JP2004214168A - フラットケーブル被覆材及びフラットケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】
環境に対する負荷が少なく、かつ、絶縁性及び難燃性を有するフラットケーブル被覆材、及びフラットケーブルを提供する。
【解決手段】
基材フィルム11の一方の面に熱接着層15を、他方の面に無機酸化物層35を有し、該無機酸化物が酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化珪素、SiOxCyであり、SiOxCyにおいてはx=0.1〜1.95、y=0.1〜2.0である。また、該無機酸化物層が化学気相成長法又は物理気相成長法により形成されてなることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フラットケーブル被覆材に関し、さらに詳しくは、電気機器、電子機器、その他機器などに使用される、難燃性を具備したフラットケ−ブルのフラットケーブル被覆材、及びそれを用いたフラットケーブルに関するものである。
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。 また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」、「CVD」は「化学気相成長法」、「PVD」は「物理気相成長法」、及び「HS層」は「熱接着層」の略語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
(技術の背景)OA機器やゲーム機などの電子機器では、コンピューターと電子部品などの電気的な接続や種々の配線のために、フラットケーブルが使用されている。フラットケーブルは、電子機器の狭い筐体内を引き回され、電子部品の移動に伴って摺動されたり、かつ、電子部品の発熱に伴う高温の環境下で使用される。このために、フラットケーブルを被覆しているフラットケーブル被覆材は、摺動に対する柔軟性、高温に対する耐熱性、および難燃性が求められている。 さらに、使用後の廃棄処理において、環境破壊の元凶にもなり兼ねない。地球レベルで環境を保護するために、有害物質は使用規制される傾向にあり、フラットケーブルに使用する材料についても、有害物質の使用を極力避けるべきである。例えば、臭素系難燃剤であるデカブロモジフェニルエーテル(DBDPO)は、燃焼条件によっては、ダイオキシン関連物質が生成する恐れがあり、その使用規制が望まれている。また、アンチモンは、発ガン性の恐れがあると言われている。このために、ハロゲン、リン、アンチモンなどの元素を含まないフラットケーブル被覆材も求められている。
(先行技術)従来、ポリイミドフィルム(本願の基材フィルムに相当する)とリン変性飽和ポリエステル共重合体(本願の接着層に相当する)によるノンハロゲンの難燃性フラットケーブルがが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、熱可塑性ポリエステル樹脂(基材フィルム)とリン系難燃剤を含有する粘着層によるノンハロゲンの難燃性フラットケーブルがが知られている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。さらに、ポリエステル系樹脂(基材フィルム)とポリ燐酸系難燃剤と非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤からなるノンハロゲン系の難燃性熱接着剤が、が知られている(例えば、特許文献4参照。)。 しかしながら、上記いずれのフラットケーブルの難燃性も、接着層(粘着層と表現している公報もある)の難燃性に委ねられている。基体フィルムは、ポリイミド系フィルム、又はポリエステル系フィルムが用いられている。ポリイミド系フィルムは価格が高価で実用的に支障があり、ポリエステル系フィルムでは単独では難燃性が不足し、また、基材フィルム面からの防炎性には欠けるという欠点がある。さらに、接着層(粘着層と表現している公報もある)にアンチモン系の難燃剤を用いてるフラットケーブル被覆材では、該フラットケーブル被覆材を用いたフラットケーブルが電子機器とともに使用後廃棄された後に、何らかの要因で難燃剤が環境に漏洩したり、人体に取り込まれて健康を害する恐れがあるという欠点がある。 さらに、基材フィルムの一方の面へ無機膜を設けて難燃性とした壁紙や印刷物用シートが知られている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、無機膜としては酸化物、弗化物、金属などの単体の無機酸化物膜、及び金属酸化物ゾル(所謂、ゾルゲル法)が開示されるのみで、また、無機膜の形成面は少なくとも一方の面でよく、内面でもよいことから、最外面からの着火、延焼遅延、延焼防止については記載も示唆もされていない。さらに、斯かるシートをその気体透過性に着目し、フラットケーブル被覆材の難燃性向上へ応用することについては、記載も示唆もされていない。
特開平8−60108号公報 特開平9−221642号公報 特開平9−279101号公報 特開2001−89736号公報 特開2003−33986号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、環境に対する負荷が少なく、かつ、絶縁性及び難燃性を有するフラットケーブル被覆材、及びフラットケーブルを提供することである。
上記の課題を解決するために、 請求項1の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、基材フィルムと、直接又は他の層を介して、前記基材フィルムの一方の面に熱接着層を有し、他方の面に無機酸化物層を有するようにしたものである。 請求項2の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、上記無機酸化物層が、酸化珪素、酸化錫、又は酸化アルミニウムのいずれかであるようにしたものである。 請求項3の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、上記無機酸化物層が、一般式SiOxCyであるようにしたものである。請求項4の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、上記無機酸化物層が、一般式SiOxCyにおいて、x=0.1〜1.95、y=0.1〜2.0であるようにしたものである。 請求項5の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、上記無機酸化物層が、化学気相成長法又は物理気相成長法により形成されてなるようにしたものである。 請求項6の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、上記無機酸化物の厚さが、10〜500nmであるようにしたものである。 請求項7の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、上記無機酸化物のJIS K−6768に準拠する表面濡れ性が、0.4〜0.74mNであるようにしたものである。 請求項8の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、請求項1〜7に記載のフラットケーブル被覆材において、JIS K−7129に準拠する透湿度が15g/m224h以下、及び/又はJIS K−7126に準拠する酸素透過度15cm3/m224hatm以下であるようにしたものである。 請求項9の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、請求項1〜7に記載のフラットケーブル被覆材において、UL94規格VTM−0相当の難燃性を有するようにしたものである。 請求項10の発明に係わるフラットケーブルは、複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材の熱接着層側が導体列側を向くようにして両面より被覆してなるフラットケーブルにおいて、少なくとも片面のフラットケーブル被覆材が、請求項1〜9のいずれかに記載のフラットケーブル被覆材をあるようにしたものである。
(発明のポイント)本発明者らは、鋭意研究を進め、従来と同様の十分な絶縁性を有しており、フラットケーブルの最表面を無機酸化物層で覆うことで、高温時において内層の基材フィルムや熱接着層が次第に加熱されて可燃ガスを発生するが、(1)無機酸化物層が外部からの熱及び酸素の侵入を遮蔽する障壁(バリア)となって、その発生時間を遅らせる、(2)侵入酸素による分解を抑制させる、(3)発生した可燃ガスが無機酸化物層で遮蔽され外部へ揮散しにくく、発火及び分解による可燃ガスの発生を抑制する作用を見出し、本発明に至った。このため、発火、着火、燃焼及び延焼を著しく遅延させ、仮に発火して焼け焦げ状態となっても、無機酸化物層は部分的でも外部との接触を遮断し、酸素の供給を減じ、延焼を防止する。さらに、優れた難燃性のために、熱接着層へ難燃剤を含有させる場合でも、その含有量を減ずることができる難燃化の効果が発現する。従来と同様の十分な絶縁性に優れている上に、環境に対する負荷が少なく環境適性に優れる難燃性を有しているフラットケーブル被覆材及びフラットケーブルが得られる。 上記の課題を解決するために、請求項1の本発明のフラットケーブル被覆材によれば、従来と同様の十分な絶縁性を有し、燃焼、及びその拡大を著しく遅延させ、焼け焦げ状態となっても、部分的には外部との接触を遮断し、酸素の供給を減じ、延焼防止できるフラットケーブル被覆材が提供される。 請求項2〜4の本発明のフラットケーブル被覆材によれば、無機酸化物層が緻密で隙間の少ない可撓性に富む連続層となり、難燃性に優れるフラットケーブル被覆材が提供される。 請求項5〜6の本発明のフラットケーブル被覆材によれば、連続生産で生産性が高く、低コストで、かつ透湿度及び/又は酸素透過度が低く、可燃ガスの発生を抑制する難燃性に優れるフラットケーブル被覆材が提供される。 請求項7の本発明のフラットケーブル被覆材によれば、最表面の無機酸化物層が良好な濡れ性で、補強板などの他の部材を貼着しやすいフラットケーブル被覆材が提供される。 請求項8の本発明のフラットケーブル被覆材によれば、外部との接触を遮断できるので、酸素の供給を遮蔽し、可燃ガスの発生を遅らせ、発生してしまった可燃ガスの放出を遅らせ、着火、延焼を防止できるフラットケーブル被覆材が提供される。 請求項9の本発明のフラットケーブル被覆材によれば、UL規格の「薄肉材料の垂直燃焼試験」に準拠する難燃性評価がVTM−0に相当し、信頼性に優れるフラットケーブル被覆材が提供される。 請求項10の本発明のフラットケーブルによれば、従来と同様の十分な絶縁性を有し、燃焼、及びその拡大を著しく遅延させ、焼け焦げ状態となっても、部分的には外部との接触を遮断し、酸素の供給を減じ、延焼防止性に優れるフラットケーブルが提供される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。 図1は、本発明の1実施例を示す断面図である。 図2は、本発明のフラットケーブルの1実施例を示す断面図である。 図3は、図2のAA断面図である。 図4は、補強板付きフラットケーブルの断面図である。
(基本の構成)本発明のフラットケーブル被覆材10は、基材フィルム11と、必要に応じて直接又はプライマー層13などの他の層を介して、基材フィルム11の一方の面に熱接着層15を有し、他方の面に無機酸化物層35を有する。該無機酸化物層35は、化学気相成長法または物理気相成長法による無機酸化物35の膜層からなり、好ましくは、物理気相成長法による酸化スズ、物理気相成長法による酸化アルミニウム、化学気相成長法による酸化珪素、又は化学気相成長法による一般式SiOxCyで表わされる炭化酸化珪素である。好ましい炭化酸化珪素は一般式SiOxCy、x=0.1〜1.95、y=0.1〜2.0である。また、無機酸化物層35厚さは10〜500nm程度、好ましくは20〜200nmである。好ましい無機酸化物層35表面の表面濡れ性は、0.4〜0.74mN(40〜74dyne/cm)である。
本発明のフラットケーブル1は、複数の導体21を同一平面内で配列した導体列を、本発明のフラットケーブル被覆材10にて両面より被覆してある。即ち、本発明のフラットケーブル1は、少なくとも片方、好ましくは2枚のフラットケ−ブル被覆材10を、それぞれの熱接着層15面を対向させて重ね合わせ、更に、その層間に、複数の金属等の導体21を同一平面内で配列した導体列を介在させる。
本出願人は、既に、環境に対する負荷が少なく、かつ、難燃性を有するフラットケーブル被覆材、及びフラットケーブルを、特願2001−174366号公報、特願2001−274051号公報、特願2001−300519号公報などで提案しているが、いずれも熱接着層へ難燃剤を含有させるものである。難燃性の原理としては、次のような種々なものがある。(1)金属水酸化物のように、燃焼時に水などの分解物を発生し、熱を拡散し温度を下げるもの、(2)臭素系化合物のように、酸素を捕集して酸素を絶つもの、(3)窒素系化合物のように、燃焼時の燃焼カス被膜が表面を覆って酸素を絶ち、また、分解物が拡散しないもの、などがある。 そこで、本発明者は、従来の熱接着層へ難燃剤を含有させるものから、発想を転換し、基材フィルム11の熱接着層の反対面へ無機酸化物層35を設けることで、難燃性の機能が発現することを見出して、本発明に至ったものである。また、高度な難燃性のために、熱接着層へ難燃剤を含有させる場合でも、その含有量を減ずることができる。
該無機酸化物層35はフラットケーブルの最表面となり、その耐熱性は数百度〜千度以上であり、しかも不燃材料である。このため、燃焼時に炎に曝されても、自らは着火して燃焼せず、高熱に耐える防火壁の機能を発揮することで、難燃性を高める。内層の基材フィルムや熱接着層は次第に加熱されて、可燃ガスを発生するが、該無機酸化物層の優れた気体遮蔽性により、その発生時間を遅らせ、外部からの酸素の供給を防ぎ、そして、着火、燃焼、及びその拡大を著しく遅延させることができる。さらに、内層の基材フィルムや熱接着層が軟化、分解、可燃ガスの発生、溶融、着火、燃焼、延焼(この順は材料、その構成、燃焼状態によって異なる)と進んで、基材フィルムや熱接着層と混然一体となった焼け焦げ状態となっても、部分的には外部との接触を遮断し、酸素の供給を減じ、延焼防止する。
(難燃性)即ち、無機酸化物層/基材フィルム/熱接着層からなるフラットケーブル被覆材は、基材フィルム/熱接着層からなるフラットケーブル被覆材と比較して、容易にUL−94規格の「薄肉材料の垂直燃焼試験」VTM−0相当の難燃性を発現することができる。 同時に、2枚の無機酸化物層/基材フィルム/熱接着層からなるフラットケーブル被覆材を、熱接着層面同志を重ね合わせて加圧した熱ロール間を通過させて熱ラミネートして得られるラミネート体(フラットケーブルに相当する)は、難燃性に優れ、さらにUL規格VW−1相当の難燃性を発現させることができる。
また、別の難燃性の評価として、酸素指数32.0の条件下で燃焼試験を行い、燃焼時間、燃焼距離を測定したところ、連続延焼時間、燃焼距離は、無機酸化物層35によってそれぞれ短時間、短距離となり、難燃性が向上が認められた。その連続燃焼時間は25秒以下、連続燃焼距離は25mm以下が好ましい。連続燃焼時間の短縮から燃焼速度の低下効果があり、また、連続燃焼距離の短縮から自己消火性が向上していることが、明らかである。
(透湿度、酸素透過度)フラットケーブル最表面の無機酸化物層35は、加熱されたフラットケーブルから発生する可燃ガス、及び外部からの酸素を透過させず、発火、着火、燃焼、及び延焼を遅延させるために、これらの物質を透過させないことが重要である。このために、透過性の指標であるフラットケーブル被覆材としての透湿度が15g/m224h(38℃、100%RH)以下、及び/又は酸素透過度が15cm3/m224hatm(25℃、90%RH)以下程度、好ましくは透湿度が10g/m224h(38℃、100%RH)以下、及び/又は酸素透過度が10cm3/m224hatm(25℃、90%RH)以下である。 これ以上では、可燃ガスや酸素の透過率が高く、着火、燃焼、及び延焼を遅延させるためには、不充分である。なお、透湿度はJIS K−7129に準拠し、酸素透過度はJIS K−7126に準拠する。
基材フィルム11として難燃性のポリイミド系フィルムを用いた従来法もあるが、ポリイミド系フィルムは極めて高価で実用性に乏しい。本発明は、基材フィルム11として可燃性のポリエステル系フィルムなどの汎用フィルムを用いても、難燃性を発現できる。また、本発明と、従来の難燃剤を含有させた熱接着層15とを併用してもよく、この場合には、熱接着層15へ含有させた難燃剤の量を減じ、または、より環境適性のよいハロゲン、リン、アンチモンなどの元素を含まない難燃剤を用いることができる。
(基材フィルム)次に、本発明に用いる材料について、説明する。 まず。基材フィルム11としては、機械的強度に優れ、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性、電気絶縁性等があれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート‐イソフタレート共重合体、テレフタル酸‐シクロヘキサンジメタノール‐エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂、セロファン、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、ニトロセルロースなどのセルロース系フィルム、ポリカ−ボネ−トなどが適用できる。
該基材フィルム11は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイでを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材フィルム11は、通常機械的強度、耐熱性、絶縁性、コスト等の面から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンテレフタレートが好適に使用でき、ポリエチレンテレフタレートが最適である。 樹脂フィルムは、必要に応じて、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料が適用できる。帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤などや、ポリアミドやアクリル酸誘導体などが適用できる。
該基材フィルム11の厚さは、通常は5μm〜200μmが適用でき、10μm〜100μmが好適である。厚さが5μm未満であると機械的強度が不足し、また、プライマ層13、熱接着層15などを形成する適性が減ずる。厚さが200μm以上では可撓性が不足し摺動性が悪化するので、このような厚さにすることにより、本発明のフラットケーブル被覆材10に必要とされる強度を付与することができるとともに、該フラットケーブル被覆材10に良好な可撓性を付与することができる。
(基材フィルムの表面処理)基材フィルム11の一方の面へ無機酸化物層35を設けるが、基材フィルム11の無機酸化物層35を設ける面には、後述する無機酸化物膜との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層33(易接着処理ともいう)、又はプラズマなどによる清浄化処理を行ってもよい。該表面処理層33としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。また、プライマ−コ−ト剤層、アンダ−コ−ト剤層、アンカ−コ−ト剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカ−コ−ト剤層等を任意に形成して、表面処理層33とすることもできる。上記の前処理のコ−ト剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノ−ル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
(無機酸化物層)次に、無機酸化物層35について説明する、該無機酸化物の形成方法としては、例えば、化学気相成長法、物理気相成長法、又はゾルゲル法などが適用できる。あるいはそれらを併用して、無機酸化物の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成してもよい。
(ゾルゲル法)ゾルゲル法は、公知の方法でよく、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどの珪素アルコキシドを加水分解した酸化珪素ゾルや、アルミニウムイソプロポキシド、チタンブトキシド、チタンイソプロポキシド、ジルコニアプロポキシドなどの金属アルコキシドを加水分解した金属酸化物ゾルなどを、ロールコーティング、コンマコーティング、グラビアコーティング法などのコーティング法などで、塗布し乾燥すればよい。
(化学気相成長法CVD)上記の化学気相成長法による無機酸化物層について更に説明する。該化学気相成長法による無機酸化物膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等適用できる。具体的には、基材フィルム11の一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素、炭化酸化珪素等の無機酸化物膜を形成する。低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが好ましい。
図5は、本発明で好適に使用できるCVD装置の説明図である。 該低温プラズマ化学気相成長法(プラズマCVDという)による無機酸化物膜の形成法について、好適に使用できるその一例を説明する。プラズマCVD装置200としては、真空容器210、ガス供給部、真空ポンプ、電源、及び図示しない制御装置からなり、真空容器210は、給紙部211、成膜部213、及び巻取部215からなっている。成膜部213は、成膜する無機酸化化物に応じて、例えばa室221、b室223、c室225などの複数の部屋からなる。 真空容器210内の給紙部211に配置された巻き出しロ−ルから基材フィルム11を繰り出し、ガイドロ−ルを介して所定の速度で冷却、電極ドラム231周面上に搬送する。ガス供給部は、ガス供給装置及び原料揮発供給装置等から、酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等のモノマ−ガス、その他等を供給し、それらの単独又は混合ガス組成物を調整しなから真空容器210内へ導入する。
図5では3種のガスを用いる例を示し、原料供給ノズル251、253、255を通して真空容器210内にガス組成物を導入する。上記冷却、電極ドラム221周面上に搬送された基材フィルム11へ、グロ−放電プラズマによって発生させたプラズマを照射して、酸化珪素等の無機酸化物膜を製膜化(形成)する。その際に、冷却、電極ドラム221と、a室電極251、b室電極253、及びc室電極255には、真空容器210の外に配置されている電源から所定の電力が印加されており、また、冷却、電極ドラム221の近傍には、マグネットなどをを配置してプラズマの発生を促進してもよい。次いで、上記で無機酸化物膜を形成した基材フィルム11は、ガイドロ−ルを介して巻き取って、プラズマCVD法による無機酸化物膜を形成できる。また、無機酸化物膜としては、無機酸化物膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物膜を構成することもできる。
真空容器内は真空ポンプにより減圧し、真空度1.33×101Pa〜1.33×10-6Pa(1×10-1〜1×10-8Torr)位、好ましくは、真空度1.33×10-1Pa〜1.33×10-5Pa(1×10-3〜1×10-7Torr)位に調製することが好ましい。 また、原料揮発供給装置は、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガスなどの単独、又は混合させた混合ガスを原料供給ノズルを介して真空容器内に導入されるものである。この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却、電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空容器内の原料供給ノズルの開口部と冷却、電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、基材フィルム11を一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却、電極ドラム周面上の基材フィルム11の上に、酸化珪素等の無機酸化物膜を形成することができる。なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1.33×101Pa〜1.33×10-2Pa位、好ましくは、真空度1.33×101Pa〜1.33Pa位に調製することが望ましく、また、基材フィルム11の搬送速度は、10〜300m/分程度、好ましくは50〜150m/分が好ましく、巻取り状で連続作業ができるので、生産性が高く低コストとできる。
また、プラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の無機酸化物膜の形成は、基材フィルム11の上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOxの形で薄膜状に形成する。該形成される酸化珪素等の無機酸化物膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の無機酸化物膜は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の無機酸化物膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分な難燃性を得ることができる。また、本発明においては、SiOxプラズマにより基材フィルム11の表面が、清浄化され、基材フィルム11の表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の無機酸化物膜と基材フィルム11との密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。更に、上記のように酸化珪素等の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1.33×101Pa〜1.33×10-2Pa位、好ましくは、1.33×101Pa〜1.33Pa位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の無機酸化物膜を形成する時の真空度、1.33×10-2Pa〜1.33×10-3Pa位比較して低真空度であることから、基材フィルム11を原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定し、生産効率も高められる。
(酸化珪素の無機酸化物膜)本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される酸化珪素の無機酸化物膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、基材フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOx(ただし、xは0.1〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。該酸化珪素の無機酸化物膜としては、透明性、難燃性等の点から、一般式SiOx(ただし、xは1.3〜2の数を表す。)で表される酸化珪素の無機酸化物膜を主体とする薄膜であることが好ましい。xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギー等により変化するが、一般的に、xの値が小さくなれば膜自身は緻密になるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
また、酸化珪素膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有してもよい。例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。具体例を挙げると、CH3部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3シリル、SiH2シリレン等のハイドロシリカ、SiH2OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の無機酸化物膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
上記の化合物が、酸化珪素膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の無機酸化物膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなどにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、難燃性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、難燃性が低下して好ましくない。さらに、本発明においては、酸化珪素膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の無機酸化物膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の無機酸化物膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、基材フィルムとの界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、基材フィルムと酸化珪素膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
(一般式SiOxCy)好ましい酸化珪素膜は、酸化珪素を主体としさらに、炭素元素を含有するものである。その一般式SiOxCyにおいて、炭素が少ない(y値が小さい)場合には基材フィルムとの密着性に欠け、炭素が多い(y値が大きい)場合には透湿度、酸素透過度が大きくなって難燃性が低下するので、一般式SiOxCyにおいて、x=0.1〜1.95、y=0.1〜2.0とすることが好ましい。
酸化珪素などの無機酸化物膜の組成について、例えば、光電子分光光度計、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングする等して分析する方法を利用して、酸化珪素膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の無機酸化物膜の膜厚としては、膜厚10〜500nm程度、好ましくは20〜200nmである。この範囲以上では、その膜にクラック等が発生し易く、また、この範囲未満では、難燃性の効果を奏することが困難になる。
酸化珪素などの無機酸化物膜の膜厚は、無機酸化物膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマーガスと酸素ガス量を多くする方法や基材の走行速度を遅くする方法等によって行うことができ、適宜選択すればよい。その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いてファンダメンタルパラメーター法、JOBIN YVON社製のエリプソメーターUVISELTM(商品名)などで測定することができる。
次に、酸化珪素等の無機酸化物膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、又はヘキサメチレンジシロキサンなどを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
(物理気相成長法PVD)物理気相成長法による無機酸化物膜について更に詳しく説明する。物理気相成長法による無機酸化物膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical VaporDeposition法、PVD法)を用いて無機酸化物膜を形成することができる。本発明において、具体的には、金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを基材フィルムの一方の上に蒸着する真空蒸着法、または、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて基材フィルムの一方の上に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて無機酸化物膜を形成することができる。上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
物理気相成長法による無機酸化物の薄膜膜を形成する方法について、その具体例な1例を挙げる。巻取式真空蒸着装置の真空チャンバーの中で、巻き出しロ−ルから繰り出された基材フィルム11は、ガイドロ−ルを介して、冷却したコ−ティングドラムに導かれる。該基材フィルム11の上に、るつぼで熱せられた蒸着源、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスクを介して、例えば、酸化アルミニウム等の無機酸化物膜を成膜化(形成)し、次いで、ガイドロ−ルを介して送り出し、巻き取りロ−ルに巻き取る。なお、巻取式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物膜の上に、更に、無機酸化物膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物膜を形成することができる。
(酸化スズ)酸化スズの無機酸化物膜の形成は、酸化スズ、若しくは金属スズを酸素ガス中で、製膜(形成or化学反応)し、その反応生成物が、基材フィルムの一方の面に密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SnOx(ただし、xは0.1〜2の数を表す)で表される酸化スズを主体とする連続状の薄膜である。
(無機酸化物膜)該無機酸化物膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の無機酸化物膜を使用することができ、好ましくは、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物である。無機酸化物膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOx、AlOx、MgOx等のようにMOx(ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。また、上記のxの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0.1〜2、アルミニウム(Al)は、0.1〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0.1〜1、カルシウム(Ca)は、0.1〜1、カリウム(K)は、0.1〜0.5、スズ(Sn)は、0.1〜2、ナトリウム(Na)は、0.1〜0.5、ホウ素(B)は、0.1〜1、5、チタン(Ti)は、0.1〜2、鉛(Pb)は、0.1〜1、ジルコニウム(Zr)は0.1〜2、イットリウム(Y)は、0.1〜1.5の範囲の値をとることができる。なお、上記式において、x=0の場合は完全な金属であり、透明ではなく使用することができない、また、xの範囲の上限は完全に酸化した値である。好ましい本発明の金属酸化物としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)の酸化物が好ましく、xの値としては、例えばケイ素(Si)であれば1.0〜2.0が、アルミニウム(Al)であれば0.5〜1.5が、スズ(Sn)であれば1.0〜2.0の範囲のものを使用することができる。
本発明において、上記のような無機酸化物膜の膜厚としては、使用する金属、または金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、10〜500nm程度、好ましくは200〜200nmの範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。また、本発明においては、無機酸化物膜としては、使用する金属、または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物膜を構成することもできる。
(無機酸化物の表面処理)無機酸化物層35の表面は、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマ層(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、又はアルカリ処理などの易接着のための表面処理37を行ってもよい。好ましくはプラズマ処理、より具体的には酸素プラズマ処理である。
2枚のフラットケーブル被覆材10で、それぞれの熱接着層15で導体21を両面から覆い熱接着し積層することでフラットケーブル1となる。該フラットケーブル1の両端部には他の機器へ電気的に接続する端子部が設けられる。該端子部は、1枚又は2枚のフラットケーブル被覆材1が除去されて導体21が露出される。しかしながら、導体21は、厚さが薄く、幅が狭く強度がないことが多いので、図4に示すように、補強板41を設ける。 補強板41で、フラットケーブル1の端末及び端子部を補強する方式としては、両窓タイプ、及び、片窓タイプと呼ばれる方式があるが、いずれにでもよい。両窓タイプは、従来の接着層が導体へ接着しないために、端末部へ接続するときに、フラットケーブル被覆材10から導体21を口出した端末を補強する方式である。また、片窓タイプは、従来の接着層でも導体に接着する場合に、導体を口出した端末の片側のフラットケーブル被覆材10の基材の上を補強する方式である。
該補強板41は補強板基材と接着剤からなり、該接着剤面がフラットケーブル1の最外層である無機酸化物層35と加熱加圧され密着される。しかし、無機酸化物層表面の濡れ性は、通常0.35mN以下で、補強板41との密着性が不足する。そこで、無機酸化物層の表面を処理して、良好な濡れ性とし、補強板41などの他の部材を貼着しやすくできる。好ましい無機酸化物層表面の表面濡れ性は、0.4〜0.74mN(40〜74dyne/cm)である。この範囲未満では密着性が不足し、この範囲で密着性は充分であり、この範囲を超えても過剰で処理コストが高くなる。表面濡れ性は、JIS K−6768に準拠して標準濡れ試薬(和光純薬工業社製)を用いて行う。
次に、基材フィルム11の無機酸化物層35と反対面へ、熱接着層15を設ける。また、基材フィルム11の熱接着層15を設ける面へ、必要に応じて、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマ層(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。好ましくはプライマ層13である。
(プライマ層)該プライマ層13としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンと酢酸ビニル或いはアクリル酸などとの共重合体、エポキシ樹脂などが適用できる。
これらの樹脂を、適宜溶剤に溶解または分散して塗布液とし、これを基材フィルム11面へ、公知の印刷法又はコーティング法で塗布し乾燥して、プライマー層13とする。該プライマー層13の厚さは0.05〜5μm程度、好ましくは0.1〜2μmである。プライマー層12Aによって、基材フィルム11と熱接着剤13は強固に接着して、電子機器への使用時の摺動に耐えて、層間の剥離などを抑制して、絶縁性、耐久性を向上するためのものである。
(熱接着層)次に、基材フィルム11、又は、必要に応じて設けたプライマー層13面へ熱接着層15を設ける。熱接着層15は、柔軟性に富み、かつプライマー層13および導体21とのヒ−トシ−ル性を有していることが必要である。かかる熱接着層13は、その層間に金属などの導体を挟持させることができて、かつ、加熱ロールまたは加熱板などによる加熱加圧により軟化して溶融し、相互に強固に熱融着し、かつ、導体との密着性に優れているとともに導体をその中に空隙を発生させずに埋め込めることが必要である。
該熱接着層15は、通常、合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が50〜80質量%とを含む組成物からなる。難燃性の性能からは、難燃剤成分が多いほど良いが、難燃剤が多いと合成樹脂成分が少なくなって、熱接着層15を形成加工する際に成膜することができず、また、必要な接着性能が得られない。難燃性があり、加工性の良い組成としては、合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が50〜80質量%である。しかしながら、本発明では難燃剤成分の含有量を減ずることができ、合成樹脂成分が30〜100質量%と難燃剤成分が0〜70質量%程度、好ましくは合成樹脂成分が40〜100質量%と難燃剤成分が0〜60質量%程度である。
熱接着層15を構成する材料としては、例えば、アイオノマ−樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂などが適用できる。
熱接着層15の樹脂としては、導体とのヒートシ−ル性、および難燃剤の混入のし易さから、ポリエステル系樹脂を好適に使用することができる。該ポリエステル系樹脂は、飽和共重合ポリエステル樹脂であって、ガラス転移点が−50℃〜80℃で、かつ重量平均分子量が7000〜50000の範囲の樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるものが好適である。また、ガラス転移点が比較的低く柔軟性に富むポリエステル系樹脂と、ガラス転移点の比較的高く耐熱性に富むポリエステル系樹脂とを、配合して使用しても良い。さらに、非晶性のポリエステル系樹脂と結晶性のポリエステル系樹脂を、適宜、配合して使用しても良い。
(難燃剤)熱接着層15への難燃剤の含有は、必要に応じて含有させればよく、含有させる場合の難燃剤としては、塩素系、臭素系などのハロゲン系化合物、金属粉、水和金属化合物、酸化金属化合物などの金属化合物、リンおよびリン系化合物、窒素系化合物などが適用できるが、好ましくは環境への配慮から、ハロゲン系化合物、リン及びリン系化合物、アンチモン及びアンチモン系化合物を含まない難燃剤である。これら難燃剤の粒子の平均粒径としては、一次粒子として、0.01〜100μm程度で、好ましくは0.01〜40μmである。平均粒径が40μmを超えると、合成樹脂への分散性が悪くなり、合成樹脂の物性を低下させる場合がある。
塩素系化合物は、例えば、塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルシクロペンタデカン、無水ヘット酸、クロルエンド酸などがある。 臭素系化合物は、例えば、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、デカブロモジフェニルオキサイド(DBDPO)、ヘキサブロモシクロデカン(HBCD)、オクタブロモジフェニルオキサイド(OBDPO)、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン(BTBPE)、トリブロモフェノール(TBP)、エチレンビステトラブロムフタルイミド、TBAカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、TBAエポキシオリゴマー、TBAエポキシポリマー、エチレンビスペンタブロモジフェニル、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモエタン、デカブロモビフェニールエーテル、テトラブロモ無水フタール酸、トリブロモフェニルマレイミド、テトラブロモペンタエリスリトール、トリス(ペンタブロモベンジル)イソシアヌレート、臭化アンモニウムなどがある。
リンおよびリン系化合物は、例えば、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、トリアリルホスフェート、アルキルアリルホスフェート、アルキルホスフェート、ホスフォリネート、ジメチルホスフォネート、ハロゲン化ホスフォリネートエステル、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロムクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)2,3−ジクロロプロピルホスフェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフェート、ポリフォスホネート、ポリフォスフェート、芳香族ポリフォスフェート、ジブロモネオペンチルグリコールなどのリン酸エステルまたはリン化合物、フォスホネート型ポリオール、フォスフェート型ポリオール、含ハロゲンポリオールなどのポリオール化合物、などがある。
窒素系化合物は、例えば、尿素、メラミン誘導体を含むトリアジン環含有化合物などがある。トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン(シアヌル酸トリアミド)、アムメリン(シアヌル酸ジアミド)、アムメリド(シアヌル酸モノアミド)、硫酸メラミン、ピロリン酸メラミン、硫酸グアニルメラミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3‐ヘキシレンジメランミン、ホモグアナミン、硫酸アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、メラミンシアヌレート(メラミンとシアヌール酸との縮合)、イソシアヌレート、メラム、硫酸メラム、硫酸メレム、メラミン樹脂などがある。
水和金属化合物は、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛などがある。水和金属化合物の樹脂への添加量は、合成樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましい。0.1質量部未満の場合は難燃性が急激に低下し、5質量部を超える場合には、難燃性は得られるが合成樹脂の色相悪化をもたらす。酸化金属化合物は、例えば、三酸化アンチモン、三塩化アンチモン、五酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンチモン、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、モリブデン酸アンチモン、酸化モリブデン、金属のリンー窒素化合物、スズ酸亜鉛、酸化モリブデン酸、酸化スズ、酸化ホウ素、二酸化珪素、酸化銅、酸化ジルコニウムなどがある。
金属は、例えば、金属銅紛などがある。金属化合物は、例えば、カルシウムーアルミニウムシリケート、ジルコニウム化合物、ドーソナイト、アルミン酸カルシウム水和物、炭酸カルシウムなどがある。その他は、例えば、その他、シリコーン系ポリマー、フェロセン、フマール酸、マレイン酸、スルファミン酸などがある。これらは、単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。また、組成物には、必要に応じて、充填剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、発泡剤、可塑剤などを添加してもよい。
さらに、近年、地球レベルで環境を保護するために、有害物質は使用規制される傾向にあり、フラットケーブル1に使用する材料についても、有害物質の使用を極力避けるべきである。例えば、臭素系難燃剤であるデカブロモジフェニルエーテル(DBDPO)、及び塩素系の難燃剤は、燃焼条件によっては、ダイオキシン又はダイオキシン関連物質が生成する恐れがあり、その使用規制が望まれている。また、アンチモンは、発ガン性の恐れがあると言われている。これらの難燃剤を含有するフラットケーブル被覆材では、該フラットケーブル被覆材を用いたフラットケーブルが電子機器とともに使用後廃棄された後に、何らかの要因で難燃剤が環境に漏洩したり、人体に取り込まれて健康を害する恐れがある。従って、非ハロゲン系難燃剤を使用することが好ましく、さらに好ましくは、非リン系、非アンチモン系の難燃剤を使用することである。
本発明の熱接着層15には、本発明の効果に影響のない範囲で、さらに種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属腐食防止剤、着色剤(顔料、染料)、ブロッキング防止剤、樹脂と難燃剤との間の凝集力を上昇させる各種カップリング剤、架橋剤、架橋助剤、充填剤、帯電防止剤、難燃触媒を適宜添加してもよい。例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の体質顔料または白色顔料、その他の無機化合物の粉末、ガラスフリット、フッ素系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、その他等を使用することができる。なお、本発明においては、上記の体質顔料または白色顔料において、酸化チタンまたは酸化亜鉛等のものは、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム等のものと比較して、その粒子径が小さいことから、フラットケ−ブル被覆材をロ−ル状の製品形態で在庫中でのブロッキング防止剤としての機能をも奏するという利点を有している。
(熱接着層の形成)次に、本発明においては、上記のような柔軟性に富み、かつ、ヒ−トシ−ル性を有する樹脂の一種ないしそれ以上を主成分とし含有し、更に、必要に応じて、上記のような難燃剤の一種またはそれ以上を加え、更に、必要ならば、その他の添加剤を任意に加え、熱接着層樹脂組成物を得る。
該熱接着性樹脂組成物へ、例えばトルエン、酢酸エチル、アルコ−ル類、メチルエチルケトン等の溶剤、希釈剤等にて十分に混練して可溶化または分散化して熱接着層15組成物インキを製造する。該熱接着層13組成物インキを用いて、これを、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコ−ト、キスコート、ナイフコート、ダイコート、コンマコート、フローコート、スプレーコートなどの公知のコ−ティング方式で塗布し乾燥して、厚さ15〜150μm(乾燥時)程度の難燃剤を含有するヒ−トシ−ル性の熱接着層13を形成することができる。
あるいは、熱接着性樹脂組成物を、加熱し溶融させてダイスから押出しによる公知のコーティング方式(イクストルージョンコーティング法、Tダイ法ともいう)にて、基材フィルム11へ積層して、厚さ15〜150μm程度の難燃剤を含有するヒ−トシ−ル性の熱接着層13を形成することができる。この場合、基材フィルム11面へ、アルキルチタネート、ポリエチレンイミンなどのアンカーコート層を設けてることが好ましく、基材フィルム11と熱接着剤13は強固に接着して、電子機器への使用時の摺動に耐えて、層間の剥離などを抑制して、絶縁性、耐久性を向上する。
本発明のフラットケーブル1は、図2及び図3に図示するように、複数の導体21を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材10にて両面より被覆してある。本発明においては、これまで説明してきたフラットケーブル被覆材10を使用し、少なくとも片方、好ましくは2枚の該フラットケ−ブル用被覆材10を、その熱接着層13面を対向させて重ね合わせ、更に、その層間に、複数の金属等の導体21を同一平面内で配列した導体列を介在させる。
しかる後に該フラットケ−ブル用被覆材10、導体21を加熱加圧してヒ−トシ−ルすることにより、該フラットケ−ブル用被覆材10を構成するヒ−トシ−ル性の熱接着層15と導体21とを密接着させ、更に、対向した熱接着層15自身も相互に接着する。このようにして、2枚の対向したフラットケ−ブル被覆材10と導体21とが密着し接着して、導体21が熱接着層15へ埋め込まれて一体化したフラットケ−ブル1を製造することができる。
(SiOxの例)厚さ25μmのPETフィルムGEC−23(帝人デュポンフィルム社製、商品名)をプラズマ化学気相成長装置の送出ロ−ルに装着し、次いで、下記に示す蒸着条件で、前記PETフィルムのコロナ処理面に、厚さ20nmの酸化珪素の無機酸化物膜を形成した。
、蒸着条件としては、蒸着面;コロナ処理面、導入ガス量;ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.0:3.0:3.0(単位:slm)、真空チャンバ−内の真空度;2.7〜8.0×10-4Pa、蒸着チャンバ−内の真空度;2.7〜6.7×10-1Pa、冷却、電極ドラム供給電力;10kW
ライン速度;100m/minとした。
次に、PETフィルムの酸化珪素の無機酸化物膜の反対面へ、下記のプライマ層組成物インキをグラビアロ−ルコ−ト方式により、膜厚0.8g/m2(乾燥状態)になるように塗布し、乾燥してプライマ層を形成した。
、プライマ層組成物インキとしては、ガラス転移点40℃のポリエステル樹脂とポリオ−ル系ウレタン樹脂(固形分質量比1:1、水酸基価=10mgKOH/g)をメチルエチルケトン/トルエン=1/1からなる混合溶剤に溶解させてA液を調製し、トリレンジイソシアネ−トとヘキサメチレンジイソシアネ−トとをメチルエチルケトン/トルエン=1/1からなる混合溶剤に溶解させてB液を調製し、次いで、A液とB液とをフィルム状基材に塗布する直前に混合して用いた。
続いて、プライマ層上へ、下記の熱接着層組成物インキを用いて、ダイコ−タ−にて、膜厚25.0g/m2(乾燥状態)になるように塗布し、次いで、乾燥して熱接着層を形成して、実施例1のフラットケーブル被覆材を得た。
、熱接着層組成物インキとしては、樹脂成分として、ガラス転移点−30℃のポリエステル樹脂24質量%とガラス転移点5℃のポリエステル樹脂5質量%とガラス転移点80℃のポリエステル樹脂1質量%とを使用し、フィラ−成分として酸化チタンとシリカ9質量%を使用し、更に、ポリエステル系可塑剤1質量%を使用し、それらをメチルエチルケトン/トルエン=1/1からなる混合溶剤に溶解分散させて調製した。
(SiOxの変形例)蒸着無機酸化物膜、熱接着層については、表1に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例1と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(SiOxの変形例)蒸着無機酸化物膜、熱接着層については、表1に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例1と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(SiOxの変形例)蒸着無機酸化物膜、熱接着層については、表1に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例1と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(SiOxの変形例)蒸着無機酸化物膜、熱接着層については、表1に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例1と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(SiOxの変形例)蒸着無機酸化物膜、熱接着層については、表1に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例1と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
Figure 2004214168
(AlOxの被覆材の例)酸化珪素の無機酸化物膜の代わりに、下記の無機酸化物膜を用いる以外は実施例1と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
、無機酸化物膜としては、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚20nmの酸化アルミニウムの無機酸化物膜を形成した。
、蒸着条件としては、蒸着チャンバ−内の真空度:2.7×10-2Pa、巻き取りチャンバ−内の真空度:2.7Pa、電子ビ−ム電力:25kW、フィルムの搬送速度:240m/分、蒸着面:コロナ処理面とした。
(AlOxの被覆材の変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表2に示す材料を表に示す数値からなる使用量(質量部)にて使用する以外は実施例7と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(AlOxの被覆材の変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表2に示す材料を表に示す数値からなる使用量(質量部)にて使用する以外は実施例7と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(AlOxの被覆材の変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表2に示す材料を表に示す数値からなる使用量(質量部)にて使用する以外は実施例7と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(AlOxの被覆材の変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表2に示す材料を表に示す数値からなる使用量(質量部)にて使用する以外は実施例7と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(AlOxの被覆材の変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表2に示す材料を表に示す数値からなる使用量(質量部)にて使用する以外は実施例7と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
Figure 2004214168
(SnOxの例)酸化珪素膜の替わりに、下記の無機酸化物膜を用いる以外は実施例1と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
、無機酸化物膜としては、酸化スズを蒸着源に用いて、エレクトロンビ−ム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚20nmの酸化スズの無機酸化物膜を形成した。
、蒸着条件としては、蒸着チャンバ−内の真空度:2.7×10-4Pa、巻き取りチャンバ−内の真空度:2.7×10-1Pa、電子ビ−ム電力:25kW、フィルムの搬送速度:200m/分、蒸着面:コロナ処理面とした。
(SnOxの変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表3に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例13と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(SnOxの変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表3に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例13と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(SnOxの変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表3に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例13と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(SnOxの変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表3に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例13と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
(SnOxの変形例)無機酸化物膜、熱接着層については、表3に示す材料を、表に示す数値からなる使用量(質量部)にて、使用する以外は実施例13と同様にして、フラットケーブル被覆材を得た。
Figure 2004214168
なお、表1〜3中の臭素系難燃剤は臭素化エチレン系難燃剤(アルベマ−ル社製、商品名 SAYTEX 8010)を、三酸化アンチモンは(日本精鉱株式会社製、商品名 パトックスM)を、水酸化アルミニュウムは、(昭和電工株式会社製、商品名 ハイジライトH32)を用いた。
(評価)上記の実施例1〜18のフラットケーブル被覆材10を、絶縁性及び難燃性で評価した。 絶縁性の評価方法は、フラットケーブル被覆材10の絶縁性を表面抵抗で評価した。表面抵抗はハイレスタUP「三菱化学社製、商品名」を用いて、22℃、相対湿度が40%の条件で測定し、表面抵抗値が108〜1013Ωの範囲を合格とし、合格を「○」、不合格の場合を「×」で表わし、表1〜3の下欄の「絶縁性」欄に併記した。 難燃性の評価は、フラットケーブル被覆材10をUL94規格に準じて測定しVTM−0相当を合格「○」とし、相当しないものを不合格「×」とした。なお、合格「○」ではないが無機酸化物層を設けていない同仕様のフラットケーブル被覆材より難燃性の高い場合を「△」で表わし、表1〜3の下欄の「難燃性」欄に併記した。
表1〜3に示すように、実施例1〜18では、絶縁性、及び難燃性が合格範囲であった。実施例5、6、11、12、17、18では絶縁性はよかったが、難燃性は「△」であった。特に実施例6、12、18では無機酸化物層に若干のクラックの発生が見られた。
(フラットケーブルの実施例)実施例1のフラットケーブル被覆材を用いて、フラットケーブルを製造する。スズメッキ軟銅導体(厚さ50μm、幅0.8mm)を17本を平行に並べ、巾60cm、長さ100cmからなるそれぞれ2枚のフラットケーブル被覆材10の熱接着層が向かい合うようにして、150℃に加熱した金属ロールとゴムロールとの間を3m/minのスピードで通過させて加熱加圧して、フラットケーブルを製造した。該フラットケーブルは、UL規格VW−1相当であった。
(フラットケーブルの実施例)実施例7のフラットケーブル被覆材を用いる以外は実施例19と同様にして、フラットケーブルを得た。該フラットケーブルは、UL規格VW−1相当であった。
(フラットケーブルの実施例)実施例13のフラットケーブル被覆材を用いる以外は実施例19と同様にして、フラットケーブルを得た。該フラットケーブルは、UL規格VW−1相当であった。
次に、SiOxCyの実施例について、説明する。
なお、無機酸化物膜の成膜装置は、図5に示すプラズマCVD装置を用いた。なお、ガス流量単位sccmは、standard liter cm per minuteで、HMDSOはヘキサメチレンジシロキサンである。
また、無機酸化物膜の組成分析は、光電子分光光度計ESCALAB220i−XL(VG Scientific社製、商品名)を用い、下記の分析条件で行った。分析条件は、X線源:MgKα(非単色化X線)、X線出力:15kV、20mA(300W)、測定領域:500μmφ、帯電中和:なし、Ar+イオンスパッタエッチング実施(Ar+イオンスパッタ、イオン種:Ar+、加速電圧:3keV、エミッション電流:7.5mA、MAGNIFICATION:2mm×2mm)である。 膜厚測定は、エリプソメーターUVISELTM(JOBIN YVON社製、商品名)を用いて行った。
表面濡れ性は、JIS K−6768に準拠して標準濡れ試薬(和光純薬工業社製)を用いて行った。 透湿度の測定方法は、JIS K−7129に準拠し、測定条件38℃100%RHにて行った。 酸素透過度の測定方法は、JIS K−7126に準拠し、測定条件25℃90%RHにて行った。 難燃性はUL規格の「薄肉材料の垂直燃焼試験」に準拠して評価し、VTM−0相当であれば合格「○」とし、それ以外のVTM−1、VTM−2相当あるいは合格「○」ではないが、無機酸化物層を設けていない同仕様のフラットケーブル被覆材より難燃性の高い場合を「△」、そして無機酸化物層を設けていない同仕様のフラットケーブル被覆材に比して難燃性の有意差が見られ無い場合を不合格「×」とした。なお、で表わした。 また、燃焼時間、燃焼距離は、2枚の無機酸化物層/基材フィルム/熱接着層からなるフラットケーブル被覆材枚を、熱接着層面同志を重ね合わせて加圧した熱ロール間を通過させて熱ラミネートした。該ラミネート体を、酸素指数32.0の条件下で、燃焼時間、燃焼距離を測定した。
(SiOxCyの例)基材として厚さ23μmのPETフィルム上に、プラズマCVD装置を用いて、下記の条件でSiOxCy膜を連続成膜した。該膜は、SiOxCy(x=1.60、y=0.60)で、膜厚20nm、表面濡性0.32mN(32dyne/cm)の膜で、成膜温度30℃でPETフィルム上に形成でき、成膜後のPETフィルム自体も伸び、変形も無く良好な状態であった。透湿度は1.1g/m224hで、酸素透過度は1.5cm3/m224hatmであった。
(成膜条件)印加電力 2.0kW
成膜圧力 40Pa
HMDSO流量 0.2slm
酸素ガス流量 0.6slm
ヘリウムガス流量 0.6slm
成膜用ドラム表面温度(成膜温度) 30℃
フィルム走行スピード 5m/min
次に、PETフィルムのSiOxCy膜の反対面へ、下記のプライマ層組成物インキをグラビアロ−ルコ−ト方式により、膜厚0.8g/m2(乾燥状態)になるように塗布し、乾燥してプライマ層を形成した。
、プライマ層組成物インキとしては、ガラス転移点40℃のポリエステル樹脂とポリオ−ル系ウレタン樹脂(固形分質量比1:1、水酸基価=10mgKOH/g)をメチルエチルケトン/トルエン=1/1からなる混合溶剤に溶解させてA液を調製し、トリレンジイソシアネ−トとヘキサメチレンジイソシアネ−トとをメチルエチルケトン/トルエン=1/1からなる混合溶剤に溶解させてB液を調製し、次いで、A液とB液とをフィルム状基材に塗布する直前に混合して用いた。
続いて、プライマ層上へ、下記の熱接着層組成物インキを用いて、ダイコ−タ−にて、膜厚25.0g/m2(乾燥状態)になるように塗布し、次いで、乾燥して熱接着層を形成して、実施例22のフラットケーブル被覆材を得た。
、熱接着層組成物インキとしては、樹脂成分として、ガラス転移点−30℃のポリエステル樹脂24質量%とガラス転移点5℃のポリエステル樹脂5質量%とガラス転移点80℃のポリエステル樹脂1質量%とを使用し、難燃剤として水酸化アルミニウム15質量%と硫酸メラミン9質量%、フィラ−成分としてシリカ1質量%を使用し、更に、ポリエステル系可塑剤1質量%を使用し、それらをメチルエチルケトン/トルエン=1/1からなる混合溶剤に溶解分散させて調製した。
該フラットケーブル被覆材の2枚を、熱接着層面同志を重ね合わせて加圧した熱ロール間を通過させて熱ラミネートして、該ラミネート体(フラットケーブルに相当する)を酸素指数32.0の条件下で燃焼試験を行ったところ、連続燃焼時間は19.3秒/cm、連続燃焼距離は12.8mm/秒であり、難燃性が向上していた。なお、厚さ23μmのPETフィルムに、上記熱接着層を設けたものは、連続燃焼時間は32.9秒/cm、連続燃焼距離は33.6mm/秒であった。なお、UL規格VW−1試験でも合格であった。
基材として厚さ23μmのPETフィルム上に、プラズマCVD装置を用いて、下記の条件でSiOxCy膜を連続成膜した。該膜は、SiOxCy(x=1.40、y=1.00)で、膜厚150nm、表面濡性0.33mN(33dyne/cm)の膜で、成膜温度30℃でPETフィルム上に形成でき、成膜後のPETフィルム自体も伸び、変形も無く良好な状態であった。透湿度は4.5g/m224hで、酸素透過度は3.8cm3/m224hatmであった。
(成膜条件)印加電力 2.0kW
成膜圧力 100Pa
HMDSO流量 1.0slm
酸素ガス流量 1.0slm
成膜用ドラム表面温度(成膜温度) 30℃
フィルム走行スピード 10m/min
該SiOxCy膜の反対面に、実施例22と同様にプライマー層及び熱接着層を設け、フラットケーブル被覆材を得た。
基材として厚さ23μmのPETフィルム上に、プラズマCVD装置を用いて、下記の条件でSiOxCy膜を連続成膜した。該膜は、SiOxCy(x=0.15、y=0.15)で、膜厚20nm、表面濡性0.32mN(32dyne/cm)の膜で、成膜温度30℃でPETフィルム上に形成でき、成膜後のPETフィルム自体も伸び、変形も無く良好な状態であった。透湿度は7.0g/m224hで、酸素透過度は8.0cm3/m224hatmであった。
(成膜条件)印加電力 1.0kW
成膜圧力 30Pa
HMDSO流量 0.1slm
酸素ガス流量 0.4slm
ヘリウムガス流量 0.4slm
成膜用ドラム表面温度(成膜温度) 30℃
フィルム走行スピード 5m/min
該SiOxCy膜の反対面に、実施例22と同様にプライマー層及び熱接着層を設け、フラットケーブル被覆材を得た。
基材として厚さ23μmのPETフィルム上に、プラズマCVD装置を用いて、下記の条件でSiOxCy膜を連続成膜した。該膜は、SiOxCy(x=0.90、y=1.90)で、膜厚150nm、表面濡性0.33mN(33dyne/cm)の膜で、成膜温度30℃でPETフィルム上に形成でき、成膜後のPETフィルム自体も伸び、変形も無く良好な状態であった。透湿度は9.0g/m224hで、酸素透過度は9.0cm3/m224hatmであった。
(成膜条件)印加電力 1.5kW
成膜圧力 100Pa
HMDSO流量 1.0slm
酸素ガス流量 4.0slm
成膜用ドラム表面温度(成膜温度) 30℃
フィルム走行スピード 10m/min
該SiOxCy膜の反対面に、実施例22と同様にプライマー層及び熱接着層を設け、フラットケーブル被覆材を得た。
基材として厚さ23μmのPETフィルム上に、プラズマCVD装置を用いて、下記の条件でSiOxCy膜を連続成膜した。該膜は、SiOxCy(x=0.05、y=0.05)で、膜厚50nm、表面濡性0.30mN(30dyne/cm)の膜で、成膜温度30℃でPETフィルム上に形成でき、成膜後のPETフィルム自体も伸び、変形も無く良好な状態であった。透湿度は12g/m224hで、酸素透過度は12cm3/m224hatmであった。
(成膜条件)印加電力 0.5kW
成膜圧力 10Pa
HMDSO流量 0.1slm
酸素ガス流量 0.1slm
成膜用ドラム表面温度(成膜温度) 30℃
フィルム走行スピード 10m/min
該SiOxCy膜の反対面に、実施例22と同様にプライマー層及び熱接着層を設け、フラットケーブル被覆材を得た。
基材として厚さ23μmのPETフィルム上に、プラズマCVD装置を用いて、下記の条件でSiOxCy膜を連続成膜した。該膜は、SiOxCy(x=2.00、y=2.10)で、膜厚150nm、表面濡性0.33mN(33d/cm)の膜で、成膜温度30℃でPETフィルム上に形成でき、成膜後のPETフィルム自体も伸び、変形も無く良好な状態であった。透湿度は12g/m224hで、酸素透過度は12cm3/m224hatmであった。
(成膜条件)印加電力 2.0kW
成膜圧力 100Pa
HMDSO流量 1.0slm
酸素ガス流量 5.0slm
成膜用ドラム表面温度(成膜温度) 30℃
フィルム走行スピード 10m/min
該SiOxCy膜の反対面に、実施例22と同様にプライマー層及び熱接着層を設け、フラットケーブル被覆材を得た。
実施例22〜27のフラットケーブル被覆材を、前述の測定方法で測定した濡れ性、透湿度、酸素透過度、難燃性UL規格(VTM−0)、燃焼時間、燃焼距離を「表4」に記載した。なお、比較として、無機酸化物層を設けないPET/熱接着層を併記した。
「表4」に示すように、実施例26〜27のフラットケーブル被覆材の難燃性UL規格の評価は△であった。
Figure 2004214168
予め、補強板として、厚さ188μmのPETフィルムの片面に、非晶性共重合ポリエステル34質量部、結晶性共重合ポリエステル(結晶化度5%、融点65℃)66質量部、及び、メチルエチルケトンとトルエンの等量混合溶剤300質量部から成る接着剤組成物を塗布した後、温度130℃で1分間加熱して厚さ23μmの接着層を形成した。
次に、実施例22で得た無機酸化物層/PETフィルムの無機酸化物層面へ、図5の無機酸化物の成膜装置を用いて、下記の処理条件で酸素プラズマ処理を行ったところ、無機酸化物膜の膜厚及び組成、及び処理後のPETフィルム自体も伸び、変形も無く良好な状態であり、表面濡れ性は0.43mN(43dyne/cm)と向上できた。
(処理条件)印加電力 2.0kW
成膜圧力 100Pa
酸素ガス流量 3.0slm
成膜用ドラム表面温度(成膜温度) 30℃
フィルム走行スピード 30m/min
上記の酸素プラズマ処理したフラットケーブル被覆材10を2枚用意し、該フラットケーブル被覆材の各々熱接着層面を導体の両面から重ね合わせて、加熱加圧して被覆しフラットケーブルとした。該フラットケーブルの一方の端末において、片面のフラットケーブル被覆材10を除去して導体21を露出させ、酸素プラズマ処理した無機酸化物面と上記用意した補強板を重ねて、温度150℃、圧力30N/cm2の条件で4秒間加熱加圧して補強した。無機酸化物層と補強板との密着強度は10.5N/15mm幅と充分な密着強度が得られた。なお、酸素プラズマ処理する以前の実施例22のフラットケーブル被覆材を用いて同様に評価したところ、密着強度は1.4N/15mm幅と低く、容易に剥離してしまった。
実施例23の無機酸化物層/PETフィルムを用いる以外は、実施例28と同様に酸素プラズマ処理を行った。
実施例24の無機酸化物層/PETフィルムを用いる以外は、実施例28と同様に酸素プラズマ処理を行った。
実施例25の無機酸化物層/PETフィルムを用いる以外は、実施例28と同様に酸素プラズマ処理を行った。
実施例26の無機酸化物層/PETフィルムを用いる以外は、実施例28と同様に酸素プラズマ処理を行った。
実施例27の無機酸化物層/PETフィルムを用いる以外は、実施例28と同様に酸素プラズマ処理を行った。
(評価)実施例28〜33のフラットケーブル被覆材のいずれも、無機酸化物膜の膜厚及び組成、及び処理後のPETフィルム自体も伸び、変形も無く良好な状態であり、表面濡れ性は「表4」に示すように0.42〜0.44mN(42〜44dyne/cm)と向上できた。また、前記測定方法による、無機酸化物層と補強板との密着強度は9.0〜11.0N/15mm幅と、いずれも十分な密着強度が得られた。
また、実施例22〜27のフラットケーブル被覆材を用いる以外は実施例19と同様にして、フラットケーブルを得た。該フラットケーブルをUL規格に準拠して難燃性を測定したところ、実施例22〜25ではVW−1相当であったが、実施例26〜27では△であった。
実施例28〜33のフラットケーブル被覆材の、酸素プラズマ処理前及び後の表面濡れ性、並びに酸素プラズマ処理前及び後の補強板との密着強度を「表4」に記載した。なお、比較として、無機酸化物層を設けないPET/HS(熱接着層)の数値も併記した。
本発明の1実施例を示す断面図である。 本発明のフラットケーブルの1実施例を示す断面図である。 図2のAA断面図である。 補強板付きフラットケーブルの断面図である。 本発明で好適に使用できるCVD装置の説明図である。
符号の説明
1 フラットケーブル
10 フラットケーブル被覆材
11 基材フィルム
13 プライマ層
15 熱接着層
21 導体
33 表面処理層
35 無機酸化物層
37 表面処理層
41 補強板
200 CVD装置
210 真空容器
211 給紙部
213 成膜部
215 巻取部
221 a室
223 b室
225 c室
231 電極ドラム
421、243、245 電極
251.253、255 ガス供給ノズル

Claims (10)

  1. 基材フィルムと、直接又は他の層を介して、前記基材フィルムの一方の面に熱接着層を有し、他方の面に無機酸化物層を有することを特徴とするフラットケーブル被覆材。
  2. 上記無機酸化物層が、酸化珪素、酸化錫、又は酸化アルミニウムのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル被覆材。
  3. 上記無機酸化物層が、一般式SiOxCyであることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブル被覆材。
  4. 上記無機酸化物層が、一般式SiOxCyにおいて、x=0.1〜1.95、y=0.1〜2.0であることを特徴とする請求項3記載のフラットケーブル被覆材。
  5. 上記無機酸化物層が、化学気相成長法又は物理気相成長法により形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のフラットケーブル被覆材。
  6. 上記無機酸化物の厚さが、10〜500nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のフラットケーブル被覆材。
  7. 上記無機酸化物のJIS K−6768に準拠する表面濡れ性が、0.4〜0.74mNであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフラットケーブル被覆材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のフラットケーブル被覆材において、JIS K−7129に準拠する透湿度が10g/m224h以下、及び/又はJIS K−7126に準拠する酸素透過度10cm3/m224hatm以下であることを特徴とするフラットケーブル被覆材。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のフラットケーブル被覆材において、UL94規格VTM−0相当の難燃性を有することを特徴とするフラットケーブル被覆材。
  10. 複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材の熱接着層側が導体列側を向くようにして両面より被覆してなるフラットケーブルにおいて、少なくとも片面のフラットケーブル被覆材が、請求項1〜9のいずれかに記載のフラットケーブル被覆材をあることを特徴とするフラットケーブル。
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