food Chem.24:70,1976))より、37℃、1分間に1μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義した。
【0034】
また本発明に基づく糖化タンパク質の定量方法に於いて、ケトアミン構造を認識する酵素を用いる場合に、その作用の検出は、例えばデヒドロゲナーゼを用いた場合には補酵素の変化量を、例えば補酵素としてNADを用いて生成される変化の量として還元型補酵素である還元型NADをその極大吸収波長域である340nm付近の波長にて比色計で測定する等公知の技術を用い直接定量するか、若しくは生じた還元型補酵素を各種ジアフォラーゼ、またはフェナジンメトサルフェート等の電子キャリアー及びニトロテトラゾリウム、WST-1、WST-8(以上同人化学研究所社製)に代表される各種テトラゾリウム塩等の還元系発色試薬を用い間接的に定量してもよく、またこれ以外の公知の方法により直接、間接的に測定してもよい。
【0035】
また例えばオキシダーゼを用いた場合には、酸素の消費量または反応生成物の量を測定することが好ましい。反応生成物として、例えばケトアミンオキシダーゼを用いた場合には反応により過酸化水素及びグルコソンが生成し、過酸化水素及びグルコソン共に公知の方法により直接、間接的に測定する事が出来る。
【0036】
上記過酸化水素の量は、例えばパーオキシダーゼ等を用いて色素等を生成し、発色、発光、蛍光等により定量しても良く、また電気化学的手法によって定量しても良く、カタラーゼ等を用いてアルコールからアルデヒドを生成せしめて、生じたアルデヒドの量を定量しても良い。
【0037】
過酸化水素の発色系は、パーオキシダーゼの存在下で4-アミノアンチピリン(4-AA)、3-メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等のカップラーとフェノール等の色原体との酸化縮合により色素を生成するトリンダー試薬、パーオキシダーゼの存在下で直接酸化、呈色するロイコ型試薬(N-(カルボキシメチルアミノカルボニル)-4,4-ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10-(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67);以上和光純薬社製等)等を用いることが出来る。
【0038】
また過酸化水素を電極を用いて測定する場合、電極には、過酸化水素との間で電子を授受することの出来る材料である限り特に制限されないが、例えば白金、金若しくは銀等が挙げられ、電極測定方法としてはアンペロメトリー、ポテンショメトリー、クーロメトリー等の公知の方法を用いることが出来、さらにオキシダーゼまたは基質と電極との間の反応に電子伝達体を介在させ、得られる酸化、還元電流或いはその電気量を測定しても良い。電子伝達体としては電子伝達機能を有する任意の物質が使用可能であり、例えばフェロセン誘導体、キノン誘導体等の物質が挙げられる。またオキシダーゼ反応により生成する過酸化水素と電極の間に電子伝達体を介在させ得られる酸化、還元電流またはその電気量を測定しても良い。
【0039】
酵素を用いて低分子ケトアミンを測定するには、通常試料を例えば0.01μl〜10mlの溶液、乾燥試薬、固相に固定化された状態等の酵素を用いて検出すればよい。溶液状態の酵素を用いる場合には、例えば0.01〜500U/mlの酵素を含む1.0μl〜10mlの試薬に試料を添加すれば良い。乾燥試薬若しくは固相に保持された状態の酵素を用いる場合にも液状と同様な効果を発揮できる量の酵素を試料に作用させるよう設計すればよい。
【0040】
反応のpHは、使用するケトアミン構造を認識する酵素の至適pHを考慮し、反応が効率よく進行するようにpHを選択すればよい。
例えば溶液状態の遺伝子組換フルクトサミンオキシダーゼ(旭化成社製)を用い低分子ケトアミンを測定する場合、最大活性の50%以上の活性を示す領域がpH6.5〜10と広く、反応のpHは6.5〜10を選択できる。
【0041】
本発明の試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する工程に用いることが出来る試薬としては前記試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する方法に必要な主成分が含まれている試薬であれば良く、その形状は、液状、液状の凍結品、乾燥状態、試薬若しくは酵素を保持した固相、酵素を固定化した電極及びその組み合わせ等で供給することが出来る。液状若しくは液状の凍結品を解凍し液状に戻した試薬、乾燥品を液状に調整した試薬を用いる場合には、反応部に外部から供給する仕組みをとっても良く、使い捨てのチップに封入されていても良い。
【0042】
酵素や試薬を乾燥状態で保存する場合に用いる乾燥方法は、酵素活性や試薬の性能が損なわれない方法であれば何れの方法を用いても良く、好ましくは低温で風乾、減圧乾燥若しくは凍結乾燥が好ましい。これらの乾燥酵素若しくは試薬を反応に使用する場合には、適宜蒸留水や緩衝液や試料中に含まれる水分で液状の状態に戻し、測定する方法であれば良い。
【0043】
また、固相に保持された状態の酵素を用いる場合には、使い捨てのチップ若しくは再利用可能な反応部の固相、例えばろ紙やポリマー等の膜状の固相、ポリマー樹脂やセルロース等の粒状の固相等に、公知の方法、前記試薬を乾燥状態で保存する場合と同様の方法、若しくはカップリング試薬を用いて化学的に固定化し、固相に保持させれば良い。
【0044】
試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する反応検出部とは、前記試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する工程を行う装置の反応検出部を指し、例えば微小な流路、反応検出セル、膜若しくは電極表面などの反応部と、反応の結果生じた物質を比色若しくは電極等を用いて検出する検出部を含むことが出来る。
【0045】
(低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程)
低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程とは、試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する工程から得られた低分子ケトアミン測定値を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程であり、また、試料中の低分子ケトアミンを測定し、別途、試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定し、両者の値を比較することにより算出された、真の高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程である。(両者の値を比較することにより算出された、真の高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度については後述する。)
【0046】
さらに具体的には、例えば高分子がアルブミンの場合、少なくとも1個のケトアミンを含む高分子とは糖化アルブミンのことを指し、低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程とはアルブミン中の低分子ケトアミン濃度を糖化アルブミン濃度に変換する工程のことを指す。同様に例えば高分子がヘモグロビンの場合、ヘモグロビン中の低分子ケトアミン濃度を糖化ヘモグロビン濃度に変換する工程のことを指す。
【0047】
変換の方法は、例えば少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度が既知である標準品を用いてキャリブレーションを行うか、若しくは糖化アミノ酸等の標準物質を用いて一度低分子ケトアミン濃度を算出し、その後少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の平均糖結合数で除すことにより少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に変換する方法等が使用できる。
【0048】
変換の方法として、少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度が既知である標準品を用いてキャリブレーションを行う場合に、標準品として市販の管理血清等の臨床試料から人工的な操作を加えることにより調整された標準品を用いるときには、高分子あたりの低分子ケトアミン濃度が試料と異なるケースが多く一般的にはそのまま使用することは出来ない。つまり試料中の少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度を正確に換算できるように、標準品の値を別途求める必要が生じる。
【0049】
この標準品の値の求め方は以下のとおりである。
まず、様々な、少なくとも1個の低分子ケトアミンを含む高分子の高分子に占める割合をもつ試料(人工的な追加操作をされていない臨床検体)を、高速液体クロマトグラフィ法(HPLC法)のような、直接少なくとも1個の低分子ケトアミンを含む高分子の高分子に占める割合を求めることが出来る方法と、酵素を用いて試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する方法とで測定する。
【0050】
次いで、少なくとも低分子ケトアミンを含む高分子の高分子に占める割合と高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する方法の感度との相関を求め、相関式を作成する。別途標準品としたい試料の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する方法の感度を測定し、前記の相関式に代入し、少なくとも1個の低分子ケトアミンを含む高分子の高分子に占める割合を求める。さらに標準品としたい試料の高分子濃度を測定し、その濃度に、求めた、少なくとも1個の低分子ケトアミンを含む高分子の高分子に占める割合を乗じて少なくとも1個の低分子ケトアミンを含む高分子の濃度を求める。
【0051】
変換の方法として、糖化アミノ酸等の標準物質を用いて一度低分子ケトアミン濃度を算出し、その後少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の平均糖結合数で除す方法を用いる場合には、標準物質には糖化Zリジンや糖化バリン等の糖化アミノ酸を用いることが出来る。尚、標準物質に低分子ケトアミンを用いる場合には、プロテアーゼ反応率で除して、高分子中の低分子ケトアミン濃度を算出する。また、平均糖結合数は前記(HPLC法)のような、直接少なくとも1個の低分子ケトアミンを含む高分子の高分子に占める割合を求めることが出来る方法で求めた割合と、酵素を用いて試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する方法で求めた低分子ケトアミン濃度の相関式の傾きから求める事ができる。糖化ヘモグロビンのように糖化部位がヘモグロビンβ鎖N末端のバリンと決まっているものは平均糖結合数は1であるが、糖化アルブミンのように糖結合部位が複数ある場合にはこの値を算出する必要がある。実施例で詳しく説明するが、本発明者らの検討結果によると糖化アルブミンの平均糖結合数は約2個である。この平均糖結合数は疾患や人種により変化する可能性があるので、ケースに応じて測定されることが好ましい。
【0052】
低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する演算部とは前記で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程を行う装置中の演算処理部のことを指す。
【0053】
(試料中の高分子濃度を測定する工程、試薬及び反応検出部)
試料中の高分濃度子を測定する工程としては、高分子がリン脂質である場合にはリン脂質濃度を公知の方法で測定すればよく、高分子がタンパク質濃度である場合には公知のタンパク質を測定する方法で測定すればよい。
【0054】
例えば高分子がヘモグロビンの場合には、例えばメトヘモグロビン法、シアンメトヘモグロビン法、アザイドメトヘモグロビン法、緑色発色団形成法またはオキシヘモグロビン法が挙げられる。緑色発色団形成法とは緑色発色団形成試薬とヘモグロビンを反応させ、安定な生成物(緑色発色団)を形成する方法であり、緑色発色団は英国特許公開第2052056号公報に記述されるアルカリ性ヘマチンD-575と同様な吸収スペクトルを有する。
【0055】
また、例えば高分子がアルブミンの場合にはブロモクレゾールグリーン(BCG)、ブロモクレゾールパープル(BCP)、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、又は2-(4-ヒドロキシベンゼンアゾ)安息香酸(HABA)等のアルブミン特異的な色素を用いるかアルブミン抗体を用いた測定方法を用いればよい。
【0056】
試料中の高分子濃度を測定するには、通常試料例えば0.01μl〜10mlに溶液、乾燥試薬、固相に保持された状態等の試薬を用いて測定すればよい。溶液状態の試薬を用い、アルブミン濃度を測定する場合に、例えばHABAを用いる場合、pH3〜10、好ましくはpH4〜9に於いて、0.001〜10%、好ましくは0.01〜5%の濃度で使用すればよく、480〜550nmの吸光度変化を測定すればよい。また同様にBCPを用いる場合には、pH4〜8、好ましくは4.5〜7.5において着色を抑える界面活性剤、例えばBrij35等を0.01〜5%好ましくは0.05〜3%の共存下0.0001〜0.2%、好ましくは0.0005〜0.1%で使用すればよく600nm付近の吸光度変化を測定すればよい。
【0057】
また、溶液状態の試薬を用い、ヘモグロビン濃度を測定する場合に、オキシヘモグロビン法を用いる場合には、例えば試料を蒸留水で希釈しオキシヘモグロビンに変換後540nm付近の吸収を測定すればよい。またヘモグロビンの変性を防ぐ目的で界面活性剤、例えば少なくとも硫酸基を有する界面活性剤、及び/又は非イオン性界面活性剤、及び/又は両イオン性界面活性剤を好ましくは0.001〜10%の濃度で添加すると良い。
反応の検出は生じた色を測定できる公知の方法、例えば吸光度を測定する、若しくは光を当ててその反射を測定する方法を用いればよい。
【0058】
本発明の試料中の高分子を測定する試薬としては、試料中の高分子を測定する方法に必要な主成分が含まれていれば良く、その形状は、液状、液状の凍結品、乾燥状態、試薬を保持した固相及びその組み合わせ等で供給することが出来る。液状若しくは液状の凍結品を解凍し液状に戻した試薬、乾燥品を液状に調整した試薬を用いる場合には、反応部に外部から供給する仕組みを取っても良く、使い捨てのチップに封入されていても良い。
【0059】
試薬を乾燥状態で保存する場合に用いる乾燥方法は試薬の性能が損なわれない方法であれば何れの方法を用いても良く、好ましくは低温で風乾、減圧乾燥若しくは凍結乾燥が好ましい。これらの乾燥酵素若しくは試薬を反応に使用する場合には、適宜蒸留水や緩衝液や試料中に含まれる水分で液状の状態に戻し、測定する方法であれば良い。
また、固相に保持された状態の酵素を用いる場合には、使い捨てのチップの固相、例えばろ紙やポリマー等の膜状の固相、ポリマー樹脂やセルロース等の粒状の固相等に公知の方法、若しくは前記試薬を乾燥状態で保存する場合と同様にして、固相に保持させれば良い。
【0060】
試料中の高分子を測定する反応検出部とは、前記試料中の高分子を測定する工程を行う装置の反応検出部を指し、例えば微小な流路、反応検出セル、膜などの反応部と、反応の結果生じた物質を比色等を用いて検出する検出部を含むことが出来る。
本発明の試料中の高分子を測定する工程により得られた測定値は高分子濃度が既知の試料を測定しその値と比較することにより高分子濃度に変換することが出来る。
【0061】
(少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算する工程)
少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算するには、前記低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程で換算された少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度を、前記試料中の高分子を測定する工程で測定された高分子濃度で除し割合換算すればよい。
【0062】
(試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程、試薬及び反応検出部)
試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程、試薬及び反応検出部とは、前記の試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程のうち、低分子ケトアミン濃度を測定する工程、試薬及び反応検出部と同じである。
【0063】
(高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を計算する工程)
高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を計算するには、前記、試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程により得られた測定値から、試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程より得られた測定値を差し引けばよい。
【0064】
本発明の方法及びキットの形態は、前述のように、液状、液状の凍結品、乾燥状態、試薬若しくは酵素を保持した固相、酵素を固定化した電極及びその組み合わせ等で供給することが出来る。
【0065】
また、本発明に用いることが出来る固相上に保持された試薬もしくは酵素とは、前述の酵素や試薬を乾燥状態で保存する方法に基づき固相と共に乾燥された若しくは固相に化学的に固定化された試薬もしくは酵素を指す。また固相とは、形状としては例えばろ紙やポリマー等の膜状の固相、ポリマー樹脂やセルロース等の粒状の固相、及び微細な流路の壁面や電極の表面等の板状の固相が挙げられ、これ以外の形状の固相を用いても良い。
【0066】
さらに、本発明に用いることが出来る微細な流路を用いて試薬もしくは酵素と試料の反応を行うとは、遠心力、重力、毛細管現象、電気浸透流、及びポンプ等を用いて微細な流路に試料及び試薬を流すことにより反応を起こし高分子中の低分子ケトアミンを測定する方法であればいかなる方法でも用いることが出来る。
【0067】
本発明に使用することが出来るキットとしては、少なくとも試料中の低分子ケトアミンを測定する試薬、試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する試薬、試料中の高分子を測定する試薬を含むものであれば良い。例えば高分子がアルブミンである場合は、少なくとも、試料中の低分子ケトアミンを測定する試薬、試料中のアルブミンを低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する試薬、試料中のアルブミンを測定する試薬を含めばよく、例えば高分子がヘモグロビンである場合は、少なくとも、試料中の低分子ケトアミンを測定する試薬、試料中のヘモグロビンを低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する試薬、試料中のヘモグロビンを測定する試薬を含めばよい。
本発明のアルブミン測定試薬及びヘモグロビン測定試薬は前述の色素法が簡便、安価でありより好ましい。
【0068】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を詳しく述べるが、本発明は何らこれにより限定されるものではない。
【実施例1】
<糖化アルブミンの平均糖結合数の測定>
<試料>
血清 99検体
【0069】
1)糖化アルブミン割合の測定
糖化アルブミン割合はHPLC法(Hi-AUTO GAA;GAA-2000;アークレイ社製)を用いて測定した。
【0070】
2)酵素を用いた糖化アルブミン中の低分子ケトアミン濃度の測定
<糖化アルブミン測定試薬;試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する試薬>
R-1;アルブミン分解試薬(試料中の高分子を低分子に分解する試薬)
50mM トリス緩衝液 pH7.6
2500U/ml プロテアーゼタイプXXVII(シグマ社製)
【0071】
R-2;糖化アミノ酸検出試薬(低分子ケトアミン濃度を測定する試薬)
50mM トリス緩衝液 pH7.5
20mM 4−アミノアンチピリン(4-AA;同仁化学研究所社製)
10mM N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-m-トルイジン
(TOOS;同人化学研究所社製)
20U/ml ケトアミンオキシダーゼ (旭化成社製)
20U/ml パーオキシダーゼ(ロシュ社製)
【0072】
240μlのアルブミン分解試薬に6μlの試料を添加し、37℃、5分間インキュベーションする。正確に5分後糖化アミノ酸検出試薬80μlを添加し、37℃、5分間インキュベーション後546nmの吸光度を測定する。糖化アミノ酸検出試薬添加前及び添加5分後の吸光度変化を、標準糖化アミノ酸と比較することにより糖化アミノ酸濃度を求める。標準糖化アミノ酸としては糖化Zリジン(以下FZLと略す;ハシバらの方法に従って合成、精製した。)を用いた。
【0073】
アルブミン中の糖化アミノ酸濃度換算は以下の式を用いて行った。
アルブミン中の糖化アミノ酸濃度
= 測定された糖化アミノ酸濃度 ÷ プロテアーゼ反応による糖化アミノ酸生成率
【0074】
プロテアーゼ反応による糖化アミノ酸生成率は上記プロテアーゼ作用時間を5分から48時間まで変化させることにより求めた。48時間反応した試料にさらにプロテアーゼを追加しても定量値に変化がないことから48時間反応を100%として上記反応条件に於ける糖化アミノ酸生成率は80%であることが分かった(Kouzumaet.al. An enzymatic method for the measurement of glycated albumin inbiological sample. Clinica Chimica Acta 324,61-71 (2002)。よってアルブミン中の糖化アミノ酸濃度は以下の式を用いて計算した。
アルブミン中の糖化アミノ酸濃度 = 測定された糖化アミノ酸濃度 ÷ 0.8
【0075】
3)アルブミン濃度の測定
アルブミン濃度の測定は市販のアルブミン測定試薬(アルブミンII-HAテストワコー;和光純薬社製)を用いて測定した。得られるアルブミン濃度の単位はg/dlであるから、アルブミンの分子量は66438(GeisowMJ et. Al. In: Villafranca JJ, ed. Techniques in protein chemistry. San Diego,CA: Academic Press, 1991: 576-572)を用いてmol/Lに換算した。
【0076】
4)糖化アルブミン1分子当たりの平均糖結合数
2)で得られた糖化アルブミン中の低分子ケトアミン濃度を、3)で得られたアルブミン濃度で除し、1)で求めた糖化アルブミン割合との相関を求めた。結果を図1に示す。
【0077】
図1から分かるように酵素法で測定した低分子ケトアミン濃度/アルブミン濃度×100とHPLC法で求めた糖化アルブミン割合の間には良好な直線関係(r2=0.995)が認められ、その傾きは1.98であった。このことから、糖化アルブミン中の総糖化アミノ酸濃度と糖化アルブミン濃度の間には糖化アルブミン中の総糖化アミノ酸濃度=糖化アルブミン濃度×1.98の関係が健常者、患者を問わず存在していることが分かる。この傾きから糖化アルブミン中の平均糖結合数は約2と考えられる。
【0078】
【実施例2】
<糖化アルブミンの測定>
<糖化アルブミン測定試薬>
実施例1の糖化アルブミン測定試薬に同じ。
<低分子ケトアミン測定試薬>
実施例1のR−2;糖化アミノ酸検出試薬に同じ。
<アルブミン測定試薬>
実施例1で用いたアルブミン測定試薬に同じ。
<糖化アルブミン比率のHPLCを用いた測定>
実施例1で用いたグリコアルブミン計(GAA-2000;アークレイ社製)を使用
【0079】
<試料>
健常者血清9容に糖化Zリジン水溶液1容を添加し、血清中のFZL濃度0.1、
0.2、0.3、0.4、0.5mMとした管理血清。
健常者血清5、糖尿病患者血清5
【0080】
<操作方法>
A)試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程
低分子ケトアミン濃度を測定する場合、希釈液(50mM トリス緩衝液pH7.5)180μlに、試料4.5μlを添加し、攪拌、37℃にて5分インキュベーションし、546nmの吸光度(A0)を測定した。次いで低分子ケトアミン測定試薬60μlを添加し、攪拌、37℃にてインキュベーションし、546nmの吸光度(A1)を測定した。吸光度変化(A0-A1)を計算した。別途既知濃度の低分子ケトアミン(500μMのFZLを用いた。)を測定し、吸光度変化を比較し、低分子ケトアミン濃度を算出した。
【0081】
B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程
高分子(アルブミン)中のケトアミン濃度を測定する場合、アルブミン分解試薬180μlに、試料4.5μlを添加し、攪拌、37℃にて5分インキュベーションし、546nmの吸光度(A0)を測定した。次いで低分子ケトアミン測定試薬60μlを添加し、攪拌、37℃にてインキュベーションし、546nmの吸光度(A1)を測定した。吸光度変化(A0-A1)を計算した。別途既知濃度の低分子ケトアミン(500μMのFZLを用いた。)を測定し、吸光度変化を比較し、高分子中のケトアミン濃度を算出した。
【0082】
C)高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を計算する工程
高分子(アルブミン)中のケトアミン濃度から低分子ケトアミン濃度を差し引き、真の高分子(アルブミン)中のケトアミン濃度を算出した。
【0083】
D)C)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子(アルブミン)の濃度に換算する工程
真の高分子(アルブミン)中のケトアミン濃度は平均糖結合数2で除し、少なくとも1個のケトアミンを含む高分子(糖化アルブミン)の濃度に換算した。
【0084】
E)試料中の高分子(アルブミン)を測定する工程
実施例1で用いた試薬の用法用量に基づいて測定した。
F)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子(糖化アルブミン)の高分子(アルブミン)に対する割合を計算する工程
D)で求めた糖化アルブミン濃度をE)で求めたアルブミン濃度で除し、アルブミンに対する糖化アルブミンの割合を求めた。測定結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示すように、A)試料中の低分子ケトアミンを測定する工程、B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する工程、C)高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を計算する工程、D)C)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程、E)試料中の高分子を測定する工程、F)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算する工程を含む方法により、管理血清に糖化アミノ酸であるFZLを添加した場合でもHPLC法とほぼ同じ測定値を得られる事が明白であり、万が一試料中に低分子ケトアミンが混入しても正確に糖化アルブミン割合を測定できることが明らかであった。また健常者及び患者血清もHPLC法と良く一致した測定結果が得られていることから実試料測定上も問題なく測定可能であることが判った。
【0087】
また、今回用いた実試料は基本的に低分子ケトアミンを含んでおらず、A)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する工程、B)A)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程、C)試料中の高分子を測定する工程、D)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算する工程を含む方法を用いて測定しても同様に正確、簡便に糖化アルブミンを測定できることが明白であった。
【0088】
【実施例3】
<糖化アルブミン測定装置を用いた糖化アルブミンの測定>
<糖化アルブミン測定装置>
糖化アルブミン測定装置は測定チップ(糖化アミノ酸検出チップ及びアルブミン検出チップ)及び測定チップの発色を測定する光学系から成る。
【0089】
1)測定チップの作成
測定チップを図2に示す。図2Aは測定チップを各部品に分解しその斜視図を示したものであり、図2Bは測定チップの斜視図を示したものである。
図2Aに示すように、厚さ0.4mm、直径2.2mmの円形のろ紙に実施例1のR-2;糖化アミノ酸検出試薬を浸し、風乾し糖化アミノ酸検出ろ紙を作製した。又同様な操作で実施例1に用いたアルブミン測定試薬をろ紙に保持させ、アルブミン検出ろ紙を作製した。これらのろ紙はいずれの場合も(5)で示される。厚さ0.03mmのポリエステルフィルム4mm×40mm 3枚を使用し、真中のフィルム(2)に1本の幅0.5mmの溝(6)を形成し、上下から溝の無いフィルム(1)及び(3)で挟むことにより毛細管を形成させた。この時上のフィルム(1)に直径1.6mmの円形の測定孔(4)を開け、その真下、真中の溝を形成したフィルム(2)との間に前記のろ紙(5)を、ろ紙の真中に溝が来るように、かつろ紙の中心と測定孔との中心が一致するようにセットした。フィルムはエタノールで希釈した5%しょ糖脂肪酸エステルを塗布、全てを重ねた後に乾燥させることにより貼り合わせた。糖化アミノ酸検出ろ紙を含むチップを糖化アミノ酸検出チップ、アルブミン検出ろ紙を含むチップを糖化アミノ酸検出チップとした(図2B)。
【0090】
2)測定チップの発色の検出方法
チップの発色の検出は、室温にて反射光を測定した。反射光の測定は積分球(日本分光社製)を用い550nmの光を照射し、反射光を測定した。
【0091】
<試料>
実施例2に同じ
【0092】
<糖化アルブミンの測定>
A)試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程
希釈液(50mM トリス緩衝液pH7.5)180μlに、試料4.5μlを添加し、攪拌、糖化アミノ酸検出チップの毛細管の端を浸しサンプリング後、37℃5分間保温し、糖化アルブミン測定装置にて発色を測定した。発色の感度は、濃度既知のFZLを同様に測定して糖化アミノ酸濃度に変換した。
【0093】
B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程
実施例1のアルブミン分解試薬180μlに、試料4.5μlを添加し、攪拌、37℃にて5分インキュベーションし、糖化アミノ酸検出チップの毛細管の端を浸しサンプリング後、37℃5分間保温し、糖化アルブミン測定装置にて発色を測定した。発色の感度は、濃度既知のFZLを同様に測定して糖化アミノ酸濃度に変換した。
【0094】
C)高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を計算する工程
B)で得られたアルブミン糖化アミノ酸濃度から、A)で得られた試料に初めから存在する糖化アミノ酸濃度を差し引き、真のアルブミン中の糖化アミノ酸濃度を算出した。
【0095】
D)C)で得られた真のアルブミン中の糖化アミノ酸濃度を糖化アルブミン濃度に換算する工程
真のアルブミン中の糖化アミノ酸濃度は平均糖結合数2で除し、糖化アルブミン濃度に換算した。
【0096】
E)試料中の高分子(アルブミン)を測定する工程
希釈液(50mM トリス緩衝液pH7.5)100μlに、試料50μlを添加し、攪拌、アルブミン測定チップの毛細管の端を浸しサンプリング後、37℃5分間保温し、糖化アルブミン測定装置にて発色を測定した。発色の感度は、濃度既知のアルブミンを同様に測定してアルブミン濃度に変換した。
【0097】
F)糖化アルブミンのアルブミンに対する割合を計算する工程
D)で求めた糖化アルブミン濃度をE)で求めたアルブミン濃度で除し、アルブミンに対する糖化アルブミンの割合を求めた。測定結果を表2に示す。
【0098】
【表2】
【0099】
表2に示すように、本発明の固相上に保持された試薬若しくは酵素を用いる測定装置を用いることにより、簡便、安価に糖化アルブミンを測定できること、さらに、万が一試料中に低分子ケトアミンが混入しても正確に糖化アルブミン割合を測定できることが明らかであった。
また、微細な流路を用いて液体の試薬と反応させることにより、若しくは固相に保持された試薬の代わりに、固相に固定化された、例えば酵素固定化電極や酵素固定化単体を用いて糖化アルブミンを測定しても良いことは容易に類推できる。
一方アルブミンやヘモグロビンの測定は電極等へ試薬を固定化しても感度が得られにくいことから、ここで示した比色法を用いるほうが簡便、安価という点で好ましい。
【0100】
【実施例4】
<糖化ヘモグロビンの測定>
<糖化ヘモグロビン測定試薬>(試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する試薬)
R-1;溶血試薬
50mM トリス緩衝液 pH7.5
1% ポリオキシエチレンラウリルエーテル(和光純薬社製) 溶血操作;上記R1試薬500μlおよび溶血試料100μlを混合し、37℃10分インキュベーションし溶血操作を行った。
【0101】
R-2;ヘモグロビン分解試薬(試料中の高分子を低分子に分解する試薬)
30mM トリス緩衝液(和光純薬社製)pH7.5
8000U/ml プロテアーゼタイプXIV(シグマ社製)
【0102】
R-3;糖化アミノ酸検出試薬(低分子ケトアミンを測定する試薬)
50mM トリス緩衝液 pH7.5
100μM DA64(N-(carboxymethylaminocarbonyl)-4,4’-bis(dimethylamine)- diphenylamine,sodium salt;同人化学研究所社製)
20U/ml ケトアミンオキシダーゼ (旭化成社製)
20U/ml パーオキシダーゼ(ロシュ社製)
【0103】
<HPLCを用いたヘモグロビンA1cの測定。>
グリコヘモグロビン計(HLC723G7;アークレイ社製)を使用
【0104】
<試料>
溶血試料9容にFV水溶液1容を添加し、FVの最終濃度を0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mMとした溶血液。健常者溶血液5検体、糖尿病患者溶血液5検体。
【0105】
<操作方法>
A)試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程
低分子ケトアミン濃度を測定する場合、希釈液(50mM トリス緩衝液pH7.5)180μlに、溶血試料4.5μlを添加し、攪拌、37℃にて5分インキュベーションし、730nmの吸光度(A0)を測定した。次いで糖化アミノ酸検出試薬60μlを添加し、攪拌、37℃にてインキュベーションし、730nmの吸光度(A1)を測定した。吸光度変化(A0-A1)を計算した。別途既知濃度の低分子ケトアミン(500μMのFVを用いた。)を測定し、吸光度変化を比較し、低分子ケトアミン濃度を算出した。
【0106】
B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程
高分子(ヘモグロビン)中のケトアミン濃度を測定する場合;240μlのR-2ヘモグロビン分解試薬に溶血試料6μlのサンプルを添加し、37℃-5分間インキュベーションする。正確に5分後糖化アミノ酸検出試薬80μlを添加し、37℃-5分間インキュベーション後730nmの吸光度を測定する。糖化アミノ酸定量試薬添加前及び添加5分後の吸光度変化を、標準糖化アミノ酸と比較することにより糖化アミノ酸濃度を求める。標準糖化アミノ酸としては糖化バリン(以下FVと略す;ハシバらの方法に従って合成、精製した。)を用いた。
【0107】
プロテアーゼ反応による糖化アミノ酸生成率は上記プロテアーゼ作用時間を変化させる事により求めた。試料が完全に分解された反応時間を100%として上記反応条件における糖化アミノ酸生成率は75%であることがわかった。よってヘモグロビン中の糖化アミノ酸濃度は以下の式を用いて計算した。
ヘモグロビンの糖化アミノ酸濃度換算は以下の式を用いて行った。
ヘモグロビン中の糖化アミノ酸濃度
= 測定された糖化アミノ酸濃度 ÷ プロテアーゼ反応による糖化アミノ酸生成率= 測定された糖化アミノ酸濃度 ÷ 0.75
【0108】
C)高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を計算する工程
高分子(ヘモグロビン)中のケトアミン濃度から低分子ケトアミン濃度を差し引き、真の高分子(ヘモグロビン)中のケトアミン濃度を算出した。
【0109】
D)C)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子(ヘモグロビン)の濃度に換算する工程
糖化ヘモグロビンの平均糖結合数は1であることから、真の高分子(へモグロビン)中のケトアミン濃度は、少なくとも1個のケトアミンを含む高分子(糖化へモグロビン)の濃度と同じである。
【0110】
E)試料中の高分子(ヘモグロビン)を測定する工程
溶血試料の570nmの吸光度を測定し、ヘモグロビン濃度既知の試料と比較することによりによりヘモグロビン濃度を算出した。
F)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子(糖化ヘモグロビン)の高分子(ヘモグロビン)に対する割合を計算する工程
D)でもとめた糖化ヘモグロビン濃度をE)でもとめたヘモグロビン濃度で除し、ヘモグロビンに対する糖化ヘモグロビンの割合を求めた。測定結果を表3に示す。
【0111】
【表3】
【0112】
表3に示すように、A)試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程、B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程、C)高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を計算する工程、D)C)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程、E)試料中の高分子濃度を測定する工程、F)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算する工程を含む方法により、健常者溶血液に糖化アミノ酸であるFVを添加した場合でもHPLC法とほぼ同じ測定値を得られる事が明白であり、万が一試料中に低分子ケトアミンが混入しても正確に糖化ヘモグロビン割合を測定できることが明らかであった。また健常者及び糖尿病患者血液もHPCL法と良く一致した測定結果が得られていることから実試料測定上も問題なく測定可能であることが判った。
【0113】
また、実試料は輸液等を受けていない限り、基本的に低分子ケトアミンを含んでおらず、A)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程、B)A)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程、C)試料中の高分子濃度を測定する工程、D)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算する工程を含む方法を用いて測定しても同様に正確、簡便に糖化ヘモグロビンを測定できることが明白であった。
【0114】
【実施例5】
<次のR-1(アルブミン分解試薬)、R-2(糖化アミノ酸(低分子ケトアミン)検出試薬)を用いた糖化アルブミン測定試薬キット>
R-1;アルブミン分解試薬
50mM トリス緩衝液 pH7.6
2500U/ml プロテアーゼタイプXXVII(シグマ社製)
【0115】
R-2;糖化アミノ酸(低分子ケトアミン)検出試薬
50mM トリス緩衝液 pH7.5
20mM 4−アミノアンチピリン(4-AA;同仁化学研究所社製)
10mM N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-m-トルイジン
(TOOS;同人化学研究所社製)
20U/ml ケトアミンオキシダーゼ (旭化成社製)
20U/ml パーオキシダーゼ(ロシュ社製)
【0116】
R-1(アルブミン分解試薬)は、50mMトリス緩衝液pH7.6、10mlとプロテアーゼタイプXXVII(シグマ社製)25KUを瓶に充填する。使用時にプロテアーゼタイプXXVIIをトリス緩衝液全量に溶解し、アルブミン分解試薬として用いる。(最終pHは目的のpHに微調整しても良い。またプロテアーゼは一度50mMトリス緩衝液pH7.6に溶解し、凍結乾燥しておくとpHを微調整する手間が省ける。)
R-2(糖化アミノ酸(低分子ケトアミン)検出試薬)は、4−AA;200μmol、TOOS:100μmol、パーオキシダ−ゼ;200U、ケトアミンオキシダ−ゼ200Uを1つの瓶に充填し、別途50mMトリス緩衝液pH7.5、10mlを充填する。使用時に試薬及び酵素をトリス緩衝液全量に溶解し、糖化アミノ酸(低分子ケトアミン)検出試薬として用いる。(最終pHは目的のpHに微調整しても良い。また試薬、酵素類は一度50mMトリス緩衝液pH7.5に溶解し、凍結乾燥しておくとpHを微調整する手間が省ける。)
前記、瓶に充填したアルブミン分解試薬及び糖化アミノ酸検出試薬はセットにして糖化アルブミン測定試薬キットとする。また糖化アミノ酸検出試薬はそのまま低分子ケトアミン測定キットとする。さらに糖化アルブミン測定試薬、低分子ケトアミン試薬をまとめてキットとしても良く、さらにアルブミン測定試薬をキットとしても良い。それは実施例2に従って使用される。
【0117】
【実施例6】
<次のR-1(溶血試薬)、R-2(ヘモグロビン分解試薬)、R-3(糖化アミノ酸(低分子ケトアミン)検出試薬)を用いた糖化ヘモグロビン測定試薬キット>
R-1;溶血試薬
50mM トリス緩衝液 pH7.5
1% ポリオキシエチレンラウリルエーテル(和光純薬社製)
【0118】
R-2;ヘモグロビン分解試薬(試料中の高分子を低分子に分解する試薬)
30mM トリス緩衝液(和光純薬社製)pH7.5
8000U/ml プロテアーゼタイプXIV(シグマ社製)
【0119】
R-3;糖化アミノ酸検出試薬(低分子ケトアミンを測定する試薬)
50mM トリス緩衝液 pH7.5
100μM DA64;N-(carboxymethyl aminocarbonyl)-4,4’-bis(dimethylamide)-diphenylamine,sodium salt;同人化学研究所社製)
20U/ml ケトアミンオキシダーゼ (旭化成社製)
20U/ml パーオキシダーゼ(ロシュ社製)
【0120】
R-1(溶血試薬)はポリオキシエチレンラウリルエーテルを1%になるように50mMトリス緩衝液pH7.5に溶解し瓶に充填する。そのまま溶血試薬として使用する。
R-2(ヘモグロビン分解試薬)は、30mMトリス緩衝液pH7.5、10mlとプロテアーゼタイプXIV(シグマ社製)80KUを瓶に充填する。使用時にプロテアーゼタイプXIVをトリス緩衝液全量に溶解し、ヘモグロビン分解試薬として用いる。 (最終pHは目的のpHに微調整しても良い。また試薬、プロテアーゼは一度30mMトリス緩衝液pH7.5に溶解し、凍結乾燥しておくとpHを微調整する手間が省ける。)
R-3(糖化アミノ酸(低分子ケトアミン)検出試薬)は、DA64;1μlmol、パーオキシダーゼ;200U、ケトアミンオキシダーゼ;200Uを1つの瓶に充填し、別途50mMトリス緩衝液pH7.5、10mlを充填する。使用時に試薬及び酵素類をトリス緩衝液全量に溶解し、糖化アミノ酸(低分子ケトアミン)検出試薬として用いる。(最終pHは目的のpHに微調整しても良い。また試薬、酵素類は一度50mMトリス緩衝液pH7.5に溶解し、凍結乾燥しておくとpHを微調整する手間が省ける。)
前記、瓶に充填したヘモグロビン分解試薬及び糖化アミノ酸検出試薬はセットにして糖化ヘモグロビン測定試薬キットとする。また糖化アミノ酸検出試薬はそのまま低分子ケトアミン測定試薬キットとする。さらに糖化ヘモグロビン測定試薬、低分子ケトアミン試薬をまとめてキットとしても良く、さらにヘモグロビン測定試薬及び/又は溶血試薬を追加してキットとしても良い。それらは実施例4に従って使用される。
【0121】
【発明の効果】
本発明の測定方法、測定試薬及び測定装置を用いることにより、試料の高分子中に含まれるケトアミン、特に糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン、糖化リン脂質の測定を診療現場で正確、簡便、安価に測定する事が可能になる。さらに、低分子ケトアミンの影響を回避することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に基づくHPLC法により求められた糖化アルブミン割合(%)と酵素法から求められた糖化アミノ酸割合(%;糖化アミノ酸濃度/アルブミン濃度×100)の相関である。
【図2】 A;実施例3の測定チップをそれぞれの部品に分解したときの部品の斜視図を示す。B;測定チップの斜視図を示す。
【符号の説明】
(1) 上フィルム
(2) 真中の溝付きフィルム
(3) 下フィルム
(4) 測定孔
(5) ろ紙
(6) 溝
Claims (11)
- A)試料中の低分子ケトアミン濃度を測定する工程、B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミン濃度を測定する工程、C)高分子中に存在する低分子ケトアミン濃度を計算する工程、D)C)で得られた低分子ケトアミン濃度を少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の濃度に換算する工程、E)試料中の高分子濃度を測定する工程、F)少なくとも1個のケトアミンを含む高分子の高分子に対する割合を計算する工程、
を含む高分子中のケトアミンの測定方法。 - 高分子がアルブミンまたはヘモグロビンである請求項1に記載の方法。
- アルブミンまたはヘモグロビンの測定方法が比色法である請求項2に記載の方法。
- 固相上に保持された試薬もしくは酵素を用いる、または微細な流路を用いて試薬もしくは酵素と試料の反応を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 試料中の低分子ケトアミンを測定するチップ、試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定するチップ及び試料中の高分子を測定するチップよりなる測定チップと測定チップの発色を測定する光学系から成る高分子中ケトアミン測定装置。
- 高分子がアルブミンまたはヘモグロビンである請求項5に記載の装置。
- アルブミンまたはヘモグロビンの測定を行う検出部が比色により検出を行うことを特徴とする請求項6に記載の装置。
- 試薬もしくは酵素を含む固相、または試料と反応を行うための微細な流路を有する請求項5〜7のいずれかに記載の装置。
- A)試料中の低分子ケトアミンを測定する試薬、B)試料中の高分子を低分子に分解し、次いで低分子ケトアミンを測定する試薬、C)試料中の高分子を測定する試薬、より成る高分子中のケトアミンを測定するキット。
- 高分子がアルブミンまたはヘモグロビンである請求項9に記載のキット。
- アルブミンまたはヘモグロビンの測定試薬発色色素を含むことを特徴とする請求項10に記載のキット。
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