JP2004217538A - フェノールタールの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キュメンハイドロパーオキシドの酸分解反応液をアルカリで中和する中和工程、中和された反応液を油相と水相とに分離する相分離工程、相分離工程で得られた油相を蒸留してアセトン、キュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを留出させる蒸留工程、並びに蒸留工程の蒸留残留物であるフェノールタールを熱分解してキュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを生成させて回収する熱分解工程の各工程を有するキュメン法フェノールの製造方法において、フェノールタールを有機溶剤と混合し、得られた混合液を洗浄水で洗浄して含有されている塩分を低減させた後、熱分解工程に供給することを特徴とする方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キュメン法によりフェノールを製造する際に生成するフェノールタールから、キュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを取得する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キュメン法では、キュメンハイドロパーオキシドの酸分解反応液を蒸留して、酸分解により生成したアセトン、キュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを留出させて回収している。蒸留残留物であるフェノールタールは熱分解してキュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを生成させ、蒸留してこれらを留出させて回収し、留出しなかった蒸留残渣は焼却処分している。
【0003】
ところで、酸分解反応液には酸が含まれているので、蒸留に供する前にアルカリ水溶液で中和処理した後、油相と水相とに分離し、油相を蒸留に供している。しかし、油相には少量の塩が残存するので、蒸留残留物であるフェノールタールには、この残存した塩が濃縮されている。フェノールタール中に多量の塩が含まれていると、熱分解工程での熱交換器の閉塞、焼却用バーナーの腐食及びスケール沈積等を引き起こすので、熱分解に供する前にフェノールタールから塩を除去することが行われている。
【0004】
フェノールタール中の塩濃度を低下させる方法としては、タールを向流押出機で水のみによって洗浄する方法(特許文献1参照)、タールを希薄な水性オルト燐酸と混合した後、水性相を除去する方法(特許文献2参照)等が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法には、タールの粘性が高いため洗浄が十分に行われない、水中にフェノール等の有用成分が溶け出すなどの問題がある。また、特許文献2に記載された方法には、燐酸を使用するためコストがかかる、装置が腐食するなどの問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−301803号公報
【特許文献2】
特開平11−279562号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フェノールタールに含まれる塩を除去する改良された方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究したところ、フェノールタールと有機溶剤とを混合し、この混合液を洗浄水で洗浄することにより、フェノールタール中の塩を効率よく除去できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、キュメンハイドロパーオキシドの酸分解反応液をアルカリで中和する中和工程、中和された反応液を油相と水相とに分離する相分離工程、相分離工程で得られた油相を蒸留してアセトン、キュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを留出させる蒸留工程、並びに蒸留工程の蒸留残留物であるフェノールタールを熱分解してキュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを生成させて回収する熱分解工程の各工程を有するキュメン法フェノールの製造方法において、フェノールタールを有機溶剤と混合し、得られた混合液を洗浄水で洗浄して含有されている塩分を低減させた後、熱分解工程に供給することを特徴とする方法にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で酸分解反応に供するキュメンハイドロパーオキシドは、公知のいずれの方法で製造されたものであってもよい。通常は、キュメンを酸化した後、公知の方法で65〜95重量%に濃縮したキュメンハイドロパーオキシド濃縮物を、硫酸等の鉱酸を用いて酸分解する。
【0009】
アセトン、キュメン、α−メチルスチレン及びフェノール等の有用成分を含む酸分解反応液は、アルカリ水溶液と混合して含まれている酸を中和する。アルカリ水溶液としては、通常は水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。また、後述する蒸留工程で得られるアセトン、キュメン及びα−メチルスチレンはフェノールを含んでいることがあり、通常はアルカリ水溶液で洗浄することによりフェノールを除去している。中和には、この洗浄で得られるフェノールを含むアルカリ水溶液を用いることもできる。
【0010】
次いで、中和液を油相と水相とに分離し、油相を蒸留塔に供給して有用成分を取得する。蒸留は、通常、複数の蒸留塔を用い、アセトン、キュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを順次留出させることにより行う。フェノールを留出させた蒸留塔の塔底からは、アセトフェノン、フェノール、α―メチルスチレンダイマー、クミルフェノール及びその他の高沸点成分、並びにナトリウムフェノキシド等の有機塩及び硫酸ナトリウム等の無機塩を含むフェノールタールを回収する。通常、フェノールタール中の塩の含有量は、0.01〜2重量%である。
【0011】
本発明では、フェノールタールを有機溶剤と混合し、この混合液を洗浄水で洗浄することにより、フェノールタール中の塩を除去する。
有機溶剤としては、フェノールタールと相溶するものであれば任意であるが、フェノールタールよりも比重が小さく、かつ極性が低いもの、例えば液体の炭化水素類が好ましい。中でも好ましいのは、酸分解反応液や後述する熱分解反応液の蒸留工程で回収されるキュメンやα−メチルスチレンを主体とするものである。キュメンやα−メチルスチレンを主体とする有機溶剤を混合すると、洗浄時にエマルションが形成されるのを防止することができる。
【0012】
有機溶剤は、フェノールタール100重量部に対し、通常は2重量部以上となるように用いる。有機溶剤の量が多いほど混合液の粘度は低下し、洗浄が容易になるので、有機溶剤はフェノールタールに対し5重量部以上、特に10重量部以上となるように用いるのが好ましい。しかし、有機溶剤の量を過度に多くすると、粘度低下により得られる効果に比して熱分解反応液からの有機溶剤の回収負担が大きくなりすぎるので、通常は50重量部以上用いるのは有利ではない。
【0013】
洗浄水としては、フェノールタールと有機溶剤との混合液から塩を抽出できるものであれば、任意であるが、フェノールが溶解しにくいものが好ましく、例えば、硫酸ナトリウム等の無機塩の水溶液を用いるのが好ましい。中でも好ましいのは、相分離工程で得られた水相を含むもの、すなわちこの水相そのもの又は水相を水で希釈したものであり、これによりプロセスからの廃水を減少させることができる。無機塩水溶液中の無機塩の濃度は、3重量%以上30重量%以下が好ましい。無機塩濃度の下限は、5重量%、特に10重量%が好ましい。無機塩濃度の上限は、28重量%、特に25重量%が好ましい。無機塩濃度が3重量%未満では、塩析効果が不十分なためフェノールが水中に溶出し、またエマルションを形成することがある。塩濃度が高いほどフェノールの溶出が防止され、かつ水溶液の比重が大きくなってエマルションが形成され難くなるが、塩濃度が高すぎると水溶液へ塩が抽出され難くなり、洗浄効果が低下する。
【0014】
洗浄水は、フェノールタール100重量部に対し、通常は50重量部以上となるように用いる。洗浄水の量が多いほど塩を除去することができるので、洗浄水はフェノールタールに対し200重量部以上、特に300重量部以上となるように用いるのが好ましい。しかし、洗浄水の量が多くなりすぎると、フェノールの洗浄水への溶出量が多くなるので、通常は1000重量部以上用いるのは有利ではない。
洗浄は、フェノールタール及び有機溶剤との混合液と洗浄水とを混合した後、油相と水相とに分離する方法であれば任意であり、回分法、連続法のいずれであってもよい。
【0015】
洗浄により塩が除去されたフェノールタールは、熱分解工程で熱分解してフェノール、α−メチルスチレン及びキュメン等の有用成分を生成させ、これらを蒸留により分離する。蒸留残渣は、塩をほとんど含んでいないため、燃料として焼却処理しても装置を腐食することがない。
【0016】
【実施例】
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
キュメンハイドロパーオキシド濃縮物に硫酸を加えて酸分解させた後、この反応液を水酸化ナトリウム水溶液により中和し、静置して水相(硫酸ナトリウム濃度:23重量%)と油相とに分離させた。油相を蒸留塔に供給して蒸留し、塔頂からアセトン及びキュメンを主成分とする軽沸留分を留出させ、塔底からフェノール及び高沸留分を缶出させた。この塔底液を第二の蒸留塔に供給して減圧蒸留し、塔頂からフェノールを留出させ、塔底からフェノールタールをポンプで抜き出した。フェノールタールは、アセトフェノン21重量%、フェノール20重量%、α―メチルスチレンダイマー10重量%、クミルフェノール19重量%、及びその他の高沸点成分30重量%からなり、ナトリウムを360重量ppmで含んでいた。このフェノールタール、キュメン及び先に分離した水相を、フェノールタール/キュメン/水相の重量比が7/0.35/20となるように混合し、60℃で5分間攪拌後、10分間静置して、油相を採取した。油相中のNa濃度を表1に示す。
【0017】
実施例2
実施例1において、フェノールタール/キュメン/水相の重量比が7/0.7/20となるように混合した以外は、実施例1と同様にして油相を採取した。油相中のNa濃度を表1に示す。
実施例3
実施例1において、フェノールタール/キュメン/水相の重量比が7/1.4/20となるように混合した以外は、実施例1と同様にして油相を採取した。油相中のNa濃度を表1に示す。
【0018】
実施例4
実施例1において、フェノールタール/キュメン/水相の重量比が7/2.1/20となるように混合した以外は、実施例1と同様にして油相を採取した。油相中のNa濃度を表1に示す。
比較例1
実施例1において、フェノールタール/水相の重量比が7/20となるように混合し、キュメンを加えなかった以外は、実施例1と同様にして油相を採取した。油相中のNa濃度を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、フェノールタール中の塩を容易に除去することができる。
Claims (7)
- キュメンハイドロパーオキシドの酸分解反応液をアルカリで中和する中和工程、中和された反応液を油相と水相とに分離する相分離工程、相分離工程で得られた油相を蒸留してアセトン、キュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを留出させる蒸留工程、並びに蒸留工程の蒸留残留物であるフェノールタールを熱分解してキュメン、α−メチルスチレン及びフェノールを生成させて回収する熱分解工程の各工程を有するキュメン法フェノールの製造方法において、フェノールタールを有機溶剤と混合し、得られた混合液を洗浄水で洗浄して含有されている塩分を低減させた後、熱分解工程に供給することを特徴とする方法。
- 有機溶剤が、キュメン及び/又はα−メチルスチレンを主体とするものであることを特徴とする請求項1記載の方法。
- キュメン及び/又はα−メチルスチレンを主体とする有機溶剤が、キュメン法のプロセス内で得られたものであることを特徴とする請求項2記載の方法。
- フェノールタール100重量部に対し2重量部以上の有機溶剤を混合することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
- フェノールタール及び有機溶剤の混合液100重量部に対して、洗浄水50重量部以上を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
- 洗浄水が、無機塩の水溶液であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
- 洗浄水が、相分離工程で得られた水相を含むものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
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