JP2004184887A - 像振れ補正装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カメラの振動が所定基準より小さいと判断した場合には、低周波の像振れに対する像振れ補正能力を低下させることによって、低周波ノイズによって画像のゆらぎが生じる不具合を防止する像振れ補正装置を提供する。
【解決手段】CPU24は、角速度センサ14からの角速度信号の最大振幅が所定値より小さいか否かを判定し、所定値より小さい場合には、カメラの振動が小さいと判断して角速度信号に対する積分特性(ハイパスフィルタ33及びローパスフィルタ34による積分特性)を、通常の積分特性1〜12Hzに対して3〜12Hzに切り替え、像振れを補正する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は像振れ補正装置に係り、特に振動によるカメラの像振れを補正(防止)する像振れ補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、テレビカメラの像振れ補正装置として、撮影光学系に防振レンズを光軸と直交する面内で移動自在に配置し、カメラ(カメラの撮影光学系)に振動が加わると、その振動を打ち消す方向に防振レンズをアクチュエータで駆動して像振れを補正するようにしたものが知られている。このような像振れ補正装置では、カメラに加わった振動を振れ検出センサ(角速度センサ等)によって検出し、その振れ検出センサから出力される振れ信号に基づいて像振れを補正するための防振レンズの補正量(変位量)が求められるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−229089
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、振れ検出センサから得られる振れ信号には低周波ノイズが発生することが知られている。このノイズは、振動によるものと区別されずに像振れ補正を実行させるため、振動があり防振レンズを駆動している状態ではさほど大きな問題にはならないが、振動がない場合に顕著となる。つまり、振動がない場合は、防振レンズも静止しているのが自然な状態であるが、振れ検出センサに発生した低周波ノイズによって、振動があると判断し、防振レンズを駆動してしまい、常に防振レンズを駆動するアクチュエータに電力を供給しなければならないという不具合が生じていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので低周波ノイズによって振動と検出し防振レンズのアクチュエータに不要な電力を供給する不具合を防止する像振れ補正装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、撮影光学系により結像された像の像振れを検出し、該像振れを示す振れ信号を出力する像振れ検出手段と、該像振れ検出手段により出力された振れ信号に基づいて像振れを補正する像振れ補正手段と、を備えた像振れ補正装置において、前記像振れ補正手段は、前記像振れ検出手段により出力された振れ信号に基づいて像振れが所定基準より小さいと判断した場合には、低域周波数の像振れに対する像振れ補正能力を低下させることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記像振れ補正手段は、前記像振れ検出手段により出力された振れ信号の振幅が所定値より小さい場合に像振れが前記所定基準より小さいと判断すると共に、前記振れ信号のうち所定周波数より低い周波数成分の信号を遮断して像振れを補正するための補正量を算出することを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、像振れが所定基準より小さいと判断した場合には、低周波の像振れに対する像振れ補正能力を低下させるようにしたため、低周波ノイズによって振動と検出し防振レンズのアクチュエータに不要な電力を供給する不具合を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る像振れ補正装置の好ましい実施の形態について詳述する。
【0010】
図1は、本発明に係る像振れ補正装置の実施の形態を示した構成図である。像振れ補正装置は、例えば、テレビカメラ用のレンズ装置(撮影レンズ)、ムービカメラ、又は、スチルカメラ等に搭載され、同図に示す防振レンズ10は、本装置が搭載されるレンズ装置又はカメラの撮影光学系において、光軸に対して垂直な面内で上下(鉛直方向)、左右(水平方向)に移動自在に配置される。また、防振レンズ10は、モータ12により上下、又は、左右に駆動されるようになっており、カメラ(撮影光学系)に振動が生じた場合には、このモータ12により像振れを防止する位置(振動を打ち消す位置)に移動するようになっている。尚、防振レンズ10が上下、左右に移動すると撮影光学系の撮影範囲が上下、左右に変位する。また、防振レンズ10は上下方向と左右方向のいずれの方向についても各方向に生じた振動に基づいて同様に駆動されるため、本実施の形態では、一方向(以下、上下方向)に対する像振れ補正を行う構成についてのみ説明し、他方向に対して同様に構成されるものとする。
【0011】
同図に示す角速度センサ14は、例えばジャイロセンサであり、カメラの振動を検出するための振れ検出センサとして用いられる。この角速度センサ14は、例えばレンズ鏡胴の上面に設置され、レンズ鏡胴の上下方向の振動の角速度を検出し、検出した角速度に応じた電圧の電気信号を出力する。尚、角速度センサ14から出力される信号を以下、角速度信号という。
【0012】
角速度センサ14から出力された角速度信号は、2つの線路に分岐され、一方は、ハイパスフィルタ15によって低周波ノイズが除去された後、A/D変換器16によってデジタル信号に変換される。そして、CPU24に与えられる。他方は、角速度センサ14から出力された角速度信号がそのままA/D変換器18によってデジタル信号に変換されてCPU24に与えられる。
【0013】
また、本実施の形態における撮影レンズは、ズーム倍率(焦点距離)の変更が可能であり、その設定位置(ズーム位置)に対応する電圧の検出信号がズーム位置検出器20から出力され、A/D変換器22によってデジタル信号に変換された後、CPU24に与えられるようになっている。
【0014】
CPU24の処理内容については後述するが、CPU24からは、目標とする防振レンズ10の位置、即ち、防振レンズ10の基準位置に対する変位量を示す位置指令信号がD/A変換器26に出力されるようになっている。D/A変換器26に出力された位置指令信号は、アナログの電圧信号に変換された後、加算器30に入力される。尚、防振レンズ10の基準位置は、例えば可動範囲の中心(振れ中心)とし、そのときの位置を示す信号値を零とする。ただし、基準位置は振れ中心でなくてもよい。
【0015】
加算器30には、防振レンズ10の現在位置を示す位置信号としてモータ12の回転位置を検出するポテンショメータ28からの電圧信号が与えられており、CPU24からの位置指令信号とポテンショメータ28からの位置信号との差を示す電圧信号が生成される。そして、その電圧信号がアンプ(サーボアンプ)32に与えられる。
【0016】
アンプ32は、加算器30から与えられた電圧信号を所定のゲインで増幅してモータ12に印加する。これにより、加算器30から与えられる電圧信号が零となるようにモータ12が駆動され、CPU24からの位置指令信号により指令された位置に防振レンズ10が移動する。
【0017】
続いて、CPU24の処理について説明する。図1のCPU24のブロックにはCPU24で行われる各処理に対応する機能ブロックで示されており、CPU24の処理を各機能ブロックの処理として説明する。
【0018】
CPU24において、上記A/D変換器16から与えられた角速度信号は、ハイパスフィルタ33によって所定周波数以上の周波数成分が抽出された後、ローパスフィルタ34によって所定周波数以下の周波数成分のみが抽出される。尚、ローパスフィルタ34の処理は角速度信号を積分する処理に相当する。
【0019】
ハイパスフィルタ33は、後述の信号レベル判定部38による特性制御(パラメータの変更)によりフィルタ特性が可変のフィルタであり、例えば図2に示すようにカットオフ周波数が約1Hzと約3Hzとで切り替えられるようになっている。ローパスフィルタ34は、図3に示すようにカットオフ周波数が約12Hzとなる特性を有する。これらのハイパスフィルタ33、及び、ローパスフィルタ34によって図4に示すような積分特性により角速度信号が積分される。
【0020】
ハイパスフィルタ33及びローパスフィルタ34を通過して得られた信号(角速度信号を積分した信号)は、ゲイン部36によって所定のゲインで増幅され、その信号が上記位置指令信号としてD/A変換器26に出力される。尚、ゲイン部36におけるゲインはズーム位置検出器20から得られるズーム位置に応じた値に設定される。このようなCPU24における処理により、A/D変換器16から与えられた角速度信号に基づいて、カメラに加わった振動に対して像振れを補正(防止)するための防振レンズ10の位置、即ち、防振レンズ10の振れ中心に対する変位量を示す位置指令信号が求められ、D/A変換器26に出力される。
【0021】
一方、上記A/D変換器18から与えられた角速度信号は、信号レベル判定部38に読み取られ、角速度センサ14から出力された角速度信号の信号レベルに基づいてカメラに加わった振動が所定基準より小さいか否かが判定される。例えば、所定時間経過する間にA/D変換器18から与えられた角速度信号の最大振幅の絶対値が図5に示すように閾値V以上を示した場合には、信号レベル判定部38は、カメラの振動が所定基準より小さくないと判断し、ハイパスフィルタ33のカットオフ周波数を約1Hzとする(図2、図4参照)。
【0022】
これに対して、所定時間経過する間にA/D変換器18から与えられた角速度信号の最大振幅の絶対値が図6に示すように閾値Vより小さい場合には、信号レベル判定部38は、カメラの振動が所定基準より小さいと判断する。即ち、カメラの振動が殆どないと判断する。このときにはハイパスフィルタ33のカットオフ周波数を約3Hzとする(図2、図4参照)。これにより、通常の像振れ補正の対象周波数1〜12Hzのうち、高域周波数に対する像振れ補正能力は維持され、低域周波数に対する像振れ補正能力が低下する。したがって、角速度センサ14やその他の回路によって発生する約3Hzより小さい低周波ノイズにより防振レンズ10が動作するという無駄な動作が抑止されるため省エネになる。
【0023】
図7は、ハイパスフィルタ33のフィルタ特性を設定する際のCPU24の処理手順を示したフローチャートである。まず、CPU24は角速度センサ14からA/D変換器18を介して与えられる角速度信号を取得する(ステップS10)。そして、その角速度信号に基づいてカメラの振動が所定基準より小さいか否かを上述のように判定する(ステップS12)。NOと判定した場合には、通常の積分特性となるようにハイパスフィルタ33のカットオフ周波数を約1Hzとする(ステップS14)。一方、YESと判定した場合には、ハイパスフィルタ33のカットオフ周波数を約3Hzとする(ステップS16)。
【0024】
以上、上記実施の形態では、撮影光学系の光軸に垂直な面内で変位する防振レンズによって像振れを防止する場合について説明したが、本発明は他の方式による像振れ補正装置にも適用できる。例えば、撮像素子から映像信号を切り出す範囲をシフトさせて像振れを補正するような電子的方法を用いた像振れ補正装置においても本発明を適用することができる。
【0025】
また、本発明はテレビカメラ以外の像振れ補正に対しても適用できる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る像振れ補正装置によれば、像振れが所定基準より小さいと判断した場合には、低周波の像振れに対する像振れ補正能力を低下させるようにしたため、低周波ノイズによって振動と検出し防振レンズのアクチュエータに不要な電力を供給する不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る像振れ補正装置の実施の形態を示した構成図である。
【図2】図2は、ハイパスフィルタの特性を示した図である。
【図3】図3は、ローパスフィルタの特性を示した図である。
【図4】図4は、ハイパスフィルタとローパスフィルタによる積分特性を示した図である。
【図5】図5は、カメラの振動レベルの判定について説明した図である。
【図6】図6は、カメラの振動レベルの判定について説明した図である。
【図7】図7は、ハイパスフィルタのフィルタ特性を設定する際のCPUの処理手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10…防振レンズ、12…モータ、14…角速度センサ、15…ハイパスフィルタ、16、18、22…A/D変換器、20…ズーム位置検出器、24…CPU、26…D/A変換器、28…ポテンショメータ、30…加算器、32…アンプ、33…ハイパスフィルタ、34…ローパスフィルタ、36…ゲイン部、38…信号レベル判定部

Claims (2)

  1. 撮影光学系により結像された像の像振れを検出し、該像振れを示す振れ信号を出力する像振れ検出手段と、該像振れ検出手段により出力された振れ信号に基づいて像振れを補正する像振れ補正手段と、を備えた像振れ補正装置において、
    前記像振れ補正手段は、前記像振れ検出手段により出力された振れ信号に基づいて像振れが所定基準より小さいと判断した場合には、低域周波数の像振れに対する像振れ補正能力を低下させることを特徴とする像振れ補正装置。
  2. 前記像振れ補正手段は、前記像振れ検出手段により出力された振れ信号の振幅が所定値より小さい場合に像振れが前記所定基準より小さいと判断すると共に、前記振れ信号のうち所定周波数より低い周波数成分の信号を遮断して像振れを補正するための補正量を算出することを特徴とする請求項1の像振れ補正装置。
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