JP2004221446A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高電界であっても電極間のリーク電流が少ないMIM構造のキャパシタの製造方法を提供すること。
【解決手段】下部金属電極7の上に金属酸化物膜8a、8b、8cを順次積層して誘電体膜8を形成する。このとき、各金属酸化物膜膜8a、8b、8cの成膜の度に結晶温度以下の温度でのアニールを行い、各金属酸化物膜8a、8b、8cをアモルファスとする。このアニールに当たって、金属酸化物膜8b、8cの場合は、O2を紫外光励起した活性化酸素雰囲気中で行うが、金属酸化物膜8aの場合は、下部電極7の酸化の度合いを少なくするため、活性化酸素を用いず通常の酸素雰囲気中でアニールを実施する。
【選択図】 図2
【解決手段】下部金属電極7の上に金属酸化物膜8a、8b、8cを順次積層して誘電体膜8を形成する。このとき、各金属酸化物膜膜8a、8b、8cの成膜の度に結晶温度以下の温度でのアニールを行い、各金属酸化物膜8a、8b、8cをアモルファスとする。このアニールに当たって、金属酸化物膜8b、8cの場合は、O2を紫外光励起した活性化酸素雰囲気中で行うが、金属酸化物膜8aの場合は、下部電極7の酸化の度合いを少なくするため、活性化酸素を用いず通常の酸素雰囲気中でアニールを実施する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MIM(Metal−Insulator−Metal)構造のキャパシタを備える半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
RF回路等のアナログ回路を搭載する半導体集積回路装置の微細化に伴い、これらアナログ回路に多数使用されるキャパシタの面積の低減が望まれている。そこで、比誘電率の高い誘電体材料を成膜した誘電体膜を容量誘電体膜として用いて、少ない面積でも大きな容量が得られるMIM構造のキャパシタを集積化した半導体装置の研究が進められている。
【0003】
MIM構造のキャパシタは、容量誘電体膜を挟む上部と下部の電極を金属としているため、従来のポリシリコン等の半導体材料を電極に用いたときに発生した電極自体に空乏層が生じるという問題がなく、電極間の電位差に関わらず一定した容量値が得られるという利点がある。そのため、高精度が要求されるアナログ回路への利用に適している。
【0004】
従来、このMIM構造のキャパシタに用いる誘電体膜の形成方法として、誘電体材料をスパッタ法で下部金属電極上に堆積する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、TaやNbなどの金属を陽極とし、電解液内で電気化学酸化によって金属酸化物被膜を形成する陽極酸化法も誘電体膜を形成する方法として知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また誘電体膜形成の別の方法として、塗布法や化学的気相成長法(CVD法)で金属有機化合物を下部電極上に堆積した後、熱処理によって有機物の除去および金属酸化物の結晶化を行い、比誘電率の高い誘電体膜を得る方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−299558号公報(第6頁、図1)
【0008】
【特許文献2】
特開2002−280458号公報(第3頁、図2)
【0009】
【特許文献3】
特開平10−247723号公報(第2−4頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、MIM構造のキャパシタの誘電体膜の形成方法として、上述のスパッタ法や陽極酸化法のような高純度金属から金属酸化物を形成する方法を用いた場合、この金属酸化物が電極金属(通常、酸素を含まない)と反応して、金属酸化物に酸素空孔が生じやすくなる。一旦、酸素空孔が生じると、金属酸化物の膜組成が膜厚方向に均一なため、酸素空孔が膜厚方向に容易に移動する。そのため、高電界ではキャパシタ電極間のリーク電流が増大するという問題が発生する。
【0011】
また、塗布法やCVD法を用いた場合に、比誘電率を高めるために熱処理による金属酸化物の結晶化を行うと、粒界伝導の増加によって、やはりリーク電流が増大するという問題が発生する。
【0012】
さらに、結晶化のための熱処理には、例えばTa2O5の場合、700°C以上の高温が必要であり、この高温のため、下部電極が酸化するという問題も生じる。このような、下部電極の酸化は、キャパシタの寄生抵抗の増大をもたらし、その結果、たとえばRF回路における発振特性の劣化など、このキャパシタが利用される回路の動作に悪影響を及ぼす。
【0013】
そこで、本発明の目的は、高電界であっても電極間のリーク電流が少ないMIM構造のキャパシタを有する半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、半導体基板上に形成された第1の金属電極と、前記第1の金属電極の上に形成されたアモルファスの金属酸化物からなる誘電体膜と、前記誘電体膜の上に形成された第2の金属電極とから成るキャパシタを有し、前記誘電体膜が、前記金属酸化物の堆積方向に沿って少なくとも2箇所の高濃度領域のある不均一な不純物濃度分布を有することを特徴とする。
【0015】
このような本発明の半導体装置によれば、誘電体膜中の高濃度の不純物領域が酸素空孔のトラップとして働くため、高電界であっても誘電体膜中での酸素空孔の移動が少なく、キャパシタを流れるリーク電流を減少させることができる。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された多層配線層上に絶縁層を介して第1の金属電極を形成する工程と、前記第1の電極上に、金属酸化物膜を形成する工程を複数回繰り返し、積層構造の誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に第2の金属電極を形成する工程とから成るキャパシタ形成工程を有し、前記誘電体膜を形成する工程中の2回目以降の前記金属酸化物膜を形成する工程のうちの少なくとも1回で、活性化された酸素雰囲気中における前記金属酸化物膜のアニール処理を行うことを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本発明の別の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された多層配線層上に前記多層配線の少なくとも一部と接続された第1の金属電極を形成する工程と、前記第1の電極上に、金属酸化物膜を形成する工程を複数回繰り返し、積層構造の誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に第2の金属電極を形成する工程とから成るキャパシタ形成工程を有し、前記誘電体膜を形成する工程中の2回目以降の前記金属酸化物膜を形成する工程のうちの少なくとも1回で、活性化された酸素雰囲気中における前記金属酸化物膜のアニール処理を行うことを特徴とする。
【0018】
このような本発明の半導体装置の製造方法によれば、金属酸化物膜の積層界面に沿って高濃度の不純物領域を形成することができる。このようにして形成した高濃度の不純物領域が、酸素空孔のトラップとして働くため、高電界であっても誘電体膜中での酸素空孔の移動が少なく、リーク電流の少ないキャパシタを形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1〜図4は、本発明の半導体装置のうちの特にMIM構造のキャパシタ部分の製造方法の第1の実施の形態の工程の概略を工程順に示す工程断面図である。
【0021】
まず、図1(a)に示すように、通常の工程に従ってMOSFET等の素子(図示せず)が形成されたシリコン基板1の上に、層間絶縁膜2を挟んで多層の金属配線3a、3b、3cからなる多層配線層4が形成される。
【0022】
その後、この多層配線層4の上面部には、例えばCuを用いた金属プラグ5が、金属配線(例えば金属配線3c)との接続のために埋め込まれて、その表面はCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化される。
【0023】
この平坦化された多層配線層4の表面には、低温のプラズマCVD法によりSiNの絶縁膜6が形成される。この絶縁膜6は、金属プラグ5の材料がCuの場合、後工程の熱処理中のCu拡散を防止する。
【0024】
次に、図1(b)に示したように、絶縁膜6上に、窒素を反応性ガスとするマグネトロン反応性スパッタリング法によりTaNを堆積して第1の金属電極である下部金属電極7を形成する。
【0025】
続いて、図2(c)に示すように、下部金属電極7上に、金属有機化合物であるTa(OEt)5を有機溶媒に溶かした有機溶液をスピン塗布法で成膜し、370°Cの酸素中熱処理で1回目のアニールを行い、有機基を除去してアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜8aを形成する。ただし、総ての有機基を除去することはできず、C(炭素)などの不純物が金属酸化物膜8a中に残存する。また、金属酸化物膜8aと下部金属電極7との反応により金属酸化物膜8aには酸素空孔が生じる。
【0026】
ここで、アニール後の金属酸化膜8aの膜厚が8nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されているものとする。
【0027】
次いで、図2(d)に示すように、金属酸化物膜8aの上に、再びTa(OEt)5の有機溶液をスピン塗布法で成膜し、370°Cで2回目のアニールを行う。ただし、今回のアニールは1回目と異なり、波長170〜260nmの紫外光でO2を励起して得られる活性化酸素雰囲気中で実施する。このアニールで、Ta(OEt)5の有機溶液から有機基を除去してアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜8bを形成する。このとき、活性化酸素を用いることにより金属酸化物膜8b中の不純物Cや酸素空孔の数が大きく減少する。
【0028】
ここで、金属酸化物膜8bの膜厚が7nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されている。
【0029】
さらに、図2(e)に示すように、金属酸化物膜8bの上に、再びTa(OEt)5の有機溶液をスピン塗布法で成膜し、2回目のアニールと同じくO2の紫外光励起で活性化酸素雰囲気を生成し、370°Cで3回目のアニールを行う。これにより、金属酸化物膜8bと同様のアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜8cを形成する。このとき、金属酸化物膜8cの膜厚が7nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されている。
【0030】
このようにして、順次積層形成された金属酸化物膜8a、8b、8cにより膜厚22nmの誘電体膜8が形成される。
【0031】
続いて、図3(f)に示すように、誘電体膜8の上に、第2の金属電極である上部金属電極9を、下部金属電極7と同じくマグネトロン反応性スパッタリング法によりTaNを堆積して形成する。
【0032】
その後、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、所望の形状のレジスト膜を形成し、このレジスト膜を用いて上部金属電極9のパターニングを行って、図3(g)に示すように、上部金属電極9をキャパシタ電極として必要な面積が得られる形状にする。
【0033】
さらに、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、所望の形状のレジスト膜を形成し、このレジスト膜を用いた誘電体膜8および下部金属電極7パターニングを行って、図3(h)に示すように、誘電体膜8および下部金属電極7を所望の形状にする。
【0034】
これにより、下部金属電極7、誘電体膜8および上部金属電極9からなり、所望のキャパシタンスを有するMIM構造のキャパシタ10が形成される。
【0035】
最後に、図4(i)に示すように、低温のプラズマCVD法によりSiNを堆積してなる層間絶縁膜11でMIM構造のキャパシタ10を覆い、本実施の形態におけるMIM構造のキャパシタの形成に関わる一連の工程は終了する。なお、本実施の形態においては、下部金属電極7および上部金属電極9への電気的な信号の送受は、層間絶縁膜11中に埋め込まれた金属プラグ12を介して層間絶縁膜11の上面より行われる。
【0036】
図5は、上記本発明の方法により3層の金属酸化物膜を積層して誘電体膜を形成したMIM構造のキャパシタの誘電体膜の膜厚方向の不純物Cの濃度分布を示すグラフである。図5の横軸は、誘電体膜の上部電極側を原点(0)として、下部電極側に向かっての深さを示すものであり、すなわち誘電体膜の上面から下面に向かっての膜厚を示すものである。また、金属酸化物膜の積層順で表わせば、左(原点)から3層目(膜厚7nm)、2層目(膜厚7nm)、1層目(膜厚8nm)となる。
【0037】
図5に見るように、誘電体膜の中間の2箇所(金属酸化物膜の3層目と2層目の境界付近、および3層目と2層目の境界付近)に不純物濃度のピークがあること、および金属酸化物膜の1層目は、他の2層より全体に不純物濃度が高いことがわかる。また、それぞれの層において、膜の上面(図5横軸の左)から下面(図5横軸の右)に向かって次第に不純物濃度が高くなっていることがわかる。
【0038】
誘電体膜がこのような不純物濃度分布を示す理由は次のように説明できる。すなわち、(1)金属酸化物膜の3層目と2層目の生成時には、活性酸素が不純物除去に効果的に働き、全体に不純物濃度が低くなること、(2)アニールを各層形成時の上面側から行うため、それぞれの層の上面側(図5横軸の左側)ほどアニールの効果が表れ、不純物除去の効果が高くなること、以上2点の効果によるものである。
【0039】
図6は、本発明の方法により3層の金属酸化物膜を積層して誘電体膜を形成したMIM構造のキャパシタのリーク電流特性を示すグラフである。図5に3回塗布膜(2回目、3回目O3アニール)として記したグラフに見るように、本実施の形態のキャパシタのリーク電流は、従来のスパッタ法で誘電体膜を形成したキャパシタのリーク電流(図中スパッタ膜と表記)に比べ小さく、且つ電界の大きさおよび電界の正負の方向によらず一様であることがわかる。
【0040】
これは、図5に示した不純物濃度分布における高濃度領域が、誘電体膜中で酸素空乏のトラップとして働くため、高電界であっても誘電体膜内での酸素空乏の移動が起きにくいためによる。
【0041】
なお、参考のため、図6に誘電体膜形成時の1回目のアニールも活性化酸素雰囲気中で行った場合のキャパシタのリーク電流特性を3回塗布膜(3回ともO3アニール)と記したグラフで示す。図に見るように、この場合、正方向の高電界側でリーク電流が増加しているのがわかる。これは、1回目のアニールで使用の活性化酸素が下部金属電極界面を酸化させ、そのため下部金属電極でのリーク電流が増えたことによるものである。
【0042】
これより、誘電体膜形成時の1層目の金属酸化物膜のアニールには、活性化酸素を用いない方がよいことがわかる。
【0043】
図7は、本発明に係る半導体装置のキャパシタのキャパシタンスの電圧依存特性を示すグラフである。図7に見るように、本実施の形態のキャパシタのキャパシタンスは、印加電圧の大きさおよび正負に関わらず、ほぼ一定であり、電圧依存性のない安定した特性が得られる。
【0044】
このような本実施の形態の半導体装置の製造法によれば、高電界であってもリーク電流が少なく、且つ電圧依存性がなく安定したキャパシタンスが得られるMIM構造のキャパシタを作ることができる。
【0045】
また、上記の製造法によれば、誘電体形成時におけるMIM構造のキャパシタの下部電極金属の酸化を防止することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図8〜図11は、本発明の半導体装置のうちの特にMIM構造のキャパシタ部分の製造方法の第2の実施の形態の工程の概略を工程順に示す工程断面図である。
【0047】
まず、図8(a)に示すように、通常の工程に従ってMOSFET等の素子(図示せず)が形成されたシリコン基板101の上に、層間絶縁膜102を挟んで多層の金属配線103a、103b、103cからなる多層配線層104が形成される。
【0048】
その後、この多層配線層104の上面部には、金属配線(例えば金属配線3c)に接続される金属プラグ105が埋め込まれ、その表面はCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化処理が行われる。
【0049】
次に、図8(b)に示したように、多層配線層104上に、窒素を反応性ガスとするマグネトロン反応性スパッタリング法によりTaNを堆積して第1の金属電極である下部金属電極107を形成する。これにより、金属プラグ105は、下部金属電極107と電気的に接続される。
【0050】
続いて、図9(c)に示すように、下部金属電極107上に、CVD法により380°Cで金属有機化合物Ta(OEt)5を成膜後、380°Cの酸素中熱処理で1回目のアニールを行い、Ta(OEt)5から有機基を除去してアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜108aを形成する。ただし、総ての有機基を除去することはできず、Cなどの不純物が金属酸化物膜108a中に残存する。また、金属酸化物膜108aと下部金属電極107との反応により金属酸化物膜108aには酸素空孔が生じる。
【0051】
ここで、アニール後の金属酸化膜108aの膜厚が8nmとなるようCVD時の成膜条件が設定されているものとする。
【0052】
次いで、図9(d)に示すように、金属酸化物膜108aの上に、再びCVD法により380°CでTa(OEt)5を成膜後、380°Cで2回目のアニールを行う。ただし、今回のアニールは1回目と異なり、波長170〜260nmの紫外光でO2を励起して得られる活性化酸素雰囲気中で実施する。このアニールで、Ta(OEt)5から有機基を除去してアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜108bを形成する。このとき、活性化酸素を用いることにより金属酸化物膜108b中の不純物Cや酸素空孔の数が大きく減少する。
【0053】
ここで、金属酸化物膜108bの膜厚が7nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されている。
【0054】
さらに、図9(e)に示すように、金属酸化物膜108bの上に、再びCVD法により380°CでTa(OEt)5を成膜後、2回目のアニールと同じくO2の紫外光励起で活性化酸素雰囲気を生成し、380°Cで3回目のアニールを行う。これにより、金属酸化物膜108bと同様のアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜108cを形成する。このとき、金属酸化物膜108cの膜厚が7nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されている。
【0055】
このようにして、順次積層形成された金属酸化物膜108a、108b、108cにより膜厚22nmの誘電体膜108が形成される。
【0056】
続いて、図10(f)に示すように、誘電体膜108の上に、第2の金属電極である上部金属電極109を、下部金属電極107と同じくマグネトロン反応性スパッタリング法によりTaNを堆積して形成する。
【0057】
その後、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、所望の形状のレジスト膜を形成し、このレジスト膜を用いた上部金属電極109のパターニングを行って、図10(g)に示すように、上部金属電極109をキャパシタ電極として必要な面積が得られる形状にする。
【0058】
さらに、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、所望の形状のレジスト膜を形成し、このレジスト膜を用いた誘電体膜8および下部金属電極7のパターニングを行って、図10(h)に示すように、誘電体膜108および下部金属電極107を所望の形状にする。
【0059】
これにより、下部金属電極107、誘電体膜108および上部金属電極109からなり、所望のキャパシタンスを有するMIM構造のキャパシタ110が形成される。
【0060】
最後に、図11(i)に示すように、低温のプラズマCVD法によりSiNを堆積してなる層間絶縁膜111でMIM構造のキャパシタ110を覆い、さらに上部金属電極109に接続する金属プラグ112を形成して、本実施の形態におけるMIM構造のキャパシタの形成に関わる一連の工程は終了する。
【0061】
このような第2の実施の形態の製造方法によって形成されたMIM構造のキャパシタも、第1の実施の形態の製造方法で形成されたMIM構造のキャパシタと同様の電気的特性を示す。すなわち、高電界であってもリーク電流が少なく、且つキャパシタンスに電圧依存性のないMIM構造のキャパシタが得られる。
【0062】
また、第2の実施の形態の製造法によっても、誘電体形成時におけるMIM構造のキャパシタの下部電極金属の酸化を防止することができる。
【0063】
さらに、第2の実施の形態の製造法では、一つの反応室でCVD成膜とO3を用いたアニール処理を交互に連続的に行えるCVD装置を用いることにより、高品質の誘電体膜を再現性良く得ることができる。
【0064】
上述の各実施の形態では、誘電体膜生成材料の金属有機化合物としてTa(OEt)5を用いた例を示しているが、このほかにNb(OBu)5、あるいはTa(OEt)5とNb(OBu)5の混合物を用いてもよい。
【0065】
また、アニール温度も各実施の形態に記した温度に限られるものではなく、金属酸化物の結晶化温度以下であればよいが、450°C以下のできるだけ低温とすることが望ましい。
【0066】
さらに、誘電体膜を形成する金属酸化物膜の膜厚および積層回数も各実施の形態に記した数値に限定されるものではなく、製造上および設計上の条件により任意に設定することができる。
【0067】
また、下部電極および上部電極も単層のTaNに限られるものではなく、例えば、TiN/Ti/TiNの多層電極構造を連続スパッタで堆積して形成してもよい。
【0068】
さらに、多層配線層中の金属配線や金属プラグの材質としては、Al、W、Tiなどを用いることができるが、より高速な動作にはCuが適している。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、高電界であっても電極間のリーク電流が少ないMIM構造のキャパシタを有する半導体装置を実現することができる。
【0070】
また、上記MIM構造のキャパシタは、電圧依存性のない安定したキャパシタンスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その1)。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その2)。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その3)。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その4)。
【図5】本発明に係る半導体装置の誘電体膜の不純物濃度分布を示す図。
【図6】本発明に係る半導体装置のMIM構造のキャパシタのリーク電流特性を示す図。
【図7】本発明に係る半導体装置のMIM構造のキャパシタのキャパシタンスの電圧依存特性を示す図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その1)。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その2)。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その3)。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その4)。
【符号の説明】
1、101 シリコン基板
2、102 層間絶縁膜
3a、3b、3c、103a、103b、103c 金属配線
4、104 多層配線層
5、105、12、112 金属プラグ
6 絶縁膜
7、107 下部金属電極
8a、8b、8c、108a、108b、108c 金属酸化物
9、109 上部金属電極
10、110 MIM構造のキャパシタ
11、111 層間絶縁膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、MIM(Metal−Insulator−Metal)構造のキャパシタを備える半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
RF回路等のアナログ回路を搭載する半導体集積回路装置の微細化に伴い、これらアナログ回路に多数使用されるキャパシタの面積の低減が望まれている。そこで、比誘電率の高い誘電体材料を成膜した誘電体膜を容量誘電体膜として用いて、少ない面積でも大きな容量が得られるMIM構造のキャパシタを集積化した半導体装置の研究が進められている。
【0003】
MIM構造のキャパシタは、容量誘電体膜を挟む上部と下部の電極を金属としているため、従来のポリシリコン等の半導体材料を電極に用いたときに発生した電極自体に空乏層が生じるという問題がなく、電極間の電位差に関わらず一定した容量値が得られるという利点がある。そのため、高精度が要求されるアナログ回路への利用に適している。
【0004】
従来、このMIM構造のキャパシタに用いる誘電体膜の形成方法として、誘電体材料をスパッタ法で下部金属電極上に堆積する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、TaやNbなどの金属を陽極とし、電解液内で電気化学酸化によって金属酸化物被膜を形成する陽極酸化法も誘電体膜を形成する方法として知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
また誘電体膜形成の別の方法として、塗布法や化学的気相成長法(CVD法)で金属有機化合物を下部電極上に堆積した後、熱処理によって有機物の除去および金属酸化物の結晶化を行い、比誘電率の高い誘電体膜を得る方法がある(例えば、特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−299558号公報(第6頁、図1)
【0008】
【特許文献2】
特開2002−280458号公報(第3頁、図2)
【0009】
【特許文献3】
特開平10−247723号公報(第2−4頁、図1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、MIM構造のキャパシタの誘電体膜の形成方法として、上述のスパッタ法や陽極酸化法のような高純度金属から金属酸化物を形成する方法を用いた場合、この金属酸化物が電極金属(通常、酸素を含まない)と反応して、金属酸化物に酸素空孔が生じやすくなる。一旦、酸素空孔が生じると、金属酸化物の膜組成が膜厚方向に均一なため、酸素空孔が膜厚方向に容易に移動する。そのため、高電界ではキャパシタ電極間のリーク電流が増大するという問題が発生する。
【0011】
また、塗布法やCVD法を用いた場合に、比誘電率を高めるために熱処理による金属酸化物の結晶化を行うと、粒界伝導の増加によって、やはりリーク電流が増大するという問題が発生する。
【0012】
さらに、結晶化のための熱処理には、例えばTa2O5の場合、700°C以上の高温が必要であり、この高温のため、下部電極が酸化するという問題も生じる。このような、下部電極の酸化は、キャパシタの寄生抵抗の増大をもたらし、その結果、たとえばRF回路における発振特性の劣化など、このキャパシタが利用される回路の動作に悪影響を及ぼす。
【0013】
そこで、本発明の目的は、高電界であっても電極間のリーク電流が少ないMIM構造のキャパシタを有する半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、半導体基板上に形成された第1の金属電極と、前記第1の金属電極の上に形成されたアモルファスの金属酸化物からなる誘電体膜と、前記誘電体膜の上に形成された第2の金属電極とから成るキャパシタを有し、前記誘電体膜が、前記金属酸化物の堆積方向に沿って少なくとも2箇所の高濃度領域のある不均一な不純物濃度分布を有することを特徴とする。
【0015】
このような本発明の半導体装置によれば、誘電体膜中の高濃度の不純物領域が酸素空孔のトラップとして働くため、高電界であっても誘電体膜中での酸素空孔の移動が少なく、キャパシタを流れるリーク電流を減少させることができる。
【0016】
また、上記目的を達成するために、本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された多層配線層上に絶縁層を介して第1の金属電極を形成する工程と、前記第1の電極上に、金属酸化物膜を形成する工程を複数回繰り返し、積層構造の誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に第2の金属電極を形成する工程とから成るキャパシタ形成工程を有し、前記誘電体膜を形成する工程中の2回目以降の前記金属酸化物膜を形成する工程のうちの少なくとも1回で、活性化された酸素雰囲気中における前記金属酸化物膜のアニール処理を行うことを特徴とする。
【0017】
また、上記目的を達成するために、本発明の別の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に形成された多層配線層上に前記多層配線の少なくとも一部と接続された第1の金属電極を形成する工程と、前記第1の電極上に、金属酸化物膜を形成する工程を複数回繰り返し、積層構造の誘電体膜を形成する工程と、前記誘電体膜上に第2の金属電極を形成する工程とから成るキャパシタ形成工程を有し、前記誘電体膜を形成する工程中の2回目以降の前記金属酸化物膜を形成する工程のうちの少なくとも1回で、活性化された酸素雰囲気中における前記金属酸化物膜のアニール処理を行うことを特徴とする。
【0018】
このような本発明の半導体装置の製造方法によれば、金属酸化物膜の積層界面に沿って高濃度の不純物領域を形成することができる。このようにして形成した高濃度の不純物領域が、酸素空孔のトラップとして働くため、高電界であっても誘電体膜中での酸素空孔の移動が少なく、リーク電流の少ないキャパシタを形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1〜図4は、本発明の半導体装置のうちの特にMIM構造のキャパシタ部分の製造方法の第1の実施の形態の工程の概略を工程順に示す工程断面図である。
【0021】
まず、図1(a)に示すように、通常の工程に従ってMOSFET等の素子(図示せず)が形成されたシリコン基板1の上に、層間絶縁膜2を挟んで多層の金属配線3a、3b、3cからなる多層配線層4が形成される。
【0022】
その後、この多層配線層4の上面部には、例えばCuを用いた金属プラグ5が、金属配線(例えば金属配線3c)との接続のために埋め込まれて、その表面はCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化される。
【0023】
この平坦化された多層配線層4の表面には、低温のプラズマCVD法によりSiNの絶縁膜6が形成される。この絶縁膜6は、金属プラグ5の材料がCuの場合、後工程の熱処理中のCu拡散を防止する。
【0024】
次に、図1(b)に示したように、絶縁膜6上に、窒素を反応性ガスとするマグネトロン反応性スパッタリング法によりTaNを堆積して第1の金属電極である下部金属電極7を形成する。
【0025】
続いて、図2(c)に示すように、下部金属電極7上に、金属有機化合物であるTa(OEt)5を有機溶媒に溶かした有機溶液をスピン塗布法で成膜し、370°Cの酸素中熱処理で1回目のアニールを行い、有機基を除去してアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜8aを形成する。ただし、総ての有機基を除去することはできず、C(炭素)などの不純物が金属酸化物膜8a中に残存する。また、金属酸化物膜8aと下部金属電極7との反応により金属酸化物膜8aには酸素空孔が生じる。
【0026】
ここで、アニール後の金属酸化膜8aの膜厚が8nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されているものとする。
【0027】
次いで、図2(d)に示すように、金属酸化物膜8aの上に、再びTa(OEt)5の有機溶液をスピン塗布法で成膜し、370°Cで2回目のアニールを行う。ただし、今回のアニールは1回目と異なり、波長170〜260nmの紫外光でO2を励起して得られる活性化酸素雰囲気中で実施する。このアニールで、Ta(OEt)5の有機溶液から有機基を除去してアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜8bを形成する。このとき、活性化酸素を用いることにより金属酸化物膜8b中の不純物Cや酸素空孔の数が大きく減少する。
【0028】
ここで、金属酸化物膜8bの膜厚が7nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されている。
【0029】
さらに、図2(e)に示すように、金属酸化物膜8bの上に、再びTa(OEt)5の有機溶液をスピン塗布法で成膜し、2回目のアニールと同じくO2の紫外光励起で活性化酸素雰囲気を生成し、370°Cで3回目のアニールを行う。これにより、金属酸化物膜8bと同様のアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜8cを形成する。このとき、金属酸化物膜8cの膜厚が7nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されている。
【0030】
このようにして、順次積層形成された金属酸化物膜8a、8b、8cにより膜厚22nmの誘電体膜8が形成される。
【0031】
続いて、図3(f)に示すように、誘電体膜8の上に、第2の金属電極である上部金属電極9を、下部金属電極7と同じくマグネトロン反応性スパッタリング法によりTaNを堆積して形成する。
【0032】
その後、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、所望の形状のレジスト膜を形成し、このレジスト膜を用いて上部金属電極9のパターニングを行って、図3(g)に示すように、上部金属電極9をキャパシタ電極として必要な面積が得られる形状にする。
【0033】
さらに、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、所望の形状のレジスト膜を形成し、このレジスト膜を用いた誘電体膜8および下部金属電極7パターニングを行って、図3(h)に示すように、誘電体膜8および下部金属電極7を所望の形状にする。
【0034】
これにより、下部金属電極7、誘電体膜8および上部金属電極9からなり、所望のキャパシタンスを有するMIM構造のキャパシタ10が形成される。
【0035】
最後に、図4(i)に示すように、低温のプラズマCVD法によりSiNを堆積してなる層間絶縁膜11でMIM構造のキャパシタ10を覆い、本実施の形態におけるMIM構造のキャパシタの形成に関わる一連の工程は終了する。なお、本実施の形態においては、下部金属電極7および上部金属電極9への電気的な信号の送受は、層間絶縁膜11中に埋め込まれた金属プラグ12を介して層間絶縁膜11の上面より行われる。
【0036】
図5は、上記本発明の方法により3層の金属酸化物膜を積層して誘電体膜を形成したMIM構造のキャパシタの誘電体膜の膜厚方向の不純物Cの濃度分布を示すグラフである。図5の横軸は、誘電体膜の上部電極側を原点(0)として、下部電極側に向かっての深さを示すものであり、すなわち誘電体膜の上面から下面に向かっての膜厚を示すものである。また、金属酸化物膜の積層順で表わせば、左(原点)から3層目(膜厚7nm)、2層目(膜厚7nm)、1層目(膜厚8nm)となる。
【0037】
図5に見るように、誘電体膜の中間の2箇所(金属酸化物膜の3層目と2層目の境界付近、および3層目と2層目の境界付近)に不純物濃度のピークがあること、および金属酸化物膜の1層目は、他の2層より全体に不純物濃度が高いことがわかる。また、それぞれの層において、膜の上面(図5横軸の左)から下面(図5横軸の右)に向かって次第に不純物濃度が高くなっていることがわかる。
【0038】
誘電体膜がこのような不純物濃度分布を示す理由は次のように説明できる。すなわち、(1)金属酸化物膜の3層目と2層目の生成時には、活性酸素が不純物除去に効果的に働き、全体に不純物濃度が低くなること、(2)アニールを各層形成時の上面側から行うため、それぞれの層の上面側(図5横軸の左側)ほどアニールの効果が表れ、不純物除去の効果が高くなること、以上2点の効果によるものである。
【0039】
図6は、本発明の方法により3層の金属酸化物膜を積層して誘電体膜を形成したMIM構造のキャパシタのリーク電流特性を示すグラフである。図5に3回塗布膜(2回目、3回目O3アニール)として記したグラフに見るように、本実施の形態のキャパシタのリーク電流は、従来のスパッタ法で誘電体膜を形成したキャパシタのリーク電流(図中スパッタ膜と表記)に比べ小さく、且つ電界の大きさおよび電界の正負の方向によらず一様であることがわかる。
【0040】
これは、図5に示した不純物濃度分布における高濃度領域が、誘電体膜中で酸素空乏のトラップとして働くため、高電界であっても誘電体膜内での酸素空乏の移動が起きにくいためによる。
【0041】
なお、参考のため、図6に誘電体膜形成時の1回目のアニールも活性化酸素雰囲気中で行った場合のキャパシタのリーク電流特性を3回塗布膜(3回ともO3アニール)と記したグラフで示す。図に見るように、この場合、正方向の高電界側でリーク電流が増加しているのがわかる。これは、1回目のアニールで使用の活性化酸素が下部金属電極界面を酸化させ、そのため下部金属電極でのリーク電流が増えたことによるものである。
【0042】
これより、誘電体膜形成時の1層目の金属酸化物膜のアニールには、活性化酸素を用いない方がよいことがわかる。
【0043】
図7は、本発明に係る半導体装置のキャパシタのキャパシタンスの電圧依存特性を示すグラフである。図7に見るように、本実施の形態のキャパシタのキャパシタンスは、印加電圧の大きさおよび正負に関わらず、ほぼ一定であり、電圧依存性のない安定した特性が得られる。
【0044】
このような本実施の形態の半導体装置の製造法によれば、高電界であってもリーク電流が少なく、且つ電圧依存性がなく安定したキャパシタンスが得られるMIM構造のキャパシタを作ることができる。
【0045】
また、上記の製造法によれば、誘電体形成時におけるMIM構造のキャパシタの下部電極金属の酸化を防止することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図8〜図11は、本発明の半導体装置のうちの特にMIM構造のキャパシタ部分の製造方法の第2の実施の形態の工程の概略を工程順に示す工程断面図である。
【0047】
まず、図8(a)に示すように、通常の工程に従ってMOSFET等の素子(図示せず)が形成されたシリコン基板101の上に、層間絶縁膜102を挟んで多層の金属配線103a、103b、103cからなる多層配線層104が形成される。
【0048】
その後、この多層配線層104の上面部には、金属配線(例えば金属配線3c)に接続される金属プラグ105が埋め込まれ、その表面はCMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化処理が行われる。
【0049】
次に、図8(b)に示したように、多層配線層104上に、窒素を反応性ガスとするマグネトロン反応性スパッタリング法によりTaNを堆積して第1の金属電極である下部金属電極107を形成する。これにより、金属プラグ105は、下部金属電極107と電気的に接続される。
【0050】
続いて、図9(c)に示すように、下部金属電極107上に、CVD法により380°Cで金属有機化合物Ta(OEt)5を成膜後、380°Cの酸素中熱処理で1回目のアニールを行い、Ta(OEt)5から有機基を除去してアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜108aを形成する。ただし、総ての有機基を除去することはできず、Cなどの不純物が金属酸化物膜108a中に残存する。また、金属酸化物膜108aと下部金属電極107との反応により金属酸化物膜108aには酸素空孔が生じる。
【0051】
ここで、アニール後の金属酸化膜108aの膜厚が8nmとなるようCVD時の成膜条件が設定されているものとする。
【0052】
次いで、図9(d)に示すように、金属酸化物膜108aの上に、再びCVD法により380°CでTa(OEt)5を成膜後、380°Cで2回目のアニールを行う。ただし、今回のアニールは1回目と異なり、波長170〜260nmの紫外光でO2を励起して得られる活性化酸素雰囲気中で実施する。このアニールで、Ta(OEt)5から有機基を除去してアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜108bを形成する。このとき、活性化酸素を用いることにより金属酸化物膜108b中の不純物Cや酸素空孔の数が大きく減少する。
【0053】
ここで、金属酸化物膜108bの膜厚が7nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されている。
【0054】
さらに、図9(e)に示すように、金属酸化物膜108bの上に、再びCVD法により380°CでTa(OEt)5を成膜後、2回目のアニールと同じくO2の紫外光励起で活性化酸素雰囲気を生成し、380°Cで3回目のアニールを行う。これにより、金属酸化物膜108bと同様のアモルファスのTa2O5膜からなる金属酸化物膜108cを形成する。このとき、金属酸化物膜108cの膜厚が7nmとなるよう塗布時の成膜条件が設定されている。
【0055】
このようにして、順次積層形成された金属酸化物膜108a、108b、108cにより膜厚22nmの誘電体膜108が形成される。
【0056】
続いて、図10(f)に示すように、誘電体膜108の上に、第2の金属電極である上部金属電極109を、下部金属電極107と同じくマグネトロン反応性スパッタリング法によりTaNを堆積して形成する。
【0057】
その後、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、所望の形状のレジスト膜を形成し、このレジスト膜を用いた上部金属電極109のパターニングを行って、図10(g)に示すように、上部金属電極109をキャパシタ電極として必要な面積が得られる形状にする。
【0058】
さらに、フォトリソグラフィ工程およびエッチング工程により、所望の形状のレジスト膜を形成し、このレジスト膜を用いた誘電体膜8および下部金属電極7のパターニングを行って、図10(h)に示すように、誘電体膜108および下部金属電極107を所望の形状にする。
【0059】
これにより、下部金属電極107、誘電体膜108および上部金属電極109からなり、所望のキャパシタンスを有するMIM構造のキャパシタ110が形成される。
【0060】
最後に、図11(i)に示すように、低温のプラズマCVD法によりSiNを堆積してなる層間絶縁膜111でMIM構造のキャパシタ110を覆い、さらに上部金属電極109に接続する金属プラグ112を形成して、本実施の形態におけるMIM構造のキャパシタの形成に関わる一連の工程は終了する。
【0061】
このような第2の実施の形態の製造方法によって形成されたMIM構造のキャパシタも、第1の実施の形態の製造方法で形成されたMIM構造のキャパシタと同様の電気的特性を示す。すなわち、高電界であってもリーク電流が少なく、且つキャパシタンスに電圧依存性のないMIM構造のキャパシタが得られる。
【0062】
また、第2の実施の形態の製造法によっても、誘電体形成時におけるMIM構造のキャパシタの下部電極金属の酸化を防止することができる。
【0063】
さらに、第2の実施の形態の製造法では、一つの反応室でCVD成膜とO3を用いたアニール処理を交互に連続的に行えるCVD装置を用いることにより、高品質の誘電体膜を再現性良く得ることができる。
【0064】
上述の各実施の形態では、誘電体膜生成材料の金属有機化合物としてTa(OEt)5を用いた例を示しているが、このほかにNb(OBu)5、あるいはTa(OEt)5とNb(OBu)5の混合物を用いてもよい。
【0065】
また、アニール温度も各実施の形態に記した温度に限られるものではなく、金属酸化物の結晶化温度以下であればよいが、450°C以下のできるだけ低温とすることが望ましい。
【0066】
さらに、誘電体膜を形成する金属酸化物膜の膜厚および積層回数も各実施の形態に記した数値に限定されるものではなく、製造上および設計上の条件により任意に設定することができる。
【0067】
また、下部電極および上部電極も単層のTaNに限られるものではなく、例えば、TiN/Ti/TiNの多層電極構造を連続スパッタで堆積して形成してもよい。
【0068】
さらに、多層配線層中の金属配線や金属プラグの材質としては、Al、W、Tiなどを用いることができるが、より高速な動作にはCuが適している。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、高電界であっても電極間のリーク電流が少ないMIM構造のキャパシタを有する半導体装置を実現することができる。
【0070】
また、上記MIM構造のキャパシタは、電圧依存性のない安定したキャパシタンスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その1)。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その2)。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その3)。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その4)。
【図5】本発明に係る半導体装置の誘電体膜の不純物濃度分布を示す図。
【図6】本発明に係る半導体装置のMIM構造のキャパシタのリーク電流特性を示す図。
【図7】本発明に係る半導体装置のMIM構造のキャパシタのキャパシタンスの電圧依存特性を示す図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その1)。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その2)。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その3)。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の概略工程断面図(その4)。
【符号の説明】
1、101 シリコン基板
2、102 層間絶縁膜
3a、3b、3c、103a、103b、103c 金属配線
4、104 多層配線層
5、105、12、112 金属プラグ
6 絶縁膜
7、107 下部金属電極
8a、8b、8c、108a、108b、108c 金属酸化物
9、109 上部金属電極
10、110 MIM構造のキャパシタ
11、111 層間絶縁膜
Claims (12)
- 半導体基板上に形成された第1の金属電極と、
前記第1の金属電極の上に形成されたアモルファスの金属酸化物からなる誘電体膜と、
前記誘電体膜の上に形成された第2の金属電極とから成るキャパシタを有し、
前記誘電体膜が、前記金属酸化物の堆積方向に沿って少なくとも2箇所の高濃度領域のある不均一な不純物濃度分布を有することを特徴とする半導体装置。 - 前記金属酸化物が、Ta2O5、Nb2O5または(Ta,Nb)2O5から選択した1種であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 半導体基板上に形成された多層配線層上に絶縁層を介して第1の金属電極を形成する工程と、
前記第1の電極上に、金属酸化物膜を形成する工程を複数回繰り返し、積層構造の誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に第2の金属電極を形成する工程とから成るキャパシタ形成工程を有し、
前記誘電体膜を形成する工程中の2回目以降の前記金属酸化物膜を形成する工程のうちの少なくとも1回で、活性化された酸素雰囲気中における前記金属酸化物膜のアニール処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記金属酸化物膜を形成する工程において、TaもしくはNbまたはTaとNbの混合物を有機溶媒に溶かした金属有機化合物の溶液を膜状に塗布し、450°C以下の熱処理により有機溶媒と金属有機化合物中の有機基を除去してアモルファスの金属酸化物を形成する塗布法を用いることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記金属酸化物膜を形成する工程において、TaもしくはNbまたはTaとNbの混合物の金属有機化合物の蒸気を用いて成膜し、450°C以下の熱処理によりアモルファスの金属酸化物を形成する化学的気相成長法を用いることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記金属酸化物が、Ta2O5、Nb2O5または(Ta,Nb)2O5から選択した1種であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記活性化された酸素雰囲気が、O2の紫外光励起またはプラズマ励起により生成されることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
- 半導体基板上に形成された多層配線層上に前記多層配線の少なくとも一部と接続された第1の金属電極を形成する工程と、
前記第1の電極上に、金属酸化物膜を形成する工程を複数回繰り返し、積層構造の誘電体膜を形成する工程と、
前記誘電体膜上に第2の金属電極を形成する工程とから成るキャパシタ形成工程を有し、
前記誘電体膜を形成する工程中の2回目以降の前記金属酸化物膜を形成する工程のうちの少なくとも1回で、活性化された酸素雰囲気中における前記金属酸化物膜のアニール処理を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記金属酸化物膜を形成する工程おいて、TaもしくはNbまたはTaとNbの混合物を有機溶媒に溶かした金属有機化合物の溶液を膜状に塗布し、450°C以下の熱処理により有機溶媒と金属有機化合物中の有機基を除去してアモルファスの金属酸化物を形成する塗布法を用いることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記金属酸化物膜を形成する工程おいて、TaもしくはNbまたはTaとNbの混合物の金属有機化合物の蒸気を用いて成膜し、450°C以下の熱処理によりアモルファスの金属酸化物を形成する化学的気相成長法を用いることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記金属酸化物が、Ta2O5、Nb2O5または(Ta,Nb)2O5から選択した1種であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記活性化された酸素雰囲気が、O2の紫外光励起またはプラズマ励起により生成されることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
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