JP2004212283A - 測量機、測量機用ターゲットおよび自動視準測量システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ターゲットTの鉛直中心線上で、反射プリズムPの中心より上側の距離L(図4)の位置に波長λ1のLED光源12aを設け、上記中心より下側の距離L(図4)の位置に波長λ1のLED光源12bを設ける。LED光源12aおよび12bは周波数f1で変調発光させる。反射プリズムPの上記中心を通る水平線上で、上記中心より左側の距離L(図4)の位置に波長λ2のLED光源12cを設け、上記中心より右側の距離L(図4)の位置に波長λ2のLED光源12d(図4)を設ける。LED光源12cおよび12dは周波数f2で変調発光させる。測量機の望遠鏡部3に2分割受光センサ33Aを設け、LED光源12aおよび12bによる変調光を受光し、望遠鏡部3に2分割受光センサ33Bを設け、LED光源12cおよび12dによる変調光を受光する。
【選択図】図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測量光学系を測量の対象に向けて測距および測角を行う測量機、測量機用ターゲットおよび自動視準測量システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
測量機に備えられる測量光学系を鉛直方向および水平方向にそれぞれ回転駆動し、測量光学系をターゲットに自動的に視準させる測量システムが知られている(たとえば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の測量システムでは、ターゲット側に反射プリズムと光源が設けられ、この反射プリズムと光源とは所定の位置関係を有している。また、測量機側には光波距離計およびこの光波距離計と所定の位置関係を有するように自動視準機構が備えられる。ターゲットの光源が測量機に向けて光を送光すると、測量機の自動視準機構内の第1受光部の4分割受光素子の中心で光が受光されるように、自動視準機構が測量機の向き(光波距離計および当該自動視準機構の向き)を鉛直方向および水平方向にそれぞれ微動調節する。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−304545号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、測量システムでは、測量機自体が持つ機械的な誤差をキャンセルして測角精度を向上させるために正反観測が行われる。正反観測は、1回目の測角を行った後に測量機の向きを180度反転させ、2回目の測角を行うものである。正反観測は、鉛直方向および水平方向の測角においてそれぞれ行うものである。特許文献1に記載の測量システムでは、測量機を鉛直方向に180度回転させると、測量光学系(光波測距計)および自動視準機能(とくに第1受光部)の位置関係が上下逆さになり、ターゲット側の反射プリズムおよび光源の位置関係と不一致になる。この結果、鉛直方向の正反観測を行っただけでは測角精度を向上させることができず、さらに補正を必要とする。
【0005】
本発明は、正反観測が行えるコンパクトな自動視準測量機、測量機用ターゲットおよび自動視準測量システムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による測量機用ターゲットは、所定の基準点と、基準点を通る鉛直線上に配設される少なくとも1つの第1の発光体と、基準点を通る水平線上に配設され、第1の発光体の発光特性と異なる発光特性を有する少なくとも1つの第2の発光体とを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測量機用ターゲットにおいて、第1の発光体の発光特性および第2の発光体の発光特性は、発光波長および変調周波数の少なくとも一方が異なることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の測量機用ターゲットに適用され、第1の発光体を鉛直線上で基準点に対して上下に一対設け、第2の発光体を水平線上で基準点に対して左右に一対設けることを特徴とする。
本発明による測量機は、請求項1〜3のいずれかに記載の測量機用ターゲットに備えられた第1の発光体からの信号光を測量用対物レンズを通して受信する第1の受信手段と、測量機用ターゲットに備えられた第2の発光体からの信号光を測量用対物レンズを通して受信する第2の受信手段と、第1の受信手段による受信信号に基づいて、測量用対物レンズにより水平方向に関して視準するための第1の調節信号を生成し、第2の受信手段による受信信号に基づいて、測量用対物レンズにより鉛直方向に関して視準するための第2の調節信号を生成する視準制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の測量機において、第1の受信手段は、第1の発光体の発光波長成分の光を弁別する第1の光波長弁別手段と、水平方向に対応して並べて配設される2つの受光素子を有し、第1の光波長弁別手段で弁別された光を2つの受光素子で受光して光電変換する第1の受光手段とを少なくとも備え、第2の受信手段は、第2の発光体の発光波長成分の光を弁別する第2の光波長弁別手段と、鉛直方向に対応して並べて配設される2つの受光素子を有し、第2の光波長弁別手段で弁別された光を2つの受光素子で受光して光電変換する第2の受光手段とを少なくとも備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の測量機において、視準制御手段は、第1の受光手段の2つの受光素子間の光電変換信号の差を0にするように第1の調節信号を生成し、第2の受光手段の2つの受光素子間の光電変換信号の差を0にするように第2の調節信号を生成することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の測量機において、第1の受信手段は、第1の受光手段による光電変換信号から第1の発光体による信号光の変調周波数成分を弁別する第1の周波数弁別手段をさらに備え、第2の受信手段は、第2の受光手段による光電変換信号から第2の発光体による信号光の変調周波数成分を弁別する第2の周波数弁別手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明による測量機は、測量用対物レンズを通して入射される請求項1〜3のいずれかに記載の測量機用ターゲットに備えられた第1の発光体および第2の発光体からの光を共通に弁別する光波長弁別手段と、水平方向および鉛直方向のそれぞれに対応して並べて配設される4つの受光素子を有し、光波長弁別手段で弁別された光を4つの受光素子で受光して光電変換する受光手段と、受光手段の水平方向左側に位置する2つの受光素子による光電変換信号、ならびに受光手段の水平方向右側に位置する2つの受光素子による光電変換信号をそれぞれ抽出する第1の信号処理手段と、第1の信号処理手段によって抽出された光電変換信号から第1の発光体による信号光の変調周波数成分を弁別する第1の周波数弁別手段と、受光手段の鉛直方向上側に位置する2つの受光素子による光電変換信号、ならびに受光手段の鉛直方向下側に位置する2つの受光素子による光電変換信号をそれぞれ抽出する第2の信号処理手段と、第2の信号処理手段によって抽出された光電変換信号から第2の発光体による信号光の変調周波数成分を弁別する第2の周波数弁別手段と、第1の周波数弁別手段による弁別信号に基づいて、測量用対物レンズにより水平方向に関して視準するための第1の調節信号を生成し、第2の周波数弁別手段による弁別信号に基づいて、測量用対物レンズにより鉛直方向に関して視準するための第2の調節信号を生成する視準制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の測量機において、視準制御手段は、第1の周波数弁別手段による弁別後の2つの光電変換信号の差を0にするように第1の調節信号を生成し、第2の周波数弁別手段による弁別後の2つの光電変換信号の差を0にするように第2の調節信号を生成することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項4〜9のいずれかに記載の測量機において、測量用光学系および視準用光学系の光軸を同一軸となし、両光学系は測量用対物レンズを共通に含むことを特徴とする。
本発明による自動視準測量システムは、請求項1〜3のいずれかに記載の測量機用ターゲットと、請求項4〜10のいずれかに記載の測量機とを備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第一の実施の形態)
図1は、本発明の第一の実施の形態による測量機TsでターゲットTを視準する自動視準測量システムを説明する平面図であり、図2は図1の側面図である。図1、図2において、測量機Tsは、トータルステーションと呼ばれる測距測角装置である。測量機Tsの本体1は三脚2などの上に固定され、水平方向に回転自在の不図示の回転支持部を有する。本体1は、この回転支持部によって三脚2上で水平線Hに平行な水平面内で回転可能に支持される。本体1には、測量光学系を有する望遠鏡部3が備えられている。本体1は、鉛直方向に回転自在の不図示の水平軸を有し、この水平軸によって望遠鏡部3を鉛直線Vを含む鉛直面内で回転可能に支持する。つまり、望遠鏡部3は、水平方向および鉛直方向のそれぞれに回転自在である。
【0008】
測量機Tsは、ターゲットTの中心に設けられる反射プリズムPに望遠鏡部3が向けられると、すなわち、ターゲットTの中心を視準すると、上記回転支持部の回転角による水平角HAを不図示の水平角検出部で検出し、上記水平軸の回転角による高度角VAを不図示の高度角検出部で検出する。水平角HAは、測量の基準点Sに対するターゲットTの方向を示す水平面内の角度であり、高度角VAは、水平面に対する反射プリズムPの方向を示す鉛直面内の角度である。
【0009】
望遠鏡部3は、距離測定のための変調光を射出可能に構成されている。変調光は、光源を駆動する駆動電流の大きさを所定の周波数で変化させることにより、当該光源による発光強度が周期的に変化するようにしたものである。望遠鏡部3から反射プリズムPに向けて射出された変調光は、反射プリズムPで反射して望遠鏡部3へ進む。測量機Tsは、望遠鏡部3に入射される反射光を測距装置(不図示)へ導く。測距装置は、射出光と入射光との間で変調信号の位相差を検出することにより、測量機Tsから反射プリズムPまでの斜距離SDを求める。一般に、測量機Tsには、測定点に反射プリズム(コーナーキューブ)を備えたターゲットを設けて当該反射プリズムで反射される変調光を受光するものと、測定対象物で生じる散乱光を受光するものとがある。ここでは、反射プリズムPを備えたターゲットTを使用する方式について説明する。
【0010】
図3は、望遠鏡部3内に構成される測量光学系を説明する光学ブロック図である。測量光学系は、測距用光学系と視準用光学系とによって構成される。図3において、測距用光学系は、対物レンズ31と、ダイクロイックプリズム34と、分割プリズム35とを有する。測距用光学系は、近赤外光源36による変調光を対物レンズ31からターゲットT(図1、図2)の反射プリズムPへ向けて送光し、反射プリズムPによる反射光を対物レンズ31から入射して受光素子37へ導く。
【0011】
視準用光学系は、対物レンズ31と、ダイクロイックプリズム32および34と、合焦レンズ38と、正立プリズム39と、レチクル40と、接眼レンズ41とを有する。視準用光学系は、対物レンズ31から入射される被写体光のうち可視光成分による像をレチクル40上に結ぶとともに、ターゲットT(図1、図2)側から送光される近赤外光源による変調光を対物レンズ31から入射して受光素子33へ導く。対物レンズ31およびダイクロイックプリズム34は、それぞれ測距用光学系と視準用光学系とに共用され、両光学系は同一光軸にされている。なお、光源を含むターゲットTの詳細については後述する。
【0012】
測量機Tsによる標準的な測定手順は、たとえば、以下のように行われる。
▲1▼測定点にターゲットTのポール先端の石突き11を置き、ターゲットTを鉛直に立てる。
▲2▼望遠鏡部3をターゲットTに視準する。
▲3▼水平角HAおよび高度角VAを測定する。
▲4▼近赤外光源36(赤外光を発するレーザまたはLED)を変調発光させ、測距用光学系によって送信光の一部と反射プリズムPで反射される受信光とを受光素子37で受信して距離測定を行う。
【0013】
本発明は、上記▲2▼の「望遠鏡部3をターゲットTに視準する」動作に特徴を有するので、視準動作を中心に説明する。測量機Tsは、作業者(観察者)が視準用光学系を用いてターゲットTを観察する他に、測量機Ts自身が望遠鏡部3の向きを自動調節し、ターゲットTに正確に視準するように構成されている。
【0014】
−視準用光学系を用いた作業者による観察−
図3において、ターゲットTを照明する照明光(自然光など)によって生じるターゲットTからの反射光は、対物レンズ31を介してダイクロイックプリズム32に入射される。ダイクロイックプリズム32への入射光のうち可視光成分は、ダイクロイックプリズム32、ダイクロイックプリズム34、合焦レンズ38、ならびに正立プリズム39をそれぞれ通過し、レチクル40上にターゲットTの像を形成する。この正立像は、接眼レンズ41を通して作業者によって観察される。作業者は、合焦レンズ38を光軸に沿って図3の左右方向に進退駆動させ、ターゲットTの像をレチクル40上に合焦させる。
【0015】
−自動視準−
図4は、本発明によるターゲットTを説明する図である。図4において、ターゲットTは、ポール10とターゲット部13とで構成される。ターゲットTは、ポール10の先端の石突き11を測定点に置き、鉛直に立てて使用される。ターゲット部13には、反射プリズムPと、4つのLED光源12a〜12dとが設けられている。反射プリズムPは、鉛直中心線CV上に配設される。LED光源12aは、鉛直中心線CV上で反射プリズムPの中心Poより上側の距離Lの位置に、LED光源12bは、鉛直中心線CV上で反射プリズムPの中心Poより下側の距離Lの位置に、それぞれ配設される。また、LED光源12cは、反射プリズムPの中心Poを通る水平線CH上で反射プリズムPの中心Poより左側の距離Lの位置に、LED光源12dは、水平線CH上で反射プリズムPの中心Poより右側の距離Lの位置に、それぞれ配設される。
【0016】
LED光源12aおよびLED光源12bは、それぞれ変調周波数f1、発光波長λ1のほぼ同一光量で発光するように駆動される。LED光源12cおよびLED光源12dは、それぞれ変調周波数f2、発光波長λ2のほぼ同一光量で発光するように駆動される。第一の実施の形態では、変調周波数f1およびf2、発光波長λ1およびλ2がそれぞれ異なるように構成される。なお、波長λ1およびλ2は、それぞれ波長650nmから波長1300nmのいずれかの可視から赤外波長であり、測距用の近赤外光源36の波長と大きく異なるのが好ましい。また、周波数f1およびf2は、たとえば、6KHzおよび7KHzのように、測距用光源周波数と大きく異なる値が好ましい。LED光源12a〜LED光源12dのそれぞれの発光拡がり角は、たとえば、±10度になるように構成されている。
【0017】
図5は、ターゲットTならびに自動視準に必要な望遠鏡部3の構成を抜粋した図である。なお、接眼レンズ41は便宜上記したもので、自動視準時に直接必要としない。図5において、ダイクロイックプリズム32Aおよびダイクロイックプリズム32Bが、図3のダイクロイックプリズム32に対応する。また、2分割受光センサ33Aおよび2分割受光センサ33Bが、図3の受光素子33に対応する。2分割受光センサ33Aは、左右(水平)方向に並べて配設された2つのフォトダイオード(PD)によって構成される受光センサであり、両受光センサが受光信号(L信号およびR信号)をそれぞれ出力するように構成されている。2分割受光センサ33Bは、上下(鉛直)方向に並べて配設された2つの受光センサであり、両受光センサが受光信号(U信号およびD信号)をそれぞれ出力するように構成されている。なお、受光信号(光電変換信号)は、フォトダイオードの受光面に入射される光量に応じて値が変化する電流信号として出力される。
【0018】
LED光源12a〜LED光源12dから送光された変調光は、対物レンズ31を介してダイクロイックプリズム32Aに入射される。ダイクロイックプリズム32Aは、入射光のうち波長λ1の波長成分を折り曲げて2分割受光センサ33Aへ導くとともに、波長λ2および可視光を含む波長成分を通過させてダイクロイックプリズム32Bへ導く。これにより、2分割受光センサ33Aが反射プリズムPに対して上下に配設されているLED光源12aおよびLED光源12bによる光を受光する。なお、ダイクロイックプリズム32Aは、測距時に近赤外光源36の波長成分も通過するように構成されている。
【0019】
ダイクロイックプリズム32Bは、入射光のうち波長λ2の波長成分を折り曲げて2分割受光センサ33Bへ導くとともに、可視光を含む波長成分を通過させて接眼レンズ41側へ導く。これにより、2分割受光センサ33Bが反射プリズムPに対して左右に配設されているLED光源12cおよびLED光源12dによる光を受光する。なお、ダイクロイックプリズム32Bは、測距時に近赤外光源36の波長成分も通過するように構成されている。
【0020】
図6は、測量機Tsの自動視準制御に必要な構成を説明するブロック構成図である。図6において、測量機Tsは、左右、上下差分信号生成回路61と、バンドパスフィルタ62と、マイクロコンピュータ63と、測量機回転機構64とを備えている。2分割受光センサ33Aによる受光信号、および2分割受光センサ33Bによる受光信号は、それぞれ左右、上下差分信号生成回路61へ入力される。
【0021】
左右、上下差分信号生成回路61は、2分割受光センサ33Aから入力されるL信号とR信号との差分信号(L−R)を生成し、左右差分信号をバンドパスフィルタ62へ出力する。望遠鏡部3の光軸が水平面内でターゲットTの中心(ここでは、反射プリズムPの中心Po)の方向に一致するとき、L信号およびR信号の大きさが等しくなり、差分信号(L−R)が0になる。望遠鏡部3の光軸が水平面内でターゲットTの中心より左側(LED光源12c側)を向いているとき、L信号>R信号となり、差分信号(L−R)>0となる。望遠鏡部3の光軸が水平面内でターゲットTの中心より右側(LED光源12d側)を向いているとき、L信号<R信号、差分信号(L−R)<0となる。
【0022】
左右、上下差分信号生成回路61はさらに、2分割受光センサ33Bから入力されるU信号とD信号との差分信号(U−D)を生成し、上下差分信号をバンドパスフィルタ62へ出力する。望遠鏡部3の光軸が鉛直面内でターゲットTの中心の方向に一致するとき、U信号およびD信号の大きさが等しくなり、差分信号(U−D)が0になる。望遠鏡部3の光軸が鉛直面内でターゲットTの中心より上側(LED光源12a側)を向いているとき、U信号>D信号となり、差分信号(U−D)>0となる。望遠鏡部3の光軸が鉛直面内でターゲットTの中心より下側(LED光源12b側)を向いているとき、U信号<D信号、差分信号(U−D)<0となる。
【0023】
バンドパスフィルタ62は、マイクロコンピュータ63から送出される指令に応じて、周波数f1の信号もしくは周波数f2の信号を選択してマイクロコンピュータ63へ出力する。バンドパスフィルタ62が周波数f1の信号を選択すると、左右差分信号がマイクロコンピュータ63へ入力され、周波数f2の信号を選択すると、上下差分信号がマイクロコンピュータ63へ入力される。
【0024】
マイクロコンピュータ63は、バンドパスフィルタ62へ周波数f1の信号を選択する指令を送出しているとき、入力される左右差分信号に応じて、当該差分信号を0にするように測量機回転機構64に水平回転指令を出力する。この結果、測量機回転機構64は、不図示のモータを駆動して望遠鏡部3を水平面内で回転させる。一方、マイクロコンピュータ63は、バンドパスフィルタ62へ周波数f2の信号を選択する指令を送出しているとき、入力される上下差分信号に応じて、当該差分信号を0にするように測量機回転機構64に鉛直回転指令を出力する。この結果、測量機回転機構64は、不図示のモータを駆動して望遠鏡部3を鉛直面内で回転させる。
【0025】
左右差分信号および上下差分信号がともに0になるとき、望遠鏡部3の光軸がターゲット中心Poに一致する。図3において、近赤外光源36および受光素子37はともに対物レンズ31の焦点位置に置かれ、光学的に共役に配設されている。したがって、視準用光学系がターゲット中心Poに視準された状態では、近赤外光源36からの測定光束が平行光束として対物レンズ31から反射プリズムPへ射出され、反射プリズムPからの反射光が平行光束として対物レンズ31に入射され、受光素子37へ集光される。
【0026】
−距離測定−
作業者が測量機Tsの近赤外光源36を点灯させるスイッチ(不図示)を点灯操作すると、不図示の駆動回路が近赤外光源36に駆動電流を供給する。この駆動電流は、近赤外光源36が所定の周波数の変調光を発するように強度変調されている。近赤外光源36から射出された変調光は、分割プリズム35で分割され、ダイクロイックプリズム34に入射される。分割された他方の変調光は、詳細な説明は省略するが測定用の参照光として受光素子37で受光される。参照光とは、電子回路に起因する測定誤差をキャンセルするために測距装置内の所定の光路で測距を行うための光である。ダイクロイックプリズム34は、近赤外光源36による赤外光を反射し、可視光領域の光を通過する特性を有する。ダイクロイックプリズム34に入射された測定光(変調光)は、ダイクロイックプリズム34内で折り曲げられ、ダイクロイックプリズム32を介して対物レンズ31から反射プリズムPに向けて射出される。
【0027】
反射プリズムPは、近赤外光源36からの測定光を反射する。反射プリズムPによる反射光は、対物レンズ31、ダイクロイックプリズム32を介してダイクロイックプリズム34に入射される。ダイクロイックプリズム34に入射された反射光は、ダイクロイックプリズム34内で折り曲げられ、分割プリズム35でさらに折り曲げられて受光素子37に入射される。測距装置は、測定光および反射光の位相差を不図示の位相差検出回路で検出し、検出位相差に基づいて反射プリズムPまでの距離を演算する。位相差検出回路は周知であるため、説明を省略する。
【0028】
以上説明した測量機Tsのマイクロコンピュータ63で行われる自動視準処理の流れについて、図7のフローチャートを参照して説明する。図7による処理は、作業者が接眼レンズ41からターゲットTを観察できるように望遠鏡部3の向きを粗合わせした上で、自動視準を開始するスイッチ(不図示)を操作することにより起動する。なお、LED光源12a〜LED光源12dは、先に点灯させているものとする。ステップS11において、マイクロコンピュータ63は、バンドパスフィルタ62に指令を出力し、周波数f1の信号を選択させてステップS12へ進む。ステップS12において、マイクロコンピュータ63は、バンドパスフィルタ62から入力される左右差分信号に応じて、測量機回転機構64に水平回転指令を出力してステップS13へ進む。これにより、望遠鏡部3が水平面内で左右に微動する。
【0029】
ステップS13において、マイクロコンピュータ63は、左右差分信号が0か否かを判定する。マイクロコンピュータ63は、左右差分信号の大きさが所定値以下の場合にステップS13を肯定判定してステップS14へ進み、左右差分信号の大きさが所定値より大きい場合にステップS13を否定判定し、ステップS12へ戻る。ステップS12へ戻る場合は、望遠鏡部3の水平微動を継続する場合である。ステップS14において、マイクロコンピュータ63は、測量機回転機構64に水平回転停止指令を出力してステップS15へ進む。
【0030】
ステップS15において、マイクロコンピュータ63は、バンドパスフィルタ62に指令を出力し、周波数f2の信号を選択させてステップS16へ進む。ステップS16において、マイクロコンピュータ63は、バンドパスフィルタ62から入力される上下差分信号に応じて、測量機回転機構64に鉛直回転指令を出力してステップS17へ進む。これにより、望遠鏡部3が鉛直面内で上下に微動する。
【0031】
ステップS17において、マイクロコンピュータ63は、上下差分信号が0か否かを判定する。マイクロコンピュータ63は、上下差分信号の大きさが所定値以下の場合にステップS17を肯定判定してステップS18へ進み、上下差分信号の大きさが所定値より大きい場合にステップS17を否定判定し、ステップS16へ戻る。ステップS16へ戻る場合は、望遠鏡部3の上下微動を継続する場合である。ステップS18において、マイクロコンピュータ63は、測量機回転機構64に上下回転停止指令を出力し、図7による処理を終了する。
【0032】
以上説明した第一の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)ターゲットTの鉛直中心線CV上で、反射プリズムPの中心Poより上側の距離Lの位置に発光波長λ1のLED光源12aを設けるとともに、中心Poより下側の距離Lの位置に発光波長λ1のLED光源12bを設ける。これらのLED光源12aおよびLED光源12bを、それぞれ周波数f1で変調発光させる。測量機Tsの望遠鏡部3に2分割受光センサ33Aを設け、LED光源12aおよびLED光源12bによる変調光を受光するようにした。2分割受光センサ33Aは、左右(水平)方向に並べて配設した2つの受光センサで構成する。鉛直方向の一対のLED光源12a、12bによる光の受光スポットのそれぞれが2分割受光センサ33Aの分割線上に位置すれば、L信号およびR信号の差分が0になる。したがって、望遠鏡部3の水平面内における光軸の向きがターゲット中心Poに向いているか否かを、2分割受光センサ33AによるL信号およびR信号の大きさに基づいて正確に検出することができる。また、LED光源12aおよびLED光源12bを周波数f1で変調発光させたので、太陽や電灯などからの外来光(無変調光および周波数f1以外の変調光)による影響を排除することが可能になる。さらに、LED光源12aおよびLED光源12bを鉛直中心線CV上に設けたことにより、両光源12aおよび12bの光量に差が生じていても、望遠鏡部3を水平方向に関して視準することが可能である。一方、LED光源12a、12bを中心Poの上下対称位置に設けたことにより、2つの光源からの光量が等しければ、鉛直方向に関しても視準することが可能である。
【0033】
(2)反射プリズムPの中心Poを通る水平線CH上で、反射プリズムPの中心Poより左側の距離Lの位置に発光波長λ2のLED光源12cを設けるとともに、中心Poより右側の距離Lの位置に発光波長λ2のLED光源12dを設ける。これらのLED光源12cおよびLED光源12dを、それぞれ周波数f2で変調発光させる。測量機Tsの望遠鏡部3に2分割受光センサ33Bを設け、LED光源12cおよびLED光源12dによる変調光を受光するようにした。2分割受光センサ33Bは、上下(鉛直)方向に並べて配設した2つの受光センサで構成する。水平方向の一対のLED光源12c、12dによる光の受光スポットのそれぞれが2分割受光センサ33Bの分割線上に位置すれば、U信号およびD信号の差分が0になる。したがって、望遠鏡部3の鉛直面内における光軸の向きがターゲット中心Poに向いているか否かを、2分割受光センサ33BによるU信号およびD信号の大きさに基づいて正確に検出することができる。また、LED光源12cおよびLED光源12dを周波数f1と異なる周波数f2で変調発光させたので、太陽や電灯などからの外来光の他、上記(1)の周波数f1の信号光の影響を除くこともできる。さらに、LED光源12cおよびLED光源12dを水平線CH上に設けたことにより、両光源12cおよび12dの光量に差が生じていても、望遠鏡部3を鉛直方向に関して視準することが可能である。
【0034】
(3)LED光源12aおよびLED光源12bの発光波長をλ1に、LED光源12cおよびLED光源12dの発光波長をλ2にしたので、波長λ1の光を弁別するダイクロイックプリズム32A、ならびに波長λ2の光を弁別するダイクロイックプリズム32Bをそれぞれ用いることによって、ターゲットTからの変調光を2分割受光センサ33Aならびに2分割受光センサ33Bへそれぞれ個別に導くことができる。
【0035】
(4)LED光源12a〜LED光源12dの発光波長λ1およびλ2を近赤外波長としたので、作業者は、視準用光学系によってレチクル40に結像される反射プリズムPの可視光による像を、接眼レンズ41から観察することができる。
【0036】
(5)測距用光学系の光軸と視準用光学系の光軸とを同一軸にして対物レンズ31を共通化したので、これらの光軸が離間している従来技術と異なり、正反測定時に測距用光学系と視準用光学系との位置関係が逆さになることがないから、水平方向および鉛直方向の双方の測角精度を上げることができる。
【0037】
(6)上記(5)に加えて、測距用光学系と視準用光学系とで対物レンズをそれぞれ設ける場合に比べて望遠鏡部3を小さく構成できる上に、コスト低減の効果も得られる。
【0038】
以上の説明では、LED光源12aおよびLED光源12bの変調周波数f1と、LED光源12cおよびLED光源12dの変調周波数f2とが異なるようにしたが、ダイクロイックプリズム32Aならびにダイクロイックプリズム32Bによって波長λ1の光と波長λ2の光とを十分に弁別できる場合には、LED光源12a〜12dの変調周波数を同一(たとえば、周波数f1)にしてもよい。この場合には、通過周波数を選択するバンドパスフィルタ62の代わりに、左右差分信号および上下差分信号のうち一方を選択して出力する切換えスイッチと、単一周波数(たとえば、周波数f1)を通過させるバンドパスフィルタとを設けるようにする。
【0039】
LED光源12aおよびLED光源12bの位置を反射プリズムPの中心Poに対して対称の位置に配設したが、両LED光源が鉛直中心線CV上にあれば、必ずしも対称位置でなくてもよい。すなわち、反射プリズムPの中心Poからの距離が一致しなくてもよい。
【0040】
鉛直中心線CV上に配設する光源は、LED光源12aおよびLED光源12bの他にさらに設けてもよい。光源を増やすことにより、2分割受光センサ33Aで受光される光量が増加し、自動視準可能な距離を長く伸ばすことができる。
【0041】
LED光源12cおよびLED光源12dの位置を反射プリズムPの中心Poに対して対称の位置に配設したが、両LED光源が水平線CH上にあれば、必ずしも対称位置でなくてもよい。すなわち、反射プリズムPの中心Poからの距離が一致しなくてもよい。
【0042】
水平線CH上に配設する光源は、LED光源12cおよびLED光源12dの他にさらに設けてもよい。光源を増やすことにより、2分割受光センサ33Bで受光される光量が増加し、自動視準可能な距離を長く伸ばすことができる。
【0043】
測量機TsとターゲットTとの間の距離が近い場合には、自動視準LED光源12aおよびLED光源12bのうちいずれか一方を省略するとともに、LED光源12cおよびLED光源12dのうちいずれか一方を省略するようにしてもよい。LED光源の数を1/2にすることによって2分割受光センサ33Aならびに2分割受光センサ33Bで受光される光量がそれぞれ減少し、自動視準可能な距離が1/√2に短縮されるが、LED光源の削減によってターゲットT側のコストを低減することが可能になる。
【0044】
バンドパスフィルタ62の代わりに、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)などによってディジタルフィルタ処理を行わせてもよい。
【0045】
(第二の実施の形態)
図3のダイクロイックプリズム32、ならびに受光素子33をそれぞれ1つの素子で構成することもできる。図8は、第二の実施の形態による自動視準に必要な望遠鏡部3Aの構成を抜粋した図である。図8において、ターゲットTは第一の実施の形態と同様に、上下(鉛直)方向に一対のLED光源12aおよび12bを、左右(水平)方向に一対のLED光源12cおよび12dを、それぞれ有する。
【0046】
LED光源12a〜LED光源12dの変調周波数は、第一の実施の形態と同様に、LED光源12aおよびLED光源12bが周波数f1で変調発光され、LED光源12cおよびLED光源12dが周波数f2で変調発光される。LED光源12a〜LED光源12dの発光波長は、全てを同一波長(たとえば、λ1とする)で発光させる点が第一の実施の形態と異なる。
【0047】
ダイクロイックプリズム32Cは図3のダイクロイックプリズム32に対応し、4分割受光センサ33Cは図3の受光素子33に対応する。4分割受光センサ33Cは、左右(水平)方向および上下(鉛直)方向にそれぞれ2つずつ並べて配設された4つのフォトダイオード(PD)によって構成される受光センサであり、各受光センサがそれぞれ受光信号を出力するように構成されている。
【0048】
LED光源12a〜LED光源12dから送光された変調光は、対物レンズ31を介してダイクロイックプリズム32Cに入射される。ダイクロイックプリズム32Cは、入射光のうち波長λ1の波長成分を折り曲げて4分割受光センサ33Cへ導くとともに、可視光を含む波長成分を通過させて接眼レンズ41側へ導く。これにより、4分割受光センサ33Cが反射プリズムPに対して上下に配設されているLED光源12aおよびLED光源12bによる光、ならびに反射プリズムPに対して左右に配設されているLED光源12cおよびLED光源12dによる光を、それぞれ同時に受光する。
【0049】
図9は、第二の実施の形態による測量機Tsのブロック構成図である。図9において、測量機Tsは、左右、上下差分信号生成回路61と、バンドパスフィルタ62Bと、マイクロコンピュータ63Bと、測量機回転機構64と、左右、上下切替えスイッチ65とを備えている。ここで、第一の実施の形態による図6の構成と共通のものは、図6と同一の符号を記して説明を省略する。
【0050】
4分割受光センサ33Cの受光面には、光学系の構成に応じて左右方向、上下方向に反転した変調光が入射される。図9では、わかりやすく説明するために左上のセンサがLU信号を、左下のセンサがLD信号を、右上のセンサがRU信号を、右下のセンサがRD信号を、それぞれ出力するものとして表す。4分割受光センサ33Cによる受光信号、すなわち、LU信号、LD信号、RU信号、ならびにRD信号は、それぞれ左右、上下差分信号生成回路61へ入力される。左右、上下差分信号生成回路61は、(LU信号+LD信号)−(RU信号+RD信号)を演算して左右差分信号を求めるとともに、(LU信号+RU信号)−(LD信号+RD信号)を演算し、上下差分信号を求める。
【0051】
第二の実施の形態では、望遠鏡部3Aの光軸が水平面内でターゲットTの中心の方向に一致するとき、(LU信号+LD信号)および(RU信号+RD信号)の大きさが等しくなり、左右差分信号が0になる。望遠鏡部3Aの光軸が水平面内でターゲットTの中心より左側(LED光源12c側)を向いているとき、(LU信号+LD信号)>(RU信号+RD信号)となり、左右差分信号{(LU+LD)−(RU+RD)}>0となる。望遠鏡部3Aの光軸が水平面内でターゲットTの中心より右側(LED光源12d側)を向いているとき、(LU信号+LD信号)<(RU信号+RD信号)、左右差分信号{(LU+LD)−(RU+RD)}<0となる。
【0052】
また、望遠鏡部3Aの光軸が鉛直面内でターゲットTの中心の方向に一致するとき、(LU信号+RU信号)および(LD信号+RD信号)の大きさが等しくなり、上下差分信号が0になる。望遠鏡部3Aの光軸が鉛直面内でターゲットTの中心より上側(LED光源12a側)を向いているとき、(LU信号+RU信号)>(LD信号+RD信号)となり、上下差分信号{(LU+RU)−(LD+RD)}>0となる。望遠鏡部3Aの光軸が鉛直面内でターゲットTの中心より下側(LED光源12b側)を向いているとき、(LU信号+RU信号)<(LD信号+RD信号)、上下差分信号{(LU+RU)−(LD+RD)}<0となる。
【0053】
左右、上下切替えスイッチ65は、マイクロコンピュータ63Bから送出される信号切替え指令に応じて、左右差分信号もしくは上下差分信号を選択してバンドパスフィルタ62Bへ出力する。バンドパスフィルタ62Bは、マイクロコンピュータ63Bから送出される周波数切替え指令に応じて、周波数f1の信号もしくは周波数f2の信号を通過させてマイクロコンピュータ63Bへ出力する。マイクロコンピュータ63Bは、左右差分信号に切替える指令を左右、上下切替えスイッチ65に出力するとき、周波数f1に切替える指令をバンドパスフィルタ62Bへ出力する一方、上下差分信号に切替える指令を左右、上下切替えスイッチ65に出力するとき、周波数f2に切替える指令をバンドパスフィルタ62Bへ出力する。
【0054】
マイクロコンピュータ63Bは、周波数f1および左右差分信号を選択する指令を送出しているとき、入力される左右差分信号に応じて、当該差分信号を0にするように測量機回転機構64に水平回転指令を出力する。一方、マイクロコンピュータ63Bは、周波数f2および上下差分信号を選択する指令を送出しているとき、入力される上下差分信号に応じて、当該差分信号を0にするように測量機回転機構64に鉛直回転指令を出力する。
【0055】
図10は、以上説明した測量機Tsのマイクロコンピュータ63Bで行われる自動視準処理の流れを説明するフローチャートである。図7による処理に比べて、ステップS11Aと、ステップS15Aとがそれぞれ追加される。ステップS11Aにおいて、マイクロコンピュータ63Bは、左右上下切替えスイッチ65に指令を出力し、左右差分信号を選択させてステップS11へ進む。以降の処理は、図7による処理と同様なので説明を省略する。
【0056】
ステップS15Aにおいて、マイクロコンピュータ63Bは、左右、上下切替えスイッチ65に指令を出力し、上下差分信号を選択させてステップS15へ進む。以降の処理は、図7による処理と同様なので説明を省略する。
【0057】
以上説明した第二の実施の形態によれば、第一の実施形態と同様に正反測定が可能で水平方向および鉛直方向の双方の測角精度を上げることができることに加えて、以下の作用効果が得られる。すなわち、LED光源12a〜LED光源12dの発光波長をλ1とし、これらのLED光源12a〜LED光源12dによる変調光を4分割受光センサ33Cで受光するようにした。この結果、自動視準に必要な光学系をダイクロイックプリズム32Cおよび4分割受光センサ33Cによって構成される1組の受光系で構成できるので、第一の実施の形態に比べて、測量機のコスト低減および小型化に対して効果が得られる。
【0058】
以上説明した2分割受光センサおよび4分割受光センサは、それぞれフォトダイオードで構成する例を説明したが、フォトダイオードの代わりにCCDイメージセンサを用いて構成してもよい。
【0059】
本発明は、測距機能を持たず測角機能のみを有する測量機、例えばセオドライトにも適用することができる。
【0060】
特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明する。基準点は、たとえば、反射プリズムPの中心Poが対応する。鉛直線は、たとえば、鉛直中心線CVが対応する。第1の発光体は、たとえば、LED光源12aおよび12bによって構成される。第2の発光体は、たとえば、LED光源12cおよび12dによって構成される。第1の光波長弁別手段は、たとえば、ダイクロイックプリズム32Aによって構成される。第1の受光手段は、たとえば、2分割受光センサ33Aによって構成される。第2の光波長弁別手段は、たとえば、ダイクロイックプリズム32Bによって構成される。第2の受光手段は、たとえば、2分割受光センサ33Bによって構成される。視準制御手段は、たとえば、マイクロコンピュータ63(63B)によって構成される。第1の調節信号は、たとえば、水平回転指令が対応する。第2の調節信号は、たとえば、鉛直回転指令が対応する。第1の周波数弁別手段および第2の周波数弁別手段は、たとえば、バンドパスフィルタ62(62B)によって構成される。
【0061】
光波長弁別手段は、たとえば、ダイクロイックプリズム32Cによって構成される。受光手段は、たとえば、4分割受光センサ33Cによって構成される。水平方向左側に位置する2つの受光素子による光電変換信号は、たとえば、(LU信号+LD信号)が対応する。水平方向右側に位置する2つの受光素子による光電変換信号は、たとえば、(RU信号+RD信号)が対応する。第1の信号処理手段および第2の信号処理手段は、たとえば、左右、上下差分信号生成回路61によって構成される。鉛直方向上側に位置する2つの受光素子による光電変換信号は、たとえば、(LU信号+RU信号)が対応する。鉛直方向下側に位置する2つの受光素子による光電変換信号は、たとえば、(LD信号+RD信号)が対応する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0062】
【発明の効果】
本発明による測量機用ターゲットでは、所定の基準点を通る鉛直線上に第1の発光体を、上記鉛直線と直交する水平線上に第2の発光体を、それぞれ設けたので、簡単な構成で測量機用ターゲットを実現できる。第1の発光体および第2の発光体の発光特性が異なるようにしたので、測量機などの受光側で発光体の識別が可能になる。
本発明による測量機では、測量用対物レンズを通してターゲットの第1の発光体からの信号光を受信し、この受信信号に基づいて水平方向に関して視準するとともに、測量用対物レンズを通してターゲットの第2の発光体からの信号光を受信し、この受信信号に基づいて鉛直方向に関して視準するようにした。この結果、視準に用いる第1および第2の発光体からの光が測量用の対物レンズから測量機に入射されるので、自動視準機能を有する測量機でも従来技術では困難であった正反観測を行うことができる。また、測量用光学系および視準用光学系が対物レンズをそれぞれ有する場合に比べて、測量機をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態による測量機でターゲットを視準する自動視準測量システムを説明する平面図である。
【図2】図1の自動視準測量システムの側面図である。
【図3】望遠鏡部内に構成される測量光学系を説明する光学ブロック図である。
【図4】本発明によるターゲットを説明する図である。
【図5】ターゲットならびに自動視準に必要な望遠鏡部の構成を抜粋した図である。
【図6】測量機の自動視準制御に必要な構成を説明するブロック構成図である。
【図7】測量機のマイクロコンピュータで行われる自動視準処理の流れを説明するフローチャートである。
【図8】第二の実施の形態による自動視準に必要な望遠鏡部の構成を抜粋した図である。
【図9】測量機のブロック構成図である。
【図10】測量機のマイクロコンピュータで行われる自動視準処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…本体、 2…三脚、
3(3A)…望遠鏡部、 12a〜12d…LED光源、
31…対物レンズ、
32(32A〜32C),34…ダイクロイックプリズム、
33(33A〜33B)…2分割受光センサ、
33(33C)…4分割受光センサ、 41…接眼レンズ、
61…左右、上下差分信号生成回路、 62,62B…バンドパスフィルタ、
63,63B…マイクロコンピュータ、64…測量機回転機構、
65…左右、上下切替えスイッチ、
CH…水平線、 CV…鉛直中心線、
P…反射プリズム、 Po…反射プリズムの中心、
T…ターゲット、 Ts…測量機
Claims (11)
- 所定の基準点と、前記基準点を通る鉛直線上に配設される少なくとも1つの第1の発光体と、
前記基準点を通る水平線上に配設され、前記第1の発光体の発光特性と異なる発光特性を有する少なくとも1つの第2の発光体とを備えることを特徴とする測量機用ターゲット。 - 請求項1に記載の測量機用ターゲットにおいて、
前記第1の発光体の発光特性および前記第2の発光体の発光特性は、発光波長および変調周波数の少なくとも一方が異なることを特徴とする測量機用ターゲット。 - 請求項1または2に記載の測量機用ターゲットにおいて、
前記第1の発光体は、前記鉛直線上で前記基準点に対して上下に一対設けられ、
前記第2の発光体は、前記水平線上で前記基準点に対して左右に一対設けられることを特徴とする測量機用ターゲット。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の測量機用ターゲットに備えられた前記第1の発光体からの信号光を測量用対物レンズを通して受信する第1の受信手段と、
前記測量機用ターゲットに備えられた前記第2の発光体からの信号光を前記測量用対物レンズを通して受信する第2の受信手段と、
前記第1の受信手段による受信信号に基づいて、前記測量用対物レンズにより水平方向に関して視準するための第1の調節信号を生成し、前記第2の受信手段による受信信号に基づいて、前記測量用対物レンズにより鉛直方向に関して視準するための第2の調節信号を生成する視準制御手段とを備えることを特徴とする測量機。 - 請求項4に記載の測量機において、
前記第1の受信手段は、前記第1の発光体の発光波長成分の光を弁別する第1の光波長弁別手段と、水平方向に対応して並べて配設される2つの受光素子を有し、前記第1の光波長弁別手段で弁別された光を前記2つの受光素子で受光して光電変換する第1の受光手段とを少なくとも備え、
前記第2の受信手段は、前記第2の発光体の発光波長成分の光を弁別する第2の光波長弁別手段と、鉛直方向に対応して並べて配設される2つの受光素子を有し、前記第2の光波長弁別手段で弁別された光を前記2つの受光素子で受光して光電変換する第2の受光手段とを少なくとも備えることを特徴とする測量機。 - 請求項5に記載の測量機において、
前記視準制御手段は、前記第1の受光手段の2つの受光素子間の光電変換信号の差を0にするように前記第1の調節信号を生成し、前記第2の受光手段の2つの受光素子間の光電変換信号の差を0にするように前記第2の調節信号を生成することを特徴とする測量機。 - 請求項5または6に記載の測量機において、
前記第1の受信手段は、前記第1の受光手段による光電変換信号から前記第1の発光体による信号光の変調周波数成分を弁別する第1の周波数弁別手段をさらに備え、
前記第2の受信手段は、前記第2の受光手段による光電変換信号から前記第2の発光体による信号光の変調周波数成分を弁別する第2の周波数弁別手段をさらに備えることを特徴とする測量機。 - 測量用対物レンズを通して入射される請求項1〜3のいずれかに記載の測量機用ターゲットに備えられた前記第1の発光体および前記第2の発光体からの光を共通に弁別する光波長弁別手段と、
水平方向および鉛直方向のそれぞれに対応して並べて配設される4つの受光素子を有し、前記光波長弁別手段で弁別された光を前記4つの受光素子で受光して光電変換する受光手段と、
前記受光手段の水平方向左側に位置する2つの受光素子による光電変換信号、ならびに前記受光手段の水平方向右側に位置する2つの受光素子による光電変換信号をそれぞれ抽出する第1の信号処理手段と、
前記第1の信号処理手段によって抽出された光電変換信号から前記第1の発光体による信号光の変調周波数成分を弁別する第1の周波数弁別手段と、
前記受光手段の鉛直方向上側に位置する2つの受光素子による光電変換信号、ならびに前記受光手段の鉛直方向下側に位置する2つの受光素子による光電変換信号をそれぞれ抽出する第2の信号処理手段と、
前記第2の信号処理手段によって抽出された光電変換信号から前記第2の発光体による信号光の変調周波数成分を弁別する第2の周波数弁別手段と、
前記第1の周波数弁別手段による弁別信号に基づいて、前記測量用対物レンズにより水平方向に関して視準するための第1の調節信号を生成し、前記第2の周波数弁別手段による弁別信号に基づいて、前記測量用対物レンズにより鉛直方向に関して視準するための第2の調節信号を生成する視準制御手段とを備えることを特徴とする測量機。 - 請求項8に記載の測量機において、
前記視準制御手段は、前記第1の周波数弁別手段による弁別後の2つの光電変換信号の差を0にするように前記第1の調節信号を生成し、前記第2の周波数弁別手段による弁別後の2つの光電変換信号の差を0にするように前記第2の調節信号を生成することを特徴とする測量機。 - 請求項4〜9のいずれかに記載の測量機において、
測量用光学系および視準用光学系の光軸を同一軸となし、両光学系は前記測量用対物レンズを共通に含むことを特徴とする測量機。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の測量機用ターゲットと、
請求項4〜10のいずれかに記載の測量機とを備えることを特徴とする自動視準測量システム。
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