JP2004103800A - 陽極化成装置及び陽極化成方法、基板製造方法、並びに、基板処理装置及び基板処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】陽極化成装置において、例えば、保持部によって保持された基板に対して電極を強い力で押しつけることなく、電極をより確実に基板に密着させる。
【解決手段】陽極化成槽211の底部に開口部が設けられ、その周囲に吸着パッド251が配置されている。吸着パッド251に吸着される基板100の上方にはマイナス電極201が配置され、基板100の裏面にはプラス電極構造体290のプラス電極221が押しつけられる。プラス電極構造体290は、柔軟性を有する接触保証機構230を有し、プラス電極221は、接触保証機構230を介して支持されている。したがって、プラス電極221は、小さな押しつけ力により、その表面である接触面の全面が基板100の裏面の接触する。
【選択図】図4
【解決手段】陽極化成槽211の底部に開口部が設けられ、その周囲に吸着パッド251が配置されている。吸着パッド251に吸着される基板100の上方にはマイナス電極201が配置され、基板100の裏面にはプラス電極構造体290のプラス電極221が押しつけられる。プラス電極構造体290は、柔軟性を有する接触保証機構230を有し、プラス電極221は、接触保証機構230を介して支持されている。したがって、プラス電極221は、小さな押しつけ力により、その表面である接触面の全面が基板100の裏面の接触する。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽極化成装置及び陽極化成方法、基板製造方法、並びに、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔質シリコンは、A.Uhlir及びD.R.Turnerにより、弗化水素酸の水溶液中において単結晶シリコンを正電位にバイアスして、これを電解研磨する研究の過程で発見された。
【0003】
その後、多孔質シリコンの反応性に富む性質を利用して、該多孔質シリコンをシリコン集積回路の製造の際の素子分離工程に応用する検討がなされ、多孔質シリコン酸化膜による完全分離技術(FIPOS: Full Isolation by Porous Oxidized Silicon)等が開発された(K.Imai,Solid State Electron 24, 159,1981)。
【0004】
また、最近では、多孔質シリコン基板上にシリコンエピタキシャル層を成長させて、該基板を酸化膜を介して非晶質基板や単結晶シリコン基板に貼り合せる直接接合技術等への応用技術が開発された(特開平5−21338号公報)。
【0005】
その他の応用として、多孔質シリコンは、それ自体が発光するフォトルミネッセンスやエレクトロルミネッセンス材料としても注目されている(特開平6−338631号公報)。
【0006】
シリコン基板に陽極化成により多孔質シリコン層を形成する陽極化成装置が特開2000−277478号公報に開示されている。図1は、特開2000−277478号公報に開示された陽極化成装置を部分的に抜き出して記載した図である。特開2000−277478号公報に開示された陽極化成装置は、底部に開口部を有しその周囲に吸着パッド507を有する陽極化成槽505と、処理対象の基板500の上方に配置されるマイナス電極501と、基板500の下面に押し当てられるプラス電極502を有する。
【0007】
基板500にプラス電極502を接触させるとともに基板500の上方にマイナス電極501を配置し、陽極化成槽505内に電解質溶液506を満たした状態で、プラス電極502とマイナス電極501との間に電流を流すことにより、基板500のマイナス電極501側の面が陽極化成により多孔質化され、多孔質シリコン層が形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000−277478号公報に開示された上記の陽極化成装置では、基板に均一な多孔質層を形成するためには、プラス電極502の全面を基板500の下面に密着させるべきである。また、基板500と吸着パッド507との間から電解質溶液が漏れることは好ましくない。このような要求は、プラス電極502の昇降機構の加工精度を高めることにより満たすことができる。
【0009】
しかしながら、プラス電極502の昇降機構の加工精度が悪い場合には、図2に強調して示したように、プラス電極502の全面を基板500に密着させることができない。このような陽極化成装置において、プラス電極502の全面を基板500に密着させるために、基板500に対するプラス電極502の押しつけ力を強くすると、図3に強調して示すように、基板500の一部が吸着パッド507から離れて、その部分から電解質溶液が漏れ出す可能性がある。
【0010】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、陽極化成装置等の基板処理装置において、例えば、保持部によって保持された基板に対して電極を強い力で押しつけることなく、電極をより確実に基板に密着させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面は、陽極化成装置に係り、該装置は、処理対象の基板を保持する保持部と、該基板に対向させて配置されるマイナス電極と、該基板に接触する接触面を有するプラス電極を含むプラス電極構造体と、該基板と前記マイナス電極との間に電解質溶液を満たすための陽極化成槽とを備える。ここで、前記プラス電極構造体は、前記接触面を該基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならうように、前記プラス電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有する。
【0012】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記プラス電極構造体は、例えば、支持部材と、前記プラス電極と前記支持部材との間に配置された柔軟性を有する連結部材とを含むことが好ましい。ここで、前記連結部材は、例えば、ゴム又はバネを含んで構成され得る。
【0013】
或いは、前記プラス電極構造体は、前記プラス電極又は前記プラス電極と一体をなす部材を支持する支持部材を含み、前記プラス電極又は前記プラス電極と一体をなす部材と前記支持部材とが、前記プラス電極の向きの変化を許容するように滑らかに接触していてもよい。
【0014】
或いは、前記プラス電極は、前記接触面を基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならって変形するように柔軟性を有してもよい。
【0015】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記陽極化成装置は、前記プラス電極構造体を駆動して前記接触面を基板に接触させる駆動機構を更に備えることが好ましい。
【0016】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記陽極化成槽は、開口部を有し、前記基板保持部は、前記開口部の周囲に環状に設けられており、前記プラス電極は、前記開口部を通して基板に押し当てられることが好ましい。
【0017】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記保持部は、実質的に水平に基板を保持することが好ましい。
【0018】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記陽極化成装置は、基板に陽極化成処理が施された後に、該基板を洗浄すべく該基板に洗浄液を供給する機構を更に備えることが好ましい。
【0019】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記陽極化成装置は、基板に付着した液体を除去する機構を更に備えることが好ましい。
【0020】
本発明の第2の側面は、陽極化成方法に係り、該方法は、保持部によって基板を保持し、該基板の一方の面に対向させてマイナス電極を配置し、該基板の他方の面にプラス電極を接触させる準備工程と、前記マイナス電極と該基板との間に電解質溶液を満たした状態で、前記マイナス電極と前記プラス電極との間に電流を流して該基板の該一方の面を陽極化成して多孔質層を形成する陽極化成工程とを含む。ここで、前記準備工程では、前記プラス電極を含むプラス電極構造体を操作して前記プラス電極を該基板の該他方の面に接触させ、前記プラス電極構造体は、前記プラス電極が該基板に接触する接触面が該基板にならうように、前記プラス電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有する。
【0021】
本発明の第3の側面は、基板製造方法に係り、該方法は、上記の陽極化成方法に従って基板の表面に多孔質層を形成する工程と、前記多孔質層上に少なくとも半導体層を有する第1の基板を作成する工程と、前記第1の基板の前記半導体層側の面に第2の基板を結合させて結合基板を作製する工程と、前記多孔質層の部分で前記結合基板を2枚の基板に分離する工程とを含む。
【0022】
本発明の第4の側面は、基板処理装置に係り、該装置は、処理対象の基板を保持する保持部と、該基板に対向させて配置される第1電極と、該基板に接触する接触面を有する第2電極を含む第2電極構造体と、該基板と前記第1電極との間に電解質溶液を満たすための処理槽とを備える。ここで、前記第2電極構造体は、前記接触面を該基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならうように前記第2電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有する。
【0023】
本発明の第5の側面は、基板処理方法に係り、該方法は、保持部によって基板を保持し、該基板の一方の面に対向させて第1電極を配置し、該基板の他方の面に第2電極を接触させる準備工程と、前記第1電極と該基板との間に電解質溶液を満たした状態で、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して該基板を処理する処理工程とを含む。ここで、前記準備工程では、前記第2電極を含む第2電極構造体を操作して前記第2電極を該基板の該他方の面に接触させ、前記第2電極構造体は、前記第2電極が該基板に接触する接触面が該基板にならうように前記第2電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0025】
図4は、本発明の好適な実施の形態の陽極化成装置(基板処理装置)の構成を示す図である。この実施の形態の陽極化成装置200は、陽極化成処理、洗浄処理、乾燥処理を含む一連の処理を実施することができる。従って、この陽極化成装置200によれば、陽極化成処理、洗浄処理及び乾燥処理を個別に実施するために各装置間で基板を搬送する必要がないため、例えば、1)生産性が高く、2)基板を落下させる可能性がなく、また、3)装置の小型化が可能である。
【0026】
陽極化成装置200は、処理対象の基板100を水平に支持して処理するように構成されている。従って、この陽極化成装置200によれば、例えば、基板を水平に保持して搬送する搬送ロボットから基板100を受け取る場合において、基板100を回転(例えば、垂直にする)させることなく、その基板に一連の処理を施すことができるため、基板100を操作する効率を向上させることができる。ただし、本発明は、基板をその面が鉛直方向に沿うように配置して処理する装置にも適用可能である。
【0027】
陽極化成装置200は、底部に開口部を有する陽極化成槽211を有する。陽極化成槽211は、支持部材212により支持台213上に支持されている。陽極化成槽211は、その底部に円形状の開口部を有し、該開口部の周囲には環状の吸着パッド(保持部)251が配置されている。吸着パッド251は、処理対象の基板100の裏面(ここでは、多孔質層を形成すべき面を表面、その裏側の面を裏面という)の周辺部を吸着するように寸法及び形状が定められている。吸着パッド251には、環状の溝251aが形成され、該溝251aは、吸引孔251bを通じて不図示の真空ポンプに接続されている。
【0028】
陽極化成処理を実施する際は、吸着パッド251に吸着された基板100の上方には、マイナス電極201が配置される。マイナス電極201は、連結部材202及び203によって電極駆動機構(例えば、モータ)204に連結されており、マイナス電極201が不要な場合及び邪魔になる場合には、電極駆動機構204により槽外の適当な場所に移動される。
【0029】
マイナス電極201には、陽極化成処理の際にシリコン基板100の表面から発生するガス(典型的には、水素ガス)がマイナス電極201の下部に溜まることを防止するために、多数の孔201aが設けられている。このような孔201aをマイナス電極201に設ける代わりに、マイナス電極201をメッシュ状にすることも有効である。ここで、マイナス電極201の下部にガスが溜まると、その部分では電流が流れないために、陽極化成処理の効率を低下させたり、基板100の均一な処理を妨げたりする可能性がある。
【0030】
マイナス電極201は、陽極化成用の処理液に対して耐性のある材料で構成されることが好ましい。例えば、陽極化成用の処理液としてHF含有溶液を採用する場合は、マイナス電極201は、耐HF製の材料である白金等で構成されることが好ましい。
【0031】
陽極化成処理を実施する際は、吸着パッド251に吸着された基板100の裏面には、プラス電極221が押し当てられる。プラス電極221は、少なくとも基板100と接触する部分が、基板100と同質の材料、即ちシリコン材料で構成されることが好ましい。このシリコン材料は、比抵抗が小さいことが好ましい。プラス電極221をシリコン材料で構成することにより、シリコン基板100がプラス電極221の構成材料によって汚染されることを防止することができる。プラス電極221は、陽極化成用の処理液(例えば、HF含有溶液)に接触しないため、プラス電極221をシリコン材料で構成した場合においても、その表面が変質する可能性は低い。
【0032】
プラス電極221の表面には、基板100の裏面を吸着するために、真空吸着用の環状の溝221aが設けられている。この溝221aは、吸引孔221bを通して不図示の真空ポンプに接続される。
【0033】
プラス電極221は、下部電極222上に固定される。下部電極222は、プラス電極221の全面に同電位の電圧を印加するための電極である。下部電極222には、プラス電極221を着脱するための機構を設けることが好ましい。これは、プラス電極221が汚染された場合や損傷した場合に該プラス電極221を交換する作業を容易にするために有用である。
【0034】
基板100に陽極化成処理を施す際、下部電極222(及びこれに電気的に接続されたプラス電極221)にはプラス電位が与えられ、マイナス電極201にはマイナス電位が与えられ、これによりプラス電極221から基板100及び電解質溶液(例えば、HF含有溶液)280を介してマイナス電極201に電流が流れ、シリコン基板100の表面(マイナス電極側)が多孔質化される。
【0035】
下部電極222は、接触保証機構230を介して、昇降機構241のピストンロッド(支持部材)240に連結されている。接触保証機構230は、下部電極222上に配置されたマイナス電極221の表面(接触面)の全面が基板100に密着することを保証すべく、プラス電極221の向き又は形状の変化を許容して、プラス電極221の表面(接触面)を基板100の裏面にならわせる。
【0036】
このような接触保証機構230を設けることにより、昇降機構241によって小さい力でプラス電極221を基板100に押しつけた場合においても、プラス電極221の接触面の全体を基板100の裏面に密着させることができる。したがって、昇降機構241による過剰な押圧力により基板100と吸着パッド251との間に隙間が生じて電解質溶液280が陽極化成槽211の底部から漏れ出すことも防止される。
【0037】
上記のように、プラス電極の接触面の全体を基板の裏面に密着させることにより、各基板に形成される多孔質層の厚さ一様にし、基板間における多孔質層のばらつきを低減し、陽極化成の不良を低減することができる。また、陽極化成装置の製造の側面から見ると、例えば、プラス電極構造体290や昇降機構241に要求される加工精度が緩和される。これにより、陽極化成装置の製造コストを低下させることができる。
【0038】
接触保証機構230は、例えば、ゴム又はバネのような柔軟性を有する部材(押圧により容易に変形する部材)により構成することができる。
【0039】
この実施の形態では、プラス電極221、下部電極222、接触保証機構230等によりプラス電極構造体290が構成されている。なお、この実施の形態では、プラス電極221と接触保証機構230との間に下部電極(下部プラス電極)222が配置されているが、プラス電極221に直接接触保証機構230が連結されてもよい。また、下部電極222と接触保証機構230との間に更に他の部材が配置されてもよい。
【0040】
陽極化成槽211には、電解質溶液の供給ポート261、並びに、電解質溶液及び洗浄液の排出ポート262が設けられている。
【0041】
陽極化成槽211の外部には、陽極化成槽211に処理すべき基板を提供し及び処理された基板を陽極化成槽211から他の装置又は基板収容具(例えば、ウエハキャリア)に移送するロボット270が配置されている。ロボット270は、例えば支持台270上に配置される。ロボット270は、基板の裏面を吸着して保持するように構成されたロボットハンド271を有することが好ましい。このようなロボットハンド271を採用することにより、処理すべき基板の表面(多孔質層を形成すべき面)が汚染されたり、多孔質層が形成された基板の該多孔質層が汚染又は損傷を受けたりすることを防止することができる。
【0042】
陽極化成槽211の上部には、陽極化成処理の後の基板を洗浄及び乾燥させるための洗浄/乾燥機構300が配置されている。洗浄/乾燥機構300は、昇降機構等を含む駆動機構によって駆動される。すなわち、マイナス電極201を電極駆動機構204によって回動させる際やロボット270が陽極化成槽211の上部で基板を操作する際には、その邪魔にならないように、洗浄/乾燥機構300は、例えば、上方の所定の待避位置に移動される。
【0043】
次に、図4〜図7を参照しながら本発明の好適な実施の形態の陽極化成装置の動作及びそれによる処理手順を説明する。ここで、図4は、陽極化成処理の様子を示す図、図5は、ロボット270とプラス電極構造体290との間の基板の受け渡しの様子を示す図、図6は、陽極化成処理後の基板の洗浄処理の様子を示す図、図7は、洗浄処理後の基板の乾燥処理(洗浄液の除去)の様子を示す図である。
【0044】
まず、図5に示すように、ロボット270が処理対象の基板100をプラス電極構造体290のプラス電極221上に載置する。具体的には、昇降機構241がプラス電極構造体290を所定の高さまで上昇させる一方、ロボット270がロボットハンド271により基板100の裏面の一部を吸着保持して基板100をプラス電極221上に載置する。この状態で、プラス電極221の表面に形成された環状の溝221a内を吸引孔221bを通して不図示の真空ポンプにより減圧することにより、プラス電極221の表面(接触面)に基板100が吸着される。
【0045】
次いで、ロボット270がロボットハンド271を待避させ、その後、昇降機構241がピストンロッド240を収容することにより、基板10の裏面が陽極化成槽211の底部の吸着パッド251に接触するまで、プラス電極構造体290を下降させる。
【0046】
次いで、吸着パッド251の表面に形成された環状の溝251a内を吸引孔251bを通して不図示の真空ポンプにより減圧することにより、基板100が吸着パッド251の表面に吸着される。これにより、陽極化成槽211の底部がシールされ、その中に陽極化成用の電解質溶液280を満たすことができる状態となる。
【0047】
次いで、図4に示すように、供給ポート261を通して陽極化成用の電解質溶液(典型的には、HF含有溶液)280を陽極化成槽211内に供給して槽内を電解質溶液280で満たすとともに排出ポート262を通して電解質溶液280を排出しながら、不図示の循環系により電解質溶液280を循環させる。
【0048】
電解質溶液280を循環させた状態で、不図示の電源装置によりマイナス電極201とプラス電極221との間に電圧を印加して、シリコン基板100に陽極化成処理を施す。この処理によりシリコン基板100の表面が多孔質化され多孔質シリコン層が形成される。
【0049】
次いで、電圧の印加及び電解質溶液280の供給を停止し、排出ポート262を通して陽極化成槽211内の全ての電解質溶液280を排出する。
【0050】
次いで、洗浄/乾燥機構300のノズルからマイナス電極201に洗浄液(例えば、純水)を供給してマイナス電極201を洗浄し、その後、電極駆動機構204によりマイナス電極201を陽極化成槽211の外の適当な場所に移動させる。なお、マイナス電極201を洗浄する際、洗浄/乾燥機構300をマイナス電極201の近くまで移動させてもよい。
【0051】
次いで、図6に示すように、洗浄/乾燥機構300を不図示の駆動機構により所定の位置まで下降させて、洗浄/乾燥機構300のノズルから基板100上に洗浄液(例えば、純水)を供給し、これにより基板100を洗浄する。洗浄に使われた洗浄液は、排出ポート262を通して排出される。
【0052】
次いで、図7に示すように、洗浄/乾燥機構300のノズルから基板100上に乾燥用ガス(例えば、窒素ガス)を供給し、これにより基板100に付着している洗浄液を除去する。これにより、陽極化成処理、洗浄処理及び乾燥処理からなる一連の処理が終了する。
【0053】
この実施の形態では、洗浄機構と乾燥機構とが一体化されているが、これらを別個に設けてもよい。
【0054】
次いで、図5に示すように、処理後の基板100を陽極化成槽211からロボット270に引き渡す。具体的には、吸着パッド251及びプラス電極221による基板100の吸着を解除した後に、昇降機構241がプラス電極構造体290を所定の高さまで上昇させる一方、ロボット270がロボットハンド271を基板100の受け取り位置まで伸ばして、基板100の裏面の一部をロボットハンド271により吸着保持した後に、他の装置又は基板収容具(例えば、ウエハキャリア)に移送する。
【0055】
以上のような処理を複数の基板について繰り返すことにより、複数の基板を処理することができる。なお、ここでは、1つの陽極化成装置200により、陽極化成処理、洗浄処理及び乾燥処理を実施するが、これらの処理の全部又は一部を他の装置によって実施してもよい。或いは、1つの陽極化成装置200により、陽極化成処理、洗浄処理及び乾燥処理に加えて、更に他の処理(例えば、陽極化成処理の前の洗浄処理等)をも実施してもよい。
【0056】
以上のように、この実施の形態の陽極化成装置200のプラス電極構造体290には、プラス電極221の向き又は形状の変化を許容し、プラス電極221の表面(接触面)を基板100の裏面にならわせる接触保証機構230が設けられている。このような構成によれば、昇降機構241によって小さい力でプラス電極221を基板100に押しつけた場合においても、プラス電極221の接触面の全体を基板100の裏面に密着させることができる。したがって、昇降機構241による過剰な押圧力により基板100と吸着パッド251との間に隙間が生じて電解質溶液280が陽極化成槽211の底部から漏れ出すことも防止される。
【0057】
上記のような接触保証機構230は、上記のようなゴム又はバネのような柔軟性を有する部材によって構成することができる他、種々の機構によって構成することができる。
【0058】
図8は、接触保証機構の他の構成例を示す図である。なお、図8では、プラス電極構造体が抜き出して記載されており、他の構成要素は省略されている。図8に示す構成例では、前述の下部電極222に代えて、下部に円錐状のくり貫き部402を有する下部電極401が採用されている。また、接触保証機構としては、半球状等の曲面を有する部材231が採用されている。接触保証機構としての部材231は、その曲面が下部電極401のくり貫き部402の面に滑らかに接触し、下部電極401上のプラス電極221の表面(接触面)が基板100の裏面にならうように向きを変えることを許容する。このような構成は、フレキシブルジジョイントの一例である。
【0059】
図9は、接触保証機構の更に他の構成例を示す図である。なお、図9では、プラス電極構造体が抜き出して記載されており、他の構成要素は省略されている。図9に示す構成例では、前述のプラス電極211に代えて、柔軟性のある導電性材料(例えば、アクセプタ又はドナーが添加されたポリアセチレン等の導電性ポリマー)で構成された柔軟性のあるプラス電極410が採用されている。プラス電極410は、その柔軟性により基板100との接触面(表面)が変形するように構成されている。また、プラス電極410は、その下部に、括れ部分411を有し、プラス電極410の接触面が小さな力で容易に向きを変えることができるように構成されている。
【0060】
上記の陽極化成装置に適用された発明は、基板に対して陽極化成以外の処理を実施するための処理装置にも適用することができる。すなわち、本発明は、第1及び第2電極の間で基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持部によって保持し、第1電極を該基板の一方の面に対向させて配置し、第2電極を該基板の他方の面に接触させ、第1電極と該基板との間に電解質溶液を満たして該基板を処理する装置に適用することができる。このような装置による陽極化成以外の処理の例としては、例えば、めっき処理を挙げることができる。
【0061】
[処理装置の適用例]
以下、上記の陽極化成装置を半導体基板の製造方法に適用した例として、SOI基板等の基板の製造方法を例示的に説明する。
【0062】
図10は、本発明の好適な実施の形態に係る基板の製造方法を説明する図である。
【0063】
まず、図10(a)に示す工程では、第1の基板(seed wafer)10を形成するための単結晶Si基板11を用意して、上記の陽極化成装置200を利用して、その主表面上に分離層としての多孔質Si層12を形成する。多孔質Si層12は、例えば、電解液(化成液)中で単結晶Si基板11に陽極化成処理(陽極処理)を施すことによって形成することができる。
【0064】
ここで、電解液としては、例えば、弗化水素を含む溶液、弗化水素及びエタノールを含む溶液、弗化水素及びイソプロピルアルコールを含む溶液等が好適である。より具体的な例を挙げると、電解液としては、例えば、HF水溶液(HF濃度=49wt%)とエタノールを体積比2:1で混合した混合液が好適である。
【0065】
また、多孔質Si層12を互いに多孔度の異なる2層以上の層からなる多層構造としてもよい。ここで、多層構造の多孔質Si層12は、表面側に第1の多孔度を有する第1の多孔質Si層、その下に、第1の多孔度より大きい第2の多孔度を有する第2の多孔質Si層を含むことが好ましい。このような多層構造を採用することにより、後の非多孔質層13の形成工程において、第1の多孔質Si層上に、欠陥等の少ない非多孔質層13を形成することができると共に、後の分離工程において、所望の位置で貼り合わせ基板(結合基板)を分離することができる。ここで、第1の多孔度としては、10%〜30%が好ましく、15%〜25%が更に好ましい。また、第2の多孔度としては、35%〜70%が好ましく、40%〜60%が更に好ましい。
【0066】
電解質溶液として上記の混合液(HF濃度が49wt%の弗化水素酸:エタノール=2:1)を利用する場合は、例えば、電流密度8mA/cm2、処理時間5〜11minの条件で第1層(表面側)を生成し、次いで、電流密度23〜33mA/cm2、処理時間80sec〜2minの条件で第2層(内部側)を生成することが好ましい。
【0067】
このように、多孔質層12を形成するために上記の陽極化成装置200を利用することにより、処理槽内に配置された陽極から溶出する金属による第1の基板10の汚染を低減することができる。
【0068】
次いで、次の(1)〜(4)の少なくとも1つの工程を実施することが好ましい。ここで、(1)、(2)を順に実施することが好ましく、(1)、(2)、(3)を順に実施すること、或いは、(1)、(2)、(4)を順に実施することが更に好ましく、(1)、(2)、(3)、(4)を順に実施することが最も好ましい。
【0069】
(1)多孔質Si層の孔壁に保護膜を形成する工程(プリ酸化工程)
この工程では、多孔質Si層12の孔壁に酸化膜や窒化膜等の保護膜を形成し、これにより、後の熱処理による孔の粗大化を防止する。保護膜は、例えば、酸素雰囲気中で熱処理(例えば、200℃〜700℃が好ましく、300℃〜500℃が更に好ましい)を実施することにより形成され得る。その後、多孔質Si層12の表面に形成された酸化膜等を除去することが好ましい。これは、例えば、弗化水素を含む溶液に多孔質Si層12の表面を晒すことによって実施され得る。
【0070】
(2)水素ベ−キング工程(プリベーキング工程)
この工程では、水素を含む還元性雰囲気中において800℃〜1200℃で、多孔質Si層12が形成された第1の基板1に熱処理を実施する。この熱処理により、多孔質Si層12の表面の孔をある程度封止することができると共に、多孔質Si層12の表面に自然酸化膜が存在する場合には、それを除去することができる。
【0071】
(3)微量原料供給工程(プリインジェクション工程)
多孔質Si層12上に非多孔質層13を成長させる場合は、成長の初期段階で非多孔質層13の原料物質の供給を微少量として、低速度で非多孔質膜13を成長させることが好ましい。このような成長方法により、多孔質Si層12の表面の原子のマイグレーションが促進され、多孔質Si層12の表面の孔を封止することができる。具体的には、成長速度が20nm/min以下、好ましくは10nm/min以下、より好ましくは2nm/min以下になるように原料の供給を制御する。
【0072】
(4)高温ベーキング工程(中間ベーキング工程)
上記の水素ベーキング工程及び/又は微量原料供給工程における処理温度よりも高い温度で、水素を含む還元性雰囲気中で熱処理を実施することにより、多孔質Si層12の更なる封止及び平坦化が実現することができる。
【0073】
次いで、図10(b)に示す工程の第1段階では、多孔質Si層12上に第1の非多孔質層13を形成する。第1の非多孔質層13としては、単結晶Si層、多結晶Si層、非晶質Si層等のSi層、Ge層、SiGe層、SiC層、C層、GaAs層、GaN層、AlGaAs層、InGaAs層、InP層、InAs層等が好適である。
【0074】
次いで、図10(b)に示す工程の第2段階では、第1の非多孔質層13の上に第2の非多孔質層としてSiO2層(絶縁層)14を形成する。これにより第1の基板10が得られる。SiO2層14は、例えば、O2/H2雰囲気、1100℃、10〜33minの条件で生成され得る。
【0075】
次いで、図10(c)に示す工程では、第2の基板(handle wafer)20を準備し、第1の基板10と第2の基板20とを、第2の基板20と絶縁層14とが面するように室温で密着させて貼り合わせ基板(結合基板)30を作製する。
【0076】
なお、絶縁層14は、上記のように単結晶Si層13側に形成しても良いし、第2の基板20上に形成しても良く、両者に形成しても良く、結果として、第1の基板と第2の基板を密着させた際に、図10(c)に示す状態になれば良い。しかしながら、上記のように、絶縁層14を活性層となる第1の非多孔質層(例えば、単結晶Si層)13側に形成することにより、第1の基板10と第2の基板20との貼り合せの界面を活性層から遠ざけることができるため、より高品位のSOI基板等の半導体基板を得ることができる。
【0077】
基板10、20が完全に密着した後、両者の結合を強固にする処理を実施することが好ましい。この処理の一例としては、例えば、1)N2雰囲気、1100℃、10minの条件で熱処理を実施し、2)O2/H2雰囲気、1100℃、50〜100minの条件で熱処理(酸化処理)を実施する処理が好適である。この処理に加えて、或いは、この処理に代えて、陽極接合処理及び/又は加圧処理を実施してもよい。
【0078】
第2の基板20としては、Si基板、Si基板上にSiO2層を形成した基板、石英等の光透過性の基板、サファイヤ等が好適である。しかし、第2の基板20は、貼り合わせ(結合)に供される面が十分に平坦であれば十分であり、他の種類の基板であってもよい。
【0079】
次いで、図10(d)に示す工程では、貼り合わせ基板(結合基板)30を機械的強度が脆弱な多孔質層12の部分で分離する。この分離方法としては、各種の方法を採用しうるが、例えば、流体を多孔質層12に打ち込む方法、或いは、流体により多孔質層12に静圧を印加する方法など、流体を利用する方法が好ましい。
【0080】
この分離工程により、第1の基板10の移設層(非多孔質層13、絶縁層14)が第2の基板20上に移設される。なお、第1の基板10の多孔質層12上に非多孔質層13のみを形成する場合の移設層は、非多孔質層13のみである。
【0081】
図10(e)に示す工程では、分離後の第2の基板20上の多孔質層12”をエッチング等により選択的に除去する。これにより、絶縁層14上に非多孔質層13を有する基板が得られる。例えば、非多孔質層13が半導体層である場合、このような半導体層は、SOI層(Semiconductor On Insulator)と呼ばれ、また、このようなSOI層を有する基板は、SOI基板と呼ばれる。
【0082】
更に、分離後の第1の基板10’の単結晶Si基板11上の多孔質層12’をエッチング等により選択的に除去する。このようにして得られる単結晶Si基板11は、再び第1の基板10を形成するための基板、又は第2の基板20として利用され得る。
【0083】
[半導体基板の適用例]
次の上記の製造方法により製造される半導体基板の製造方法の一例を説明する。
【0084】
図11は、本発明の好適な実施の形態に係る基板の製造方法を適用して製造され得る半導体基板を利用した半導体装置の製造方法を示す図である。
【0085】
まず、非多孔質層13として半導体層、非多孔質層14として絶縁層を有するSOI基板を上記の基板の製造方法を適用して製造する。そして、埋め込み絶縁膜14上の非多孔質半導体層(SOI層)13を島状にパタニングする方法、又は、LOCOSと呼ばれる酸化法等により、トランジスタを形成すべき活性領域13’及び素子分離領域54を形成する(図11(a)参照)。
【0086】
次いで、SOI層の表面にゲート絶縁膜56を形成する(図11(a)参照)。ゲート絶縁膜56の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、及びこれらの混合物ガラス等が好適である。ゲート酸化膜56は、例えば、SOI層の表面を酸化させたり、CVD法又はPVD法によりSOI層の表面に該当する物質を堆積させたりすることにより形成され得る。
【0087】
次いで、ゲート絶縁膜56上にゲート電極55を形成する(図11(a)参照)。ゲート電極55は、例えば、P型又はN型不純物がドープされた多結晶シリコンや、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、アルミニウム、銅などの金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金や、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイド、コバルトシリサイドなどの金属珪化物や、チタンナイトライド、タングステンナイトライド、タンタルナイトライドなどの金属窒化物などで構成され得る。ゲート絶縁膜56は、例えばポリサイドゲートのように、互いに異なる材料からなる複数の層を積層して形成されてもよい。ゲート電極55は、例えば、サリサイド(セルフアラインシリサイド)と呼ばれる方法で形成されてもよいし、ダマシンゲートプロセスと呼ばれる方法で形成してもよいし、他の方法で形成してもよい。以上の工程により図11(a)に示す構造体が得られる。
【0088】
次いで、燐、砒素、アンチモンなどのN型不純物又はボロンなどのP型不純物を活性領域13’に導入することにより、比較的低濃度のソース、ドレイン領域58を形成する(図11(b)参照)。不純物は、例えば、イオン打ち込み及び熱処理などにより導入することができる。
【0089】
次いで、ゲート電極55を覆うようにして絶縁膜を形成した後に、これをエッチバックすることにより、ゲート電極59の側部にサイドウォール59を形成する。
【0090】
次いで、再び上記と同一の導電型の不純物を活性領域13’に導入し、比較的高濃度のソース、ドレイン領域57を形成する。以上の工程により図11(b)に示す構造体が得られる。
【0091】
次いで、ゲート電極55の上面並びにソース及びドレイン領域57の上面に金属珪化物層60を形成する。金属珪化物層60の材料としては、例えば、ニッケルシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイドなどが好適である。これらの珪化物は、ゲート電極55の上面並びにソース及びドレイン領域57の上面を覆うように金属を堆積させて、その後、熱処理を施すことによって、該金属とその下部のシリコンとを反応させた後に、該金属のうち未反応部分を硫酸などのエッチャントで除去することによって形成することができる。ここで、必要に応じて、珪化物層の表面を窒化させてもよい。以上の工程により図11(c)に示す構造体が得られる。
【0092】
次いで、シリサイド化したゲート電極の上面並びにソース及びドレイン領域の上面を覆うように絶縁膜61を形成する(図11(d)参照)。絶縁膜61の材料としては、燐及び/又はボロンを含む酸化シリコンなどが好適である。
【0093】
次いで、必要に応じて、CMP法により絶縁膜61にコンタクトホールを形成する。KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザ、電子ビーム、X線等を利用したフォトリソグラフィー技術を適用すると、一辺が0.25ミクロン未満の矩形のコンタクトホール、又は、直径が0.25ミクロン未満の円形のコンタクトホールを形成することができる。
【0094】
次いで、コンタクトホール内に導電体を充填する。導電体の充填方法としては、バリアメタル62となる高融点金属やその窒化物の膜をコンタクトホールの内壁に形成した後に、タングステン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの導電体63を、CVD法、PVD法、めっき法などを利用して堆積させる方法が好適である。ここで、絶縁膜61の上面よりも高く堆積した導電体をエッチバック法やCMP法により除去してもよい。また、導電体の充填に先立って、コンタクトホールの底部に露出したソース及びドレイン領域の珪化物層の表面を窒化させてもよい。以上の工程によりSOI層にFET等のトランジスタを作り込むことができ、図11(d)に示す構造のトランジスタを有する半導体装置が得られる。
【0095】
ここで、ゲート電極に電圧を印加してゲート絶縁膜下に広がる空乏層が埋め込み絶縁膜14の上面に届くように活性層(SOI層)10’の厚さ及び不純物濃度を定めると、形成されたトランジスタは、完全空乏型トランジスタとして動作する。また、空乏層が埋め込み酸化膜14の上面に届かないように活性層(SOI層)10’の厚さ及び不純物濃度を定めると、形成されたトランジスタは、部分空乏型トランジスタとして動作する。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、陽極化成装置等の基板処理装置において、例えば、保持部によって保持された基板に対して電極を強い力で押しつけることなく、電極をより確実に基板に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】特開2000−277478号公報に開示された陽極化成装置を部分的に抜き出して記載した図である。
【図2】プラス電極の昇降機構の加工精度が低い場合における問題点を説明するための図面である。
【図3】プラス電極の昇降機構の加工精度が低い場合における問題点を説明するための図面である。
【図4】本発明の好適な実施の形態の陽極化成装置の構成及び陽極化成処理の様子を示す図である。
【図5】ロボットとプラス電極構造体との間の基板の受け渡しの様子を示す図である。
【図6】極化成処理後の基板の洗浄処理の様子を示す図である。
【図7】洗浄処理後の基板の乾燥処理(洗浄液の除去)の様子を示す図である。
【図8】接触保証機構の他の構成例を示す図である。
【図9】接触保証機構の更に他の構成例を示す図である。
【図10】本発明の好適な実施の形態に係る基板の製造方法を説明する図である。
【図11】本発明の好適な実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
500 基板
501 マイナス電極
502 プラス電極
505 陽極化成槽
506 電解質溶液
507 吸着パッド
100 基板
201 マイナス電極
202、203 連結部材
204 電極駆動機構
211 陽極化成槽
212 支持部材
213 支持台
221 プラス電極
221a 溝
221b 吸引孔
222 下部電極
222a 溝
222b 吸引孔
230 接触保証機構
240 ピストンロッド
241 昇降機構
251 吸着パッド
251a 溝
251b 吸引孔
261 供給ポート
262 排出ポート
270 ロボット
271 ロボットハンド
280 電解質溶液
プラス電極構造体
300 洗浄/乾燥機構
401 下部電極
402 くり貫き部
231 接触保証機構
410 プラス電極
411 括れ部分
10 第1の基板
11 単結晶Si基板
12 多孔質Si層
13 単結晶Si層
14 絶縁層
20 第2の基板
30 貼り合わせ基板(結合基板)
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽極化成装置及び陽極化成方法、基板製造方法、並びに、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多孔質シリコンは、A.Uhlir及びD.R.Turnerにより、弗化水素酸の水溶液中において単結晶シリコンを正電位にバイアスして、これを電解研磨する研究の過程で発見された。
【0003】
その後、多孔質シリコンの反応性に富む性質を利用して、該多孔質シリコンをシリコン集積回路の製造の際の素子分離工程に応用する検討がなされ、多孔質シリコン酸化膜による完全分離技術(FIPOS: Full Isolation by Porous Oxidized Silicon)等が開発された(K.Imai,Solid State Electron 24, 159,1981)。
【0004】
また、最近では、多孔質シリコン基板上にシリコンエピタキシャル層を成長させて、該基板を酸化膜を介して非晶質基板や単結晶シリコン基板に貼り合せる直接接合技術等への応用技術が開発された(特開平5−21338号公報)。
【0005】
その他の応用として、多孔質シリコンは、それ自体が発光するフォトルミネッセンスやエレクトロルミネッセンス材料としても注目されている(特開平6−338631号公報)。
【0006】
シリコン基板に陽極化成により多孔質シリコン層を形成する陽極化成装置が特開2000−277478号公報に開示されている。図1は、特開2000−277478号公報に開示された陽極化成装置を部分的に抜き出して記載した図である。特開2000−277478号公報に開示された陽極化成装置は、底部に開口部を有しその周囲に吸着パッド507を有する陽極化成槽505と、処理対象の基板500の上方に配置されるマイナス電極501と、基板500の下面に押し当てられるプラス電極502を有する。
【0007】
基板500にプラス電極502を接触させるとともに基板500の上方にマイナス電極501を配置し、陽極化成槽505内に電解質溶液506を満たした状態で、プラス電極502とマイナス電極501との間に電流を流すことにより、基板500のマイナス電極501側の面が陽極化成により多孔質化され、多孔質シリコン層が形成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000−277478号公報に開示された上記の陽極化成装置では、基板に均一な多孔質層を形成するためには、プラス電極502の全面を基板500の下面に密着させるべきである。また、基板500と吸着パッド507との間から電解質溶液が漏れることは好ましくない。このような要求は、プラス電極502の昇降機構の加工精度を高めることにより満たすことができる。
【0009】
しかしながら、プラス電極502の昇降機構の加工精度が悪い場合には、図2に強調して示したように、プラス電極502の全面を基板500に密着させることができない。このような陽極化成装置において、プラス電極502の全面を基板500に密着させるために、基板500に対するプラス電極502の押しつけ力を強くすると、図3に強調して示すように、基板500の一部が吸着パッド507から離れて、その部分から電解質溶液が漏れ出す可能性がある。
【0010】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、陽極化成装置等の基板処理装置において、例えば、保持部によって保持された基板に対して電極を強い力で押しつけることなく、電極をより確実に基板に密着させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面は、陽極化成装置に係り、該装置は、処理対象の基板を保持する保持部と、該基板に対向させて配置されるマイナス電極と、該基板に接触する接触面を有するプラス電極を含むプラス電極構造体と、該基板と前記マイナス電極との間に電解質溶液を満たすための陽極化成槽とを備える。ここで、前記プラス電極構造体は、前記接触面を該基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならうように、前記プラス電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有する。
【0012】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記プラス電極構造体は、例えば、支持部材と、前記プラス電極と前記支持部材との間に配置された柔軟性を有する連結部材とを含むことが好ましい。ここで、前記連結部材は、例えば、ゴム又はバネを含んで構成され得る。
【0013】
或いは、前記プラス電極構造体は、前記プラス電極又は前記プラス電極と一体をなす部材を支持する支持部材を含み、前記プラス電極又は前記プラス電極と一体をなす部材と前記支持部材とが、前記プラス電極の向きの変化を許容するように滑らかに接触していてもよい。
【0014】
或いは、前記プラス電極は、前記接触面を基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならって変形するように柔軟性を有してもよい。
【0015】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記陽極化成装置は、前記プラス電極構造体を駆動して前記接触面を基板に接触させる駆動機構を更に備えることが好ましい。
【0016】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記陽極化成槽は、開口部を有し、前記基板保持部は、前記開口部の周囲に環状に設けられており、前記プラス電極は、前記開口部を通して基板に押し当てられることが好ましい。
【0017】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記保持部は、実質的に水平に基板を保持することが好ましい。
【0018】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記陽極化成装置は、基板に陽極化成処理が施された後に、該基板を洗浄すべく該基板に洗浄液を供給する機構を更に備えることが好ましい。
【0019】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記陽極化成装置は、基板に付着した液体を除去する機構を更に備えることが好ましい。
【0020】
本発明の第2の側面は、陽極化成方法に係り、該方法は、保持部によって基板を保持し、該基板の一方の面に対向させてマイナス電極を配置し、該基板の他方の面にプラス電極を接触させる準備工程と、前記マイナス電極と該基板との間に電解質溶液を満たした状態で、前記マイナス電極と前記プラス電極との間に電流を流して該基板の該一方の面を陽極化成して多孔質層を形成する陽極化成工程とを含む。ここで、前記準備工程では、前記プラス電極を含むプラス電極構造体を操作して前記プラス電極を該基板の該他方の面に接触させ、前記プラス電極構造体は、前記プラス電極が該基板に接触する接触面が該基板にならうように、前記プラス電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有する。
【0021】
本発明の第3の側面は、基板製造方法に係り、該方法は、上記の陽極化成方法に従って基板の表面に多孔質層を形成する工程と、前記多孔質層上に少なくとも半導体層を有する第1の基板を作成する工程と、前記第1の基板の前記半導体層側の面に第2の基板を結合させて結合基板を作製する工程と、前記多孔質層の部分で前記結合基板を2枚の基板に分離する工程とを含む。
【0022】
本発明の第4の側面は、基板処理装置に係り、該装置は、処理対象の基板を保持する保持部と、該基板に対向させて配置される第1電極と、該基板に接触する接触面を有する第2電極を含む第2電極構造体と、該基板と前記第1電極との間に電解質溶液を満たすための処理槽とを備える。ここで、前記第2電極構造体は、前記接触面を該基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならうように前記第2電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有する。
【0023】
本発明の第5の側面は、基板処理方法に係り、該方法は、保持部によって基板を保持し、該基板の一方の面に対向させて第1電極を配置し、該基板の他方の面に第2電極を接触させる準備工程と、前記第1電極と該基板との間に電解質溶液を満たした状態で、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して該基板を処理する処理工程とを含む。ここで、前記準備工程では、前記第2電極を含む第2電極構造体を操作して前記第2電極を該基板の該他方の面に接触させ、前記第2電極構造体は、前記第2電極が該基板に接触する接触面が該基板にならうように前記第2電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0025】
図4は、本発明の好適な実施の形態の陽極化成装置(基板処理装置)の構成を示す図である。この実施の形態の陽極化成装置200は、陽極化成処理、洗浄処理、乾燥処理を含む一連の処理を実施することができる。従って、この陽極化成装置200によれば、陽極化成処理、洗浄処理及び乾燥処理を個別に実施するために各装置間で基板を搬送する必要がないため、例えば、1)生産性が高く、2)基板を落下させる可能性がなく、また、3)装置の小型化が可能である。
【0026】
陽極化成装置200は、処理対象の基板100を水平に支持して処理するように構成されている。従って、この陽極化成装置200によれば、例えば、基板を水平に保持して搬送する搬送ロボットから基板100を受け取る場合において、基板100を回転(例えば、垂直にする)させることなく、その基板に一連の処理を施すことができるため、基板100を操作する効率を向上させることができる。ただし、本発明は、基板をその面が鉛直方向に沿うように配置して処理する装置にも適用可能である。
【0027】
陽極化成装置200は、底部に開口部を有する陽極化成槽211を有する。陽極化成槽211は、支持部材212により支持台213上に支持されている。陽極化成槽211は、その底部に円形状の開口部を有し、該開口部の周囲には環状の吸着パッド(保持部)251が配置されている。吸着パッド251は、処理対象の基板100の裏面(ここでは、多孔質層を形成すべき面を表面、その裏側の面を裏面という)の周辺部を吸着するように寸法及び形状が定められている。吸着パッド251には、環状の溝251aが形成され、該溝251aは、吸引孔251bを通じて不図示の真空ポンプに接続されている。
【0028】
陽極化成処理を実施する際は、吸着パッド251に吸着された基板100の上方には、マイナス電極201が配置される。マイナス電極201は、連結部材202及び203によって電極駆動機構(例えば、モータ)204に連結されており、マイナス電極201が不要な場合及び邪魔になる場合には、電極駆動機構204により槽外の適当な場所に移動される。
【0029】
マイナス電極201には、陽極化成処理の際にシリコン基板100の表面から発生するガス(典型的には、水素ガス)がマイナス電極201の下部に溜まることを防止するために、多数の孔201aが設けられている。このような孔201aをマイナス電極201に設ける代わりに、マイナス電極201をメッシュ状にすることも有効である。ここで、マイナス電極201の下部にガスが溜まると、その部分では電流が流れないために、陽極化成処理の効率を低下させたり、基板100の均一な処理を妨げたりする可能性がある。
【0030】
マイナス電極201は、陽極化成用の処理液に対して耐性のある材料で構成されることが好ましい。例えば、陽極化成用の処理液としてHF含有溶液を採用する場合は、マイナス電極201は、耐HF製の材料である白金等で構成されることが好ましい。
【0031】
陽極化成処理を実施する際は、吸着パッド251に吸着された基板100の裏面には、プラス電極221が押し当てられる。プラス電極221は、少なくとも基板100と接触する部分が、基板100と同質の材料、即ちシリコン材料で構成されることが好ましい。このシリコン材料は、比抵抗が小さいことが好ましい。プラス電極221をシリコン材料で構成することにより、シリコン基板100がプラス電極221の構成材料によって汚染されることを防止することができる。プラス電極221は、陽極化成用の処理液(例えば、HF含有溶液)に接触しないため、プラス電極221をシリコン材料で構成した場合においても、その表面が変質する可能性は低い。
【0032】
プラス電極221の表面には、基板100の裏面を吸着するために、真空吸着用の環状の溝221aが設けられている。この溝221aは、吸引孔221bを通して不図示の真空ポンプに接続される。
【0033】
プラス電極221は、下部電極222上に固定される。下部電極222は、プラス電極221の全面に同電位の電圧を印加するための電極である。下部電極222には、プラス電極221を着脱するための機構を設けることが好ましい。これは、プラス電極221が汚染された場合や損傷した場合に該プラス電極221を交換する作業を容易にするために有用である。
【0034】
基板100に陽極化成処理を施す際、下部電極222(及びこれに電気的に接続されたプラス電極221)にはプラス電位が与えられ、マイナス電極201にはマイナス電位が与えられ、これによりプラス電極221から基板100及び電解質溶液(例えば、HF含有溶液)280を介してマイナス電極201に電流が流れ、シリコン基板100の表面(マイナス電極側)が多孔質化される。
【0035】
下部電極222は、接触保証機構230を介して、昇降機構241のピストンロッド(支持部材)240に連結されている。接触保証機構230は、下部電極222上に配置されたマイナス電極221の表面(接触面)の全面が基板100に密着することを保証すべく、プラス電極221の向き又は形状の変化を許容して、プラス電極221の表面(接触面)を基板100の裏面にならわせる。
【0036】
このような接触保証機構230を設けることにより、昇降機構241によって小さい力でプラス電極221を基板100に押しつけた場合においても、プラス電極221の接触面の全体を基板100の裏面に密着させることができる。したがって、昇降機構241による過剰な押圧力により基板100と吸着パッド251との間に隙間が生じて電解質溶液280が陽極化成槽211の底部から漏れ出すことも防止される。
【0037】
上記のように、プラス電極の接触面の全体を基板の裏面に密着させることにより、各基板に形成される多孔質層の厚さ一様にし、基板間における多孔質層のばらつきを低減し、陽極化成の不良を低減することができる。また、陽極化成装置の製造の側面から見ると、例えば、プラス電極構造体290や昇降機構241に要求される加工精度が緩和される。これにより、陽極化成装置の製造コストを低下させることができる。
【0038】
接触保証機構230は、例えば、ゴム又はバネのような柔軟性を有する部材(押圧により容易に変形する部材)により構成することができる。
【0039】
この実施の形態では、プラス電極221、下部電極222、接触保証機構230等によりプラス電極構造体290が構成されている。なお、この実施の形態では、プラス電極221と接触保証機構230との間に下部電極(下部プラス電極)222が配置されているが、プラス電極221に直接接触保証機構230が連結されてもよい。また、下部電極222と接触保証機構230との間に更に他の部材が配置されてもよい。
【0040】
陽極化成槽211には、電解質溶液の供給ポート261、並びに、電解質溶液及び洗浄液の排出ポート262が設けられている。
【0041】
陽極化成槽211の外部には、陽極化成槽211に処理すべき基板を提供し及び処理された基板を陽極化成槽211から他の装置又は基板収容具(例えば、ウエハキャリア)に移送するロボット270が配置されている。ロボット270は、例えば支持台270上に配置される。ロボット270は、基板の裏面を吸着して保持するように構成されたロボットハンド271を有することが好ましい。このようなロボットハンド271を採用することにより、処理すべき基板の表面(多孔質層を形成すべき面)が汚染されたり、多孔質層が形成された基板の該多孔質層が汚染又は損傷を受けたりすることを防止することができる。
【0042】
陽極化成槽211の上部には、陽極化成処理の後の基板を洗浄及び乾燥させるための洗浄/乾燥機構300が配置されている。洗浄/乾燥機構300は、昇降機構等を含む駆動機構によって駆動される。すなわち、マイナス電極201を電極駆動機構204によって回動させる際やロボット270が陽極化成槽211の上部で基板を操作する際には、その邪魔にならないように、洗浄/乾燥機構300は、例えば、上方の所定の待避位置に移動される。
【0043】
次に、図4〜図7を参照しながら本発明の好適な実施の形態の陽極化成装置の動作及びそれによる処理手順を説明する。ここで、図4は、陽極化成処理の様子を示す図、図5は、ロボット270とプラス電極構造体290との間の基板の受け渡しの様子を示す図、図6は、陽極化成処理後の基板の洗浄処理の様子を示す図、図7は、洗浄処理後の基板の乾燥処理(洗浄液の除去)の様子を示す図である。
【0044】
まず、図5に示すように、ロボット270が処理対象の基板100をプラス電極構造体290のプラス電極221上に載置する。具体的には、昇降機構241がプラス電極構造体290を所定の高さまで上昇させる一方、ロボット270がロボットハンド271により基板100の裏面の一部を吸着保持して基板100をプラス電極221上に載置する。この状態で、プラス電極221の表面に形成された環状の溝221a内を吸引孔221bを通して不図示の真空ポンプにより減圧することにより、プラス電極221の表面(接触面)に基板100が吸着される。
【0045】
次いで、ロボット270がロボットハンド271を待避させ、その後、昇降機構241がピストンロッド240を収容することにより、基板10の裏面が陽極化成槽211の底部の吸着パッド251に接触するまで、プラス電極構造体290を下降させる。
【0046】
次いで、吸着パッド251の表面に形成された環状の溝251a内を吸引孔251bを通して不図示の真空ポンプにより減圧することにより、基板100が吸着パッド251の表面に吸着される。これにより、陽極化成槽211の底部がシールされ、その中に陽極化成用の電解質溶液280を満たすことができる状態となる。
【0047】
次いで、図4に示すように、供給ポート261を通して陽極化成用の電解質溶液(典型的には、HF含有溶液)280を陽極化成槽211内に供給して槽内を電解質溶液280で満たすとともに排出ポート262を通して電解質溶液280を排出しながら、不図示の循環系により電解質溶液280を循環させる。
【0048】
電解質溶液280を循環させた状態で、不図示の電源装置によりマイナス電極201とプラス電極221との間に電圧を印加して、シリコン基板100に陽極化成処理を施す。この処理によりシリコン基板100の表面が多孔質化され多孔質シリコン層が形成される。
【0049】
次いで、電圧の印加及び電解質溶液280の供給を停止し、排出ポート262を通して陽極化成槽211内の全ての電解質溶液280を排出する。
【0050】
次いで、洗浄/乾燥機構300のノズルからマイナス電極201に洗浄液(例えば、純水)を供給してマイナス電極201を洗浄し、その後、電極駆動機構204によりマイナス電極201を陽極化成槽211の外の適当な場所に移動させる。なお、マイナス電極201を洗浄する際、洗浄/乾燥機構300をマイナス電極201の近くまで移動させてもよい。
【0051】
次いで、図6に示すように、洗浄/乾燥機構300を不図示の駆動機構により所定の位置まで下降させて、洗浄/乾燥機構300のノズルから基板100上に洗浄液(例えば、純水)を供給し、これにより基板100を洗浄する。洗浄に使われた洗浄液は、排出ポート262を通して排出される。
【0052】
次いで、図7に示すように、洗浄/乾燥機構300のノズルから基板100上に乾燥用ガス(例えば、窒素ガス)を供給し、これにより基板100に付着している洗浄液を除去する。これにより、陽極化成処理、洗浄処理及び乾燥処理からなる一連の処理が終了する。
【0053】
この実施の形態では、洗浄機構と乾燥機構とが一体化されているが、これらを別個に設けてもよい。
【0054】
次いで、図5に示すように、処理後の基板100を陽極化成槽211からロボット270に引き渡す。具体的には、吸着パッド251及びプラス電極221による基板100の吸着を解除した後に、昇降機構241がプラス電極構造体290を所定の高さまで上昇させる一方、ロボット270がロボットハンド271を基板100の受け取り位置まで伸ばして、基板100の裏面の一部をロボットハンド271により吸着保持した後に、他の装置又は基板収容具(例えば、ウエハキャリア)に移送する。
【0055】
以上のような処理を複数の基板について繰り返すことにより、複数の基板を処理することができる。なお、ここでは、1つの陽極化成装置200により、陽極化成処理、洗浄処理及び乾燥処理を実施するが、これらの処理の全部又は一部を他の装置によって実施してもよい。或いは、1つの陽極化成装置200により、陽極化成処理、洗浄処理及び乾燥処理に加えて、更に他の処理(例えば、陽極化成処理の前の洗浄処理等)をも実施してもよい。
【0056】
以上のように、この実施の形態の陽極化成装置200のプラス電極構造体290には、プラス電極221の向き又は形状の変化を許容し、プラス電極221の表面(接触面)を基板100の裏面にならわせる接触保証機構230が設けられている。このような構成によれば、昇降機構241によって小さい力でプラス電極221を基板100に押しつけた場合においても、プラス電極221の接触面の全体を基板100の裏面に密着させることができる。したがって、昇降機構241による過剰な押圧力により基板100と吸着パッド251との間に隙間が生じて電解質溶液280が陽極化成槽211の底部から漏れ出すことも防止される。
【0057】
上記のような接触保証機構230は、上記のようなゴム又はバネのような柔軟性を有する部材によって構成することができる他、種々の機構によって構成することができる。
【0058】
図8は、接触保証機構の他の構成例を示す図である。なお、図8では、プラス電極構造体が抜き出して記載されており、他の構成要素は省略されている。図8に示す構成例では、前述の下部電極222に代えて、下部に円錐状のくり貫き部402を有する下部電極401が採用されている。また、接触保証機構としては、半球状等の曲面を有する部材231が採用されている。接触保証機構としての部材231は、その曲面が下部電極401のくり貫き部402の面に滑らかに接触し、下部電極401上のプラス電極221の表面(接触面)が基板100の裏面にならうように向きを変えることを許容する。このような構成は、フレキシブルジジョイントの一例である。
【0059】
図9は、接触保証機構の更に他の構成例を示す図である。なお、図9では、プラス電極構造体が抜き出して記載されており、他の構成要素は省略されている。図9に示す構成例では、前述のプラス電極211に代えて、柔軟性のある導電性材料(例えば、アクセプタ又はドナーが添加されたポリアセチレン等の導電性ポリマー)で構成された柔軟性のあるプラス電極410が採用されている。プラス電極410は、その柔軟性により基板100との接触面(表面)が変形するように構成されている。また、プラス電極410は、その下部に、括れ部分411を有し、プラス電極410の接触面が小さな力で容易に向きを変えることができるように構成されている。
【0060】
上記の陽極化成装置に適用された発明は、基板に対して陽極化成以外の処理を実施するための処理装置にも適用することができる。すなわち、本発明は、第1及び第2電極の間で基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持部によって保持し、第1電極を該基板の一方の面に対向させて配置し、第2電極を該基板の他方の面に接触させ、第1電極と該基板との間に電解質溶液を満たして該基板を処理する装置に適用することができる。このような装置による陽極化成以外の処理の例としては、例えば、めっき処理を挙げることができる。
【0061】
[処理装置の適用例]
以下、上記の陽極化成装置を半導体基板の製造方法に適用した例として、SOI基板等の基板の製造方法を例示的に説明する。
【0062】
図10は、本発明の好適な実施の形態に係る基板の製造方法を説明する図である。
【0063】
まず、図10(a)に示す工程では、第1の基板(seed wafer)10を形成するための単結晶Si基板11を用意して、上記の陽極化成装置200を利用して、その主表面上に分離層としての多孔質Si層12を形成する。多孔質Si層12は、例えば、電解液(化成液)中で単結晶Si基板11に陽極化成処理(陽極処理)を施すことによって形成することができる。
【0064】
ここで、電解液としては、例えば、弗化水素を含む溶液、弗化水素及びエタノールを含む溶液、弗化水素及びイソプロピルアルコールを含む溶液等が好適である。より具体的な例を挙げると、電解液としては、例えば、HF水溶液(HF濃度=49wt%)とエタノールを体積比2:1で混合した混合液が好適である。
【0065】
また、多孔質Si層12を互いに多孔度の異なる2層以上の層からなる多層構造としてもよい。ここで、多層構造の多孔質Si層12は、表面側に第1の多孔度を有する第1の多孔質Si層、その下に、第1の多孔度より大きい第2の多孔度を有する第2の多孔質Si層を含むことが好ましい。このような多層構造を採用することにより、後の非多孔質層13の形成工程において、第1の多孔質Si層上に、欠陥等の少ない非多孔質層13を形成することができると共に、後の分離工程において、所望の位置で貼り合わせ基板(結合基板)を分離することができる。ここで、第1の多孔度としては、10%〜30%が好ましく、15%〜25%が更に好ましい。また、第2の多孔度としては、35%〜70%が好ましく、40%〜60%が更に好ましい。
【0066】
電解質溶液として上記の混合液(HF濃度が49wt%の弗化水素酸:エタノール=2:1)を利用する場合は、例えば、電流密度8mA/cm2、処理時間5〜11minの条件で第1層(表面側)を生成し、次いで、電流密度23〜33mA/cm2、処理時間80sec〜2minの条件で第2層(内部側)を生成することが好ましい。
【0067】
このように、多孔質層12を形成するために上記の陽極化成装置200を利用することにより、処理槽内に配置された陽極から溶出する金属による第1の基板10の汚染を低減することができる。
【0068】
次いで、次の(1)〜(4)の少なくとも1つの工程を実施することが好ましい。ここで、(1)、(2)を順に実施することが好ましく、(1)、(2)、(3)を順に実施すること、或いは、(1)、(2)、(4)を順に実施することが更に好ましく、(1)、(2)、(3)、(4)を順に実施することが最も好ましい。
【0069】
(1)多孔質Si層の孔壁に保護膜を形成する工程(プリ酸化工程)
この工程では、多孔質Si層12の孔壁に酸化膜や窒化膜等の保護膜を形成し、これにより、後の熱処理による孔の粗大化を防止する。保護膜は、例えば、酸素雰囲気中で熱処理(例えば、200℃〜700℃が好ましく、300℃〜500℃が更に好ましい)を実施することにより形成され得る。その後、多孔質Si層12の表面に形成された酸化膜等を除去することが好ましい。これは、例えば、弗化水素を含む溶液に多孔質Si層12の表面を晒すことによって実施され得る。
【0070】
(2)水素ベ−キング工程(プリベーキング工程)
この工程では、水素を含む還元性雰囲気中において800℃〜1200℃で、多孔質Si層12が形成された第1の基板1に熱処理を実施する。この熱処理により、多孔質Si層12の表面の孔をある程度封止することができると共に、多孔質Si層12の表面に自然酸化膜が存在する場合には、それを除去することができる。
【0071】
(3)微量原料供給工程(プリインジェクション工程)
多孔質Si層12上に非多孔質層13を成長させる場合は、成長の初期段階で非多孔質層13の原料物質の供給を微少量として、低速度で非多孔質膜13を成長させることが好ましい。このような成長方法により、多孔質Si層12の表面の原子のマイグレーションが促進され、多孔質Si層12の表面の孔を封止することができる。具体的には、成長速度が20nm/min以下、好ましくは10nm/min以下、より好ましくは2nm/min以下になるように原料の供給を制御する。
【0072】
(4)高温ベーキング工程(中間ベーキング工程)
上記の水素ベーキング工程及び/又は微量原料供給工程における処理温度よりも高い温度で、水素を含む還元性雰囲気中で熱処理を実施することにより、多孔質Si層12の更なる封止及び平坦化が実現することができる。
【0073】
次いで、図10(b)に示す工程の第1段階では、多孔質Si層12上に第1の非多孔質層13を形成する。第1の非多孔質層13としては、単結晶Si層、多結晶Si層、非晶質Si層等のSi層、Ge層、SiGe層、SiC層、C層、GaAs層、GaN層、AlGaAs層、InGaAs層、InP層、InAs層等が好適である。
【0074】
次いで、図10(b)に示す工程の第2段階では、第1の非多孔質層13の上に第2の非多孔質層としてSiO2層(絶縁層)14を形成する。これにより第1の基板10が得られる。SiO2層14は、例えば、O2/H2雰囲気、1100℃、10〜33minの条件で生成され得る。
【0075】
次いで、図10(c)に示す工程では、第2の基板(handle wafer)20を準備し、第1の基板10と第2の基板20とを、第2の基板20と絶縁層14とが面するように室温で密着させて貼り合わせ基板(結合基板)30を作製する。
【0076】
なお、絶縁層14は、上記のように単結晶Si層13側に形成しても良いし、第2の基板20上に形成しても良く、両者に形成しても良く、結果として、第1の基板と第2の基板を密着させた際に、図10(c)に示す状態になれば良い。しかしながら、上記のように、絶縁層14を活性層となる第1の非多孔質層(例えば、単結晶Si層)13側に形成することにより、第1の基板10と第2の基板20との貼り合せの界面を活性層から遠ざけることができるため、より高品位のSOI基板等の半導体基板を得ることができる。
【0077】
基板10、20が完全に密着した後、両者の結合を強固にする処理を実施することが好ましい。この処理の一例としては、例えば、1)N2雰囲気、1100℃、10minの条件で熱処理を実施し、2)O2/H2雰囲気、1100℃、50〜100minの条件で熱処理(酸化処理)を実施する処理が好適である。この処理に加えて、或いは、この処理に代えて、陽極接合処理及び/又は加圧処理を実施してもよい。
【0078】
第2の基板20としては、Si基板、Si基板上にSiO2層を形成した基板、石英等の光透過性の基板、サファイヤ等が好適である。しかし、第2の基板20は、貼り合わせ(結合)に供される面が十分に平坦であれば十分であり、他の種類の基板であってもよい。
【0079】
次いで、図10(d)に示す工程では、貼り合わせ基板(結合基板)30を機械的強度が脆弱な多孔質層12の部分で分離する。この分離方法としては、各種の方法を採用しうるが、例えば、流体を多孔質層12に打ち込む方法、或いは、流体により多孔質層12に静圧を印加する方法など、流体を利用する方法が好ましい。
【0080】
この分離工程により、第1の基板10の移設層(非多孔質層13、絶縁層14)が第2の基板20上に移設される。なお、第1の基板10の多孔質層12上に非多孔質層13のみを形成する場合の移設層は、非多孔質層13のみである。
【0081】
図10(e)に示す工程では、分離後の第2の基板20上の多孔質層12”をエッチング等により選択的に除去する。これにより、絶縁層14上に非多孔質層13を有する基板が得られる。例えば、非多孔質層13が半導体層である場合、このような半導体層は、SOI層(Semiconductor On Insulator)と呼ばれ、また、このようなSOI層を有する基板は、SOI基板と呼ばれる。
【0082】
更に、分離後の第1の基板10’の単結晶Si基板11上の多孔質層12’をエッチング等により選択的に除去する。このようにして得られる単結晶Si基板11は、再び第1の基板10を形成するための基板、又は第2の基板20として利用され得る。
【0083】
[半導体基板の適用例]
次の上記の製造方法により製造される半導体基板の製造方法の一例を説明する。
【0084】
図11は、本発明の好適な実施の形態に係る基板の製造方法を適用して製造され得る半導体基板を利用した半導体装置の製造方法を示す図である。
【0085】
まず、非多孔質層13として半導体層、非多孔質層14として絶縁層を有するSOI基板を上記の基板の製造方法を適用して製造する。そして、埋め込み絶縁膜14上の非多孔質半導体層(SOI層)13を島状にパタニングする方法、又は、LOCOSと呼ばれる酸化法等により、トランジスタを形成すべき活性領域13’及び素子分離領域54を形成する(図11(a)参照)。
【0086】
次いで、SOI層の表面にゲート絶縁膜56を形成する(図11(a)参照)。ゲート絶縁膜56の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム、酸化ランタン、酸化ジルコニウム、及びこれらの混合物ガラス等が好適である。ゲート酸化膜56は、例えば、SOI層の表面を酸化させたり、CVD法又はPVD法によりSOI層の表面に該当する物質を堆積させたりすることにより形成され得る。
【0087】
次いで、ゲート絶縁膜56上にゲート電極55を形成する(図11(a)参照)。ゲート電極55は、例えば、P型又はN型不純物がドープされた多結晶シリコンや、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、アルミニウム、銅などの金属又はこれらの少なくとも1種を含む合金や、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイド、コバルトシリサイドなどの金属珪化物や、チタンナイトライド、タングステンナイトライド、タンタルナイトライドなどの金属窒化物などで構成され得る。ゲート絶縁膜56は、例えばポリサイドゲートのように、互いに異なる材料からなる複数の層を積層して形成されてもよい。ゲート電極55は、例えば、サリサイド(セルフアラインシリサイド)と呼ばれる方法で形成されてもよいし、ダマシンゲートプロセスと呼ばれる方法で形成してもよいし、他の方法で形成してもよい。以上の工程により図11(a)に示す構造体が得られる。
【0088】
次いで、燐、砒素、アンチモンなどのN型不純物又はボロンなどのP型不純物を活性領域13’に導入することにより、比較的低濃度のソース、ドレイン領域58を形成する(図11(b)参照)。不純物は、例えば、イオン打ち込み及び熱処理などにより導入することができる。
【0089】
次いで、ゲート電極55を覆うようにして絶縁膜を形成した後に、これをエッチバックすることにより、ゲート電極59の側部にサイドウォール59を形成する。
【0090】
次いで、再び上記と同一の導電型の不純物を活性領域13’に導入し、比較的高濃度のソース、ドレイン領域57を形成する。以上の工程により図11(b)に示す構造体が得られる。
【0091】
次いで、ゲート電極55の上面並びにソース及びドレイン領域57の上面に金属珪化物層60を形成する。金属珪化物層60の材料としては、例えば、ニッケルシリサイド、チタンシリサイド、コバルトシリサイド、モリブデンシリサイド、タングステンシリサイドなどが好適である。これらの珪化物は、ゲート電極55の上面並びにソース及びドレイン領域57の上面を覆うように金属を堆積させて、その後、熱処理を施すことによって、該金属とその下部のシリコンとを反応させた後に、該金属のうち未反応部分を硫酸などのエッチャントで除去することによって形成することができる。ここで、必要に応じて、珪化物層の表面を窒化させてもよい。以上の工程により図11(c)に示す構造体が得られる。
【0092】
次いで、シリサイド化したゲート電極の上面並びにソース及びドレイン領域の上面を覆うように絶縁膜61を形成する(図11(d)参照)。絶縁膜61の材料としては、燐及び/又はボロンを含む酸化シリコンなどが好適である。
【0093】
次いで、必要に応じて、CMP法により絶縁膜61にコンタクトホールを形成する。KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、F2エキシマレーザ、電子ビーム、X線等を利用したフォトリソグラフィー技術を適用すると、一辺が0.25ミクロン未満の矩形のコンタクトホール、又は、直径が0.25ミクロン未満の円形のコンタクトホールを形成することができる。
【0094】
次いで、コンタクトホール内に導電体を充填する。導電体の充填方法としては、バリアメタル62となる高融点金属やその窒化物の膜をコンタクトホールの内壁に形成した後に、タングステン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの導電体63を、CVD法、PVD法、めっき法などを利用して堆積させる方法が好適である。ここで、絶縁膜61の上面よりも高く堆積した導電体をエッチバック法やCMP法により除去してもよい。また、導電体の充填に先立って、コンタクトホールの底部に露出したソース及びドレイン領域の珪化物層の表面を窒化させてもよい。以上の工程によりSOI層にFET等のトランジスタを作り込むことができ、図11(d)に示す構造のトランジスタを有する半導体装置が得られる。
【0095】
ここで、ゲート電極に電圧を印加してゲート絶縁膜下に広がる空乏層が埋め込み絶縁膜14の上面に届くように活性層(SOI層)10’の厚さ及び不純物濃度を定めると、形成されたトランジスタは、完全空乏型トランジスタとして動作する。また、空乏層が埋め込み酸化膜14の上面に届かないように活性層(SOI層)10’の厚さ及び不純物濃度を定めると、形成されたトランジスタは、部分空乏型トランジスタとして動作する。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、陽極化成装置等の基板処理装置において、例えば、保持部によって保持された基板に対して電極を強い力で押しつけることなく、電極をより確実に基板に密着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】特開2000−277478号公報に開示された陽極化成装置を部分的に抜き出して記載した図である。
【図2】プラス電極の昇降機構の加工精度が低い場合における問題点を説明するための図面である。
【図3】プラス電極の昇降機構の加工精度が低い場合における問題点を説明するための図面である。
【図4】本発明の好適な実施の形態の陽極化成装置の構成及び陽極化成処理の様子を示す図である。
【図5】ロボットとプラス電極構造体との間の基板の受け渡しの様子を示す図である。
【図6】極化成処理後の基板の洗浄処理の様子を示す図である。
【図7】洗浄処理後の基板の乾燥処理(洗浄液の除去)の様子を示す図である。
【図8】接触保証機構の他の構成例を示す図である。
【図9】接触保証機構の更に他の構成例を示す図である。
【図10】本発明の好適な実施の形態に係る基板の製造方法を説明する図である。
【図11】本発明の好適な実施の形態に係る半導体装置の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
500 基板
501 マイナス電極
502 プラス電極
505 陽極化成槽
506 電解質溶液
507 吸着パッド
100 基板
201 マイナス電極
202、203 連結部材
204 電極駆動機構
211 陽極化成槽
212 支持部材
213 支持台
221 プラス電極
221a 溝
221b 吸引孔
222 下部電極
222a 溝
222b 吸引孔
230 接触保証機構
240 ピストンロッド
241 昇降機構
251 吸着パッド
251a 溝
251b 吸引孔
261 供給ポート
262 排出ポート
270 ロボット
271 ロボットハンド
280 電解質溶液
プラス電極構造体
300 洗浄/乾燥機構
401 下部電極
402 くり貫き部
231 接触保証機構
410 プラス電極
411 括れ部分
10 第1の基板
11 単結晶Si基板
12 多孔質Si層
13 単結晶Si層
14 絶縁層
20 第2の基板
30 貼り合わせ基板(結合基板)
Claims (14)
- 陽極化成装置であって、
処理対象の基板を保持する保持部と、
該基板に対向させて配置されるマイナス電極と、
該基板に接触する接触面を有するプラス電極を含むプラス電極構造体と、
該基板と前記マイナス電極との間に電解質溶液を満たすための陽極化成槽と、
を備え、前記プラス電極構造体は、前記接触面を該基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならうように前記プラス電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有することを特徴とする陽極化成装置。 - 前記プラス電極構造体は、
支持部材と、
前記プラス電極と前記支持部材との間に配置された柔軟性を有する連結部材と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の陽極化成装置。 - 前記連結部材は、ゴム又はバネを含むことを特徴とする請求項2に記載の陽極化成装置。
- 前記プラス電極構造体は、前記プラス電極又は前記プラス電極と一体をなす部材を支持する支持部材を含み、前記プラス電極又は前記プラス電極と一体をなす部材と前記支持部材とは、前記プラス電極の向きの変化を許容するように滑らかに接触していることを特徴とする請求項1に記載の陽極化成装置。
- 前記プラス電極は、前記接触面を基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならって変形するように柔軟性を有することを特徴とする請求項1に記載の陽極化成装置。
- 前記プラス電極構造体を駆動して前記接触面を基板に接触させる駆動機構を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の陽極化成装置。
- 前記陽極化成槽は、開口部を有し、前記基板保持部は、前記開口部の周囲に環状に設けられており、前記プラス電極は、前記開口部を通して基板に押し当てられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の陽極化成装置。
- 前記保持部は、実質的に水平に基板を保持することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の陽極化成装置。
- 基板に陽極化成処理が施された後に、該基板を洗浄すべく該基板に洗浄液を供給する機構を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の陽極化成装置。
- 基板に付着した液体を除去する機構を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の陽極化成装置。
- 陽極化成方法であって、
保持部によって基板を保持し、該基板の一方の面に対向させてマイナス電極を配置し、該基板の他方の面にプラス電極を接触させる準備工程と、
前記マイナス電極と該基板との間に電解質溶液を満たした状態で、前記マイナス電極と前記プラス電極との間に電流を流して該基板の該一方の面を陽極化成して多孔質層を形成する陽極化成工程と、
を含み、前記準備工程では、前記プラス電極を含むプラス電極構造体を操作して前記プラス電極を該基板の該他方の面に接触させ、前記プラス電極構造体は、前記プラス電極が該基板に接触する接触面が該基板にならうように前記プラス電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有することを特徴とする陽極化成方法。 - 基板製造方法であって、
請求項11に記載の陽極化成方法に従って基板の表面に多孔質層を形成する工程と、
前記多孔質層上に少なくとも半導体層を有する第1の基板を作成する工程と、
前記第1の基板の前記半導体層側の面に第2の基板を結合させて結合基板を作製する工程と、
前記多孔質層の部分で前記結合基板を2枚の基板に分離する工程と、
を含むことを特徴とする基板製造方法。 - 基板処理装置であって、
処理対象の基板を保持する保持部と、
該基板に対向させて配置される第1電極と、
該基板に接触する接触面を有する第2電極を含む第2電極構造体と、
該基板と前記第1電極との間に電解質溶液を満たすための処理槽と、
を備え、前記第2電極構造体は、前記接触面を該基板に接触させる際に前記接触面が該基板にならうように前記第2電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有することを特徴とする基板処理装置。 - 基板処理方法であって、
保持部によって基板を保持し、該基板の一方の面に対向させて第1電極を配置し、該基板の他方の面に第2電極を接触させる準備工程と、
前記第1電極と該基板との間に電解質溶液を満たした状態で、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を流して該基板を処理する処理工程と、
を含み、前記準備工程では、前記第2電極を含む第2電極構造体を操作して前記第2電極を該基板の該他方の面に接触させ、前記第2電極構造体は、前記第2電極が該基板に接触する接触面が該基板にならうように前記第2電極の向き及び形状の少なくとも一方が変化することを許容する構成を有することを特徴とする基板処理方法。
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JP2002263134A JP2004103800A (ja) | 2002-09-09 | 2002-09-09 | 陽極化成装置及び陽極化成方法、基板製造方法、並びに、基板処理装置及び基板処理方法 |
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JP2009302405A (ja) * | 2008-06-16 | 2009-12-24 | Shibaura Mechatronics Corp | Soi基板の製造方法及び製造装置 |
CN115799065A (zh) * | 2022-11-17 | 2023-03-14 | 扬州国宇电子有限公司 | 一种TiSi势垒的制备方法 |
-
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- 2002-09-09 JP JP2002263134A patent/JP2004103800A/ja not_active Withdrawn
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