JP2004219261A - 薄膜の解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】種々の分野に応用可能であり、簡易な方法で、支持体上に設けられた薄膜内における特定成分の分布を高精度で検知し、解析し得る薄膜の解析方法を提供する。
【解決手段】薄膜の構成成分を解析する方法であって、薄膜を斜めに切削する切削工程と、該薄膜の切削断面における特定成分を解析する解析工程と、を有することを特徴とする。この切削工程において、薄膜をガラス製ナイフにより切削することが好ましく、また、切削断面における特定成分の分布の解析には、TOF−SIMS法、又は、μ−ESCA法による解析が好適であり、特に、水不溶且つアルカリ可溶性樹脂、赤外線吸収剤、及び着色剤を含む平版印刷版原版の画像記録層の解析に有用である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の成分を含有する薄膜における特定成分の解析に有用な薄膜の解析方法に関し、詳細には、平版印刷版原版の画像記録層中の有効成分の解析に有用な、精度の高い測定が可能な薄膜の解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは高出力かつ小型の物が容易に入手できる様になっている。コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
【0003】
赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生する赤外線吸収剤(以下、適宜、IR染料と称する)等とを必須成分とし、IR染料等が、未露光部(画像部)では、バインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱まりアルカリ現像液に溶解して画像部が像様に分布して平版印刷版を形成する。
しかしながら、このような赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料では、様々な使用条件における未露光部(画像部)の現像液に対する耐溶解性と、露光部(非画像部)の溶解性との差が未だ十分とは言えず、使用条件の変動による現像過剰、即ち、画像部の膜減りや現像不良、即ち、非画像部における残膜の発生が起きやすいという問題があった。また、取扱い時に表面に触れる等によりわずかに表面状態が変動した場合にも、現像時に未露光部(画像部)が溶解してキズ跡状となり、耐刷の劣化や着肉性不良を引き起こすという問題があった。
【0004】
このような問題は、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料とUV露光により製版するポジ型平版印刷版材料との製版メカニズムの本質的な相違に由来する。すなわち、UV露光により製版するポジ型平版印刷版材料では、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、オニウム塩やキノンジアジド化合物類とを必須成分とするが、このオニウム塩やキノンジアジド化合物類は、未露光部(画像部)でバインダー樹脂との相互作用により溶解阻止剤として働くだけでなく、露光部(非画像部)では、光によって分解して酸を発生し、溶解促進剤として働くという二つの役割を果たすものである。
これに対し、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料におけるIR染料等は、未露光部(画像部)の溶解阻止剤として働くのみで、露光部(非画像部)の溶解を促進するものではない。従って、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料において、未露光部と露光部との溶解性の差を出すためには、バインダー樹脂として、あらかじめアルカリ現像液に対する溶解性の高いものを使用せざるを得ず、現像前の状態が不安定になるという問題があり、反対に、画像部の強度を上げるため、アルカリ現像液に対する溶解性の低いものを用いた場合には、感度低下や残膜の発生が生じやすくなり、画像部と非画像部との識別性を維持し得る現像条件の範囲(以下、これを現像ラチチュードと称する)が制約されることが大きな問題であった。
【0005】
現像ラチチュード向上のための技術が種々開発され、例えば、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等のようなポジ型感光性化合物を添加したポジ型感光性画像形成材料が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような画像形成材料では、前記ポジ型感光性化合物が、画像部ではアルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画像部では熱により溶解阻止能を発現しなくなり、現像により除去され得るようになって、画像が形成される。このようなポジ型画像形成材料の場合、主にアルカリ可溶性樹脂と溶解抑制剤との静電的相互作用を熱的に解除することでアルカリ溶解性を変化させ、現像により露光部を除去することで画像を形成しており、熱的に可逆で、かつ、小さな構造変化を利用していることが特徴であり、充分な溶解促進効果を得られず、かえって、処理安定性や現像ラチチュードなどの諸性能に影響を与える懸念があった。
【0006】
この様に平版印刷版原版に好ましい特性を付与する方法の提供に関しては、画像記録層に使用される組成物中の各成分に関する検討のみでは限界があり、観点を変え画像記録層内の物性に着目した検討が必要となってくる。
本願出願人は、この点に着目し、画像記録層内における赤外線吸収剤と着色剤との層内分布が異なることを特徴とする平版印刷版原版を先に提案したが、このような場合、各物質の層内分布を正確に解析することが重要になってくる。
薄膜における深さ方向の解析には、従来から種々の方法が採られてきた。例えば、イオンガン等を用いて塗膜をスパッタとX線光電子分光法による元素分析を繰返すことで薄い塗膜の深さ方向の情報を得ることができる。しかし、この場合、イオンガン等による高エネルギー線の照射で薄膜内の物質が破壊される危険性が高く、正確な情報が得難い。特に薄膜内に存在する有機化合物を検出する場合、高エネルギーの照射により化合物の分解・揮発が生じるため、正確な測定が不可能となる。
【0007】
一方、最近ではSAICAS(サイカス;ダイプラ・ウィンテス社製)と呼ばれる装置を用いて塗膜を斜めに切削し、TOF−SIMS法により深さ方向の解析を行う方法が提案されている(例えば、非特許文献1、参照。)。しかしながら、この装置は、本来、剥離強度・せん断強度を測定するものであり、塗膜を斜めに切断し、拡大された断面層を形成させる目的に適用するには以下の如き問題点がある。即ち、(1)切刃(ナイフ)の材質が高価なダイヤモンドを用いており、切刃が繰り返し使用されることにより切刃面が汚染される、(2)切削速度が超低速(0.1〜100μm/sec)であり、試料作成に長時間を要する、(3)平版印刷版原版に適用する場合、支持体の硬度が高く精密加工された切刃先端にダメージを与えるため、塗膜表面から支持体方向への切削には不適である、(4)切削断面が波打ち、平滑な切削面が得られない、などの点である。
以上述べたように、薄膜の解析、特に、支持体上に設けられた被膜の深さ方向の解析においては問題点が多く、これまでの方法では充分な結果が得られないのが現状であった。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−285275号公報
【非特許文献1】
「第63回応用物理学学術講演会 予講集」 講演番号27a−Q−5、(2002年)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、種々の分野に応用可能であり、簡易な方法で、薄膜、特に、支持体上に設けられた薄膜内における特定成分の有無、分布などを高精度で検知し、解析し得る薄膜の解析方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、平版印刷版原版の画像記録層内における物質の分布の検知に特に有用な薄膜の解析方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、以下の方法により、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の薄膜の解析方法は、薄膜の構成成分を解析する方法であって、薄膜を斜めに切削する切削工程と、該薄膜の切削断面を解析する解析工程と、を有することを特徴とする。
解析される薄膜は、支持体上に形成されたものであってもよく、また、単層でもよく、積層構造を有するもののうち、1層であってもよく、積層構造の複数の層を解析することもできる。
本発明の方法における解析工程としては、薄膜の切削断面における特定成分の分布状態を測定するものであることが好ましい態様である。この解析工程においては、特定成分の分布状態をTOF−SIMS、或いは、μ−ESCAにより解析することが精度の観点から好ましい。
前記切削工程においては、ガラス製ナイフにより薄膜を切削することが好ましい態様である。
また、この解析方法は、水不溶且つアルカリ可溶性樹脂、赤外線吸収剤、及び着色剤を含む薄膜である平版印刷版原版の画像記録層に好適に適用することができる。
【0011】
以下に、本発明の薄膜の解析方法の好ましい態様を記載する。
(1)切削工程において、切削方向を塗膜表面から支持体方向とする態様。
(2)切削工程において、切削角度を5°以下とすることにより、切削断面を垂直に切断した場合に比較して、膜厚方向に10倍から2800倍に拡大して塗膜中の特定成分の分布状態を測定する態様。
(3)切削工程において、切削に用いるナイフの刃角が55°以下である態様。
(4)切削工程において、切削にミクロトームを用いる態様。
(5)切削工程における切削速度が0.1mm/秒以上である態様。
(6)本発明の方法を適用する薄膜の膜厚が0.05〜3μmである態様。
(7)本発明の方法を適用する皮膜が、Al基板或いはSi基板である支持体上に形成されている態様。
(8)本発明の方法を適用する薄膜が、感光性の塗膜である態様。なお、薄膜が感光性の場合、薄膜中の特定成分の分布状態は、露光の前後において解析することができる。
【0012】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の薄膜の解析方法は、(1)薄膜を斜めに切削する切削工程と、(2)該薄膜の切削断面を解析する解析工程と、を有することを特徴とする。これらの工程を順次説明する。
【0013】
(1)薄膜を斜めに切削する切削工程
薄膜の切削方向は任意であるが、支持体上に形成された薄膜は、好ましくは、塗膜表面から支持体方向に切削する。この方向に切削することでまた、切削手段が支持体に達すると同時に切削も完了するため、切削手段が支持体により損傷を受けた場合においても、切削面には影響を与えない。このため、切削面が波立たずに平滑な切削面(解析面)を得ることができる。
切削に用いる手段としては、公知の手段を任意に選択して用いることができるが、先に述べたように、材質が高価なダイヤモンドを用いたナイフを用いるとナイフの刃の交換によるコストが莫大になり、また、交換しないで使用すると薄膜の成分が刃の表面に付着し、そのまま次のサンプルを切削することで切断面が汚染される懸念があるため、好ましくない。
【0014】
切削手段としては、公知のミクロトームが適用できる。ミクロトームは、物体を顕微鏡で見るために薄く切るために従来から用いられている装置であり、通常は薄く水平にスライスするために用いられる。本発明の方法においては、このミクロトームを用いて、薄く水平にスライスするのではなくて、斜めに切削する方法を採ったものであり、ナイフの角度や材質を選択し、従来の目的・方法とは全く異なった方法により、薄膜を斜めに切削し得ることを見出したものである。
【0015】
ミクロトームを切削手段として用いる場合の好ましい態様とその利点について以下に述べる。なお、図1(A)は、薄膜12をミクロトームの切刃14で切削している状態を模式的に示す斜視図であり、(B)はその概略断面図である。なお切削方向を矢印で示した。また、図2(A)は、支持体10上に形成された薄膜12をミクロトームの切刃14で切削している状態を模式的に示す斜視図であり、(B)はその概略断面図である。
ミクロトームの切刃14として安価なガラスナイフを用いることが好ましく、これにより、サンプル毎に新しいガラスナイフでの切削が可能であり、切削断面のナイフによる汚染を抑制することができる。
【0016】
切刃(ガラスナイフ)14の刃角は加工が容易であり、任意の角度にすることが可能であるが、切刃の刃角(図1中、θaで表示する)を55°以下の鋭利な角度にすることにより平滑な切削断面が得られる。これは、SAICAS法による(刃角が60°)切削に比較し、平滑性が著しく向上するという利点を有する。切刃の刃角(θa)は25〜50°以下であることがさらに好ましい。刃角(θa)として55°を超える切刃を用いた場合、平滑な切削面が得られないなどの懸念がある。
また、ミクロトームにおいては、0.1mm/秒以上の高速切削が可能であり、迅速に試料作成ができるという利点をも有する。
【0017】
また、図2に示すように、切削角度とサンプルの大きさを制御することにより、塗膜表面から支持体方向への切削を、切刃の刃先が支持体に接触しないように調整することも可能である。
ミクロトームによれば切削角度(図1中、θbで表示する)は5〜0.02°に調整可能であり、塗膜の断面を垂直に裁断した場合に比較して、10〜3000倍に拡大することができる。切削角度(θb)は好ましくは1°以下、特に好ましくは0.5°以下の切削角度とし、100倍以上に切削断面を拡大するのが、高精度の解析を行なう観点から、好ましい。
なお、図3(A)は、支持体10上に形成された重層構造の薄膜12a、12bをミクロトームの切刃14で切削している状態を模式的に示す斜視図であり、(B)はその概略断面図である。このように、本発明の方法は重層構造の薄膜ににも適用でき、また、この場合、下層薄膜12bの切断面のみを後述する解析工程において解析してもよく、上層薄膜12aのみを解析してもよく、また、双方を解析することもできる。
【0018】
(2)薄膜の切削断面を解析する解析工程
本発明においては、薄膜、特に支持体上に形成された薄膜を斜めに切削して、十分な面積の切削断面(被解析面)を形成した後、該薄膜の切削断面における特定成分の有無を検知したり、特定成分の分布状態を測定することで、解析を行なうことを特徴とする。
【0019】
この解析に用いる方法としては、切削断面において予め定められた特定成分を定性的或いは定量的に目的に応じて検出しうる方法であれば特に制限はなく、特定成分の種類、必要とされる検出精度に応じて適宜選択すれば良い。ここで汎用しうる代表的な方法としては、着目する特定成分の分布状態を(2−1)TOF−SIMSにより解析する方法、(2−2)μ−ESCAにより解析する方法が挙げられ、これらの代表的な検出手段について説明する。
【0020】
(2−1)TOF−SIMS法
本発明における、塗膜中の特定成分の分布は、塗膜をミクロトームで斜め切削後、得られた塗膜の切削断面をTOF−SIMS法にて解析することにより測定される。
以下、平版印刷版原版の画像記録層を例にとり、特定成分として画像記録層中の赤外線吸収剤、着色剤を選択した場合の、上記分析手法のミクロトーム切削、TOF−SIMS法の適用について詳細に説明する。
TOF−SIMS法とは、飛行時間型二次イオン質量分析法[Time−of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry]の略称であり、Ga、Inなどの一次イオンの照射により試料中の分子から放出される分子イオンやフラグメントイオンなどの二次イオンを測定することで、固体試料表面に存在する有機化合物の構造を反映したイオンのイメージを測定することができる方法である。
【0021】
TOF−SIMS法でのイオンイメージの空間分解能は、概ね0.1〜0.2μmであるが、例えば一般的な平版印刷版原版の画像記録層の厚みは概ね1〜2μm程度と薄いため、画像記録層表面に対して垂直に切削した断面をTOF−SIMS法で測定しても十分な空間分解能が得られず、特定成分である赤外線吸収剤と着色剤の層内分布を詳細に評価することができない。
このため、ミクロトームを用いて画像記録層表面に対して5〜0.02°の角度で斜めに切削することで画像記録層の深さ方向の切削断面長を10〜2800倍にまで拡大した後、切削断面をTOF−SIMS法にて測定を行うことが有効であり、本発明においてもこの方法を適用している。
【0022】
TOF−SIMS法による二次イオンの検出は、正イオン、負イオンのいずれにおいても可能であるが、本態様の例においては正イオンを選択し、画像記録層の切削断面の同一領域において、質量が0〜1000amu[amu;atommass unit]の全二次イオン像をRaw Data形式で測定した。なお、測定中の試料表面の帯電(チャージアッフ°)を中和するため、電子銃(フラッドガン)を使用した。
【0023】
TOF−SIMS法による測定は以下の条件にて行った。
・装置;Physical E1ectronics(PHI)社製
TRIFTII
・一次イオン;Ga(15kV)
・アパーチャー;No.3(Ga電流量:600pA相当)
・マッピング面積;100〜240μm
(画像記録層の切削断面長が収まるサイズに調整)
・マッピング点数;256×256点
・検出する二次イオン質量;0〜1000amu[amu;atom massunit]
・積算時間;60分
【0024】
TOF−SIMS法により得られた0〜1000amuの全正イオンのマッピングデータについて、Physical E1ectronics(PHI)社製Win CadenceソフトウエアVersion3.41(以下、Cadenceソフトと称する)を用いて、赤外線吸収剤と着色剤のカチオン部に相当する分子イオン,あるいは赤外線吸収剤や着色剤の化学構造を反映したフラグメントイオンに相当する質量のイオンマッピング像を抽出した。
【0025】
なお、TOF−SIMS法でのマッピング像の取得にあたっては、他の素材に由来するイオン種との区別を確実に行う(誤認・混同を避ける)ため、質量分解能優先モード(27Alの質量分解能が4,000以上)にてミリマス精度のスペクトル測定を行い、可能な限り化学構造を反映した高質量のイオン種で、且つ、十分な測定強度(マッピング測定時の二次イオン強度が1万カウント以上が望ましい)が得られるイオン種を、赤外線吸収剤と着色剤の各々について選択した。
【0026】
上記方法にて得られる画像記録層の切削断面の同一領域における赤外線吸収剤と着色剤のイオンマッピング像について、CadenceソフトのConvolve機能を用いてスムージング処理を行った後、CadenceソフトのMultiply機能を用いて画像データの演算処理を行い、Σ(Ai×Bi),Σ(Ai×Ai),Σ(Bi×Bi)の値を求めた。
【0027】
なお、この解析例においては、特定成分である赤外線吸収剤と着色剤の分布状態を評価しており、その工程を順をおって説明する。
赤外線吸収剤を成分A,着色剤を成分Bとし、画像記録層断面のマッピング領域内の任意の点(i)における成分Aと成分Bに由来する二次イオン強度(カウント数)をそれぞれAi,Biとしたとき、画像記録層内での成分Aと成分Bの分布の重なりは、Ai,Biをそれぞれベクトル[Ai],[Bi]とみなした場合に2つのベクトルが成す角(θ)の方向余弦(cosθ)にて評価することができる。
すなわち、2つのベクトル[Ai],[Bi]の成す角(θ)の方向余弦(cosθ)は、次式▲1▼にて表される。
【0028】
【数1】
Figure 2004219261
【0029】
ここで、[Ai][Bi]はベクトル[Ai]と[Bi]の内積,|[Ai]|と|[Bi]|は、それぞれベクトル[Ai]と[Bi]の大きさである。
▲1▼式の各項を、成分A(赤外線吸収剤),および成分B(着色剤)に由来する二次イオン強度Ai,Biで表すと以下のようになる。
【0030】
【数2】
Figure 2004219261
【0031】
よって、▲1▼式は次式▲2▼のように書き換えることができる。
【0032】
【数3】
Figure 2004219261
【0033】
▲2▼式においてcosθ値の取りうる範囲は、0≦cosθ≦1であり、画像記録層内での成分AとBの分布の重なりの程度が大きいほどcosθの値は大きくなる。
仮に、画像記録層内において、成分AとBのTOF−SIMSイオンマッピング像での分布が完全に重なる場合、cosθの値は最大の1となり、逆に、成分AとBの分布が全く重ならない場合には、cosθ値は最小の0となる。
【0034】
よって、画像記録層断面の赤外線吸収剤と着色剤のTOF−SIMSイオンマッピング像について、▲2▼式のcosθの値を算出することにより、画像記録層内での赤外線吸収剤と着色剤の分布の重なりの程度を定量的に評価することができる。
ここでは、赤外線吸収剤と着色剤の分布状態を解析したが、同様にして特定物質に由来する二次イオン強度(カウント数)に着目することにより、種々化合物を解析することができる。
【0035】
(2−2)μ−ESCA法
他の解析法としては、薄膜の切削断面をμ−ESCA法にて解析する方法が挙げられる。
以下に、μ−ESCA法による測定の例として、前記と同様に、赤外線吸収剤と着色剤を解析する際の具体的条件を挙げて説明する。
1)装置:PHI Quantum2000
2)X線源:Al−Kα(ビームサイズ;10〜20μmφ)
3)パルスエネルギー:58.7eV又は93.9eV
4)中和条件:測定中の試料表面の帯電(チャージアップ)を中和するため、電子銃と低加速のArイオン銃(加速電圧:10eV以下)を使用した。
5)測定:マッピング測定、断面ラインスキャン測定により各成分の深さ方向の分布状態を定量化した。
【0036】
以上、解析方法の代表例について特定成分として赤外線吸収剤と着色剤の分布の解析方法を例に挙げて説明したが、このように、本発明の解析方法では、特定成分として区別し得る特性を有するものを選択することで、複数の特定成分を同時に解析することができる。また、特定成分の特性に適合すれば、上記方法以外にも、顕微FT−IRなどの解析方法を目的に応じて適用することもできる。
【0037】
本発明の薄膜の解析方法は、支持体上に設けられた薄膜であれば、いずれのものにも適用し得るが、特に平版印刷版原版の画像記録層中の成分の解析に有用である。すなわち、本発明者らは、先に、平版印刷版原版の耐傷性及び現像による画像成時のラチチュードを改良する目的で、赤外線吸収剤と着色剤との画像記録層内分布を異ならせる技術を提案した。ところで、一般に低分子物質を画像記録層に含ませた場合、画像記録層の塗布、乾燥工程などにおいて経時的に低分子物質が層内を移動し、必ずしも同一層内に留まらないことは、容易に類推できることである。従って、特定の層へ赤外線吸収剤や着色剤を含ませても、実際に得られた画像記録層の組成は、必ずしも画像記録層塗布液や画像記録層の構成を直接的に反映するものではないと推定できる。このため、画像記録層内の詳細な組成分布を解析する方法が必要となり、本発明の完成に至ったものである。
【0038】
即ち、本発明の解析方法を適用すれば、支持体上に、水不溶且つアルカリ可溶性樹脂、赤外線吸収剤、及び着色剤を含む画像記録層を設けてなる平版印刷版原版の、画像記録層内における、赤外線吸収剤と着色剤との層内分布を詳細に解析することができるものである。
画像記録層内における各化合物の分布の異なりの態様について、より具体的に述べれば、赤外線吸収剤、及び、着色剤のそれぞれが不均一に分布しており、且つ、それぞれが異なった位置に分布の中心を持つ態様が挙げられる。
なお、画像記録層におけるこれら化合物の分布が異なることを解析する方法として、先に述べた画像記録層を斜めに切削し、その切削断面をTOF−SIMS或いはμ−ESCAにより解析する方法が挙げられ、この解析により層内における、赤外線吸収剤と着色剤の分布状況を詳細に確認することが可能となったものである。
【0039】
このような画像記録層内における各化合物の分布の異なりの別の態様について述べれば、画像記録層が重層構造を有し、着色剤が、重層構造の画像記録層のうち、特定の1層のみに含有される態様を挙げることができる。この場合、即ち、重層の場合であっても、本発明の方法を適用することが可能であることはいうまでもない。
【0040】
先に提案した平版印刷版原版の画像記録層内における各化合物の分布の異なりの程度としては、画像記録層の断面をTOF−SIMS解析することにより、該画像記録層内の赤外線吸収剤と着色剤の層内分布の重なりの程度を次式により求めた場合、cosθの値が0.8以下となることが好ましい。
【0041】
【数4】
Figure 2004219261
【0042】
平版印刷版原版の画像記録層における赤外線吸収剤と着色剤の層内分布の差異が平版印刷版原版の現像ラチチュードおよび耐傷性に及ぼす効果の発現機構は不明であるが、以下のようなメカニズムが推定される。
赤外線レーザー用平版印刷材料では、赤外線吸収剤は未露光部(画像部)においてはバインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の溶解性を低下させる溶解抑止剤として働き、露光部(非画像部)においては発生した熱により赤外線吸収剤とバインダー樹脂との相互作用を弱めることで、バインダー樹脂をアルカリ現像液に溶解させる機能を有する。
一方、赤外線レーザー用平版印刷材料における着色剤とは、レーザー露光により色が変化する染料、あるいは顔料であり、本来は、印刷版の取り扱い工程において露光部と未露光部とを外観上で容易に区別できるようにするための焼きだし剤として機能することを目的として添加されるものである。
【0043】
しかしながら、着色剤のなかには、赤外線吸収剤と同様にアルカリ可溶性樹脂と相互作用しうる構造を持つものがあり、このような着色剤を用いた場合、赤外線吸収剤と着色剤の層内分布が均一な場合には着色剤も赤外線吸収剤と同様にバインダー樹脂と相互作用することで溶解抑止剤として機能する場合がある。
このような相互作用が形成されると、着色剤は赤外領域には吸収を有しないかまたは赤外線吸収剤に比較して非常に弱い吸収しか有しないためにバインダー樹脂との相互作用は、赤外線レーザ露光部(非画像部)でも弱まることなく保持され、露光部のアルカリ現像性が低下して、結果として現像ラチチュードをも低下させることになる。
また、バインダー樹脂と相互作用しない着色剤を用いた場合であっても、赤外線吸収剤と着色剤の層内分布が均一な場合には、赤外線吸収剤とバインダー樹脂との相互作用の形成を、赤外線吸収剤の近傍に分布する着色剤が立体的に阻害することで、結果的に現像ラチチュードを低下させているものと推察される。
【0044】
ところが画像記録層内において、赤外線吸収剤と着色剤の層内分布を変える、言い換えれば、主として画像形成機能を発現する領域と主として膜強度の向上に寄与する領域とに機能分離することにより、例えば、着色剤に対する赤外線吸収剤の濃度が相対的に高い部位が層内に生じ、この部位においては赤外線吸収剤とバインダー樹脂とが選択的、あるいは優先的に相互作用することで露光部と未露光部の溶解性の差が大きくなるため、現像ラチチュード、さらには、耐傷性にも優れた画像記録層を形成することができ、また、相対的に着色剤の高い部位においては、強度に優れた膜性を発現することにより、全体としてバランスの取れた優れた画像記録層を形成しうるものと推察される。
【0045】
このため、画像記録層内での両者の分布を正確に解析することが重要になってくる。このように、画像記録層における赤外線吸収剤と着色剤の層内分布に差異を生じさせる方法としては特に制限は無いが、例えば、以下のような方法が考えられる。
【0046】
1.単一組成の塗布液にて画像記録層を塗布乾燥する場合
(単層構造の画像記録層)
(1−1)赤外線吸収剤と着色剤とを選択する際に、互いに相溶しないもの同士を選択し、その非相溶性を利用して、塗布・乾燥過程において相分離構造を作る方法。
(1−2)赤外線吸収剤と着色剤とを選択する際に、互いに比重の異なる組合せを選択し、その比重の違いを利用して、塗布・乾燥過程において相分離構造を作る方法。
(1−3)画像記録層の形成に互いに相溶しない2種のバインダーを用い、赤外線吸収剤と着色剤とを、相溶性の異なる2種類以上のバインダー樹脂にそれぞれ溶解或いは分散させ、塗布・乾燥過程においてバインダー樹脂の相分離構造を形成し、赤外線吸収剤と着色剤とをそれぞれ別のバインダー樹脂相に分離させる方法。
(1−4)赤外線吸収剤、着色剤のいずれかに、フルオロ脂肪族基やシロキサン構造を含む脂肪族基,ポリオキシアルキレン基などの界面活性能を有する構造を導入することにより、塗布・乾燥過程においてこれらの界面活性基を有する赤外線吸収剤、或いは着色剤のいずれかのみを表面近傍に偏在化させる方法。
【0047】
2.異なる組成の複数の塗布液にて多層構造の画像記録層を塗布乾燥する場合
(重層構造の画像記録層)
(2−1)皮膜形成用のバインダー樹脂に対する赤外線吸収剤と着色剤の濃度が異なる2種類以上の塗布液を用いて、逐次、あるいは同時に塗布・乾燥を行う方法(重層塗布)。
上記のような方法が挙げられる。
【0048】
赤外線吸収剤と着色剤の層内分布の様式には特に制限は無く、画像記録層内での赤外線吸収剤と着色剤の濃度比が画像記録層内で一様でなければ良い。
例えば、赤外線吸収剤と着色剤とを画像記録層内の全く異なる部位に分布させる方法、あるいは、赤外線吸収剤と着色剤のいずれか一方を画像記録層の全層に分布させ、残りー方のみを画像記録層内のいずれかの部位に偏在化,または画像記録層内での濃度勾配を付ける方法、更には、赤外線吸収剤と着色剤のいずれも画像記録層の全層に分布させた上で、画像記録層内で赤外線吸収剤と着色剤の濃度勾配を付ける方法などが考えられる。
【0049】
赤外線吸収剤と着色剤の層内分布が異なる例としては、層状に濃度分布が異なる系,あるいは、相分離状(海島構造状)に濃度分布が異なる系,更には、層状と相分離状とが混在した系のいずれでも良い。
【0050】
より好ましい赤外線吸収剤と着色剤の画像記録層内での分布としては、露光部と未露光部の溶解性の差が大きい部位を支持体との界面近傍に設けることで、露光部(非画像部)がアルカリ現像液に対して速やかに溶解し現像ラチチュードを向上できることが期待できる。
逆に、露光部と未露光部の溶解性の差が小さい部位を大気に接する表面近傍に設けることで、現像液や外部応力に対する抵抗性が高まり、現像ラチチュードや耐傷性を向上できると期待できる。
【0051】
このため、赤外線吸収剤が支持体界面近傍に存在し、着色剤は赤外線吸収剤よりも上方(大気界面側)に分布していることが好ましい。
また上記cosθの値は0.8以下である事が好ましいが、0.75以下がより好ましい。更に好ましくは、0.37以下が好適である。
【0052】
以下、本発明に係る画像記録層を構成する各成分、例えば、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂、赤外線吸収剤、着色剤などは、平版印刷版原版の記録層として公知、汎用の成分を用いることができる。
本発明に係る画像形成層に使用できる水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、アルカリ可溶性樹脂と称する)としては、高分子中の主鎖および/または側鎖に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体またはこれらの混合物を包含する。
中でも、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖および/または側鎖中に有するものが、アルカリ性現像液に対する溶解性の点、溶解抑制能発現の点で好ましい。
【0053】
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SONH−R)
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SONHCOR、−SONHSOR、−CONHSOR〕
(4)カルボン酸基(−COH)
(5)スルホン酸基(−SOH)
(6)リン酸基(−OPO
【0054】
上記(1)〜(6)中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
【0055】
上記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂の中でも、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基および(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が好ましく、特に、(1)フェノール基または(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が、アルカリ性現像液に対する溶解性、現像ラチチュード、膜強度を十分に確保する点から最も好ましい。
【0056】
酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂の好ましい例として、前記(1)〜(3)の酸性基を有する化合物について説明する。これらのアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、フェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、p−クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、m−/p−混合クレゾールとホルムアルデヒドとの縮重合体、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm−/p−混合のいずれでもよい)とホルムアルデヒドとの縮重合体等のノボラック樹脂、およびピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。さらに、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を挙げることもできる。或いは、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた共重合体を用いることもできる。
【0057】
フェノール基を有する化合物としては、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0058】
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO−と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましい。
【0059】
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、1分子中に活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
【0060】
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に挙げることができる。
【0061】
アルカリ可溶性樹脂を構成する、前記(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上、さらに、他の酸性基を有しない構成単位を共重合させたものを用いることができる。なかでも、(1)の酸性基を有する構成単位に、(2)および(3)の酸性基を有するモノマーのうち2種以上を重合させた高分子化合物やさらに他の重合性モノマーを共重合させたものが好ましい。(1)の酸性基を有する構成単位に、(2)および(3)の酸性基を有するモノマーを共重合させる場合には、配合質量比は、50:50〜5:95であることが好ましく、40:60〜10:90であることが特に好ましい。
【0062】
前記共重合体は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させることができない傾向がある。
【0063】
本発明では、化合物を共重合してアルカリ可溶性樹脂を共重合体として用いる場合、共重合させる化合物として、前記(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物を用いることもできる。(1)〜(6)の酸性基を含まない他の化合物の例としては、下記(m1)〜(m12)に挙げる化合物を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0064】
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビ
ニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0065】
アルカリ可溶性樹脂は、その重量平均分子量が500以上であることが画像形成性の点で好ましく、1,000〜700,000であることがより好ましい。
また、その数平均分子量が200以上であることが好ましく、750〜650,000であることがより好ましい。より具体的には、アルカリ可溶性樹脂が前記(1)〜(3)の酸性基を有する構成単位を含む重合の場合、重量平均分子量が5,000〜30,000で、数平均分子量が800〜25,0000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1.1〜10であることが好ましい。また、アルカリ可溶性樹脂がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾール樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000で、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
【0066】
また、これらのアルカリ可溶性樹脂は単独で用いるのみならず、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂は、その合計の含有量が、記録層全固形分中、30〜98質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましく、50〜90質量%が特に好ましい。含有量が30質量%未満である場合には、耐久性が悪化する傾向にあり、また、98質量%を超える場合には、感度、画像形成性が低下する傾向がある。
【0067】
[赤外線吸収剤]
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、記録に使用する赤外光を吸収し、熱を発生する染料であれば特に制限はなく用いることができるが、入手容易な高出力レーザーへの適合性の観点から波長760nmから1200nmに吸収極大を有する赤外線吸収性染料や赤外線吸収性顔料が好ましく挙げられる。
【0068】
このような赤外線吸収染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料等の染料が挙げられる。
【0069】
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0070】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が、特に好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
【0071】
本発明において、赤外線吸収剤として使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
【0072】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料の詳細は、特開平10−39509号公報の段落番号〔0052〕〜〔0054〕に詳細に記載され、これらに記載の顔料は本発明にも適用することができる。なお、これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0073】
これらの赤外線吸収剤は、記録層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%の割合で添加することができる。赤外線吸収剤の添加量が0.01質量%未満であると感度が低くなり、また50質量%を越えると赤外線吸収剤を添加した層の均一性が失われ、耐久性が悪くなる傾向がある。
前記好ましい添加量は、画像記録層に対する総量を示すが、これらの赤外線吸収剤を画像記録層或いはその隣接層に添加する場合、前記したように、後述する着色剤と異なる分布を有するように添加する必要がある。
【0074】
[着色剤]
本発明に係る画像記録層には、露光部、未露光部を目視により明確に識別するための画像着色剤としての染料や顔料を加えることを要する。画像の着色剤としては、後述する焼き出し剤(露光による加熱後直ちに可視像を得る目的で添加される熱発色性の染料系)として用いられる塩形成性有機染料以外の染料を用いることができる。好適な染料として油溶性染料と塩基性染料をあげることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
これらの染料は、平版印刷版原版を構成する画像形成材料全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。この染料は一般的には、画像記録層中に添加され、画像記録層が重層構造をとる場合には、前記したように、重層構造中の特定の1層のみに添加されてもよく、複数層の全ての層に添加されてもよいが、前記赤外線吸収剤と異なる分布を有するように添加されることを要する。
本発明に係る画像記録層には、記録層のアルカリ現像液に対する溶解阻害性(インヒビション)を高める目的で、種々の溶解性阻害化合物(インヒビター)を添加することができる。溶解性阻害化合物には特に制限はないが、4級アンモニウム塩や、ポリエチレングリコール化合物等が挙げられる。
【0075】
4級アンモニウム塩としては、特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩が挙げられる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。
【0076】
4級アンモニウム塩の添加量は画像記録層の全固形分量に対して固形分で0.1〜50%であることが好ましく、1〜30%であることがより好ましい。0.1%以下では溶解性阻害効果が少なくなり好ましくない。また、50%以上添加した場合は、バインダーの製膜性に悪影響を与えることがある。
【0077】
ポリエチレングリコール化合物としては、特に限定されないが、下記構造のものが挙げられる。
−〔−O−(R−O−)−R
(Rは多価アルコール残基又は多価フェノール残基を示し、Rは水素原子、炭素原子数1〜25の置換基を有しても良いアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基を示し、Rは置換基を有しても良いアルキレン残基を示す。mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数である。)
【0078】
上記構造のポリエチレングリコール化合物の例としては、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアリールエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールグリセリンエーテル、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル類、ポリエチレンソルビトールエーテル類、ポリプロピレングリコールソルビトールエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール化エテレシジアミン類、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン類、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン類、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン類が挙げられる。
【0079】
これらの具体例を示すと、ポリエチレングリコール1000、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール10000、ポリエチレングリコール20000、ポリエチレングリコール50000、ポリエチレングリコール100000、ポリエチレングリコール200000、ポリエチレングリコール500000、ポリプロピレングリコール1500、ポリプロピレングリコール3000、ポリプロピレングリコール4000、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールエチルエーテル、ポリエチレングリコールフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジフェニルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールジラウリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールベへニルエーテル、ポリエチレングリコールジベヘニルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールエチルエーテル、ポリプロピレングリコールフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールジラウリルエーテル、ポリプロピレングリコールノニルエーテル、ポリエチレングリコールアセチルエスチル、ポリエチレングリコールジアセチルエステル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、ポリエチレングリコールラウリルエステル、ポリエチレングリコールジラウリルエステル、
【0080】
ポリエチレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールセチル酸エステル、ポリエチレングリコールステアロイルエステル、ポリエチレングリコールジステアロイルエステル、ポリエチレングリコールベヘン酸エステル、ポリエチレングリコールジベヘン酸エステル、ポリプロピレングリコールアセチルエステル、ポリプロピレングリコールジアセチルエステル、ポリプロピレングリコール安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールジラウリル酸エステル、ポリプロピレングリコールノニル酸エステル、ポリエチレングリコールグリセリンエーテル、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル、ポリエチレングリコールソルビトールエーテル、ポリプロピレングリコールソルビトールエーテル、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン、ポリエチレングリコールぺンタメチレンヘキサミンが挙げられる。
【0081】
ポリエチレングリコール系化合物の添加量は画像記録層の全図形分量に対して固形分で0.1〜50%であることが好ましく、1〜30%であることがより好ましい。0.1%未満では溶解性阻害効果が少なく好ましくない。また50%を超える量を添加した場合、バインダーと相互作用できないポリエチレングリコール化合物が現像液の浸透を促進し、画像形成性へ悪影響を与えることがあると
【0082】
また、上記インヒビション(溶解性阻害)改善の施策を行った場合、感度の低下が生じるが、この場合、ラクトン化合物を添加することが有効である。このラクトン化合物は、露光部に現像液が浸透した際、現像液とラクトン化合物が反応し、新たにカルボン酸化合物が発生し、露光部の溶解に寄与して感度が向上するものと考えられる。
ラクトン化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物が挙げられる。
【0083】
【化1】
Figure 2004219261
【0084】
一般式(L−I)及び一般式(L−II)において、X、X、X及びXは、環の構成原子又は原子団であって、同じでも異なってもよく、それぞれ独立に置換基を有してもよく、かつ一般式(L−I)におけるX、X及びXの少なくとも一つ及び一般式(L−II)におけるX、X、X及びXの少なくとも一つは、電子吸引性置換基又は電子吸引性基で置換された置換基を有する。
、X、X及びXで表される環の構成原子又は原子団は、環を形成するための二つの単結合を有する非金属原子又は該非金属原子を含む原子団である。
好ましい非金属原子又は非金属原子団は、メチレン基、スルフィニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、硫黄原子、酸素原子及びセレニウム原子から選ばれる原子又は原子団であって、より好ましくは、メチレン基、カルボニル基及びスルホニル基から選ばれる原子団である。
【0085】
一般式(L−I)におけるX、X及びXの少なくとも一つ又は一般式(L−II)におけるX、X、X及びXの少なくとも一つは、電子吸引性基を有する。本明細書において電子吸引性置換基とは、ハメットの置換基定数σpが正の価である基を指す。ハメットの置換基定数に関しては、Journal of Medicinal Chemistry,1973,Vo1.16,No.11,1207−1216等を参考にすることができる。
ハメットの置換基定数σpが正の価となる電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子(σp値:0.06)、塩素原子(σp値:0.23)、臭素原子(σp値:0.23)、ヨウ素原子(σp値:0.18))、トリハロアルキル基(トリブロモメチル(σp値:0.29)、トリクロロメチル(σp値:0.33)、トリフルオロメチル(σp値:0.54))、シアノ基(σp値:0.66)、ニトロ基(σp値:0.78)、脂肪族・アリールもしくは複素環スルホニル基(例えば、メタンスルホニル(σp値:0.72))、脂肪族・アリールもしくは複素環アシル基(例えば、アセチル(σp値:0.50)、ベンゾイル(σp値:0.43))、アルキニル基(例えば、C≡CH(σp値:0.23))、脂肪族・アリールもしくは複素環オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル(σp値:0.45)、フェノキシカルボニル(σp値:0.44))、カルバモイル基(σp値0.36)、スルファモイル基(σp値:0.57)、スルホキシド基、ヘテロ環基、オキソ基、ホスホリル基等が挙げられる。
【0086】
好ましい電子吸引性基は、アミド基、アゾ基、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基(炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜9のアルキルスルホニル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数1〜9のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜9のアリールスルフィニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、チオカルボニル基、炭素数1〜9の含フッ素アルキル基、炭素数6〜9の含フッ素アリール基、炭素数3〜9の含フッ素アリル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基である。
より好ましくは、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基である。
以下に、一般式(L−I)及びは一般式(L−II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0087】
【化2】
Figure 2004219261
【0088】
【化3】
Figure 2004219261
【0089】
一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物の添加量は、画像記録層の全固形分量に対して固形分で0.1〜50%が好ましく、1〜30%がより好ましい。0.1%以下では効果が少なく、50%以上添加した場合、画像形成性が劣る。なお、この化合物は現像液と反応するため、選択的に現像液と接触することが望まれる。
このラクトン化合物は、いずれか一種を用いても、併用してもよい。また2種類以上の一般式(L−I)の化合物、又は2種類以上の一般式(L−II)の化合物を合計添加量が上記範囲内で任意の比率で併用してもよい。
【0090】
また、本発明に係る平版印刷版原版においては更に、熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を含有することが、露光部未露光部の差を更に拡大する点から好ましい。
この「熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質」としては、特に限定されないが、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等が挙げられる。特に熱分解性の点から、オニウム塩であることが好ましい。
【0091】
オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げる事ができる。本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えばS.I.Sch1esinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同Re 27,992号、特願平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromo1ecu1es,17,2468(1984)、C.S.Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478, Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crive11o et al,Macromorecu1es,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、同4,760,013 号、同4,734,444 号、同2,833,827 号、独国特許第2,904,626 号、同3,604,580 号、同3,604,581 号に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al,Macromorecules, 10(6), 1307 (1977)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047 (1979) に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh,Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct (1988)に記載のアルソニウム塩等があげられる。
オニウム塩のなかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものがあげられる。
【0092】
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
オニウム塩の添加量は好ましくは印刷版材料全固形分に対し、0.1〜50質量%、更に好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.3〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
【0093】
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley & Sons. Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403 号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120 号及び同第3,188,210 号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
【0094】
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802 号、特開昭48−63803 号、特開昭48−96575 号、特開昭49−38701 号、特開昭48−13354 号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481 号、米国特許第2,797,213 号、同第3,454,400 号、同第3,544,323 号、同第3,573,917 号、同第3,674,495 号、同第3,785,825 号、英国特許第1,227,602 号、同第1,251,345 号、同第1,267,005 号、同第1,329,888 号、同第1,330,932 号、ドイツ特許第854,890 号などの各明細書中に記載されているものをあげることができる。
【0095】
o−キノンジアジド化合物の添加量は好ましくは印刷版材料全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
分解性の観点からは、これらのうちオニウム塩化合物が好ましく、熱分解性の良好なオニウム塩を添加することで、露光部の熱分解性物質の分解が促進され、ディスクリミネーションを向上させ得るものと考えられる。
【0096】
本発明に係る平版印刷版原版は、前記の各成分を含有する画像記録層を支持体上に設けてなるものであるが、画像記録層は単層構造であっても、複数の異なる組成物の層からなる重層構造であってもよい。
単層構造の場合には、前記各成分及び後述する任意成分を含有する画像記録層塗布液を支持体上に塗布、乾燥して形成することができるが、この場合、前記したように、赤外線吸収剤と着色剤との分布が異なるように、赤外線吸収剤と着色剤との物性を考慮したり、互いに相溶しない2種のバインダーを用い、単層であっても、層内に相分離構造を形成したり、赤外線吸収剤、着色剤のいずれかに界面活性能を有する構造を導入するなどの手段をとる必要がある。
【0097】
画像記録層が重層構造をとる場合について、便宜上、2層構造の画像記録層(以下、支持体に近接する層を下層、表面側に位置する層を上層と称する)を例に取り、説明する。
重層構造の画像記録層を形成する場合、上層と下層に用いられるアルカリ可溶性樹脂は、互いに異なるものを用いることが各層の界面における相溶を防止する観点から好ましく、画像形成性の観点からは、上層に下層よりもアルカリ水溶液に対する溶解性が低いものを用いることが好ましい。
重層構造を形成する場合、下層を塗布、乾燥した後、上層を形成してもよく、また、複数層を重層塗布により形成してもよい。
【0098】
赤外線吸収剤及び着色剤を添加する場合、各層毎に異なる化合物を添加してもよく、複数種の化合物の組合せを異なるものとしてもよく、さらに、各層毎に含有量が異なるように添加することもできるが、複数の層に添加した赤外線吸収剤や着色剤の総量が、前記した好ましい添加量の範囲となるように留意すべきである。また、赤外線吸収剤と着色剤それぞれの分布を異なるものとするため、赤外線吸収剤と着色剤とを異なる層に添加することもできる。
【0099】
また、前述した「熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質」は、経時により僅かではあるが熱分解する懸念があるため、重層構造の画像記録層に添加する場合、下層に添加することが効果的であるが、上層、或いは、両層に添加することもできることはいうまでもない。
【0100】
[その他の成分]
本発明に係る画像記録層を形成するにあたっては、更に必要に応じて、その効果を損なわない限りにおいて、種々の添加剤を添加することができる。以下、添加剤の例を挙げて説明する。
画像記録層には画像部と非画像部との識別性(ディスクリミネーション)の向上や耐傷性向上の目的で、特開2000−187318号に記載の如き、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート重合性モノマーを構成単位として含む重合体を併用することが好ましい。
このような化合物は重層構造の場合、いずれの層に添加してもよいが、上層に添加することが効果的である。
添加量としては、画像記録層全固形分中、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
【0101】
また、画像記録層の傷に対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することができる。具体的には、US6117913号公報に記載の如き、長鎖アルキルカルボン酸エステルなどを挙げることができる。このような化合物は重層構造の場合、いずれの層に添加してもよいが、上層に添加することが効果的である。
添加量としては、画像記録層全固形分中、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
【0102】
また、必要に応じて低分子量の酸性基を有する化合物を添加することができる。酸性基としては、スルホン酸、カルボン酸、リン酸基を挙げることができる。
なかもで、スルホン酸基を有する化合物が好ましく、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの芳香族スルホン酸類や脂肪族スルホン酸類を挙げることができる。このような化合物は重層構造の場合、いずれの層に添加してもよい。
添加量としては、画像記録層全固形分中、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%であることがより好ましい。添加量が多すぎると各層の現像液にたいする溶解性が増加してしまうため、好ましくない。
【0103】
本発明に係る画像記録層には、溶解性を調整する目的で、種々の溶解調節剤を添加することができる。溶解調節剤としては、例えば、特開平11−119418号公報に記載されている如きジスルホン化合物又はスルホン化合物を好適に用いることができ、具体的には、4,4−ビスヒドロキシフェニルスルホンが好ましい例として挙げられる。このような化合物は重層構造の場合、いずれの層に添加してもよい。
添加量としては、画像記録層全固形分中、0.05〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。
【0104】
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128 号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4 −テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942 号、特開平2−96755 号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像記録層材料中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
【0105】
また、本発明に係る画像記録層塗布液中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
このような化合物は重層構造の場合、いずれか一方の層に添加してもよく、双方に添加してもよい。
【0106】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製、DBE−224,DBE−621,DBE−712,DBP−732,DBP−534、独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることができる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像記録層塗布液中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0107】
本発明における記録層中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
このような化合物は重層構造の場合、いずれか一方の層に添加してもよく、双方に添加してもよい。また、添加量としては、画像記録層塗布液中に、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。
【0108】
更に本発明に係る画像記録層中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0109】
本発明の方法を適用し得る平版印刷版原版は画像記録層塗布液や保護層などの所望の層の塗布液用成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで、画像記録層が重層構造を取る場合には、例えば、下層の溶解性を上層のそれよりも高くするといった目的で、上層、下層に添加する各成分の添加、非添加、或いは添加量の調整などを実施することもできる。
重層構造の画像記録層は、上層、下層、それぞれを構成する上記各成分を溶媒に溶解し、支持体上に順次塗布することで形成することができる。
また、目的に応じて、画像記録層のほか、保護層、樹脂中間層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
【0110】
また、重層構造の画像記録層を順次塗布する際には、上層の塗布溶媒は下層を構成する成分、特にアルカリ可溶性樹脂を溶解しないものを選択することが、両層の界面での相溶或いは混合を抑制し、明確な重層構造を形成する観点から好ましい。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0111】
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、平版印刷版原版の記録層についていえば一般的に0.5〜5.0g/mが好ましい。
また、画像記録層が重層構造を取る場合、上層、下層の厚みは層構成の目的に応じて適宜調整されるが、一般的には、上層側が0.05〜1.0g/m、下層側が0.3〜3.0g/m程度であることが好ましく、両層を合わせた塗布量は0.5〜3.0g/mであることが好ましい。
単層、重層の各構造のいずれにおいても、塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、記録層の皮膜特性は低下する。
【0112】
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
本発明における記録層中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、記録層全固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0113】
〔樹脂中間層〕
本発明の方法を適用し得る平版印刷版原版には、必要に応じて、記録層と支持体の間に樹脂中間層を設けることができる。
この樹脂中間層を設けることで、露光によりアルカリ現像液への溶解性が向上する赤外線感応層である記録層が、露光面或いはその近傍に設けらることで赤外線レーザに対する感度が良好であるとともに、支持体と該赤外線感応層との間に高分子からなる樹脂中間層が存在し、断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率良く画像形成に使用されることからの高感度化も図れるという利点を有する。また、未露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性である記録層自体が樹脂中間層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になるとともにディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられ、露光部においては、溶解抑制能が解除された記録層の成分が速やかに現像液に溶解、分散し、さらには、支持体に隣接して存在するこの樹脂中間層自体がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解し、現像性の向上にも寄与し、この樹脂中間層は有用であると考えられる。
【0114】
各層の乾燥方法は、公知の一般的な方法を適用すればよく、例えば、画像記録層を塗布した後、熱風を吹きつけて乾燥する対流乾燥方法、特開昭60−149871号公報に記載の如き、支持体の上下に配設した加熱板からの放射熱により乾燥する放射加熱方式、特開昭60−21334号公報、同60−62778号公報に記載の如きローラの内部に熱媒体を導通し、支持体をこのローラに接触させてローラ表面からの熱伝導により乾燥させる伝熱加熱方式などを採用することができる。これらのなかでも、対流乾燥方式が好ましい。
【0115】
平版印刷版原版の現像性に関しては、乾燥条件が苛酷であると画像形成可能な現像液の導電度が高くなり(現像性が低くなり)、緩やかであれば画像形成可能な現像液の導電度が低くなる(現像性が高くなる)傾向にある。乾燥条件は、各方式毎に、例えば、熱風の温度、送風量、送風方向、加熱板の温度、材質、ローラの内部に導通する熱媒体の温度、材質などの各条件を調整することにより行われる。
乾燥後の画像記録層中の残留溶媒は少ないことが好ましく、好ましくは80g/m以下、より好ましくは60g/m以下である。
【0116】
〔支持体〕
本発明の方法が適用できる支持体には、特に制限はないが、ここでは、平版印刷版原版に使用される支持体を例に挙げて説明する。支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
本発明に係る支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0117】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0118】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0119】
本発明の方法を適用し得る平版印刷版原版は、支持体上にポジ型の記録層を設けたものであるが、必要に応じてその間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
【0120】
このような有機下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/mが適当であり、好ましくは5〜100mg/mである。上記の被覆量が2mg/mよりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/mより大きくても同様である。
【0121】
本発明の方法を適用し得る平版印刷版原版は、通常、印刷版原版同士の間に合紙が挿入された状態で積重ねられて包装された製品形態で出荷され、輸送され、保管されるのが一般的な態様である。
製版、印刷に当たっては、典型的には、オートローダーによって、合紙と原版が重ねられた一組が確保され、搬送され、製版が行われる位置に装着、固定され、その後、合紙が取り除かれた状態で像露光、現像処理を施されるがこれに限定されるものではない。製版が行われる位置は、直接製版方式では、印刷機上である。
像露光に用いられる光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。発光波長としては760〜1200nmが好ましい。
【0122】
本発明の方法を適用し得る平版印刷版の現像液及び補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。これらには、ケイ酸アルカリを用い、二酸化ケイ素を含有する、所謂、「シリケート現像液」と、非還元糖と、塩基とからなり、実質上、二酸化ケイ素を含有しない「非シリケート現像液」がある。なお、ここで「実質上」とは不可避の不純物及び副生成物としての微量の二酸化ケイ素の存在を許容することを意味する。
現像液のpHは、9.0〜14.0の範囲であり、より好ましくは、12.0〜13.5の範囲である。
まず、「シリケート現像液」について述べる。前記ケイ酸アルカリとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。
前記アルカリ水溶液は、ケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物MO(Mは、アルカリ金属又はアンモニウム基を表す。)との混合比率、及び濃度の調整により、現像性を容易に調節することができ、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
前記アルカリ水溶液の中でも、前記酸化ケイ素SiOとアルカリ酸化物MOとの混合比率(SiO/MO:モル比)が0.5〜3.0のものが好ましく、1.0〜2.0のものがより好ましい。
前記SiO/MOが、0.5未満であると、アルカリ強度が強くなっていくため、平版印刷用原版の支持体として汎用のアルミニウム板等をエッチングしてしまうといった弊害を生ずることがあり、3.0を超えると、現像性が低下することがある。
【0123】
また、現像液中のケイ酸アルカリの濃度としては、アルカリ水溶液の重量に対して1〜10質量%が好ましく、3〜8質量%がより好ましく、4〜7質量%が最も好ましい。
前記濃度が、1質量%未満であると、現像性、処理能力が低下することがあり、10質量%を超えると、沈殿や結晶を生成しやすくなり、さらに廃液時の中和の際にゲル化しやすくなり、廃液処理に支障をきたすことがある。
【0124】
次に、「非シリケート現像液」について説明する。この現像液は、前記したように、非還元糖と塩基とからなるものであり、ここで、非還元糖とは、遊離性のアルデヒド基やケトン基を持たないために、還元性を有しない糖類を意味し、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類される。本発明においては、これらのいずれも好適に用いることができる。
【0125】
前記トレハロース型少糖類としては、例えば、サッカロースやトレハロースが挙げられ、前記配糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。
前記糖アルコールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−アンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット等が挙げられる。
さらには、二糖類の水素添加で得られるマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)等も好適に挙げることができる。
【0126】
上記のうち、非還元糖としては、糖アルコール、サッカロースが好ましく、中でも特に、D−ソルビット、サッカロース、還元水あめが、適度なpH領域に緩衝作用がある点でより好ましい。
これらの非還元糖は、単独でも、二種以上を組合せてもよく、現像液中に占める割合としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0127】
前記ケイ酸アルカリ若しくは非還元糖には、塩基としてアルカリ剤を、従来公知のものの中から適宜選択して組合せることができる。
前記アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム等の無機アルカリ剤、クエン酸カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
さらに、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルァミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソブロパノールアミシ、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等の有機アルカリ剤も好適に挙げることができる。
これらのアルカリ剤は、単独で用いても、二種以上を組合わせて用いてもよい。
【0128】
なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。その理由は、非還元糖に対する添加量を調整することにより、広いpH領域においてpH調整が可能となるためである。
また、非シリケート系現像液には、前記非還元糖以外の弱酸と強塩基とからなるアルカリ緩衝液を併用することができる。前記弱酸としては、解離定数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましく、例えば、Pergam Press社発行の”Ionization Constans of Organic Acids in Aqueous Solition”等に記載されているものから選択できる。
【0129】
具体的には、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノ−ル−1(pKa:12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)等のアルコール類、
ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)等のアルデヒド類、
サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルソノール(同11.27)、p−クレゾール(同10.27)、m−クレゾール(同10.09)等のフェノール性水酸基を有する化合物、
【0130】
2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)等のオキシム類、
アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)等の核酸関連物質、
【0131】
他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)等が好適に挙げられる。
これらの弱酸の中でも、スルホサリチル酸、サリチル酸が好ましい。
【0132】
これらの弱酸に組み合わせる強塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が好適に挙げられる。
これらの強塩基は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。前記強塩基は、適宜選択した濃度及び組み合わせによりpHを好ましい範囲内に調整して使用される。
【0133】
アルカリ現像液及び補充液には、現像性の促進や現像カスの分散、平版印刷版原版の画像部の親インキ性を高める等の目的で、必要に応じて、現像安定剤、有機溶剤、還元剤、有機カルボン酸、硬水軟化剤、界面活性剤等、更に、公知の防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤等をその他の成分として添加してもよい。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤があげられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
【0134】
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0135】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0136】
本発明の方法を適用し得る平版印刷版原版においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
【0137】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
【0138】
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m(乾燥重量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
【0139】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0140】
以上、本発明の薄膜の解析方法を好適に適用し得る平版印刷版原版について述べたが、本発明の方法は、このような支持体上に塗布により形成された薄膜のみならず、支持体と積層され、ミクロロームに代表されるガラス製の切刃で切削可能な薄膜であれば、いずれのものにも適用することができ、薄層の膜中における有効成分の深さ方向への分布状態なども正確に解析し得るという利点があるため、例えば、半導体用マイクロフォトレジスト塗膜、感光性絶縁膜、ドライフィルムレジスト膜、各種反射防止膜、液晶ディスプレー用ワイドビューフィルム、液晶ディスプレー用カラーフィルター、液晶ディスプレー用保護膜、液晶ディスプレー用配向膜、液晶ディスプレー用位相差フィルム、液晶ディスプレー用偏光フィルム、液晶ディスプレー用反射防止層、液晶ディスプレー用輝度向上フィルム、液晶ディスプレー用プリズムシート、液晶ディスプレー用拡散フィルム、液晶ディスプレー用反射フィルム、有機EL用各種積層膜、プラスチック製光ファイバー、イメージセンサー用カラーフィルター、層間絶縁膜、ホログラフィー用フィルム、自動車用を含む各種塗装用被膜(塗膜)などの解析に適用することができ、その応用範囲は広い。
【0141】
【実施例】
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
〔基板の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミスー水懸濁液を用いこの表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dmで3g/mの直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗し、乾燥し、さらに、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃で10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し基板(支持体)を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/mであった。
【0142】
〔下塗り液〕
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100 g
・水 1 g
【0143】
【化4】
Figure 2004219261
【0144】
(平版印刷版原版1の作製)
上記の通り作製された基板上に、下記処方の画像記録層を設けて、平版印刷版原版1を得た。
(画像記録層1)
下記組成の下層塗布液1をウエット塗布量が19cc/mのワイヤーバーで塗布したのち、乾燥した。ついで該下層の上に下記組成の画像記録層(上層)塗布液1を用意し、ウエット塗布量が19cc/mのワイヤーバーで塗布した後乾燥し、平版印刷版原版1を得た。
【0145】
Figure 2004219261
【0146】
【化5】
Figure 2004219261
【0147】
Figure 2004219261
【0148】
(平版印刷版原版2の作製)
上記の通り作製された基板(支持体)上に、下記処方の画像記録層を設けて、平版印刷版原版2を得た。
(画像記録層2)
下記組成の下層塗布液2をウエット塗布量が19cc/mのワイヤーバーで塗布したのち、乾燥した。ついで該下層の上に下記組成の画像記録層(上層)塗布液2を用意し、ウエット塗布量が19cc/mのワイヤーバーで塗布した後乾燥し、平版印刷版原版2を得た。
【0149】
Figure 2004219261
【0150】
(画像記録層塗布液2)
Figure 2004219261
【0151】
[対照例1の作製]
上記の通り作製された基板上に、下記処方の画像記録層3を設けて、対照例1の平版印刷版原版を得た。
(比較画像記録層)
下記組成の画像記録層塗布液3をウエット塗布量が19cc/mのワイヤーバーで塗布したのち、乾燥し、比較例1の平版印刷版原版を得た。
【0152】
Figure 2004219261
【0153】
(実施例1〜3)
1.赤外線吸収剤と着色剤の層内分布の測定
得られた印刷版原版の各試料に対して、明細書本文中に記載したミクロトームにより斜め切削切刃(ガラスナイフ、刃角45°)を用いて、切削角度1°、切削速度、0.5mm/secで切削した。その後、切削断面を、明細書本文中に記載した条件で、TOF−SIMS解析法により、解析し、赤外線吸収剤と着色剤の層内分布を評価した。
平版印刷版原版1の画像記録層においては、上方に赤外線吸収剤が分布し、着色剤は下方に分布していた。スムージング後のcosθは0.75である。
平版印刷版原版2の画像記録層においては、上方に着色剤、下方に赤外線吸収剤が分布しており、cosθは0.37が得られた。
対照例1の平版印刷版原版の画像記録層においては、赤外線吸収剤、着色剤の分布はほぼ重なっており、cosθは0.85であった。
【0154】
〔平版印刷版原版の評価〕
参考までに、得られた各平版印刷版原版に対して、下記の方法により、耐傷性試験、現像ラチチュード並びに膜減りを起こす電導度(耐現像性)、及び、耐刷性能の評価を行った。結果は下記表1に記載する。
なお、各評価試験において用いる現像液としては、富士写真フイルム(株)製現像液DT−1を用いた。
【0155】
(耐傷性試験)
得られた平版印刷版原版をHEIDON社製引っかき試験機を用いてサファイヤ(1.0mm)に荷重をかけてプレー卜を引っかき、その後、現像液(希釈して、DT−1は電導度45mS/cm、現像液Aは電導度75mS/cmとしたもの)で現像し、傷が視認できる荷重を表示した。数値が大きいほど耐傷性に優れていると評価する。
【0156】
(現像ラチチュードの評価)
得られた平版印刷版原版をCreo社製Trendsetterにて露光エネルギー90mJ/cmで、テストパターンを画像状に描き込みを行った。
その後、上記の各現像液を希釈することにより電導度を変えて現像を行い、露光部(非画像部)の画像記録層が完全に除去される現像液の電導度を測定し、初期電導度とした。また、そのとき、未露光部(画像部)の画像濃度をGRETAG反射濃度計D196(GretagMacbeth社製)で測定した。
次に、電導度を変えての現像を継続し、前記画像濃度(初期電導度における画像部濃度)から0.06以上少ない画像濃度となる画像部が形成されるようになったときの現像液の電導度を測定した。この時の電導度(画像部領域における所望されない現像がなされる直前の電導度、即ち、膜減りを起こす電導度)を最大電導度とすると、最大電導度と初期電導度との差が大きいほど、現像液が使用に耐える巾が広い、即ち、現像ラチチュードに優れることを意味する。また、このとき、最大電導度が高い平版印刷版原版は、画像部の耐現像性が高いといえる。
現像ラチチュードとして表に示した数値、例えば、37−55は初期電導度が37mS/cmで、最大電導度が55mS/cmであったことを意味する。
【0157】
【表1】
Figure 2004219261
【0158】
上記表1から明らかなように、赤外線吸収剤、及び、着色剤の層内分布が互いに異なる平版印刷版原版1及び2は耐傷性、及び、現像ラチチュードに優れており、対照例の平版印刷版原版は、これらの性能が不充分であった。なかでも、TOF−SIMS解析法によるcosθ値が小さく(分布の相違が大きく)、赤外線吸収剤が下方に分布している平版印刷版原版2は、特に耐傷性、及び、現像ラチチュードともに優れており、これらのことから、本発明の解析法によれば、特定成分(赤外線吸収剤及び着色剤)の分布状況を解析することができ、その結果、画像記録層の性能を判別することができた。
【0159】
【発明の効果】
本発明の薄膜の解析方法は、種々の分野に応用可能であり、簡易な方法で、支持体上に設けられた薄膜内における特定成分の分布を高精度で検知し、解析することができる。また、本発明の方法は、平版印刷版原版の画像記録層内における物質の分布の検知に特に有用であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、薄膜をミクロトームの切刃で切削している状態を模式的に示す斜視図であり、(B)はその概略断面図である。
【図2】(A)は、支持体上に形成された薄膜をミクロトームの切刃で切削している状態を模式的に示す斜視図であり、(B)はその概略断面図である。
【図3】(A)は、支持体上に形成された重層構造の薄膜をミクロトームの切刃で切削している状態を模式的に示す斜視図であり、(B)はその概略断面図である。
【符号の説明】
10 支持体
12 薄膜
12a 上層薄膜
12b 下層薄膜
14 ミクロトームの切刃

Claims (8)

  1. 薄膜の構成成分を解析する方法であって、
    薄膜を斜めに切削する切削工程と、該薄膜の切削断面を解析する解析工程と、を有する薄膜の解析方法。
  2. 前記薄膜が、支持体上に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜の解析方法。
  3. 前記薄膜が、積層構造を有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄膜の解析方法。
  4. 前記解析工程が、薄膜の切削断面における特性成分の分布状態を測定するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の薄膜の解析方法。
  5. 前記切削工程において、ガラス製ナイフにより薄膜を切削することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の薄膜の解析方法。
  6. 前記解析工程において、特定成分の分布状態をTOF−SIMSにより解析することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の薄膜の解析方法。
  7. 前記解析工程において、特定成分の分布状態をμ−ESCAにより解析することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の薄膜の解析方法。
  8. 前記薄膜が、水不溶且つアルカリ可溶性樹脂、赤外線吸収剤、及び着色剤を含む画像記録層であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の薄膜の解析方法。
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