JP2004208168A - 画像出力装置の校正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機器の経時変化、感光材料などの記録媒体の特性変化などによる特性差があるにも拘らず、入力された画像データに応じた適正な画像を出力することができる画像記録装置の校正方法を提供する。
【解決手段】画像出力装置からカラーの3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力し、校正用カラーチャートの3原色の単色の複数のパッチの濃度を測定して3原色の各単色の出力階調を校正する第1の校正工程と、3原色の各単色の階調がそれぞれ所定の階調に収束しても、3原色の各単色を重ね合わせたグレーのグレーバランスが不十分であると判断されて画像出力装置の校正方法が続行される場合には、3原色の各単色とグレーとの関係を再構築する第2の校正工程とを有することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図2
【解決手段】画像出力装置からカラーの3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力し、校正用カラーチャートの3原色の単色の複数のパッチの濃度を測定して3原色の各単色の出力階調を校正する第1の校正工程と、3原色の各単色の階調がそれぞれ所定の階調に収束しても、3原色の各単色を重ね合わせたグレーのグレーバランスが不十分であると判断されて画像出力装置の校正方法が続行される場合には、3原色の各単色とグレーとの関係を再構築する第2の校正工程とを有することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された画像データに応じて適正な画像を出力する画像出力装置の校正方法に関し、特に、機器の経時変化、感光材料などの記録媒体の特性変化などによる特性差があるにも拘らず、入力された、画像濃度を表す画像データに応じた適正な画像を出力することができる画像出力装置の校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、ネガフィルム、またはリバーサルフィルム等の写真フィルム(以下、フィルムという)に撮影された画像の感光材料(印画紙)への焼き付けは、フィルムの画像を感光材料に投影して露光する、いわゆる直接露光が主流である。
【0003】
これに対し、近年では、フィルムに撮影された画像を光電的に読み取って、得られた信号をデジタル信号(画像濃度を表す画像データ)とした後、種々の画像処理を施して、記録用の画像データ(プリント信号)とし、この画像データに応じて変調した記録光で感光材料を露光し、現像してプリントとして出力する、デジタルフォトプリンタが実用化されている。
【0004】
このようなデジタルフォトプリンタによれば、画像を光電的に読み取って、デジタル画像データとして画像処理を行うので、プリントに再生する画像の色および濃度を好適に補正できるばかりか、シャープネス処理および赤目補正などのように、通常の直接露光のプリンタでは基本的に不可能な画像処理を行って、高画質な画像を得ることができる。
また、デジタルフォトプリンタでは、画像をプリントとして出力するのみならず、プリントに画像を再生した画像データを画像ファイルとしてCD−RまたはMO(光磁気記録媒体)等の各種の記録媒体に出力したり、CD−Rなどの記録媒体、またはデジタルカメラなどから画像データを受け取り、この画像データによって形成される画像を再生したプリントを出力することも行われている。
【0005】
ところで、このようなデジタルフォトプリンタのみならず、インクジェットプリンタおよびサーマルヘッドを用いる感熱記録装置等の画像データに基づいて画像記録を行う画像出力装置では、供給された画像データに応じた適正な色および濃度を有する画像を出力できることが要求される。
しかしながら、露光光源または記録ヘッドの出力誤差等に起因する画像出力装置の個体差、製造ロットの違い等による感光材料特性の個体差、または処理液の劣化等の現像条件の変動等により画像出力(画像記録)の条件は様々な要因で変動する。その結果、画像出力装置では、画像データに応じた適正な画像が出力できない場合もある。
このような不都合を解消し、常に画像データに応じた適正な画像を出力するために、画像出力装置の校正、いわゆるキャリブレーションが行われている。
【0006】
画像出力装置には、供給された画像データ(画像濃度を表す画像データ)に応じた適正な画像を出力するために、この画像データを、光源(レーザ)の発光特性や感光材料や印画紙(カラーペーパ)の露光特性に適応したプリント信号に変換する変換特性として、変換用LUT(ルックアップテーブル)が配置されているが、上述したような様々な画像出力条件の変動に対しても、画像データに応じた適正な画像を出力するために、キャリブレーションによって変換用LUT自体を書き換えたり、変換用LUT内に配置されている、濃度データを露光量データに変換するための露光変換LUTおよび/または露光量データをレーザ光源の駆動値(プリント信号)に変換するためのLUT、いわゆるキャリブレーションLUTを書き換えることが行われている。
【0007】
すなわち、キャリブレーションにおいては、通常、所定の濃度(基準濃度)を有する、例えば、カラーのC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)の3原色の単色のカラーパッチまたはグレーパッチが、所定の階調ステップで記録された所定の校正用のテストチャート(以下、キャリブレーションチャートという)を出力する。そして、キャリブレーションチャートのカラーパッチの濃度を測定して、または、グレーパッチの濃度をCMY単色に分解して測定して、キャリブレーションチャートのパッチの各単色の基準濃度と、出力されたキャリブレーションチャートのパッチを測定した各単色の濃度(以下、パッチの各単色の測定濃度という)との偏差を求める。そして、この偏差に応じて、上述した変換用LUT自体を、または、露光変換LUTおよび/またはキャリブレーションLUTを書き換えている。
【0008】
上述の画像出力装置のキャリブレーションを適正に行うために、従来から種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3など参照)。
特許文献1には、画像記録装置におけるC、MおよびYの各単色毎のキャリブレーション(校正)方法が開示されている。
特許文献1は、上述した露光変換LUTおよびキャリブレーションLUTを含む変換用LUT(プリンタLUT)を用いる画像記録装置を開示するものであるが、特許文献1では、最低濃度から最高濃度までの24個の所定値(階調の値)の濃度を表す画像データで発色する濃度領域(以下、パッチともいう)が、C、MおよびYの各単色について各単色毎に一列に記録される色記録領域を有するセットアップチャートを出力し、このパッチの濃度を濃度計によって測定する。そして、パッチの測定濃度と目標濃度との差が許容範囲を超えている場合、パッチの測定濃度とパッチを出力した時の露光量データとの関係から基準露光量データに対応する目標濃度となるように露光量データを求める。この場合、目標濃度に対して露光量データについて、複数の領域に分割し、分割された各領域毎に、目標濃度に対する露光量データを求める。このように目標濃度の全域に渡って、高精度に目標濃度となるように露光量データを求めることができる。こうして求められた露光量データを用いて、キャリブレーションLUTを更新し、変換用LUTを更新している。
【0009】
また、特開文献2に開示されたプリンタの校正方法においては、それぞれ所定の濃度を有する複数のグレーパッチを持つテストプリントを出力して、グレーパッチの濃度をCMYの各単色に分解して測定する。そして、このCMYの3色のうち、いずれか1つの色について、目標濃度との差を求める。次に、着目した色が目標濃度となった場合における他の2色の濃度変化を予測する。そして、この予測した2色の濃度がそれぞれ目標濃度のと差が最小になるように収束させる。これにより、所定のグレーにおける各CMY濃度と目標濃度との差を最小にすることができ、所定のグレーについて精度が高いキャリブレーションをすることができる。
【0010】
さらに、特開文献3に開示された画像記録装置は、校正用のテストチャートの濃度測定データの補正データを設定する操作パネル(補正データ設定手段)を有するものである。特許文献3の画像記録装置においては、キャリブレーションを行う際に、校正用のテストチャートに対応する画像信号に基づいて、記録媒体を露光し、校正用のテストチャートを得る。この校正用のテストチャートは、例えば、段階的に濃度が異なる3原色などのパッチが形成された公知のテストチャートである。そして、濃度計によって校正用のテストチャートのパッチの濃度を測定する。その測定濃度データと目標階調データとを用いて演算を行い、演算結果に基づいてLUTの書き換えなどを行う。これにより、入力画像信号に応じた適正な画像を得ることができる。
【0011】
この特許文献3の画像記録装置においては、キャリブレーションを複数回行ったにも拘らず、適正な画像を出力できないことがある。このとき、操作パネルをオペレータが操作して濃度計による濃度測定データを補正する補正データを入力することができる。これにより、濃度計の誤差、または校正の機差バラツキなどを有する場合であっても、これらの誤差を好適に吸収して適正なキャリブレーションを行うことができる。
【0012】
ところで、特許文献1および3のような、従来のカラーの3原色の単色毎にキャリブレーションを行う方法の一例について説明する。図6は、従来の単色の測定濃度に基づく校正方法を工程順に示すフローチャートである。
図6に示すように、従来のカラーの単色毎にキャリブレーションを行う方法においては、先ず、キャリブレーションチャートをプリントする(ステップS100)。このキャリブレーションチャートには、単色(C,M,Y)が所定の階調で印刷されたもの(以下、カラーパッチという)、および無彩色のパッチが所定の階調で印刷されたもの(以下、グレーパッチという)が用いられる。
次に、出力されたプリントのグレーパッチがオペレータによって観察され、グレーの階調が適切か否かが判断され、キャリブレーションが必要か否かが判断される(ステップS101)。ステップS101において、キャリブレーションが必要ないとオペレータによって判断された場合には、キャリブレ−ション作業が終了する(ステップS102)。
【0013】
一方、ステップS101において、キャリブレーションが必要であるとオペレータによって判断された場合、単色(C,M,Y)のパッチの濃度が測定される(ステップS103)。
【0014】
次に、各単色の目標濃度と、ステップS103において測定された各単色のパッチの測定濃度との差を算出し、この濃度差に基づくプリント信号を算出する(ステップS104)。
次に、プリント信号に基づいて、LUT(ルックアップテーブル)を更新する(ステップS105)。
次に、更新したLUTを用いて、再度、キャリブレーションチャートをプリントする(ステップS100)。そして、オペレータによってプリントが観察され、キャリブレーションが必要であるか否かが判断される(ステップS101)。このとき、オペレータによってキャリブレーションが必要ないと判断されれば、キャリブレーションが終了する(ステップS102)。
【0015】
一方、ステップS101において、キャリブレーションが必要であるとオペレータによって判断されれば、上述の如く、ステップS103〜ステップS105を行い、LUTを再度更新する。
【0016】
上述のステップS103〜ステップS105を複数回繰り返しても、キャリブレーションによって、グレーバランスが改善されないとオペレータによって判断された場合(ステップS101)、オペレータが各単色(C,M,Y)の濃度のパラメータを修正する(ステップS106)。そして、キャリブレーションチャートを、再度プリントする(ステップS100)。
【0017】
そして、ステップS101において、キャリブレーションが必要とないと判断されるまで、パラメータの修正を行う。
このパラメータの修正作業とは、グレーパッチの階調バランスを目視評価し、グレーのカラーバランスのずれが修正されるように、目標濃度を変更することである。目標濃度は、目標のグレーバランスとなるように、単色毎に決められているものである。例えば、中間濃度域でのグレーがR(赤)に偏っていて、かつ明るさが不足している場合には、C(シアン)濃度を高くする必要があるので、中間濃度域におけるCの目標濃度を従来よりも高目に設定すればよいというものである。
【0018】
次に、特許文献2のような従来のグレーの測定濃度に基づくキャリブレーションを行う方法について説明する。図7は、従来のグレーの測定濃度に基づく校正方法を工程順に示すフローチャートである。
この従来のグレーの測定濃度に基づくキャリブレーションを行う方法は、上述の従来の単色の測定濃度に基づく校正方法と比較して、キャリブレーションが必要であるとオペレータによって判断された場合(ステップS111)、グレーパッチの濃度が測定(ステップS113)され、このグレーパッチの濃度から各単色(CMY)のパッチの濃度が算出(ステップS114)され、そのグレー濃度から、算出された単色のパッチの濃度に基づいて、グレーバランスのずれが修正されるように、目標濃度に対応するプリント信号を算出する点が異なり、それ以外の校正方法は、従来の単色毎にキャリブレーションを行う方法と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
【0019】
しかしながら、特許文献1においては、C、MおよびYの単色を重ね合わせたときの色は、固定であるという前提に基づいて、好ましいグレーのカラーバランスに対応する単色の階調を予めデータとして保持している。そのデータに基づいて、CMY単色が所定の階調になるように、キャリブレーションを行っている。このため、感光材料の材料特性が変更した場合、または出力装置の特性変動もしくは出力装置の機差によって、CMY単色とそれらを重ね合わせたときの色との関係が変わる場合には、キャリブレーションを行った場合でも、グレーのカラーバランスを保つことができないという問題点がある。
【0020】
また、特許文献2においては、グレーの濃度を測定した結果を用いて、CMY各単色の補正量を求める際に、単色の変化がグレーに与える影響は変わらないという前提で、その影響量を推定している。このため、感光材料の材料特性が変わった場合には、正しい結果が得られない虞がある。
【0021】
さらに、特許文献3においては、濃度測定データを修正して、出力画像のカラーバランスを補正する方法が提案されている。しかしながら、オペレータが各色(C,M,Y)毎に、各設定点に対して、補正データを決定して操作パネルを用いて入力しており、オペレータが補正データを判断するのが難しいという問題点がある。
【0022】
さらにまた、従来の単色ごと、またはグレーの測定濃度に基づくキャリブレーションを行う方法のいずれにおいても、キャリブレーションの終了の判断がオペレータによって行われているため、また、パラメータの修正が必要か否かの判断もオペレータによって行われているため、キャリブレーション結果が、オペレータによってばらついてしまい、画像データに応じた適正な画像を常時安定して出力することができないという問題がある。
さらに、どの色の目標値をどれだけ変更するかというパラメータの修正の内容をオペレータの感覚に頼っているために、キャリブレーション結果がオペレータによってばらつき、適正な画像の安定出力ができなかったり、キャリブレーション作業に時間がかかってしまう、あるいはキャリブレーション作業が終了しない虞があるという問題がある。
【0023】
【特許文献1】
特開平6−118524号公報
【特許文献2】
特開2000−255108号公報
【特許文献3】
特開2001−305678号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、機器の経時変化、感光材料などの記録媒体の特性変化などによる特性差があるにも拘らず、入力された画像データに応じた適正な画像を出力することができる画像出力装置の校正方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明は、画像出力装置からカラーの3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力し、前記校正用カラーチャートの前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定して前記3原色の各単色の出力階調を校正する第1の校正工程と、前記3原色の各単色の階調がそれぞれ所定の階調に収束しても、前記3原色の各単色を重ね合わせたグレーのグレーバランスが不十分であると判断されて前記画像出力装置の校正方法が続行される場合には、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係を再構築する第2の校正工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法を提供するものである。
【0026】
ここで、前記第2の校正工程は、前記グレーの階調を表す複数のパッチを持つ校正用グレーチャートを出力し、前記校正用グレーチャートの前記グレーの前記複数のパッチの濃度を測定して、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係を取得することによって、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係の再構築を行うのが好ましい。
また、前記画像出力装置は、画像濃度を表す画像データをプリント信号に変換するための変換特性を備え、前記第1の校正工程は、前記画像出力装置から前記3原色の各単色の階調を表す、それぞれ目標濃度に対応する前記複数のパッチを持つ前記校正用カラーチャートを、前記複数のパッチの前記目標濃度を表す画像データを前記変換特性によって変換して得られた第1のプリント信号を用いて、出力する工程と、前記校正用カラーチャートの前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、前記複数のパッチの各パッチの測定濃度と対応する前記目標濃度との差を評価する工程と、前記差が許容範囲から外れている場合に、前記差を用いて前記目標濃度に対する第2のプリント信号を算出する工程、前記第2のプリント信号と前記目標濃度を用いて、前記変換特性を更新する工程、前記更新された変換特性を用いた前記校正用カラーチャートの出力工程、前記濃度測定工程および前記評価工程を、前記差が前記許容範囲内に入るまで繰り返す前記変換特性の校正工程とを有するのが好ましい。
【0027】
また、上記画像出力装置の校正方法であって、さらに、前記差が前記許容範囲内に入る場合に、前記変換特性の校正が収束したことを判定する工程とを有するのが好ましい。
また、画像出力装置の校正方法であって、さらに、前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有するのが好ましい。
また、前記第2の校正工程は、前記変換特性の校正の収束後、前記変換特性の校正の続行指示入力を受けた場合に、前記校正が収束した前記変換特性を用いて、グレーの階調を表す複数のグレーパッチを持つ校正用グレーチャートを出力する工程と、前記複数のグレーパッチの濃度を前記3原色に分解して測定する工程と、前記複数のグレーパッチの測定濃度と、前記3原色の単色の前記複数のパッチの測定濃度と、前記複数のグレーパッチ対応するグレーの目標濃度とを用いて、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係の再構築を行い、前記3原色の単色の前記複数のパッチに対応する目標濃度を更新する工程と、前記更新された前記目標濃度を用いた前記校正用カラーチャートの出力工程から、前記変換特性の校正工程までの前記第1の校正工程を繰り返すのが好ましい。
【0028】
また、上記目的を解決するために、本発明は、画像出力装置からグレーの階調を表す複数のパッチを持つ校正用グレーチャートを出力し、前記校正用グレーチャートの前記グレーの前記複数のパッチの濃度を測定して、前記グレーを構成する3原色の各単色の階調の校正を行う第3の校正工程と、前記3原色の各単色の階調の校正を行っても、目標とする階調に収束しない場合には、前記3原色の各単色とこれらを重ね合わせた前記グレーとの関係を再構築する第4の校正工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法を提供するものである。
【0029】
ここで、前記第4の校正工程は、前記3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力し、前記校正用カラーチャートの前記3原色の各単色の前記複数のパッチの濃度を測定して、前記グレーと前記3原色の各単色との関係を取得することによって、前記グレーと前記3原色の各単色との関係の再構築を行うのが好ましい。
また、前記画像出力装置は、画像濃度を表す画像データをプリント信号に変換するための変換特性を備え、前記第3の校正工程は、前記画像出力装置からグレーの階調を表す複数のグレーパッチを持つ校正用グレーチャートを、前記複数のグレーパッチを構成する3原色の各単色の目標濃度を表す画像データを前記変換特性によって変換して得られた第1のプリント信号を用いて、出力する工程と、前記校正用グレーチャートの前記複数のグレーパッチの濃度を前記3原色に分解して測定する工程と、前記複数のグレーパッチの各グレーパッチの前記3原色の各単色の測定濃度と対応する前記3原色の各単色の前記目標濃度との差を評価する工程と、前記差が許容範囲から外れている場合に、前記差を用いて前記目標濃度に対する第2のプリント信号を算出する工程、前記第2のプリント信号と前記目標濃度を用いて、前記変換特性を更新する工程、前記更新された変換特性を用いた前記校正用グレーチャートの出力工程、前記濃度測定工程および前記評価工程を、前記差が前回の結果より減少して、前記許容範囲内に収束するまで繰り返す前記変換特性の校正工程とを有するのが好ましい。
【0030】
また、上記画像出力装置の校正方法であって、さらに、前記差が前記許容範囲内に入る場合に、前記変換特性の校正が収束したことを判定する工程とを有するのが好ましい。
また、上記画像出力装置の校正方法であって、さらに、前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有するのが好ましい。
また、前記第4の校正工程は、前記差が前回の結果より増大して、前記許容範囲内に収束しない場合に、前記変換特性を用いて、前記3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力する工程と、前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、前記複数のグレーパッチの測定濃度と、対応するグレーの目標濃度と、前記3原色の単色の前記複数のパッチの測定濃度とを用いて、前記目標濃度を更新する工程と、前記更新された前記目標濃度を用いた前記校正用グレーチャートの出力工程から、前記変換特性の校正工程までの前記第3の校正工程を繰り返すのが好ましい。
また、上記の各画像出力装置の校正方法において、前記3原色の単色は、シアン、マゼンタおよびイエローであるのが好ましい。
【0031】
また、本発明は、画像出力装置によりそれぞれ目標濃度に対応する複数のパッチを持つ校正用チャートを出力する工程と、前記校正用チャートの前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、前記複数のパッチの各パッチの測定濃度と前記目標濃度との差を評価する工程と、前記差が許容範囲から外れる場合に、前記画像出力装置の校正を続行する工程と、前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法を提供するものである。
ここで、前記校正用チャートはカラーチャートであり、前記複数のパッチは、シアン、マゼンタおよびイエローの各単色の階調を表すパッチであるのが好ましい。
また、前記校正用チャートは、グレーチャートであり、前記複数のパッチは、グレーの階調を表すパッチであるのが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明に係る画像記憶装置の校正方法を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像記憶装置の校正方法に利用される画像記録装置の一実施例を示すブロック図である。
図1に示される画像記録装置10は、画像データDを受け取り、この画像データDによって形成される画像を記録したプリントP(ハードコピー)を出力するものであって、基本的に、データ変換ルックアップテーブル(LUT)12と、プリント作製部14と、濃度計16と、キャリブレーション処理部18と、表示部30とを有する。
なお、画像データDは、例えば、写真フィルム等をスキャナなどで光電的に読み取って得られた画像データなどに、画像処理装置等で、色/濃度補正、彩度補正またはシャープネス処理等の各種の画像処理を施した画像データであり、画像処理装置等から供給される記録用画像データであるが、この他、デジタルスチルカメラ(DSC)で被写体を撮影して得られた画像データや、パーソナルコンピュータ(PC)で作成された画像データや、これらの画像データを画像処理した処理済画像データであっても良い。
【0034】
データ変換LUT(以下、単にLUTという)12は、供給された画像データDに応じた適正なプリントPを出力するために、画像濃度を表す画像データDをカラー印画紙(カラーペーパ)などの感光材料を露光するためのプリント信号、例えば、露光光源として、レーザダイオード(LD)などのレーザが用いられている場合には、レーザを駆動する駆動値に変換するためのLUT(ルックアップテーブル)であって、後述するキャリブレーションによって校正され(書き換えられ)、更新される。
このLUT12には、後述するように、外部、例えば画像処理装置などから画像データD、またはチャート生成部28から複数のカラーパッチまたはグレーパッチを持つ校正チャートを出力するための各パッチに対応する画像濃度を表す画像データが入力される。
【0035】
なお、本発明においては、LUT12を、特許文献1に開示されているように画像データ(濃度データ)Dを露光量データに変換するための露光変換LUTおよび露光量データをプリント信号(レーザの駆動値)に変換するためのキャリブレーションLUTによって構成しても良い。この場合には、感光材料や露光光源などの変更などの大幅な変更に関しては、変更された感光材料や露光光源などに固有のデータを用いて、露光変換LUTを更新し、画像出力装置の個体差や経時変化、感光材料特性の個体差や経時変化、または処理液の劣化等の現像条件の変動等による画像出力(画像記録)の条件の変動に関しては、キャリブレーションによってキャリブレーションLUTを書き換えるようにしても良い。
【0036】
プリント作製部14は、画像記録装置10の主要部をなすカラープリント作製手段を備える部分であって、LUT12によって画像データから変換されたプリント信号を用いて、この画像データによって形成される画像を記録・再生したプリントPを出力するものである。
また、プリント作製部14は、画像記録装置10の校正を行う際には、後述するチャート生成部28から出力されたキャリブレーションチャート記録用の画像データがLUT12で変換されたプリント信号を受け取り、キャリブレーションチャートが記録・ 再生されたテストプリントPを出力する。なお、キャリブレーションチャートは、チャート生成部28からの画像データを用いて記録・ 再生されてテストプリントPとして出力されるものに限定されるものではなく、予め濃度が測定されたキャリブレーションチャートをスキャナなどの画像読取装置で読み取り、この読取データをキャリブレーションチャート記録用の画像データDとして用いてもよい。
【0037】
本発明においては、プリント作製部14としては、特に制限的ではなく、公知の各種のカラーのプリント作製手段が全て利用可能である。
図1に示すプリント作製部14としては、一例として、画像データに応じて変調されたR(赤)、G(緑)およびB(青)露光に対応する3本の光ビーム、例えばレーザビームで感光材料を二次元的に走査露光して、潜像を記録し、露光済の感光材料に湿式の現像処理を施した後に、乾燥して、プリントPとして出力するデジタルフォトプリンタなどのプリント作製手段が挙げられる。しかし、本発明のプリント作製部14に用いられるプリント作製手段は、プリントPを作製できるものであればどのようなものでも良く、これ以外にも、インクジェットヘッドを用いるインクジェットプリンタのプリント作製手段、サーマルヘッドを用いる感熱記録によるサーマルプリンタのプリント作製手段、昇華型プリンタのプリント作製手段および熱転写プリンタの熱転写によるプリント作製手段等を行うものが挙げられる。
【0038】
濃度計16は、後述する画像記録装置10の校正の際に、キャリブレーションチャートの濃度を測定するもので、本発明において実施するキャリブレーションに応じた公知の濃度計であればよい。
図示例においては、本発明の効果を発揮しやすい好適な例として、R(赤)、G(緑)およびB(青)のそれぞれの光を射出するLED光源を有し、キャリブレーションチャートのグレーパッチの濃度をカラーの3原色の各単色毎に分解して測定し、各単色毎の分解測定結果から、グレーパッチのC(シアン)濃度、M(マゼンタ)濃度およびY(イエロー)濃度を得ることができるとともに、キャリブレーションのカラーパッチの3原色の各単色の濃度を測定し、この測定結果から、各単色毎のC濃度、M濃度およびY濃度を得ることができる濃度計が例示される。もちろん、濃度計16として、白色光を射出する白色光源を有し、R、GおよびBのそれぞれの光を透過するフィルタを備え、同様にカラーの3原色の各単色毎に計測し、C濃度、M濃度およびY濃度を得ることができる濃度計を用いても良い。
【0039】
本発明において、濃度計16は、R光、G光およびB光によってそれぞれC、MおよびY濃度を測定するものに限定されるものではない。例えば、濃度計16は、白色光によるグレーパッチの反射輝度を計測して、測定されたグレーの反射輝度から各単色の濃度、すなわちC、MおよびY濃度を算出するようにしても良いし、カラーパッチの各単色毎の反射輝度を測定し、測定された各単色の反射輝度からC、MおよびYの各単色の濃度を算出するようにしても良い。なお、測定された反射輝度から各単色の濃度の算出は、後述するキャリブレーション処理部18の変換部20で標準濃度に変換する前に行ってもよく、また、測定された反射輝度からC、MおよびYの各単色の濃度を算出することなく、測定された反射輝度を変換部20で処理して、直接標準濃度に変換するようにしてもよい。
【0040】
キャリブレーション処理部18は、キャリブレーションによってLUT12を校正する部位であって、基本的に、変換部20、記憶部22、比較部24、演算部26およびチャート生成部28を有して構成される。
なお、本発明において、画像記録装置10の校正の時期は、特に限定されるものではなく、例えば、定期的、すなわち所定時間稼動時、所定日時経過時、定期的なプリント作製部14の部品交換時、感光材料の製造ロットの変更時、感光材料の種類の変更時、またはこれら時期の併用等、公知の各種の画像記録装置と同様のタイミングで行えばよい。
【0041】
変換部20は、濃度計16によって測定された各パッチの濃度を標準濃度に変換するものである。この変換部20には、予め作成されて記憶された変換式を用いて、濃度計16によるグレーパッチおよびカラーの単色のC、MおよびY濃度の測定結果(以下、実測濃度という)を、標準規格である、例えばstatus A、またはstatus Dフィルター等を用いる濃度計で測定した際の濃度(標準濃度)に変換する部位である。言い換えれば、変換部20は、実測濃度を、正確に校正された標準規格の濃度計による測定結果と一致させるためのものである。
【0042】
変換部20における変換手段の作成方法には特に限定はないが、一例として、以下の方法が例示される。
まず、所定の明度(L* )および色(a* ,b* )のN個のグレーパッチを、画像記録装置が使用の対象とする感光材料(被記録媒体)で実現した基準画像を用意し、この基準画像の各グレーパッチの濃度を、濃度計16(キャリブレーション用の濃度計)、および正確に校正されたstatus Aの濃度計とで読み取り、濃度計16による測定結果X(i)と、status A濃度計による測定結果Y(i)とを得る(i=1〜N)。次いで、両測定結果XおよびYの関係から、近似多項式を求めて、例えば、下記に示すような、実測濃度Do(Do_c,Do_m,Do_y)を標準濃度Ds(Ds_c,Ds_m,Ds_y)に変換する、三次の多項式の変換式を導出する方法が例示される。
Ds_c=ac3*Do_c3 +ac2*Do_c2 +ac1*Do_c+ac0
Ds_m=am3*Do_m3 +am2*Do_m2 +am1*Do_m+am0
Ds_y=ay3*Do_y3 +ay2*Do_y2 +ay1*Do_y+ay0
【0043】
例えば、変換部20には、上記3次の多項式による演算手段を設定しておき、上記係数aij(i=c,m,y,j=0〜3)を変換部20に設けたROM等に記憶しておき、キャリブレーションの際に、変換部20において、ROMから係数aijを読み出して、実測濃度を標準濃度に変換する。
【0044】
なお、このような変換式は、三次の多項式に限定はされず、N次(1次〜)の多項近似式が利用可能である。また、変換式に変えて、実測濃度を標準濃度に変換する変換LUT(ルックアップテーブル)を作成し、これを変換部20に設定して実測濃度の変換を行ってもよい。
また、実測濃度を標準濃度に変換する変換式(変換手段)は、同じ機種であれば、全ての濃度計(キャリブレータ)に共通であってもよく、濃度計のロット単位で作成してもよく、個々の濃度計毎に作成してもよい。コスト的は嵩むが、LEDの個体差等を考慮すれば、変換式は個々の濃度計毎に作成することが好ましい。
【0045】
ここで、上記方法で変換式を作成した場合には、変換式の作成に使用した感光材料以外を対象としてキャリブレーションを行う場合には、感光材料の特性等に起因して、適正なキャリブレーションが行えない場合がある。
このような不都合を解消する方法として、以下の方法が例示される。
【0046】
まず、使用する可能性がある感光材料毎に、目的とする明度および色を実現したN個のグレーパッチについて、濃度計16で測定した測定結果と、基準となる目標濃度との差分データを得て、これを記憶する。あるいは、実際に濃度計16で濃度測定を行わず、各感光材料のグレーサンプル分光データと、濃度計16の分光特性(光源の波長分布×センサの分光感度)とを用いて、差分データを算出してもよい。
画像記録装置10の校正の際には、キャリブレーションチャート(各パッチ)の目標濃度として、通常の目標濃度に感光材料種に応じた前記差分データを加算した目標濃度を設定し、これを用いて校正を行うことができる。
こうすることにより、変換式は、基準的な感光材料に対して作成した1種のみでよく、しかも、感光材料種によらない適正なキャリブレーションを行うことが可能になる。
【0047】
また、画像記録装置10の機差(個体差)または経時劣化による特性変動等によって、変換部20で変換された標準濃度が、実際のstatus Aやstatus D濃度に対して誤差を有していることも考えられ、さらに、誤差が適正なキャリブレーションを実行できる許容範囲を超える場合も考えられる。
これに対応して、チャートの各パッチの各色(C、MおよびY)毎に、濃度補正データを設定および記憶できるようにして、この濃度補正データをキャリブレーションに反映できるようにすることが好ましい。この場合、画像記録装置10の校正に際しては、変換部20で変換した標準濃度Dsに、濃度補正データDhを加算した修正濃度値を用いて、後述するキャリブレーション演算部26における演算を行えばよい。
なお、設定した濃度補正データは、濃度計16を交換した場合には、画像記録装置10の初期設定に戻す。
ところで、変換部20では、目標濃度と実測濃度とを共に標準濃度Dsに変換して、両者を比較して偏差を求めているが、目標濃度と実測濃度とを同じ種類(ステータス)の濃度にできれば、特に、標準濃度に変換しなくても良いし、目標濃度と実測濃度とは、同じ種類(ステータス)の濃度であれば、特に、標準濃度である必要はないし、変換部20は設けなくても良い。
【0048】
記憶部22は、チャート生成部28から出力される画像データに基づくキャリブレーションチャートの各パッチにおける目標濃度および許容範囲が記憶されるものである。記憶部22は、比較部24およびチャート生成部28に接続されている。プリント作製部14で出力させるキャリブレーションチャートの種類がチャート生成部28から記憶部22に出力される。これにより、プリント作製部14から出力されるキャリブレーションチャートに応じて、比較部24に各パッチにおける目標濃度および許容範囲が出力される。
なお、キャリブレーションチャートをスキャナなどから読み取る場合には、記憶部22に、予め読み取るキャリブレーションチャートの各パッチの濃度および許容範囲を記憶させておく。
【0049】
比較部24は、チャート生成部28から出力された画像データに基づいてプリントされたテストプリントPにおける各パッチの濃度計16による測定濃度と、各パッチの目標濃度とを比較し、各パッチの測定濃度が各パッチの目標濃度に対して許容範囲内にあるか判断するものである。
また、比較部24は、後述する表示部30に接続されており、プリントPの測定濃度が許容範囲内にある場合、測定濃度が許容範囲内にあることを表示部30に表示する。これにより、オペレータはキャリブレーションが収束したことを知ることができる。
【0050】
キャリブレーション演算部26(以下、演算部26という)は、キャリブレーションの際に、変換部20によって変換された標準濃度を用いてキャリブレーション演算を行って、前述のLUT12を校正し、LUT12を更新する、すなわちLUT12を書き換え、または、新規なLUTを作成して設定する。
なお、演算部26は、LUT12の全体の校正を行い、LUT12の全体の更新を行っても良いし、LUT12のキャリブレーションパラメータを校正し、更新しても良い。
【0051】
キャリブレーション演算の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上述した特許文献1,2または3、もしくは特開2000−33732号等の各公報に開示される方法が各種利用可能である。一例として、以下の方法が例示される。
【0052】
まず、各グレーパッチの標準濃度と予め設定されたグレー基準点における対応色濃度との差分ベクトルを得、この差分ベクトルを変換マトリクス(副吸収係数行列の逆行列)で処理した単色濃度差分ベクトルに変換する。一方、各色毎に単色濃度差分値でパッチ濃度を挟み込むグレー基準点を割り出す。
次いで、単色差分ベクトルと対応するグレー基準点の単色濃度とを加算して、グレー基準点からの推定単色濃度を算出し、また、同様の推定単色濃度を次のグレー基準点についても行い、挟み込むグレー基準点との差分の大きさを重みとして、加重平均により単色濃度を求める。
【0053】
各パッチの単色濃度を求めたら、例えば感光材料の露光量と濃度との関係特性を用いて、この単色濃度を挟み込むグレー基準点2間の特性を線型で近似して、単色濃度に相当する露光量TPDを求める。
次いで、設定されているLUT12と、各パッチの単色濃度に相当する露光量TPDと、収束対象となるパッチの理論露光量との相関から、画像データに応じた適正な露光が行われるように、LUT12を更新する。
なお、実際の計算式では、単色濃度と露光量との関係から、単色濃度を露光量に置き換えることにより、単色濃度値を媒介することなく、直接、露光量TPDを導出することができる。
【0054】
チャート生成部28は、キャリブレーションチャート(以下、チャートという)を記録するための画像データ(以下、チャートデータという)を記憶しているものであって、キャリブレーションを行う際に、チャートデータをLUT12に供給する。
本発明において、チャートは限定されるものではなく、実施する校正方法に応じたチャートが、各種利用可能である。図示例においては、チャートとして8段階の階調のグレーまたは単色(C,M,Y)のステップウエッジを用いるものであり、例えば、C、MおよびYの割合が共に同一のグレーパッチを、等間隔で8階調有するチャートデータ、またはC、MおよびYのパッチが各列ごとに等間隔で8階調有するチャートデータが例示される。
【0055】
表示部30は、キャリブレーションが収束したことを表示するものである。表示部30は、特に限定されるものではなく、CRT、液晶表示装置、またはPDPなどが挙げられる。さらに表示部30は、表示内容として、キャリブレーションが収束したことを表示するだけではなく、例えば、各パッチの目標濃度に対するずれを表示してもよい。
【0056】
本実施例の画像記録装置10では、R、GおよびBのLEDによってグレーパッチの濃度を各単色に分解して測定する濃度計16を用いている。LED発光の分光特性は、標準規格であるstatus A濃度等の波長特性と一致しているとは限らず、また、個体差を有する場合も多い。すなわち濃度計16による実測濃度は、光源であるLEDの特性を反映したものとなり、必ずしも、グレーパッチの濃度を正確に測定していない場合も多い。なお、フィルタを用いてグレーパッチの濃度を各単色に分解して測定する濃度計16を用いる場合も、フィルタの分光特性に依存する。従って、このような実測濃度で、キャリブレーションを行うと、適正なキャリブレーションを行うことができない場合、すなわち、画像記録装置10において、画像データに応じた適正な画像を出力することができない場合がある。
これに対して、本発明において、好ましい態様として、変換部20によって実測濃度を標準濃度に変換して、この標準濃度を用いてキャリブレーション演算を行えば、このような不都合を解消して、適正なキャリブレーションを行い、画像記録装置10において、適正な画像を安定して出力することが可能になる。
【0057】
本発明においては、キャリブレーションによってLUT12自体を更新するのに限定はされず、画像記録装置10が、LUT12の代わりに、画像データDを露光量データに変換する露光変換LUTと、露光量データをプリント作製部14による画像記録用のプリント信号(プリントデータ、すなわちレーザ駆動値)に変換するキャリブレーションLUTを有する場合には、あるいはLUT12が、露光変換LUTおよびキャリブレーションLUTを含む場合には、キャリブレーションによって、このキャリブレーションLUTを校正し、更新してもよい。また、LUT12は、露光変換LUTおよびキャリブレーションLUTを一体化したものであっても、カスケードしたものであっても良いし、他のLUTとカスケードされるものであってもよい。
【0058】
次に、本実施例の画像記録装置10の校正方法について説明する。
図2および図3は、本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の校正方法を工程順に説明するフローチャートである。本実施形態の画像記録装置10の校正方法においては、CMYの単色の濃度だけを測定して画像記録装置10の校正を行う。
【0059】
図2に示すように、先ず、画像記録装置10において、オペレータからキャリブレーション実施の指示が出されると、キャリブレーション処理部18は、チャート生成部28からCMYの各複数階調の単色パッチの画像データからなるチャートデータをLUT12に出力する。LUT12は、受け取ったチャートデータをプリント信号に変換して、プリント作製部14に出力する。チャートの複数のパッチのプリント信号を受け取ったプリント作製部14は、このプリント信号に基づいて対象とする感光材料にCMYの各複数階調の単色パッチを露光し、露光済感光材料を現像処理して、キャリブレーションチャートとしてCMYの各複数階調の単色パッチが記録されたテストプリントPを作製して出力する(ステップS1)。このテストプリントPには、CMYの各単色のパッチだけが所定の階調ステップで記録されている。
【0060】
次に、テストプリントPの各単色パッチのC、MおよびYの濃度が濃度計16によって測定される(ステップS2)。濃度計16によるテストプリントPの各単色パッチの測定濃度は、キャリブレーション処理部18に出力される。
【0061】
キャリブレーション処理部18においては、先ず、変換部20において、変換式によって、各単色パッチの測定濃度が標準濃度に変換される。
次に、比較部24において、各単色パッチの測定標準濃度と、記憶部22に記憶されたキャリブレーションチャートに対応する各単色パッチの目標濃度とを比較し、テストプリントPの各単色パッチの測定標準濃度が目標濃度の許容範囲内にあるか否かを判断する。これにより、キャリブレーションの結果、すなわち目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS3)。
この場合、ステップS3において、テストプリントPにおける各単色パッチの測定濃度と目標濃度との差が小さく、許容範囲内にある場合、すなわち、キャリブレーションが収束している場合、例えば、表示部30にキャリブレーションが完了したことを示すメッセージを表示する(ステップS4)。
これにより、オペレータは、キャリブレーションが収束したか否かを容易に判別できる。
【0062】
次に、各単色の測定濃度と目標濃度との差が許容範囲にある状態で、キャリブレーションチャート(テストプリントP)を再度出力し、オペレータによってテストプリントPのグレーバランスが目視評価され、キャリブレーションが続行されるか否かが判断される(ステップS5)。
ステップS5において、テストプリントPのグレーバランスが良いとオペレータによって判断され、キャリブレーションが続行されない場合、画像記録装置10の校正は終了する(ステップS9)。
【0063】
一方、ステップS5において、オペレータによってキャリブレーションの続行指示が入力される場合、図3に示すように、現状のLUTのままで、キャリブレーションチャートのグレーパッチをプリントし、テストプリントPを出力する(ステップS6)。
そして、このテストプリントPのグレーパッチの濃度を測定する(ステップS7)。
【0064】
次に、ステップS7におけるグレーパッチの測定濃度、ステップS2における単色パッチの測定濃度、および記憶部22に記憶されているグレーパッチの目標濃度を用いて、目標濃度を更新する(ステップS8)。
次に、ステップS1に戻り、画像記録装置10の校正を繰り返し行う。
【0065】
本実施例においては、ステップS5で、単色パッチの濃度(解析濃度)とグレーパッチの濃度(積分濃度)との関係が崩れていると、オペレータによって判断された場合には、単色パッチの濃度(解析濃度)とグレーパッチの濃度(積分濃度)との関係を再構築する必要がある。本実施例におけるステップS8の目標濃度の更新とは、再構築された関係に基づいて単色パッチの濃度を再設定することをいう。この目標濃度の更新は、例えば、グレーパッチの測定濃度を入力とし、単色パッチの測定濃度を出力濃度として、グレーパッチの濃度を単色パッチの濃度に変換するマトリクスを算出することによりなされる。
【0066】
また、目標濃度の更新は、単色パッチの測定濃度を入力濃度とし、グレーパッチの測定濃度を出力濃度として、単色パッチの濃度をグレーパッチの濃度に変換するマトリクスを補正し、その逆行列を求めることによってもできる。これにより、グレーパッチの濃度を単色パッチの濃度に変換するマトリクスを算出することもできる。
さらに、目標濃度の更新については、これ以外にも、単色パッチの測定濃度を入力濃度とし、グレーパッチの測定濃度を出力濃度として与えて、ニューラルネットワークの学習を行うことにより、目標濃度を更新してもよい。
このようにして、単色の濃度とグレーの濃度との関係を求めることができる。このため、感光材料の種類などが変わり、その材料特性が変ってしまって、従来の単色のカラーバランスでは、グレーバランスが崩れてしまう場合であっても、それに対応してグレーバランスを所定のバランスにすることができる。
【0067】
なお、本実施例における目標濃度の更新は、ステップS6乃至ステップS8に示すものに限定されるものではない。
例えば、ステップS5において、キャリブレーションの続行指示が入力された場合、現状の単色(C,M,Y)の目標濃度を中心として、各単色の目標濃度を増減させて、各単色の増減させた目標濃度の複数の組み合わせで、所定の階調ステップのグレーパッチをプリントし、テストプリントPを出力する。このテストプリントPには、所定の階調ステップで複数のグレーパッチがグレースケールとして複数列記録されている。そして、オペレータによってテストプリントPのグレーバランスが目視評価され、複数列のグレースケールの中から、オペレータによりグレーバランスが最も好ましいものが選択される。そして、選択されたグレースケールのグレーパッチにおける単色(C,M,Y)の濃度を新たな目標濃度とする。このようにして、目標濃度を更新することができる。
【0068】
また、これ以外にも、上述の如く現状の単色(C,M,Y)の目標濃度を中心として、各単色の目標濃度を増減させて、所定の階調ステップで複数のグレーパッチがグレースケールとして複数列記録されたテストプリントPを出力する。テストプリントPの各グレースケールにおけるグレーパッチの濃度を測定する。これらのグレーパッチのうち、記憶部22に記憶されているキャリブレーションチャートのグレーパッチの目標濃度に最も近いものを選択する。これにより、グレーバランスが目標とするグレーバランスに最も近いグレースケールが選択される。そして、選択されたグレースケールのグレーパッチにおける単色(C,M,Y)の濃度を新たな目標濃度とする。このようしても目標濃度を更新することができる。
【0069】
一方、ステップS3において、各単色パッチの測定濃度と目標濃度との差が大きく、許容範囲から外れている場合、すなわち測定濃度が目標濃度の許容範囲から外れている場合、演算部26で目標濃度に対応するプリント信号を算出する(ステップS10)。そして、このプリント信号に基づいてLUT12を更新する(ステップS11)。
次に、再度キャリブレーションチャートをプリントし、単色パッチの濃度を測定して、キャリブレーションの結果を比較部24で判断する(ステップS1乃至S3)。ステップS3において、目標濃度と測定濃度との差が許容範囲から外れている場合には、目標濃度と測定濃度との差が許容範囲内に入るまで、上述のステップS10、S11およびステップS1乃至ステップS3を少なくとも1回繰り返す。
【0070】
そして、ステップS3において、各単色パッチの目標濃度と測定濃度との差が許容範囲内にある場合、表示部30にキャリブレーションが完了したことを表示する(ステップS4)。そして、キャリブレーションの続行が必要か否かが判断される(ステップS5)。ステップS5において、キャリブレーションを続行する必要がない場合には、キャリブレーションが終了される(ステップS9)。
【0071】
一方、キャリブレーションの続行が必要であると判断された場合には、ステップS6乃至ステップS8を行い、再度ステップS1に戻る。そして、ステップS5において、オペレータによってキャリブレーションが必要ないと判断されるまで、ステップS1乃至ステップS8の工程を繰り返す。
【0072】
本実施例においては、基本的には、キャリブレーションによってC,M,Yの各色の階調が当初設計された階調に収束した状態でも、テストプリントPを出力し、オペレータの目視評価により、グレーバランスが不十分な場合について、これらのC,M,Yの各色を重ね合わせたときの関係、すなわちグレーバランスを同様に、好ましいグレーバランスとなるように再構築するかというものである。すなわち、本実施例においては、画像記録装置における解析濃度と積分濃度との関係を再構築することによってグレーバランスを好ましいものにする。
このため、本実施例においては、測定濃度に対して目標濃度となるようにフィードバックをかけて画像記録装置10の校正を行う。しかしながら、キャリブレーションによって、測定濃度と目標濃度との差が許容範囲内である場合、すなわち、キャリブレーションの循環系で収束しているにもかかわらず、例えば感光材料の特性が変化した場合、目標とするグレーの濃度が得られらない。この場合、キャリブレーションチャートのグレーパッチをプリントし、このグレーパッチの濃度を測定する。
これにより、単色の濃度と単色の濃度を重ね合わせたグレーの濃度との関係がわかる。次いで、再度、単色の濃度とグレーの濃度との関係を求める。そして、この新しい単色の濃度とグレーの濃度との関係により、再度画像記録装置の校正を行う。
【0073】
本実施例においては、オペレータにより積分濃度と解析濃度との関係が崩れていると判断され、3原色の単色とグレーとの関係の再構築が必要であると判断された場合に、キャリブレ−ションチャートでグレーパッチを出力する。これにより、単色とグレーとの関係が得られる。
このように本実施例においては、グレーバランスを適正なものとすることができるので、仕上がりプリントの画像を適正に出力することができる。また、機器の経時変化、または感光材料の特性変化があった場合でも、同様にグレーバランスを適正なものとすることができる。特に、感光材料の特性変化によるグレーバランスの崩れを適正に調整できる。
【0074】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例においては、第1の実施例と比して、校正方法だけが異なり、画像記録装置10については、第1の実施例と同様のものを使用することができる。このため、本実施例においては、校正方法についてのみ説明する。
図4および図5は、本発明の第2の実施例に係る画像記録装置の校正方法を工程順に示すフローチャートである。本実施例における画像記録校正方法においては、第1の実施例に示すように、キャリブレーションチャートとしてカラーパッチだけをプリントして、カラーの3原色の単色パッチの濃度を測定するのではなく、キャリブレーションチャートとしてグレーパッチだけをプリントして、グレーパッチの濃度を3原色の各単色に分解して測定してキャリブレーションを行うものである。テストプリントPには、複数のグレーパッチだけが所定の階調ステップで複数階調だけ記録されている。
【0075】
図4に示すように、先ず、キャリブレーションチャートをプリント作製部14でプリントし、テストプリントPを得る(ステップS20)。本実施例においては、キャリブレーションチャートは、グレーパッチだけが記録されているものである。次に、テストプリントP(キャリブレーションチャート)におけるグレーパッチの濃度を濃度計16で3原色の各単色に分解して測定する (ステップS21)。
【0076】
次に、グレーパッチの測定濃度が目標濃度の許容範囲内にあるか否か、すなわち、目標濃度と測定濃度との差が許容範囲内にあるか否かを比較部24で判別する。これにより、キャリブレーションの結果、すなわち目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS22)。このとき、グレーパッチの(各単色の)測定濃度とグレーパッチの(各単色の)目標濃度との差が小さい、すなわち、目標濃度と測定濃度との差が許容範囲内であれば、キャリブレーションが完了したことを表示部30に表示する(ステップS23)。これにより、オペレータは、キャリブレーションが収束したか否かを容易に判別できる。そして、キャリブレーションが終了する(ステップS24)。
【0077】
一方、ステップS22において、グレーパッチの(各単色の)測定濃度とグレーパッチの(各単色の)目標濃度との差が大きい場合、すなわち、グレーパッチの測定濃度と目標濃度との差が許容範囲を超える場合、キャリブレーションの回数を判定する(ステップS25)。
ステップS25において、キャリブレーションの回数が1回目である場合、目標濃度に対するプリント信号を演算部26で算出する (ステップS26)。そして、LUT12を更新する(ステップS27)。次に、更新したLUT12を用いて、再度、キャリブレーションチャートをプリントし、グレーパッチの濃度を濃度計16により測定し、キャリブレーションの結果、すなわち目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS20〜S22)。
【0078】
また、キャリブレーションの回数が2回目以上である場合には、図5に示すように、キャリブレーションの結果(目標濃度と測定濃度との差)を前回のキャリブレーションの結果(目標濃度と測定濃度との差)と比較する(ステップS28)。
【0079】
ステップS28において、前回のキャリブレーションよりも目標濃度との差が減少している場合、すなわち誤差が減少している場合、ステップS26およびステップS27と同様にして、目標濃度に対するプリント信号を演算部26で算出し (ステップS29)、LUT12を更新する(ステップS30)。そして、再度、更新したLUT12を用いて、キャリブレーションチャートをプリントし、グレーパッチの濃度を測定し、キャリブレーションの結果、すなわち目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS20〜S22)。
ステップS22の評価に基づいて、キャリブレーションが続行される(ステップS28乃至ステップS33)か、または終了される(ステップS24)。
【0080】
これに対して、ステップS28において、前回のキャリブレーションよりも目標濃度との差が増加している場合、すなわち誤差が増大している場合、現状のLUTを用いてカラーの3原色の単色パッチをプリントする(ステップS31)。そして、各単色パッチの濃度を濃度計16により測定する(ステップS32)。次に、目標濃度を更新する(ステップS33)。なお、ステップS33における目標濃度の更新の方法は、上述の第1の実施例と同様の方法であるので、その詳細な説明は省略する。本実施例においても、上記第1の実施例と同様に、単色の濃度とグレーの濃度との関係を求めることができ、感光材料の特性に変更があっても、グレーバランスを適正にすることができる。
【0081】
そして、再度、キャリブレーションチャートをプリントし、グレーパッチの濃度を濃度計16によって測定する(ステップS20およびステップS21)。次に、キャリブレーションの結果を、更新した目標濃度に基づいて評価する、すなわち、更新した目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS22)。
このステップS22における評価によって、キャリブレーションを続行する(ステップS28乃至ステップS33)か、または終了する(ステップS24)。
本実施例においても、第1の実施例と同様の効果を奏する。すなわち、本実施例においても、グレーバランスを適正なものとすることができるので、仕上がりプリントの画像を適正に出力することができる。また、機器の経時変化、または感光材料の特性変化があった場合でも、同様にグレーバランスを適正なものとすることができる。特に、感光材料の特性変化によるグレーバランスの崩れを適正なグレーバランスとなるように調整できる。
【0082】
なお、上述のいずれの実施例においても、チャート生成部28のキャリブレーションチャートの画像データをオペレータが調整し、各パッチの濃度を変更し、このキャリブレーションチャートを用いてキャリブレーションを行ってもよい。これにより、オペレータが任意に色調整したキャリブレーションチャートを作製することができる。この場合、色調整した各パッチの濃度がわかっている場合には、上述の如く、LUT12に画像データとして、出力してキャリブレーションを行ってもよい。また、色調整したキャリブレーションチャートは、LUT12を介さずにプリント作製部14によりテストプリントPを作製し、これを画像読取装置で読み取り、画像データDとしてもよい。
なお、オペレータによる画像データの調整は、1次元LUTによる階調変換に限定される。これ以外のマトリクス処理、またはカラーマッチング処理などによる階調変換は、画像記録装置10が有する階調特性を変えてしまうので、禁止する。
このように、色調整されたキャリブレーションチャートをLUT12を介さずにプリント作製部14によりテストプリントPを作製し、このテストプリントPの各パッチの濃度を測定し、記憶部22に記憶させる。各パッチの測定値を目標濃度として、設定し、以降のキャリブレーション時には、登録された目標値を用いてキャリブレーションを行う。
【0083】
なお、第1の実施例においては、キャリブレーションが連続して行われているかを検出し、キャリブレーションの補正量が0に近い状態で、キャリブレーションが繰り返し行われた場合には、単色の濃度とグレーの濃度との関係が崩れていると判断する。また、キャリブレーションが連続して行われているか否かの判断は、画像記録装置のドアまたはカバーの開閉が挙げられる。これ以外にも、プリントからキャリブレーションの測定までの時間、パッチの濃度測定から次回のキャリブレーションチャートの出力までの時間、画像記録装置の電源のオンまたはオフ、およびキャリブレーションの終了などが挙げられる。
【0084】
また、本発明においては、グレーパッチおよび単色のカラーパッチをそれぞれ記録したキャリブレーションチャートを用いて画像記録装置の校正を行うこともできる。この場合、単色のカラーパッチの濃度を測定して、キャリブレーションが収束しているか判定し、グレーパッチの濃度を測定して、グレーバランスを評価することができる。このように、常に単色のパッチのカラーバランスとグレーバランスとを見ることができるので、工程数を低減することができ、容易に校正することができる。
また、上記各実施形態においては、画像濃度を表す画像データをプリント信号に変換するデータ変換LUTを更新しているが、本発明は、これに限定されず、データ変換LUTを、画像濃度を表す画像データを露光量データに変換する露光変換LUTおよび露光量データをプリント信号に変換するキャリブレーションLUTで構成し、このキャリブレーションLUTを上記各実施形態の校正方法によって校正するようにしても良い。
【0085】
以上、本発明の画像記録装置の校正方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0086】
例えば、上述の実施例は、校正手段を内蔵している画像記録装置を例に説明したが、本発明は、これに限定はされず、画像記録装置と別に構成され、画像記録装置が出力したキャリブレーションチャートを読み取り、その結果に応じてLUT等を作成し、これを記録媒体に出力または画像記録装置に供給する、いわゆるキャリブレータにも好適に利用可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の校正方法によれば、機器の経時変化、感光材料などの記録媒体の特性変化などによる特性差があるにも拘らず、入力された画像データに応じた適正な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像記憶装置の校正方法に利用される画像記録装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る画像記録装置の校正方法を工程順に説明するフローチャートである。
【図3】図2の次工程を工程順に示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施例に係る画像記録装置の校正方法を工程順に示すフローチャートである。
【図5】図4の次工程を工程順に示すフローチャートである。
【図6】従来の単色の測定濃度に基づく校正方法を工程順に示すフローチャートである。
【図7】従来のグレーの測定濃度に基づく校正方法を工程順に示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 画像記録装置
12 データ変換LUT
14 プリント作製部
16 濃度計
18 キャリブレーション処理部
20 変換部
22 記憶部
24 比較部
26 キャリブレーション演算部(演算部)
28 チャート生成部
30 表示部
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力された画像データに応じて適正な画像を出力する画像出力装置の校正方法に関し、特に、機器の経時変化、感光材料などの記録媒体の特性変化などによる特性差があるにも拘らず、入力された、画像濃度を表す画像データに応じた適正な画像を出力することができる画像出力装置の校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、ネガフィルム、またはリバーサルフィルム等の写真フィルム(以下、フィルムという)に撮影された画像の感光材料(印画紙)への焼き付けは、フィルムの画像を感光材料に投影して露光する、いわゆる直接露光が主流である。
【0003】
これに対し、近年では、フィルムに撮影された画像を光電的に読み取って、得られた信号をデジタル信号(画像濃度を表す画像データ)とした後、種々の画像処理を施して、記録用の画像データ(プリント信号)とし、この画像データに応じて変調した記録光で感光材料を露光し、現像してプリントとして出力する、デジタルフォトプリンタが実用化されている。
【0004】
このようなデジタルフォトプリンタによれば、画像を光電的に読み取って、デジタル画像データとして画像処理を行うので、プリントに再生する画像の色および濃度を好適に補正できるばかりか、シャープネス処理および赤目補正などのように、通常の直接露光のプリンタでは基本的に不可能な画像処理を行って、高画質な画像を得ることができる。
また、デジタルフォトプリンタでは、画像をプリントとして出力するのみならず、プリントに画像を再生した画像データを画像ファイルとしてCD−RまたはMO(光磁気記録媒体)等の各種の記録媒体に出力したり、CD−Rなどの記録媒体、またはデジタルカメラなどから画像データを受け取り、この画像データによって形成される画像を再生したプリントを出力することも行われている。
【0005】
ところで、このようなデジタルフォトプリンタのみならず、インクジェットプリンタおよびサーマルヘッドを用いる感熱記録装置等の画像データに基づいて画像記録を行う画像出力装置では、供給された画像データに応じた適正な色および濃度を有する画像を出力できることが要求される。
しかしながら、露光光源または記録ヘッドの出力誤差等に起因する画像出力装置の個体差、製造ロットの違い等による感光材料特性の個体差、または処理液の劣化等の現像条件の変動等により画像出力(画像記録)の条件は様々な要因で変動する。その結果、画像出力装置では、画像データに応じた適正な画像が出力できない場合もある。
このような不都合を解消し、常に画像データに応じた適正な画像を出力するために、画像出力装置の校正、いわゆるキャリブレーションが行われている。
【0006】
画像出力装置には、供給された画像データ(画像濃度を表す画像データ)に応じた適正な画像を出力するために、この画像データを、光源(レーザ)の発光特性や感光材料や印画紙(カラーペーパ)の露光特性に適応したプリント信号に変換する変換特性として、変換用LUT(ルックアップテーブル)が配置されているが、上述したような様々な画像出力条件の変動に対しても、画像データに応じた適正な画像を出力するために、キャリブレーションによって変換用LUT自体を書き換えたり、変換用LUT内に配置されている、濃度データを露光量データに変換するための露光変換LUTおよび/または露光量データをレーザ光源の駆動値(プリント信号)に変換するためのLUT、いわゆるキャリブレーションLUTを書き換えることが行われている。
【0007】
すなわち、キャリブレーションにおいては、通常、所定の濃度(基準濃度)を有する、例えば、カラーのC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)の3原色の単色のカラーパッチまたはグレーパッチが、所定の階調ステップで記録された所定の校正用のテストチャート(以下、キャリブレーションチャートという)を出力する。そして、キャリブレーションチャートのカラーパッチの濃度を測定して、または、グレーパッチの濃度をCMY単色に分解して測定して、キャリブレーションチャートのパッチの各単色の基準濃度と、出力されたキャリブレーションチャートのパッチを測定した各単色の濃度(以下、パッチの各単色の測定濃度という)との偏差を求める。そして、この偏差に応じて、上述した変換用LUT自体を、または、露光変換LUTおよび/またはキャリブレーションLUTを書き換えている。
【0008】
上述の画像出力装置のキャリブレーションを適正に行うために、従来から種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3など参照)。
特許文献1には、画像記録装置におけるC、MおよびYの各単色毎のキャリブレーション(校正)方法が開示されている。
特許文献1は、上述した露光変換LUTおよびキャリブレーションLUTを含む変換用LUT(プリンタLUT)を用いる画像記録装置を開示するものであるが、特許文献1では、最低濃度から最高濃度までの24個の所定値(階調の値)の濃度を表す画像データで発色する濃度領域(以下、パッチともいう)が、C、MおよびYの各単色について各単色毎に一列に記録される色記録領域を有するセットアップチャートを出力し、このパッチの濃度を濃度計によって測定する。そして、パッチの測定濃度と目標濃度との差が許容範囲を超えている場合、パッチの測定濃度とパッチを出力した時の露光量データとの関係から基準露光量データに対応する目標濃度となるように露光量データを求める。この場合、目標濃度に対して露光量データについて、複数の領域に分割し、分割された各領域毎に、目標濃度に対する露光量データを求める。このように目標濃度の全域に渡って、高精度に目標濃度となるように露光量データを求めることができる。こうして求められた露光量データを用いて、キャリブレーションLUTを更新し、変換用LUTを更新している。
【0009】
また、特開文献2に開示されたプリンタの校正方法においては、それぞれ所定の濃度を有する複数のグレーパッチを持つテストプリントを出力して、グレーパッチの濃度をCMYの各単色に分解して測定する。そして、このCMYの3色のうち、いずれか1つの色について、目標濃度との差を求める。次に、着目した色が目標濃度となった場合における他の2色の濃度変化を予測する。そして、この予測した2色の濃度がそれぞれ目標濃度のと差が最小になるように収束させる。これにより、所定のグレーにおける各CMY濃度と目標濃度との差を最小にすることができ、所定のグレーについて精度が高いキャリブレーションをすることができる。
【0010】
さらに、特開文献3に開示された画像記録装置は、校正用のテストチャートの濃度測定データの補正データを設定する操作パネル(補正データ設定手段)を有するものである。特許文献3の画像記録装置においては、キャリブレーションを行う際に、校正用のテストチャートに対応する画像信号に基づいて、記録媒体を露光し、校正用のテストチャートを得る。この校正用のテストチャートは、例えば、段階的に濃度が異なる3原色などのパッチが形成された公知のテストチャートである。そして、濃度計によって校正用のテストチャートのパッチの濃度を測定する。その測定濃度データと目標階調データとを用いて演算を行い、演算結果に基づいてLUTの書き換えなどを行う。これにより、入力画像信号に応じた適正な画像を得ることができる。
【0011】
この特許文献3の画像記録装置においては、キャリブレーションを複数回行ったにも拘らず、適正な画像を出力できないことがある。このとき、操作パネルをオペレータが操作して濃度計による濃度測定データを補正する補正データを入力することができる。これにより、濃度計の誤差、または校正の機差バラツキなどを有する場合であっても、これらの誤差を好適に吸収して適正なキャリブレーションを行うことができる。
【0012】
ところで、特許文献1および3のような、従来のカラーの3原色の単色毎にキャリブレーションを行う方法の一例について説明する。図6は、従来の単色の測定濃度に基づく校正方法を工程順に示すフローチャートである。
図6に示すように、従来のカラーの単色毎にキャリブレーションを行う方法においては、先ず、キャリブレーションチャートをプリントする(ステップS100)。このキャリブレーションチャートには、単色(C,M,Y)が所定の階調で印刷されたもの(以下、カラーパッチという)、および無彩色のパッチが所定の階調で印刷されたもの(以下、グレーパッチという)が用いられる。
次に、出力されたプリントのグレーパッチがオペレータによって観察され、グレーの階調が適切か否かが判断され、キャリブレーションが必要か否かが判断される(ステップS101)。ステップS101において、キャリブレーションが必要ないとオペレータによって判断された場合には、キャリブレ−ション作業が終了する(ステップS102)。
【0013】
一方、ステップS101において、キャリブレーションが必要であるとオペレータによって判断された場合、単色(C,M,Y)のパッチの濃度が測定される(ステップS103)。
【0014】
次に、各単色の目標濃度と、ステップS103において測定された各単色のパッチの測定濃度との差を算出し、この濃度差に基づくプリント信号を算出する(ステップS104)。
次に、プリント信号に基づいて、LUT(ルックアップテーブル)を更新する(ステップS105)。
次に、更新したLUTを用いて、再度、キャリブレーションチャートをプリントする(ステップS100)。そして、オペレータによってプリントが観察され、キャリブレーションが必要であるか否かが判断される(ステップS101)。このとき、オペレータによってキャリブレーションが必要ないと判断されれば、キャリブレーションが終了する(ステップS102)。
【0015】
一方、ステップS101において、キャリブレーションが必要であるとオペレータによって判断されれば、上述の如く、ステップS103〜ステップS105を行い、LUTを再度更新する。
【0016】
上述のステップS103〜ステップS105を複数回繰り返しても、キャリブレーションによって、グレーバランスが改善されないとオペレータによって判断された場合(ステップS101)、オペレータが各単色(C,M,Y)の濃度のパラメータを修正する(ステップS106)。そして、キャリブレーションチャートを、再度プリントする(ステップS100)。
【0017】
そして、ステップS101において、キャリブレーションが必要とないと判断されるまで、パラメータの修正を行う。
このパラメータの修正作業とは、グレーパッチの階調バランスを目視評価し、グレーのカラーバランスのずれが修正されるように、目標濃度を変更することである。目標濃度は、目標のグレーバランスとなるように、単色毎に決められているものである。例えば、中間濃度域でのグレーがR(赤)に偏っていて、かつ明るさが不足している場合には、C(シアン)濃度を高くする必要があるので、中間濃度域におけるCの目標濃度を従来よりも高目に設定すればよいというものである。
【0018】
次に、特許文献2のような従来のグレーの測定濃度に基づくキャリブレーションを行う方法について説明する。図7は、従来のグレーの測定濃度に基づく校正方法を工程順に示すフローチャートである。
この従来のグレーの測定濃度に基づくキャリブレーションを行う方法は、上述の従来の単色の測定濃度に基づく校正方法と比較して、キャリブレーションが必要であるとオペレータによって判断された場合(ステップS111)、グレーパッチの濃度が測定(ステップS113)され、このグレーパッチの濃度から各単色(CMY)のパッチの濃度が算出(ステップS114)され、そのグレー濃度から、算出された単色のパッチの濃度に基づいて、グレーバランスのずれが修正されるように、目標濃度に対応するプリント信号を算出する点が異なり、それ以外の校正方法は、従来の単色毎にキャリブレーションを行う方法と同様であるのでその詳細な説明は省略する。
【0019】
しかしながら、特許文献1においては、C、MおよびYの単色を重ね合わせたときの色は、固定であるという前提に基づいて、好ましいグレーのカラーバランスに対応する単色の階調を予めデータとして保持している。そのデータに基づいて、CMY単色が所定の階調になるように、キャリブレーションを行っている。このため、感光材料の材料特性が変更した場合、または出力装置の特性変動もしくは出力装置の機差によって、CMY単色とそれらを重ね合わせたときの色との関係が変わる場合には、キャリブレーションを行った場合でも、グレーのカラーバランスを保つことができないという問題点がある。
【0020】
また、特許文献2においては、グレーの濃度を測定した結果を用いて、CMY各単色の補正量を求める際に、単色の変化がグレーに与える影響は変わらないという前提で、その影響量を推定している。このため、感光材料の材料特性が変わった場合には、正しい結果が得られない虞がある。
【0021】
さらに、特許文献3においては、濃度測定データを修正して、出力画像のカラーバランスを補正する方法が提案されている。しかしながら、オペレータが各色(C,M,Y)毎に、各設定点に対して、補正データを決定して操作パネルを用いて入力しており、オペレータが補正データを判断するのが難しいという問題点がある。
【0022】
さらにまた、従来の単色ごと、またはグレーの測定濃度に基づくキャリブレーションを行う方法のいずれにおいても、キャリブレーションの終了の判断がオペレータによって行われているため、また、パラメータの修正が必要か否かの判断もオペレータによって行われているため、キャリブレーション結果が、オペレータによってばらついてしまい、画像データに応じた適正な画像を常時安定して出力することができないという問題がある。
さらに、どの色の目標値をどれだけ変更するかというパラメータの修正の内容をオペレータの感覚に頼っているために、キャリブレーション結果がオペレータによってばらつき、適正な画像の安定出力ができなかったり、キャリブレーション作業に時間がかかってしまう、あるいはキャリブレーション作業が終了しない虞があるという問題がある。
【0023】
【特許文献1】
特開平6−118524号公報
【特許文献2】
特開2000−255108号公報
【特許文献3】
特開2001−305678号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、機器の経時変化、感光材料などの記録媒体の特性変化などによる特性差があるにも拘らず、入力された画像データに応じた適正な画像を出力することができる画像出力装置の校正方法を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明は、画像出力装置からカラーの3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力し、前記校正用カラーチャートの前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定して前記3原色の各単色の出力階調を校正する第1の校正工程と、前記3原色の各単色の階調がそれぞれ所定の階調に収束しても、前記3原色の各単色を重ね合わせたグレーのグレーバランスが不十分であると判断されて前記画像出力装置の校正方法が続行される場合には、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係を再構築する第2の校正工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法を提供するものである。
【0026】
ここで、前記第2の校正工程は、前記グレーの階調を表す複数のパッチを持つ校正用グレーチャートを出力し、前記校正用グレーチャートの前記グレーの前記複数のパッチの濃度を測定して、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係を取得することによって、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係の再構築を行うのが好ましい。
また、前記画像出力装置は、画像濃度を表す画像データをプリント信号に変換するための変換特性を備え、前記第1の校正工程は、前記画像出力装置から前記3原色の各単色の階調を表す、それぞれ目標濃度に対応する前記複数のパッチを持つ前記校正用カラーチャートを、前記複数のパッチの前記目標濃度を表す画像データを前記変換特性によって変換して得られた第1のプリント信号を用いて、出力する工程と、前記校正用カラーチャートの前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、前記複数のパッチの各パッチの測定濃度と対応する前記目標濃度との差を評価する工程と、前記差が許容範囲から外れている場合に、前記差を用いて前記目標濃度に対する第2のプリント信号を算出する工程、前記第2のプリント信号と前記目標濃度を用いて、前記変換特性を更新する工程、前記更新された変換特性を用いた前記校正用カラーチャートの出力工程、前記濃度測定工程および前記評価工程を、前記差が前記許容範囲内に入るまで繰り返す前記変換特性の校正工程とを有するのが好ましい。
【0027】
また、上記画像出力装置の校正方法であって、さらに、前記差が前記許容範囲内に入る場合に、前記変換特性の校正が収束したことを判定する工程とを有するのが好ましい。
また、画像出力装置の校正方法であって、さらに、前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有するのが好ましい。
また、前記第2の校正工程は、前記変換特性の校正の収束後、前記変換特性の校正の続行指示入力を受けた場合に、前記校正が収束した前記変換特性を用いて、グレーの階調を表す複数のグレーパッチを持つ校正用グレーチャートを出力する工程と、前記複数のグレーパッチの濃度を前記3原色に分解して測定する工程と、前記複数のグレーパッチの測定濃度と、前記3原色の単色の前記複数のパッチの測定濃度と、前記複数のグレーパッチ対応するグレーの目標濃度とを用いて、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係の再構築を行い、前記3原色の単色の前記複数のパッチに対応する目標濃度を更新する工程と、前記更新された前記目標濃度を用いた前記校正用カラーチャートの出力工程から、前記変換特性の校正工程までの前記第1の校正工程を繰り返すのが好ましい。
【0028】
また、上記目的を解決するために、本発明は、画像出力装置からグレーの階調を表す複数のパッチを持つ校正用グレーチャートを出力し、前記校正用グレーチャートの前記グレーの前記複数のパッチの濃度を測定して、前記グレーを構成する3原色の各単色の階調の校正を行う第3の校正工程と、前記3原色の各単色の階調の校正を行っても、目標とする階調に収束しない場合には、前記3原色の各単色とこれらを重ね合わせた前記グレーとの関係を再構築する第4の校正工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法を提供するものである。
【0029】
ここで、前記第4の校正工程は、前記3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力し、前記校正用カラーチャートの前記3原色の各単色の前記複数のパッチの濃度を測定して、前記グレーと前記3原色の各単色との関係を取得することによって、前記グレーと前記3原色の各単色との関係の再構築を行うのが好ましい。
また、前記画像出力装置は、画像濃度を表す画像データをプリント信号に変換するための変換特性を備え、前記第3の校正工程は、前記画像出力装置からグレーの階調を表す複数のグレーパッチを持つ校正用グレーチャートを、前記複数のグレーパッチを構成する3原色の各単色の目標濃度を表す画像データを前記変換特性によって変換して得られた第1のプリント信号を用いて、出力する工程と、前記校正用グレーチャートの前記複数のグレーパッチの濃度を前記3原色に分解して測定する工程と、前記複数のグレーパッチの各グレーパッチの前記3原色の各単色の測定濃度と対応する前記3原色の各単色の前記目標濃度との差を評価する工程と、前記差が許容範囲から外れている場合に、前記差を用いて前記目標濃度に対する第2のプリント信号を算出する工程、前記第2のプリント信号と前記目標濃度を用いて、前記変換特性を更新する工程、前記更新された変換特性を用いた前記校正用グレーチャートの出力工程、前記濃度測定工程および前記評価工程を、前記差が前回の結果より減少して、前記許容範囲内に収束するまで繰り返す前記変換特性の校正工程とを有するのが好ましい。
【0030】
また、上記画像出力装置の校正方法であって、さらに、前記差が前記許容範囲内に入る場合に、前記変換特性の校正が収束したことを判定する工程とを有するのが好ましい。
また、上記画像出力装置の校正方法であって、さらに、前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有するのが好ましい。
また、前記第4の校正工程は、前記差が前回の結果より増大して、前記許容範囲内に収束しない場合に、前記変換特性を用いて、前記3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力する工程と、前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、前記複数のグレーパッチの測定濃度と、対応するグレーの目標濃度と、前記3原色の単色の前記複数のパッチの測定濃度とを用いて、前記目標濃度を更新する工程と、前記更新された前記目標濃度を用いた前記校正用グレーチャートの出力工程から、前記変換特性の校正工程までの前記第3の校正工程を繰り返すのが好ましい。
また、上記の各画像出力装置の校正方法において、前記3原色の単色は、シアン、マゼンタおよびイエローであるのが好ましい。
【0031】
また、本発明は、画像出力装置によりそれぞれ目標濃度に対応する複数のパッチを持つ校正用チャートを出力する工程と、前記校正用チャートの前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、前記複数のパッチの各パッチの測定濃度と前記目標濃度との差を評価する工程と、前記差が許容範囲から外れる場合に、前記画像出力装置の校正を続行する工程と、前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法を提供するものである。
ここで、前記校正用チャートはカラーチャートであり、前記複数のパッチは、シアン、マゼンタおよびイエローの各単色の階調を表すパッチであるのが好ましい。
また、前記校正用チャートは、グレーチャートであり、前記複数のパッチは、グレーの階調を表すパッチであるのが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明に係る画像記憶装置の校正方法を添付の図面に示す好適実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像記憶装置の校正方法に利用される画像記録装置の一実施例を示すブロック図である。
図1に示される画像記録装置10は、画像データDを受け取り、この画像データDによって形成される画像を記録したプリントP(ハードコピー)を出力するものであって、基本的に、データ変換ルックアップテーブル(LUT)12と、プリント作製部14と、濃度計16と、キャリブレーション処理部18と、表示部30とを有する。
なお、画像データDは、例えば、写真フィルム等をスキャナなどで光電的に読み取って得られた画像データなどに、画像処理装置等で、色/濃度補正、彩度補正またはシャープネス処理等の各種の画像処理を施した画像データであり、画像処理装置等から供給される記録用画像データであるが、この他、デジタルスチルカメラ(DSC)で被写体を撮影して得られた画像データや、パーソナルコンピュータ(PC)で作成された画像データや、これらの画像データを画像処理した処理済画像データであっても良い。
【0034】
データ変換LUT(以下、単にLUTという)12は、供給された画像データDに応じた適正なプリントPを出力するために、画像濃度を表す画像データDをカラー印画紙(カラーペーパ)などの感光材料を露光するためのプリント信号、例えば、露光光源として、レーザダイオード(LD)などのレーザが用いられている場合には、レーザを駆動する駆動値に変換するためのLUT(ルックアップテーブル)であって、後述するキャリブレーションによって校正され(書き換えられ)、更新される。
このLUT12には、後述するように、外部、例えば画像処理装置などから画像データD、またはチャート生成部28から複数のカラーパッチまたはグレーパッチを持つ校正チャートを出力するための各パッチに対応する画像濃度を表す画像データが入力される。
【0035】
なお、本発明においては、LUT12を、特許文献1に開示されているように画像データ(濃度データ)Dを露光量データに変換するための露光変換LUTおよび露光量データをプリント信号(レーザの駆動値)に変換するためのキャリブレーションLUTによって構成しても良い。この場合には、感光材料や露光光源などの変更などの大幅な変更に関しては、変更された感光材料や露光光源などに固有のデータを用いて、露光変換LUTを更新し、画像出力装置の個体差や経時変化、感光材料特性の個体差や経時変化、または処理液の劣化等の現像条件の変動等による画像出力(画像記録)の条件の変動に関しては、キャリブレーションによってキャリブレーションLUTを書き換えるようにしても良い。
【0036】
プリント作製部14は、画像記録装置10の主要部をなすカラープリント作製手段を備える部分であって、LUT12によって画像データから変換されたプリント信号を用いて、この画像データによって形成される画像を記録・再生したプリントPを出力するものである。
また、プリント作製部14は、画像記録装置10の校正を行う際には、後述するチャート生成部28から出力されたキャリブレーションチャート記録用の画像データがLUT12で変換されたプリント信号を受け取り、キャリブレーションチャートが記録・ 再生されたテストプリントPを出力する。なお、キャリブレーションチャートは、チャート生成部28からの画像データを用いて記録・ 再生されてテストプリントPとして出力されるものに限定されるものではなく、予め濃度が測定されたキャリブレーションチャートをスキャナなどの画像読取装置で読み取り、この読取データをキャリブレーションチャート記録用の画像データDとして用いてもよい。
【0037】
本発明においては、プリント作製部14としては、特に制限的ではなく、公知の各種のカラーのプリント作製手段が全て利用可能である。
図1に示すプリント作製部14としては、一例として、画像データに応じて変調されたR(赤)、G(緑)およびB(青)露光に対応する3本の光ビーム、例えばレーザビームで感光材料を二次元的に走査露光して、潜像を記録し、露光済の感光材料に湿式の現像処理を施した後に、乾燥して、プリントPとして出力するデジタルフォトプリンタなどのプリント作製手段が挙げられる。しかし、本発明のプリント作製部14に用いられるプリント作製手段は、プリントPを作製できるものであればどのようなものでも良く、これ以外にも、インクジェットヘッドを用いるインクジェットプリンタのプリント作製手段、サーマルヘッドを用いる感熱記録によるサーマルプリンタのプリント作製手段、昇華型プリンタのプリント作製手段および熱転写プリンタの熱転写によるプリント作製手段等を行うものが挙げられる。
【0038】
濃度計16は、後述する画像記録装置10の校正の際に、キャリブレーションチャートの濃度を測定するもので、本発明において実施するキャリブレーションに応じた公知の濃度計であればよい。
図示例においては、本発明の効果を発揮しやすい好適な例として、R(赤)、G(緑)およびB(青)のそれぞれの光を射出するLED光源を有し、キャリブレーションチャートのグレーパッチの濃度をカラーの3原色の各単色毎に分解して測定し、各単色毎の分解測定結果から、グレーパッチのC(シアン)濃度、M(マゼンタ)濃度およびY(イエロー)濃度を得ることができるとともに、キャリブレーションのカラーパッチの3原色の各単色の濃度を測定し、この測定結果から、各単色毎のC濃度、M濃度およびY濃度を得ることができる濃度計が例示される。もちろん、濃度計16として、白色光を射出する白色光源を有し、R、GおよびBのそれぞれの光を透過するフィルタを備え、同様にカラーの3原色の各単色毎に計測し、C濃度、M濃度およびY濃度を得ることができる濃度計を用いても良い。
【0039】
本発明において、濃度計16は、R光、G光およびB光によってそれぞれC、MおよびY濃度を測定するものに限定されるものではない。例えば、濃度計16は、白色光によるグレーパッチの反射輝度を計測して、測定されたグレーの反射輝度から各単色の濃度、すなわちC、MおよびY濃度を算出するようにしても良いし、カラーパッチの各単色毎の反射輝度を測定し、測定された各単色の反射輝度からC、MおよびYの各単色の濃度を算出するようにしても良い。なお、測定された反射輝度から各単色の濃度の算出は、後述するキャリブレーション処理部18の変換部20で標準濃度に変換する前に行ってもよく、また、測定された反射輝度からC、MおよびYの各単色の濃度を算出することなく、測定された反射輝度を変換部20で処理して、直接標準濃度に変換するようにしてもよい。
【0040】
キャリブレーション処理部18は、キャリブレーションによってLUT12を校正する部位であって、基本的に、変換部20、記憶部22、比較部24、演算部26およびチャート生成部28を有して構成される。
なお、本発明において、画像記録装置10の校正の時期は、特に限定されるものではなく、例えば、定期的、すなわち所定時間稼動時、所定日時経過時、定期的なプリント作製部14の部品交換時、感光材料の製造ロットの変更時、感光材料の種類の変更時、またはこれら時期の併用等、公知の各種の画像記録装置と同様のタイミングで行えばよい。
【0041】
変換部20は、濃度計16によって測定された各パッチの濃度を標準濃度に変換するものである。この変換部20には、予め作成されて記憶された変換式を用いて、濃度計16によるグレーパッチおよびカラーの単色のC、MおよびY濃度の測定結果(以下、実測濃度という)を、標準規格である、例えばstatus A、またはstatus Dフィルター等を用いる濃度計で測定した際の濃度(標準濃度)に変換する部位である。言い換えれば、変換部20は、実測濃度を、正確に校正された標準規格の濃度計による測定結果と一致させるためのものである。
【0042】
変換部20における変換手段の作成方法には特に限定はないが、一例として、以下の方法が例示される。
まず、所定の明度(L* )および色(a* ,b* )のN個のグレーパッチを、画像記録装置が使用の対象とする感光材料(被記録媒体)で実現した基準画像を用意し、この基準画像の各グレーパッチの濃度を、濃度計16(キャリブレーション用の濃度計)、および正確に校正されたstatus Aの濃度計とで読み取り、濃度計16による測定結果X(i)と、status A濃度計による測定結果Y(i)とを得る(i=1〜N)。次いで、両測定結果XおよびYの関係から、近似多項式を求めて、例えば、下記に示すような、実測濃度Do(Do_c,Do_m,Do_y)を標準濃度Ds(Ds_c,Ds_m,Ds_y)に変換する、三次の多項式の変換式を導出する方法が例示される。
Ds_c=ac3*Do_c3 +ac2*Do_c2 +ac1*Do_c+ac0
Ds_m=am3*Do_m3 +am2*Do_m2 +am1*Do_m+am0
Ds_y=ay3*Do_y3 +ay2*Do_y2 +ay1*Do_y+ay0
【0043】
例えば、変換部20には、上記3次の多項式による演算手段を設定しておき、上記係数aij(i=c,m,y,j=0〜3)を変換部20に設けたROM等に記憶しておき、キャリブレーションの際に、変換部20において、ROMから係数aijを読み出して、実測濃度を標準濃度に変換する。
【0044】
なお、このような変換式は、三次の多項式に限定はされず、N次(1次〜)の多項近似式が利用可能である。また、変換式に変えて、実測濃度を標準濃度に変換する変換LUT(ルックアップテーブル)を作成し、これを変換部20に設定して実測濃度の変換を行ってもよい。
また、実測濃度を標準濃度に変換する変換式(変換手段)は、同じ機種であれば、全ての濃度計(キャリブレータ)に共通であってもよく、濃度計のロット単位で作成してもよく、個々の濃度計毎に作成してもよい。コスト的は嵩むが、LEDの個体差等を考慮すれば、変換式は個々の濃度計毎に作成することが好ましい。
【0045】
ここで、上記方法で変換式を作成した場合には、変換式の作成に使用した感光材料以外を対象としてキャリブレーションを行う場合には、感光材料の特性等に起因して、適正なキャリブレーションが行えない場合がある。
このような不都合を解消する方法として、以下の方法が例示される。
【0046】
まず、使用する可能性がある感光材料毎に、目的とする明度および色を実現したN個のグレーパッチについて、濃度計16で測定した測定結果と、基準となる目標濃度との差分データを得て、これを記憶する。あるいは、実際に濃度計16で濃度測定を行わず、各感光材料のグレーサンプル分光データと、濃度計16の分光特性(光源の波長分布×センサの分光感度)とを用いて、差分データを算出してもよい。
画像記録装置10の校正の際には、キャリブレーションチャート(各パッチ)の目標濃度として、通常の目標濃度に感光材料種に応じた前記差分データを加算した目標濃度を設定し、これを用いて校正を行うことができる。
こうすることにより、変換式は、基準的な感光材料に対して作成した1種のみでよく、しかも、感光材料種によらない適正なキャリブレーションを行うことが可能になる。
【0047】
また、画像記録装置10の機差(個体差)または経時劣化による特性変動等によって、変換部20で変換された標準濃度が、実際のstatus Aやstatus D濃度に対して誤差を有していることも考えられ、さらに、誤差が適正なキャリブレーションを実行できる許容範囲を超える場合も考えられる。
これに対応して、チャートの各パッチの各色(C、MおよびY)毎に、濃度補正データを設定および記憶できるようにして、この濃度補正データをキャリブレーションに反映できるようにすることが好ましい。この場合、画像記録装置10の校正に際しては、変換部20で変換した標準濃度Dsに、濃度補正データDhを加算した修正濃度値を用いて、後述するキャリブレーション演算部26における演算を行えばよい。
なお、設定した濃度補正データは、濃度計16を交換した場合には、画像記録装置10の初期設定に戻す。
ところで、変換部20では、目標濃度と実測濃度とを共に標準濃度Dsに変換して、両者を比較して偏差を求めているが、目標濃度と実測濃度とを同じ種類(ステータス)の濃度にできれば、特に、標準濃度に変換しなくても良いし、目標濃度と実測濃度とは、同じ種類(ステータス)の濃度であれば、特に、標準濃度である必要はないし、変換部20は設けなくても良い。
【0048】
記憶部22は、チャート生成部28から出力される画像データに基づくキャリブレーションチャートの各パッチにおける目標濃度および許容範囲が記憶されるものである。記憶部22は、比較部24およびチャート生成部28に接続されている。プリント作製部14で出力させるキャリブレーションチャートの種類がチャート生成部28から記憶部22に出力される。これにより、プリント作製部14から出力されるキャリブレーションチャートに応じて、比較部24に各パッチにおける目標濃度および許容範囲が出力される。
なお、キャリブレーションチャートをスキャナなどから読み取る場合には、記憶部22に、予め読み取るキャリブレーションチャートの各パッチの濃度および許容範囲を記憶させておく。
【0049】
比較部24は、チャート生成部28から出力された画像データに基づいてプリントされたテストプリントPにおける各パッチの濃度計16による測定濃度と、各パッチの目標濃度とを比較し、各パッチの測定濃度が各パッチの目標濃度に対して許容範囲内にあるか判断するものである。
また、比較部24は、後述する表示部30に接続されており、プリントPの測定濃度が許容範囲内にある場合、測定濃度が許容範囲内にあることを表示部30に表示する。これにより、オペレータはキャリブレーションが収束したことを知ることができる。
【0050】
キャリブレーション演算部26(以下、演算部26という)は、キャリブレーションの際に、変換部20によって変換された標準濃度を用いてキャリブレーション演算を行って、前述のLUT12を校正し、LUT12を更新する、すなわちLUT12を書き換え、または、新規なLUTを作成して設定する。
なお、演算部26は、LUT12の全体の校正を行い、LUT12の全体の更新を行っても良いし、LUT12のキャリブレーションパラメータを校正し、更新しても良い。
【0051】
キャリブレーション演算の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、上述した特許文献1,2または3、もしくは特開2000−33732号等の各公報に開示される方法が各種利用可能である。一例として、以下の方法が例示される。
【0052】
まず、各グレーパッチの標準濃度と予め設定されたグレー基準点における対応色濃度との差分ベクトルを得、この差分ベクトルを変換マトリクス(副吸収係数行列の逆行列)で処理した単色濃度差分ベクトルに変換する。一方、各色毎に単色濃度差分値でパッチ濃度を挟み込むグレー基準点を割り出す。
次いで、単色差分ベクトルと対応するグレー基準点の単色濃度とを加算して、グレー基準点からの推定単色濃度を算出し、また、同様の推定単色濃度を次のグレー基準点についても行い、挟み込むグレー基準点との差分の大きさを重みとして、加重平均により単色濃度を求める。
【0053】
各パッチの単色濃度を求めたら、例えば感光材料の露光量と濃度との関係特性を用いて、この単色濃度を挟み込むグレー基準点2間の特性を線型で近似して、単色濃度に相当する露光量TPDを求める。
次いで、設定されているLUT12と、各パッチの単色濃度に相当する露光量TPDと、収束対象となるパッチの理論露光量との相関から、画像データに応じた適正な露光が行われるように、LUT12を更新する。
なお、実際の計算式では、単色濃度と露光量との関係から、単色濃度を露光量に置き換えることにより、単色濃度値を媒介することなく、直接、露光量TPDを導出することができる。
【0054】
チャート生成部28は、キャリブレーションチャート(以下、チャートという)を記録するための画像データ(以下、チャートデータという)を記憶しているものであって、キャリブレーションを行う際に、チャートデータをLUT12に供給する。
本発明において、チャートは限定されるものではなく、実施する校正方法に応じたチャートが、各種利用可能である。図示例においては、チャートとして8段階の階調のグレーまたは単色(C,M,Y)のステップウエッジを用いるものであり、例えば、C、MおよびYの割合が共に同一のグレーパッチを、等間隔で8階調有するチャートデータ、またはC、MおよびYのパッチが各列ごとに等間隔で8階調有するチャートデータが例示される。
【0055】
表示部30は、キャリブレーションが収束したことを表示するものである。表示部30は、特に限定されるものではなく、CRT、液晶表示装置、またはPDPなどが挙げられる。さらに表示部30は、表示内容として、キャリブレーションが収束したことを表示するだけではなく、例えば、各パッチの目標濃度に対するずれを表示してもよい。
【0056】
本実施例の画像記録装置10では、R、GおよびBのLEDによってグレーパッチの濃度を各単色に分解して測定する濃度計16を用いている。LED発光の分光特性は、標準規格であるstatus A濃度等の波長特性と一致しているとは限らず、また、個体差を有する場合も多い。すなわち濃度計16による実測濃度は、光源であるLEDの特性を反映したものとなり、必ずしも、グレーパッチの濃度を正確に測定していない場合も多い。なお、フィルタを用いてグレーパッチの濃度を各単色に分解して測定する濃度計16を用いる場合も、フィルタの分光特性に依存する。従って、このような実測濃度で、キャリブレーションを行うと、適正なキャリブレーションを行うことができない場合、すなわち、画像記録装置10において、画像データに応じた適正な画像を出力することができない場合がある。
これに対して、本発明において、好ましい態様として、変換部20によって実測濃度を標準濃度に変換して、この標準濃度を用いてキャリブレーション演算を行えば、このような不都合を解消して、適正なキャリブレーションを行い、画像記録装置10において、適正な画像を安定して出力することが可能になる。
【0057】
本発明においては、キャリブレーションによってLUT12自体を更新するのに限定はされず、画像記録装置10が、LUT12の代わりに、画像データDを露光量データに変換する露光変換LUTと、露光量データをプリント作製部14による画像記録用のプリント信号(プリントデータ、すなわちレーザ駆動値)に変換するキャリブレーションLUTを有する場合には、あるいはLUT12が、露光変換LUTおよびキャリブレーションLUTを含む場合には、キャリブレーションによって、このキャリブレーションLUTを校正し、更新してもよい。また、LUT12は、露光変換LUTおよびキャリブレーションLUTを一体化したものであっても、カスケードしたものであっても良いし、他のLUTとカスケードされるものであってもよい。
【0058】
次に、本実施例の画像記録装置10の校正方法について説明する。
図2および図3は、本発明の第1の実施形態に係る画像記録装置の校正方法を工程順に説明するフローチャートである。本実施形態の画像記録装置10の校正方法においては、CMYの単色の濃度だけを測定して画像記録装置10の校正を行う。
【0059】
図2に示すように、先ず、画像記録装置10において、オペレータからキャリブレーション実施の指示が出されると、キャリブレーション処理部18は、チャート生成部28からCMYの各複数階調の単色パッチの画像データからなるチャートデータをLUT12に出力する。LUT12は、受け取ったチャートデータをプリント信号に変換して、プリント作製部14に出力する。チャートの複数のパッチのプリント信号を受け取ったプリント作製部14は、このプリント信号に基づいて対象とする感光材料にCMYの各複数階調の単色パッチを露光し、露光済感光材料を現像処理して、キャリブレーションチャートとしてCMYの各複数階調の単色パッチが記録されたテストプリントPを作製して出力する(ステップS1)。このテストプリントPには、CMYの各単色のパッチだけが所定の階調ステップで記録されている。
【0060】
次に、テストプリントPの各単色パッチのC、MおよびYの濃度が濃度計16によって測定される(ステップS2)。濃度計16によるテストプリントPの各単色パッチの測定濃度は、キャリブレーション処理部18に出力される。
【0061】
キャリブレーション処理部18においては、先ず、変換部20において、変換式によって、各単色パッチの測定濃度が標準濃度に変換される。
次に、比較部24において、各単色パッチの測定標準濃度と、記憶部22に記憶されたキャリブレーションチャートに対応する各単色パッチの目標濃度とを比較し、テストプリントPの各単色パッチの測定標準濃度が目標濃度の許容範囲内にあるか否かを判断する。これにより、キャリブレーションの結果、すなわち目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS3)。
この場合、ステップS3において、テストプリントPにおける各単色パッチの測定濃度と目標濃度との差が小さく、許容範囲内にある場合、すなわち、キャリブレーションが収束している場合、例えば、表示部30にキャリブレーションが完了したことを示すメッセージを表示する(ステップS4)。
これにより、オペレータは、キャリブレーションが収束したか否かを容易に判別できる。
【0062】
次に、各単色の測定濃度と目標濃度との差が許容範囲にある状態で、キャリブレーションチャート(テストプリントP)を再度出力し、オペレータによってテストプリントPのグレーバランスが目視評価され、キャリブレーションが続行されるか否かが判断される(ステップS5)。
ステップS5において、テストプリントPのグレーバランスが良いとオペレータによって判断され、キャリブレーションが続行されない場合、画像記録装置10の校正は終了する(ステップS9)。
【0063】
一方、ステップS5において、オペレータによってキャリブレーションの続行指示が入力される場合、図3に示すように、現状のLUTのままで、キャリブレーションチャートのグレーパッチをプリントし、テストプリントPを出力する(ステップS6)。
そして、このテストプリントPのグレーパッチの濃度を測定する(ステップS7)。
【0064】
次に、ステップS7におけるグレーパッチの測定濃度、ステップS2における単色パッチの測定濃度、および記憶部22に記憶されているグレーパッチの目標濃度を用いて、目標濃度を更新する(ステップS8)。
次に、ステップS1に戻り、画像記録装置10の校正を繰り返し行う。
【0065】
本実施例においては、ステップS5で、単色パッチの濃度(解析濃度)とグレーパッチの濃度(積分濃度)との関係が崩れていると、オペレータによって判断された場合には、単色パッチの濃度(解析濃度)とグレーパッチの濃度(積分濃度)との関係を再構築する必要がある。本実施例におけるステップS8の目標濃度の更新とは、再構築された関係に基づいて単色パッチの濃度を再設定することをいう。この目標濃度の更新は、例えば、グレーパッチの測定濃度を入力とし、単色パッチの測定濃度を出力濃度として、グレーパッチの濃度を単色パッチの濃度に変換するマトリクスを算出することによりなされる。
【0066】
また、目標濃度の更新は、単色パッチの測定濃度を入力濃度とし、グレーパッチの測定濃度を出力濃度として、単色パッチの濃度をグレーパッチの濃度に変換するマトリクスを補正し、その逆行列を求めることによってもできる。これにより、グレーパッチの濃度を単色パッチの濃度に変換するマトリクスを算出することもできる。
さらに、目標濃度の更新については、これ以外にも、単色パッチの測定濃度を入力濃度とし、グレーパッチの測定濃度を出力濃度として与えて、ニューラルネットワークの学習を行うことにより、目標濃度を更新してもよい。
このようにして、単色の濃度とグレーの濃度との関係を求めることができる。このため、感光材料の種類などが変わり、その材料特性が変ってしまって、従来の単色のカラーバランスでは、グレーバランスが崩れてしまう場合であっても、それに対応してグレーバランスを所定のバランスにすることができる。
【0067】
なお、本実施例における目標濃度の更新は、ステップS6乃至ステップS8に示すものに限定されるものではない。
例えば、ステップS5において、キャリブレーションの続行指示が入力された場合、現状の単色(C,M,Y)の目標濃度を中心として、各単色の目標濃度を増減させて、各単色の増減させた目標濃度の複数の組み合わせで、所定の階調ステップのグレーパッチをプリントし、テストプリントPを出力する。このテストプリントPには、所定の階調ステップで複数のグレーパッチがグレースケールとして複数列記録されている。そして、オペレータによってテストプリントPのグレーバランスが目視評価され、複数列のグレースケールの中から、オペレータによりグレーバランスが最も好ましいものが選択される。そして、選択されたグレースケールのグレーパッチにおける単色(C,M,Y)の濃度を新たな目標濃度とする。このようにして、目標濃度を更新することができる。
【0068】
また、これ以外にも、上述の如く現状の単色(C,M,Y)の目標濃度を中心として、各単色の目標濃度を増減させて、所定の階調ステップで複数のグレーパッチがグレースケールとして複数列記録されたテストプリントPを出力する。テストプリントPの各グレースケールにおけるグレーパッチの濃度を測定する。これらのグレーパッチのうち、記憶部22に記憶されているキャリブレーションチャートのグレーパッチの目標濃度に最も近いものを選択する。これにより、グレーバランスが目標とするグレーバランスに最も近いグレースケールが選択される。そして、選択されたグレースケールのグレーパッチにおける単色(C,M,Y)の濃度を新たな目標濃度とする。このようしても目標濃度を更新することができる。
【0069】
一方、ステップS3において、各単色パッチの測定濃度と目標濃度との差が大きく、許容範囲から外れている場合、すなわち測定濃度が目標濃度の許容範囲から外れている場合、演算部26で目標濃度に対応するプリント信号を算出する(ステップS10)。そして、このプリント信号に基づいてLUT12を更新する(ステップS11)。
次に、再度キャリブレーションチャートをプリントし、単色パッチの濃度を測定して、キャリブレーションの結果を比較部24で判断する(ステップS1乃至S3)。ステップS3において、目標濃度と測定濃度との差が許容範囲から外れている場合には、目標濃度と測定濃度との差が許容範囲内に入るまで、上述のステップS10、S11およびステップS1乃至ステップS3を少なくとも1回繰り返す。
【0070】
そして、ステップS3において、各単色パッチの目標濃度と測定濃度との差が許容範囲内にある場合、表示部30にキャリブレーションが完了したことを表示する(ステップS4)。そして、キャリブレーションの続行が必要か否かが判断される(ステップS5)。ステップS5において、キャリブレーションを続行する必要がない場合には、キャリブレーションが終了される(ステップS9)。
【0071】
一方、キャリブレーションの続行が必要であると判断された場合には、ステップS6乃至ステップS8を行い、再度ステップS1に戻る。そして、ステップS5において、オペレータによってキャリブレーションが必要ないと判断されるまで、ステップS1乃至ステップS8の工程を繰り返す。
【0072】
本実施例においては、基本的には、キャリブレーションによってC,M,Yの各色の階調が当初設計された階調に収束した状態でも、テストプリントPを出力し、オペレータの目視評価により、グレーバランスが不十分な場合について、これらのC,M,Yの各色を重ね合わせたときの関係、すなわちグレーバランスを同様に、好ましいグレーバランスとなるように再構築するかというものである。すなわち、本実施例においては、画像記録装置における解析濃度と積分濃度との関係を再構築することによってグレーバランスを好ましいものにする。
このため、本実施例においては、測定濃度に対して目標濃度となるようにフィードバックをかけて画像記録装置10の校正を行う。しかしながら、キャリブレーションによって、測定濃度と目標濃度との差が許容範囲内である場合、すなわち、キャリブレーションの循環系で収束しているにもかかわらず、例えば感光材料の特性が変化した場合、目標とするグレーの濃度が得られらない。この場合、キャリブレーションチャートのグレーパッチをプリントし、このグレーパッチの濃度を測定する。
これにより、単色の濃度と単色の濃度を重ね合わせたグレーの濃度との関係がわかる。次いで、再度、単色の濃度とグレーの濃度との関係を求める。そして、この新しい単色の濃度とグレーの濃度との関係により、再度画像記録装置の校正を行う。
【0073】
本実施例においては、オペレータにより積分濃度と解析濃度との関係が崩れていると判断され、3原色の単色とグレーとの関係の再構築が必要であると判断された場合に、キャリブレ−ションチャートでグレーパッチを出力する。これにより、単色とグレーとの関係が得られる。
このように本実施例においては、グレーバランスを適正なものとすることができるので、仕上がりプリントの画像を適正に出力することができる。また、機器の経時変化、または感光材料の特性変化があった場合でも、同様にグレーバランスを適正なものとすることができる。特に、感光材料の特性変化によるグレーバランスの崩れを適正に調整できる。
【0074】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例においては、第1の実施例と比して、校正方法だけが異なり、画像記録装置10については、第1の実施例と同様のものを使用することができる。このため、本実施例においては、校正方法についてのみ説明する。
図4および図5は、本発明の第2の実施例に係る画像記録装置の校正方法を工程順に示すフローチャートである。本実施例における画像記録校正方法においては、第1の実施例に示すように、キャリブレーションチャートとしてカラーパッチだけをプリントして、カラーの3原色の単色パッチの濃度を測定するのではなく、キャリブレーションチャートとしてグレーパッチだけをプリントして、グレーパッチの濃度を3原色の各単色に分解して測定してキャリブレーションを行うものである。テストプリントPには、複数のグレーパッチだけが所定の階調ステップで複数階調だけ記録されている。
【0075】
図4に示すように、先ず、キャリブレーションチャートをプリント作製部14でプリントし、テストプリントPを得る(ステップS20)。本実施例においては、キャリブレーションチャートは、グレーパッチだけが記録されているものである。次に、テストプリントP(キャリブレーションチャート)におけるグレーパッチの濃度を濃度計16で3原色の各単色に分解して測定する (ステップS21)。
【0076】
次に、グレーパッチの測定濃度が目標濃度の許容範囲内にあるか否か、すなわち、目標濃度と測定濃度との差が許容範囲内にあるか否かを比較部24で判別する。これにより、キャリブレーションの結果、すなわち目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS22)。このとき、グレーパッチの(各単色の)測定濃度とグレーパッチの(各単色の)目標濃度との差が小さい、すなわち、目標濃度と測定濃度との差が許容範囲内であれば、キャリブレーションが完了したことを表示部30に表示する(ステップS23)。これにより、オペレータは、キャリブレーションが収束したか否かを容易に判別できる。そして、キャリブレーションが終了する(ステップS24)。
【0077】
一方、ステップS22において、グレーパッチの(各単色の)測定濃度とグレーパッチの(各単色の)目標濃度との差が大きい場合、すなわち、グレーパッチの測定濃度と目標濃度との差が許容範囲を超える場合、キャリブレーションの回数を判定する(ステップS25)。
ステップS25において、キャリブレーションの回数が1回目である場合、目標濃度に対するプリント信号を演算部26で算出する (ステップS26)。そして、LUT12を更新する(ステップS27)。次に、更新したLUT12を用いて、再度、キャリブレーションチャートをプリントし、グレーパッチの濃度を濃度計16により測定し、キャリブレーションの結果、すなわち目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS20〜S22)。
【0078】
また、キャリブレーションの回数が2回目以上である場合には、図5に示すように、キャリブレーションの結果(目標濃度と測定濃度との差)を前回のキャリブレーションの結果(目標濃度と測定濃度との差)と比較する(ステップS28)。
【0079】
ステップS28において、前回のキャリブレーションよりも目標濃度との差が減少している場合、すなわち誤差が減少している場合、ステップS26およびステップS27と同様にして、目標濃度に対するプリント信号を演算部26で算出し (ステップS29)、LUT12を更新する(ステップS30)。そして、再度、更新したLUT12を用いて、キャリブレーションチャートをプリントし、グレーパッチの濃度を測定し、キャリブレーションの結果、すなわち目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS20〜S22)。
ステップS22の評価に基づいて、キャリブレーションが続行される(ステップS28乃至ステップS33)か、または終了される(ステップS24)。
【0080】
これに対して、ステップS28において、前回のキャリブレーションよりも目標濃度との差が増加している場合、すなわち誤差が増大している場合、現状のLUTを用いてカラーの3原色の単色パッチをプリントする(ステップS31)。そして、各単色パッチの濃度を濃度計16により測定する(ステップS32)。次に、目標濃度を更新する(ステップS33)。なお、ステップS33における目標濃度の更新の方法は、上述の第1の実施例と同様の方法であるので、その詳細な説明は省略する。本実施例においても、上記第1の実施例と同様に、単色の濃度とグレーの濃度との関係を求めることができ、感光材料の特性に変更があっても、グレーバランスを適正にすることができる。
【0081】
そして、再度、キャリブレーションチャートをプリントし、グレーパッチの濃度を濃度計16によって測定する(ステップS20およびステップS21)。次に、キャリブレーションの結果を、更新した目標濃度に基づいて評価する、すなわち、更新した目標濃度と測定濃度との差を評価する(ステップS22)。
このステップS22における評価によって、キャリブレーションを続行する(ステップS28乃至ステップS33)か、または終了する(ステップS24)。
本実施例においても、第1の実施例と同様の効果を奏する。すなわち、本実施例においても、グレーバランスを適正なものとすることができるので、仕上がりプリントの画像を適正に出力することができる。また、機器の経時変化、または感光材料の特性変化があった場合でも、同様にグレーバランスを適正なものとすることができる。特に、感光材料の特性変化によるグレーバランスの崩れを適正なグレーバランスとなるように調整できる。
【0082】
なお、上述のいずれの実施例においても、チャート生成部28のキャリブレーションチャートの画像データをオペレータが調整し、各パッチの濃度を変更し、このキャリブレーションチャートを用いてキャリブレーションを行ってもよい。これにより、オペレータが任意に色調整したキャリブレーションチャートを作製することができる。この場合、色調整した各パッチの濃度がわかっている場合には、上述の如く、LUT12に画像データとして、出力してキャリブレーションを行ってもよい。また、色調整したキャリブレーションチャートは、LUT12を介さずにプリント作製部14によりテストプリントPを作製し、これを画像読取装置で読み取り、画像データDとしてもよい。
なお、オペレータによる画像データの調整は、1次元LUTによる階調変換に限定される。これ以外のマトリクス処理、またはカラーマッチング処理などによる階調変換は、画像記録装置10が有する階調特性を変えてしまうので、禁止する。
このように、色調整されたキャリブレーションチャートをLUT12を介さずにプリント作製部14によりテストプリントPを作製し、このテストプリントPの各パッチの濃度を測定し、記憶部22に記憶させる。各パッチの測定値を目標濃度として、設定し、以降のキャリブレーション時には、登録された目標値を用いてキャリブレーションを行う。
【0083】
なお、第1の実施例においては、キャリブレーションが連続して行われているかを検出し、キャリブレーションの補正量が0に近い状態で、キャリブレーションが繰り返し行われた場合には、単色の濃度とグレーの濃度との関係が崩れていると判断する。また、キャリブレーションが連続して行われているか否かの判断は、画像記録装置のドアまたはカバーの開閉が挙げられる。これ以外にも、プリントからキャリブレーションの測定までの時間、パッチの濃度測定から次回のキャリブレーションチャートの出力までの時間、画像記録装置の電源のオンまたはオフ、およびキャリブレーションの終了などが挙げられる。
【0084】
また、本発明においては、グレーパッチおよび単色のカラーパッチをそれぞれ記録したキャリブレーションチャートを用いて画像記録装置の校正を行うこともできる。この場合、単色のカラーパッチの濃度を測定して、キャリブレーションが収束しているか判定し、グレーパッチの濃度を測定して、グレーバランスを評価することができる。このように、常に単色のパッチのカラーバランスとグレーバランスとを見ることができるので、工程数を低減することができ、容易に校正することができる。
また、上記各実施形態においては、画像濃度を表す画像データをプリント信号に変換するデータ変換LUTを更新しているが、本発明は、これに限定されず、データ変換LUTを、画像濃度を表す画像データを露光量データに変換する露光変換LUTおよび露光量データをプリント信号に変換するキャリブレーションLUTで構成し、このキャリブレーションLUTを上記各実施形態の校正方法によって校正するようにしても良い。
【0085】
以上、本発明の画像記録装置の校正方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0086】
例えば、上述の実施例は、校正手段を内蔵している画像記録装置を例に説明したが、本発明は、これに限定はされず、画像記録装置と別に構成され、画像記録装置が出力したキャリブレーションチャートを読み取り、その結果に応じてLUT等を作成し、これを記録媒体に出力または画像記録装置に供給する、いわゆるキャリブレータにも好適に利用可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の校正方法によれば、機器の経時変化、感光材料などの記録媒体の特性変化などによる特性差があるにも拘らず、入力された画像データに応じた適正な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像記憶装置の校正方法に利用される画像記録装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る画像記録装置の校正方法を工程順に説明するフローチャートである。
【図3】図2の次工程を工程順に示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施例に係る画像記録装置の校正方法を工程順に示すフローチャートである。
【図5】図4の次工程を工程順に示すフローチャートである。
【図6】従来の単色の測定濃度に基づく校正方法を工程順に示すフローチャートである。
【図7】従来のグレーの測定濃度に基づく校正方法を工程順に示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 画像記録装置
12 データ変換LUT
14 プリント作製部
16 濃度計
18 キャリブレーション処理部
20 変換部
22 記憶部
24 比較部
26 キャリブレーション演算部(演算部)
28 チャート生成部
30 表示部
Claims (16)
- 画像出力装置からカラーの3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力し、前記校正用カラーチャートの前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定して前記3原色の各単色の出力階調を校正する第1の校正工程と、
前記3原色の各単色の階調がそれぞれ所定の階調に収束しても、前記3原色の各単色を重ね合わせたグレーのグレーバランスが不十分であると判断されて前記画像出力装置の校正方法が続行される場合には、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係を再構築する第2の校正工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法。 - 前記第2の校正工程は、前記グレーの階調を表す複数のパッチを持つ校正用グレーチャートを出力し、前記校正用グレーチャートの前記グレーの前記複数のパッチの濃度を測定して、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係を取得することによって、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係の再構築を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置の校正方法。
- 前記画像出力装置は、画像濃度を表す画像データをプリント信号に変換するための変換特性を備え、
前記第1の校正工程は、
前記画像出力装置から前記3原色の各単色の階調を表す、それぞれ目標濃度に対応する前記複数のパッチを持つ前記校正用カラーチャートを、前記複数のパッチの前記目標濃度を表す画像データを前記変換特性によって変換して得られた第1のプリント信号を用いて、出力する工程と、
前記校正用カラーチャートの前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、
前記複数のパッチの各パッチの測定濃度と対応する前記目標濃度との差を評価する工程と、
前記差が許容範囲から外れている場合に、前記差を用いて前記目標濃度に対する第2のプリント信号を算出する工程、前記第2のプリント信号と前記目標濃度を用いて、前記変換特性を更新する工程、前記更新された変換特性を用いた前記校正用カラーチャートの出力工程、前記濃度測定工程および前記評価工程を、前記差が前記許容範囲内に入るまで繰り返す前記変換特性の校正工程とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像出力装置の校正方法。 - 請求項3に記載の画像出力装置の校正方法であって、
さらに、前記差が前記許容範囲内に入る場合に、前記変換特性の校正が収束したことを判定する工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法。 - 請求項3または4に記載の画像出力装置の校正方法であって、
さらに、前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法。 - 前記第2の校正工程は、
前記変換特性の校正の収束後、前記変換特性の校正の続行指示入力を受けた場合に、前記校正が収束した前記変換特性を用いて、グレーの階調を表す複数のグレーパッチを持つ校正用グレーチャートを出力する工程と、
前記複数のグレーパッチの濃度を前記3原色に分解して測定する工程と、
前記複数のグレーパッチの測定濃度と、前記3原色の単色の前記複数のパッチの測定濃度と、前記複数のグレーパッチ対応するグレーの目標濃度とを用いて、前記3原色の各単色と前記グレーとの関係の再構築を行い、前記3原色の単色の前記複数のパッチに対応する目標濃度を更新する工程と、
前記更新された前記目標濃度を用いた前記校正用カラーチャートの出力工程から、前記変換特性の校正工程までの前記第1の校正工程を繰り返すことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の画像出力装置の校正方法。 - 画像出力装置からグレーの階調を表す複数のパッチを持つ校正用グレーチャートを出力し、前記校正用グレーチャートの前記グレーの前記複数のパッチの濃度を測定して、前記グレーを構成する3原色の各単色の階調の校正を行う第3の校正工程と、
前記3原色の各単色の階調の校正を行っても、目標とする階調に収束しない場合には、前記3原色の各単色とこれらを重ね合わせた前記グレーとの関係を再構築する第4の校正工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法。 - 前記第4の校正工程は、前記3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力し、前記校正用カラーチャートの前記3原色の各単色の前記複数のパッチの濃度を測定して、前記グレーと前記3原色の各単色との関係を取得することによって、前記グレーと前記3原色の各単色との関係の再構築を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像出力装置の校正方法。
- 前記画像出力装置は、画像濃度を表す画像データをプリント信号に変換するための変換特性を備え、
前記第3の校正工程は、
前記画像出力装置からグレーの階調を表す複数のグレーパッチを持つ校正用グレーチャートを、前記複数のグレーパッチを構成する3原色の各単色の目標濃度を表す画像データを前記変換特性によって変換して得られた第1のプリント信号を用いて、出力する工程と、
前記校正用グレーチャートの前記複数のグレーパッチの濃度を前記3原色に分解して測定する工程と、
前記複数のグレーパッチの各グレーパッチの前記3原色の各単色の測定濃度と対応する前記3原色の各単色の前記目標濃度との差を評価する工程と、
前記差が許容範囲から外れている場合に、前記差を用いて前記目標濃度に対する第2のプリント信号を算出する工程、前記第2のプリント信号と前記目標濃度を用いて、前記変換特性を更新する工程、前記更新された変換特性を用いた前記校正用グレーチャートの出力工程、前記濃度測定工程および前記評価工程を、前記差が前回の結果より減少して、前記許容範囲内に収束するまで繰り返す前記変換特性の校正工程とを有することを特徴とする請求項7または8に記載の画像出力装置の校正方法。 - 請求項9に記載の画像出力装置の校正方法であって、
さらに、前記差が前記許容範囲内に入る場合に、前記変換特性の校正が収束したことを判定する工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法。 - 請求項9または10に記載の画像出力装置の校正方法であって、
さらに、前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法。 - 前記第4の校正工程は、
前記差が前回の結果より増大して、前記許容範囲内に収束しない場合に、前記変換特性を用いて、前記3原色の各単色の階調を表す複数のパッチを持つ校正用カラーチャートを出力する工程と、
前記3原色の単色の前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、
前記複数のグレーパッチの測定濃度と、対応するグレーの目標濃度と、前記3原色の単色の前記複数のパッチの測定濃度とを用いて、前記目標濃度を更新する工程と、
前記更新された前記目標濃度を用いた前記校正用グレーチャートの出力工程から、前記変換特性の校正工程までの前記第3の校正工程を繰り返すことを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の画像出力装置の校正方法。 - 前記3原色の単色は、シアン、マゼンタおよびイエローである請求項1〜12のいずれかに記載の画像出力装置の校正方法。
- 画像出力装置によりそれぞれ目標濃度に対応する複数のパッチを持つ校正用チャートを出力する工程と、
前記校正用チャートの前記複数のパッチの濃度を測定する工程と、
前記複数のパッチの各パッチの測定濃度と前記目標濃度との差を評価する工程と、
前記差が許容範囲から外れる場合に、前記画像出力装置の校正を続行する工程と、
前記差が許容範囲内である場合に、前記画像出力装置の校正が収束したことを示すメッセージを出力する工程とを有することを特徴とする画像出力装置の校正方法。 - 前記校正用チャートは、カラーチャートであり、
前記複数のパッチは、シアン、マゼンタおよびイエローの各色の階調を表すパッチである請求項14に記載の画像出力装置の校正方法。 - 前記校正用チャートは、グレーチャートであり、
前記複数のパッチは、グレーの階調を表すパッチである請求項14に記載の画像出力装置の校正方法。
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2002
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