JP3019535B2 - タールからのインデン回収法 - Google Patents
タールからのインデン回収法Info
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Description
高純度インデンを回収する方法に関するものである。
まれるインデンを精密蒸留により高純度で分離する試み
は全て失敗に終っている。これは、インデンと近似する
沸点成分、特にベンゾニトリルとインデンを蒸留分離に
より相互に分離できない理由による。従って、従来か
ら、インデンを高純度で分離回収するために、インデン
の蒸留濃縮物に水酸化ナトリウムを添加反応させてベン
ゾニトリルを安息香酸ナトリウムとして除去する方法
や、フルフラールやn−ヘキサノールの存在下、共沸蒸
留によりインデン以外の成分を除去する方法、液体クロ
マトグラフィによってインデンを分離する方法、インデ
ンを晶析分離する方法等が提案されている。しかし、こ
れらの方法は、いずれも、得られるインデンが純度の点
で未だ不満足であるとか、工業的方法として経済性の点
で劣る等の問題があり、工業的には実施されていない。
特公昭62−32731号公報には、インデンを含有す
るタール系軽油を蒸留してインデン濃度50重量%以上
の留分を得、次いでこれを酸処理又はアルカリ処理した
後再度蒸留することにより、インデンを分離回収する方
法が示されている。しかし、この方法は、インデンの回
収率が低い上に、インデンを高純度化するために特別の
酸処理及びアルカリ処理を行うことから、その使用済み
の酸やアルカリ水溶液の廃棄処理に困難を伴ない、工業
的方法としては未だ満足し得るものではなかった。
見られる前記問題を解決し、インデンの高純度化処理に
際して廃液の生じない方法を提供することをその課題と
する。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。即ち、本発明によれば、インデン濃度が29
重量%以上のコールタール留分を第1蒸留塔において蒸
留処理し、第1蒸留塔で得た塔底油を第2蒸留塔で蒸留
処理するとともに、第2蒸留塔で得た塔頂油を、硫酸水
溶液及び/又はアルカル水溶液で処理した後、水洗処理
する方法であって、前記硫酸水溶液及び/又はアルカリ
水溶液として、コールタール蒸留塔から抜出されたコー
ルタール留分を精製処理する精製工程に供給される硫酸
水溶液及び/又はアルカリ水溶液の一部を用いるととも
に、その処理後の硫酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液
を前記コールタール留分の精製処理工程に循環使用する
ことを特徴とするタールからのインデン回収法が提供さ
れる。
する。図1は本発明を実施する場合のフローシートの1
例を示す。この図において、ナフタレン抽出槽6、ター
ル酸抽出槽9、タール酸処理設備12、硫酸分解槽1
4、水洗浄槽18及びタール酸精製設備21は、いずれ
もコールタール留分からタール酸を精製回収するために
コールタール蒸留塔2に付設された付属設備である。こ
のようなコールタール蒸留処理系は、従来広く用いられ
ている。コールタール1は蒸留塔2で蒸留処理され、蒸
留塔2からは、タール酸留分がサイドカット油3として
抜出され、ナフタレン留分がサイドカット油4として抜
出される。サイドカット油4は、新鮮なアルカリ水溶液
(NaOHの10重量%水溶液)の一部と、後続のイン
デンのアルカリ処理工程からのアルカリ廃水5bととも
に、ナフタレン抽出槽6に導入され、ここでナフタレン
がライン7を通して分離回収される。一方、ナフタレン
を分離回収した後の残油は、ライン8を通って、サイド
カット油3とともに、タール酸抽出槽9に導入され、こ
こでタール酸が塩の形でライン11を通って分離回収さ
れ、タール酸処理設備12に送られる。タール酸抽出槽
9においてタール酸を分離回収した後の残油は、ライン
10を通って抜出される。タール酸処理設備12に送ら
れたタール酸塩は、ここで炭酸ガスとの間の反応処理を
受けた後、硫酸分解槽14で硫酸と反応して遊離のター
ル酸とされ、次いで水洗浄槽18において水洗浄された
後、タール酸精製設備21に送られ、ここで分別蒸留処
理され、フェノール、o−クレゾール、m−,p−クレ
ゾール、キシレノール等の各成分に分別される。硫酸廃
水はそれぞれライン15及び19を介して排出される。
去したライン7を通る残油と、ライン10を通る残油
は、ラインミキサー22で混合され、この混合油は、イ
ンデンを分離回収するための蒸留処理用原料油として、
第1蒸留塔24に供給する。第1蒸留塔24において
は、インデンより低い沸点成分が塔頂油としてライン2
5を通って抜出され、インデン及びインデンより高い沸
点成分が塔底油としてライン26を通って抜出される。
この塔底油は第2蒸留塔27に導入され、ここでインデ
ンを含む塔頂油がライン28を通って抜出され、インデ
ンより高い沸点成分はライン29を通って抜出される。
本発明においては、ライン28を通って第2蒸留塔27
から塔頂油として抜出されるインデン留分は、撹拌混合
槽30に導入する。また、この撹拌混合槽30には、硫
酸分解槽14にライン13を通って供給される硫酸水溶
液(H2SO4濃度:10重量%)の一部をライン13a
により抜出して導入する。この撹拌混合槽30でインデ
ン留分と硫酸水溶液を、常温で約30分程度反応させ、
得られた反応生成物を静置槽31に移し、約60分間程
度静置する。撹拌混合槽30においては、インデン留分
中に含まれるアルカリ性不純物(例えばピリジン、アニ
リン等)と硫酸との反応が起り、この反応生成物は、静
置槽31において、硫酸廃水13bとして分離される。
ライン13aを通る硫酸水溶液の量は、ライン28を通
るインデン留分1重量部に対し、約1重量部の割合であ
る。静置槽31から抜出される硫酸廃水13bは、再び
前記ライン13に循環され、新鮮な硫酸水溶液ととも
に、硫酸分解槽14に導入される。アルカリ性不純物の
除去されたインデン留分は、ライン32を通って撹拌混
合槽33に導入される。また、この撹拌混合槽33に
は、ナフタレン抽出槽6に供給されるアルカリ水溶液
(NaOH濃度:10重量%)の一部をライン5aによ
り抜出して導入する。この撹拌混合槽33でインデン留
分とアルカリ水溶液とを、常温で約30分程度反応さ
せ、得られた反応生成物を静置槽34に移し、約60分
間程度静置する。撹拌混合槽33においては、インデン
留分中に含まれる酸性不純物(例えば、フェノール、ク
レソン類等)とアルカリとの反応が起り、この反応生成
物は、静置槽34において、アルカリ廃水5bとして分
離される。ライン5aを通るアルカリ水溶液の量は、ラ
イン32を通るインデン留分1重量部に対し、約1重量
部の割合である。静置槽34から抜出されるアルカリ廃
水5bは、再び前記ライン5に循環され、新鮮なアルカ
リ水溶液とともに、ナフタレン抽出槽6に導入される。
れたインデン留分は、残存する酸及びアルカリを洗浄除
去するために、ライン35を通って撹拌混合槽36に導
入される。また、この撹拌混合槽36には、タール酸水
洗浄槽18に供給される洗浄水17の一部をライン17
aにより抜出して導入する。この撹拌混合槽36でイン
デン留分と洗浄水とを、常温で約60分程度撹拌接触さ
せ、得られた洗浄生成物を加熱器付き静置槽37に移
し、約50℃で約120分間程度静置する。静置槽37
においては、インデン留分中に残存する酸及びアルカリ
が水洗除去され、洗浄廃水17bが抜出される。ライン
17aを通る洗浄水の量は、ライン35を通るインデン
留分1重量部に対し、約3重量部の割合である。静置槽
37から抜出される洗浄廃水17bは、新鮮な洗浄水1
7とともに、水洗浄槽18に導入される。ライン38を
通るインデン留分は、第3蒸留塔39に導入され、ここ
で蒸留処理され、高純度インデンが塔頂油としてライン
40を通して回収される。
回収するための第1蒸留塔24及び第2蒸留塔27を含
む処理系に供給する原料油は、インデン濃度を29重量
%以上、好ましくは31重量%以上に調整する。このよ
うな原料油は、コールタール蒸留塔2から得られるサイ
ドカット油や、そのサイドカット油を精製処理して得ら
れる留分等のインデンを含むコールタール留分を適当に
混合することによって得ることができる。図1において
は、サイドカット油3からタール酸を除いた後の残油
と、サイドカット油4からナフタレンを除いた後の残油
を重量比1:3の割合で混合したものを原料油として用
いている。原料油中のインデン濃度が29重量%より低
いと、原料油中のインデンを濃縮するための第1蒸留塔
24の負荷が大きくなり、蒸留塔が大型化し、その建設
量が高価になる。本発明において原料油中のインデンを
濃縮するために用いる第1蒸留塔24としては、理論段
数40以上、好ましくは70以上の蒸留塔が用いられ
る。また、その運転に際しての還流比は、5〜30、好
ましくは15〜20である。本発明において、第1蒸留
塔24から得られたインデン濃縮物からインデン留分を
分離回収するために用いる第2蒸留塔27としては、理
論段数30以上、好ましくは40以上の蒸留塔が用いら
れる。また、その運転に際しての還流化は5〜30、好
ましくは20〜25である。本発明において、水洗され
たインデン留分から高純度インデンを分離回収するため
に用いる第3蒸留塔39としては、理論段数10以上、
好ましくは15以上の蒸留塔が用いられる。また、その
運転に際しての還流比は、2〜10、好ましくは6〜8
である。ライン23を通るインデン濃度約29重量%の
混合油23を原料油として用い、これを理論段数40段
の第1蒸留塔24を用い、還流比20の条件で減圧下で
蒸留処理することにより、塔底より濃度39.6重量%
のインデンを59.8重量%の回収率で得ることがで
き、この塔底油を、理論段数40段の第2蒸留塔27を
用い、還流比30の条件で減圧下で蒸留処理することに
より、塔頂より濃度92.6重量%のインデンを原料油
の22.2重量%の回収率で得ることができた。また、
ライン38を通る水洗されたインデンを理論段数15段
の第3蒸留塔39を用い、還流比5で減圧下で蒸留処理
することにより、塔頂より濃度94.5重量%のインデ
ンを原料油の18.4重量%の回収率で得ることができ
た。次に、図1に示したフローシートにおいて、各主要
なラインを流れる流体の成分組成(重量%)を表1に示
す。なお、ライン7を通る残油と、ライン10を通る残
油との混合比を変えて、インデン濃度27重量%の混合
油を作り、これを前記と同様にして処理する時には、第
2蒸留塔27の塔頂から得られるインデン留分の濃度は
90重量%には達しなかった。また、その塔頂油の回収
率も、混合油に対して12重量%以下となった。
化処理に用いる硫酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液と
して、コールタール留分の精製処理工程で従来用いられ
ている硫酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液の一部を用
いるとともに、インデン留分の高純度化処理で副生する
廃水を再びコールタール留分の精製工程に循環して使用
することから、インデン留分の高純度化に関連した廃水
の処理は全く必要とされない。従って、本発明によれ
ば、高純度のインデンを安値に製造することができ、そ
の産業的意義は多大である。
示す。
Claims (1)
- 【請求項1】 インデン濃度が29重量%以上のコール
タール留分を第1蒸留塔において蒸留処理し、第1蒸留
塔で得た塔底油を第2蒸留塔で蒸留処理するとともに、
第2蒸留塔で得た塔頂油を、硫酸水溶液及び/又はアル
カル水溶液で処理した後、水洗処理する方法であって、
前記硫酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液として、コー
ルタール蒸留塔から抜出されたコールタール留分を精製
処理する精製工程に供給される硫酸水溶液及び/又はア
ルカリ水溶液の一部を用いるとともに、その処理後の硫
酸水溶液及び/又はアルカリ水溶液を前記コールタール
留分の精製処理工程に循環使用することを特徴とするタ
ールからのインデン回収法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3270104A JP3019535B2 (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | タールからのインデン回収法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3270104A JP3019535B2 (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | タールからのインデン回収法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0585953A JPH0585953A (ja) | 1993-04-06 |
JP3019535B2 true JP3019535B2 (ja) | 2000-03-13 |
Family
ID=17481594
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3270104A Expired - Lifetime JP3019535B2 (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | タールからのインデン回収法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3019535B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR0182242B1 (ko) * | 1995-04-19 | 1999-04-15 | 사토 후미오 | 복수의 기기 사이에서 취급매체를 수수하는(주고받는)장치, 이를 구비한 현금처리시스템 및 거래매체의 수수방법 |
CN112457879A (zh) * | 2020-11-12 | 2021-03-09 | 河北中化鑫宝化工科技有限公司 | 一种从煤焦油茚馏分中提取高纯度茚的方法及装置 |
KR102566632B1 (ko) | 2022-05-11 | 2023-08-21 | 이완영 | 스태커크레인 포크장치 |
-
1991
- 1991-09-20 JP JP3270104A patent/JP3019535B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0585953A (ja) | 1993-04-06 |
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