JP2004209445A - ハロゲン化炭化水素含有ガス処理装置及び処理方法 - Google Patents

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稔 浅沼
Jun Ishii
純 石井
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利夫 高岡
Toshihiko Okada
敏彦 岡田
Ichiro Ueno
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Abstract

【課題】従来の触媒分解法における問題を解決し、大量処理が可能であり、特殊な処理によらず、経済的かつ安定的にハロゲン化炭化水素ガスを含むガスを分解できるハロゲン化炭化水素含有ガス処理装置及び処理方法を提供する。
【解決手段】導電性材料からなり、両端が開口した複数のガス流路を有する金属構造体であって、前記ガス流路内に粒状触媒の充填層が形成された触媒保持体と、該触媒保持体の外側に設けられる電磁誘導加熱コイルとを備え、前記ガス流路内にハロゲン化炭化水素含有ガスを導入するようにしたことを特徴とするハロゲン化炭化水素含有ガス処理装置を用いる。金属構造体の材質が高Ni含有ステンレス鋼であり、触媒がWおよびTiの元素を含み、且つPt、Pd、Au、RhおよびNiからなる元素群から選択される少なくとも1種の元素を含み、触媒の比表面積が50m/g以上であることが好ましい。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化炭化水素含有ガスの処理装置及び処理方法に関し、特に特定フロンを始めとするオゾン層破壊物質を効率よく酸化分解して無害化する処理装置及び処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化炭化水素には、有機塩素系溶剤や、例えばフロン11(CFCl)、フロン12(CFCl)などのフロン類などがあり、このハロゲン化炭化水素は一般に化学的・熱的に安定であり、油溶性で、揮発性が高いという性質がある。この性質を利用して、例えば有機塩素系溶剤はドライクリーニングの洗浄液や金属の脱脂洗浄剤など、またフロン類はクーラーの冷媒や樹脂発泡剤など、産業の様々な分野において大量に使用されているが、これらが環境中に放出されるとオゾン層の破壊や地球温暖化などの深刻な環境問題を引き起こす原因になるほか、人体に摂取されると発ガン性や催奇性を示す物質も指摘されている。最近では特定フロンに替わり、種々の代替フロン類や炭化水素類が冷媒用あるいは発泡用として使用されており、その処理も懸案事項である。
【0003】
これらの問題に対して、これまでに下記a)〜d)のようなハロゲン化炭化水素の分解処理技術が提案されてきた。
【0004】
a)、燃焼法:フロンガスに水素・メタン等を混合し燃焼分解する技術であり、円筒バーナー内にフロンと、メタン・水素等の助燃剤を添加し燃焼性を向上させるとともに、旋回流で混合させることにより燃焼の均一性を図るものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
b)、プラズマ分解法:高周波プラズマ分解炉においてフロンを加水分解し、発生する二酸化炭素・水素を、空気を導入して燃焼処理する方法(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
c)、紫外線分解法:有機塩素化合物含有ガスを完全混合、不完全混合を組み合わせた複数の紫外線照射反応容器を通過させることにより効率的に光分解処理する方法(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
d)、触媒分解法:フロン含有ガスを、例えば白金を担持した炭化珪素からなる触媒と接触させて効率的に分解する方法であり、白金担持炭化珪素を触媒に用いることにより、フロン分解時に発生する塩化水素に対して耐食性が向上し、長い時間安定した触媒活性を維持することが可能であるとされている(例えば、特許文献3参照。)。また、SiCやステンレス鋼などの導電性の担体に貴金属、タングステン、チタニアを担持させた触媒を高周波加熱し、ハロゲン化炭化水素を分解する方法も知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−180040号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平9−276691号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平6−343827号公報
【0011】
【特許文献4】
特開2001−54723号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記先行技術のうち、燃焼法、プラズマ分解法、紫外線分解法は、ハロゲン化炭化水素の分解処理に一定の効果があるものの、以下に述べる理由により、大量のハロゲン化炭化水素ガスを効率よく、且つ安全に無害化処理する方法として、いずれも十分な方法であるとは言い難い。
【0013】
燃焼法では、例えば、700℃以上の高い温度が必要である上に、遊離したハロゲンは腐食性の強いガス(フッ化水素、塩化水素等)であるため、通常の鋼材では使用に耐えられず、燃焼炉が腐食される等の問題があり、また燃焼の温度制御が困難である。
【0014】
プラズマ分解法は、電力やプラズマガスなどに関するランニングコストが高く、経済性に問題がある。
【0015】
紫外線分解法は、紫外線ランプや石英ジャケットのスケールアップに限界があり、大量のガスの分解処理には不適である。
【0016】
これらの技術に対して、触媒分解法は比較的低温で効率的な処理が可能な上に、処理装置が簡便であるなどの利点がある。しかしながら、この触媒分解法で用いる触媒は一般的に高価であるため、外熱型電気ヒーターによる触媒の不均一加熱等に起因して触媒劣化が生じると、触媒の交換頻度が増加し、経済性が低下するという問題がある。また、触媒担体として金属を用いた場合には、ハロゲン化炭化水素ガス等のハロゲン含有ガスにより触媒担体が劣化するおそれもある。
【0017】
上記の触媒分解法における問題を解決するために、特許文献4にはSiCやステンレス鋼に触媒を保持させ、電磁誘導加熱方式で触媒を急速加熱・急速冷却する技術が開示されている。しかし、SiCやステンレス鋼の平滑表面への触媒の保持量は極めて少なく、触媒を多量に保持させるのは困難であり、工業的に使用するためには、通常、ステンレス鋼の酸処理やサンドブラッシュ加工等の表面加工処理を行い、反応容器も大型化する必要がある。また、触媒とステンレス鋼表面との結合は強固なものではなく、熱膨張率の相違から急速昇温や急速降温などの熱的衝撃により触媒が剥離しやすい。SiCを用いる場合も、やはり急速昇温や急速降温などの熱的衝撃により触媒が剥離しやすい。
【0018】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、従来の触媒分解法における問題を解決し、大量処理が可能であり、特殊な処理によらず、経済的かつ安定的にハロゲン化炭化水素ガスを含むガスを分解できるハロゲン化炭化水素含有ガス処理装置及び処理方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)導電性材料からなり、両端が開口した複数のガス流路を有する金属構造体であって、前記ガス流路内に粒状触媒の充填層が形成された触媒保持体と、該触媒保持体の外側に設けられる電磁誘導加熱コイルとを備え、前記ガス流路内にハロゲン化炭化水素含有ガスを導入するようにしたことを特徴とするハロゲン化炭化水素含有ガス処理装置。
(2)金属構造体の材質が高Ni含有ステンレス鋼であり、触媒がWおよびTiの元素を含み、且つPt、Pd、Au、RhおよびNiからなる元素群から選択される少なくとも1種の元素を含み、触媒の比表面積が50m/g以上であることを特徴とする(1)に記載のハロゲン化炭化水素ガス含有ガスの処理装置。
(3)金属構造体の材質が、Ni含有率が12%以上のオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする(1)または(2)に記載のハロゲン化炭化水素ガス含有ガスの処理装置。
(4)ガス流路を有する金属構造体の前記ガス流路内にハロゲン化炭化水素ガス分解触媒の充填層を形成し、電磁誘導加熱方式で前記金属構造体を加熱することで前記充填層を加熱して、前記ガス流路に導入されるハロゲン化炭化水素含有ガスが、加熱された充填層を通過することによりハロゲン化炭化水素ガスを分解することを特徴とするハロゲン化炭化水素含有ガスの処理方法。
(5)ハロゲン化炭化水素含有ガスが、ハロゲン化炭化水素以外の炭化水素を含有することを特徴とする(4)に記載のハロゲン化炭化水素含有ガスの処理方法。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は電磁誘導加熱方式で金属構造体を加熱することで、該金属構造体により保持された触媒を急速加熱・急速冷却し、該触媒とハロゲン化炭化水素ガスを含有するガスとを接触させてハロゲン化炭化水素ガスを分解する処理方法であって、前記金属構造体を耐食性、耐熱性、導電性を有する材質として、且つ前記ハロゲン化炭化水素ガスを含有するガスを通過させるための複数のガス流路を有するものとし、該ガス流路内に前記触媒を充填して充填層を形成することで、ガス流路内の触媒もほぼ均一に急速加熱・急速冷却することができ、経済的かつ安定的にハロゲン化炭化水素含有ガスの大量処理を可能にするものである。
【0021】
まず、本発明のハロゲン化炭化水素含有ガス処理装置について説明する。
【0022】
本発明のハロゲン化炭化水素含有ガス処理装置は、導電性材料からなり、両端が開口した複数のガス流路を有する金属構造体であって、前記ガス流路内に粒状触媒の充填層が形成された触媒保持体と、該触媒保持体の外側に設けられる電磁誘導加熱コイルとを備え、前期ガス流路内にハロゲン化炭化水素含有ガスを導入するようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
本発明で用いる金属構造体は、耐食性、耐熱性、導電性を有し、複数のガス流路を有するものであり、例えば、円筒状の外壁を有し、外壁の内部が仕切り部材により、円筒の軸方向では連続であり、円筒の軸に垂直な面では多数の部分に仕切られて、小さなガス流路に分割されていることが好ましい。外壁が円筒状であると、電磁誘導加熱(高周波加熱)法を用いて均一に加熱することが容易であり、多数の仕切り部分を有することで触媒保持体を形成し、触媒を保持しながら金属構造体内部にガスの流路を形成しつつ、触媒全体を効率的に加熱することができる。
【0024】
金属構造体は耐食性、耐熱性、導電性を有する必要があり、金属構造体の素材にはステンレス鋼を用いることが好ましい。ステンレス鋼の中でも、Ni含有率8%以上のオーステナイト系ステンレス鋼を用いると、フッ化水素等に対しても高耐腐食性を有するので好ましく、特に、Ni含有率20%以上のSUS310S相当のオーステナイト系ステンレス鋼が好適である。
【0025】
本発明で用いる触媒を保持するための金属構造体の一実施形態を図1に示す。図1に示す金属構造体は、導電性の薄板を円筒形に加工して外壁1を形成し、その内部に導電性の薄板を井形に組み上げた仕切り部材2を形成して、複数のガス流路を形成したものである。外壁1と仕切り部材2とが接する部分は空隙がないように溶接等により接合する。溶接に使用する溶接材は加熱時の膨張等を考慮して外壁1や仕切り部材2と同一の金属を用いることが好ましい。また、仕切り部材2の井形により形成される格子間隔dは、仕切り部材2の井形内に形成されたガス流路に触媒を充填して触媒の充填層を形成するために、触媒の粒径以上である必要があり、触媒の充填密度の関係から、触媒の粒径の3倍以上であることが好ましい。例えば、外径5mm、長さ10mmの円柱形状に成型された触媒を図1に示す金属構造体に充填する場合、仕切り部材2の井形により形成される格子間隔dは15mm以上が好ましい。一方で、格子間隔dが必要以上に大きいと金属構造体に隣接する触媒の割合が減少し、触媒の均一加熱が困難となる。
【0026】
図2は、本発明で用いる触媒を保持するための金属構造体の他の実施形態であり、金属構造体を同心円と半径方向に分割して小さなガス流路を形成したものである。導電性の薄板を円筒形に加工した外壁1内に、導電性の薄板で形成した内径の異なる複数の円筒部材を同心円状に配置し、導電性の薄板を放射状に配置して、各円筒部材を溶接等で固定した仕切り部材2を有し、形成されたガス流路内に触媒を充填して触媒の充填層を形成して使用する。
【0027】
金属構造体の仕切り部材2に用いる薄板は、パンチングメタル等を用いるとガスの通気性が向上するので好ましい。
【0028】
ハロゲン化炭化水素ガスを含有するガスの分解(酸化分解)に用いる触媒は、ハロゲン化炭化水素に対する耐性、すなわちハロゲン化炭化水素含有ガス雰囲気で優れた耐腐食性を有することが必要である。具体的には、ハロゲン化水素に対する耐腐食性が高いPt、Pd、Au、Rh及びNiのうちの少なくとも1種の元素(第1群元素)を含むもの、および、W、Cr、Fe、Mo及びVの内少なくとも1種の元素(第2群元素)を含むものを好適に用いることができる。第2群元素の中では、Wを用いることが特に好ましい。担体としてTiOとを含むものがさらに好ましく、第1群元素と、第2群元素と、担体としてTiOとを全て含有するものが特に好ましい。第1群元素と第2群元素とTiOとを全て含有するものは、ハロゲン化炭化水素ガスを分解する機能に加えて、メタン、エタン、エチレン等の低級炭化水素および芳香族炭化水素類等のハロゲン化炭化水素ガス以外の炭化水素ガスをもCO、CO、HO等に分解する機能も有し、高性能である。また、触媒活性の点から触媒の比表面積は大きいほど好ましいので、触媒の比表面積が50m/g以上であると、ハロゲン化炭化水素ガスの分解率を95%以上にできるので好ましい。触媒の比表面積が60m/g以上であると、ハロゲン化炭化水素ガスの分解率を99%以上にできるので特に好ましい。
【0029】
上記の触媒の第2群元素の中では、Wを用いることが特に好ましく、担体としてTiOを用いることが好ましいので、結局、触媒がWおよびTiの元素を含み、且つPt、Pd、Au、RhおよびNiからなる元素群から選択される少なくとも1種の元素を含み、触媒の比表面積が50m/g以上であることがもっとも好ましい。
【0030】
触媒は通常、含浸法、混練法等で担体と一体として形成して、触媒の充填層を形成するために、円柱状、球状等の粒状の形状にして使用する。含浸法は、TiOやAl等の酸化物担体を所定量の金属塩化物、金属硝酸塩を溶解した水溶液に浸し、水分は加熱して蒸発させた後、触媒として使用する所定温度以下で空気中で焼成して触媒を製造する方法であり、混練法は、TiOやAl等の酸化物担体に水等の溶媒を加え、あるいは担体と使用する金属水酸化物に水あるいは溶媒を加え、所定量の金属塩化物、金属硝酸塩を混連し、水分は加熱して蒸発させた後、触媒として使用する所定温度以下で空気中で焼成して触媒を製造する方法である。
【0031】
図3は本発明の一実施形態であり、触媒を充填した金属構造体を加熱処理するハロゲン化炭化水素含有ガス分解装置の断面の概略図である。図3において、3は石英管などの絶縁性の筒状容器、4は筒状容器3内に設置された金属構造体、5は金属構造体4内の触媒、6は筒状容器3の外側に巻回された電磁誘導コイル、7は電磁誘導コイル6に高周波を供給する高周波電源である。
【0032】
筒状容器3の一方の開口部3aからフロンなどのハロゲン化炭化水素ガス、炭化水素ガス、空気、水蒸気等を含有するガスが導入され、金属構造体4内の触媒により分解されて、他方の開口部3bから分解されたガスが排出される。
【0033】
本実施の形態では金属構造体4は3つ直列に配置したが、金属構造体の数や配置方法は、分解するガスの量に応じて適宜設定することができる。また、本実施形態のように金属構造体のガス流路が水平でない場合は、金属構造体の開口部には金網等の、通気性を有する触媒保持板を設けて触媒の脱落を防止することが望ましい。また、電磁誘導加熱方式としては、上記のように高周波誘導加熱方式を用いることが好ましい。
【0034】
次に、ハロゲン化炭化水素含有ガスの処理方法について説明する。
【0035】
本発明では、ガス流路を有する金属構造体の前記ガス流路内にハロゲン化炭化水素ガス分解触媒の充填層を形成し、電磁誘導加熱方式で前記金属構造体を加熱することで前記充填層を加熱して、前記ガス流路に導入されるハロゲン化炭化水素含有ガスが、加熱された充填層を通過することによりハロゲン化炭化水素ガスを分解する。
【0036】
本発明において好適に処理できるハロゲン化炭化水素ガスの例として、フロン11(CFCl)、フロン12(CFCl)を代表とする各種フロン類を挙げることができる。各種フロン類を分解するために、ハロゲン化炭化水素ガス含有ガスが、空気及び水蒸気を含有することが好ましい。水蒸気あるいは空気(酸素)を分解に必要な量論比以上加えることで、高分解率を達成できる。処理条件を適宜設定することにより、テトラクロロエチレンをはじめとする揮発性有機化合物(VOC’s)や、ダイオキシン類含有ガス等の、各種ハロゲン化炭化水素ガスの分解処理にも有効である。
【0037】
ハロゲン化炭化水素ガス分解触媒として、上記で説明した第1群元素と第2群元素とTiOとを全て含有するものを用いると、ハロゲン化炭化水素ガスを分解する機能に加えて、メタン、エタン、エチレン等の低級炭化水素および芳香族炭化水素類等のハロゲン化炭化水素ガス以外の炭化水素ガスをもCO、CO、HO等に分解することができる。したがって、ハロゲン化炭化水素含有ガスが、ハロゲン化炭化水素以外の炭化水素を含有することが好ましい。
【0038】
図4は、本発明を用いてハロゲン化炭化水素含有ガスを処理するシステムの一実施形態である。フロン含有排ガスA、空気B、工水Cを、混合機8により混合し、予熱器9で予熱した後、触媒を充填した金属構造体を加熱処理するハロゲン化炭化水素含有ガス分解装置10に通気し、分解処理する。分解により発生した分解ガスは冷却器11により急冷され、中和槽12で苛性ソーダにより中和処理された後、無害化したガスDとして排出される。
【0039】
上記の方法でハロゲン化炭化水素含有ガスを酸化分解するために好ましい分解温度は200〜500℃であり、より好ましくは、300〜500℃である。これは、200℃より低い温度では触媒性能が発現しないからであり、また、500℃より高い温度では触媒の比表面積が低下し、活性が低下し、さらに酸性ガスによる反応装置の腐蝕も激しくなるためである。
【0040】
【実施例】
(実施例1)図4と同様のハロゲン化炭化水素含有ガスを処理するシステムを用いて、フロン12(CFCl)、軽質炭化水素、タールを含むガスの酸化分解処理を行った。金属構造体は図1と同様の成型体であって、SUS310S製で、板厚0.5mm、円筒形外径15cm、長さ10cm、井形に組み上げた仕切り部材の間隔は15mmに製造した。金属構造体の内部に酸化触媒を充填した。触媒の調整方法は別途下記に示す。図4に示すハロゲン化炭化水素含有ガス分解装置10は、15.5cmφ×60cmの絶縁性の筒状容器(反応管)を有し、絶縁性の筒状容器内中央に金属構造体を3段充填した。金属構造体に熱電対を設置して、金属構造体の温度が400℃になるように、高周波誘導加熱の出力を制御して加熱を行った。また、金属構造体内の触媒の温度(触媒層内温度)についても計測した。
【0041】
触媒は、以下に示す混練法により調整した。まず、純水1000mlを入れたビーカに硫酸チタン溶液(Ti(SOsol.)501.5gを20ml/minの速度で滴下し、水酸化チタン溶液を調整する。この際、水溶液のpHが6.5〜7.5になるようにアンモニア水(NHsol.)を同時に滴下するとともに、水酸化チタン溶液の温度が高くならないように氷冷する。この溶液を濾過し、生成した溶液中の硫酸アンモニウムを純水を用いて十分に除去し、水酸化チタンのみを濾別する。上記を300℃で3時間焼成し、チタニア担体とした。
【0042】
チタニア担体に少量の純水、塩化白金酸(HPtCl・6HO)0.66gおよびタングステン酸アンモニウム(5(NHO・12WO・5HO)5.64gを加え、30分間、ニーダーにて混練した。その後、押し出し成型器にて5mmφの成型品を得た。この粒子を120℃、24時間乾燥後、空気中で550℃、3時間焼成を行い、触媒(0.5wt%Pt−10mass%WO/TiO)を得た。
【0043】
上記により得られた触媒の比表面積は83m/g、平均細孔径は134Åであった。
【0044】
ハロゲン化炭化水素含有ガス分解の際の試験条件は下記の通りとした。
Figure 2004209445
高周波加熱の条件は下記の通りとした。
周波数:25KHz
出力:20KW
以上の条件で、約200時間(h)の連続試験を行った。ハロゲン化炭化水素ガスの分解率(フロン分解率)と触媒層内温度の測定結果を図5に示す。触媒層内温度は長時間にわたって安定していた。また、分解率も100時間以降は99%以上で安定していた。220時間経過後に急冷し、再度試験を実施したところ、急冷前と同じ結果が得られ、触媒の初期活性が継続していることが確認された。また、金属構造体の腐食状況を調べたところ、軽微であり、ほとんど問題にならない程度であった。
【0045】
(実施例2〜4)チタニアの焼成温度を550℃(実施例2)、575℃(実施例3)、600℃(実施例4)に変化させた以外は実施例1と同様に触媒を調整して、ハロゲン化炭化水素含有ガスの分解処理を行った。触媒の比表面積と、ハロゲン化炭化水素ガスの分解率(フロン分解率)の測定結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 2004209445
【0047】
(実施例5)触媒として実施例1で調整したものと同様のものを用い、金属構造体としてNi含有率8%のSUS304Lを用いて実施例1と同様の方法で試験を行った。ハロゲン化炭化水素ガスの分解率(フロン分解率)と触媒層内温度の測定結果を図6に示す。100時間経過後程度までは、90%以上のフロン分解率を保っているが、触媒活性は経時的に低下し、試験終了後の金属構造体を観察したところ、ハロゲン化水素による腐食が認められ、最下段の金属構造体に充填した触媒の表面にFeおよびNiの付着が認められたが、最下段の金属構造体に充填した触媒のみを新しいものと交換することでフロン分解率は初期の状態に回復した。
【0048】
(比較例1)実施例1で調整した触媒を、炭素鋼を用いて実施例1と同様に製作した金属構造体に充填し、実施例1と同様な条件で試験を実施した。結果を図7に示す。試験初期は90%以上のフロン分解率を示し、触媒は高活性を示したものの、その後急激にフロン分解率が低下し、触媒の活性は低下した。試験終了後の金属構造体を観察したところハロゲン化水素による著しい腐食が認められ、充填した触媒全般にFeの付着が認められた。
【0049】
(比較例2〜4)チタニアの焼成温度を650℃(比較例2)、700℃(比較例3)、750℃(比較例4)に変化させた以外は実施例1と同様の条件で試験を実施した。結果を表1に併せて示す。チタニアの焼成温度で触媒の比表面積が変化し、比表面積の低下とともにフロンの分解率も低下した。
【0050】
表1によれば、比表面積が50m/g以上で、フロンの分解率97%以上が得られ、比表面積が60m/g以上で、フロンの分解率99%以上が得られた。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、金属構造体の腐食にともなう触媒の失活を回避でき、ハロゲン化炭化水素ガスを含むガスの高分解率を達成できるので、大量処理が可能であり、特殊な処理によらず、経済的かつ安定的にハロゲン化炭化水素ガスを含むガスを分解処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属構造体の一実施形態を示す断面図。
【図2】金属構造体の他の実施形態を示す断面図。
【図3】触媒を充填した金属構造体を加熱処理するハロゲン化炭化水素含有ガス分解装置の断面の概略図。
【図4】ハロゲン化炭化水素含有ガスを処理するシステムの一実施形態。
【図5】フロンガスの分解率と触媒層内温度の時間変化を示すグラフ(実施例1)。
【図6】フロンガスの分解率と触媒層内温度の時間変化を示すグラフ。(実施例5)
【図7】フロンガスの分解率の時間変化を示すグラフ。(比較例1)
【符号の説明】
1:外壁、
2:仕切り部材、
3:筒状容器、
3a:筒状容器の一方の開口部、
3b:筒状容器の他方の開口部、
4:金属構造体、
5:触媒、
6:電磁誘導コイル、
7:高周波電源、
8:混合機、
9:予熱器、
10:ハロゲン化炭化水素含有ガス分解装置、
11:冷却器、
12:中和槽、
A:フロン含有排ガス、
B:空気、
C:工水、
D:無害化したガス、
d:格子間隔

Claims (5)

  1. 導電性材料からなり、両端が開口した複数のガス流路を有する金属構造体であって、前記ガス流路内に粒状触媒の充填層が形成された触媒保持体と、該触媒保持体の外側に設けられる電磁誘導加熱コイルとを備え、前記ガス流路内にハロゲン化炭化水素含有ガスを導入するようにしたことを特徴とするハロゲン化炭化水素含有ガス処理装置。
  2. 金属構造体の材質が高Ni含有ステンレス鋼であり、触媒がWおよびTiの元素を含み、且つPt、Pd、Au、RhおよびNiからなる元素群から選択される少なくとも1種の元素を含み、触媒の比表面積が50m/g以上であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化炭化水素ガス含有ガスの処理装置。
  3. 金属構造体の材質が、Ni含有率が12%以上のオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハロゲン化炭化水素ガス含有ガスの処理装置。
  4. ガス流路を有する金属構造体の前記ガス流路内にハロゲン化炭化水素ガス分解触媒の充填層を形成し、電磁誘導加熱方式で前記金属構造体を加熱することで前記充填層を加熱して、前記ガス流路に導入されるハロゲン化炭化水素含有ガスが、加熱された充填層を通過することによりハロゲン化炭化水素ガスを分解することを特徴とするハロゲン化炭化水素含有ガスの処理方法。
  5. ハロゲン化炭化水素含有ガスが、ハロゲン化炭化水素以外の炭化水素を含有することを特徴とする請求項4に記載のハロゲン化炭化水素含有ガスの処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008194683A (ja) * 2007-01-18 2008-08-28 Shiga Univ Of Medical Science 揮発性化合物の分解方法
JP2012022934A (ja) * 2010-07-15 2012-02-02 Fuji Electric Co Ltd 誘導加熱装置、そのための二重管

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