JP2004024203A - 飛行時間型二次イオン質量分析法によるrnaの分析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】標的核酸の塩基配列に相補的な塩基部分を有するプローブの2種以上を担体に固定したプローブ担体に試料を反応させ、該試料中に標的核酸が存在する場合に形成されるプローブと標的核酸とのハイブリッド体の有無を飛行時間型二次イオン質量分析法によって検出することで試料中の標的核酸を分析方法する際に、前記標的核酸と前記核酸プローブとしてRNAとDNAの組合せを用いる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は遺伝子関連物質であるRNAまたはDNAの分析に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAチップ、また、RNAチップ等の核酸チップはゲノム解析、あるいは、遺伝子の発現解析などの遺伝子情報の取得を目的として利用されるようななってきており、また、それらの解析の結果は、癌、遺伝病、生活習慣病、感染症等の診断、予後予想、治療方針の決定等に重要な指標を提供するものと期待されている。
【0003】
上記核酸チップの作製方法にはいくつかの方法が知られている。DNAチップを例にとって説明すると、基板上にフォトリソグラフィーを用いてDNAプローブを逐次的に合成していく方法(米国特許第5405783公報等)、あるいは、あらかじめ合成したDNA、または、cDNA(コンプリメンタリーDNA)を基板上に供給し結合する方法(米国特許第5601980公報、特開平11‐187900号公報、Science Vol.270, 467, 1995等)が代表的なDNAチップの作製法である。
【0004】
いずれにしても、これらの方法によって核酸チップが作製され、作製された核酸チップを標的核酸を含む溶液中でハイブリダイゼーション条件におき、得られた核酸プローブと
標的核酸とのハイブリッドの有無を何らかの手段で検出し、さらに、分析することにより、標的核酸の塩基配列を分析し、結果として所望の遺伝子情報が取得される。この際、チップ上の核酸プローブは原理的に単分子膜レベルで存在し、また、そこにハイブリッドを形成する標的核酸の量は、標的核酸を含む溶液中の標的核酸濃度にも依存するので、場合によってはきわめて微量となる。従って、上記ハイブリッドの検出手段としては高感度な手段が必要とされ、その従来例としては、標的核酸のラジオアイソトープラベルとオートラジオグラフィーとの組合せ、また、標的核酸の蛍光ラベルと、例えば、蛍光スキャナー等の蛍光検出器との組合せをあげることができる。
【0005】
しかしながら上記従来例には、ラジオアイソトープを用いる場合には、手法が煩雑、危険、特殊な施設、装置が必要等の理由で一般的ではない。また、蛍光法は、手法が比較的簡便で、また、感度もよいために広く用いられているが、よく知られているように、蛍光色素の安定性、クエンチング、蛍光色素の基板表面への非特異的吸着等、定量性、再現性の面で課題が残る場合がある。他に、一般的な高感度表面分析手段としてはFT−IR(フーリエ変換赤外分光)法を用いたATR法、XPS(X線光電子分光)法等があるが、いずれも核酸チップのプローブの定量的分析には十分な感度を有しているとはいえない。特に、核酸チップの基板として一般的なガラスを用いる場合には、例えばFT−IR(ATR)ではガラスに起因する吸収の影響、XPSではチャージアップの影響等があり、有効な分析手段とはいえない。
また、別の高感度表面分析手段としては、レーザー共鳴イオン化法(RIS:Resonance Ionization Spectroscopy)によるDNAの検出方法が米国特許第5821060公報に開示されている。これは試料表面から放出される注目元素のイオン化エネルギーに相当する波長のレーザービームを照射して当該元素をイオン化し検出するもので、試料表面から元素を放出させる手段としては、レーザービームを用いる方式、イオンを用いる方式が開示されているが、特定元素の検出しかできないという問題を持つ。さらに他の高感度表面分析手段としては、動的二次イオン質量分析法(dynamic−SIMS)があるが、この手法は二次イオンが生成する過程で有機化合物が小さいフラグメントイオン、または粒子にまで分解してしまうために質量スペクトルから得られる化学構造情報が乏しくなり、核酸関連物質のような有機物の分析には適していない。
【0006】
これに対して、同じく二次イオン質量分析法の一手法として知られている、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)法は、固体試料の最表面にどのような原子または分子が存在するかを調べるための分析方法であり、以下の様な特長を持つ。すなわち、109atoms/cm2(最表面1原子層の1/105に相当する量)の極微量成分の検出能があること、有機物、無機物のどちらにも適用できること、表面に存在するすべての元素や化合物を測定できること、試料表面に存在する物質からの二次イオンのイメージングが可能なことである。
【0007】
以下、この方法の原理を簡単に説明する。高真空中で、高速のイオンビーム(一次イオン)を固体試料表面に照射すると、スパッタリング現象によって表面の構成成分が真空中に放出される。このとき発生する正または負の電荷を帯びたイオン(二次イオン)を電場によって一方向に収束し、一定距離だけ離れた位置で検出する。スパッタの際には、試料表面の組成に応じて様々な質量をもった二次イオンが発生するが、軽いイオンほど早く、反対に重いイオンほど遅い速度で飛行するため、二次イオンが発生してから検出されるまでの時間(飛行時間)を測定することで、発生した二次イオンの質量を分析することができる。
【0008】
従来のdynamic−SIMS法では、すでに述べたように、イオン化の際に有機化合物が小さいフラグメントイオンまたは粒子にまで分解してしまうため、質量スペクトルから得られる化学構造情報が乏しいのに対し、TOF−SIMSでは一次イオン照射量が著しく少ないため、有機化合物は化学構造を保った状態でイオン化され、質量スペクトルから有機化合物の構造を知ることができる。固体試料表面の最も外側で発生した二次イオンのみが、真空中へ放出されるので、試料の最表面 (深さ数Å程度)の情報を得ることができる。
【0009】
TOF−SIMS法により、基板に固定した単分子膜レベルでの核酸が検出された例はすでに報告があり(Proceeding of the 12th International Conference on Secondary Ion Mass Spectrometry 951, 1999)、この例では、TOF−SIMSで検出可能な核酸フラグメントイオンとして塩基の分解フラグメントイオン、および、リン酸バックボーンの分解フラグメントイオンがあげられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、TOF−SIMS法を検出手段として、一般的に用いられている方法であるDNAチップを標的用いてDNAを検出することにより、所望の遺伝子情報を得ようとすると、
(1)TOF−SIMS法は表面近傍のごく薄い層のみが検出されること、
(2)プローブDNAと標的DNAから生起するフラグメントイオン種が同一である、というふたつの理由により標的DNAのハイブリッドの有無を特異的に検出できない場合が生じるという問題がある。
【0011】
このような問題点を解決する手段としてPNA(ペプチド核酸)を固相に結合してプローブとし標的核酸とハイブリッドを形成させる方法がある(J. C. Feldner et al:SIMS XIII国際会議;2001年11月11日〜16日、奈良)。この方法によれば、ペプチド核酸は塩基部分はDNAと同じではあるが、リン酸バックボーンを持たないので、リン酸バックボーンによるフラグメントイオンが検出されれば、PNAプローブと標的核酸とのハイブリッド形成が確認されることになる。
【0012】
しかしながら、ペプチド核酸は価格が高いため、ペプチド核酸をプローブとしたチップを用いる遺伝子情報の取得は高コストとなり、実用的とはいえない場合が多い。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる分析方法は、標的核酸の塩基配列に相補的な塩基部分を有するプローブの2種以上を担体に固定したプローブ担体に試料を反応させ、該試料中に標的核酸が存在する場合に形成されるプローブと標的核酸とのハイブリッド体の有無を飛行時間型二次イオン質量分析法によって検出する試料中の標的核酸の分析方法であって、前記標的核酸と前記核酸プローブがRNAとDNAの組合せであることを特徴とする試料中の標的核酸の分析方法である。
【0014】
本発明の分析方法によれば、ラジオアイソトープ法や蛍光法の問題点が解決された試料中の標的核酸の検出方法を提供することができ、精度よい遺伝子情報の取得が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明においては、担体上に固定されたプローブは、特定の標的物質に対して特異的に結合可能なものである。このプローブとしては、DNAまたはRNAが用いられる。DNAとしては、ゲノムDNA、cDNAや所定の配列を持って合成されたオリゴデオキシヌクレオチドやポリデオキシヌクレオチドが利用できる。所定の配列を持って合成されたRNAとしては、オリゴリボヌクレオチドなどを用いることができる。
【0016】
担体上に支持されるプローブの一例としては、標的核酸とハイブリダイゼーション可能な塩基配列よりなるオリゴヌクレオチドの一部に、必要に応じてリンカーを介して担体との結合部を有するもので、担体との結合部において担体表面に連結された構造を有するものを挙げることができる。なお、このような構成の場合における担体と結合部のオリゴヌクレオチドの分子内での位置は、所望とするハイブリダイゼーション反応を損なわない範囲内において特に限定されない。
【0017】
本発明においては、これらのプローブの複数種を、それぞれ独立した領域、例えば各プローブの固定化領域をドット状スポットとして担体表面に固定したものをプローブ担体といい、所定の間隔で配列されたものをプローブ・アレイという。また、高密度で固定化領域を配列したものはマイクロアレイに相当する。また、プローブ担体には、DNAチップ、また、RNAチップ等の核酸チップも含まれる。
【0018】
一方、プローブは担体表面に結合可能な構造を有しており、担体上へのプローブの固定がこの結合可能な構造を介して行われていることが望ましい。その際、プローブが有する担体表面に結合可能な構造は、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、水酸基、酸ハライド化物(ハロホルミル基;−COX)、ハライド化物(−X)、アジリジン、マレイミド基、スクシイミド基、イソチオシアネート基、スルフォニルクロリド基(−SO2Cl)、アルデヒド基(ホルミル基;−CHO)、ヒドラジン及びヨウ化アセトアミドなどの有機官能基の少なくとも1種を導入する処理により形成されたものであることが好ましい。また、プローブ側の担体への結合に必要な構造に応じて、担体の表面に必要とされる処理、例えばチオール基用のマレイミド基、アミノ基用のエポキシ基、アルデヒド基またはN−ヒドロキシスクシンイミド基などを担体表面に形成する処理を施すことで共有結合によるプローブの固定が可能となる。なお、プローブは安定性を考えると、基板表面に共有結合によって結合されていることが望ましい。
【0019】
本発明においては、標的核酸に特有のフラグメントイオンを飛行時間型二次イオン質量分析法によって検出することで、ハイブリッド体の形成を確認することができる。このフラグメントイオンとしては、用いるプローブと標的核酸の組合せによって適宜設定することができる。プローブがDNAであり、標的核酸がRNAである場合には、フラグメントイオンとして(ウラシル−H)−イオンを選定してこれを検出用の指標とすることができる。すなわち、RNAは、DNAの塩基のひとつであるチミンをもたず、そのかわりとしてウラシルを有しているので、RNAに特異的なフラグメントイオンとして(ウラシル−H)−イオンが検出されればDNAプローブと標的RNAのハイブリッドが形成されたことがわかることになる。
【0020】
このRNAとしてはTOF−SIMSによって検出、分析可能なものであり、所望とする分析方法に利用できるものであればよい。RNAがmRNAであれば、転写された遺伝子情報をそのまま取得することが可能である。また、RNAがtRNA、rRNAである場合には、蛋白質へと翻訳される遺伝子情報を取得できるわけではないが、tRNA、rRNAそのものの情報を得ることができる。
【0021】
標的核酸がDNAである場合は、フラグメントイオンとしてDNA特有の(チミン−H)−イオンを選定してこれを飛行時間型二次イオン質量分析法によって検出することで、ハイブリッド体の形成を確認することができる。標的核酸としてのDNAとしては、例えばゲノムDNAやcDNAが利用できる。この場合に用いられるプローブであるRNAとしては、オリゴリボヌクレオチドまたはポリボヌクレオチドが好適に利用できる。
【0022】
また、標的DNAとしてはTOF−SIMSで検出、分析可能なDNAであり、所望とする分析方法に利用できるものであればよい。標的DNAがゲノムDNAであれば、ゲノムの遺伝子情報を直接取得することができ、また、標的DNAがcDNA(コンプリメンタリーDNA)であれば、mRNAに転写された遺伝子情報を間接的に知ることができる。また、ゲノムDNA、もしくは、cDNAからPCR(ポリメレースチェインリアクション)によって増幅したDNAを標的DNAとして用いることもできる。
【0023】
本発明に用いるプローブ担体の製造方法における各プロセス自体は既知の方法によって行うことができる。場合によっては、プローブが、担体表面において逐次的に合成されたものであってもよいし、また、あらかじめ合成され、その後、担体表面に供給されたものであってもよい。
【0024】
その際、プローブを担体表面に供給する手段としてインクジェット法を用いれば、微細、高密度なプローブ担体を製作することができ好適である。インクジェット法としては既知の、ピエゾジェット法、サーマルジェット法を用いることができる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例においてRNAを取り扱う部分に関しては、RNaseフリーな条件で行った。
【0026】
実施例1 (dA40プローブによるDNAプローブチップの作製)
公知の方法(特開平11−187900号公報に記載の方法)に準じてDNAプローブチップを作製した。
(1)基板洗浄
25.4mm×25.4mm×1mmの合成石英基板をラックに入れ、純水で10%に稀釈した超音波洗浄用洗剤(ブランソン:GPIII)に一晩浸した。その後、洗剤中で20分間超音波洗浄を行い、その後、水洗により洗剤を除去した。純水ですすいだ後、純水の入った容器中でさらに超音波処理を20分間行った。次に、予め80℃に加温した1N水酸化ナトリウム水溶液に基板を10分間浸した。引き続き水洗、純水洗浄を行って、そのまま次工程に供した。
(2)表面処理
アミノ基を結合したシランカップリング剤、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン KBM603(信越化学工業)の1wt%水溶液を室温下で2時間攪拌し、上記シラン化合物の分子内のメトキシ基を加水分解した。次いでこの溶液に上記(1)で得た基板を室温で1時間浸漬した後、純水で洗浄し、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。次に基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークして最終的に基板表面にアミノ基を導入した。次いで、N−マレイミドカプロイロキシスクシンイミド(同仁化学研究所:以下EMCS)2.7mgを、ジメチルスルホキシド(DMSO)/エタノールの1:1溶液に濃度が0.3mg/mlとなる様に溶解した。シランカップリング処理を行った石英基板をこのEMCS溶液に室温で2時間浸漬して、シランカップリング処理によって基板表面に担持されているアミノ基とEMCS溶液のスクシイミド基を反応させた。この段階で基板表面にはEMCS由来のマレイミド基が存在することになる。EMCS溶液から引き上げた基板はDMSO及びエタノールの混合溶媒及びエタノールで順次洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させた。
(3)プローブDNAの合成
DNA合成業者(ベックス)に依頼して配列1の一本鎖DNA(dAの40量体)を合成した。なお配列1の一本鎖DNAの5’末端には合成時にチオールモディファイア(グレンリサーチ)を用いる事によってチオール(SH)基を導入した。なお、脱保護、DNAの回収は定法により行い、また、精製にはHPLCを用いた。合成から精製までの一連の工程はすべて合成業者に依頼して行った。
配列1(配列番号:1)
5’ HS−(CH2)6−O−PO2−O−AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAA AAA 3’
(4)サーマルジェットプリンターによるDNA吐出、および基板への結合
上記配列1の一本鎖DNAを8μMの濃度でグリセリン7.5wt%、尿素7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、及び、アセチレンアルコール(商品名:アセチレノールEH;川研ファインケミカル(株)社製)1wt%を含む溶液に溶解した。サーマルジェット法の一種であるバブルジェット法を用いたバブルジェットプリンターBJF−850(キヤノン)用のプリンターヘッドBC−50(キヤノン)を数100μlの溶液を吐出可能とするべく改造し、このヘッドを上記石英基板上へ吐出可能となるよう改造した吐出描画機に搭載した。このヘッドの改造タンク部に上記DNA溶液を数100μl注入し、吐出描画機にEMCS処理基板を装着して、ここにスポッティングした。なお、スポッティング時の吐出量は4pl/dropletで、スポッティングの範囲は基板の中央部に10mm×10mmの範囲に200dpiすなわち127μmのピッチで吐出した。この条件ではスポッティングされたドットの直径は約50μmであった。
【0027】
スポッティング終了後、基板を30分間加湿チャンバー内に静置し、ガラス板表面のマレイミド基と核酸プローブ末端のチオール基とを反応させた。次いで、基板を純水で洗浄し、純水中で保存した。
【0028】
実施例2(TOF−SIMSによるハイブリダイゼーションの検出、分析)
(1)モデル標的RNAの合成
実施例1と同様に合成業者に依頼して、配列2のモデル標的RNA(U:ウラシルの40量体)を合成した。
【0029】
配列2(配列番号:2)
5’UUUUUUUUUU UUUUUUUUUU UUUUUUUUUU UUUUUUUUUU 3’
(2)ブロッキング
実施例1で作製したDNAチップと上記モデル標的RNAとのハイブリダイゼーションを行うに先立ち、標的RNAのチップ表面への非特異的吸着等を防止するためにBSA(牛胸腺アルブミン)を用いてブロッキングを行った。すなわち、BSA(シグマ−アルドリッチ・ジャパン)を2%の濃度で1M NaClを含む50mM リン酸緩衝液(pH=7.0)に溶解し、この溶液にDNAチップを室温で3時間浸漬し、上記リン酸緩衝液でリンスした後、以下のハイブリダイゼーションを行った。
(3)ハイブリダイゼーション
Uの40量体RNAを上記リン酸緩衝液に50nMの濃度で溶解し、この溶液2ml中にブロッキング処理を施したDNAチップを封入(ハイブリパック中)し、45℃で15時間ハイブリダイゼーション処理を行った。その後、チップを上記リン酸緩衝液でリンスし、ついで、室温の純水でリンスした後、窒素ガスを吹き付けて乾燥し、真空デシケーター中に保存した。
(4)TOF−SIMSによる分析
ハイブリダイゼーションを行ったDNAチップをTOF−SIMSで分析した。なお、使用した装置はION TOF社製TOF−SIMS IVである。また、コントロールとしてブロッキングまでのチップを合せて分析した。以下に装置条件をまとめた。
<一次イオン>
一次イオン:25kV Ga+、ランダムスキャンモード
一次イオンのパルス周波数:2.5kHz(400μsec / shot)
一次イオンパルス幅:1ns
一次イオンビーム直径:5μm
<二次イオン>一次イオンの照射パターンについて再構成しイメージング
二次イオン検出モード:negative
測定領域:300μm×300μm
二次イオンimageのpixel数:128×128
積算回数:256
(5)結果
まず、図1にコントロールとして用いたブロッキングまでの基板の測定結果の一部を示す。上述のようにTOF−SIMSによるDNA、RNAの分析ではリン酸バックボーンの分解フラグメントイオンが検出されるが、図1の(1)はこのうちPO2 −(m/z=63)を指標としたDNAチップのDNAがドット状に結合されていることを示す分析(イメージング)結果である。図1の(2)は同じ部分を(アデニン−H)−イオン(m/z=134)を指標としてイメージングした結果である。(ウラシル−H)−イオンを含む他の塩基由来のフラグメントイオンは検出されなかった。これらより、作製したDNAチップには企図したとおり、アデニル酸のみからなるDNAプローブがドット状に形成されていることがわかる。
【0030】
図2はUの40量体とハイブリダイゼーションを行ったDNAチップを(ウラシル−H)−イオン(m/z=110)を指標として分析した結果である。ドットの部分にウラシルが含まれていることがわかる。これらのドット部分からは上記のPO2 −(m/z=63)、(アデニン−H)−イオンも検出されており、この結果からチップのDNAと標的RNAがハイブリッドを形成していることがわかる。
実施例3(U40プローブによるRNAチップの作製、ハイブリダイゼーション、TOF−SIMSによる分析)
配列3
5’ HS−(CH2)6−O−PO2−O−UUUUUUUUUU UUUUUUUUUU UUUUUUUUUU UUUUUUUUUU 3’
配列4
5’ AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAAA AAAAAAA AAA 3’
合成業者から入手した配列3(U40量体)のRNAを用いて実施例1と同様な方法でRNAチップを作製した。このRNAチップと、同じく合成業者から入手した配列4(dA40量体)の標的DNAを実施例2と同様な方法によりハイブリダイゼーションを行ない、TOF−SIMSにより分析した。結果として、ハイブリダイゼーションを行ったチップのドット部分からのみ(アデニン−H)−イオンが検出された。この結果からチップのRNAと標的DNAがハイブリッドを形成していることがわかる。
【0031】
【発明の効果】
本発明により、ラジオアイソトープ法や蛍光法の問題点が解決された、遺伝子情報の取得が可能となった。
【0032】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2のイメージング結果を示す図であり、(1)はPO2−イオン、(2)は(アデニン−H)−イオンを示す。
【図2】実施例2のイメージング結果を示す図であり、(ウラシル−H)−イオンを示す。
Claims (14)
- 標的核酸の塩基配列に相補的な塩基部分を有するプローブの2種以上を担体に固定したプローブ担体に試料を反応させ、該試料中に標的核酸が存在する場合に形成されるプローブと標的核酸とのハイブリッド体の有無を飛行時間型二次イオン質量分析法によって検出する試料中の標的核酸の分析方法であって、
前記標的核酸と前記核酸プローブがRNAとDNAの組合せであることを特徴とする試料中の標的核酸の分析方法。 - 前記標的核酸に特有のフラグメントイオンを飛行時間型二次イオン質量分析法によって検出する請求項1に記載の分析方法。
- 前記標的核酸がRNAであり、前記フラグメントイオンが(ウラシル−H)−イオンである請求項2に記載の分析方法。
- 前記RNAがmRNAである請求項1から3のいずれかに記載の分析方法。
- 前記RNAがtRNAである請求項1から3のいずれかに記載の分析方法。
- 前記RNAがrRNAである請求項1から3のいずれかに記載の分析方法。
- 前記核酸プローブが前記担体の表面に共有結合によって結合されたDNAである請求項3から6のいずれかに記載の分析方法。
- 前記DNAがデオキシリボヌクレオチドである請求項7に記載の分析方法。
- 前記DNAがcDNAである請求項7に記載の分析方法。
- 前記標的核酸がDNAであり、前記フラグメントイオンが(チミン−H)−イオンである請求項2に記載の分析方法。
- 前記DNAがゲノムDNAである請求項1、2または10に記載の分析方法。
- 前記DNAがcDNAである請求項1、2または10に記載の分析方法。
- 前記核酸プローブが前記担体の表面に共有結合によって結合されたRNAである請求項10から12のいずれかに記載の分析方法。
- 前記RNAがオリゴリボヌクレオチドである請求項13に記載の分析方法。
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