JP2004212822A - レンズ鏡筒 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な操作でレンズを光軸の方向に移動調整できること。
【解決手段】第2レンズ120には、外周縁に光軸と垂直な面に基準面122aと、基準面122aより凸形状となっている調整面122bと、基準面122aより凹形状となっている調整面122cとからなる摺接面122が形成される。第1レンズ枠40には、光軸と垂直な面に第2レンズ120を固定するためのレンズ受け部42が突出して形成されている。調整時には、第2レンズ120を回転させる。これにより、高さの異なる基準面122a,あるいは調整面122b,122cのいずれかがレンズ受け部42に接触し第2レンズ120を光軸の方向に移動調整できる。
【選択図】 図2
【解決手段】第2レンズ120には、外周縁に光軸と垂直な面に基準面122aと、基準面122aより凸形状となっている調整面122bと、基準面122aより凹形状となっている調整面122cとからなる摺接面122が形成される。第1レンズ枠40には、光軸と垂直な面に第2レンズ120を固定するためのレンズ受け部42が突出して形成されている。調整時には、第2レンズ120を回転させる。これにより、高さの異なる基準面122a,あるいは調整面122b,122cのいずれかがレンズ受け部42に接触し第2レンズ120を光軸の方向に移動調整できる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロジェクタや映写機等に使用される映像拡大手段であるレンズのレンズ枠を光軸の方向に移動調整することができるレンズ鏡筒に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は、プロジェクタや映写機等に使用されている従来の映像拡大レンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。映像拡大レンズは、複数のレンズ群からなるものが多い。図14は、映像拡大レンズの第1レンズ群を示した図である。
【0003】
この第1レンズ群は、図示しない像側から順に配置された第1レンズ1と、第2レンズ2と、第3レンズ3により構成され、レンズ枠4に保持されている。そして、投影するスクリーンサイズに最適な像(大きさやピント等)を形成するために、第2レンズ2と、この第2レンズ2を保持するレンズ枠4の第2レンズ保持部5との間に所定厚さのワッシャ6を挿入し、第2レンズ2と第1レンズ1および第3レンズ3との間隔の調整を行う。このようなレンズの間隔調整に関する技術は、下記の特許文献1,2等に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
実公平7−36332号公報
【特許文献2】
特開平8−136792号公報
【0005】
図14に示した第2レンズ2を第2レンズ保持部5に固定する際には、接着剤が使用される。そして、第2レンズ2と第2レンズ保持部5との間の間隔を調整するためにワッシャ6(図11参照)を挿入する場合、接着剤は、第2レンズ2とワッシャ6との間および第2レンズ保持部5とワッシャ6との間の2個所に使用されることになる。また、複数枚のワッシャ6を使用する場合には、さらにワッシャ6同士の接着も必要となる。このように、従来技術では、第2レンズ2の位置を光軸の方向に積み重ねたワッシャ6の厚みによって調整し、そのワッシャ6の表裏両面に対し接着剤を用いた接着をそれぞれ行い固定していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の映像拡大レンズでは、調整レンズとしての機能を備えた第2レンズ2の位置が微妙にずれると、投影するスクリーンサイズに最適な像(例えば、スクリーンサイズに対するサイズ適合やピント)を形成することができなくなる。そして、接着剤を多数の個所に用いると、この接着個所の経年変化(例えば、温度変化等)によって第2レンズ2がワッシャ6側へ引き寄せられる等して、光軸の方向に対する第2レンズ2配置位置に狂いが生じた。
【0007】
また、第2レンズ2を光軸の方向に調整するためにワッシャ6を用いるときには、ワッシャ6の挿入作業が必要となり、作業工程が増えて映像拡大レンズの生産性および作業効率の増大を招いた。さらに、ワッシャ6は、鏡筒の内径サイズに応じた外形および光軸の方向に対する調整移動分に対応した厚さのものを打ち抜き加工等で制作しなければならないため、特に、ワッシャ6を複数枚用いる必要が生じたときには、ワッシャ6の個数の増大および製造コストの増大が問題となった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、簡単な操作でレンズを光軸の方向に移動調整できるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1にかかるレンズ鏡筒は、入射する光軸と垂直な方向に対して高さの異なる複数の摺接面が外周縁に複数形成されたレンズと、前記レンズの前記摺接面が接触するレンズ受け部が内周縁に複数形成され、前記レンズを収容するレンズ枠とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この請求項1に記載の発明によれば、レンズ枠に対してレンズを回転させることにより、レンズ枠のレンズ受け部に接触するレンズの摺接面の高さを可変でき、レンズ位置の微調整が図れる。
【0011】
また、請求項2にかかるレンズ鏡筒は、請求項1に記載の発明において、前記レンズ枠に形成される前記レンズ受け部は、前記レンズの摺接面に接触する部分が光軸に対して垂直な平面状であることを特徴とする。
【0012】
この請求項2に記載の発明によれば、レンズの摺接面をレンズ枠のレンズ受け部に対し面接触でき、レンズ枠に対する調整後のレンズ位置を安定して保持できる。
【0013】
また、請求項3にかかるレンズ鏡筒は、請求項1に記載の発明において、前記レンズ枠に形成される前記レンズ受け部は、前記レンズの摺接面に接触する部分が点状であることを特徴とする。
【0014】
この請求項3に記載の発明によれば、レンズの摺接面をレンズ枠のレンズ受け部に対し点接触することにより、この接触個所の面積が小さく寸法精度を向上できる。
【0015】
また、請求項4にかかるレンズ鏡筒は、請求項3に記載の発明において、前記レンズに形成される前記摺接面の一部は、前記光軸の方向に対し所定の傾斜を有する略テーパー形状であることを特徴とする。
【0016】
この請求項4に記載の発明によれば、点状のレンズ受け部に略テーパー形状の摺接面が接触した状態で、レンズを回転させることにより、レンズ位置を連続的に光軸の方向に調整でき、より細かな微調整を行えるようになる。
【0017】
また、請求項5にかかるレンズ鏡筒は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記レンズに形成される前記摺接面は、前記レンズの面を等しく4つに分割した各領域の同位置にそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0018】
この請求項5に記載の発明によれば、調整時および調整後のいずれにおいてもレンズを安定して保持できる。
【0019】
また、請求項6にかかるレンズ鏡筒は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記レンズに形成される前記摺接面は、前記レンズの面を等しく3つに分割した各領域の同位置にそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0020】
この請求項6に記載の発明によれば、レンズに形成する摺接面の数を、レンズの調整および保持に必要な最小個数にできる。
【0021】
また、請求項7にかかるレンズ鏡筒は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発明において、前記レンズの外周縁と前記レンズ枠の内周縁には、それぞれ、前記レンズ受け部に接触可能な複数の前記摺接面のうち、どの摺接面が接触しているかを示すための指標が設けられたことを特徴とする。
【0022】
この請求項7に記載の発明によれば、前記レンズ面の周辺部に形成される摺接面のうちどの面が前記レンズ受け部に接触しているかが容易に把握でき、レンズの調整を容易に行えるようになる。
【0023】
また、請求項8にかかるレンズ鏡筒は、入射する光軸と垂直な方向に対して高さが連続的に変化する傾斜面が外周縁に複数形成されたレンズと、前記レンズの前記傾斜面に係合する係合部が内周縁に複数形成され、前記レンズを収容するレンズ枠とを備えたことを特徴とする。
【0024】
この請求項8に記載の発明によれば、レンズ枠の係合部に対しレンズの傾斜面の係合位置を可変することにより、レンズ位置を光軸の方向に微調整することができる。
【0025】
また、請求項9にかかるレンズ鏡筒は、請求項8に記載の発明において、前記レンズ枠には、前記レンズの面が接触するレンズ受け部が設けられ、前記レンズ枠の前記レンズ受け部と、該レンズ受け部に接触するレンズの面との間に、前記光軸の方向に対して前記レンズの位置を調整するための所定厚さのワッシャが介挿されることを特徴する。
【0026】
この請求項9に記載の発明によれば、ワッシャを用いてレンズ位置を光軸の方向にワッシャの厚さに対応して所定量移動できるため、経年変化等による光軸の方向へのずれを防止できるようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるレンズ鏡筒の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の各図には、必要な個所に光軸Sを記載してある。図1は、本発明の実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の構成の一例を示す断面図である。
【0028】
本実施の形態のレンズ鏡筒は、図示しない像側から順に、第1レンズ群10,第2レンズ群20および第3レンズ群30が配置されている。また、第1レンズ群10,第2レンズ群20,第3レンズ群30は、それぞれ第1レンズ枠40,第2レンズ枠50,第3レンズ枠60に保持されている。第2レンズ枠50は、レンズ押さえ51で第2レンズ群20を保持している。また、第3レンズ枠60は、第2レンズ枠50に挿入されている。第2レンズ枠50は、接続筒61に挿入され、この接続筒61を介して第1レンズ枠40と接続されている。
【0029】
そして、第2レンズ枠50と接続筒61は、レンズ保持枠62内部に納められている。さらに、第1レンズ群10は、図示しない像側から順に、第1レンズ1,第2レンズ120,および第3レンズ3が配置されて構成されている。
【0030】
この実施の形態のレンズ鏡筒を構成する各レンズの材質は、合成樹脂からなり、後述する摺接面の形成を含めたレンズ加工を容易かつ安価に行うことができる。
【0031】
図2は、本実施の形態にかかるレンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。ここでは、図示しない像側から順に配置された、第1レンズ1,第2レンズ120,および第3レンズ3により構成された第1レンズ群10が、第1レンズ枠40に保持されている様子を示している。第1レンズ枠40には、第2レンズ120を保持するための保持部41が形成されている。また、保持部41には、第2レンズ120を固定するためのレンズ受け部42が形成されている。
【0032】
実施の形態1では、第2レンズ120をレンズ受け部42に固定するために、第2レンズ120の右側面(フィルム側面)の周辺部にレンズの厚み方向に沿った段差121を形成し、この段差121にレンズ受け部42に対して接触する摺接面122を設けている。この摺接面122には、基準面122aと、調整面122b,122cが形成されている。基準面122aおよび調整面122b,122cは、いずれも光軸に対し垂直な面である。
【0033】
図3は、第2レンズ120の形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ120の平面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。第2レンズ120の右側面(フィルム側面)には、中心角が90度となるように4等分された領域が形成されている。各領域の段差121の摺接面122には、それぞれ基準面122aと、基準面122aより凸形状となっている調整面122bと、基準面122aより凹形状となっている調整面122cとが形成されている。
【0034】
調整面122bは、基準面122aに対し100分の1〜2ミリメートル程高くなっており、また、調整面122cは基準面122aに対し100分の1〜2ミリメートル程低くなっている。また、分割された領域内に形成される基準面122aと調整面122b,122cの位置は、各領域ともに同位置である。
【0035】
また、この第2レンズ120の左側面(像側面)にも段差124が形成されている。そして、この段差124には、右側面に形成された基準面122aおよび調整面122b,122cとそれぞれ対応する位置に、この面の高さを数値で示す指標としてのマーク125が記載されている。この数値は、基準面122aに対応する数値である「±0」,調整面122bに対応する数値である「+0.1」,調整面122cに対応する数値である「−0.1」が表記されてなる。
【0036】
図4は、実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠40の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠40の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。この第1レンズ枠40には、第2レンズ120を保持するための保持部41が形成されている。また、各保持部41には、第2レンズ120を固定するためのレンズ受け部42が4個所形成されている。このレンズ受け部42は、光軸に対し垂直な面になっている。したがって、第2レンズ120を光軸中心に回転させてもレンズと光軸との関係がずれるようなこともない。
【0037】
また、第1レンズ枠40には、第2レンズ120の右側面に形成された摺接面122のどの面(基準面122a,調整面122b,調整面122cのうちいずれか)が第1レンズ枠40のレンズ受け部42に接触しているかを把握できるようにするための確認指標44が形成されている。したがって、確認指標44の部分に位置している第2レンズ120のマーク125を参照することで、第2レンズ120に形成された摺接面122のどの面が第1レンズ枠40のレンズ受け部42に接触しているかが把握できる。
【0038】
例えば、光軸の前方から見て確認指標44の位置に第2レンズ120のマーク125の数値「±0」が位置していれば、レンズ受け部42に対し摺接面122のうち基準面122aが接触している状態であると容易に判断できるようになる。加えて、第2レンズ120を光軸調整する場合の調整方向を容易に判断できるようになる。
【0039】
このレンズ鏡筒では、第2レンズ120の摺接面122を第1レンズ枠40のレンズ受け部42に接触させた状態で、第2レンズ120を光軸中心に回転させることにより、第2レンズ120を光軸に沿う方向に移動させ、第2レンズ120の位置決めを行う。この後、レンズ受け部42と摺接面122を固定する。この固定には、接着剤等が用いられる。接着剤は、レンズ受け部42と摺接面122の間の1個所だけに用いるため、前述した経年変化による光軸の方向へのずれ等を最小限に抑えることができる。
【0040】
実施の形態1のレンズ鏡筒は、第2レンズ120に光軸の方向と垂直な方向に対して高さの異なる摺接面122を設け、レンズ受け部42に接触させる構成であるため、第2レンズ120を回転させるだけで、この第2レンズ120を光軸の方向に移動調整することができ、調整にかかる作業工程を単純化することができる。また、第2レンズ120を光軸の方向に対し定量的に変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)を容易に行えるようになる。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1に示したレンズ鏡筒の変形例である。図5は、実施の形態2のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ220の平面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。図5に示すように、実施の形態2では、第2レンズ220の右側面(フィルム側面)に、中心角が120度となるように3等分された領域を形成する。3等分された各領域には、実施の形態1と同様に段差221が形成され、段差221には、それぞれ基準面222aと、基準面222aより凸形状となっている調整面222bと、基準面222aより凹形状となっている調整面222cからなる摺接面222が形成されている。
【0042】
調整面222bは、基準面222aに対し100分の1〜2ミリメートル程高くなっており、また、調整面222cは基準面222aに対し100分の1〜2ミリメートル程低くなっている。また、分割された領域内に形成される基準面222aと調整面222b,222cの位置は、各領域ともに同位置である。
【0043】
また、この第2レンズ220の左側面(像側面)にも段差224が形成されている。そして、この段差224には、右側面に形成された基準面222aおよび調整面222b,222cとそれぞれ対応する位置に、この面の高さを示すマーク225が記載されている。この数値は、基準面222aに対応する数値である「±0」,調整面222bに対応する数値である「+0.1」,調整面222cに対応する数値である「−0.1」が表記されてなる。
【0044】
図6は、実施の形態2にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠70の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠70の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。この第1レンズ枠70には、第2レンズ220を保持するための保持部71が形成されている。また、各保持部71には、第2レンズ220を固定するためのレンズ受け部72が3個所形成されている。このレンズ受け部72は、光軸に対し垂直な面になっている。
【0045】
このように、摺接面222およびレンズ受け部72は、第2レンズ220を保持可能な最小の個数である3個としている。したがって、第2レンズ220を光軸中心に回転させてもレンズと光軸との関係がずれることがなく、調整および固定保持の安定化が図れる。
【0046】
また、第1レンズ枠70には、第2レンズ220の右側面に形成された摺接面222のどの面(基準面222a,調整面222b,調整面222cのうちいずれか)が第1レンズ枠70のレンズ受け部72に接触しているかを把握できるようにするための確認指標74が形成されている。したがって、確認指標74の部分に位置している第2レンズ220のマーク225を参照することで、第2レンズ220に形成された摺接面222のどの面が第1レンズ枠70のレンズ受け部72に接触しているかが把握できる。
【0047】
例えば、光軸の前方から見て確認指標74の位置に第2レンズ220のマーク225の数値「±0」が位置していれば、レンズ受け部72に摺接面222のうち基準面222aが接触している状態であると容易に判断できるようになる。加えて、第2レンズ220を光軸調整する場合の調整方向を容易に判断できるようになる。
【0048】
実施の形態2のレンズ鏡筒は、第2レンズ220に光軸の方向と垂直な方向に対して高さの異なる摺接面222を設け、レンズ受け部72に接触させる構成であるため、第2レンズ220を回転させるだけで、この第2レンズ220を光軸の方向に移動調整することができ、調整にかかる作業工程を単純化することができる。また、第2レンズ220を光軸の方向に対し定量的に変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)を容易に行えるようになる。加えて、レンズ受け部72と摺接面222を円周上で保持可能な最小個数の3個としたので、加工形成を容易に行えるとともに、最も安定した状態で第2レンズ220を調整および保持できるようになる。
【0049】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3を説明する。実施の形態3も、実施の形態1に示したレンズ鏡筒の変形例である。図7は、実施の形態3にかかるレンズ鏡筒の第2レンズ320の形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ320の平面図、(b)は(a)の右側面図である。第2レンズ320の右側面(フィルム側面)には、中心角が90度となるように4等分された領域が形成されている。各領域の段差321の摺接面322には、それぞれ基準面322aと、基準面322aより凸形状となっている調整面322bと、基準面322aより凹形状となっている調整面322cとが形成されている。
【0050】
基準面322aは、一方の調整面322bから他方の調整面322cに連続するなだらかな傾斜を有したテーパー形状であり、この基準面322aの中央付近が基準位置とされている。そして、調整面322bの位置は基準面322aの基準位置に対し100分の1〜2ミリメートル程高くなっており、また、調整面322cの位置は基準面322aの基準位置に対し100分の1〜2ミリメートル程低くなっている。また、分割された領域内に形成される基準面322aと調整面322b,322cの位置は、各領域ともに同位置である。
【0051】
図8は、実施の形態3にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠80の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠80の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。この第1レンズ枠80には、第2レンズ320を保持するための保持部81が形成されている。また、各保持部81には、第2レンズ320を固定するためのレンズ受け部82が4個所形成されている。このレンズ受け部82は、半球状になっている。このレンズ受け部82は、摺接面322を点接触で受ける構成であればよく、例えば、円錐形状などにしてもよい。
【0052】
実施の形態3のレンズ鏡筒によれば、第2レンズ320に光軸の方向と垂直な方向に対して高さの異なる摺接面322を設け、レンズ受け部82に接触させる構成であるため、第2レンズ320を回転させるだけで、この第2レンズ320を光軸の方向に移動調整することができ、調整にかかる作業工程を単純化することができる。また、摺接面322のうち、基準面322aは、なだらかな傾斜を有するテーパー形状であるため、第2レンズ320を基準位置付近で光軸の方向に対し連続的に細かく変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)をより容易に行えるようになる。
【0053】
なお、実施の形態3では特に図示していないが、実施の形態1のレンズ鏡筒と同様に、確認指標とマークを設けることにより、第2レンズ320に形成された摺接面322のどの面が第1レンズ枠80のレンズ受け部82に接触しているかを容易に把握できるようになる。
【0054】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4は、実施の形態3に示したレンズ鏡筒の変形例である。図9は、実施の形態4にかかるレンズ鏡筒の第2レンズ420の形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ420の平面図、(b)は(a)の右側面図である。
【0055】
第2レンズ420の右側面(フィルム側面)には、中心角が120度となるように3等分された領域が形成されている。各領域の段差421の摺接面422には、それぞれ基準面422aと、基準面422aより凸形状となっている調整面422bと、基準面422aより凹形状となっている調整面422cとが形成されている。基準面422aは、一方の調整面422bから他方の調整面422cに連続するなだらかな傾斜を有したテーパー形状であり、この基準面422aの中央付近が基準位置とされている。
【0056】
そして、調整面422bの最も高い位置は基準面422aの基準位置に対し100分の1〜2ミリメートル程高くなっており、また、調整面422cの最も低い位置は基準面422aの基準位置に対し100分の1〜2ミリメートル程低くなっている。また、分割された領域内に形成される基準面422aと調整面422b,422cの位置は、各領域ともに同位置である。
【0057】
図10は、実施の形態4にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠90の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠90の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。
【0058】
この第1レンズ枠90には、第2レンズ420を保持するための保持部91が形成されている。また、各保持部91には、第2レンズ420を固定するためのレンズ受け部92が3個所形成されている。このレンズ受け部92は、半球状になっている。このレンズ受け部92は、第2レンズ420の摺接面422を点接触で受ける構成であればよく、例えば、円錐形状などにしてもよい。
【0059】
実施の形態4のレンズ鏡筒は、第2レンズ420に光軸の方向と垂直な方向に対して高さの異なる摺接面422を設け、レンズ受け部92に接触させる構成であるため、第2レンズ420を回転させるだけで、この第2レンズ420を光軸の方向に移動調整することができ、調整にかかる作業工程を単純化することができる。また、第2レンズ420を光軸の方向に対し定量的に変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)を容易に行えるようになる。そして、レンズ受け部92と摺接面422を円周上で保持可能な最小個数の3個としたので、加工形成を容易に行えるとともに、最も安定した状態で第2レンズ420を調整および保持できるようになる。さらに、摺接面422のうち、基準面422aは、なだらかな傾斜を有するテーパー形状であるため、第2レンズ420を基準位置付近で光軸の方向に対し連続的に細かく変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)をより容易に行えるようになる。
【0060】
なお、実施の形態4では特に図示していないが、実施の形態1のレンズ鏡筒と同様に、確認指標とマークを設けることにより、第2レンズ420に形成された摺接面422のどの面が第1レンズ枠90のレンズ受け部92に接触しているかを容易に把握できるようになる。
【0061】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。図11は、実施の形態5にかかるレンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。ここでは、図示しない像側から順に配置された、第1レンズ1、第2レンズ520、および第3レンズ3により構成された第1レンズ群100が、第1レンズ枠110に保持されている様子を示している。
【0062】
第1レンズ枠110には、第2レンズ520を保持するための保持部111が形成されている。また、第2レンズ520の固定は、第2レンズ520の左側面の周辺部に形成された段差521と、第1レンズ枠110に設けられたレンズ固定部114とを接着剤で接着固定することによって行われる。そして、投影するスクリーンサイズに最適な像を形成するための映像拡大レンズのピント調整等のために、第2レンズ520と保持部111に形成されたレンズ受け部112との間にワッシャ6を介挿させ、第2レンズ520の光軸に沿う方向の位置調整を行う。以下、詳細に説明する。
【0063】
図12は、第2レンズ520の形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ520の正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。第2レンズ520の正面の周辺部には段差521が形成されている。また、第2レンズ520の正面には、中心角が90度となるように4等分された領域が形成されている。各領域の段差521には、それぞれ平面部521aと、斜面部521bが形成されている。斜面部521bはなだらかな傾斜面になっており、斜面の高低差は100分の1〜4ミリメートル程である。分割された領域内に形成される平面部521aと斜面部521bの位置は、各領域ともに同位置である。
【0064】
また、この第2レンズ520の右側(フィルム側面)にも段差524が形成されている。この段差524が、レンズ受け部112に対する摺接面となる。
【0065】
図13は、実施の形態5にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠110の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠110の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。この第1レンズ枠110には、第2レンズ520を保持するための保持部111が形成されている。また、保持部111には、第2レンズ520を固定するためのレンズ受け部112が形成されている。このレンズ受け部112は、光軸に対し垂直な面になっている。また、第1レンズ枠110には、バヨネット凸部(係合部)113が4個所形成されている。第2レンズ520を第1レンズ枠110に固定する際、第2レンズ520の斜面部521bをこのバヨネット凸部113に係合させる。
【0066】
そして、第2レンズ520を光軸中心に回転させることによって、第2レンズ520が光軸の方向に移動し、映像拡大レンズ全体のピント調整が可能となる。第1レンズ枠110には、第2レンズ520を固定するためのレンズ固定部114が形成されている。斜面部521bは、前述した各実施の形態で説明した摺接面、特に、テーパー形状の基準面322a,422aと同様に光軸の方向に対し連続的に高さが異なる構成部である。
【0067】
実施の形態5のレンズ鏡筒では、まず、第2レンズ520の斜面部521bを第1レンズ枠110のバヨネット凸部113に係合し、第2レンズ520を光軸中心に回転させて第2レンズ520を光軸の方向に移動させ、映像拡大レンズが所望の像を形成できるように第2レンズ520の位置決めを行う。
【0068】
第2レンズ520の段差524と第1レンズ枠110のレンズ受け部112との間に隙間が生じる場合には、その隙間にワッシャ6を挿入してから第2レンズ520の斜面部521bを第1レンズ枠110のバヨネット凸部113に係合させる。最後に、第2レンズ520の平面部521aと第1レンズ枠110のレンズ固定部114とを接着剤を用いて接着固定する。この接着個所は、ワッシャ6側ではない。ワッシャ6側であると、このワッシャ6の表裏両面に対する接着が必要となる。これに対し、第2レンズ520の平面部521aと第1レンズ枠110のレンズ固定部114の1個所だけを接着するものである。このように、固定後の第2レンズ520の位置を狂わせるおそれのない部分に接着剤を使用しているので、接着剤の厚みや収縮によるレンズ位置のずれを回避できる。
【0069】
実施の形態5のレンズ鏡筒は、バヨネット凸部113に対してなだらかな傾斜面を有する斜面部521bが係合する構成であるため、第2レンズ520を光軸中心に回転させることで、第2レンズ520の光軸に沿う方向の位置を連続的に変化させることができ、映像拡大レンズのピント調整(微調整)が可能になる。
【0070】
以上、本発明の各実施形態を図面に沿って説明した。しかしながら本発明はこの実施の形態に示した事項に限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいてその変更、改良等が可能であることは云うまでもない。例えば、上記各実施の形態では、第1レンズ群を構成する第2レンズの保持構成について示したが、必要であれば、他のレンズについても前記第2レンズと同様の保持構成を施すことが可能である。
【0071】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、レンズ枠に対しレンズを光軸の方向に移動させる調整を行って保持できるようになる。レンズ受け部に接触するレンズには光軸の方向に対し高さが異なる摺接面を有しているため、レンズ枠に対しレンズを回転させるだけでレンズを光軸の方向に移動させることができ、レンズ移動によるピント調整等の作業を簡単かつ効率的に行えるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の構成の一例を示す断面図である。
【図2】実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態1のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図4】実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図5】実施の形態2のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図6】実施の形態2にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図7】実施の形態3のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図8】実施の形態3にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図9】実施の形態4のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図10】実施の形態4にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図11】実施の形態5にかかるレンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。
【図12】実施の形態5のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図13】実施の形態5にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図14】従来の映像拡大レンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1レンズ
2,120,220,320,420,520 第2レンズ
3 第3レンズ
4 レンズ枠
5 第2レンズ保持部
6 ワッシャ
10,100 第1レンズ群
20 第2レンズ群
30 第3レンズ群
40,70,80,90,110 第1レンズ枠
41,71,81,91,111 保持部
42,72,82,92,112 レンズ受け部
44,74 確認指標
50 第2レンズ枠
51 レンズ押さえ
60 第3レンズ枠
61 接続筒
62 レンズ保持枠
113 バヨネット凸部
114 レンズ固定部
121,124,221,224,321,421,521,524 段差
122,222,322,422 摺接面
122a,222a,322a,422a 基準面
122b,122c,222b,222c,322b,322c,422b,422c 調整面
125,225 マーク
521a 平面部
521b 斜面部
S 光軸
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロジェクタや映写機等に使用される映像拡大手段であるレンズのレンズ枠を光軸の方向に移動調整することができるレンズ鏡筒に関する。
【0002】
【従来の技術】
図14は、プロジェクタや映写機等に使用されている従来の映像拡大レンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。映像拡大レンズは、複数のレンズ群からなるものが多い。図14は、映像拡大レンズの第1レンズ群を示した図である。
【0003】
この第1レンズ群は、図示しない像側から順に配置された第1レンズ1と、第2レンズ2と、第3レンズ3により構成され、レンズ枠4に保持されている。そして、投影するスクリーンサイズに最適な像(大きさやピント等)を形成するために、第2レンズ2と、この第2レンズ2を保持するレンズ枠4の第2レンズ保持部5との間に所定厚さのワッシャ6を挿入し、第2レンズ2と第1レンズ1および第3レンズ3との間隔の調整を行う。このようなレンズの間隔調整に関する技術は、下記の特許文献1,2等に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
実公平7−36332号公報
【特許文献2】
特開平8−136792号公報
【0005】
図14に示した第2レンズ2を第2レンズ保持部5に固定する際には、接着剤が使用される。そして、第2レンズ2と第2レンズ保持部5との間の間隔を調整するためにワッシャ6(図11参照)を挿入する場合、接着剤は、第2レンズ2とワッシャ6との間および第2レンズ保持部5とワッシャ6との間の2個所に使用されることになる。また、複数枚のワッシャ6を使用する場合には、さらにワッシャ6同士の接着も必要となる。このように、従来技術では、第2レンズ2の位置を光軸の方向に積み重ねたワッシャ6の厚みによって調整し、そのワッシャ6の表裏両面に対し接着剤を用いた接着をそれぞれ行い固定していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の映像拡大レンズでは、調整レンズとしての機能を備えた第2レンズ2の位置が微妙にずれると、投影するスクリーンサイズに最適な像(例えば、スクリーンサイズに対するサイズ適合やピント)を形成することができなくなる。そして、接着剤を多数の個所に用いると、この接着個所の経年変化(例えば、温度変化等)によって第2レンズ2がワッシャ6側へ引き寄せられる等して、光軸の方向に対する第2レンズ2配置位置に狂いが生じた。
【0007】
また、第2レンズ2を光軸の方向に調整するためにワッシャ6を用いるときには、ワッシャ6の挿入作業が必要となり、作業工程が増えて映像拡大レンズの生産性および作業効率の増大を招いた。さらに、ワッシャ6は、鏡筒の内径サイズに応じた外形および光軸の方向に対する調整移動分に対応した厚さのものを打ち抜き加工等で制作しなければならないため、特に、ワッシャ6を複数枚用いる必要が生じたときには、ワッシャ6の個数の増大および製造コストの増大が問題となった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、簡単な操作でレンズを光軸の方向に移動調整できるレンズ鏡筒を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1にかかるレンズ鏡筒は、入射する光軸と垂直な方向に対して高さの異なる複数の摺接面が外周縁に複数形成されたレンズと、前記レンズの前記摺接面が接触するレンズ受け部が内周縁に複数形成され、前記レンズを収容するレンズ枠とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この請求項1に記載の発明によれば、レンズ枠に対してレンズを回転させることにより、レンズ枠のレンズ受け部に接触するレンズの摺接面の高さを可変でき、レンズ位置の微調整が図れる。
【0011】
また、請求項2にかかるレンズ鏡筒は、請求項1に記載の発明において、前記レンズ枠に形成される前記レンズ受け部は、前記レンズの摺接面に接触する部分が光軸に対して垂直な平面状であることを特徴とする。
【0012】
この請求項2に記載の発明によれば、レンズの摺接面をレンズ枠のレンズ受け部に対し面接触でき、レンズ枠に対する調整後のレンズ位置を安定して保持できる。
【0013】
また、請求項3にかかるレンズ鏡筒は、請求項1に記載の発明において、前記レンズ枠に形成される前記レンズ受け部は、前記レンズの摺接面に接触する部分が点状であることを特徴とする。
【0014】
この請求項3に記載の発明によれば、レンズの摺接面をレンズ枠のレンズ受け部に対し点接触することにより、この接触個所の面積が小さく寸法精度を向上できる。
【0015】
また、請求項4にかかるレンズ鏡筒は、請求項3に記載の発明において、前記レンズに形成される前記摺接面の一部は、前記光軸の方向に対し所定の傾斜を有する略テーパー形状であることを特徴とする。
【0016】
この請求項4に記載の発明によれば、点状のレンズ受け部に略テーパー形状の摺接面が接触した状態で、レンズを回転させることにより、レンズ位置を連続的に光軸の方向に調整でき、より細かな微調整を行えるようになる。
【0017】
また、請求項5にかかるレンズ鏡筒は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記レンズに形成される前記摺接面は、前記レンズの面を等しく4つに分割した各領域の同位置にそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0018】
この請求項5に記載の発明によれば、調整時および調整後のいずれにおいてもレンズを安定して保持できる。
【0019】
また、請求項6にかかるレンズ鏡筒は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記レンズに形成される前記摺接面は、前記レンズの面を等しく3つに分割した各領域の同位置にそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0020】
この請求項6に記載の発明によれば、レンズに形成する摺接面の数を、レンズの調整および保持に必要な最小個数にできる。
【0021】
また、請求項7にかかるレンズ鏡筒は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発明において、前記レンズの外周縁と前記レンズ枠の内周縁には、それぞれ、前記レンズ受け部に接触可能な複数の前記摺接面のうち、どの摺接面が接触しているかを示すための指標が設けられたことを特徴とする。
【0022】
この請求項7に記載の発明によれば、前記レンズ面の周辺部に形成される摺接面のうちどの面が前記レンズ受け部に接触しているかが容易に把握でき、レンズの調整を容易に行えるようになる。
【0023】
また、請求項8にかかるレンズ鏡筒は、入射する光軸と垂直な方向に対して高さが連続的に変化する傾斜面が外周縁に複数形成されたレンズと、前記レンズの前記傾斜面に係合する係合部が内周縁に複数形成され、前記レンズを収容するレンズ枠とを備えたことを特徴とする。
【0024】
この請求項8に記載の発明によれば、レンズ枠の係合部に対しレンズの傾斜面の係合位置を可変することにより、レンズ位置を光軸の方向に微調整することができる。
【0025】
また、請求項9にかかるレンズ鏡筒は、請求項8に記載の発明において、前記レンズ枠には、前記レンズの面が接触するレンズ受け部が設けられ、前記レンズ枠の前記レンズ受け部と、該レンズ受け部に接触するレンズの面との間に、前記光軸の方向に対して前記レンズの位置を調整するための所定厚さのワッシャが介挿されることを特徴する。
【0026】
この請求項9に記載の発明によれば、ワッシャを用いてレンズ位置を光軸の方向にワッシャの厚さに対応して所定量移動できるため、経年変化等による光軸の方向へのずれを防止できるようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるレンズ鏡筒の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の各図には、必要な個所に光軸Sを記載してある。図1は、本発明の実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の構成の一例を示す断面図である。
【0028】
本実施の形態のレンズ鏡筒は、図示しない像側から順に、第1レンズ群10,第2レンズ群20および第3レンズ群30が配置されている。また、第1レンズ群10,第2レンズ群20,第3レンズ群30は、それぞれ第1レンズ枠40,第2レンズ枠50,第3レンズ枠60に保持されている。第2レンズ枠50は、レンズ押さえ51で第2レンズ群20を保持している。また、第3レンズ枠60は、第2レンズ枠50に挿入されている。第2レンズ枠50は、接続筒61に挿入され、この接続筒61を介して第1レンズ枠40と接続されている。
【0029】
そして、第2レンズ枠50と接続筒61は、レンズ保持枠62内部に納められている。さらに、第1レンズ群10は、図示しない像側から順に、第1レンズ1,第2レンズ120,および第3レンズ3が配置されて構成されている。
【0030】
この実施の形態のレンズ鏡筒を構成する各レンズの材質は、合成樹脂からなり、後述する摺接面の形成を含めたレンズ加工を容易かつ安価に行うことができる。
【0031】
図2は、本実施の形態にかかるレンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。ここでは、図示しない像側から順に配置された、第1レンズ1,第2レンズ120,および第3レンズ3により構成された第1レンズ群10が、第1レンズ枠40に保持されている様子を示している。第1レンズ枠40には、第2レンズ120を保持するための保持部41が形成されている。また、保持部41には、第2レンズ120を固定するためのレンズ受け部42が形成されている。
【0032】
実施の形態1では、第2レンズ120をレンズ受け部42に固定するために、第2レンズ120の右側面(フィルム側面)の周辺部にレンズの厚み方向に沿った段差121を形成し、この段差121にレンズ受け部42に対して接触する摺接面122を設けている。この摺接面122には、基準面122aと、調整面122b,122cが形成されている。基準面122aおよび調整面122b,122cは、いずれも光軸に対し垂直な面である。
【0033】
図3は、第2レンズ120の形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ120の平面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。第2レンズ120の右側面(フィルム側面)には、中心角が90度となるように4等分された領域が形成されている。各領域の段差121の摺接面122には、それぞれ基準面122aと、基準面122aより凸形状となっている調整面122bと、基準面122aより凹形状となっている調整面122cとが形成されている。
【0034】
調整面122bは、基準面122aに対し100分の1〜2ミリメートル程高くなっており、また、調整面122cは基準面122aに対し100分の1〜2ミリメートル程低くなっている。また、分割された領域内に形成される基準面122aと調整面122b,122cの位置は、各領域ともに同位置である。
【0035】
また、この第2レンズ120の左側面(像側面)にも段差124が形成されている。そして、この段差124には、右側面に形成された基準面122aおよび調整面122b,122cとそれぞれ対応する位置に、この面の高さを数値で示す指標としてのマーク125が記載されている。この数値は、基準面122aに対応する数値である「±0」,調整面122bに対応する数値である「+0.1」,調整面122cに対応する数値である「−0.1」が表記されてなる。
【0036】
図4は、実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠40の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠40の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。この第1レンズ枠40には、第2レンズ120を保持するための保持部41が形成されている。また、各保持部41には、第2レンズ120を固定するためのレンズ受け部42が4個所形成されている。このレンズ受け部42は、光軸に対し垂直な面になっている。したがって、第2レンズ120を光軸中心に回転させてもレンズと光軸との関係がずれるようなこともない。
【0037】
また、第1レンズ枠40には、第2レンズ120の右側面に形成された摺接面122のどの面(基準面122a,調整面122b,調整面122cのうちいずれか)が第1レンズ枠40のレンズ受け部42に接触しているかを把握できるようにするための確認指標44が形成されている。したがって、確認指標44の部分に位置している第2レンズ120のマーク125を参照することで、第2レンズ120に形成された摺接面122のどの面が第1レンズ枠40のレンズ受け部42に接触しているかが把握できる。
【0038】
例えば、光軸の前方から見て確認指標44の位置に第2レンズ120のマーク125の数値「±0」が位置していれば、レンズ受け部42に対し摺接面122のうち基準面122aが接触している状態であると容易に判断できるようになる。加えて、第2レンズ120を光軸調整する場合の調整方向を容易に判断できるようになる。
【0039】
このレンズ鏡筒では、第2レンズ120の摺接面122を第1レンズ枠40のレンズ受け部42に接触させた状態で、第2レンズ120を光軸中心に回転させることにより、第2レンズ120を光軸に沿う方向に移動させ、第2レンズ120の位置決めを行う。この後、レンズ受け部42と摺接面122を固定する。この固定には、接着剤等が用いられる。接着剤は、レンズ受け部42と摺接面122の間の1個所だけに用いるため、前述した経年変化による光軸の方向へのずれ等を最小限に抑えることができる。
【0040】
実施の形態1のレンズ鏡筒は、第2レンズ120に光軸の方向と垂直な方向に対して高さの異なる摺接面122を設け、レンズ受け部42に接触させる構成であるため、第2レンズ120を回転させるだけで、この第2レンズ120を光軸の方向に移動調整することができ、調整にかかる作業工程を単純化することができる。また、第2レンズ120を光軸の方向に対し定量的に変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)を容易に行えるようになる。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1に示したレンズ鏡筒の変形例である。図5は、実施の形態2のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ220の平面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。図5に示すように、実施の形態2では、第2レンズ220の右側面(フィルム側面)に、中心角が120度となるように3等分された領域を形成する。3等分された各領域には、実施の形態1と同様に段差221が形成され、段差221には、それぞれ基準面222aと、基準面222aより凸形状となっている調整面222bと、基準面222aより凹形状となっている調整面222cからなる摺接面222が形成されている。
【0042】
調整面222bは、基準面222aに対し100分の1〜2ミリメートル程高くなっており、また、調整面222cは基準面222aに対し100分の1〜2ミリメートル程低くなっている。また、分割された領域内に形成される基準面222aと調整面222b,222cの位置は、各領域ともに同位置である。
【0043】
また、この第2レンズ220の左側面(像側面)にも段差224が形成されている。そして、この段差224には、右側面に形成された基準面222aおよび調整面222b,222cとそれぞれ対応する位置に、この面の高さを示すマーク225が記載されている。この数値は、基準面222aに対応する数値である「±0」,調整面222bに対応する数値である「+0.1」,調整面222cに対応する数値である「−0.1」が表記されてなる。
【0044】
図6は、実施の形態2にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠70の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠70の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。この第1レンズ枠70には、第2レンズ220を保持するための保持部71が形成されている。また、各保持部71には、第2レンズ220を固定するためのレンズ受け部72が3個所形成されている。このレンズ受け部72は、光軸に対し垂直な面になっている。
【0045】
このように、摺接面222およびレンズ受け部72は、第2レンズ220を保持可能な最小の個数である3個としている。したがって、第2レンズ220を光軸中心に回転させてもレンズと光軸との関係がずれることがなく、調整および固定保持の安定化が図れる。
【0046】
また、第1レンズ枠70には、第2レンズ220の右側面に形成された摺接面222のどの面(基準面222a,調整面222b,調整面222cのうちいずれか)が第1レンズ枠70のレンズ受け部72に接触しているかを把握できるようにするための確認指標74が形成されている。したがって、確認指標74の部分に位置している第2レンズ220のマーク225を参照することで、第2レンズ220に形成された摺接面222のどの面が第1レンズ枠70のレンズ受け部72に接触しているかが把握できる。
【0047】
例えば、光軸の前方から見て確認指標74の位置に第2レンズ220のマーク225の数値「±0」が位置していれば、レンズ受け部72に摺接面222のうち基準面222aが接触している状態であると容易に判断できるようになる。加えて、第2レンズ220を光軸調整する場合の調整方向を容易に判断できるようになる。
【0048】
実施の形態2のレンズ鏡筒は、第2レンズ220に光軸の方向と垂直な方向に対して高さの異なる摺接面222を設け、レンズ受け部72に接触させる構成であるため、第2レンズ220を回転させるだけで、この第2レンズ220を光軸の方向に移動調整することができ、調整にかかる作業工程を単純化することができる。また、第2レンズ220を光軸の方向に対し定量的に変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)を容易に行えるようになる。加えて、レンズ受け部72と摺接面222を円周上で保持可能な最小個数の3個としたので、加工形成を容易に行えるとともに、最も安定した状態で第2レンズ220を調整および保持できるようになる。
【0049】
(実施の形態3)
つぎに、この発明の実施の形態3を説明する。実施の形態3も、実施の形態1に示したレンズ鏡筒の変形例である。図7は、実施の形態3にかかるレンズ鏡筒の第2レンズ320の形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ320の平面図、(b)は(a)の右側面図である。第2レンズ320の右側面(フィルム側面)には、中心角が90度となるように4等分された領域が形成されている。各領域の段差321の摺接面322には、それぞれ基準面322aと、基準面322aより凸形状となっている調整面322bと、基準面322aより凹形状となっている調整面322cとが形成されている。
【0050】
基準面322aは、一方の調整面322bから他方の調整面322cに連続するなだらかな傾斜を有したテーパー形状であり、この基準面322aの中央付近が基準位置とされている。そして、調整面322bの位置は基準面322aの基準位置に対し100分の1〜2ミリメートル程高くなっており、また、調整面322cの位置は基準面322aの基準位置に対し100分の1〜2ミリメートル程低くなっている。また、分割された領域内に形成される基準面322aと調整面322b,322cの位置は、各領域ともに同位置である。
【0051】
図8は、実施の形態3にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠80の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠80の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。この第1レンズ枠80には、第2レンズ320を保持するための保持部81が形成されている。また、各保持部81には、第2レンズ320を固定するためのレンズ受け部82が4個所形成されている。このレンズ受け部82は、半球状になっている。このレンズ受け部82は、摺接面322を点接触で受ける構成であればよく、例えば、円錐形状などにしてもよい。
【0052】
実施の形態3のレンズ鏡筒によれば、第2レンズ320に光軸の方向と垂直な方向に対して高さの異なる摺接面322を設け、レンズ受け部82に接触させる構成であるため、第2レンズ320を回転させるだけで、この第2レンズ320を光軸の方向に移動調整することができ、調整にかかる作業工程を単純化することができる。また、摺接面322のうち、基準面322aは、なだらかな傾斜を有するテーパー形状であるため、第2レンズ320を基準位置付近で光軸の方向に対し連続的に細かく変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)をより容易に行えるようになる。
【0053】
なお、実施の形態3では特に図示していないが、実施の形態1のレンズ鏡筒と同様に、確認指標とマークを設けることにより、第2レンズ320に形成された摺接面322のどの面が第1レンズ枠80のレンズ受け部82に接触しているかを容易に把握できるようになる。
【0054】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4は、実施の形態3に示したレンズ鏡筒の変形例である。図9は、実施の形態4にかかるレンズ鏡筒の第2レンズ420の形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ420の平面図、(b)は(a)の右側面図である。
【0055】
第2レンズ420の右側面(フィルム側面)には、中心角が120度となるように3等分された領域が形成されている。各領域の段差421の摺接面422には、それぞれ基準面422aと、基準面422aより凸形状となっている調整面422bと、基準面422aより凹形状となっている調整面422cとが形成されている。基準面422aは、一方の調整面422bから他方の調整面422cに連続するなだらかな傾斜を有したテーパー形状であり、この基準面422aの中央付近が基準位置とされている。
【0056】
そして、調整面422bの最も高い位置は基準面422aの基準位置に対し100分の1〜2ミリメートル程高くなっており、また、調整面422cの最も低い位置は基準面422aの基準位置に対し100分の1〜2ミリメートル程低くなっている。また、分割された領域内に形成される基準面422aと調整面422b,422cの位置は、各領域ともに同位置である。
【0057】
図10は、実施の形態4にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠90の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠90の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。
【0058】
この第1レンズ枠90には、第2レンズ420を保持するための保持部91が形成されている。また、各保持部91には、第2レンズ420を固定するためのレンズ受け部92が3個所形成されている。このレンズ受け部92は、半球状になっている。このレンズ受け部92は、第2レンズ420の摺接面422を点接触で受ける構成であればよく、例えば、円錐形状などにしてもよい。
【0059】
実施の形態4のレンズ鏡筒は、第2レンズ420に光軸の方向と垂直な方向に対して高さの異なる摺接面422を設け、レンズ受け部92に接触させる構成であるため、第2レンズ420を回転させるだけで、この第2レンズ420を光軸の方向に移動調整することができ、調整にかかる作業工程を単純化することができる。また、第2レンズ420を光軸の方向に対し定量的に変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)を容易に行えるようになる。そして、レンズ受け部92と摺接面422を円周上で保持可能な最小個数の3個としたので、加工形成を容易に行えるとともに、最も安定した状態で第2レンズ420を調整および保持できるようになる。さらに、摺接面422のうち、基準面422aは、なだらかな傾斜を有するテーパー形状であるため、第2レンズ420を基準位置付近で光軸の方向に対し連続的に細かく変化させることができるので、映像拡大レンズのピント調整(微調整)をより容易に行えるようになる。
【0060】
なお、実施の形態4では特に図示していないが、実施の形態1のレンズ鏡筒と同様に、確認指標とマークを設けることにより、第2レンズ420に形成された摺接面422のどの面が第1レンズ枠90のレンズ受け部92に接触しているかを容易に把握できるようになる。
【0061】
(実施の形態5)
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。図11は、実施の形態5にかかるレンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。ここでは、図示しない像側から順に配置された、第1レンズ1、第2レンズ520、および第3レンズ3により構成された第1レンズ群100が、第1レンズ枠110に保持されている様子を示している。
【0062】
第1レンズ枠110には、第2レンズ520を保持するための保持部111が形成されている。また、第2レンズ520の固定は、第2レンズ520の左側面の周辺部に形成された段差521と、第1レンズ枠110に設けられたレンズ固定部114とを接着剤で接着固定することによって行われる。そして、投影するスクリーンサイズに最適な像を形成するための映像拡大レンズのピント調整等のために、第2レンズ520と保持部111に形成されたレンズ受け部112との間にワッシャ6を介挿させ、第2レンズ520の光軸に沿う方向の位置調整を行う。以下、詳細に説明する。
【0063】
図12は、第2レンズ520の形状を示す図である。同図(a)は第2レンズ520の正面図、(b)は(a)の左側面図、(c)は(a)の右側面図である。第2レンズ520の正面の周辺部には段差521が形成されている。また、第2レンズ520の正面には、中心角が90度となるように4等分された領域が形成されている。各領域の段差521には、それぞれ平面部521aと、斜面部521bが形成されている。斜面部521bはなだらかな傾斜面になっており、斜面の高低差は100分の1〜4ミリメートル程である。分割された領域内に形成される平面部521aと斜面部521bの位置は、各領域ともに同位置である。
【0064】
また、この第2レンズ520の右側(フィルム側面)にも段差524が形成されている。この段差524が、レンズ受け部112に対する摺接面となる。
【0065】
図13は、実施の形態5にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠110の一部構成を示す図である。同図(a)は第1レンズ枠110の一部構成を示す平面図、(b)は(a)の左側面図である。この第1レンズ枠110には、第2レンズ520を保持するための保持部111が形成されている。また、保持部111には、第2レンズ520を固定するためのレンズ受け部112が形成されている。このレンズ受け部112は、光軸に対し垂直な面になっている。また、第1レンズ枠110には、バヨネット凸部(係合部)113が4個所形成されている。第2レンズ520を第1レンズ枠110に固定する際、第2レンズ520の斜面部521bをこのバヨネット凸部113に係合させる。
【0066】
そして、第2レンズ520を光軸中心に回転させることによって、第2レンズ520が光軸の方向に移動し、映像拡大レンズ全体のピント調整が可能となる。第1レンズ枠110には、第2レンズ520を固定するためのレンズ固定部114が形成されている。斜面部521bは、前述した各実施の形態で説明した摺接面、特に、テーパー形状の基準面322a,422aと同様に光軸の方向に対し連続的に高さが異なる構成部である。
【0067】
実施の形態5のレンズ鏡筒では、まず、第2レンズ520の斜面部521bを第1レンズ枠110のバヨネット凸部113に係合し、第2レンズ520を光軸中心に回転させて第2レンズ520を光軸の方向に移動させ、映像拡大レンズが所望の像を形成できるように第2レンズ520の位置決めを行う。
【0068】
第2レンズ520の段差524と第1レンズ枠110のレンズ受け部112との間に隙間が生じる場合には、その隙間にワッシャ6を挿入してから第2レンズ520の斜面部521bを第1レンズ枠110のバヨネット凸部113に係合させる。最後に、第2レンズ520の平面部521aと第1レンズ枠110のレンズ固定部114とを接着剤を用いて接着固定する。この接着個所は、ワッシャ6側ではない。ワッシャ6側であると、このワッシャ6の表裏両面に対する接着が必要となる。これに対し、第2レンズ520の平面部521aと第1レンズ枠110のレンズ固定部114の1個所だけを接着するものである。このように、固定後の第2レンズ520の位置を狂わせるおそれのない部分に接着剤を使用しているので、接着剤の厚みや収縮によるレンズ位置のずれを回避できる。
【0069】
実施の形態5のレンズ鏡筒は、バヨネット凸部113に対してなだらかな傾斜面を有する斜面部521bが係合する構成であるため、第2レンズ520を光軸中心に回転させることで、第2レンズ520の光軸に沿う方向の位置を連続的に変化させることができ、映像拡大レンズのピント調整(微調整)が可能になる。
【0070】
以上、本発明の各実施形態を図面に沿って説明した。しかしながら本発明はこの実施の形態に示した事項に限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいてその変更、改良等が可能であることは云うまでもない。例えば、上記各実施の形態では、第1レンズ群を構成する第2レンズの保持構成について示したが、必要であれば、他のレンズについても前記第2レンズと同様の保持構成を施すことが可能である。
【0071】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、レンズ枠に対しレンズを光軸の方向に移動させる調整を行って保持できるようになる。レンズ受け部に接触するレンズには光軸の方向に対し高さが異なる摺接面を有しているため、レンズ枠に対しレンズを回転させるだけでレンズを光軸の方向に移動させることができ、レンズ移動によるピント調整等の作業を簡単かつ効率的に行えるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の構成の一例を示す断面図である。
【図2】実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態1のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図4】実施の形態1にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図5】実施の形態2のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図6】実施の形態2にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図7】実施の形態3のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図8】実施の形態3にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図9】実施の形態4のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図10】実施の形態4にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図11】実施の形態5にかかるレンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。
【図12】実施の形態5のレンズ鏡筒に用いられる第2レンズの形状を示す図である。
【図13】実施の形態5にかかるレンズ鏡筒の第1レンズ枠の一部構成を示す図である。
【図14】従来の映像拡大レンズ鏡筒の一部構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1レンズ
2,120,220,320,420,520 第2レンズ
3 第3レンズ
4 レンズ枠
5 第2レンズ保持部
6 ワッシャ
10,100 第1レンズ群
20 第2レンズ群
30 第3レンズ群
40,70,80,90,110 第1レンズ枠
41,71,81,91,111 保持部
42,72,82,92,112 レンズ受け部
44,74 確認指標
50 第2レンズ枠
51 レンズ押さえ
60 第3レンズ枠
61 接続筒
62 レンズ保持枠
113 バヨネット凸部
114 レンズ固定部
121,124,221,224,321,421,521,524 段差
122,222,322,422 摺接面
122a,222a,322a,422a 基準面
122b,122c,222b,222c,322b,322c,422b,422c 調整面
125,225 マーク
521a 平面部
521b 斜面部
S 光軸
Claims (9)
- 入射する光軸と垂直な方向に対して高さの異なる複数の摺接面が外周縁に複数形成されたレンズと、
前記レンズの前記摺接面が接触するレンズ受け部が内周縁に複数形成され、前記レンズを収容するレンズ枠と、
を備えたことを特徴とするレンズ鏡筒。 - 前記レンズ枠に形成される前記レンズ受け部は、前記レンズの摺接面に接触する部分が光軸に対して垂直な平面状であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
- 前記レンズ枠に形成される前記レンズ受け部は、前記レンズの摺接面に接触する部分が点状であることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
- 前記レンズに形成される前記摺接面の一部は、前記光軸の方向に対し所定の傾斜を有する略テーパー形状であることを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡筒。
- 前記レンズに形成される前記摺接面は、前記レンズの面を等しく4つに分割した各領域の同位置にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のレンズ鏡筒。
- 前記レンズに形成される前記摺接面は、前記レンズの面を等しく3つに分割した各領域の同位置にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のレンズ鏡筒。
- 前記レンズの外周縁と前記レンズ枠の内周縁には、それぞれ、前記レンズ受け部に接触可能な複数の前記摺接面のうち、どの摺接面が接触しているかを示すための指標が設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のレンズ鏡筒。
- 入射する光軸と垂直な方向に対して高さが連続的に変化する傾斜面が外周縁に複数形成されたレンズと、
前記レンズの前記傾斜面に係合する係合部が内周縁に複数形成され、前記レンズを収容するレンズ枠と、
を備えたことを特徴とするレンズ鏡筒。 - 前記レンズ枠には、前記レンズの面が接触するレンズ受け部が設けられ、
前記レンズ枠の前記レンズ受け部と、該レンズ受け部に接触するレンズの面との間に、前記光軸の方向に対して前記レンズの位置を調整するための所定厚さのワッシャが介挿されることを特徴する請求項8に記載のレンズ鏡筒。
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