JP2004037122A - 核酸チップおよび核酸チップの分析方法 - Google Patents

核酸チップおよび核酸チップの分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の核酸関連物質が基板上にマトリクス状に配置された核酸チップのプローブを、飛行時間型2次イオン質量分析法により分析する際、高い定量性を達成可能な核酸チップの分析方法と、かかる分析方法を利用することで、核酸チップ上に配置される核酸プローブ・ドットに存在する核酸量のを簡便に決定することが可能な形態とされた核酸チップを提供する。
【解決手段】チップ基板上に、核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により形成される、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを具え、2次イオン質量分析を行った際に検出される2次イオンの信号強度に基づいて作成される検量線を用いて、未知濃度の核酸プローブ・ドットの核酸濃度を決定する。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にマトリクス状に配置された核酸プローブ、言謂、核酸チップ、ならびに核酸チップを構成する核酸の分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAチップ、RNAチップ等、各種の核酸プローブ分子を基板上にマトリクス状に配置したもの、所謂、核酸チップは、ゲノム解析、あるいは、遺伝子の発現解析などの目的に利用されるようななってきた。また、それら核酸チップを利用した解析の結果は、癌、遺伝病、生活習慣病、感染症等の診断、予後予想、治療方針の決定等に重要な指標を提供するものと期待されている。
【0003】
核酸チップの作製方法には、幾つかの手法が知られている。DNAチップを例にとって説明すると、フォトリソグラフィーを用いて、直接基板上にDNAプローブを逐次的に合成していく方法(米国特許第5405783公報等)、あるいは、予め合成したDNA、または、cDNA(コンプリメンタリーDNA)を、基板上に供給し結合する方法(米国特許第5601980公報、特開平11−187900号公報、Science Vol.270, 467, 1995等)が代表的なDNAチップの作製法である。
【0004】
一般的には、前記二種の方法によって核酸チップは作製されるが、作製された核酸チップを先に述べた用途に使用しようとする場合、解析の信頼性、すなわち、定量性、再現性を保証するためには、各マトリクスに存在するプローブ、すなわち、プローブに利用する核酸の量、つまり、密度を知ることが重要である。また、実際にどのようなマトリクス形状(形状、サイズ、状態)で存在するかを知ること(イメージング)も、やはり、定量性、再現性の確保といった見地から重要である。
【0005】
しかし、核酸チップ上の核酸プローブは、原理的には単分子膜レベルとされており、基本的に、マトリクス位置の顕影化を含めた核酸プローブの分析には、きわめて高感度な表面解析技術が必要となる。
【0006】
前記の要件を満足する高感度な表面解析技術の一つとして、プローブ自体にアイソトープラベルを施す方法が知られてはいるが、ラベル化の手法が煩雑であり、利用されるアイソトープラベル自体、被爆源となる危険性を有し、そのため、特殊な施設、装置が必要等の理由で、汎用性の観点で難点を有している。
【0007】
別の方法として、プローブを蛍光標識する方法、または、プローブと特異的に結合する物質に蛍光標識を施し、これとプローブを結合させる方法、すなわち、DNAチップにおいては、蛍光ハイブリダイゼーション法が考えられる。しかしながら、標識に利用する蛍光色素の安定性、蛍光クエンチング、あるいは、蛍光色素の基板表面への非特異的吸着、さらには、特異的結合(ハイブリダイゼーション)の定量性(安定性、再現性)等、高い定量性を達成する上では、種々の問題が存在しており、プローブ自体の存在量を定量的に把握するには、なお課題が残る。
【0008】
その他、一般的な検出対象に利用可能な高感度表面分析手段として、FT−IR(フーリエ変換赤外分光)法を用いたATR法、XPS(X線光電子分光)法等があるが、いずれも、生体関連物質である、核酸チップの核酸プローブ自体の定量的分析、あるいは、イメージングには十分な感度を有しているとはいえない。特に、核酸チップの作製用基板として、一般的なガラスを用いる場合には、例えば、FT−IR(ATR)法では、基板のガラス自体に起因する吸収の影響、また、XPS法では、ガラス自体は絶縁性材料であるため、チャージアップの影響等があり、有効な分析手段とはいえない。
【0009】
また、生体関連物質に利用可能な、別の高感度表面分析手段として、レーザー共鳴イオン化法(RIS:esonance onization pectroscopy)によるDNAの検出方法が、米国特許第5821060公報に開示されている。この方法では、試料表面から放出される注目元素のイオン化エネルギーに相当する波長のレーザービームを照射して、当該元素をイオン化し検出するものである。その際、試料表面から元素を放出させる手段としては、レーザービームを用いる方式、イオンを用いる方式が開示されているが、特定元素の検出しかできないという技術的な制約を持つ。
【0010】
さらに、他の高感度表面分析手段としては、動的二次イオン質量分析法(dynamic−SIMS)があるが、この手法では、二次イオンを生成する過程で、有機化合物を小さいフラグメントイオン、または粒子にまで分解している。そのため、質量スペクトルから得られる化学構造情報は多くなく、例えば、構成する塩基は共通した四種しかない核酸関連物質のような有機物の分析には、得られる情報は不十分であり、汎用的に利用するには適していない。
【0011】
これに対して、同じく二次イオン質量分析法の一手法として知られている、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法は、固体試料の最表面にどのような原子または分子が存在するかを調べるための分析方法であり、下記する特長を持つ。すなわち、10atoms/cm(最表面1原子層の1/10に相当する量)の極微量成分の検出能があること、有機物、無機物のどちらにも適用できること、表面に存在するすべての元素や化合物を測定できること、試料表面に存在する物質からの二次イオンのイメージングが可能なことである。
【0012】
以下に、この飛行時間型二次イオン質量分析法の原理を簡単に説明する。
【0013】
高真空中において、高速のイオンビーム(一次イオン)を固体試料表面に照射すると、スパッタリング現象によって表面の構成成分が真空中に放出される。この過程で発生する正または負の電荷を帯びたイオン(二次イオン)を、電場によって一方向に収束し、一定距離だけ離れた位置で検出する。スパッタの際には、試料表面の組成に応じて、様々な質量をもった二次イオンが発生するが、一定の電界中では、質量の軽いイオンほど早く、反対に重いイオンほど遅い速度で飛行する。そのため、二次イオンが発生してから、検出器に到達するまでの時間(飛行時間)を測定することで、発生した二次イオンの質量を分析することができる。
【0014】
一方、dynamic−SIMS法では、既に述べたように、イオン化の際、有機化合物は小さいフラグメントイオンまたは粒子にまで分解してしまうため、質量スペクトルから得られる化学構造情報、例えば、質量範囲は限定されるのに対し、TOF−SIMS法では、一次イオン照射量が著しく少ないため、有機化合物は化学構造を保った状態でイオン化され、幅の広い質量範囲で測定される質量スペクトルから有機化合物の構造をより直接的に知ることができる。加えて、固体試料表面の最も外側で発生した二次イオンのみが、真空中へ放出されるので、試料の最表面(深さ数Å程度)の情報を、選択的に得ることができる。
【0015】
また、試料が絶縁物の場合には、一次イオンの照射、ならびに、二次イオンの発生に伴い、絶縁性固体表面に正の電荷が蓄積する。この蓄積電荷による電界の影響を除去するため、一次イオンをパルス的に照射し、そのパルスの間隙に、電子線をパルス照射することにより、蓄積電荷を中和する手法が採用されている。そのため、絶縁物についても、TOF−SIMS法による分析を行うことが可能である。加えて、TOF−SIMS法では、一次イオンビームを走査しつつ、二次イオンの分析を行うことによって、試料表面の二次イオン像(二次元的なマッピング)を測定することもできる。
【0016】
TOF−SIMS法により、基板に固定した単分子膜レベルの核酸を検出した例は、既に報告があり(Proceeding of the 12th International Conference on Secondary Ion Mass Spectrometry 951, 1999)、この例では、TOF−SIMS法で検出可能な核酸由来のフラグメントイオンとして、塩基の分解フラグメントイオン、および、リン酸バックボーンの分解フラグメントイオンがあげられている。
【0017】
また、TOF−SIMS法を用いた定量分析の試みとしては、異なる濃度の標準溶液を清浄なシリコン基板上に塗布、乾燥後、TOF−SIMS法でこの標準試料を測定し、二次イオンピーク強度から検量線を作成した上で、被分析試料の二次イオンピーク強度と比較する方法(C.M. John et al., SIMS ■, p657, Wiley and Sons, 1992)や、シリコン基板上に微量金属元素をスピンコートした全反射蛍光X線分析用の標準試料を用いる方法(P. Lazzeri et al., Surfaceand Interface Analysis, Vol. 29, 798 (2000))などが知られている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のTOF−SIMS法により定量分析をする上では、以下のような問題点があった。すなわち、検出される2次イオン強度は、その測定条件、具体的には、1次イオンの照射条件(加速エネルギー、入射角、イオン種、照射量)、2次イオンの検出条件(エネルギー幅)、加えて、試料が絶縁体の場合には、帯電補正のためにパルス照射される電子線に因る脱離、また、帯電中和の程度などに依って、相違するという問題があった。
【0019】
特に、試料が絶縁体の場合には、標準試料と被測定試料とでは、1次イオンを照射した際の帯電状況は必ずしも同じとは限らない。そのため、試料を替えるごとに、高い定量性を達成する上では、厳密に測定条件を最適化する必要があり、最適化が不十分の場合には測定結果の精度が失われることとなる。また、検量線の作成は、測定対象となる濃度の水準数だけ、標準試料を必要とするため、煩わしい作業を伴っていた。
【0020】
また、核酸チップの標準試料を、P. Lazzeriらが報告したようなスピンコート法で作製する場合、広い面積で平均すると、その濃度の再現性はよく、塗布形成がなされているものの、TOF−SIMS法のスポットサイズの測定領域、具体的には、数10μmから数100μmの微少な領域毎では、塗布面内の均一性が十分とはいえず、測定結果の信頼性に大きな問題を与えていた。
【0021】
本発明は、前記の課題をが解決するもので、本発明の目的は、複数の核酸関連物質が基板上にマトリクス状に配置された、所謂、核酸チップのプローブを構成する核酸関連物質を、飛行時間型2次イオン質量分析(TOF−SIMS)法により分析する上、高い定量性を達成可能な、核酸チップの分析方法と、かかる分析方法を利用することで、核酸チップ上に配置される核酸プローブ・ドットに存在する核酸の量すなわち、形成密度(プローブ・ドットあたりの核酸の量)を簡便に決定することが可能な形態とされた核酸チップを提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、核酸チップ上に配置される、形成密度は判明していない核酸プローブ・ドットに加えて、基板表面の一部に、前記核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により形成される、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを設け、前記濃度基準用の核酸プローブ・ドットに対して、2次イオン質量分析を行った際に検出される2次イオンの信号強度を基準として、基板上に配置される、未知濃度の核酸プローブ・ドットの核酸濃度を、2次イオン質量分析法によって決定することが可能であり、また、その定量性は優れた再現性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0023】
すなわち、本発明にかかる核酸チップは、
複数の核酸関連物質からなる核酸プローブ・ドットが基板上にマトリクス状に配置された核酸チップであって、
前記核酸プローブ・ドットが形成されている基板表面の一部に、
前記核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により形成される、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを具えていることを特徴とする核酸チップである。その際、前記濃度基準用の核酸プローブ・ドットとして、
複数段階の平均的な核酸密度を有する、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、複数種の核酸プローブ・ドットを具えていることが好ましい。また、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、核酸プローブ・ドットは、
別途に、該ドット当たりの平均的な核酸密度を、化学分析により決定されていることが望ましい。例えば、前記化学分析手段として、
誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、以下ICP−MSと略す)による分析を用いて、該ドット当たりの平均的な核酸密度を決定することが可能である。
【0024】
また、本発明にかかる核酸チップでは、前記核酸プローブは、一本鎖核酸で構成されていることが好ましい。その際、前記核酸プローブは、
DNA、RNA、PNA(ペプチド核酸)、cDNA(コンプリメンタリーDNA)、cRNA(コンプリメンタリーRNA)のいずれかから構成されている一本鎖であることできる。
【0025】
さらには、本発明にかかる核酸チップでは、
一本鎖核酸で構成される前記核酸プローブと、該核酸プローブに対するハイブリダイゼーションにより導入された標的核酸の両者が、その基板上に配置されていることもできる。
【0026】
対応して、本発明にかかる核酸チップの分析方法は、
複数の核酸関連物質からなる核酸プローブ・ドットが基板上にマトリクス状に配置された核酸チップの分析方法であって、
前記核酸プローブ・ドットが形成されている基板表面の一部に、
前記核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により形成される、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを設け、
前記濃度基準用の核酸プローブ・ドットとして、
複数段階の平均的な核酸密度を有する、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、複数種の核酸プローブ・ドットを具え、
前記複数段階の平均的な核酸密度を有する、複数種の核酸プローブ・ドットに対して、2次イオン質量分析を行った際に検出される2次イオンの信号強度に基づいて作成される検量線を用いて、
基板上に配置される、未知濃度の核酸プローブ・ドットの核酸濃度を、2次イオン質量分析法によって決定することを特徴とする核酸チップの分析方法である。その際、前記2次イオン質量分析として、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いることが好ましい。
【0027】
また、前記2次イオン質量分析において検出される2次イオン強度は、
1次イオンのドーズ量を、1×1014/cm以下に選択される一定値とした際、1次イオンの照射される一定の面積から放出される、前記核酸プローブに由来する特定の2次イオンの積分強度(カウント数)であることができる。さらには、前記2次イオン質量分析において検出される2次イオン強度は、
1次イオンのドーズ量を、1×1012/cm以下に選択される一定値とした際、1次イオンの照射される一定の面積から放出される、前記核酸プローブに由来する特定の2次イオンの積分強度(カウント数)であることもできる。
【0028】
本発明にかかる核酸チップの分析方法においては、
前記2次イオン質量分析において検出される2次イオンとして、
アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシルの各塩基から水素原子が1個脱離した陰イオン、あるいは、P、PO、PO 、PO からなる、核酸プローブに由来する2次イオン種の群から選択される陰イオンを利用することが好ましい。
【0029】
さらには、本発明にかかる核酸チップの分析方法では、前記2次イオン質量分析において検出される2次イオンの強度に基づき、
1次イオンの照射位置に対応させ、2次イオン強度を二次元的に表示するイメージ像として、検出結果を表示する工程を設けることも望ましい。
【0030】
加えて、本発明は、核酸チップの製造方法として、
複数の核酸関連物質からなる核酸プローブが基板上にマトリクス状に配置された核酸チップの製造方法であって、
核酸チップにおいて、前記核酸プローブ・ドットが形成されている基板表面の一部に、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを設ける際、少なくとも、
前記基板上に核酸プローブ・ドットをマトリクス状に形成する工程、
前記核酸プローブ・ドットが形成されている基板表面の一部に、
前記核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを基板上に形成する工程とを有することを特徴とする核酸チップの製造方法をも提供している。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0032】
本発明にかかる核酸チップは、核酸チップ基板上の一部に、形成されているプローブ・ドットの核酸濃度が既知である領域を形成し、該領域でTOF−SIMS法により検出される2次イオン強度から検量線を作成し、この検量線を用いて、核酸チップ基板上の他の領域で検出された2次イオン強度から、そのプローブ・ドットに固定されている核酸プローブの核酸量(形成密度)を決定するものである。
【0033】
すなわち、本発明にかかる核酸チップでは、複数の核酸関連物質が基板上にマトリクス状に配置された、所謂、核酸チップが形成されている基板上の一部に、ドット当たりの核酸濃度が既知である核酸プローブ・ドットを設け、TOF−SIMS法により定量的測定の際、濃度基準に利用する。また、そのドット当たりの核酸濃度が既知である核酸プローブ・ドットとして、核酸チップ基板上に、段階的に核酸濃度を変えた核酸プローブ・ドットを形成することで、その場で検量線を作成でき、より高い定量性を有する測定が可能となる。一般に、濃度基準に利用する、ドット当たりの核酸濃度が既知である核酸プローブ・ドットに関しては、別途、同一の作製条件で作製した核酸プローブ・ドットを用いて、予め化学分析により、ドット当たりに含有される核酸濃度を決定された核酸プローブ・ドットを用いる。
【0034】
本発明の対象とする核酸チップは、一般的には、その外形サイズが1cm×1cm、1インチ×1インチ(25.4mm×25.4mm)、あるいは、スライドグラスサイズ(例えば、26mm×76mm)の基板を利用して作製し、プローブ・ドットのマトリクスは、その内部に配置されている平面形態とされる。本発明は、既に述べたように、複数の核酸関連物質が基板上にマトリクス状に配置された、所謂、核酸チップについて、その核酸チップ表面の各マトリクス・ドットに固定されている核酸プローブの濃度を、TOF−SIMS法を用いて分析する手段を採用し、同一基板内に設けてある前記濃度基準を利用して、高い確度で検定することを可能としている。
【0035】
本発明の核酸チップにおいては、基板上に配置する核酸プローブは、後述するように基板上に共有結合で固定されていることが好ましい。その共有結合による固定に利用するため、例えば、基板表面処理過程で、該基板表面を、アミノ基を結合したシランカップリング剤(N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)および架橋剤であるN−マレイミドカプロイロキシスクシンイミド(EMCS)で処理し、被覆膜を形成する形態とすることも有効である。
【0036】
ドット当たりに含有される核酸濃度を決定する際に利用する、化学分析では、段階的に核酸濃度を変えた核酸プローブが多数形成された核酸チップを、例えば、酸処理することによって、核酸プローブを基板から分離し、この溶液に含まれる核酸プローブ量を、その核酸中のリンの量を、微量分析手段を用いて分析することで、別途定量するものである。核酸中のリンの量の定量に利用する微量分析手段は、特に限定されるものではないが、高感度かつ高精度なものが好ましく、例えば、ICP−MS法などが挙げられる。ICP−MS法でのリンの検出限界は、10ppb程度であり、定量を行うには、少なくとも、この2〜3倍、すなわち20〜30ppb程度が必要である。また、試料量(溶液量)としては、最低限1ml必要である。
【0037】
一方、後述のインクジェット法により、核酸プローブを形成する場合には、1インチ×3インチの面積に、例えば、200行×300列程度のマトリクス・サイズの核酸プローブを形成することも、さほど困難なことではない。また、インクジェット法での1回の吐出量は、高い再現性を示し、その平均値(plのオーダー)は高い確度で推定できる。一方、上記濃度基準用ドットの作製に利用する、吐出溶液中のプローブDNA濃度(μMのオーダー)は、前もって設定するものであり、勿論判明している。
【0038】
これらの値に加えて、吐出量中の、プローブDNAの固定量(水洗等で固定されなかった分を差し引いた量、数10%のレベル)を用いて、上記ICP−MS分析に必要な試料量を達成する上で、基板上から溶出させるべき、核酸プローブ・ドットの総数は、ある程度推定できる。具体的には、上記の標準的な条件で核酸チップを作製した場合、一種類の濃度(μMのオーダー)につき、200行×300列程度のマトリクス・サイズ、ドット当たりの吐出量(plのオーダー)の核酸チップで、数10枚を用いることが必要となる。
【0039】
なお、核酸チップ上に付設される濃度基準用ドットに関して、各濃度毎の、核酸濃度が既知のプローブ・ドット数は、特に限定されるものではないが、複数個形成するのが好ましい。
【0040】
また、本発明の核酸チップでは、上記核酸プローブが一本鎖核酸で構成され、具体的には、一本鎖核酸で構成される核酸プローブを、DNA、RNA、PNA(ペプチド核酸)、cDNA(コンプリメンタリーDNA)、cRNA(コンプリメンタリーRNA)のいずれかで構成することができる。さらには、核酸チップが、核酸プローブとする一本鎖核酸と、この核酸プローブに対するハイブリダイゼーションにより導入された標的核酸の両者から構成されている形態の核酸チップとなっていてもよい。
【0041】
本発明は、段階的に核酸濃度を変えた、濃度基準用の核酸プローブ・ドット複数間で検出される2次イオンの信号強度に基づき作成された検量線を用いて、未知濃度の核酸プローブ・ドットの核酸濃度を決定することを可能とする。その際、本発明の分析方法では、飛行時間型2次イオン質量分析で検出される2次イオン強度を用いることが、より高い定量性を達成する上で有効である。
【0042】
なお、上述の2次イオン強度とは、計数率ではなく、一定条件で一定時間計数した積分強度であることが好ましい。正確には、1次イオンのドーズ量を、いわゆるstatic条件と言われる1×1012/cm以下の一定値とし、一定の面積から放出される下記2次イオンの計数値(カウント数)とすることが好ましい。なお、1次イオンのドーズ量は、少なくとも1×1014/cm以下とする必要がある。
【0043】
TOF−SIMS法による測定において、利用される1次イオンとしては、Csイオン、GaイオンあるいはArイオンを用いることが可能である。2次イオン種としては、プローブ核酸、およびハイブリダイゼーションで導入された標的核酸が、一本鎖核酸、より具体的には、DNA、RNA、cDNA(コンプリメンタリーDNA)、cRNA(コンプリメンタリーRNA)の場合、核酸の骨格を構成するリン酸に由来するP,PO,PO ,PO 等が挙げられる。また、塩基種からプロトンが脱離したもの、即ち、塩基種がアデニンの場合は、C (134a.m.u.)、グアニンの場合はC(150a.m.u.)、シトシンの場合はC(110a.m.u.)、チミンの場合はC (125a.m.u)も、2次イオン種として検出可能である。また、核酸プローブが、RNAプローブの場合にはチミンの代わりにウラシルに由来するC (111a.m.u)を検出する以外は、DNAプローブと同様な2次イオンを検出することが可能である。また、核酸チップを構成する基板として、例えば、ガラスなどの絶縁物基板を用いる際には、1次イオン照射と併せて、併用される電子線照射は、1次イオンのパルス幅、周波数および試料の誘電率、さらには、ガラス基板の厚さを考慮して、適切な照射条件を決定する必要がある。
【0044】
本発明の核酸チップの分析方法では、また、核酸に起因する2次イオン強度を、1次イオン照射のスキャンに合わせて、二次元的なイメージとして、定量的に表示できることも特徴である。
【0045】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はかかる形態に限定されるものではない。
【0046】
図1は、基板上にプローブを複数個スポット状に結合させたプローブアレイの平面配置および断面構造を模式的に示す図ある。101は、任意の条件で作製したプローブ群、102は、核酸濃度が既知であるプローブ群である。断面図では、103は基板、104は有機物質からなる表面処理層、100は核酸プローブである。以下、図1に例示する構成のプローブアレイについて、公知の方法(特開平11−187900号公報に記載の方法9)を応用して、作製する工程について説明する。
【0047】
(実施例1)
塩基種をチミン、塩基長を40merとしたDNAプローブを用いるDNAチップの作製
(1)基板洗浄
25.4mm×50.8mm×1mmの合成石英基板103をラックに入れ、純水で10%に稀釈した超音波洗浄用洗剤(ブランソン:GP■)に一晩浸した。さらに、洗剤中で20分間超音波洗浄を行い、その後、水洗により洗剤を除去した。純水ですすいだ後、純水の入った容器中でさらに超音波処理を20分間行った。次に、予め80℃に加温した1N水酸化ナトリウム水溶液に、基板を10分間浸した。引き続き水洗、純水洗浄を行って、洗浄済基板は、そのまま次の表面処理工程に供した。
【0048】
(2)表面処理
アミノ基を結合したシランカップリング剤、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン KBM603(信越化学工業)の1wt%水溶液を室温下で2時間攪拌し、上記シラン化合物の分子内のメトキシ基を加水分解した。次いで、この溶液に、(1)で得た洗浄済基板を室温で1時間浸漬した後、純水で洗浄し、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。さらに、基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークして、最終的に基板表面にアミノ基を導入しシランカップリング層を形成した。
【0049】
一方、N−マレイミドカプロイロキシスクシンイミド(同仁化学研究所:以下EMCS)2.7mgを、ジメチルスルホキシド(DMSO)/エタノールの1:1(容量比)混合溶媒に、濃度が0.3mg/mlとなる様に溶解し、EMCS溶液とした。シランカップリング処理を行った石英基板を、このEMCS溶液に室温で2時間浸漬して、シランカップリング処理によって基板表面に担持されているアミノ基と、EMCSのスクシイミド基を反応させ、表面にEMCS層を形成した。以上の処理により、結合可能な官能基を有する有機物質からなる表面処理層104を形成した。すなわち、この段階で、基板表面にはEMCS由来のマレイミド基が存在することになる。EMCS溶液から引き上げた基板は、DMSO/エタノール混合溶媒及びエタノールで順次洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。
【0050】
(3)プローブDNAの合成
DNA合成業者(ベックス)に依頼して、配列番号1の一本鎖核酸(dTの40量体)を合成した。なお、配列番号1の一本鎖DNAの5’末端には、合成時にチオールモディファイア(グレンリサーチ)を用いて、スルファニル基(SH)を導入した。DNA合成後、脱保護、DNAの回収は定法により行い、また、精製には、HPLCを用いた。合成から精製までの一連の工程は、すべて合成業者に依頼して行った。
配列番号:1
5’−HS−(CH−O−PO−O−TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT TTTTTTTTTT 3’
(4)サーマルジェットプリンターによるDNA吐出、および基板への結合
(3)に記載する配列番号1の一本鎖DNAを、最終濃度8μMで、グリセリン7.5wt%、尿素7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、アセチレンアルコール(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)1wt%を含む溶液に溶解した。
【0051】
一方、サーマルジェット法の一種であるバブルジェット法を用いたバブルジェットプリンターBJF−850(キヤノン)用のプリンターヘッドBC−50(キヤノン)を、数100μlの溶液を吐出可能とするべく改造した。この改造を施したヘッドを、平板である石英基板上へ、インク吐出が可能となるよう改造した吐出描画機に搭載した。このヘッドの改造タンク部に、前記DNA溶液を数100μl注入し、吐出描画機にEMCS処理基板を装着して、EMCS処理表面にスポッティングした。なお、スポッティング時の吐出量は4pl/dropletで、スポッティングの範囲は、基板上の20mm×30mmの範囲に、200dpi、すなわち、127μmのピッチで吐出した。この条件では、マトリックス(157行236列)状にスポッティングされたドットの直径は約50μmであった。
【0052】
スポッティング終了後、基板を30分間加湿チャンバー内に静置し、基板表面のマレイミド基と、核酸プローブ5’末端のスルファニル基(−SH)とを反応させ、DNAプローブを固定させた。次いで、基板を純水で洗浄し、純水中で保存した。DNA結合基板(DNAチップ)は、TOF−SIMSによる分析直前に窒素ガスを吹き付けて乾燥し、真空デシケーター中でさらに乾燥した。この条件で、DNAチップを計15枚作製した。
【0053】
さらに、スポッティングに用いるDNA溶液中の、配列番号1の一本鎖DNA濃度を、5μM、2.5μMに選択して、同様の操作で、DNAチップを各々25枚、35枚作製した。以上の3種を、標準DNAチップとした。
【0054】
次に、一本鎖DNAの一般的な溶液濃度(約8μM)を用いたDNAチップを上記と同条件で作製した。ただし、該DNAチップにおいては、端部の1行目から3行目には標準DNAチップ作製に使用した同じ一本鎖DNA溶液三種を用いた。すなわち、基板最端の1行目を、濃度10μMのDNA溶液でプローブを形成した行、2行目を、濃度5μMのDNA溶液でプローブを形成した行、3行目を、濃度2.5μMのDNA溶液でプローブを形成した行となるように設定した。また、端部の1行目から3行目以外の行(4行目から157行目)を、別ロットのDNA濃度8μMとした溶液を用いて作製した。なお、プローブアレイの数は任意に設定できる。
【0055】
(実施例2)
核酸チップ上の核酸の定量
3種類のDNA濃度で作製した標準DNAチップを、それぞれ酸で洗浄してDNAプローブを溶解させた後、該酸溶液をPが飛散しない条件で1ml以下になるまで濃縮した。次いで、該濃縮溶液に超純水を加えて1mlになるように定容した。この溶液を、ICP−MS装置に導入してPの重量を測定した。この値をもとに、測定に供したドットの数(スポッティングの数)を考慮して、各濃度で作製したDNAプローブの(1ドット当たりの)DNA分子数の平均値を決定した。なお、各DNA濃度で作製した基板の枚数は、ICP−MS装置でのPの検出限界濃度(約10ppb)と、各基板上のDNAの分子数を考慮して決定すればよく、実施例1で示した枚数に限定されるものではない。
【0056】
(実施例3)
TOF−SIMS測定
図1に示したDNAチップを、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOFSIMS IV:ION TOF社)の分析室に搬送し、表1の条件で1次イオンの注入ドーズ量が1×1012 atoms/cmになるまで照射して、その間に検出される2次イオンPO (質量電荷比78.958amu(アトムマスユニット))を積算して累積強度を求めた。図2に、1行目から3行目までの各DNA濃度のドット位置で測定された2次イオン強度の平均値と、DNAの形成密度(1ドット当たりのDNA分子数)との対応を示した。ここでは、プローブDNAを固定する直前、表面処理済基板において測定されたPO の強度を、バックグランドとした。
【0057】
各行のドットにおけるDNAの形成密度と2次イオン強度は比例することが確認された。同じ測定条件で、インクジェットプリンターで吐出させるDNA溶液中の核酸濃度を8μMとして形成した、核酸プローブについて、TOF−SIMS測定したところ、PO のカウント数から求められた各ドットにおけるDNAの形成密度(1ドット当たりのDNA分子数)は、およそ2.0×10で、任意に選択した10個のドット内でのバラツキは、20%以下であった。
【0058】
【表1】
Figure 2004037122
【0059】
(実施例4)
形成密度分布の画像表示
実施例3に用いた同じ試料の複数の核酸プローブを設定して、1次イオンを試料面で走査し、発生する2次イオンを各走査点に対応させて表示させ、各走査点で得られたPの強度を複数の段階に分けて擬似カラーを設定し、Pの強度分布すなわち、核酸の面密度(プローブ・ドット当たりの核酸の分子数)形成密度の分布を定量的に比較した。
【0060】
【発明の効果】
本発明の核酸チップでは、チップ基板上に、前記核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により形成される、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを具え、DNA等の核酸プローブを含むドット内のプローブ核酸量、あるいは、ハイブリダイゼーション後の標的核酸量などを定量的に評価する際、前記の濃度基準用の核酸プローブ・ドットを利用して、例えば、複数段階の平均的な核酸密度を有する、複数種の濃度基準用の核酸プローブ・ドットに対して、2次イオン質量分析を行った際に検出される2次イオンの信号強度に基づいて作成される検量線を用いて、
基板上に配置される、未知濃度の核酸プローブ・ドットの核酸濃度を、2次イオン質量分析法によって決定することができ、従来法と比較して、再現性、定量性が向上する。本発明の手法を用いることにより、核酸チップ製品の信頼性を高めることができる。また、核酸チップ内にマトリックス状に配置されている、核酸プローブ・ドットの形成密度の分布を画像として表示することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるバイオチップについて、その構成の一例を示す平面配置と断面形状(AA’での断面)を模式的に示す図である。
【図2】バイオチップについて、測定される2次イオン強度とDNA形成密度(プローブ・ドット当たりのDNA分子数)の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
100:核酸プローブ
101:核酸濃度が未知の核酸プローブが形成される領域
102:核酸濃度が既知の核酸プローブが形成される領域
103:基板
104:有機物質からなる表面処理層

Claims (14)

  1. 複数の核酸関連物質からなる核酸プローブ・ドットが基板上にマトリクス状に配置された核酸チップであって、
    前記核酸プローブ・ドットが形成されている基板表面の一部に、
    前記核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により形成される、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを具えていることを特徴とする核酸チップ。
  2. 前記濃度基準用の核酸プローブ・ドットとして、
    複数段階の平均的な核酸密度を有する、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、複数種の核酸プローブ・ドットを具えていることを特徴とする請求項1に記載の核酸チップ。
  3. ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、核酸プローブ・ドットは、
    別途に、該ドット当たりの平均的な核酸密度を、化学分析により決定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の核酸チップ。
  4. 前記化学分析手段として、
    誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、以下ICP−MSと略す)による分析を用いて、該ドット当たりの平均的な核酸密度が決定されていることを特徴とする請求項3に記載の核酸チップ。
  5. 前記核酸プローブは、一本鎖核酸で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の核酸チップ。
  6. 前記核酸プローブは、
    DNA、RNA、PNA(ペプチド核酸)、cDNA(コンプリメンタリーDNA)、cRNA(コンプリメンタリーRNA)のいずれかから構成されている一本鎖であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の核酸チップ。
  7. 前記核酸チップは、
    一本鎖核酸で構成される前記核酸プローブと、該核酸プローブに対するハイブリダイゼーションにより導入された標的核酸の両者が、その基板上に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の核酸チップ。
  8. 複数の核酸関連物質からなる核酸プローブ・ドットが基板上にマトリクス状に配置された核酸チップの分析方法であって、
    前記核酸プローブ・ドットが形成されている基板表面の一部に、
    前記核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により形成される、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを設け、
    前記濃度基準用の核酸プローブ・ドットとして、
    複数段階の平均的な核酸密度を有する、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、複数種の核酸プローブ・ドットを具え、
    前記複数段階の平均的な核酸密度を有する、複数種の核酸プローブ・ドットに対して、2次イオン質量分析を行った際に検出される2次イオンの信号強度に基づいて作成される検量線を用いて、
    基板上に配置される、未知濃度の核酸プローブ・ドットの核酸濃度を、2次イオン質量分析法によって決定することを特徴とする核酸チップの分析方法。
  9. 前記2次イオン質量分析として、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記2次イオン質量分析において検出される2次イオン強度は、
    1次イオンのドーズ量を、1×1014/cm以下に選択される一定値とした際、1次イオンの照射される一定の面積から放出される、前記核酸プローブに由来する特定の2次イオンの積分強度(カウント数)であることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記2次イオン質量分析において検出される2次イオン強度は、
    1次イオンのドーズ量を、1×1012/cm以下に選択される一定値とした際、1次イオンの照射される一定の面積から放出される、前記核酸プローブに由来する特定の2次イオンの積分強度(カウント数)であることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
  12. 前記2次イオン質量分析において検出される2次イオンとして、
    アデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシルの各塩基から水素原子が1個脱離した陰イオン、あるいは、P、PO、PO 、PO からなる、核酸プローブに由来する2次イオン種の群から選択される陰イオンを利用することを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記2次イオン質量分析において検出される2次イオンの強度に基づき、
    1次イオンの照射位置に対応させ、2次イオン強度を二次元的に表示するイメージ像として、検出結果を表示する工程を設けることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 複数の核酸関連物質からなる核酸プローブが基板上にマトリクス状に配置された核酸チップの製造方法であって、
    核酸チップにおいて、前記核酸プローブ・ドットが形成されている基板表面の一部に、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを設ける際、少なくとも、
    前記基板上に核酸プローブ・ドットをマトリクス状に形成する工程、
    前記核酸プローブ・ドットが形成されている基板表面の一部に、
    前記核酸プローブ・ドットの形成と同じ手法により、ドット当たりの平均的な核酸密度が決定された、濃度基準用の核酸プローブ・ドットを基板上に形成する工程とを有することを特徴とする核酸チップの製造方法。
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