JP2004211111A - 処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な化成処理を実現すること。
【解決手段】基板101の上方に基板101に対向して配置される第1電極102と、基板101の下方に基板101に対向して配置される第2電極103とを有し、基板101に化成処理を施す処理装置100は、基板101と第2電極103との間に薬液105を満たす薬液槽104と、基板101の下面近傍に薬液105の流れを形成する機構と、を備え、前記機構は、薬液105を薬液槽104からオーバーフローさせる機能を含む。
【選択図】 図1
【解決手段】基板101の上方に基板101に対向して配置される第1電極102と、基板101の下方に基板101に対向して配置される第2電極103とを有し、基板101に化成処理を施す処理装置100は、基板101と第2電極103との間に薬液105を満たす薬液槽104と、基板101の下面近傍に薬液105の流れを形成する機構と、を備え、前記機構は、薬液105を薬液槽104からオーバーフローさせる機能を含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に化成処理を施す処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、SOI(Silicon On Insulator)基板等の基板の製造工程等では、基板に化成処理を施す処理装置が用いられている。基板に化成処理を施す処理装置には、基板表面を水平に設置する平置型と、基板表面を垂直に設置する縦置型とがある。また、処理装置には、基板裏面に固体を接触させて基板を通る電流経路を形成する固体接触型と、基板裏面に液体を接触させて基板を通る電流経路を形成する液体接触型とがある。
【0003】
近年では、例えば、SOI基板等の基板の製造工程において、基板の大口径化、異物対策に伴う基板裏面の鏡面化等によって、基板を実質的に水平に保ったままで搬送すると共に、基板裏面に固体が接触しないように構成されることが要求されている。このような要求に応える処理装置として、平置型の液体接触型の処理装置が用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−216110号公報
【特許文献2】
特開平10−275798号公報
【特許文献3】
特開平11−195639号公報
【特許文献4】
特開平11−195640号公報
【特許文献5】
特開平11−214353号公報
【特許文献6】
特開2000−273699号公報
【特許文献7】
特開2000−277478号公報
【特許文献8】
特開2000−277484号公報
【特許文献9】
特開2000−336499号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の平置型の液体接触型の処理装置では、基板の下面(裏面)に対する液体接触が困難である。即ち、従来の処理装置では、基板下面に存在する気泡によって良好な接触を得ることができない。また、化成処理中に基板下面(裏面)から気体が発生する系においては、この気体を除去することができない。
【0005】
従って、従来の処理装置では、基板下面(裏面)に生じる気体(気泡も含む)によって、接触不良が生じ、例えば、化成処理によって形成される膜厚の分布にばらつきが発生したり、化成処理の再現性が低下したりするため、良好な化成処理を行うことができないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、良好な化成処理を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面は、基板の上方に該基板に対向して配置される第1電極と、該基板の下方に該基板に対向して配置される第2電極とを有し、該基板に化成処理を施す処理装置に係り、前記基板と前記第2電極との間に薬液を満たす薬液槽と、前記基板の下面近傍に前記薬液の流れを形成する機構と、を備え、前記機構は、前記薬液を前記薬液槽からオーバーフローさせる機能を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記薬液槽は、前記薬液が前記基板の下面に接触するように構成されていることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記薬液槽は、1つ又は複数の開口部が形成され、前記基板に対向して配置された板を有し、前記薬液は、前記板の開口部を通して前記基板に向けて流れることが好ましい。
【0010】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記板は、前記薬液槽の上部に配置されていることが好ましい。
【0011】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第2電極は、1つ又は複数の開口部を有し、前記薬液は、前記第2電極の開口部を通して前記基板に向けて流れることが好ましい。
【0012】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記開口部が形成された第2電極は、前記薬液槽の上部に配置されていることが好ましい。
【0013】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記基板の外周壁部を支持する保持部を更に備えることが好ましい。
【0014】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記薬液槽の前記基板近傍の横断面形状の直径が、前記基板の直径と略同一であることが好ましい。
【0015】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記薬液槽は、その外側に前記薬液を満たすためのオーバーフロー槽を有することが好ましい。
【0016】
本発明の第2の側面は、半導体基板の製造方法に係り、上記のいずれかの処理装置を利用して第1基板を陽極化成することにより多孔質層を形成する工程と、前記多孔質層の上に非多孔質層を形成する工程と、前記非多孔質層が形成された前記第1基板を絶縁層を介して第2基板に貼り合わせて貼り合わせ基板を作製する工程と、前記貼り合わせ基板を処理又は加工して前記第2基板の上に前記多孔質層の少なくとも一部が残留した状態とする工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る処理装置について説明する。図1は、本発明の好適な第1の実施形態に係る処理装置100の構成を示す概念図である。処理装置100は、処理対象の基板としてのSiウェハ101の上方にSiウェハ101に対向して配置される第1電極としての陰極102と、Siウェハ101の下方にSiウェハ101に対向して配置される第2電極としての陽極103と、Siウェハ101と陽極103との間に薬液105を満たす薬液槽104と、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成する流れ形成機構とを備える。この流れ形成機構は、薬液105を薬液槽104からオーバーフローさせる機能を含む。
【0019】
Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成する流れ形成機構には、例えば、ポンプ110等の液体を移動させる機構を用いることができるが、本発明はこれに限られない。上記の液体を移動させる機構としては、例えば、気体の圧力を利用したり、重力(液体の高低差)による圧力を利用したりすることによって、薬液105の流れを形成してもよい。また、上記の流れ形成機構の一例として挙げたポンプ110は、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成するために、様々な態様を取ることができるが、これについては後述する。
【0020】
また、本発明の好適な実施の形態に係る処理装置100は、基板を処理する様々な処理に適用することができるが、本発明においては、その一例として、陽極化成装置に適用する場合について説明する。
【0021】
図1において、Siウェハ101は、化成処理の被処理対象である基板の一例であり、例えば、単結晶シリコンが用いられる。Siウェハ101に化成処理(例えば、陽極化成処理)を施す場合には、具体的には、化成槽106の槽内に化成液107を満たした状態で、陰極102を化成液107に浸漬して、Siウェハ101に対向させると共に、陽極103をSiウェハ101の下方に配置する。本実施形態では、Siウェハ101を陽極化成して、その表面に多孔質シリコンを形成する。また、液体接触型の処理装置を用いて、Siウェハ101を陽極化成する場合には、Siウェハ101の表面及び裏面から、水素が発生することが知られている。Siウェハ101は、陽極化成された後は、その表面に多孔質層が形成されて、表面の構造が変化するが、その裏面の構造は実質的には変化しない。
【0022】
陰極102は、化成処理用の処理液に対して耐性のある材料で構成されることが好ましい。例えば、化成処理用の処理液としてHF溶液を採用する場合には、陰極102は、耐HF製の材料である白金等で構成されることが好ましい。
【0023】
陽極103は、例えば、導電液としてDHF(希フッ化水素酸)を採用する場合には、耐HF製の材料である白金等で構成されることが好ましい。また、陽極103は、Siウェハ101と同質の材料であるシリコン材料で構成することも可能である。このシリコン材料は、比抵抗が小さいことが好ましい。陽極103をシリコン材料で構成することによって、Siウェハ101が陽極103の構成材料によって汚染されることを防ぐことができる。
【0024】
薬液槽104は、Siウェハ101の下面との間で、電気的な接触を保つために、導電性の薬液105(導電液)が満たされている。また、前述のように、薬液槽104は、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成する構成を備える。このような構成としては、例えば、薬液槽104は、ポンプを有し、このポンプの入口と出口とを、薬液槽104の上方に設けたり、図1に示すように、ポンプ110の入口と出口とを、薬液槽104の上方と下方にそれぞれ設けたりして、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成するように構成することが望ましい。なお、ポンプ110の入口と出口の配置は、図1に示す配置に限定されず、様々な態様を用いることができる。例えば、ポンプ110の入口と出口は、図1とは反対に配置されてもよい。
【0025】
また、薬液槽104は、その外側に、薬液槽104から流れ出た薬液105を満たすオーバーフロー槽108を更に備えるのが望ましい。オーバーフロー槽108は、図1に示すように、連結流路109を介して、薬液槽104に連結されるのが望ましい。また、連結流路109は、薬液105内のパーティクル等を除去するフィルタ111を備えるのが望ましい。
【0026】
そして、薬液槽104は、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成するために、薬液105をオーバーフローさせるように構成される。この場合、例えば、図1に示すように、薬液槽104とSiウェハ101との間に間隔を設けて、薬液槽104から薬液105が溢れ出るように構成されうる。この間隔は、特に限定しないが、2〜8mmが例として挙げられる。また、薬液105をオーバーフローさせる場合には、Siウェハ101の下面と電気的に良好な接触を得るために、薬液105をSiウェハ101の下面に接触させる。
【0027】
薬液105は、導電性の薬液(導電液)であり、本実施形態では、一例としてDHF(希フッ化水素酸)が用いられる。しかし、本発明はこれに限定されず、他の導電液を用いてもよい。
【0028】
化成槽106は、化成処理用の処理液に対して耐性を有する材料で構成されるのが好ましい。例えば、化成処理用の処理液としてHF溶液を採用する場合は、化成槽106は、耐HF製の材料である四弗化エチレン樹脂(テフロン(登録商標))等で構成されることが好ましい。
【0029】
化成液107は、処理対象の基板を処理する任意の処理液を採用することができる。例えば、陽極化成の場合は、化成液107には、陽極化成処理用の処理液として、HF溶液を用いることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、陰極102がSiウェハ101の上方に、陽極103がSiウェハ101の下方にそれぞれ設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、陰極102がSiウェハ101の下方に、陽極103がSiウェハ101の上方に、それぞれ設けられてもよい。この場合には、処理装置100が陽極化成装置に適用されるとすると、例えば、陰極側では化成処理用の処理液としてHF溶液を用いて、陽極側では導電液としてDHF(希フッ化水素酸)を用いる等のようにして、前述の構成を変更すればよい。
【0031】
本実施形態では、Siウェハ101を化成処理する際に、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れが形成される。このような流れを形成する流れ形成機構には、任意の機構が用いられるが、Siウェハ101の下面と良好な接触が得られて、化成処理中にSiウェハ101の裏面から発生する気体を、効果的に除去することが可能な流れ形成機構を採用することが望ましい。このような流れ形成機構としては、例えば、薬液105を送り出すポンプ110等を用いることができる。
【0032】
また、薬液105をオーバーフローさせることによって、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを更に効果的に形成するように働く。オーバーフロー時には、薬液105の液面は、薬液槽104よりも高くなるため、上昇した液面と薬液槽104の上端との差を利用して、Siウェハ101の下面の全域を薬液105に接触するように薬液槽104を構成することが好ましい。これによって、化成処理時に電流を流すことが容易になる。更に、上記のオーバーフローは、薬液105を導入する場合には、Siウェハ101の下面に気泡が残ることがなく、化成処理中にSiウェハ101の下面に気体が発生した場合には、これらの気体を効率よく除去するように働く。
【0033】
また、ポンプ110は、オーバーフロー槽108と薬液槽104との間に設けられた連結流路109を介して、オーバーフロー槽108内の薬液105が薬液槽104に流れ込むように働く。また、連結流路109に設けられたフィルタ111は、パーティクル等の汚染物を除去して、薬液105を汚染物等が少ない状態に維持するように働く。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、Siウェハの下面近傍に薬液の流れを形成する流れ形成機構によって、Siウェハの下面の未浸漬部に存在する気体や、化成処理中に発生した気体等を効率的に除去することができるため、Siウェハと薬液との間で、良好な電気的接触が得られる。
【0035】
従って、これらの気体によるSiウェハの下面の接触不良によって生じる問題点(例えば、化成処理により形成される膜厚の分布のばらつきや、化成処理の再現性の低下等)を解決し、良好な化成処理を行うことができる。
【0036】
また、薬液をオーバーフローさせることによって、薬液の液面が上昇するため、Siウェハの下面との電気的な接触や気体の除去等の上記の効果をより顕著にすることができる。
【0037】
更に、薬液槽の外側に、オーバーフロー槽を設けることによって、薬液槽から溢れ出した薬液を回収して再利用することができ、また、オーバーフロー槽と薬液槽との間に、フィルタを設けることによって、薬液を繰り返し用いることができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態に係る処理装置について説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態に係る処理装置200の概略構成を示す概念図である。処理装置200は、概略的には、第1の実施の形態に係る処理装置100の構成に一部の機能を追加した構成を有する。即ち、処理装置200は、Siウェハ101の下面近傍に形成された薬液槽104内の薬液105の流れを、より効果的に形成するために、1つ又は複数の開口部が形成され、Siウェハ101に対向して配置された板201(以下「パンチング板」という。)を、第1の実施の形態に係る処理装置200に追加した構成を有する。薬液105は、このパンチング板201の開口部を通してSiウェハ101に向けて流れる。なお、パンチング板201は、図2に示すように、薬液槽104の上部に設けられるのが好適であるが、その配置はこれに限られず、種々の配置を採用することができる。
【0039】
本実施形態では、パンチング板201は、薬液槽104内の薬液105の流れのうちで、Siウェハ101に略垂直な方向における流れを増大するように働く。このような機構としては、任意の機構を用いることができるが、パンチング板201を用いる場合には、その開口部の分布は、均一であっても、不均一であってもよく、また、その大きさや形状も限定されない。また、パンチング板201の開口部の直径は、特に限定しないが、5〜10mmが一例として挙げられる。また、パンチング板201の開口部間の間隔は、特に限定しないが、10〜30mmが一例として挙げられる。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、パンチング板201等の機構によって、薬液槽104内の薬液105の流れのうちで、Siウェハ101に略垂直な方向における流れを増大することができるため、Siウェハ101の下面と薬液105との接触が更に良好となり、Siウェハ101の下面に存在する気体をより効率的に除去することができる。また、このようなパンチング板201等を、薬液槽104の上部に設けることによって、この効果は顕著となる。
【0041】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態に係る処理装置について説明する。図3は、本発明の第3の実施の形態に係る処理装置300の構成を示す概念図である。処理装置300は、概略的には、第1の実施の形態に係る処理装置100の構成に一部の機能を追加した構成を有する。即ち、処理装置300は、陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧を低減するために、第1の実施の形態に係る処理装置100の陽極103に代えて、1つ又は複数の開口部を有する陽極301を用いる。薬液105は、陽極301の開口部を通してSiウェハ101に向けて流れる。なお、陽極301は、図3に示すように、薬液槽104’の上部に設けられるのが好適であるが、その配置はこれに限られず、種々の配置を採用することができる。
【0042】
本実施形態では、陽極301は、1つ又は複数の開口部が形成されているため、第3の実施の形態で示したパンチング板201と同様の機能を有するとともに、Siウェハ101の近傍に配置されうる。従って、陰極102と陽極301との間に印加すべき電圧は、第1の実施の形態に係る処理装置100において陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧よりも低減する。また、陽極301は、第3の実施の形態で示したパンチング板201と同様の効果を奏するため、パンチング板201を設ける必要がなくなり、部品数が減少し、装置の小型化に寄与する。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、1つ又は複数の開口部が形成された陽極301によって、陰極102と陽極301との間に印加すべき電圧は、第1の実施の形態に係る処理装置100において陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧よりも低減される。更に、陽極301を薬液槽104’の上部に設けることによって、この効果は顕著となる。また、陽極301を適用することによって、第3の実施の形態で示したパンチング板201を用いる場合に比べて、部品数が減少し、装置をコンパクトにすることができる。
【0044】
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態に係る処理装置について説明する。図4は、本発明の第4の実施の形態に係る処理装置400の構成を示す概念図である。処理装置400は、概略的には、第1の実施の形態に係る処理装置100の構成に一部の機能を追加した構成を有する。即ち、処理装置300は、Siウェハ101の下面と薬液105とが接触する面積を増大させるため、第1の実施の形態に係る処理装置100に追加して、Siウェハ101の外周壁部を支持する保持部401を有する。なお、保持部401の形状としては、種々の形状を採用できる。また、保持部401は、図4では、処理装置300とは別の部材として処理装置300上に固定されているが、これに限定されない。例えば、保持部401は、処理装置300と一体となって構成されてもよい。なお、この場合には、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径が、Siウェハ101の直径と略同一であることが望ましい。
【0045】
本実施形態では、Siウェハ101の外周壁部を支持する保持部401は、Siウェハ101の下面の大部分又は全域が露出するように働く。これによって、Siウェハ101の下面と薬液105とが接触する面積が増大する。また、保持部401は、Siウェハ101の表面をも保持する部材に比べて、コンパクトに形成することができる。そのため、陰極102と陽極103との間の距離をより近づけることができる。また、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径を、Siウェハ101の直径と略同一であるよう構成することによって、Siウェハ101の下面の全域を薬液105と接触させることができる。Siウェハ101の下面の全域を薬液105と接触させる構成は、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径を、Siウェハ101よりも大きくすることによっても実現されるため、本実施形態は、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径が、Siウェハ101の直径と略同一となる場合には限定されない。しかし、装置をコンパクトに設計したい場合等には、Siウェハ101の直径と略同一である構成が有利である。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、Siウェハ101の外周壁部を支持する保持部401によって、陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧を低減することができる。また、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径が、Siウェハ101の直径と略同一であることによって、この効果は顕著となる。また、上記のような保持部401の構成上の利点によって、陰極102と陽極103との間の距離を近づけることができるため、陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧を更に低減することができる。
【0047】
以上示したように、本発明の好適な実施の形態によれば、Siウェハの下面に薬液を十分に浸漬できないという問題点や、Siウェハの下面から発生する気体による化成処理の不良等を回避することができ、良好な化成処理が実現可能となる。なお、本発明の好適な実施の形態では、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成する流れ形成機構を示したが、これに限定されない。例えば、本発明の好適な実施の形態に係る化成槽は、Siウェハの上面近傍に薬液の流れを形成する流れ形成機構を備えることができる。例えば、図4に示すように、化成槽106’には、Siウェハ101の上面近傍に薬液107の流れを形成する流れ形成機構402(例えば、ポンプ等の液体を移動させる機構)を設けることができる。この場合には、Siウェハ101の上面に存在する気体を除去することができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0048】
[実施例1]
本発明の実施例に係る処理装置を図1に示す。図1は、第1の実施形態に係る処理装置100に対応する。
【0049】
図1の処理装置100としては、平置型の液体接触枚葉処理装置を用いた。この処理装置100は、Siウェハ101の上面側に設けられた化成槽106と、Siウェハ101の下面で薬液を接触させる導電液槽104で構成されている。化成槽106には、被処理物である8インチp+Si(100)ウェハ101を、その表面が上になるようにして設置した。Siウェハ101の下面は、真空吸着によって、薬液の漏れがないようにシールした。化成液107としては、49%HFとエタノールの2:1の混合薬液を用いた。化成槽106は筒型で、その直径は202mmであり、その外部にオーバーフロー槽108を設置した。ポンプ110を用いて、化成液107を化成槽106に注入して、オーバーフロー槽108を利用して化成液107を循環させた。化成槽106には、耐フッ酸性に優れた四弗化エチレン樹脂(PTFE)を用いた。化成槽106内には、陰極102として、直径200mmの白金板を、Siウェハ101と実質的に平行に、Siウェハ101と30mmの距離を隔てて設置した。化成槽106は、Siウェハ101下面に、直径174mmの開口部を有している。
【0050】
一方、導電液槽104は筒状で、その内径は154mmであり、その外側にオーバーフロー槽108を有している。導電槽下部には、直径150mmの白金板が水平に設置されており、陽極の役割を果たす。導電液105には、1%HF水溶液を用いた。ポンプ110によって、導電液105を導電液槽104に供給し続けると、上記開口部から導電液105がオーバーフローして、導電液槽104の上面よりも導電液105の液面の方が高くなった。この上昇した液面と、被処理部材である8インチSiウェハ101の裏面を、実質的に均一に接触させた。このような状態を保ちつつ、陽極103と陰極102との間に電圧を印加して、多孔質シリコンを作製した。電流3.14A(Siウェハ101の表面側の電流密度10mAcm- 2)で8分間通電した後、ポンプ110を止めて、化成液107、導電液105等の薬液を回収した。Siウェハ101は、洗浄した後に、乾燥させた。Siウェハ101に形成された多孔質層の厚さを測定したところ、Siウェハ101全面に渡って、ほぼ10μmで均一であった。
【0051】
このようにして、平置型の液体接触枚葉処理装置において、Siウェハ101全面に渡る良質な多孔質層を作ることができた。
【0052】
[実施例2]
本発明の実施例に係る処理装置を図2に示す。図2は、第2の実施形態に係る処理装置200に対応する。本実施例では、導電液槽104の上部に、開口部径10mm、ピッチ20mmの多数の穴が形成されたパンチング板201を設置した。
【0053】
[実施例3]
本発明の実施例に係る処理装置を図3に示す。図3は、第3の実施形態に係る処理装置300に対応する。本実施例では、パンチング板として白金板で作られた陽極301を用いて、実施例2に示したパンチング板201を兼用した。
【0054】
[実施例4]
本発明の実施例に係る処理装置を図4に示す。図4は、第4の実施形態に係る処理装置400に対応する。本実施例では、陽極102に8インチのp+Si(100)101を用いた。また、被処理物の8インチウェハSi101を、実質的にエッジのみで保持した。さらに、導電液槽104’’は、直径200mmとした。このような改善により、導電液槽104’’と化成槽106’と間の距離を短くすることができるため、陽極102と陰極103との間に印加すべき電圧を低減することができた。また、Si101の下面(裏面)の大部分の面が、導電液105と接することができるため、多孔質シリコンの膜厚均一性が更に改善された。
【0055】
[応用例]
次いで、上記の処理装置の応用例として、半導体基板の製造方法を説明する。
【0056】
図5は、本発明の好適な実施の形態に係る半導体基板の製造方法を説明する図である。
【0057】
まず、図5(a)に示す工程では、第1の基板(seed wafer)10を形成するための単結晶Si基板11を用意して、上記の処理装置100、200、300、400を利用して、その主表面上に分離層としての多孔質Si層12を形成する。ここで、電解液としては、例えば、弗化水素を含む溶液、弗化水素及びエタノールを含む溶液、弗化水素及びイソプロピルアルコールを含む溶液等が好適である。より具体的な例を挙げると、電解液としては、例えば、HF水溶液(HF濃度=49wt%)とエタノールを体積比2:1で混合した混合液が好適である。
【0058】
また、多孔質Si層12を互いに多孔度の異なる2層以上の層からなる多層構造としてもよい。ここで、多層構造の多孔質Si層12は、表面側に第1の多孔度を有する第1の多孔質Si層、その下に、第1の多孔度より大きい第2の多孔度を有する第2の多孔質Si層を含むことが好ましい。このような多層構造を採用することにより、後の非多孔質層13の形成工程において、第1の多孔質Si層上に、欠陥等の少ない非多孔質層13を形成することができると共に、後の分離工程において、所望の位置で貼り合わせ基板(結合基板)を分離することができる。ここで、第1の多孔度としては、10%〜30%が好ましく、15%〜25%が更に好ましい。また、第2の多孔度としては、35%〜70%が好ましく、40%〜60%が更に好ましい。
【0059】
電解質溶液として上記の混合液(HF濃度が49wt%の弗化水素酸:エタノール=2:1)を利用する場合は、例えば、電流密度8mA/cm2、処理時間5〜11minの条件で第1層(表面側)を生成し、次いで、電流密度23〜33mA/cm2、処理時間80sec〜2minの条件で第2層(内部側)を生成することが好ましい。
【0060】
次いで、次の(1)〜(4)の少なくとも1つの工程を実施することが好ましい。ここで、(1)、(2)を順に実施することが好ましく、(1)、(2)、(3)を順に実施すること、或いは、(1)、(2)、(4)を順に実施することが更に好ましく、(1)、(2)、(3)、(4)を順に実施することが最も好ましい。
【0061】
(1)多孔質Si層の孔壁に保護膜を形成する工程(プリ酸化工程)
この工程では、多孔質Si層12の孔壁に酸化膜や窒化膜等の保護膜を形成し、これにより、後の熱処理による孔の粗大化を防止する。保護膜は、例えば、酸素雰囲気中で熱処理(例えば、200℃〜700℃が好ましく、300℃〜500℃が更に好ましい)を実施することにより形成され得る。その後、多孔質Si層12の表面に形成された酸化膜等を除去することが好ましい。これは、例えば、弗化水素を含む溶液に多孔質Si層12の表面を晒すことによって実施され得る。
【0062】
(2)水素ベ−キング工程(プリベーキング工程)
この工程では、水素を含む還元性雰囲気中において800℃〜1200℃で、多孔質Si層12が形成された第1の基板1に熱処理を実施する。この熱処理により、多孔質Si層12の表面の孔をある程度封止することができると共に、多孔質Si層12の表面に自然酸化膜が存在する場合には、それを除去することができる。
【0063】
(3)微量原料供給工程(プリインジェクション工程)
多孔質Si層12上に非多孔質層13を成長させる場合は、成長の初期段階で非多孔質層13の原料物質の供給を微少量として、低速度で非多孔質膜13を成長させることが好ましい。このような成長方法により、多孔質Si層12の表面の原子のマイグレーションが促進され、多孔質Si層12の表面の孔を封止することができる。具体的には、成長速度が20nm/min以下、好ましくは10nm/min以下、より好ましくは2nm/min以下になるように原料の供給を制御する。
【0064】
(4)高温ベーキング工程(中間ベーキング工程)
上記の水素ベーキング工程及び/又は微量原料供給工程における処理温度よりも高い温度で、水素を含む還元性雰囲気中で熱処理を実施することにより、多孔質Si層12の更なる封止及び平坦化が実現することができる。
【0065】
次いで、図5(b)に示す工程の第1段階では、多孔質Si層12上に第1の非多孔質層13を形成する。第1の非多孔質層13としては、単結晶Si層、多結晶Si層、非晶質Si層等のSi層、Ge層、SiGe層、SiC層、C層、GaAs層、GaN層、AlGaAs層、InGaAs層、InP層、InAs層等が好適である。
【0066】
次いで、図5(b)に示す工程の第2段階では、第1の非多孔質層13の上に第2の非多孔質層としてSiO2層(絶縁層)14を形成する。これにより第1の基板10が得られる。SiO2層14は、例えば、O2/H2雰囲気、1100℃、10〜33minの条件で生成され得る。
【0067】
次いで、図5(c)に示す工程では、第2の基板(handle wafer)20を準備し、第1の基板10と第2の基板20とを、第2の基板20と絶縁層14とが面するように室温で密着させて貼り合わせ基板(結合基板)30を作製する。
【0068】
なお、絶縁層14は、上記のように単結晶Si層13側に形成しても良いし、第2の基板20上に形成しても良く、両者に形成しても良く、結果として、第1の基板と第2の基板を密着させた際に、図5(c)に示す状態になれば良い。しかしながら、上記のように、絶縁層14を活性層となる第1の非多孔質層(例えば、単結晶Si層)13側に形成することにより、第1の基板10と第2の基板20との貼り合せの界面を活性層から遠ざけることができるため、より高品位のSOI基板等の半導体基板を得ることができる。
【0069】
基板10、20が完全に密着した後、両者の結合を強固にする処理を実施することが好ましい。この処理の一例としては、例えば、1)N2雰囲気、1100℃、10minの条件で熱処理を実施し、2)O2/H2雰囲気、1100℃、50〜100minの条件で熱処理(酸化処理)を実施する処理が好適である。この処理に加えて、或いは、この処理に代えて、陽極接合処理及び/又は加圧処理を実施してもよい。
【0070】
第2の基板20としては、Si基板、Si基板上にSiO2層を形成した基板、石英等の光透過性の基板、サファイヤ等が好適である。しかし、第2の基板20は、貼り合わせ(結合)に供される面が十分に平坦であれば十分であり、他の種類の基板であってもよい。
【0071】
次いで、図5(d)に示す工程では、貼り合わせ基板(結合基板)30を機械的強度が脆弱な多孔質層12の部分で分離する。この分離方法としては、各種の方法を採用しうるが、例えば、流体を多孔質層12に打ち込む方法、或いは、流体により多孔質層12に静圧を印加する方法など、流体を利用する方法が好ましい。
【0072】
この分離工程により、第1の基板10の移設層(非多孔質層13、絶縁層14)が第2の基板20上に移設される。なお、第1の基板10の多孔質層12上に非多孔質層13のみを形成する場合の移設層は、非多孔質層13のみである。
【0073】
図5(e)に示す工程では、分離後の第2の基板20上の多孔質層12”をエッチング等により選択的に除去する。これにより、絶縁層14上に非多孔質層13を有する基板が得られる。例えば、非多孔質層13が半導体層である場合、このような半導体層は、SOI層(Silicon On Insulator)と呼ばれ、また、このようなSOI層を有する基板は、SOI基板と呼ばれる。
【0074】
更に、分離後の第1の基板10’の単結晶Si基板11上の多孔質層12’をエッチング等により選択的に除去する。このようにして得られる単結晶Si基板11は、再び第1の基板10を形成するための基板、又は第2の基板20として利用され得る。
【0075】
【発明の効果】
以上示したように、本発明によれば、良好な化成処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電解装置の概略図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の電解装置の概略図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の電解装置の概略図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態の電解装置の概略図である。
【図5】本発明の好適な実施の形態の半導体基板の製造方法を説明する図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に化成処理を施す処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、SOI(Silicon On Insulator)基板等の基板の製造工程等では、基板に化成処理を施す処理装置が用いられている。基板に化成処理を施す処理装置には、基板表面を水平に設置する平置型と、基板表面を垂直に設置する縦置型とがある。また、処理装置には、基板裏面に固体を接触させて基板を通る電流経路を形成する固体接触型と、基板裏面に液体を接触させて基板を通る電流経路を形成する液体接触型とがある。
【0003】
近年では、例えば、SOI基板等の基板の製造工程において、基板の大口径化、異物対策に伴う基板裏面の鏡面化等によって、基板を実質的に水平に保ったままで搬送すると共に、基板裏面に固体が接触しないように構成されることが要求されている。このような要求に応える処理装置として、平置型の液体接触型の処理装置が用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−216110号公報
【特許文献2】
特開平10−275798号公報
【特許文献3】
特開平11−195639号公報
【特許文献4】
特開平11−195640号公報
【特許文献5】
特開平11−214353号公報
【特許文献6】
特開2000−273699号公報
【特許文献7】
特開2000−277478号公報
【特許文献8】
特開2000−277484号公報
【特許文献9】
特開2000−336499号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の平置型の液体接触型の処理装置では、基板の下面(裏面)に対する液体接触が困難である。即ち、従来の処理装置では、基板下面に存在する気泡によって良好な接触を得ることができない。また、化成処理中に基板下面(裏面)から気体が発生する系においては、この気体を除去することができない。
【0005】
従って、従来の処理装置では、基板下面(裏面)に生じる気体(気泡も含む)によって、接触不良が生じ、例えば、化成処理によって形成される膜厚の分布にばらつきが発生したり、化成処理の再現性が低下したりするため、良好な化成処理を行うことができないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、良好な化成処理を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面は、基板の上方に該基板に対向して配置される第1電極と、該基板の下方に該基板に対向して配置される第2電極とを有し、該基板に化成処理を施す処理装置に係り、前記基板と前記第2電極との間に薬液を満たす薬液槽と、前記基板の下面近傍に前記薬液の流れを形成する機構と、を備え、前記機構は、前記薬液を前記薬液槽からオーバーフローさせる機能を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記薬液槽は、前記薬液が前記基板の下面に接触するように構成されていることが好ましい。
【0009】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記薬液槽は、1つ又は複数の開口部が形成され、前記基板に対向して配置された板を有し、前記薬液は、前記板の開口部を通して前記基板に向けて流れることが好ましい。
【0010】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記板は、前記薬液槽の上部に配置されていることが好ましい。
【0011】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記第2電極は、1つ又は複数の開口部を有し、前記薬液は、前記第2電極の開口部を通して前記基板に向けて流れることが好ましい。
【0012】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記開口部が形成された第2電極は、前記薬液槽の上部に配置されていることが好ましい。
【0013】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記基板の外周壁部を支持する保持部を更に備えることが好ましい。
【0014】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記薬液槽の前記基板近傍の横断面形状の直径が、前記基板の直径と略同一であることが好ましい。
【0015】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記薬液槽は、その外側に前記薬液を満たすためのオーバーフロー槽を有することが好ましい。
【0016】
本発明の第2の側面は、半導体基板の製造方法に係り、上記のいずれかの処理装置を利用して第1基板を陽極化成することにより多孔質層を形成する工程と、前記多孔質層の上に非多孔質層を形成する工程と、前記非多孔質層が形成された前記第1基板を絶縁層を介して第2基板に貼り合わせて貼り合わせ基板を作製する工程と、前記貼り合わせ基板を処理又は加工して前記第2基板の上に前記多孔質層の少なくとも一部が残留した状態とする工程と、を含むことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る処理装置について説明する。図1は、本発明の好適な第1の実施形態に係る処理装置100の構成を示す概念図である。処理装置100は、処理対象の基板としてのSiウェハ101の上方にSiウェハ101に対向して配置される第1電極としての陰極102と、Siウェハ101の下方にSiウェハ101に対向して配置される第2電極としての陽極103と、Siウェハ101と陽極103との間に薬液105を満たす薬液槽104と、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成する流れ形成機構とを備える。この流れ形成機構は、薬液105を薬液槽104からオーバーフローさせる機能を含む。
【0019】
Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成する流れ形成機構には、例えば、ポンプ110等の液体を移動させる機構を用いることができるが、本発明はこれに限られない。上記の液体を移動させる機構としては、例えば、気体の圧力を利用したり、重力(液体の高低差)による圧力を利用したりすることによって、薬液105の流れを形成してもよい。また、上記の流れ形成機構の一例として挙げたポンプ110は、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成するために、様々な態様を取ることができるが、これについては後述する。
【0020】
また、本発明の好適な実施の形態に係る処理装置100は、基板を処理する様々な処理に適用することができるが、本発明においては、その一例として、陽極化成装置に適用する場合について説明する。
【0021】
図1において、Siウェハ101は、化成処理の被処理対象である基板の一例であり、例えば、単結晶シリコンが用いられる。Siウェハ101に化成処理(例えば、陽極化成処理)を施す場合には、具体的には、化成槽106の槽内に化成液107を満たした状態で、陰極102を化成液107に浸漬して、Siウェハ101に対向させると共に、陽極103をSiウェハ101の下方に配置する。本実施形態では、Siウェハ101を陽極化成して、その表面に多孔質シリコンを形成する。また、液体接触型の処理装置を用いて、Siウェハ101を陽極化成する場合には、Siウェハ101の表面及び裏面から、水素が発生することが知られている。Siウェハ101は、陽極化成された後は、その表面に多孔質層が形成されて、表面の構造が変化するが、その裏面の構造は実質的には変化しない。
【0022】
陰極102は、化成処理用の処理液に対して耐性のある材料で構成されることが好ましい。例えば、化成処理用の処理液としてHF溶液を採用する場合には、陰極102は、耐HF製の材料である白金等で構成されることが好ましい。
【0023】
陽極103は、例えば、導電液としてDHF(希フッ化水素酸)を採用する場合には、耐HF製の材料である白金等で構成されることが好ましい。また、陽極103は、Siウェハ101と同質の材料であるシリコン材料で構成することも可能である。このシリコン材料は、比抵抗が小さいことが好ましい。陽極103をシリコン材料で構成することによって、Siウェハ101が陽極103の構成材料によって汚染されることを防ぐことができる。
【0024】
薬液槽104は、Siウェハ101の下面との間で、電気的な接触を保つために、導電性の薬液105(導電液)が満たされている。また、前述のように、薬液槽104は、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成する構成を備える。このような構成としては、例えば、薬液槽104は、ポンプを有し、このポンプの入口と出口とを、薬液槽104の上方に設けたり、図1に示すように、ポンプ110の入口と出口とを、薬液槽104の上方と下方にそれぞれ設けたりして、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成するように構成することが望ましい。なお、ポンプ110の入口と出口の配置は、図1に示す配置に限定されず、様々な態様を用いることができる。例えば、ポンプ110の入口と出口は、図1とは反対に配置されてもよい。
【0025】
また、薬液槽104は、その外側に、薬液槽104から流れ出た薬液105を満たすオーバーフロー槽108を更に備えるのが望ましい。オーバーフロー槽108は、図1に示すように、連結流路109を介して、薬液槽104に連結されるのが望ましい。また、連結流路109は、薬液105内のパーティクル等を除去するフィルタ111を備えるのが望ましい。
【0026】
そして、薬液槽104は、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成するために、薬液105をオーバーフローさせるように構成される。この場合、例えば、図1に示すように、薬液槽104とSiウェハ101との間に間隔を設けて、薬液槽104から薬液105が溢れ出るように構成されうる。この間隔は、特に限定しないが、2〜8mmが例として挙げられる。また、薬液105をオーバーフローさせる場合には、Siウェハ101の下面と電気的に良好な接触を得るために、薬液105をSiウェハ101の下面に接触させる。
【0027】
薬液105は、導電性の薬液(導電液)であり、本実施形態では、一例としてDHF(希フッ化水素酸)が用いられる。しかし、本発明はこれに限定されず、他の導電液を用いてもよい。
【0028】
化成槽106は、化成処理用の処理液に対して耐性を有する材料で構成されるのが好ましい。例えば、化成処理用の処理液としてHF溶液を採用する場合は、化成槽106は、耐HF製の材料である四弗化エチレン樹脂(テフロン(登録商標))等で構成されることが好ましい。
【0029】
化成液107は、処理対象の基板を処理する任意の処理液を採用することができる。例えば、陽極化成の場合は、化成液107には、陽極化成処理用の処理液として、HF溶液を用いることができる。
【0030】
なお、本実施形態では、陰極102がSiウェハ101の上方に、陽極103がSiウェハ101の下方にそれぞれ設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、陰極102がSiウェハ101の下方に、陽極103がSiウェハ101の上方に、それぞれ設けられてもよい。この場合には、処理装置100が陽極化成装置に適用されるとすると、例えば、陰極側では化成処理用の処理液としてHF溶液を用いて、陽極側では導電液としてDHF(希フッ化水素酸)を用いる等のようにして、前述の構成を変更すればよい。
【0031】
本実施形態では、Siウェハ101を化成処理する際に、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れが形成される。このような流れを形成する流れ形成機構には、任意の機構が用いられるが、Siウェハ101の下面と良好な接触が得られて、化成処理中にSiウェハ101の裏面から発生する気体を、効果的に除去することが可能な流れ形成機構を採用することが望ましい。このような流れ形成機構としては、例えば、薬液105を送り出すポンプ110等を用いることができる。
【0032】
また、薬液105をオーバーフローさせることによって、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを更に効果的に形成するように働く。オーバーフロー時には、薬液105の液面は、薬液槽104よりも高くなるため、上昇した液面と薬液槽104の上端との差を利用して、Siウェハ101の下面の全域を薬液105に接触するように薬液槽104を構成することが好ましい。これによって、化成処理時に電流を流すことが容易になる。更に、上記のオーバーフローは、薬液105を導入する場合には、Siウェハ101の下面に気泡が残ることがなく、化成処理中にSiウェハ101の下面に気体が発生した場合には、これらの気体を効率よく除去するように働く。
【0033】
また、ポンプ110は、オーバーフロー槽108と薬液槽104との間に設けられた連結流路109を介して、オーバーフロー槽108内の薬液105が薬液槽104に流れ込むように働く。また、連結流路109に設けられたフィルタ111は、パーティクル等の汚染物を除去して、薬液105を汚染物等が少ない状態に維持するように働く。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、Siウェハの下面近傍に薬液の流れを形成する流れ形成機構によって、Siウェハの下面の未浸漬部に存在する気体や、化成処理中に発生した気体等を効率的に除去することができるため、Siウェハと薬液との間で、良好な電気的接触が得られる。
【0035】
従って、これらの気体によるSiウェハの下面の接触不良によって生じる問題点(例えば、化成処理により形成される膜厚の分布のばらつきや、化成処理の再現性の低下等)を解決し、良好な化成処理を行うことができる。
【0036】
また、薬液をオーバーフローさせることによって、薬液の液面が上昇するため、Siウェハの下面との電気的な接触や気体の除去等の上記の効果をより顕著にすることができる。
【0037】
更に、薬液槽の外側に、オーバーフロー槽を設けることによって、薬液槽から溢れ出した薬液を回収して再利用することができ、また、オーバーフロー槽と薬液槽との間に、フィルタを設けることによって、薬液を繰り返し用いることができる。
【0038】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態に係る処理装置について説明する。図2は、本発明の第2の実施の形態に係る処理装置200の概略構成を示す概念図である。処理装置200は、概略的には、第1の実施の形態に係る処理装置100の構成に一部の機能を追加した構成を有する。即ち、処理装置200は、Siウェハ101の下面近傍に形成された薬液槽104内の薬液105の流れを、より効果的に形成するために、1つ又は複数の開口部が形成され、Siウェハ101に対向して配置された板201(以下「パンチング板」という。)を、第1の実施の形態に係る処理装置200に追加した構成を有する。薬液105は、このパンチング板201の開口部を通してSiウェハ101に向けて流れる。なお、パンチング板201は、図2に示すように、薬液槽104の上部に設けられるのが好適であるが、その配置はこれに限られず、種々の配置を採用することができる。
【0039】
本実施形態では、パンチング板201は、薬液槽104内の薬液105の流れのうちで、Siウェハ101に略垂直な方向における流れを増大するように働く。このような機構としては、任意の機構を用いることができるが、パンチング板201を用いる場合には、その開口部の分布は、均一であっても、不均一であってもよく、また、その大きさや形状も限定されない。また、パンチング板201の開口部の直径は、特に限定しないが、5〜10mmが一例として挙げられる。また、パンチング板201の開口部間の間隔は、特に限定しないが、10〜30mmが一例として挙げられる。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、パンチング板201等の機構によって、薬液槽104内の薬液105の流れのうちで、Siウェハ101に略垂直な方向における流れを増大することができるため、Siウェハ101の下面と薬液105との接触が更に良好となり、Siウェハ101の下面に存在する気体をより効率的に除去することができる。また、このようなパンチング板201等を、薬液槽104の上部に設けることによって、この効果は顕著となる。
【0041】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態に係る処理装置について説明する。図3は、本発明の第3の実施の形態に係る処理装置300の構成を示す概念図である。処理装置300は、概略的には、第1の実施の形態に係る処理装置100の構成に一部の機能を追加した構成を有する。即ち、処理装置300は、陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧を低減するために、第1の実施の形態に係る処理装置100の陽極103に代えて、1つ又は複数の開口部を有する陽極301を用いる。薬液105は、陽極301の開口部を通してSiウェハ101に向けて流れる。なお、陽極301は、図3に示すように、薬液槽104’の上部に設けられるのが好適であるが、その配置はこれに限られず、種々の配置を採用することができる。
【0042】
本実施形態では、陽極301は、1つ又は複数の開口部が形成されているため、第3の実施の形態で示したパンチング板201と同様の機能を有するとともに、Siウェハ101の近傍に配置されうる。従って、陰極102と陽極301との間に印加すべき電圧は、第1の実施の形態に係る処理装置100において陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧よりも低減する。また、陽極301は、第3の実施の形態で示したパンチング板201と同様の効果を奏するため、パンチング板201を設ける必要がなくなり、部品数が減少し、装置の小型化に寄与する。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、1つ又は複数の開口部が形成された陽極301によって、陰極102と陽極301との間に印加すべき電圧は、第1の実施の形態に係る処理装置100において陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧よりも低減される。更に、陽極301を薬液槽104’の上部に設けることによって、この効果は顕著となる。また、陽極301を適用することによって、第3の実施の形態で示したパンチング板201を用いる場合に比べて、部品数が減少し、装置をコンパクトにすることができる。
【0044】
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態に係る処理装置について説明する。図4は、本発明の第4の実施の形態に係る処理装置400の構成を示す概念図である。処理装置400は、概略的には、第1の実施の形態に係る処理装置100の構成に一部の機能を追加した構成を有する。即ち、処理装置300は、Siウェハ101の下面と薬液105とが接触する面積を増大させるため、第1の実施の形態に係る処理装置100に追加して、Siウェハ101の外周壁部を支持する保持部401を有する。なお、保持部401の形状としては、種々の形状を採用できる。また、保持部401は、図4では、処理装置300とは別の部材として処理装置300上に固定されているが、これに限定されない。例えば、保持部401は、処理装置300と一体となって構成されてもよい。なお、この場合には、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径が、Siウェハ101の直径と略同一であることが望ましい。
【0045】
本実施形態では、Siウェハ101の外周壁部を支持する保持部401は、Siウェハ101の下面の大部分又は全域が露出するように働く。これによって、Siウェハ101の下面と薬液105とが接触する面積が増大する。また、保持部401は、Siウェハ101の表面をも保持する部材に比べて、コンパクトに形成することができる。そのため、陰極102と陽極103との間の距離をより近づけることができる。また、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径を、Siウェハ101の直径と略同一であるよう構成することによって、Siウェハ101の下面の全域を薬液105と接触させることができる。Siウェハ101の下面の全域を薬液105と接触させる構成は、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径を、Siウェハ101よりも大きくすることによっても実現されるため、本実施形態は、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径が、Siウェハ101の直径と略同一となる場合には限定されない。しかし、装置をコンパクトに設計したい場合等には、Siウェハ101の直径と略同一である構成が有利である。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、Siウェハ101の外周壁部を支持する保持部401によって、陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧を低減することができる。また、薬液槽104’’の少なくともSiウェハ101近傍の横断面形状の直径が、Siウェハ101の直径と略同一であることによって、この効果は顕著となる。また、上記のような保持部401の構成上の利点によって、陰極102と陽極103との間の距離を近づけることができるため、陰極102と陽極103との間に印加すべき電圧を更に低減することができる。
【0047】
以上示したように、本発明の好適な実施の形態によれば、Siウェハの下面に薬液を十分に浸漬できないという問題点や、Siウェハの下面から発生する気体による化成処理の不良等を回避することができ、良好な化成処理が実現可能となる。なお、本発明の好適な実施の形態では、Siウェハ101の下面近傍に薬液105の流れを形成する流れ形成機構を示したが、これに限定されない。例えば、本発明の好適な実施の形態に係る化成槽は、Siウェハの上面近傍に薬液の流れを形成する流れ形成機構を備えることができる。例えば、図4に示すように、化成槽106’には、Siウェハ101の上面近傍に薬液107の流れを形成する流れ形成機構402(例えば、ポンプ等の液体を移動させる機構)を設けることができる。この場合には、Siウェハ101の上面に存在する気体を除去することができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0048】
[実施例1]
本発明の実施例に係る処理装置を図1に示す。図1は、第1の実施形態に係る処理装置100に対応する。
【0049】
図1の処理装置100としては、平置型の液体接触枚葉処理装置を用いた。この処理装置100は、Siウェハ101の上面側に設けられた化成槽106と、Siウェハ101の下面で薬液を接触させる導電液槽104で構成されている。化成槽106には、被処理物である8インチp+Si(100)ウェハ101を、その表面が上になるようにして設置した。Siウェハ101の下面は、真空吸着によって、薬液の漏れがないようにシールした。化成液107としては、49%HFとエタノールの2:1の混合薬液を用いた。化成槽106は筒型で、その直径は202mmであり、その外部にオーバーフロー槽108を設置した。ポンプ110を用いて、化成液107を化成槽106に注入して、オーバーフロー槽108を利用して化成液107を循環させた。化成槽106には、耐フッ酸性に優れた四弗化エチレン樹脂(PTFE)を用いた。化成槽106内には、陰極102として、直径200mmの白金板を、Siウェハ101と実質的に平行に、Siウェハ101と30mmの距離を隔てて設置した。化成槽106は、Siウェハ101下面に、直径174mmの開口部を有している。
【0050】
一方、導電液槽104は筒状で、その内径は154mmであり、その外側にオーバーフロー槽108を有している。導電槽下部には、直径150mmの白金板が水平に設置されており、陽極の役割を果たす。導電液105には、1%HF水溶液を用いた。ポンプ110によって、導電液105を導電液槽104に供給し続けると、上記開口部から導電液105がオーバーフローして、導電液槽104の上面よりも導電液105の液面の方が高くなった。この上昇した液面と、被処理部材である8インチSiウェハ101の裏面を、実質的に均一に接触させた。このような状態を保ちつつ、陽極103と陰極102との間に電圧を印加して、多孔質シリコンを作製した。電流3.14A(Siウェハ101の表面側の電流密度10mAcm- 2)で8分間通電した後、ポンプ110を止めて、化成液107、導電液105等の薬液を回収した。Siウェハ101は、洗浄した後に、乾燥させた。Siウェハ101に形成された多孔質層の厚さを測定したところ、Siウェハ101全面に渡って、ほぼ10μmで均一であった。
【0051】
このようにして、平置型の液体接触枚葉処理装置において、Siウェハ101全面に渡る良質な多孔質層を作ることができた。
【0052】
[実施例2]
本発明の実施例に係る処理装置を図2に示す。図2は、第2の実施形態に係る処理装置200に対応する。本実施例では、導電液槽104の上部に、開口部径10mm、ピッチ20mmの多数の穴が形成されたパンチング板201を設置した。
【0053】
[実施例3]
本発明の実施例に係る処理装置を図3に示す。図3は、第3の実施形態に係る処理装置300に対応する。本実施例では、パンチング板として白金板で作られた陽極301を用いて、実施例2に示したパンチング板201を兼用した。
【0054】
[実施例4]
本発明の実施例に係る処理装置を図4に示す。図4は、第4の実施形態に係る処理装置400に対応する。本実施例では、陽極102に8インチのp+Si(100)101を用いた。また、被処理物の8インチウェハSi101を、実質的にエッジのみで保持した。さらに、導電液槽104’’は、直径200mmとした。このような改善により、導電液槽104’’と化成槽106’と間の距離を短くすることができるため、陽極102と陰極103との間に印加すべき電圧を低減することができた。また、Si101の下面(裏面)の大部分の面が、導電液105と接することができるため、多孔質シリコンの膜厚均一性が更に改善された。
【0055】
[応用例]
次いで、上記の処理装置の応用例として、半導体基板の製造方法を説明する。
【0056】
図5は、本発明の好適な実施の形態に係る半導体基板の製造方法を説明する図である。
【0057】
まず、図5(a)に示す工程では、第1の基板(seed wafer)10を形成するための単結晶Si基板11を用意して、上記の処理装置100、200、300、400を利用して、その主表面上に分離層としての多孔質Si層12を形成する。ここで、電解液としては、例えば、弗化水素を含む溶液、弗化水素及びエタノールを含む溶液、弗化水素及びイソプロピルアルコールを含む溶液等が好適である。より具体的な例を挙げると、電解液としては、例えば、HF水溶液(HF濃度=49wt%)とエタノールを体積比2:1で混合した混合液が好適である。
【0058】
また、多孔質Si層12を互いに多孔度の異なる2層以上の層からなる多層構造としてもよい。ここで、多層構造の多孔質Si層12は、表面側に第1の多孔度を有する第1の多孔質Si層、その下に、第1の多孔度より大きい第2の多孔度を有する第2の多孔質Si層を含むことが好ましい。このような多層構造を採用することにより、後の非多孔質層13の形成工程において、第1の多孔質Si層上に、欠陥等の少ない非多孔質層13を形成することができると共に、後の分離工程において、所望の位置で貼り合わせ基板(結合基板)を分離することができる。ここで、第1の多孔度としては、10%〜30%が好ましく、15%〜25%が更に好ましい。また、第2の多孔度としては、35%〜70%が好ましく、40%〜60%が更に好ましい。
【0059】
電解質溶液として上記の混合液(HF濃度が49wt%の弗化水素酸:エタノール=2:1)を利用する場合は、例えば、電流密度8mA/cm2、処理時間5〜11minの条件で第1層(表面側)を生成し、次いで、電流密度23〜33mA/cm2、処理時間80sec〜2minの条件で第2層(内部側)を生成することが好ましい。
【0060】
次いで、次の(1)〜(4)の少なくとも1つの工程を実施することが好ましい。ここで、(1)、(2)を順に実施することが好ましく、(1)、(2)、(3)を順に実施すること、或いは、(1)、(2)、(4)を順に実施することが更に好ましく、(1)、(2)、(3)、(4)を順に実施することが最も好ましい。
【0061】
(1)多孔質Si層の孔壁に保護膜を形成する工程(プリ酸化工程)
この工程では、多孔質Si層12の孔壁に酸化膜や窒化膜等の保護膜を形成し、これにより、後の熱処理による孔の粗大化を防止する。保護膜は、例えば、酸素雰囲気中で熱処理(例えば、200℃〜700℃が好ましく、300℃〜500℃が更に好ましい)を実施することにより形成され得る。その後、多孔質Si層12の表面に形成された酸化膜等を除去することが好ましい。これは、例えば、弗化水素を含む溶液に多孔質Si層12の表面を晒すことによって実施され得る。
【0062】
(2)水素ベ−キング工程(プリベーキング工程)
この工程では、水素を含む還元性雰囲気中において800℃〜1200℃で、多孔質Si層12が形成された第1の基板1に熱処理を実施する。この熱処理により、多孔質Si層12の表面の孔をある程度封止することができると共に、多孔質Si層12の表面に自然酸化膜が存在する場合には、それを除去することができる。
【0063】
(3)微量原料供給工程(プリインジェクション工程)
多孔質Si層12上に非多孔質層13を成長させる場合は、成長の初期段階で非多孔質層13の原料物質の供給を微少量として、低速度で非多孔質膜13を成長させることが好ましい。このような成長方法により、多孔質Si層12の表面の原子のマイグレーションが促進され、多孔質Si層12の表面の孔を封止することができる。具体的には、成長速度が20nm/min以下、好ましくは10nm/min以下、より好ましくは2nm/min以下になるように原料の供給を制御する。
【0064】
(4)高温ベーキング工程(中間ベーキング工程)
上記の水素ベーキング工程及び/又は微量原料供給工程における処理温度よりも高い温度で、水素を含む還元性雰囲気中で熱処理を実施することにより、多孔質Si層12の更なる封止及び平坦化が実現することができる。
【0065】
次いで、図5(b)に示す工程の第1段階では、多孔質Si層12上に第1の非多孔質層13を形成する。第1の非多孔質層13としては、単結晶Si層、多結晶Si層、非晶質Si層等のSi層、Ge層、SiGe層、SiC層、C層、GaAs層、GaN層、AlGaAs層、InGaAs層、InP層、InAs層等が好適である。
【0066】
次いで、図5(b)に示す工程の第2段階では、第1の非多孔質層13の上に第2の非多孔質層としてSiO2層(絶縁層)14を形成する。これにより第1の基板10が得られる。SiO2層14は、例えば、O2/H2雰囲気、1100℃、10〜33minの条件で生成され得る。
【0067】
次いで、図5(c)に示す工程では、第2の基板(handle wafer)20を準備し、第1の基板10と第2の基板20とを、第2の基板20と絶縁層14とが面するように室温で密着させて貼り合わせ基板(結合基板)30を作製する。
【0068】
なお、絶縁層14は、上記のように単結晶Si層13側に形成しても良いし、第2の基板20上に形成しても良く、両者に形成しても良く、結果として、第1の基板と第2の基板を密着させた際に、図5(c)に示す状態になれば良い。しかしながら、上記のように、絶縁層14を活性層となる第1の非多孔質層(例えば、単結晶Si層)13側に形成することにより、第1の基板10と第2の基板20との貼り合せの界面を活性層から遠ざけることができるため、より高品位のSOI基板等の半導体基板を得ることができる。
【0069】
基板10、20が完全に密着した後、両者の結合を強固にする処理を実施することが好ましい。この処理の一例としては、例えば、1)N2雰囲気、1100℃、10minの条件で熱処理を実施し、2)O2/H2雰囲気、1100℃、50〜100minの条件で熱処理(酸化処理)を実施する処理が好適である。この処理に加えて、或いは、この処理に代えて、陽極接合処理及び/又は加圧処理を実施してもよい。
【0070】
第2の基板20としては、Si基板、Si基板上にSiO2層を形成した基板、石英等の光透過性の基板、サファイヤ等が好適である。しかし、第2の基板20は、貼り合わせ(結合)に供される面が十分に平坦であれば十分であり、他の種類の基板であってもよい。
【0071】
次いで、図5(d)に示す工程では、貼り合わせ基板(結合基板)30を機械的強度が脆弱な多孔質層12の部分で分離する。この分離方法としては、各種の方法を採用しうるが、例えば、流体を多孔質層12に打ち込む方法、或いは、流体により多孔質層12に静圧を印加する方法など、流体を利用する方法が好ましい。
【0072】
この分離工程により、第1の基板10の移設層(非多孔質層13、絶縁層14)が第2の基板20上に移設される。なお、第1の基板10の多孔質層12上に非多孔質層13のみを形成する場合の移設層は、非多孔質層13のみである。
【0073】
図5(e)に示す工程では、分離後の第2の基板20上の多孔質層12”をエッチング等により選択的に除去する。これにより、絶縁層14上に非多孔質層13を有する基板が得られる。例えば、非多孔質層13が半導体層である場合、このような半導体層は、SOI層(Silicon On Insulator)と呼ばれ、また、このようなSOI層を有する基板は、SOI基板と呼ばれる。
【0074】
更に、分離後の第1の基板10’の単結晶Si基板11上の多孔質層12’をエッチング等により選択的に除去する。このようにして得られる単結晶Si基板11は、再び第1の基板10を形成するための基板、又は第2の基板20として利用され得る。
【0075】
【発明の効果】
以上示したように、本発明によれば、良好な化成処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電解装置の概略図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の電解装置の概略図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の電解装置の概略図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態の電解装置の概略図である。
【図5】本発明の好適な実施の形態の半導体基板の製造方法を説明する図である。
Claims (1)
- 基板の上方に該基板に対向して配置される第1電極と、該基板の下方に該基板に対向して配置される第2電極とを有し、該基板に化成処理を施す処理装置であって、
前記基板と前記第2電極との間に薬液を満たす薬液槽と、
前記基板の下面近傍に前記薬液の流れを形成する機構と、
を備え、
前記機構は、前記薬液を前記薬液槽からオーバーフローさせる機能を含むことを特徴とする処理装置。
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