JP2004222561A - マヨネーズ様食品 - Google Patents
マヨネーズ様食品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004222561A JP2004222561A JP2003012736A JP2003012736A JP2004222561A JP 2004222561 A JP2004222561 A JP 2004222561A JP 2003012736 A JP2003012736 A JP 2003012736A JP 2003012736 A JP2003012736 A JP 2003012736A JP 2004222561 A JP2004222561 A JP 2004222561A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mayonnaise
- egg yolk
- polysaccharide
- food
- heating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Seasonings (AREA)
Abstract
【課題】乳化力に優れた、卵黄と多糖類を含有する乳化組成物を含有し、良好な粘性を維持しつつ、風味、食感に優れたマヨネーズ様食品を提供すること。
【解決手段】卵黄と多糖類を含有した混合液を、卵黄タンパク質の熱凝固温度以下の温度に加熱する工程を含む方法により得られる、卵黄と多糖類を含有する乳化組成物を含有してなるマヨネーズ様食品。
【選択図】 なし
【解決手段】卵黄と多糖類を含有した混合液を、卵黄タンパク質の熱凝固温度以下の温度に加熱する工程を含む方法により得られる、卵黄と多糖類を含有する乳化組成物を含有してなるマヨネーズ様食品。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、日常の食生活において調味料の一種として広く親しまれているマヨネーズ様食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
鶏卵卵黄は、水分約50重量%、脂質約30重量%、タンパク質約15重量%等からなるエマルジョンであり、その乳化力を利用し、種々の食品に利用されている。しかしながら、水分の多い系などでは食品の粘性が低下するために、卵黄の乳化力には限界があり、例えば液状ドレッシングでは経時的に親油性成分と親水性成分とが分離してしまう。そこで、レシチンやグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤や、キサンタンガム等の多糖類との併用によって、製品の安定性を高める方法が報告されている(特許文献1、特許文献2等)。しかしながら、乳化剤を多用すると乳化剤の味が出てしまうことがあり、またキサンタンガム等の増粘性の多糖類を多用すると多糖類独特のヌルついた食感が出たり、増粘してしまうため、製品の安定性と風味・食感の両立は困難とされている。
【0003】
日常の食生活において調味料の一種として広く親しまれているマヨネーズも、卵黄の乳化力を利用した食品の一つであり、さらに食用油脂、食酢、調味料等が加えられた酸性水中油滴型乳化物として調製されているが、マヨネーズにおいては、風味・食感に影響する重要な因子として、さらに良好な粘度や粘弾性が要求される。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−274893号公報(請求項1、〔0009〕等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乳化力に優れた、卵黄と多糖類を含有する乳化組成物を含有し、良好な粘性を維持しつつ、風味、食感に優れたマヨネーズ様食品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、卵黄と多糖類を含有した混合液を、卵黄タンパク質の熱凝固温度以下の温度に加熱する工程を含む方法により得られる、卵黄と多糖類を含有する乳化組成物を含有してなるマヨネーズ様食品に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、「マヨネーズ様食品」とは、水相中に食用油脂が均一に分散した、pHが好ましくは1〜5、より好ましくは3〜4の酸性水中油滴型乳化食品をいい、本発明のマヨネーズ様食品は、卵黄と多糖類を含有した混合液を、卵黄中のタンパク質の熱凝固温度以下の温度に加熱する工程を含む方法により得られる乳化組成物を含有している点に特徴を有する。かかる乳化組成物を含有したマヨネーズ様食品は、優れた乳化力を有し、かつ風味、食感も良好である。
【0008】
乳化組成物に用いられる卵黄は、液状であればその由来は鶏卵、あひる卵等、特に限定されるものではないが、供給量の関係より、鶏卵卵黄が好ましい。卵黄は一般に市販されているものを使用することができ、生卵黄に限らず、殺菌液卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄、これらの凍結品等であってもよいが、本発明では、塩分が5〜20重量%程度の加塩卵黄が好ましい。さらに、卵黄粉末を水で希釈して卵黄液としたものや、液卵黄を水等で希釈して粘度を低下させたものを使用することもできる。
【0009】
混合液は卵黄と多糖類のみから構成されていてもよいが、粘性の観点から、混合液中の卵黄の含有量は、0.5〜80重量%が好ましく、1.0〜50重量%がより好ましい。
【0010】
多糖類としては、キサンタンガム、LMペクチン、HMペクチン等のペクチン、カッパカラギナン、イオタカラギナン、ラムダカラギナン等のカラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、カラヤガム、プルラン、サイリウムシードガム、トロロアオイ、ファーセレラン、及びこれらの分解物、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、メチルセルロース、ダイズ多糖類、コンニャク粉、海藻・褐藻抽出物、オクラ抽出物、アロエベラ抽出物、モモ抽出物等、一般に食品に使用できるものであれば特に限定されないが、これらのなかでは、卵黄タンパク質との反応性の観点から、ペクチン、キサンタンガム、カラギナン、ジェランガム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の酸性多糖類が好ましく、キサンタンガム、ペクチン及びカラギナンからなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましい。またこれらの多糖類は単独であっても、2種以上が併用されていてもよい。
【0011】
多糖類の配合量は、多糖類の種類や粘性を考慮して適宜決定されるが、卵黄100重量部に対して、0.05〜5重量部程度が好ましく、0.1〜4重量部がより好ましく、0.2〜2重量部が特に好ましい。
【0012】
さらに、本発明の乳化組成物には、デキストリン、大豆多糖類、卵白、乳化剤等が、必要に応じて適宜配合されていてもよい。
【0013】
本発明において、卵黄と多糖類を混合する方法は、特に限定されないが、例えば、多糖類を卵黄にそのまま添加することにより混合液が増粘しすぎて、多糖類の均一分散・溶解が困難となる場合には、予め多糖類を水に分散・溶解させた水溶液を、卵黄と混合する方法が好ましい。この場合、多糖類の水溶液をいったん加熱し、多糖類を完全に膨潤・溶解させ、冷却した後、卵黄と混合することにより、多糖類をより容易に卵黄中に均一分散・溶解させることができる。また、多糖類を分散・溶解させる水の量は、特に限定されず、続く加熱工程での効率を考慮して適宜決定すればよい。
【0014】
卵黄と多糖類を含有した混合液の加熱温度は、卵黄タンパク質の熱凝固温度以下の温度であれば特に限定されず、卵黄の濃度、使用する多糖類の種類、加塩・加糖等の卵黄に対する添加物質の有無等によって最適温度は異なるが、通常、卵黄タンパク質の熱凝固温度は65〜75℃であるので、50℃〜70℃が好ましく、55℃〜65℃がより好ましい。
【0015】
卵黄と多糖類を含有した混合液の加熱方法は、プレート式(連続式)や撹拌羽根で上下左右に撹拌しつつ加熱するバッチ式の加熱法により、混合液を均一に加熱できる方法が好ましい。
【0016】
卵黄と多糖類を含有した混合液の加熱時間は、加熱温度や加熱効率によって適宜決定されるが、一例をあげると、卵黄液50重量%、精製水49.5重量%及びキサンタンガム0.5重量%からなる混合液を、プレートによる連続式加熱法により、64℃で加熱する場合、加熱時間は1〜15分間程度が好ましく、2〜10分間程度がより好ましい。なお、同様の処理をバッチ式加熱法で行う場合は、連続式加熱法に相当する熱量で処理する観点から、低温で長時間(例えば、30〜90分程度)の加熱が好ましい。
【0017】
本発明のマヨネーズ様食品における乳化組成物の含有量は、油相材料を安定に乳化し、粘度を上げる観点から、3〜50重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。
【0018】
本発明のマヨネーズ様食品には、前記乳化組成物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常マヨネーズ様食品に用いられている各種の油相原料及び水相原料が適宜含有されていてもよい。例えば、ナタネ油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油及びこれらの精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等の食用油脂;馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋等の何らかの処理を施した加工澱粉等の澱粉類;キサンタンガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム等のガム質;食酢、クエン酸、レモン果汁等の酸味材;グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料;卵黄、ホスホリパーゼA処理卵黄、全卵、卵白、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化材;動植物のエキス類、からし粉、胡椒等の香辛料、並びに各種蛋白質やこれらの分解物等が挙げられる。
【0019】
本発明のマヨネーズ様食品は、前記乳化組成物を原料として用いる以外は、常法に従って製造することができる。例えば、乳化組成物、水、加工澱粉、醸造酢、調味料等の水相原料に、食用油脂等の油相原料を添加しながら、乳化させる方法が挙げられる。乳化には、アジホモミキサー、コロイドミル等の各種攪拌機を用いることができるが、乳化工程を、さらに、1500〜3000r/min程度の低速攪拌で行う予備乳化工程と、5000〜10000r/min程度の高速攪拌で行う本乳化工程に分けて行うことにより、水相中に油相粒子が微細に分散し、保存性及び安定性に優れたマヨネーズ様食品を得ることができる。
【0020】
本発明のマヨネーズ様食品の粘度は、保存性、食感等の観点から、40〜180Pa・sが好ましく、80〜150Pa・sがより好ましい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によりなんら限定されるものではない。
【0022】
実施例1
殻付鶏卵を割卵して卵白と卵黄を分離した後、異物除去のために卵黄液をストレーナーに通して、生卵黄(卵黄タンパク質の熱凝固温度:68℃)500gを得た。これに、食塩50gを添加して混合し、10%加塩卵黄550gを得た。次に、キサンタンガム(太陽化学(株)製)10gをホモディスパーにて、精製水700gに分散・溶解させた後、湯浴にて90℃まで加熱し、室温まで冷却して、多糖類水溶液を得た。次に、生卵黄と多糖類水溶液を混合し、混合液をゆっくりと撹拌しながら63℃の湯浴にて60分間バッチ加熱処理することにより、乳化組成物1260gを得た。加熱処理に供した混合液は、加熱開始から30分で、加熱による最高温度(62.5℃)に達した。
【0023】
食塩8g、砂糖10g、グルタミン酸ナトリウム1g、加工澱粉(松谷化学(株)製)15g及び水160gを混合溶解させ、湯浴にて90℃まで昇温した後、室温まで冷却した。得られた混合液に、乳化組成物126gを添加してホモミキサーにて混ぜ合わせ均質にした後、醸造酢((株)アジノキ製、pH:10)31.5gを添加して混合した。得られた混合液に、ナタネ油150gを徐々に添加しながら、ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、4000r/minで3分間予備乳化を行い、続いてアジホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて6000r/minで5分間本乳化を行って、マヨネーズ様食品を得た。
【0024】
実施例2
キサンタンガムの代わりに、LMペクチン(太陽化学(株)製)20gを使用した以外は、実施例1と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0025】
実施例3
キサンタンガムの代わりに、カッパカラギナン(太陽化学(株)製)15gを使用した以外は、実施例1と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0026】
比較例1
乳化組成物を製造する際に加熱処理を行わない以外は、実施例1と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0027】
比較例2
乳化組成物を製造する際に加熱処理を行わない以外は、実施例2と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0028】
比較例3
乳化組成物を製造する際に加熱処理を行わない以外は、実施例3と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0029】
各実施例及び比較例で得られたマヨネーズ様食品の粘度を、B型粘度計((株)東京計器製)を用いて測定した。さらに、各マヨネーズ様食品の貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)を動的粘弾性測定装置(レオメトリックサイエンティフィック(株)製)を用いて測定し、粘弾性の指標として、3Hzでのtanδ(G’’/G’)の値を求めた。各実施例及び比較例で得られたマヨネーズ様食品の粘度及びtanδを、市販のマヨネーズの値と合わせて、表1に示す。
【0030】
試験例
任意に選定した10人の男女により、得られたマヨネーズ様食品の、風味、食感について官能評価を行った。
【0031】
【表1】
【0032】
以上の結果から明らかなように、実施例のマヨネーズ様食品は、比較例のマヨネーズ様食品とは異なり、ネチャつきがなく、口どけの良好な、優れた風味、食感を有している。また、マヨネーズ様食品の粘度も上昇し、粘弾性は市販のマヨネーズに近似したものであった。
【0033】
【発明の効果】
本発明のマヨネーズ様食品は、卵黄と多糖類を含有した、乳化力に優れた乳化組成物を含有しているため、良好な粘性を維持しつつ、風味、食感にも優れているという優れた効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、日常の食生活において調味料の一種として広く親しまれているマヨネーズ様食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
鶏卵卵黄は、水分約50重量%、脂質約30重量%、タンパク質約15重量%等からなるエマルジョンであり、その乳化力を利用し、種々の食品に利用されている。しかしながら、水分の多い系などでは食品の粘性が低下するために、卵黄の乳化力には限界があり、例えば液状ドレッシングでは経時的に親油性成分と親水性成分とが分離してしまう。そこで、レシチンやグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤や、キサンタンガム等の多糖類との併用によって、製品の安定性を高める方法が報告されている(特許文献1、特許文献2等)。しかしながら、乳化剤を多用すると乳化剤の味が出てしまうことがあり、またキサンタンガム等の増粘性の多糖類を多用すると多糖類独特のヌルついた食感が出たり、増粘してしまうため、製品の安定性と風味・食感の両立は困難とされている。
【0003】
日常の食生活において調味料の一種として広く親しまれているマヨネーズも、卵黄の乳化力を利用した食品の一つであり、さらに食用油脂、食酢、調味料等が加えられた酸性水中油滴型乳化物として調製されているが、マヨネーズにおいては、風味・食感に影響する重要な因子として、さらに良好な粘度や粘弾性が要求される。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−274893号公報(請求項1、〔0009〕等)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乳化力に優れた、卵黄と多糖類を含有する乳化組成物を含有し、良好な粘性を維持しつつ、風味、食感に優れたマヨネーズ様食品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、卵黄と多糖類を含有した混合液を、卵黄タンパク質の熱凝固温度以下の温度に加熱する工程を含む方法により得られる、卵黄と多糖類を含有する乳化組成物を含有してなるマヨネーズ様食品に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、「マヨネーズ様食品」とは、水相中に食用油脂が均一に分散した、pHが好ましくは1〜5、より好ましくは3〜4の酸性水中油滴型乳化食品をいい、本発明のマヨネーズ様食品は、卵黄と多糖類を含有した混合液を、卵黄中のタンパク質の熱凝固温度以下の温度に加熱する工程を含む方法により得られる乳化組成物を含有している点に特徴を有する。かかる乳化組成物を含有したマヨネーズ様食品は、優れた乳化力を有し、かつ風味、食感も良好である。
【0008】
乳化組成物に用いられる卵黄は、液状であればその由来は鶏卵、あひる卵等、特に限定されるものではないが、供給量の関係より、鶏卵卵黄が好ましい。卵黄は一般に市販されているものを使用することができ、生卵黄に限らず、殺菌液卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄、これらの凍結品等であってもよいが、本発明では、塩分が5〜20重量%程度の加塩卵黄が好ましい。さらに、卵黄粉末を水で希釈して卵黄液としたものや、液卵黄を水等で希釈して粘度を低下させたものを使用することもできる。
【0009】
混合液は卵黄と多糖類のみから構成されていてもよいが、粘性の観点から、混合液中の卵黄の含有量は、0.5〜80重量%が好ましく、1.0〜50重量%がより好ましい。
【0010】
多糖類としては、キサンタンガム、LMペクチン、HMペクチン等のペクチン、カッパカラギナン、イオタカラギナン、ラムダカラギナン等のカラギナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、カラヤガム、プルラン、サイリウムシードガム、トロロアオイ、ファーセレラン、及びこれらの分解物、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、メチルセルロース、ダイズ多糖類、コンニャク粉、海藻・褐藻抽出物、オクラ抽出物、アロエベラ抽出物、モモ抽出物等、一般に食品に使用できるものであれば特に限定されないが、これらのなかでは、卵黄タンパク質との反応性の観点から、ペクチン、キサンタンガム、カラギナン、ジェランガム、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の酸性多糖類が好ましく、キサンタンガム、ペクチン及びカラギナンからなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましい。またこれらの多糖類は単独であっても、2種以上が併用されていてもよい。
【0011】
多糖類の配合量は、多糖類の種類や粘性を考慮して適宜決定されるが、卵黄100重量部に対して、0.05〜5重量部程度が好ましく、0.1〜4重量部がより好ましく、0.2〜2重量部が特に好ましい。
【0012】
さらに、本発明の乳化組成物には、デキストリン、大豆多糖類、卵白、乳化剤等が、必要に応じて適宜配合されていてもよい。
【0013】
本発明において、卵黄と多糖類を混合する方法は、特に限定されないが、例えば、多糖類を卵黄にそのまま添加することにより混合液が増粘しすぎて、多糖類の均一分散・溶解が困難となる場合には、予め多糖類を水に分散・溶解させた水溶液を、卵黄と混合する方法が好ましい。この場合、多糖類の水溶液をいったん加熱し、多糖類を完全に膨潤・溶解させ、冷却した後、卵黄と混合することにより、多糖類をより容易に卵黄中に均一分散・溶解させることができる。また、多糖類を分散・溶解させる水の量は、特に限定されず、続く加熱工程での効率を考慮して適宜決定すればよい。
【0014】
卵黄と多糖類を含有した混合液の加熱温度は、卵黄タンパク質の熱凝固温度以下の温度であれば特に限定されず、卵黄の濃度、使用する多糖類の種類、加塩・加糖等の卵黄に対する添加物質の有無等によって最適温度は異なるが、通常、卵黄タンパク質の熱凝固温度は65〜75℃であるので、50℃〜70℃が好ましく、55℃〜65℃がより好ましい。
【0015】
卵黄と多糖類を含有した混合液の加熱方法は、プレート式(連続式)や撹拌羽根で上下左右に撹拌しつつ加熱するバッチ式の加熱法により、混合液を均一に加熱できる方法が好ましい。
【0016】
卵黄と多糖類を含有した混合液の加熱時間は、加熱温度や加熱効率によって適宜決定されるが、一例をあげると、卵黄液50重量%、精製水49.5重量%及びキサンタンガム0.5重量%からなる混合液を、プレートによる連続式加熱法により、64℃で加熱する場合、加熱時間は1〜15分間程度が好ましく、2〜10分間程度がより好ましい。なお、同様の処理をバッチ式加熱法で行う場合は、連続式加熱法に相当する熱量で処理する観点から、低温で長時間(例えば、30〜90分程度)の加熱が好ましい。
【0017】
本発明のマヨネーズ様食品における乳化組成物の含有量は、油相材料を安定に乳化し、粘度を上げる観点から、3〜50重量%が好ましく、5〜15重量%がより好ましい。
【0018】
本発明のマヨネーズ様食品には、前記乳化組成物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常マヨネーズ様食品に用いられている各種の油相原料及び水相原料が適宜含有されていてもよい。例えば、ナタネ油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油及びこれらの精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等の食用油脂;馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋等の何らかの処理を施した加工澱粉等の澱粉類;キサンタンガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム等のガム質;食酢、クエン酸、レモン果汁等の酸味材;グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料;卵黄、ホスホリパーゼA処理卵黄、全卵、卵白、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化材;動植物のエキス類、からし粉、胡椒等の香辛料、並びに各種蛋白質やこれらの分解物等が挙げられる。
【0019】
本発明のマヨネーズ様食品は、前記乳化組成物を原料として用いる以外は、常法に従って製造することができる。例えば、乳化組成物、水、加工澱粉、醸造酢、調味料等の水相原料に、食用油脂等の油相原料を添加しながら、乳化させる方法が挙げられる。乳化には、アジホモミキサー、コロイドミル等の各種攪拌機を用いることができるが、乳化工程を、さらに、1500〜3000r/min程度の低速攪拌で行う予備乳化工程と、5000〜10000r/min程度の高速攪拌で行う本乳化工程に分けて行うことにより、水相中に油相粒子が微細に分散し、保存性及び安定性に優れたマヨネーズ様食品を得ることができる。
【0020】
本発明のマヨネーズ様食品の粘度は、保存性、食感等の観点から、40〜180Pa・sが好ましく、80〜150Pa・sがより好ましい。
【0021】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によりなんら限定されるものではない。
【0022】
実施例1
殻付鶏卵を割卵して卵白と卵黄を分離した後、異物除去のために卵黄液をストレーナーに通して、生卵黄(卵黄タンパク質の熱凝固温度:68℃)500gを得た。これに、食塩50gを添加して混合し、10%加塩卵黄550gを得た。次に、キサンタンガム(太陽化学(株)製)10gをホモディスパーにて、精製水700gに分散・溶解させた後、湯浴にて90℃まで加熱し、室温まで冷却して、多糖類水溶液を得た。次に、生卵黄と多糖類水溶液を混合し、混合液をゆっくりと撹拌しながら63℃の湯浴にて60分間バッチ加熱処理することにより、乳化組成物1260gを得た。加熱処理に供した混合液は、加熱開始から30分で、加熱による最高温度(62.5℃)に達した。
【0023】
食塩8g、砂糖10g、グルタミン酸ナトリウム1g、加工澱粉(松谷化学(株)製)15g及び水160gを混合溶解させ、湯浴にて90℃まで昇温した後、室温まで冷却した。得られた混合液に、乳化組成物126gを添加してホモミキサーにて混ぜ合わせ均質にした後、醸造酢((株)アジノキ製、pH:10)31.5gを添加して混合した。得られた混合液に、ナタネ油150gを徐々に添加しながら、ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、4000r/minで3分間予備乳化を行い、続いてアジホモミキサー(特殊機化工業(株)製)を用いて6000r/minで5分間本乳化を行って、マヨネーズ様食品を得た。
【0024】
実施例2
キサンタンガムの代わりに、LMペクチン(太陽化学(株)製)20gを使用した以外は、実施例1と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0025】
実施例3
キサンタンガムの代わりに、カッパカラギナン(太陽化学(株)製)15gを使用した以外は、実施例1と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0026】
比較例1
乳化組成物を製造する際に加熱処理を行わない以外は、実施例1と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0027】
比較例2
乳化組成物を製造する際に加熱処理を行わない以外は、実施例2と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0028】
比較例3
乳化組成物を製造する際に加熱処理を行わない以外は、実施例3と同様にして乳化組成物を製造し、さらにマヨネーズ様食品を得た。
【0029】
各実施例及び比較例で得られたマヨネーズ様食品の粘度を、B型粘度計((株)東京計器製)を用いて測定した。さらに、各マヨネーズ様食品の貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)を動的粘弾性測定装置(レオメトリックサイエンティフィック(株)製)を用いて測定し、粘弾性の指標として、3Hzでのtanδ(G’’/G’)の値を求めた。各実施例及び比較例で得られたマヨネーズ様食品の粘度及びtanδを、市販のマヨネーズの値と合わせて、表1に示す。
【0030】
試験例
任意に選定した10人の男女により、得られたマヨネーズ様食品の、風味、食感について官能評価を行った。
【0031】
【表1】
【0032】
以上の結果から明らかなように、実施例のマヨネーズ様食品は、比較例のマヨネーズ様食品とは異なり、ネチャつきがなく、口どけの良好な、優れた風味、食感を有している。また、マヨネーズ様食品の粘度も上昇し、粘弾性は市販のマヨネーズに近似したものであった。
【0033】
【発明の効果】
本発明のマヨネーズ様食品は、卵黄と多糖類を含有した、乳化力に優れた乳化組成物を含有しているため、良好な粘性を維持しつつ、風味、食感にも優れているという優れた効果を奏する。
Claims (5)
- 卵黄と多糖類を含有した混合液を、卵黄タンパク質の熱凝固温度以下の温度に加熱する工程を含む方法により得られる、卵黄と多糖類を含有する乳化組成物を含有してなるマヨネーズ様食品。
- 卵黄が加塩卵黄である請求項1記載のマヨネーズ様食品。
- 多糖類が酸性多糖類である請求項1又は2記載のマヨネーズ様食品。
- 酸性多糖類が、キサンタンガム、ペクチン及びカラギナンからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項3記載のマヨネーズ様食品。
- 加熱温度が50〜70℃である請求項1〜4いずれか記載のマヨネーズ様食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003012736A JP2004222561A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | マヨネーズ様食品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003012736A JP2004222561A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | マヨネーズ様食品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004222561A true JP2004222561A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32901251
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003012736A Pending JP2004222561A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | マヨネーズ様食品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004222561A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103169061A (zh) * | 2013-04-14 | 2013-06-26 | 大丰市福到乐水产食品有限公司 | 螺蛳酱的配方及加工方法 |
CN103190603A (zh) * | 2013-04-14 | 2013-07-10 | 大丰市福到乐水产食品有限公司 | 蚬子酱的配方及加工方法 |
JP2019088238A (ja) * | 2017-11-15 | 2019-06-13 | オリエンタル酵母工業株式会社 | 半固体状水中油型乳化食品及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-01-21 JP JP2003012736A patent/JP2004222561A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103169061A (zh) * | 2013-04-14 | 2013-06-26 | 大丰市福到乐水产食品有限公司 | 螺蛳酱的配方及加工方法 |
CN103190603A (zh) * | 2013-04-14 | 2013-07-10 | 大丰市福到乐水产食品有限公司 | 蚬子酱的配方及加工方法 |
JP2019088238A (ja) * | 2017-11-15 | 2019-06-13 | オリエンタル酵母工業株式会社 | 半固体状水中油型乳化食品及びその製造方法 |
JP7062410B2 (ja) | 2017-11-15 | 2022-05-06 | オリエンタル酵母工業株式会社 | 半固体状水中油型乳化食品及びその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Cornelia et al. | The utilization of extract durian (Durio zibethinus L.) seed gum as an emulsifier in vegan mayonnaise | |
AU783154B2 (en) | Emulsion for processed meat and processed meat using the emul sion | |
JP4926050B2 (ja) | 酸性水中油滴型エマルジョン及びその食品への応用 | |
US20150099053A1 (en) | Oil-in-water-type emulsion gel food | |
JP3684879B2 (ja) | 食肉加工用水中油滴型乳化液、該乳化液を注入した食肉加工製品及びその製造方法 | |
PH12014501793B1 (en) | Heat-stable oil-in-water emulsion | |
Zhang et al. | Recent progress of fat reduction strategies for emulsion type meat products | |
JP5734839B2 (ja) | 乳化剤、油脂食品及び油脂食品の製造方法 | |
JP6114145B2 (ja) | ウニ含有水中油型乳化ソース | |
EP3457861B1 (en) | Oil-in-water emulsion containing wheat flour and physically modified starch | |
JP2004222561A (ja) | マヨネーズ様食品 | |
JP4440751B2 (ja) | 加工食肉の製造方法 | |
JP2018171064A (ja) | 水中油型乳化食品 | |
JP7162498B2 (ja) | マヨネーズ様食品 | |
JP2001252042A (ja) | マヨネーズ様食品 | |
JP2003158998A (ja) | 水中油型乳化油脂組成物 | |
JP2012010621A (ja) | 酸性水中油型乳化食品 | |
JP4889684B2 (ja) | 液状調味料の製造方法 | |
JP2008167693A (ja) | パスタソース | |
JP4338576B2 (ja) | 水中油型酸性調味料 | |
JP6576626B2 (ja) | 水中油型乳化ソース | |
JPH0530941A (ja) | マヨネーズ様調味料およびその製造法 | |
JPS6322776B2 (ja) | ||
JP4800338B2 (ja) | 酸性液状調味料 | |
JP5907801B2 (ja) | 水中油型乳化食品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051019 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071129 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080408 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080730 |