JP2004209676A - 印刷機 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷機の機台前後方向長さを短くしても、印刷機の窓部の覗き見量と作業スペースの作業スペース量との両方を確保できる印刷機を提供する。
【解決手段】色見台19が印刷位置に位置した状態から操作ボード22が機台前方に押し込まれると、操作ボード22が左右両側のレールに沿って移動する。このとき、載置ボード20がヒンジ機構38を介して回動するとともに、左右のステー37が延びて姿勢角θが徐々に大きくなる。そして、載置ボード20及び操作ボード22が図5の二点鎖線に示す窓部量確保位置に位置して、窓部31から排紙装置4の内側が目視可能となる。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷媒体の印刷状態(例えば色調や見当等)を確認するときに用紙を載置可能な色見台を有する印刷機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から印刷機として文字や画像を転写して印刷するオフセット印刷機が広く使用されている。オフセット印刷機では所定の文字や画像のない部分が親水性となった刷版を用い、その親水部分に水を浸してインクを弾くようにした刷版にインクを付着する。そして、文字や画像部分にのみインクが付着した刷版から、ゴム等を素材とするブランケット胴に文字や画像を転写し、そのブランケット胴に転写されたインクを用紙に転写して印刷する。この種のオフセット印刷機は特許文献1〜3等に開示されている。
【0003】
図17は、特許文献1に開示されたオフセット印刷機61の模式側面図である。印刷機61は給紙装置62、印刷ユニット63及び排紙装置64を備えている。給紙装置62はセットされた用紙65を一枚ずつ順に給紙して印刷ユニット63に搬送する。印刷ユニット63は用紙の搬送経路上に黄、赤、藍、黒の各色毎に刷版を有し、各刷版を用いて1枚の用紙に順に各色を転写式に印刷して印刷処理を行う。排紙装置64は印刷済みの用紙65を1枚ずつ引き出し、排紙台66に用紙65を積み重ねることで排紙する。
【0004】
各印刷ユニット63の後方位置には作業者が各種作業を実行可能な作業スペース67が設けられ、その作業スペース67には機台側部に位置するステップ67aから乗り降りする。作業者は印刷ユニット63のインクを交換するときや印刷ユニット63のメンテナンスを行うとき、作業スペース67に位置して各種作業を行う。
【0005】
排紙装置64の上面には色見台68が設置され、色見台68には用紙65を載置可能な本体部68aと複数の操作ボタン(図示省略)とが配設されている。作業者は印刷済みの用紙65の色状態を確認したいとき、排紙装置64から用紙を取り出して色見台68に置き、印刷見本との色調の違いを見比べる。そして、印刷結果が印刷見本に近づくように色調の違いに応じて操作ボタンを操作して各印刷ユニット63のインキ量を調整する。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−80050号公報(第2−4頁、第1図)
【特許文献2】
特開平6−31903号公報(第2−3頁、第2図)
【特許文献3】
特開平6−23960号公報(第2−3頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
通常、排紙装置64の上面には内部を目視可能な窓部が形成され、作業者は印刷済みの用紙65の排紙状態や印刷状態(色調)を窓部から確認可能としている。ところが、印刷機61の小型化(省スペース化)を図ると全長が短くなることから、これに伴って色見台68が作業スペース67や窓部に干渉する問題が生じるおそれがあった。即ち、印刷機61の小型化を図った場合に、色見台68によって作業スペース67が狭くなって十分な作業スペース量が確保できない問題や、排紙装置64の内部が確認できない程に窓部が隠れてしまって覗き見量が確保できない問題が生じるおそれがあった。
【0008】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、印刷機の機台前後方向長さを短くしても、印刷機の窓部の覗き見量と作業スペースの作業スペース量との両方を確保できる印刷機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため請求項1に記載の発明では、供給された印刷媒体に印刷処理を行う印刷部と、前記印刷部による印刷済みの印刷媒体を排出する排出部とを備えた印刷機において、前記印刷媒体を載置可能な載置面を有し、前記排出部の上面に設けられた所定エリアを干渉する位置に配置された色見台と、前記色見台の全体又は一部を前記排出部に対して姿勢変更、スライド移動或いは姿勢変更及びスライド移動の組み合わせによる可動方式で、前記色見台による前記所定エリアの干渉量を減少する側に変化させる移動機構とを備えたことを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、排出部の上面の所定エリアに色見台が干渉していても、色見台の全体又は一部を移動機構によって姿勢変更、スライド移動、或いは姿勢変更及びスライド移動の組み合わせにより位置変更することで干渉量が減少する側に変化する。従って、例えば印刷機の小型化に伴って色見台が所定エリアと干渉する構成となっても、色見台を移動機構によって姿勢変更又はスライド変更すれば干渉量が減少する側に変化するので、所定エリアの領域が確保可能になる。
【0011】
ここで、定義として作業エリアとは色見台の移動経路上に1つある場合の他に複数ある場合も含み、作業エリアが複数ある場合には色見台を位置変更して所定の作業エリアを開放したとき、それ以外の1つが逆に色見台によって干渉する状態となる構成も含む。また、定義として干渉量とは色見台が作業エリアに略接触状態となることで生じるものの他に、例えば作業エリアの上方に色見台が位置して所定エリアに干渉するときのものも含む。
【0012】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記排出部の内側に排出された印刷後の印刷媒体を目視可能に該排出部の上部に設けられた窓部と、作業者が所定作業を実施可能に前記排出部の上面側に設けられた作業スペースとを備え、前記所定エリアは前記窓部と前記作業スペースとのうち少なくとも一方であって、前記移動機構は前記排出部に対して前記色見台の全体又は一部を姿勢変更、スライド移動、或いは姿勢変更及びスライド移動の組み合わせによる可動方式で、前記窓部及び作業スペースのうち干渉された側の干渉量を減少する側に変化させることを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、窓部や作業スペースに色見台が干渉していても、色見台の全体又は一部を移動機構によって位置変更すれば干渉された側が開放状態となるので、印刷機に設けた窓部の覗き見量や作業スペースの作業スペース量が確保可能になる。
【0014】
ここで、定義として排出部の内側が目視不可能とは、窓部が載置部により全て覆われていることに限らず、若干窓部が開いているが排出部に排出された印刷媒体が目視できないものも含む。逆に排出部の内側が目視可能とは、窓部が全て開いていることに限らず、載置部が窓部に若干干渉していても、排出部に排出された印刷媒体が目視できるものも含む。この定義については以下の請求項も同様である。
【0015】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記移動機構は、前記窓部を介して前記排出部の内側が目視不可能であるとともに前記作業スペースが確保された第1位置と、前記窓部を介して前記排出部の内側が目視可能な第2位置との2位置間で前記色見台を位置変更することを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、色見台が第1位置に位置しているときには窓部に干渉した構成となるが、移動機構によって色見台を第2位置側に位置変更すれば窓部の覗き見量が確保された状態となる。
【0017】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記移動機構は、前記作業スペースが確保されていないとともに前記窓部を介して排出部の内側が目視可能な第1位置と、前記作業スペースが確保された第2位置との2位置間で前記色見台を位置変更することを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、色見台が第1位置に位置しているときには作業スペースに干渉した構成となるが、移動機構によって色見台を第2位置側に位置変更すれば作業スペースの作業スペース量が確保された状態となる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記移動機構は、前記窓部を介して前記排出部の内側が目視可能であるとともに前記作業スペースが確保されない前進位置と、前記作業スペースが確保されているとともに前記窓部を介して前記排出部の内側が目視不可能な後退位置と、前記前進位置と中間位置との間に位置するとともに前記排出部の後端に位置である中間位置との3位置間で前記色見台を位置変更することを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、請求項2に記載の発明の作用に加え、印刷機を小型化すると色見台が窓部と作業スペースとの両方に干渉した状態となってしまうが、色見台を3位置間で位置変更可能とすることによって窓部の覗き見量と作業スペースの作業スペース量との両方が確保可能になる。
【0021】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記色見台は前記印刷媒体が載置可能な載置ボードと、前記印刷部を作動させる操作部を有する操作ボードとを備え、前記移動機構は、前記載置ボードの端部と前記操作ボードの上面とを連結するヒンジ機構と、前記操作ボードをスライド移動させるスライド手段と、前記操作ボードがスライド移動して前記載置ボードが前記ヒンジ機構を支点にして姿勢変更した際に、その姿勢変更を許容して前記載置ボードを保持する保持手段とを備えたことを要旨とする。
【0022】
この発明によれば、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、操作ボードをスライド移動すると載置ボードがヒンジ機構を支点として姿勢変更する構成であるので、色見台による干渉側を開放状態としたときには窓部の覗き見量と作業スペースの作業スペース量との両方が確保される。
【0023】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記色見台は前記印刷媒体が載置可能な載置ボードと、前記印刷機を作動させる操作部を有する操作ボードとを備え、前記移動機構は、前記載置ボードに独立して前記操作ボードをスライド移動させるスライド手段を備えたことを要旨とする。
【0024】
この発明によれば、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、例えば操作ボードが窓部に干渉していても、操作ボードをスライド移動するとことによって操作ボードによる窓部の干渉が解消され、窓部が確保可能になる。
【0025】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記移動機構を介して前記色見台を姿勢変更又はスライド移動させる駆動手段を備えたことを要旨とする。
【0026】
この発明によれば、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、色見台を駆動手段によって位置変更するので、手動で変更する場合に比べて位置変更作業が楽になる。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明の印刷機をオフセット印刷機に具体化した第1実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0028】
図1は、オフセット印刷機1の模式構成図である。オフセット印刷機(以下、単に印刷機と記す)1は給紙装置2、印刷部としての印刷装置3及び排出部としての排紙装置4を備えている。この印刷機1は文字や画像等をゴム等のブランケット胴に転写(オフセット)して印刷媒体としての用紙5に印刷する機種である。給紙装置2は積み重ねられた印刷前の用紙5をサクション(図示省略)により1枚ずつ吸引し、差板2aを介して印刷装置3に搬送する。
【0029】
印刷装置3は各色(黒、藍、紅、黄)毎に印刷ユニット6a〜6dを備え、印刷機1の機台7の前後方向(図1の左右方向)に並んで設置されている。各印刷ユニット6a〜6dには版胴8が配備され、版胴8には印刷すべき文字や画像等の絵柄が生像(正しく読める状態)で焼き付けられた刷版(図示省略)が巻き付けられている。刷版は絵柄のある部分がインキ付着可能であり、絵柄の無い部分が親水性となってインキが付着しない状態となる。
【0030】
各印刷ユニット6a〜6dはインキ壺部9、複数のインキローラ10、複数の水ローラ11を備えている。インキ壺部9は複数のセクション毎に分割され、セクション毎にインキ9aを吐出している。インキ9aはインキローラ10を通ることで練られて版胴8に運ばれる。印刷時には版胴8が回転し、その表面が水ローラ11と接触して刷版の非絵柄部分が水で浸される。続いて版胴8にはインキローラ10によってインキ9aが付着されるが、非絵柄部分はインキ9aを弾き絵柄部分にのみインキ9aが付着する。
【0031】
版胴8と対向する位置には刷版と接触した状態でブランケット胴12が配置されている。印刷時にブランケット胴12が回転すると、ブランケット胴12には刷版に付着したインキが転写される。給紙された用紙5はブランケット胴12と圧胴13との間を通過し、用紙5にはブランケット胴12のインキが転写されて絵柄が印刷される。インキ転写後の用紙5は渡し胴14、倍径渡し胴15及び渡し胴16を介して次の印刷ユニットに搬送され、この印刷処理を印刷ユニット毎に行って印刷を実施している。
【0032】
排紙装置4は左右一対で組をなすスプロケット17,17が機台前後方向に配置されている。これら前後のスプロケット17,17の間には左右一対のチェーン17a,17a(手前側のみ図示)が架設され、これらチェーン17a間には紙くわえ部を有する爪竿(ともに図示省略)が支架されている。印刷後の用紙5は紙くわえ部によってくわえ替えられてチェーン17aにより搬送され、カム機構によってくわえ状態が解除されて紙積台4aに積載される。
【0033】
各印刷ユニット6a〜6dの後方側には作業者用の作業スペース18が設けられ、この作業スペース18は作業者の足場となるステップ18aによって形成されている。作業スペース18はインキ壺部9へのインキ供給、印刷ユニット6a〜6dの刷版の取り替え又はメンテナンス時などに作業者が位置する場所であり、その作業スペース量Rは大人1人がこれら作業を行うに充分なスペース量が確保されている。ここでいう作業スペース量Rとは機台前後方向の間隔をいうが、広域にはステップ18上の作業面積を含んでいる。
【0034】
図2は、印刷機1の排紙装置4側を拡大して示す斜視図である。排紙装置4の上面には色見台(オペレーションスタンド)19が配置されている。色見台19は用紙5を載置可能な載置面を有する載置ボード20と、複数の操作ボタン21(図2等参照)を有する操作ボード22とを備えている。載置ボード20はボード本体20aが例えば金属又は木製からなる略平板状の部材であり、表面側が上面を向くように所定の姿勢角θを有する傾いた状態で配置されている。
【0035】
ボード本体20aの下部にはボード上に載置された用紙の滑り落ちを防止するバー20bが左右方向全域に形成されている。ここでボード本体20aが金属製の場合には、ボード本体20aの上部には両側端部が左右一対のワイヤ20cの一端に各々連結された略棒状のマグネット23が配置されている。ワイヤ20cの他端はボード本体20aの裏面に設置されたリール(図示省略)に巻かれている。マグネット23はワイヤ20cを介して位置変更が可能であり、用紙5を載置ボード20に置くときにボード本体20aとで用紙5を挟み込んで固定する。
【0036】
操作ボード22は略平板状のボード本体22aを有し、載置ボード20の下側に入り込んだ状態で排紙装置4の上面と略平行に配置されている。ボード本体22aの上面には操作部としての複数の操作ボタン21と、各操作ボタン21と対応した複数の表示部22bが配設されている。これら操作ボタン21はインキ壺部9の各セクションのインキ供給量を調整するときに押され、各表示部22bにはインキ供給量の値が操作ボタン21(セクション)毎に表示される。
【0037】
また、排紙装置4の上面の操作パネル24には複数の操作ボタン25が設けられ、これら操作ボタン25は給紙装置2、排紙装置4、印刷ユニット6a〜6d、給水装置、見当装置等を操作するときに押される。載置ボード20の左右両側には手摺り26を機台後方から支持するパイプ状の連結材27,27が連結固定されている。
【0038】
連結材27には例えばタッチパネル式の液晶モニタ28,28が取り付けられ、モニタ28には印刷モード設定画面、給水量設定画面、版胴8の見当調節画面、用紙サイズ設定画面、ローラ洗浄設定画面等が表示される。排紙装置4の側部には操作ボタン21の操作に基づきインキ壺部9を制御する制御装置29が内蔵されている。
【0039】
通常、色見台19は印刷時において図2に示す印刷位置(第1位置)に配置され、その印刷位置から位置変更が可能である。即ち、載置ボード20及び操作ボード22を機台前方に押し込むと、色見台19は排紙装置4の上面に設けられたアクリル透明板30が外部に露出した図3に示す窓部確保位置(第2位置)となる。アクリル透明板30は排紙装置4の機台後方端部に配置され、このアクリル透明板30の形成部分が排紙装置4の内部を目視可能な窓部31となっている。
【0040】
窓部31の下方位置には印刷済みの用紙5が積み重ねられ、窓部31を介して印刷済みの用紙5の色調(印刷状態)や、用紙5の揃い等が確認可能となっている。色見台19の印刷位置では窓部31の覗き見量Sが干渉された状態で、かつ作業スペース量Rは充分に確保された状態となっている。そして、載置ボード20及び操作ボード22を位置変更することによって、操作ボード22による窓部31の干渉量Xを開放側に変化させると窓部31が全開状態となる。この状態では作業者が窓部31を介して用紙5の色調等について確認作業を行える。
【0041】
また、排紙装置4は印刷済みの用紙5を積み上げる高さに応じて複数種類が設定され、排紙装置4の種類には例えばハイパイル、セミパイル、ローパイルの3種類がある。これら種類は記載順に作業効率が高く、かつ機台長さが長く設定されている。なお、本例の排紙装置4はセミパイル式を採用しており、色見台19が印刷位置に位置したときには作業スペース量Rと覗き見量Sとのうち作業スペース量Rは確保された状態となる。
【0042】
図4は、色見台19を斜め前方から見た斜視図である。排紙装置4の上面には操作ボード22を挟み込むように左右両側に上面板32,32が配置されている。各上面板32の内側端部には機台前後方向に亘って段部32a,32aが形成されている。一方、操作ボード22の左右両側端部には段部32a側に各々突出する案内部33,33が形成され、案内部33は段部32aに相対移動可能な状態で係止されている。
【0043】
操作ボード22の左右両側には排紙装置4側に開口する案内溝34,34が形成されている。また、排紙装置4の上面には各上面板32の近傍に上面板32に対し所定の間隔をおいて取付部材35が固着されている。取付部材35は機台前後方向に沿って延びる板状の本体部35aと、本体部35aの上端の一部分から略90度内側に延びた延出部35bとを有し、本体部35aにレール36が、延出部35bに保持手段としてのステー37が取り付けられる。
【0044】
操作ボード22と取付部材35との間には3段引きのレール36が介装されている。レール36はインナレール36a、中間レール36b及びアウタレール36cを有し、インナレール36a及びアウタレール36cが中間レール36bに沿って内部のボールベアリング(図示省略)を介し相対移動可能となっている。インナレール36aは取付部材35の本体部35aに、アウタレール36cは操作ボード22の側壁22cにボルト(図示省略)等で各々固定されている。
【0045】
操作ボード22の上面には操作ボタン21よりも前方位置にヒンジ機構38(図5参照)を介して載置ボード20の下端部が連結されている。載置ボード20はヒンジ機構38を介して操作ボード22に対し回動可能であり、この回動動作によって操作ボード22との間の姿勢角θが変更可能となっている。この姿勢角θは載置ボード20の裏面と操作ボード22の上面とがなす角度である。
【0046】
載置ボード20の上部側の裏面と取付部材35との間にはステー37が介装されている。ステー37は第1アーム39と第2アーム40とからなる2分割式であり、第2アーム40が第1アーム39に対して相対移動可能となっている。第1アーム39の基端部と第2アーム40の先端部とには軸部39a,40aを支点として回動可能なブラケット39b,40bが連結されている。ステー37は基端部がブラケット39bを介して延出部35bに、先端部がブラケット40bを介して載置ボード20の裏面に固着されている。
【0047】
ステー37はストロークが「0」のときを初期位置として第2アーム40が第1アーム39に対し移動してストロークが変わった際に、その長さを保持するラチェット機構(図示省略)を備えている。ステー37は最大ストローク分延ばした後に、さらに解除ストローク分延ばすことで初期位置に復帰可能となる。また、延出部35bの上面にはステー37を前方及び側方から囲い込む規制部材41が設けられ、この規制部材41はステー37が機台前方に倒れ込むのを規制している。
【0048】
ここで、色見台19が印刷位置に位置した状態から操作ボード22が機台前方に押し込まれると、操作ボード22がレール36に沿って移動する。このとき、載置ボード20がヒンジ機構38を介して回動するとともに、左右のステー37が延びて姿勢角θが徐々に大きくなる。そして、載置ボード20及び操作ボード22が図5の二点鎖線に示す窓部確保位置に位置して、窓部31から排紙装置4の内側が目視可能となる。なお、レール36、ステー37及びヒンジ機構38が移動機構を構成し、レール36がスライド手段に相当する。
【0049】
図6は、操作ボード22の端部を部分的に拡大した模式斜視図である。操作ボード22の左右両側の側壁には孔部42が長手方向に沿って等間隔に複数形成されている。一方、各上面板32,32には回転操作可能な係止部材43が設けられている。係止部材43は上面板32の後方側面から突出した頭部43aと、頭部43aから上面板32の略中間付近まで延びる軸部43bの先端に位置する爪部43cとを備えている。
【0050】
係止部材43は頭部43aを回動して爪部43cを孔部42に係止することで操作ボード22の機台前後方向への位置ずれを抑制している。このため、色見台19は印刷位置と窓部確保位置との2位置の間で連続的に位置変更が可能であり、例えば窓部31が若干露出した位置に色見台19を位置させ、係止部材43により位置ずれを規制すれば、色見台19をその途中位置で位置決め状態に保持可能である。
【0051】
次に、本例の印刷機1の作用について説明する。
まず、印刷実行時においては色見台19を印刷位置に配置しておく。印刷済みの用紙5の色調や揃い等を確認したい場合には操作ボード22を機台前方にスライド移動し、その移動に伴ってステー37が延びていき載置ボード20が徐々に起き上がる。載置ボード20を起き上がらせて窓部31が開放状態となったとき、係止部材43を回動して爪部43cを操作ボード22の孔部42に係止して操作ボード22の位置ずれを規制する。この状態では色見台19が窓部確保位置に位置し、作業者は窓部31を介して用紙5の色調等の確認作業が行える。
【0052】
続いて、印刷済みの用紙5と印刷見本とを見比べてインキ供給量を調整する場合や、見当装置による見当位置を調節する場合には、まずラチェット機構によるステー37の長さ保持状態を解除するために、操作ボード22をさらに機台前方にスライド移動してステー37を補助ストローク位置まで押し込む。ラチェット機構の解除後、操作ボード22を機台後方にスライド移動し、その移動に伴ってステー37が短くなって載置ボード20が徐々に倒れ込み、色見台19が初期位置に復帰する。
【0053】
そして、印刷済みの用紙5を排紙装置4から取り出し、初期位置に位置した色見台19の載置ボード20に用紙5を載置する。作業者は印刷結果が好適な色調又は見当となるように操作ボタン21やタッチパネル式のモニタ28を操作する。また、必要に応じて作業者が最も機台後方側に位置する印刷ユニット6dについてインキ壺部9のインキ供給を行う場合や、印刷ユニットの刷版交換又はメンテナンス等を行う場合には、色見台19を印刷位置のままにして作業スペース18に乗って各種作業を実施する。
【0054】
本例では、色見台19の載置ボード20及び操作ボード22を位置変更可能とし、操作ボード22をスライド移動させて載置ボード20の姿勢角θを大きくすることによって窓部31を開放させるようにした。従って、排紙装置4をセミパイル式としたことによって上面部分の配置スペースが小さくなり、色見台19を印刷位置としたときに作業スペース18のみが確保される構成となっても、色見台19を位置変更することによって作業スペース量Rと覗き見量Sとの両方が確保可能になる。
【0055】
この実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)操作ボード22を機台前方に押し込むことによってヒンジ機構38を支点として載置ボード20を回動可能とし、載置ボード20の姿勢角θを変更する構成とした。従って、色見台19が印刷位置に位置したときに窓部31の覗き見量Sに干渉する構成であっても、載置ボード20の姿勢角θを変更することによって覗き見量Sを確保することができる。また、この構成を採用することによって印刷機の前後方向長さの短縮化が可能であるので、覗き見量Sの確保と機台の前後方向長さの短縮化との両立が図れる。
【0056】
(2)色見台19は覗き見量Sが干渉状態であるとともに作業スペース量Rが確保された印刷位置と窓部確保位置との間で姿勢変更する2ポジション式である。従って、作業スペース18で作業する場合には印刷位置から色見台19を移動する必要がなく、トータルとして色見台19を動かす頻度が少なく済む。
【0057】
(3)載置ボード20を起こした状態では作業スペース量Rと覗き見量Sとの両方が開放状態となるので、この状態においては作業スペース量Rと覗き見量Sとの両方を確保することができる。
【0058】
(4)色見台19の位置変更を規制する係止部材43を設けたので、係止部材43の爪部43cを操作ボード22の孔部42に係止しておけば姿勢変更後の載置ボード20が位置ずれせずに済む。
【0059】
(5)窓部31は排紙装置4の後端部に位置するのが通常であるが、載置した用紙5を眺め易くするために色見台19も排紙装置4の後端部に配置したい要望がある。この場合には色見台19が窓部31に干渉する構成となってしまうが、色見台19を姿勢変更可能としたので、窓部31と色見台19とを排紙装置4の後端部に位置しても不具合が生じなくなる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図7及び図8に従って説明する。本例は第1実施形態に対して色見台19の位置変更機構が異なっており、他の基本的な構成は同じである。よって、同一部分には同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0061】
図7は、色見台19を斜め前方から見た斜視図である。色見台19は表面が上側を向くように傾斜した略平板状のボード部45と、そのボード部45の下端部に固着された略平板状の支持部46とを備えている。ボード部は第1実施形態に示す載置ボード20と操作ボード22とが有する各種部品を有し、例えば幅方向全域に延びるバー20b、印刷ユニット6a〜6dのインキ供給量を調整するときに操作される操作ボタン21、各操作ボタン21に対応した表示部22b等が配置されている。
【0062】
色見台19の両側側部には駆動手段としてのシリンダ47,47が各々配置されている。これらシリンダ47は例えばエアシリンダであり、シリンダロッド47aの先端がボード部45の裏面に固着されている。また、シリンダ47のシリンダ本体47bはブラケット48を介して取付部材35の延出部35bに取付固定されている。シリンダ47は制御装置29によって駆動制御され、色見台19を機台前後方向に沿ってスライド移動させる。
【0063】
ここで、シリンダロッド47aが伸びていないとき、色見台19は図8の実線で示す印刷位置となる。この印刷位置では窓部31が開放されて覗き見量Sが確保されるが、作業スペース18に色見台19が干渉した作業スペース干渉位置も兼ねている。また、シリンダロッド47aが伸びたとき、色見台19は機台後方側にスライド移動して図8の二点鎖線で示す作業スペース確保位置となる。この作業スペース確保位置では窓部31が色見台19によって隠れるが、作業スペース量Rが確保された状態となる。
【0064】
操作パネル24には色見台19の位置を印刷位置と作業スペース確保位置との間で切り換える切換ボタン49が設けられている。色見台19が印刷位置の状態で切換ボタン49が押されると、制御装置29はシリンダ47を駆動して色見台19を作業スペース確保位置に位置させる。一方、色見台19が作業スペース確保位置で切換ボタン49が押されると、制御装置29はシリンダ47のエアを抜いて色見台19を印刷位置に位置させる。
【0065】
ここで、印刷実行時においては色見台19を印刷位置に配置しておく。この状態では窓部31から印刷済みの用紙5を目視可能であり、用紙5の色調等の確認作業が行える。また、印刷済みの用紙5と印刷見本とを見比べる場合には色見台19を印刷位置のままにしておき、印刷済みの用紙5を排紙装置4から取り出す。そして、色見台19のボード部45に用紙5を載置して、操作ボタン21やタッチパネル式のモニタ28を操作して色調や見当を調整する。
【0066】
一方、印刷ユニット6dについてインキ壺部9のインキ供給、刷版交換、メンテナンス等を行う場合には、切換ボタン49を押してシリンダ47を駆動し、色見台19を作業スペース確保位置に移動させる。この作業スペース確保位置では作業スペース量Rが確保された状態となり、作業者は印刷ユニット6dの前方のステップ18aに位置して、インキ壺部9のインキ供給、刷版交換、メンテナンス等を実施する。従って、排紙装置4の機台前後方向長さが短くなっても、窓部31の覗き見量Sと作業スペース量Rとの両方が確保される。
【0067】
この実施形態では以下の効果を得ることができる。
(6)色見台19をシリンダ47によってスライド移動可能としたので、色見台19が印刷処理を行う印刷位置に位置したときに作業スペース量Rに干渉する構成であっても、色見台19をスライド移動することによって作業スペース量Rを確保することができる。また、この構成を採用することによって印刷機の前後方向長さの短縮化が可能であるので、作業スペース量Rの確保と機台の前後方向長さの短縮化との両立が図れる。
【0068】
(7)色見台19は作業スペース量Rが干渉状態であるとともに覗き見量Sが確保された印刷位置と作業スペース確保位置との間で姿勢変更する2ポジション式である。従って、窓部31から印刷済みの用紙5を目視するときには色見台19をスライド移動させずに済み、トータルとして色見台19を動かす頻度が少なく済む。
【0069】
(8)シリンダ47を駆動源として色見台19をスライド移動させるので、色見台19を手動で変更する場合に比べて位置変更作業が楽になる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図9〜図11に従って説明する。本例は第2実施形態と比べて色見台19の位置変更機構が異なっており、異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
図9は、色見台19を斜め前方から見た斜視図である。色見台19は概略的に述べると第2実施形態の構成からシリンダ47を省略した構成であり、レール36に沿って機台前後方向に手動でスライド移動可能となっている。また、本例の取付部材35は1枚の細長い平板形状をなしている。支持部46の左右側部には色見台19の機台前後方向へのスライド移動を規制するための握り付きネジ50(図9では手前側のみ図示)が設けられている。
【0071】
図10は、図9のII−II線断面図である。支持部46の左右両側の上面には握り付きネジ50が螺着可能な雌ネジ部51が固着されている。支持部46の上壁には雌ネジ部51の下方位置に孔部46aが貫通形成され、この孔部46aには握り付きネジ50の軸部50aが挿通可能となっている。
【0072】
握り付きネジ50の頭部50bが回動されて軸部50aの先端を中間レール36bの上面にきつく押しつけられると、色見台19は機台前後方向へのスライド移動が規制された状態となって位置決め状態を保持する。一方、握り付きネジ50が締め付けに対して反対側に回動されて、軸部50aが中間レール36bから離間すると、色見台19は機台前後方向にスライド移動可能となり、自由に位置決めが可能となる。
【0073】
また、色見台19は図11に示すように3位置に位置変更が可能な3ポジション式である。即ち、色見台19は図11(b)に示す前進位置と、図11(c)に示す後進位置と、前進位置と後進位置との略中間に位置する図11(a)に示す中間位置との間で移動する。ここで、図11(a)に示す中間位置では色見台19が排紙装置4の後端部に位置し、色見台19によって窓部31が隠れ、かつ作業スペース18が干渉された状態となる。
【0074】
図11(b)に示す前進位置は窓部31の覗き見量Sが確保された窓部確保位置であり、色見台19が中間位置又は後退位置のときには色見台19を機台前方に押し込むと前進位置に位置する。また、図11(c)に示す後退位置は作業スペース18の作業スペース量Rが確保された作業スペース確保位置であり、色見台19が中間位置又は前進位置のときには色見台19を機台後方に引き込むと後退位置に位置する。通常、印刷時において色見台19は好みによって中間位置又は前進位置に位置させることから、3ポジションではこれら位置が印刷位置となる。
【0075】
本例では、まず印刷時においては中間位置又は前進位置に位置させる。ここで、色見台19が中間位置又は後退位置に位置しているときに印刷済みの用紙について色調を確認したい場合には、握り付きネジ50の締め付けを緩めて色見台19をスライド移動により機台前方押し込み、前進位置(窓部確保位置)に位置して握り付きネジ50を締め付けて図11(b)に示す状態にする。こうすれば窓部31が開放された状態となり、排紙装置4の内側が目視可能となって印刷済みの用紙5について色調の確認作業が行える。
【0076】
一方、色見台19が中間位置又は前進位置に位置している際に、印刷ユニット6dのインキ壺部9のインキ供給、刷版交換、メンテナンス等を行いたいときには、握り付きネジ50の締め付けを緩めて色見台19をスライド移動により機台後方に引き込む。そして、後退位置(作業スペース確保位置)に位置させて握り付きネジ50を締め付けて図11(c)に示す状態にする。こうすれば作業スペース18が色見台19に干渉されなくなり、作業スペース量が確保されて印刷ユニット6dに対する各種作業が行える。
【0077】
従って、排紙装置4をセミパイル式とした場合には排紙装置4の機台前後方向の長さが短くなって、色見台19が中間位置のときに作業スペース量Rと覗き見量Sとを規制する場合がある。しかし、色見台19を機台前後方向にスライド移動可能としたので、使用に応じて前進位置又は後退位置に位置することによって作業スペース量Rと覗き見量Sとが確保される。また、色見台19の左右両側に握り付きネジ50を設けたので、握り付きネジ50を締め付けておけば色見台19が勝手に移動することなく位置決め状態で保持される。
【0078】
この実施形態では以下の効果を得ることができる。
(9)印刷機を小型化すると色見台19が中間位置に位置したときに作業スペース量Rと覗き見量Sとの両方に干渉した状態となり易いが、3ポジション式を採用することによって作業スペース量Rと覗き見量Sとの両方が確保可能になる。また、これに伴って3ポジション式を採用すれば印刷機1の機台前後長さを一層短くできる。
【0079】
(10)色見台19の左右両側に握り付きネジ50を設けたので、握り付きネジ50を締め付けておけば色見台19が勝手に移動することなく位置決め状態で保持することができる。
【0080】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を図12及び図13に従って説明する。本例は第1実施形態と比べて色見台19の位置変更機構が異なっており、異なる部分についてのみ説明する。
【0081】
図12は、排紙装置4側を拡大して示す斜視図である。色見台19は載置ボード20と操作ボード22とが独立(非連結)となっている。載置ボード20は所定の姿勢角θをもって排紙装置4の上面に固定されている。一方、操作ボード22はレール36(図4参照)に沿ってスライド移動可能であり、印刷位置において操作ボード22の後端面が排紙装置4の後端面と面一となる。
【0082】
まず、印刷実行時においては色見台19を印刷位置に配置しておく。印刷済みの用紙5の色調等を確認したい場合には操作ボード22を機台前方にスライド移動し、図13に示す窓部確保位置に移動する。従って、印刷位置において操作ボード22により窓部31が隠れていても、操作ボード22をスライド移動することによって窓部31が開放状態となり、排紙装置4の内側が目視可能となる。また、操作ボード22をスライド移動するだけであるので、色見台19を位置変更する機構が簡単な構造で済む。
【0083】
この実施形態では第1実施形態に記載の(1)〜(4)と同様の効果を得るとともに、以下の効果を得ることができる。
(11)色見台19を位置変更する構成が操作ボード22をスライド移動するだけの構成であるので、その位置変更の構造が簡単で済む。
【0084】
なお、実施形態は前記に限定されず、以下の態様に変更してもよい。
・ 第1実施形態において、色見台19は載置ボード20と操作ボード22との2部品からなる構成に限定されない。例えば、色見台19が第2及び第3実施形態に示すようなボード部45と支持部46とからなる一体型で、この色見台19を印刷位置から機台前方にスライド移動させる構成でもよい。また、これら構成においてスライド移動は手動に限らず、シリンダ等のアクチュエータを用いた構成でもよい。
【0085】
・ 第2実施形態において、色見台19を機台後方に移動させる構成はボード部45と支持部46とからなる一体型の色見台19を機台後方にスライド移動させる構成に限定されない。例えば図14に示すように、1枚の板材からなる色見台19の基端部を排紙装置4の上面にヒンジ機構55を介して連結し、色見台19の中央部の若干下側にヒンジ機構56を介して支持部57を連結する。そして、作業スペース量Rを確保するときには、ヒンジ機構55を介して色見台19を図14の二点鎖線で示す状態に起き上がらせて作業スペース確保位置とし、支持部57によりその位置状態を保持する構成でもよい。
【0086】
・ 第2実施形態において、色見台19をスライド移動する駆動源はシリンダ47に限定されず、例えばモータやロッドレスシリンダ等の他の駆動源を用いてもよい。
【0087】
・ 第3実施形態において、色見台19は手動によってスライド移動する構成に限定されない。例えば図15に示すように、色見台19の支持部46の下面にロッドレスシリンダ58を連結し、切換ボタン49(図7参照)を操作することによってロッドレスシリンダ58を伸縮して色見台19の位置を変更してもよい。また、色見台19の駆動源はロッドレスシリンダに限らず、例えばロッドのあるシリンダやモータ等を用いた構成でもよい。なお、ロッドレスシリンダ58は駆動手段を構成する。
【0088】
・ 第1〜第4実施形態において、色見台19のポジション数は2ポジション又は3ポジションに限らず、例えば4ポジションや5ポジションなど、複数であればそのポジション数は特に限定されない。
【0089】
・ 第1又は第2実施形態において、2ポジションの各位置は印刷位置(作業スペース確保位置)と窓部確保位置、又は印刷位置(窓部確保位置)と作業スペース確保位置に限定されない。例えば、第1実施形態のように印刷位置で作業スペース量が確保された構成である場合に、作業スペース量Rをさらに広げるために色見台19を機台後方にスライド移動可能として、スペース量を広げる位置と印刷位置との間で位置変更する構成でもよい。また、第3実施形態においても3ポジションの各位置を適宜自由に変更してもよい。
【0090】
・ 第1〜第4実施形態において、色見台19は必ずしも操作ボタン21を有する構成に限らず、少なくとも用紙5を載置可能なものであればよい。
・ 第1実施形態において、載置ボード20が排紙装置4の上面で固定され、操作ボード22が姿勢変更可能な構成とし、操作ボード22の姿勢を変更することによって窓部31を確保する構成を採用してもよい。
【0091】
・ 第2及び第3実施形態において、シリンダ47(別例のロッドレスシリンダ58も含む)は切換ボタン49を押す度にロッドが伸びたり縮んだりする構成に限らず、伸び用と縮み用とのボタンを各々設けてもよい。
【0092】
・ 第3実施形態において、印刷位置から窓部確保位置又は作業スペース確保位置へ位置変更する方式は、両方ともスライド移動であることに限定されない。例えば、印刷位置から窓部確保位置に位置変更するときは姿勢変更により色見台19を位置変更し、印刷位置から作業スペース確保位置に位置変更するときにはスライド移動により位置変更する構成を用いてもよい。また、この逆のパターンを用いてもよい。
【0093】
・ 第3実施形態において、色見台19を3ポジション式で位置変更する場合、スライド移動により位置変更することに限らず、色見台19(ボード部45)の姿勢角を変更することにより色見台19の位置変更するようにしてもよい。
【0094】
・ 第1〜第4実施形態において、用紙5を色見台19に固定する方法はマグネット23を用いた方法に限定されず、例えば図16に示す固定部材59を用いてもよい。この固定部材59は色見台19の上部に配置され、その幅方向に複数設けられている。固定部材59は基端が載置ボード20(色見台19)の上面に固着された略L字形状のバネ部59aと、一方向(図に示す矢印方向)にのみ回転可能でバネ部59aの先端に連結された回転部59bとを有する。そして、下側から用紙5を固定部材59と載置ボード20との間に差し込んで用紙5を固定し、用紙5を外す場合には用紙5を下側に引き抜いて行う。
【0095】
・ 第4実施形態において、載置ボード20と操作ボード22とのうち一方を移動する場合、移動するのは操作ボード22に限定されない。例えば、窓部31が露出する位置に操作ボード22を固定し、載置ボード20を下端部を支点として姿勢変更可能にして作業スペースを確保する構成でもよい。
【0096】
・ 第4実施形態において、載置ボード20に対して独立して動く操作ボード22を、第1実施形態に示すような構成を採用して姿勢変更とスライド移動とを組み合わせて位置変更してもよい。
【0097】
・ 第1〜第4実施形態において、色見台19が位置変更する際の移動方向は機台前後方向に限らず、例えば色見台19の載置面が機台の左右方向を向いた状態で色見台19が機台左右方向に動く構成でもよい。
【0098】
・ 第1〜第4実施形態において、印刷機1はオフセット式に限らず、オフセット式以外の様式の印刷方法を用いた印刷機に本例の構成を採用してもよい。また、印刷機1はインキ9aをインキローラ10で練り込んで用紙5に刷り込む構成に限らず、インクジェット式やレーザ式の印刷機としてもよい。また、印刷機1は用紙5に印刷を行う機種に限らず、用紙以外に例えば樹脂やテレホンカード等に印刷する機種に採用してもよい。
【0099】
前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(1)請求項1〜3,8において、前記移動機構は前記色見台の基端部と前記排紙部の上面とを回動可能に連結するヒンジ機構であり、前記色見台を前記ヒンジ機構を介して上方側に回動することによって前記色見台による前記所定エリアの干渉量を減少する側に変化させる。
【0100】
(2)請求項1〜7において、前記色見台に係止されることによって前記色見台の姿勢変更又はスライド移動を規制する移動規制手段を備えた。この場合、移動規制手段によって色見台の位置決め状態を保持しておけば位置変更後の位置ずれが抑制される。
【0101】
(3)請求項1〜6において、前記移動機構は前記色見台を前記排出部に対してスライド移動することによって、前記色見台による前記所定エリアの干渉量を減少する側に変化させる。この場合、スライド移動を用いるのみであるので、移動機構の構成が簡単なもので済む。
【0102】
(4)請求項1〜7において、前記移動機構は前記色見台を機台前後方向に姿勢変更又はスライド移動する。
(5)請求項5において、前記移動機構は前記色見台を所定の基準位置から所定方向にスライド移動することによって前記窓部を開放状態にするとともに、前記色見台を前記基準位置から前記所定方向とは逆方向に姿勢変更することによって前記作業スペースを開放状態にする。
【0103】
(6)請求項5において、前記移動機構は前記色見台を所定の基準位置から所定方向に姿勢変更することによって前記窓部を開放状態にするとともに、前記色見台を前記基準位置から前記所定方向とは逆方向にスライド移動することによって前記作業スペースを開放状態にする。
【0104】
(7)請求項1に記載の前記色見台の一部を移動させる構成として、前記印刷媒体が載置可能な載置ボードと、前記印刷部を作動させる操作部を有する操作ボードとを備え、前記移動機構は前記載置ボードと前記操作ボードのうち少なくとも一方を位置変更する。
【0105】
(8)請求項1〜8において、前記所定エリアは前記排出部の内側を目視するための窓部である。
(9)請求項1〜8において、前記所定エリアは作業者が前記印刷部に対し所定作業を行う際に位置する前記作業スペースである。
【0106】
(10)請求項1〜8において、前記所定エリアは前記排出部の内側を目視するための窓部と、作業者が前記印刷部に対し所定作業を行う際に位置する前記作業スペースとであり、前記窓部と前記作業スペースとは前記載置部の移動経路上に位置する。
【0107】
(11)請求項2〜8において、前記窓部は機台前後方向の後寄り、前記作業スペースは前記窓部に対して機台前後方向の前寄りに配置されている。
(12)請求項6〜8において、前記操作部は印刷部のインキ供給量を調整するための操作部である。
【0108】
(13)請求項1〜8において、前記色見台は前記印刷媒体が載置可能な載置ボードと、前記印刷部を作動させる操作部を有する操作ボードとを備え、前記載置ボードと前記操作ボードと一体型となっている。
【0109】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、色見台を移動機構によって姿勢変更又はスライド移動可能としたので、印刷機の機台前後方向長さを短くしても、印刷機の窓部の覗き見量と作業スペースの作業スペース量との両方を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における印刷機の模式構成図。
【図2】印刷機の排紙装置側の一部を拡大して示す斜視図。
【図3】色見台が窓部確保位置に位置したときの斜視図。
【図4】色見台を斜め前方から見た斜視図。
【図5】色見台の作動状態を示す模式説明図。
【図6】操作ボードの端部を部分的に拡大した模式斜視図。
【図7】第2実施形態における色見台を斜め前方から見た斜視図。
【図8】色見台の作動状態を示す模式説明図。
【図9】第3実施形態における色見台を斜め前方から見た斜視図。
【図10】図9に示すII−II線断面図。
【図11】(a)〜(c)は色見台の作動状態を示す模式説明図。
【図12】第4実施形態における排紙装置側を拡大して示す斜視図。
【図13】色見台が窓部確保位置に位置したときの斜視図。
【図14】別例における印刷機の後端部分を示す側面図。
【図15】他の別例における色見台を斜め前方から見た斜視図。
【図16】他の別例における色見台の上部を模式的に示す拡大斜視図。
【図17】従来における印刷機の模式構成図。
【符号の説明】
1…印刷機(オフセット印刷機)、3…印刷部としての印刷装置、4…排出部としての排紙装置、5…印刷媒体としての用紙、18…所定エリアを構成する作業スペース、19…色見台、20…載置ボード、21…操作部としての操作ボタン、22…操作ボード、31…所定エリアを構成する窓部、36…移動機構及びスライド手段を構成するレール、37…移動機構及び保持手段としてのステー、38…移動機構を構成するヒンジ機構、47…駆動手段を構成するシリンダ、58…駆動手段を構成するロッドレスシリンダ、X…干渉量。

Claims (8)

  1. 供給された印刷媒体に印刷処理を行う印刷部と、前記印刷部による印刷済みの印刷媒体を排出する排出部とを備えた印刷機において、
    前記印刷媒体を載置可能な載置面を有し、前記排出部の上面に設けられた所定エリアを干渉する位置に配置された色見台と、
    前記色見台の全体又は一部を前記排出部に対して姿勢変更、スライド移動或いは姿勢変更及びスライド移動の組み合わせによる可動方式で、前記色見台による前記所定エリアの干渉量を減少する側に変化させる移動機構と
    を備えたことを特徴とする印刷機。
  2. 前記排出部の内側に排出された印刷後の印刷媒体を目視可能に該排出部の上部に設けられた窓部と、作業者が所定作業を実施可能に前記排出部の上面側に設けられた作業スペースとを備え、前記所定エリアは前記窓部と前記作業スペースとのうち少なくとも一方であって、
    前記移動機構は前記排出部に対して前記色見台の全体又は一部を姿勢変更、スライド移動、或いは姿勢変更及びスライド移動の組み合わせによる可動方式で、前記窓部及び作業スペースのうち干渉された側の干渉量を減少する側に変化させることを特徴とする請求項1に記載の印刷機。
  3. 前記移動機構は、前記窓部を介して前記排出部の内側が目視不可能であるとともに前記作業スペースが確保された第1位置と、前記窓部を介して前記排出部の内側が目視可能な第2位置との2位置間で前記色見台を位置変更することを特徴とする請求項2に記載の印刷機。
  4. 前記移動機構は、前記作業スペースが確保されていないとともに前記窓部を介して排出部の内側が目視可能な第1位置と、前記作業スペースが確保された第2位置との2位置間で前記色見台を位置変更することを特徴とする請求項2に記載の印刷機。
  5. 前記移動機構は、前記窓部を介して前記排出部の内側が目視可能であるとともに前記作業スペースが確保されない前進位置と、前記作業スペースが確保されているとともに前記窓部を介して前記排出部の内側が目視不可能な後退位置と、前記前進位置と中間位置との間に位置するとともに前記排出部の後端部に位置する中間位置との3位置間で前記色見台を位置変更することを特徴とする請求項2に記載の印刷機。
  6. 前記色見台は前記印刷媒体が載置可能な載置ボードと、前記印刷部を作動させる操作部を有する操作ボードとを備え、
    前記移動機構は、前記載置ボードの端部と前記操作ボードの上面とを連結するヒンジ機構と、前記操作ボードをスライド移動させるスライド手段と、前記操作ボードがスライド移動して前記載置ボードが前記ヒンジ機構を支点にして姿勢変更した際に、その姿勢変更を許容して前記載置ボードを保持する保持手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の印刷機。
  7. 前記色見台は前記印刷媒体が載置可能な載置ボードと、前記印刷機を作動させる操作部を有する操作ボードとを備え、
    前記移動機構は、前記載置ボードに独立して前記操作ボードをスライド移動させるスライド手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の印刷機。
  8. 前記移動機構を介して前記色見台を姿勢変更又はスライド移動させる駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の印刷機。
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