JP4414733B2 - 平版印刷版原版の製版条件の評価方法及び平版印刷版の品質管理方法 - Google Patents
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Description
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザーを露光光源として使用する、赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版としては、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とする感光層を有するものが知られている。
しかし、このような赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版においては、UV露光により製版するポジ型平版印刷版原版と比べ、現像液の活性度に対するラチチュードが狭いため、活性度が高くなると画像部の濃度低下や耐刷低下を引き起こし、また、活性度が低くなると現像不良を容易に引き起こすといった問題があった。
すなわち、前記UV露光により製版するポジ型平版印刷版原版の感光層は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂とオニウム塩やキノンジアジド化合物類とを必須成分とする。ここで、該UV露光により製版するポジ型平版印刷版原版を露光すると、前記オニウム塩やキノンジアジド化合物類は、非露光部(画像部)においては、前記赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版におけるのと同様に、溶解阻止剤として作用するが、露光部(非画像部)においては、前記赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版におけるのとは異なり、光によって分解して酸を発生し、前記バインダー樹脂の溶解促進剤として作用する。したがって、該UV露光により製版するポジ型平版印刷版原版においては、露光部と非露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の差が非常に大きい。
このような現像液の活性度に対するラチチュードが狭い平版印刷版原版を使用して安定した画像を連続的に形成するためには、その工程管理が非常に困難である。
また、赤外レーザー用ポジ平版印刷版原版を、標準的な現像液で現像した画像のクリア感度と、疲労後の現像液で現像した画像のクリア感度と、を比較・評価し、その評価に基づき製版条件を調整する品質管理方法も知られているが、例えば、美術本、車のカタログなどの高品質の印刷物や、例えば、FMスクリーン、AMスクリーンであって、300線/インチ(2.54cm)以上となるような高精細な印刷物を作製するといった点で、さらに改良の余地があった(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、汎用の赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版原版に適用して、微細な網点における面積率の変動、網点周長の変動を、簡易な工程管理で効果的に防止する方法は未だ見出されていないのが現状である。
また、前記(D)工程において調整された製版条件が露光条件である場合、前記(A)工程〜(D)工程の終了後、前記(B)工程において得られた対象現像液処理平版印刷版を、(A)工程における標準現像液処理平版印刷版として、更に(A)工程〜(D)工程をこの順に1回又は複数回実施することが好ましい。
まず、細線感度を用いた平版印刷版原版の製版条件の評価方法について、その(A)〜(C)工程を詳細に説明する。
<(A)工程>
(A)工程においては、まず、一枚の平版印刷版原版に、所定の解像度における1ピクセルラインの細線画像と2〜8ピクセルラインの細線画像から選択される少なくとも1種とを、版面エネルギーを段階的に変えて露光する。
なお、本発明において、1ピクセルラインの細線画像とは、所定の解像度における1ピクセルの1辺の長さと等しい幅の線を、1ピクセルの1辺の長さと等しい幅の間隔(非画像部)を挟んで規則的に並べた画像のことを指す。ここで、1ピクセルの1辺の長さは解像度に応じて決定されるものであり、例えば、2438dpiの場合、1ピクセルの1辺の長さは10.4μmであり、1200dpiの場合、1ピクセルの1辺の長さは21.2μmとなる。従って、2438dpiの解像度の場合には、線幅が10.4μm(1ピクセルライン)の細線画像と20.4μm(2ピクセルライン)〜83.2μm(8ピクセルライン)の細線画像を比較の対象とすればよい。
本発明の評価方法はどのような解像度の場合にも適用可能であるが、通常は高度な評価技術を要する高解像度の画像形成時の評価に適用することによりその効果が著しく、そのような観点からは1200dpi以上の解像度に適用することが好ましい。
評価対象となる細線画像の面積は任意であるが、濃度計の最小測定面積を考慮すれば、少なくとも一片が7mm以上であることが好ましい。
また、版面エネルギーを段階的に変えて露光するための露光量の範囲は、未露光部と濃度が変わらない露光量〜細線感度の1.5倍の範囲内に設定することが適切である。この範囲内において、版面エネルギーを段階的に変化させて露光を行うが、このときの隣接する版面エネルギー(変化量)の差は、標準的な現像液で現像した画像のクリア感度の2〜10%であることが好ましい。
続いて、上記標準現像液処理平版印刷版において、1ピクセルラインの細線画像の濃度と2〜8ピクセルラインから選択される少なくとも1種の細線画像の濃度とが同じになる露光量(細線感度)を求める。細線画像濃度の比較は一対比較となるので、版面状態を目視で評価してもよいが、簡便性及び精度の観点から濃度計を用いることが好ましい。
ここで作製した標準現像液処理平版印刷版は、ベースとなる現像条件の標準試料となるもので、ここで用いた現像液の処方、処理時間、処理温度などが標準的な条件として採用される。また、標準現像液処理平版印刷版は、評価毎に作製する必要はなく、同一の製版処理を行う連続工程において、評価、管理を行なおうとする場合には、最初の段階で一枚だけ作製すればよい。
(B)工程においては、評価対象となる平版印刷版を作製する。これは、経時後の現像液の疲労状況などを確認するためのもので、評価を必要とする時点で、前記(A)工程と同様の画像を同様の条件で露光した平版印刷版を、評価しようとする現像液で現像して対象現像液処理平版印刷版を作製し、1ピクセルラインの細線画像の濃度と前記(A)工程において選択された1種の細線画像の濃度とが同じになる露光量(細線感度)を求める。即ち、たとえば(A)工程において、1ピクセルラインの細線画像と5ピクセルラインの細線画像との細線感度を求めた場合、(B)工程における対象現像液処理平版印刷版についても、1ピクセルラインの細線画像と5ピクセルラインの細線画像との細線感度を求める。また、この対象となる細線画像は1種に限定されるものではなく、たとえば、(A)工程において、1ピクセルラインの細線画像と2及び3ピクセルラインの細線画像との細線感度を求めた場合、(B)工程における対象現像液処理平版印刷版についても、1ピクセルラインの細線画像と2及び3ピクセルラインの細線画像との細線感度を求めるということになる。
また、評価しようとする現像液で現像する他は、現像処理温度、処理時間などについても、前記(A)工程と同様にして細線感度を求める。
(C)工程においては、前記(A)工程で得られた標準現像処理平版印刷版の細線感度と、前記(B)工程で得られた対象現像処理平版印刷版の細線感度と、を比較して評価を行なう。
細線感度の比較の結果、両者の差異が所定の値を超えた場合、前記対象現像処理平版印刷版に用いた現像液が疲労しているものと評価される。なお、ここでいう所定の値とは、所望された画像品質を一定に保つために許容される細線感度の差異の最大値であり、所望される平版印刷版の均一性により決定されるものであるが、一般的には、対象現像処理平版印刷版の細線感度が、標準現像液処理平版印刷版の細線感度より±10%はずれたときを目安とする。これは、両平版印刷版の画像を一対比較することにより、その画像の変化を目視で検知することが可能となると考えられる値である。
このように、標準的な現像処理を行なった試料との比較により、露光/現像条件の変化が容易に検知できる。
次に、細線感度を用いた平版印刷版の品質管理方法について、その(A)〜(D)工程を詳細に説明する。
本発明の細線感度を用いた平版印刷版の品質管理方法における(A)〜(D)工程のうち、(A)〜(C)工程は、前記平版印刷版の評価方法である(A)〜(C)工程と同様である。
(D)工程は、前記(A)〜(C)工程で得られた評価結果に基づき、製版条件を調整する。即ち、前記標準現像処理平版印刷版の細線感度と対象現像処理平版印刷版の細線感度とを比較した結果、両者の差異が前記所定の値を超えた場合、この評価結果を製版条件にフィードバックすることにより、平版印刷版の品質管理を合理的に行うことができる。
なお、製版条件を調整する手段としては特に制限はないが、中でも、露光条件及び/又は現像条件を調整することが好ましい。
現像性が低下している場合、即ち、対象現像液処理平版印刷版の細線感度が、標準現像液処理平版印刷版の細線感度と比べて所定の値以上に上昇した場合には、露光条件を上げるか、現像条件を活性化させる手段をとる。具体的には、以下の(1)〜(10)の手段が挙げられる。
(1)補充液を加える
(2)補充液の希釈比を下げる(濃度を上げる)
(3)自動現像機において補充液の補充量の設定を多くする
(4)現像温度を上げる
(5)現像時間を長くする(自動現像機の搬送速度を下げる)
(6)自動現像機の現像ブラシの圧力を上げる
(7)自動現像機の現像ブラシの数を増やす
(8)スプレーの吐出量を上げる
(9)現像液を新液に交換する
等が挙げられる。また、露光条件、その他の条件を調整する手段としては、
(10)露光量を上げる
等が挙げられる。
(1)現像液に水を加える
(2)現像液にドライアイスを入れる
(3)CO2ガスを吹き込む
(4)補充液の希釈比を上げる(濃度を下げる)
(5)自動現像機において補充液の補充量の設定を少なくする
(6)現像温度を下げる
(7)現像時間を短くする(自動現像機の搬送速度を上げる)
(8)自動現像機の現像ブラシの圧力を下げる
(9)自動現像機の現像ブラシの数を減らす
(10)スプレーの吐出量を下げる
(11)現像液を撹拝する
(12)現像液を新液に交換する
等が挙げられる。また、露光条件、その他の条件を調整する手段としては、
(13)露光量を下げる
(14)赤外レーザー用ポジ感光性平版印刷版を露光前に加熱する
等を挙げることができる。
なお、露光条件を調整するには、レーザー光の出力、ビーム径、走査速度、露光時間などを調製して、所望の露光条件に調整すればよい。
また、前記(D)工程において調整された製版条件が露光条件である場合、前記(A)工程〜(D)工程の終了後、前記(B)工程において得られた対象現像液処理平版印刷版を、(A)工程における標準現像液処理平版印刷版として、更に(A)工程〜(D)工程をこの順に1回又は複数回実施することが好ましい。
このように、前記評価結果を繰り返しフィードバックすることで、平版印刷版の品質を安定かつ長期間に亘って一定に保持することが可能となる。
次に、市松模様感度を用いた平版印刷版原版の製版条件の評価方法について説明する。
市松模様感度を用いた平版印刷版原版の製版条件の評価方法は、評価に使用する平版印刷版原版に露光する画像を、1ピクセルの市松模様画像と、2〜8ピクセルの市松模様画像から選択される少なくとも1種とに変更した以外は、前記細線感度を用いた平版印刷版の評価方法と同様である。
なお、本発明において、1ピクセルの市松模様とは、市松模様の1辺の長さが、所定の解像度における1ピクセルの1辺の長さと等しい画像のことを指し、2ピクセルの市松模様とは、市松模様の1辺の長さが、所定の解像度における2ピクセルの1辺の長さと等しい画像、即ち、市松模様の1マスが4ピクセルである画像を指す。ここで、1ピクセルの1辺の長さは解像度に応じて異なるものであり、本発明の市松模様感度を用いた評価方法に適用するにあたって好ましい解像度は、前記細線感度を用いた評価方法で述べた範囲と同様である。
続いて、市松模様感度を用いた平版印刷版の品質管理方法について説明する。
市松模様感度を用いた平版印刷版の品質管理方法は、評価に使用する平版印刷版原版に露光する画像を、1ピクセルの市松模様画像と2〜8ピクセルの市松模様画像から選択される少なくとも1種とに変更した以外は、前記細線感度を用いた平版印刷版の品質管理方法と同様である。
次に、本発明の評価方法及び品質管理方法が適用される平版印刷版原版について説明する。
本発明に係る平版印刷版原版は、支持体上に、アルカリ水溶液可溶性樹脂と、光を吸収して熱を発生する化合物(以下、適宜「光熱変換物質」と称する)とを含有してなる、即ち、赤外線レーザー用ポジ感光性組成物からなる感光層を設けたものであれば特に制限はない。その他、該感光層には、一般的な赤外レーザー用ポジ感光性組成物に用いられる添加剤などを添加してもよい。
以下、本発明に係る平版印刷版原版の各構成について詳細に説明する。
本発明に用いられるアルカリ水溶液可溶性樹脂としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、酸基としてカルボキシ基を含有するポリマー、フェノール性ヒドロキシ基、スルホンアミド基などの酸基を有するアクリル系樹脂やウレタン系の樹脂等、種々のアルカリ水溶液可溶性の高分子化合物を用いることができる。
本発明においては、上記アルカリ水溶液可溶性樹脂の中でも、アクリルポリマーを10〜70質量%含有するアルカリ水溶液可溶性樹脂(以下、適宜「特定アルカリ水溶液可溶性樹脂」と称する。)を用いることが好ましい。
本発明における特定アルカリ水溶液可溶性樹脂は、アクリルポリマーを10〜70質量%含有するアルカリ水溶液可溶性樹脂である。
特定アルカリ水溶液可溶性樹脂中に含有されるアクリルポリマーについて説明する。
本発明におけるアクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸誘導体等のアクリル系モノマー成分を共重合成分として含むポリマーであり、本発明におけるアクリルポリマーは、このようなアクリル系モノマー成分の単独重合、又は、共重合により得ることができる。
なお、本明細書において、アクリル及びメタアクリルを総称して(メタ)アクリルという。「共重合成分として、(メタ)アクリル酸エステルを含む」という時、アクリル酸エステル及びメタアクリル酸エステルの少なくともいずれかを含むことを意味する。(メタ)アクリルアミド誘導体についても同様である。
このような酸性基を有するアクリル系モノマーとしては、分子中に上記酸性基及び重合可能な不飽和2重結合を有するモノマーであれば特に制限はないが、例えば、特開平11−218914に記載されているモノマーが挙げられる。このような酸基を有するアクリル系モノマーを単独重合又は共重合することにより本発明におけるアクリルポリマーを得ることができる。
(2)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2R、−CONHSO2R〕
(3)カルボン酸基(−CO2H)
(4)スルホン酸基(−SO3H)
(5)リン酸基(−OPO3H2)
上記(1)〜(5)中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
本発明におけるアクリルポリマーとしては、例えば、以下に詳述する(a)下記一般式(a)で表されるモノマーを有する共重合体、(b)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物、などが好適に用いられる。
まず、一般式(a)で表されるモノマー成分を有する共重合体(以下、適宜「アクリルポリマー(a)」と称する。)について説明する。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチルを用いることがより好ましい。
また、本発明で用いられる(メタ)アクリル酸エステルは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルのアクリルポリマー(a)中の含有量は、好ましくは0〜95モル%、より好ましくは5〜90モル%、更に10〜80モル%であることが好ましい。
一般式(b)中、R2及びR3で表される炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数6〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。アルキル基又はアリール基は置換されていてもよく、導入可能な置換基としては、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、フェニル基、ジメチルアミノ基、エチレンオキサイド基、ビニル基、o−カルボキシベンゾイルオキシ基などが挙げられる。但し、R2とR3は共に水素原子となることはない。
(メタ)アクリルアミド誘導体の具体例を以下に示すが、本発明ではこれらに限定されない。
(b−2) N−(n−ブトキシメチル)アクリルアミド
(b−3) N−t−ブチルメタクリルアミド
(b−4) N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド
(b−5) N,N−ジメチルメタクリルアミド
(b−6) N,N−ジメチルアクリルアミド
(b−7) N−イソプロピルアクリルアミド
(b−8) N−メチルメタクリルアミド
(b−9) N−フェニルメタクリルアミド
(b−10)N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド
(メタ)アクリルアミド誘導体のアクリルポリマー(a)中の含有量は、好ましくは0〜95モル%、より好ましくは5〜90モル%、更に20〜80モル%であることが好ましい。
一般式(c)中、R4、R5及びR6で表される置換基としては、特に限定されないが、アルキル基、アリール基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
スチレン誘導体の具体例を以下に示すが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
(c−2) β−ブロモスチレン
(c−3) 4−クロロ−α−メチルスチレン
(c−4) 3−クロロスチレン
(c−5) 4−クロロスチレン
(c−6) 2,6−ジクロロスチレン
(c−7) 2−フルオロスチレン
(c−8) 3−フルオロスチレン
(c−9) 4−フルオロスチレン
(c−10) メチルスチレン
(c−11) ビニルトルエン
(c−12) trans−β−メチルスチレン
スチレン誘導体のアクリルポリマー(a)中の含有量は、0〜95モル%が好ましく、より好ましくは5〜90モル%、更に20〜80モル%である。
アクリルポリマー(a)の共重合の方法としては、従来知られているグラフト共重合法、ブロック共重合法、ランダム共重合法等を用いることができる。
または、特定アルカリ水溶液可溶性樹脂中において、アクリルポリマー(a)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、後述するアクリルポリマー(b)のような他のアクリルポリマーと併用してもよい。
次に、(b)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性高分子化合物(以下、適宜「アクリルポリマー(b)」と称する。)について説明する。
アクリルポリマー(b)は、スルホンアミド基を有するモノマーを単独重合または共重合することにより得られる。このようなスルホンアミド基を有するモノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和結合と、をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなるモノマーが挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、又はビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基又は置換スルホニルイミノ基と、を有する低分子化合物が好ましい。
これらの中でも、スルホンアミド基を有するモノマーとして好適ものとしては、例えば、下記一般式1〜5で示されるモノマーを挙げることができる。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド。
(5)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(6)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m1)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m2)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m3)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m4)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m5)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m6)無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
または、特定アルカリ水溶液可溶性樹脂中において、アクリルポリマー(b)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記アクリルポリマー(a)のような他のアクリルポリマーと併用してもよい。
特定アルカリ水溶液可溶性樹脂において、前記アクリルポリマー(a)やアクリルポリマー(b)などのアクリルポリマーと共に用いられる、アルカリ水溶液可溶性樹脂としては、従来公知のものが特に制限なく使用できる。特に、フェノール性水酸基を有する高分子化合物であることが好ましい。以下に具体例を示すが、これらに限定されない。
フェノール性水酸基を有する上記重合性モノマーと共重合できるモノマーとしては、前記(1)〜(6)、及び(m1)〜(m6)として例示したモノマーを挙げることができる。
また、併用可能なアルカリ水溶液可溶性樹脂がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
本発明に係る感光層は、光を吸収して熱を発生する化合物(光熱変換物質)を含有する。本発明に係る平版印刷版原版は、光熱変換物質の含有により高感度化をはかることができる。この光熱変換物質としては赤外線吸収染料を用いることが好ましい。
本発明に好適に用いられる赤外線吸収染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの染料のうち特に700〜1200nmの赤外線を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
また、好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
本発明に係る平版印刷版原版は、現像液への耐溶解性(インヒビション)を高める目的で、感光層に種々の溶解阻止化合物(インヒビター)を含有させることができる。
本発明においては、公知のインヒビターを特に限定なしに用いることができる。中でも、好ましく用いられるものとして、4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が挙げられる。
具体的には、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラペンチルアンモニウムブロミド、テトラヘキシルアンモニウムブロミド、テトラオクチルアンモニウムブロミド、テトララウリルアンモニウムブロミド、テトラフェニルアンモニウムブロミド、テトラナフチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラステアリルアンモニウムブロミド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムブロミド、ラウリルトリエチルアンモニウムブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムブロミド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ジベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロミド、トリステアリルメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリブチルアンモニウムヨーダイド、ベンジルトリブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、ヒドロキシフェニルトリメチルアンモニウムブロミド、N−メチルピリジニウムブロミド等が挙げられる。
(R1は多価アルコール残基又は多価フェノール残基、R2は水素原子、C1〜C25の置換基を有しても良いアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキロイル基、アリール基又はアリーロイル基、R3は置換基を有しても良いアルキレン残基を示す。mは平均で10以上、nは1以上4以下の整数である。)
ラクトン化合物としては、特に限定されないが、下記一般式(L−I)及び一般式(L−II)で表される化合物が挙げられる。
X1、X2、X3及びX4で表される環の構成原子又は原子団は、環を形成するための二つの単結合を有する非金属原子又は該非金属原子を含む原子団である。
好ましい非金属原子又は非金属原子団は、メチレン基、スルフィニル基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、硫黄原子、酸素原子及びセレニウム原子から選ばれる原子又は原子団であって、より好ましくは、メチレン基、カルボニル基及びスルホニル基から選ばれる原子団である。
より好ましくは、ニトロ基、炭素数1〜5のフルオロアルキル基、ニトリル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数6〜9のアリールスルホニル基、炭素数6〜9のアリールカルボニル基、オキソ基及びハロゲン元素から選ばれる基である。
以下に、一般式(L−I)及びは一般式(L−II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
このラクトン化合物は、いずれか一種を用いても、併用してもよい。また2種類以上の一般式(L−I)の化合物、又は2種類以上の一般式(L−II)の化合物を合計添加量が上記範囲内で任意の比率で併用してもよい。
この「熱分解性でありかつ熱分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質」としては、特に限定されないが、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等が挙げられる。特に熱分解性の点から、オニウム塩であることが好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同Re27,992号各明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号各明細書に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−296514号公報に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号,同3,902,114号、同233,567号、同297,443号、同297,442号各明細書、米国特許第4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号各明細書、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号各明細書に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
このようなオニウム塩の中でもジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものが挙げられる。
なお、分解性の観点から熱分解性物質は、オニウム塩がより好ましい。
この熱分解性の高いオニウム塩を用いることにより、露光部の該熱分解性物質の分解をより促進し、露光部未露光部のディスクリミネーションを向上させていると考えられる。
添加量としては、感光層全固形分の0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
添加量としては、現像液に対する感光層の溶解性の観点から、感光層全固形分中0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。
更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。
ルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。
本発明に係る感光層は、必要成分を溶媒に溶かして感光層塗布液とし、支持体上に塗布することにより形成することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
上記溶媒を用いた感光層塗布液の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
本発明に係る感光層には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、添加する層の全固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
重層構成にした場合は、支持体に近い層(下層)は光熱変換物質を含まない層とすることもできる。
なお、重層構成にした場合は、下層には、前記一般式(a)で示されるモノマー成分を有する共重合体を含有させないか、又は上層より少量で用いることが、現像ラチチュードや耐傷性の観点から好ましい。
本発明に用いられる支持体としては、必要な強度と耐久性を備えた寸度的に安定な板状物が挙げられ、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
さらに下記式で示される構造単位を有する有機高分子化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む下塗層も好ましい。
下塗層の被覆量は、耐刷性の観点から、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
上記のようにして作製された平版印刷版原版は、平版印刷版原版同士の間に合紙が挿入された状態で積み重ねられて包装された製品形態で出荷され、輸送され、保管されるのが、一般的な態様である。製版・印刷に当たっての典型的な態様としては、オートローダによって、合紙と原板の重ねられた一組がオートローダに確保され、搬送され、製版が行われる位置に装着・固定され、そのあとで、合紙が取り去られる態様であるが、これに限定されない。
合紙が除かれた原板には、像露光、現像処理が施される。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、また必ずしも走査方式でなくてもよく、つまり面露光方式であってもよいが、固体レーザあるいは半導体レーザを使用する走査方式の露光が好ましい。発光波長としては、760〜1080nmが好ましい。
また、本発明においては、前記ノンシリケート現像液として、非還元糖と塩基との併用に代えて、非還元糖のアルカリ金属塩を主成分としたものを用いることもできる。
本発明に係る製版方法は、上記のような自動現像機による処理に適用されるものである。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
(支持体1の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(Si:0.06質量%、Fe:0.30質量%、Cu:0.014質量%、Mn:0.001質量%、Mg:0.001質量%、Zn:0.001質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAlと不可避不純物のアルミニウム合金)に対し以下に示す表面処理を連続的に行った。
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。その後、カセイソーダ濃度2.6質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。更に、温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーで水洗した。その後、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
二段給電電解処理法の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
陽極酸化処理されたアルミニウム板を温度30℃の3号ケイ酸ソーダ1質量%水溶液中へ、10秒間、浸漬することでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
上記のようにして得られたシリケート処理後のアルミニウム板上に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥して、乾燥被覆量15mg/m2の下塗り塗膜を形成させて、支持体1を作製した。
・下記化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
支持体1の作製で用いたものと同じアルミニウム板に、以下に示す表面処理を連続的に行った。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、温度80℃であった。水洗後、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、スプレーによる水洗を行った。その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、スプレーによる水洗を行った。
上記のようにして電気化学粗面化処理されたアルミニウム板に、支持体1の作製の場合と同様にして、陽極酸化処理、シリケート処理及び下塗液塗布を行って支持体2を作製した。
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質:JIS A 1050)を苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温60℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗し、10g/l硝酸で中和洗浄後、水洗した。これを印加電圧Va=20Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて、塩化水素濃度15g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温30℃の水溶液中で、500C/dm2の電気量で電気化学的な粗面化処理を行い水洗後、苛性ソーダ濃度30g/l、アルミニウムイオン濃度10g/l、液温40℃で10秒間エッチング処理を行い、流水で水洗した。次に、硫酸濃度15質量%、液温30℃の硫酸水溶液中でデスマット処理を行い水洗した。さらに、液温20℃の10質量%硫酸水溶液中、直流にて電流密度6A/dm2の条件下で、陽極酸化皮膜量が2.5g/m2相当となるように陽極酸化処理し、水洗、乾燥した。その後、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃において10秒間処理し、支持体を作製した。この支持体の中心線平均粗さ(Ra)を直径2μmの針を用いて測定したところ、0.48μmであった。
上記のようにして得たシリケート処理済みアルミニウム板上に、支持体1の作製の場合と同様にして、下塗液塗布(乾燥被覆量17mg/m2)を行って、支持体3を作製した。
下記(a)〜(l)の処理をこの順に行って支持体4を作製した。
(a)機械的粗面化処理
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/l水溶液(アルミニウムイオンを5g/l含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/l(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
支持体1の作製の場合と同様にシリケート処理を行った。シリケート付着量は3.5mg/m2であった。
支持体1の作製の場合と同様に下塗り液の塗布を行った。乾燥後の被覆量は15mg/m2であった。
上記のようにして得られた支持体1〜4に、下記組成の感光層下層用塗布液1を塗布した後、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWind Controlを7に設定して130℃で50秒間乾燥し、乾燥塗布量が0.85g/m2の下層を設けた。次にその上に、感光層上層用塗布液1を乾燥塗布量が0.25g/m2になるよう塗布した。乾燥条件は、140℃、1分間であった。
以上のようにして、本発明の実施例に用いる平版印刷版原版1〜4を得た。
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル 2.133g
(36/34/30質量%、:重量平均分子量50000、酸価2.65)
・シアニン染料A(下記構造) 0.109g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・シス−Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ
−2−ナフタレンスルホナートに変えたもの 0.100g
・メガファックF176 0.035g
(大日本インキ化学工業(株)製、塗布面状改良フッ素系界面活性剤)
・メチルエチルケトン 25.38g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.2g
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、
重量平均分子量4500、未反応クレゾール0.8質量%含有) 0.1000g
・下記構造の共重合体(アクリルポリマー) 0.4000g
・シアニン染料A(前記構造) 0.0192g
・下記構造のアンモニウム化合物 0.0115g
・メガファックF176(20%)
(大日本インキ化学工業(株)製、面状改良界面活性剤) 0.022g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.07g
・メチルエチルケトン 6.79g
前記で得られた平版印刷版原版1(支持体1に感光層設けたもの;650mm×550mm×0.3mm厚)をプレートセッターLuxcel Platesetter 9000CTP(富士写真フイルム(株)製)を用いて(回転数1000rpm、解像度2438dpi)、一片が30mmの大きさの1ピクセルライン(線幅:10.4μm)の細線画像及び2ピクセルライン(線幅:20.8μm)の細線画像を、13.5mW〜270.0mWまで、13.5mW毎に版面エネルギーを変化させて複数の条件で露光を行った。即ち、この段階的露光は、13.5mW、27.0mW、30.5mW・・・・・・・243.0mW、256.5mW、270.0mWのように変化させたものである。
続いて、以下の条件により現像を行い、標準的な配合の現像液(アルカリ現像処理液A;45mS/cm)により現像された、標準現像液処理平版印刷版1を作製した。
浸漬型現像槽を有する自動現像機の水洗部に擦り部材を回転速度120rpm、接触幅2.5mmとなるように設置した。なお、擦り部材としては、ナイロン製のブリッスル(太さ70μm、長さ10mm)を植毛した回転ブラシロールを用い、版との接触面積を2mmに設定した。
この自動現像機の現像処理槽に、下記組成の現像液(アルカリ現像処理液A(pH約13))を27リットル仕込み、30℃に保温した。水洗処理槽には、水道水を8リットル仕込んだ。フィニッシャー処理槽には、FG−1(富士写真フイルム(株)製):水=1:1希釈したフイニッシングガム液を8リットル仕込んだ。
・Dソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)5Na塩 0.05質量%
・水 96.6質量%
・Dソルビット 5.6質量%
・水酸化ナトリウム 2.5質量%
・ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)5Na塩 0.2質量%
・水 91.7質量%
その後、175線/インチのAMスクリーンの印刷画像を用い、216mWで露光して、前記の現像条件にて1日当り100版、3カ月間処理した。
その際、毎日最初に上記と同様にして対象現像液処理平版印刷版1を作製し、細線感度を測定した。細線感度が±13.5mW以上はずれた場合、本発明の品質管理方法に基づいて、以下の如き各製版工程の調整を行った。
・45日目に細線感度が216mWに低下したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバックし、設定露光量を216mWに変化させた。
・その後は90日目まで安定した現像状態が得られた。
即ち、本発明の管理方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、18日間しか稼働できなかったことになる。このことから、本発明の評価方法及び品質管理方法が有効であることがわかる。
前記で得られた平版印刷版原版2(支持体2に感光層を設けたもの;650mm×550mm×0.24mm厚)をクレオ社製プレートセッターTrendsetter 3244Fを用いて、(回転数:360rpm、解像度2438dpi)、一片が30mmの大きさの1ピクセルライン(線幅:10.4μm)の細線画像及び8ピクセルライン(線幅:83.2μm)の細線画像を、0.75W〜15.0Wまで、0.75W毎に版面エネルギーを変化させて複数の条件で露光を行った。即ち、この段階的露光は、0.75W、1.5W、2.25W、・・・・・・・13.5W、14.25W、15.0Wのように変化させたものである。
続いて、前記実施例1と同様の条件により現像を行い、標準的な配合の現像液(アルカリ現像処理液A;45mS/cm)により現像された、標準現像液処理平版印刷版2を作製した。
その後、175線/インチのAMスクリーンの印刷画像を用い、12.0Wで露光して、前記の現像条件にて、1日当り100版、3カ月間処理した。
その際、毎日最初に上記と同様にして対象現像液処理平版印刷版2を作製し、細線感度を測定した。細線感度が±0.75W以上はずれた場合、本発明の品質管理方法に基づいて、以下の如き各製版工程の調整を行った。
・40日目に細線感度が12.0Wに低下したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバックし、設定露光量を12.0Wに変化させた。
・58日目に細線感度が12.75Wに低下したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバックし、設定露光量を12.75Wに変化させた。
・その後は90日目まで安定した現像状態が得られた。
即ち、本発明の管理方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、21日間しか稼働できなかったことになる。このことから、本発明の評価方法及び管理方法が有効であることがわかる。
前記で得られた平版印刷版原版3(支持体3に感光層を設けたもの;650mm×550mm×0.3mm厚)をプレートセッターLuxcel Platesetter 9000CTP(富士写真フイルム(株)製)を用いて(回転数1000rpm、解像度2438dpi)、一片が30mmの大きさの1ピクセルライン(線幅:10.4μm)及び2ピクセルライン(線幅:20.8μm)の画像を、13.5mW〜270.0mWまで、13.5mW毎に版面エネルギーを変化させて複数の条件で露光を行った。即ち、この段階的露光は、13.5mW、27.0mW、30.5mW・・・・・・・243.0mW、256.5mW、270.0mWのように変化させたものである。
続いて、前記実施例1と同様の条件により現像を行い、標準的な配合の現像液(アルカリ現像処理液A;45mS/cm)により現像された、標準現像液処理平版印刷版3を作製した。
その後、Creo Staccato 10のFMスクリーンの印刷画像を用い、216mWで露光して、前記の現像条件にて、1日当り100版、3カ月間処理した。
その際、毎日最初に上記と同様にして対象現像液処理平版印刷版3を作製し、細線感度を測定した。細線感度が±13.5mW以上はずれた場合、本発明の品質管理方法に基づいて、以下の如き各製版工程の調整を行った。
・38日目に細線感度が229.5mWに低下したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバックし、現像液温度を30℃から31℃に変化させたところ、細線感度が元の値に戻った。
・その後は90日目まで安定した現像状態が得られた。
即ち、本発明の管理方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、16日間しか稼働できなかったことになる。このことから、本発明の評価方法及び管理方法が有効であることがわかる。
前記で得られた平版印刷版原版4(支持体4に感光層を設けたもの;650mm×550mm×0.24mm厚)をクレオ社製プレートセッターTrendsetter 3244Fを用いて、(回転数:360rpm、解像度2438dpi)、一片が30mmの大きさの1ピクセルライン(線幅:10.4μm)及び8ピクセルライン(線幅:83.2μm)の画像を、0.75W〜15.0Wまで、0.75W毎に版面エネルギーを変化させて複数の条件で露光を行った。即ち、この段階的露光は、0.75W、1.5W、2.25W、・・・・・・・13.5W、14.25W、15.0Wのように変化させたものである。
続いて、前記実施例1と同様の条件により現像を行い、標準的な配合の現像液(アルカリ現像処理液A;45mS/cm)により現像された、標準現像液処理平版印刷版4を作製した。
その後、Creo Staccato 10のFMスクリーンの印刷画像を用い、12.0Wで露光して、前記の現像条件にて、1日当り100版、3カ月間処理した。
その際、毎日最初に上記と同様にして対象現像液処理平版印刷版4を作製し、細線感度を測定した。細線感度が±0.75W以上はずれた場合、本発明の品質管理方法に基づいて、以下の如き各製版工程の調整を行った。
・46日目に細線感度が12.75Wに低下したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバックし、現像液温度を30℃に戻したところ、細線感度が元の値に戻った。
・65日目に細線感度が12.75Wに低下したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバックし、回転ブラシロールと版面の接触面積を2mmから3mmに変化させたところ、細線感度が元の値に戻った。
・その後は90日目まで安定した現像状態が得られた。
本発明の管理方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、24日間しか稼働できなかったことになる。このことから、本発明の評価方法及び管理方法が有効であることがわかる。
前記で得られた平版印刷版原版4(支持体4に感光層を設けたもの;650mm×550mm×0.24mm厚)をクレオ社製プレートセッターTrendsetter 3244Fを用いて、(回転数:360rpm、解像度2438dpi)、一片が30mmの大きさの1ピクセルの市松模様画像(1辺の長さが10.4μm)及び8ピクセルの市松模様画像(1辺の長さが83.2μm)を、0.75W〜15.0Wまで、0.75W毎に版面エネルギーを変化させて複数の条件で露光を行った。即ち、この段階的露光は、0.75W、1.5W、2.25W、・・・・・・・13.5W、14.25W、15.0Wのように変化させたものである。
続いて、前記実施例1と同様の条件により現像を行い、標準的な配合の現像液(アルカリ現像処理液A;45mS/cm)により現像された、標準現像液処理平版印刷版5を作製した。
その後、Creo Staccato 10のFMスクリーンの印刷画像を用い、12.0Wで露光して、前記の現像条件にて、1日当り100版、3カ月間処理した。
その際、毎日最初に上記と同様にして対象現像液処理平版印刷版5を作製し、市松模様感度を測定した。市松模様感度が±0.75W以上はずれた場合、本発明の品質管理方法に基づいて、以下の如き各製版工程の調整を行った。
・56日目に市松模様感度が12.75Wに低下したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバックし、現像液温度を30℃に戻したところ、市松模様感度が元の値に戻った。
・72日目に市松模様感度が12.75Wに低下したため、本発明の管理方法に基づいてフィードバックし、回転ブラシロールと版面の接触面積を2mmから3mmに変化させたところ、市松模様感度が元の値に戻った。
・その後は90日目まで安定した現像状態が得られた。
本発明の管理方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、24日間しか稼働できなかったことになる。このことから、本発明の評価方法及び管理方法が有効であることがわかる。
Claims (6)
- (A)支持体上にアルカリ水溶液可溶性樹脂と光を吸収して熱を発生する化合物とを含有してなる感光層を有する平版印刷版原版に、所定の解像度における1ピクセルラインの細線画像と2〜8ピクセルラインの細線画像から選択される少なくとも1種とを、版面エネルギーを段階的に変えて露光し、標準現像液で現像して標準現像液処理平版印刷版を作製し、前記標準現像液処理平版印刷版における1ピクセルラインの細線画像の濃度と2〜8ピクセルラインの細線画像から選択される少なくとも1種の細線画像の前記標準現像液処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量を求める工程と、
(B)前記(A)と同様の所定の解像度における1ピクセルラインの細線画像と2〜8ピクセルラインから選択される少なくとも1種の細線画像とを、前記(A)と同様の条件で露光した平版印刷版原版を、評価しようとする現像液で現像して対象現像液処理平版印刷版を作製し、前記対象現像液処理平版印刷版における1ピクセルラインの細線画像の濃度と、前記(A)工程において2〜8ピクセルラインから選択された少なくとも1種の細線画像の前記対象現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量を求める工程と、
(C)前記標準現像処理平版印刷版における1ピクセルラインの細線画像の濃度と、前記(A)工程において2〜8ピクセルラインから選択された少なくとも1種の細線画像の前記標準現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量と、前記対象現像処理平版印刷版における1ピクセルラインの細線画像の濃度と前記(A)工程において2〜8ピクセルラインから選択された少なくとも1種の細線画像の前記対象現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量と、を比較する工程と、を有することを特徴とする平版印刷版原版の製版条件の評価方法。 - (A)支持体上にアルカリ水溶液可溶性樹脂と光を吸収して熱を発生する化合物とを含有してなる感光層を有する平版印刷版原版に、所定の解像度における1ピクセルラインの細線画像と2〜8ピクセルラインの細線画像から選択される少なくとも1種とを、版面エネルギーを段階的に変えて露光し、標準現像液で現像して標準現像液処理平版印刷版を作製し、前記標準現像液処理平版印刷版における1ピクセルラインの細線画像の濃度と、2〜8ピクセルラインの細線画像から選択される少なくとも1種の細線画像の前記標準現像液処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量を求める工程と、
(B)前記(A)と同様の所定の解像度における1ピクセルラインの細線画像と2〜8ピクセルラインから選択される少なくとも1種の細線画像とを、前記(A)と同様の条件で露光した平版印刷版原版を、評価しようとする現像液で現像して対象現像液処理平版印刷版を作製し、前記対象現像液処理平版印刷版における1ピクセルラインの細線画像の濃度と、前記(A)工程において2〜8ピクセルラインから選択された少なくとも1種の細線画像の前記対象現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量を求める工程と、
(C)前記標準現像処理平版印刷版における1ピクセルラインの細線画像の濃度と前記(A)工程において2〜8ピクセルラインから選択された少なくとも1種の細線画像の前記標準現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量と、前記対象現像処理平版印刷版における1ピクセルラインの細線画像の濃度と前記(A)工程において2〜8ピクセルラインから選択された少なくとも1種の細線画像の前記対象現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量と、を比較する工程と、
(D)前記(C)における比較の結果、両者の差異が所定の値を超えた場合に、製版条件を調整する工程と、を有することを特徴とする平版印刷版の品質管理方法。 - (A)支持体上にアルカリ水溶液可溶性樹脂と光を吸収して熱を発生する化合物とを含有してなる感光層を有する平版印刷版原版に、所定の解像度における1ピクセルの市松模様画像と2〜8ピクセルの市松模様画像から選択される少なくとも1種とを、版面エネルギーを段階的に変えて露光し、標準現像液で現像して標準現像液処理平版印刷版を作製し、前記標準現像液処理平版印刷版における1ピクセルの市松模様画像の濃度と2〜8ピクセルの市松模様画像から選択される少なくとも1種の市松模様画像の前記標準現像液処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量を求める工程と、
(B)前記(A)と同様の所定の解像度における1ピクセルの市松模様画像と2〜8ピクセルの市松模様画像から選択される少なくとも1種の市松模様画像とを、前記(A)と同様の条件で露光した平版印刷版原版を、評価しようとする現像液で現像して対象現像液処理平版印刷版を作製し、前記対象現像処理平版印刷版における1ピクセルの市松模様画像の濃度と、前記(A)工程において2〜8ピクセルから選択された少なくとも1種の市松模様画像の前記対象現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量を求める工程と、
(C)前記標準現像処理平版印刷版における1ピクセルの市松模様画像の濃度と前記(A)工程において2〜8ピクセルの市松模様画像から選択された少なくとも1種の市松模様画像の前記標準現像液処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量と、前記対象現像処理平版印刷版における1ピクセルの市松模様画像の濃度と前記(A)工程において2〜8ピクセルの市松模様画像から選択された少なくとも1種の市松模様画像の前記対象現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量と、を比較する工程と、を有することを特徴とする平版印刷版原版の製版条件の評価方法。 - (A)支持体上にアルカリ水溶液可溶性樹脂と光を吸収して熱を発生する化合物とを含有してなる感光層を有する平版印刷版原版に、所定の解像度における1ピクセルの市松模様画像と2〜8ピクセルの市松模様画像から選択される少なくとも1種とを、版面エネルギーを段階的に変えて露光し、標準現像液で現像して標準現像液処理平版印刷版を作製し、前記標準現像液処理平版印刷版における1ピクセルの市松模様画像の濃度と2〜8ピクセルの市松模様画像から選択される少なくとも1種の市松模様画像の前記標準現像液処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量を求める工程と、
(B)前記(A)と同様の所定の解像度における1ピクセルの市松模様画像と2〜8ピクセルの市松模様画像から選択される少なくとも1種の市松模様画像とを、前記(A)と同様の条件で露光した平版印刷版原版を、評価しようとする現像液で現像して対象現像液処理平版印刷版を作製し、前記対象現像処理平版印刷版における1ピクセルの市松模様画像の濃度と、前記(A)工程において2〜8ピクセルから選択された少なくとも1種の市松模様画像の前記対象現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量を求める工程と、
(C)前記標準現像処理平版印刷版における1ピクセルの市松模様画像の濃度と前記(A)工程において2〜8ピクセルの市松模様画像から選択された少なくとも1種の市松模様画像の前記標準現像液処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量と、前記対象現像処理平版印刷版における1ピクセルの市松模様画像の濃度と、前記(A)工程において2〜8ピクセルの市松模様画像から選択された少なくとも1種の市松模様画像の前記対象現像処理平版印刷版における濃度とが同じになる露光量と、を比較する工程と、
(D)前記(C)における比較の結果、両者の差異が所定の値を超えた場合に、製版条件を調整する工程と、を有することを特徴とする平版印刷版の品質管理方法。 - 前記(D)工程において調整された製版条件が現像条件である場合、
前記(A)工程〜(D)工程の終了後、前記(A)工程における現像条件を前回の(D)工程において調整後の現像条件に変更した他は、同様にして(A)工程〜(D)工程をこの順に1回又は複数回実施することを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の平版印刷版の品質管理方法。 - 前記(D)工程において調整された製版条件が露光条件である場合、
前記(A)工程〜(D)工程の終了後、前記(B)工程において得られた対象現像液処理平版印刷版を、(A)工程における標準現像処理平版印刷版として、更に(A)工程〜(D)工程をこの順に1回又は複数回実施することを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の平版印刷版の品質管理方法。
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