JP2004093871A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

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Kazuo Maemoto
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Abstract

【課題】耐刷性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れるために印刷の汚れ性が良好であり、かつ溶剤溶解性に優れるために塗布性に優れた平版印刷版用原版を提供することにあり、更にUVインキを用いた印刷を行っても耐刷力が大きい平版印刷版用原版を提供することである。
【解決手段】支持体上に(A)赤外線吸収染料、(B)ノボラック樹脂、及び(C)アクリル樹脂を含有する感光層を有する平版印刷版用原版であって、
該(C)アクリル樹脂が、水に不溶であるがアルカリ水溶液に可溶であり、(a)フェノール性水酸基、スルホンアミド基、及び活性イミド基から選ばれる少なくともいずれかの官能基と(b)カルボン酸基とを同一分子内に有し、(a)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率が15モル%以上60モル%以下であり、(b)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率が2モル%以上20モル%以下であることを特徴とする平版印刷版用原版。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオフセット印刷マスターとして使用できる平版印刷版用原版に関するものであり、特に、コンピュータ等のディジタル信号から直接製版できるいわゆるダイレクト製版が可能な赤外線レーザ用の平版印刷版用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは高出力かつ小型のものが入手できる様になっている。コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
【0003】
赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版材料は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とし、IR染料等が、非露光部(画像部)では、バインダー樹脂との相互作用によりバインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、露光部(非画像部)では、発生した熱によりIR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱まりアルカリ現像液に溶解して平版印刷版を形成する。
【0004】
例えば、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂としてノボラック型フェノール樹脂を含有する感光性組成物は、非常に優れた感光性組成物として平版印刷版の製造に用いられている。しかしノボラック型フェノール樹脂は、その性質上基板に対する塗布性が劣ること、耐刷性が十分でないこと、さらに耐薬品性に乏しく、特にUVインキ(紫外線硬化インク)を使用すると耐刷力が極めて不十分である等の改良すべき点がある。
また、耐刷性、耐薬品性、UVインキ適性を向上させるために、ノボラック型フェノール樹脂の他に更にフェノール性水酸基、スルホンアミド基、および活性イミド基の少なくとも1つの基を有するアクリルポリマーを添加する方法がある。またこれらの基はアルカリ可溶性をポリマーに付与している。しかしながら、現像性を上げるために該成分(フェノール性水酸基、スルホンアミド基、及び活性イミド基)を多く導入すると塗布溶剤溶解性が劣化してしまい、塗布性が問題となってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、耐刷性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れるために印刷の汚れ性が良好であり、かつ溶剤溶解性に優れるために塗布性に優れ、更にUVインキを用いた印刷を行っても耐刷力が大きい平版印刷版用原版を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、感光層に特定の樹脂を含有する平版印刷版用原版が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は以下のとおりである。
1) 支持体上に(A)赤外線吸収染料、(B)ノボラック樹脂、及び(C)アクリル樹脂を含有する感光層を有する平版印刷版用原版であって、
該(C)アクリル樹脂が、水に不溶であるがアルカリ水溶液に可溶であり、(a)フェノール性水酸基、スルホンアミド基、及び活性イミド基から選ばれる少なくともいずれかの官能基と(b)カルボン酸基とを同一分子内に有し、(a)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率が15モル%以上60モル%以下であり、(b)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率が2モル%以上20モル%以下であることを特徴とする平版印刷版用原版。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の平版印刷版用原版は、支持体上に(A)赤外線吸収染料、(B)ノボラック樹脂、及び(C)アクリル樹脂(以下、(C)樹脂ということもある)を含有する感光層を有するものである。
以下、本発明の平版印刷版用原版の各構成について説明する。
【0008】
〔(C)アクリル樹脂〕
まず、(C)アクリル樹脂について説明する。(C)樹脂は、水に不溶であるがアルカリ水溶液に可溶であり、(a)フェノール性水酸基、スルホンアミド基、及び活性イミド基から選ばれる少なくともいずれかの官能基と、(b)カルボン酸基とを同一分子内に有し、(a)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率が15モル%以上60モル%以下であり、(b)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率が2モル%以上20モル%以下である。(以下、(a)の官能基を有する繰り返し単位を(a)成分、(b)の官能基を有する繰り返し単位を(b)成分ということもある。)
(C)樹脂は、(i);(a)及び(b)の官能基を有するモノマーをラジカル共重合すること、また(ii);アクリル樹脂に存在する官能基を利用して高分子反応を用いて導入すること、等によって得られるがこれらの方法に特に限定されるものではない。
【0009】
上記(i)の方法で(C)樹脂を合成する場合、(a)の官能基を有するモノマーとしては、以下に挙げられる(a−1)フェノール性水酸基、(a−2)スルホンアミド基、及び(a−3)活性イミド基を有する重合性モノマーを用いることができる。また、(b)の官能基を有するモノマーとしては(b−1)カルボン酸を有する重合性モノマーを用いることができる。
(a−1)フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。また、この他に特開平8−339080号公報に記載のものも用いることができる。
これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0010】
(a−2)スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO2 −と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、下記一般式(1)〜(5)で示される化合物が挙げられる。
【0011】
【化1】
Figure 2004093871
【0012】
式中、X1 、X2 はそれぞれ−O−又は−NR7 −を示す。R1 、R4 はそれぞれ水素原子又は−CH3 を表す。R2 、R5 、R9 、R12、R16はそれぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3 、R7 、R13は水素原子、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、R6 、R17は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を示す。R8 、R10、R14は水素原子又は−CH3 を表す。R11、R15はそれぞれ単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1 、Y2 はそれぞれ単結合または−CO−を表す。
【0013】
具体的には、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。また、この他に特開平8−339082号公報に記載のものも用いることができる。
【0014】
(a−3)活性イミド基を有する重合性モノマーとしては、下記の式で表わされる活性イミノ基と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを挙げることができる。
【0015】
【化2】
Figure 2004093871
【0016】
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド等を好適に使用することができる。
【0017】
また、(b−1)カルボン酸骨格を有する重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸のハーフエステル体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート又は2−ヒドロキシエチルアクリレートに環状酸無水物を反応させて得られるカルボン酸含有モノマー等を挙げることができる。また、特願2002−081044号に記載のものも用いることができる。
環状酸無水物としては、米国特許第4,115,128 号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等を用いることができる。
【0018】
さらに、(C)樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうち少なくともいずれか、並びにカルボキシル基を有する重合性モノマーの他に重合性モノマーを共重合させることができる。
【0019】
これらの共重合させるモノマー成分としては、例えば、下記(1)〜(11)に挙げるモノマーを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
(1)例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、およびメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
【0020】
更に、(C)樹脂を前記(ii)の方法で合成する場合は、ヒドロキシル基を有するアクリルポリマーに環状酸無水物を開環付加反応させることにより導入することができる。ここで用いることのできる環状酸無水物は前述のものを用いることができる。
【0021】
(C)樹脂中の(a)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率は15モル%〜60モル%であり、好ましくは20モル%〜50モル%、更に好ましくは25モル%〜45モル%である。
また、(b)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率は2モル%〜20モル%である。好ましくは、3モル%〜16モル%であり、更に5モル%〜12モル%であることが好ましい。
(a)成分が15モル%より少なくなるとUV耐刷性向上効果が十分現れず、60モル%より多くなると、塗布溶剤に溶解しにくくなることがある。(b)成分については2モル%より少なくなると現像性の観点から好ましくなく、20モル%より多くなると現像時に感光層の膜減りが生じることがある。
【0022】
(C)樹脂の感光層中の含有量としては、感光層中に25重量%以上85重量%以下であることが好ましく、より好ましくは31重量%以上75重量%以下である。25重量%より少なくなると添加効果が乏しくなり好ましくない。また、(B)ノボラック樹脂と(C)アクリル樹脂とのトータル量に対し、(C)アクリル樹脂が41重量%以上であることが好ましい。
また、(C)樹脂の重量平均分子量としては、5000〜200000であることが好ましく、更に10000〜100000であることが好ましい。重量平均分子量については、GPC法により求めることができる。
【0023】
〔(A)赤外線吸収剤〕
本発明の平版印刷版用原版は、その感光層に赤外線吸収染料を含有することにより、赤外線レーザー光等のレーザー走査による画像形成が可能である。
前記感光層に含有される赤外線吸収染料は、赤外光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限されるものではなく、赤外線吸収染料として知られる種々の染料を用いることができる。
【0024】
本発明に係る赤外線吸収染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0025】
そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料としては、例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、 特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0026】
また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、市販品としては、エポリン社製のEpolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等が、特に好ましく用いられる。
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
【0027】
本発明の平版印刷版用原版において使用される赤外線吸収染料は、感光層(以下、画像記録層ともいう)の全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜50質量%、特に好ましくは0.1〜30質量%の割合になるように添加することができる。染料の添加量が0.01質量%未満であると感度が低くなる傾向があり、また50質量%を超えると該層の均一性が失われ、該層の耐久性が悪くなる傾向がある。
【0028】
〔(B)ノボラック樹脂〕
次に、本発明に係る前記(B)ノボラック樹脂について詳細に説明する。
本発明に用いるノボラック樹脂としては、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,又はm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。
【0029】
また更に、米国特許第4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3−8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの縮重合体が挙げられる。また、その重量平均分子量が500以上であることが好ましく、1,000〜700,000であることがより好ましい。また、その数平均分子量が500以上であることが好ましく、750〜650,000であることがより好ましい。分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1.1〜10であることが好ましい。
【0030】
また、本発明に用いるノボラック樹脂は、平版印刷版用原版の感光層全固形分中、10重量%〜95重量%であることが好ましく、更に20重量%〜90重量%であることが好ましい。含有量が10重量%以下の場合、バーニング処理による耐刷向上効果が低くて使用できない場合がある。
【0031】
〔その他の成分〕
前記感光層を形成するにあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に必要に応じて、種々の添加剤を前記感光層に添加することができる。以下に、添加剤の例を挙げて説明する。
【0032】
本発明の平版印刷版用原版においては更に、前記感光層に熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を含有することが、露光部未露光部の差を更に拡大する点から好ましい。
この「熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質」としては、特に限定されないが、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等が挙げられる。特に熱分解性の点から、オニウム塩であることが好ましい。
【0033】
オニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げる事ができる。本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974) 、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980) 、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056 号、同 Re 27,992号、特願平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules,17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478Tokyo, Oct (1988)、米国特許第4,069,055 号、同4,069,056 号に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307 (1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31 (1988)、欧州特許第104,143 号、米国特許第339,049 号、同第410,201 号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73 (1985)、J. V. Crivelloetal. J. Org. Chem., 43, 3055 (1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789 (1984) 、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279 (1985) 、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5) ,1141(1981)、J. V. Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877 (1979) 、欧州特許第370,693 号, 同3,902,114 号、同233,567 号、同297,443 号、同297,442 号、米国特許第4,933,377 号、同161,811 号、同410,201 号、同339,049 号、同4,760,013 号、同4,734,444 号、同2,833,827 号、独国特許第2,904,626 号、同3,604,580 号、同3,604,581 号に記載のスルホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307 (1977)、J. V. Crivello etal, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047 (1979) に記載のセレノニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct (1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
本発明の平版印刷版用原版において、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものが挙げられる。
【0034】
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。上記物質の添加量は、好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは0.3〜30質量%である。
【0035】
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解によりアルカリ可溶性樹脂の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により下層の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley & Sons. Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステルまたはスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライドまたはナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120 号および同第3,188,210 号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライドまたはナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
【0036】
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものを挙げることができる。本発明で使用されるo−キノンジアジド化合物の添加量は、好ましくは画像記録層全固形分に対し、1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。o−キノンジアジド化合物の添加量が、1質量%未満だと画像の記録性が悪化し、また、50質量%を越えると画像部の耐久性が劣化したり感度が低下したりする。
なお、分解性の観点から熱分解性物質は、オニウム塩がより好ましい。
この熱分解性の高いオニウム塩を用いることにより、露光部の該熱分解性物質の分解をより促進し、露光部未露光部のディスクリミネーションを向上させていると考えられる。
【0037】
また、画像部と非画像部との識別性(ディスクリミネーション)の強化や表面のキズに対する抵抗力を強化する目的で、特開2000−187318号に記載されているような、分子中に炭素数3〜20のパーフルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)アクリレート単量体を重合成分とする重合体を併用すること好ましい。このような化合物の添加量としては、前記感光層中に占める割合が0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0038】
本発明の平版印刷版用原版の感光層のキズに対する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩擦係数を低下させる化合物を添加することもできる。具体的には、US6117913号公報に用いられているような、長鎖アルキルカルボン酸のエステルなどを挙げることが出来る。
添加量として好ましいのは、前記感光層中に占める割合が0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0039】
また、必要に応じて低分子量の酸性基を有する化合物を含んでもよい。酸性基としてはスルホン酸、カルボン酸、リン酸基を挙げることが出来る。中でもスルホン酸基を有する化合物が好ましい。具体的には、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸類や脂肪族スルホン酸類を挙げることが出来る。
このような化合物の好ましい添加量は、前記感光層中に占める割合が0.05〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。5%より多いと感光層の現像液に対する溶解性が増加してしまい、好ましくない。
【0040】
また、本発明においては、溶解性を調節する目的で前記感光層に種々の溶解抑制剤を含んでもよい。溶解抑制剤としては、特開平11−119418号公報に示されるようなジスルホン化合物又はスルホン化合物が好適に用いられ、具体例として、4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホンを用いることが好ましい。添加量として好ましいのは、感光層を構成する材料中に占める割合が0.05〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
【0041】
また、更に感度を向上させる目的で、前記の環状酸無水物類以外に、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記のフェノール類及び有機酸類の前記感光層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
【0042】
また、前記感光層中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤、EP950517公報に記載されているようなシロキサン系化合物、特開平11−288093号公報に記載されているようなフッ素含有のモノマー共重合体を添加することができる。
【0043】
非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両性界面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
【0044】
シロキサン系化合物としては、ジメチルシロキサンとポリアルキレンオキシドのブロック共重合体が好ましく、具体例として、(株)チッソ社製DBE−224、DBE−621、DBE−712、DBP−732、DBP−534、独Tego社製Tego Glide100等のポリアルキレンオキシド変性シリコーンを挙げることができる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の前記感光層中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0045】
さらに、前記感光層中には、感光層の露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
【0046】
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、感光層全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合になるように前記感光性組成物中に添加することができる。
【0047】
更に前記感光層中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
以上に記載の組成物は、感光層の含水率制御の観点から、含水率の低いものが好ましい。特に0.1%以下であることが好ましい。
【0048】
〔有機溶剤〕
前記感光性組成物に含有される有機溶剤は、該感光性組成物を適当な支持体上に塗布することにより感光層を形成することができるものであれば特に限定されない。該有機溶剤の組成は、それぞれの構成成分に応じて選択することができる。
ここで使用する有機溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
【0049】
また、前記感光層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、0.5〜3.0g/mの範囲であり、好ましくは、0.8〜2.0g/mの範囲である。塗布量が0.5g/m未満であると被膜特性が低下し、3.0g/mを超えると感度が低下する傾向にある。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、皮膜特性は低下する。
【0050】
支持体上に前記感光層を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
前記感光層用塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、添加する層の全固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0051】
支持体上に、前記感光層用塗布液が塗布された後、それぞれ乾燥が行なわれる。乾燥方法としては、公知の一般的な方法を用いて行なわれる。例えば、塗布が行なわれた支持体に熱風を吹き付けて乾燥する対流加熱方法、特開昭60−149871号公報に記載の支持体の上下に配設した加熱板からの放射熱により乾燥する放射加熱方式、特開昭60−21334号公報や特開昭60−62778号公報に記載のローラー内部に熱媒体を導通し、支持体をこのローラーに接触させてローラー表面からの熱伝導により乾燥させる伝熱加熱方式などを用いることができる。
【0052】
平版印刷版用原版の現像性に関しては、これらの乾燥条件が過酷であれば、画像形成可能な現像液の電導度が高くなり(現像性が低くなり)、緩やかであれば、画像形成可能な現像液の電導度が低くなる(現像性が高くなる)傾向にある。所望の乾燥条件の選択は、送風温度、送風量、送風方向、接触熱媒体の温度と材質などの条件の調整によって行なわれる。
【0053】
〔支持体〕
本発明の平版印刷版用原版に使用できる支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物が挙げられ、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0054】
本発明の平版印刷版用原版に使用できる支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0055】
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0056】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/mより少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理が施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に関わる平版印刷版用原版の支持体に施される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0057】
本発明の平版印刷版用原版は、支持体上に少なくとも前記した感光層を設けたものであるが、必要に応じて支持体と感光層との間に下塗層を設けることができる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
【0058】
さらに下記式で示される構造単位を有する有機高分子化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む下塗層も好ましい。
【0059】
【化3】
Figure 2004093871
【0060】
11は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、−OR14、−COOR13、−CONHR16、−COR17若しくは−CNを表すか、又はR12及びR13が結合して環を形成してもよく、R14〜R17はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表し、Xは水素原子、金属原子、NR18192021を表し、R18〜R21はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基若しくは置換アリール基を表すか、又はR18及びR19が結合して環を形成してもよく、mは1〜3の整数を表す。
【0061】
この下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。
下塗層の被覆量は、2〜200mg/mが適当であり、好ましくは5〜100mg/mである。上記の被覆量が2mg/mよりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/mより大きくても同様である。
【0062】
[製版・印刷]
上記のようにして作成されたの平版印刷版用原版は、印刷版用原版同士の間に合紙が挿入された状態で積み重ねられて包装された製品形態で出荷され、輸送され、保管されるのが、一般的な態様である。製版・印刷に当たっての典型的な態様としては、オートローダによって、合紙と原板の重ねられた一組がオートローダに確保され、搬送され、製版が行われる位置に装着・固定され、そのあとで、合紙が取り去られる態様であるが、これに限定されない。製版が行われる位置は、直接刷版方式では、印刷機上である。
合紙が除かれた原版には、像露光、現像処理が施される。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、また必ずしも走査方式でなくてもよく、つまり面露光方式であってもよいが、固体レーザあるいは半導体レーザを使用する走査方式の露光が好ましい。発光波長としては、760〜1080nmが好ましい。
【0063】
本発明の平版印刷版用原版に適用することのできる現像液は、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が発揮される現像液は、一つは塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、所謂「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液で、もう一つのより好ましい現像液は、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」である。
【0065】
前者においては、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiOとアルカリ金属酸化物MOの比率(一般に〔SiO〕/〔MO〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO/NaOのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO〕/〔NaO〕が1.0〜1.5)であって、SiOの含有量が1〜4質量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO〕/〔MO〕が1.0〜1.5)であって、SiOの濃度が1〜4質量%であり、かつ該現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有している、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好適に用いられる。
【0066】
また、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有した所謂「ノンシリケート現像液」が、本発明の平版印刷版用原版の現像に適用するのには一層好ましい。この現像液を用いて、平版印刷版用原版の現像処理を行うと、画像記録層の表面を劣化させることがなく、かつ画像記録層の着肉性を良好な状態に維持することができる。また、平版印刷版用原版は、一般には現像ラチチュードが狭く、現像液pHによる画線幅等の変化が大きいが、ノンシリケート現像液にはpHの変動を抑える緩衝性を有する非還元糖が含まれているため、シリケートを含む現像処理液を用いた場合に比べて有利である。更に、非還元糖は、シリケートに比べて液活性度を制御するための電導度センサーやpHセンサー等を汚染し難いため、この点でも、ノンシリケート現像液は有利である。また、画像部と非画像部との識別性(ディスクリミネーション)向上効果が顕著である。これは、本発明において識別性や膜物性維持のために重要な現像液との接触(浸透)がマイルドとなり、露光部及び未露光部の差が出やすくなっているためと推定される。
【0067】
前記非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、及び糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも本発明において好適に用いることができる。なお、本発明においては、特開平8−305039号公報に記載された非還元糖を好適に使用することができる。
【0068】
前記トレハロース型少糖類としては、例えば、サッカロース、トレハロース等が挙げられる。前記配糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。前記糖アルコールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット等が挙げられる。更に、二糖類のマルトースに水素添加したマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)等が好適に挙げられる。これらの非還元糖の中でも、トレハロース型少糖類、糖アルコールが好ましく、その中でも、D−ソルビット、サッカロース、還元水あめ、等が適度なpH領域に緩衝作用があり、低価格である点で好ましい。
【0069】
これらの非還元糖は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。前記非還元糖の前記ノンシリケート現像液中における含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると十分な緩衝作用が得られなくなる傾向があり、30質量%を越えると高濃縮化し難く、また原価も高くなる傾向がある。
【0070】
また、前記非還元糖と組み合わせて用いられる塩基としては、従来より公知のアルカリ剤、例えば、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤等が挙げられる。無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等が挙げられる。
【0071】
有機アルカリ剤としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。
【0072】
前記塩基は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの塩基の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。
また、本発明においては、前記ノンシリケート現像液として、非還元糖と塩基との併用に代えて、非還元糖のアルカリ金属塩を主成分としたものを用いることもできる。
【0073】
また、前記ノンシリケート現像液に、前記非還元糖以外の弱酸と強塩基とからなるアルカリ性緩衝液を併用することができる。前記弱酸としては、解離定数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましく、例えば、Pergmon Press 社発行のIonization Constants of Organic Acidsin Aqueous Solution 等に記載されているものから選択できる。
【0074】
具体的には、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール等のアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド、ピリジン−4−アルデヒド等のアルデヒド類、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、カテコール、没食子酸、スルホサリチル酸、3,4−ジヒドロキシスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール、o−,m−,p−クレゾール、レゾルソノール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトキシム、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム、ジメチルグリオキシム、エタンジアミドジオキシム、アセトフェノンオキシム等のオキシム類、アデノシン、イノシン、グアニン、シトシン、ヒポキサンチン、キサンチン等の核酸関連物質、その他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸、ベンズイミダゾール、バルビツル酸等が好適に挙げられる。
【0075】
前記現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散又は、印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて、種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が好ましい。更に、前記現像液及び補充液には、必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤等を加えることができる。
【0076】
前記現像液及び補充液を用いて現像処理された平版印刷版用原版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0077】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版用原版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0078】
本発明に係る平版印刷版用原版においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
【0079】
以上のようにして得られた印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
【0080】
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分間の範囲が好ましい。
【0081】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0082】
【実施例】
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0083】
((C)アクリル樹脂の合成)
(ポリマー1の合成)
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル200mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
【0084】
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
【0085】
次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた1000ml三ツ口フラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド42.0g(0.175モル)、メタクリル酸エチル14.25g(0.0125モル)、アクリロニトリル7.95g(0.15モル)、メタクリル酸4.3g(0.05モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド200gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)1.5gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物に更にN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド42.0g(0.175モル)、メタクリル酸エチル14.25g(0.125モル)、アクリロニトリル7.95g(0.15モル)、メタクリル酸4.3g(0.05モル)、N,N−ジメチルアセトアミド200g及び「V−65」1.5gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後更に65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール150gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより135gの白色固体(ポリマー1)を得た。
【0086】
重量平均分子量を測定したところ50,000であった。重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン標準)により測定した。同様にして表−1に記載したモノマーを共重合させることによりポリマー2〜30を合成した。
なお、モノマー3(下記構造式1)の合成については、メタクリロイルオキシプロピルイソシアネートと4−アミノフェノールをジオキサン溶媒に加えて2時間攪拌することにより、2−(N’−(4−ヒドロキシフェニル)ウレイド)プロピルメタクリレートを得た。
【0087】
【表1】
Figure 2004093871
【0088】
【化4】
Figure 2004093871
【0089】
(基板の作製)
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用いこの表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dmで3g/mの直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗し、乾燥し、さらに、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃で10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は17mg/mであった。
【0090】
(下塗り液)
・下記高分子化合物                  0.3g
・メタノール                   100  g
・水                         1  g
【0091】
【化5】
Figure 2004093871
【0092】
(実施例1〜18/比較例1〜12)
(感光層の形成)
下記組成の感光液1〜30を作製し、この液を上記のようにして得られた基板上に乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布した後、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWindow Controlを7に設定して、140℃で50秒間乾燥し、平版印刷版用原版を得た。
【0093】
Figure 2004093871
【0094】
【化6】
Figure 2004093871
【0095】
(実施例19〜21)
上記感光液1〜30に対してm,p−クレゾールノボラックと(C)アクリル樹脂(ポリマー1)を以下に示す使用量に変更した他は同様にして感光液31〜33を作製した。この液を上記の様に得られた基板に、乾燥後の塗布量が1.0g/mとなるように塗布した後、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWindow Controlを7に設定して、140℃で50秒間乾燥し、印刷版を得た。
(感光液31)
・m,p−クレゾールノボラック             2.37 g
(m/p比=6/4、重量平均分子量5000)
・(C)アクリル樹脂(ポリマー1)           0.474g
(感光液32)
・m,p−クレゾールノボラック             1.78 g
(m/p比=6/4、重量平均分子量5000)
・(C)アクリル樹脂(ポリマー1)           1.064g
(感光液31)
・m,p−クレゾールノボラック             1.248g
(m/p比=6/4、重量平均分子量5000)
・(C)アクリル樹脂(ポリマー1)           1.596g
【0096】
得られた本発明の平版印刷版用原版及び比較例の平版印刷版用原版をCreo社製Trendsetterにてビーム強度7W、ドラム回転速度150rpmでテストパターンの描き込みを行った。その後、現像浴に富士写真フイルム(株)製現像液DT−1(希釈して電導度45mS/cmとしたもの)およびフィニッシャー浴に富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wを仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサー900Hを用い、現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像を行った。その後印刷機(三菱ダイヤ1F−2)により、湿し水(IPA 5%、EU−3 1%(富士写真フイルム(株)製)水溶液)及びUVインキ(ベストキュア161 東華色素(株)製)を用いて画像部にしっかりインキが乗っている印刷物が得られた枚数を調べた。
また、1万枚印刷した後に版を印刷機上で一時間放置し印刷を再スタートした場合の非画像部の汚れ性を調べた。更に、γ−ブチルラクトン13.0g、メチルエチルケトン24.0g、1−メトキシ−2−プロパノール11.0gに感光液1〜33で用いたアクリル樹脂を2.37g添加して室温で3時間攪拌し、目視にて溶解性を調べた。
これら結果を表−2に示す。表−2より、(b)成分を(a)成分と共重合することにより、塗布溶剤溶解性及びUVインキ耐刷性を維持しつつ、塗布溶剤溶解性に優れるために汚れ性が良好となることがわかる。
【0097】
【表2】
Figure 2004093871
【0098】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版用原版は、感光層に(a)フェノール骨格、スルホンアミド骨格、及び活性イミド骨格から選ばれる少なくとも1種、並びに(b)カルボン酸骨格を同一分子中に有するアクリル系樹脂を含有することにより、塗布溶剤溶解性およびアルカリ現像液への現像製に優れたものであり、このため製版に有利で、かつ印刷の汚れ性が良好で、またUVインクを用いた印刷を行っても耐刷力が大きい平版印刷版用原版を提供できる。

Claims (1)

  1. 支持体上に(A)赤外線吸収染料、(B)ノボラック樹脂、及び(C)アクリル樹脂を含有する感光層を有する平版印刷版用原版であって、
    該(C)アクリル樹脂が、水に不溶であるがアルカリ水溶液に可溶であり、(a)フェノール性水酸基、スルホンアミド基、及び活性イミド基から選ばれる少なくともいずれかの官能基と(b)カルボン酸基とを同一分子内に有し、(a)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率が15モル%以上60モル%以下であり、(b)の官能基を有する繰り返し単位に該当するモノマーの共重合比率が2モル%以上20モル%以下であることを特徴とする平版印刷版用原版。
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