JP2004218052A - 真空成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好にワークを保持し、かつ、冷却することができる真空成膜装置を提供する。
【解決手段】真空成膜装置10は、成膜室12の上部に静電チャック14を備える。静電チャック14は、吸着部16および冷却部18が接合される一体構造を有する。すなわち、静電チャック14は、内部に冷却液通路28を有する冷却ジャケット状に形成される。基板Wは、成膜を受ける面を下側に向けて、静電チャック14の吸着部16に密着され、冷却部18によって冷却される。
【選択図】 図2
【解決手段】真空成膜装置10は、成膜室12の上部に静電チャック14を備える。静電チャック14は、吸着部16および冷却部18が接合される一体構造を有する。すなわち、静電チャック14は、内部に冷却液通路28を有する冷却ジャケット状に形成される。基板Wは、成膜を受ける面を下側に向けて、静電チャック14の吸着部16に密着され、冷却部18によって冷却される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空成膜装置に関し、より詳細には、成膜されるワークの保持および冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空成膜装置には、イオンプレーティング装置、蒸着装置、スパッタリング装置およびCVD装置等の種々の方式のものがある。また、ドライエッチング装置は、スパッタ効果等によりエッチングが行われるため、これも真空成膜装置に含めて考えることができる。
【0003】
これらの真空成膜装置のうち、イオンプレーティング装置および蒸着装置の場合、蒸着材料(成膜材料)は、通常、ボート、ハース、坩堝等に入れられて成膜室の下部に配置される。そして、蒸着材料に対向して、成膜室の上部に基板が成膜を受ける面を下側に向けて配置される。このとき、基板を成膜位置に搬送する手段として、例えばエア(真空)チャックを用いると、大気圧未満の圧力(以下、必要に応じて、真空という。)下にある成膜室内では圧力差を発生させることができず、チャッキング不能となり基板を搬送できない。このため、基板を成膜位置に直接に固定配置したり、あるいは、コロを並べたレール上で基板を載置した台を移動させる方法等が用いられている。前者の、基板を成膜位置に直接に固定配置して成膜を行う場合には、基板の周縁に係合する爪等の保持具を設けた保持部材等に基板を固定することが行われている。
【0004】
これに対して、スパッタリング装置やCVD装置等の場合、蒸着材料の保持姿勢、言いかえれば、蒸着材料の配置位置に特に制限がないため、通常は、基板を成膜室の下部に設けた基台上に配置することが行われている。このため、上記したイオンプレーティング装置等の場合と異なり、基板を搬送し、あるいは成膜時に基板を基台上に載置する手段には特に制限がない。このため、適宜の手段が用いられており、例えば、静電チャックに基板を吸着させて基台に固定させる方法も採用されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0005】
この場合、静電チャックは、少なくとも誘電体部を含み、基台上と基板との間に配設される。そして、基板と静電チャックとの間に電圧を印加することにより、発生するクーロン力で基板が静電チャックに吸着される。なお、このため、基板は、誘電体であることが必要である。
【0006】
ところで、成膜の際の処理温度はかなり高温である。例えば、イオンプレーティング装置等の物理蒸着装置では、200〜600℃程度の温度で処理され、CVD装置ではさらに高温の700〜1200℃程度の温度で処理されている。このため、基板の温度も成膜処理過程において次第に上昇し、高い場合は300℃以上に至ることがある。したがって、熱による基板の損傷には十分に配慮する必要がある。特に、最近、軽量化やコスト低減を目的として使用が検討されている樹脂シート等の基板の場合、ガラス基板等に比べて樹脂が耐熱性に乏しいため、熱による基板の損傷のおそれがより大きい。
【0007】
成膜処理中の基板を冷却する場合、成膜室が真空状態にあるため、常圧状態にある場合に比べて冷却効率がよくない点が支障となる。
【0008】
このため、イオンプレーティング装置および蒸着装置の場合、通常、温度上昇を制限する成膜処理条件を採用するか、あるいは、成膜領域において基板を保持する手段とは別体として冷却手段を冷却領域に設け、成膜途中で一旦成膜を中止して過熱した基板を冷却することが行われている。
【0009】
これに対して、スパッタリング装置やCVD装置の場合は、基板を保持する機構と同様に、適宜の冷却機構を設けることが比較的容易である。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−16052号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平5−295543号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のイオンプレーティング装置および蒸着装置では、1枚の基板を成膜処理する時間(タクトタイム)は、成膜時間に冷却時間が加味されるため、大幅に長くなり、これにより真空成膜装置のスループットが大幅に低下するという問題がある。特に、成膜室の上部に配置される基板を保持し、固定する手段と冷却手段とを別々に設けている場合は、処理が煩雑になるという問題も含む。これら問題は、スパッタリング装置やCVD装置の場合においても、必要に応じて基板を成膜室の上部に配置するときには、同様に起こり得る。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ワークを成膜室の上部に配置して、ワークの成膜される面を下側に向けて成膜する真空成膜装置において、良好にワークを保持し、かつ、冷却することができる真空成膜装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る真空成膜装置は、圧力が大気圧未満に調整される成膜室に配置されるワークを成膜する真空成膜装置において、該成膜室の上部に、冷却手段を一体的に備える静電チャックが配設され、該ワークが成膜される面を下側に向けて該静電チャックに保持された状態で成膜されるように構成してなることを特徴とする。
【0015】
これにより、ワーク全面にわたって均一且つ確実にワークを保持した状態で,良好な成膜操作を行うことができる。また、冷却手段を一体的に備える静電チャックにワークが密着されるため、ワークを効率的に冷却することができる。したがって、タクトタイムの増加を抑制することができる。
【0016】
この場合、前記ワークが基板であり、前記冷却手段が静電チャックに内蔵される冷却ジャケットであると、好適に本発明の効果を奏することができる。
【0017】
また、この場合、前記基板が樹脂基板または成膜される面に樹脂層を有する基板であると、好適に本発明の効果を奏することができる。
【0018】
また、この場合、前記ワークがイオンプレーティング法により成膜され、または蒸着法により成膜されると、好適に本発明の効果を奏することができる。
【0019】
また、この場合、前記ワークが150℃以下の温度に保持されると、好適である。
【0020】
また、この場合、前記ワークにバイアス電圧が印加されると、ワークに衝突して成膜される成膜材料の衝突エネルギを制御することにより、ワークに与える損傷を軽減することができ、また、成膜条件を精密に調整することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る真空成膜装置の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
【0022】
本実施の形態例に係る真空成膜装置は、イオンプレーティング装置である。
【0023】
真空成膜装置10は、図1に示すように、大気圧以下の圧力(真空)に保持された成膜室12の上部に、静電チャック14に吸着されたワークとしての例えば樹脂製の基板Wが、成膜を受ける面(成膜面)を下側に向けて保持された状態で配置される。
【0024】
成膜室12の下部には、基板Wに対向して、蒸着材料のロッド15がハース17に保持された状態で配置される。
【0025】
基板Wは、例えば、アクリル樹脂を材料として、縦幅300mm、横幅300mm、厚みが0.3mmの板状に形成される。
【0026】
ここで、静電チャック14について、さらに図2を参照して説明する。
【0027】
静電チャック14は、適宜の手段により、成膜室12の天井から垂下した状態に設けられる。
【0028】
静電チャック14は、吸着部16および冷却部(冷却手段)18が接合される一体構造を有する。但し,これに限らず、吸着部16および冷却部18を別体に構成してもよい。また、吸着部16および冷却部18を図2とは上下逆の位置に配置することを排除するものでもない。
【0029】
吸着部16は、誘電体である例えばセラミック材料や樹脂材料からなり、基板Wと略同一の平面寸法を有する板状部材19に1対の電極20a、20bが内蔵された構造を有する。電極20a、20bに接続される電線22a、22bが吸着部16から引き出され、直流電源である静電チャック用電源24に接続される。静電チャック用電源24は、例えば最大10kV、10μA以下を生成し、これにより、約3N程度の吸着力を得ることができる。
【0030】
冷却部18は、例えばアルミニウム材料で形成される冷却プレート26の内部に冷却液通路28が形成されたジャケット構造を有する。冷却液通路28は、一端が出口管30aに、他端が入口管30bにそれぞれ接続される。出口管30aおよび入口管30bは、図示しない冷凍装置等の冷却源に接続される。冷却部18は、例えば200W程度の冷却能力を得ることができる。
【0031】
冷却部18に接続してバイアス用RF電源32が設けられる。バイアス用RF電源32は、例えば150V程度のバイアス電位を基板Wに印加することができる。但し、バイアス用RF電源32は必要に応じて省略してもよい。
【0032】
上記のように構成される本実施の形態例に係る真空成膜装置10の作用について、以下説明する。
【0033】
ハース17に蒸着材料のロッド15が配置される。一方、静電チャック14は、静電チャック用電源24およびバイアス用RF電源32が電源投入され、冷却液通路28に冷却媒体として例えばスリーエム社製FC−43が流通される。冷却液通路28におけるスリーエム社製FC−43の温度は、例えば120℃程度に調整される。そして、基板Wが成膜される面を下側に向けて静電チャック14に吸着され、保持される。このとき、基板Wは、全面にわたって静電チャック14の吸着部16の下面に確実に密着される。
【0034】
真空成膜装置10は、成膜条件に応じたプロセスガスが導入されるとともに排気制御されて成膜室12の内部圧力が例えば5×10−3〜4×10−2Pa程度の大気圧未満(高真空)に調整される。そして、図示しないプラズマガンとハース17との間に印加される電圧により放電を生じ、生成するプラズマビームPBがハース17に引き寄せられる。
【0035】
プラズマに曝された蒸着材料のロッド15は、十分に加熱されることにより昇華し、蒸着物質が蒸発する。蒸着物質は、プラズマビームPBによってイオン化され、基板Wに付着(入射)し、これにより、基板Wの下面(成膜を受ける面)が蒸着物質によって成膜される。このとき、基板Wには静電チャック14を介してバイアス電圧が印加されているため、蒸着物質が基板Wに衝突するときの衝突エネルギや成膜速度が調整される。これにより、衝突エネルギによる基板Wの損傷が軽減され、また、成膜条件を精密に調整することができる。
【0036】
成膜過程で、基板Wは次第に受熱して温度が上昇するが、基板Wが冷却部18を有する静電チャック14に密着されているため、基板Wの温度が好ましくは150℃以下に良好に制御される。これにより、耐熱性に乏しい樹脂製の基板Wが熱による損傷を受けることが回避される。
【0037】
以上説明した本実施の形態例に係る真空成膜装置は、イオンプレーティング装置についてのものであるが、本発明は、これに限らず、蒸着装置に好適に適用することができる。また、さらに、本発明の要旨に沿う限り、スパッタリング装置やCVD装置等の適宜の装置にも適用することができる。また、処理圧力は、大気圧未満に限らず、常圧や加圧条件であってもよい。また、静電チャックの冷却手段は、ジャケットタイプに限らず、当業者に周知の適宜の冷却装置を用いることができる。なお、適宜の手段を講じることを前提とした上で、冷却手段を一体的に有する静電チャックを、基板搬送機能を有するものとすることもできる。
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る真空成膜装置によれば、圧力が大気圧未満に調整される成膜室に配置されるワークを成膜する真空成膜装置において、成膜室の上部に、冷却手段を一体的に備える静電チャックが配設され、ワークが成膜される面を下側に向けて該静電チャックに保持された状態で成膜されるように構成してなるため、ワークを確実に保持した状態で,良好な成膜操作を行うことができ、また、ワークを効率的に冷却することができる。これにより、タクトタイムの増加を抑制することができる。
【0039】
また、本発明に係る真空成膜装置によれば、ワークにバイアス電圧が印加されるため、ワークに与える損傷を軽減することができ、また、成膜条件を精密に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態例に係る真空成膜装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の真空成膜装置の静電チャックの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
10 真空成膜装置
12 成膜室
14 静電チャック
15 ロッド
16 吸着部
17 ハース
18 冷却部
19 板状部材
20a、20b 電極
24 静電チャック用電源
26 冷却プレート
32 バイアス用RF電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空成膜装置に関し、より詳細には、成膜されるワークの保持および冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空成膜装置には、イオンプレーティング装置、蒸着装置、スパッタリング装置およびCVD装置等の種々の方式のものがある。また、ドライエッチング装置は、スパッタ効果等によりエッチングが行われるため、これも真空成膜装置に含めて考えることができる。
【0003】
これらの真空成膜装置のうち、イオンプレーティング装置および蒸着装置の場合、蒸着材料(成膜材料)は、通常、ボート、ハース、坩堝等に入れられて成膜室の下部に配置される。そして、蒸着材料に対向して、成膜室の上部に基板が成膜を受ける面を下側に向けて配置される。このとき、基板を成膜位置に搬送する手段として、例えばエア(真空)チャックを用いると、大気圧未満の圧力(以下、必要に応じて、真空という。)下にある成膜室内では圧力差を発生させることができず、チャッキング不能となり基板を搬送できない。このため、基板を成膜位置に直接に固定配置したり、あるいは、コロを並べたレール上で基板を載置した台を移動させる方法等が用いられている。前者の、基板を成膜位置に直接に固定配置して成膜を行う場合には、基板の周縁に係合する爪等の保持具を設けた保持部材等に基板を固定することが行われている。
【0004】
これに対して、スパッタリング装置やCVD装置等の場合、蒸着材料の保持姿勢、言いかえれば、蒸着材料の配置位置に特に制限がないため、通常は、基板を成膜室の下部に設けた基台上に配置することが行われている。このため、上記したイオンプレーティング装置等の場合と異なり、基板を搬送し、あるいは成膜時に基板を基台上に載置する手段には特に制限がない。このため、適宜の手段が用いられており、例えば、静電チャックに基板を吸着させて基台に固定させる方法も採用されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0005】
この場合、静電チャックは、少なくとも誘電体部を含み、基台上と基板との間に配設される。そして、基板と静電チャックとの間に電圧を印加することにより、発生するクーロン力で基板が静電チャックに吸着される。なお、このため、基板は、誘電体であることが必要である。
【0006】
ところで、成膜の際の処理温度はかなり高温である。例えば、イオンプレーティング装置等の物理蒸着装置では、200〜600℃程度の温度で処理され、CVD装置ではさらに高温の700〜1200℃程度の温度で処理されている。このため、基板の温度も成膜処理過程において次第に上昇し、高い場合は300℃以上に至ることがある。したがって、熱による基板の損傷には十分に配慮する必要がある。特に、最近、軽量化やコスト低減を目的として使用が検討されている樹脂シート等の基板の場合、ガラス基板等に比べて樹脂が耐熱性に乏しいため、熱による基板の損傷のおそれがより大きい。
【0007】
成膜処理中の基板を冷却する場合、成膜室が真空状態にあるため、常圧状態にある場合に比べて冷却効率がよくない点が支障となる。
【0008】
このため、イオンプレーティング装置および蒸着装置の場合、通常、温度上昇を制限する成膜処理条件を採用するか、あるいは、成膜領域において基板を保持する手段とは別体として冷却手段を冷却領域に設け、成膜途中で一旦成膜を中止して過熱した基板を冷却することが行われている。
【0009】
これに対して、スパッタリング装置やCVD装置の場合は、基板を保持する機構と同様に、適宜の冷却機構を設けることが比較的容易である。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−16052号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平5−295543号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のイオンプレーティング装置および蒸着装置では、1枚の基板を成膜処理する時間(タクトタイム)は、成膜時間に冷却時間が加味されるため、大幅に長くなり、これにより真空成膜装置のスループットが大幅に低下するという問題がある。特に、成膜室の上部に配置される基板を保持し、固定する手段と冷却手段とを別々に設けている場合は、処理が煩雑になるという問題も含む。これら問題は、スパッタリング装置やCVD装置の場合においても、必要に応じて基板を成膜室の上部に配置するときには、同様に起こり得る。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ワークを成膜室の上部に配置して、ワークの成膜される面を下側に向けて成膜する真空成膜装置において、良好にワークを保持し、かつ、冷却することができる真空成膜装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る真空成膜装置は、圧力が大気圧未満に調整される成膜室に配置されるワークを成膜する真空成膜装置において、該成膜室の上部に、冷却手段を一体的に備える静電チャックが配設され、該ワークが成膜される面を下側に向けて該静電チャックに保持された状態で成膜されるように構成してなることを特徴とする。
【0015】
これにより、ワーク全面にわたって均一且つ確実にワークを保持した状態で,良好な成膜操作を行うことができる。また、冷却手段を一体的に備える静電チャックにワークが密着されるため、ワークを効率的に冷却することができる。したがって、タクトタイムの増加を抑制することができる。
【0016】
この場合、前記ワークが基板であり、前記冷却手段が静電チャックに内蔵される冷却ジャケットであると、好適に本発明の効果を奏することができる。
【0017】
また、この場合、前記基板が樹脂基板または成膜される面に樹脂層を有する基板であると、好適に本発明の効果を奏することができる。
【0018】
また、この場合、前記ワークがイオンプレーティング法により成膜され、または蒸着法により成膜されると、好適に本発明の効果を奏することができる。
【0019】
また、この場合、前記ワークが150℃以下の温度に保持されると、好適である。
【0020】
また、この場合、前記ワークにバイアス電圧が印加されると、ワークに衝突して成膜される成膜材料の衝突エネルギを制御することにより、ワークに与える損傷を軽減することができ、また、成膜条件を精密に調整することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明に係る真空成膜装置の好適な実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
【0022】
本実施の形態例に係る真空成膜装置は、イオンプレーティング装置である。
【0023】
真空成膜装置10は、図1に示すように、大気圧以下の圧力(真空)に保持された成膜室12の上部に、静電チャック14に吸着されたワークとしての例えば樹脂製の基板Wが、成膜を受ける面(成膜面)を下側に向けて保持された状態で配置される。
【0024】
成膜室12の下部には、基板Wに対向して、蒸着材料のロッド15がハース17に保持された状態で配置される。
【0025】
基板Wは、例えば、アクリル樹脂を材料として、縦幅300mm、横幅300mm、厚みが0.3mmの板状に形成される。
【0026】
ここで、静電チャック14について、さらに図2を参照して説明する。
【0027】
静電チャック14は、適宜の手段により、成膜室12の天井から垂下した状態に設けられる。
【0028】
静電チャック14は、吸着部16および冷却部(冷却手段)18が接合される一体構造を有する。但し,これに限らず、吸着部16および冷却部18を別体に構成してもよい。また、吸着部16および冷却部18を図2とは上下逆の位置に配置することを排除するものでもない。
【0029】
吸着部16は、誘電体である例えばセラミック材料や樹脂材料からなり、基板Wと略同一の平面寸法を有する板状部材19に1対の電極20a、20bが内蔵された構造を有する。電極20a、20bに接続される電線22a、22bが吸着部16から引き出され、直流電源である静電チャック用電源24に接続される。静電チャック用電源24は、例えば最大10kV、10μA以下を生成し、これにより、約3N程度の吸着力を得ることができる。
【0030】
冷却部18は、例えばアルミニウム材料で形成される冷却プレート26の内部に冷却液通路28が形成されたジャケット構造を有する。冷却液通路28は、一端が出口管30aに、他端が入口管30bにそれぞれ接続される。出口管30aおよび入口管30bは、図示しない冷凍装置等の冷却源に接続される。冷却部18は、例えば200W程度の冷却能力を得ることができる。
【0031】
冷却部18に接続してバイアス用RF電源32が設けられる。バイアス用RF電源32は、例えば150V程度のバイアス電位を基板Wに印加することができる。但し、バイアス用RF電源32は必要に応じて省略してもよい。
【0032】
上記のように構成される本実施の形態例に係る真空成膜装置10の作用について、以下説明する。
【0033】
ハース17に蒸着材料のロッド15が配置される。一方、静電チャック14は、静電チャック用電源24およびバイアス用RF電源32が電源投入され、冷却液通路28に冷却媒体として例えばスリーエム社製FC−43が流通される。冷却液通路28におけるスリーエム社製FC−43の温度は、例えば120℃程度に調整される。そして、基板Wが成膜される面を下側に向けて静電チャック14に吸着され、保持される。このとき、基板Wは、全面にわたって静電チャック14の吸着部16の下面に確実に密着される。
【0034】
真空成膜装置10は、成膜条件に応じたプロセスガスが導入されるとともに排気制御されて成膜室12の内部圧力が例えば5×10−3〜4×10−2Pa程度の大気圧未満(高真空)に調整される。そして、図示しないプラズマガンとハース17との間に印加される電圧により放電を生じ、生成するプラズマビームPBがハース17に引き寄せられる。
【0035】
プラズマに曝された蒸着材料のロッド15は、十分に加熱されることにより昇華し、蒸着物質が蒸発する。蒸着物質は、プラズマビームPBによってイオン化され、基板Wに付着(入射)し、これにより、基板Wの下面(成膜を受ける面)が蒸着物質によって成膜される。このとき、基板Wには静電チャック14を介してバイアス電圧が印加されているため、蒸着物質が基板Wに衝突するときの衝突エネルギや成膜速度が調整される。これにより、衝突エネルギによる基板Wの損傷が軽減され、また、成膜条件を精密に調整することができる。
【0036】
成膜過程で、基板Wは次第に受熱して温度が上昇するが、基板Wが冷却部18を有する静電チャック14に密着されているため、基板Wの温度が好ましくは150℃以下に良好に制御される。これにより、耐熱性に乏しい樹脂製の基板Wが熱による損傷を受けることが回避される。
【0037】
以上説明した本実施の形態例に係る真空成膜装置は、イオンプレーティング装置についてのものであるが、本発明は、これに限らず、蒸着装置に好適に適用することができる。また、さらに、本発明の要旨に沿う限り、スパッタリング装置やCVD装置等の適宜の装置にも適用することができる。また、処理圧力は、大気圧未満に限らず、常圧や加圧条件であってもよい。また、静電チャックの冷却手段は、ジャケットタイプに限らず、当業者に周知の適宜の冷却装置を用いることができる。なお、適宜の手段を講じることを前提とした上で、冷却手段を一体的に有する静電チャックを、基板搬送機能を有するものとすることもできる。
【0038】
【発明の効果】
本発明に係る真空成膜装置によれば、圧力が大気圧未満に調整される成膜室に配置されるワークを成膜する真空成膜装置において、成膜室の上部に、冷却手段を一体的に備える静電チャックが配設され、ワークが成膜される面を下側に向けて該静電チャックに保持された状態で成膜されるように構成してなるため、ワークを確実に保持した状態で,良好な成膜操作を行うことができ、また、ワークを効率的に冷却することができる。これにより、タクトタイムの増加を抑制することができる。
【0039】
また、本発明に係る真空成膜装置によれば、ワークにバイアス電圧が印加されるため、ワークに与える損傷を軽減することができ、また、成膜条件を精密に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態例に係る真空成膜装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の真空成膜装置の静電チャックの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
10 真空成膜装置
12 成膜室
14 静電チャック
15 ロッド
16 吸着部
17 ハース
18 冷却部
19 板状部材
20a、20b 電極
24 静電チャック用電源
26 冷却プレート
32 バイアス用RF電源
Claims (7)
- 圧力が大気圧未満に調整される成膜室に配置されるワークを成膜する真空成膜装置において、
該成膜室の上部に、冷却手段を一体的に備える静電チャックが配設され、
該ワークが成膜される面を下側に向けて該静電チャックに保持された状態で成膜されるように構成してなることを特徴とする真空成膜装置。 - 前記ワークが基板であり、
前記冷却手段が静電チャックに内蔵される冷却ジャケットであることを特徴とする請求項1記載の真空成膜装置。 - 前記基板が樹脂基板または成膜される面に樹脂層を有する基板であることを特徴とする請求項2記載の真空成膜装置。
- 前記ワークがイオンプレーティング法により成膜されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空成膜装置。
- 前記ワークが蒸着法により成膜されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の真空成膜装置。
- 前記ワークが150℃以下の温度に保持されることを特徴とする請求項1〜3記載の真空成膜装置。
- 前記ワークにバイアス電圧が印加されることを特徴とする請求項1〜3記載の真空成膜装置。
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JP2003010063A JP2004218052A (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 真空成膜装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012503714A (ja) * | 2008-09-24 | 2012-02-09 | アイクストロン、エスイー | 基板支持体上に磁気的に保持されるシャドーマスク |
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2003
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