JP2004208606A - 脱穀装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】扱胴の一側に処理胴を設け、揺動選別棚の前方に第2唐箕を設けた脱穀装置において、選別性能を向上させる。
【解決手段】扱胴を軸架する扱室の一側に二番物を受け入れて処理する二番処理胴を設け、該二番処理胴の後方には、前記扱室からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴を設けるとともに、前記扱胴と二番処理胴及び排塵処理胴の下方に揺動選別棚を設け、該揺動選別棚の下方には選別風送り方向上手側から唐箕、一番ラセン、二番ラセンを配置して構成した脱穀装置において、前記唐箕の前側上方には前記揺動選別棚の始端側に向けて送風する第2唐箕を設け、該第2唐箕はフィードチェン側に位置する左側第2唐箕と二番処理胴側に位置する右側第2唐箕に分割して構成し、前記左側第2唐箕の径よりも右側第2唐箕の径を大きく構成したことを特徴とする脱穀装置の構成とする。
【選択図】 図5
【解決手段】扱胴を軸架する扱室の一側に二番物を受け入れて処理する二番処理胴を設け、該二番処理胴の後方には、前記扱室からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴を設けるとともに、前記扱胴と二番処理胴及び排塵処理胴の下方に揺動選別棚を設け、該揺動選別棚の下方には選別風送り方向上手側から唐箕、一番ラセン、二番ラセンを配置して構成した脱穀装置において、前記唐箕の前側上方には前記揺動選別棚の始端側に向けて送風する第2唐箕を設け、該第2唐箕はフィードチェン側に位置する左側第2唐箕と二番処理胴側に位置する右側第2唐箕に分割して構成し、前記左側第2唐箕の径よりも右側第2唐箕の径を大きく構成したことを特徴とする脱穀装置の構成とする。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、穀稈を脱穀して選別する脱穀装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、扱胴を軸架する扱室の一側後方に扱室からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴を設け、唐箕の前側上方に揺動選別棚の始端側に向けて送風する第2唐箕を設け、この第2唐箕の径は横幅方向に亘って同じ構成である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−201524号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような脱穀装置では、次のような欠点がある。即ち、扱胴の一側に設ける排塵処理胴側の風量が少ないので選別が適切に実行されず、選別性能が低下していた。また、排塵処理胴側の量に対応した風量を第2唐箕から送風すると、扱胴側の送風量が多くなってしまい3番飛散が多くなるという欠点がある。
【0005】
本発明の課題は、前述のような不具合を防止する脱穀装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、扱胴1を軸架する扱室2の一側に二番物を受け入れて処理する二番処理胴27を設け、該二番処理胴27の後方には、前記扱室2からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴25を設けるとともに、前記扱胴1と二番処理胴27及び排塵処理胴25の下方に揺動選別棚3を設け、該揺動選別棚3の下方には選別風送り方向上手側から唐箕5、一番ラセン6、二番ラセン7を配置して構成した脱穀装置4において、前記唐箕5の前側上方には前記揺動選別棚3の始端側に向けて送風する第2唐箕44を設け、該第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成し、前記左側第2唐箕44aの径Bよりも右側第2唐箕44bの径Cを大きく構成したことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0007】
請求項1の作用は、穀稈はフィードチェン17で搬送されながら扱胴1で脱穀される。扱胴1で脱穀された被処理物は下方の揺動選別棚3上に落下して、唐箕5からの選別風で風選され、穀粒は一番ラセン6内に落下して回収される。一番ラセン6の下手側に位置する二番ラセン7内に回収された二番物は、二番処理胴27へ搬送されて処理され、再び、下方の揺動選別棚3上に落下して風選される。一方、扱室2の後部に残っている被処理物は、排塵処理胴25内へ搬送されて処理され、ササリ粒を含む被処理物は下方の揺動選別棚3上に落下して風選される。また、排塵処理胴25の後部まで搬送された被処理物は、機外へと放出される。揺動選別棚3の始端側には第2唐箕44からの選別風が送風される。この第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成されていて、左側第2唐箕44aの径Bよりも右側第2唐箕44bの径Cを大きく構成しているので、右側第2唐箕44bからの送風量は多く送風される。
【0008】
請求項2記載の発明では、扱胴1を軸架する扱室2の一側に二番物を受け入れて処理する二番処理胴27を設け、該二番処理胴27の後方には、前記扱室2からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴25を設けるとともに、前記扱胴1と二番処理胴27及び排塵処理胴25の下方に揺動選別棚3を設け、該揺動選別棚3の下方には選別風送り方向上手側から唐箕5、一番ラセン6、二番ラセン7を配置して構成した脱穀装置4において、前記唐箕5の前側上方には前記揺動選別棚3の始端側に向けて送風する第2唐箕44を設け、該第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成し、前記左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きく構成したことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0009】
請求項2の作用は、穀稈はフィードチェン17で搬送されながら扱胴1で脱穀される。扱胴1で脱穀された被処理物は下方の揺動選別棚3上に落下して、唐箕5からの選別風で風選され、穀粒は一番ラセン6内に落下して回収される。一番ラセン6の下手側に位置する二番ラセン7内に回収された二番物は、二番処理胴27へ搬送されて処理され、再び、下方の揺動選別棚3上に落下して風選される。一方、扱室2の後部に残っている被処理物は、排塵処理胴25内へ搬送されて処理され、ササリ粒を含む被処理物は下方の揺動選別棚3上に落下して風選される。また、排塵処理胴25の後部まで搬送された被処理物は、機外へと放出される。揺動選別棚3の始端側には第2唐箕44からの選別風が送風される。この第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成されていて、前記左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きく構成しているので、右側第2唐箕44bからの送風量は多く送風される。
【0010】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、被処理物の多い二番処理胴27と排塵処理胴側25へ多量の選別風が送風されるので、選別性能が向上し、一番の回収率が向上するようになる。また、フィードチェン17側への送風量は二番処理胴27や排塵処理胴25側ほど多くないので、適切な選別が実行され3番飛散を防止できるようになる。
【0011】
請求項2記載の発明においては、被処理物の多い二番処理胴27と排塵処理胴25側へ多量の選別風が送風されるので、選別性能が向上し、一番の回収率が向上するようになる。また、フィードチェン17側への送風量は二番処理胴27や排塵処理胴25側ほど多くないので、適切な選別が実行され3番飛散を防止できるようになる。特に、左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きくすることにより、二番処理胴27と排塵処理胴25側への送風量を多くするように構成しており、その結果、左側第2唐箕44aと右側第2唐箕44bとの径は略同じに構成できるので、コンパクトな構成が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の脱穀装置4を搭載したコンバインが示されている。
走行装置14を有する車台15の前方には植立穀稈を刈り取る刈取装置16を設け、車台15上には前記刈取装置16で刈り取った穀稈をフィードチェン17にて挾持搬送しながら脱穀選別する脱穀装置4と、コンバインを操作する操作部18と、前記脱穀装置4にて脱穀選別した穀粒を一時貯溜するグレンタンク19とを設けている。
【0013】
また、グレンタンク19内下方には、一時貯溜している穀粒を機外へ排出する下部ラセン(図示せず)があり、該下部ラセンから搬送されてきた穀粒を引き継いでコンバインの機体上方へと搬送する縦オーガ20が車台15に対して旋回可能に設けられ、さらに、縦オーガ20には横オーガ21が昇降可能に設けられている。
【0014】
前記脱穀装置4について、図2〜図4に基づいて説明する。
図2は脱穀装置4の側面図、図3は脱穀装置4の平面図である。
脱穀装置4内には、扱網22を有する扱胴1を扱胴軸23で軸架した扱室2と、該扱室2の一側には、扱室2の後部からの処理物を受け入れて処理する排塵処理網24を有する排塵処理胴25を排塵処理胴軸25aで軸架した排塵処理室26が設けられている。そして、扱室2と排塵処理室26の下方には揺動選別棚3を設けている。
【0015】
また、排塵処理胴25の前方には、二番処理胴27と二番処理胴受樋28(網や格子状のものでもよい。)からなる二番処理室29が構成されている。二番処理胴27は、本実施例では扱胴1の一側であって、排塵処理胴25の前方に排塵処理胴25と一体的に構成されている。この二番処理胴27は基本的には二番物を処理するものである。この二番処理胴27は二番処理胴軸27cにて支持されている構成であるので、前記排塵処理胴25と二番処理胴27とは一体的に排塵処理胴軸25aと二番処理胴軸27cとで支持されている構成である。
【0016】
さらに、図4は図3にて示すS1ーS1断面図であるが、扱網22から漏れた被処理物は二番処理室29内に取り込まれる構成であるので、前記二番処理胴27は二番物の他に、扱室2内から入り込んできた被処理物も一緒に処理する構成となっている。前記扱網22と二番処理胴受樋28(網や格子状でもよい)と排塵処理網24は、それぞれ扱胴1と二番処理胴27と排塵処理胴25の下方に設けられている。
【0017】
前記扱室2と二番処理室29と排塵処理室26の下方には、落下してくる被選別物を受けて選別する揺動選別棚3が設置されていて、該揺動選別棚3の下方には、選別風送り方向始端側に唐箕5を設け、該唐箕5から送風される選別風の送り方向下手側には一番ラセン6を設け、該一番ラセン6の選別風送り方向下手側には二番ラセン7を設けている。この二番ラセン7にて収集された二番物を前記二番処理室29へ揚穀するための二番揚穀筒41が設けられている。また、前記唐箕5の前側上方には、揺動選別棚3の始端側へ向けて送風する第2唐箕44を設ける構成としている。
【0018】
前記揺動選別棚3の構成について説明する。揺動選別棚3は、選別送り方向の始端側から順番に、落下した脱穀物を後方に移送する移送棚3a,脱穀物を選別するグレンシーブ3b,二番物を選別するチャフシーブ3c,排塵を機外に移送して放出するストローラック3dとから構成されている。該ストローラック3dの下方は、二番物を二番ラセン7内へ案内する二番棚先7aで構成されていて、この二番棚先7aの終端部近傍まで前記排塵処理胴25が延出している構成である。吸引ファン8は、選別室30内の軽い塵埃を機外に排出するためのもので、扱胴1に対して排塵処理胴25と対向する位置に設けられている。
【0019】
このような脱穀装置4を搭載したコンバインにおいて、エンジン44(図5に図示)からの動力を走行伝動装置32に入力して、任意の速度に変速して走行装置14を駆動する。すると、コンバインは前進を開始する。刈取脱穀作業を行なうには、さらに、刈取装置16,供給搬送装置31及び脱穀装置4に、エンジンからの動力を伝達駆動して作業を行なう。このような状態でコンバインが前進すると、植立穀稈は分草具33により分草されて、引起しケース34の引起しラグ35にて引き起こされ、その後、刈刃36にて刈り取られ、刈り取られた穀稈は、株元搬送装置37により後方の供給搬送装置31の始端部に向かって搬送されていく構成である。
【0020】
株元搬送装置37の終端部まで搬送された穀稈は、後方の供給搬送装置31の始端部に引き継がれ、その後、供給搬送装置31の終端部まで搬送された穀稈は、脱穀装置4のフィードチェン17の始端部に引き継がれると共に、該フィードチェン17に引き継がれた穀稈は、後方に搬送されながら、扱胴1と扱網22により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚3上に落下して、該揺動選別棚3の揺動作用と唐箕5からの風選作用により選別され、一番ラセン6内へと取り込まれていき、該一番ラセン6に取り込まれた穀粒は、グレンタンク19内に一時貯溜される構成である。脱穀後の排稈はフィードチェン17の終端部から、排稈チェン38の始端部に引き継がれて搬送されていき、その後、カッター39に送られて切断され下方の圃場上に放出されていく構成となっている。
【0021】
扱室2内の残りの脱穀物は、後方へと搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は二番処理室29内に取り込まれていく。該二番処理室29内に取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向上手側に搬送されながら、二番処理胴27と二番処理胴受樋28との相互作用で脱穀(特に、枝梗粒が処理される)されて、下方の揺動選別棚3上に落下していく。扱胴1と二番処理胴27と排塵処理胴25は、共に選別風送り方向上手側から下手側を見た状況(脱穀装置4の正面視)において、時計回りで回転する構成である。従って、二番処理胴27の処理歯27aの向きは、脱穀物を選別風送り方向の上手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。
【0022】
即ち、該処理歯27aには被処理物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、被処理物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯27aは螺旋の一部であり、また、その円周方向の先端部と二番処理胴受樋28との間の相互作用にて被処理物を処理する構成となっている。二番処理胴27の搬送終端部に設けられている羽根27bは、被処理物を揺動選別棚3上に強制的に送り出すものである。
【0023】
前記排塵処理胴25の排塵処理歯25bは、扱室2の後部からの脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該排塵処理歯25bは、排塵処理胴25の外周面に巻回いされているラセン形状となっている。
【0024】
しかし、本実施例では、排塵処理網24の目合いが荒い(格子状)ので、一部の短い藁屑は揺動選別棚3上に落下し、落下しなかった長い藁屑は排塵処理室26の終端部まで搬送されて、排塵処理胴25の終端部の羽根40にてストローラック3d上に強制的に排出される。そして、このように被処理物が排塵処理室26内にて搬送される間に、排塵処理胴25と排塵処理網24との相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物はほぐされて中に混在している穀粒(いわゆるササリ粒)が取り出されて下方の揺動選別棚3上に落下し、さらに、二番ラセン7内へと回収されていく構成である。
【0025】
前述のように、扱室2内の脱穀物で、揺動選別棚3上に落下せず、二番処理室29内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室1の終端部まで搬送される。この扱室1の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、排塵処理室26内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向下手側に搬送されていく。また、扱室2の終端部まで搬送されてきた脱穀物のうち、排塵処理室26内に取り込まれなかった脱穀物は下方の揺動選別棚3上に落下していく。
【0026】
扱室2内の終端部から排塵処理室26内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室2から排塵処理室26への引継ぎ部分においても、排塵処理胴25の外周にラセン形状の排塵処理歯25bを設けていて、該排塵処理歯25bの送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないようにしている。
【0027】
このような、揺動選別棚3の揺動作用と唐箕5からの選別風の作用にもかかわらず、一番ラセン6内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、二番ラセン7内へと取り込まれていく。該二番ラセン7内に取り込まれた二番物は、二番揚穀筒41にて前記二番処理室29の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室2からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、二番処理胴受樋28との相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根27bにより下方の揺動選別棚3上に強制的に落下していく構成である。
【0028】
前述したように、前記唐箕5の前側上方には、揺動選別棚3の始端側へ向けて送風する第2唐箕44を設ける構成としているが、この第2唐箕44の詳細構成について説明する。図5には、第2唐箕44を正面から見た図を示している。第2唐箕44は、フィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bとに分割して構成し、前記左側第2唐箕44aの径Bよりも右側第2唐箕44bの径Cを大きく構成している。従って、右側第2唐箕44bからの送風量は多くなる。これは、二番処理胴27や排塵処理胴25から落下してくる被処理物量に対応するためである。
【0029】
これにより、二番処理胴27や排塵処理胴25から落下してくる多くの被処理物の選別性能が向上するようになり、一番の回収率が向上するようになる。また、フィードチェン17側への送風量は二番処理胴27や排塵処理胴25側ほど多くないので、適切な選別が実行され3番飛散を防止できるようになる。
【0030】
次に、図6に示すように、前記左側第2唐箕44aと右側第2唐箕44bにおいて、左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きく構成している。この場合、左側第2唐箕44aと右側第2唐箕44bの径は略同じに構成可能となる。従って、右側第2唐箕44bからの送風量は多くなる。これは、二番処理胴27や排塵処理胴25から落下してくる被処理物量に対応するためである。
【0031】
これにより、二番処理胴27や排塵処理胴25から落下してくる多くの被処理物の選別性能が向上するようになり、一番の回収率が向上するようになる。また、フィードチェン17側への送風量は二番処理胴27や排塵処理胴25側ほど多くないので、適切な選別が実行され3番飛散を防止できるようになる。特に、左側第2唐箕44aと右側第2唐箕44bの径は略同じに構成可能なので、コンパクトな構成が可能となる。
【0032】
次に、図2に示す二番流量センサ45と図7のブロック図について説明する。二番流量センサ45は二番処理胴27の搬送下手側(前側)端部の上方に設けられていて、二番処理胴27に固定の羽根27bから跳ね上げられてくる穀粒量を検出するものである。また、ベルコン変速モータ47は、第2唐箕44へ動力伝達するベルト式無段変速装置48のベルト48aのテンションローラ48bを移動させて、変速比を変更するものである。
【0033】
前記二番流量センサ45で検出された穀粒量がコントローラ46へ入力されると、コントローラ46は、検出された穀粒量に対応する選別風となるようにベルコン変速モータ47へ信号を出力する。すると、第2唐箕44の回転数が変更されて、適切な選別風量が揺動選別棚3の始端側へ向けて送風される。これにより、選別性能が向上すると共に、3番飛散が防止できるようになる。
【0034】
前記第2唐箕44からの選別風吹出口49には、複数の整流板50を設ける構成としている。これにより、第2唐箕44からの選別風が乱流状態になるのを防止できるので、安定した選別が可能となる。また、逆に揺動選別棚3側から第2唐箕44内へ穀粒が飛び込むのを前記整流板50で阻止することができようになる。
【0035】
次に、図8と図9について説明する。
二番処理胴27と排塵処理胴25の下方には搬送ラセン51を設ける構成とする。この搬送ラセン51は、前記排塵処理胴25から落下してきた被処理物を受け入れて、前側へ向けて搬送して揺動選別棚3の始端側へ落下させる構成としている。その後、揺動選別棚3上で選別する構成としている。通常であれば、排塵処理胴25から落下する被処理物は、揺動選別棚3の後部に落下するので、3番飛散状態が発生し易くなるが、前述のように、揺動選別棚3の始端側へ送ることで、3番飛散を防止できて選別性能が向上するようになる。
【0036】
次に、図10と図11について説明する。
一番ラセン6と二番ラセン7との間には補助唐箕52を設け、該補助唐箕52からの選別風を後方へ向かって送風する構成としている。図11は、補助唐箕52からの選別風の出口部分53の拡大図を示している。この出口部分53の上方と下方には揺動選別棚3側から選別風案内ガイドを設け、選別風を後方へ向かって案内する構成としている。この選別風案内ガイドの具体構成について説明する。揺動選別棚3側には、プレート54が固定して設けられていて、このプレート54の他端には弾性体であるゴム垂れ55がプレート56とリベット57とで連結して設けられている。一方、プレート54の下方には、揺動選別棚3側に固定のプレート58が設けられていて、このプレート58の他端には弾性体であるゴム垂れ59がプレート60とリベット61とで連結して設けられている。
【0037】
このように、補助唐箕52の出口部分53の上方と下方には、揺動選別棚3側から案内ガイドが設けられているので、揺動選別棚3に対する選別風の当たる位置関係が変化しないので、選別性能の低下を防止できるようになる。また、二番ラセン7から飛散してくる二番物は、前記プレート58やゴム垂れ59に当接するので、二番物が補助唐箕52内へ侵入するのを防止できるようになる。
【0038】
図12は、図11のS2−S2断面を示している。揺動選別棚3を支持する軸64の部分については、外壁を壁65と壁66の二重構成としている。そして、前記軸64を支持するガイドローラ62を受けるレール63は外側の壁65側に設ける構成としており、一方、前記補助唐箕52の選別風案内ガイドのプレート54は、内側の壁66に固定して設ける構成としている。これにより、選別風はガイドローラ62やレール63に当接することなく、スムーズに送風されていくので、選別風が乱れることを防止できるようになる。従って、選別性能の低下を防止でき、穀粒の回収率が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの左側面図
【図2】脱穀装置の左側面図
【図3】脱穀装置の平面図
【図4】脱穀装置の正面の断面図
【図5】脱穀装置の正面図
【図6】脱穀装置の正面図
【図7】ブロック図
【図8】脱穀装置の左側面図
【図9】脱穀装置の正面図
【図10】脱穀装置の左側面図
【図11】脱穀装置の一部の左側面図
【図12】断面図
【符号の説明】
4…脱穀装置、17…フィードチェン、31…供給搬送装置。
【発明の属する技術分野】
この発明は、穀稈を脱穀して選別する脱穀装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、扱胴を軸架する扱室の一側後方に扱室からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴を設け、唐箕の前側上方に揺動選別棚の始端側に向けて送風する第2唐箕を設け、この第2唐箕の径は横幅方向に亘って同じ構成である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−201524号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような脱穀装置では、次のような欠点がある。即ち、扱胴の一側に設ける排塵処理胴側の風量が少ないので選別が適切に実行されず、選別性能が低下していた。また、排塵処理胴側の量に対応した風量を第2唐箕から送風すると、扱胴側の送風量が多くなってしまい3番飛散が多くなるという欠点がある。
【0005】
本発明の課題は、前述のような不具合を防止する脱穀装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、扱胴1を軸架する扱室2の一側に二番物を受け入れて処理する二番処理胴27を設け、該二番処理胴27の後方には、前記扱室2からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴25を設けるとともに、前記扱胴1と二番処理胴27及び排塵処理胴25の下方に揺動選別棚3を設け、該揺動選別棚3の下方には選別風送り方向上手側から唐箕5、一番ラセン6、二番ラセン7を配置して構成した脱穀装置4において、前記唐箕5の前側上方には前記揺動選別棚3の始端側に向けて送風する第2唐箕44を設け、該第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成し、前記左側第2唐箕44aの径Bよりも右側第2唐箕44bの径Cを大きく構成したことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0007】
請求項1の作用は、穀稈はフィードチェン17で搬送されながら扱胴1で脱穀される。扱胴1で脱穀された被処理物は下方の揺動選別棚3上に落下して、唐箕5からの選別風で風選され、穀粒は一番ラセン6内に落下して回収される。一番ラセン6の下手側に位置する二番ラセン7内に回収された二番物は、二番処理胴27へ搬送されて処理され、再び、下方の揺動選別棚3上に落下して風選される。一方、扱室2の後部に残っている被処理物は、排塵処理胴25内へ搬送されて処理され、ササリ粒を含む被処理物は下方の揺動選別棚3上に落下して風選される。また、排塵処理胴25の後部まで搬送された被処理物は、機外へと放出される。揺動選別棚3の始端側には第2唐箕44からの選別風が送風される。この第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成されていて、左側第2唐箕44aの径Bよりも右側第2唐箕44bの径Cを大きく構成しているので、右側第2唐箕44bからの送風量は多く送風される。
【0008】
請求項2記載の発明では、扱胴1を軸架する扱室2の一側に二番物を受け入れて処理する二番処理胴27を設け、該二番処理胴27の後方には、前記扱室2からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴25を設けるとともに、前記扱胴1と二番処理胴27及び排塵処理胴25の下方に揺動選別棚3を設け、該揺動選別棚3の下方には選別風送り方向上手側から唐箕5、一番ラセン6、二番ラセン7を配置して構成した脱穀装置4において、前記唐箕5の前側上方には前記揺動選別棚3の始端側に向けて送風する第2唐箕44を設け、該第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成し、前記左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きく構成したことを特徴とする脱穀装置としたものである。
【0009】
請求項2の作用は、穀稈はフィードチェン17で搬送されながら扱胴1で脱穀される。扱胴1で脱穀された被処理物は下方の揺動選別棚3上に落下して、唐箕5からの選別風で風選され、穀粒は一番ラセン6内に落下して回収される。一番ラセン6の下手側に位置する二番ラセン7内に回収された二番物は、二番処理胴27へ搬送されて処理され、再び、下方の揺動選別棚3上に落下して風選される。一方、扱室2の後部に残っている被処理物は、排塵処理胴25内へ搬送されて処理され、ササリ粒を含む被処理物は下方の揺動選別棚3上に落下して風選される。また、排塵処理胴25の後部まで搬送された被処理物は、機外へと放出される。揺動選別棚3の始端側には第2唐箕44からの選別風が送風される。この第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成されていて、前記左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きく構成しているので、右側第2唐箕44bからの送風量は多く送風される。
【0010】
【発明の効果】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、被処理物の多い二番処理胴27と排塵処理胴側25へ多量の選別風が送風されるので、選別性能が向上し、一番の回収率が向上するようになる。また、フィードチェン17側への送風量は二番処理胴27や排塵処理胴25側ほど多くないので、適切な選別が実行され3番飛散を防止できるようになる。
【0011】
請求項2記載の発明においては、被処理物の多い二番処理胴27と排塵処理胴25側へ多量の選別風が送風されるので、選別性能が向上し、一番の回収率が向上するようになる。また、フィードチェン17側への送風量は二番処理胴27や排塵処理胴25側ほど多くないので、適切な選別が実行され3番飛散を防止できるようになる。特に、左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きくすることにより、二番処理胴27と排塵処理胴25側への送風量を多くするように構成しており、その結果、左側第2唐箕44aと右側第2唐箕44bとの径は略同じに構成できるので、コンパクトな構成が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の脱穀装置4を搭載したコンバインが示されている。
走行装置14を有する車台15の前方には植立穀稈を刈り取る刈取装置16を設け、車台15上には前記刈取装置16で刈り取った穀稈をフィードチェン17にて挾持搬送しながら脱穀選別する脱穀装置4と、コンバインを操作する操作部18と、前記脱穀装置4にて脱穀選別した穀粒を一時貯溜するグレンタンク19とを設けている。
【0013】
また、グレンタンク19内下方には、一時貯溜している穀粒を機外へ排出する下部ラセン(図示せず)があり、該下部ラセンから搬送されてきた穀粒を引き継いでコンバインの機体上方へと搬送する縦オーガ20が車台15に対して旋回可能に設けられ、さらに、縦オーガ20には横オーガ21が昇降可能に設けられている。
【0014】
前記脱穀装置4について、図2〜図4に基づいて説明する。
図2は脱穀装置4の側面図、図3は脱穀装置4の平面図である。
脱穀装置4内には、扱網22を有する扱胴1を扱胴軸23で軸架した扱室2と、該扱室2の一側には、扱室2の後部からの処理物を受け入れて処理する排塵処理網24を有する排塵処理胴25を排塵処理胴軸25aで軸架した排塵処理室26が設けられている。そして、扱室2と排塵処理室26の下方には揺動選別棚3を設けている。
【0015】
また、排塵処理胴25の前方には、二番処理胴27と二番処理胴受樋28(網や格子状のものでもよい。)からなる二番処理室29が構成されている。二番処理胴27は、本実施例では扱胴1の一側であって、排塵処理胴25の前方に排塵処理胴25と一体的に構成されている。この二番処理胴27は基本的には二番物を処理するものである。この二番処理胴27は二番処理胴軸27cにて支持されている構成であるので、前記排塵処理胴25と二番処理胴27とは一体的に排塵処理胴軸25aと二番処理胴軸27cとで支持されている構成である。
【0016】
さらに、図4は図3にて示すS1ーS1断面図であるが、扱網22から漏れた被処理物は二番処理室29内に取り込まれる構成であるので、前記二番処理胴27は二番物の他に、扱室2内から入り込んできた被処理物も一緒に処理する構成となっている。前記扱網22と二番処理胴受樋28(網や格子状でもよい)と排塵処理網24は、それぞれ扱胴1と二番処理胴27と排塵処理胴25の下方に設けられている。
【0017】
前記扱室2と二番処理室29と排塵処理室26の下方には、落下してくる被選別物を受けて選別する揺動選別棚3が設置されていて、該揺動選別棚3の下方には、選別風送り方向始端側に唐箕5を設け、該唐箕5から送風される選別風の送り方向下手側には一番ラセン6を設け、該一番ラセン6の選別風送り方向下手側には二番ラセン7を設けている。この二番ラセン7にて収集された二番物を前記二番処理室29へ揚穀するための二番揚穀筒41が設けられている。また、前記唐箕5の前側上方には、揺動選別棚3の始端側へ向けて送風する第2唐箕44を設ける構成としている。
【0018】
前記揺動選別棚3の構成について説明する。揺動選別棚3は、選別送り方向の始端側から順番に、落下した脱穀物を後方に移送する移送棚3a,脱穀物を選別するグレンシーブ3b,二番物を選別するチャフシーブ3c,排塵を機外に移送して放出するストローラック3dとから構成されている。該ストローラック3dの下方は、二番物を二番ラセン7内へ案内する二番棚先7aで構成されていて、この二番棚先7aの終端部近傍まで前記排塵処理胴25が延出している構成である。吸引ファン8は、選別室30内の軽い塵埃を機外に排出するためのもので、扱胴1に対して排塵処理胴25と対向する位置に設けられている。
【0019】
このような脱穀装置4を搭載したコンバインにおいて、エンジン44(図5に図示)からの動力を走行伝動装置32に入力して、任意の速度に変速して走行装置14を駆動する。すると、コンバインは前進を開始する。刈取脱穀作業を行なうには、さらに、刈取装置16,供給搬送装置31及び脱穀装置4に、エンジンからの動力を伝達駆動して作業を行なう。このような状態でコンバインが前進すると、植立穀稈は分草具33により分草されて、引起しケース34の引起しラグ35にて引き起こされ、その後、刈刃36にて刈り取られ、刈り取られた穀稈は、株元搬送装置37により後方の供給搬送装置31の始端部に向かって搬送されていく構成である。
【0020】
株元搬送装置37の終端部まで搬送された穀稈は、後方の供給搬送装置31の始端部に引き継がれ、その後、供給搬送装置31の終端部まで搬送された穀稈は、脱穀装置4のフィードチェン17の始端部に引き継がれると共に、該フィードチェン17に引き継がれた穀稈は、後方に搬送されながら、扱胴1と扱網22により脱穀される。脱穀された脱穀物の一部は揺動選別棚3上に落下して、該揺動選別棚3の揺動作用と唐箕5からの風選作用により選別され、一番ラセン6内へと取り込まれていき、該一番ラセン6に取り込まれた穀粒は、グレンタンク19内に一時貯溜される構成である。脱穀後の排稈はフィードチェン17の終端部から、排稈チェン38の始端部に引き継がれて搬送されていき、その後、カッター39に送られて切断され下方の圃場上に放出されていく構成となっている。
【0021】
扱室2内の残りの脱穀物は、後方へと搬送されていくが、その途中において一部の脱穀物は二番処理室29内に取り込まれていく。該二番処理室29内に取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向上手側に搬送されながら、二番処理胴27と二番処理胴受樋28との相互作用で脱穀(特に、枝梗粒が処理される)されて、下方の揺動選別棚3上に落下していく。扱胴1と二番処理胴27と排塵処理胴25は、共に選別風送り方向上手側から下手側を見た状況(脱穀装置4の正面視)において、時計回りで回転する構成である。従って、二番処理胴27の処理歯27aの向きは、脱穀物を選別風送り方向の上手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。
【0022】
即ち、該処理歯27aには被処理物を選別風送り方向上手側に搬送する作用があり、さらに、被処理物を処理する作用も併せ持っている。即ち、処理歯27aは螺旋の一部であり、また、その円周方向の先端部と二番処理胴受樋28との間の相互作用にて被処理物を処理する構成となっている。二番処理胴27の搬送終端部に設けられている羽根27bは、被処理物を揺動選別棚3上に強制的に送り出すものである。
【0023】
前記排塵処理胴25の排塵処理歯25bは、扱室2の後部からの脱穀物を選別風送り方向の下手側方向に送るような向きに固着しておく必要がある。本実施例では、該排塵処理歯25bは、排塵処理胴25の外周面に巻回いされているラセン形状となっている。
【0024】
しかし、本実施例では、排塵処理網24の目合いが荒い(格子状)ので、一部の短い藁屑は揺動選別棚3上に落下し、落下しなかった長い藁屑は排塵処理室26の終端部まで搬送されて、排塵処理胴25の終端部の羽根40にてストローラック3d上に強制的に排出される。そして、このように被処理物が排塵処理室26内にて搬送される間に、排塵処理胴25と排塵処理網24との相互作用で、さらに脱穀されるとともに、脱穀物はほぐされて中に混在している穀粒(いわゆるササリ粒)が取り出されて下方の揺動選別棚3上に落下し、さらに、二番ラセン7内へと回収されていく構成である。
【0025】
前述のように、扱室2内の脱穀物で、揺動選別棚3上に落下せず、二番処理室29内にも取り込まれなかった残りの脱穀物は、扱室1の終端部まで搬送される。この扱室1の終端部まで搬送されてきた脱穀物は、排塵処理室26内に取り込まれ、取り込まれた脱穀物は、選別風送り方向下手側に搬送されていく。また、扱室2の終端部まで搬送されてきた脱穀物のうち、排塵処理室26内に取り込まれなかった脱穀物は下方の揺動選別棚3上に落下していく。
【0026】
扱室2内の終端部から排塵処理室26内に脱穀物を送る際において、脱穀物が詰まらないように、扱室2から排塵処理室26への引継ぎ部分においても、排塵処理胴25の外周にラセン形状の排塵処理歯25bを設けていて、該排塵処理歯25bの送り作用で引継ぎ部に脱穀物が詰まらないようにしている。
【0027】
このような、揺動選別棚3の揺動作用と唐箕5からの選別風の作用にもかかわらず、一番ラセン6内に取り込まれなかった残りの穀粒は、他の排塵物と共にさらに後方に送られ、二番ラセン7内へと取り込まれていく。該二番ラセン7内に取り込まれた二番物は、二番揚穀筒41にて前記二番処理室29の選別風送り方向下手側に還元されて、扱室2からの脱穀物と合流し、その後、選別風送り方向の上手側に搬送されながら、二番処理胴受樋28との相互作用で脱穀処理されながら搬送され、終端部の羽根27bにより下方の揺動選別棚3上に強制的に落下していく構成である。
【0028】
前述したように、前記唐箕5の前側上方には、揺動選別棚3の始端側へ向けて送風する第2唐箕44を設ける構成としているが、この第2唐箕44の詳細構成について説明する。図5には、第2唐箕44を正面から見た図を示している。第2唐箕44は、フィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bとに分割して構成し、前記左側第2唐箕44aの径Bよりも右側第2唐箕44bの径Cを大きく構成している。従って、右側第2唐箕44bからの送風量は多くなる。これは、二番処理胴27や排塵処理胴25から落下してくる被処理物量に対応するためである。
【0029】
これにより、二番処理胴27や排塵処理胴25から落下してくる多くの被処理物の選別性能が向上するようになり、一番の回収率が向上するようになる。また、フィードチェン17側への送風量は二番処理胴27や排塵処理胴25側ほど多くないので、適切な選別が実行され3番飛散を防止できるようになる。
【0030】
次に、図6に示すように、前記左側第2唐箕44aと右側第2唐箕44bにおいて、左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きく構成している。この場合、左側第2唐箕44aと右側第2唐箕44bの径は略同じに構成可能となる。従って、右側第2唐箕44bからの送風量は多くなる。これは、二番処理胴27や排塵処理胴25から落下してくる被処理物量に対応するためである。
【0031】
これにより、二番処理胴27や排塵処理胴25から落下してくる多くの被処理物の選別性能が向上するようになり、一番の回収率が向上するようになる。また、フィードチェン17側への送風量は二番処理胴27や排塵処理胴25側ほど多くないので、適切な選別が実行され3番飛散を防止できるようになる。特に、左側第2唐箕44aと右側第2唐箕44bの径は略同じに構成可能なので、コンパクトな構成が可能となる。
【0032】
次に、図2に示す二番流量センサ45と図7のブロック図について説明する。二番流量センサ45は二番処理胴27の搬送下手側(前側)端部の上方に設けられていて、二番処理胴27に固定の羽根27bから跳ね上げられてくる穀粒量を検出するものである。また、ベルコン変速モータ47は、第2唐箕44へ動力伝達するベルト式無段変速装置48のベルト48aのテンションローラ48bを移動させて、変速比を変更するものである。
【0033】
前記二番流量センサ45で検出された穀粒量がコントローラ46へ入力されると、コントローラ46は、検出された穀粒量に対応する選別風となるようにベルコン変速モータ47へ信号を出力する。すると、第2唐箕44の回転数が変更されて、適切な選別風量が揺動選別棚3の始端側へ向けて送風される。これにより、選別性能が向上すると共に、3番飛散が防止できるようになる。
【0034】
前記第2唐箕44からの選別風吹出口49には、複数の整流板50を設ける構成としている。これにより、第2唐箕44からの選別風が乱流状態になるのを防止できるので、安定した選別が可能となる。また、逆に揺動選別棚3側から第2唐箕44内へ穀粒が飛び込むのを前記整流板50で阻止することができようになる。
【0035】
次に、図8と図9について説明する。
二番処理胴27と排塵処理胴25の下方には搬送ラセン51を設ける構成とする。この搬送ラセン51は、前記排塵処理胴25から落下してきた被処理物を受け入れて、前側へ向けて搬送して揺動選別棚3の始端側へ落下させる構成としている。その後、揺動選別棚3上で選別する構成としている。通常であれば、排塵処理胴25から落下する被処理物は、揺動選別棚3の後部に落下するので、3番飛散状態が発生し易くなるが、前述のように、揺動選別棚3の始端側へ送ることで、3番飛散を防止できて選別性能が向上するようになる。
【0036】
次に、図10と図11について説明する。
一番ラセン6と二番ラセン7との間には補助唐箕52を設け、該補助唐箕52からの選別風を後方へ向かって送風する構成としている。図11は、補助唐箕52からの選別風の出口部分53の拡大図を示している。この出口部分53の上方と下方には揺動選別棚3側から選別風案内ガイドを設け、選別風を後方へ向かって案内する構成としている。この選別風案内ガイドの具体構成について説明する。揺動選別棚3側には、プレート54が固定して設けられていて、このプレート54の他端には弾性体であるゴム垂れ55がプレート56とリベット57とで連結して設けられている。一方、プレート54の下方には、揺動選別棚3側に固定のプレート58が設けられていて、このプレート58の他端には弾性体であるゴム垂れ59がプレート60とリベット61とで連結して設けられている。
【0037】
このように、補助唐箕52の出口部分53の上方と下方には、揺動選別棚3側から案内ガイドが設けられているので、揺動選別棚3に対する選別風の当たる位置関係が変化しないので、選別性能の低下を防止できるようになる。また、二番ラセン7から飛散してくる二番物は、前記プレート58やゴム垂れ59に当接するので、二番物が補助唐箕52内へ侵入するのを防止できるようになる。
【0038】
図12は、図11のS2−S2断面を示している。揺動選別棚3を支持する軸64の部分については、外壁を壁65と壁66の二重構成としている。そして、前記軸64を支持するガイドローラ62を受けるレール63は外側の壁65側に設ける構成としており、一方、前記補助唐箕52の選別風案内ガイドのプレート54は、内側の壁66に固定して設ける構成としている。これにより、選別風はガイドローラ62やレール63に当接することなく、スムーズに送風されていくので、選別風が乱れることを防止できるようになる。従って、選別性能の低下を防止でき、穀粒の回収率が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの左側面図
【図2】脱穀装置の左側面図
【図3】脱穀装置の平面図
【図4】脱穀装置の正面の断面図
【図5】脱穀装置の正面図
【図6】脱穀装置の正面図
【図7】ブロック図
【図8】脱穀装置の左側面図
【図9】脱穀装置の正面図
【図10】脱穀装置の左側面図
【図11】脱穀装置の一部の左側面図
【図12】断面図
【符号の説明】
4…脱穀装置、17…フィードチェン、31…供給搬送装置。
Claims (2)
- 扱胴1を軸架する扱室2の一側に二番物を受け入れて処理する二番処理胴27を設け、該二番処理胴27の後方には、前記扱室2からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴25を設けるとともに、前記扱胴1と二番処理胴27及び排塵処理胴25の下方に揺動選別棚3を設け、該揺動選別棚3の下方には選別風送り方向上手側から唐箕5、一番ラセン6、二番ラセン7を配置して構成した脱穀装置4において、前記唐箕5の前側上方には前記揺動選別棚3の始端側に向けて送風する第2唐箕44を設け、該第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成し、前記左側第2唐箕44aの径Bよりも右側第2唐箕44bの径Cを大きく構成したことを特徴とする脱穀装置。
- 扱胴1を軸架する扱室2の一側に二番物を受け入れて処理する二番処理胴27を設け、該二番処理胴27の後方には、前記扱室2からの被処理物を受け入れて処理する排塵処理胴25を設けるとともに、前記扱胴1と二番処理胴27及び排塵処理胴25の下方に揺動選別棚3を設け、該揺動選別棚3の下方には選別風送り方向上手側から唐箕5、一番ラセン6、二番ラセン7を配置して構成した脱穀装置4において、前記唐箕5の前側上方には前記揺動選別棚3の始端側に向けて送風する第2唐箕44を設け、該第2唐箕44はフィードチェン17側に位置する左側第2唐箕44aと二番処理胴27側に位置する右側第2唐箕44bに分割して構成し、前記左側第2唐箕44aの回転数よりも右側第2唐箕44bの回転数を大きく構成したことを特徴とする脱穀装置。
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