JP2004211779A - 流体供給装置及びトランスミッション用油供給装置 - Google Patents

流体供給装置及びトランスミッション用油供給装置 Download PDF

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Abstract

【課題】流体エネルギーの損失を低減した流体供給装置及びトランスミッション用油供給装置を提供する。
【解決手段】エンジン駆動のポンプ1とバッテリー駆動のモータジェネレータ8及びポンプモータ7とにより、オートマチックトランスミッション6に油を供給する。エンジン回転数がアイドリング回転数を超える所定値以上のときは、オートマチックトランスミッション6に供給してなお余る油を、電磁弁12の切り換えにより、ポンプ運転休止中のポンプモータ7に供給してモータジェネレータ8で発電し、電力回生を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体圧機器に流体を供給する装置に関し、具体的には、例えば自動車のトランスミッションに油を供給する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の燃費をさらに改善するために、車両の一時停止中にエンジンを停止させ、アクセルペダルの踏み込みによりエンジンを自動的に起動させる制御を採用した自動車が用いられている。また、オートマチックトランスミッションを搭載した自動車では、エンジンにより駆動されるオイルポンプの他に、バッテリー駆動の電動オイルポンプを設け(例えば、特許文献1参照。)、上記のようなエンジンの一時停止中に電動オイルポンプを運転してトルクコンバータに所定量の油を供給し続け、発進時の変速動作の迅速な応答性を確保するように構成されている。図4は、このような構成の概略を示す油圧回路図である。エンジン101が一時停止中は、モータ102によってポンプ103が駆動され、タンク104から吸い上げられた油が逆止弁105を介してオートマチックトランスミッション106に供給される。エンジン101起動後にはポンプ103が停止し、オートマチックトランスミッション106に必要な油はエンジン駆動のポンプ107により逆止弁108を介して供給される。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−155865号公報(第3〜4頁、図1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の装置において、エンジン駆動のポンプ107は、アイドリング回転数で全ての油圧機器の駆動に必要な流量を供給する能力があり、そのため、エンジン回転数の高い領域では必要以上に油を吐出する。従って、流体エネルギーの損失が生じている。
【0005】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、流体エネルギーの損失を低減した流体供給装置及びトランスミッション用油供給装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の流体供給装置は、流体圧機器に流体を供給する流体圧送手段と、前記流体圧機器に流体を供給する流体圧送機能及び、流体の供給を受けて回転するモータ機能を有する可逆的流体圧送手段と、前記可逆的流体圧送手段が流体圧送機能を休止し、かつ、前記流体圧送手段から前記流体圧機器に流体を供給する場合において、前記流体圧送手段の流体供給能力に余力があるとき、余剰流体を前記可逆的流体圧送手段に供給する流体回路を形成する切換装置とを備えたものである(請求項1)。
上記のように構成された流体供給装置(請求項1)では、流体圧送手段による余剰流体が可逆的流体圧送手段に供給され、可逆的流体圧送手段はモータ機能により動力を発生する。
【0007】
また、上記流体供給装置(請求項1)において、可逆的流体圧送手段のモータ機能を動力源として発電する発電機を備えてもよい(請求項2)。
この場合、余剰流体エネルギーに基づいて発電が行われる。
【0008】
また、本発明の流体供給装置(請求項3)は、駆動装置により駆動され、流体圧機器に流体を供給するポンプと、電動機と発電機とを兼ねるモータジェネレータと、前記モータジェネレータと相互に動力伝達する関係にあり、前記ポンプから前記流体圧機器への流体回路と連動して前記流体圧機器に流体を供給するポンプ機能及び、流体の供給を受けて回転するモータ機能を有するポンプモータと、前記ポンプモータがポンプ機能を休止し、かつ、前記ポンプから前記流体圧機器に流体を供給する場合において、前記ポンプの流体供給能力に余力があるとき、余剰流体を前記ポンプモータに供給する流体回路を形成する切換装置とを備えたものであってもよい(請求項3)。
上記のように構成された流体供給装置(請求項3)では、ポンプによる余剰流体がポンプモータに供給され、ポンプモータはモータとして回転し、動力を発生する。モータジェネレータは、この動力により発電する。
【0009】
また、本発明のトランスミッション用油供給装置は、エンジンにより駆動され、トランスミッションに油を供給するポンプと、電動機と発電機とを兼ねるものであって、前記エンジンの一時停止中に電動機運転され、起動後は休止するモータジェネレータと、前記モータジェネレータの電源となるバッテリーと、前記モータジェネレータとバッテリーとの間に設けられ、前記モータジェネレータの駆動及び電力回生制御を行う駆動制御装置と、前記モータジェネレータと相互に動力伝達する関係にあり、前記ポンプから前記トランスミッションへの油圧回路と連動して前記トランスミッションに油を供給するポンプ機能及び、油の供給を受けて回転するモータ機能を有するポンプモータと、前記ポンプモータがポンプ機能を休止し、かつ、前記ポンプから前記トランスミッションに油を供給する場合において、前記ポンプの油供給能力に余力があるとき、余剰油を前記ポンプモータに供給する油圧回路を形成する切換装置とを備えたものである(請求項4)。
上記のように構成されたトランスミッション用油供給装置(請求項4)では、ポンプによる余剰油がポンプモータに供給され、ポンプモータはモータとして回転し、動力を発生する。この動力により、モータジェネレータが発電機として運転され、発電された電力は駆動制御装置を介してバッテリーの充電に使用される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態による流体供給装置として、オートマチックトランスミッション用油供給装置の構成を示す油圧回路図である。図において、ポンプ1はエンジン2によって駆動され、タンク3から吸い上げた油を、逆止弁4、絞り5を介してオートマチックトランスミッション6のトルクコンバータに供給する。一方、ポンプモータ7は、モータジェネレータ8と相互に動力伝達する関係にあり、タンク3から吸い上げた油を、逆止弁9を介して、オートマチックトランスミッション6のトルクコンバータに供給する。ポンプ1からオートマチックトランスミッション6への油圧回路は、ポンプモータ7からオートマチックトランスミッション6への油圧回路と互いに並列に形成されている。
【0011】
上記モータジェネレータ8は、電動機と発電機とを兼ねるブラシレスの回転機であり、車載のバッテリー11を電源とする。駆動制御装置10はインバータ、コンバータ等を内蔵し、モータジェネレータ8を駆動する機能を有するとともに、モータジェネレータ8の発電した電力により、バッテリー11を充電する機能を有する。
逆止弁4と絞り5との間の油路Pと、ポンプモータ7の吐出側との間には、電磁弁12と逆止弁13とが、図示のように接続されている。電磁弁12は、ばね付きの2位置電磁弁であり、油路Pの油圧をパイロット圧として動作する。
【0012】
上記のように構成されたオートマチックトランスミッション用油供給装置の動作について説明する。
まず、停車中でエンジンが一時停止しているとき、バッテリー11を電源として、駆動制御装置10によりモータジェネレータ8が駆動され、モータジェネレータ8はモータとして所定回転数で回転する。これにより、ポンプモータ7はポンプとして動作し、タンク3から油を吸い上げ、逆止弁9を介して、オートマチックトランスミッション6に必要流量の油を供給する。なお、逆止弁4,13及び遮断位置の電磁弁12の存在により、オートマチックトランスミッション6以外には油は流入しない。
【0013】
エンジン2が起動すると、ポンプ1が運転され、モータジェネレータ8及びポンプモータ7は休止の状態となる。ポンプ1は、タンク3から油を吸い上げ、逆止弁4、絞り5を介して、オートマチックトランスミッション6に必要流量の油を供給する。このときの必要流量の油は、エンジン2がアイドリング回転数で回転することにより得られる。エンジン2がアイドリング状態である間は、絞り5の手前の油路Pの油圧は電磁弁12を動作させるほどには上がらず、従って、電磁弁12は遮断位置のままである。この遮断位置の電磁弁12及び逆止弁9の存在により、ポンプモータ7側には油は流入しない。
【0014】
次に、エンジン2の回転数がアイドリング回転数を超えて、所定値以上となると、オートマチックトランスミッション6に必要な流量以上の油がポンプ1から吐出され、油路Pの油圧が上昇して、電磁弁12を連通位置に動作させる。これにより、オートマチックトランスミッション6に必要な流量の油を供給してなお余る油は、電磁弁12、逆止弁13を介してポンプモータ7に流れ込む。この結果、ポンプモータ7はモータ(オイルモータ)として回転し、動力を発生する。この動力により、モータジェネレータ8が発電機として運転される。発電された電力は、駆動制御装置10を介してバッテリー11の充電に使用される。こうして、余剰流体エネルギーがポンプモータ7及びモータジェネレータ8の効率の範囲内で電気エネルギーとして回生される。従って、流体エネルギーの損失を低減することができる。
【0015】
なお、上記実施形態では、油を流体として、オートマチックトランスミッション6を流体圧機器とするオートマチックトランスミッション用油供給装置について説明したが、これに限らず、各種の流体供給装置に応用が可能である。例えば、水力、風力、圧縮気体等の流体エネルギーを流体圧機器に供給する場合においても、複数の供給系統のうちの少なくとも一つの供給系統にポンプモータ(又は同種の装置)を設けることにより、当該ポンプモータがポンプ運転を休止しているとき、他の供給系統の余力によりポンプモータをモータ運転して、動力を生じさせ、発電することができる。また、クラッチやパワーステアリング等の他の自動車用油圧機器や、その他の一般産業機器用の流体圧機器にも適用が可能である。
【0016】
図2は、上記オートマチックトランスミッション用油供給装置の基本的構成を、用途を限定せずに表現したブロック図である。図において、主たる流体圧送手段21は、流体圧機器22に流体を供給する。なお、この流体圧送手段21は複数個並列又は直列に設けてもよい。また、流体圧機器22に補助的(補助的でなくてもよい。)に流体を供給する流体圧送機能及び、流体の供給を受けて回転するモータ機能を有する少なくとも一つの可逆的流体圧送手段23が、流体圧送手段21と並列的に設けられる。そして、可逆的流体圧送手段23が流体圧送機能を休止しているとき、流体圧送手段21による余剰流体を可逆的流体圧送手段23に供給する流体回路を形成する切換装置24を設ける。これにより、流体圧送手段21の発生する余剰流体エネルギーを、可逆的流体圧送手段23のモータ機能により、動力として回収することができ、流体エネルギーの損失を低減することができる。また、当該動力によりモータジェネレータ25において発電させることによって、余剰流体エネルギーを電気エネルギーとして回生することができる。
また、可逆的流体圧送手段23と流体圧送手段21は、流体回路を簡素にすべく並列的に設けるのが好ましいが、直列に設けてバイパス流路及び切換弁を適宜配置しても同様の機能を有する流体供給装置を構成することができる。いずれの場合も、上記機能を発揮するように可逆的流体圧送手段と流体圧送手段とを連動させればよい。
【0017】
なお、上記実施形態ではエンジン駆動のポンプ1からオートマチックトランスミッション6への油供給路は常時接続されているが、この油供給路を電磁弁で遮断可能な構成としてもよい。図3は、そのような構成の一例を示す油圧回路図である。すなわち、この場合、図示のような電磁弁14を設け、エンジン2からの油圧の供給先を、オートマチックトランスミッション6又はポンプモータ7とする。また、電磁弁14は油路Pの油圧により動作する。
【0018】
エンジン2がアイドリング状態である場合、油路Pの油圧は電磁弁14を動作させるほどには上がらず、従って、ポンプ1からオートマチックトランスミッション6に油が供給される。そして、エンジン回転数が増大して油路Pの油圧が上昇すると、電磁弁14が動作して弁位置が変わり、オートマチックトランスミッション6への油供給が停止となり、代わって、油全量がポンプモータ7に供給される。このような構成では、油路Pの油圧の変動により電磁弁14が頻繁に動作する可能性はあるが、オートマチックトランスミッション6において油量をほとんど消費していないときには、余剰油全量をポンプモータ7に供給して発電量を増大させることができる。
【0019】
なお、上記実施形態では流体圧機器としてオートマチックトランスミッション6を例に挙げて説明したが、無段変速機(CVT)等、他のトランスミッションにも同様の構成が適用可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1の流体供給装置によれば、流体圧送手段による余剰流体が可逆的流体圧送手段に供給され、可逆的流体圧送手段はモータ機能により動力を発生する。従って、当該動力の有効利用により、流体エネルギーの損失を低減することができる。
【0021】
請求項2の流体供給装置によれば、発電された電力をバッテリーの充電等に用いることにより、余剰流体エネルギーは電気エネルギーとして回生される。
【0022】
請求項3の流体供給装置によれば、ポンプによる余剰流体がポンプモータに供給され、ポンプモータはモータとして回転し、モータジェネレータは発電する。従って、発電電力の有効利用により、流体エネルギーの損失を低減することができる。
【0023】
請求項4のトランスミッション用油供給装置によれば、ポンプによる余剰油がポンプモータに供給され、ポンプモータはモータとして回転し、動力を発生する。この動力により、モータジェネレータが発電機として運転され、発電された電力は駆動制御装置を介してバッテリーの充電に使用される。こうして、余剰流体エネルギーが電気エネルギーとして回生されるので、流体エネルギーの損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による流体供給装置として、オートマチックトランスミッション用油供給装置の構成を示す油圧回路図である。
【図2】上記オートマチックトランスミッション用油供給装置の基本的構成を、用途を限定せずに表現したブロック図である。
【図3】図1とは異なる電磁弁を用いた場合の、オートマチックトランスミッション用油供給装置の構成を示す油圧回路図である。
【図4】従来のオートマチックトランスミッション用油供給装置の構成の概略を示す油圧回路図である。
【符号の説明】
1 ポンプ
2 エンジン
6 オートマチックトランスミッション
7 ポンプモータ
8 モータジェネレータ
10 駆動制御装置
11 バッテリー
12,14 電磁弁
21 流体圧送手段
22 流体圧機器
23 可逆的流体圧送手段
24 切換装置
25 モータジェネレータ

Claims (4)

  1. 流体圧機器に流体を供給する流体圧送手段と、
    前記流体圧機器に流体を供給する流体圧送機能及び、流体の供給を受けて回転するモータ機能を有する可逆的流体圧送手段と、
    前記可逆的流体圧送手段が流体圧送機能を休止し、かつ、前記流体圧送手段から前記流体圧機器に流体を供給する場合において、前記流体圧送手段の流体供給能力に余力があるとき、余剰流体を前記可逆的流体圧送手段に供給する流体回路を形成する切換装置と
    を備えたことを特徴とする流体供給装置。
  2. 前記モータ機能を動力源として発電する発電機を備えた請求項1記載の流体供給装置。
  3. 駆動装置により駆動され、流体圧機器に流体を供給するポンプと、
    電動機と発電機とを兼ねるモータジェネレータと、
    前記モータジェネレータと相互に動力伝達する関係にあり、前記ポンプから前記流体圧機器への流体回路と連動して前記流体圧機器に流体を供給するポンプ機能及び、流体の供給を受けて回転するモータ機能を有するポンプモータと、
    前記ポンプモータがポンプ機能を休止し、かつ、前記ポンプから前記流体圧機器に流体を供給する場合において、前記ポンプの流体供給能力に余力があるとき、余剰流体を前記ポンプモータに供給する流体回路を形成する切換装置と
    を備えたことを特徴とする流体供給装置。
  4. エンジンにより駆動され、トランスミッションに油を供給するポンプと、
    電動機と発電機とを兼ねるものであって、前記エンジンの一時停止中に電動機運転され、起動後は休止するモータジェネレータと、
    前記モータジェネレータの電源となるバッテリーと、
    前記モータジェネレータとバッテリーとの間に設けられ、前記モータジェネレータの駆動及び電力回生制御を行う駆動制御装置と、
    前記モータジェネレータと相互に動力伝達する関係にあり、前記ポンプから前記トランスミッションへの油圧回路と連動して前記トランスミッションに油を供給するポンプ機能及び、油の供給を受けて回転するモータ機能を有するポンプモータと、
    前記ポンプモータがポンプ機能を休止し、かつ、前記ポンプから前記トランスミッションに油を供給する場合において、前記ポンプの油供給能力に余力があるとき、余剰油を前記ポンプモータに供給する油圧回路を形成する切換装置と
    を備えたことを特徴とするトランスミッション用油供給装置。
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