JP2004215466A - 同期電動機の位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法およびセンサレス可変速装置 - Google Patents

同期電動機の位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法およびセンサレス可変速装置 Download PDF

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Abstract

【課題】短絡パルス電流の時間差と位相差から位置・速度を計測し、回転子が電気角で180°以上回転した短絡絡パルス電流にも計測可能にする。
【解決手段】制御装置2は電動機5の回転子が空転中である状態で、インバータ1のゲート制御で異なる時間間隔の時刻t0,t1,t2の短絡パルス電流を発生させ、電流位相検出部6は短絡パルス電流位相θ0、θ1、θ2を検出する。速度演算部7は各計測期間の時間差TaとTbと位相差θa,θbを求め、それらの差分結果より速度ωestを求める。積分部8は速度ωestを積分することで位相を検出する。位相差補正部9は、速度計測結果より各計測期間の位相進み角を演算で推定し、これを基に計測位相が多回転している場合の位相差を補正する。短絡パルス電流の電流増加の微分成分と、短絡終了直後の電流減少の微分成分を基に誘起起電力の振幅成分を求めることも含む。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石を界磁源とする同期電動機の回転子位置・速度・電圧振幅をセンサを使用することなく計測する位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法およびこの計測を利用した同期電動機のセンサレス可変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石を界磁源とする同期電動機は空転中の場合は、同期電動機端子に速度起電力が発生する。そのため、インバータなどで起動する場合には、零電圧をインバータが出力すると、同期電動機端子の短絡状態と同じ状態となり、空転速度が高い場合には過大な電流が発生する。
【0003】
これを抑制するためには、速度誘起起電力と同一振幅で同一位相の電圧をインバータから継続して出力する必要がある。しかし、電動機に位置センサや速度センサを設けない場合には、この電圧振幅や位相をインバータ出力として設定することができない。
【0004】
そこで、従来の起動法では、インバータの出力状態を短時間だけ短絡状態に設定し、そのとき発生するパルス状の短絡電流が誘起起電力の位相とちょうど逆の位相に発生する原理を利用し、これを時間間隔をあけて2回実行し、その時間差と位相差より速度を推定、さらには位置(位相)を推定する起動法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
図5、図6にインバータを使用して、同期電動機の端子を短絡する状態の電流の流れを示し、図5ではインバータの下アーム全相をゲートONさせ、図6ではインバータの上アーム全相をゲートONさせてパルス状短絡電流を流す。また、図7にそのとき発生した短絡電流のベクトルの位相から、速度を検出する原理をタイムチャートで示す。電動機の回転角速度ωestは2回のパルスで計測した位相差θa(=θ0−θ1)と時間差Taから次式で計算する。また、回転角速度ωestの積分で回転子位置(位相)を知ることができ、回転角速度ωestの符号から回転方向を知ることができる。
【0006】
【数1】
ωest=θa/Ta
【0007】
【非特許文献1】
平成9年電気学会産業応用部門全国大会 No.135 鳥羽・藍原・柳瀬:“位置・速度・電圧センサレスPMモータ駆動システムの回転状態からの起動法”
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来手法による計測が可能となる条件は、2回の短絡パルス電流の発生間隔は空転している回転子が電気角で180°未満である必要がある。これは、短絡パルス法による位相計測は、電気角の−180°〜+180°区間しか計測できないためである。
【0009】
そのため、2回のパルス発生の間に、電気角で180°以上回転してしまうと回転方向の判別ができなくなる。また、回転方向が他の方法で判別できたとしても、360°以上に多回転する場合には多回転の数までは計測することができない。
【0010】
しかも、多極の同期電動機の場合には、周波数が高くなってくる傾向がある。また、インダクタンスの大きな同期電動機の場合には、短絡をしても電流の変化が少なく、ある程度の時間以上短絡しないと正確な位相を計算できる程度の電流振幅が発生しない。
【0011】
そうすると、200Hzを超えるような比較的周波数の高い同期電動機については、パルス電流を発生させて、かつそれが一旦零に戻るまでの時間の間に、回転子は180°以上回転してしまうことがある。このような同期電動機については、高速回転中は前記の従来手法が適用できない。
【0012】
上記のように、回転速度が高く短絡パルスの発生期間中に回転子が電気角で180°以上回転してしまう条件の場合には、多回転してその位相に移動したのか、1回転以内なのかの判別ができない。また、回転方向についても正転してその位相に達したのか、逆転して達したのかが不明である。そのため、正確な速度を計測することができなかった。
【0013】
本発明の目的は、永久磁石を界磁源とする同期電動機の空転状態で、同期電動機に発生させる短絡パルス電流の時間差と位相差を基に同期電動機の回転子位置・速度を計測する方法において、短絡パルス電流の発生期間中に回転子が電気角で180°以上回転してしまう場合にも回転子の位置・速度、さらには電圧振幅を精度よく計測できる同期電動機の位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法を提供することにある。さらに、本発明はこの計測方法を利用した同期電動機のセンサレス可変速装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、従来の位置・速度のセンサレス計測方法において、短絡パルス電流は互いに異なる時間間隔で3回以上発生させ、これら短絡パルス電流の各計測期間の時間差と位相差を求め、さらにその差分をそれぞれ取った結果より速度および位相を計測するものである。
【0015】
また、本発明は、速度計測結果より各計測期間の位相進み角を演算で推定し、これを基に計測位相が多回転している場合の位相差を補正するものである。
【0016】
さらに、本発明は、同期電動機の誘起起電力が三相の巻線軸に対して30°ずれた位相上に存在するときに短絡パルス電流を発生させ、そのときの電流増加の微分成分と、短絡終了直後の電流減少の微分成分を計測し、インバータの直流電源電圧を定数として誘起起電力の振幅成分を求めるものである。
【0017】
したがって、本発明は、以下のセンサレス計測方法およびセンサレス可変速装置を特徴とする。
【0018】
(センサレス計測方法の発明)
(1)永久磁石を界磁源とする同期電動機の空転状態で、インバータのゲート制御で同期電動機に発生させる短絡パルス電流の時間差と位相差を基に同期電動機の回転子位置・速度・電圧振幅を計測する同期電動機の位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法であって、
前記短絡パルス電流は互いに異なる時間間隔で3回以上発生させ、各短絡パルス電流の各計測期間の時間差と位相差を求め、さらにその差分をそれぞれ取った結果より速度および位相を計測することを特徴とする。
【0019】
(2)前記速度計測結果より各計測期間の位相進み角を演算で推定し、これを基に計測位相が多回転している場合の位相差を補正して速度および位相を求めることを特徴とする。
【0020】
(3)前記短絡パルス電流は、同期電動機の誘起起電力が三相の巻線軸に対して30°ずれた位相上に存在するときに発生させ、そのときの電流増加の微分成分と、短絡終了直後の電流減少の微分成分を計測し、前記インバータの直流電源電圧を定数として誘起起電力の振幅成分を求めることを特徴とする。
【0021】
(センサレス可変速装置の発明)
(4)永久磁石を界磁源とする同期電動機の空転状態で、インバータのゲート制御で同期電動機に発生させる短絡パルス電流の時間差と位相差を基に同期電動機の回転子位置・速度・電圧振幅を計測し、これら計測結果を基に同期電動機を起動および可変速制御する同期電動機のセンサレス可変速装置であって、
前記インバータは、前記短絡パルス電流は互いに異なる時間間隔で3回以上発生させる手段を設け、
各短絡パルス電流の各計測期間の時間差と位相差を求め、さらにその差分をそれぞれ取った結果より速度を計測し、この速度を積分して位相を求める演算手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
(5)前記演算手段は、前記速度計測結果より各計測期間の位相進み角を演算で推定し、これを基に計測位相が多回転している場合の位相差を補正して速度および位相を求める手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
(6)前記インバータは、同期電動機の誘起起電力が三相の巻線軸に対して30°ずれた位相上に存在するときに前記短絡パルス電流を発生させ、
前記演算手段は、各短絡パルス電流の電流増加の微分成分と、短絡終了直後の電流減少の微分成分を計測し、前記インバータの直流電源電圧を定数として誘起起電力の振幅成分を求める手段を備えたことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
従来の方法は、回転速度が高く短絡パルスの発生期間中に回転子が電気角の180°以上回転してしまう条件の場合には、多回転してその位相に移動したのか、1回転以内なのかの判別ができない。また、回転方向についても正転してその位相に達したのか、逆転して達したのかが不明である。そのため、正確な速度や回転方向を計測することができなかった。
【0025】
本実施形態では、2つの短絡パルス間の位相を直接使用するのではなく、3つの短絡パルスを異なる時間差をもたせて発生させ、それらのパルス時間差および位相差から速度および位置を計測し、これら計測値を基に同期電動機を起動さらには可変速制御を可能とする。
【0026】
図1の(a)は、本実施形態の位置・速度センサレスの可変速装置の要部構成を示し、同図の(b)には速度計測の要部タイムチャートを示す。
【0027】
可変速装置は、電圧型インバータ1と制御装置2及びディジタル化電流検出手段としての電流検出器3とA/D変換器4で構成され、制御装置2には電流制御系および回転子位相を基にした座標変換系を有して同期電動機5を起動および可変速制御する。この構成の可変速制御は、公知のものであるが、装置構成を適宜変更したものもある。
【0028】
ここで、本実施形態に係る位置・速度計測方法を実現する手段として、電流位相検出部6と速度演算部7と積分部8を設ける。
【0029】
電流位相検出部6は、同期電動機5に発生させる3回の短絡パルス電流の位相θ0,θ1,θ2を検出するためのもので、同期電動機5の2相の電流検出信号から2相/3相変換で3相電流を検出し、これらをα軸成分とβ軸成分に変換することで各短絡パルス電流の位相を求める。
【0030】
この短絡パルス電流の位相の検出に際して、制御装置2は従来の計測方法と同様に、電動機の回転子が空転中である状態で、インバータ1のゲート信号を短期間だけ電圧が零の期間を時間間隔をもたせて発生させるが、本実施形態では短絡パルス電流の発生を時刻t0,t1,t2の3回繰り返し、しかもそれらの時間間隔の時間差(t1−t0,t2−t1)を異なるようにしたゲート信号制御をする。
【0031】
これら制御により、電流位相検出部6には時間間隔の差が異なる時刻t0,t1,t2での3回の短絡パルス電流位相θ0、θ1、θ2を検出することができる。
【0032】
速度演算部7は、図1の(b)に示すように、各計測期間の時間差Ta(t1−t0)とTb(t2−t1)と位相差θa(=θ1−θ0),θb(=θ2−θ1)を求め、さらにそれらの差分をそれぞれ取った結果より速度ωestを求める。積分部8は、速度ωestを積分することで位相(回転子位置)を検出する。
【0033】
速度演算部7における演算をより詳しく説明すると、異なる時間間隔で3回のパルス状の短絡電流を発生され、これらの電流ベクトルの位相を計測で、各計測パルスの時間間隔Ta,Tbと計測した位相間隔θa,θbは以下の式になる。
【0034】
【数2】
Ta=t1−t0
Tb=t2−t1
【0035】
【数3】
θa=θ1一θ0
θb=θ2−θ1
そして、これらの時間差と位相差のさらに差分ΔT,Δθを取ると、次式のようになる。
【0036】
【数4】
ΔT=Ta−Tb
Δθ=θa一θb
そして、これら差分の比Δθ/ΔTから、次式で回転子角速度ωestを求めることができる。
【0037】
ωest=Δθ/ΔT
ただし、制限としてΔTの時間差は、この時間差の間に回転子が180°以上空転しない程度に設定する。パルスの間隔自体は短くできなくても、時間差に関しては自由に設定できるため、計測する2つの時間差についてさらに差分をとったものについては、短い時間差に設定することができる。本実施形態は、この特徴を利用したものである。
【0038】
従来法では2つの計測区間の時間差が、回転子が電気角の180°未満である条件が存在したのに対し、本実施形態の計測方法では、回転子が電気角で180°以上回転してしまう場合にも回転子の位置・速度を計測することができる。また、この時間制限がないことは高速回転している場合に計測期間を短くする必要もなくなり、ひいては、短絡期間を長く取ることができるため、計測するパルス状の電流振幅を大きくとれ、電流検出誤差などの影響を低減した精度良い計測が可能となるし、ひいては精度良い可変速制御が可能となる。
【0039】
なお、短絡パルス電流の発生回数は、互いに異なる時間間隔で3回以上とし、それらの平均化処理等から速度・位相を求めることができる。
【0040】
(実施形態2)
実施形態1では、単純に位相差の差分を取ることにより速度・位相検出を行ったが、最終的な速度さらには位相を検出するために利用する位相差Δθには180°以内という制限が存在しているため、位相検出誤差の影響を受けやすく、検出された速度の精度が低くなる。
【0041】
ここで、実施形態1の速度検出法によって、概略の速度と回転方向が判ったのであれば、360°以上に多回転した位相であってもその多回転の回数を推定することが可能になる。こうすると、速度の計測に使用する位相差を大きくとることができるため、推定速度・位相の精度が大幅に向上する。
【0042】
そこで、本実施形態では、実施形態1の方法で計測した速度と計測期間から、Ta,Tbの期間の位相変化量Θa’,Θb’を以下の式から推定する。
【0043】
【数5】
Θa’=ωest*Ta
Θb’=ωest*Tb
また、計測した位相差θa,θbから多回転した場合の位相差を推定する。ここでは、θaを補正する例で示す。
【0044】
電気角で1回転以下:θa’=θa+0*360°
電気角で1〜2回転以内:θa’=θa+1*360°
電気角で2〜3回転以内:θa’=θa+2*360°
そして、上記の多回転を想定した位相差の中から、速度から推定した位相差Θa’およびΘb’に最も近いものを選定することにより、多回転であり360°以上回転する場合であっても位相差を補正することができる。この多回転補正された位相差と時間差より速度を計算すると、より正確な速度検出が可能になる。
【0045】
本実施形態では、上記の推定と位相差補正は、図1の(a)に示す位相差補正部9によって実現する。そして、速度演算部7は、補正された位相差θa’,θb’を使用して補正した速度ωestを求める。
【0046】
(実施形態3)
永久磁石を界磁源とする同期電動機が空転中の速度推定は、実施形態1や実施形態2を使用すればよい。また、速度だけでなく位相とその時刻がわかっているため、インバータを起動して運転を開始する時刻の位相も計算により予測することも可能である。しかし、空転中の電動機を始動する場合には、さらに電圧の振幅情報も必要になる。
【0047】
実施形態1や2で速度が検出できており、かつ、永久磁石の磁束が既知であれば速度誘起起電力を計算することは容易である。しかし、永久磁石の残留磁石は磁石の温度によって変動してしまう。そのため、同期電動機の温度によって磁束が変化することになり、正確な速度誘起起電力を計算することができない。そのため、速度と磁束から間接的に誘起起電力を計算するよりも、直接電圧を計測できる方がより安定な始動が可能になる。
【0048】
そこで、本実施形態では、同期電動機に短絡パルス電流を発生させた期間の電流変化の計測データの他に、短絡を解除したときにインダクタンスの電流が減衰するときの電流の変化も利用して同期電動機の端子電圧(電圧振幅)を推定する計測方法およびこれを利用した可変速装置を提案するものである。
【0049】
ここで、図1におけるインバータ1の直流電源電圧Vdcは他の電圧センサにより既知であるものとする。実際には3相電動機を対象としているが、簡単のために1相のモデルで計測原理を以下に説明する。
【0050】
図2の(a)に示すように、インバータのゲート制御により、空転中の同期電動機の端子を短期間だけ短絡状態にすることで、同期電動機には短絡パルス電流を発生させることができる。
【0051】
このときの等価回路は、図2の(b)のように、単相モデルでの下アームのゲートをONすると誘起起電力E0の電圧が同期電動機のインダクタンスLに加わるため、E0に比例した電流変化が発生する。その後に下アームのゲートをOFFして短絡を止めると、今度は図2の(c)のように、インバータの上アームのダイオードを通して電源に回生を行う電流ループに転流する。
【0052】
したがって、インダクタンスLに流れる電流の変化量は、短絡時と短絡後にダイオードを通して電源に回生するときでは、直流電源電圧Vdcと誘起起電力E0を使った次式の関係が成立する。
【0053】
【数6】
Figure 2004215466
ここで、(di/dt)は図2(b)の期間の短絡時の電流微分、(di/dt)は図2(c)の期間の短絡後の電流微分を示す。
【0054】
これら電流微分はインダクタンスLに印加させる電圧に比例しているため、電流変化量(電流微分値)を計測すれば同期電動機の端子電圧と誘起起電力の比率を推定することができ、ひいては端子電圧を求めることができる。
【0055】
したがって、下記のように、電流の変化量の比Kを使用し、次式の関係式から誘起起電力E0を導出することができる。
【0056】
【数7】
K=(di/dt)/(di/dt)
K=−E0/(Vdc−E0)
K(Vdc−E)=−E0
K・Vdc=K・E0−E0
E0=K・Vdc/(K−1)
したがって、同期電動機の短絡時とその直後の電流微分成分および電源電圧Vdcから、電圧を直接計測することが可能になる。
【0057】
ここで、3相の同期電動機の場合には、誘起起電力は3相交流波形となるため、回転子の位相によって3相の電圧が変化する。短絡期間では、それぞれの相の誘起起電力に比例して電流は変化するが、短絡後のインダクタンスのエネルギーを直流電源に回生する期間は直流電源のPとNの両端子の2種類の電位のみがインダクタンスの電流極性に応じて端子に印加されているため、3相の端子電圧は誘起起電力の比率とは異なってしまう。したがって、短絡期間の電流の立ち上がりとその直後の回生期間での電流の立下りの比は3相とも異なるため、上の式を適用することができない。
【0058】
そこで、誘起起電力が3相の巻線の軸と一致したときに計測を行うことにする。図3で示した誘起起電力の3相交流皮形e,e,eのうち、2相の成分が一致するタイミングでは、3相の誘起起電力も2値しか存在しないため、ちょうど単相と同じモデルを適用できる。
【0059】
この位相になったときに計測を実行するためには、実施形態1や実施形態2の計測位相θ0,θ1,θ2と時刻t0,t1,t2および計算した速度ωest、さらには補正した速度ωestより回転位相が予測されることから、この予測から2相の成分が一致するタイミングで誘起起電力の振幅成分を計測することが可能となる。
【0060】
(実施形態4)
実施形態3では、誘起起電力計測には3相のうち2相の成分が一致する条件としたが、これ以外にも1相だけ電流が流れない条件で計測しても同様な結果が得られる。
【0061】
そこで、本実施形態では、図4のように、1相の電圧が零の時刻で計測することを提案する。
【0062】
ちょうど、誘起起電力が零の相は、他の2相の中間電圧に相当する。そのため、電流も入出力の成分がつりあって零のままとなる。そうすると、単相モデルと等価な計測を実施でき、誘起起電力の振幅成分を計測することができる。
【0063】
なお、本実施形態および実施形態3における計測タイミングは、誘起起電力が三相の巻線軸に対してちょうど30°ずれた位相上に存在するときになる。
【0064】
【発明の効果】
永久磁石を界磁源とする同期電動機が空転中である場合には、回転子の誘起起電力の振幅・位相・速度が既知であれば、空転中に運転を開始するときにその誘起起電力とつりあった電圧から出力を開始することができ、電流の急変が無く安定な起動が可能になる。
【0065】
そのうち位相と速度を計測するためにインバータを電圧零の条件で短期間ゲートをONすることにより、同期電動機の誘起起電力によって生じる電流成分を計測する。この計測電流の空間ベクトルはちょうど誘起起電力のベクトルとは180°反対の位相に存在することを利用して、誘起起電力の位相と速度を計測する。このとき、従来法では2つの短絡パルス電流の時間差が、回転子が電気各の180°未満である条件が存在した。
【0066】
これに対し、本発明の実施形態1・実施形態2の計測方法および可変速装置によれば、計測の時間的な制限が無くなり、高速回転している場合に計測期間を短くする必要もなくなる。ひいては、短絡期間を長く取ることができることから、計測する短絡パルス電流の振幅を大きくとれるため、電流検出誤差などの影響を低減することができる。
【0067】
また、従来法では、速度と位相は計測できるものの、誘起起電力の振幅までは計測できなかった。インダクタンス値が既知であれば電流の微分より電圧を推定することができる。また、残留磁束が既知であれば速度より誘起起電力を演算することもできる。これらのどちらの方法も同期電動機の定数が必要である問題がある。したがって、温度によって定数が変化したり、同期電動機の個別のばらつきが大きな場合には、誘起起電力の推定値も誤差が発生してしまう。
【0068】
これに対して、本発明の実施形態3・実施形態4の計測方法および可変速装置では、実施形態1・2の計測方法を基に、電流の微分成分と直流電圧より直接電圧振幅成分を推定することができ、精度の良い電圧振幅の計測および可変速制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1、2の可変速装置と速度・位相計測のタイムチャート。
【図2】本発明の実施形態3の計測原理説明図。
【図3】実施形態3における誘起起電力の計測タイミングの説明図。
【図4】実施形態4における誘起起電力の計測タイミングの説明図。
【図5】短絡パルス電流発生に下アーム全相をゲートONする状態の短絡モード。
【図6】短絡パルス電流発生に上アーム全相をゲートONする状態の短絡モード。
【図7】従来手法における短絡電流の発生タイミングと計測位相から速度計測を行う原理説明図。
【符号の説明】
1…インバータ
2…制御装置
3…電流検出器
4…A/D変換器
5…同期電動機
6…電流位相検出部
7…速度演算部
8…積分部
9…位相差補正部

Claims (6)

  1. 永久磁石を界磁源とする同期電動機の空転状態で、インバータのゲート制御で同期電動機に発生させる短絡パルス電流の時間差と位相差を基に同期電動機の回転子位置・速度・電圧振幅を計測する同期電動機の位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法であって、
    前記短絡パルス電流は互いに異なる時間間隔で3回以上発生させ、各短絡パルス電流の各計測期間の時間差と位相差を求め、さらにその差分をそれぞれ取った結果より速度および位相を計測することを特徴とする同期電動機の位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法。
  2. 前記速度計測結果より各計測期間の位相進み角を演算で推定し、これを基に計測位相が多回転している場合の位相差を補正して速度および位相を求めることを特徴とする請求項1に記載の同期電動機の位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法。
  3. 前記短絡パルス電流は、同期電動機の誘起起電力が三相の巻線軸に対して30°ずれた位相上に存在するときに発生させ、そのときの電流増加の微分成分と、短絡終了直後の電流減少の微分成分を計測し、前記インバータの直流電源電圧を定数として誘起起電力の振幅成分を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の同期電動機の位置・速度・電圧振幅のセンサレス計測方法。
  4. 永久磁石を界磁源とする同期電動機の空転状態で、インバータのゲート制御で同期電動機に発生させる短絡パルス電流の時間差と位相差を基に同期電動機の回転子位置・速度・電圧振幅を計測し、これら計測結果を基に同期電動機を起動および可変速制御する同期電動機のセンサレス可変速装置であって、
    前記インバータは、前記短絡パルス電流は互いに異なる時間間隔で3回以上発生させる手段を設け、
    各短絡パルス電流の各計測期間の時間差と位相差を求め、さらにその差分をそれぞれ取った結果より速度を計測し、この速度を積分して位相を求める演算手段を備えたことを特徴とする同期電動機のセンサレス可変速装置。
  5. 前記演算手段は、前記速度計測結果より各計測期間の位相進み角を演算で推定し、これを基に計測位相が多回転している場合の位相差を補正して速度および位相を求める手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の同期電動機のセンサレス可変速装置。
  6. 前記インバータは、同期電動機の誘起起電力が三相の巻線軸に対して30°ずれた位相上に存在するときに前記短絡パルス電流を発生させ、
    前記演算手段は、各短絡パルス電流の電流増加の微分成分と、短絡終了直後の電流減少の微分成分を計測し、前記インバータの直流電源電圧を定数として誘起起電力の振幅成分を求める手段を備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の同期電動機のセンサレス可変速装置。
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