JP2004217004A - 回転伝達装置 - Google Patents

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JP2004217004A JP2003004871A JP2003004871A JP2004217004A JP 2004217004 A JP2004217004 A JP 2004217004A JP 2003004871 A JP2003004871 A JP 2003004871A JP 2003004871 A JP2003004871 A JP 2003004871A JP 2004217004 A JP2004217004 A JP 2004217004A
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Takashi Nozaki
孝志 野▲崎▼
Satoru Yamagata
哲 山形
Hideji Tajima
英児 田島
Koichi Okada
浩一 岡田
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

【課題】低速走行時の旋回特性を改善すると共に、駆動系部分の引きずりトルクを軽減し、燃費向上を図った回転伝達装置を提供する。
【解決手段】前輪または後輪のハブ輪12と等速自在継手11の外側継手部材15間に装着され、駆動力の伝達、遮断の切り換えを行なう車両の回転伝達装置9において、駆動部材となる外側継手部材15の径方向外方に、従動部材となる外方部材20を相対回転可能に嵌合させ、その外側継手部材15と外方部材20の間に、保持器32と両方向係合可能なローラ34を収容して2方向クラッチ13を形成すると共に、ロータ44を外方部材20に連結した電磁クラッチ14を併設し、この電磁クラッチ14に対する外部からの信号により、保持器32をロータ44と着脱可能にした。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転伝達装置、特に、自動車等の車両の前輪と後輪がプロペラシャフトにより機械的に連結されない4輪駆動車において、車軸と後輪ホイールハブの間で駆動力の伝達と遮断を切り換えるハブ用の回転伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的なFF(前輪駆動)ベースの4輪駆動車は、前輪と後輪をプロペラシャフトによって機械的に直結した構造になっている。近年、この4輪駆動システムに必要不可欠なトランスファやプロペラシャフトを廃止し、スペース効率を向上させ、車両重量の増加を抑制した電気式4輪駆動システムを搭載した車両が採用されている。これは、電動モータにより後輪を駆動することで、スムーズで安定した走行を可能とすると共に、路面の状況に対応した2駆走行と4駆走行の切り換えが容易にでき、特に夏場、平坦な路面における燃費の節約と駆動系からの騒音の発生を防止することができる。
【0003】
この電気式4輪駆動システム50は、図4に示すように、4輪駆動(以下4WDという)動作が不要の時、2輪駆動(以下2WDという)に切り換え可能な4WDスイッチ51と、この4WDスイッチ51により4WDが選択されている時、必要に応じて4WD制御を行なう4WD・コントロールユニット(以下C/Uという)52と、モータ53の駆動電力を発生させるジェネレータ54と、内蔵した電流センサーによって通電電流をリアルタイムに監視し、システム制御信号および異常時のフェイルセーフ判断信号を4WD・C/U52へ伝達し、電源のオンオフを行なうジャンクションボックス(以下J/Bという)55と、このJ/B55を介してジェネレータ54とモータ53を電気的に接続し、後輪56、56を駆動する電力を伝達するパワーケーブル57と、ファイナルドライブとしての後輪駆動ユニット58とを備えている。
【0004】
後輪駆動ユニット58は、モータ53と減速機59と湿式多板クラッチ60とデファレンシャルギア61とからなり、モータ53からの駆動力を減速機59に湿式多板クラッチ60を介してデファレンシャルギア61に伝達している。湿式多板クラッチ60は電磁式で、カム(図示せず)による倍力装置により押圧力が付与され、駆動力の締結と遮断を制御することによって、駆動力が不要な場合の動力遮断や引きずり抵抗の軽減を行ない燃費向上を図っている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
【非特許文献1】
日産自動車、マーチK12型新型車解説書(追補版I)(2002.9,C6−10頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来の4WDシステムにおける回転伝達装置において、左右駆動力配分の最適制御機能はなく、また、デファレンシャルギア61により、どのような場合にも等トルクに動力配分が行なわれる。また、引きずり抵抗を軽減するため、動力遮断を行なうクラッチ機構、すなわち湿式多板クラッチ60がデファレンシャルギア61側に配置されているため、後輪56、56に駆動力を伝達する等速自在継手(図示せず)を含む駆動系部分の引きずりトルクを軽減することはできないという問題がある。
【0007】
したがって、こうした等速自在継手を含む駆動系部分の引きずりトルクを軽減すると共に、従来の電気式4WDシステム50の滑り易い路面における坂道アシスト制御機能や電動駆動による燃費向上に加えて、左右の後輪56、56にクラッチ機構を配置し、それぞれの駆動力伝達と遮断を切り換えることで、後輪駆動ユニット58にデファレンシャルギア61を搭載することなく、左右の後輪56、56の駆動力配分を実現することができ、さらにこれらの左右の後輪56、56の駆動力配分を最適に制御することにより、低速走行時の回頭性を向上させる等の旋回特性の改善が望まれている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、低速走行時の旋回特性を改善すると共に、駆動系部分の引きずりトルクを軽減し、燃費向上を図った回転伝達装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、前輪または後輪のハブ輪と等速自在継手の外側継手部材間に装着され、駆動力の伝達、遮断の切り換えを行なう車両の回転伝達装置において、駆動部材となる前記外側継手部材の径方向外方に、従動部材となる外方部材を相対回転可能に嵌合させ、その外側継手部材と外方部材の間に、保持器と両方向係合可能な係合子を収容して2方向クラッチを形成すると共に、ロータを前記外方部材に連結した電磁クラッチを併設し、この電磁クラッチに対する外部からの信号により、前記保持器を前記ロータと着脱可能にした構成を採用した。
【0010】
このように、外側継手部材の径方向外方に、外方部材を相対回転可能に嵌合させ、両者間に保持器と両方向係合可能な複数の係合子を収容して2方向クラッチを形成すると共に、ロータを外方部材に連結した電磁クラッチを併設し、この電磁クラッチに対する外部からの信号により、保持器をロータと着脱可能にしたので、デファレンシャルギア等を搭載することなく、左右の前輪または後輪の駆動力配分を実現することができ、さらにこれら左右の前輪または後輪の駆動力配分を最適に制御することにより、低速走行時の回頭性を向上させる等の旋回特性の改善ができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、前記外側継手部材のステム部から軸方向に延びる軸部を延設し、この軸部を前記ハブ輪に内挿すると共に、このハブ輪に対して前記軸部を一対の転がり軸受を介して回転自在に支承した構成を採用した。これにより、駆動部材となる外側継手部材の安定した支持ができ、2方向クラッチの係脱を確実に行なうことができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明のように、前記外側継手部材のステム部外周に、周方向に所定の間隔をおいて複数のカム面を形成すると共に、前記外方部材を前記ハブ輪にトルク伝達可能に連結し、その内周に円筒面を形成し、両者間に複数のローラを収容すれば、簡単な構成で小型軽量化を達成することができる。
【0013】
さらに、請求項4に記載の発明のように、前記保持器の一端に前記ローラを中立位置に保持するスイッチばねを装着すると共に、他端にアーマチュアを回転不可で軸方向移動可能に固定すれば、外側継手部材と外方部材間の空間を有効に活用することができ、一層装置の小型軽量化を達成することができる。
【0014】
さらに、請求項5に記載の発明のように、前記電磁クラッチの電磁石を前記外方部材に外挿すると共に、前記外方部材の一端に径方向外方に延びるロータを一体に形成し、このロータを前記アーマチュアと前記電磁石との間に所定の軸方向すきまを介して対向配置すれば、装置の小型軽量化を達成すると共に、アーマチュアとロータとの接触面積を大きくすることができ、摩擦力を増大させることができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、前記前輪または後輪のうち一方を単一のエンジンで駆動すると共に、他方を単一のモータで駆動したので、プロペラシャフトやデファレンシャルギア等を搭載することなく、左右の前輪または後輪の駆動力配分を実現することができると共に、車両の重量軽減と燃費向上を図ることができる。
【0016】
また、請求項7に記載の発明のように、前記車両の全輪の回転数をセンサーで検出し、前後輪の回転数差と、予め設定した設定値とを比較し、駆動輪側の回転数がその設定値を超えた時に、前記電磁クラッチへの通電をオンするようにすれば、車両の加速時は直結4WDと同等の駆動性を得ることができ、旋回中はタイトコーナブレーキング現象を防止し、かつ、エンジンブレーキトルクを自動的に4輪に分配することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る回転伝達装置を組み込んだFFベースの4WD車の車輪駆動系を示したものである。
【0018】
この駆動系は、従来と同様、4WD動作が不要の時、2WDに切り換え可能な4WDスイッチ1と、この4WDスイッチ1により4WDが選択されている時、必要に応じて4WD制御を行なう4WD・C/U2と、モータ3の駆動制御を行なうジェネレータ4と、内蔵した電流センサーによって通電電流をリアルタイムに監視し、システム制御信号および異常時のフェイルセーフ判断信号を4WD・C/U2へ伝達し、電源のオンオフを行なうJ/B5と、このJ/B5を介してジェネレータ4とモータ3を電気的に接続し、後輪6、6を駆動する電力を伝達するパワーケーブル7と、減速機8とを備えている。回転伝達装置9は、後輪駆動軸10の端部に連結された等速自在継手11のステム部(図示せず)とハブ輪12の間に装着されている。
【0019】
回転伝達装置9は、図2に示すように、等速自在継手11のステム部15bに、2方向クラッチ13と電磁クラッチ14を併設して構成されている。等速自在継手11は、カップ状のマウス部15aと、このマウス部15aに突設されたステム部15bと、ステム部15bから軸方向に延設された軸部15cとからなる外側継手部材15と、内側継手部材16と、トルク伝達ボール17と、このトルク伝達ボール17を周方向等配に保持するケージ18とからなる。モータ3からの駆動力は、後輪駆動軸10を経由してドライブシャフト19に伝達され、この等速自在継手11を介して後輪6のハブ輪12に伝達される。
【0020】
2方向クラッチ13は、駆動部材であるステム部15bに従動部材となる円筒状の外方部材20が外嵌されている。ステム部15bに延設された軸部15cは、ハブ輪12に対して針状ころ軸受21および深溝玉軸受22を介して回転自在に支承されている。このように、駆動部材となる外側継手部材15をハブ輪12に対して一対の転がり軸受21、22で支承することにより、外側継手部材15の安定した支持ができ、2方向クラッチ13の係脱を確実に行なうことができる。
【0021】
また、ハブ輪12は、図示しない車輪を取付けるための車輪取付フランジ12aを一端に有し、外周には複列の転がり軸受23の内側転走面12bが一体に形成されている。車輪取付フランジ12aの周方向には等配にハブボルト12cが植設されている。ハブ輪12には複列の転動体(ボール)23aを介して外輪24が外嵌されると共に、その外周には図示しないサスペンションに取付けられるナックル取付フランジ24aが一体形成され、ナックルに対してハブ輪12が回転自在に支承されている。25はハブ輪12の円筒部12dに圧入された内輪で、外周には内側転走面25aが形成されている。外輪24の内周には、この内側転走面25aとハブ輪12の内側転走面12bにそれぞれ対向するように複列の外側転走面24b、24bが形成されている。複列の転がり軸受23の両端にはシール23b、23cが装着され、軸受内のグリース漏洩と外部からダストや雨水等の浸入を防止している。なお、ハブ輪12の端部に装着され、一対の半円形状をなすトレランスリング26により内輪25の軸方向の抜け止めを行なっている。このトレランスリング26は、半円形状のため径方向外方から止め輪溝に圧入することができ、止め輪溝とのガタを殺すことができる。そして、このトレランスリング26の外径に固定リング27を嵌合することで分解することなく固定することができる。
【0022】
ハブ輪12の円筒部12d端部外周にはセレーション(またはスプライン)28が形成され、2方向クラッチ13の外方部材20に形成されたセレーション(またはスプライン)29に噛合し、外方部材20はハブ輪12にトルク伝達可能に連結されている。外方部材20は、円筒部12dに装着された止め輪30によって軸方向に着脱可能に固定されている。
【0023】
図3は図2のIII−III線に沿った断面図で、2方向クラッチ13の横断面を示している。ステム部15bの外周面には周方向に所定の間隔をおいて複数のカム面31が形成され、外方部材20の円筒状内周面20aとの間で、周方向の両側が狭幅になる楔状空間が形成されている。カム面31の外径部に環状の保持器32が外挿され、周方向等配に形成されたポケット33に係合子としてのローラ34を転動可能に保持している。この保持器32によってローラ34が周方向に所定量移動すると、カム面31と円筒面20aの間に係合し、ステム部15bと外方部材20を回転方向に一体化する。この保持器32の一端側には、スイッチばね35が装着されている。また、保持器32と、ステム部15bの肩部に形成されたスイッチばね35の収容部36における周壁37の両者には、円周方向の一部に切欠き38、39があり、そこに弾性部材であるスイッチばね35を撓ませて両端部35a、35aがセットされている。
【0024】
保持器32とステム部15bは、互いの切欠き38、39が合致している時、ステム部15bのカム面31と保持器32のポケット33およびローラ34の位置関係は、ローラ34と外方部材20の間に径方向すきまが存在するように設定されている。したがって、スイッチばね35がセットされていると、ローラ34が中立位置に保持されることになり、ステム部15bと外方部材20は係合されずに空転可能な状態となる。
【0025】
なお、前述した実施形態では、2方向クラッチ13としてローラ34を単一の保持器32で保持すると共に、その位相を変化させ、ステム部15bと外方部材20を係脱させて切り換えるローラ式クラッチを例示したが、これに限らず、係合子としてスプラグを用い、内外2枚の保持器でこのスプラグを傾動させ、ステム部15bと外方部材20の係脱を行なうスプラグ式クラッチであっても良い。
【0026】
図2において、電磁クラッチ14は、外方部材20の径方向外方に組み込まれており、電磁石40を収納した電磁石固定用部材41がブレーキバックプレート42に回転不可に固定されている。一方、保持器32の端部にはアーマチュア43が回転不可で軸方向移動可能に固定されている。このアーマチュア43と電磁石固定用部材41間には外方部材20に一体に形成されたロータ44が所定の軸方向すきまを介して挟み込まれている。これらロータ44とアーマチュア43の対向面間には皿ばね等の弾性部材45が装着され、両者44、43が離反する方向に付勢されている。
【0027】
ここで、電磁石40を通電オンした時、磁力によってアーマチュア43は弾性部材45に抗してロータ44に移動吸着され、また、電磁石40を通電オフした時、弾性部材45のばね力によってアーマチュア43はロータ44から離反し、非接触となって両者43、44に摩耗が発生するのを防止している。こうした構造では、アーマチュア43は、保持器32、スイッチばね35を介してステム部15bとつながっているため、外方部材20とステム部15bの相対回転が可能である。46はバックプレート42に固定され、電磁クラッチ14の外方を覆うカバーで、その開口端部にはシール47が装着され、ステム部15bとの環状空間を密封している。このような構成を採用することにより、外側継手部材15と外方部材20間の空間を有効に活用することができ、装置の小型軽量化を達成することができると共に、アーマチュア43とロータ44との接触面積を大きくすることができ、摩擦力を増大させることができる。
【0028】
本発明に係る回転伝達装置9において、電磁クラッチ14の電磁石40への通電がオフの時は、2方向クラッチ13はスイッチばね35の作用により、ローラ34が外方部材20の円筒面20aに係合しない中立位置に保持され、外側継手部材15のステム部15bと外方部材20は空転可能になり、後輪6、6に駆動力は伝達されず、2WDの走行となる。
【0029】
前述の状態での走行において、全輪の回転数をセンサー(図示せず)で個々に検出し、その検出回転数を4WD・C/U2に入力すると共に、4WD・C/U2では、前輪48、48と後輪6、6の回転数差と、予め設定した設定値とを比較し、前輪48側の回転数がその設定値を超えた時に出力し、回転伝達装置9の電磁クラッチ14における電磁石40に対する通電をオンする。こうした制御において、前輪48の回転数を4WD・C/U2に入力した設定値と比較するのは、振動や外乱、あるいはタイヤの摩耗状態によって、オンオフを頻繁に繰り返すことがないようにするためである。
【0030】
電磁石40への通電がオンになると、電磁石40の磁力でアーマチュア43がロータ44に吸着され、この状態でステム部15bと外方部材20が相対回転しようとすると、アーマチュア43とロータ44間に発生した摩擦力によって、保持器32と外方部材20が一体化される。この時、ローラ34がカム面31の中立位置から楔空間の係合位置へと移動され、外方部材20とステム部15bが係合される。したがって、電磁石40への通電をオンすると、ステム部15bの回転が外方部材20に伝達され、そしてセレーション29、28を介してその駆動力はハブ輪12に伝達され、後輪6、6が駆動されて4WDの状態となる。
【0031】
この回転伝達装置9は、前輪48と後輪6の回転数差と予め設定した設定値とを比較して、電磁クラッチ14への通電をオンオフ制御することにより、2方向クラッチ13のカム面31と保持器32の周方向の位相を変化させるようにしているため、車両の加速時は、後輪6に対して前輪48側の回転数が上回ると、2方向クラッチ13の結合で直結4WDと同等の駆動性を得ることができ、また、旋回中やレーンチェンジ時、前輪48と後輪6の回転数に差がなくなると2方向クラッチ13は切り離され、2WDの状態となってタイトコーナブレーキ現象の発生を防止することができる。さらに、エンジンブレーキ時には、前輪48がスリップして回転数の差が生じ、設定値を上回ると2方向クラッチ13の結合でエンジンブレーキトルクおよびモータトルクは4輪に配分される。
【0032】
したがって、本発明に係る回転伝達装置9を用いた電気式4WDシステムでは、等速自在継手11を含む駆動系部分の引きずりトルクを軽減すると共に、従来の電気式4WDシステムの滑り易い路面における坂道アシスト制御機能や電動駆動と回生による燃費向上に加えて、左右の後輪6、6にクラッチ機構を配置し、それぞれの駆動力伝達と遮断を切り換えることで、デファレンシャルギア等を搭載することなく、左右の後輪6、6の駆動力配分を実現することができ、さらにこれらの左右の後輪6、6の駆動力配分を最適に制御することにより、低速走行時の回頭性を向上させる等の旋回特性の改善ができる。
【0033】
なお、前述した実施形態では、回転伝達装置9が後輪駆動軸10の端部に連結された等速自在継手11のステム部15bとハブ輪12の間に装着されたものを例示したが、前輪48側に装着しても良いことは言うまでもない。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係る回転伝達装置は、前輪または後輪のハブ輪と等速自在継手の外側継手部材間に装着され、駆動力の伝達、遮断の切り換えを行なう車両の回転伝達装置において、駆動部材となる前記外側継手部材の径方向外方に、従動部材となる外方部材を相対回転可能に嵌合させ、その外側継手部材と外方部材の間に、保持器と両方向係合可能な係合子を収容して2方向クラッチを形成すると共に、ロータを前記外方部材に連結した電磁クラッチを併設し、この電磁クラッチに対する外部からの信号により、前記保持器を前記ロータと着脱可能にした構成を採用したので、デファレンシャルギア等を搭載することなく、左右の前輪または後輪の駆動力配分を実現することができ、さらにこれら左右の前輪または後輪の駆動力配分を最適に制御することにより、低速走行時の回頭性を向上させる等の旋回特性の改善ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転伝達装置を組み込んだFFベースの4WD車の車輪駆動系を示した平面図である。
【図2】本発明に係る回転伝達装置の実施形態を示す縦断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】従来の回転伝達装置を組み込んだFFベースの4WD車の車輪駆動系を示した平面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・・・・4WDスイッチ
2・・・・・・・・・・・・・・・4WD・C/U
3・・・・・・・・・・・・・・・モータ
4・・・・・・・・・・・・・・・ジェネレータ
5・・・・・・・・・・・・・・・J/B
6・・・・・・・・・・・・・・・後輪
7・・・・・・・・・・・・・・・パワーケーブル
8・・・・・・・・・・・・・・・減速機
9・・・・・・・・・・・・・・・回転伝達装置
10・・・・・・・・・・・・・・後輪軸
11・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
12・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
12a・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
12b、25a・・・・・・・・・内側転走面
12c・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
13・・・・・・・・・・・・・・2方向クラッチ
14・・・・・・・・・・・・・・電磁クラッチ
15・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
15a・・・・・・・・・・・・・マウス部
15b・・・・・・・・・・・・・ステム部
15c・・・・・・・・・・・・・軸部
16・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
17・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
18・・・・・・・・・・・・・・ケージ
19・・・・・・・・・・・・・・ドライブシャフト
20・・・・・・・・・・・・・・外方部材
20a・・・・・・・・・・・・・円筒面
21・・・・・・・・・・・・・・針状ころ軸受
22・・・・・・・・・・・・・・深溝玉軸受
23・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
23a・・・・・・・・・・・・・転動体
23b、23c、47・・・・・・シール
24・・・・・・・・・・・・・・外輪
24a・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
24b・・・・・・・・・・・・・外側転走面
25・・・・・・・・・・・・・・内輪
26・・・・・・・・・・・・・・トレランスリング
27・・・・・・・・・・・・・・固定リング
28、29・・・・・・・・・・・セレーション
30・・・・・・・・・・・・・・止め輪
31・・・・・・・・・・・・・・カム面
32・・・・・・・・・・・・・・保持器
33・・・・・・・・・・・・・・ポケット
34・・・・・・・・・・・・・・ローラ
35・・・・・・・・・・・・・・スイッチばね
36・・・・・・・・・・・・・・収容部
37・・・・・・・・・・・・・・周壁
38、39・・・・・・・・・・・切欠き
40・・・・・・・・・・・・・・電磁石
41・・・・・・・・・・・・・・電磁石固定用部材
42・・・・・・・・・・・・・・バックプレート
43・・・・・・・・・・・・・・アーマチュア
44・・・・・・・・・・・・・・ロータ
45・・・・・・・・・・・・・・弾性部材
46・・・・・・・・・・・・・・カバー
48・・・・・・・・・・・・・・前輪
50・・・・・・・・・・・・・・4WDシステム
51・・・・・・・・・・・・・・4WDスイッチ
52・・・・・・・・・・・・・・4WD・C/U
53・・・・・・・・・・・・・・モータ
54・・・・・・・・・・・・・・ジェネレータ
55・・・・・・・・・・・・・・J/B
56・・・・・・・・・・・・・・後輪
57・・・・・・・・・・・・・・パワーケーブル
58・・・・・・・・・・・・・・後輪駆動ユニット
59・・・・・・・・・・・・・・減速機
60・・・・・・・・・・・・・・湿式多板クラッチ
61・・・・・・・・・・・・・・デファレンシャルギア

Claims (7)

  1. 前輪または後輪のハブ輪と等速自在継手の外側継手部材間に装着され、駆動力の伝達、遮断の切り換えを行なう車両の回転伝達装置において、駆動部材となる前記外側継手部材の径方向外方に、従動部材となる外方部材を相対回転可能に嵌合させ、その外側継手部材と外方部材の間に、保持器と両方向係合可能な複数の係合子を収容して2方向クラッチを形成すると共に、ロータを前記外方部材に連結した電磁クラッチを併設し、この電磁クラッチに対する外部からの信号により、前記保持器を前記ロータと着脱可能にしたことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 前記外側継手部材のステム部から軸方向に延びる軸部を延設し、この軸部を前記ハブ輪に内挿すると共に、このハブ輪に対して前記軸部を一対の転がり軸受を介して回転自在に支承した請求項1に記載の回転伝達装置。
  3. 前記外側継手部材のステム部外周に、周方向に所定の間隔をおいて複数のカム面を形成すると共に、前記外方部材を前記ハブ輪にトルク伝達可能に連結し、その内周に円筒面を形成し、両者間に複数のローラを収容した請求項1または2に記載の回転伝達装置。
  4. 前記保持器の一端に前記ローラを中立位置に保持するスイッチばねを装着すると共に、他端にアーマチュアを回転不可で軸方向移動可能に固定した請求項3に記載の回転伝達装置。
  5. 前記電磁クラッチの電磁石を前記外方部材に外挿すると共に、前記外方部材の一端に径方向外方に延びるロータを一体に形成し、このロータを前記アーマチュアと前記電磁石との間に所定の軸方向すきまを介して対向配置した請求項4に記載の回転伝達装置。
  6. 前記前輪または後輪のうち一方を単一のエンジンで駆動すると共に、他方を単一のモータで駆動した請求項1乃至5いずれかに記載の回転伝達装置。
  7. 前記車両の全輪の回転数をセンサーで検出し、前後輪の回転数差と、予め設定した設定値とを比較し、駆動輪側の回転数がその設定値を超えた時に、前記電磁クラッチへの通電をオンするようにした請求項1乃至6いずれかに記載の回転伝達装置。
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