JP2004217872A - 導電性樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチック成型品用の白色導電性プライマー塗料におけるバインダー樹脂として適した導電性樹脂を提供すること。
【解決手段】メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマー(a)、又は少なくとも1種の該重合性不飽和モノマー(a)とそれ以外の共重合性不飽和モノマー(b)を、付加開裂型連鎖移動剤及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、ラジカル重合させることによりマクロモノマー(I)を製造し、次いで、該マクロモノマー(I)及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、重合性不飽和モノマー(c)をラジカル重合させることにより得られる樹脂であって、共重合性不飽和モノマー(b)及び重合性不飽和モノマー(c)の少なくともいづれか一方が、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基、4級ホスホニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1種のイオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーを含有することを特徴とする導電性樹脂。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性樹脂に関し、特にプラスチック成型品用の白色導電性プライマー塗料における樹脂成分として適した導電性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラスチック成形品の塗装は、エアースプレーおよびエアレススプレーなどの吹き付け塗装によって行われていたが、省エネルギーや有害物の環境への排出を少なくするため、塗着効率の優れた静電塗装が多く採用されるようになってきた。
【0003】
しかし、プラスチックは一般に電気抵抗値が高いため(1012〜1016Ω・cm)、静電塗装によってプラスチック表面に塗料を直接塗装することは極めて困難である。そのため、現在は該プラスチック自体またはその表面に導電性を付与して静電塗装が行われている。
【0004】
また、塗装ラインにおいては、導電性プライマー塗料を塗装した後、塗装される着色ベース塗料及び/又はクリヤ塗料の塗膜に欠陥を生じた場合には、焼付け硬化した塗膜の上に、さらに導電性プライマー塗料、着色ベース塗料及びクリヤ塗料が順次リコートされることがあり、静電塗装が可能であるためにはプライマー塗料の塗膜の表面固有抵抗値は10Ω/cm未満であることが条件である。
【0005】
プラスチック成型品に塗料を静電塗装するにあたり、導電性を有する塗膜の形成を目的として、一般に、樹脂成分及び導電性フィラーを含有する白色導電性プライマー塗料が塗装されるが、白色度の向上や耐水性の向上が要求されている。
【0006】
最近、自動車の塗装分野において、バンパーなどのプラスチック成形品の塗装においても、エネルギー消費削減や有害物の排出低減などの観点から有機溶剤系塗料から水性塗料への移行がなされつつあり、さらに、環境負荷の低減を視野にいれたライフサイクルアセスメント(LCA)のため、プラスチック成形品などのリサイクル性も問われるようになってきた。
【0007】
導電性プライマー塗料として、従来、例えば、アクリル樹脂と塩素化ポリオレフィンとの混合物を含有するプラスチック用の塗料組成物が提案されている(
【特許文献1】参照)。しかし、この塗料組成物は、導電性を付与するために導電性フィラーを多量に添加する必要があり、そのため塗料の安定性が低下したり仕上がり性が損なわれるなどの問題がある。
【0008】
他方、塗料用樹脂の製造法に関して、例えば、
【特許文献2】には、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(「α−メチルスチレンダイマー(MSD)」と略称される)を付加開裂型連鎖移動剤として用いて、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む特定のモノマー成分をラジカル重合して分岐マクロモノマーを製造し、次いでこの分岐マクロモノマーの存在下に所定のモノマーをさらにラジカル重合することによって、所望の性質をもったポリマー鎖や官能基を有する分岐ポリマーを製造する方法が開示されている。
【0009】
また、
【特許文献3】には、付加開裂型連鎖移動剤MSD及びラジカル重合開始剤の存在下に、メタクリロイル基を有するエチレン性不飽和化合物を含有する第1のモノマー成分をラジカル重合して、末端にエチレン性不飽和基を有するマクロモノマーを製造し、次いで該マクロモノマーの存在下に、メタクリロイル基を有するエチレン性不飽和化合物を含有し且つ第1のモノマー成分と異なる組成の第2のモノマー成分をラジカル的付加開裂型連鎖移動重合して、導電性樹脂を製造する方法が記載されている。
【0010】
しかし、付加開裂型連鎖移動剤及びラジカル重合開始剤を用いて得られるこれらの共重合体は、イオン性官能基を有するモノマーが共重合されていないため、塗膜を形成したときの導電性が十分ではない。
【0011】
塗膜に充分な導電性を付与するために、通常、塗料中に導電性フィラーが添加される。導電性フィラーとして、カーボンのようなストラクチャー構造を有する顔料や、カーボン粉末、カーボン繊維は、比重が小さい点で望ましいが、塗膜の白色性が低下し、また、多量に添加すると塗料の粘度が上がり安定性が損なわれるなどの問題がある。
【0012】
金属粉末や金属系繊維は導電性は高いが、塗膜中で導電経路を形成するためには粒子同士が近接する必要があり、そのためには充填量を多くしなければならず、その結果、塗膜の意匠性や塗料の安定性が損なわれるという問題が生ずる。
【0013】
導電性付与や意匠面(白色性)からは、導電性フィラーは球状よりも針状又は繊維状である方が有利であり、この点に関して幾つかの提案がなされている(例えば、
【特許文献4】、
【特許文献5】参照)。
【0014】
しかし、針状の導電性フィラーは、塗料作製時やプラスチック成形品のリサイクル時に空気中に飛散し、環境や人体に与える影響が大きい。
【0015】
【特許文献1】特開昭57−200438号公報
【0016】
【特許文献2】特開2000−239334号公報
【0017】
【特許文献3】特開2000−169531号公報
【0018】
【特許文献4】特開平5−217417号公報
【0019】
【特許文献5】特開平9−59427号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、以上に述べた如き欠点をもたないプラスチック成型品用の白色導電性プライマー塗料における樹脂成分として適した導電性樹脂を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、環境や人体に与える影響が少なく、表面電気抵抗値が10Ω/cm未満の高い導電性と白色度のL値が85以上という高い白色性を有し、しかも耐水性などの性能に優れた塗膜を形成しうる白色導電性プライマー塗料を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、今回、付加開裂型連鎖移動剤及び必要に応じてラジカル共重合開始剤の存在下で重合性不飽和モノマーを重合させてマクロモノマーを製造し、次いで該マクロモノマーの存在下で重合性不飽和モノマーを共重合させることにより得られる、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基、4級ホスホニウム塩基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基及びリン酸基のうちの少なくとも1種が局在する導電性樹脂は導電性及び耐水性が良好であり、白色導電性プライマー塗料用の樹脂成分として極めて適していることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
かくして、本発明は、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマー(a)、又は少なくとも1種の該重合性不飽和モノマー(a)とそれ以外の共重合性不飽和モノマー(b)を、付加開裂型連鎖移動剤及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、ラジカル重合させることによりマクロモノマー(I)を製造し、次いで、該マクロモノマー(I)及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、重合性不飽和モノマー(c)をラジカル重合させることにより得られる樹脂であって、共重合性不飽和モノマー(b)及び重合性不飽和モノマー(c)の少なくともいづれか一方が、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基、4級ホスホニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1種のイオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーを含有することを特徴とする導電性樹脂(A)を提供するものである。
【0024】
本発明は、また、カルボン酸基を有する上記導電性樹脂(A)の該カルボン酸基に塩基性化合物(d)を反応させることにより得られるカルボン酸塩基含有導電性樹脂(B)を提供するものである。
【0025】
本発明は、さらに、導電性樹脂(A)及び/又は(B)、塩素化ポリオレフィン及び白色顔料を含有することを特徴とする白色導電性プライマー塗料を提供するものである。
【0026】
本発明は、さらにまた、被塗物に、上記の白色導電性プライマー塗料を塗装し、セッテング又は加熱乾燥を行い、次いで、その塗膜上に着色ベース塗料を静電塗装し、未硬化の状態で、さらにクリヤ塗料を静電塗装した後、3層からなる塗膜を3コート1ベーク又は3コート2ベーク方式により焼き付けることを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
【0027】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性樹脂(A)は、以下に示す2段階のラジカル重合反応により製造することができる。
【0029】
第1段階のラジカル重合反応:
メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマー(a)、又は少なくとも1種の該重合性不飽和モノマー(a)とそれ以外の共重合性不飽和モノマー(b)を、付加開裂型連鎖移動剤及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、ラジカル重合させることによりマクロモノマー(I)を製造する。
【0030】
第2段階のラジカル重合反応:
第1段階のラジカル重合反応により得られるマクロモノマー(I)及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、重合性不飽和モノマー(c)をラジカル重合させることにより導電性樹脂(A)を製造する。
【0031】
導電性樹脂(A)
第1段階のラジカル重合反応で重合性不飽和モノマー(a)として使用されるメタクリル酸エステルの具体例としては、例えば、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等のC C24直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルキルメタクリレート;
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等の多価アルコールとメタクリル酸とのモノエステル化物、上記多価アルコールとメタクリル酸とのモノエステル化物にε−カプロラクトンを開環重合してなる化合物などの水酸基含有重合性不飽和モノマー(例えば、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(以上、いずれもダイセル化学(株)製)等の商品名で入手可能なもの);
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有重合性メタクリル酸エステル;
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどのアミノアルキルメタクリレート;
3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−ブチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタンなどのオキセタン環含有メタクリレート;
下記式(1):
CH=C(CH)COO(C2nO)−R (1)
式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜3の
整数であり、mは4〜60の整数である、
で示されるポリオキシアルキレン鎖を有する非イオン性重合性不飽和モノマー、例えば、テトラエチレングリコールメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、エトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、n−ブトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、テトラプロピレングリコールメタクリレート、メトキシテトラプロピレングリコールメタクリレート、エトキシテトラプロピレングリコールメタクリレート、n−ブトキシテトラプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレートなど
を挙げることができる。
【0032】
これらの重合性不飽和モノマー(a)はそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0033】
上記の重合性不飽和モノマー(a)と組み合わせて使用されるそれ以外の共重合性不飽和モノマー(b)としては、例えば、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基、4級ホスホニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基及びリン酸基から選ばれるイオン性官能基を少なくとも1種有する重合性不飽和モノマーが挙げられる。
【0034】
4級アンモニウム塩基を有する重合性不飽和モノマーとしては、下記式(2):
Figure 2004217872
式中、Rは炭素数1〜20のアルキレンもしくはヒドロキシアルキレン基を表し、
、R及びRはそれぞれ炭素数1〜20のアルキルもしくはヒドロキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表し、
はアニオン、例えば、スルホナートイオン、ホスホナートイオン、BF 、AsF 、SbF 、PF 、Br、I、Cl、RCOO(Rは炭素数1〜20のアルキル基)、C、ClO を表す、
で示される化合物が挙げられ、具体的には、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレートの4級塩化物、ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級塩化物、ジエチルアミノエチルアクリレートの4級塩化物、ジエチルアミノエチルメタクリレートの4級塩化物などが包含され、また、ジメチルアミノスチレンの4級塩化物などを使用することもできる。
【0035】
3級スルホニウム塩基を有する重合性不飽和モノマーとしては、下記式(3):
Figure 2004217872
式中、Rは炭素数1〜20のアルキレンもしくはヒドロキシアルキレン基を表し、
及びRはそれぞれ炭素数1〜20のアルキルもしくはヒドロキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表し、
は上記と同義である、
で示される化合物があげられ、具体的には、例えば、4−(ジメチルスルホニオ)フェニルメタクリレートなどがあげられる。
【0036】
4級ホスホニウム塩基を有する重合性不飽和モノマーとしては、下記式(4):
Figure 2004217872
式中、Rは炭素数1〜20のアルキレンもしくはヒドロキシアルキレン基を表し、
、R10及びR11はそれぞれ炭素数1〜20のアルキルもしくはヒドロキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表し、
は上記と同義である、
で示される化合物があげられ、具体的には、例えば、オルトリン酸ヒドロキシエチルメタクリレートモノエステルの4級塩化物、トリフェニルホスホニオエチルメタクリレートなどがあげられる。
【0037】
カルボン酸基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと酸無水物とのハーフエステル化物等が挙げられ;スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられ;スルホン酸塩基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、4−スルホブチルメタクリル酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ;リン酸基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
共重合性不飽和モノマー(b)は、上記のものに限られるものではなく、重合性不飽和モノマー(a)と共重合可能な不飽和モノマーであれば、特に制限なく使用することができる。そのようなモノマーとしては、重合性不飽和モノマー(a)及び/又は上記のイオン官能性モノマーと共重合可能な重合性二重結合を1分子中に少なくとも1個有する化合物が包含され、具体的には、以下に例示する化合物が挙げられる。例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のC C24直鎖状、分岐鎖状もしくは環状アルキル(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物;
上記多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物にε− カプロラクトンを開環重合してなる化合物、例えば、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(以上いずれもダイセル化学(株)製)等の商品名で入手可能なもの;
ビニルトルエン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製);
グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドメチルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミドブチルエーテルなどの(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどの紫外線吸収性もしくは紫外線安定性重合性不飽和モノマー;
ポリオキシアルキレン鎖を有する下記式(5):
CH=C(R12)COO(C2nO)−R13 (5)
式中、R12は水素原子またはCHを表し、R13は水素原子又は炭素数1〜4
のアルキル基を表し、nは1〜3の整数、mは4〜60の整数を表す、
で示される非イオン性重合性不飽和モノマー、例えば、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシテトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシテトラプロピレングリコール(メアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなど。
【0039】
これらのモノマーはそれぞれ単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0040】
ここで、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート又はメタアクリレート」を意味する。
【0041】
重合性不飽和モノマー(a)とそれ以外の共重合性不飽和モノマー(b)を併用する場合の両者の配合割合は、一般に、両モノマーの固形分合計100重量部あたり、重合性不飽和モノマー(a)は10〜100重量部、好ましくは15〜50重量部の範囲内、そして共重合性不飽和モノマー(b)は0〜90重量部、好ましくは50〜85重量部の範囲内とすることができる。
【0042】
重合性不飽和モノマー(a)、又は重合性不飽和モノマー(a)とそれ以外の共重合性不飽和モノマー(b)のラジカル重合は、付加開裂型連鎖移動剤及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下に行われる。
【0043】
付加開裂型連鎖移動剤としては、例えば、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)などを挙げることができる。この付加開裂型連鎖移動剤の配合量は、特に限定されるものではないが、通常、不飽和モノマー(a)及び(b)の合計量100重量部あたり、1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部の範囲内が適当である。
【0044】
また、ラジカル重合開始剤としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物系重合開始剤や、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン2,2’−アゾビスメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、不飽和モノマー(a)及び(b)の合計量100重量部あたり、0.1〜15重量部、特に0.3〜10重量部の範囲内であることが望ましい。
【0045】
重合方法としては、有機溶剤中での溶液重合法が好適であり、例えば、重合性不飽和モノマー(a)、又は重合性不飽和モノマー(a)とそれ以外の共重合性不飽和モノマー(b)を、付加開裂型連鎖移動剤及び必要に応じてラジカル重合開始剤と共に、有機溶媒に溶解もしくは分散し、撹拌しながら、通常、約80℃〜約200℃の温度で、1〜10時間程度反応させることによりマクロモノマー(I)を得ることができる。
【0046】
上記重合反応において、モノマー成分や連鎖移動剤及び重合開始剤の添加方法は特に制約されるものではないが、通常、重合開始剤を重合初期に一括仕込みするよりも重合初期から重合後期にわたって数回に分けて分割滴下するのが、重合反応における温度制御、ゲル化物のような望ましくない架橋物の生成の抑制などの点から好適である。
【0047】
このようにして得られるマクロモノマー(I)は、その分子の片末端に少なくとも1個、好ましくは唯1個の重合性不飽和結合を有する。マクロモノマー(I)は、一般に、500〜100000、特に1000〜20000の範囲内の重量平均分子量を有することができる。
【0048】
第2段階のラジカル重合反応では、第1段階のラジカル重合反応により得られる上記マクロモノマー(I)及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、重合性不飽和モノマー(c)をラジカル重合させることにより、本発明が目的とする導電性樹脂(A)を製造することができる。
【0049】
ここで使用する重合性不飽和モノマー(c)は、重合性不飽和モノマー(a)及び共重合性不飽和モノマー(b)について前述したモノマーの中から、導電性樹脂(A)に望まれる性質や機能等に応じて適宜選択することができる。
【0050】
重合性不飽和モノマー(c)の配合割合は、一般に、マクロモノマー(I)100重量部あたり、10〜500重量部、好ましくは20〜400重量部の範囲内とすることができる。
【0051】
第2段階のラジカル重合反応は、前述した第1段階のラジカル重合反応と同様にして行うことができる。
【0052】
本発明においては、第1段階のラジカル重合反応で使用される共重合性不飽和モノマー(b)及び第2段階のラジカル重合反応で使用される重合性不飽和モノマー(c)のうちの少なくとも一方のモノマー成分の少なくとも一部として、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基、4級ホスホニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1種のイオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーを使用する。かかるイオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーの使用によって、該イオン性官能基が局在化して存在する導電性樹脂(A)を得ることができる。
【0053】
このようなイオン性官能基を有する共重合性不飽和モノマーの使用量は、重合性不飽和モノマー(a)、共重合性不飽和モノマー(b)及び重合性不飽和モノマー(c)の合計100重量部あたり、一般に、0.1〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは1〜30重量部の範囲内とすることができる。イオン性官能基を有する共重合性不飽和モノマーの使用量が0.1重量部未満では、樹脂に導電性を付与することができず、また50重量部を越えると導電性樹脂(A)の耐水性が低下する傾向がみられる。
【0054】
導電性樹脂(A)は、一般に、2,000〜100,000、特に3,000〜50,000の範囲内の重量平均分子量を有することができる。また、導電性樹脂(A)は、一般に、0〜300mgKOH/g、特に0〜150mgKOH/gの範囲内の酸価及び10〜150mgKOH/g、特に20〜100mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することができる。
【0055】
導電性樹脂(B)
導電性樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合には、該カルボキシル基に塩基性化合物(d)を反応させることによって、カルボン酸塩基を有する導電性樹脂(B)が得ることができる。
【0056】
塩基性化合物(d)としては、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウムヒドロキシドを挙げることができ、この中でも下記式で示されるベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドが好適である。
【0057】
【化1】
Figure 2004217872
【0058】
塩基性化合物(d)の使用量は、一般に、導電性樹脂(A)のカルボキシル基に対して0.3〜1当量、好ましくは0.5〜0.95当量の範囲内とすることができる。
【0059】
反応は、例えば、導電性樹脂(A)の溶液に、約10〜約50℃の温度において攪拌しながら、塩基性化合物(d)を滴下し、さらに約1〜約180分間、好ましくは約15〜約90分間攪拌することにより行うことができる。
【0060】
白色導電性プライマー塗料
本発明により提供される導電性樹脂(A)及び(B)は、イオン性官能基が極在化して存在しているために優れた導電性を有しており、しかも耐水性にもし優れており、白色顔料と併用することにより、L値が85以上という高い白色度をもつ皮膜を形成することができ、白色導電性プライマー塗料用の樹脂成分として極めて適している。
【0061】
しかして、本発明によれば、本発明の導電性樹脂(A)及び/又は(B)、塩素化ポリオレフィン及び白色顔料を含有する白色導電性プライマー塗料が提供される。
【0062】
塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンの塩素化物であって、基体となるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、メチルブテン、イソプレンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンの重合体、さらにこれらのオレフィンと酢酸ビニル、ブタジエン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどとのラジカル共重合体が挙げられる。塩素化ポリオレフィンは、一般に、30,000〜200,000、特に50,000〜150,000の範囲内の重量平均分子量を有することができ、また、塩素化率は50重量%以下、好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは10〜35重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0063】
塩素化ポリオレフィンとしては、特に、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体などが好適である。また、塩素化ポリオレフィンに重合性モノマーをグラフト重合させたものも使用することができる。これらの重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとモノカルボン酸との付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0064】
また、塩素化ポリオレフィンに水分散性を付与するために、塩素化ポリオレフィンに、重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物のような親水性モノマーの少なくとも1種を既知の方法によりグラフト重合させることもできる。重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物は、1分子中に1個の重合性不飽和結合と2個以上のカルボキシル基、又はその無水基を有する化合物であり、例えば、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸及びその無水物、シトラコン酸及びその無水物などが挙げられる。これらの親水性モノマーの使用量は、塩素化ポリオレフィンとの合計量に基づいて90〜10重量%、特に80〜30重量%の範囲内が好適である。
【0065】
塩素化ポリオレフィンへの上記モノマーのグラフト重合は、それ自体既知の方法により行うことができる。重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物の使用量は、得られる変性された塩素化ポリオレフィンのケン化価が10〜60mgKOH/g、特に20〜50mgKOH/gの範囲内となるような量が好ましい。
【0066】
上記の如くして重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物がグラフト重合された塩素化ポリオレフィンは、水溶化又は水分散化のために、その分子中に含まれるカルボキシル基の一部もしくは全部をアミン化合物で中和することが好ましい。アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの3級アミン;ジメチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミンなどの1級アミンなどが挙げられる。水溶化又は水分散化のために、これらのアミン化合物と共に界面活性剤を併用することも可能である。
【0067】
本発明の白色導電性プライマー塗料における導電性樹脂(A)及び/又は(B)ならびに塩素化ポリオレフィンの配合割合は、一般に、塗料中の固形分合計重量を基準にして、導電性樹脂(A)は0〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲内、導電性樹脂(B)は0〜90重量%、好ましくは20〜80重量%の範囲内、そして塩素化ポリオレフィンは、10〜90重量%、好ましくは15〜80重量%の範囲内とすることができる。
【0068】
他方、白色顔料としては、例えば、酸化チタン(ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタンなど)、鉛白、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポンなどが挙げることができるが、耐薬品性、意匠性の面から酸化チタンが好ましい。特に、平均粒子径が、約0.05〜約2μm、特に約0.1〜約1μmの範囲内あるルチル型の酸化チタンが好適である。
【0069】
白色顔料の配合量は、通常、導電性樹脂(A)及び/又は(B)と塩素化ポリオレフィンの合計固形分100重量部あたり、1〜400重量部、好ましくは20〜300重量部の範囲とすることができる。
【0070】
白色導電性プライマー塗料には、さらに、架橋剤として、遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物又はイソシアネート基がブロック剤でブロックされたブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、カルボジイミド樹脂、オキサゾリン樹脂を配合することができる。
【0071】
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネート化合物;これらのイソシアネート化合物の過剰量にエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ヒマシ油などを反応させて得られる親水性の末端イソシアネート含有化合物などを挙げることができ、かかる親水性のポリイソシアネート化合物の市販品として、「バイヒジュール3100」(住化バイエルウレタン(株)製、商品名)などがあげられる。
【0072】
一方、ブロック剤はポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加して一時的にブロックするものであり、そして付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は、常温では安定でありかつ約100〜約200℃に加熱した際、ブロック剤を解離して遊離のイソシアネート基を再生するものであることが望ましい。
【0073】
このような要件を満たすブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノールなどの脂肪族アルコール類;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノールなどの芳香族アルキルアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール系化合物等を挙げることができる。
【0074】
メラミン樹脂としては、具体的には、メラミンにホルムアルデヒドを反応してなるメチロール化メラミン樹脂、さらに炭素数1〜10のモノアルコールを反応させてなる部分又はフルエーテル化メラミン樹脂などが使用できる。これらのメラミン樹脂はイミノ基が併存しているものも使用できる。これらは疎水性及び親水性のいずれでも差し支えないが、特に、メタノールでエーテル化した縮合度の小さい、数平均分子量が3000以下、特に100〜1500の親水性メラミン樹脂が適している。かかる親水性のメラミン樹脂の市販品としては、「サイメル303」及び「サイメル325」(いずれも、サイテック(株)製、商品名)などがあげられる。
【0075】
エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する樹脂であり、カルボキシル基を含有する導電性樹脂(A)及び(B)ならびに塩素化ポリオレフィンを架橋硬化させるのに有効である。
【0076】
エポキシ樹脂の具体例としては、エポキシ基含有重合性単量体とビニル系重合性単量体との共重合体があげられ、エポキシ基含有重合性単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレートなどがあげられ、ビニル系重合性単量体としては、エポキシ基含有重合性単量体以外であって、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどがあげられる。これらの単量体の共重合反応は、それ自体既知の方法で行うことができる。
【0077】
得られる共重合体は、一般に、エポキシ当量が20〜2800、特に30〜700の範囲内、そして数平均分子量が3000〜100000、特に4000〜50000の範囲内にあることが好ましい。
【0078】
さらに、ビスフェノールのグリシジルエーテル化エポキシ樹脂、その水素添加物、脂肪族多価アルコールのグリシジルエーテル化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂なども架橋剤として使用することができる。これらのエポキシ樹脂の分子量は通常500〜20000、特に800〜5000の範囲内にあることが好ましい。
【0079】
カルボジイミド樹脂は、例えば、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基同士を脱二酸化炭素反応せしめることにより得ることができ、該当する市販品としては、例えば、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(日清紡(株)製、商品名)などが挙げられる。
【0080】
オキサゾリン樹脂としては、例えば、オキサゾリン基をペンダントに有する樹脂が包含され、該当する市販品としては、例えば、「エポクロスWS−500」((株)日本触媒製、商品名)などがあげられる。
【0081】
これらの架橋剤の配合量は、通常、導電性樹脂(A)及び/又は(B)と塩素化ポリオレフィンの合計固形分100重量部あたり、0〜50重量部、特に5〜40重量部の範囲内が好適である。
【0082】
白色導電性プライマー塗料には、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などもの改質用樹脂を添加することもできる。該ポリエステル樹脂は、通常、多塩基酸と多価アルコールとのエステル化反応によって得ることができる。多塩基酸は1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物(無水物を含む)であり、また、多価アルコールは1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であって、それぞれ通常のものも使用することができる。さらに、一塩基酸、高級脂肪酸、油成分などで変性することもできる。ポリエステル樹脂は水酸基を有することができ、その導入は、2価アルコールと共に3価以上のアルコールを併用することによって行うことができる。また、ポリエステル樹脂には、水酸基と共にカルボキシル基を併有していてもよ、一般に、1,000〜100,000、好ましくは1,500〜70,000の範囲内の重量平均分子量を有していることが好ましい。
【0083】
上記のウレタン樹脂としては、特に、水に溶解又は分散しうる親水性ポリウレタン樹脂を好適に使用することができる。かかる親水性のポリウレタン樹脂は、例えば、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート、数平均分子量が500〜5000のジオール、低分子量ポリヒドロキシル化合物及びジメチロールアルカン酸をワンショット又は多段法により反応させて得られるウレタンプレポリマーを中和後又は中和しながら伸長、乳化することにより得ることができ、特に、製造工程で使用される有機溶剤の一部もしくは全部を留去してなる平均粒子径が0.001〜1μm程度の自己乳化型ウレタン樹脂の水分散体が好ましい。ポリウレタン樹脂の市販品として、例えば、「タケラックW610」(武田薬品工業(株)製、商品名)、「ネオレッツR960」(ゼネカレジン(株)製、商品名)、「ユーコートUWS−145」、「サンプレンUX−5100A」(三洋化成工業(株)製、商品名)などを使用することもできる。
【0084】
白導電性プライマー塗料には、必要に応じて、導電性フィラーを配合することもできる。導電性フィラーとしては、例えば、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、リンドープ酸化錫、アンチモン酸亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、酸化レニウム、酸化銀、酸化ニッケル、酸化銅などの導電性金属酸化物粒子、特にこの中でも、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)で基材を被覆したものが挙げられる。一方、基材としては、上記加熱処理によって形状変化、分解等を起こさないものであれば特に限定されることなく使用することができるが、無機成分を主体とする粒子が好ましく、特に、平均長さが0.5〜40μm、好ましくは1〜20μmであり、平均厚さが0.05〜2μm、好ましくは0.05〜0.8μmである鱗片状のマイカ(雲母)が好適である。
【0085】
上記導電性フィラーの配合量は、一般に、導電性樹脂(A)及び/又は(B)と塩素化ポリオレフィンの固形分合計100重量部あたり、0〜300重量部、好ましくは20〜200重量部、さらに好ましくは60〜180重量部の範囲内とすることができる。樹脂(A)及び/又は(B)は導電性を有するので、本発明の導電性プライマー塗料では、従来の導電性プライマー塗料に比べて、導電性フィラーの添加量を大幅に減らすことができ、それが塗膜の白色度の向上に寄与し、CIE等色関数に基づく白色度のL値が85以上の塗膜を容易に形成せしめることができる。
【0086】
本発明の白色導電性プライマー塗料は、以上に述べた各成分を、それ自体既知の方法で、有機溶剤又は水性媒体中に溶解又は分散させることにより調製することができる。本発明の白色導電性プライマー塗料は有機溶剤タイプ及び水性タイプのいずれであってもよいが、低VOCなどの観点から水性タイプのものが好適である。
【0087】
本発明の白色導電性プライマー塗料は、静電塗装のためのプライマーとして各種の基材に塗装することができるが、特にプラスチック成型品の塗装に適している。
【0088】
塗装方法
本発明によれば、被塗物に、本発明の白色導電性プライマー塗料を塗装し、セッテイング又は加熱乾燥を行った後、その塗膜上に、着色ベース塗料及びクリヤー塗料を塗装し、3コート1ベーク又は3コート2ベーク方式で焼き付けることにより複層塗膜を形成せしめることがさできる。
【0089】
白色導電性プライマー塗料を塗装することができる被塗物としては、例えば、バンパー、スポイラー、グリル、フェンダーなどの自動車外板部や、家庭電化製品の外板部などに使用されるプラスチック成形品などが挙げられる。プラスチック成形品の材質としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセンなどの炭素数2〜10のオレフィンの少なくとも1種を重合せしめてなるポリオレフィンが特に好適であるが、これらに限られるものではなく、ポリカーボネート、ABS樹脂、ウレタン樹脂、ナイロンなどにも同様に適用することができる。これらのプラスチック成形品は、白色導電性プライマーの塗装に先立ち、それ自体既知の方法で、脱脂処理、水洗処理などを適宜行っておくことができる。
【0090】
上記被塗物に対する白色導電性プライマー塗料の塗装は、それ自体既知の方法、例えば、スプレー塗装、静電塗装、スピンコーテイング、浸漬塗装、ハケ塗りなどにより行うことができるが、塗料の塗装効率やミストが飛散しない等の観点から静電塗装が好適である。その塗装膜厚としては、通常、10〜45μm、好ましくは25〜35μmの範囲内とすることができる。なお、本明細書において塗装膜厚は硬化後についてのものである。
【0091】
形成される白色導電性プライマー塗膜は、室温でのセッテイングを30秒間〜120分間行うか、又は40〜100℃、好ましくは60〜80℃の範囲内の温度で1〜60分間で加熱乾燥することができる。これにより、被塗物上に、塗膜の表面固有抵抗値が10Ω/cm未満の導電性に優れた皮膜を形成せしめることができ静電塗装が可能となる。また、形成される白色導電性プライマー塗膜は、前述のとおりCIE等色関数に基づく白色度のL値を85以上とすることができるので、その上に塗装される着色ベース塗料の塗膜の意匠性に与える影響が少ない。
【0092】
白色導電性プライマー塗膜上に塗り重ねられる着色ベース塗料としては、例えば、カルボキシル基、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの基体樹脂と、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂などの架橋剤からなる樹脂成分を、顔料、その他の添加剤と共に水もしくは有機溶剤に溶解ないし分散させて塗料化したものを使用することができる。
【0093】
顔料成分としては、着色顔料及び/又はメタリック顔料が使用可能であり、顔料成分の少なくとも一部としてメタリック顔料を用いれば、緻密感を有するメタリック調又はシルキーなパール調の塗膜を形成することができる。
【0094】
着色ベース塗料の塗装は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装などで行うことができるが、白色導電性プライマー塗料の塗膜は導電性を有しているので、環境などを考慮して静電塗装による方法が好ましい。塗装塗膜は、通常、5〜30μm、好ましくは10〜20μmの範囲内とすることができる。
【0095】
塗装された着色ベース塗料の塗膜は、例えば、プレヒート、エアブロー等を行い、未硬化の状態で、次にクリヤ塗料が塗装される。
【0096】
クリヤ塗料としては、それ自体既知のものを使用することができ、必要に応じて、透明性を阻害しない程度にソリッドカラー顔料及び/又はメタリック顔料を含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤などを適宜含有せしめることができる。
【0097】
クリヤ塗料の塗装方法は、例えば、エアレススプレー、エアスプレーなどにより行うことができ、さらに、着色ベース塗料の塗膜の表面固有抵抗値を10Ω/cm未満とすることによって、着色ベース塗料の塗膜上に塗装されるクリヤ塗料は静電塗装することもできる。塗装膜厚は、通常、10〜40μm、好ましくは20〜35μmの範囲内とすることができる。
【0098】
以上に述べた如くして形成される白色導電性プライマー塗料の塗膜、着色ベース塗料の塗膜及びクリヤ塗料の塗膜の3層の塗膜からなる複層塗膜は、通常の塗膜の焼付け手段により、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱、誘電加熱などにより、約60〜約140℃、好ましくは、約80〜約120℃の温度で、20〜約40分間程度加熱して硬化させる3コート1ベーク方式又は3コート2ベーク方式により硬化塗膜を形成することができ、得られる3層の塗膜はマンセルチャートのN値において8.7以上、特には9.0以上の高白色度を有することができる。
【0099】
【発明の効果】
本発明により提供される導電性樹脂は、イオン性官能基を有しており、導電性に優れており、且つ該イオン性官能基を極在化して存在させることによって親水/疎水のバランスが図られており、少ないイオン性官能基量によって導電性を付与することができるため、耐水性にも優れている。
【0100】
かくして、本発明の導電性樹脂をプライマー塗料に配合することにより、導電性フィラーを添加することなく、プライマー塗膜の表面固有抵抗値を10Ω/cm未満にすることが可能であり、該プライマー塗料はプラスチック成形品の静電塗装のためのプライマー塗料として有用である。
【0101】
また、本発明の導電性樹脂を配合したプライマー塗料は、導電性フィラーの添加をなくし又は添加量を大幅に減らすことができるので、白色顔料を配合することにより、CIE等色関数に基づく白色度のL値が85以上の塗膜を容易に形成することが可能である。
【0102】
さらに、形成された白色導電性プライマー塗膜上に、着色ベース塗料及びクリヤ塗料を静電塗装にて塗り重ねることができ、しかも塗装ラインにおいて塗膜不良が生じた場合、静電塗装でリコートすることも可能である。
【0103】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものである。
【0104】
マクロモノマーの製造
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却管等を備えた通常のアクリル樹脂反応槽に、エチレングリコールモノブチルエーテル20部及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン9部を仕込み、加熱撹拌し、150℃に達してから下記の組成からなる単量体混合物を3時間かけて滴下した。
【0105】
n−ブチルメタクリレート 90部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10部
エチレングリコールモノブチルエーテル 5部
ジ−tert−ブチルパーオキサイド 1部
滴下終了後、150℃で1.5時間熟成し、その後120℃に温度を下げ、プロピレングリコールモノメチルエーテル5部およびアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる追加触媒混合液を1時間かけて滴下した後、120℃で1時間熟成した。熟成後、冷却して固形分75%マクロモノマー(M−1)溶液を得た。得られたマクロモノマー(M−1)は重量平均分子量が約4,700であった。
【0106】
製造例2〜5
製造例1において、後記表1に示す配合組成とする以外は製造例1と同様の操作を行い、表1に示すマクロモノマー溶液(M−2)〜(M−5)を得た。
【0107】
表1における(注1)は下記の意味を有する。
【0108】
(注1)プラクセルFM−3X:商品名、ダイセル化学工業(株)製、ε−カプロラクトンが開環されたポリエステル鎖を有するメタクリル酸エステル。
【0109】
【表1】
Figure 2004217872
【0110】
導電性樹脂の製造
実施例1
撹拌機、温度計、還流冷却管等を備えた通常のアクリル樹脂反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテル20部及び製造例1で得たマクロモノマー(M−1)溶液66.7部(固形分量で50部)を仕込み、加熱撹拌して120℃に保持した。
【0111】
この中に、n−ブチルメタクリレート35部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、メタクリル酸10部、アゾビスイソブチロニトリル0.5部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル5部からなる混合物を3時間かけて滴下した。ついで120℃で30分間熟成した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル5部およびアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる追加触媒混合液を1時間かけて滴下した。ついで120℃で1時間熟成したのち40℃以下に冷却した。
【0112】
そこへ40%のベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド−メタノール溶液48.5部(有効成分19.4部)を仕込み、発熱に注意しながら30分撹拌し、さらに120℃に昇温しながら還流物を回収し、還流回収物が35部以上になった時点で冷却し、最終的に固形分65%の導電性樹脂No.1を得た。導電性樹脂No.1は重量平均分子量が約9,500であった。
【0113】
実施例2〜6
表2に示す配合組成とする以外は実施例1と同様の操作を行い、導電性樹脂No.2〜No.6を得た。なお、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドを仕込まない場合には、追加触媒混合溶液滴下後、1時間熟成した時点で冷却して樹脂溶液を得た。
【0114】
比較例1
表2に示す配合組成にてラジカル共重合反応を行い、樹脂No.7を得た。
【0115】
比較例2
表2に示す配合組成とする以外は実施例1と同様の操作を行い、樹脂No.8を得た。
【0116】
【表2】
Figure 2004217872
【0117】
塗料用樹脂の合成
合成例1:塩素化ポリオレフィンエマルションの製造
塩素化ポリプロピレン(塩素含有率15%、マレイン酸変性量2.0%、ケン価30mgKOH/g、重量平均分子量80,000)500部、n−ヘプタン150部及びN−メチル−ピロリドン50部からなる混合物(50℃)に、ジメチルエタノールアミン12部及びノイゲンEA−140(ノニオン系界面活性剤、第1工業薬品(株)製、商品名)5部を仕込み、同温度で1時間攪拌した後、脱イオン水2000部を徐々に仕込み、さらに1時間攪拌を行った。次に、70℃の温度で減圧してn−ヘプタン及び脱イオン水の合計600部を留去して、固形分24%の塩素化ポリオレフィンエマルションを得た。
【0118】
白色導電性プライマー塗料の調製
実施例7:白色導電性プライマー塗料No.1
導電性樹脂No.1 45部(固形分)、ポリオレフィンエマルション(塩素含有率15%) 55部(固形分)、サンプレンUX−5100A(注2)20部(固形分)、バイヒジュール3100(注3)20部(固形分)及びJR−903(注4)180部を混合し、ディスパーで十分に攪拌し、白色導電性プライマー塗料 No.1を得た。
【0119】
実施例8〜15:白色導電性プライマー塗料No.2〜No.8
実施例7と同様にして、表3の配合内容で白色導電性プライマー塗料No.2〜No.8を得た。
【0120】
【表3】
Figure 2004217872
【0121】
比較例3〜7:白色導電性プライマー塗料No.9〜No.13
実施例7と同様にして、表4の配合内容で白色導電性プライマー塗料No.9〜No.13を得た。
【0122】
【表4】
Figure 2004217872
【0123】
(注2)サンプレンUX−5100A:商品名、三洋化成工業株式会社製、ウレタンエマルション
(注3)バイヒジュール3100:商品名、住化バイエルウレタン株式会社製、親水性ポリイソシアヌレート
(注4)JR−903:テイカ社製、商品名、チタン白
(注5)ミナテック40CM:商品名、メルク株式会社製、酸化アンチモン・酸化錫表面被覆された鱗片状雲母、導電性顔料
(注6)デントールWK500:商品名、大塚化学株式会社製、酸化アンチモン・酸化錫で表面被覆された針状酸化チタン
(注7)ケッチェンブラックEC600J:商品名 、ライオン株式会社製、導電性カーボン
複層塗膜形成試験板の作成
バンパーに成型加工したポリプロピレン(脱脂処理済み)に、白色導電性プライマー塗料No.1〜No.13を膜厚20μmになるようにスプレー塗装し、室温で1分間放置してから、80℃−1分間予備加熱し、その未硬化面に着色ベース塗料として、ソフレックス#420マイカベース(関西ペイント社製、商品名、ポリエステルウレタン系有機溶剤系メタリックベース塗料)を膜厚15〜20μmになるように静電塗装し、室温で3分間放置してから、クリヤ塗料として「ソフレックス#520クリヤ」(関西ペイント社製、商品名、アクリルウレタン系有機溶剤型クリヤ塗料)を膜厚25μmになるように静電塗装し、室温で5分間放置してから、120℃で30分間加熱して、複層塗膜を形成した。
【0124】
上記試験板を後記の方法で試験した。その結果を表5及び表6に示す。
【0125】
【表5】
Figure 2004217872
【0126】
【表6】
Figure 2004217872
【0127】
(注8)表面電気抵抗値 A:白色導電性塗料No.1〜No.10を塗装し、その塗膜を80℃で1分間予備乾燥した後、更に、120℃で30分乾燥させた、ベースコート塗布前の塗面の表面電気抵抗値をTREK社製、商品名「MODEL150」で測定した。測定値が10Ω/cm未満であれば安定したベースコートの静電塗装が可能である。
(注9)表面電気抵抗値 B:白色導電性塗料No.1〜No.10を塗装し、その塗膜を80℃で1分間予備乾燥し、更に120℃で30分で加熱乾燥させ、その後ベースコートを塗布し、ベースコート塗布1分後の塗面の表面電気抵抗値をTREK社製、商品名「MODEL150」で測定した。測定値が10Ω/cm未満であれば安定したクリヤーコートの静電塗装が可能である。
(注10)クリヤ静電塗装性:ベースコート塗装時にベースコートの溶剤により、プライマー塗膜が溶剤膨潤し、表面電気抵抗値が上昇し、クリヤーコートが静電塗装不可能な状態になる場合があり、(注8)に記載の表面電気抵抗値 Bの値において、○は10Ω/cm未満、×は10Ω/cm以上と評価した。
(注11)L値:白色導電性プライマー塗料の塗膜を120℃で20分間乾燥したのち、スガ試験機社製カラーコンピュータSM−7を用いてL値を測定した。L値は、CIE等色関数における値で、明度軸の100が真っ白、0が真っ黒である。
(注12)外観:白色導電性プライマー塗料、着色ベース塗料、クリヤ塗料の3層からなる複層塗膜において、塗面のブツ、ヘコミ、フクレ、着色などの異常発生の有無を目視で評価した。
【0128】
○は、異常が全く認められないことを示す
△は、異常発生が少し認められたことを示す
×は、異常が顕著に求められたことを示す
(注13)N値:白色導電性プライマー塗料、着色ベース塗料、クリヤ塗料の3層からなる複層塗膜において、マンセルチャートのN値を求めた。0が黒、10が純白である。
(注14)耐水性:白色導電性プライマー塗料、着色ベース塗料、クリヤ塗料の3層からなる複層塗膜を有する前記試験板を水に40℃−240時間浸漬した後、素地に達するようにカッターで切り込み2mm幅のゴバン目100個作り、その表面に粘着セロハンテープを粘着し、20℃において急激に剥離した後のゴバン目塗膜を観察した。
【0129】
○は、異常が全く認められないことを示す
△は、残存個数が90〜99個/100個であることを示す
×は、残存個数が90個未満/100個であることを示す
(注15)リサイクル性:白色導電性プライマー塗料、着色ベース塗料、クリヤ塗料の3層からなる複層塗膜を有する前記試験板を粉砕機によって約1mm以下の粉状に粉砕した後、その粉砕物を目視で観察した。アスペクト比が3以上のものは針状ウィスカーと定義されており、リサイクルの際に、人体に与える影響が大きいとされているため、その使用には問題がある。
【0130】
○は、粉砕物が鱗片形状、又は球状であることを示す
×は、アスペクト比3以上の針状ウィスカーが粉砕物に含まれることを示す

Claims (8)

  1. メタクリル酸及びメタクリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマー(a)、又は少なくとも1種の該重合性不飽和モノマー(a)とそれ以外の共重合性不飽和モノマー(b)を、付加開裂型連鎖移動剤及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、ラジカル重合させることによりマクロモノマー(I)を製造し、次いで、該マクロモノマー(I)及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下で、重合性不飽和モノマー(c)をラジカル重合させることにより得られる樹脂であって、共重合性不飽和モノマー(b)及び重合性不飽和モノマー(c)の少なくともいづれか一方が、4級アンモニウム塩基、3級スルホニウム塩基、4級ホスホニウム塩基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基及びリン酸基から選ばれる少なくとも1種のイオン性官能基を有する重合性不飽和モノマーを含有することを特徴とする導電性樹脂。
  2. カルボン酸基を有する請求項1に記載の導電性樹脂の該カルボン酸基に塩基性化合物(d)を反応させることにより得られるカルボン酸塩基含有導電性樹脂。
  3. 塩基性化合物(d)が4級アンモニウムヒドロキシドである請求項2に記載の導電性樹脂。
  4. 請求項1に記載の導電性樹脂及び/又は請求項2に記載の導電性樹脂、塩素化ポリオレフィン及び白色顔料を含有することを特徴とする白色導電性プライマー塗料。
  5. 架橋剤をさらに含有する請求項4に記載の白色導電性プライマー塗料。
  6. 導電性フィラーをさらに含有する請求項4又は5項に記載の白色導電性プライマー塗料。
  7. 導電性フィラーが、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫(ATO)又は錫ドープ酸化インジウム(ITO)で被覆した鱗片状のマイカである請求項6に記載の白色導電性プライマー塗料。
  8. 被塗物に、請求項4〜7のいずれかに記載の白色導電性プライマー塗料を塗装し、セッテング又は加熱乾燥を行い、次いで、その塗膜上に着色ベース塗料を静電塗装し、未硬化の状態で、さらにクリヤ塗料を静電塗装した後、3層からなる塗膜を3コート1ベーク又は3コート2ベーク方式により焼き付けることを特徴とする複層塗膜形成方法。
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