JP2004216418A - レーザ加工装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザ溶接装置は、レーザビームLが照射される溶接部Pから発生するプラズマ光を撮像するCCDカメラ4と、CCDカメラ4で撮像されたプラズマ画像に基づいてレーザビームLの照射位置のずれ量を検出する検出装置5と、検出されたずれ量に基づいてレーザビームLの照射位置を補正する補正装置6とを備える。検出装置5は、上記プラズマ画像の重心位置と所定の基準位置との差をずれ量として検出する。補正装置6は、レーザビームLの照射位置をスキャンさせると共に、上記ずれ量に基づいてスキャン位置を補正する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、レーザビームを加工部に照射して溶接や切断などの所定の加工を行うレーザ加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数枚の反射ミラーを経由して加工部にレーザビームを照射するレーザ加工装置では、加工する位置を変える場合には加工ヘッドの移動に合わせてレーザビームの光路上にある反射ミラーも移動させる必要がある。このとき、レーザビームが反射ミラーの中心からずれていると、レーザビームの照射位置もずれてしまい、所望の加工を行うことができない。そこで、加工ヘッド近傍に取り付けられている2枚の反射ミラーを直交する2軸回りにそれぞれ回転可能に配置し、この2枚の反射ミラーの角度を調整してレーザビームの照射位置の位置ずれを補正している。また、この2枚の反射ミラーを所定の角度範囲で揺動制御することによって、レーザビームをスキャンさせながら加工部に照射することが可能となり、例えばレーザ溶接装置においてはウィービング溶接が可能となる。さらに、出力が20kW以上の大出力レーザを使用する場合も、レーザビームをスキャンさせながら加工部に照射することが可能となる。
【0003】
レーザビームの照射位置の位置ずれを補正するためには、レーザビームの実際の照射位置と所定の基準位置とのずれ量を検出する必要がある。従来のレーザ加工装置では、レーザビーム又はその一部を直接検出体に当てて照射位置を計測し、計測された照射位置と基準位置との差を求めてずれ量を検出し、このずれ量に基づいて照射位置を補正している(特許文献1、特許文献2参照)。そして、この補正はレーザビームの照射位置を停止させた状態で行っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−98271号公報
【特許文献2】
特開平9−103893号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のレーザ加工装置では、レーザビーム又はその一部を直接検出体に当てて照射位置を計測しているので、大出力レーザの場合は検出体が溶けてしまい、照射位置を検出できないという問題がある。また、位置ずれの補正はレーザビームの照射位置を停止させた状態で行うため、停止させることができない大出力レーザの場合は補正することができないという問題もある。
【0006】
この発明は、上記従来の欠点を解決するためになされたものであって、その目的は、レーザビームの照射位置のずれ量を検出して位置ずれを補正することができると共に、検出したずれ量に基づいてレーザビームのスキャン位置を補正することができるレーザ加工装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び効果】
そこで請求項1のレーザ加工装置は、レーザビームLが照射される加工部から発生するプラズマ光を撮像する撮像手段4と、この撮像手段4で撮像されたプラズマ画像に基づいてレーザビームLの照射位置のずれ量を検出する検出手段5と、検出されたずれ量に基づいてレーザビームLの照射位置を補正する補正手段6とを備えることを特徴としている。
【0008】
上記請求項1のレーザ加工装置では、レーザビームLが照射される加工部から発生するプラズマ光を撮像し、撮像されたプラズマ画像に基づいてレーザビームLの照射位置のずれ量を検出し、検出されたずれ量に基づいてレーザビームLの照射位置を補正する。
【0009】
このように請求項1のレーザ加工装置によれば、レーザビームLの照射位置のずれ量をプラズマ画像に基づいて間接的に検出するので、大出力のレーザビームLを使用する場合でも、レーザビームLの照射位置を補正することができる。これによって、大出力のレーザビームLを用いたレーザ加工の加工精度が向上する。
【0010】
また請求項2のレーザ加工装置は、上記検出手段5は、上記プラズマ画像の重心位置と所定の基準位置との差をずれ量として検出することを特徴としている。
【0011】
上記請求項2のレーザ加工装置では、撮像されたプラズマ画像の重心位置をレーザビームLの照射位置と判断してずれ量を検出している。これは、プラズマ画像の重心位置は、最も輝度の高い部分であるはずであり、この最も輝度の高い部分にレーザビームLが照射されていると考えられるからである。これによって、ずれ量の検出精度が向上し、より正確な補正が可能となる。
【0012】
さらに請求項3のレーザ加工装置は、レーザビームLの照射位置をスキャンさせるレーザ加工装置において、上記補正手段6は、上記ずれ量に基づいてスキャン位置を補正することを特徴としている。
【0013】
上記請求項3のレーザ加工装置では、上記プラズマ画像に基づいて検出されたずれ量に基づいてレーザビームLのスキャン位置を補正している。補正は、スキャンの両端位置に対して行うようにしてもよいし、スキャンの中心位置に対して行うようにしてもよい。このように、レーザビームLをスキャンさせながら照射位置を補正することができるので、大出力のレーザビームLを使用する場合でも正確な補正が可能となり、大出力のレーザビームLを用いたレーザ加工の加工精度が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、この発明のレーザ加工装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、この発明のレーザ加工装置の実施の形態の概略的構成を示す構成図である。この実施形態では、レーザ加工装置としてレーザ溶接装置を例にとり説明する。
【0015】
レーザ溶接装置は、図示しないレーザ発振器からのレーザビームLを、レーザスキャン装置1のミラー及びレーザスキャン装置2のミラーを含む複数枚のミラーによって順番に反射させながら集光して、図示しない溶接ヘッド先端部を通して加工部である溶接部Pに照射して溶接を行う装置である。溶接は、図1の紙面左右方向に延びて設定される溶接線Aに沿って溶接ヘッドを相対移動させながら行われる。
【0016】
レーザスキャン装置1、2は、回転自在に配置されると共にレーザビームLを反射させるミラーを備え、このミラーを所定の角度範囲内で揺動させてレーザビームLをスキャンさせる装置である。ここで、レーザスキャン装置1のミラーは図1の紙面に平行な回転軸回りに回転可能であり、またレーザスキャン装置2のミラーは図1の紙面に垂直な回転軸回りに回転可能である。したがって、レーザスキャン装置1のミラーの角度を変更すれば溶接線Aに対して垂直方向(Y軸方向)に照射位置が移動し、またレーザスキャン装置2のミラーの角度を変更すれば溶接線Aに対して平行方向(X軸方向)に照射位置が移動する。
【0017】
このようにレーザ溶接装置では、レーザスキャン装置1、2の各ミラーの角度を調節することによってレーザビームLの照射位置を動かすことができ、また各ミラーを揺動させることによって、レーザビームLを溶接位置においてウィービング(スキャン)させることができる。尚、レーザスキャン装置1、2は、制御装置3によって制御される。
【0018】
また、溶接ヘッドの近傍には、撮像手段であるCCDカメラ4が配置されている。CCDカメラ4は、レーザビームLが照射される溶接部Pから発生するプラズマ光を撮像し、画像データを制御装置3に出力する。制御装置3は、検出装置5及び補正装置6を備えて構成されている。
【0019】
検出装置5は、CCDカメラ4で撮像されたプラズマ画像に基づいてレーザビームLの照射位置のずれ量を検出する。ずれ量は様々な方法で検出することができるが、この実施形態では検出装置5は、プラズマ画像の重心位置と所定の基準位置との差をずれ量として検出している。即ち、検出装置5は、撮像されたプラズマ画像の重心位置をレーザビームLの照射位置と判断してずれ量を検出している。これは、プラズマ画像の重心位置は、最も輝度の高い部分であるはずであり、この最も輝度の高い部分にレーザビームLが照射されていると考えられるからである。これによって、ずれ量の検出精度が向上し、より正確な補正が可能となる。尚、ずれ量は、X軸方向のずれ量Xと、Y軸方向のずれ量Yとが検出される。
【0020】
また補正装置6は、検出されたずれ量に基づいてレーザスキャン装置1、2を制御してレーザビームLの照射位置を補正する。図2及び図3は、補正装置6の処理を説明するためのフローチャートである。図2のステップS1で入力監視を行い、ステップS2ではレーザ溶接装置全体を制御する本体制御装置から周波数データ及び振幅データを受信する。ステップS3では受信データに変更があるか否かを判断し、変更がない場合はそのままステップS5に進み、変更がある場合はステップS4に進み、スキャン制御に必要な移動位置P1、P2、Pe及び移動位置P1、P2の移動速度を算出した後に、ステップS5に進む。尚、図4に示すように、移動位置P1、P2はスキャンの両端位置であり、移動位置Peはスキャンの終了位置である。
【0021】
ステップS5では、検出装置5からずれ量X、Yを受信し、ステップS6では、ずれ量X、Yを補正データαx、αyに変換する。補正データαxとは、レーザスキャン装置2のミラーを駆動するモータのパルスデータであり、補正データαyとは、レーザスキャン装置1のミラーを駆動するモータのパルスデータである。
【0022】
ステップS7では、今回の補正データαx、αyと前回の補正データαx1、αy1との差Δx、Δyを算出する。そして、ステップS8では、差Δx、Δyがそれぞれ1回あたりの補正最大量Δmaxより大きいか否かを判断する。差Δx、Δyが補正最大量Δmax以下の場合は、ステップS9において差Δx1、Δy1を差Δx、Δyに等しく設定する。一方、差Δx、Δyが補正最大量Δmaxより大きい場合は、ステップS10において差Δx1、Δy1を補正最大量Δmaxに等しく設定する。
【0023】
それからステップS11では、前回の補正データにステップS9又はステップS10で求めた差Δx1、Δy1を加えて、今回の補正データαx1、αy1を算出する。尚、ステップS10において差Δx1、Δy1を補正最大量Δmaxに等しく設定したのは、前回の補正データとの差が大きすぎるときは、ノイズ等の影響で正確にずれ量を検出できなかったおそれがあるため、今回の補正データαx1、αy1に制限を加えるためである。
【0024】
ステップS12では、ウィービング(スキャン)の実行要求があるか否かを判断する。実行要求がある場合は図3のステップS13に進み、実行要求がない場合は図3のステップS23に進む。
【0025】
ステップS13では、補正後の移動位置P1、即ちP1’をレーザスキャン装置1、2に出力する。P1’は、P1のx座標値及びy座標値に補正データαx1、αy1を加えることによって算出される(図4参照)。そして、P1’の出力が完了するまでの間は入力監視及び状態出力を行い、出力が完了するとステップS16に進む(ステップS14、ステップS15)。
【0026】
続いて、ステップS17では、補正後の移動位置P2、即ちP2’をレーザスキャン装置1、2に出力する。P2’は、P2のx座標値及びy座標値に補正データαx1、αy1を加えることによって算出される(図4参照)。そして、P2’の出力が完了するまでの間は、入力監視及び状態出力を行い、出力が完了するとステップS19に進む(ステップS17、ステップS18)。
【0027】
ステップS19では、ウィービングの終了要求があるか否かを判断する。終了要求がない場合は図2のステップS5に戻り、上述した補正処理を実行する。一方、終了要求がある場合は、ステップS20に進む。
【0028】
ステップS20では、補正後の終了位置Pe、即ちPe’をレーザスキャン装置1、2に出力する。Pe’は、Peのx座標値及びy座標値に補正データαx1、αy1を加えることによって算出される(図4参照)。そして、Pe’の出力が完了するまでの間は、入力監視及び状態出力を行い、出力が完了するとステップS23に進む(ステップS21、ステップS22)。
【0029】
ステップS23では状態出力モードに設定して、補正処理を終了する。尚、ステップS12においてウィービングの実行要求がない場合は、直ちにステップS23に進み、補正処理を終了する。
【0030】
以上のように上記レーザ溶接装置によれば、レーザビームLの照射位置のずれ量X、Yをプラズマ画像に基づいて間接的に検出しているので、大出力のレーザビームLを使用する場合でも、レーザビームLの照射位置を補正することができる。これによって、大出力のレーザビームLを用いたレーザ溶接の精度が向上する。
【0031】
また、上記レーザ溶接装置によれば、撮像されたプラズマ画像の重心位置をレーザビームLの照射位置と判断してずれ量X、Yを検出しているので、ずれ量X、Yの検出精度が向上する。これは、プラズマ画像の重心位置は、最も輝度の高い部分であるはずであり、この最も輝度の高い部分にレーザビームLが照射されていると考えられるからである。このように間接的であってもずれ量X、Yを正確に検出できるので、より正確な補正が可能となる。
【0032】
さらに、上記レーザ溶接装置によれば、プラズマ画像に基づいて検出されたずれ量X、Yに基づいてレーザビームLのスキャンの両端位置P1、P2を補正している。このように、レーザビームLをスキャンさせながら照射位置を補正することができるので、大出力のレーザビームLを使用する場合でも正確な補正が可能となり、大出力のレーザビームLを用いたレーザ溶接の精度が向上する。
【0033】
以上にこの発明のレーザ加工装置の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態においては、スキャンの両端位置P1、P2に対して補正を行っているが、スキャンの中心位置に対して行うようにしてもよい。また、上記実施の形態においては、レーザ溶接装置を例にとり説明したが、レーザ切断装置のようにレーザビームLを加工部に照射して所定の加工を行うレーザ加工装置であれば同様に実施できることはもちろんである。さらに上記においては、撮像されたプラズマ画像の重心位置をレーザビームの照射位置と判断しているが、2値化プラズマ画像の外接長方形の中心位置をレーザビームの照射位置と判断してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のレーザ加工装置の実施の形態の概略的構成を示す構成図である。
【図2】上記実施の形態における補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】上記実施の形態における補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】上記補正処理を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 レーザスキャン装置
2 レーザスキャン装置
3 制御装置
4 CCDカメラ
5 検出装置
6 補正装置
A 溶接線
L レーザビーム
Claims (3)
- レーザビーム(L)が照射される加工部から発生するプラズマ光を撮像する撮像手段(4)と、この撮像手段(4)で撮像されたプラズマ画像に基づいてレーザビーム(L)の照射位置のずれ量を検出する検出手段(5)と、検出されたずれ量に基づいてレーザビーム(L)の照射位置を補正する補正手段(6)とを備えることを特徴とするレーザ加工装置。
- 上記検出手段(5)は、上記プラズマ画像の重心位置と所定の基準位置との差をずれ量として検出することを特徴とする請求項1のレーザ加工装置。
- レーザビーム(L)の照射位置をスキャンさせるレーザ加工装置において、上記補正手段(6)は、上記ずれ量に基づいてスキャン位置を補正することを特徴とする請求項1又は請求項2のレーザ加工装置。
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