JP2004212206A - 高分子分析用基板、高分子分析用アレイおよび高分子分析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分析対象となる高分子が基板に形成されている、レーザーアブレーションを用いた高分子分析方法において、標識元素の基板材料中の含有量を1ppm以下とし、また、高分子部分および/又は基板に位置情報を形成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザーアブレーションを用いた高分子の分析方法において好適に使用可能な、分析対象となる高分子が基板上に配置された高分子分析用基板;該高分子部分および/又は基板に位置情報が形成されていることにより、従来と比較すると分析の正確性と効率を著しく向上させることを可能にした高分子分析用アレイ;および該高分子分析用アレイおよび/又は該高分子分析用基板を用いて、各種の高分子(例えば、DNA、タンパク質、RNA、PNA、脂質、糖等)を質量分析に用いて好適なレーザーアブレーション高分子分析を可能とする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、質量分析法の応用範囲は、該分析法の原子、分子、クラスター等の粒子を分離検出するという特徴を活かして、物理や化学の分野から、医学や生化学などのライフサイエンスの分野へと急速に広がっている。特に、タンパク質の分子量の決定解析やアミノ酸配列の決定解析などへの質量分析法応用の発展には、目を見張るものがある。
【0003】
この分析法に使用すべき質量分析計の原理は、試料を種々の方法でイオン化することにより得られたイオンを質量/電荷に従って分離し、このように分離した各イオンの強度を測定するというものである。
【0004】
従来より、高分子の質量分析においては、高分子そのものに電子を付加してイオン化し、その質量を解析する、または高分子量の分子を低分子量の分子イオンに細分化して質量分析を行い、構成分子を比較していた。このような従来の高分子の質量分析におけるイオン生成方法としては、例えば、高分子に高エネルギー原子イオンを衝突させてイオン化する2次イオン質量分析(SIMS)法や、電子衝撃によって低分子量の分子イオンに細分化して質量分析を行う電子イオン化(ED)法、マトリックス支援レーザーイオン化(MALDI)法などが知られている。
【0005】
一方、従来より、化学分析に際して同位元素で標識した高分子試料の質量分析方法としては、例えば、ナノ秒レーザーにより原子化およびイオン化を行うレーザー原子化共鳴イオン化(LARIMP)法が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【0006】
上記した従来の技術の有する種々の問題点に鑑みてなされた高分子試料の質量分析方法、および質量分析装置として、高分子を構成する構成原子の原子イオンを生成する工程を1台のレーザーを用いて成し、生成した原子イオンを質量分析器を用いて分析するようにしたレーザーアブレーションを用いた高分子の分析方法が開発された。この新しい分析方法によれば、システム構成の大幅な簡素化が計られ、多種類の標識同位体が混入した状況においても、効率の良い分析を行うことを可能とする、レーザーアブレーションを用いた高分子の質量分析方法および分析装置が提供されている。より詳細には、例えば、質量分析を行う場合には、質量スペクトルの解析が困難になる恐れを排除するとともに、質量分析装置に高分解能を要しないようにしたレーザーアブレーションを用いた高分子の質量分析方法および質量分析装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、上記した何れの方法(SIMS法やED法、MALDI法)においては、高分子イオンを質量分析するため高分解能の質量分析装置が必要であるという問題点や、親イオンの中途半端な分解により生成したフラグメントイオンの存在が、質量スペクトルの解析を困難にするという問題などがあった。
【0008】
他方、上記LARIMP法によれば、レーザーとして、標識希元素を原子化するための原子化レーザーと、原子化された標識元素の原子をイオン化するための共鳴イオン化レーザーとの2台のレーザーが必要となるため、システム構成が複雑になるという問題点があった。更に、LARIMP法においては、標識原子を共鳴イオン化するために、各標識原子に対して固有の波長のレーザー光を照射する必要があり、多種類の標識同位体が混入した状況では効率の良い分析を行うことが極めて困難であるという問題点があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−328114号公報
【非特許文献1】
ブルース・ヤコブソン(K.Bruce Jacobson)外12名、An approach to the use of stable isotopes for DNA Sequencing、GENOMICS、1991年、第9巻、p.51−59
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した従来技術の欠点を解消することが可能な高分子分析用基板、高分子分析用アレイおよび高分子分析方法を提供することにある。
【0011】
本発明の目的は、基板上に位置された分析対象である高分子を正確且つ高スループット、高感度に分析することが可能な高分子分析用基板、高分子分析用アレイおよび高分子分析方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、複数種類で、且つ比較的に広範囲にセッティングされた試料をも好適に分析可能な高分子分析用基板、高分子分析用アレイおよび高分子分析方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究の結果、高分子のレーザーアブレーション分析においては、分析対象たる高分子を保持するための基板自体からレーザーアブレーションにより生成されるイオンの影響が無視できないことを見出した。
【0014】
本発明者は上記知見に基づき更に研究を進めた結果、標識元素と同等の元素の基板中の存在量が、高分子レーザーアブレーション分析においてクリティカルであることを見出した。
【0015】
すなわち、本願における第1の発明は、分析の対象である高分子にレーザー光を照射して該高分子をアブレーションすることにより、高分子を構成する元素を分析するレーザーアブレーション高分子分析に使用する基板であって、分析の対象である高分子が該基板上に配置可能であり、且つ、該高分子の有無を検出するための標識元素と略同じ元素(同等質量を有する元素)を基板中に含有する割合が、基板構成元素の1ppm以下であるレーザーアブレーション高分子分析用基板である。
【0016】
上記構成を有する本発明によれば、基板上に位置された分析対象である高分子に関する情報(例えば、該高分子の有無)を、基板を構成する元素によるバックグラウンドの影響を回避して、高感度で検出することが可能となる。すなわち、本発明によれば、該高分子に関する情報を検出するための標識元素の原子イオンを生成し、生成した原子イオンを分析するようにしたレーザーアブレーション高分子分析用基板が提供される。
【0017】
より詳細には、本発明においては、分析対象の高分子の一部または該高分子の有無を検出するための標識元素と略同じ元素の基板含有量が制限されていることにより、レーザーを照射したときに、該高分子や標識体だけでなく、基板までアブレーションされたと場合であっても、検出スペクトルに現れる元素情報が、該高分子や標識体、または基板のどちらからアブレーションされたものか区別できないために解析が困難になる恐れが排除され(質量分析を行う場合には、更に、質量スペクトルの解析が困難になる恐れが排除され)、レーザーアブレーションを用いた高分子の好適な分析が可能となる。
【0018】
また、本願における第2の発明は、本願発明のうち第1の発明において、基板材料が金属または半導体であるものである。
【0019】
また、本願における第3の発明は、本願発明のうち第1の発明において、基板材料が2層以上の層から形成されるものである。
【0020】
更に、本願における第4の発明は、本願発明のうち第3の発明において、基板を構成する層の少なくとも1層がガラスまたはセラミックスであるものである。
【0021】
更にまた、本願における第5の発明は、本願発明のうち第3の発明において、基板を構成する層の少なくとも1層が金属であるものである。
【0022】
また、本願における第6の発明は、本願発明のうち第3の発明において、基板を構成する層の少なくとも1層が半導体または有機材料の少なくとも1種から選ばれる層であるものである。
【0023】
また本願発明のうち第7の発明は、本願発明のうち第5の発明において、基板を構成する金属材料がAlであるものである。
【0024】
また、本願発明のうち第8の発明は、本願発明のうち第6の発明において、基板を構成する半導体材料がSiまたはCの少なくとも1種であるものである。
【0025】
更に、本願発明のうち第9の発明は、本願発明のうち第3の発明において、基板最表層がガラスまたは金属の少なくとも1種から選ばれる層であるものである。
【0026】
また、本願発明のうち第10の発明は、本願発明のうち第3の発明において、基板最表層の厚みが1nm〜100μmであるものである。
【0027】
更に、本願発明のうち第11の発明は、本願発明のうち第1の発明において、標識体を付けた分析の対象である高分子が位置する面の基板表面から、深さ500μmの範囲において、分析対象の高分子の標識に用いる元素と同等質量の元素を含有する割合が1ppm以下であるものである。
【0028】
更にまた、本願発明のうち第12の発明は、本願発明のうち第1の発明において、基板形状がテープ状またはディスク状であるものである。
【0029】
また、本願における第13の発明は、分析の対象である高分子にレーザー光を照射して該高分子をアブレーションすることにより、高分子を構成する元素を分析するレーザーアブレーション高分子分析に使用する高分子分析用アレイであって;分析の対象である高分子が該基板上に配置されており、且つ、該分析の対象である高分子部分および/または基板に、位置情報が形成されている高分子分析用アレイである。
【0030】
上記構成を有する本発明の態様によれば、分析対象とする高分子を実質的に破損することなく、基板上に多数固定化された分析対象の高分子の位置情報を検出し、高分子を構成する構成原子の原子イオンを生成し、生成した原子イオンを分析するレーザーアブレーション高分子分析が可能となる。すなわち、多数の分析対象高分子をそれぞれの配置された位置を正確に認識しつつ、好適にレーザーアブレーション高分子分析を行うことが可能となる。より詳細には、本態様においては、例えば、レーザー等を照射する位置が不明確になることにより解析が困難になる恐れが実質的に排除され(質量分析を行う場合には、質量スペクトルの解析が困難になる恐れが排除され)、好適なレーザーアブレーションによる高分子の質量分析用が可能となる。
【0031】
更に、本願における第14の発明は、本願発明のうち第13の発明において、位置情報が光学的に検出可能な方法によって形成される。
【0032】
また、本願における第15の発明は、本願発明のうち第13の発明において、位置情報が分析の対象である高分子部分に形成される。
【0033】
更に、本願における第16の発明は、本願発明のうち第13の発明において、位置情報が基板に形成される。
【0034】
更にまた、本願における第17の発明は、本願発明のうち第13の発明において、位置情報がアレイ上に複数箇所形成される。
【0035】
また、本願における第18の発明は、本願発明のうち第15の発明において、位置情報がアレイ上の分析の対象である高分子部分の全てに形成される。
【0036】
更に、本願発明のうち第19の発明は、本願発明のうち第13の発明において、分析の対象とする高分子が予め規則的に基板上に配列されている。
【0037】
更にまた、本願発明のうち第20の発明は、本願発明のうち第13の発明である高分子分析用アレイを用いた高分子分析方法において、位置情報を検出してから試料の分析を行うようにしたものであるものである。
【0038】
また、本願発明のうち第21の発明は、本願発明のうち第1〜20のいずれかの発明である高分子分析用基板および/又は高分子分析用アレイを用いた高分子分析方法において、分析の対象である高分子に照射して該高分子をアブレーションするレーザー光が超短パルスレーザー光であり、該超短パルスレーザー光を分析の対象である高分子に照射して、該高分子および該高分子の有無を検出するための標識元素を構成元素に原子化すると同時にイオン化し、イオン化した構成元素を分析する。
【0039】
更に、本願発明のうち第22の発明は、本願発明のうち第1〜20のいずれかの発明である高分子分析用基板および/又は高分子分析用アレイを用いた高分子分析方法において、前記イオン化した構成元素の分析は、質量分析であるものである。
【0040】
また、本願発明のうち第23の発明は、本願発明のうち第22の発明において、元素標識は、質量数が異なる元素による標識であるものである。
【0041】
更に、本願発明のうち第24の発明は、本願発明のうち第22の発明において、元素標識は、安定同位元素標識であるものである。
【0042】
更にまた、本願発明のうち第25の発明は、本願発明のうち第1〜20のいずれかの発明である高分子分析用基板および/又は高分子分析用アレイにおいて、分析の対象である高分子が、核酸または核酸の類似体であるものである。
【0043】
また、本願発明のうち第26の発明は、本願発明のうち第21の発明において、分析の対象である高分子が、核酸または核酸の類似体であるものである。
【0044】
更に、本願発明のうち第27の発明は、本願発明のうち第21の発明において、基板に位置される高分子が多チャンネル化したDNAマイクロアレイであるものである。
【0045】
【発明の実施の形態】
(高分子分析用基板)
本発明の高分子分析用基板においては、レーザーアブレーション分析の対象である高分子の有無を検出するための標識元素と略同じ元素の該基板中の含有量が、基板構成元素の1ppm以下であることが特徴である。ここに、「標識元素と略同じ元素」とは、原子の質量数(すなわち、陽子数と中性子数との和)が、標識元素の±1の範囲内にある元素を言う。
【0046】
本発明によるレーザーアブレーション分析用基板および分析方法においては、基板上に各種の高分子(例えば、DNA、タンパク質、RNA,PNA、脂質、糖等)が配置された基板において、これら高分子の有無を検出するための標識元素を用いるに際して、該標識元素とほぼ同じ質量数を有する元素の基板中の含有量を1ppm以下とされている。これにより、本発明においては、標識体を含む該高分子を原子イオン化して原子イオンを生成し、生成した原子イオンを分析することにより、基板上に形成された分析対象高分子の有無を高感度に認識し、かつ、各種の高分子の化学分析を行うことができることとなる。
【0047】
即ち、一般に、レーザー(試料+基板)に照射した時に、基板表面に位置した分析対象の高分子および標識元素のみならず、基板そのものもアブレーションされる可能性が高い。この分析方法においては、高分子を超短パルスレーザー光でアブレーションすることにより、高分子をバラバラに分解して当該高分子を構成する各原子毎に原子化すると同時に、原子化した原子を1価のイオンにイオン化されるが、このイオン化により生成された原子イオンを分析することにより、基板上に配置された分析対象の高分子の種類を識別しつつ、かつ定量分析が可能となる。しかしながら、上記したように基板も同時にアブレーションされる場合、基板中に、分析対象の高分子の有無を検出するための標識元素と同じ元素が含有されていると、生成された原子イオンが、標識体由来のものか基板由来のものか判別することが難しく、結果的に分析精度を著しく低下させるか、基板だけの分析を予め行うことによりソフト的に差し引く等のことが必要となる。
【0048】
従って、本発明による基板を用いることにより、基板から分析対象の高分子の有無を検出するための標識体と同じ元素の検出の頻度ないし強度を低下させることができるため、検出データの解析が困難になる恐れが実質的になくなり、高感度分析が可能となる。
(高分子の分析方法)
また、上記した構成の基板を用いた高分子の分析方法においては、分析対象の高分子の有無を、超短パルスレーザー光を分析対象高分子に照射して高分子をアブレーションすることにより、超短パルスレーザー光の高い尖頭値強度によって非共鳴課程によってイオン化(非共鳴イオン化)が行われるため、高分子の原子化と同時に、原子化された原子の1価のイオンへのイオン化を効率よく行うことが可能となる。超短パルスレーザー光を用いない場合、各元素が完全にモノマーの状態にできないため、2つ以上の原子の結合体(ダイマーやトリマー等)が残り、これら、ダイマーやトリマー等が分析精度を低下させるのみならず、(基板材料からのダイマー等が同様に標識元素の質量と同じになる場合には)検出自体が困難になる。従って、超短パルスレーザーを用いる本発明の高分子分析方法では、システム構成を簡潔化することができるのみならず、検出精度・感度を高くすることができ、更に、化学分析に際して、多種類の標識同位体が混入した状況においても各標識原子をそれぞれイオン化することができ、多種類の標識元素を同時に使用することが可能となるため、解析効率を著しく向上させることができる。
【0049】
換言すれば、本発明のレーザーアブレーション高分子分析用基板および分析方法においては、分析対象とする高分子を基板上に配置し、それぞれの分析対象高分子の有無を検出するための標識体の検出を、高感度で、効率よく行うことができる。
【0050】
また、本分析方法によれば、標識元素の原子化とイオン化とを1台の超短パルスレーザーで同時に行うことができるため、システム構成を大幅に簡略化することが可能となる。
【0051】
このため、本発明のレーザーアブレーションを用いた高分子の分析方法は、今後ますます重要性を増す遺伝子発現量の定量解析等に用いて極めて好適である。
(位置情報の形成)
また、本発明によるレーザーアブレーション高分子分析用アレイおよび分析方法においては、例えば、基板上にDNA,タンパク質、RNA,PNA、脂質、糖等の各種の高分子が配置されたアレイに予め位置情報を形成し、対象とする高分子の位置を検出し、その位置情報に基づき、分析対象とする高分子を超短パルスレーザー光でアブレーションすることにより、該高分子を原子イオン化して原子イオンを生成し、生成した原子イオンを分析するようにしている。これにより、基板上に形成された分析対象高分子を正確に認識し、かつ、各種の高分子の化学分析を行うことができる。
【0052】
即ち、本発明のレーザーアブレーションによる高分子の分析に用いるアレイおよびその分析方法によれば、分析対象の高分子の位置情報を検出する段階では分析対象の高分子を破損することなく、ここで得られた位置情報に基づき、高分子を超短パルスレーザー光でアブレーションすることにより、高分子をバラバラに分解して当該高分子を構成する各原子毎に原子化すると同時に、原子化した原子を1価のイオンにイオン化する。このようにイオン化により生成された原子イオンを分析することにより、基板上に配置された分析対象の高分子の種類を識別しつつ、かつ定量分析を可能とする。
【0053】
従って、本発明のレーザーアブレーション高分子分析用アレイおよび分析方法において、質量分析を行う場合には、分析対象の高分子の位置を、該高分子を破損することなく予め認識し、その位置情報に基づきレーザーを照射し、低質量の原子イオンを質量分析することになり、質量スペクトルの解析が困難になる恐れがなくなるのみならず、質量分析装置が高分解能を備える必要が実質的になくなる(すなわち、高分解能は必須でなくなる)。
【0054】
また、上記したように、本発明のレーザーアブレーション高分子分析用アレイおよび分析方法によれば、分析対象の高分子の位置を、該高分子を破損することなく予め認識し、その位置情報に基づき超短パルスレーザー光を分析対象高分子に照射して高分子をアブレーションすることにより、高分子の原子化と同時に、原子化された原子の1価のイオンへのイオン化を効率よく行うことが可能となる。従って、本発明によれば、システム構成を簡潔化することができるようになるのみならず、例えば、化学分析に際して多種類の標識元素を同時に使用することが可能となるため、解析効率を著しく向上させることができる。
【0055】
換言すれば、本発明のレーザーアブレーション高分子分析用アレイおよび分析方法においては、分析対象とする高分子を基板上に多数配置し、それぞれの分析対象高分子の位置情報を、該高分子にダメージを与えることなく識別でき、その位置情報に基づき、分析が可能となるため、1枚の基板に、密に多数の高分子が配置されたアレイを分析することが可能となり、分析のスループットが著しく向上できるのみならず、位置情報を正確に認識するため、レーザー光照射位置の不明確さによる分析の定量性等の低下を防ぐことができる。
【0056】
更に、本分析方法では、標識元素の原子化とイオン化とを1台の超短パルスレーザーで同時に行うことができるため、システム構成を大幅に簡略化することが可能となる。
【0057】
更にまた、上記したイオン化は、超短パルスレーザー光の高い尖頭値強度によって非共鳴課程によって行われるイオン化(非共鳴イオン化)であるため、他種類の標識同位体が混入した状況においても各標識原子をそれぞれイオン化することができ、多標識系への応用が容易であり、高精度かつ高効率な高分子の分析を行うことができるようになる。
【0058】
このため、本発明のレーザーアブレーションを用いた高分子の分析方法は、今後ますます重要性を増す遺伝子発現量の定量解析等に用いて極めて好適である。
(標識元素と同等の元素の含有量)
本発明において基板構成元素における標識元素と同等の元素(すなわち、標識元素と同じ元素、および標識元素の±1の範囲の質量数を有する元素)の含有量は、超短パルスレーザーを照射し、アブレーションされる全原子の量に対する値で定義される。アブレーションされる原子の数は、材料により異なるが、実際にアブレーションを行った時の断面プロファイルから109個以上と見積もることができ、これは、基板材料そのもののアブレーションが大部分となる。一方、一般的なDNAチップ等で見られる、スポットされたDNAに標識化されたDNAがハイブリダイゼーションする時の標識元素の数は103程度存在すると検出可能であり、蛍光色素を用いた場合と同程度以上の感度を得るためには103個の標識元素があれば、少なくとも検出可能である必要がある。すなわち、アブレーションされる109個の原子の内、103個の標識原子があれば、明確な検出ができることになる。
【0059】
すなわち、本方法で検出可能にするためには、基板における標識元素の含有量は10−6(=1ppm)以下であることが必要である。ただし、ここで示す含有量は、アブレーションされる領域において平均化した濃度で定義したものである。例えば、10μmの深さまでアブレーションされるプロファイルの場合、標識元素を含有しない材料の表面に10−3個の標識元素を含む層を10nm形成した基板では、アブレーションされる領域における基板材料に対する標識元素不純物の含有量は、10−3×10−3=10−6=1ppmとなる。このような場合も、本定義に含まれるものとする。
【0060】
なお、質量分析計による検出では蛍光色素を用いた光電子増倍管(フォトマルチメーター)よりも感度が103〜105程度高いことから、基板材料における標識元素不純物量は10−9以下であることが好ましい。
(同等元素含有量の測定方法)
本発明において、標識元素と同等の元素の含有量(基板中)は、基本的には、試料測定と同様の系を用いて、レーザーアブレーションにより好適に測定することが可能である。例えば、基板上に測定すべき試料を配置しない以外は、通常の試料測定と同様の方法により、基板中の標識元素と同等の元素の含有量を測定することができる。
(同等元素含有量を測定すべき深さ)
本発明においては、標識体を付けた分析の対象である高分子が位置する面の基板表面から、深さ500μmの範囲において、分析対象の高分子の標識に用いる元素と同等質量の元素を含有する割合が1ppm以下であること(すなわち、同等元素含有量を測定すべき深さは、500μmであること)が好ましい。この「深さ」は、更には100μm以下、特に50μm以下(更には25μm以下)であることが好ましい。
【0061】
このような同等元素含有量を測定すべき「深さ」は、レーザーアブレーション後の基板表面を、JISにより粗さ測定することより求めることができる。
(基板)
本発明において基板は、レーザー光によるアブレーションの安定性、効率の点からは、通常は導電性を有することが好ましい。したがって、本発明の基板を構成する材料は、金属材料または半導体材料であることが好ましい。例えば、半導体材料としては、シリコンやカーボン、SiN、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等が挙げられ、金属材料としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、タングステン等が挙げられる。また、これらを主とする複合系、合金等であっても構わない。
【0062】
特に、金属材料としては、電気伝導性が高く、かつ安価であることから、Alが好ましい。また半導体材料としては、高純度化の技術が半導体技術の進展で確率されており、比較的安価に用いることができるSiまたはCが好ましい。
(複数層の材料)
更に、基板材料単一の材料であってもよいが、アブレーションの安定性、効率から材料選択の自由度を向上させる点からは、該基板は2層以上の構造を有することが好ましい。
【0063】
例えば、基板材料として、すでにDNAやタンパク質等の高分子材料の検出に実績が高いガラス材料や、不純物が少ない単結晶材料が期待できるセラミックス材料を少なくとも1層含むことが好ましい。これらの材料としては、酸化珪素および酸化珪素を中心とするガラス材料、ITO等の酸化物等の導電性材料、アルミナやジルコニア等のセラミックス材料等の絶縁材料であっても構わない。また、これらの単一材料に限らず、合金や混合材料や複合材料であっても構わない。
【0064】
更にまた、2層以上の構造とする場合、上述の、アブレーションの安置性、効率の観点から、上述したような金属材料または半導体材料であることが好ましい。2層以上の構造とする場合であっても、特に、金属材料としては、電気伝導性が高く、かつ安価であることから、Alが好ましい。半導体材料としては、高純度化の技術が半導体技術の進展で確率されており、比較的安価に用いることができるSiまたはCが好ましい。
【0065】
安価で形状、材料設計の自由度が高いことから、基板を構成する層として、有機材料層を利用することが好ましい。このような有機基板材料としては、例えば、PET、PI、アクリル、アラミド、PP、PC、ポリスチレン、ナイロン、ABS等の材料が挙げられる。
【0066】
基板表面には、上記アブレーションの安定化、効率の点からは、金属材料であることが好ましい。他方、DNAやタンパク質等の固定化技術に実績があるガラスも(基板表面として)好適に使用可能である。
【0067】
2層以上の材料から基板を形成する場合、基板最表層の厚みは1nm〜100μmであることが好ましい。1nmよりも薄いと、膜にピンホールが生じ、アブレーションが安定しなかったり、膜形成の制御自体が難しくなる。また、100μmよりも厚いと、膜の応力のため、基板全体が反り、検出再現性等の問題が生じたり、膜形成に長時間を要してしまう。これらの点を考慮すると、基板最表層の厚みは5nm〜10μm(更には、10nm〜1μm)がより好ましい。
(基板の形態)
本発明において、基板上に配置すべき高分子のレーザーアブレーションが可能である限り、該基板の形態は特に制限されない。基板の形態としては、例えば板状、シート状、フィルム状、テープ状、繊維状、ディスク状等が挙げられるが、検出速度の向上の点からは、テープ状またはディスク状が好ましい。
(位置情報の形成)
本発明において、高分子部分に位置情報を形成する方法としては、次のようなものが挙げられる。すなわち、高分子材料に顔料や染料を混入し、CCDカメラ等により光学的にその色や明暗の違いで位置情報を検出する方法や、蛍光材料を含有させ、励起光を照射して蛍光を検出する方法等が挙げられる。分析対象である高分子材料の特性を変化させることがない材料であることが好ましい。
【0068】
また、基板に位置情報を形成する方法としては、次のようなものが挙げられる。すなわち、基板に凹凸を形成して位置情報を印し、光学的に検出したり、基板の分析対象高分子材料が形成される位置以外に顔料や染料、蛍光体を用いて位置情報を形成し、CCDカメラ等により光学的に検出する方法等が挙げられる。基板に蛍光材料で位置情報を形成する場合は、励起光を照射して蛍光を検出することも手段として挙げられる。
【0069】
データ解析の点からは、基板に位置情報を形成する場合は、その位置情報が形成される位置と分析対象高分子が形成される位置の関係が予めわかるように形成されておくことが好ましい。更に、位置情報と分析対象高分子の位置をより簡便に関係づけるため、分析対象高分子が規則的に形成されていることが好ましい。例えば、分析対象高分子が基板上に1スポットあたり10−12m2〜10−4m2(更に好ましくは10−10m2〜10−6m2)の面積で円形や多角形で形成されていることが好ましい。それらのスポットは、規則的に20μm〜5mm(更に好ましくは50μm〜500μm)の間隔で形成されていることが好ましい。
(位置情報と高分子の関係)
本発明において、高分子部分や基板に形成される位置情報は、分析対象高分子のそれぞれに対して一つずつ形成されても構わない。また、分析対象高分子全体に対して、数カ所形成されていても構わない。分析対象高分子全体に対して、1箇所しか形成されない場合、位置を確定するための情報としては不足するため、少なくとも、2カ所以上(更に好ましくは3カ所以上)位置情報が形成されていることが好ましい。また、位置情報は、規則的に形成されていることが好ましい。
(分析法)
本発明における分析法においては、レーザーをスキャンさせて複数個の分析対象高分子を順次分析する方法や分析対象高分子を形成した基板をスキャンさせて複数個の分析対象高分子を順次分析する方法等、種々の方法があり、そのスキャンは位置情報に同期するように行われても構わない。
(レーザー)
本発明において、高分子のアブレーションに用いるレーザーは、超短パルスレーザーであることが好ましい。超短パルスレーザー光により高分子をアブレーションすると、上述したように、高分子をバラバラに分解して当該高分子を構成する各原子毎に原子化すると同時に、原子化した原子を1価のイオンにイオン化するものであり、このイオン化により生成された原子イオンを分析することにより、基板上に配置された分析対象の高分子の種類を識別しつつ、かつ定量分析が可能となる。
【0070】
本発明において、超短パルスレーザー光により高分子をアブレーションする際には、高分子に超短パルスレーザー光を1ショット(1パルス)照射すれば充分である。しかしながら、高分子に超短パルス光を複数ショット(複数パルス)照射してもよく、高分子への照射する超短パルスレーザー光のショット数(パルス数)は適宜に選択すればよい。
【0071】
ここに、超短パルスレーザーとは、パルス時間幅が10ピコ秒以下であることが好ましく、特に、1フェムト秒以上1ピコ秒以下の通常はフェムト秒レーザーと称されるレーザーを用いることが適当である。その尖頭値出力としては、10メガワット以上が好ましく、特に、1ギガワット以上10ギガワット以下が好ましい。尖頭値出力が10ギガワットを超えると、多価イオンが生成されて、質量スペクトルの解析が困難となる傾向がある。他方、尖頭値出力が10メガワット未満の場合には、原子化・イオン化の効率が低下して、原子イオン信号を観測することが困難となる傾向がある。
【0072】
なお、後述する発明者による実験によれば、例えば、パルス時間幅が10〜500フェムト秒(特に約110フェムト秒)、尖頭値出力が1〜4ギガワット(特に約2ギガワット)の場合には、極めて良好な結果を得ることができた。
【0073】
また、本発明によれば、原子化と同時にイオン化を効率よく行うことのできるフェムト秒レーザー光等の超短パルスレーザー光を、同位元素で標識した高分子試料に照射することが好ましい。このような態様においては、標識元素を選択的にイオン化する必要がなくなり、種々様々の標識元素を使用することが可能となる。その上、レーザー照射の繰り返しレートを数kHzまで上げることが可能であるため、高速解析に適している。
【0074】
本発明は、上記の特長から、分析対象の高分子およびその標識体を、該高分子が位置する基板に含まれる標識元素と同じ元素の不純物量を1ppm以下にすることにより、高精度・高感度で検出でき、かつ、該分析対象高分子を従来と比較して格段に速い解析速度で解析できるのみならず、発現量の極めて少ない遺伝子の発現の同時解析を行うことをも可能にする。
【0075】
本発明において基板上に位置情報を形成する態様においては、上記の特長から、分析対象の高分子位置を正確に検出でき、かつ、該分析対象高分子を従来と比較して格段に速い解析速度で解析できるのみならず、発現量の極めて少ない遺伝子の発現の同時解析を行うことを可能にする。
(応用例)
趣旨に反しない限り、本発明の高分子分析用基板、高分子分析用アレイおよび高分子分析方法の適用すべき領域および/又は範囲は、特に制限されない。本発明の高分子分析用基板等の具体的な応用例としては、例えば、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析があり、その解析を高感度、高速化することが可能となる。即ち、本発明によれば、標識として多種類の同位元素を用いることが可能となる。該標識として、例えば、安定同位元素を用いた場合には、標識の種類は多種類の安定同位元素の数(270種類)に増やすことができる。これは、従来の標識法である蛍光法(2〜6種類)や放射性同位元素(約10種類)と比較して、飛躍的に情報量を増やすことができる。
(好ましい標識)
より詳細には、DNAマイクロアレイ実験で用いる標識として、例えば、FeやBr、またはSnやCl、AuやAg、PtやEu、Sm、Cu、Ni、Te、Sb等の安定同位元素を含むヌクレオチドでプローブを標識して使用することができる。例えば、Feの含有量が1ppm以下の基板上に、ターゲット核酸を位置してDNAマイクロアレイとし、Feの標識を取り込ませたプローブをDNAマイクロアレイ上のターゲット核酸とハイブリダイゼーションさせたのち、超短パルスレーザーでアブレーションし、分子の原子イオン化を行い、その後に、例えば、質量分析器で検出し、ハイブリダイゼーションしたプローブ内に含まれている同位元素の量を定量する。この際、基板に含有されるFeの含有量が少ないため、プローブの量比を計算して求めることができる(このようなプローブ標識ないしハイブリダイゼーション方法の詳細に関しては、例えば、文献「必ずデータが出るDNAマイクロアレイ実験マニュアル」羊土社(2000)を参照することができる)。
(好ましい位置情報)
また、例えば、位置情報が形成された基板上に、その位置情報との位置関係が予めわかった状態でターゲット核酸を規則的にスポットしてDNAマイクロアレイとし、プローブをDNAマイクロアレイ上のターゲット核酸とハイブリダイゼーションさせたのち、これら分析対象高分子の位置を検出しながら超短パルスレーザーでアブレーションし、分子の原子イオン化を行い、その後に、例えば、質量分析器で検出すれば、ハイブリダイゼーションしたプローブ内に含まれている同位元素の量を定量できる。従って、プローブの量比を計算して求めることができる。
【0076】
ここで、従来のDNAマイクロアレイ技術においては、蛍光色素でプローブを標識していた。こうした従来の方法では、分析がフォトマルチメータの検出感度で決定される。アレイ基板上の全体を励起レーザーでスキャンし、得られた二次元的な蛍光イメージデータを更に画像処理して解析する手段をとっている。この場合、103程度の感度しかなく、レアなDNAの存在を高感度で検出することが難しかった。
【0077】
これに対して、本発明による方法では、基板中の標識元素不純物を少なくすることにより、質量分析計で充分な検出感度を得ることができ、蛍光法に比べて2桁高い感度が得られた。
【0078】
また、従来の蛍光色素でプローブを標識する従来の方法では、マイクロアレイ上に形成されている分析対象高分子の位置を特定することなく、アレイ基板上の全体を励起レーザーでスキャンし、得られた二次元的な蛍光イメージデータを更に画像処理して解析する手段をとっている。また、ハイブリダイゼーション後の検出において、レーザー光でアレイ基板上全体をスキャンするために、専用検出装置を用いて10分間程度の時間を要していた。更に、その後の画像処理解析に長時間を要することが多かった。
【0079】
これに対して、本発明を用いれば、データ処理が簡便にでき、また、各スポットの検出時間が極めて短いため、検出全体の速度の大幅高速化を図ることができる。
(標識)
現在利用されている蛍光色素はわずか2種類(Cy−3,Cy−5)だけであり、急速な増加は見込めないのが現状である。それに対して、例えば、安定同位元素を使えば、標識の種類を270種にも増やすことができる。
【0080】
また、DNAマイクロアレイの遺伝子の発現データは、参照用サンプルに対する相対値として得られる。換言すれば、2種の蛍光ラベルしか利用できない従来のDNAマイクロアレイ実験では、多数の試料のデータを実験間で比較することが難しい。
【0081】
しかしながら、本発明において、別々の元素でラベルした3種類以上の複数のプローブを混合し、同時にターゲットとハイブリダイゼーションさせ、本発明によるレーザーアブレーションを用いた高分子の分析方法で計測する多チャンネル化したDNAマイクロアレイを用いる態様によれば、複数試料間のデータを比較することができる。
【0082】
このように、本発明によって、多種類の安定同位元素標識による高感度・高速質量分析法を確立することができ、従って、本発明は、蛍光色素や放射性同位元素で標識を行っている全ての分野への応用が可能である。
【0083】
また、本発明によれば、標識元素に放射性同位元素を用いることなく、安定同位元素を用いることができるため、その場合には使用される施設に制限を受けないため、医療施設や民間企業への設置も可能となり、その波及効果は計り知れないものがある。
(分析対象たる高分子)
本発明によるレーザーアブレーションを用いた高分子の分析方法は、例えば、DNA、タンパク質、RNA,PNA脂質、糖等の各種の高分子の質量分析に用いることが可能である。
【0084】
超短パルスレーザーにより単数又は複数の同位体元素で標識したタンパク質、アルブミン、DNA等の高分子をアブレーションすることにより、高分子構成元素を完全に原子イオン化し、イオン化した標識元素を質量分析することにより高分子の定量測定を行うことができる。これにより、多種類の同位体元素を標識として使用することができるようになる。従って、質量分析することができる高分子の対象範囲を飛躍的に拡げることができる。
【0085】
換言すれば、本発明によって、同位体元素で標識した高分子試料それ自体を原子レベルでイオン化し、標識元素を検出することが可能となることから、質量分析可能な対象範囲を飛躍的に広げることができるようになる。例えば、DNAの標識として、同位体元素を用いることが可能となり、標識の種類をたとえば安定同位体元素の数である270にも増やすことができる。これは、従来の標識法である蛍光法(2種類)や放射性同位元素(約10種類)と比較して、飛躍的に情報量を増やすことができる。
【0086】
なお、下記する実施例においては、質量分析器として四重極質量分析器を用いるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、原子の飛行時間を測定することにより質量分析を行う飛行時間質量分析器を用いた場合には、複数の原子の質量分析を同時に行うことができる。
【0087】
また、下記する実施例においては、高分子の分析方法として質量分析に関して説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、質量分析以外の分析に関して本発明を用いるようにしてもよい。
【0088】
【実施例】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
実施例1
図1には、本発明による位置情報を形成した基板と、該基板にスポットされた分析対象となる高分子を示す。スライドガラス大のSi基板(信越化学(株)製、Fe含有量<0.01ppb)を用い、位置情報は予め、染料を用いてインクジェット法でバーコード様式で印した(印刷の様式はこれに限るものではない)。
【0089】
まず、実験の試料を準備する。2種類のオリゴDNAサンプル(サンプル1(配列番号1)およびサンプル2(配列番号2))を用いた。そして、この2種類のサンプルにそれぞれ相補的な塩基配列を有するオリゴDNAサンプル(サンプル3(配列番号3)およびサンプル4(配列番号4))を、Fe元素を含む標識試薬により標識化した。この際に用いた処理条件は、以下の通りである。
【0090】
基板表面を酸化処理して酸化シリコンのガラス層を形成した後ポリリジンを用いて修飾し、上記オリゴDNAのサンプル1およびサンプル2を交互に滴下して乾燥させ、上記基板上の位置情報にあうように、各サンプルを交互に基板上3840個(縦8個×横8個を1ブロックとして、縦5ブロック×横12ブロック;スポット全体として長方形状)スポットした。スポット位置と位置情報を合わせるため、高分子のスポッティングは、CCDカメラを用いて確認しながら行った。スポットした基板をオーブンで乾燥させて、溶媒を蒸発させた。各スポットの大きさは直径が約150μmのほぼ円形であった。
【0091】
上記により得たマイクロアレイに、Fe元素を含む標識試薬により標識化したサンプル3を、通常の蛍光法のDNAチップのハイブリダイゼーションと同様に、65℃、12時間、ハイブリダイゼーションを行い、その後、リンスした(ハイブリダイゼーション法の参考文献:「必ずデータが出るDNAマイクロアレイ実験マニュアル」羊土社(2000))。
【0092】
上記のようにして作成した、ターゲット試料のスポットが形成されたハイブリダイゼーション済みのマイクロアレイを質量分析システムに設置した(図2)。
【0093】
この質量分析システムは、10−8〜10−6Torrの真空度に設定可能な真空槽と、この真空槽内に移動可能なステージ上に配置されたターゲット(マイクロアレイ)と、真空槽内に配置された四重極質量分析器と、超短パルスレーザー光を出射してターゲットへ照射する超短パルスレーザーと、超短パルスレーザーから照射された超短パルスレーザー光をターゲット上へ集光するフォーカスレンズとを有している。ここで、超短パルスレーザーは、チタンサファイアレーザーにより構成され、以下に示すようなパラメーターを備えている。即ち、
ピーク幅(パルス時間幅):〜110fs(フェムト秒)
出力:50〜480μJ(マイクロジュール)
(尖頭値出力:0.5〜4GW(ギガワット))
波長:〜800nm(ナノメートル)
繰り返し:1kHz(キロヘルツ)である。
【0094】
なお、四重極質量分析器は、超短パルスレーザーから出射されてターゲットに照射される超短パルスレーザー光の照射方向に対して、90度垂直方向に設置されている。
【0095】
また、超短パルスレーザーから出射された超短パルスレーザー光を集光するフォーカスレンズの焦点距離は、約25cmに設定されている。
【0096】
以上の構成において、上記した質量分析システムを用いて実際に質量分析を行った実験結果について説明する。
【0097】
上記のようにして作成したマイクロアレイを真空槽内の移動可能なステージに装着して、真空槽内を真空に引き、真空槽内の真空度が10−6Torr以下となるように設定する。
【0098】
次に、分析対象となる高分子が形成されていない基板上に、超短パルスレーザーから出射された超短パルスレーザー光を、フォーカスレンズを用いて集光して、基板材料をアブレーションする(これにより、基板自体に含まれる標識元素と同等元素の存在量を測定する)。
【0099】
次に、予め真空槽内のマイクロアレイ表面が観察できるCCDカメラを準備しておき、上記基板のアブレーション位置を確認するとともに、その位置に、予め基板に形成されていた位置情報に基づき分析対象のオリゴDNAサンプル1が滴下された部分に移動可能ステージでアブレーション位置を合わせ、超短パルスレーザーから出射された超短パルスレーザー光を、フォーカスレンズを用いて集光して、サンプル1が固定されている場所をアブレーションして、質量分析計で検出した。
【0100】
次にこのステージ位置を基準に、同様の操作でオリゴDNAサンプル2が固定化された部分に移動可能ステージでアブレーション位置を移動させ、超短パルスレーザーから出射された超短パルスレーザー光を、フォーカスレンズを用いて集光して、サンプル2が固定されている場所をアブレーションして、質量分析計で検出した。このような操作を3840回繰り返し、マイクロアレイ上の分析対象高分子をアブレーションして分析するという操作を繰り返した。
【0101】
なお、超短パルスレーザーから出射される超短パルスレーザー光のパルス幅は110フェムト秒であり、出力は、マクロアレイへの超短パスルレーザー光の照射により発生した1価のイオンの質量が四重極質量分析器分析できるように、1価のイオンが発生する条件で行った。ここでは、230μJで行った。
【0102】
基板、サンプル1の部分およびサンプル2の部分で検出される標識体および基板の1価のイオンの強度を検出することにより、ターゲットDNAへの検体DNAのハイブリダイゼーションの状態を検出した。
【0103】
その結果、基板のみの位置で検出したスペクトルおよびサンプル2の部分で検出したスペクトルにはFeはほとんど検出されず、一方、サンプル1の部分で検出したスペクトルには、Feが明確に検出され、本方法により、標識元素の有無を正確かつ高感度に検出可能であることを確認できた。
【0104】
また、これらの検出は上述したとおり、CCDカメラとフェムト秒レーザー、ターゲットの自動操作システムをリンクさせることにより、数分以内という短時間で3840スポットを検出できた。
実施例2
実施例1で用いたサンプル4をAuを含む標識体((株)キアゲン製、商品名:Hi Light Single−Color Kit)で標識化し、オリゴDNAサンプル1およびサンプル2が固定化されたマイクロアレイにサンプル3およびサンプル4をハイブリダイゼーションさせた以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、基板に含有されるAuの不純物量もFe同様に測定した。
【0105】
その結果、基板をアブレーションした検出結果からはFeとAuは検出されず、サンプル1部分からはFeが、サンプル2部分からはAuが検出され、複数種類の標識体を用いる場合においても、正確かつ高感度に効率よく検出可能であることが確認できた。
実施例3〜11
標識元素および、基板材料を表1のとおり変更した以外は実施例1または実施例2と同様の検討を行った。いずれも実施例1または実施例2と同様に、正確かつ高感度に検出可能であることが確認できた。
【0106】
【表1】
【0107】
実施例12〜15
表2に、実施例1と同様の試料を用い、位置情報形成法および位置情報の形状と検出法をそれぞれ表2のとおり変更した以外は実施例1と同様の検討を行った。いずれも実施例1と同様に、短時間で良好な検出結果が得られた。
【0108】
【表2】
【0109】
図3には、実施例15のアレイを示す。本発明による位置情報を形成した基板と、該基板にスポットされた、予め顔料が混合されたターゲット核酸を示す。実施例1と同様にSi基板を用いた。基板に形成された位置情報は、実施例1と同様に染料を用いてインクジェット法で印刷して形成した。
比較例1
実施例1において、基板材料をFeの含有量が10ppmオーダーの工業用途用Al材料を用いて基板とし、その表面に10nmのSiO2層を形成したものを用いた。基板をアブレーションしたところ、Feが検出され、また、サンプル1部分やサンプル2部分のアブレーションを質量分析計で検出した結果にもFeが検出され、標識体の有無を明確に検出することができなかった。
比較例2
実施例1において、基板材料として、ディスク状のポリカーボネートの上に、Feの含有量が10ppmオーダーであるAlを1nm蒸着し、更にその上に、10nmのSiO2層を形成したものを用いた。アブレーションによる検出を行ったところ、アブレーションされる原子数のトータルが安定せず、再現性が低いため、正確な検出ができなかった。
比較例3
実施例1において、基板材料として、ディスク状のポリカーボネートの上に、Feの含有量が10ppmオーダーであるAlを250μmを貼付け、更にその上に、10nmのSiO2層を形成したものを用いた。基板をアブレーションしたところ、Feが検出され、また、サンプル1部分やサンプル2部分のアブレーションを質量分析計で検出した結果にもFeが検出され、標識体の有無を明確に検出することができなかった。
比較例4
実施例1において、位置情報を予め基板に形成することなく、また、ターゲット試料に、顔料等により光学的に識別可能な手段を講じずに検出を試みた。試料のスポット位置を実際にアブレーションすることにより探し当てるまでの質量分析計のスペクトラムを解析した結果、レーザー照射位置が試料のスポット位置に合わないため、基板の下層のSiやガラスまでアブレーションが到達し、質量分析計にSiのスペクトラムが検出され、試料の標識体元素の情報はほとんど得られなかった。また、スポット位置を探し当てるまでのアブレーション位置の調整に30分以上を要した。
【0110】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、高分子を構成する構成原子の原子イオンを生成し、生成した原子イオンを分析するようにしたレーザーアブレーションを用いた高分子の分析方法において、標識元素の、基板材料中の含有量を低くすることにより、正確、高感度かつ効率的な分析手順を提供することができる。
【0111】
また、位置情報をも形成する本発明の態様においては、分析試料の位置情報を正確に得ることにより、高度な分析確度と効率的な分析手順を提供することができる。
【0112】
更に、本発明は、以上説明したように構成されているため、システムのシークエンスを大幅に簡潔化することができるという優れた効果を奏する。
【0113】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による位置情報を形成した基板と、該基板にスポットされた分析対象となる高分子を示す模式平面図である。
【図2】本発明において使用可能な質量分析システムの一例を示す模式断面図である。
【図3】本発明において使用可能な位置情報を形成した基板と、該基板にスポットされた、予め顔料が混合されたターゲット核酸を示す模式平面図である。
【符号の説明】
1…基板
2…ターゲット試料のスポット
3…位置情報
4…四重極質量分析器
5…基板位置移動装置
6…マイクロアレイ
7…プラスイオン
8…超短パルスレーザー光
9…超短パルスレーザー装置
10…真空槽
11…CCDカメラ
12…モニター・制御装置
13…予め顔料が混合されたターゲット核酸のスポット
Claims (27)
- 分析の対象である高分子にレーザー光を照射して該高分子をアブレーションすることにより、高分子を構成する元素を分析するレーザーアブレーション高分子分析に使用する基板であって、
分析の対象である高分子が該基板上に配置可能であり、且つ、該高分子の有無を検出するための標識元素と略同じ元素(同等質量を有する元素)を基板中に含有する割合が、基板構成元素の1ppm以下であるレーザーアブレーション高分子分析用基板。 - 基板材料が金属または半導体である請求項1記載のレーザーアブレーション高分子分析用基板。
- 基板材料が2層以上の層から形成されている請求項1記載のレーザーアブレーション高分子分析用基板。
- 基板を構成する層の少なくとも1層が、ガラスまたはセラミックスである請求項3記載の高分子分析用基板。
- 基板を構成する層の少なくとも1層が金属である請求項3記載の高分子分析用基板。
- 基板を構成する層の少なくとも1層が、半導体材料または有機材料の少なくとも1種から選ばれる層である請求項3記載の高分子分析用基板。
- 基板を構成する金属材料がAlである請求項5記載の高分子分析用基板。
- 基板を構成する半導体材料がSiまたは炭素の少なくとも1種から選ばれる請求項6記載の高分子分析用基板。
- 基板最表層がガラスまたは金属の少なくとも1種から選ばれる請求項3記載の高分子分析用基板。
- 基板最表層の厚みが1nm〜100μmである請求項3記載の高分子分析用基板。
- 標識体を付けた分析の対象である高分子が位置する面の基板表面から、深さ500μmの範囲において、分析対象の高分子の標識に用いる元素と同等質量の元素を含有する割合が1ppm以下である請求項1記載の高分子分析用基板。
- 基板形状がテープ状またはディスク状である請求項1記載の高分子分析用基板。
- 分析の対象である高分子にレーザー光を照射して該高分子をアブレーションすることにより、高分子を構成する元素を分析するレーザーアブレーション高分子分析に使用する高分子分析用アレイであって;
分析の対象である高分子が該基板上に配置されており、且つ、該分析の対象である高分子部分および/または基板に、位置情報が形成されている高分子分析用アレイ。 - 前記位置情報が光学的に検出可能な方法によって形成されている請求項13記載の高分子分析用アレイ。
- 前記位置情報が分析の対象である高分子部分に形成されている請求項13記載の高分子分析用アレイ。
- 前記位置情報が基板に形成されている請求項13記載の高分子分析用アレイ。
- 前記位置情報がアレイ上に複数箇所形成されている請求項13記載の高分子分析用アレイ。
- 前記位置情報がアレイ上の分析の対象である高分子部分の全てに形成されている請求項15記載の高分子分析用アレイ。
- 分析の対象とする高分子が予め規則的に基板上に配列されている請求項13記載の高分子分析用アレイ。
- 請求項13記載の高分子分析用アレイを用いるレーザーアブレーションによる高分子分析方法であって、位置情報を検出してから試料の分析を行う高分子分析方法。
- 請求項1〜19のいずれかに記載の高分子分析用基板および/又は高分子分析用アレイを用いるレーザーアブレーションによる高分子分析方法であって;
分析の対象である高分子に照射して該高分子をアブレーションするレーザー光が超短パルスレーザー光であり、該超短パルスレーザー光を分析の対象である高分子に照射して、該高分子および該高分子の有無を検出するための標識元素を構成元素に原子化すると同時にイオン化し、イオン化した構成元素を分析するレーザーアブレーション高分子分析方法。 - 請求項1〜19のいずれか記載の高分子分析用基板および/又は高分子分析用アレイを用いるレーザーアブレーションによる高分子分析方法であって、前記イオン化した構成元素の分析が質量分析であるレーザーアブレーション高分子分析方法。
- 前記元素標識が、質量数が異なる元素による標識である請求項22記載のレーザーアブレーション高分子分析方法。
- 前記元素標識は、安定同位元素標識である請求項22記載のレーザーアブレーション高分子分析方法。
- 分析の対象である高分子が、核酸または核酸の類似体である請求項1〜19のいずれかに記載の高分子分析用基板および/又は高分子分析用アレイ。
- 分析の対象である高分子が、核酸または核酸の類似体である請求項21記載の高分子分析方法。
- 前記基板に位置される高分子が多チャンネル化したDNAマイクロアレイである請求項21記載の高分子分析方法。
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