JP2004206978A - 電子制御電極およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度の電極組付けを容易に為し得る電子制御電極およびその製造方法を提供する。
【解決手段】信号変調電極24等は、支持誘電体層42等の両面にそれぞれ複数本の帯状厚膜導体48a,48bが積層され且つそれらを貫通する電子通過孔34等を備えた厚膜シート部材で構成されるため、1枚の厚膜シート部材を所定位置に固定するだけで、相互に独立した電極として機能し得る複数本の帯状厚膜導体48を設け得ることから、電極配設が極めて容易且つ相対位置精度が得られる。このとき、電子通過孔34の電子通過方向における中間部の内周面には導体が設けられていないが、薄い支持誘電体層42等を介して積層された両面の厚膜導体がその支持誘電体層42等よりも内周側に突き出し且つ同一の面方向位置に位置することから、それらの形成する電界が一体化し、実質的に1電極として機能するので不都合はない。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄型CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)の偏向電極等を構成するための電子制御電極およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、真空空間内において電子発生源から発生した電子を、互いに直交する電極で偏向制御すると共に変調し或いは集束させて蛍光面の所望の位置に誘導して、蛍光体を電子線で励起して発光させることにより所望の画像を表示する形式の薄型CRTが知られている。例えば、MDS型のフラット・マトリクス・ディスプレイ等がそれである。このようなCRTは、電子銃から射出された電子を偏向させる構造に比較して薄型に構成できる利点がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
谷 千束著「ディスプレイ先端技術」初版第1刷、共立出版、1998年12月28日、p.78-88
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような薄型CRTに備えられた電極のうち、例えばX,Yマトリクスを構成する水平偏向電極および垂直偏向電極等は、行毎或いは列毎に電気的に独立している必要があるため簾状に分割されている。そのため、これらを構成するための多数本の金属薄板を低軟化点フリット等でガラス容器に或いは相互に固定する必要があることから、部品点数が多くなって取扱いや高精度の組付け作業が困難な問題があった。
【0005】
また、このような組み付け作業を伴う場合の金属材料には、一般に熱膨張係数がガラスのそれに近い426合金等が用いられるが、譬え熱膨張係数を一致させても、固着プロセスの加熱過程では、熱伝導性が良く熱容量の小さい金属薄板の温度上昇がガラスに比べて早くなる。そのため、固着点におけるフリットの固定状態のばらつきが生じ、延いては金属が膨張した状態で固定されることから、その湾曲や歪みが生じる問題もあった。しかも、複数層(MDSでは例えば5層)の電極をフリット等で固定する工程は順次に行う必要があるため、繰り返しの熱処理を施されることが高い相対位置精度の実現を一層困難にする。すなわち、MDS型CRTのような電子を誘導するための多数の電極が備えられる装置では、分割された極めて多数の金属部品を取り扱う必要があるため、高精度の電極組付けを簡便に実施することが困難であった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、高精度の電極組付けを容易に為し得る電子制御電極およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための第1の手段】
斯かる目的を達成するため、第1発明の要旨とするところは、複数の電子通過孔を備え、その電子通過孔内に電界を形成することにより電子を所望の方向に向けて通過させるための電子制御電極であって、(a)所定厚さ寸法の厚膜誘電体層と、(b)前記厚膜誘電体層の一面および他面にそれぞれ積層され且つ互いに電気的に独立させられた複数本の帯状厚膜導体をそれぞれ備えた第1厚膜導体層および第2厚膜導体層と、(c)前記厚膜誘電体層および前記帯状厚膜導体を貫通し且つ各々の前記第1厚膜導体層および第2厚膜導体層内における内周縁が面方向における同一位置であってその厚膜誘電体層内における内周縁よりも内側に位置させられた前記複数の電子通過孔と、(d)前記複数の電子通過孔の各々の近傍において前記厚膜誘電体層を貫通し且つ前記一面および他面の帯状厚膜導体を相互に接続する複数個の貫通導体とを、含むことにある。
【0008】
【第1発明の効果】
このようにすれば、電子制御電極は、厚膜誘電体層の両面にそれぞれ複数本の帯状厚膜導体が積層され且つそれらを貫通する電子通過孔を備えたシート状の厚膜積層体すなわち厚膜シート部材で構成される。そのため、1枚の電子制御電極を装置の所定位置に固定するだけで、相互に独立した電極として機能し得る複数本の帯状厚膜導体をその装置に設け得ることから、多数本の金属薄板を固定していた場合に比較して電極配設が極めて容易になると共に、その相対位置精度は電子制御電極上における厚膜導体の形成位置精度により決定されるので、容易に高精度で電極組付けを為し得る。このとき、第1厚膜導体層および第2厚膜導体層にそれぞれ備えられた帯状厚膜導体は電子通過孔の近傍において貫通導体によって接続されていることから略同電位に保たれると共に、その電子通過孔はそれら帯状厚膜導体内における内周縁が厚膜誘電体層内における内周縁よりも内周側に突き出しているので、厚膜誘電体層の厚さ寸法や印加電圧に応じて定められる程度を以て、その一面および他面にそれぞれ備えられた帯状厚膜導体の形成する電界が一体化させられる。したがって、電子通過孔の中間部に導体が設けられていなくともそれら一面および他面の帯状厚膜導体が一電極として機能するため、厚膜導体層の厚さ寸法を小さく留めながら実質的な電極厚みを電子の制御に十分な大きさにすることができる。
【0009】
因みに、厚膜導体を形成する場合において、その周縁部における断面形状は、厚膜導体ペーストの粘性や流動性、更には塗布面との接触角等に基づき、一般に周縁に向かうに従って厚さ寸法が小さくなるように表面が傾斜したものとなる。そのため、印刷および乾燥を繰り返して膜厚を厚くする際には、底部に比較して小寸法となった頂部に厚膜導体ペーストが順次に塗布されることから、一定の寸法を保ちつつ膜厚を厚くすることは極めて困難である。すなわち、積層が必要となる例えば20(μm)を越えるような厚膜導体を、その端面が膜形成面に対して垂直を成すように形成すること、換言すればシャープなエッジ形状を保ちつつその厚さ寸法を厚くすることは実質的に不可能である。
【0010】
また、電子の進路を適切に制御するためには、電子の進行方向において電子通過孔に一定以上の長さ寸法が要求されるが、この長さ寸法は、例えば厚膜の一層の厚さ寸法よりも大きい値である。ところで、厚膜導体を厚膜誘電体上に設けることで相互に独立した複数の厚膜導体を一体化させた厚膜シート部材において、電子通過孔を上記のような長さ寸法で設け且つその内壁面全体に厚膜導体を設ける場合には、誘電体と導体とを交互に印刷しなければならない。そのため、それらの相対位置の高精度制御が困難であることから、シャープなエッジ形状を実現すること延いては電子通過孔を電子の進行方向において一定の内周縁寸法で形成することは一層困難になる。したがって、内周面全体に厚膜導体を設けると、上記相対位置のばらつきに応じて電子通過孔を大きくする必要が生じて高精細化が困難になると共に、電子通過孔の内周面に凹凸や傾斜が生じることに起因して所期の電子制御機能が得られない不都合が生じるのである。
【0011】
【第1発明の他の態様】
ここで、好適には、前記の電子制御電極は、真空空間内において電子発生源から発生した電子を互いに直交する電極で偏向制御して蛍光体層に入射させることにより所望の画像を表示する形式の薄型CRTに用いられるものである。このようにすれば、電子制御電極には第2電子通過孔を有する複数本の帯状厚膜導体が相互に電気的に独立して備えられているため、その帯状厚膜導体が互いに直交する方向に沿って伸びる向きになるように2枚の電子制御電極を重ねて電子発生源と蛍光面との間に配置するだけで、所謂フラット・マトリクス・ドライブ方式薄型CRTの偏向電極を構成することができる。すなわち、電極の固定が極めて容易になり、しかも、電極の相対位置精度が高められる利点がある。
【0012】
なお、上記の薄型CRTには、偏向電極の他にも、互いに電気的に独立した複数本の信号変調電極等が備えられるが、この信号変調電極も同様な電子制御電極で構成することによって容易に配設することができる。
【0013】
また、薄型CRTは、表示面の全面で共通の電子ビーム制御電極や集束電極等も備えているが、これら全面で共通の電極も偏向電極等と同様に厚膜シート部材で構成しても良い。このような分割不要な電極は、厚膜誘電体層の全面に一体的に厚膜導体層を積層することで構成される。この態様によれば、薄型CRTに備えられる電子線制御のための複数枚の電極の全てが厚膜シート部材で構成されることになるため、金属薄板から成る電極と積層する場合に比較して、固着時や使用時におけるそれらの熱膨張係数および熱容量等の相違を考慮する必要の無い利点がある。
【0014】
但し、上記のような全面で共通の電極は複数本の金属薄板を並べる場合のような相対位置の問題が生じ得ないため、適宜の複数箇所に貫通穴を有する1枚の金属薄板で構成しても差し支えない。熱膨張係数や熱容量等の相違が特に問題にならない場合には、このようにすれば、厚膜シート部材から成る電子制御電極および金属薄板から成る電子制御電極が相互に固着されることから、全ての電極を厚膜シート部材で構成する場合に比較して、電極全体の機械的強度が高められるため、薄型CRTの製造工程における取扱いが一層容易になる。
【0015】
【課題を解決するための第2の手段】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、所定の開口寸法を有する複数の電子通過孔を備え、その電子通過孔内に電界を形成することにより電子を所望の方向に向けて通過させるための電子制御電極の製造方法であって、(a)前記電子通過孔に対応する位置に前記開口寸法の第1開口を有し且つ相互に離隔した複数本の帯状パターンで所定の膜形成面に厚膜スクリーン印刷法を用いて厚膜導体ペーストから成る第1導体ペースト膜を形成する工程と、(b)前記第1開口の上にそれよりも所定値だけ外側に拡大された第2開口を有する所定パターンで前記第1導体ペースト膜上に厚膜スクリーン印刷法を用いて厚膜誘電体ペーストから成る誘電体ペースト膜を所定の厚さ寸法に形成する工程と、(c)前記第1開口の上に同一開口寸法の第3開口を有し且つ前記第1導体ペースト膜と同一の帯状パターンで前記誘電体ペースト膜上に厚膜スクリーン印刷法を用いて厚膜導体ペーストから成る第2導体ペースト膜を形成する工程と、(d)所定温度で焼成処理を施すことにより前記第1導体ペースト膜および前記第2導体ペースト膜からそれぞれ複数本の帯状厚膜導体を有する第1厚膜導体層および第2厚膜導体層を生成すると同時に前記誘電体ペースト膜から厚膜誘電体層を生成する焼成工程と、(e)その焼成工程により得られた第1厚膜導体層、厚膜誘電体層および第2厚膜導体層の積層体を前記膜形成面から剥離する剥離工程とを、含むことにある。
【0016】
【第2発明の効果】
このようにすれば、電子通過孔と同じ開口寸法の第1開口を備えた複数本の帯状パターンの第1導体ペースト膜、それよりも大きい第2開口を備えた誘電体ペースト膜、および第1開口と同じ開口寸法の第3開口を備えた第2導体ペースト膜を膜形成面上に順次に積層し、これを焼成して膜形成面から剥離することにより、複数本の帯状厚膜導体を有する第1厚膜導体層および第2厚膜導体層が厚膜誘電体層を介して積層された厚膜シート部材から成る電子制御電極が製造される。そのため、得られた電子制御電極を前述したように装置の所定位置に固定するだけで、相互に独立した電極として機能し得る複数本の帯状厚膜導体をその装置に設け得ることから、電極配設が極めて容易になると共に、その相対位置精度は電子制御電極上における厚膜導体の形成位置精度により決定されるので、容易に高精度で電極組付けを為し得る電子制御電極が得られる。
【0017】
【第2発明の他の態様】
ここで、好適には、前記厚膜誘電体ペースト膜は、前記第2開口の近傍に貫通孔を有する平面形状で形成されるものであり、前記貫通孔内に前記第1厚膜導体層および前記第2厚膜導体層の帯状パターンを相互に接続する貫通導体を形成するための厚膜導体ペーストを塗布する貫通導体ペースト膜形成工程を含むものである。このようにすれば、焼成工程においてその貫通導体ペースト膜から貫通導体が生成され、厚膜誘電体層を介して積層された第1厚膜導体層および第2厚膜導体層が電子通過孔の近傍においてその貫通導体で相互に接続される。そのため、第1厚膜導体層および第2厚膜導体層の抵抗率の高低に拘わらず、その抵抗値に起因する電位差の生じることが抑制されるので、電子通過孔から離隔した位置、例えば厚膜シート部材の周縁部や外部等で第1厚膜導体層および第2厚膜導体層が接続される場合に比較して、電子通過孔内に形成される電界の一様性が高められる利点がある。
【0018】
また、好適には、前記第2導体ペースト膜を形成する工程は、前記誘電体ペースト膜上に厚膜導体ペーストの第1層を塗布した後、その乾燥前に同一パターンで厚膜導体ペーストの第2層を塗布するものである。第1導体ペースト膜と同一開口寸法の第3開口を有する第2導体ペースト膜は、その第3開口の内周縁が誘電体ペースト膜に形成されている第2開口の内周縁よりも内周側にはみ出して形成される必要があるが、第1層の塗布時においては、スクリーンの裏面が宙に浮いた状態になるので、乾燥した誘電体ペースト膜上には塗布されない。しかしながら、第1層の乾燥前に第2層の印刷を実施すれば、厚膜導体ペーストが湿った状態で重ねて塗布されることにより、スクリーンに設けられている開口形状に従って厚膜導体ペーストが塗布され、所望の平面形状を備えた第2ペースト膜が好適に形成される。
【0019】
また、好適には、前記の電子制御電極の製造方法は、前記厚膜誘電体ペーストおよび前記厚膜導体ペーストが焼結させられる第1温度よりも高い融点を有する粒子が樹脂で結合されて成る高融点粒子層で構成された膜形成面を有する支持体を用意する支持体準備工程を含み、前記焼成工程は、前記厚膜導体ペーストおよび前記厚膜誘電体ペーストが焼結させられるが前記高融点粒子層は焼結させられない前記第1温度で前記積層体を焼成するものである。このようにすれば、厚膜誘電体ペーストおよび厚膜導体ペーストの焼結温度(第1温度)よりも高い融点を有する高融点粒子層で構成された膜形成面に厚膜誘電体ペースト膜および厚膜導体ペースト膜がそれぞれ形成された後、それら厚膜誘電体ペーストおよび厚膜導体ペーストの焼結させられる第1温度で加熱処理が施されることにより、厚膜誘電体層の両面に第1厚膜導体層および第2厚膜導体層が固着された厚膜シート部材すなわち電子制御電極が生成される。そのため、その加熱処理温度では焼結させられない高融点粒子層は樹脂が焼失させられることにより高融点粒子のみが並ぶ層となることから、生成された厚膜は支持体に固着されないため、その膜形成面から容易に剥離することができる。
【0020】
なお、上記のように高融点粒子のみが並ぶ層の上で焼結させられる厚膜は、通常の厚膜形成とは異なり、その収縮時に何ら形成面に拘束されない。そのため、形成面との間の収縮抵抗に起因する反りや変形等が抑制され、延いてはそれら反りや変形に伴う亀裂等の発生も抑制される。したがって、第1厚膜導体層および第2厚膜導体層の歪み等が一層抑制される利点がある。
【0021】
また、好適には、前記支持体準備工程は、所定の基板の表面に前記高融点粒子層を形成するものである。このようにすれば、誘電体ペースト膜および厚膜導体ペースト膜が基板上に形成されることから、加熱処理後にも支持体の形状が維持されるため、高融点粒子層のみで支持体が構成されている場合(例えば、セラミック生シートで支持体が構成されている場合)に比較して厚膜シート部材の取扱いが容易になる利点がある。しかも、このような支持体が用いられる場合には、ペースト膜との間に高融点粒子層が介在させられる基板は加熱処理の際にそのペースト膜を何ら拘束せず、且つそのペースト膜の表面粗度は高融点粒子層の表面粗度のみが反映されることから、基板の平坦度、表面粗度、膨張係数等の厚膜シート部材の品質に及ぼす影響が小さくなるため、基板に高い品質は要求されない。
【0022】
また、好適には、前記基板は、前記焼成温度で変形しないものである。このようにすれば、厚膜誘電体層および第1,第2厚膜導体層を生成するための加熱処理が施される際にも膜形成面の形状が初期の形状に保たれるため、高融点粒子層を表面に形成することにより、支持体として繰り返し使用可能となる利点がある。基板は、上記の条件を満たす適宜のものが選ばれるが、例えば、一般ガラス、耐熱ガラス、セラミック板、金属板等を用いることができる。
【0023】
また、好適には、前記高融点粒子は、セラミックス或いはガラス・フリット等の無機材料から成るものである。高融点粒子としては、高融点粒子層を構成する樹脂が焼失した後も何ら軟化等するものでなければ、適宜の無機材料を用いることができる。なお、具体的な材質は、厚膜シート部材を構成する厚膜材料の種類やその焼成温度等に応じて適宜選択される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施例の電子制御電極によって電極が構成された薄型CRT10の基本構成を、その構成部品を相互に離隔させた状態で示す斜視図である。図において、薄型CRT10は、それぞれの略平坦な一面12,14が対向するように所定間隔を隔てて互いに平行に配置された前面板16および背面板18を備えている。それら前面板16および背面板18は、例えば図示しないスペーサ・ガラス等を介してそれらの周縁部において気密に封着されており、これにより薄型CRT10の内部に気密空間が形成されている。これら前面板16および背面板18は、何れも350×450(mm)程度の大きさの表示部よりもやや大きい例えば450×550(mm)程度の大きさと、大気圧に耐え得る10〜20(mm)程度の均一な厚さ寸法とを備えると共に透光性を有し且つ軟化点が700(℃)程度のBaO-SrO-Si02系ガラス等から成るものである。
【0026】
上記の前面板16の内面12には、電子銃が用いられた従来のCRTのフェース・ガラスと同様に、例えば図に破線で示すように升目状に区分され或いは一方向に沿って並ぶ(すなわちストライプ状の)複数本の線により区分された領域毎に、電子線で励起させられる複数種類例えば赤、緑、青(RGB)3種類の発光色の蛍光体層が設けられている。本実施例では、この前面板16の内面12が蛍光面に相当する。各区分の大きさは、CRT10の解像度に応じて設定されるものであり、例えば、ストライプ状の場合には、幅寸法が50〜100(μm)程度の蛍光体層と幅寸法が30〜50(μm)程度の幅寸法のブラック・ストライプ層が交互に設けられている。また、蛍光体層の厚さ寸法は、例えば10〜20(μm)程度の範囲内で色毎に定められた値であり、ブラック・ストライプ層の厚さ寸法は、例えば0.1〜10(μm)程度である。
【0027】
一方、前記の背面板18の内面14上には、一方向に沿って伸び且つ互いに平行な複数本のフィラメント状陰極(カソード)20が適当な中心間隔で備えられている。なお、図においては陰極20が内面14上に直に配置されているように描いているが、実際には例えば両端が適当な高さ寸法の支持部材に固着されることによって内面14から一定の高さ位置に位置させられている。本実施例においては、上記のフィラメント状陰極20が電子発生源に相当する。
【0028】
また、上記の前面板16および背面板18間には、複数層例えば5層の電極が備えられている。これら5層の電極は、背面板18側から順に電子ビーム・コントロール電極(電子線制御電極)22、信号変調電極24、フォーカス電極(集束電極)26、垂直偏向電極28、および水平偏向電極30である。これらは、何れも略同様な外形寸法を備えた一枚の薄板で構成されている。なお、図においては信号変調電極24、垂直偏向電極28、水平偏向電極30が、何れも空間的に分離された複数の部品で構成されているように描かれているが、実際には、後述するようにそれぞれ1枚の薄板上において分割して設けられた複数個の電極部で構成されている。なお、図1および後述する図2等において、外部回路への接続部分は省略した。
【0029】
上記の電子ビーム・コントロール電極22は、例えば0.1〜0.2(mm)程度の厚さ寸法を有し、且つ直径0.2〜0.4(mm)程度の円形或いは一辺0.2〜0.4(mm)程度の矩形、例えば0.26×0.32(mm)程度の大きさの多数の電子通過孔32を備えたものである。この電子通過孔32は、例えば図において上側に位置するその一辺に沿ったX方向およびそれに直交するY方向の2方向に沿って、CRT10の画素密度に応じた値、例えばX方向において1.0〜2.0(mm)程度、Y方向において4〜6(mm)程度の中心間隔で並んでいる。
【0030】
また、前記の信号変調電極24は、例えば0.1〜0.2(mm)程度の厚さ寸法を有し、且つ一辺0.3〜0.6(mm)程度の矩形の多数の電子通過孔34を電子通過孔32と同様な中心間隔で備えたものである。すなわち、電子通過孔34は、電子通過孔32よりも僅かに大きい開口寸法で設けられている。
【0031】
また、前記のフォーカス電極26は、例えば0.1〜0.2(mm)程度の厚さ寸法を有し、且つ一辺0.5〜1.0(mm)程度の矩形の多数の電子通過孔36を電子通過孔32と同様な中心間隔で備えたものである。この電子通過孔36は、電子通過孔34よりも更に大きな開口寸法で設けられている。
【0032】
また、前記の垂直偏向電極28は、例えば0.1〜0.2(mm)程度の厚さ寸法を有し、且つ短辺が例えば0.6〜1(mm)の範囲内、例えば1(mm)程度の矩形長手状の複数本の電子通過孔38を備えたものである。この電子通過孔38の中心間隔は、電子通過孔32のX方向におけるそれと同様な値になっている。
【0033】
また、前記の水平偏向電極30は、例えば0.1〜0.2(mm)程度の厚さ寸法を有し、且つ短辺が0.5〜1.5(mm)程度の矩形長手状の複数本の電子通過孔40を電子通過孔32と同様な中心間隔で備えたものである。この電子通過孔40は、例えばフォーカス電極26よりもY方向寸法が小さく且つX方向寸法が大きくされている。なお、前述した外形寸法と上記の各電子通過孔32,34等の寸法との関係から明らかなように、薄型CRT10には極めて多数の電子通過孔が設けられているが、図1および後述する図2等においては、図示の便宜上外形寸法に対して開口寸法およびその中心間隔を極めて粗く描いた。
【0034】
上記の5層の電極22乃至30は、何れも厚膜誘電体層の両面に厚膜導体層が積層された厚膜シート部材から成るものである。この厚膜シート部材の詳細な構成を、信号変調電極24を例にとって説明する。
【0035】
図2は、信号変調電極24の全体を模式的に示す斜視図であり、図3はそのIII−III視断面(すなわち帯状厚膜導体48の長手方向に沿った断面)の要部を示す図である。両図において、信号変調電極24は、薄板状の支持誘電体層42と、その上面44および下面46に積層された多数の帯状厚膜導体48とから構成されている。なお、図2においては上面44上の帯状厚膜導体48のみが示されているが、下面46上の帯状厚膜導体48は、例えば厚膜誘電体層42を挟んで上面44上の帯状厚膜導体48と対称的に設けられている。
【0036】
上記の支持誘電体層42は、例えばPbO-B2O3-SiO2-Al2O3-ZnO-TiO2系或いはこれらを組み合わせた系等の低軟化点ガラスおよびアルミナ等のセラミック・フィラー等の厚膜誘電体材料等から成るものである。この支持誘電体層42の厚さ寸法は、例えば50〜100(μm)の範囲内、例えば60(μm)程度であって、全面で一様な厚さ寸法を有して全体が一体的に構成されている。また、図3に示すように、支持誘電体層42の電子通過孔34に対応する位置には、貫通孔50が備えられている。
【0037】
また、上記の帯状厚膜導体48は、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、カーボン等を導電成分として含む厚膜導体等から成るものである。帯状厚膜導体48は、0.5〜1.0(mm)の範囲内、例えば0.8(mm)程度の一定の幅寸法を以て長手状を成すものであって、支持誘電体層42の相対する2辺の一方に一端が位置し且つ他方から僅かに離れた位置に他端が位置する長さ寸法で設けられているが、相互に隣接するものが互い違いに上記2辺の一方または他方に位置するようになっている。なお、帯状厚膜導体48は電子通過孔34と同じ中心間隔で設けられており、隣接するものとの相互間隔は例えば0.2〜0.4(mm)程度である。また、上面44上に設けられた帯状厚膜導体48aは例えば40〜80(μm)の範囲内、例えば20(μm)程度の厚さ寸法を備え、下面46上に設けられた帯状厚膜導体48bは例えば10〜30(μm)の範囲内、例えば65(μm)程度の厚さ寸法を備えている。すなわち、本実施例においては、上面44および下面46にそれぞれ備えられた多数本の帯状厚膜導体48a,48bによって第1厚膜導体層および第2厚膜導体層の一方および他方が構成されているが、それらの厚さ寸法は相互に異なるものとなっている。
【0038】
また、上記の帯状厚膜導体48は、支持誘電体層42上で相互に絶縁させられていると共に、例えば各々の端部において図示しない配線にそれぞれ接続され、それぞれ独立して或いは必要に応じて複数本がまとめて駆動電圧を印加されるようになっている。このため、信号変調電極24は、互いに独立した電極であるにも拘わらず1枚の支持誘電体層42上に固着されることにより一体的に構成されている。
【0039】
また、上記の帯状厚膜導体48a,48bにも電子通過孔34に対応する位置に貫通孔52,52がそれぞれ設けられているが、その開口寸法は支持誘電体層42の貫通孔50よりも小さくなっており、内周縁が内側に突き出す位置関係にある。電子通過孔34は、支持誘電体層42の面方向において同一位置に(すなわち同軸的に)設けられたこれら貫通孔50,52,52によって構成されたものであり、そのため、両開口端が中間部よりも開口面積の小さい段付孔を成している。前述した電子通過孔34の開口寸法は、この両開口端における値である。なお、帯状厚膜導体48a,48bの内周縁の突き出し量は、例えば、支持誘電体層42の内周縁から30〜50(μm)程度の大きさである。また、図示されるように、帯状厚膜導体48a,48bの貫通孔52,52の内周縁は支持誘電体層42の面方向において略同一位置に位置する。但し、後述するようにこれら帯状厚膜導体48および支持誘電体層42は何れも印刷形成された厚膜であるため、開口内周縁は、実際には図示のように平坦面となってはいない。
【0040】
また、電子通過孔34の近傍、例えば1〜2.5(mm)の範囲内、例えば1.5(mm)程度だけ離れた位置には、支持誘電体層42をその厚み方向に貫通する貫通導体54が、複数個の電子通過孔34の各々に対して設けられている。貫通導体54は、例えば直径寸法が0.3(mm)程度の円形断面を成すものである。この貫通導体54は、帯状厚膜導体48a,48bと同様な厚膜導体材料から成るものであり、その両端部においてそれらにそれぞれ接続されている。このため、支持誘電体層42の両面に備えられたこれら帯状厚膜導体48a,48bはこの貫通導体54を介して導通させられている。
【0041】
なお、前述したように他の電極22,26,28,30も信号変調電極24と同様に構成されているが、その支持誘電体層および厚膜導体層の形状は、前記図1に示されるような分割状態等が得られるようにそれぞれの機能に応じて定められたものとなっている。
【0042】
図4は、CRT10の断面のうちフィラメント状陰極20と前面板16との間の部分の構成、すなわち上記複数層の電極の各々をその断面において説明する図である。図に示されるように、電子ビーム・コントロール電極22,信号変調電極24,フォーカス電極26,垂直偏向電極28,および水平偏向電極30は、それぞれの電子通過孔32〜40が電極の面方向における略同一位置すなわち電子線が真っ直ぐに通過し得るように同軸的に位置するように積層されている。なお、図4は垂直偏向電極28の長手方向(Y方向)に沿った断面を示しており、垂直偏向電極28は図における左右方向に連続するものであるが、説明の便宜上、断続した形状で描いて電子通過孔38を示した。
【0043】
また、前述したように、各電極22〜30は何れも厚膜シート部材で構成されており、前記電子ビーム・コントロール電極22は、支持誘電体層56両面の全面にそれぞれ厚膜導体層58,58が積層されることにより構成されている。また、前記フォーカス電極26は、支持誘電体層60両面の全面にそれぞれ厚膜導体層62,62が積層されることにより構成されている。これら厚膜導体層62,62は、前述したように何れも全面に連続的に設けられ、且つ両面に備えられているものが前記貫通導体54と同様な貫通導体によって相互に接続されている。
【0044】
また、前記垂直偏向電極28は、支持誘電体層64両面の全面に厚膜導体層66,66が積層されることにより構成されている。また、前記水平偏向電極30は、支持誘電体層68両面の全面に厚膜導体層70,70が積層されることにより構成されている。これら厚膜導体層66,70は、何れも信号変調電極22と同様に、相互に独立した複数本の帯状厚膜導体から成るものである。これら厚膜導体層66,70も、両面に備えられているものが貫通導体によって相互に接続されている。なお、本図においては、この貫通導体を何れの厚膜導体層についても省略した。
【0045】
また、支持誘電体層56,60,64,68の厚さ寸法は、例えば何れも支持誘電体層42と同様な50〜100(μm)の範囲内、例えば60(μm)程度である。また、厚膜導体層58,62,66,70の厚さ寸法は、例えば何れも厚膜導体層48と同様に、図における下側すなわちカソード側に位置するものが例えば10〜30(μm)の範囲内、例えば65(μm)程度、上側すなわち前面板16側に位置するものが例えば40〜80(μm)の範囲内、例えば20(μm)程度である。更に、信号変調電極24の場合と同様に、厚膜導体層58〜70も支持誘電体層56〜68から30〜50(μm)程度の僅かな寸法だけはみ出している。
【0046】
また、各電極22乃至30は、予め定められた相互間隔を以て、面方向における複数箇所において、ガラス・フリット等の無機接着剤72によって相互に固着されている。固着位置は、支持誘電体層の表面に露出部分が存在する信号変調電極24,垂直偏向電極28,および水平偏向電極30においては、その露出部分すなわち帯状厚膜導体48等から外れた位置である。また、上記の無機接着剤72は、無機材料から成るガラス・ビーズ等の球状体74を含んでいる。この球状体74は、上記の相互間隔を一定の値とするためのものである。すなわち、電極相互の間隔は、球状体74の直径に応じて定められた一定の値になっている。このような球状体74は、例えば篩等を用いて市販のガラス・ビーズ等から上記直径以上の粗大なものを取り除くことで得られる。これにより得られた球状体74は、篩の目開きよりも小さい直径のものを含むが、この小径のものは電極相互の間隔を所定の値に設定することを何ら妨げないのである。
【0047】
なお、電極相互の間隔は、制御回路構成や解像度等のCRT10の構成等に応じて定められる。例えば、本実施例においては、電子ビーム・コントロール電極22、信号変調電極24、フォーカス電極26,垂直偏向電極28、水平偏向電極30相互の間隔は、何れも0.3〜0.5(mm)程度に設定されている。
【0048】
以上のように構成されたCRT10は、例えば前記複数本のフィラメント状陰極20に所定のヒート電流を定常的に通じると共に、電子ビーム・コントロール電極22およびフォーカス電極26に所定の電圧を印加した状態で、例えば複数本の信号変調電極24の各々に順次に正電圧を印加して走査する。そして、この走査のタイミングに同期して,垂直偏向電極28および水平偏向電極30のうち所望のものに所定の正電圧を印加すると、フィラメント状陰極20から発生させられた電子が、電圧を印加された電極の組合せや印加電圧の電位差に従って偏向させられつつ前面板16の一面12すなわち蛍光面の所望の位置に入射させられる。そのため、信号変調電極24を順次走査しつつ入力データに応じて経時的に印加電圧を変化させることにより、蛍光面のその入力データに対応する位置が順次発光させられ、所望の画像が表示されることになる。
【0049】
このような駆動時において、各電極22乃至30は、前述したようにそれらの支持誘電体層42等の両面に形成されている厚膜導体層48等が貫通導体54等を介して相互に接続されているため、駆動電圧は両面の厚膜導体に同時に印加される。しかも、厚膜導体層48等は電子通過孔32等において支持誘電体層42等よりも内周側に突き出して設けられており、且つ支持誘電体層42等は前述したように膜厚が極めて薄いため、各電極22等において両面に備えられている厚膜導体がそれぞれ電子通過孔内で形成する電界は一体化させられることとなる。すなわち、実質的に電子通過孔32等の内壁面全面に電極を構成するための導体が設けられていることに等しいため、電極22等はその全厚みが電子線の制御に寄与し、実質的に電極として十分な厚さ寸法を有するのである。なお、詳細な駆動方法については、本実施例を理解するために必要ではないので省略する。
【0050】
ここで、本実施例においては、信号変調電極24等は、支持誘電体層42等の両面にそれぞれ複数本の帯状厚膜導体48a,48bが積層され且つそれらを貫通する電子通過孔34等を備えた厚膜シート部材で構成されるため、1枚の厚膜シート部材を所定位置に固定するだけで、相互に独立した電極として機能し得る複数本の帯状厚膜導体48を設け得ることから、多数本の金属薄板を固定する場合に比較して電極配設が極めて容易になると共に、その相対位置精度は支持誘電体層42等の上における帯状厚膜導体48の形成位置精度により決定されるので、容易に高精度で電極組付けを為し得る利点がある。このとき、電子通過孔34の電子通過方向における中間部の内周面には導体が設けられていないが、薄い支持誘電体層42等を介して積層された両面の厚膜導体がその支持誘電体層42等よりも内周側に突き出し且つ同一の面方向位置に位置することから、それらの形成する電界が一体化し、実質的に1電極として機能するので、実質的に信号変調電極24等として必要な厚さ寸法の導体が電子通過孔34等に設けられているのに等しいこととなる。
【0051】
また、本実施例においては、信号変調電極24,垂直偏向電極28,水平偏向電極30は、支持誘電体層42等の両面にそれぞれ複数本の帯状厚膜導体48等が積層され且つそれらを貫通する電子通過孔32等を備えたシート状の厚膜積層体すなわち厚膜シート部材で構成される。そのため、1枚の信号変調電極24等をCRT10を構成するための固定枠等の所定位置に固定するだけで、相互に独立した電極として機能し得る複数本の帯状厚膜導体48等を設け得ることから、多数本の金属薄板を固定していた場合に比較して電極配設が極めて容易になると共に、その相対位置精度は支持誘電体層42等上における厚膜導体の形成位置精度により決定されるので、容易に高精度で電極組付けを為し得る利点がある。
【0052】
ところで、上記のようなCRT10は、例えば別々に作製され或いは処理された前面板16,背面板18,フィラメント状陰極20、および各電極22乃至30を、適宜の大きさの前記球状体74を含む無機接着剤72で相互に接合することによって製造される。これらの製造工程或いは処理工程のうち、前面板16の処理では、蛍光体層が内面12に設けられる。また、背面板18の処理では、例えばフィラメント状陰極20がその内面14に架設される。また、厚膜シート部材から成る各電極24〜30は、良く知られた厚膜印刷技術を利用して、例えば図5に示される工程図に従って製造される。以下、その製造方法を、信号変調電極24について、製造工程の要部段階における状態を表した図6(a)〜(e)および図7(f)〜(h)等を参照して説明する。なお、他の電極の製造工程は、厚膜印刷のパターンが異なる他は以下に説明するものと同様である。
【0053】
先ず、基板用意工程76では、厚膜印刷を施す基板78(図6参照)を用意し、その表面80等に適宜の清浄化処理を施す。この基板78は、後述する加熱処理の際に殆ど変形や変質の生じないものであって、例えば、熱膨張係数が87×10-7(/℃)程度で、740(℃)程度の軟化点および510(℃)程度の歪み点を備えたソーダライム・ガラス等から成るガラス基板が好適に用いられる。なお、基板78の厚さ寸法は例えば2.8(mm)程度であり、その表面80の大きさは信号変調電極24の平面寸法よりも十分に大きくされている。
【0054】
次いで、剥離層形成工程82では、高融点粒子が樹脂で結合させられた剥離層84を、基板78の表面80に例えば5〜50(μm)程度の厚さ寸法で設ける。上記の高融点粒子は、例えば平均粒径が0.5〜3(μm)程度の高軟化点ガラスフリットおよび平均粒径が0.01〜5(μm)程度のアルミナやジルコニア等のセラミック・フィラーを混合したものである。上記の高軟化点ガラスは、例えば550(℃)程度以上の軟化点を備えたものであり、混合物である高融点粒子の軟化点は、例えば550(℃)程度以上になっている。また、樹脂は、例えば350(℃)程度で焼失させられるエチルセルロース系樹脂等である。この剥離層84は、例えば、上記の高融点粒子および樹脂がブチルカルビトールアセテート(BCA)等の有機溶剤中に分散させられた無機材料ペースト86を、例えば図6(a)に示すようにスクリーン印刷法を用いて基板78の略全面に塗布し、室温において乾燥させることで設けられるが、コータやフィルム・ラミネートの貼り付け等で設けることもできる。図6(b)は、このようにして剥離層84を形成した段階を示している。なお、図6(a)において、88はスクリーン、90はスキージである。本実施例においては、上記の剥離層84を備えた基板78が支持体に、その剥離層84の表面が膜形成面にそれぞれ相当し、上記の基板用意工程76および剥離層形成工程82が支持体準備工程に対応する。
【0055】
続く厚膜ペースト層形成工程92では、前記複数本の帯状厚膜導体48a,48bすなわち厚膜導体層を形成するための厚膜導体ペースト94と、前記の支持誘電体層42を形成するための厚膜誘電体ペースト96(図6(a)参照)を、無機材料ペースト86と同様にスクリーン印刷法等を利用して剥離層84上に所定のパターンで順次に塗布し、乾燥する。これにより、支持誘電体層42の下面46上に積層固着される複数本の帯状厚膜導体48b(すなわち第2厚膜導体層)を形成するための導体印刷層98、支持誘電体層42を形成するための誘電体印刷層100、貫通導体54を形成するための貫通導体印刷膜102、支持誘電体層42の上面44上に積層固着される複数本の帯状厚膜導体48aを形成するための導体印刷層104が順に形成される。
【0056】
このとき、導体印刷層98,106は、貫通孔52に対応する位置に貫通孔106,108をそれぞれ有する孔明き形状で形成され、誘電体印刷層100は、貫通孔50に対応する位置に貫通孔110を、貫通導体54が設けられる位置に貫通孔112をそれぞれ有する孔明き形状で形成される。また、貫通導体印刷膜102は、誘電体印刷層100の形成後にその貫通孔112内に厚膜導体ペースト94を流し込むように塗布することで形成される。図6(c)は導体印刷層98が形成された段階を、図6(d)は誘電体印刷層100が形成された段階を、図6(e)は貫通導体印刷膜102が形成された段階を、図7(f)は導体印刷層104が形成された段階をそれぞれ示している。本実施例においては、貫通孔106が第1開口に、貫通孔110が第2開口に、貫通孔108が第3開口にそれぞれ相当する。
【0057】
また、前述したように、貫通孔52は貫通孔50よりも大きい開口寸法を有することから、上記貫通孔106,108は、貫通孔110よりも小さい開口寸法で形成される。剥離層84の上に導体印刷層98を形成する際、およびその導体印刷層98の上に誘電体印刷層100を形成する際には、スクリーン88に設けられた開口パターンに従った所期の開口寸法の貫通孔106,110を有する形状で厚膜印刷ペースト94,96が塗布されるため、何ら技術上の問題は生じないが、一方、誘電体印刷層100上に導体印刷層104を形成する際には、その開口縁よりも内周側に開口縁が位置するように厚膜導体ペースト94を塗布する必要があるが、その誘電体印刷層100よりも内周側にはみ出した部分では宙に浮いた状態で塗布膜を形成することになる。しかしながら、厚膜スクリーン印刷においては、スクリーン88から押し出された厚膜印刷ペーストは、被印刷面に押し付けられることによってそこに転写されるため、開口パターンに従った完全な転写が困難である。
【0058】
図8(a),(b)は、上記の導体印刷層104を形成するための印刷工程の実施状態を説明するための模式図である。図において、スクリーン88には、形成しようとする導体印刷層104の平面形状に対応する形状で設けられた複数の開口部114が備えられている。前述したようにスクリーン88上に厚膜導体ペースト94を供給してスキージ90をそのスクリーン88上で摺動させると、その厚膜導体ペースト94が開口部114から押し出され、誘電体印刷層100上に転写される。このとき、開口部114の内周縁は図に一点鎖線で示されるように導体印刷層98の略内周縁上に位置しているが、誘電体印刷層100の貫通孔110の内周縁はそれよりも外側に位置するため、その貫通孔110の内周縁よりも内側には厚膜導体ペースト94が転写されず、厚膜導体ペースト94の一部が開口部114内に残ることになる。図8(a)はこの段階を示している。
【0059】
しかしながら、本実施例においては、塗布された厚膜導体ペースト94すなわち導体印刷層の第1層104aが乾く前に、直ちにその上に重ねて同一パターンで厚膜導体ペースト94を印刷する。そのため、開口部114内で過剰となった厚膜導体ペースト94がその開口部114から押し出され、未乾燥の粘性の高い第1層104aと新たに塗布された厚膜導体ペースト94とが一体化させられるので、この2回目の印刷により塗布された導体印刷層の第2層104bは、開口パターンに倣った平面形状で形成される。すなわち、導体印刷層98の貫通孔106と同一の面方向位置に同一の大きさで貫通孔106を有する導体印刷層104が得られる。図8(b)はこの段階を示している。このようにして形成された導体印刷層104は、その貫通孔106の内周縁が塗布面に対して垂直とはならないが、前記の図3等においては、その内周縁形状等を簡略化して示している。
【0060】
なお、前記の厚膜導体ペースト94は、例えば、銀粉末等の導体材料粉末、ガラスフリット、および樹脂が有機溶剤中に分散させられたものである。また、厚膜誘電体ペースト96は、例えば、アルミナやジルコニア等の誘電体材料粉末、ガラスフリット、および樹脂が有機溶剤中に分散させられたものである。なお、上記のガラスフリットは、例えばPbO-B2O3-SiO2-Al2O3-TiO2系の低軟化点ガラス等が用いられ、樹脂および溶剤は例えば無機材料ペースト86と同様なものが用いられる。また、導体印刷層98は例えば一回の厚膜印刷で形成されるが、誘電体印刷層100は適当な厚さ寸法が得られるまで適宜の回数だけ印刷および乾燥を繰り返して積層形成される。
【0061】
上記のようにして厚膜印刷層98〜104を形成し、乾燥して溶剤を除去した後、焼成工程116においては、基板78を所定の焼成装置の炉室118内に入れ、厚膜導体ペースト94および厚膜誘電体ペースト96の種類に応じた例えば550(℃)程度の焼成温度で加熱処理を施す。図7(f)は加熱処理中の状態を示している。
【0062】
上記の加熱処理過程において、厚膜印刷層98〜104は、その焼結温度が例えば550(℃)程度であるため、その樹脂成分が焼失させられると共に誘電体材料、導体材料、およびガラスフリットが焼結させられることにより支持誘電体層42、帯状厚膜導体48および貫通導体54が生成され、信号変調電極24が得られる。図7(g)は、この状態を示している。このとき、前記の剥離層84は、前述したようにその無機成分粒子が550(℃)以上の軟化点を備えたものであるため、樹脂成分は焼失させられるが高融点粒子(ガラス粉末およびセラミック・フィラー)は焼結させられない。そのため、加熱処理の進行に伴って樹脂成分が焼失させられると、剥離層84は高融点粒子120(図9参照)のみから成る粒子層122となる。
【0063】
図9は、図7(g)の右端の一部を拡大して、上記の加熱処理における焼結の進行状態を模式的に示した図である。剥離層84の樹脂成分が焼失させられることにより生成された粒子層122は、高融点粒子120が単に積み重なっただけの層であり、その高融点粒子120は互いに拘束されていない。そのため、図に一点鎖線で示される焼成前の端部位置から厚膜印刷層98〜104が収縮するときには、その高融点粒子120がコロの如き作用をする。これにより、厚膜印刷層98〜104の下面側でも基板78との間にその収縮を妨げる力が作用しないので、上面側と同様に収縮させられることから、収縮量の相違に起因する密度差や反り等は何ら生じていない。
【0064】
なお、本実施例においては、厚膜印刷層98〜104の焼結が開始するときには、上述したように粒子層122の作用によって基板78はその焼成収縮を何ら妨げない。したがって、基板78の熱膨張は生成される厚膜の品質に実質的に影響しない。なお、基板78を繰り返し使用する場合や熱処理温度が高くなる場合には、歪み点の一層高い耐熱性ガラス(例えば、熱膨張係数が32×10-7(/℃)程度で軟化点が820(℃)程度の硼珪酸ガラスや、熱膨張係数が5×10-7(/℃)程度で軟化点が1580(℃)程度の石英ガラス等)を用いることができる。この場合にも、誘電体材料粉末等の結合力が小さい温度範囲では基板78の熱膨張量が極めて小さくなるので、その熱膨張が生成される厚膜の品質に影響することはない。
【0065】
図5に戻って、剥離工程124では、生成された厚膜すなわち支持誘電体層42および厚膜導体層の積層体を基板78から剥離する。それらの間に介在させられている粒子層122は高融点粒子120が単に積み重なっただけであるので、上記剥離処理は何らの薬品や装置を用いることなく容易に行い得る。このとき、積層体の裏面には高融点粒子120が一層程度の厚みで付着し得るが、この付着粒子は、必要に応じて粘着テープやエアブロー等を用いて除去する。なお、厚膜が剥離された基板78は、前述したように前記の焼成温度では変形および変質し難いものであるため、同様な用途に繰り返し用いられる。前記の厚膜シート部材すなわち信号変調電極24は、このようにして製造される。
【0066】
ここで、本実施例においては、電子通過孔34と同じ開口寸法の貫通孔106を備えた複数本の帯状パターンの導体印刷層98、それよりも大きい貫通孔110を備えた誘電体印刷層100、および貫通孔106と同じ開口寸法の貫通孔108を備えた導体印刷層104を基板78上に順次に積層し、これを焼成してその基板78から剥離することにより、複数本の帯状厚膜導体48を有する厚膜導体層が支持誘電体層42を介して積層された厚膜シート部材から成る信号変調電極24等が製造される。そのため、その厚膜シート部材をCRT10を構成するための固定部材の所定位置に固定するだけで、相互に独立した電極として機能し得る複数本の帯状厚膜導体48を設け得ることから、電極配設が極めて容易になると共に、その相対位置精度は厚膜シート部材上における厚膜導体の形成位置精度により決定されるので、容易に高精度で電極組付けを為し得る信号変調電極24等が得られる。
【0067】
しかも、本実施例においては、各電極24〜30は、前述したような支持誘電体層42等を介して厚膜導体層が積層された構造を有するため、その製造工程においては、導体印刷層98,誘電体印刷層100,および導体印刷層104を順次に積層するだけで足りる。この結果、電子通過孔34等の両端部における開口寸法が相互に略同様な大きさになることから、支持誘電体層42等の両面に備えられる帯状厚膜導体48等が実質的に1電極として機能させられるため、好適な電子制御機能が実現される利点がある。
【0068】
因みに、厚膜シート部材で信号変調電極24等を構成する場合に、電子通過孔34の内周面全面に導体膜を設けることも考えられる。図10は、そのような構造を備えた信号変調電極として用いられ得る厚膜シート部材126の電子通過孔128近傍の断面を模式的に示す図である。この厚膜シート部材126は、支持誘電体層130の両面に厚膜導体層132,134が積層されると共に、電子通過孔128の内周面に厚膜導体層136が固着されている。このような構造のシート部材126は、例えば、厚膜導体層134を生成するための導体印刷層を形成した後、支持誘電体層130を生成するための誘電体印刷層を印刷および乾燥を繰り返すことによって積層形成すると共に、電子通過孔128の内壁面の厚膜導体層136を生成するための導体印刷層を印刷および乾燥を繰り返すことによって積層形成し、更に、厚膜導体層132を生成するための導体印刷層を印刷し、焼成処理を施すことによって製造することができる。図において一点鎖線は、印刷積層時の層相互の境界を表している。
【0069】
このとき、それぞれ複数層から成る誘電体印刷層および厚膜導体層136を生成するための導体印刷層は、同一の高さ位置に設ける必要があることから一方が他方の膜形成の妨げとならないように、1層毎に交互にペーストを塗布する必要があるため、印刷時の位置合わせが著しく困難となる不都合がある。しかも、導体印刷層を積層形成する際に、その流動性が比較的高いことから、積層される各層は次第にその電子通過孔128側の開口縁が後退する。そのため、図に示されるように厚膜導体層136の内周面138は両端面における開口寸法の異なる傾斜面となることから、適切な電子制御機能を得ることが困難となる。本実施例によれば、電子通過孔34の中間部には内周面に導体を設けないため、このような傾斜面138となることが好適に回避され、且つ前述したように電子通過孔34の両端部における開口寸法が一致させられるのである。
【0070】
また、本実施例においては、厚膜ペースト層形成工程92では、前記誘電体印刷層100は、前記貫通孔110の近傍に貫通孔112を有する平面形状で形成されるものであり、その貫通孔112内に帯状厚膜導体48a,48bを相互に接続する貫通導体54を形成するための厚膜導体ペースト94を塗布する貫通導体印刷膜形成工程が実施されることにより、焼成工程116において貫通導体印刷膜102から貫通導体54が生成され、支持誘電体層42を介して積層された帯状厚膜導体48a,48bが電子通過孔32の近傍においてその貫通導体54で相互に接続される。そのため、帯状厚膜導体48a,48bの抵抗率の高低に拘わらず、その抵抗値に起因する電位差の生じることが抑制されるので、電子通過孔32内に形成される電界の一様性が高められる。
【0071】
また、本実施例においては、信号変調電極24等の複数枚の電子制御電極を積層して薄型CRT10を製造するに際して、その電子制御電極は、何れも厚膜導体層が支持誘電体層に積層されて成る厚膜シート部材で構成される。そのため、相互に独立した複数本の帯状厚膜導体48等を備えた信号変調電極24等においても、支持誘電体層42等の上に帯状厚膜導体48等が一体的に備えられていることから、金属薄板で電極を構成する場合におけるその固着時の加熱処理に起因する電極の歪みが好適に抑制され、且つ製造工程が簡単になる。
【0072】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施できる。
【0073】
例えば、実施例においては、MDS方式の薄型CRT10を構成する信号変調電極24等に本発明が適用された場合について説明したが、本発明は、相互に独立した複数本の帯状厚膜導体48等を一面に備えるものであれば、他の形式の薄型CRTにも同様に適用される。例えば、単電子源を用いるガボア管やアイケン管、扁平管、電子倍増方式、線状電子源を用いるシートビーム方式やビームガイド方式、CRP方式、面状電子源を用いるディジプレイやハイブリッド・プラズマ方式等の薄型CRT等にも同様に適用される。また、CRTに限られず、電子線を制御する他の用途の電極にも同様に適用され得る。
【0074】
また、実施例の薄型CRT10は、3色の蛍光体層を備えてフルカラー表示をさせる形式のものであったが、本発明は、1色或いは2色、又は4色以上の蛍光体層を備えた薄型CRTにも同様に適用される。
【0075】
また、信号変調電極24等を構成するための厚膜シート部材の厚さ寸法およびこれを構成する支持誘電体層42や帯状厚膜導体48等の厚さ寸法等や平面寸法、形状等は、実施例で示した値等に限られるものではなく、電極の用途や要求される機能に応じて適宜定められる。
【0076】
また、実施例においては、信号変調電極24等を製造するための支持体を、基板78の表面80に剥離層84を設けることで構成していたが、セラミック生シート(未焼成のシート状セラミックス)を支持体として用いることもできる。この場合には、焼成工程116における熱処理温度が、このセラミック生シートは焼結しないがそれに含まれている樹脂成分は十分に燃え抜けるような温度となるように生シートの構成を定めればよい。
【0077】
また、実施例のCRT10では、3枚の簾状電極、すなわち信号変調電極24,垂直偏向電極28,および水平変調電極30が何れも厚膜シート部材で構成されていたが、これらを金属薄板で構成するか厚膜シート部材で構成するかの判断は、要求特性や取扱い性等を考慮して決定されるものであり、これらのうちの一部を金属薄板で構成することもできる。
【0078】
また、実施例においては、複数に分割されていない全面で共通の電子ビーム・コントロール電極22およびフォーカス電極26を含む全ての電極を厚膜シート部材で構成していたが、これら分割されていない電極22,26等は金属材料で構成することもできる。金属材料としては、例えば安価な鉄材料、或いはCRT10の気密容器を構成するためのガラス材料と略同様な熱膨張係数を有するアンバー等のニッケル鉄系合金等を好適に用い得る。なお、金属材料で構成する場合の電極厚みは、例えば0.05〜0.15(mm)程度である。また、このような電子ビーム・コントロール電極24等はよく知られたエッチング処理やプレスによる打ち抜き加工等により製造される。
【0079】
また、実施例においては、信号変調電極24は、支持誘電体層42の両面に同一の平面形状で帯状厚膜導体48a,48bが設けられることにより構成されていたが、電子通過孔34の両開口端において同一の電極形状が得られ且つ所望の電子通過孔34において両面で同時に電圧を印加することができれば足りるので、帯状厚膜導体48a,48bの平面形状は異なるものとされていても差し支えない。
【0080】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄型CRTの一例の基本構成を説明する斜視図である。
【図2】図1のCRTに備えられた信号変調電極の全体を模式的に示す斜視図である。
【図3】図2の信号変調電極の帯状厚膜導体の長手方向に沿った断面の要部を示す図である。
【図4】図1のCRTの断面構造の要部を説明する図である。
【図5】図1のCRTに用いられるシート部材の製造工程を説明する工程図である。
【図6】(a)〜(e)は、図5の製造工程の要部段階における基板および厚膜の状態を示す図である。
【図7】(f)〜(h)は、図5の製造工程の要部段階における基板および厚膜の状態を示すための図6(e)に続く図である。
【図8】(a),(b)は図7(f)に示される帯状厚膜導体48aを形成するための導体ペースト層形成工程の実施状態を説明する模式図である。
【図9】図7の焼成工程における収縮挙動を説明するための図である。
【図10】信号変調電極において電子通過孔の全長に亘って導体を設けた場合の問題点を説明する図である。
【符号の説明】
10:薄型CRT
16:前面板
18:背面板
24:信号変調電極
34:電子通過孔
42:支持誘電体層
48:帯状厚膜導体

Claims (4)

  1. 複数の電子通過孔を備え、その電子通過孔内に電界を形成することにより電子を所望の方向に向けて通過させるための電子制御電極であって、
    所定厚さ寸法の厚膜誘電体層と、
    前記厚膜誘電体層の一面および他面にそれぞれ積層され且つ互いに電気的に独立させられた複数本の帯状厚膜導体をそれぞれ備えた第1厚膜導体層および第2厚膜導体層と、
    前記厚膜誘電体層および前記帯状厚膜導体を貫通し且つ各々の前記第1厚膜導体層および第2厚膜導体層内における内周縁が面方向における同一位置であってその厚膜誘電体層内における内周縁よりも内側に位置させられた前記複数の電子通過孔と、
    前記複数の電子通過孔の各々の近傍において前記厚膜誘電体層を貫通し且つ前記一面および他面の帯状厚膜導体を相互に接続する複数個の貫通導体と
    を、含むことを特徴とする電子制御電極。
  2. 真空空間内において電子発生源から発生した電子を互いに直交する電極で偏向制御して蛍光体層に入射させることにより所望の画像を表示する形式の薄型CRTに用いられるものである請求項1の電子制御電極。
  3. 所定の開口寸法を有する複数の電子通過孔を備え、その電子通過孔内に電界を形成することにより電子を所望の方向に向けて通過させるための電子制御電極の製造方法であって、
    前記電子通過孔に対応する位置に前記開口寸法の第1開口を有し且つ相互に離隔した複数本の帯状パターンで所定の膜形成面に厚膜スクリーン印刷法を用いて厚膜導体ペーストから成る第1導体ペースト膜を形成する工程と、
    前記第1開口の上にそれよりも所定値だけ外側に拡大された第2開口を有する所定パターンで前記第1導体ペースト膜上に厚膜スクリーン印刷法を用いて厚膜誘電体ペーストから成る誘電体ペースト膜を所定の厚さ寸法に形成する工程と、前記第1開口の上に同一開口寸法の第3開口を有し且つ前記第1導体ペースト膜と同一の帯状パターンで前記誘電体ペースト膜上に厚膜スクリーン印刷法を用いて厚膜導体ペーストから成る第2導体ペースト膜を形成する工程と、
    所定温度で焼成処理を施すことにより前記第1導体ペースト膜および前記第2導体ペースト膜からそれぞれ複数本の帯状厚膜導体を有する第1厚膜導体層および第2厚膜導体層を生成すると同時に前記誘電体ペースト膜から厚膜誘電体層を生成する焼成工程と、
    その焼成工程により得られた第1厚膜導体層、厚膜誘電体層および第2厚膜導体層の積層体を前記膜形成面から剥離する剥離工程と
    を、含むことを特徴とする厚膜シート部材から成る電子制御電極の製造方法。
  4. 前記厚膜誘電体ペースト膜は、前記第2開口の近傍に貫通孔を有する平面形状で形成されるものであり、
    前記貫通孔内に前記第1厚膜導体層および前記第2厚膜導体層の帯状パターンを相互に接続する貫通導体を形成するための厚膜導体ペーストを塗布する貫通導体ペースト膜形成工程を含むものである請求項3の電子制御電極の製造方法。
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