JP2004219548A - 像振れ補正装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】角速度センサ14からの角速度信号に基づいてCPU24は、像振れを補正する防振レンズ10の位置を求める。また、角速度信号に基づいてパン/チルト動作の頻度を検出する。そして、その頻度に基づいて角速度信号に対する積分特性(ローパスフィルタ34のカットオフ周波数)を変更する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は像振れ補正装置に係り、特に振動によるカメラの像振れを補正(防止)する像振れ補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、テレビカメラの像振れ補正装置として、撮影光学系に防振レンズを光軸と直交する面内で移動自在に配置し、カメラ(カメラの撮影光学系)に振動が加わると、その振動を打ち消す方向に防振レンズをアクチュエータで駆動して像振れを補正するようにしたものが知られている。このような像振れ補正装置では、カメラに加わった振動を振れ検出センサ(角速度センサや加速度センサ等)によって検出し、その振れ検出センサから出力される振れ信号に基づいて像振れを補正するための防振レンズの変位量が求められるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、振れ検出センサから出力される振れ信号には、手ぶれのような補正すべき振動に起因する信号の他に、パン操作やチルト操作のような撮影者の意図的なカメラ操作に起因する信号等も含まれている。従って、単に振れ信号に基づいて防振レンズを駆動すると、パン/チルト操作時にも像振れ補正が行われる。しかしながら、パン/チルト操作時に像振れ補正が行われると、パン/チルト動作終了後に像振れ(ゆれ戻し)が生じ、カメラ操作や映像に違和感が生じるため好ましくない。
【0004】
そこで、従来、振れ検出センサから出力された振れ信号がパン/チルト操作によるものか否かを自動で判断し、パン/チルト操作によるものと判断した場合には像振れ補正を停止し、防振レンズを可動範囲の中心(変位量0とする基準位置)に戻して停止させておくようにしたゆれ戻し補正が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−229089号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平5−142624号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにゆれ戻し補正を行うようにした場合、ゆれ戻し補正を行わない場合に比べて、パン/チルト操作が行われていない静止状態のときの像振れ補正性能が低下するという問題があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、パン/チルト操作の頻度を考慮して適切な補正性能を発揮することができる像振れ補正装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光学系により結像された像の像振れを検出し、該像振れを示す振れ信号を出力する像振れ検出手段と、該像振れ検出手段により出力された振れ信号に基づいて像振れを補正する像振れ補正手段と、を備えた像振れ補正装置において、所定時間間隔で前記光学系のパン/チルト動作が行われているか否かを判断し、所定時間経過する間にパン/チルト動作が行われていると判断した回数を取得するパン/チルト動作回数取得手段と、前記パン/チルト動作回数取得手段により取得された回数に基づいて、振れ信号に対して像振れ補正の対象とする周波数帯域を変更する対象周波数帯域変更手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記パン/チルト動作回数取得手段は、前記像振れ検出手段により出力された振れ信号の値が所定値を超えている場合にパン/チルト動作が行われていると判断することを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記対象周波数帯域変更手段は、前記パン/チルト動作回数取得手段により取得された回数が所定値より多い場合には、所定値より少ない場合に比べて前記像振れ補正の対象とする周波数帯域の低域側のカットオフ周波数を上げることを特徴としている。
【0012】
本発明によれば、パン/チルト動作の回数を検出し、その回数に応じて像振れ補正の対象とする振れ信号の周波数帯域を変更するようにしたため、パン/チルト操作の頻度に応じて適切な像振れ補正性能が発揮されるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る像振れ補正装置の好ましい実施の形態について詳述する。
【0014】
図1は、本発明に係る像振れ補正装置の実施の形態を示した構成図である。像振れ補正装置は、例えば、テレビカメラ用のレンズ装置(撮影レンズ)、ムービカメラ、又は、スチルカメラ等に搭載され、同図に示す防振レンズ10は、本装置が搭載されるレンズ装置又はカメラの撮影光学系において、光軸に対して垂直な面内で上下(鉛直方向)、左右(水平方向)に移動自在に配置される。また、防振レンズ10は、モータ12により上下、又は、左右に駆動されるようになっており、カメラ(撮影光学系)に振動が生じた場合には、このモータ12により像振れを防止する位置(振動を打ち消す位置)に移動するようになっている。尚、防振レンズ10が上下、左右に移動すると撮影光学系の撮影範囲が上下、左右に変位する。また、防振レンズ10は上下方向と左右方向のいずれの方向についても各方向に生じた振動に基づいて同様に駆動されるため、本実施の形態では、一方向(以下、左右方向)に対する像振れ補正を行う構成についてのみ説明し、他方向に対して同様に構成されるものとする。
【0015】
同図に示す角速度センサ14は、例えばジャイロセンサであり、カメラの振動を検出するための振れ検出センサとして用いられる。この角速度センサ14は、例えばレンズ鏡胴の上面に設置され、レンズ鏡胴の左右方向の振動の角速度を検出し、検出した角速度に応じた電圧の電気信号を出力する。尚、角速度センサ14から出力される信号を以下、角速度信号という。
【0016】
角速度センサ14から出力された角速度信号は、2つの線路に分岐され、一方は、ハイパスフィルタ15によって低周波ノイズが除去された後、A/D変換器16によってデジタル信号に変換される。そして、CPU24に与えられる。他方は、角速度センサ14から出力された角速度信号がそのままA/D変換器18によってデジタル信号に変換されてCPU24に与えられる。
【0017】
また、本実施の形態における撮影レンズは、ズーム倍率(焦点距離)の変更が可能であり、その設定位置(ズーム位置)に対応する電圧の検出信号がズーム位置検出器20から出力され、A/D変換器22によってデジタル信号に変換された後、CPU24に与えられるようになっている。
【0018】
CPU24の処理内容については後述するが、CPU24からは、目標とする防振レンズ10の位置、即ち、防振レンズ10の基準位置に対する変位量を示す位置指令信号がD/A変換器26に出力されるようになっている。D/A変換器26に出力された位置指令信号は、アナログの電圧信号に変換された後、加算器30に入力される。尚、防振レンズ10の基準位置は、例えば可動範囲の中心(振れ中心)とし、そのときの位置を示す信号値を零とする。ただし、基準位置は振れ中心でなくてもよい。
【0019】
加算器30には、防振レンズ10の現在位置を示す位置信号としてモータ12の回転位置を検出するポテンショメータ28からの電圧信号が与えられており、CPU24からの位置指令信号とポテンショメータ28からの位置信号との差を示す電圧信号が生成される。そして、その電圧信号がアンプ(サーボアンプ)32に与えられる。
【0020】
アンプ32は、加算器30から与えられた電圧信号を所定のゲインで増幅してモータ12に印加する。これにより加算器30から与えられる電圧信号が零となるようにモータ12が駆動され、CPU24からの位置指令信号により指令された位置に防振レンズ10が移動する。
【0021】
続いて、CPU24の処理について説明する。図1のCPU24のブロックにはCPU24で行われる各処理に対応する機能ブロックで示されており、CPU24の処理を各機能ブロックの処理として説明する。
【0022】
CPU24において、上記A/D変換器16から与えられた角速度信号は、ローパスフィルタ34によって低周波成分のみが抽出される。尚、この処理は角速度信号を積分する処理に相当する。
【0023】
ローパスフィルタ34は、パラメータの変更によりフィルタ特性(周波数特性)の変更が可能で、後述のパン/チルト検出部38の特性制御によりフィルタ特性が変更されるようになっている。例えば、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数fcが約1Hzと約3Hzとで切り替えられる。尚、以下、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数fcは1Hzと3Hzとで切り替えられるものとする。
【0024】
ここで、ローパスフィルタ34と角速度センサ14の周波数特性について説明する。ローパスフィルタ34のカットオフ周波数fcが1Hzと3Hzの場合において、ローパスフィルタ34の周波数特性は、図2のような周波数応答(ゲイン特性)により表される。尚、同図のゲイン特性は、一定振幅の正弦波入力信号の周波数と正弦波出力信号の振幅との関係を示す。
【0025】
一方、角速度センサ14の周波数特性は、図3に示すような周波数応答(ゲイン特性)により表される。尚、同図のゲイン特性は、一定振幅の正弦波入力信号(正弦波状に変化する角速度)の周波数と正弦波出力信号(正弦波状に変化する角速度信号)の振幅との関係を示す。
【0026】
したがって、これらのローパスフィルタ34と角速度センサ14の両方を考慮した周波数特性、即ち、カメラに生じた振動の角速度の積分に関する特性(積分特性)は、図2と図3のゲイン特性の足し合わせで表され、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数が1Hzと3Hzの場合でそれぞれ図4に示すようなゲイン特性が得られるようになる。
これによれば、像振れ補正の対象となる振動の全周波数範囲において、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数が1Hzの場合には1Hzをカットオフ周波数とするハイパスフィルタのような周波数特性を示し、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数が3Hzの場合には3Hzをカットオフ周波数とするハイパスフィルタのような周波数特性を示す。これにより、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数が1Hzの場合には、1Hzよりも大きい周波数の振動に対して像振れ補正が実行され、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数が3Hzの場合には、3Hzよりも大きい周波数の振動に対して像振れ補正が実行される。
【0027】
以上のようにローパスフィルタ34を通過した信号は、ゲイン部36によって所定のゲインで増幅され、その信号が上記位置指令信号としてD/A変換器26に出力される。尚、ゲイン部36におけるゲインはズーム位置検出器20から得られるズーム位置に応じた値に設定される。
【0028】
以上のようなCPU24の処理により、A/D変換器16から与えられた角速度信号に基づいて、カメラに加わった振動に対して像振れを補正(防止)するための防振レンズ10の位置、即ち、防振レンズ10の振れ中心に対する変位量を示す位置指令信号が求められ、D/A変換器26に出力される。
【0029】
一方、上記A/D変換器18から与えられた角速度信号は、パン/チルト検出部38に読み取られる。角速度信号を読み取ったパン/チルト検出部38は、その角速度信号に基づいてパン/チルト動作の頻度を検出する。
【0030】
例えば、図5に示すようにA/D変換器18から得られた角速度信号の値が所定の閾値VSより大きい場合には、その角速度信号がパン/チルト動作によるもの、即ち、パン/チルト動作が行われたと判断する。尚、角速度信号の値が閾値−VSより値が小さくなった場合も同様である。このような判断を一定時間経過する間に所定時間間隔で行い、パン/チルト動作が行われたと判断した回数を計測する。
【0031】
そして、上述のようにカウントしたパン/チルト動作の回数が所定数より少ない場合には、パン/チルト動作の頻度は少ないと判断し、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数fcを1Hzに設定する。これによって1Hzより大きい周波数の振動に対して像振れ補正が実行され、カメラが静止状態にあるときに最適な像振れ補正性能を発揮する。
【0032】
一方、パン/チルト動作の回数が前記所定数以上の場合には、パン/チルト動作の頻度が多いと判断し、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数fcを3Hzに設定する。これによって3Hzより大きい周波数の振動に対してのみ像振れ補正が実行され、パン/チルト動作に起因すると考えられる3Hzより小さい振動に対しては像振れ補正を実行しないようになる。このため、カメラがパン/チルト動作しているときにゆれ戻しが生じないようになる。
【0033】
以上のようなローパスフィルタ34の特性制御によって、パン/チルト動作の頻度に応じて最適な積分特性が設定され、適切な像振れ補正が行われるようになる。
【0034】
尚、本実施の形態では省略しているが水平方向と垂直方向に関する角速度信号がそれぞれ別々の角速度センサから得られ、水平方向の角速度信号からはパン動作について、垂直方向の角水平方向の角速度信号からはチルト動作についての回数や頻度が検出される。また、ローパスフィルタによる積分処理等も水平方向と垂直方向の角速度信号に対して個別に行われる。従って、ローパスフィルタの特性(積分特性)も水平方向の角速度信号に対してはパン動作の頻度により変更され、垂直方向の角速度信号に対してはチルト動作の頻度により変更される。但し、パン動作及びチルト動作の総合的な頻度を考慮して水平方向及び垂直方向のいずれも同じ積分特性に設定、変更するようにしてもよい。
【0035】
図6は、ローパスフィルタ34のフィルタ特性(積分特性)を設定するCPU24の処理手順を示したフローチャートである。まず、CPU24は、タイマーをクリアする(ステップS10)。そして、角速度センサ14からA/D変換器18を介して角速度信号を取得し、その角速度信号に基づいてパン/チルト動作が行われているか否かを判定する(ステップS12)。YESと判定した場合には、パン/チルト回数のカウント値を1増加させる(ステップS14)。尚、パン/チルト回数のカウント値の初期値は0である。一方、ステップS12でNOと判定した場合には、パン/チルト回数のカウント値を増加させない。
【0036】
続いて、CPU24はタイマーの計測時間が一定時間経過したことを示すか否かを判定する(ステップS16)。NOと判定した場合にはステップS12からの処理を繰り返す。一方、YESと判定した場合にはステップS14で示したパン/チルト回数のカウント値が所定値nより小さいか否かを判定する(ステップS18)。YESと判定した場合、即ち、パン/チルト動作の頻度が少ないと判断した場合には、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数fcを下げる(1Hzに設定する)(ステップS20)。一方、NOと判定した場合、即ち、パン/チルト動作の頻度が多いと判断した場合には、ローパスフィルタ34のカットオフ周波数fcを上げる(3Hzに設定する)(ステップS22)。以上の処理によりパン/チルト動作の頻度に応じて適切な積分特性が設定される。
【0037】
以上、上記実施の形態では、撮影光学系の光軸に垂直な面内で変位する防振レンズによって像振れを防止する場合について説明したが、本発明は他の方式による像振れ補正装置にも適用できる。例えば、撮像素子から映像信号を切り出す範囲をシフトさせて像振れを補正するような電子的方法を用いた像振れ補正装置においても本発明を適用することができる。
【0038】
また、上記実施の形態ではパン/チルト動作か否かを角速度信号が所定値を超えたか否かにより判断するようにしたが、他の方法で判断してもよい。
【0039】
また、本発明は、テレビカメラ以外の像振れ補正にも適用できる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る像振れ補正装置によれば、パン/チルト動作の回数を検出し、その回数に応じて像振れ補正の対象とする振れ信号の周波数帯域を変更するようにしたため、パン/チルト操作の頻度に応じて適切な像振れ補正性能が発揮されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る像振れ補正装置の実施の形態を示した構成図である。
【図2】図2は、ローパスフィルタのフィルタ特性を例示した図である。
【図3】図3は、角速度センサの周波数特性を例示した図である。
【図4】図4は、ローパスフィルタと角速度センサとの両方を考慮した周波数特性を例示した図である。
【図5】図5は、角速度センサから出力される角速度信号の例を示した図である。
【図6】図6は、ローパスフィルタのフィルタ特性(周波数特性)を設定するCPUの処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…防振レンズ、12…モータ、14…角速度センサ、15…ハイパスフィルタ、16、18、22…A/D変換器、20…ズーム位置検出器、24…CPU、26…D/A変換器、28…ポテンショメータ、30…加算器、32…アンプ、34…ローパスフィルタ、36…ゲイン部、38…パン/チルト検出部
Claims (3)
- 光学系により結像された像の像振れを検出し、該像振れを示す振れ信号を出力する像振れ検出手段と、該像振れ検出手段により出力された振れ信号に基づいて像振れを補正する像振れ補正手段と、を備えた像振れ補正装置において、
所定時間間隔で前記光学系のパン/チルト動作が行われているか否かを判断し、所定時間経過する間にパン/チルト動作が行われていると判断した回数を取得するパン/チルト動作回数取得手段と、
前記パン/チルト動作回数取得手段により取得された回数に基づいて、振れ信号に対して像振れ補正の対象とする周波数帯域を変更する対象周波数帯域変更手段と、
を備えたことを特徴とする像振れ補正装置。 - 前記パン/チルト動作回数取得手段は、前記像振れ検出手段により出力された振れ信号の値が所定値を超えている場合にパン/チルト動作が行われていると判断することを特徴とする請求項1の像振れ補正装置。
- 前記対象周波数帯域変更手段は、前記パン/チルト動作回数取得手段により取得された回数が所定値より多い場合には、所定値より少ない場合に比べて前記像振れ補正の対象とする周波数帯域の低域側のカットオフ周波数を上げることを特徴とする請求項1又は2の像振れ補正装置。
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