JP2004212525A - 反射防止フィルム、偏光板、および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明支持体上に該支持体よりも屈折率が低く含フッ素樹脂を主成分とする低屈折率層を少なくとも一層含む複数の光学薄膜を有する反射防止フィルムであって、該低屈折率層および/またはその他の層に、下記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する反射防止フィルム。
(R10)m−Si(X)4−m (1)
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射防止フィルム、それを用いた偏光板、およびそれらを用いた画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置に設けられている。眼鏡やカメラのレンズにも反射防止フィルムが設けられている。
反射防止フィルムとしては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層膜が従来から普通に用いられている。複数の透明薄膜を用いるのは、可視域でなるべく広い波長領域での光の反射を防止するためである。金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により形成されている。金属酸化物の透明薄膜は、反射防止フィルムとして優れた光学的性質を有しているが、蒸着法やスパッタ法による製膜方法は、生産性が低く大量生産に適していない。
【0003】
蒸着法に代えて、無機微粒子の塗布により反射防止フィルムを形成する方法が提案されている。
特許文献1は、微細空孔と微粒子状無機物とを有する反射防止層を開示している。反射防止層は、塗布により形成される。微細空孔は、層の塗布後に活性化ガス処理を行ない、ガスが層から離脱することによって形成される。
特許文献2は、支持体、高屈折率層および低屈折率層の順に積層した反射防止フィルムを開示している。同文献は、支持体と高屈折率層の間に中屈折率層を設けた反射防止フィルムも開示している。低屈折率層は、ポリマーまたは無機微粒子の塗布により形成されている。
【0004】
特許文献3は、二種類以上の超微粒子(例えば、MgF2とSiO2)を混在させて、膜厚方向にその混合比を変化させた反射防止フィルムを開示している。混合比を変化させることにより屈折率を変化させ、前記特許文献2に記載されている高屈折率層と低屈折率層を設けた反射防止フィルムと同様の光学的性質を得ている。超微粒子は、エチルシリケートの熱分解で生じたSiO2により接着している。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼によって、二酸化炭素と水蒸気も発生する。特許文献3中の第1図に示されているように、二酸化炭素と水蒸気が層から離脱することにより、超微粒子の間に間隙が生じている。
特許文献4は、前記特許文献3記載の反射防止フィルムに存在する超微粒子間隙をバインダーで充填することを開示している。
特許文献5は、多孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有する反射防止フィルムを開示している。
特許文献6は、低屈折率層に無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねてミクロボイドを含有させた層を用いた、ウエット塗布による3層構成の反射防止膜を有するフィルムを開示している。オールウエット塗布による安価な製造コストにて、膜強度と反射率の低さを両立した反射防止フィルムを与える技術が公開されている。
【0005】
以上のように、低屈折率層にはできるだけ屈折率の低い材料が望まれる反面、反射防止フィルムはディスプレイの最表面に用いられるため高い耐擦傷性が要求される。厚さ100nm前後の薄膜において高い耐擦傷性を実現するためには、皮膜自体の強度、および下層への密着性が必要である。
特許文献7〜9には、含フッ素樹脂中にポリシロキサン構造を導入することにより皮膜表面の摩擦係数を下げ耐傷性を改良する手段が記載されている。該手段は耐傷性改良に対してある程度有効であるが、本質的な皮膜強度および界面密着性が不足している皮膜に対して該手法のみでは十分な耐傷性が得られない。
【0006】
【特許文献1】
特公昭60−59250号公報
【特許文献2】
特開昭59−50401号公報
【特許文献3】
特開平2−245702号公報
【特許文献4】
特開平5−13021号公報
【特許文献5】
特開平7−48527号公報
【特許文献6】
特開平11−6902号公報
【特許文献7】
特開平11−189621号公報
【特許文献8】
特開平11−228631号公報
【特許文献9】
特開2000−313709号公報
【0007】
また、上記の耐擦傷性の問題以外に、前記の蒸着法やスパッタ法によって製造されている反射防止フィルムは、450nmから650nmまでの波長領域での平均反射率が0.4%以下のものは反射光の色味が赤紫色から青紫色に強く着色しており、反射光源が背後にある場合、表示品位を悪化させてしまう問題があった。一方、ウエット塗布によって製造されている反射防止フィルムは、反射光の色味はニュートラルに近いものの、平均反射率が1%を超えてしまい、特に外光が直接表示面に入射するような使用状況下では反射防止性能が不足していた。前記の特許文献6中の実施例24はウエット塗布で平均反射率0.35%と記載されているが、その反射スペクトルより反射光の色味を計算すると、反射光の色味が非常に強い赤紫になることがわかり、実サンプルを作製して目視で判断しても赤紫色に強く着色しており、やはり表示品位を損なってしまう問題があった。また、反射光の色味が強いために、反射防止層の僅かな膜厚ムラによって色味が大きくシフトし、目視でムラとして検出されてしまう問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分な反射防止性能と防汚性を有しながら耐傷性の向上した反射防止フィルムを提供することにある。
さらにはそのような反射防止フィルムを高い生産性で提供することである。
さらにはそのような反射防止フィルムを用いた偏光板やディスプレイ装置を提供することにある。
本発明のその他の目的は、低反射率化と反射光の色味のニュートラル化の両立、さらには膜厚誤差に対する色味シフトの低減を実現した反射防止フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、シランカップリング剤をあらかじめ加水分解/脱水縮合してから添加することにより優れた耐傷性を示す反射防止フィルムが得られること、更には、その添加量を減らしても安定した性能が得られ、しかも大きな効果が得られることを見出した。また、本発明者らは、5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を0.5%以下とし、且つ、波長380nmから780nmまでの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を、CIE1976L*a*b*色空間のa*、b*値がそれぞれ−7≦a*≦7、且つ、−10≦b*≦10の範囲内となるようにすることで、表示装置表面での外光の反射による視認性の低下が充分なレベルまで防止でき、従来の多層反射防止フィルムで問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味を大幅に低減することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいてなされるに至ったものである。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)透明支持体上に該支持体よりも屈折率が低く含フッ素樹脂を主成分とする低屈折率層を少なくとも一層含む複数の光学薄膜を有する反射防止フィルムであって、該低屈折率層および/またはその他の層に、下記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有することを特徴とする反射防止フィルム、
(R)m−Si(X)4−m (1)
(式中、Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。)
(2)低屈折率層および/またはそれに隣接する層の少なくとも一層に、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有することを特徴とする(1)項に記載の反射防止フィルム、
(3)前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する層に金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする(1)または(2)項に記載の反射防止フィルム、
【0011】
(4)低屈折率層および/またはそれに隣接する層の少なくとも一層に、前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有し、該含有する層の隣接層に前記一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物、その加水分解物、またはその部分縮合物を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
(5)前記一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物、その加水分解物またはその部分縮合物を含有する層に金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする(4)項に記載の反射防止フィルム、
(6)前記反射防止フィルムにおいて、5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を0.5%以下とし、且つ、波長380nmから780nmまでの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を、CIE1976L*a*b*色空間のa*、b*値がそれぞれ−7≦a*≦7、且つ、−10≦b*≦10となるようにしたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
【0012】
(7)前記反射防止フィルムにおいて、a*、b*値がそれぞれ0≦a*≦5、且つ、−7≦b*≦0の範囲内にあることを特徴とする(6)項に記載の反射防止フィルム、
(8)前記反射防止フィルムにおいて、5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を0.4%以下としたことを特徴とする(6)項に記載の反射防止フィルム、
(9)前記反射防止フィルムにおいて、5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を0.3%以下としたことを特徴とする(8)項に記載の反射防止フィルム、
(10)透明支持体上に有するそれぞれの層が、膜形成性の溶質と少なくとも1種類の溶媒を含有する塗布組成物の塗布、溶媒の乾燥、熱および/または電離放射線による硬化により形成されたものであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
(11)前記低屈折率層と前記透明支持体の間に、低屈折率層側から順に該支持体よりも高い屈折率を有する高屈折率層、該支持体と高屈折率層の中間の屈折率を有する中屈折率層、の実質上3層の屈折率の異なる層が形成されていることを特徴とする(1)〜(10)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
【0013】
(12)前記反射防止フィルムにおいて、設計波長λに対して中屈折率層が下式(I)を、高屈折率層が下式(II)を、低屈折率層が下式(III)をそれぞれ満足することを特徴とする(11)項に記載の反射防止フィルム、
(lλ/4)×0.80<n1d1<(lλ/4)×1.00 (I)
(mλ/4)×0.75<n2d2<(mλ/4)×0.95 (II)
(nλ/4)×0.95<n3d3<(nλ/4)×1.05 (III)
(但し、式中、λは可視光線の波長(例えば500nm)であり、lは1であり、n1は中屈折率層の屈折率であり、そして、d1は中屈折率層の層厚(nm)であり、mは2であり、n2は高屈折率層の屈折率であり、そして、d2は高屈折率層の層厚(nm)であり、nは1であり、n3は低屈折率層の屈折率であり、そして、d3は低屈折率層の層厚(nm)である)
(13)屈折率が1.45〜1.55である透明支持体に対して、n1が1.60〜1.65、n2が1.85〜1.95、n3が1.35〜1.45の屈折率であることを特徴とする(12)項に記載の反射防止フィルム、
(14)屈折率が1.55〜1.68である透明支持体に対して、n1が1.65〜1.75、n2が1.85〜2.05、n3が1.35〜1.45の屈折率であることを特徴とする(12)項に記載の反射防止フィルム、
(15)前記反射防止フィルムの高屈折率層が、Ti、Zr、In、Zn、Sn、Sbの酸化物から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物を含有する超微粒子、アニオン性分散剤、3官能以上の重合性基を有する硬化性樹脂および重合開始剤を含む塗布組成物を塗布、溶媒の乾燥、熱および/または電離放射線による硬化により形成されたものであることを特徴とする(11)〜(14)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
【0014】
(16)前記反射防止フィルムの低屈折率層が、動摩擦係数が0.15以下、純水の接触角が100度以上であることを特徴とする(1)〜(15)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
(17)前記低屈折率層と前記透明支持体との間に少なくとも1層のハードコート層を有することを特徴とする(1)〜(16)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
(18)前記低屈折率層と前記透明支持体との間に少なくとも1層の前方散乱層を有することを特徴とする(1)〜(17)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
(19)TD方向あるいはMD方向に10cm離れた任意の2つの場所における波長380nmから780nmまでの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味ムラが、CIE1976L*a*b*色空間のΔE* ab値で2未満であることを特徴とするであることを特徴とする(1)〜(18)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
【0015】
(20)トリアセチルセルロースあるいはポリエチレンテレフタレートのいずれかに対して常温常湿で測定した垂直剥離帯電量が−200pC(ピコクーロン)/cm2〜+200pC(ピコクーロン)/cm2であり、かつ表面抵抗値が1×1011Ω/□以上であることを特徴とするであることを特徴とする(1)〜(19)のいずれか1項に記載の反射防止フィルム、
(21)前記透明支持体がトリアセチルセルロールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、またはポリエチレンナフタレートフィルムであることを特徴とする(1)〜(20)いずれか1項に記載の反射防止フィルム、
(22)(1)〜(21)のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの支持体上の構成層が、1回の支持体フィルムの送り出し、各々の該光学薄膜の形成、フィルムの巻取り、の工程にて形成されることを特徴とする、反射防止フィルムの製造方法、
【0016】
(23)2枚の表面保護フィルムを偏光子の表面と裏面に貼り合わせた偏光板であり、(1)〜(21)のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを少なくとも片側の表面保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板、
(24)前記表面保護フィルムのうちの偏光子に対して反射防止フィルムとは反対側の面に光学異方性層を少なくとも1層含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムを有し、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる複屈折を有する層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該表面保護フィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と該表面保護フィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向において変化していることを特徴とする(23)項に記載の偏光板、
(25)2枚の表面保護フィルムを偏光子の表面と裏面に貼り合わせた偏光板であり、(1)〜(21)のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの低屈折率層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理した反射防止フィルムを少なくとも片面の表面保護フィルムに用いたことを特徴とする偏光板、
(26)2枚の表面保護フィルムを偏光子の表面と裏面に貼り合わせた偏光板であり、(1)〜(21)のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの低屈折率層を形成する面を形成前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの低屈折率層を形成する面の反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理した反射防止フィルムを少なくとも片面の表面保護フィルムに用いたことを特徴とする偏光板、
【0017】
(27)(1)〜(21)のいずれか1項に記載の反射防止フィルムまたは(23)〜(26)のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚有する画像表示装置、
(28)(23)〜(26)のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚有するTN、STN、VA、IPS、OCBのモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置、
(29)(23)〜(26)のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚有する透過型または半透過型の液晶表示装置であり、視認側とは反対側の偏光板とバックライトとの間に、偏光選択層を有する偏光分離フィルムを配置することを特徴とする液晶表示装置、
(30)(23)〜(26)のいずれか1項に記載の偏光板の反射防止フィルムとは反対側の透明保護フィルムに、λ/4板を配置したことを特徴とする透過または半透過型液晶装置、および
(31)(23)〜(26)のいずれか1項に記載の偏光板の反射防止フィルムとは反対側の透明保護フィルムに、λ/4板を配置したことを特徴とする有機ELディスプレイ装置
を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態として好適な反射防止フィルムの基本的な構成を、図面を参照しながら説明する。
【0019】
[反射防止フィルムの形成]
図1は、本発明の反射防止フィルムの基本的な層構成を示す断面模式図である。本発明の反射防止フィルムは、透明支持体1、ハードコート層2、中屈折率層3、高屈折率層4、そして低屈折率層5の順序の層構成を有するのが好ましい。このような3層構成の反射防止フィルムは、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層のそれぞれの層の光学膜厚、すなわち屈折率と膜厚の積が設計波長λに対してnλ/4前後、またはその倍数であることが好ましいことが特開昭59−50401号公報に記載されている。
しかしながら、本発明の低反射率且つ反射光の色味が低減された反射率特性を実現するためには、特に設計波長λに対して中屈折率層が下式(I)を、高屈折率層が下式(II)を、低屈折率層が下式(III)をそれぞれ満足する必要がある。
【0020】
(lλ/4)×0.80<n1d1<(lλ/4)×1.00 (I)
【0021】
(mλ/4)×0.75<n2d2<(mλ/4)×0.95 (II)
【0022】
(nλ/4)×0.95<n3d3<(nλ/4)×1.05 (III)
【0023】
式中、λは可視光線の波長(例えば500nm)であり、lは1であり、n1は中屈折率層の屈折率であり、そして、d1は中屈折率層の層厚(nm)であり、mは2であり、n2は高屈折率層の屈折率であり、そして、d2は高屈折率層の層厚(nm)であり、nは1であり、n3は低屈折率層の屈折率であり、そして、d3は低屈折率層の層厚(nm)である。さらに、例えばトリアセチルセルロース(屈折率:1.49)からなるような屈折率が1.45〜1.55の透明支持体に対しては、n1は1.60〜1.65、n2は1.85〜1.95、n3は1.35〜1.45の屈折率である必要があり、例えばポリエチレンテレフタレート(屈折率:1.66)からなるような屈折率が1.55〜1.65の透明支持体に対しては、n1は1.65〜1.75、n2は1.85〜2.05、n3は1.35〜1.45の屈折率である必要がある。
【0024】
上記のような屈折率を有する中屈折率層や高屈折率層の素材が選択できない場合でも、設定屈折率よりも高い屈折率を有する層と低い屈折率を有する層を複数層組み合わせた等価膜の原理を用いて、実質的に設定屈折率の中屈折率層あるいは高屈折率層と光学的に等価な層を形成できるので、これを本発明における反射率特性を実現するために用いることもできる。本明細書における「実質的に3層」とは、このような等価膜を用いた4層、5層の屈折率の異なる項からなる反射防止層も含むことを意味するものである。
【0025】
上記のような層構成とすることで達成される本発明における反射率特性は、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば液晶表示装置の最表面に適用した場合、これまでにない視認性の高さを有する表示装置が得られる。5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を0.5%以下とすることによって、表示装置表面での外光の反射による視認性の低下が充分なレベルまで防止できる。平均値は好ましくは0.4%以下であり、より好ましくは0.3%以下である。また、波長380nmから780nmまでの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を、CIE1976L*a*b*色空間のa*、b*値がそれぞれ−7≦a*≦7、且つ、−10≦b*≦10の範囲内となるようにすることで、従来の多層反射防止フィルムで問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに好ましくは0≦a*≦5、且つ、−7≦b*≦0の範囲内とすることで該色味が大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならないようにすることができる。a*>7では赤味が強く、a*<−7ではシアン味が強くなり、好ましくない。またb*<−7では青味が強く、b*>0では黄味が強くなり好ましくない。
【0026】
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計V−550(商品名、日本分光(株)製)にアダプターARV−474(商品名)を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。さらに、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価することができる。
【0027】
さらに、上記のように反射光の色味が大幅に低減されたことで、反射防止層の膜厚ムラに起因する反射光の色味ムラも大幅に低減される。すなわち、膜厚ムラの許容範囲が広がることになり、製造得率が上がり、コストの更なる低減が可能となる。定量的には、TD方向(支持体長手方向と直交する方向)あるいはMD方向(支持体長手方向)に10cm離れた任意の2つの場所における波長380nmから780nmまでの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味ムラで表すことができ、CIE1976L*a*b*色空間のΔE* ab値で2未満であることが好ましく、1.5未満であると完全に人間の目でムラを検出できなくなり、より好ましい。
【0028】
本発明の反射防止フィルムは、トリアセチルセルロース(TAC)あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)のいずれかに対して常温常湿で測定した垂直剥離帯電が−200pC(ピコクーロン)/cm2〜+200pC(ピコクーロン)/cm2であることが、防塵性の観点から好ましい。より好ましくは−100pC/cm2〜+100pC/cm2であり、さらに好ましくは−50pC/cm2〜+50pC/cm2であり、最も好ましくは0pC/cm2である。ここで、単位のpC(ピコクーロン)は、10−12クーロンである。
さらに好ましくは、常温10%RHで測定した垂直剥離帯電が−100pC/cm2〜+100pC/cm2であり、さらに好ましくは−50pC/cm2〜+50pC/cm2であり、最も好ましくは0pC/cm2である。
【0029】
垂直剥離帯電の測定方法は以下の通りである。
測定サンプルはあらかじめ測定温度湿度の環境下で2時間以上放置しておく。測定装置は測定サンプルを置く台と相手のフィルムを保持して測定サンプルに上から圧着と剥離を繰り返せるヘッドからなり、このヘッドに帯電量を測定するエレクトロメーターがつながっている。測定する反射防止フィルムを台に乗せ、ヘッドにTACあるいはPETを装着する。測定部分を除電したのち、ヘッドを測定サンプルに圧着させ剥離させることを繰り返し、1回目の剥離時と5回目の剥離時の帯電の値を読み、これを平均する。サンプルを変えて3サンプルでこれを繰り返し、全てを平均したものを垂直剥離帯電とする。
【0030】
相手フィルムや測定サンプルの種類によってプラスに帯電する場合とマイナスに帯電する場合があるが、問題となるのは絶対値の大きさである。
また、一般的に低湿度の環境下の方が帯電の絶対値は大きくなる。本発明の反射防止フィルムはこの絶対値も小さい。
【0031】
本発明の反射防止フィルムは、常温常湿及び常温10%RHでの垂直剥離帯電の絶対値が小さいので防塵性に優れる。
垂直剥離帯電の値を上記の範囲とするには、反射防止フィルム表面の各種元素の割合を調節することによって行われる。
【0032】
本発明の反射防止フィルムの表面抵抗値は、1×1011Ω/□以上、好ましくは1×1012Ω/□以上である。表面抵抗値の測定方法はJISに記載されている円電極法である。即ち、電圧印加後、1分後の電流値を読み、表面抵抗値(SR)を求める。
本発明では、表面抵抗値を小さくすること、例えば1×1010Ω/□以下にすることで防塵性(ゴミ付着防止性)を良くする方法とは考え方が根本的に異なる。この方法は画像表示品位が落ちるため採用せず、本発明では上記した方法で垂直剥離帯電の絶対値を小さくしているので、表面抵抗値を小さくする必要がなく、表面抵抗値を1×1011Ω/□以上とすることができ画像表示品位が落ちない。
【0033】
本発明の反射防止フィルムに用いる透明支持体としては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。プラスチックフィルムの材料の例には、セルロースエステル(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。
【0034】
特に液晶表示装置や有機EL表示装置等に用いるために本発明の反射防止フィルムを偏光板の表面保護フィルムの片側として用いる場合にはトリアセチルセルロースが好ましく用いられる。トリアセチルセルロースフィルムとしては、TAC−TD80U(商品名、富士写真フィルム(株)製)等の公知のもの、公開技報番号2001−1745にて公開されたものが好ましく用いられる。また、平面CRTやPDP等に用いるためにガラス基板等に張り合わせて用いる場合にはポリエチレンテレフタレート、あるいははポリエチレンナフタレートが好ましい。
【0035】
透明支持体の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体の屈折率は、1.4乃至1.7であることが好ましい。本発明の透明支持体の厚みは特に限定されないが、30〜150μmが好ましく、40〜130μmがより好ましく、70〜120μmが更に好ましい。
【0036】
本発明の少なくとも1層の低屈折率層を含む複数の光学薄膜のうちの少なくとも1層には、該複数の光学薄膜間の密着性を改良して高い耐擦傷性を得るために、オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物、いわゆるゾル成分(以降このようにも称する)を含有する。
オルガノシラン化合物は、下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
(R10)m−Si(X)4−m (1)
【0037】
一般式(1)においてR10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、t−ブチル、sec−ブチル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0038】
Xは水酸基または加水分解可能な基を表し、加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン(例えばCl、Br、I等)、又はR2COO(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO、C2H5COO等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは1〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは1、2であり、特に好ましくは1である。
【0039】
R10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
【0040】
R10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましく、中でも、下記一般式(2)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
一般式(2)
【0041】
【化1】
【0042】
一般式(2)においてR1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子又は塩素原子が更に好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
【0043】
Yは単結合、又はエステル基、アミド基、エーテル基もしくはウレア基を表す。単結合、又はエステル基もしくはアミド基が好ましく、単結合又はエステル基が更に好ましく、エステル基が特に好ましい。
【0044】
Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。
【0045】
nは0または1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。nとして好ましくは0である。
R10は一般式(1)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
Xは一般式(1)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、または無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、または無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、または炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0046】
一般式(1)または一般式(2)の化合物は2種類以上を併用しても良い。以下に一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
【化2】
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
これらの具体例の中で、(M−1)、(M−2)、(M−25)等が特に好ましい。
【0055】
本発明の効果を得るためには、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物におけるオルガノシランの含有量は、30〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%が更に好ましく、90〜100質量%が特に好ましい。オルガノシランの含有量が30質量%より少ないと、固形分が生じたり、液が濁ったり、ポットライフが悪化したり、分子量の制御が困難(分子量の増大)であったり、重合性基の含有量が少ないために重合処理を行った場合の性能(例えば反射防止膜の耐傷性)の向上が得られにくいために好ましくない。
【0056】
オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物の重量平均分子量は、分子量が300未満の成分を除いた場合に、1000〜20000が好ましく、1000〜10000がより好ましく、1100〜5000が更に好ましく、1200〜3000が更に好ましく、1200〜2000が更に好ましい。
オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物における分子量が300以上の成分のうち、分子量が20000より大きい成分は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、6質量%以下であることが更に好ましく、4質量%以下であることが特に好ましい。
また、オルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物における分子量300以上の成分のうち、分子量1000〜20000の成分は80質量%以上であることが好ましい。80質量%未満であると、そのようなオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する反射防止フィルムは、透明性や密着性が劣る場合がある。
【0057】
ここで、重量平均分子量及び分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも商品名、東ソー(株)製)のカラムを使用したGPC分析装置により、溶媒THF、示差屈折計検出によるポリスチレン換算で表した分子量であり、含有量は、分子量が300以上の成分のピーク面積を100%とした場合の、前記分子量範囲のピークの面積%である。
分散度(重量平均分子/数平均分子量)は3.0〜1.1が好ましく、2.5〜1.1がより好ましく、2.0〜1.1が更に好ましく、1.5〜1.1が特に好ましい。
【0058】
オルガノシランの加水分解物および/または部分縮合物の29Si−NMR分析により一般式(1)のXが−OSiの形で縮合している状態を確認できる。
この時、Siの3つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T3)、Siの2つの結合が−OSiの形で縮合している場合(T2)の比率(T3/T2)を縮合度とした場合に、縮合度は0.5〜3.5が好ましく、0.5〜3.0がより好ましく、0.7〜2.5がとくに好ましい。
0.5より小さいと加水分解や縮合が十分でなく、モノマー成分が増えるため硬化が十分でなく、3.5より大きいと加水分解や縮合が進みすぎ、加水分解可能な基が消費されてしまうため、バインダーポリマー、樹脂基板、無機微粒子などの相互作用が低下してしまい、これらを用いても効果が得られにくくなる。
【0059】
オルガノシランの加水分解および/または縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができ、本発明の硬化性組成物を製造することができる。溶媒を用いる場合はオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物の濃度を適宜に定めることができる。溶媒としては成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。
溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いられることが工程上好ましく、含フッ素樹脂などのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
【0060】
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
【0061】
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどを、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における溶媒に対する固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1〜90質量%の範囲であり、好ましくは20〜70質量%の範囲である。
【0062】
オルガノシランの加水分解および/または縮合反応は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、ゾル液の製造安定性やゾル液の保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)が好ましい。無機酸では塩酸、硫酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が更に好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
【0063】
加水分解および/または縮合反応は、通常、オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして好ましくは触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。
加水分解性基がアルコキシドで触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、オルガノシランのアルコキシド基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
【0064】
触媒の使用量は、触媒が無機酸の場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。
反応は25〜100℃で撹拌することにより行われるがオルガノシランの反応性により適宜調節されることが好ましい。
【0065】
オルガノシランのゾルの適宜な含有量は、添加する層によっても異なるが、低屈折率層の添加量は含有層(添加層)の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。低屈折率層以外の光学薄膜層への添加量は、含有層(添加層)の全固形分の0.001〜50質量%が好ましく、0.01〜20質量%がより好ましく、0.05〜10質量%が更に好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
【0066】
低屈折率層における、含フッ素樹脂に対するオルガノシランのゾルの使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少なすぎると本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
低屈折率層に上記オルガノシランを添加する場合に、該低屈折率層に隣接する層が無機酸化物微粒子を含有すると、層間の密着力が増加し、より好ましい。高屈折率層に上記オルガノシランを添加する場合も同様に、隣接する低屈折率層および/または中屈折率層が無機酸化物微粒子を含有するとより好ましい。
【0067】
中屈折率層および高屈折率層は、屈折率の高い無機微粒子、熱または電離放射線硬化性のモノマー、開始剤、好ましくは上記オルガノシランゾル、および溶媒を含有する塗布組成物の塗布、溶媒の乾燥、熱および/または電離放射線による硬化によって形成される。無機微粒子としては、Ti、Zr、In、Zn、Sn、Sbの酸化物から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物からなるものが好ましい。このようにして形成された中屈折率層および高屈折率層は、高屈折率を有するポリマー溶液を塗布、乾燥したものと比較して、耐傷性や密着性に優れる。分散液安定性や、硬化後の膜強度等を確保するために、特開平11−153703号公報や米国特許第6,210,858号明細書等に記載されているような、多官能(メタ)アクリレートモノマーとアニオン性基含有(メタ)アクリレート分散剤とが塗布組成物中に含まれることが好ましい。
【0068】
無機微粒子の平均粒径は、コールターカウンター法で測定したときの平均粒径で1〜100nmであることが好ましい。1nm以下では、比表面積が大きすぎるために、分散液中での安定性に乏しく、好ましくない。100nm以上では、バインダとの屈折率差に起因する可視光の散乱が発生し、好ましくない。高屈折率層および中屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。
【0069】
低屈折率層には、熱または電離放射線により硬化する含フッ素樹脂が主成分として含まれる。上記オルガノシランゾル、無機フィラーを含有すると、他の層との密着性、自層の強度が向上する為に耐擦傷性が著しく改良され、好ましい。また、低屈折率層と隣接する他の光学薄膜層に上記オルガノシラン化合物、その加水分解物またはその部分縮合物を含有すると、該層間の密着性が向上して好ましく、低屈折率層と隣接する他の光学薄膜層と低屈折率層に共に上記オルガノシランゾルを含有すると、該層間の密着性が向上し、特に好ましい。
該硬化物の動摩擦係数は好ましくは0.03〜0.15、純水に対する接触角は好ましくは100〜120度である。動摩擦係数が0.15より高いと、表面を擦った時に傷つきやすくなり、好ましくない。また、純水に対する接触角が100度未満では指紋や油汚れ等が付着しやすくなるため、防汚性の観点で好ましくない。
該硬化性の含フッ素樹脂としてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)等の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。
【0070】
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学製)やM−2020(商品名、ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等であり、これらのなかでも低屈折率、モノマーの扱いやすさの観点で特にヘキサフルオロプロピレンが好ましい。
【0071】
架橋性基付与のためのモノマーとしてはグリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者は共重合の後、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されており、特に好ましい。
【0072】
また上記含フッ素モノマーを構成単位とするポリマーだけでなく、フッ素原子を含有しないモノマーとの共重合体を用いてもよい。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができ、特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されている。
【0073】
さらに耐傷性、防汚性を付与する目的で、含フッ素ポリマーにはポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが例えば特開平11−189621号、同11−228631号、特開2000−313709号の各公報に記載のごとくシリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法、特開平2−251555号公報、同2−308806号公報に記載のごとくシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。これらのポリシロキサン成分はポリマー中の0.5〜10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%である。
【0074】
防汚性付与に対しては上記以外にも反応性基含有ポリシロキサン(例えばKF−100T、X−22−169AS、KF−102、X−22−3701IE、X−22−164B,X−22−5002、X−22−173B、X−22−174D、X−22−167B、X−22−161AS(以上商品名、信越化学工業社製)、AK−5、AK−30,AK−32(以上商品名、東亜合成社製)、サイラプレーンFM0275、サイラプレーンFM0721(以上チッソ社製)等)を添加する手段も好ましい。この際これらのポリシロキサンは低屈折率層全固形分の0.5〜10質量%の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1〜5質量%の場合である。
【0075】
低屈折率層に用いられる無機フィラーとしては低屈折率のものが好ましく用いられ、好ましい無機フィラーは、シリカ、フッ化マグネシウムであり、特にシリカが好ましい。
該無機フィラーの平均粒径は0.001〜0.2μmであることが好ましく、0.001〜0.05μmであることがより好ましい。フィラーの粒径はなるべく均一(単分散)であることが好ましいが、2種類以上の異なる粒径を有する単分散フィラーを併用することも可能であり、特に耐擦傷性を改良する目的では好ましく用いられる。
【0076】
低屈折率層の形成に用いる含フッ素樹脂の屈折率は、反射防止性の観点からは屈折率が低いほど好ましいが、含フッ素樹脂の屈折率を下げていくと耐傷性が悪化する。そこで、含フッ素樹脂の屈折率と上記無機フィラーの添加量を最適化することにより、耐傷性と低屈折率のバランスの最も良い点を見出すことができる。含フッ素樹脂と無機フィラーの配合比は、95:5〜50:50が好ましく、90:10〜60:40がより好ましい。
上記無機フィラーの中で特に好ましいシリカのフィラーとしては、市販の有機溶剤に分散されたシリカゾルをそのまま塗布組成物に添加しても、市販の各種シリカ紛体を有機溶剤に分散して使用してもよい。
【0077】
反射防止フィルムには、さらに、ハードコート層、前方散乱層、帯電防止層、下塗り層や保護層を設けてもよい。
ハードコート層は、透明支持体に耐傷性を付与するために設ける。ハードコート層は、透明支持体とその上の層との接着を強化する機能も有する。ハードコート層は、多官能アクリルモノマー、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー、各種重合開始剤を溶媒に溶解した組成物に、必要に応じてシリカ、アルミナ等の無機フィラーを添加して得られた塗布組成物の塗布、溶媒の乾燥、熱および/または電離放射線により硬化することで好ましく形成される。詳細については後述する。
【0078】
ハードコート層の厚さは、1〜30μmであることが好ましく、2〜20μmであることがさらに好ましく、3〜10μmであることが最も好ましい。
ハードコート層の鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
ハードコート層の屈折率は、1.45〜1.8の範囲が好ましく、支持体の屈折率との差が0〜0.3の範囲内であるものが好ましい。
【0079】
ハードコート層は二酸化珪素を主とする無機化合物からなる層、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマー等の有機化合物からなる層、あるいは無機/有機化合物のハイブリッド化された層として形成できる。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーからなる層であることが特に好ましい。ポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0080】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーは、塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化させる必要がある。
【0081】
二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、本発明において架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋基を有する化合物は塗布後熱などによって架橋させる必要がある。
【0082】
更にハードコート層には、屈折率の調節や膜の硬化強度を高めるために無機の微粒子を添加しても良い。無機の微粒子としては平均粒子サイズが0.001〜0.5μmのものが好ましく、0.001〜0.2μmのものが特に好ましい。
無機微粒子としては二酸化珪素粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化錫粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク、カオリンおよび硫酸カルシウム粒子があげられ、二酸化珪素粒子、二酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子が特に好ましい。
無機微粒子の添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0083】
前方散乱層は、液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設ける。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。
【0084】
本発明の塗布組成物のウエット塗布による多層反射防止フィルムに表面凹凸によって背景の映り込みをぼかす、防眩性を付与する場合には、一般に用いられているようなマット粒子等を含有する表面凹凸を有する層の上に反射防止層を形成するよりも、エンボス法等によって反射防止層形成後に表面凹凸構造を形成したほうが、膜厚均一性が良化するため、反射防止性能が向上するので好ましい。
【0085】
反射防止フィルムの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許第2,681,294号明細書)により、塗布により形成することができる。ウエット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくす観点でマイクログラビア法およびグラビア法が好ましく、幅方向の膜厚均一性の観点で特にグラビア法が好ましい。本発明の反射防止フィルムの複数の光学薄膜のうちの少なくとも2層を、1回の支持体フィルムの送り出し、各々の該光学薄膜の形成、フィルムの巻取り、の工程にて形成するのが、生産コストの観点で好ましく、反射防止層が3層構成の場合には、3層を1回の工程にて形成するのが好ましい。このような製造方法は、塗布機の支持体フィルムの送り出しから巻取りまでの間に、塗布ステーションと乾燥、硬化ゾーンのセットを複数個、好ましくは光学薄膜の数と同じ数以上、縦列して設けることによって達成される。
【0086】
上記のような複数個の塗布ステーションを設ける代わりに、2層以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許第2,761,791号、同第2,941,898号、同第3,508,947号、同第3,526,528号の各明細書、および原崎勇次著「コーティング工学」、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0087】
本発明の反射防止フィルム2枚を偏光子の表面と裏面に貼り合わせることによって偏光板を形成することができる。この場合、本発明の反射防止フィルムを少なくとも偏光板の片側の表面保護フィルムとして用いることが好ましい。
本発明の反射防止フィルムを偏光子の表面保護フィルムの片側として用いる場合には、透明支持体の反射防止層が形成される面とは反対側の面をアルカリによって鹸化処理することが必要である。アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の2つから選択することができる。汎用のトリアセチルセルロースフィルムと同一の工程で処理できる点で(1)が優れているが、反射防止膜面まで鹸化処理されるため、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、鹸化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。その場合には、特別な工程となるが、(2)が優れる。
(1)透明支持体上に反射防止層を形成後に、アルカリ液中に少なくとも1回浸漬することで、該フィルムの裏面を鹸化処理する。
(2)透明支持体上に反射防止層を形成する前または後に、アルカリ液を該反射防止フィルムの反射防止フィルムを形成する面とは反対側の面に塗布し、加熱、水洗および/または中和することで、該フィルムの裏面だけを鹸化処理する。
【0088】
偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルム(以下、PVAと記載する)が好ましく用いられる。PVAは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、変性PVAも用いることができる。PVAを染色して偏光膜が得られる。染色を行う例としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にPVAフィルムを浸漬させる方法、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧など任意の手段で行うことができる。PVAを延伸して偏光膜を製造する過程では、PVAを架橋させる添加物、例えばホウ酸類を用いることが好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30乃至50%の範囲にあることが好ましく、35乃至50%の範囲にあることがさらに好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90乃至100%の範囲にあることが好ましく、95乃至100%の範囲にあることがさらに好ましく、99乃至100%の範囲にあることが最も好ましい。
【0089】
特開平8−50206号公報や特開2001−100043号公報等に記載されているように、偏光板は、表面保護フィルムのうちの偏光子に対して反射防止フィルムとは反対側の面に光学異方性層を少なくとも1層含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムを有し、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる複屈折を有する層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該表面保護フィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と該表面保護フィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向において変化していることが好ましい。
【0090】
本発明の反射防止フィルムは、偏光子の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEF(商品名)など)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。また、透過型、反射型、および半透過型の液晶表示装置において液晶セルの全面に空気を介してアクリル板等の前面板を配する場合には、液晶セル表面側の偏光板だけでなく、前面板の内側及び/または外側に粘着剤等を介して貼り付けること、界面の反射を低減することができるため好ましい。また、λ/4板と組み合わせることで、反射型または半透過型のLCDや、有機ELディスプレイ用表面保護板として用いることができる。さらに、PET、PEN等の透明支持体上に本発明の反射防止層を形成して、PDA、携帯電話の表面保護板、タッチパネル、プラズマディスプレイパネル(PDP)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用できる。
【0091】
【実施例】
本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(ハードコート層用塗布液Aの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450質量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製、商品名)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03(商品名、富士写真フイルム(株)製))で濾過してハードコート層用塗布液Aを調製した。
【0092】
(ハードコート層用塗布液Bの調製)
上記ハードコート層用塗布液A(溶剤乾燥し、紫外線硬化後の屈折率:1.51)1000質量部に、平均粒径1.3μmの架橋ポリスチレンからなる前方散乱性付与粒子(商品名:SX−130H、屈折率:1.61、綜研化学(株)製)150質量部を追添加し、エアディスパーにて10分間攪拌して混合物を得、孔径0.4μmのプロファイルスター0.4μm(商品名、日本ポール社(株)製)で濾過して、前方散乱性を付与した、ハードコート層用塗布液Bを調製した。
【0093】
(ハードコート層用塗布液Cの調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)91質量部、粒径約30nmの酸化ジルコニウム超微粒子分散物含有ハードコート塗布液(商品名:デソライトZ−7401、JSR(株)製)218質量部を、52質量部のメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=54/46質量%の混合溶剤に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバファインケミカルズ(株)製)10質量部を加え、撹拌して混合物を得、孔径0.4μmのプロファイルスター0.4μm(商品名、日本ポール社(株)製)で濾過してハードコート層用塗布液Cを調製した。
【0094】
(オルガノシランゾル組成物Aの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン161質量部、シュウ酸123質量部、エタノール415質量部を加え混合したのち、70℃で5時間反応させた後室温まで冷却しオルガノシランのゾル組成物Aを得た。
【0095】
(オルガノシランゾル組成物Bの調製)
オルガノシランゾル組成物Aの調製において、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランをメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランに換えた他は、オルガノシランゾル組成物Aの調製と同様にしてオルガノシランゾル組成物Bを得た。
【0096】
(二酸化チタン分散物の調製)
二酸化チタン超微粒子(商品名:TTO−55B、石原テクノ(株)製)30質量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA、興人(株)製)1質量部、リン酸基含有アニオン性分散剤(商品名:KAYARAD PM−21、日本化薬(株)製)6質量部およびシクロヘキサノン63質量部を、サンドグラインダーによって、コールター法で測定した平均粒径が42nmになるまで分散し、二酸化チタン分散物を調製した。
【0097】
(中屈折率層用塗布液Aの調製)
シクロヘキサノン75質量部およびメチルエチルケトン19質量部に、光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバガイギー社製)0.11質量部および光増感剤(商品名:カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04質量部を溶解した。さらに、二酸化チタン分散物3.1質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.1質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径0.4μmのプロファイルスター0.4μm(商品名、日本ポール社(株)製)で濾過して、中屈折率層用塗布液Aを調製した。
【0098】
(中屈折率層用塗布液Bの調製)
シクロヘキサノン750質量部、メチルエチルケトン190質量部に、光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバガイギー社製)1.2質量部および光増感剤(商品名:カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4質量部を溶解した。さらに、二酸化チタン分散物105質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)21質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径0.4μmのプロファイルスター0.4μm(商品名、日本ポール社(株)製)で濾過して、中屈折率層用塗布液Bを調製した。
【0099】
(高屈折率層用塗布液Aの調製)
シクロヘキサノン54質量部およびメチルエチルケトン18質量部に、光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバガイギー社製)0.13質量部および光増感剤(商品名:カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04質量部を溶解した。さらに、二酸化チタン分散物26.4質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)1.6質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径0.4μmのプロファイルスター0.4μm(商品名、日本ポール社(株)製)で濾過して、高屈折率層用塗布液Aを調製した。
【0100】
(高屈折率層用塗布液Bの調製)
シクロヘキサノン52質量部およびメチルエチルケトン18質量部に、光重合開始剤(商品名:イルガキュア907、チバガイギー社製)0.13質量部および光増感剤(商品名:カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.04質量部を溶解した。さらに、二酸化チタン分散物26.4質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)1.6質量部とオルガノシランゾル組成物A2.33質量部を加え、室温で30分間撹拌した後、孔径0.4μmのプロファイルスター0.4μm(商品名、日本ポール社(株)製)で濾過して、高屈折率層用塗布液Bを調製した。
【0101】
(低屈折率層用塗布液Aの調製)
屈折率1.42であり、熱架橋性含フッ素樹脂の6質量%のメチルエチルケトン溶液(商品名:JN−7228、JSR(株)製)を溶媒置換して、メチルイソブチルケトン85質量%、2−ブタノール15質量%からなる混合溶媒中に固形分10質量%を含有するポリマー溶液を得た。このポリマー溶液70質量部にMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製、商品名)10質量部、オルガノシランゾル組成物A 2.17質量部、およびメチルイソブチルケトン42質量部およびシクロヘキサノン28質量部を添加、攪拌の後、孔径0.4μmのプロファイルスター0.4μm(商品名、日本ポール社(株)製)でろ過して、低屈折率層用塗布液Aを調製した。
【0102】
(低屈折率層用塗布液Bの調製)
オルガノシランゾル組成物A 2.17質量部をオルガノシランゾル組成物B2.17質量部に置き換えた以外は低屈折率層用塗布液Aと同様にして、低屈折率層用塗布液Bを調製した。
【0103】
(低屈折率層用塗布液Cの調製)
オルガノシランゾル組成物A 2.17質量部を添加しない以外は低屈折率層用塗布液Aと同様にして、低屈折率層用塗布液Cを調製した。
【0104】
[実施例1]
(反射防止フィルムの作製)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、商品名、富士写真フィルム(株)製、屈折率:1.47)に、上記のハードコート層用塗布液Aを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗布層を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.51、膜厚:6μm)を形成した。
続いて、上記の中屈折率層用塗布液Aをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率:1.63、膜厚:67nm)を設けた。
中屈折率層の上に、上記の高屈折率層用塗布液Aをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.90、膜厚:107nm)を設けた。
さらに高屈折率層の上に、上記の低屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で1分間乾燥した後に、紫外線を照射し、さらに120℃で8分間、塗布層を熱硬化させ、低屈折率層A(屈折率:1.43、膜厚:86nm)を設けた。このようにして反射防止フィルムを作製した。
なお、中屈折率層の塗布、乾燥、硬化と、高屈折率層の塗布、乾燥、硬化と、低屈折率層の塗布、乾燥、硬化は、一つの塗布機内に3つの塗布ステーション、乾燥、硬化ゾーンのセットを有する塗布機にて、1回の塗布工程の中で連続的に実施した。
【0105】
[比較例1]
物理蒸着法により、実施例1のハードコート上に順次、酸化チタン(屈折率:2.39)25nmと酸化ケイ素(屈折率1.47)25nmの2層からなる実質上中屈折率層、酸化チタン46nmからなる高屈折率層、酸化ケイ素97nmからなる低屈折率層を形成し、反射防止フィルムを作製した。
図2に本発明の実施例1および比較例1の反射防止フィルムの波長380nmから780nmまでにおける反射率スペクトルを示す。図2及び表3から明らかなように、比較例1に比べて実施例1では、反射スペクトルの長波長側、短波長側の上昇が低減されており、反射光の色味も低減されていることがわかった。
【0106】
[実施例2]
実施例1で作製した反射防止フィルムを、2.0規定、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬してフィルムの裏面のトリアセチルセルロース面を鹸化処理し、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、商品名、富士写真フィルム(株)製)を同条件で鹸化処理したフィルムとでポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面を接着、保護して偏光板を作製した。このようにして作製した偏光板を、反射防止膜側が最表面となるように透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フィルムである住友3M(株)製のD−BEF(商品名)をバックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えたところ、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高い表示装置が得られた。
【0107】
[実施例3]
実施例2の鹸化処理を、1.0規定のKOH水溶液を#3バーにて反射防止フィルムの裏面に塗布し、膜面温度60℃にて10秒間処理した後に水洗、乾燥して行った以外は実施例2と同様にして、液晶表示装置に貼り付けたところ、実施例2と同様の表示品位の高い表示装置が得られた。
【0108】
[実施例4]
実施例3の反射防止フィルムを貼り付けた透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムおよびバックライト側の偏光板の液晶セル側の保護フィルムに、ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有する視野角拡大フィルム(ワイドビューフィルムSA−12B、商品名、富士写真フィルム(株)製)を用いたところ、明室でのコントラストに優れ、且つ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
【0109】
[実施例5〜7および比較例2]
実施例1のハードコート、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層用の塗布液に代わり、下記表1に示した塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5〜7、比較例2の反射防止フィルムを作製した。
【0110】
【表1】
【0111】
実施例1、5〜7および比較例2の反射防止フィルムの耐擦傷性を、以下に記述する方法にて評価した。その結果を下記表2に示す。
【0112】
[反射防止フィルムの耐擦傷性評価方法]
(1)スチールウール擦り試験
耐擦傷性の指標として、反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、#0000のスチールウールを用いて、200gの荷重にて10往復擦った後に、反射防止フィルムの裏面を黒インクにてベタ塗りし、反射防止膜側を蛍光灯下で目視することで、以下の4段階判定で評価した。
目視にて、擦った傷が全く見えない :◎
目視にて、擦った傷が殆ど見えない :○
目視にて、擦った傷が見えるが、目立たない :△
目視にて、擦った傷が目立つ :×
【0113】
(2)ウエット擦り試験
耐擦傷性のもう一つの指標として、反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、市販の綿棒の先の部分に純水を充分に含ませ、1kgの荷重にて50往復擦った後に、反射防止フィルムの裏面を黒インクにてベタ塗りし、反射防止膜側を蛍光灯下で目視することで、以下のとおりの4段階判定で評価した。
目視にて、擦った傷が全く見えない :◎
目視にて、擦った傷が殆ど見えない :○
目視にて、擦った傷が見えるが、目立たない :△
目視にて、擦った傷が目立つ :×
【0114】
【表2】
【0115】
表2から明らかなように、比較例2は、オルガノシラン化合物の加水分解物または部分縮合物が添加されていないため、層間の密着力において実施例1、5〜7に劣り、実施例1、5〜7と比較して耐擦傷性に劣ることがわかった。これに対して、実施例1、5〜7の反射防止フィルムは、複数の光学薄膜の少なくとも1層に、層間の密着力、自層の硬度が高いため、耐擦傷性に優れることがわかった。
【0116】
[実施例8]
実施例1のハードコート用塗布液Aの代わりにハードコート層用塗布液Bを用いた以外は実施例1と同様にして、前方散乱機能を有する反射防止フィルムを作製し、実施例4と同様にして、最表面側にこの前方散乱性反射防止フィルムを、液晶セル側に視野角拡大フィルムワイドビューフィルム(WV−12A、商品名、富士写真フィルム(株)製)を有する偏光板を配置した透過型TN液晶表示装置を作製した。
このようにして作製した液晶表示装置は、実施例4と比較して、下方向に視角を倒した時の階調反転が起こる限界角が40度から60度まで改善され、視認性、表示品位において大変優れたものであった。
【0117】
[実施例9]
実施例3の反射防止層を有する偏光板を最表面に配し、アクリル前面板の内側と外側の両面に実施例1で作製した反射防止フィルムを粘着剤を介して貼り合わせて、前面板を最表面に配した半透過型液晶表示装置を具備する携帯電話を作製したところ、前面板のない反射防止処理した液晶表示装置と遜色のない、視認性の高い表示装置が得られた。
【0118】
[比較例3〜5]
実施例9で用いたアクリル前面板の内側と外側の両面に実施例1で作製した反射防止フィルムを貼り合せたものを、前面板の内側だけに実施例1の反射防止フィルムを貼り合せたもの、なにも貼り合せなかったもの、及び前面板にも液晶セルにも反射防止のないものに代えた以外は実施例9と同様にして半透過型液晶表示装置を具備する携帯電話を作製したところ、いずれも反射防止フィルムの枚数の減少とともに視認性が悪化し、特に、反射防止なしのものは蛍光灯等の映りこんだところの文字が完全に読めなくなった。
【0119】
[実施例10]
実施例1で作製した反射防止フィルムを有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高い表示装置が得られた。
【0120】
[実施例11]
実施例3で作製した片面反射防止フィルム付き偏光板の反射防止膜を有している側の反対面にλ/4板を張り合わせ、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けたところ、表面反射および、表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示が得られた。
【0121】
[実施例12]
片面下塗り層を有し、厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:コスモシャインA4100、帝人(株)製、屈折率:1.65)の下塗り面にハードコート用塗布液Cを実施例1と同様にして塗布、溶媒の乾燥、紫外線硬化を行い、ハードコート層(屈折率:1.61、膜厚:8μm)を形成した。
続いて、上記の中屈折率層用塗布液Bをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、中屈折率層(屈折率:1.70、膜厚:70nm)を設けた。
中屈折率層の上に、上記の高屈折率層用塗布液をグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗布層を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.90、膜厚:120nm)を設けた。
さらに高屈折率層の上に、上記の低屈折率層用塗布液Aをグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で8分間、塗布層を硬化させ、低屈折率層(屈折率:1.43、膜厚:90nm)を設けた。なお、中屈折率層〜低屈折率層までは、実施例1と同様に、一つの塗布機内に3つの塗布ステーション、乾燥、硬化ゾーンのセットを有する塗布機にて、1回の塗布工程の中で連続的に実施した。
このようにして反射防止フィルムを作製した。
作製した反射防止フィルムをフラットCRT、およびPDPの最表面に貼り付けたところ、低反射、反射光の色味低減、および高い膜硬度を同時に満足した表示装置が得られた。
【0122】
(反射防止フィルムの評価)
実施例1及び12並びに比較例1で得られたフィルムについて、以下の項目の評価を行った。その結果については後記の表3に示す。
(1)鏡面反射率及び色味
分光光度計V−550(商品名、日本分光(株)製)にアダプターARV−474(商品名)を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5度の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価した。
さらに、測定された反射スペクトルから、CIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を表わすCIE1976L*a*b*色空間のL*値、a*値、b*値を算出し、反射光の色味を評価した。
(2)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価を行った。反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S6006に規定する2H〜5Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて、以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。
n=5の評価において傷なし〜傷1つ :OK
n=5の評価において傷が3つ以上 :NG
(3)接触角測定
表面の耐汚染性の指標として、光学材料を温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、純水の接触角を測定し、指紋付着性の指標とした。
【0123】
(4)動摩擦係数測定
表面滑り性の指標として動摩擦係数にて評価した。動摩擦係数は試料を25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、HEIDON−14(商品名)動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
(5)垂直剥離帯電量測定
本文中に記載した通りの方法で垂直剥離帯電量を測定した。
(6)表面抵抗値
円電極法により表面抵抗値を測定した。
【0124】
【表3】
【0125】
表3から明らかなように、実施例1および実施例12の反射防止フィルムは、低反射率と色味低減が両立され、非常に好ましい反射特性を有するだけでなく、動摩擦が低いため、耐傷性に優れ、純水の接触角が高いことから、撥水、撥油性に優れるため、防汚性に優れ、さらに、鉛筆硬度が高く、傷がつき難いことがわかった。これに対し、比較例1の反射防止フィルムは、反射光が赤紫色に強く着色しており、表示品位に劣っていた。また、動摩擦が高いため、耐傷性に劣り、純水の接触角が低く、防汚性が悪いものであった。
さらに、TD方向、MD方向に10cm離れた任意の2つの場所における波長380nmから780nmまでの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味ムラが、CIE1976L*a*b*色空間のΔE* ab値で0〜1.5の範囲に入っているため、場所違いでの反射光の色味の均一性が高い。また、表面抵抗値はいずれも1×1012Ω/□以上であったが垂直剥離帯電が+120pC(ピコクーロン)/cm2であり、防塵性に優れていた。
【0126】
[実施例13]
実施例2の偏光子に、以下の方法で作製した偏光子を用いる以外は、実施例2と同様にして、偏光板を作製した。反射防止性能は実施例1と同一であったが、得られた偏光子の吸収軸方向は、長手方向に対し45゜傾斜しており、偏光板を各サイズに打ち抜く際に発生する打ち抜き屑が減少した。
(偏光子の作製)
PVAフィルムをヨウ素5.0g/L、ヨウ化カリウム10.0g/Lの水溶液に25℃にて90秒浸漬し、さらにホウ酸10g/Lの水溶液に25℃にて60秒浸漬後、米国特許公開第2002−8840A1号明細書のFig.2の形態のテンター延伸機に導入し、7.0倍に一旦延伸した後5.3倍まで収縮させ、以降幅を一定に保ち、70℃で乾燥した後テンターより離脱した。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、0゜であった。ここでFig.2中、|L1−L2|、Wとも0.7mであった。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。この偏光子の550nmにおける透過率は43.3%、偏光度は99.98%であった。
【0127】
【発明の効果】
本発明の反射防止フィルムは、十分な反射防止性能と防汚性を有しながら耐傷性が向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止フィルムの具体例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例1および比較例1の反射防止フィルムの波長380nmから780nmまでにおける反射率スペクトルである。
【符号の説明】
1 透明支持体
2 ハードコート層
3 中屈折率層
4 高屈折率層
5 低屈折率層
Claims (12)
- 透明支持体上に該支持体よりも屈折率が低く含フッ素樹脂を主成分とする低屈折率層を少なくとも一層含む複数の光学薄膜を有する反射防止フィルムであって、該低屈折率層および/またはその他の層に、下記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有することを特徴とする反射防止フィルム。
(R10)m−Si(X)4−m (1)
(式中、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Xは水酸基または加水分解可能な基を表す。mは1〜3の整数を表す。) - 低屈折率層および/またはそれに隣接する層の少なくとも一層に、一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
- 一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有する層に金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
- 低屈折率層および/またはそれに隣接する層の少なくとも一層に、一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解物および/またはその部分縮合物を含有し、該含有する層の隣接層に前記一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物、その加水分解物、またはその部分縮合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
- 一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物、その加水分解物またはその部分縮合物を含有する層に金属酸化物微粒子を含有することを特徴とする請求項4に記載の反射防止フィルム。
- 前記反射防止フィルムにおいて、5度入射における鏡面反射率の450nmから650nmまでの波長領域での平均値を0.5%以下とし、且つ、波長380nmから780nmまでの領域におけるCIE標準光源D65の5度入射光に対する正反射光の色味を、CIE1976L*a*b*色空間のa*、b*値がそれぞれ−7≦a*≦7、且つ、−10≦b*≦10となるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
- 透明支持体上に有するそれぞれの層が、膜形成性の溶質と少なくとも1種類の溶媒を含有する塗布組成物の塗布、溶媒の乾燥、熱および/または電離放射線による硬化により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
- 前記低屈折率層と前記透明支持体の間に、低屈折率層側から順に該支持体よりも高い屈折率を有する高屈折率層、該支持体と高屈折率層の中間の屈折率を有する中屈折率層、の実質上3層の屈折率の異なる層が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
- 2枚の表面保護フィルムを偏光子の表面と裏面に貼り合わせた偏光板であり、請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを少なくとも片側の表面保護フィルムとして用いたことを特徴とする偏光板。
- 前記表面保護フィルムのうちの偏光子に対して反射防止フィルムとは反対側の面に光学異方性層を少なくとも1層含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムを有し、該光学異方性層がディスコティック構造単位を有する化合物からなる複屈折を有する層であり、該ディスコティック構造単位の円盤面が該表面保護フィルム面に対して傾いており、且つ該ディスコティック構造単位の円盤面と該表面保護フィルム面とのなす角度が、光学異方性層の深さ方向において変化していることを特徴とする請求項9に記載の偏光板。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射防止フィルムまたは請求項9,10記載の偏光板を少なくとも1枚有する画像表示装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの支持体上の構成層が、1回の支持体フィルムの送り出し、各々の該光学薄膜の形成、フィルムの巻取り、の工程にて形成されることを特徴とする、反射防止フィルムの製造方法。
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