JP2004218207A - 制振装置および制振方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水平方向の抵抗力を充分発揮可能であって、モーメントによる柱や梁の歪みを防止する制振装置および制振方法を提供することにある。
【解決手段】柱1と梁2でラーメンLを構成し、ラーメンL内の柱1,1間、梁2,2間、柱1梁2間、柱1と梁2の交差部間、柱1と梁2の交差部と柱1との間もしくは柱1と梁2の交差部と梁2との間に配設された複数のダンパD1,D2でラーメンLの振動および変形を抑制する制振装置において、複数のダンパD1,D2を互い違いとなるように配設するとともに、ダンパD1とダンパD2の間であって柱1,1間もしくは梁2,2間に補強材10を掛け渡したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、柱と梁で構成され、柱間、梁間、柱梁間、柱と梁の交差部間、柱と梁の交差部と柱との間もしくは柱と梁の交差部と梁との間にダンパを配設したラーメンの振動および変形を抑制する制振装置および制振方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種制振装置としては、例えば、特許出願人が先に提案した制振装置(たとえば、特許文献1参照)が知られている。
【0003】
すなわち、この制振装置は、構造物中のラーメンの柱と柱および梁と梁との間の空間の対角線上に斜材としてのダンパを配設して、ラーメンに作用する地震等により負荷される振動を抑制する。
【0004】
しかし、この制振装置では柱間が狭くなると、柱に対するダンパの取付角度が小さくなるので、充分な水平抵抗力を得られなくなってしまう。また、この場合には充分な水平抵抗力を得ようとすると鉛直方向に大きな力が作用してしまい、交差部やブラケットに負担がかかってしまう。
【0005】
そこで、柱間が狭い場合には、柱と上梁の交差部に結合したブラケットと柱の中間に結合したブラケットと柱の下梁の交差部に結合したブラケットとの間に2本のダンパを略く字状に互い違いに配設して、柱に対するダンパの取付角度を大きくすることにより、上記の不都合を回避しようとする提案がなされるに至っている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−54677号公報(第3頁右欄第25行目から第3頁右欄第45行目、図1)
【特許文献2】
特開平10−227148号公報(第4頁右欄第14行目から第4頁右欄第35行目、図10)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この場合には、上記不都合が回避されるが、新たな弊害が生じることとなってしまう。すなわち、この制振装置では、2本のダンパが略く字状に互い違いに配設されるが、構造物中のラーメンに水平方向の振動が入力されると、たとえば、上側のダンパが収縮し、下側のダンパは伸長するので、2本のダンパが連結される柱の中間に結合したブラケットには垂直下方の力が加わりブラケットを回転させるモーメントが発生することとなり、ブラケットが結合されている柱が歪んでしまう恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、水平方向の抵抗力を充分発揮可能であって、モーメントによる柱や梁の歪み曲がりを防止する制振装置および制振方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、第1の課題解決手段における制振装置は、柱と梁でラーメンを構成し、ラーメン内の柱間、梁間、柱梁間、柱と梁の交差部間、柱と梁の交差部と柱との間もしくは柱と梁の交差部と梁との間に配設された複数のダンパでラーメンの振動および変形を抑制する制振装置において、複数のダンパを互い違いとなるように配設するとともに、ダンパとダンパの間であって柱間もしくは梁間に補強材を掛け渡したことを特徴とする。
【0010】
また、第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段における制振装置において、少なくとも複数のダンパのうち1つ以上を所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパとし、残りのダンパをピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパとしたことを特徴とする。
【0011】
さらに、第3の課題解決手段は、第1または第2の課題解決手段における制振装置において、各ダンパを、上記交差部と、補強材と柱もしくは梁との交差部との間に、上記各交差部に結合したブラケットを介して配設したことを特徴とする。
【0012】
また、第4の課題解決手段は、第1から第3のいずれかの課題解決手段における制振装置において、各ダンパの軸線の延長線上に柱と梁の軸芯の交点が位置するように各ダンパを配設したことを特徴とする。
【0013】
さらに、第5の課題解決手段における制振方法は、柱と梁で構成し、柱間、梁間、柱梁間、柱と梁の交差部間、柱交差部間もしくは梁交差部間に複数のダンパを配設したラーメンにおいて、複数のダンパを互い違いとなるように配設して、ラーメンの振動および変形を抑制するとともに、ダンパとダンパの間であって柱間もしくは梁間に掛け渡した補強材により、柱もしくは梁の歪みおよび曲がりを抑制することを特徴とする。
【0014】
また、第6の課題解決手段は、第5の課題解決手段における制振方法において、少なくとも複数のダンパのうち1つ以上を所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパとし、残りのダンパをピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパとしたことを特徴とする。
【0015】
そして、第7の課題解決手段は、第5または第6の課題解決手段における制振方法において、各ダンパを、上記交差部と、補強材と柱もしくは梁との交差部との間に、上記各交差部に結合したブラケットを介して配設したことを特徴とする。
【0016】
また、第8の課題解決手段は、第5から第7のいずれかの課題解決手段における制振方法において、各ダンパの軸線の延長線上に柱と梁の軸芯の交点が位置するように各ダンパを配設したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図にもと基づいて説明する。図1は、本発明の制振装置を構造物に利用した簡略化したモデル図である。
【0018】
構造物は、縦方向に起立する柱1、1を多数前後左右に配置し、その隣接する柱1,1間に梁2,2を多数架設したものであり、ラーメンLを構成している。
【0019】
そして、制振装置はそのラーメンLに1つ以上配設され、構造物の振動を抑制するために使用されるものである。そして、制振方法はこの制振装置を使用してラーメンの振動を抑制するものである。
【0020】
他方、本発明における制振装置の基本形態は、ラーメンLの柱1と梁2の交差部に結合した上下のブラケット11,11と、柱1,1間に掛け渡され結合された補強材10と、補強材と柱1の交差部に結合した上下のブラケット12,12と、ブラケット11とブラケット12との間に配設した2つのダンパD1,D2と構成され、これらの部材はすべて柱1,1と梁2,2との間の空間に収められている。
【0021】
ブラケット11,11は柱1と梁2の交差部であって、柱1と梁2に結合されているので、せん断力のみが負荷される場合のある柱のみもしくは梁のみに結合されるものより、強度上優れている。
【0022】
そして、ダンパD1,D2は、図示するように、各ラーメンLの各ブラケット11,12との間に配設されるが、ダンパD1、D2のシリンダをブレース13を介してブラケット11に接合し、他方ピストンロッド側をブラケット12に接合している。本実施の形態においては、各ブラケット11,12にピン(付示せず)で接合され、各ブラケット11,12に対し揺動可能である。また、ダンパと各ブラケットの接合は、ピン接合の他に球面軸受を介してもよい。この場合にも、ダンパD1,D2はブラケット11,12に対し揺動可能となる。
【0023】
なお、ブレース13は、後述する各ダンパD1,D2が両ロッド型に設定されているので、その伸縮を妨げないように、少なくともピストンロッドのシリンダからの出没範囲部分は中空となっている。
【0024】
また、各ダンパD1,D2は、各ダンパD1,D2の軸線の延長線上に、柱1と梁2の軸芯の交点が位置するように取付けられており、このように各ダンパD1,D2を柱1および梁2に取付けることにより、柱1および梁2に不必要な曲げモーメントが負荷されることを防止している。
【0025】
ダンパD1,D2は、図3に示すように、たとえば、シリンダ70と、ピストン72と、シリンダ70内にピストン72を介して移動自在に挿入したピストンロッド71と、シリンダ70内にピストン72により区画される伸側室R4および圧側室R3とを備えた両ロッド型のダンパであって、伸側室R4と圧側室R3とを並列に設けたピストン速度に比例する比例弁61,61およびリリーフ弁63,63を介して連通させており、この比例弁61,61およびリリーフ弁63,63によって、シリンダ70に対しピストンロッド71が出没する際に減衰力を発生可能なものである。
【0026】
そして、比例弁61は、ピストン72内に設けた通路66の途中に設けられており、附勢バネ62によって上記通路66を閉じる方向に附勢されており、通路66の上流側の圧力に比例して通路66を徐々に開放するものであり、この兵例弁61,61は、伸側室R4から圧側室R3への作動油の流れを許容するものと圧側室R3から伸側室R4への作動油の流れを許容するものと2つ設けられているので、ダンパD1,D2は、このダンパD1,D2が伸縮するとどちらかの比例弁61,61が通路66,66を連通し、作動油が比例弁61,61を通過するときに所定の減衰力を発生する。
【0027】
また、リリーフ弁63は、ピストン72内に設けた通路67の途中に設けられており、附勢バネ64によって上記通路67を閉じる方向に附勢され常閉型に設定されるとともに、通路67の上流側の圧力が高まるとこの圧力が通路65を介して上記附勢バネ64のバネ力に抗して通路67を連通することが可能となる。
【0028】
このリリーフ弁63,63は、伸側室R4から圧側室R3への作動油の流れを許容するものと圧側室R3から伸側室R4への作動油の流れを許容するものと2つ設けられている。
【0029】
すなわち、このダンパD1,D2にあっては、上記した比例弁61,61により減衰力を発生するだけでなく、このダンパD1,D2が伸縮し、圧側室R3または伸側室R4内の圧力が高まり、どちらかのリリーフ弁63,63はクラッキング圧F2に達すると通路67,67を連通し、作動油は上述の比例弁61,61および通路67,67を通過し、所定の減衰力を発生することとなる。
【0030】
なお、上記各通路66,66,67,67および比例弁61,61およびリリーフ弁63,63は、所定の減衰力を発生可能であればピストン72内以外に設けても良い。
【0031】
したがって、このダンパD1,D2は、図4に示すような減衰特性を有しており、たとえば、ダンパD1,D2が伸長する場合、ピストン速度が低速時にあっては、先ず比例弁61を作動油が通過して減衰力を発生するので、図4中直線Bのごとくピストン速度に依存した減衰特性を示し、所定のピストン速度に達すると、圧側室R3内の圧力が高まり、リリーフ弁63はクラッキング圧F2に達すると通路67,67を連通し、図4中直線Cのごとくのなだらかな減衰特性を示す。
【0032】
そして、この制振装置およびこの制振方法では、上記ラーメンLに地震や強風などにより振動が入力されると、図2に示すように、ラーメンLの柱1,1および梁2,2には水平力Fが負荷される。すると、図中上側のダンパD1は収縮しながら、図中下側のダンパD2は伸長しながら所定の減衰力を発生して、ラーメンLの振動および変形を抑制するが、図中上側のダンパD1は、柱1,1が図中右方向に撓もうとするので、収縮する方向に力が作用するので、その反力として柱1および梁2に対して、力f1および力f4を作用させる。このときの力f1および力f4の分力は、鉛直方向分力f3、f6と水平方向分力f2、f5となる。
【0033】
他方、図中下側のダンパD2は、ダンパD1とは逆に伸長する方向に力を受けるので、その反力として柱1および梁2に対して、力f7および力f10を作用させる。このときの力f7および力f10の分力は、鉛直方向分力f9、f12と水平方向分力f8、f11となる。
【0034】
したがって、ブラケット12,12には、その鉛直方向分力f6および鉛直方向分力f9が同一方向、すなわち、図中垂直下方に作用するので、図中右側の柱1上のダンパD1とダンパD2の各軸線の交点たる点OにモーメントMが作用することとなり、右側の柱1およびダンパD1とダンパD2が接合されている各ブラケット12を図中反時計回りに回転させようとする。
【0035】
しかし、補強材10がこの回転に抗する支えとなるので、柱1が歪んだり曲がったりしてしまうことが防止されることとなる。さらに、補強材10が、柱1、1間に掛け渡され結合されているので、このラーメンLの強度を向上することが可能となり、ラーメンLが変形してしまうことも抑制することができる。
【0036】
また、1つのダンパを配設した制振装置に比較して、柱間が狭い場合にも、複数のダンパを互い違いに柱および梁に取付けているので、ダンパの柱に対する取り付け角度が大きくなり、充分な水平力を得ることが可能である。
【0037】
さらに、上述の補強材10と柱1の交差部にブラケット12が結合されていることにより、ブラケットが柱1のみに結合されているものに比べ、ブラケット12に負荷される鉛直方向の分力f6およびf9を補強材10が支えるので、ブラケット12の強度が向上することとなり、ブラケットの損傷も抑制される。
【0038】
なお、水平方向の力が上述とは逆に図2中左方向に作用した場合には、今度は上側のダンパD1が伸長し、下側のダンパD2が収縮するので、各ブラケット12には鉛直上方の分力が作用し、右側の柱1には時計回り方向のモーメントが作用することとなるが、やはり補強材10によって、柱1の歪みや曲がりが防止される。
【0039】
また、本実施の形態においては、柱1,1間に補強材10を掛け渡したものについて説明したが、梁2,2間に補強材を掛け渡し結合して、2つのダンパを柱1と梁2の交差部と、補強材と梁2の交差部との間に対角線上にブラケットを介して配設しても良い。この場合には、上記した作用により梁の歪みおよび曲がりを防止できることになる。
【0040】
そして、さらに、振動の周波数が高くなり、各ダンパD1,D2のリリーフ弁63が通路66を連通するクラッキング圧F2に達すると、上述したようにダンパD2の減衰特性は図4中の直線Cのごとくとなり、ダンパD1,D2の発生する減衰力は頭打ちとなる。したがって、各ダンパD1,D2が連結されている柱1や梁2やブラケット11,12に過剰な力が負荷されることが防止され、結果的に柱等の損傷が防止されることとなる。
【0041】
さらに、上述したところでは、2つのダンパD1,D2を同じものとして説明したが、一方のダンパD1を所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパとし、他方のダンパD2を上述したものと同様のピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパとする場合について説明する。
【0042】
この場合のダンパD2についてはその詳細の構成について上述しているので説明を省略することとし、他方、ダンパD1は、たとえば図5に示すように、シリンダ50と、ピストン52と、シリンダ50内にピストン52を介して移動自在に挿入されたピストンロッド51とを備えてなり、シリンダ50内をピストン52が区画する伸側室R2と圧側室R1とに作動油等を封入し、いわゆる両ロッド型に設定され、伸側室R2と圧側室R1とをリリーフ弁53,53を介して連通させており、このリリーフ弁53,53によって、シリンダ50に対しピストンロッド51が出没する際に減衰力を発生可能なものである。
【0043】
そして、リリーフ弁53は、ピストン52内に設けた通路56の途中に設けられており、附勢バネ54によって上記通路56を閉じる方向に附勢され常閉型に設定されるとともに、通路56の上流側の圧力が高まるとこの圧力が通路55を介して上記附勢バネ54のバネ力に抗して通路56を連通することが可能となる。
このリリーフ弁53,53は、伸側室R2から圧側室R1への作動油の流れを許容するものと圧側室R1から伸側室R2への作動油の流れを許容するものと2つ設けられているので、ダンパD1は、このダンパD1が伸縮するとどちらかのリリーフ弁53,53が通路56,56を連通し、作動油が通路56,56を通過するときに所定の減衰力を発生する。
【0044】
なお、上記通路56,56およびリリーフ弁53,53は、所定の減衰力を発生可能であればピストン52内以外に設けても良い。
【0045】
すなわち、このダンパD1は、図6に示すような減衰特性を有しており、たとえば、ダンパD1が伸長する場合には、所定のピストン速度になると、圧側室R1内の圧力が高まり、リリーフ弁53がクラッキング圧F1に達すると通路56を連通して、図6中線Aのごとくのなだらかな減衰特性を示す。
【0046】
そして、この制振装置が適用された構造物のラーメンLに風等の比較的低い周波数の振動が作用した場合、すなわち、ダンパD1のリリーフ弁53が通路56を連通するクラッキング圧F1に達しない場合には、ダンパD2は、振動の周波数に比例して、すなわちピストン速度に依存した減衰力を発揮し、振動によりラーメンLに作用する力に抵抗するが、このとき、振動の周波数が低いと低い減衰力しか発揮できないので、ラーメンの振動および変形を充分抑制し得ないこととなるが、他方、ダンパD1は、振動の周波数が低い場合には、リリーフ弁53のクラッキング圧F1に達するまでは、伸縮しないので、剛体状態となり、ラーメンLの変形や柱1の撓みを抑制する事ができるので、ラーメンLの振動を効果的に抑制する事が可能となる。
【0047】
逆に、ラーメンに地震等の比較的高い周波数の振動が作用し、ダンパD1のリリーフ弁53がクラッキング圧F1に達して連通する場合には、ダンパD1およびダンパD2の双方が減衰力を発生してラーメンLに作用する力に抵抗して、振動エネルギを吸収してラーメンの振動および変形を抑制することとなる。
【0048】
そして、さらに、振動の周波数が高くなり、ダンパD2のリリーフ弁63が通路66を連通するクラッキング圧F2に達すると、上述したようにダンパD2の減衰特性は図4中の直線Cのごとくとなり、ダンパD2の発生する減衰力は頭打ちとなる。したがって、ダンパD2が連結されている柱1や梁2やブラケット11に過剰な力が負荷されることが防止され、結果的に柱等の損傷が防止されることとなる。
【0049】
したがって、この制振装置および制振方法では、異なる減衰特性のダンパD1,D2の組合せにより、地震等による構造物中のラーメンLに作用する比較的周波数の高い振動だけでなく、従来のように単一の減衰特性のダンパを使用する制振装置では充分振動を抑制できなかった風などの入力によるラーメンLに作用する比較的低い周波数の振動およびラーメンLの変形をも、効果的に抑制する事が可能となる。すなわち、ラーメンLを採用する構造物に作用する低い周波数の振動をも抑制する事が可能である。
【0050】
すると、ラーメンの柱を太くせずに、広範な周波数の振動を抑制できるから、ラーメンを採用する構造物の建設コストを低く抑えることができ、特に強風が吹くような立地条件に構造物を建設する場合には、特にコストダウン効果が高い。
【0051】
さらに、ラーメンに筋交い等を追加して風などの入力によるラーメンの比較的低い周波数の振動およびその時のラーメンの変形を抑制する場合では、地震等による振動エネルギを吸収することができず、筋交いに使用される鋼材は塑性変形すると繰り返しの使用に耐えられないが、本発明では、これらの振動を効果的に抑制でき、また、ダンパは伸縮するので、鋼材のように塑性変形しないので、繰り返しの使用に耐えるので、維持管理費の点でも有利である。
【0052】
なお、各ダンパD2については、上述したところでは、比例弁およびリリーフ弁を備えているが、柱等の損傷が防止効果は失われるが、比例弁やオリフィスやリーフバルブを備えたピストン速度に依存する減衰特性を発揮するものを使用しても良い。
【0053】
また、図7、図8に示すように、構造物のいくつかのラーメンLに本制振装置を設置しておけば、効果的に構造物の振動を抑制できることとなり、この場合にも一方のダンパを上述の所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパとし、他方のダンパをピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパとすれば、上述した構造物の比較的周波数の高い振動だけでなく比較的周波数の低い振動をも、上記構成では効果的に抑制する事が可能となる。
【0054】
さらに、構造物のいくつかのラーメンLに制振装置を配在させる場合には、たとえば、少なくとも1つ以上のラーメンL内の全てのダンパをピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパとし、他の残りのラーメンL内のダンパを所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパとする、すなわち、制振装置毎にどの振動を抑制するかをはじめから決めておくようにしても上記効果は失われない。
【0055】
つづいて、本実施の形態の一変形例について説明する。図9に示すように、本変形例では、上記した実施の形態の制振装置のダンパを3つにし、補強材を各ダンパ間に設けたものである。すなわち、この場合においても、上記したように柱1の歪みや曲がりを防止することができるとともに、ダンパD1,D2,D3の柱に対する取付角度はより大きくなるから、鉛直方向分力による曲げモーメントの発生がより抑えられ、かつ、補強材も2つ設けてあるので、ブラケットや柱の損傷抑制効果が高くなり、ラーメンLの強度もより向上することとなる。
【0056】
なお、この場合にも、3つのダンパD1,D2,D3のうちいずれか1つを所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパとし、他の残りのダンパをピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパとすれば、ラーメンに作用する比較的周波数の高い振動だけでなく比較的周波数の低い振動をも、上記構成では効果的に抑制する事が可能となる。
【0057】
【発明の効果】
各請求項の発明によれば、ラーメン内に複数のダンパを設け、さらに、ダンパ間であって柱間または梁間に補強材を掛け渡したので、補強材が柱のモーメントによる回転に抗する支えとなるので、柱が歪んだり曲がったりしてしまうことが防止されることとなる。さらに、補強材が、柱間に掛け渡され結合されているので、このラーメンの強度を向上することが可能となり、ラーメンが変形してしまうことも抑制することができる。また、1つのダンパを配設した制振装置に比較して、柱間が狭い場合にも、ダンパの柱に対する取り付け角度が大きくなり、充分な水平力を得ることが可能である。
【0058】
請求項2および6の発明によれば、異なる減衰特性のダンパの組合せにより、地震等によりラーメンに作用する比較的周波数の高い振動だけでなく、従来のように単一の減衰特性のダンパを使用する制振装置では充分振動を抑制できなかった風などの入力によるラーメンに作用する比較的低い周波数の振動およびその時のラーメンの変形をも、効果的に抑制する事が可能となる。すなわち、ラーメンを採用する構造物に作用する低い周波数の振動をも抑制する事が可能である。
【0059】
すると、ラーメンの柱を太くせずに、広範な周波数の振動を抑制できるから、ラーメンを採用する構造物の建設コストを低く抑えることができ、特に強風が吹くような立地条件に構造物を建設する場合には、特にコストダウン効果が高い。
【0060】
さらに、ラーメンに筋交い等を追加して風などの入力による構造物の比較的低い周波数の振動およびその時のラーメンの変形を抑制する場合では、地震等による振動エネルギを吸収することができず、筋交いに使用される鋼材は塑性変形すると繰り返しの使用に耐えられないが、本発明では、これらの振動を効果的に抑制でき、また、ダンパは伸縮するので、鋼材のように塑性変形しないので、繰り返しの使用に耐えるので、維持管理費の点でも有利である。
【0061】
請求項3および7の発明によれば、補強材と柱、もしくは補強材と梁の交差部にブラケットが結合しているので、ブラケットが柱もしくは梁のみに結合されているものに比べ、ブラケットに負荷される鉛直方向の分力を補強材が支えるので、ブラケットの強度が向上することとなり、ブラケットの損傷も抑制される。
【0062】
請求項4および8の発明によれば、各ダンパは、各ダンパの軸線の延長線上に、柱と梁の軸芯の交点が位置するように取付けられており、このように各ダンパを柱および梁に取付けることにより、柱および梁に不必要な曲げモーメントが負荷されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明における制振装置をラーメンに適用した状態を示すモデル図である。
【図2】この制振装置を適用したラーメンに水平力が作用した場合における柱に作用する力を示す図である。
【図3】ピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパの略示縦断面図である。
【図4】ピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパの減衰特性を示す図である。
【図5】所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパの略示縦断面図である。
【図6】所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパの減衰特性を示す図である。
【図7】この制振装置を複数のラーメンに適用した場合におけるモデル図である。
【図8】この制振装置を複数のラーメンに適用した場合におけるモデル図である
【図9】この制振装置の一変形例を示すモデル図である。
【符号の説明】
1 柱
2 梁
10 補強材
11、12 ブラケット
13 ブレース
D1、D2、D3 ダンパ
L ラーメン

Claims (8)

  1. 柱と梁でラーメンを構成し、ラーメン内の柱間、梁間、柱梁間、柱と梁の交差部間、柱と梁の交差部と柱との間もしくは柱と梁の交差部と梁との間に配設された複数のダンパでラーメンの振動および変形を抑制する制振装置において、複数のダンパを互い違いとなるように配設するとともに、ダンパとダンパの間であって柱間もしくは梁間に補強材を掛け渡したことを特徴とする制振装置。
  2. 少なくとも複数のダンパのうち1つ以上を所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパとし、残りのダンパをピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパとしたことを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 各ダンパを、上記交差部と、補強材と柱もしくは梁との交差部との間に、上記各交差部に結合したブラケットを介して配設したことを特徴とする請求項1または2に記載の制振装置。
  4. 各ダンパの軸線の延長線上に柱と梁の軸芯の交点が位置するように各ダンパを配設したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制振装置。
  5. 柱と梁で構成し、柱間、梁間、柱梁間、柱と梁の交差部間、柱交差部間もしくは梁交差部間に複数のダンパを配設したラーメンにおいて、
    複数のダンパを互い違いとなるように配設して、ラーメンの振動および変形を抑制するとともに、ダンパとダンパの間であって柱間もしくは梁間に掛け渡した補強材により、柱もしくは梁の歪みおよび曲がりを抑制することを特徴とする制振方法。
  6. 少なくとも複数のダンパのうち1つ以上を所定のクラッキング圧で開放動作するリリーフ弁のみを備えたダンパとし、残りのダンパをピストン速度に依存する減衰力を発生するダンパとしたことを特徴とする請求項5に記載の制振方法。
  7. 各ダンパを、上記交差部と、補強材と柱もしくは梁との交差部との間に、上記各交差部に結合したブラケットを介して配設したことを特徴とする請求項5または6に記載の制振方法。
  8. 各ダンパの軸線の延長線上に柱と梁の軸芯の交点が位置するように各ダンパを配設したことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の制振方法。
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