JP2004208563A - 新規微生物、水溶性多糖類及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規エンテロバクター属菌株、及びこの菌株を用いて新規水溶性酸性多糖を提供する。
【解決手段】エンテロバクター属微生物を培養することによって、フコース、ガラクトース、グルコース及びグルクロン酸を主成分として構成される新規水溶性多糖を得る。長鎖4級アンモニウム塩とすることもできる。この水溶性多糖は、生体適合材料、DDSの媒体、細胞認識/非認識材や高吸収材料として有用である。菌株としてはエンテロバクターC‐1株(FERM P−18947)が望ましい。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】エンテロバクター属微生物を培養することによって、フコース、ガラクトース、グルコース及びグルクロン酸を主成分として構成される新規水溶性多糖を得る。長鎖4級アンモニウム塩とすることもできる。この水溶性多糖は、生体適合材料、DDSの媒体、細胞認識/非認識材や高吸収材料として有用である。菌株としてはエンテロバクターC‐1株(FERM P−18947)が望ましい。
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Enterobacter 属に属する新規微生物、その微生物の産生する水溶性多糖類及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微生物が生産する水溶性多糖類は、多様な構造、多彩な機能を有しており、すでに抗腫瘍性物質や化粧品素材として開発されている。水溶性多糖類を生産する微生物としては、乳酸菌や酵母など数多くの微生物が知られており、枚挙に暇がない。近年でも特許文献1においてシュードモナス属微生物、特許文献2においてバークホルデリア属(Burkholderia sp.)微生物、さらにアルカリゲネス・レータス(非特許文献1)による多糖生産がし示されるごとく、新規な構造、物性を有する水溶性多糖類を発掘し、産業上有用な新規素材として開発していくことは依然強く望まれている。本発明において見出されたEnterobacter 属微生物に関しては、特許文献3において抗菌性セファロスポリン誘導体の製造、特許文献4においてEnterobacter 属微生物であるCJF−002(FERM−P17799)株による不溶性のセルロースの生産などが知られており、新規な水溶性多糖類の製造に対しても未知なる能力を有していると考えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−179184号公報
【特許文献2】
特開2000−95802公報
【特許文献3】
特開2002−316992号公報
【特許文献4】
特開2001−321164号公報
【非特許文献1】
機能材料、1999年10月号、p.24〜34
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのような新規な水溶性多糖類の開発には、新種微生物を発見することが最も近道と考えられ、特に将来的な工業生産を考えた場合には、増殖性が優れ、安価な培養条件で大量に成育し、かつ目的物質を製造するような微生物を見出すことが、技術の開発の大きな課題となっている。本発明では、土壌、地下水などをスクリーニングソースとして、単一の炭素源を含む選択的培地で、短時間の培養で水溶性多糖類を生産する、新規な微生物群を探索し、これを提供することを目的とする。さらに本発明では、増殖が容易でかつ増殖速度が速く、工業的に安価に新規な水溶性多糖類を生産しうる微生物を選別し、それを用いて得られる水溶性多糖類及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、国内外から集めた土壌、地下水などをスクリーニングソースとして、単一の炭素源を含む選択的培地で、25〜30℃にて1日もしくは2日間培養し、生育した微生物を寒天培地上に塗布して、ムコイドを形成するコロニーを探索した。これらコロニーを振とう培養して、培養液もしくは攪拌培養が可能であることを指標として、新規な水溶性多糖類を生産しうる微生物を選別した。
得られた微生物の16S−rRNA配列さらには生化学的特性を調べることによって、本発明の微生物の同定を試み、Enterobacter属に属する新規な微生物であることを明らかにした。
次いで、本微生物の培養液を分析し、新規な水溶性多糖類が生産されていることを確認し、水溶性多糖類及びその製造方法を開発した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の(1)から(3)に掲げる特徴を有するEnterobacter 属に属する新規な微生物である:
(1)配列表配列番号1に記載の塩基配列またはその1若しくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなる16S−rRNA遺伝子を有する新規な微生物
(2)16S‐rRNA 遺伝子がEnterobacter cloacae と少なくとも99%の相同性を示し、かつ100%は一致しない塩基配列を有する、Enterobacter 属に属する新規な微生物
(3)Enterobacter 属の新規な微生物であるC‐1(FERM P−18947)株
【0007】
さらに本発明は、下記の(4)から(10)に掲げる特徴を有する水溶性多糖類及びその製造方法である:
(4)上記で示した微生物から生産され、フコース、ガラクトース、グルコース、及びグルクロン酸を主成分として構成される水溶性多糖類
(5) モル比でフコース24.1%〜40.8%、ガラクトース17.1%〜28.9%、グルコース11.6%〜19.7%、及びグルクロン酸6.3%〜10.7%を含有する上記(4)記載の水溶性多糖類
(6)前記微生物を炭素源を含む培地で培養し、水溶性多糖類を産生せしめ、これを採取することを特徴とする水溶性多糖類の製造方法
(7)培養を15℃〜42℃で行う前記(6)記載の水溶性多糖類の製造方法
(8)炭素源として単一の炭化水素類を用いる前記(6)又は(7)に記載の水溶性多糖類の製造方法
(9)炭化水素類として、n−ヘキサン及び/又は軽油を用いる前記(8)に記載の水溶性多糖類の製造方法
(10)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の微生物の培養液を、pH4以下にしたのち、長鎖4級アンモニウム塩を加えて、水溶性多糖類をアンモニウム塩として沈澱し、分離することを特徴とする水溶性多糖類の回収方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の微生物は、水溶性多糖類を生産するEnterobacter属に属する新規な微生物であることを特徴とする。
本発明が対象とする微生物は、Enterobacter属に属する新規な微生物であって、しかもその16S−rRNA遺伝子の塩基配列中に後述する配列表に記載する塩基配列を含有するものが含まれる。当該塩基配列は1若しくは数個の塩基が欠失、置換または付加されることを何ら妨げるものではない。
【0009】
また、本発明が対象とするEnterobacter属の新規な微生物には、次のような形態学的および生化学的特性を有するものが含まれる。
【0010】
さらに本発明者らは本菌株が、ラムノースとマンノースを含まず、フコース、ガラクトース、グルコース及びグルクロン酸より構成される新規な水溶性多糖類を多量に生産することを見出した。
【0011】
すなわち、本発明のEnterobacter 属微生物が産生する水溶性多糖類は、フコース、ガラクトース、グルコース及びグルクロン酸のカルボキシル化糖を含む珍しい水溶性多糖類である。また、培養系からの分離過程で、長鎖4級アンモニウム塩を、選択的沈殿剤として用いて得られる該水溶性多糖類の4級アンモニウム塩群である。特に、フコースのような、C6位がメチル置換したデオキシ体が糖連鎖の中に組み込まれている例は珍しい。上記水溶性多糖類は、一般の架橋剤で架橋すれば、高度に水などを吸収したゲルになり、他の素材に表面コートしたり、練り込み後、成形などすれば、生体適合材料、DDSの媒体、細胞認識/非認識剤への変換も容易である。4級アンモニウム塩型は、有機溶媒可溶になることもあり、他材料表面の処理や、他材料への練り込みも容易になり、対象の他材料が、水溶体の形で存在するより、拡大する。また、このものは、多くの物質の分散能にも優れており、かつ、セルロース系分散剤が常に問題となる、塩存在下での分散保持力も強く、化粧品をはじめとする、多くの工業用途で広く利用可能である。また、本発明の水溶性多糖類のようにウロン酸を含む多糖は長時間の加熱により抗がん物質4,5−ジヒドロキシ2−シクロペンテン−1−オン(DHCP)を生成することが知られていることから、機能性食品、医薬として利用可能である。さらに、構造上吸水保水性を有するので、紙おむつなどの用途に用いることができる。
【0012】
本発明のEnterobacter 属微生物は、通性嫌気性であり、酸素(空気)の有無に関らず、培養できる利点があり、静置、振とう、攪拌培養のいずれでも培養可能である。培地としては、各種合成培地や天然培地を利用できる。好ましくは、糖類を含有する培地である。例示すれば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、シュークロース、マルトース、スクロース、フラクトース、レバンなど挙げることが出来る。マンニトール、ソルビトール、エリスリットなどの糖アルコールも好適に利用できる。また、澱粉水解物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ケーンモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類などの果汁成分も利用できる。さらに、n−ヘキサン、軽油等も利用できる。
【0013】
炭素源としては、n−ヘキサンや軽油などの各種炭化水素類、炭酸ガスなどの利用も可能であるが、一般的には、グルコース、フルクトース、ガラクトース、シュークロース、マルトース、スクロース、フラクトース、レバンなど挙げることが出来る。マンニトール、ソルビトール、エリスリット、グリセリン、エチレングリコール、澱粉、糖蜜、コーン・ステープ・リカー、麦芽エキス、澱粉水解物などがある。特に、所謂廃糖蜜としてのシトラスモラセス、ビートモラセス、ケーンモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類などの各種果汁成分有機酸などを単独または二種以上混合したものが利用できる。比例原料費としても安価な、廃糖蜜系が好適に用いられる。
【0014】
窒素源としては、アンモニウム塩、硝酸塩などの無機性窒素源や、ファーマメデイア、ペプトン、大豆粉、肉エキス、カゼイン、尿素、豆濃などの有機性窒素源を単独または二種以上混合したものを例示できる。
【0015】
また、培地には必要に応じて、有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタミン、脂肪酸、または無機塩類としてリン酸塩、鉄塩、マンガン塩、その他の金属塩をそれぞれ単独あるいは2種以上併用して用いることが出来る。
【0016】
本発明に用いる微生物が通性嫌気性細菌であるため、好気条件でも嫌気条件でも培養でき、本発明の水溶性多糖類を産生する。培養形式に制限を受けず、原則的に微生物の培養に用いられる公知の方法を用いて実施できる。例えば、静置培養、振とう培養もしくは通気攪拌培養など採用できる。攪拌培養とは、培養液を攪拌しながら行う培養法であり、例えば、簡便には、ジャーファーメンターおよびタンクなどの攪拌槽ならびにバッフル付フラスコ、坂口フラスコおよびエアーリフト型攪拌層、発酵ブロスのポンプ駆動循環などの手段や装置を任意に選択・組み合わせて使用できる。また、攪拌培養は必要に応じて、同時に通気を行いながら実施できる。通気は、例えば、空気など酸素含有ガス、ならびに例えば、アルゴン、窒素などの酸素非含有ガスを用いることが出来、これらガスは培養系の条件に合わせて当業者により適宜選択できる。また、培養操作法においても公知の方法、例えば、回分発酵法、反復回分発酵法、連続発酵法などは使用できる。本発明において、特に好ましいのは、通気攪拌培養である。
【0017】
初期の菌体濃度は適宜選択し得るが、103〜107cfu/ml程度が適当である。培地のpHは特に制限されず、pH2.2 〜pH9.5、好ましくは、pH6.0〜8.0の範囲である。温度範囲は4〜45℃が適応できる。
この様な、培養系に溶解している多糖を分離・生成するのは多大なエネルギーとコストがかかるので、培養系に高濃度で存在させる事が、肝要である。
【0018】
本発明の水溶性酸性多糖を培地から分離する場合には、次の方法で基本的に実施できる。
即ち、水溶性酸性多糖を分離する場合は、例えば、水溶性多糖類が産生される条件での培養終了後、培養系毎殺菌処理し、要すれば、ある程度濃縮後、水溶性多糖類をアセトン等の水系溶媒とは混合するが、水溶性多糖類は溶解しない有機溶媒を添加し、沈殿もしくは浮遊させ分離する方法や、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等の長鎖4級アンモニウム塩により分別沈殿させる方法により実施できる。特に培養液を、pH4以下にしたのち、長鎖4級アンモニア塩を加えて水溶性多糖類をアンモニウム塩として沈澱分離する方法が収率もよく、また簡単に分離回収することができるので望ましい。
【0019】
以下実施例にて詳細説明するが、これに限定されるものでは無い。
【実施例1】
水溶性多糖類生産菌の単離
集積培養用の選択培地としては、1Lあたり(NH4)2HPO4 1.5g、KH2PO41g、MgSO4・7H2O 0.5g、FeCl3 10mg、NaCl 10mg、CaCl2・2H2O 10mgの組成からなる基本培地に、終濃度1%となるように、n−ヘキサンもしくは軽油を添加したものを用いた。微生物のスクリーニングソースとして、国内外から集めた土壌、深層油田水を含む地下水などを上記培地を含むフラスコにそれぞれ添加し、30℃にて振とう培養を行った。培養4日目に、菌の増殖が認められた培養液の一部を、N寒天培地(Difco社)に塗布し、30℃にて2日間培養しコロニーを生育させた。特に生育が早く、かつムコイド状を示すコロニーについて単離作業を行い、候補菌株群を得た。
【0020】
次いでこれらの菌株群の水溶性多糖類の生産能を調べるため、1L当たり、シュクロース20g、硫酸マグネシウム0.5g、クエン酸3ナトリウム1g、ペプトン1.5g、リン酸2ナトリウム1.5g、リン酸1カリウム1g、塩化第2鉄10mg、塩化カルシウム10mg(pH7.5)の組成の生産培地100mlを含む植物用カルチャーボトル(10x11x10cm、口径7.5cm)に植菌し、30℃でストローク30mm、毎分100回の速度で2日間往復振騰培養した。培養液を滅菌後、不溶物を遠心分離除去した上澄液に、水酸化ナトリウムを0.1Nとなるように加え、0.2%のセチルトリメチルアンモニウムブロミドを加えて生成した沈殿を分離した。この沈殿をエチルアルコールで数回洗浄し、水溶性多糖セチルトリメチルアンモニウム塩を得た。これを、2Mの塩化ナトリウム液に溶解後、等量の水を加え、さらに等量のアセトンを加え生成した浮遊物を分離した。この浮遊物を80%のエチルアルコールで洗浄後、アセトンにて脱水後、風乾により得られた水溶性多糖類粉末の重量を測定した。その結果、油田層水ライブラリーより見出された本発明のC‐1株が最も高い生産能を有していることが判明した。
【0021】
【実施例2】
C‐1株の菌学的性質(形態、生理学的性質)
本菌株を同定するため形態的性質、培地における生育状態および生理学的性質について分析し、次に示す結果を得た。
【0022】
上記で得られたC‐1株の生理学的性質をBergey’s Manual of Systematic Bacteriology [Vol.1 (1984), Vol.2 (1986), Vol.3 (1989), Vol.4 (1989), Williams& Wilkins, Baltimore]に記載される種々の微生物の諸性質と対比したところ、本発明の菌株は、Enterobacter cloacaeと一致しており、さらにはEnterobacter 属微生物であるCJF−002(FERM−P17799)株: 特開2001−321164号公報の生理学的性質とも一致しており、Enterobacter属微生物であると推定された。
【0023】
【実施例3】
C‐1株の菌学的性質(遺伝子的性質)
C‐1株の菌学的性質をさらに明らかにするため、遺伝子レベルでの解析を実施した。C‐1株の培養菌体から、DNeasy kit(キアゲン社)を用いて染色体DNAを調製し、パルスフィールド電気泳動に供して、280Kb以上のDNAを含むアガロース断片を切断した。切断したアガロース断片はβ−アガラーゼ(NEB社)によりアガロースを消化しDNAを精製した。
精製したゲノムDNAはハイドロシェアー(DNA断片化装置、gene machines社)を用いてランダムに断片化し、アガロースゲル電気泳動により分画後、約2kb〜3kbのDNAを含むアガロース断片を切出した。切出したアガロース断片はβ−アガラーゼによりアガロースを消化し、DNAを精製後、T4 DNA ポリメラーゼを用いてDNA断片の平滑化を行った。平滑化したDNA断片は脱リン酸処理を行ったpUC118/Hinc II/BAP(タカラバイオ),50ngとベクターライゲーションを行った後、フェノール/クロロホルム、クロロホルム処理、及び、エタノール沈殿を行い20 μlのTEに溶解した。かかるライゲーション溶液1μlを、Gene pulser(BIORAD社)を用いて大腸菌DH10B (Invitrogen社)に、1.5kV,200Ω,25uFのパルスを与え導入し、パルス後 1ml のSOC培地を加え 37℃、1時間培養後、100 μg/ml アンピシリンを含むL寒天培地に藩種した。
【0024】
得られた形質転換コロニーを、Q‐Bot(GENETIX)を用いてピッキングし、アンピシリンを含むTB培地200μlが入った96wellプレートに各々植菌し、37℃、1000rpmで14時間振盪培養した。
培養菌体より、ORCAロボットシステム:Biomek2000, Multimek, ORCA(ベックマンコールター社)及び、ミリポア社のマルチスクリーンプレート(NAプレート、FBプレート)を用いて、プラスミドDNAの調製した。プラスミドDNAは、約70μlのTEbufferで溶出した。
得られたプラスミドDNAを鋳型として、M13‐47プライマー(5’−CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC−3’)(配列表配列番号2)を用いてDye Terminator法 :DYEnamic ET dye terminator kit(アマシャムバイオサイエンス社)によりシークエンス反応を行った。シークエンス解読は、96wellプレートフォーマットのキャピラリーシークエンサーMegaBACE1000(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて行った。
【0025】
シークエンスデータは付属のベースコーラ“Cimarron3.12”を用いて波形配列データに変換した。得られた波形データについてPhred (Codon Code Inc, ver.0.000925.c)によりベールコールを行った後、各塩基のPhred値を算出した。Phred値が15以上である塩基が300個以上含まれるリードを有効とした(有効リード数は、10373リードであった)。Phredによるベースコールによって得られた塩基配列データ(10、373リード)について、Paracel Filtering Package(Paracel Inc,ver.2.2.8)により、phred値が15未満の末端の塩基のマスキング(Qualclean)とベクター配列のマスキングを行った。ベクター配列のマスキング後、そのテキストデータ(fasta)を検索クエリーとして、相同性検索(Blast−n、Blast−x)を行った。データベースには、GenBank Non−redundantデータベース(2002年7月15日現在での最新データベース)を使用した。
【0026】
遺伝子配列に基づく菌株の同定として16S−rRNA配列は重要であることから、上記によって得られた塩基配列群をBlast−nでキーワード検索して、対応するクローン配列を選別することによりC‐1株の16S−rRNA配列の解読を試みた。その結果、10,373リード中に16S−rRNA塩基配列をコードするクローンは少なくとも30個存在し、それらの塩基配列を統合することによって、配列表配列番号1に記載する1,533塩基からなる16S−rRNA遺伝子を解明できた。
【0027】
この配列を基に、Gene Bank等の遺伝子データベースに登録された他の微生物が保有する16S−rRNA遺伝子の配列と比較した結果、Enterobacter cloacae とは99.1%、Enterobacter 属微生物CJF−002(FERM−P17799)株とは99.3%の高い相同性を示すことが判明し、C‐1株はEnterobacter 属に属することが強く示唆された。
【0028】
さらに、近年ではジャイレースBの遺伝子配列を基に菌種解析が行われるようになったことから、上記塩基配列群より、C‐1株のジャイレースB遺伝子配列を検索し、1,401塩基からなる遺伝子を解明した。この配列と完全に一致するジャイレースB遺伝子配列は公知配列中に存在せず、さらにEnterobacter cloacae のジャイレースB遺伝子とは87.1%しか相同性を示さないことが判明した。これらの結果および実施例2の結果から、C‐1株はEnterobacter 属に属する新規な微生物であると結論された。
そしてこの菌株を独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託し、受託番号FERM P−18947を得た。
【0029】
【実施例4】
C‐1株を植物用カルチャーボトル(10×11×10cm、口径7.5cm)にペプトン0.3%、酵母エキス0.1%、クエン酸3ナトリウム0.035%、リン酸2ナトリウム0.14%、食塩0.2%の組成の培地100mlを含むシード培地に植菌し、25℃で実施例1記載の方法で一晩往復振騰した培養液20mlを、実施例1記載の生産培地2Lを含む3L容ジャーファーメンターに移植し、毎分3Lの通気、毎分500回転の攪拌条件で培養する。培養中は、pHが6以下に下がった場合は、水酸化ナトリウム溶液を滴下することによりpHを7に補正した。
【0030】
32時間培養後、培養液を滅菌し、0.1%のセチルトリメチルアンモニウムブロミドを加え生成した沈殿を除去する。この上清液に、水酸化ナトリウムを0.1Nとなるように加え、さらに0.2%のセチルトリメチルアンモニウムブロミドを加えて生成した沈殿を分離する。この沈殿をエチルアルコールで洗浄後、2Mの塩化ナトリウム液に溶解し、等量の水を加え、さらに等量のアセトンを加え生成した浮遊物を分離する。この浮遊物を80%のエチルアルコールで洗浄後、アセトンにて脱水、シクロヘキサンに置換し、風乾により、培養液2Lより5.96gの水溶性多糖類粉末を得た。水溶性多糖物質の対糖収率は15%であった。
【0031】
【実施例5】
上記で得られた浮遊物を再度水に1%濃度で溶解した。この溶液はメタノール、エタノールでは容易に沈殿しなかった。再溶解液に再び等量のアセトンを加えて生成する浮遊物を水/メタノール混合液(30%メタノール)で洗浄して目的物を得た。この目的物を無機酸で加水分解後、ホーネン糖組成分析キット(生化学工業製)にて4‐アミノ安息香酸エチルエステル化し、以下に示す条件で単糖の分析を行った。
Agilent製HPLC装置(1050series)と、Waters製カラム(Symmetry Shield RP85mm;φ3.9mmx150mm)を用い、サンプル10ml注入後、溶離液として0.2M硼酸カリウム緩衝液(pH8.9)/アセトニトリル(93:7)で溶離(1ml/min)し、蛍光検出(Ex. 305nm, Em. 360nm)により多糖のピークを求め、ピークの蛍光強度より構成糖組成を求めた。構成糖組成は、フコース 40.8〜40.7%、ガラクトース 28.9〜27.2%、グルコース 19.7〜19.1%、グルクロン酸 10.7〜13.0%であった。
【0032】
【実施例6】
実施例4で得られた水溶性多糖類の1H−NMRスペクトルを図1に示す。多糖に特徴的な−O−CH−,−O−CH2−に由来するピークが見られた。さらに、赤外吸収スペクトルを図2に、酸処理した水溶性多糖の赤外吸収スペクトルを図3に示す。酸処理しないものではカルボキシレートに由来するピークの存在と酸処理によりカルボン酸に由来するピークに変化することより、ウロン酸の存在が確認された。
【0033】
【実施例7】
実施例4で得られた、本発明の水溶性多糖類(Na塩)の0.2%水溶液に、粒径5〜20μmのシリカを10%分散させた。比較として、0.2%のアビセル分散液に、同様にシリカを分散させた分散液を作成した。これら分散液に、1%NaCl水溶液を滴下したところ、アビセル分散液では、シリカが直ぐに、沈降し、分散性を保てなかったが、実施例では、相当量のNaCl添加でも分散性を保っていた。
【0034】
【実施例8】
実施例4で得られた、本発明の水溶性多糖類の長鎖4級アンモニウム塩を0.2%濃度でクロロホルムに溶解したところ、ほぼ透明な溶液を得た。この溶液を、セルロースの銅アンモニア溶液から得られる多孔性再生セルロース膜の表面にコーテイングし、風乾した。この処理膜と処理しない原膜上に、人血を適量たらし、20分間放置後、水で洗浄したところ、原膜では、血液成分が固着していたが、本発明の水溶性多糖類の長鎖4級アンモニウム塩を処理したものでは、固着血は見られなかった。
【0035】
配列表
【図面の簡単な説明】
【図1】水溶性多糖の1H−NMRスペクトル
【図2】水溶性多糖の赤外吸収スペクトル
【図3】水溶性多糖酸処理物の赤外吸収スペクトル
【発明の属する技術分野】
本発明は、Enterobacter 属に属する新規微生物、その微生物の産生する水溶性多糖類及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微生物が生産する水溶性多糖類は、多様な構造、多彩な機能を有しており、すでに抗腫瘍性物質や化粧品素材として開発されている。水溶性多糖類を生産する微生物としては、乳酸菌や酵母など数多くの微生物が知られており、枚挙に暇がない。近年でも特許文献1においてシュードモナス属微生物、特許文献2においてバークホルデリア属(Burkholderia sp.)微生物、さらにアルカリゲネス・レータス(非特許文献1)による多糖生産がし示されるごとく、新規な構造、物性を有する水溶性多糖類を発掘し、産業上有用な新規素材として開発していくことは依然強く望まれている。本発明において見出されたEnterobacter 属微生物に関しては、特許文献3において抗菌性セファロスポリン誘導体の製造、特許文献4においてEnterobacter 属微生物であるCJF−002(FERM−P17799)株による不溶性のセルロースの生産などが知られており、新規な水溶性多糖類の製造に対しても未知なる能力を有していると考えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−179184号公報
【特許文献2】
特開2000−95802公報
【特許文献3】
特開2002−316992号公報
【特許文献4】
特開2001−321164号公報
【非特許文献1】
機能材料、1999年10月号、p.24〜34
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そのような新規な水溶性多糖類の開発には、新種微生物を発見することが最も近道と考えられ、特に将来的な工業生産を考えた場合には、増殖性が優れ、安価な培養条件で大量に成育し、かつ目的物質を製造するような微生物を見出すことが、技術の開発の大きな課題となっている。本発明では、土壌、地下水などをスクリーニングソースとして、単一の炭素源を含む選択的培地で、短時間の培養で水溶性多糖類を生産する、新規な微生物群を探索し、これを提供することを目的とする。さらに本発明では、増殖が容易でかつ増殖速度が速く、工業的に安価に新規な水溶性多糖類を生産しうる微生物を選別し、それを用いて得られる水溶性多糖類及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、国内外から集めた土壌、地下水などをスクリーニングソースとして、単一の炭素源を含む選択的培地で、25〜30℃にて1日もしくは2日間培養し、生育した微生物を寒天培地上に塗布して、ムコイドを形成するコロニーを探索した。これらコロニーを振とう培養して、培養液もしくは攪拌培養が可能であることを指標として、新規な水溶性多糖類を生産しうる微生物を選別した。
得られた微生物の16S−rRNA配列さらには生化学的特性を調べることによって、本発明の微生物の同定を試み、Enterobacter属に属する新規な微生物であることを明らかにした。
次いで、本微生物の培養液を分析し、新規な水溶性多糖類が生産されていることを確認し、水溶性多糖類及びその製造方法を開発した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の(1)から(3)に掲げる特徴を有するEnterobacter 属に属する新規な微生物である:
(1)配列表配列番号1に記載の塩基配列またはその1若しくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなる16S−rRNA遺伝子を有する新規な微生物
(2)16S‐rRNA 遺伝子がEnterobacter cloacae と少なくとも99%の相同性を示し、かつ100%は一致しない塩基配列を有する、Enterobacter 属に属する新規な微生物
(3)Enterobacter 属の新規な微生物であるC‐1(FERM P−18947)株
【0007】
さらに本発明は、下記の(4)から(10)に掲げる特徴を有する水溶性多糖類及びその製造方法である:
(4)上記で示した微生物から生産され、フコース、ガラクトース、グルコース、及びグルクロン酸を主成分として構成される水溶性多糖類
(5) モル比でフコース24.1%〜40.8%、ガラクトース17.1%〜28.9%、グルコース11.6%〜19.7%、及びグルクロン酸6.3%〜10.7%を含有する上記(4)記載の水溶性多糖類
(6)前記微生物を炭素源を含む培地で培養し、水溶性多糖類を産生せしめ、これを採取することを特徴とする水溶性多糖類の製造方法
(7)培養を15℃〜42℃で行う前記(6)記載の水溶性多糖類の製造方法
(8)炭素源として単一の炭化水素類を用いる前記(6)又は(7)に記載の水溶性多糖類の製造方法
(9)炭化水素類として、n−ヘキサン及び/又は軽油を用いる前記(8)に記載の水溶性多糖類の製造方法
(10)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の微生物の培養液を、pH4以下にしたのち、長鎖4級アンモニウム塩を加えて、水溶性多糖類をアンモニウム塩として沈澱し、分離することを特徴とする水溶性多糖類の回収方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の微生物は、水溶性多糖類を生産するEnterobacter属に属する新規な微生物であることを特徴とする。
本発明が対象とする微生物は、Enterobacter属に属する新規な微生物であって、しかもその16S−rRNA遺伝子の塩基配列中に後述する配列表に記載する塩基配列を含有するものが含まれる。当該塩基配列は1若しくは数個の塩基が欠失、置換または付加されることを何ら妨げるものではない。
【0009】
また、本発明が対象とするEnterobacter属の新規な微生物には、次のような形態学的および生化学的特性を有するものが含まれる。
【0010】
さらに本発明者らは本菌株が、ラムノースとマンノースを含まず、フコース、ガラクトース、グルコース及びグルクロン酸より構成される新規な水溶性多糖類を多量に生産することを見出した。
【0011】
すなわち、本発明のEnterobacter 属微生物が産生する水溶性多糖類は、フコース、ガラクトース、グルコース及びグルクロン酸のカルボキシル化糖を含む珍しい水溶性多糖類である。また、培養系からの分離過程で、長鎖4級アンモニウム塩を、選択的沈殿剤として用いて得られる該水溶性多糖類の4級アンモニウム塩群である。特に、フコースのような、C6位がメチル置換したデオキシ体が糖連鎖の中に組み込まれている例は珍しい。上記水溶性多糖類は、一般の架橋剤で架橋すれば、高度に水などを吸収したゲルになり、他の素材に表面コートしたり、練り込み後、成形などすれば、生体適合材料、DDSの媒体、細胞認識/非認識剤への変換も容易である。4級アンモニウム塩型は、有機溶媒可溶になることもあり、他材料表面の処理や、他材料への練り込みも容易になり、対象の他材料が、水溶体の形で存在するより、拡大する。また、このものは、多くの物質の分散能にも優れており、かつ、セルロース系分散剤が常に問題となる、塩存在下での分散保持力も強く、化粧品をはじめとする、多くの工業用途で広く利用可能である。また、本発明の水溶性多糖類のようにウロン酸を含む多糖は長時間の加熱により抗がん物質4,5−ジヒドロキシ2−シクロペンテン−1−オン(DHCP)を生成することが知られていることから、機能性食品、医薬として利用可能である。さらに、構造上吸水保水性を有するので、紙おむつなどの用途に用いることができる。
【0012】
本発明のEnterobacter 属微生物は、通性嫌気性であり、酸素(空気)の有無に関らず、培養できる利点があり、静置、振とう、攪拌培養のいずれでも培養可能である。培地としては、各種合成培地や天然培地を利用できる。好ましくは、糖類を含有する培地である。例示すれば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、シュークロース、マルトース、スクロース、フラクトース、レバンなど挙げることが出来る。マンニトール、ソルビトール、エリスリットなどの糖アルコールも好適に利用できる。また、澱粉水解物、シトラスモラセス、ビートモラセス、ケーンモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類などの果汁成分も利用できる。さらに、n−ヘキサン、軽油等も利用できる。
【0013】
炭素源としては、n−ヘキサンや軽油などの各種炭化水素類、炭酸ガスなどの利用も可能であるが、一般的には、グルコース、フルクトース、ガラクトース、シュークロース、マルトース、スクロース、フラクトース、レバンなど挙げることが出来る。マンニトール、ソルビトール、エリスリット、グリセリン、エチレングリコール、澱粉、糖蜜、コーン・ステープ・リカー、麦芽エキス、澱粉水解物などがある。特に、所謂廃糖蜜としてのシトラスモラセス、ビートモラセス、ケーンモラセス、ビート搾汁、サトウキビ搾汁、柑橘類などの各種果汁成分有機酸などを単独または二種以上混合したものが利用できる。比例原料費としても安価な、廃糖蜜系が好適に用いられる。
【0014】
窒素源としては、アンモニウム塩、硝酸塩などの無機性窒素源や、ファーマメデイア、ペプトン、大豆粉、肉エキス、カゼイン、尿素、豆濃などの有機性窒素源を単独または二種以上混合したものを例示できる。
【0015】
また、培地には必要に応じて、有機微量栄養素としてアミノ酸、ビタミン、脂肪酸、または無機塩類としてリン酸塩、鉄塩、マンガン塩、その他の金属塩をそれぞれ単独あるいは2種以上併用して用いることが出来る。
【0016】
本発明に用いる微生物が通性嫌気性細菌であるため、好気条件でも嫌気条件でも培養でき、本発明の水溶性多糖類を産生する。培養形式に制限を受けず、原則的に微生物の培養に用いられる公知の方法を用いて実施できる。例えば、静置培養、振とう培養もしくは通気攪拌培養など採用できる。攪拌培養とは、培養液を攪拌しながら行う培養法であり、例えば、簡便には、ジャーファーメンターおよびタンクなどの攪拌槽ならびにバッフル付フラスコ、坂口フラスコおよびエアーリフト型攪拌層、発酵ブロスのポンプ駆動循環などの手段や装置を任意に選択・組み合わせて使用できる。また、攪拌培養は必要に応じて、同時に通気を行いながら実施できる。通気は、例えば、空気など酸素含有ガス、ならびに例えば、アルゴン、窒素などの酸素非含有ガスを用いることが出来、これらガスは培養系の条件に合わせて当業者により適宜選択できる。また、培養操作法においても公知の方法、例えば、回分発酵法、反復回分発酵法、連続発酵法などは使用できる。本発明において、特に好ましいのは、通気攪拌培養である。
【0017】
初期の菌体濃度は適宜選択し得るが、103〜107cfu/ml程度が適当である。培地のpHは特に制限されず、pH2.2 〜pH9.5、好ましくは、pH6.0〜8.0の範囲である。温度範囲は4〜45℃が適応できる。
この様な、培養系に溶解している多糖を分離・生成するのは多大なエネルギーとコストがかかるので、培養系に高濃度で存在させる事が、肝要である。
【0018】
本発明の水溶性酸性多糖を培地から分離する場合には、次の方法で基本的に実施できる。
即ち、水溶性酸性多糖を分離する場合は、例えば、水溶性多糖類が産生される条件での培養終了後、培養系毎殺菌処理し、要すれば、ある程度濃縮後、水溶性多糖類をアセトン等の水系溶媒とは混合するが、水溶性多糖類は溶解しない有機溶媒を添加し、沈殿もしくは浮遊させ分離する方法や、セチルトリメチルアンモニウムブロミド等の長鎖4級アンモニウム塩により分別沈殿させる方法により実施できる。特に培養液を、pH4以下にしたのち、長鎖4級アンモニア塩を加えて水溶性多糖類をアンモニウム塩として沈澱分離する方法が収率もよく、また簡単に分離回収することができるので望ましい。
【0019】
以下実施例にて詳細説明するが、これに限定されるものでは無い。
【実施例1】
水溶性多糖類生産菌の単離
集積培養用の選択培地としては、1Lあたり(NH4)2HPO4 1.5g、KH2PO41g、MgSO4・7H2O 0.5g、FeCl3 10mg、NaCl 10mg、CaCl2・2H2O 10mgの組成からなる基本培地に、終濃度1%となるように、n−ヘキサンもしくは軽油を添加したものを用いた。微生物のスクリーニングソースとして、国内外から集めた土壌、深層油田水を含む地下水などを上記培地を含むフラスコにそれぞれ添加し、30℃にて振とう培養を行った。培養4日目に、菌の増殖が認められた培養液の一部を、N寒天培地(Difco社)に塗布し、30℃にて2日間培養しコロニーを生育させた。特に生育が早く、かつムコイド状を示すコロニーについて単離作業を行い、候補菌株群を得た。
【0020】
次いでこれらの菌株群の水溶性多糖類の生産能を調べるため、1L当たり、シュクロース20g、硫酸マグネシウム0.5g、クエン酸3ナトリウム1g、ペプトン1.5g、リン酸2ナトリウム1.5g、リン酸1カリウム1g、塩化第2鉄10mg、塩化カルシウム10mg(pH7.5)の組成の生産培地100mlを含む植物用カルチャーボトル(10x11x10cm、口径7.5cm)に植菌し、30℃でストローク30mm、毎分100回の速度で2日間往復振騰培養した。培養液を滅菌後、不溶物を遠心分離除去した上澄液に、水酸化ナトリウムを0.1Nとなるように加え、0.2%のセチルトリメチルアンモニウムブロミドを加えて生成した沈殿を分離した。この沈殿をエチルアルコールで数回洗浄し、水溶性多糖セチルトリメチルアンモニウム塩を得た。これを、2Mの塩化ナトリウム液に溶解後、等量の水を加え、さらに等量のアセトンを加え生成した浮遊物を分離した。この浮遊物を80%のエチルアルコールで洗浄後、アセトンにて脱水後、風乾により得られた水溶性多糖類粉末の重量を測定した。その結果、油田層水ライブラリーより見出された本発明のC‐1株が最も高い生産能を有していることが判明した。
【0021】
【実施例2】
C‐1株の菌学的性質(形態、生理学的性質)
本菌株を同定するため形態的性質、培地における生育状態および生理学的性質について分析し、次に示す結果を得た。
【0022】
上記で得られたC‐1株の生理学的性質をBergey’s Manual of Systematic Bacteriology [Vol.1 (1984), Vol.2 (1986), Vol.3 (1989), Vol.4 (1989), Williams& Wilkins, Baltimore]に記載される種々の微生物の諸性質と対比したところ、本発明の菌株は、Enterobacter cloacaeと一致しており、さらにはEnterobacter 属微生物であるCJF−002(FERM−P17799)株: 特開2001−321164号公報の生理学的性質とも一致しており、Enterobacter属微生物であると推定された。
【0023】
【実施例3】
C‐1株の菌学的性質(遺伝子的性質)
C‐1株の菌学的性質をさらに明らかにするため、遺伝子レベルでの解析を実施した。C‐1株の培養菌体から、DNeasy kit(キアゲン社)を用いて染色体DNAを調製し、パルスフィールド電気泳動に供して、280Kb以上のDNAを含むアガロース断片を切断した。切断したアガロース断片はβ−アガラーゼ(NEB社)によりアガロースを消化しDNAを精製した。
精製したゲノムDNAはハイドロシェアー(DNA断片化装置、gene machines社)を用いてランダムに断片化し、アガロースゲル電気泳動により分画後、約2kb〜3kbのDNAを含むアガロース断片を切出した。切出したアガロース断片はβ−アガラーゼによりアガロースを消化し、DNAを精製後、T4 DNA ポリメラーゼを用いてDNA断片の平滑化を行った。平滑化したDNA断片は脱リン酸処理を行ったpUC118/Hinc II/BAP(タカラバイオ),50ngとベクターライゲーションを行った後、フェノール/クロロホルム、クロロホルム処理、及び、エタノール沈殿を行い20 μlのTEに溶解した。かかるライゲーション溶液1μlを、Gene pulser(BIORAD社)を用いて大腸菌DH10B (Invitrogen社)に、1.5kV,200Ω,25uFのパルスを与え導入し、パルス後 1ml のSOC培地を加え 37℃、1時間培養後、100 μg/ml アンピシリンを含むL寒天培地に藩種した。
【0024】
得られた形質転換コロニーを、Q‐Bot(GENETIX)を用いてピッキングし、アンピシリンを含むTB培地200μlが入った96wellプレートに各々植菌し、37℃、1000rpmで14時間振盪培養した。
培養菌体より、ORCAロボットシステム:Biomek2000, Multimek, ORCA(ベックマンコールター社)及び、ミリポア社のマルチスクリーンプレート(NAプレート、FBプレート)を用いて、プラスミドDNAの調製した。プラスミドDNAは、約70μlのTEbufferで溶出した。
得られたプラスミドDNAを鋳型として、M13‐47プライマー(5’−CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC−3’)(配列表配列番号2)を用いてDye Terminator法 :DYEnamic ET dye terminator kit(アマシャムバイオサイエンス社)によりシークエンス反応を行った。シークエンス解読は、96wellプレートフォーマットのキャピラリーシークエンサーMegaBACE1000(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて行った。
【0025】
シークエンスデータは付属のベースコーラ“Cimarron3.12”を用いて波形配列データに変換した。得られた波形データについてPhred (Codon Code Inc, ver.0.000925.c)によりベールコールを行った後、各塩基のPhred値を算出した。Phred値が15以上である塩基が300個以上含まれるリードを有効とした(有効リード数は、10373リードであった)。Phredによるベースコールによって得られた塩基配列データ(10、373リード)について、Paracel Filtering Package(Paracel Inc,ver.2.2.8)により、phred値が15未満の末端の塩基のマスキング(Qualclean)とベクター配列のマスキングを行った。ベクター配列のマスキング後、そのテキストデータ(fasta)を検索クエリーとして、相同性検索(Blast−n、Blast−x)を行った。データベースには、GenBank Non−redundantデータベース(2002年7月15日現在での最新データベース)を使用した。
【0026】
遺伝子配列に基づく菌株の同定として16S−rRNA配列は重要であることから、上記によって得られた塩基配列群をBlast−nでキーワード検索して、対応するクローン配列を選別することによりC‐1株の16S−rRNA配列の解読を試みた。その結果、10,373リード中に16S−rRNA塩基配列をコードするクローンは少なくとも30個存在し、それらの塩基配列を統合することによって、配列表配列番号1に記載する1,533塩基からなる16S−rRNA遺伝子を解明できた。
【0027】
この配列を基に、Gene Bank等の遺伝子データベースに登録された他の微生物が保有する16S−rRNA遺伝子の配列と比較した結果、Enterobacter cloacae とは99.1%、Enterobacter 属微生物CJF−002(FERM−P17799)株とは99.3%の高い相同性を示すことが判明し、C‐1株はEnterobacter 属に属することが強く示唆された。
【0028】
さらに、近年ではジャイレースBの遺伝子配列を基に菌種解析が行われるようになったことから、上記塩基配列群より、C‐1株のジャイレースB遺伝子配列を検索し、1,401塩基からなる遺伝子を解明した。この配列と完全に一致するジャイレースB遺伝子配列は公知配列中に存在せず、さらにEnterobacter cloacae のジャイレースB遺伝子とは87.1%しか相同性を示さないことが判明した。これらの結果および実施例2の結果から、C‐1株はEnterobacter 属に属する新規な微生物であると結論された。
そしてこの菌株を独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託し、受託番号FERM P−18947を得た。
【0029】
【実施例4】
C‐1株を植物用カルチャーボトル(10×11×10cm、口径7.5cm)にペプトン0.3%、酵母エキス0.1%、クエン酸3ナトリウム0.035%、リン酸2ナトリウム0.14%、食塩0.2%の組成の培地100mlを含むシード培地に植菌し、25℃で実施例1記載の方法で一晩往復振騰した培養液20mlを、実施例1記載の生産培地2Lを含む3L容ジャーファーメンターに移植し、毎分3Lの通気、毎分500回転の攪拌条件で培養する。培養中は、pHが6以下に下がった場合は、水酸化ナトリウム溶液を滴下することによりpHを7に補正した。
【0030】
32時間培養後、培養液を滅菌し、0.1%のセチルトリメチルアンモニウムブロミドを加え生成した沈殿を除去する。この上清液に、水酸化ナトリウムを0.1Nとなるように加え、さらに0.2%のセチルトリメチルアンモニウムブロミドを加えて生成した沈殿を分離する。この沈殿をエチルアルコールで洗浄後、2Mの塩化ナトリウム液に溶解し、等量の水を加え、さらに等量のアセトンを加え生成した浮遊物を分離する。この浮遊物を80%のエチルアルコールで洗浄後、アセトンにて脱水、シクロヘキサンに置換し、風乾により、培養液2Lより5.96gの水溶性多糖類粉末を得た。水溶性多糖物質の対糖収率は15%であった。
【0031】
【実施例5】
上記で得られた浮遊物を再度水に1%濃度で溶解した。この溶液はメタノール、エタノールでは容易に沈殿しなかった。再溶解液に再び等量のアセトンを加えて生成する浮遊物を水/メタノール混合液(30%メタノール)で洗浄して目的物を得た。この目的物を無機酸で加水分解後、ホーネン糖組成分析キット(生化学工業製)にて4‐アミノ安息香酸エチルエステル化し、以下に示す条件で単糖の分析を行った。
Agilent製HPLC装置(1050series)と、Waters製カラム(Symmetry Shield RP85mm;φ3.9mmx150mm)を用い、サンプル10ml注入後、溶離液として0.2M硼酸カリウム緩衝液(pH8.9)/アセトニトリル(93:7)で溶離(1ml/min)し、蛍光検出(Ex. 305nm, Em. 360nm)により多糖のピークを求め、ピークの蛍光強度より構成糖組成を求めた。構成糖組成は、フコース 40.8〜40.7%、ガラクトース 28.9〜27.2%、グルコース 19.7〜19.1%、グルクロン酸 10.7〜13.0%であった。
【0032】
【実施例6】
実施例4で得られた水溶性多糖類の1H−NMRスペクトルを図1に示す。多糖に特徴的な−O−CH−,−O−CH2−に由来するピークが見られた。さらに、赤外吸収スペクトルを図2に、酸処理した水溶性多糖の赤外吸収スペクトルを図3に示す。酸処理しないものではカルボキシレートに由来するピークの存在と酸処理によりカルボン酸に由来するピークに変化することより、ウロン酸の存在が確認された。
【0033】
【実施例7】
実施例4で得られた、本発明の水溶性多糖類(Na塩)の0.2%水溶液に、粒径5〜20μmのシリカを10%分散させた。比較として、0.2%のアビセル分散液に、同様にシリカを分散させた分散液を作成した。これら分散液に、1%NaCl水溶液を滴下したところ、アビセル分散液では、シリカが直ぐに、沈降し、分散性を保てなかったが、実施例では、相当量のNaCl添加でも分散性を保っていた。
【0034】
【実施例8】
実施例4で得られた、本発明の水溶性多糖類の長鎖4級アンモニウム塩を0.2%濃度でクロロホルムに溶解したところ、ほぼ透明な溶液を得た。この溶液を、セルロースの銅アンモニア溶液から得られる多孔性再生セルロース膜の表面にコーテイングし、風乾した。この処理膜と処理しない原膜上に、人血を適量たらし、20分間放置後、水で洗浄したところ、原膜では、血液成分が固着していたが、本発明の水溶性多糖類の長鎖4級アンモニウム塩を処理したものでは、固着血は見られなかった。
【0035】
配列表
【図面の簡単な説明】
【図1】水溶性多糖の1H−NMRスペクトル
【図2】水溶性多糖の赤外吸収スペクトル
【図3】水溶性多糖酸処理物の赤外吸収スペクトル
Claims (10)
- 配列表配列番号1記載の塩基配列またはその1若しくは数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなる16S−rRNA遺伝子を有する新規な微生物。
- 16S−rRNA遺伝子が、Enterobacter cloacae のそれと少なくとも99%の相同性を示し、かつ100%は一致しない塩基配列を有する、Enterobacter 属に属する請求項1記載の新規微生物。
- Enterobacter C‐1(FERM P−18947)株である、請求項1又は2記載の微生物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載される微生物から産生され、フコース、ガラクトース、グルコース及びグルクロン酸を主成分として構成される水溶性多糖類。
- モル比でフコース24.1%〜40.8%、ガラクトース17.1%〜28.9%、グルコース11.6%〜19.7%、及びグルクロン酸6.3%〜10.7%を含有する請求項4記載の水溶性多糖類。
- 請求項1〜3いずれかに記載の微生物を、炭酸源を含む培地で培養し、水溶性多糖類を産生せしめ、これを採取することを特徴とする水溶性多糖類の製造方法。
- 培養を15℃〜42℃で行う請求項6記載の水溶性多糖類の製造方法。
- 炭素源として単一の炭化水素類を用いる請求項6又は7に記載の水溶性多糖類の製造方法。
- 炭化水素類として、n−ヘキサン又は軽油を用いる請求項8に記載の水溶性多糖類の製造法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の微生物の培養液を、pH4以下にしたのち、長鎖4級アンモニウム塩を加えて、水溶性多糖類をアンモニウム塩として沈澱し、分離することを特徴とする水溶性多糖類の回収方法。
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